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ポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤およびそれを被覆した成形品
説明

ポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤およびそれを被覆した成形品

【課題】 シート、レザーなどの特に車両内装部品として用いられるポリオレフィン系樹脂成形品に施して、成形性、密着性がよく、耐摩耗性、耐薬品性等にすぐれた被覆膜を付与することができるコーティング剤およびそのような被覆膜を形成した成形品を提供する。
【解決手段】 分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン樹脂と、分子内にカルボキシル基を有する非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂および艶消剤とよりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た一次コーティング剤と、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン樹脂と艶消剤よりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た二次コーティング剤とからなるポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コーティング剤と、それを被覆した成形品に係り、詳しくはシート、レザーなどのポリオレフィン系樹脂成形品に適用した際に、成形性、密着性がよく、耐摩耗性、耐薬品性にすぐれ、かつ防眩性を有する均一な艶消し皮膜を形成することのできるコーティング剤およびそのような皮膜を施したポリオレフィン系樹脂成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の内装部品等に用いるシートあるいはレザーなどの成形品として、軟質ポリ塩化ビニル樹脂が多く用いられてきた。しかしながら、軟質ポリ塩化ビニル樹脂成形品からは、柔軟性を付与するために多量に使用されている可塑剤に起因する劣化変色や脆化が問題視されてきた。
【0003】
このため、最近は自動車の内装部品等に用いるシートあるいはレザーなどの成形品として、軟質ポリ塩化ビニル樹脂成形品に代わってポリオレフィン系樹脂成形品が使用されるようになってきている。これは、ポリオレフィン系樹脂が軟質ポリ塩化ビニル樹脂とは異なって、可塑剤を使用することなく柔軟性を付与することができ、軟質ポリ塩化ビニル樹脂よりも比重が小さいため、内装部品を軽量化することができ、かつリサイクルが可能であるなどの利点を有しているためである。
【0004】
一般的に、自動車の内装部品等に使用されるポリオレフィン系樹脂成形品を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマーは、エチレン−プロピレン共重合体や、これに部分架橋構造の第3成分を含有するエチレン−プロピレンターポリマー(EPDM)などを主成分とし、これに帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料等を配合したものである。これらオレフィン系熱可塑性エラストマーよりなる成形品は、一般的にその表面への塗装が難しく、接着性、耐摩耗性等の物性に劣ることが多い。これはポリオレフィン系熱可塑性エラストマーの表面が不活性であることに起因している。
【0005】
従来、上記した問題の解決を目的として、コロナ放電処理等によりポリオレフィン系樹脂の表面を物理的に、あるいは化学的に活性化したのち、塩素化ポリオレフィン系樹脂の有機溶剤溶液からなる一次コーティング剤、あるいはポリエステル系樹脂とポリイソシアネート、ポリウレタン樹脂とポリイソシアネートの有機溶剤溶液からなる二次硬化型の一次コーティング剤をコーティングしてから、トップコート剤である二次コーティング剤をコーティングする方法が提案されてきた(特許文献1,2および3)。
【0006】
近年、自動車の内装部品については高級化指向が進み、オレフィン系熱可塑性エラストマー成形品のみからなる部品は少なくなり、例えばドアトリム等に見られるように、オレフィン系樹脂成形品に織布等を接着剤を用いて貼り合わせた複合材が多く用いられている。このため、オレフィン系樹脂成形品への表面処理剤には、貼り合わせに用いられる接着剤中に含まれている溶剤に対する耐性あるいは自動車室内の温度上昇に耐えうる耐熱クリープ性が要求され、これらの要求を満たす目的からも、ポリエステル系樹脂とポリイソシアネート、ポリウレタン系樹脂とポリイソシアネートの有機溶剤溶液からなる二次硬化型のコーティング剤が主として用いられてきた。
【0007】
一方、市場はVOC(揮発性有機化合物)排出量を抑制する目的から有機溶剤を使用せず、水系のコーティング剤を望んでおり、ポリオレフィンポリオールを含む水性ポリウレタン樹脂からなる水性艶消し処理剤も提案されているが、耐熱クリープ性、耐久物性に関して不十分であった(特許文献4)。
【0008】
さらには、非塩素系変性ポリオレフィンを含む水系樹脂組成物にフッ素系界面活性剤を配合することを特徴とし、水系ウレタン樹脂、水系ブロックイソシアネートのブレンドを可能とした非塩素系水系ポリオレフィン樹脂組成物に関する提案もなされているが(特許文献5)、これらを自動車内装部品としてのポリオレフィン系樹脂成形品分野に適用した場合、必要とする成形性を保持できないという問題がある。
【特許文献1】特開昭63−272547号公報
【特許文献2】特開平7−247381号公報
【特許文献3】特開平7−247382号公報
【特許文献4】特開2003−342549号公報
【特許文献5】特開平8−3376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑みてこの発明は、上述した従来のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤が有する問題点を解決すべく検討の結果、シート、レザー等のポリオレフィン系樹脂成形品に用いて成形性、密着性がよく、かつ耐摩耗性、耐薬品性にすぐれた艶消し皮膜を得ることのできるポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤および該コーティング剤よりなる成形品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と、分子内にカルボキシル基を有する非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂および艶消剤とよりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た一次コーティング剤と、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と艶消剤とよりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た二次コーティング剤とからなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、一次コーティング剤を構成する樹脂成分である、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と、分子内にカルボキシル基を有する非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂の使用量が、各々の固形分に対する重量分率で10:90〜50:50の範囲内であることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、一次コーティング剤を構成する樹脂成分とともに用いる架橋剤がポリイソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンから選ばれた1種であり、その使用量が一次コーティング剤を構成する樹脂成分の固形分100重量部に対して10〜22重量部であることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、二次コーティング剤を構成する樹脂成分とともに用いる架橋剤がポリイソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンから選ばれた1種であり、その使用量が二次コーティング剤を構成する樹脂成分の固形分100重量部に対して2〜15重量部であることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、表面に請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤を用いて形成した被覆膜を有するポリオレフィン系樹脂成形品を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
この発明の上記請求項に記載したポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤によれば、シート。レザー等のポリオレフィン系樹脂成形品表面に、成形性、密着性がよく、耐摩耗性、耐薬品性等にすぐれた艶消し被覆膜を形成することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明について詳細に説明する。この発明は、一次コーティング剤として、水系ポリウレタン系樹脂、非塩素系の水系ポリオレフィン樹脂、艶消し剤からなる配合物に、これら樹脂が有する官能基と反応可能な架橋剤を添加した組成物を用い、これをポリオレフィン系樹脂基材に塗工し乾燥して一次コーティング塗膜を形成した後、次いでこの一次コーティング塗膜の上に、水系ポリウレタン系樹脂と艶消し剤からなる配合物に、このウレタン系樹脂が有する官能基と反応可能な架橋剤を添加した組成物を二次コーティング剤として積層塗工し、その後乾燥することで、上記したような成形性、密着性がよく、かつ耐摩耗性、耐薬品性にすぐれた艶消し皮膜を有するポリオレフィン系樹脂成形品を得ることができるのである。
【0017】
上記でポリオレフィン系樹脂基材に一次コーティング剤を塗工するに当たっては、その塗工前に基材表面を、コロナ放電処理することが密着性を向上させるうえから好ましい。
【0018】
次に、一次コーティング剤について説明すると、配合される非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂がポリオレフィン樹脂基材に対する初期密着性を向上させ、加熱乾燥後、配合された水系ポリウレタン系樹脂と水系ポリオレフィン樹脂がともに架橋することによって、基材表面に固着接着ができ、その結果耐熱クリープ性を向上させるのである。また、用いられる水系ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン樹脂が、各々の固形分に対する重量分率で10:90から50:50の範囲内、望ましくは20:80から40:60の範囲内にあることによって、良好な成形性と密着性を両立して保持させることができるのである。
【0019】
この際、一次コーティング剤に用いられる水系ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン樹脂の固形分に対する重量比率において、水系ポリウレタン系樹脂が10%より少ない場合には、架橋剤の種類と量を変更しても耐熱クリープ性が不十分であり、50%よりも多い場合には、基材に対する初期密着性が不足し、その結果成形時に塗膜の延伸率にバラツキが発生して、不均一塗膜となる恐れがある。
【0020】
さらに、二次コーティング剤について説明すると、配合される水系ポリウレタン系樹脂と、一次コーティング剤に用いられる水系ポリウレタン系樹脂が、共に水系ポリウレタン系樹脂を含むため、一次コーティング層との密着性が良好で、かつ二液架橋させることで耐熱性、耐薬品性をも向上させることができる。また、これらのコーティング剤は架橋することで耐光性、耐加水分解性等の耐久物性をも向上させることができるのである。
【0021】
一方、一次コーティング剤、二次コーティング剤に用いる架橋剤の種類およびその量も重要である。架橋剤は反応させる水系樹脂の反応基によって選択する。水系樹脂に有するカルボキシル基と反応させる場合には、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリン系架橋剤を用い、水酸基と反応させる場合にはポリイソシアネート系架橋剤を用いればよい。
【0022】
上記における架橋剤の使用量は、一次コーティング剤と二次コーティング剤において異なる。一次コーティング剤に用いる架橋剤の量は、一次コーティング剤に用いる水系樹脂の固形分100重量部に対する重量分率で10〜22重量部、好ましくは15〜20重量部が適当である。これは架橋剤の量が10重量部より少ないと、オレフィン基材との架橋後の固着接着性が不十分となり、また22重量部よりも多いと、一次コーティング剤に用いる水系ポリウレタン系樹脂とポリオレフィン樹脂との重量比率を調整しても、成形時塗膜の伸度が低くなりすぎ、塗膜表面に白化およびワレ現象が発生して好ましくない。
【0023】
二次コーティング剤に用いる架橋剤の量は、二次コーティング剤に用いる水系ポリウレタン系樹脂の固形分100重量部に対する重量分率で2〜15重量部、好ましくは5〜10重量部が適当である。これは架橋剤の量が2重量部より少ないと、塗膜表面の耐薬品性が不十分となり、また15重量部より多いと、成形時塗膜の伸度が低くなりすぎ、塗膜表面に白化およびワレ現象が発生して好ましくない。
【0024】
この発明において、水系ポリウレタン系樹脂は、多くの材料の組み合わせで製造されたものが使用でき、特に限定されるものではない。水系ポリウレタン系樹脂には、その他の高分子樹脂のエマルジョン、ディスパージョン等をブレンドしたり、あるいはそれらのモノマーと共重合またはグラフト重合することも可能である。例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ニトリルゴム等を目的に応じてブレンドすることや、アクリルモノマーをグラフト重合したり、反応性シリコーン樹脂を共重合させることもできる。
【0025】
それら樹脂の製造の一例を説明すると、水系ポリウレタン系樹脂は、末端ヒドロキシル基を有するポリオール、即ち平均分子量500〜5000程度のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリε−カプロラクトンポリオール、ポリカーボネートジオールなどの単独あるいは混合物と、有機ジイソシアネート、鎖長伸長剤を加熱することで得ることができる。また、水系ポリウレタン系樹脂において、アニオン性の塩形成基を含有させ、アミン等による中和後乳化分散させる目的で分子中にカルボキシル基を含有させる場合には、鎖長伸長剤として2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール乳酸に代表されるジグリコール酸を用いればよい。
【0026】
水系ポリウレタン系樹脂は、上記した単量体成分を用いて、末端にイソシアネート基が残存しないように配合して反応させ、平均分子量が30,000〜2,000,000の範囲のものが好ましい。自動車内装部品等の用途に限った場合には、光、熱、水に対する耐久性を向上させる目的でポリオール成分にポリカーボネートジオールを主として用い、ジイソシアネート成分には脂肪族、脂環族系タイプのものを使用することが望ましい。
【0027】
この発明における水系ポリウレタン系樹脂の製造方法としては、界面活性剤を用いる強制乳化法、アセトン法、ケチミンケタジン法、アニオン性の塩形成基を含有させ、中和することで乳化分散させるアイオノマー法などの方法によってもよく、反応時に有機溶剤を用いた場合には、反応後にこれを除去することが必要である。
【0028】
次に、この発明における非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンプロピレン共重合物等からなる分子量2,000〜500,000程度のアモルファスポリオレフィンの末端あるいは側鎖にマレイン酸、フタル酸、イタコン酸およびこれらの酸無水物等に代表されるα,β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物をグラフト反応することで付加したタイプ、アクリル、スチレン等のモノマーによるグラフト重合変性物を用いることができ、通常これらはトルエン、メチルシクロヘキサン等の有機溶剤溶液中に溶解したのち、界面活性剤、塩基性物質を用いた強制乳化により水系化し、さらに溶剤を除去することで得ることができる。
【0029】
艶消剤としては、従来公知のシリカ系微粉末、タルク、マイカ等の無機系微粉末、ポリウレタンビーズ、アクリルビーズ、シリコンパウダー、フッ素パウダー等に代表される有機系微粉末等を用いればよい。
【0030】
さらに、この発明のコーティング剤には、着色剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤等の添加剤を必要に応じて加えることが可能である。また、得られたコーティング剤の塗工方法は、シート状オレフィン基材へのグラビアコーターによる処理、あるいは成形品等へのスプレー処理も可能で、通常乾燥後の塗膜は2〜10μm程度になるように加工され、塗膜の乾燥は100℃前後に加熱することで行われる。
【0031】
以下、製造例および実施例によりこの発明を詳細に説明するが、この発明はこれらの製造例および実施例によって何ら限定されるものではない。なお、部数はすべて重量部である。
(製造例1)(水系ポリウレタン系樹脂分散液 PUD−1)
【0032】
両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量2000のポリカーボネートジオール1500部、2,2−ジメチロールプロピオン酸67部を配合し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、この混合物にジシクロヘキシルメタン4,4′−ジイソシアネート524部を加えて、110℃で3時間加熱した後、これをトリエチルアミン50.5部を含有する20℃のイオン交換水7500部中に、ホモミキサーを用いて強力に攪拌し乳化させた。
【0033】
次いで、イオン交換水1280部に混合した3−アミノメチル−3,5,5′−トリメチルシクロヘキシルアミン127.5部を添加して30分間保持したのち、固形分濃度20.5%、粘度20mPa・s/30℃の水系ポリウレタン系樹脂分散液PUD−1(以下、これをPUD−1分散液という)を得た。
(製造例2)(水系ポリウレタン系樹脂分散液 PUD−2)
【0034】
両末端にヒドロキシル基を有する平均分子量2000のポリカーボネートジオール1500部、2,2−ジメチロールブタン酸74部を配合し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、この混合物にジシクロヘキシルメタン4,4′−ジイソシアネート524部を加えて、110℃で3時間加熱した後、これをトリエチルアミン50.5部を含有する20℃のイオン交換水7500部中に、ホモミキサーを用いて強力に攪拌し乳化させた。
【0035】
次いで、イオン交換水1280部に混合した3−アミノメチル−3,5,5′−トリメチルシクロヘキシルアミン110.5部と、ジエタノールアミン10.5部を添加して30分間保持したのち、固形分濃度20.1%、粘度12mPa・s/30℃の水系ポリウレタン系樹脂分散液PUD−2(以下、これをPUD−2分散液という)を得た。
【実施例1】
【0036】
メチルシクロヘキサンに溶解したエチレンプロピレンからなるポリオレフィン樹脂に、部分マレイン化と部分的にアクリル変性を施した溶液を強制乳化し、その後反応時に用いたメチルシクロヘキサンを除去することで得られた固形分濃度30%、粘度30mPa・s/30℃の水系ポリオレフィン系樹脂エマルジョンOFE−3(以下、これをOFE−3エマルジョン液という)と、上記製造例1で得た水系ポリウレタン系樹脂分散液PUD−1および上記製造例2で得た水系ポリウレタン系樹脂分散液PUD−2を、表1のA〜Cに示した比率で配合し、さらに架橋剤を添加して表1のA〜Cの一次コーティング剤と二次コーティング剤を得た。
【0037】
次に、コロナ放電処理を施して、濡れ指数45dyne/cmまで表面活性を上げた熱可塑性ポリオレフィンシートを基材とし、この基材表面に上記で得た一次コーティング剤を120メッシュのグラビアロールにて2回塗工したのち、100℃で1分乾燥した。さらにこの一次コーティング塗膜の上に、二次コーティング剤を120メッシュのグラビアロールにて2回塗工したのち、100℃で1分乾燥して二次コーティング塗膜を形成した。その後、80℃で24時間熟成し、ポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を形成した。
【0038】
なお、表1中に記載の架橋剤において、XL−29SEは、米国、ユニオンカーバイド社製で、固形分濃度50%のカルボジイミド化合物であり、アクアネート210は、日本ポリウレタン工業社製の固形分濃度100%の水系塗料用ポリイソシアネート化合物である。
【0039】
さらに、艶消剤として用いたE−220Aは、日本シリカ工業社製のシリカ微粉末、OK−412は米国、ディグサ社製のシリカ微粉末であり、ガンツパールGM−S0370は、ガンツ化成社製のアクリルビーズである。また、表1中の成分比率は、すべて固形分における重量比率である。
比較例1
【0040】
実施例1と同様に、表1の配合No.DおよびEに示した比率で配合し、さらに架橋剤も添加して表1の配合No.DおよびEの一次コーティング剤と二次コーティング剤を得た。これらのコーティング剤を用いて、実施例1と同じようにしてポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を形成した。
比較例2
【0041】
実施例1と同様に、表1の配合No.FからIに示した比率で配合し、さらに架橋剤も添加して表1の配合No.F〜Iの一次コーティング剤と二次コーティング剤を得た。これらのコーティング剤を用いて、実施例1と同じようにしてポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を形成した。
【0042】
次いで、上記の実施例1および比較例1、2で得た被覆膜について、耐熱クリープ性、成形性、耐薬品性などの物性テストを行った。その結果は表1に示した。なお、これら物性テストの方法および評価方法は次の通りである。
【0043】
(1)耐熱クリープ試験:ポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を、塗工縦方向に2.5cm幅で約15cmの長さに2枚サンプリングし、この2枚の試片の膜面同士を長さ10cmについて、瞬間接着剤(シアノアクリレート系)で接着したのち、110℃に設定したギアオーブン中に試片の未接着の5cm部分の一片にて吊るし、他片には200gfの荷重を付け、1時間放置後試験片の剥離状態を、○:変化なし。△:ある程度コーティング剤と基材との間で剥離した。×:完全にコーティング剤が基材から剥離し、試片がはずれた。の3段階評価を行った。
【0044】
(2)成形性試験:ポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を凸引型真空成形機にセットし、シートの表面温度150℃で150%延伸した際の表面変化を次のように5段階評価した。5:成形割れも、白化現象もなし。4:成形割れはないが、部分白化現象あり。3:部分的に成形割れと白化現象あり。2:部分的に成形割れがあり、白化現象が全面に多くあり。1:全面に成形割れあり。
【0045】
(3)耐薬品性試験:ポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を、JIS L 0849に規定された摩耗試験機II形にセットし、摩擦子としてイソプロピルアルコールに浸漬し約100%湿潤状態にした金巾3号を付け、200gf荷重下で100回往復摩擦した後の被覆膜表面状態を次のように5段階評価した。
5:変化なし。4:僅かに摩擦跡あり。3:摩擦跡あり。2:摩擦により被覆膜が部分的に剥がれている。1:摩擦により被覆膜が全面剥がれ落ちている。
【0046】
(4)耐光性試験後の表面強度確認試験:ポリオレフィン系樹脂からなるシートに積層した被覆膜を、紫外線カーボンアーク燈光耐光試験機にブラックパネル温度83℃の条件でセットして1000時間照射後、その被覆膜表面を爪で傷付け、その傷の付き易さから、次の5段階評価を行った。5:傷が付かない。4:傷がほとんど付かない。3:傷は付くが、被覆膜が基材から剥がれることはない。2:被覆膜が基材から部分的に剥がれる。1:被覆膜が基材から完全に剥がれ落ちる。
【0047】
【表1】

【0048】
上記表1の結果から、この発明の実施例1の配合No.A,B,Cからなる被覆膜は、何れも良好な結果を示した。これに対し、比較例1,2のNo.D〜Iからなる被覆膜は、耐熱クリープ性、成形性などの全ての試験で劣るものであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と、分子内にカルボキシル基を有する非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂および艶消剤とよりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た一次コーティング剤と、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と艶消剤よりなる配合物に、前記樹脂中の官能基と反応可能な架橋剤を配合して得た二次コーティング剤とからなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤。
【請求項2】
一次コーティング剤を構成する樹脂成分である、分子内にカルボキシル基および/または水酸基を有する水系ポリウレタン系樹脂と、分子内にカルボキシル基を有する非塩素系の水系ポリオレフィン系樹脂の使用量が、各々の固形分に対する重量
分率で10:90〜50:50の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤。
【請求項3】
一次コーティング剤を構成する樹脂成分とともに用いる架橋剤がポリイソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンから選ばれた1種であり、その使用量が一次コーティング剤を構成する樹脂成分の固形分100重量部に対して10〜22重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤。
【請求項4】
二次コーティング剤を構成する樹脂成分とともに用いる架橋剤がポリイソシアネート、カルボジイミド、アジリジン、オキサゾリンから選ばれた1種であり、その使用量が二次コーティング剤を構成する樹脂成分の固形分100重量部に対して2〜15重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤。
【請求項5】
表面に、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂成形品用コーティング剤を用いて形成した被覆膜を有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂成形品。



【公開番号】特開2006−176615(P2006−176615A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370477(P2004−370477)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000107952)セイコー化成株式会社 (12)
【Fターム(参考)】