説明

ポリオレフィン微多孔膜

ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であって、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下であり、かつ膜全体におけるポリエチレンの含有率が50重量%以上95重量%以下であるポリオレフィン微多孔膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はポリオレフィン微多孔膜、特にリチウムイオン電池用セパレータに好適なポリオレフィン微多孔膜に関する。
【背景技術】
ポリオレフィン微多孔膜は、精密濾過膜、電池用セパレータ、コンデンサー用セパレータ、燃料電池用材料などに使用されており、特にリチウムイオン電池用セパレータとして使用されている。
近年、リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの小型電子機器用途として使用されている一方で、電気自動車、小型バイクなどへの応用も図られている。その用途に用いられるリチウムイオン電池は、大型でかつ高エネルギー容量となるため、更に高い安全性が必要となってくる。それに伴い、例えば電池の異常発熱を想定した高温時にも安全性を保ち、並びに高温での特性を維持することができるリチウムイオン電池用セパレータが求められている。
従来から、リチウムイオン電池用セパレータには、ポリエチレン微多孔膜が使用されている。ポリエチレンが使用されるのは、透過性に優れているとともに、電池の安全性確保のために、130℃から150℃でポリマーを溶融させて連通孔を閉塞し、電流をシャットダウンするのに適しているからである。シャットダウン(又はシャットダウン温度)とは、微多孔膜の孔が溶融した樹脂によって閉塞され、膜の電気抵抗が増大することにより、リチウムイオンの流れを遮断する現象(又はその現象が起きる温度)である。微多孔膜を電池セパレータとして使用する場合、シャットダウン温度ができるだけ低いことが望ましい。
更にセパレータの機能として、孔閉塞後もフィルム形状を維持し、電極間の絶縁を保持する必要もある。そのためショート温度が高いことが望ましい。ショート温度とはセパレータがシャットダウンした後、更に温度が上がった場合に、電気抵抗が低下し、電流が復帰する温度である。しかしながら、従来のポリエチレンセパレータは結晶融解後、強度が急激に低下するため、ショート温度が低い傾向にあり、電池の安全性を維持することが困難な場合がある。そのため、高温時の膜強度の向上が課題となる。
従来から、ポリエチレンセパレータの高温時の膜強度を高くする試みとして、ポリエチレン微多孔膜とポリプロピレン微多孔膜を積層する試みが多数行われている。
後述の特許文献1には、ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含む積層膜について開示されている。この特許では、シャットダウン温度を、多孔質フィルムの延伸方向の長さが一定になるように2辺を固定し、所定の温度で15分間維持して、室温にて電気抵抗を測定することにより求めているが、実際の電池において異常時の発熱による温度上昇は非常に速い。そのため電池セパレータとして用いた場合、膜全体におけるポリエチレンの含有率が2重量%以上40重量%以下であるため、孔の閉塞が遅くなり、シャットダウン温度が十分低いとは言えないものであった。また低温領域での一軸延伸を行う延伸開孔法によって作製された微多孔膜であるため、延伸方向に裂けやすく、特に大型のリチウムイオン電池では生産性が低下し、実用上好ましくない。
後述の特許文献2には、融点が158℃以上のポリオレフィン系多孔質層と融点が110℃から150℃のポリオレフィン系多孔質層を積層したセパレータが開示されている。この特許は、融点が158℃以上のポリオレフィン系多孔質層を構成するポリオレフィンが、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1及びこれらの共重合体若しくはブレンド物であるため高耐熱性を達成している。しかしながら、この層の透過性を向上させると、膜強度が十分ではなかった。
後述の特許文献3には、ポリエチレンとポリプロピレンとをブレンドした微多孔膜を積層したセパレータが開示されている。この文献の膜は、各々のポリマーの微多孔膜を配置した後、融点以下の温度で加熱することにより作製しているため、特に薄膜を作製する場合には各微多孔膜を薄く作製する必要があり、膜破断などが多発する恐れがある。また別々に製膜するため生産性が悪く、コストも高くなる。中間層もポリエチレンとポリプロピレンとをブレンドした微多孔膜であるため、透過性を向上させることが困難で、シャットダウン温度も十分とはいえない。
シャットダウン温度を低くする試みとして、後述の特許文献4には、ポリエチレンとポリプロピレンを必須成分とする微多孔膜とポリエチレン微多孔膜とを積層一体化したポリオレフィン製微多孔膜が開示されている。この文献の膜は低シャットダウン温度と常温での高強度化を両立させ、しかも透過性に優れている。しかしながら、ポリエチレンとポリプロピレンを必須成分とする微多孔膜におけるポリプロピレン含量が低いために、ショート温度、高温時の膜強度が不十分で、高温保存特性も劣るものであった。
【特許文献1】 特許第3352801号公報
【特許文献2】 特許第2625798号公報
【特許文献3】 特開平9−259857号公報(USP5,856,039)
【特許文献4】 特開2002−321323号公報
【発明の開示】
本発明の目的は、ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜において、透過性に優れ、シャットダウン温度が低く、ショート温度が高く、高温時の膜強度も高く、電池に用いたときに高温保存特性にも優れ、安全性に優れたリチウムイオン電池用セパレータに好適なポリオレフィン微多孔膜を提供することである。
本発明者らは、ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜について鋭意研究を重ねた結果、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレン混合比率と膜全体におけるポリエチレンの含有率などを検討することにより、上記課題を解決することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であって、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下であり、かつ膜全体におけるポリエチレンの含有率が50重量%以上95重量%以下であるポリオレフィン微多孔膜、
(2)前記積層フィルムの少なくとも一層はポリエチレン単層膜である上記(1)記載のポリオレフィン微多孔膜、
(3)前記積層フィルムが三層である上記(1)又は(2)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(4)前記積層フィルムの各層が三次元網目構造をとる上記(1)又は(2)又は(3)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(5)ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合が、全体の膜厚の1.5%以上35%以下である上記(1)又は(2)又は(3)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(6)平均孔径が0.02μm以上1μm以下である上記(1)又は(2)又は(3)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(7)高速昇温時のシャットダウン温度が150℃未満、高速昇温時のショート温度が190℃以上である上記(1)又は(2)又は(3)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(8)高温突刺強度が0.005N/μm以上である上記(1)又は(2)又は(3)に記載のポリオレフィン微多孔膜、
(9)ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であって、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下であり、かつ膜全体におけるポリエチレンの含有率が50重量%以上95重量%以下であるポリオレフィン微多孔膜を含んでなるリチウムイオン電池用セパレータ、
(10)前記積層フィルムの少なくとも一層はポリエチレン単層膜である上記(9)記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(11)前記積層フィルムが三層である上記(9)又は(10)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(12)前記積層フィルムの各層が三次元網目構造をとる上記(9)、(10)又は(11)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(13)ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合が、全体の膜厚の1.5%以上35%以下である上記(9)又は(10)又は(11)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(14)前記ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が0.02μm以上1μm以下である上記(9)又は(10)又は(11)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(15)前記ポリオレフィン微多孔膜の、高速昇温時のシャットダウン温度が150℃未満、高速昇温時のショート温度が190℃以上である上記(9)又は(10)又は(11)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(16)前記ポリオレフィン微多孔膜の高温突刺強度が0.005N/μm以上である上記(9)又は(10)又は(11)に記載のリチウムイオン電池用セパレータ、
(17)黒色化度が5%以下のポリオレフィン微多孔膜を含んでなる、リチウムイオン電池用セパレータ、
に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は高速昇温時のシャットダウン温度の測定装置を示す概略図である。
図2は高速昇温時のシャットダウン温度及びショート温度の測定に用いる、テフロンテープでマスキングしたニッケル箔Aの平面図である。
図3は実施例2における細孔直径分布測定の結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明のポリオレフィン微多孔膜、及びその製造方法を説明する。
本発明は二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であるが、好ましくは三層であり、生産性の観点から、表面層の二層が同一で、中間層が異なる二種三層構造がより好ましい。ここで、積層フィルムとは、ラミネート法、共押出法等によりフィルム状の微多孔膜が積層されたものをいう。層間接着強度、透過性、生産性の観点から、共押出法が好ましい。
少なくとも片側の表面層とは、三層以上の場合は表面の片側一層又は表面の両側二層のことであり、二層の場合はいずれか一方の層のことである。
少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率は、透過性を高くし、高温時の膜強度を高くし、高温保存特性に優れ、生産性を向上させるために、50重量%を超え95重量%以下であることが必要である。好ましくは、55重量%を超え95重量%以下、更に好ましくは、60重量%以上90重量%以下である。ポリプロピレンの混合比率が50重量%以下では十分な高温時の膜強度が得られず、高速昇温時のショート温度が大幅に低下し、また高温保存特性も悪くなる。ポリプロピレンの混合比率が95重量%を超えると透過性が低く、シャットダウン温度も高くなり、また成膜が安定せず生産性も悪かった。またこの層は高温保存特性を向上させるために、電池セパレータとして電池に組み込む場合、正極と対向させることが好ましい。そのため少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率は上記(1)の範囲に調節することが必要である。
このとき使用するポリプロピレンとしては、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーが挙げられ、一種類又は二種類以上を混合して使用することができる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系の触媒やメタロセン系の触媒などが挙げられる。また立体規則性にも特に制限はなく、アイソタクチックやシンジオタクチックやアタクチックを使用することができる。
混合するポリエチレンとしては、高密度、中密度又は低密度ポリエチレンが挙げられ、一種類又は二種類以上を混合して使用できる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。押出成形の観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。
膜全体におけるポリエチレンの含有率は、透過性を高くし、シャットダウン温度を低くするために、50重量%以上95重量%以下が好ましく、より好ましくは60重量%以上90重量%以下である。
また透過性を低くし、シャットダウン温度を低くするためには、少なくとも一層はポリエチレン単層膜であることが好ましい。ポリエチレン単層膜というのは、使用するポリオレフィンがポリエチレンのみである微多孔膜を意味する。このとき使用するポリエチレンとしては、高密度、中密度又は低密度ポリエチレンが挙げられ、一種類又は二種類以上を混合して使用できる。また重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などが挙げられる。膜強度の観点から、高密度ポリエチレンが好ましい。また本発明の効果を損なわない範囲で、異種ポリマーを混合することも可能である。また、膜強度と高透過性を両立させる観点から、粘度平均分子量は10万以上400万以下が好ましく、より好ましくは20万以上300万以下である。
更に本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリプロピレンには酸化防止剤、核剤などの添加剤を適量添加してもよい。
このように表層のポリプロプレンを高濃度で有し、かつ膜全体のポリエチレンの含有率を高くすることにより、透過性に優れ、シャットダウン温度が低く、ショート温度が高く、高温時の膜強度が高く、電池に用いたときに高温保存特性にも優れた微多孔膜を作製することが可能になった。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、例えばポリオレフィンと可塑剤を溶融混練、押出成形し、延伸、可塑剤の抽出、熱処理を行うことによって製造される。
溶融混練は、例えばヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダーなどでポリオレフィンを混合後、一軸押出機や二軸押出機などを用いる方法が挙げられる。溶融混練の温度は160℃以上300℃以下が好ましい。ポリオレフィンと可塑剤との混練は、上記ヘンシェルミキサーなどで原料ポリマーと混合してスラリー状又は溶融状態でホッパーに供給してもよく、溶融混練時にホッパーに原料ポリマーを供給し、押出機の途中から可塑剤をフィードしてもよい。
可塑剤は、ポリエチレン及びポリプロピレンと混合した際に、その融点以上において相溶することのできる有機化合物が望ましい。このような可塑剤として、例えば流動パラフィンやパラフィンワックスなどの炭化水素類、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレートなどのフタル酸エステル類が挙げられる。溶融混練される可塑剤の全混合物中に占める割合は、20重量%以上80重量%以下が好ましい。
押出成形は、スリットダイやTダイなどのシートダイから押出しキャストロールなどで冷却する方法や、インフレーション法により行い、これによりゲルシートを得る。各層を構成するゲルシートは、それぞれの押出機から得られた各々のゲルシートを一体化させて一つのダイで押出する共押出法、ゲルシートをそれぞれ押出して、それらを重ね合わせて熱融着する方法のいずれでも作製できる。共押出法が高い層間接着強度を得やすく、層間に連通孔を形成しやすいため高透過性を維持しやすく、生産性にも優れているため好ましい。
延伸としては、例えば一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられ、好ましくは同時二軸延伸、逐次二軸延伸である。延伸温度は、好ましくは100℃以上から135℃以下である。延伸倍率は、好ましくは面積倍率で3倍以上から200倍以下である。膜強度の観点で延伸倍率は3倍以上から200倍以下が好ましい。
可塑剤の抽出は膜を抽出溶媒に浸漬することにより行い、その後膜を十分乾燥させる。抽出溶媒は、ポリエチレン及びポリプロピレンに対して貧溶媒であり、かつ可塑剤に対しては良溶媒であり、沸点がポリエチレン及びポリプロピレンの融点よりも低いことが好ましい。このような抽出溶媒として、例えば塩化メチレンなどの塩素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトンなどのケトン類、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロエーテル、環状ヒドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロエーテルなどのハロゲン系有機溶剤、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサンなどの低沸点炭化水素、メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類が挙げられる。この中では特に塩化メチレンが好ましい。また抽出後に、膜厚、透気度の調整のため必要に応じて延伸を加えてもよい。該抽出後の延伸は一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸が挙げられ、好ましくは同時二軸延伸、逐次二軸延伸である。延伸温度は、好ましくは100℃以上から135℃以下である。延伸倍率は、好ましくは面積倍率で1倍を超えて10倍以下である。
熱処理は、高温雰囲気下での膜収縮を低減するために、例えばテンターにより100℃以上からポリエチレンの融点以下の温度範囲で収縮応力を緩和させることにより行う。
上記のように作製したポリオレフィン微多孔膜は、各層とも孔が三次元的に入り組んでいる三次元網目構造をとっていることが好ましい。このとき、その三次元網目構造が各層でつながっていることが好ましい。三次元網目構造とは、表面が葉脈状であり、三方向からの断面の膜構造がスポンジ状である構造である。葉脈状とはフィブリルが網状構造を形成している状態である。これらは走査型電子顕微鏡で表面及び断面を観察することにより確認できる。三次元網目構造のフィブリル径は走査型電子顕微鏡で観察すると、0.01μm以上0.3μm以下であることが好ましく、走査型電子顕微鏡で観察できる。
本発明のポリオレフィン微多孔膜は好ましくは以下の特徴を示す。
(1)全体の膜厚は5μm以上60μm以下、より好ましくは7μm以上50μm以下、更に好ましくは10μm以上25μm以下、最も好ましくは10μm以上20μm以下である。電池の絶縁不良防止の点から、膜厚は5μm以上、電池容量確保の点から、60μm以下が好ましい。
(2)ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合は、全体の膜厚の1.5%以上35%以下、より好ましくは5%以上20%以下、更に好ましくは5%以上10%以下である。高温時の膜形状維持の点から、1.5%以上、透過性の点から、35%以下が好ましい。
(3)気孔率は20%より大きく80%未満、より好ましくは30%より大きく50%未満である。透過性の点で、気孔率は20%より大きいことが好ましく、機械強度の点で、80%未満が好ましい。
(4)透気度は50秒/100ml/20μm以上1000秒/100ml/20μm以下、より好ましくは200秒/100ml/20μm以上800秒/100ml/20μm以下である。機械強度の観点で、透気度は50秒/100ml/20μm以上、電池のサイクル特性、レート特性の観点で、透気度は1000秒/100ml/20μm以下が好ましい。
(5)平均孔径は0.02μm以上1μm以下、より好ましくは0.03μm以上0.1μm以下である。イオン透過性の観点で0.02μm以上、膜強度、耐熱性の観点で1μm以下が好ましい。
(6)高速昇温時のシャットダウン温度は150℃未満、更に好ましくは140℃未満である。高速昇温時のショート温度は190℃以上、更に好ましくは195℃以上である。
(7)高温突刺強度は0.005N/μm以上である。高温突刺強度が0.005N/μm未満では、高温時の膜形状を維持できない傾向がある。
(8)高温保存特性は70%以上である。高温保存特性が70%未満では、高温時の電池特性が低下する。高温保存特性は60℃、7日間保存したときの容量維持率から求める。
(9)黒色化度は、高温保存特性の点から、面積あたりで5%以下が好ましく、より好ましくは3%以下である。黒色化度は4.2Vに保持して85℃、7日間保存したときのセパレータ表面を観察し、黒色の割合を計算した。
本発明のポリエチレン微多孔膜は、透過性に優れ、シャットダウン温度が低く、ショート温度が高く、高温時の膜強度が高い上に、電池セパレータとして電池に組み込んだ場合に高温保存特性に優れている。試験後のセパレータを観察すると、後述する比較例で高温保存特性が劣っていた電池のセパレータは、何らかの反応が起こったせいか、正極側に接していた側に黒色が多数観察された。一方、高温保存特性に優れていた電池のセパレータは、正極側に接していた側に黒色はほとんど観察されなかった。
次に実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例において示される試験方法は次の通りである。
(1)ポリエチレンの含有率 (%)
各層のポリエチレンとポリプロピレンの混合比率を、各層の押出量から計算した。
(2)全体の膜厚(μm)
ダイヤルゲージ(尾崎製作所製、「PEACOCK No.25」(商標))にて測定した。
(3)ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合(%)
走査型電子顕微鏡の断面観察、又は剥離が可能な場合には、この層を剥離させて膜厚を測定した。この膜厚の全体の膜厚に対する比率から、割合を算出した。
(4)気孔率 (%)
20cm角のサンプルをとり、その体積と質量から次式を用いて計算した。
気孔率(%)=(体積(cm)−質量(g)/ポリマー組成物の密度)/体積(cm)×100
(5)透気度 (sec)
JIS P−8117に準拠し、ガーレー式透気度計(東洋精器(株)製、「G−B2」(商標))で測定した。
(6)平均孔径 (μm)
キャピラリー内部の流体は、流体の平均自由工程がキャピラリーの孔径より大きいときはクヌーセンの流れに、小さいときはポアズイユの流れに従うことが知られている。そこで微多孔膜の透気度測定における空気の流れがクヌーセンの流れに、また微多孔膜の透水度測定における水の流れがポアズイユの流れに従うと仮定する。この場合、孔径d(μm)は、空気の透過速度定数Rgas(m/(m・sec・Pa))、水の透過速度定数Rliq(m/(m・sec・Pa))、空気の分子速度ν(m/sec)、水の粘度η(Pa・sec)、標準圧力Ps(=101325Pa)、気孔率ε(%)、膜厚L(μm)から、次式により求めることができる。
d=2ν×(Rliq/Rgas)×(16η/3Ps)×10
ここで、Rgasは透気度(sec)から次式を用いて求められる。
gas=0.0001/(透気度×(6.424×10−4)×(0.01276×101325))
またRliqは透水度(cm/(cm・sec・Pa))から次式を用いて求められる。
liq=透水度/100
なお、透水度は次のように求められる。直径41mmのステンレス製の透液セルに、あらかじめアルコールに浸しておいた微多孔膜をセットし、該膜のアルコールを水で洗浄した後、約50000Paの差圧で水を透過させ、120sec間経過した際の透水量(cm)から、単位時間・単位圧力・単位面積当たりの透水量を計算し、これを透水度とする。
(7)細孔直径分布 (μm)
剥離が可能な場合は各層について、水銀圧入法(島津製作所製、「島津オートポア9220型」(商標))により測定した。試料は25mm角程度切り取り、標準セルに採り、初期圧力約20kPaの条件で測定した。
(8)高速昇温時のシャットダウン温度、ショート温度 (℃)
図1に高速昇温時のシャットダウン温度、ショート温度の測定装置の概略図を示す。厚さ10μmのニッケル箔を2枚(A、B)用意し、一方のニッケル箔Aをスライドガラス2上に、縦10mm、横10mmの正方形部分を残して「テフロン」(登録商標)テープ8(図の斜線部分)でマスキングすると共に固定した(図2)。電解液として1mol/リットルのホウフッ化リチウム溶液(溶媒:プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート/γ−ブチルラクトン=1/1/2)を用いた。熱電対3を繋いだセラミックスプレート4上に、別のニッケル箔Bを載せ、この上に上記電解液で3時間浸漬させた測定試料の微多孔膜1を置き、その上からニッケル箔Aを貼りつけたスライドガラスを載せ、更にシリコンゴム5を載せた。これをホットプレート7上にセットした後、油圧プレス機6で1.5MPaの圧力をかけた状態で、温度を25℃から200℃まで15℃/minの速度で昇温した。この際のインピーダンス変化をLCRメーターで交流1V、1kHzの条件下で測定した。この測定において、インピーダンスが1000Ωに達した時点の温度をシャットダウン温度とし、孔閉塞状態に達した後、再びインピーダンスが1000Ωを下回った時点の温度をショート温度とした。
(9)高温突刺強度 (N/μm)
微多孔膜を内径13mm、外径25mmのステンレス製ワッシャー2枚で挟み込み、周囲3点をクリップで止めた後、160℃のシリコンオイル(信越化学工業:KF−96−10CS)に浸漬した。1分後にカトーテック製ハンディー圧縮試験器「KES−G5」(商標)を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突き刺し速度2mm/secの条件で突刺試験を行い、最大突刺荷重(N)を測定した。測定値に1/膜厚(μm)を乗じることによって高温突刺強度(N/μm)とした。
(10)高温保存特性 (%)
(a)正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2重量%、導電材としてリン片グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3重量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)3.2重量%を、N−メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを作製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布し、130℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、正極の活物質塗布量は250g/m、活物質嵩密度は3.00g/cmになるようにする。これを面積2.00cmの円形に打ち抜く。
(b)負極の作製
負極活物質として人造グラファイト96.9重量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4重量%とスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス1.7重量%を、精製水中に分散させてスラリーを作製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗布し、120℃で3分間乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形する。このとき、負極の活物質塗布量は106g/m、活物質嵩密度は1.35g/cmになるようにする。これを面積2.05cmの円形に打ち抜く。
(c)簡易電池組立
ポリオレフィン微多孔膜、正極、負極、電解液をアルミニウム及びステンレス製のセル内に組み込んで、簡易リチウムイオン電池を作製する。
(d)高温保存特性評価
上記のように組み立てた簡易電池を25℃雰囲気下、3mA(約0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間の充電を行う。そして3mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。
次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行う。そして6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。このときの放電容量をA(mAh)とする。
次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行う。充電状態に保持したセルを60℃雰囲気下で7日間保存する。その後セルを取り出し、25℃雰囲気下、6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行う。そして6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。このときの放電容量をB(mAh)とする。BのAに対する比率から、容量維持率を高温保存特性として算出する。
(11)黒色化度(%)
(10)と同様に簡易リチウム電池を作製し、25℃雰囲気下、3mA(約0.5C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を3mAから絞り始めるという方法で、合計6時間の充電を行う。そして3mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。次に25℃雰囲気下、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行う。そして6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。
次に25℃雰囲気化、6mA(約1.0C)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後4.2Vを保持するようにして電流値を6mAから絞り始めるという方法で、合計3時間充電を行う。次に、4.2Vに保持するように充電を続けた状態にて85℃雰囲気下で7日間保存する。その後セルを取り出し25℃雰囲気下、6mAの電流値で電池電圧3.0Vまで放電する。
この電池よりセパレータを取り出し、付着物を取り除くために、ジメトキシエタン、エタノール、1規定の塩酸、及び水中で各15分間、超音波洗浄を行う。その後、空気中にて乾燥し、セパレータの正極接触面側を光学顕微鏡で観察し、画像処理することで黒色の割合を計算し、黒色化度を求める。
本発明を実施例に基づいて説明する
【実施例1】
表面層の組成がホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)60重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)40重量部であり、中間層の組成が高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)100重量部である三層積層フィルム構造のポリオレフィン微多孔膜を作製した。酸化防止剤として、各層の組成に0.3重量部のテトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンを混合した。更に表面層の組成には3重量部のビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールを混合した。各組成はそれぞれ口径25mm、L/D=48の二軸押出機にフィーダーを介して投入した。更に流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.90cSt)150重量部をサイドフィードでそれぞれの押出機に注入し、200℃、200rpmの条件で混練し、押出機先端に設置した共押出可能なTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1.5mmのシートを成形した。このシートを同時二軸延伸機で124℃の条件で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、120℃で熱処理して、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表1に示す。黒色化度を表4に示す。
【実施例2】
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)80重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)20重量部とした以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。黒色化度の結果を表4に示す。また各層の細孔直径分布測定の結果を図3に示す。
【実施例3】
シートの厚さを0.9mmとした以外は実施例2と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例4】
シートの厚さを3.0mmとした以外は実施例2と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例5】
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)80重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量60万)20重量部とし、中間層の押出量を増やして、膜全体におけるポリエチレンの含有率を上げて、122℃の条件で延伸し、熱処理の温度を127℃とした以外は実施例2と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例6】
シートの厚さを0.35mmとし、押出シートを115℃の条件で横方向に4倍延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、その後に115℃の条件で縦方向に2倍、130℃の条件で横方向に2倍延伸して微多孔膜を得た以外は実施例5と同様に作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例7】
表面層の組成をランダムコポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量20万)80重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量60万)20重量部とした以外は実施例5と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例8】
シートの厚さを0.7mmとし、中間層の組成を高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量60万)とした以外は実施例5と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表1に示す。
【実施例9】
Tダイの形状を変更することで、二層積層フィルム構造のポリオレフィン微多孔膜を作製した。片側の層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)80重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量60万)20重量部とした。もう一方の層の組成を超高分子量ポリエチレン(密度0.94、粘度平均分子量200万)25重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量60万)15重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)30重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量15万)30重量部とした。酸化防止剤として各組成に0.3重量部のテトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタンを混合した。更にポリプロピレンを混合する層には3重量部のビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトールを混合した。各組成はそれぞれ口径25mm、L/D=48の二軸押出機にフィーダーを介して投入した。更に流動パラフィン(37.78℃における動粘度75.90cSt)150重量部をサイドフィードでそれぞれの押出機に注入し、200℃、200rpmの条件で混練し、押出機先端に設置した共押出可能なTダイから押出した後、ただちに25℃に冷却したキャストロールで冷却固化させ、厚さ1.5mmのシートを成形した。このシートを同時二軸延伸機で122℃の条件で7×7倍に延伸した後、この延伸フィルムを塩化メチレンに浸漬し、流動パラフィンを抽出除去後乾燥し、127℃で熱処理して、微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の物性を表2に示す。
比較例1
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)20重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)80重量部とした以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表2に示すが、十分な高温突刺強度と高温保存特性が得られなかった。黒色化度の結果を表3に示すが、黒色化度が5%を超えていた。
比較例2
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)40重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)60重量部とした以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表2に示すが、十分な高温突刺強度と高温保存特性が得られなかった。黒色化度の結果を表3に示すが、黒色化度が5%を超えていた。
比較例3
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)80重量部、高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)20重量部とし、表面層の押出量を増やし中間層の押出量を減らすことにより、ポリエチレンの含有率を下げた以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表2に示すが、十分な透過性が得られず、シャットダウン温度も高くなった。
比較例4
表面層の組成をホモポリマーのポリプロピレン(密度0.90、粘度平均分子量30万)100重量部とした以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表2に示すが、十分な透過性が得られず、シャットダウン温度も高くなった。
比較例5
表面層の組成を高密度ポリエチレン(密度0.95、粘度平均分子量25万)100重量部とした以外は実施例1と同様に微多孔膜を作製した。作製した微多孔膜の物性を表3に示すが、高温突刺では破膜してしまい、十分な高温保存特性も得られなかった。黒色化度の結果を表4に示すが、黒色化度が5%をはるかに超えていた。



【産業上の利用可能性】
本発明の微多孔膜は、透過性に優れ、シャットダウン温度が低く、ショート温度が高く、高温時の膜強度が高く、電池に用いたときに高温保存特性にも優れているので、リチウムイオン電池用セパレータに好適である。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であって、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下であり、かつ膜全体におけるポリエチレンの含有率が50重量%以上95重量%以下であるポリオレフィン微多孔膜。
【請求項2】
前記積層フィルムの少なくとも一層はポリエチレン単層膜である請求項1記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項3】
前記積層フィルムが三層である請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項4】
前記積層フィルムの各層が三次元網目構造をとる請求項1又は2又は3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項5】
ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合が、全体の膜厚の1.5%以上35%以下である請求項1又は2又は3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項6】
平均孔径が0.02μm以上1μm以下である請求項1又は2又は3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項7】
高速昇温時のシャットダウン温度が150℃未満、高速昇温時のショート温度が190℃以上である請求項1又は2又は3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項8】
高温突刺強度が0.005N/μm以上である請求項1又は2又は3に記載のポリオレフィン微多孔膜。
【請求項9】
ポリエチレンとポリプロピレンとを必須成分として含み、二層以上の積層フィルムからなるポリオレフィン微多孔膜であって、少なくとも片側の表面層におけるポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下であり、かつ膜全体におけるポリエチレンの含有率が50重量%以上95重量%以下であるポリオレフィン微多孔膜を含んでなるリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項10】
前記積層フィルムの少なくとも一層はポリエチレン単層膜である請求項9記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項11】
前記積層フィルムが三層である請求項9又は10に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項12】
前記積層フィルムの各層が三次元網目構造をとる請求項9又は10又は11に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項13】
ポリプロピレンの混合比率が50重量%を超え95重量%以下である層の膜厚の割合が、全体の膜厚の1.5%以上35%以下である請求項9又は10又は11に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項14】
前記ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が0.02μm以上1μm以下である請求項9又は10又は11に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項15】
前記ポリオレフィン微多孔膜の、高速昇温時のシャットダウン温度が150℃未満、高速昇温時のショート温度が190℃以上である請求項9又は10又は11に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項16】
前記ポリオレフィン微多孔膜の高温突刺強度が0.005N/μm以上である請求項9又は10又は11に記載のリチウムイオン電池用セパレータ。
【請求項17】
黒色化度が5%以下のポリオレフィン微多孔膜を含んでなる、リチウムイオン電池用セパレータ。

【国際公開番号】WO2004/089627
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505266(P2005−505266)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004849
【国際出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】