説明

ポリオキサレート及びそれを含む生分解性樹脂組成物

【課題】本発明は、室温程度の温度でも周囲の水分と反応しない生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、下記式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位が50:50〜99:1のモル比で配列した重量平均分子量3000〜1000000であるポリオキサレートを提供する。




(式中、Rは芳香族環炭化水素及び脂環炭化水素からなる群より選ばれるものから誘導される2価の基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオキサレート及びそれを含む生分解性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
包装資材として生分解性のポリ乳酸系樹脂組成物などが提案されている(特許文献1及び2参照)。しかしながら、これらの生分解性樹脂組成物を用いた包装容器などの分解は、容器表面から順次起こっており、容器全体が完全に分解するまでには相当の時間を必要としていた。さらに、分解速度は、樹脂の結晶性や分子配向といった樹脂内部の構造によって影響を受け、場所によって分解しやすいところ、分解しにくいところが存在するという問題もあった。
上記問題を解決するために、ポリエチレンオキサレートなどを含み、分解性が改善された生分解性樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−116788号公報
【特許文献2】特開平9−316181号公報
【特許文献3】国際公開第2008/38648号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリエチレンオキサレートのガラス転移温度は分子量にも依存するが25℃〜36℃と報告されている。そのため室温程度の温度でも周囲の水分と反応して加水分解を起こし、シュウ酸および/またはシュウ酸オリゴマーを放出する。
したがって、本発明は、室温程度の温度でも周囲の水分と反応しない生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位が50:50〜99:1のモル比で配列した重量平均分子量が3000〜1000000のポリオキサレートを提供する。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】

(式中、Rは芳香族環炭化水素及び脂環炭化水素からなる群より選ばれるものから誘導される2価の基を表す。)
【0008】
また、本発明は、生分解性樹脂中に0.1〜20wt.%の前記ポリオキサレートを含有する生分解性樹脂組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、室温程度の温度でも周囲の水分と反応しない生分解性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のポリオキサレートは、下記式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位に配列したポリオキサレートである。
【0011】
【化3】

【0012】
【化4】

【0013】
Rは芳香族環炭化水素及び脂環炭化水素からなる群より選ばれるものから誘導される2価の基を表し、芳香族環炭化水素及び脂環炭化水素は置換されていてもよい。Rは、好ましくはベンゼン環、シクロヘキサン環及びナフタレン環からなる群より選ばれるものから誘導される2価の基を表し、より好ましくはp−フェニレン基を表す。
式(1)で示される構造単位と、式(2)で示される構造単位のモル比は、50:50〜99:1であり、好ましくは70:20〜98:2であり、より好ましくは70:20〜95:5である。
本発明のポリオキサレートの重量平均分子量は3000〜1000000であり、好ましくは5000〜1000000であり、より好ましくは5000〜500000である。
【0014】
本発明のポリオキサレートは、37℃の温度条件で酵素分解時のシュウ酸溶出量が加水分解時のシュウ酸溶出量より大である。このような本発明のポリオキサレートを生分解性樹脂組成物に含有させることにより、生分解性に優れた生分解性樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリオキサレートは、好ましくはそのガラス転移温度が40℃以上である。このような本発明のポリオキサレートは、室温程度の温度でも周囲の水分と反応せず、シュウ酸を放出しない安定な生分解性樹脂となる。本発明のポリオキサレートのガラス転移温度は、より好ましくは42℃以上であり、さらに好ましくは45℃以上である。
【0015】
生分解性樹脂は、生分解性を有する樹脂であればよく、例えば化学合成系樹脂、微生物系樹脂、天然物利用系樹脂などが挙げられる。具体的には、脂肪族ポリエステル、ポリビニルアルコール(PVA)、セルロース類などが挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ乳酸(PLA)樹脂やその誘導体、ポリブチレンサクシネート(PBS)樹脂及びその誘導体、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)及びその誘導体、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリテトラメチレンアジペート、ジオールとジカルボン酸の縮合物などが挙げられる。セルロース類としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロースなどが挙げられる。これらは単独での使用、共重合体での使用、2種以上を組み合わせての使用でもよい。共重合体を形成する成分としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ビスフェノールA、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アントラセンジカルボン酸などのジカルボン酸;グリコール酸、L-乳酸、D-乳酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、マンデル酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;グリコリド、カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、ポロピオラクトン、ウンデカラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。
生分解性樹脂は、好ましくはポリ乳酸樹脂である。ポリ乳酸樹脂としては、乳酸を重合して得られるポリエステル樹脂であれば特に限定されず、ポリ乳酸のホモポリマー、共重合体、ブレンドポリマーなどであってもよい。なお、ポリ乳酸を用いる際の重合に用いられる乳酸は、L−体又はD−体のいずれかであってもよく、L−体とD−体の混合物であってもよい。
【0016】
本発明の生分解性樹脂組成物においては、生分解性樹脂中の前記ポリオキサレートの含有量は、好ましくは0.1〜20wt.%であり、より好ましくは1〜20wt.%である。
本発明の生分解性樹脂組成物には、必要に応じて、公知の可塑剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、顔料、フィラー、充填剤、離型剤、帯電防止剤、香料、滑剤、発泡剤、抗菌・抗カビ剤、核形成剤などの添加剤を配合してもよい。また、本発明の生分解性樹脂組成物には、前記生分解性樹脂又は前記ポリオキサレート以外の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどの水溶性の樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体、酸変性ポリオレフィン、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレンーブタジエンースチレン共重合体などを配合することができる。また、前記ポリオキサレートの分散性を向上させる目的で前記生分解性樹脂と前記ポリオキサレートの共重合体を配合してもよい。
【0017】
本発明のポリオキサレートは、よく知られている重縮合反応より、酸成分とアルコール成分から製造できる。例えばオキサレートを重合する際は、シュウ酸源と共重合させたいジカルボン酸源とエチレングリコールを触媒と共にフラスコに充填して適切な重合条件下で重縮合することにより製造できる。触媒としてはP,Ti、Ge、Zn、Fe,Sn、Mn,Co,Zr,V,Ir、La,Ce,Li,Ca、Hfなどの化合物が好ましい。特に有機チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、例えばチタンアルコキシド、ジラウリン酸ジブチルスズ、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレートなどが高活性で好適である。なお、重縮合反応においては、熱劣化防止のため、必要であれば耐熱剤を添加してもよい。また重合を止める際に触媒活性失活剤を添加してもよい。
【0018】
本発明の生分解性樹脂組成物を用いた容器の製造には、それ自体公知の成型法を用いることができる。
例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて押出成形を行うことで多層フィルム、多層シート、多層パリソン又は多層パイプ等が成形できる。また、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、同時射出法や逐次射出法等の共射出成形によりボトル成型用の多層プリフォームを製造することができる。このような多層フィルム、パリソン、プリフォームをさらに加工することにより、本発明の生分解性樹脂組成物を用いた容器を得ることができる。
フィルム等の包装材料は、種々の形態のパウチや、トレイ・カップの蓋材として用いることができる。パウチとしては、例えば、三方又は四方シールの平パウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等が挙げられる。製袋は公知の製袋法で行うことができる。また、フィルム又はシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
【0019】
多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができる。また、予め形成された単層及び多層フィルムをドライラミネーションによって積層することもできる。例えば、生分解性樹脂組成物/ポリ乳酸(シーラント)層から成る2層共押出フィルムに透明蒸着生分解性フィルムをドライラミネーションにより積層する、ドライラミネートにより積層したポリ乳酸/ポリグリコール酸の2層フィルムに生分解性樹脂組成物/ポリ乳酸(シーラント)の2層をアンカー剤を介して押出コートする方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、パリソン、パイプ又はプリフォームを一対の割型でピンチオフし、その内部に流体を吹込むことにより容易にボトルやチューブを成形できる。また、パイプ、プリフォームを冷却した後、延伸温度に加熱し、軸方向に延伸すると共に、流体圧によって周方向にブロー延伸することにより、延伸ブローボトル等が得られる。
【0020】
本発明に使用される加水分解酵素としては、一般に生分解性樹脂を分解するものであれば特に限定はされず、当業者が任意のものを使用することができる。このような酵素としては例えばプロテアーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ等が挙げられる。例えば和光純薬工業株式会社製のプロテアーゼKや独立行政法人酒類総合研究所のリパーゼCS2を使用することが可能である。
【0021】
本発明に使用される緩衝液として、一般にpHを安定化する目的で用いられる緩衝液であればとくに限定はされない。このような緩衝液としてはグリシン-塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、トリス-塩酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸-リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、グリシン-水酸化ナトリウム緩衝液などが挙げられる。また固体の中和剤でもよく、例えば炭酸カルシウム、キトサン、脱プロトンイオン交換樹脂などが挙げられる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
(CLE酵素液)
リパーゼ活性653U/mLを示すCryptococcus sp. S-2由来リパーゼCS2(特開2004−73123:独立行政法人酒類総合研究所提供)酵素液を用いた。リパーゼ活性は基質としてパラニトロフェニルラウレートを用いて測定した。ここで、リパーゼ活性の1Uとは1μmol/minのパラニトロフェノールをパラニトロフェニルラウレートから遊離させた時の酵素量で定義される。
【0023】
(ガラス転移温度の測定)
ガラス転移温度(Tg)はセイコーインスツルメント株式会社製DSC6220(示差走査熱量測定)を用いて行った。測定条件は窒素雰囲気下、10℃/分の昇温速度で0〜200℃まで測定した。サンプルは後述するフィルムとし、試料量5〜10mgとした。
【0024】
(HPLCの測定条件)
HPLCシステムにはJASCO製GULLIVER seriesを使用した。分析条件は、カラムはWaters製Atlantis dC18 5μm、4.6×250mmを40℃に保ったカラムオーブン内で用い、0.5%リン酸とアセトニトリルで流速1mL/分となるように図1のとおりグラジエントをかけ、それを移動相としてサンプルを50μl注入した。検出には210nmのUV吸収を用い、標準サンプルとしてL−乳酸(和光純薬工業社製)を精製したものを用いた。
【0025】
(ポリオキサレート(PEOx)の合成)
マントルヒーター、攪拌装置、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLのセパラブルフラスコにシュウ酸ジメチル354g(3.0mol)、エチレングリコール223.5g(3.6mol)、テトラブチルチタネート0.30gを入れ窒素気流下フラスコ内温度を110℃からメタノールを留去しながら170℃まで加熱し、9時間反応させた。最終的に210mlのメタノールを留去した。その後内温150℃で0.1〜0.5mmHgの減圧下で1時間攪拌し、内温170℃〜190℃で7時間反応後、粘度が上がり取り出した。
GPC測定により、重量平均分子量 (Mw)は30000であった。GPCには、東ソー株式会社製を用い、カラムとしてHFIP−605を用いた。カラムオーブンの温度を40℃とし、溶離液としてHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)を用い、流速を0.5ml/分とした。また、サンプル注入量は15μlとした。スタンダードはHFIPにポリメチルメタクリレートを溶解させ用いた。サンプル調整はHFIPを溶媒として濃度2mg/mlとし、フィルターろ過したものを用いた。
【0026】
(ポリオキサレート(PEOx10)の合成)
シュウ酸ジメチル354g(3.0mol)の代わりにシュウ酸ジメチル106.8g(0.9mol)及びテレフタル酸ジメチル19.4g(0.1mol)を用いた以外は、上記PEOxの合成と同様の方法で合成した。
GPC測定により、重量平均分子量 (Mw)は10000であった。GPCには、東ソー株式会社製HLC−8120を用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−H×2及びガードカラムとしてTSKguard column SuperH−Hを用いた。カラムオーブンの温度を40℃とし、溶離液としてクロロホルムを用い、流速を0.5ml/minとした。また、サンプル注入量は15μlとした。スタンダードはクロロホルムにポリスチレンを溶解させたものを用いた。サンプル調整はクロロホルムを溶媒として濃度5mg/mlとし、フィルターろ過したものを用いた。
【0027】
(ポリオキサレート(PEOx20)の合成)
シュウ酸ジメチル354g(3.0mol)の代わりにシュウ酸ジメチル94.5g(0.8mol)及びテレフタル酸ジメチル38.8g(0.2mol)を用いた以外は、上記PEOxの合成と同様の方法で合成した。
GPC測定により、重量平均分子量 (Mw)は20000であった。GPCには、東ソー株式会社製HLC−8120を用い、カラムとしてTSKgel SuperHM−H×2及びガードカラムとしてTSKguard column SuperH−Hを用いた。カラムオーブンの温度を40℃とし、溶離液としてクロロホルムを用い、流速を0.5ml/minとした。また、サンプル注入量は15μlとした。スタンダードはクロロホルムにポリスチレンを溶解させたものを用いた。サンプル調整はクロロホルムを溶媒として濃度5mg/mlとし、フィルターろ過したものを用いた。
【0028】
(フィルムの作製方法)
合成で得られた上記3種のポリオキサレートをそれぞれペレット化し、200℃で5分間融解後、40kgf/cm2の圧力で加熱加圧(ホットプレス)し、生分解性樹脂フィルムを作製した。
【0029】
【表1】

【0030】
(ポリオキサレート単体フィルムの加水分解試験と酵素分解試験)
(実験例1)
加水分解試験
PEOxフィルムを1cm×1cmに切り出し(重量10mg)、25mlバイアル瓶に投入し、該バイアル瓶にpH7の60mmol/lのリン酸緩衝液を10ml加えた。反応温度4℃及び30℃では静置で行い、反応温度37℃及び45℃では100rpmで振とうさせて行い、1日後にフィルムを取り出した。フィルムを取り出した残液はHPLCを用いて溶出シュウ酸量を定量した。
【0031】
酵素分解試験
PEOxフィルムを1cm×1cmに切り出し(重量10mg)、25mlバイアル瓶に投入し、該バイアル瓶にpH7の60mmol/lのリン酸緩衝液を10ml及びCLE酵素液を48μl加えた。反応温度37℃及び45℃で、100rpmで振とうさせて行い、1日後にフィルムを取り出した。フィルムを取り出した残液はHPLCを用いて溶出シュウ酸量を定量した。
【0032】
(実験例2)
PEOxフィルムに代えてPEOx10フィルムを用いた以外は、実験例1と同様に行った。
【0033】
(実験例3)
PEOxフィルムに代えてPEOx20フィルムを用いた以外は、実験例1と同様に行った。
結果を以下表2にまとめる。また、シュウ酸溶出量の加水分解結果を図2に示す。これらの結果から、PEOx10及びPEOx20はPEOxに比べ4℃〜45℃の範囲において安定であることがわかった。
溶出されるシュウ酸は0.005g/ml濃度でpH1.6であり、PEOx、PEOx10及びPEOx20は水溶液中で加水分解によりシュウ酸、またはシュウ酸オリゴマーを溶出する。
なお、酵素分解性は、37℃と45℃の試験において少なくとも一方の温度条件で酵素分解時のシュウ酸溶出量が加水分解時のシュウ酸溶出量より多い場合に○とし、そうでない場合を×としている。
【0034】
【表2】

【0035】
(実施例1)
ポリ乳酸(Natureworks社製4032D)に対してPEOx10を5wt.%ドライブレンドし、超小型混練機(東洋精機株式会社製)で成形温度200℃及びスクリュー回転速度50rpmにて混練し、ペレットを作製した。該ペレットを200℃で5分間融解後、40−50kgf/cm2の圧力で加熱加圧(ホットプレス)し、生分解性樹脂フィルムを作製した。
25mlのバイアル瓶にpH7とした60mMリン酸緩衝液10ml及びCLE酵素液48μlを添加し、分解液とした。該分解液に2cm×2cm(重量60mg)に切り出したPEOx10を5wt.%含有するポリ乳酸フィルムを浸し、45℃100rpmで7日間振とうさせた。なおpHの極度な低下を避けるため、7日間を2日、2日、3日に分け、分解液を交換した。
【0036】
(実施例2)
PEOx10に代えてPEOx20を用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0037】
(比較例1)
PEOx10に代えてPEOxを用いた以外は、実施例1と同様に行った。
【0038】
(比較例2)
PEOx10を含有させなかった以外は、実施例1と同様に行った。
【0039】
(分解率)
分解率は、生分解性樹脂フィルムの初期重量を測定し、1週間分解させた生分解性樹脂フィルムの重量を測定し、下記の式にて算出した。
((生分解性樹脂フィルムの初期重量−分解後のフィルムの重量)/生分解性樹脂フィルムの初期重量)×100=分解率(%)
【0040】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】HPLCの測定条件を示すグラフである。
【図2】シュウ酸溶出量の加水分解結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される構造単位と、下記式(2)で示される構造単位が50:50〜99:1のモル比で配列した重量平均分子量が3000〜1000000のポリオキサレート。
【化1】

【化2】

(式中、Rは芳香族環炭化水素及び脂環炭化水素からなる群より選ばれるものから誘導される2価の基を表す。)
【請求項2】
Rがp−フェニレン基である、請求項1記載のポリオキサレート。
【請求項3】
37℃における酵素分解によるシュウ酸溶出量が加水分解速度によるシュウ酸溶出量より大である請求項1または2記載のポリオキサレート。
【請求項4】
ガラス転移温度が40℃以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオキサレート。
【請求項5】
生分解性樹脂中に0.1〜20wt.%の請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオキサレートを含有する生分解性樹脂組成物。
【請求項6】
生分解性樹脂がポリ乳酸である、請求項5記載の生分解性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項5又は6記載の生分解性樹脂組成物を含む生分解性容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−116482(P2010−116482A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290601(P2008−290601)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】