説明

ポリオキシメチレン成形材料、成形品及びそれらの使用

【課題】ポリオキシメチレン成形材料、成形品及びそれらの使用の提供。
【解決手段】a)末端基の少なくとも50%がヒドロキシル基であるポリオキシメチレンであって、
190℃及び2.16kgにおける、ISO 1133に従って測定されたメルトボリュームレート(MVR)が、20cm3/10分未満であり、10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量の構成成分の割合が、ポリオキシメチレンの総量に基づき、15質量%未満であるところのポリオキシメチレン、及び
b)熱可塑性エラストマー
を含む成形材料及びそれらから製造される成形品が記載される。
これらの成形材料から製造される成形品は、非常に高い切り欠き衝撃強度により区別される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、あらゆる種類の成形品の製造のための、射出成形、ブロー成形及び押出のための成形材料としての、新規なポリオキシメチレン成形材料、それらから製造される成形品及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオキシメチレン(以下で“POM”としても言及される)は、剛性及び強度のような、良好な機械特性を有する高性能のポリマーである。しかし、その高い極性及び結晶化度のせいで、POMは、他のポリマーと不適合であるか、または、部分的にのみ適合する傾向にある。更に、POM中に機能性コモノマーを添加することは例外的な場合にのみ可能なものである。
【0003】
グラフトポリマーを製造するための及びそれにより官能化されたPOMを使用するための試みは既に存在している。
よって、欧州特許出願公開第397492号明細書、欧州特許出願公開第398585号明細書及び欧州特許出願公開第397494号明細書は、トリオキサンとトリメチロールプロパン(エステル)のホルマールとの、トリオキサンとグリセリルホルマール(エステル)のα,α−及びα,β−異性体との、或いは、トリオキサンと1,2,6−ヘキサントリオール(エステル)のホルマールとの共重合により製造される、官能化されたポリオキシメチレンを記載する。
【0004】
欧州特許出願公開第400827号明細書は、官能化されたPOM及びアミノ基で官能化されたポリマーから誘導されるグラフトポリマーを開示する。官能化されたPOMは、アクリレート基又はアクリレートエステル基を有し、アミノ基で官能化されたポリマーは、マイケル付加により、官能化されたPOMに結合される。これらのグラフトポリマーは、とりわけ、POMとアミノ基で官能化されたポリマーに類似するポリマー間の相仲介物質(phase mediators)としての使用のために提案されている。これらのアプローチの欠点は、反応が溶液中でのみ可能なことである。
【0005】
欧州特許出願公開第397493号明細書は、ヒドロキシル基で官能化されたPOM、ジイソシアネート及び、ヒドロキシル基、アミノ基又はカルボキシル基で官能化されたポリマーから誘導されたグラフトポリマーを開示する。後者は、ジイソシアネートの結合により官能化されたPOMに結合する。これらのグラフトポリマーは、とりわけ、POMと他の好適なポリマー間の相仲介物質としての使用のために提案される。該文献は、官能化されたPOMに対する結合又は衝撃改質剤の、相仲介物質のその場調製を伴う反応押出に関して何らの示唆も提示していない。
【0006】
POMの衝撃強度が衝撃改質剤の使用により影響され得ることもまた、既に、長期に亘って既知であった。これらの例は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(以下、“TPE−U”とも呼ばれる)、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン コア−シェルエラストマー、メチルメタクリレート/アクリレート コア−シェルエラストマー、ポリカーボネート、スチレン/アクリロニトリル コポリマー又はアクリレート/スチレン/アクリロニトリル コポリマー化合物である。
そのような添加物を含む、衝撃改質されたPOM成形材料は、例えば、欧州特許出願公開第115846号明細書及び欧州特許出願公開第156285号明細書中に開示されている。
【0007】
国際公開第2006/105918号パンフレットは、ポリオキシメチレン、活性水素原子を有する熱可塑性エラストマー、活性水素原子を含む更なるポリオキシメチレン及び最後に言及した成分の共有結合のための試剤を含有する組成物を記載する。これらの衝撃改質されたPOM組成物は、強靭性、破断点伸び及び継ぎ目強度の改善された組み合わせにより区別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第397492号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第398585号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第397494号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第400827号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第397493号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第115846号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第156285号明細書
【特許文献8】国際公開第2006/105918号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この先行技術から開始し、本発明の目的は、極端に高い切り欠き衝撃強度により区別される、衝撃改質されたPOM組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今や、驚くべきことに、100kJ/m2を超える、極端に高い切り欠き衝撃強度を有する成形品を得るために処理され得る成形材料が、以下で規定される成分を用いることにより得られることが見出された。
未処理のPOM組成物の慣用の成形品は、典型的には、約10ないし15kJ/m2の切り欠き衝撃強度を有する試験は、衝撃改質されたPOMにおける低分子量の構成成分の含有量及び成形材料におけるその粘度が、達成される切り欠き衝撃強度において、非常に大きな影響力を有することを示した。
【0011】
本発明は、
a)末端基の少なくとも50%がヒドロキシル基であるポリオキシメチレンであって、
190℃及び2.16kgにおける、ISO 1133に従って測定されたメルトボリュームレート(MVR)が、20cm3/10分未満であり、10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量の構成成分の割合が、ポリオキシメチレンの総量に基づき、15質量%未満であるところのポリオキシメチレン、及び
b)熱可塑性エラストマー
を含む成形材料に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に従う成形材料の成分a)は、末端ヒドロキシル基を高含量で有し、低分子量の構成成分を含まないか又はそれをごく一部のみ含む、ポリオキシメチレンのホモポリマー又はコポリマーである。
成分a)のポリオキシメチレンは、末端ヒドロキシル基、例えば、ヒドロキシエチレン基を有し、及び/又は、ポリオキシメチレンは、ヒドロキシル側基を有する。
【0013】
末端ヒドロキシル基及び/又はヒドロキシル側基(同様に、“末端ヒドロキシル基”として一緒に言及される)の含有量は、全ての末端基に基づき、典型的には少なくとも50%であり、好ましくは少なくとも70%である。この記載にのっとって、用語“全ての末
端基”は、全ての末端基及び、−もし存在するならば−全ての側末端基を意味するものと理解されるべきである。
【0014】
末端ヒドロキシル基に加えて、成分a)のPOMはまた、これらのポリマーにとって普通である他の末端基も有し得る。これらの例としては、アルコキシ基、ホルメート基、アセテート基又はアルデヒド基である。
成分a)のポリオキシメチレンは、末端ヒドロキシル基及び/又はヒドロキシル側基で官能化された、式−O−CH2−で表される繰り返し構造単位を有するホモポリマー又はコポリマーである。これらのPOMの種類は、任意の成分d)のPOMとして更に以下に記載されるPOMの種類から、OH官能化により誘導され得る。
【0015】
成分a)のPOMポリマーは、一般に、20cm3/10分未満の、好ましくは、10cm3/10分未満の、特には、0.5ないし5cm3/10分の、及び、非常に特に好ましくは、0.2ないし1.9cm3/10分(各場合において、190℃及び2.16kg荷重で、ISO 1133に従って測定された)のメルトボリュームレート(MVR)を有する。従って、それらは比較的高い粘性のポリマーである。
【0016】
成分a)として使用される該POMの種類の実質的な特徴は、低分子量構成成分の低い含有量であるが、低分子量構成成分とは、10000ダルトン未満の分子量を有するポリマーである。
これらの低分子量構成成分の割合は、成分a)の総量に基づき、多くても15質量%、好ましくは0ないし10質量%、及び、特に好ましくは、0ないし5質量%である。
【0017】
成分a)のPOMの製造は、分子量調節剤としてエチレングリコールの存在下、トリオキサン又はトリオキサンとジオキソランの混合物のような、ポリオキシメチレン−形成モノマーの重合により、実行することができる。重合は、沈殿重合として、又は特に、溶融重合において行われ得る。使用され得る開始剤は、それ自体が既知の化合物、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸であり、これらは好ましくは、エチレングリコールの溶液として、モノマーに添加される。
重合の進行及び停止並びに得られた生成物の完成作業は、それ自体既知の方法に従って行い得る。重合の期間や分子量調節剤の量のような重合パラメーターの好適な選択により、結果として得られるポリマーの分子量及びそれによるMVR値が調節され得る。この点における選択の基準は、当業者にとって既知である。
【0018】
重合のための上述の手順は、一般に、低分子量構成成分を比較的少ない割合で有するポリマーを導く。
もしも低分子量構成成分の含有量における更なる減少が望まれるか又は要求されたとしたら、これは塩基性のプロトン性溶媒での処理後、不安定な画分を不活性化及び分解した後に、ポリマーの低分子量画分を分離することによって可能となる。
これは、安定化されたポリマーの溶液からの分別沈殿であり得るが、異なる分子量分布のポリマー画分が得られる。
【0019】
本発明に従う組成物は、成分b)として、好ましくは活性水素原子を有する熱可塑性エラストマーを含む。
これらの熱可塑性エラストマーは、選択された加工条件下で、成分a)及び成分c)として任意に使用されるカップリング剤のヒドロキシル基に共有結合を形成することができるものを意味するものと解される。
【0020】
熱可塑性エラストマーの例は、ポリエステルエラストマー(TPE−E)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPE−A)及び、特に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(
TPE−U)である。これらの熱可塑性エラストマーは、カップリング剤c)と反応し得る、活性水素原子を有する。そのような基の例は、ウレタン基、アミド基、アミノ基又はヒドロキシル基、例えば、イソシアネート基と反応し得る水素原子を有する熱可塑性ポリウレタンエラストマーの末端ポリエステルジオールの柔軟な部分である。
【0021】
特に好ましく使用される成分b)は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE−E)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPE−A)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPE−U)又はこれらの複数の熱可塑性エラストマーの組み合わせである。
【0022】
カップリング剤c)の存在は、必須なものではないが、それにより成形品の切り欠き衝撃強度を更に増強し得るため、好ましい。
成分a)及びb)間の橋架け基の形成のために、第一に、成分a)のヒドロキシル基と、及び第二に、成分b)の活性水素原子と共有結合を形成することができる、多官能性の、好ましくは3官能性の又は、特に、2官能性のカップリング剤c)を、非常に広い範囲に亘って使用することが可能である。
【0023】
成分c)は、好ましくは、ジイソシアネート、好ましくは、脂肪族ジイソシアネート、環式脂肪族ジイソシアネート及び/又は芳香族ジイソシアネートである。
成分c)はまた、適切な場合、ポリマーと一緒になる混合物として、オリゴマー、好ましくは、トリマー又は、特にダイマーの形態で使用され得る。
【0024】
ジイソシアネートの例は、トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4´−ジイソシアネート又は4,4´−ジイソシアナトジフェニルメタンのような芳香族ジイソシアネート;或いは、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートのような(環式)脂肪族ジイソシアネートである。
【0025】
成分a)、b)及び任意のc)に加えて、本発明に従う成形材料はまた、成分d)として、慣用のオキシメチレンホモポリマー及び/又はオキシメチレンコポリマーも任意に含み得る。これらは、活性水素原子を含む成分a)のPOMの種類とは異なる。
【0026】
例えば、独国特許出願公開第2947490号明細書中に記載されるように、ポリオキシメチレンは、通常、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%でオキシメチレン単位(−CH2−O−)を含む、一般的に非分岐の線状ポリマーである。用語“ポリオキシメチレン”は、ホルムアルデヒド又はその環状オリゴマー、例えば、トリオキサン又はテトロキサンのホモポリマー、及び対応するコポリマーの両方を含む。
そのようなPOMホモポリマー又はコポリマーは、当業者にとって、それ自体が既知であり、それらは該文献中に記載されている。
【0027】
本発明に従う成形材料又は成形品は、所望により、既知の添加剤で安定化及び/又は改質され得る。任意の成分e)として使用される、そのような安定剤及び加工助剤は、当業者に既知である。
安定剤は、例えば、抗酸化剤、酸捕捉剤、ホルムアルデヒド捕捉剤、UV安定剤又は熱安定剤である。加えて、成形材料又は成形品は、加工助剤、例えば、接着促進剤、滑剤、核形成剤、離型剤、充填材、補強剤又は帯電防止剤、及び、染料及び/又は顔料及び/又は更なる衝撃改質剤及び/又は電気伝導性を付与する添加剤のような、成形材料又は成形品に所望の性質を付与する添加剤;及びこれらの添加剤の混合物であるが、該範囲は前記の例に限定されるものでない。
【0028】
本発明に従う成形材料又は成形品における成分a)の含有量は、少なくとも30質量%、好ましくは、30ないし95質量%である。
本発明に従う成形材料又は成形品における成分b)の含有量は、少なくとも5質量%、好ましくは、5ないし50質量%、特には、15ないし40質量%である。
本発明に従う成形材料又は成形品における成分c)の含有量は、0ないし10質量%、好ましくは、0ないし5質量%、特には、0.1ないし2質量%である。
本発明に従う成形材料又は成形品における成分d)の含有量は、0ないし65質量%、好ましくは、0ないし50質量%である。
本発明に従う成形材料又は成形品における成分e)の含有量は、0ないし10質量%、好ましくは、0ないし5質量%である。
成分a)ないしe)のために提示された含有量は、成形材料又は成形品の総量に基づくものである。
【0029】
本発明に従う成形材料は、成分a)及びb)並びに任意に存在する成分c)、d)及び/又はe)を混合することにより製造され得る。
反応性成分a)、b)及びc)の反応は、任意の成分d)及び/又はe)の添加
とは別に行うことができる。成分a)、b)及びc)の反応生成物の製造はまた、複数の工程、例えば、成分a)とc)との反応と該反応生成物と成分b)との反応が、続けて行われることにより行うこともできる。
【0030】
好ましくは、組成物の全ての成分は、互いに混合され、その後、融液中、例えば、押出機中で反応される。
該成分の反応は、典型的には、100ないし240℃、好ましくは、150ないし220℃の温度で行われ、反応継続時間は、典型的には、0.5ないし60分である。
【0031】
カップリング剤c)の割合は、広範な範囲内で選択し得る。好ましくは、カップリング剤は、活性水素原子を含むポリオキシメチレンの、例えば、ヒドロキシル基の形態の活性水素原子のモル当りの多官能性カップリング剤が、0.2ないし2.0モル、好ましくは、0.5ないし2.0モルとなる量で使用される。
【0032】
本発明に従う成形材料の更なる加工は、微粉化した、例えば、粉末又は粒状の成分を混合し、その後、熱可塑性加工を行うか、又は、この目的のために好適な、加熱可能な混合ユニット中で、成分を混合することにより行うことができる。好適な混合ユニット及び混合加工は、例えば:Saechtling,Kunststoff−Taschenbuch[Plastics Handbook],Hanser Verlag,第27版、1998年、202ないし217頁に記載されるが、これは参照としてここに組み込まれる。
【0033】
本発明に従う成形材料は、あらゆる種類の造形品、特に、自動車産業で使用される造形品のために使用され得る。
【0034】
これらは、例えば、自動車内部にて使用される造形品であり得、好ましくはケーブルハーネスを固定するためのクリップとして、内部部品、例えば、エアバックを固定する固定ホルダー又は固定レールとして、そして、ラウドスピーカーグリル、ベルト解放ボタン又はキャップとして使用される造形品であり得る。
【0035】
それらはまた、自動車の外装品、好ましくは、アンテナソケット又はフロントガラスワイパーキャップ上で使用される造形品でもあり得る。
【0036】
本発明に従う成形材料は、あらゆる所望の成形加工により、好ましくは射出成形により、加工され得る。
本発明はまた、上述の目的のための成形材料の使用にも関する。
【実施例】
【0037】
以下に示す実施例は、本発明を該実施例に限定することなく説明する。提示された量は、特に指定のない限り、常に質量を表す。
末端ヒドロキシル基で末端化されたポリオキシメチレンの一般的製造方法
トリオキサン及びジオキソランは、モノマーラインにおいて所望の混合比で、別々の計量ポンプを介して混合した。使用した開始剤は、トリフルオロメタンスルホン酸であるが、それはエチレングリコール中に溶解されて、モノマー混合物中へ計量された。更に、エチレングリコールは、モノマーストリーム中へ分子量調節剤として、所望のMVRを達成するために計量された。モノマーストリーム及び開始剤ストリームは、予備混合領域における反応器入口で混合され、変換平衡に到達した後、反応はトリエチルアミンでクエンチされた。その後、不安定な鎖末端は、加水分解領域において分解された。反応器から排出された後、生成物は、通気式押出機において、残余のモノマーが実質的に除かれた。向流抽出に続き、得られたポリマーが乾燥された。
【0038】
以下に示す成分が、実施した実験において使用された:
POM−0: MVR 7.0cm3/10分;
低分子量を有する成分の割合:4−5質量%;
末端OH基の割合:6−8mmol/kg
POM−1: MVR 2.0cm3/10分;
低分子量を有する成分の割合:0質量%;
末端OH基の割合:20−25mmol/kg
POM−2: MVR 8.0cm3/10分;
低分子量を有する成分の割合:0質量%;
末端OH基の割合:20−25mmol/kg
POM−3: MVR 9.6cm3/10分;
低分子量を有する成分の割合:8−9質量%;
末端OH基の割合:25−30mmol/kg
TPE−U: 熱可塑性ポリウレタン顆粒,
硬度 80−85ショアA(DIN 53505),
MFR 210℃,10kgで、30−80g/10分
(ISO 1133)
カップリング剤A:トルエンジイソシアネートダイマー(TDIダイマー),
濃度20−30質量%の濃縮物
カップリング剤B:メチレンジフェニル4,4´−ジイソシアネート(MDI);
濃度18−25質量%の濃縮物
カップリング剤C:メチレンジフェニル4,4´−ジイソシアネート(MDI);
濃度12−20質量%の濃縮物
カップリング剤D:メチレンジフェニル4,4´−ジイソシアネート(MDI);
97−99質量%
【0039】
全ての成分は、最初にビンダー(Binder)社製の真空オーブン中、約70℃で乾燥され、その後、ディルクウントセーネ(Dirk und Sohne)社製の混合機(モデル ディオズナ(Diosna)R 10 A)中で混合された。配合のために、ベルストルフ(Berstorff)社製の押出機(モデル ZE 25)が使用された(ゾーン温度 190℃、溶融温度 約210℃)。反応押出の間に、成分の効果的な徹底した混合が起こるように、ニーディング部材を有するスクリュー形態が選択された。
【0040】
製造された化合物の検査は、以下の規格に従って行われた:
−MVR(190℃、2.16kg):ISO 1133
−シャルピー切り欠き衝撃強度:ISO 179−1/1eA(CNI)
結果は、以下の表中に列記した。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)末端基の少なくとも50%がヒドロキシル基であるポリオキシメチレンであって、
190℃及び2.16kgにおける、ISO 1133に従って測定されたメルトボリュームレート(MVR)が、20cm3/10分未満であり、10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量の構成成分の割合が、ポリオキシメチレンの総量に基づき、15質量%未満であるところのポリオキシメチレン、及び
b)熱可塑性エラストマー
を含む成形材料。
【請求項2】
前記ポリオキシメチレンが10未満の、特に、0.5ないし5cm3/10分の、及び、より特に好ましくは、0.2ないし1.9cm3/10分のメルトボリュームレート(MVR)を有する請求項1記載の成形材料。
【請求項3】
前記熱可塑性エラストマーの割合が、前記成形材料の質量に基づき、少なくとも5質量%、特に、15ないし50質量%である、請求項1及び2の何れかに記載の成形材料。
【請求項4】
成分a)が、末端基の総数に基づき、末端ヒドロキシアルキレン基、好ましくはヒドロキシエチレン基を、少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%有する、ポリオキシメチレンのホモポリマー又はコポリマーである請求項1ないし3の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項5】
前記ポリオキシメチレンは、10,000ダルトン未満の分子量を有する低分子量の構成成分の割合が、ポリオキシメチレンの総量に基づき、0ないし10質量%、好ましくは、0ないし5質量%である、請求項1ないし4の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマーは、活性水素原子を有し、成分a)及びb)の共有結合のための基を含む成分c)が少なくとも1種存在する請求項1ないし5の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項7】
成分c)がジイソシアネート、好ましくは、脂肪族ジイソシアネート、環式脂肪族ジイソシアネート及び/又は芳香族ジイソシアネートである請求項6記載の成形材料。
【請求項8】
成分b)は、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPE−E)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPE−A)及び/又は、特に、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPE−U)である請求項1ないし6の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項9】
更に、成分d)として、成分a)とは異なる、オキシメチレンホモポリマー及び/又はオキシメチレンコポリマーを含む請求項1ないし8の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項10】
更に、成分e)として、安定剤及び加工助剤を含む請求項1ないし9の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項11】
成分a)、b)、c)、d)及びe)の合計に基づいて、
成分a)の量が、30ないし95質量%、
成分b)の量が、5ないし50質量%、
成分c)の量が、0ないし10質量%、
成分d)の量が、0ないし65質量%、及び
成分e)の量が、0ないし10質量%
である請求項1ないし10の何れか1項に記載の成形材料。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか1項に記載の成形材料を成形することにより得られる造形品。
【請求項13】
自動車産業において使用される造形品の製造のための、請求項1ないし11の何れか1項に記載の成形材料の使用。
【請求項14】
前記造形品は自動車内部にて使用され、好ましくはケーブルハーネスを固定するためのクリップとして、内部部品、特に、エアバッグを固定する固定ホルダ
ー又は固定レールとして、そしてラウドスピーカーグリル、ベルト解放ボタン又はキャップとして使用される請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記造形品が自動車の外装品、好ましくは、アンテナソケット又はフロントガラスワイパーキャップ上で使用される請求項13記載の使用。

【公表番号】特表2011−516704(P2011−516704A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504366(P2011−504366)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002714
【国際公開番号】WO2009/127387
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(505110619)ティコナ ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】