説明

ポリオキシアルキレン系重合体組成物およびその製造方法

【課題】洗剤用途に用いられた場合に従来より一層改善された石灰石鹸の分散性を有する重合体組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
重合開始剤の存在下で、ポリオキシアルキレン系化合物および酸基含有不飽和単量体を重合して得られる重合体を含む重合体組成物であって、該ポリオキシアルキレン系化合物は、1)炭素‐炭素二重結合含有基と、2)ポリアルキレングリコール鎖と、3)下記一般式(1)〜(4)のいずれかの基、を有し、重合時の溶媒の使用量はポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満である、重合体組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレン系重合体組成物およびその製造方法に関する。より詳細には、無溶媒または少量の溶媒存在下で重合したポリオキシアルキレン系重合体組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料類に用いられる洗剤には、洗剤の洗浄効果を向上させることを目的として、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの洗剤ビルダー(洗剤助剤)を配合することが行われている。
【0003】
また、上記の各種洗剤ビルダーに加えて、近年では、重合体が洗剤ビルダーとして洗剤組成物に配合されている。
【0004】
例えば、鎖中および/または末端にグリシジルエーテルに由来する疎水性部分を有し、重合性二重結合がイソプレノール、アリルアルコール、またはメタリルアルコールに由来するポリアルキレングリコール系単量体に由来する単量体単位を有し、かつカルボン酸基および/またはスルホン酸基を有するポリアルキレングリコール系重合体を洗剤ビルダーとして用いることが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1は、上記重合体が、界面活性剤の析出を抑制する性能および/または洗濯時に汚れによる再汚染を抑制する性能(再汚染防止能という)を有することを開示している。
【0005】
ここで、近年の消費者の環境問題への意識の高まりより、消費者が風呂の残り湯を洗濯に使用することにより節水を図る等の新たな洗濯のスタイルが定着しつつある。それに伴い、洗剤ビルダーに対する要求性能も変化しつつある。
すなわち、残り湯は、体や顔を洗う時等に混入する石鹸を含むこととなる。石鹸は、水道水等に含まれるカルシウムと結合し、所謂、石灰石鹸を生成し、これらが繊維等に沈着することにより、繊維が黄変したり、不快臭の原因となる。また、洗濯機内への石灰石鹸の沈着は、配管のつまりの原因になるとの問題がある。
従来より、石灰石鹸の分散剤が提案されているが、ある程度の改善は認められるものの、十分満足できる結果は得られていない(特許文献3〜6)。
更に、洗剤組成物のコンパクト化の要求から、1成分に複数の要求性能を兼ね備えさせたり、なるべく少量で性能を発現する洗剤添加剤の要求も高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2007/037469号パンフレット
【特許文献2】特開平5−117697号公報
【特許文献3】特開平11−511780号公報
【特許文献4】特開2002−201498号公報
【特許文献5】特開2002−201498号公報
【特許文献6】特開平1−185398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来、様々な洗剤組成物が報告されているにもかかわらず、残り湯で洗濯する場合等の厳しい洗濯条件下においても衣料などの汚れ、特に石灰石鹸を良好に分散し、石灰石鹸の繊維への沈着による洗濯物の黄変を抑制する洗剤に対する要望は、依然として強い。しかしながら、上記性能を十分満足する洗剤は存在しないのが実情である。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、石灰石鹸の良好な分散性を示し、洗剤組成物に好ましく添加することができるポリアルキレングリコール系共重合体を提供することを目的とするものである。
本発明の他の目的は、このようなポリアルキレングリコール系共重合体を効率よく製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、本発明者らは、特定の重合条件で、特定のポリオキシアルキレン系化合物と、酸基含有単量体とを重合させると、得られた重合体組成物の石灰石鹸の良好な分散性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる重合体組成物は、重合開始剤の存在下で、ポリオキシアルキレン系化合物および酸基含有不飽和単量体を重合して得られる重合体を含む重合体組成物であって、
前記ポリオキシアルキレン系化合物は、
1)炭素‐炭素二重結合含有基と、
2)ポリアルキレングリコール鎖と、
3)下記一般式(1)〜(5)のいずれかの基、
を有し、
重合時の溶媒の使用量はポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満である、重合体組成物である。
【0010】
【化1】

【0011】

上記一般式(1)において、Rは炭素数8〜20のアルキレン基または炭素数6〜20の芳香族基、上記一般式(2)〜(5)において、Rは炭素数6〜20のアリール基または炭素数8〜20のアルキル基または炭素数8〜20のアルケニル基である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のポリアルキレングリコール系共重合体は、優れた石灰石鹸の分散性能を示すことから、洗剤ビルダーとして使用した場合に、洗濯物に石灰石鹸が繊維等に沈着することにより、繊維が黄変したり、不快臭の原因となることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明の重合体組成物は、特定の重合条件で、特定のポリオキシアルキレン系化合物および酸基含有不飽和単量体を重合して得られる重合体を含む重合体組成物である。
【0015】
[ポリオキシアルキレン系化合物]
本発明のポリオキシアルキレン系化合物は、
1)炭素‐炭素二重結合含有基と、
2)ポリアルキレングリコール鎖と、
3)下記一般式(1)〜(5)のいずれかの基、
を有することを特徴としている。
【0016】
本発明のポリオキシアルキレン系化合物の有する、炭素‐炭素二重結合含有基としては、炭素‐炭素二重結合を有する基であれば良いが、好ましくは、下記一般式(7)または下記一般式(8)で表される基である。更に好ましくは、下記一般式(8)で表される基である。
【0017】
【化2】

【0018】

上記一般式(7)〜(8)において、R3はH、炭素数1〜2のアルキル基、R4は単結合、炭素数1〜7のアルキレン基である。
本発明のポリオキシアルキレン系化合物の有する炭素‐炭素二重結合は、ポリオキシアルキレン系化合物1モルあたり2モル未満であることが好ましい。より好ましくは1.5モル未満であり、更に好ましくは、1.2モル未満である。上記範囲内であれば、ポリオキシアルキレン系重合体の石灰石鹸の分散性が向上する傾向にある。
【0019】
本発明のポリオキシアルキレン系化合物1モルあたりのオキシアルキレン基由来の構造の含有量(オキシアルキレン基の付加モル数)は10〜100モルである。ポリオキシアルキレン系化合物1モルあたりのオキシアルキレン基由来の構造の含有量が上記範囲内であれば、石灰石鹸の分散性が向上するため好ましい。好ましくは、ポリオキシアルキレン系化合物が、オキシアルキレン基由来の構造を10〜80有するポリアルキレングリコール鎖を1または2つ有することが好ましく、1つ有することが更に好ましい。
【0020】
上記オキシアルキレン基としては、炭素数は、2〜20であり、好ましくは2〜15であり、より好ましくは2〜10であり、さらに好ましくは2〜5であり、特に好ましくは2〜3であり、最も好ましくは2である。オキシアルキレン基としては、例えば、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、イソブチレンオキサイド、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、オクチレンオキサイド、スチレンオキサイド、1,1−ジフェニルエチレンオキサイド等の化合物由来の基が例示されうる。なかでも、オキシアルキレン基は、EOまたはPO由来の基(すなわち、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基)であることが好ましく、オキシエチレン基であることがより好ましい。なお、オキシアルキレン基としては、1種のみが単独で存在してもよいし、2種以上が混在していてもよい。
【0021】
本発明のポリオキシアルキレン系化合物の有するポリアルキレングリコール鎖(オキシアルキレン基により形成される基)は、オキシエチレン基(−O−CH−CH−)を主体とするものであることが好ましい。この場合、「オキシエチレン基を主体とする」とは、オキシアルキレン基が単量体中に2種以上存在する場合に、全オキシアルキレン基の存在数において、オキシエチレン基がその大半を占めるものであることを意味する。これにより、製造時の重合がスムーズに進行し、かつ、水溶性や石灰石鹸の分散性が向上するという優れた効果が得られる。
【0022】
本発明のポリオキシアルキレン系化合物の有するポリアルキレングリコール鎖において、「オキシエチレン基を主体とする」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%であることが好ましい。オキシエチレン基の含量が50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下する虞がある。より好ましくは、60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは90モル%以上である。
【0023】
本発明のポリオキシアルキレン系化合物は、下記一般式(1)〜(5)のいずれかの基を有することを特徴としている。
【0024】
【化3】

【0025】

上記一般式(1)において、Rは炭素数8〜20のアルキレン基または炭素数6〜20の芳香族基、上記一般式(2)〜(5)において、Rは炭素数6〜20のアリール基または炭素数8〜20のアルキル基または炭素数8〜20のアルケニル基である。
【0026】
上記一般式(1)〜(5)におけるアルキレン基、アルキル基またはアルケニル基は、直鎖であっても、分岐であってもよい。この際、RまたはRの有する炭素数は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは10〜20であり、さらに好ましくは11〜18であり、特に好ましくは12〜14である。RまたはRの有する炭素数が下限値未満であると、石灰石鹸との相互作用が弱くなり、その分散性が低下する虞がある。一方、RまたはRの有する炭素数が20以下であれば、粘度が適度であり、重合を行うことが容易になる傾向にある。
ここで、一般式(1)〜(5)の−O−基は、上記ポリアルキレングリコール鎖の一部であることがある。
【0027】
上記一般式(1)における−R−基、すなわち、炭素数8〜20のアルキレン基または炭素数6〜20の芳香族基として、以下の化合物が例示される。
【0028】
【化4】

【0029】

上記一般式(2)〜(5)における、炭素数8〜20のアルキル基としては、例えば、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびイコシル基などが挙げられる。
【0030】
また、上記一般式(2)〜(5)における、炭素数8以上のアルケニル基としては、例えば、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基およびイコシレン基などが挙げられる。なかでも、Rは、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基であることが好ましく、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基であることがより好ましい。
【0031】
上記一般式(2)〜(5)における、炭素数8以上のアリール基としては、フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、トリチル基およびピレニル基などが挙げられる。なかでも、フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、ナフチル基であることが好ましく、フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基であることがより好ましい。
【0032】
上記一般式(1)を有する化合物としては、アリルアルコールや、イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、アルキレンオキシドを付加した化合物に、ジカルボン酸の無水物などのポリカルボン酸類またはその無水物を付加した化合物が挙げられる。
【0033】
上記一般式(2)を有する化合物としては、アリルアルコールや、イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、エチレンオキシドを付加した化合物に、炭素数22以下のアルキレンオキシドを付加した化合物等が挙げられる。
【0034】
上記一般式(3)を有する化合物としては、1)アリルアルコールや、イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、エチレンオキシドを付加した化合物に、ハロゲン化アルキルを付加した化合物、2)(メタ)アリルクロライドにアルコキシPEG(ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル)等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを付加した化合物、3)アリルグリシジルエーテル等炭素‐炭素二重結合を有するエポキシ化合物に、アルコキシPEG(ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル)等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを付加した化合物(好ましくは下記一般式(9)で表される化合物)が挙げられる。
【0035】
【化5】

【0036】

上記一般式(9)において、Rは炭素数6〜20のアリール基、炭素数8〜20のアルキル基、炭素数8〜20のアルケニル基、R3はH、炭素数1〜2のアルキル基、R4は単結合、炭素数1〜7のアルキレン基である。上記一般式(9)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基由来の構造を表し、好ましくは上記「ポリアルキレングリコール鎖」の記載の通りである。pは10〜100である。
【0037】
上記一般式(4)を有する化合物としては、アリルアルコールや、イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、アルキレンオキシドを付加した化合物に、1)無水酢酸等の酸無水物、2)酸クロライド、3)カルボン酸を付加した化合物が挙げられる。カルボン酸を付加(エステル化)する場合は、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で反応することが好ましい。
【0038】
上記一般式(5)を有する化合物としては、アリルアルコールや、イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、アルキレンオキシドを付加した化合物に、炭素数8〜20のアルキル基を有するアルキルグリシジルエーテル等を付加した化合物等が挙げられる。
【0039】
ポリオキシアルキレン系化合物が上記一般式(1)〜(5)のいずれかの基を有することにより、バルク重合等、高濃度で重合したときであっても、重合中に酸基含有不飽和単量体とポリオキシアルキレン系化合物がエステル化することを抑制する為、i)所望の重合体を得ることが可能となるのに加え、ii)重合中の粘度上昇が抑えられる、iii)重合後に水分により、長期に亘り徐々にエステル結合が加水分解して、重合体の性能等が経時的に低下することが抑制されると言う効果を奏する。
【0040】
上記ポリオキシアルキレン系化合物は、商品が市販されている場合には当該商品を購入したものであってもよいし、自ら調製したものであってもよい。ポリオキシアルキレン系化合物の有するポリアルキレングリコール鎖を自ら調製する手法としては、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合などの手法を用いて、水酸基、アミノ基などに、上述したアルキレンオキサイドを付加する手法が挙げられる。
【0041】
[酸基含有不飽和単量体]
本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、上述したポリオキシアルキレン系化合物(ポリオキシアルキレン系単量体とも言う)と酸基含有不飽和単量体を重合することにより得られるものである。
【0042】
酸基含有不飽和単量体は、酸基を有する単量体である。ここで、酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。かような酸基含有不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸などのカルボキシル基を有する単量体;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシ−1−プロパンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−ブテンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸などのホスホン酸基を有する単量体等が例示される。なかでも、重合性が高く、弱酸性で取扱いが簡便であるという観点からは、酸基含有不飽和単量体は、カルボキシル基を有するものであることが好ましく、(メタ)アクリル酸、マレイン酸であることがより好ましく、アクリル酸、マレイン酸であることがさらに好ましく、アクリル酸であることが特に好ましい。これらの酸基含有不飽和単量体は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
なお、酸基含有不飽和単量体、ポリオキシアルキレン系化合物に加えて、当該酸基含有不飽和単量体またはポリオキシアルキレン系化合物と共重合可能な他の単量体が含まれてもよい。他の単量体としては、特に制限はないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化により得られるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン、スチレンスルホン酸等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール:ビニルピロリドン等のその他官能基含有単量体類;等が挙げられる。これらの他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
なお、ポリオキシアルキレン系化合物、酸基含有不飽和単量体および他の単量体全体に占める酸基含有不飽和単量体の割合は特に制限されないが、本発明の作用効果を十分に発揮させるという観点から、単量体成分の全量(ポリオキシアルキレン系化合物と酸基含有不飽和単量体と他の単量体の合計量)に対する酸基含有不飽和単量体の割合は、好ましくは5〜35質量%であり、より好ましくは6〜30質量%であり、さらに好ましくは7〜25質量%であり、最も好ましくは8〜20質量%である。
【0045】
なお、本発明において、単量体成分の全量に対する酸基含有不飽和単量体の割合を計算するときは、対応する酸換算として計算するものとする。例えば、アクリル酸ナトリウムであれば、対応する酸であるアクリル酸として質量割合(質量%)の計算をする。同様に後述する他の単量体を使用する場合において、他の単量体がアミノ基等の中和可能な基を有している場合未中和型として、単量体成分の全量に対する割合を計算するものとする。例えば、他の単量体としてビニルアミンの塩酸塩を使用する場合、対応するアミン(未中和型)のビニルアミンとして質量計算をする。
【0046】
[ポリオキシアルキレン系重合体]
上述したように、本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、上述したポリオキシアルキレン系化合物(ポリオキシアルキレン系単量体とも言う)と酸基含有不飽和単量体を重合することにより得られるものである。
また、本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、重合時の溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることを特徴としている。より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下であり、最も好ましくは実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、重合時に積極的に溶媒を添加しない形態を意味し、不純物程度の溶媒の混入は許容されうることを意味する。該範囲で重合することにより、得られる重合体の石灰石鹸の分散性が向上する。好ましくは重合時に使用する溶剤の使用量をなるべく低く設定することが好ましく、可能であれば無溶媒(バルク重合)にすることが更に好ましい。開始剤等の添加物が固形状の場合には、ポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満の溶剤を使用することが好ましい。溶剤を使用する場合の溶剤の使用の形態としては、予め系内に溶剤を仕込む形態、開始剤などを溶解し、重合中に添加する形態が挙げられる。上述の通り、開始剤などの添加物が固形状の場合には、開始剤などを溶解し、重合中に添加する形態が好ましい。
【0047】
上述の通り、本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、重合時の溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることを特徴としているが、これは、重合中の全ての時間帯において、溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることを意味しない。すなわち、重合中に溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満である時間帯が存在すれば良い。しかしながら、酸基含有不飽和単量体を重合中に添加して重合をする場合は、好ましくは、酸基含有不飽和単量体の添加時間の50%以上の時間帯において、更に好ましくは80%以上の時間帯において、最も好ましくは酸基含有不飽和単量体の添加時間の全時間帯において、溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることが好ましい。
また、酸基含有不飽和単量体を予め一括添加して、重合開始剤を重合中に添加して重合を行なう場合は、好ましくは、重合開始剤の添加時間の50%以上の時間帯において、更に好ましくは80%以上の時間帯において、最も好ましくは酸基含有不飽和単量体の添加時間の全時間帯において、溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることが好ましい。
また、酸基含有不飽和単量体及び重合開始剤を予め一括添加して重合を行なう場合は、酸基含有不飽和単量体の減少が始まり、残存する酸基含有不飽和単量体の濃度変化が無くなるまで、または残存する酸基含有不飽和単量体が検出されなくなるまでの全時間のうち、50%以上の時間帯において、更に好ましくは80%以上の時間帯において、最も好ましくは全時間帯において、溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満であることが好ましい。
後述するように、好ましくは、酸基含有不飽和単量体および重合開始剤の少なくとも一部は、重合中に連続的、または段階的に添加することが好ましい。
重合時の溶媒の使用量がポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部以上であると、得られる重合体の石灰石鹸の分散性が低下する傾向にある。
特に、水を溶剤として使用する場合は、重合時の発泡や増粘が激しくなり、均一な重合が困難になる虞がある為、添加量は極力低く設定することが好ましい。
【0048】
使用可能な溶剤としては、水、或いは公知な有機溶剤が使用可能であるが、単量体成分の溶媒への連鎖移動定数が小さいものや、常圧下で使用可能な沸点70℃以上のもの等が好ましい。このような溶媒としては、例えば、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール類;エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等のジエーテル類;酢酸、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルの酢酸エステル等の酢酸系化合物;等が挙げられる。これらの溶媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。上記アルコール類およびジエーテル類中のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
【0049】
重合開始剤としては、得られる重合体の石灰石鹸の分散性が向上する傾向にあることから、アゾ化合物または有機過酸化物を用いることが好ましい。ここで、「アゾ化合物または有機過酸化物」とは、アゾ化合物または有機過酸化物の少なくとも一方を意味する。すなわち、重合開始剤は、アゾ化合物および有機過酸化物のうち、いずれか一方を使用しても両方を使用してもよい。
【0050】
重合開始剤として使用可能なアゾ化合物としては、例えば、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などが挙げられる。これらのアゾ化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのアゾ化合物のうち、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)が特に好適である。
【0051】
重合開始剤として使用可能な有機過酸化物としては、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,1’−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチレンシクロヘキサン、1,3−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、n−ブチル4、4’−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレエートなどが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機過酸化物のうち、t−ブチルパーオキシベンゾエート(PBZと略す)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(PBIと略す)、n−ブチル4、4’−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレエート(PHVと略す)が好適である。
【0052】
重合反応における重合開始剤の使用量は、単量体成分の使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、単量体100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、20質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上、15質量部以下、さらに好ましくは1質量部以上、10質量部以下である。重合反応を行う際には、重合開始剤の他に、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤などを用いることができる。
【0053】
その他、本発明のポリオキシアルキレン系重合体を得る為の好ましい方法としては、[製造方法]で記載する通りである。
【0054】
本発明のポリオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量は、洗剤ビルダー等としての所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量は、具体的には、好ましくは300〜100000であり、より好ましくは500〜50000であり、さらに好ましくは1000〜30000である。この重量平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この重量平均分子量の値が小さすぎると、石灰石鹸の分散性が低下し、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されなくなる虞がある。なお、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0055】
また、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量は、洗剤ビルダー等としての所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量は、具体的には、好ましくは300〜50000であり、より好ましくは400〜25000であり、さらに好ましくは500〜15000である。この数平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この数平均分子量の値が小さすぎると、石灰石鹸の分散性が低下し、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されなくなる虞がある。なお、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0056】
[重合体組成物]
本発明の重合体組成物中には、ポリオキシアルキレン系重合体が必須に含まれる。この他、未反応のポリオキシアルキレン系化合物、未反応の酸基含有不飽和単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物、酸基含有不飽和単量体からなる重合体等が含まれうる。
【0057】
本発明の重合体組成物中に存在する未反応のポリオキシアルキレン系化合物の含有量は、重合体組成物の固形分100質量%に対して30質量%未満が好ましい。より好ましくは20質量%未満である。重合体組成物中に存在する酸基含有不飽和単量体からなる重合体の含有量は、重合体組成物の固形分100質量%に対して2質量%未満が好ましい。より好ましくは1質量%未満である。酸基含有不飽和単量体の含有量(酸基含有不飽和単量体同士の重合体を構成する単量体も含む)は、重合体組成物の固形分100質量%に対して、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下であり、最も好ましくは0質量ppmである。
【0058】
なお、本発明の重合体組成物は、特に制限されるものではないが、生産効率性の観点から、好ましくは、不純物除去などの精製工程を経ずに得られる。さらに、重合工程の後に、得られた重合組成物を、取り扱いの便のため、少量の水にて希釈(得られた混合物に対して1〜400質量%程度)したものも本願でいう重合体組成物に含まれる。
【0059】
[製造方法]
本発明のポリオキシアルキレン系重合体は、[ポリオキシアルキレン系重合体]の箇所で記載した方法により好ましく製造される。本発明の製造方法に採用し得る、その他の条件に関して、以下詳述する。
【0060】
本発明の製造方法は、塊状重合(バルク重合)に関する従来公知の知見が適宜参照され、さらに必要に応じて改良されうる。
【0061】
重合の際には、上述した重合開始剤に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
また、還元性化合物としては、例えば、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン等の金属イオンを発生できる無機化合物;三フッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸等の無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸エステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換体、パラトルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸の同族体等の硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホエチルエステル等のメルカプト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド類;アスコルビン酸等が挙げられる。これらの還元性化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。メルカプト化合物等の還元性化合物は、連鎖移動剤として添加してもよい。
【0063】
重合の際の温度は、開始剤としてアゾ化合物を使用する場合は、好ましくは40℃以上120℃以下であり、より好ましくは60〜110℃であり、さらに好ましくは80〜100℃である。重合の際の温度は、開始剤として有機過酸化物を使用する場合は、好ましくは100℃以上200℃以下であり、より好ましくは110〜180℃であり、さらに好ましくは120〜150℃、最も好ましくは130〜140℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなり、重合体の石灰石鹸の分散性が向上する傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
【0064】
重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜240分である。なお、本発明において、「重合時間」とは単量体を添加している時間を表す。
【0065】
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
【0066】
重合の際には、ポリオキシアルキレン系化合物の一部または全部を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始するとよい。例えば、ポリオキシアルキレン系化合物の全量を反応系に仕込み、反応系を昇温させた後、単量体成分および重合開始剤を別々に添加して、重合反応を進行させる形態が例示される。かような形態によれば、得られる重合体の分子量が容易に調整されうるため、好ましい。なお、重合は、回分式で行われてもよいし、連続式で行われてもよい。
【0067】
本発明の重合体組成物は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
【0068】
<水処理剤>
本発明の重合体組成物は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
【0069】
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
【0070】
<繊維処理剤>
本発明の重合体組成物は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体組成物を含む。
【0071】
上記繊維処理剤における本発明の重合体組成物の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0072】
以下に、より実施形態に近い、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
【0073】
本発明の重合体組成物と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明の重合体組成物1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部の割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
【0074】
上記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0075】
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明の重合体組成物と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明の重合体組成物と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
<無機顔料分散剤>
本発明の重合体組成物は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
【0076】
上記無機顔料分散剤中における、本発明の重合体組成物の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100重量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0077】
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
【0078】
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
【0079】
<洗剤組成物>
本発明の重合体組成物は、洗剤組成物にも添加しうる。
【0080】
本発明の重合体組成物は、上述したポリオキシアルキレン系重合体を含むが、洗剤組成物における当該ポリオキシアルキレン系重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、ポリオキシアルキレン系重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
【0081】
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
【0082】
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
【0083】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0084】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0085】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0086】
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
【0087】
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
【0088】
上記洗剤組成物は、本発明の重合体組成物に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
【0089】
上記添加剤と他の洗剤用ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、さらに好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、50質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
【0090】
なお、上記洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
【0091】
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、さらに好ましくは0.5〜65質量%であり、さらにより好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
【0092】
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、さらに好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
【0093】
また、本発明の重合体組成物を洗剤ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは400mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/L以下であり、最も好ましくは100mg/L以下である。カオリン濁度の値としては、以下の手法により測定される値を採用するものとする。
【0094】
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
【0095】
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
【0096】
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
【0097】
上記洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水(例えば、100mg/L以上)の地域中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。この効果は、洗剤組成物が、LASのようなアニオン界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
【実施例】
【0098】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0099】
また、本発明のポリオキシアルキレン系重合体の重量平均分子量、数平均分子量、析出抑制能、未反応ポリオキシアルキレン化合物の定量、化合物1〜3の定量ならびに重合体組成物および重合体水溶液の固形分量は、下記の方法に従って測定した。
<重量平均分子量および数平均分子量の測定条件(GPC)>
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ,GF−710−HQ,GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYETHYLENGLYCOL STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<未反応ポリオキシアルキレン化合物の定量方法>
重合体組成物中の未反応のポリオキシアルキレン化合物の定量は、以下の条件の高速クロマトグラフィーで行った。
高速液体クロマトグラフィー
測定装置:東ソー株式会社製 8020シリーズ
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C1 UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液
(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI、UV(検出波長215nm)
<重合体組成物の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
【0100】
<重合体組成物中の酸基含有不飽和単量体(アクリル酸)量の測定>
アクリル酸含有量の測定は、下記表1の条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 SHODEX RSpak DE−413
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min
<重合体収率(ポリマー収率ともいう)の測定>
重合体組成物(固形分換算)中の共重合体の含有量(質量%)=重合体収率とした。すなわち、重合体組成物の固形分の質量に対する、重合体組成物に含まれる共重合体の質量の割合であり、以下の式で算出する。
重合体組成物(固形分換算)中の共重合体の含有量(質量%)=
100(質量%)−(重合体組成物中の未反応ポリオキシアルキレン化合物含有量(質量%)+重合体組成物中の固形物中の酸基含有不飽和単量体含有量(質量%)+酸基含有不飽和単量体のみの重合体(質量%))
なお、酸基含有不飽和単量体のみの重合体は、下記条件のキャピラリー電気泳動測定により定量した。
<電気泳動測定条件>
装置名:Photal OTSUKA ELECTRONICS CAPI−3300
CAPILLARY ELECTROPHORESIS SYSTEM
カラム:大塚電子株式会社 GLキャピラリー管75μ×50cm
電圧:15kV
展開溶媒:50mmol/L 4−ホウ酸ナトリウム水溶液
泳動時間:30分
検出:UV210nm
<重合体組成物の透明性の評価>
重合体組成物を25℃において、目視で透明性を確認する。濁りや層分離の無いものを○、濁りまたは層分離のあるものを×とした。
【0101】
<石灰石鹸の分散性(石灰石鹸の分散能)の評価方法>
(1)1%ポリマー水溶液:1.5gと、1%オレイン酸ナトリウム水溶液:7.5gに純水を加えて79.5gとした。
(2)ここに、6%塩化カルシウム/塩化マグネシウム(Ca:Mg=3:2mol比)水溶液(炭酸カルシウム換算)を0.5ml添加して、30秒間攪拌した。
(3)光度電極により、水溶液の透過率を測定した。測定には、平沼産業製自動滴定装置(本体:COM−550、光度測定ユニット:M−500)を用いた。
【0102】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例1>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール2320(株式会社日本乳化剤製;C12−13アルコールのエチレンオキサイド20モル付加物)425.6gと、水酸化カリウム(以下、「KOH」とも称する。)35.3gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、60℃まで降温し、塩化メタリル(以下、「MLC」とも称する。)54.0gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、純水50.0gを加え、1時間反応させた後、硫酸で中性とした。室温まで冷却後、この水溶液を1000mlのナスフラスコへ移し、ロータリーエバポレーターで脱溶媒した。ここにエタノールを加え、析出してきた塩を濾過により取り除いた。この一連の脱塩操作を3回繰り返し、完全に脱溶媒して単量体1を得た。
【0103】
<実施例1>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体199.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%アクリル酸(以下、「AA」とも称する。)11.0g、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(以下、「PBZ」とも称する。)527μL(0.55g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水27.6gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量7600、固形分濃度(質量)80.2%の水溶液を得た(重合体組成物1)。
【0104】
<実施例2>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体199.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%AA17.6g、重合開始剤としてPBZ844μL(0.88g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水29.5gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量10000、固形分濃度(質量)80.5%の水溶液を得た(重合体組成物2)。
【0105】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例2>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、イソプレノールのエチレンオキサイド50モル付加物(以下、「IPN50」とも称する。)228.6g、ラウリン酸20.0gと、パラトルエンスルホン酸(以下、「PTS」とも称する。)2.5gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、脱水エステル化を行い、単量体2を得た。
【0106】
<実施例3>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体299.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%AA11.0g、重合開始剤としてPBZ527μL(0.55g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水27.6gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量9800、固形分濃度(質量)80.6%の水溶液を得た(重合体組成物3)。
【0107】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例3>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、IPN50 823.0gと、KOH9.1gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、ラウリルグリシジルエーテル(以下、「LGE」とも称する。)87.1gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸9.6gを添加してKOHを中和し、単量体3を得た。
【0108】
<実施例4>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体399.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%AA11.0g、重合開始剤としてPBZ527μL(0.55g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水27.6gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量11000、固形分濃度(質量)80.5%の水溶液を得た(重合体組成物4)。
【0109】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例4>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、IPN50 685.8gと、KOH 7.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(以下、「EHGE」とも称する。)83.7gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸8.4gを添加してKOHを中和し、単量体4を得た。
【0110】
<実施例5>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体499.0gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%AA11.0g、重合開始剤としてPBZ527μL(0.55g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水27.6gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量12000、固形分濃度(質量)80.3%の水溶液を得た(重合体組成物5)。
【0111】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例5>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、イソプレノールのエチレンオキサイド25モル付加物(以下、「IPN25」とも称する。) 415.1gと、KOH 7.5gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、LGE87.5gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸8.0gを添加してKOHを中和し、単量体5を得た。
【0112】
<実施例6>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体5 99.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、135℃まで昇温し、100%AA17.6g、重合開始剤としてPBZ844μL(0.88g、AAに対する質量比5.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、PBZは210分間、AAはPBZ滴下開始20分後より210分間とした。また、各液の滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに70分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水29.5gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量3500、固形分濃度(質量)80.5%の水溶液を得た(重合体組成物6)。
【0113】
<実施例7>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体5 99.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、マレイン酸(以下、「MA」とも称する。)17.6gを一括添加し、135℃まで昇温し、ここに重合開始剤としてPBZ844μL(0.88g、MAに対する質量比5.0質量%)を滴下した。滴下時間は210分間とした。また、滴下速度は一定とし、連続的に行った。
PBZの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を135℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水29.5gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量2800、固形分濃度(質量)80.1%の水溶液を得た(重合体組成物7)。
【0114】
<実施例8>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体192.7gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA10.3g、重合開始剤としてジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(以下、「V601」とも称する。)の60%イソプロパノール溶液1.72g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量8600、固形分濃度(質量)80.5%の水溶液を得た(重合体組成物8)。
【0115】
<実施例9>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体287.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA15.5g、重合開始剤としてV601の60%イソプロパノール溶液2.58g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量15000、固形分濃度(質量)80.4%の水溶液を得た(重合体組成物9)。
【0116】
<実施例10>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体387.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA15.5g、重合開始剤としてV601の60%イソプロパノール溶液2.58g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量14000、固形分濃度(質量)80.6%の水溶液を得た(重合体組成物10)。
【0117】
<実施例11>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体487.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA15.5g、重合開始剤としてV601の60%イソプロパノール溶液2.58g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量14000、固形分濃度(質量)80.3%の水溶液を得た(重合体組成物11)。
【0118】
<実施例12>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体587.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA15.5g、重合開始剤としてV601の60%イソプロパノール溶液2.58g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量14000、固形分濃度(質量)80.5%の水溶液を得た(重合体組成物12)。
【0119】
<ポリオキシアルキレン系化合物の合成例6>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール2320 532.0gと、KOH 3.1gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、アリルグリシジルエーテル(以下、「AGE」とも称する。)85.5gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸3.3gを添加してKOHを中和し、単量体6を得た。
【0120】
<実施例13>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体6 87.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、100%AA15.5g、重合開始剤としてV601の60%イソプロパノール溶液2.58g(AAに対する質量比10.0質量%)を、それぞれ別々のノズルより滴下した。各液の滴下時間は、V601は220分間、AAはV601滴下開始5分後より210分間とした。また、滴下速度は一定とし、各液の滴下は連続的に行った。
AAの滴下終了後、さらに60分間、上記反応液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷しながら、純水25.4gを加え、重合反応液を希釈した。
このようにして、重量平均分子量19000、固形分濃度(質量)80.3%の水溶液を得た(重合体組成物13)。
【0121】
<比較例1>
還流冷却管、攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体5 61.2g、純水40.8gと、モール塩0.0041gを仕込み、攪拌下90℃に昇温した後、80%AA 13.5g、15%NaPS8.5g、35%SBS2.5g、純水21.8gをそれぞれ別の滴下口より滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAが180分間、48%NaOHが180分間、15%NaPSが210分間、35%SBSが175分間、純水が180分間とした。なお、滴下開始はすべて同時とした。80%AA滴下終了までの間、温度は90℃を維持した。
さらに同温度を80%AA滴下終了後30分間にわたって維持して熟成を行い重合を完結した。重合の完結後、反応溶液を放冷してから、48%NaOH11.3g、純水33.3gを加えて中和した。このようにして、重量平均分子量4500、固形分濃度(質量)41.3%の水溶液を得た(比較重合体組成物1)。
重合途中に増粘、発泡が激しくなった。比較重合体組成物1(固形分換算)には残存した単量体5が65%含まれていた。
【0122】
<実施例14>
次に、実施例および比較例の重合体組成物の、石灰石鹸の分散性を上記評価方法に従って評価した。結果は以下の表1の通りである。
【0123】
【表1】

【0124】

表1に示す結果から、本発明の重合体組成物は、従来の重合体組成物と比較して、優れた石灰石鹸の分散性を有していることが示される。
従って、本発明の重合体組成物を洗剤ビルダーとして用いると、風呂の残り湯を用いて洗濯しても石灰石鹸の洗濯物への沈着をが効果的に防止されうることが期待される。
【0125】
また、本発明の重合体組成物は、従来の重合体組成物と比較して、優れた透明性を有している。これは、従来と比較して均一な重合体が得られていることに起因しているものと推察できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始剤の存在下で、ポリオキシアルキレン系化合物および酸基含有不飽和単量体を重合して得られる重合体を含む重合体組成物であって、
前記ポリオキシアルキレン系化合物は、
1)炭素‐炭素二重結合含有基と、
2)ポリアルキレングリコール鎖と、
3)下記一般式(1)〜(5)のいずれかの基、
を有し、
重合時の溶媒の使用量はポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満である、重合体組成物。
【化1】


上記一般式(1)において、Rは炭素数8〜20のアルキレン基または炭素数6〜20の芳香族基、上記一般式(2)〜(5)において、Rは炭素数6〜20のアリール基または炭素数8〜20のアルキル基または炭素数8〜20のアルケニル基である。
【請求項2】
重合開始剤の存在下で、ポリオキシアルキレン系化合物および酸基含有不飽和単量体を重合するポリオキシアルキレン系重合体の製造方法であって、
前記ポリオキシアルキレン系化合物は、
1)炭素‐炭素二重結合含有基と、
2)ポリアルキレングリコール鎖と、
3)下記一般式(1)〜(5)のいずれかの基、
を有し、
重合時の溶媒の使用量はポリオキシアルキレン系化合物100部に対し10部未満である、ポリオキシアルキレン系重合体の製造方法。
【化2】


上記一般式(1)において、Rは炭素数8〜20のアルキレン基または炭素数6〜20の芳香族基、上記一般式(2)〜(5)において、Rは炭素数6〜20のアリール基または炭素数8〜20のアルキル基または炭素数8〜20のアルケニル基である。

【公開番号】特開2010−77428(P2010−77428A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201184(P2009−201184)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】