説明

ポリオールを混合した溶融紡糸ポリエーテルTPU繊維およびプロセス

熱可塑性ポリエーテルポリウレタン重合体が開示されており、これらは、架橋剤と混合されて、弾性繊維を製造する溶融紡糸工程にて、長い実行時間を達成する。この架橋剤は、好ましくは、ジイソシアネートと反応されたポリエーテルまたはポリエステルポリオールである。これらの熱可塑性ポリエーテルポリウレタン重合体は、以下を反応させることにより、製造される:(1)2種またはそれ以上のヒドロキシル末端中間体のブレンドであって、ここで、一方の中間体は、ポリエーテル中間体であり、そして他方の該ポリエーテル中間体よりも高い数平均分子量を有し、ここで、該ブレンドの重量平均数平均分子量は、1200ダルトンより高い;(2)少なくとも1種のポリイソシアネート;および(3)少なくとも1種のヒドロキシル末端鎖延長剤。開示された溶融紡糸繊維は、優れた染料無捕捉、漂白剤耐性および色固定を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本特許出願は、2003年6月30日に出願された仮出願第60/483,823号に従って優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、溶融紡糸弾性繊維(例えば、漂白耐性を向上させポリエステル繊維の染色条件に耐えることができるスパンデックス)を製造するための熱可塑性ポリウレタン(TPU)組成物に関する。本発明はまた、溶融紡糸TPU繊維を製造するプロセスに関し、この場合、繊維が切断するまでの実行時間は、大きく高められる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
大部分のTPU繊維は、TPUを溶媒に溶解する工程を含むドライスピニング法により、製造される。TPU繊維を製造する溶融紡糸法は、いくつかの固有の長所があり、これには、低コスト、低資本コスト、および揮発性溶媒を使用しないことによる環境への懸念の少なさが挙げられる。乾燥紡糸繊維は、尿素結合を有するTPUから製造される。従って、これらの乾燥紡糸繊維は、耐熱性であるが、この種のTPUは、溶融しないので、溶融紡糸できない。また、典型的なスパンデックスTPU繊維は、変性なしでは、漂白剤で攻撃され、漂白剤または塩素で消毒されたプールで使ったとき、靱性およびパワーの損失を被る。
【0004】
溶融紡糸繊維を製造するためのTPU組成物は、ヒドロキシル末端中間体(これは、典型的には、水酸基でキャップ化したポリエーテルまたはポリエステルである);ポリイソシアネート(例えば、ジイソシアネート);およびヒドロキシル末端鎖延長剤から製造されたTPU重合体を含有する。このヒドロキシル末端中間体は、TPU重合体の軟質セグメントを形成するのに対して、このポリイソシアネートおよび鎖延長剤は、TPU重合体の硬質セグメントを形成する。硬質および軟質セグメントを組み合わせると、TPU重合体の弾性が得られる。TPU重合体はまた、しばしば、ポリイソシアネートで末端キャップ化されたプレポリマーを使用することにより、軽く架橋されている。その架橋材料は、紡糸中にて、溶融TPU重合体に加えられる。
【0005】
ポリエステルおよびポリエーテル系TPUは、両方共に、TPU繊維を溶融紡糸する際に、使用される。ポリエーテル系TPU繊維は、ポリエステル系TPUから製造されたTPU繊維よりも良好な加水分解安定性を有するように製造できる。
【0006】
もし、TPUを製造するのに使用されるポリエーテルヒドロキシル末端中間体の分子量が高くなると、ポリエーテルTPU繊維の特性が良好となる。残念なことに、高い分子量のヒドロキシル末端中間体を使用するポリエーテルTPUは、紡糸口金における圧力の蓄積に遭遇するまでの実行時間が短くなり、それゆえ、繊維の破断を引き起こす。紡糸操作で繊維が破断すると、生産ラインを停止して紡糸口金を清浄にしなければならない。これは、費用がかかる休止時間であり、生産が無駄になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポリエーテル中間体を使って製造されるTPUの長い実行時間を保持しつつ、分子量が高いポリエーテル中間体から製造されるTPU重合体を使用できれば、望ましい。
【0008】
また、漂白剤に対する良好な耐性、良好な染料ピックアップ、色固定を有し、そしてポリエステル繊維の染色条件に耐えることができる溶融紡糸TPU繊維が得られれば、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明の目的は、繊維が破断するまでの長い実行時間を達成しつつ、TPU繊維を溶融紡糸するための高分子量ポリエーテルヒドロキシル末端中間体から製造された熱可塑性(TPU)を使用可能にすることにある。
【0010】
このTPU重合体は、以下の反応生成物を含有する:(a)異なる数平均分子量を有する少なくとも2種のヒドロキシル末端中間体のブレンドであって、第一ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテルであり、第二ヒドロキシル末端中間体よりも多い量で存在しており、そして第二ヒドロキシル末端中間体よりも高い数平均分子量を有する。第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、およびそれらの混合物であり得る。好ましくは、第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテルである。2種またはそれ以上のヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、少なくとも1200ダルトン、好ましくは、1200〜4000ダルトン、さらに好ましくは、1500〜2500ダルトンである;(b)少なくとも1種のポリイソシアネート(好ましくは、ジイソシアネート);および(c)少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル末端鎖延長剤。
【0011】
このTPU重合体は、以下から製造された少なくとも1種の架橋剤を加えることにより、軽く架橋されている:(a)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトンおよびポリカーボネート、およびそれらの混合物から選択されるヒドロキシル末端ポリオール、および(b)ポリイソシアネート。好ましくは、このポリオールは、ポリエステルまたはポリエーテルポリオールであり、このポリイソシアネートは、ジイソシアネートである。この架橋剤は、1.0より高いイソシアネート官能性、好ましくは、約1.5〜2.5のイソシアネート官能性、さらに好ましくは、約1.8〜2.2のイソシアネート官能性を有する。
【0012】
溶融紡糸TPU繊維は、このTPU重合体を押出機にて溶融することにより、そして溶融したTPUに架橋剤を加えることにより、製造される。架橋剤と共に溶融されたTPU重合体は、紡糸口金に給送される。その溶融物は、繊維の形状で、この紡糸口金を出て行く。これらの繊維は、冷却され、そしてボビン上に巻き付けられる。
【0013】
異なる数平均分子量のヒドロキシル末端中間体のブレンドを使用して架橋剤と共にTPUを製造するプロセスは、紡糸口金での圧力の蓄積がずっと少なく、それにより、繊維の破断なしで、長時間にわたる連続工程で、溶融紡糸繊維を製造することが可能となる。
【0014】
本発明の他の目的は、ポリエステル繊維と織り、編みまたは組み合わせできて織物を形成でき、また、この織物を染色した後に良好な弾性を保持できる溶融紡糸TPU繊維を製造することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、溶融紡糸でき、漂白剤に対する良好な耐性、良好な染料ピックアップを有し、洗浄後のその色を保持できるTPU繊維を製造することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(発明の詳細な説明)
ポリエーテルTPU重合体から溶融紡糸繊維を製造する従来の方法では、良好な繊維特性を得るために、少なくとも約2000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するイソシアネート末端ポリエーテル中間体を使用することが通例である。
【0017】
出願人らは、予想外なことに、ポリエーテルTPU重合体を使用して溶融紡糸繊維を製造するとき、異なる数平均分子量を有するヒドロキシル末端中間体のブレンドが、繊維を溶融紡糸する優れた加工特性を与えることを発見した。もし、ヒドロキシル末端中間体のブレンドが、高い分子量の中間体を低い分子量の中間体とブレンドされて少なくとも1200ダルトンの重量平均分子量が得られるなら、好ましいことが発見された。好ましくは、1200〜4000ダルトン、さらに好ましくは、1500〜2500ダルトンで、このTPUは、紡糸口金のスピンパックにおける過度の圧力蓄積なしで、長時間にわたって、溶融紡糸できる。過度の圧力がかかると、繊維が破断し、それにより、このスピンパックが清浄になるまで、この溶融紡糸操作を停止する必要がある。
【0018】
本発明に従って溶融紡糸繊維を製造するためには、少なくとも2種のヒドロキシル末端中間体と架橋剤とのブレンドからTPUを製造する必要がある。この中間体のブレンドは、主要成分として、第一ポリエーテル中間体を有し、これは、第二中間体よりも高いMnを有する。第二中間体は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、およびそれらの混合物からなる群から選択される;第二中間体は、第一中間体よりも低いMnを有する。好ましくは、第二中間体はまた、ポリエーテルである。簡単にするために、本発明は、ポリエーテル中間体のブレンドを有するポリエーテルTPUの点から、本明細書中で記述されている。第二中間体は、ポリエーテル中間体以外であり得るが、第一ポリエーテル中間体より少ない量で存在しなければならず、第一ポリエーテル中間体より低いMnを有しなければならないことを認識するべきである。
【0019】
使用されるポリエーテルTPUは、少なくとも2種のポリエーテルヒドロキシル末端中間体のブレンドをポリイソシアネートおよび鎖延長剤と反応させることにより、製造できる。
【0020】
ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、全体で2個〜15個の炭素原子を有するジオールまたはポリオールから誘導されたポリエーテルポリオール、好ましくは、2個〜6個の炭素原子を有するアルキレンオキシド(典型的には、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドまたはそれらの混合物)を含むエーテルと反応されたアルキルジオールまたはグリコールである。例えば、ヒドロキシル官能性ポリエーテルは、まず、プロピレングリコールとプロピレンオキシドとを反応させることにより、続いて、エチレンオキシドとの次の反応により、生成できる。エチレンオキシドから得られる第一級水酸基は、第二級水酸基よりも反応性であり、それゆえ、好ましい。有用な市販のポリエーテルポリオールには、エチレングリコールと反応されたエチレンオキシドを含むポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコールと反応されたプロピレンオキシドを含むポリ(プロピレングリコール)、テトラヒドロフランと反応された水を含むポリ(テトラメチルグリコール)(PTMEG)が挙げられる。ポリテトラヒドメチレンエーテルグリコール(PTMEG)は、好ましいポリエーテル中間体である。ポリエーテルポリオールには、さらに、アルキレンオキシドのポリアミド付加物が挙げられ、例えば、エチレンジアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含有するエチレンジアミン付加物、ジエチレントリアミンとプロピレンオキシドとの反応生成物を含有するジエチレントリアミン付加物、および類似のポリアミド型ポリエーテルポリオールを挙げることができる。コポリエーテルもまた、現発明で使用できる。典型的なコポリエーテルには、THFとエチレンオキシドとの反応生成物またはTHFとプロピレンオキシドとの反応生成物が挙げられる。これらは、ポリTHF Bブロック共重合体として、また、ポリTHF Rランダム共重合体として、BASFから入手できる。これらの種々のポリエーテル中間体は、一般に、末端官能基のアッセイで決定される数平均分子量(Mn)を有し、これは、700ダルトンより高い分子量、例えば、約700〜約10,000ダルトン、望ましくは、約1000〜約5,000ダルトン、好ましくは、約1000〜約2500ダルトンの平均分子量である。
【0021】
本発明は、2種またはそれ以上のポリエーテル中間体のブレンドであり、一方のポリエーテルは、他方のポリエーテルよりも高い分子量である。分子量が低いポリエーテルは、700〜1500ダルトンの分子量Mnを有するのに対して、分子量が高いポリエーテルは、約1500〜約4000ダルトン、好ましくは、約1800〜約2500ダルトンの分子量Mnを有する。このブレンドは、1200ダルトンより高い重量平均分子量、好ましくは、1500ダルトンより高い重量平均分子量を有する。例えば、70重量%の2000Mnポリエーテルと30重量%の1000Mnポリエーテルとのブレンドの1000グラム試料は、この1000グラム混合物中にて、2成分の1538ダルトンの重量平均Mnを有する。この2000Mnポリエーテル成分は、0.35モル(1000×0.7/2000)を有する。この1000Mnポリエーテル成分は、0.3モル(1000×0.3/1000)を有する。全体のモル数は、この1000グラム試料にて、0.65(0.35+0.3)モルであり、(1000/0.65)、すなわち、1538Mnの重量平均Mnを有する。
【0022】
このブレンド中の第一ポリエーテルヒドロキシル末端中間体と第二ヒドロキシル末端中間体との重量比は、約60:40〜約90:10、好ましくは、約70:30〜90:10である。第一ポリエーテル中間体の量は、第二中間体の量より多い。
【0023】
本発明のTPU重合体を製造する必要な第二の成分は、ポリイソシアネートである。
【0024】
本発明のポリイソシアネートは、一般に、式R(NCO)を有し、ここで、nは、一般に、2〜4であり、2は、その組成物が熱可塑性である限り、非常に好ましい。それゆえ、3または4の官能性を有するポリイソシアネートは、それらが架橋を引き起こす限り、全ポリイソシアネートの全重量に基づいて、非常に少量、例えば、5%未満、望ましくは、2重量%未満で使用される。Rは、芳香族、環状脂肪族および脂肪族、またはそれらの組み合わせであり得、これらは、一般に、全体で、2個〜約20個の炭素原子を有する。適当な芳香族ジイソシアネートの例には、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、H12MDI、m−キシリレンジイソシアネート(XDI)、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、フェニレン−1,4−ジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)およびジフェニルメタン−3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネート(TODI)が挙げられる。適当な脂肪ジイソシアネートの例には、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラメチルヘキサン(TMDI)、1,10−デカンジイソシアネートおよびトランス−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)が挙げられる。非常に好ましいジイソシアネートは、約3重量%未満のオルト−パラ(2,4)異性体を含有するMDIである。2種またはそれ以上のポリイソシアネートのブレンドは、使用され得る。
【0025】
本発明のTPU重合体を製造するのに必要な第三の成分は、鎖延長剤である。適当な鎖延長剤には、約2個〜約10個の炭素原子を有する低級脂肪族または短鎖グリコールがあり、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキシルジメチロールのシス−トランス−異性体、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオールおよび1,5−ペンタンジオールが挙げられる。芳香族グリコールもまた、この鎖延長剤として使用でき、高熱用途に好ましい選択である。ベンゼングリコール(HQEE)およびキシレングリコールは、本発明のTPUを製造する際に使用するのに適当な鎖延長剤である。キシレングリコールは、1,4−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンおよび1,2−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼンの混合物である。ベンゼングリコールは、好ましい芳香族鎖延長剤であり、具体的には、ヒドロキノン、すなわち、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(これはまた、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとして、知られている);レゾルシノール、すなわち、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(これはまた、1,3−ジ(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンとして、知られている);カテコール、すなわち、ビス(β−ヒドロキシエチル)エーテル(これはまた、1,2−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとして、知られている);およびそれらの組み合わせが挙げられる。高熱耐性繊維には、ベンゼングリコール(HQEE)は、望ましい鎖延長剤である。HQEEの異性体と共にHQEEを使用することにより、優れた結果が得られる。
【0026】
上記鎖延長剤と共に、共鎖延長剤を使用するのが好ましい。この共鎖延長剤は、鎖延長剤として上で記述した物質の1つであり得る。この共鎖延長剤は、好ましくは、TPUの結晶化速度を遅らせてTPUの高温溶融ピークをなくすことができる物質から選択される。分枝化合物(例えば、ジプロピレングリコールおよびネオペンチルグリコール)は、優れた共鎖延長剤である。また、高熱用途には、HQEEの異性体(例えば、ヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER))は、非常に有効な共鎖延長剤である。共鎖延長剤を使用するとき、使用するレベルは、鎖延長剤および共鎖延長剤の全モル数の約2〜約50モルパーセント、好ましくは、10〜30モルパーセントである。
【0027】
2種またはそれ以上の鎖延長剤のブレンドは、もし望ましいなら、2種またはそれ以上の共鎖延長剤のブレンドと併用できる。しかしながら、簡単にするために、通常、1種の鎖延長剤が1種の共鎖延長剤と併用される。
【0028】
上記3種の必須成分(異なるMnのポリエーテル中間体、ポリイソシアネートおよび鎖延長剤のブレンド)は、好ましくは、触媒の存在下にて、反応される。
【0029】
一般に、このジイソシアネートとポリエーテル中間体または鎖延長剤とを反応させるために、任意の通常の触媒が使用でき、同じことは、当該技術分野および文献で周知である。適当な触媒の例には、ビスマスまたはスズの種々のアルキルエーテルまたはアルキルチオールが挙げられ、ここで、そのアルキル部分は、1個〜約20個の炭素原子を有し、具体例には、オクタン酸ビスマス、ラウリン酸ビスマスなどが挙げられる。好ましい触媒には、種々のスズ触媒(例えば、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズジラウレートなどが挙げられる。このような触媒の量は、一般に、少なく、例えば、このポリウレタンを形成する単量体の全重量を基準にして、約20〜約200ppmである。
【0030】
本発明のポリエーテルTPU重合体は、当該技術分野および文献で周知である通常の重合方法のいずれかにより、製造できる。
【0031】
本発明の熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは、「ワンショット」プロセスにより製造され、ここで、全ての成分は、加熱した押出機に同時または実質的に同時に加えられ、そして反応されて、このポリウレタンを形成する。このジイソシアネートとヒドロキシル末端ポリエーテル中間体およびジオール鎖延長剤の全当量との当量比は、一般に、約0.95〜約1.10、望ましくは、約0.97〜約1.03、好ましくは、約0.97〜約1.00である。この当量比は、このTPUが繊維紡糸工程中に架橋剤との反応を高める末端水酸基を有するように、1.0未満であるのが好ましい。形成されるTPUのショアA硬度は、最も望ましい溶融紡糸繊維を得るために、65A〜95A、好ましくは、約75A〜約85Aである。ウレタン触媒を使用する反応温度は、一般に、約175℃〜約245℃、好ましくは、約180℃〜約220℃である。この熱可塑性ポリウレタンの分子量(Mw)は、ポリスチレン標準と比べたGPCで測定したとき、一般に、約25,000〜約300,000、望ましくは、約50,000〜約200,000、好ましくは、約75,000〜約150,000である。好ましいMwは、TPU繊維に対して従来推奨された値より低いが、Mwが低いと、このTPUと架橋剤との良好な混合が可能となり、優れた繊維紡糸が得られる。
【0032】
この熱可塑性ポリウレタンはまた、プレポリマープロセスを使用して、調製できる。そのプレポリマー経路では、このヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、一般に、過剰当量のポリイソシアネートと反応されて、その中に遊離または未反応のポリイソシアネートを有するプレポリマー溶液を形成する。反応は、一般に、適当なウレタン触媒の存在下にて、約80℃〜約220℃、好ましくは、約150℃〜約200℃の温度で、実行される。引き続いて、そのイソシアネート末端基だけでなく任意の遊離または未反応ジイソシアネート化合物に一般に等しい当量で、上で述べた選択型の鎖延長剤が加えられる。全ジイソシアネートとヒドロキシル末端ポリエーテルおよび鎖延長剤の全当量との全当量比は、それゆえ、約0.95〜約1.10、望ましくは、約0.98〜約1.05、好ましくは、約0.99〜約1.03である。このヒドロキシル末端ポリエーテルと鎖延長剤との当量比は、65A〜95A、好ましくは、75A〜85Aのショア硬度を与えるように、調節される。この鎖伸長反応の温度は、一般に、約180℃〜約250℃であり、約200℃〜約240℃が好ましい。典型的には、そのプレポリマー経路は、任意の通常の装置にて実行でき、押出機が好ましい。それゆえ、これらのポリエーテル中間体は、この押出機の第一部分にて、過剰当量のジイソシアネートと反応されて、プレポリマー溶液を形成し、引き続いて、下流部分にて、この鎖延長剤が加えられ、このプレポリマー溶液と反応される。任意の通常の押出機が使用でき、押出機は、少なくとも20、好ましくは、少なくとも25の長さ:直径比を有するバリアスクリューを有する。このプレポリマー方法は、上記ワンショットプロセスで記述されているように、このTPUの高温溶融ピークを下げて、共鎖延長剤の必要性をなくすことができる。
【0033】
有用な添加剤は、適当な量で使用でき、これには、顔料、着色剤、鉱物性充填剤、安定剤、潤滑剤、UV吸収剤、加工助剤、および所望の他の添加剤が挙げられる。有用な不透明顔料には、二酸化チタン、酸化亜鉛およびチタネートイエローが挙げられるのに対して、有用な着色顔料には、カーボンブラック、黄色酸化物、褐色酸化物、生および燃焼したシエナまたはアンバー、酸化クロムグリーン、カドミウム顔料、クロム顔料、および他の混合した金属酸化物および有機顔料が挙げられる。有用な充填剤には、ケイ藻土(スーパーフロス)粘土、シリカ、タルク、マイカ、ワロストナイト(wallostonite)、硫酸バリウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。もし望ましいなら、有用な安定剤(例えば、酸化防止剤)が使用でき、これには、フェノール性酸化防止剤が挙げられるのに対して、有用な光安定剤には、有機ホスフェートおよび有機スズチオラート(メルカプチド)が挙げられる。有用な潤滑剤には、ステアリン酸金属、パラフィンオイルおよびアミドワックスが挙げられる。有用なUV吸収剤には、2−(2’−ヒドロキシフェノール)ベンゾトリアゾールおよび2−ヒドロキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0034】
可塑剤添加剤もまた、特性に影響を与えることなく、硬度を下げるために、有利に使用できる。
【0035】
この溶融紡糸プロセス中にて、上記TPU重合体は、架橋剤で軽く架橋される。この架橋剤は、ヒドロキシル末端中間体のプレポリマーであり、これは、ポリイソシアネートと反応されたポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン、またはそれらの混合物である。ポリエステルまたはポリエーテルは、この架橋剤を製造するのに好ましいヒドロキシル末端中間体である。この架橋剤、プレポリマーは、約1.0、好ましくは、約1.0〜約3.0、さらに好ましくは、約1.8〜約2.2のイソシアネート官能性を有する。もし、ヒドロキシル末端中間体の両方の末端がイソシアネートでキャップ化され、それにより、2.0のイソシアネート官能性を有するなら、特に好ましい。
【0036】
この架橋剤を製造するのに使用されるポリイソシアネートは、TPU重合体を製造する際に上で記述したものと同じである。ジイソシアネート、例えば、MDIは、好ましいジイソシアネートである。
【0037】
この架橋剤を製造するのに使用されるヒドロキシル末端ポリエステル中間体は、一般に、約500〜約10,000、望ましくは、約700〜約5,000、好ましくは、約700〜約4,000の数平均分子量(Mn)および一般に、1.3未満、好ましくは、0.8未満の酸価を有する直鎖または分枝ポリエステルである。この分子量は、その末端官能基のアッセイにより決定され、この数平均分子量と関連している。これらの重合体は、(1)1種またはそれ以上のグリコールと1種またはそれ以上のジカルボン酸または無水物とのエステル化反応により、または(2)エステル交換反応、すなわち、1種またはそれ以上のグリコールとジカルボン酸のエステルの反応により、生成される。主に末端水酸基を有する直鎖を得るために、一般に、1モルより過剰のグリコール:酸のモル比が好ましい。適当なポリエステル中間体には、また、種々のラクトン(例えば、ポリカプロラクトン)が挙げられ、これらは、典型的には、ε−カプロラクトンおよび二官能性開始剤(例えば、ジエチレングリコール)から製造される。所望のポリエステルのジカルボン酸は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族またはそれらの組み合わせであり得る。単独でまたは混合物中で使用され得る適当なジカルボン酸は、一般に、全体で4個〜15個の炭素原子を有し、これには、以下が挙げられる:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸など。上記ジカルボン酸の無水物(例えば、無水フタル酸、無水テレフタル酸など)もまた、使用できる。アジピン酸は、好ましい酸である。反応して所望のポリエステル中間体を形成するグリコールは、脂肪族、芳香族、またはそれらの組み合わせであり得、全体で、2個〜12個の炭素原子を有し、これには、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2、2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノー、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールおよびネオペンチルグリコールとの混合物は、好ましいグリコールである。
【0038】
米国特許第4,131,731号の内容は、ヒドロキシル末端ポリカーボネートおよびそれらの調製の開示について、本明細書中で参考として援用されている。このようなポリカーボネートは、直鎖であり、そして他の末端基を事実上排除して、末端水酸基を有する。事実上の反応物は、グリコールおよびカーボネートである。適当なグリコールは、4個〜40個の炭素原子、好ましくは、4個〜12個の炭素原子を含有する環状脂肪族および脂肪族ジオール、および1分子あたり2個〜20個のアルコキシ基を含有するポリオキシアルキレングリコール(各アルコキシ基は、2個〜4個の炭素原子を含有する)から選択される。本発明で使用するのに適当なジオールには、4個〜12個の炭素原子を含有するジオール(例えば、ブタンジオール−1,4、ペンタンジオール−1,4、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール−1,6,2,2,4−トリメチルヘキサンジオール−1,6、デカンジオール−1,10、水素化ジオレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール;および環状脂肪族ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール−1,3、ジメチロールシクロヘキサン−1,4、シクロヘキサンジオール−1,4、ジメチロールシクロヘキサン−1,3,1,4−エンドメチレン−2−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルシクロヘキサンおよびポリアルキレングリコール)が挙げられる。この反応で使用されるジオールは、最終生成物で望ましい特性に依存して、単一ジオールまたはジオールの混合物であり得る。
【0039】
ヒドロキシル末端であるポリカーボネート中間体には、一般に、当該技術分野および文献で公知のものがある。適当なカーボネートは、以下の一般式の5〜7員環から構成されるアルキレンカーボネートから選択される:
【0040】
【化1】

ここで、Rは、2個〜6個の直鎖炭素原子を含有する飽和二価ラジカルである。本明細書中で使用するのに適当なカーボネートには、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、1,2−エチレンカーボネート、1,3−ペンチレンカーボネート、1,4−ペンチレンカーボネート、2,3−ペンチレンカーボネートおよび2、4−ペンチレンカーボネートが挙げられる。
【0041】
また、本明細書中では、ジアルキルカーボネート、環状脂肪族カーボネートおよびジアリールカーボネートが適当てある。これらのジアルキルカーボネートは、各アルキル基にて、2個〜5個の炭素原子を含有でき、それらの具体例には、ジエチルカーボネートおよびジプロピルカーボネートがある。環状脂肪族カーボネート、特に、ジ環状脂肪族カーボネートは、各環状構造にて、4個〜7個の炭素原子を含有でき、このような構造の1種または2種が存在できる。一方の基が環状脂肪族であるとき、他方の基は、アルキルまたはアリールのいずれかであり得る。他方、もし、一方の基がアリールであるなら、他方は、アルキルまたは環状脂肪族であり得る。ジアリールカーボネート(これらは、各アリール基にて、6個〜20個の炭素原子を含有できる)の好ましい例には、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネートおよびジナフチルカーボネートがある。
【0042】
この反応は、10:1〜1:10、好ましくは、3:1〜1:3のモル範囲で、100℃〜300℃の温度および0.1〜300mm水銀の圧力で、エステル交換触媒の存在下または非存在下にて、低沸騰グリコールを蒸留で除去しつつ、グリコールとカーボネート(好ましくは、アルキレンカーボネート)とを反応させることにより、実行される。
【0043】
さらに具体的には、これらのヒドロキシル末端ポリカーボネートは、二段階で調製される。第一段階では、グリコールは、アルキレンカーボネートと反応されて、低分子量ヒドロキシル末端ポリカーボネートが形成される。この低沸騰グリコールは、100℃〜300℃、好ましくは、150℃〜250℃で、、10〜30mmHg、好ましくは、50〜200mmHgの減圧下にて蒸留することにより、除去される。その反応混合物から副生成物を分離するために、精留塔が使用される。副生成物であるグリコールは、この精留塔の上部から取り出され、そして未反応のアルキレンカーボネートおよびグリコール反応物は、還流しつつ、その反応容器に戻される。副生成物であるグリコールが形成されたときに、その除去を促進するために、不活性気体または不活性溶媒の流れが使用できる。得られた副生成物であるグリコールの量により、このヒドロキシル末端ポリカーボネートの重合度が2〜10の範囲であるとき、その圧力は、徐々に、0.1〜10mmHgに低下され、そして未反応グリコールおよびアルキレンカーボネートが除去される。このことは、反応の第二段階を示し、この間、低分子量ヒドロキシル末端ポリカーボネートは、100℃〜300℃、好ましくは、150℃〜250℃および0.1〜10mmHgの圧力で、所望の分子量のヒドロキシル末端ポリカーボネートが得られるまで、グリコールが形成されるにつれてそれを留去することにより、縮合される。これらのヒドロキシル末端ポリカーボネートの分子量(Mn)は、約500〜約10,000で変えることができるが、好ましい実施態では、それは、500〜2500である。
【0044】
もし、ポリエーテル架橋剤が望ましいなら、それは、TPU重合体を製造するための上記ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体から製造され、そしてポリイソシアネートと反応されて、プレポリマーが形成される。
【0045】
これらの架橋剤は、約1,000〜約10,000、好ましくは、約1,200〜約4,000、さらに好ましくは、約1,500〜約2,800の数平均分子量(Mn)を有する。約1500より高いMnを有する架橋剤は、良好な固化特性を与える。
【0046】
TPU重合体と併用される架橋剤の重量パーセントは、約5.0%〜約20%、好ましくは、約8.0%〜約15%、さらに好ましくは、約10%〜約13%である。使用される架橋剤のパーセントは、TPU重合体および架橋剤の全重量に基づいた重量パーセントである。
【0047】
TPU繊維を製造する溶融紡糸プロセスは、前成形したTPU重合体を給送する工程を包含し、これは、通常、押出機で溶融され、そしてTPU溶融物が押出機を出て行く地点の近くの下流で連続的に、またはTPU溶融物を出て行った後に、加えられる。この架橋剤は、その溶融物が押出機を出て行く前または溶融物が押出機を出て行った後に、この押出機に加えることができる。もし、この溶融物が押出機を出て行った後に加えられるなら、この架橋剤は、架橋剤がTPU重合体溶融物に正しく混合されることを保証するために、スタティックまたはダイナミックミキサーを使用して、そのTPU溶融物と混合される。通常、マニホールドから流れるそれぞれ異なる流れに対して、溶融ポンプが存在しており、各溶融ポンプは、数個の紡糸口金を給送する。この紡糸口金は、小穴を有し、この溶融物は、強制的にそこを通って、繊維の形状で、紡糸口金を出て行く。この紡糸口金にある穴の大きさは、この繊維の所望の太さ(デニール)に依存している。この繊維は、紡糸口金を離れるにつれて、引き出されるか伸展された後、ボビン上に巻き付けられる。これらの繊維は、紡糸口金を出て行く繊維よりも速い速度でボビンに巻き付けることにより、伸展される。これらの溶融紡糸TPU繊維について、これらのボビンは、通常、紡糸口金を出て行く繊維の4〜6倍の速度で、巻き付けられる。典型的なボビン巻き付け速度は、100〜3000メートル/分で変えることができるが、TPU溶融紡糸繊維にさらに典型的な速度は、300〜1200メートル/分である。冷却した後、ボビンに巻き付ける直前に、これらの繊維の表面には、仕上げオイル(例えば、シリコーンオイル)が加えられる。
【0048】
この溶融紡糸法の重要な局面は、このTPU溶融物を架橋剤と混合することにある。均一な繊維特性を得るために、また、繊維が破断することなく長い実行時間を得るために、正しい均一な混合が重要である。このTPU溶融物および架橋剤の混合は、プラグフローを達成する方法(すなわち、先入れ先出し法)とするべきである。この正しい混合は、ダイナミックミキサーまたはスタティックミキサーを使って、達成できる。スタティックミキサーの方が、清浄にするのが困難である;従って、ダイナミックミキサーが好ましい。フィードスクリューおよび混合ピンを有するダイナミックミキサーは、好ましいミキサーである。米国特許第6,709,147号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)は、このようなミキサーを記述しており、これは、回転できる混合ピンを有する。これらの混合ピンはまた、定位置にされ得、例えば、このミキサーのバレルに装着でき、そしてフィードスクリューの中心線に向かって伸長している。この混合フィードスクリューは、ネジ山により、その押出機のスクリューの末端に装着でき、このミキサーのハウジングは、この押出機にボルトで留めることができる。このダイナミックミキサーのフィードスクリューは、その重合体溶融物のプラグフローを達成するために後方混合が非常に少ない進行的様式でこの溶融物を移動する設計とするべきである。この混合スクリューのL/Dは、3よりの高く30未満、好ましくは、約7〜約20、さらに好ましくは、約10〜約12であるべきである。
【0049】
このTPU重合体溶融物が架橋剤と混合される混合ゾーンの温度は、約200℃〜約240℃、好ましくは、約210℃〜約225℃である。これらの温度は、この重合体を劣化されることなく、この反応を得るのに必要である。
【0050】
形成されたTPUは、この繊維紡糸工程中にて、この架橋剤と反応されて、繊維形状のTPUの分子量(Mw)を約200,000〜約800,000、好ましくは、約250,000〜約500,000、さらに好ましくは、約300,000〜約450,000にする。このTPUが紡糸口金を出て行く地点にて、この繊維紡糸工程におけるTPUと架橋剤との間の反応は、20%より高く、好ましくは、約30%〜約60%、さらに好ましくは、約40%〜約50%である。このTPU重合体と架橋剤との間の典型的な従来のTPU溶融紡糸反応は、20%未満、通常、約10〜15%の反応である。この反応は、そのNCO基の消失により、判定される。本発明の反応%が高いことによって、溶融物の強度が向上し、それにより、高い紡糸温度が可能となり、これは、このTPUの紡糸性能を改善する。これらの繊維は、通常、オーブンにおいて、ボビン上で、熟成されて、この反応を十分に完結させ、それにより、この繊維は、衣服に使用するとき、そのNCO基が消失する。
【0051】
この紡糸温度(紡糸口金における重合体溶融物の温度)は、その重合体の融点より高くするべきであり、好ましくは、この重合体の融点より約10℃〜約20℃高くするべきである。高い紡糸温度を使用できるほど、紡糸が良好となる。しかしながら、もし、この紡糸温度が高すぎるなら、この重合体は、劣化し得る。従って、このTPU重合体の融点よりも約10℃〜約20℃高い温度は、その重合体を劣化させることなく良好な紡糸のバランスを保つために、最適である。もし、この紡糸温度が低すぎるなら、重合体は、紡糸口金で固化して、繊維の破断を引き起こし得る。本発明により製造される繊維の紡糸温度は、200℃より高く、好ましくは、約205℃〜約220℃である。
【0052】
溶融紡糸TPU繊維を製造する重要な局面は、その工程を停止なしで連続的に実行できる時間である。この工程を停止する必要があると、通常、繊維の破断を生じる結果となる。繊維の破断は、紡糸口金での圧力が許容できないレベルまで高まるときに、起こる。この圧力が1cmあたり約140〜200Kgの力に達するとき、通常、繊維の破断が起こる。圧力の蓄積は、いくつかの理由(例えば、間違った混合)のために起こり得、この架橋剤の自己反応が原因で生成物が形成され、それにより、この紡糸口金にある繊維用の小穴が部分的に閉塞される。本発明は、繊維の破断を生じる過度に有害な圧力の蓄積が起こるまでに、ずっと長い実行時間がある。
【0053】
溶融紡糸TPU繊維は、種々のデニールで、製造できる。デニールとは、繊維の太さを表わす技術用語である。デニールは、9000メートルの繊維長の重さ(グラム)である。典型的な溶融紡糸TPU繊維は、240未満のデニールサイズ、さらに典型的には、10から240デニール未満の太さで製造され、20および40デニールが普及した太さである。
【0054】
これらの弾性TPU繊維は、種々の衣料品を製造するために、他の繊維(例えば、天然および合成繊維)と編むか織ることにより、組み合わせて使用される。これらのTPU繊維は、種々の色に染色できる。
【0055】
本発明の溶融紡糸弾性TPU繊維は、通常、種々の最終用途の製品(衣服)を製造するために、他の繊維(例えば、木綿、ナイロンまたはポリエステル)と編むか織ることにより、組み合わされる。この最終用途での溶融紡糸弾性繊維の重量%は、所望の弾性に依存して、変えることができる。例えば、織布は、1〜8重量%、下着は、2〜5重量%、水着およびスポーツウェアは、8〜30重量%、ファンデーションガーメントは、10〜45重量%、そして医療用長靴下は、35〜60重量%の弾性溶融紡糸繊維を有し、残りの量は、他の種類の非弾性繊維である。
【0056】
従来の溶融紡糸TPU繊維は、通常、ポリエステルを染色するのに高温が必要であるために、ポリエステル繊維と併用されない。ポリエステル繊維は、分散染料を使用し、通常、60分間にわたって、120℃〜135℃、典型的には、約130℃で染色される。従来の溶融紡糸TPU繊維は、それらの物理的特性(例えば、張力(靱性)およびパーセントセット(percent set))を失うことなく、60分間にわたって、この程度の温度に耐えることができない。
【0057】
本発明の溶融紡糸TPU繊維は、高い耐熱性があるので、弾性を残す十分な物理的特性を保持しつつ、ポリエステル繊維の染色操作に耐えることができる。
【0058】
本発明の高耐熱性の溶融紡糸TPU繊維の他の特徴は、それらが分散染料を捕捉する性能である。これらの繊維の染料捕捉は、1.6重量%より高く、好ましくは、2.0重量%より高い。本発明の繊維はまた、洗浄後、染料の保持が良好である。この染料捕捉および染料保持は、Lycra(登録商標)T162C(E.I.DuPont製の乾燥紡糸TPU)の値のほぼ2倍である。
【0059】
本発明のさらに他の利点は、漂白剤に対する耐性である。漂白剤中の塩素により引き起こされる劣化は、乾燥紡糸TPU(例えば、Lycra(登録商標))の大きな問題である。漂白剤は、繊維のパワーおよび靱性を壊す。これは、水泳プールが塩素を含んでいるので、水着にとって大きな問題である。Lyera(登録商標)は、漂白剤に晒したときのセット%を非常よく保持しているものの、その靱性およびパワーは、相当程度まで劣化し、それにより、この衣服の寿命は、望ましい寿命よりも短い。本発明は、ポリウレタンをベースにした弾性繊維を提供し、これは、70℃で8%の塩素漂白剤溶液に7時間晒したとき、その靱性およびパワーの50パーセントより高い靱性およびパワーを保持している。最も好ましい実施態様では、この繊維は、70℃で8%の塩素漂白剤溶液に7時間晒したとき、その初期靱性の60%より高い靱性および初期パワーの80%より高いパワーを保持している。
【0060】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、さらによく理解される。
【実施例】
【0061】
実施例1は、従来のTPUの比較例であり、これは、単一ポリエーテル中間体および脂肪族鎖延長剤を使うTPUの製造を示す。実施例2もまた比較例であり、これは、共鎖延長剤と共にポリエーテル中間体および芳香族鎖延長剤を使うTPUの製造を示す。実施例3は、ポリエーテル中間体および芳香族鎖延長剤を混合した本発明のTPUである。実施例4は、本発明の最も好ましいTPUであり、これは、共鎖延長剤と共にポリエーテル中間体および芳香族鎖延長剤を混合したTPUである。実施例5は、実施例5が低い分子量のポリエーテル中間体を有すること以外は、実施例4と類似している。実施例6は、従来のTPUの比較例であり、これは、ポリエステル中間体および脂肪族鎖延長剤を示す。実施例7は、実施例1〜6のTPUの各々から溶融紡糸した繊維を示し、この場合、このTPU溶融物には、10重量%の架橋剤を加えた。実施例8は、Lycra(乾燥紡糸)と比較して、本発明の繊維の繊維染色および染料捕捉、洗浄後の染料の色固定、および漂白剤耐性を示す。実施例9は、そのTPUが混合ポリエーテル中間体を有するときに繊維紡糸時間が著しく改善されることを示す。
【0062】
(実施例1(比較例))
以下の120℃予熱混合物:68.5重量部の分子量(Mn)2000のポリエーテル中間体(PTMEG)、5.82重量部の1,4−ブタンジオール(BDO)鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、25.07重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、300,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0063】
(実施例2(比較例))
以下の120℃予熱混合物:76.0761重量部の分子量(Mn)2000のポリエーテル中間体(PTMEG)、5.116重量部のベンゼングリコール(HQEE)鎖延長剤、1.2435重量部のヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER)共鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、17.5440重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、150,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0064】
(実施例3)
以下の120℃予熱混合物:54.8968重量部の分子量(Mn)2000のポリエーテル中間体(PTMEG)、23.5272重量部の分子量(Mn)1000のポリエーテル中間体(PTMEG)、8.2149重量部のベンゼングリコール(HQEE)鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、21.5760重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、150,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0065】
(実施例4)
以下の120℃予熱混合物:60.1952重量部の分子量(Mn)2000のポリエーテル中間体(PTMEG)、10.6227重量部の分子量(Mn)1000のポリエーテル中間体(PTMEG)、6.6878重量部のベンゼングリコール(HQEE)鎖延長剤、1.6719重量部のヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER)共鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、20.82重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、150,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0066】
(実施例5)
以下の120℃予熱混合物:59.8450重量部の分子量(Mn)2000のポリエーテル中間体(PTMEG)、14.9612重量部の分子量(Mn)1000のポリエーテル中間体(PTMEG)、5.003重量部のベンゼングリコール(HQEE)鎖延長剤、1.2508重量部のヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER)共鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、18.94重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、150,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0067】
(実施例6(比較例))
以下の120℃予熱混合物:75.5200重量部の分子量(Mn)2500のポリエーテル中間体(PTMEG)、4.48重量部の1,4−ブタンジオール(BDO)鎖延長剤、0.3重量部の酸化防止剤および0.3重量部のUV安定剤を、200℃の温度で、40mm共回転二軸スクリュ押出機にて、触媒として作用する50ppmオクタン酸第一スズの存在下にて、20重量部のMDIおよび0.4重量部の潤滑剤と反応させた。得られた重合体を水中でペレット状にし、そして105℃で加熱したサイロで集めて、その生成物を乾燥した。得られたTPUは、300,000ダルトンの分子量(Mn)を有し、そして実施例7にて、溶融紡糸繊維を製造するのに使用した。
【0068】
(実施例7)
本実施例は、溶融紡糸法により40デニールの繊維に製造した実施例1〜6のTPU重合体を示すために、提示する。これらのTPU重合体の各々には、このTPU重合体および架橋剤の全重量あたり、10重量%の架橋剤を使用して、これらのTPU繊維を軽く架橋した。実施例1、3、4および6のTPU重合体は、ポリエステル架橋剤(Hyperlast(登録商標)5255)を使用したのに対して、実施例2および5は、ポリエーテル架橋剤(Hyperlast(登録商標)5200)を使用した。このポリエステルおよびポリエーテル架橋剤のり両方は、2500のMnを有する。
【0069】
実施例1〜6のTPU重合体を、真空バッチ式乾燥機にて、80℃で、12時間予備乾燥した。乾燥後、このTPU重合体を、1.25インチの一軸スクリュー押出機(これは、24のL/Dを有する)にて、溶融した。この押出機の出口における背圧を、ループコントロールを使って、一定に保った。この押出機は、4つの加熱ゾーンを有し、これらは、180℃と219℃の間で維持した。この押出機を出ると、このTPU重合体溶融物を10重量%のプレポリマー架橋剤(実施例1、3、4および6のTPUについては、ポリエステル型、そして実施例2および5については、ポリエーテル型)と混合した。この架橋剤は、ダイナミックミキサーにて、このTPU重合体溶融物と混合し、次いで、マニホールドを通って、32個の紡糸口金にポンプ上げした。各紡糸口金は、0.5mmのオリフィスサイズを有していた。この紡糸口金を出て行く重合体の流れを空気で冷却し、シリコン仕上げオイルを塗布し、形成された繊維を、480メートル/分の巻き付け速度で、ボビンに巻き付けた。ボビン上の繊維を、80℃で、24時間加熱熟成した後、これらの繊維の物理的特性を試験した。それらの結果は、以下の表1で示す。
【0070】
実施例1〜6の重合体により製造された40デニールのTPU溶融紡糸繊維を、それらの弾性について、試験した。Table Top Model 5564 Instron(これは、繊維の滑りおよび「アトグリップ」破断を防止するために、引張り/圧縮荷重計(10N最大静荷重能)および空気ヤーングリップを備え付けている)を使用して、繊維の張力(靱性)特性を測定した。
【0071】
使用した試験手順は、衣服で使用される弾性ヤーン用にDuPontにより開発されたものであり、これは、伸展からの良好な回復または良好な保持力のいずれかを必要とする。この試験では、繊維を一連の5つのサイクルにかける。各サイクルでは、この繊維を交互に300%の伸び率まで伸展し、そして一定伸長速度(初期ゲージ長と300%の伸び率との間)を使用して、緩和した。そのセット%は、5番目のサイクルが完了した後に、測定する。次いで、その繊維試験片を6番目のサイクルに通し、そして破断するまで伸展する。機器は、各伸長時の荷重、破断前の最大荷重、および1デニールあたりのグラム力の単位での破断荷重だけでなく、破断伸び率および最大荷重での伸び率を記録する。
【0072】
その試験条件は、23℃±2℃;50%±5%湿度であった。試験片の繊維長は、50.0mmであった。3個の試験片を試験し、その結果を平均した。これらの結果は、表1で示す。
【0073】
【表1】

表1のデータは、ポリエーテル中間体(70%の2000Mn PTMEGおよび30%の1000Mn PTMEG)と芳香族鎖延長剤(HQEE)との混合物が、高い比率の2000Mn(85%の2000Mn PTMEGおよび15%の1000Mn PTMEG)と2種の鎖延長剤(80%のHQEEおよび20%のHER)とを使って製造されたTPU繊維よりも高いパーセントセットを与えることを示している。実施例3のTPUから得た繊維は、許容できるが、実施例4のTPUから得た繊維ほど好ましくない。そのパワー(5回目の荷重、300%)もまた、実施例3、4および5のTPU(本発明)については、実施例1、2および6のTPUよりも大きい。
【0074】
(実施例8)
本実施例は、130℃で60分間染色した後(ポリエステル繊維の染色条件)の溶融紡糸繊維の物理的特性を示すために、また、染料捕捉、色固定(洗浄後)および漂白剤耐性を示すために、提示されている。使用した染料は、濃青色の分散染料Terasil(登録商標)W(Ciba製)であった。染料液中で、織物の重量をベースにして、2重量%の染料を使用した。その染料液1000gは、脱イオン水996g、拡散促進剤2g、緩衝液2gおよび金属不純物捕捉剤0.005gを含有していた。この染料液1000gに、濃青色染料(Terasil W)0.2gを加えた。青色染料の選択は、暗い陰影が明るい陰影よりも染料の被覆範囲において不均一性の問題を多く引き起こすという事実により、誘導された。使用した研磨液は、NaCO(6g)、NaOH(50%)(2g)および脱イオン水992gであった。これらの成分を共に混合し、そして完全に溶解するまで、50℃まで加熱した。使用した還元研磨液は、脱イオン水900g中のヒドロ亜硫酸ナトリウム(10%溶液)100gであった。これらの成分を、50℃で、完全に溶解するまでよく混合して、この還元研磨液を形成した。その還元透明液は、上記還元研磨液40gと上記研磨液960gとを使用した。
【0075】
次いで、これらの繊維を研磨し、染色し、そしてRotodyer HT(登録商標)染色機(SDL America Inc.製)を使用して、この還元透明液を塗布した。この機械は、単一浴(これは、ポリエチレングリコール300加熱液で満たした)から構成され、そして完全にプログラム化した浴温制御装置を備え付けている。約1gの重量の繊維試料をステンレス鋼チューブ(これは、適当な溶液で予め満たした)の内部に入れた。これらの繊維を、まず、70℃で、25分間にわたって、上記研磨液で研磨して、仕上げオイルおよび繊維上のいずれかの他の異物を除去した。次いで、これらの繊維を温水道水でリンスした。これらの繊維を、130℃で、60分間染色した。染色後、その染料液を、70℃で、20分間にわたって、還元透明液で置き換えて、過剰の染料を除去した。それ以上染料が滲み出なくなり希酢酸で中和されるまで、繊維試料を温水道水でリンスした。
【0076】
実施例1、3、4および6のTPU重合体を使用して、繊維を実施例7のように溶融紡糸し、そして130℃で60分間染色する前後の機械的特性について、DuPont Lycra T162C(乾燥紡糸繊維)と比較した。それらの結果を、表2にて、以下で示す。
【0077】
【表2】

表2のデータは、実施例6のTPUから製造した従来の繊維がポリエステル繊維の染色サイクル(130℃で60分間)に耐えることができないことを示している。染色後、この繊維は融合して、試験できなかった。実施例6のTPU(従来技術)は、ポリエステル中間体および脂肪族鎖延長剤(1,4−ブタンジオール)を使って製造した。その耐熱性は、ポリエステル繊維と配合して弾性繊維を製造するには、許容できないほどに低かった。また、実施例1のTPUから2000Mnのポリエーテル中間体(PTMEG)および脂肪族鎖延長剤(1,4−ブタンジオール)を使って製造した繊維は、染色後、実施例3および4のTPUから製造した繊維ほどにはパワーが良好ではなかった。染色後の%セットもまた、実施例1のTPUについては、実施例3および4のものよりも高かった。Lycra繊維の染色後のパワー損失もまた、実施例3および4(本発明)のTPU繊維よりも高かった。
【0078】
その重量%染料捕捉および洗浄後に保持される染料(色固定)もまた、実施例4のTPU重合体から実施例7に従って製造した繊維について測定し、そしてLycra(登録商標)T162C(乾燥紡糸)(DuPont製)と比較した。
【0079】
この重量%染料捕捉は、染色前後の繊維を秤量することにより決定し、染料捕捉量を計算した。この色固定は、水と0.4重量%のLiquid Tide(登録商標)洗浄剤との洗浄液にて洗浄することにより、決定した。この洗浄は、Rotodyer HT染色機(SDL America Inc.製)を使用して、50℃で、60分間行った。この繊維と洗浄剤との比は、1:45であった。AATCC Test Method 61−1996(例えば、もし行うなら、0.15%洗浄液での洗浄)は、約5回の家庭用機械洗浄サイクルに相当している。本実施例は、0.4重量%の洗浄液を使用したので、それは、5回の家庭用機械洗浄サイクルよりもずっと大きなものに等しい。
【0080】
この色固定は、光吸収により決定した。Igで染色して洗浄した繊維を、10mLメタノール溶液に30分間浸けた。2mL溶液を除去し、そして10mLメタノールで希釈し、その吸光度スペクトルを400nmと700nmの間で測定した。全ての抽出物の吸光度(これは、605nmでピークとなる)を測定し、全吸光度/試料1g/メタノール1gを計算した。それらの結果を、以下の表3で示す。
【0081】
【表3】

表3のデータから分かるように、本発明の繊維は、Lycra(1.3%)と比較してずっと大きい染料捕捉(2.5%)を有し、また、Lycraよりもずっと大きい色固定を有する。
【0082】
実施例4の重合体を使用して実施例7に従って製造した40デニールの繊維はまた、漂白剤耐性について評価し、そしてLycra(登録商標)T162C繊維(乾燥紡糸)と比較した。この漂白剤耐性試験は、70℃で、8%Cloroxo漂白剤溶液を使用した。これらの繊維を、70℃の8%漂白剤溶液に入れ、0時間、3時間および7時間晒した後、それらの機械的特性を測定した。それらの結果を、以下の表4で示す。
【0083】
【表4】

表4で示した結果から、実施例4のTPU重合体から製造した溶融紡糸繊維は、Lycra繊維よりもずっと優れた漂白耐性を有することが分かる。70℃で8%塩素漂白液に7時間晒した後、実施例4のTPU重合体を使った繊維は、Lycra試料の0.234gF/dの損失に比較して、0.064gF/dしかパワーを失わなかった。このことは、本発明の繊維の4つの改善点のうちの1つの因子を示している。塩素漂白液に晒した後の靱性の改善もまた、本発明の繊維とLycraとを比較したとき、極めて明らかである。
【0084】
(実施例9)
本実施例は、TPU中でポリエーテル中間体の混合物を使用することにより、その繊維の実行時間が大きく高められることを示すために、提示されている。実施例2および5のTPUを、実行時間について比較した。40デニールの繊維を実施例7のように製造し、その運転中にて、紡糸口金での圧力を測定した。
【0085】
単一ポリエーテル中間体(2000Mn PTMEG)(実施例2のTPU)を使ったTPUについて、その運転の開始時での紡糸パック圧力は、約30Kg/cmであった。21時間連続して運転した後、この圧力は、約45Kg/cmまで高まり、その後、急速に上昇し続けて、22時間後、100Kg/cmに達した。30時間後、この圧力は、140Kg/cmに達し、これらの繊維のいくつかは、破断し始めた。30時間後、繊維の破断のために、この運転を停止した。
【0086】
ポリエーテル中間体(80%の2000Mn PTMEGおよび20%の1000Mn PTMEG)(実施例5のTPU)の混合物を使ったTPUについて、その運転の開始時での紡糸パック圧力は、約80Kg/cmであった。50時間後、この紡糸パック圧力は、100Kg/cmまで上昇した。繊維の破断はなく、この運転は、出発物質が全て消費されたために、停止した。
【0087】
実施例2および5のTPUから製造した繊維を比較すると、溶融物の紡糸性能の差は、ポリエーテル中間体のブレンドから製造したTPUを使用したとき、極めて意外であることが分かる。実施例5のTPUは、圧力の蓄積が非常に僅かであるので、もし、この運転を継続するのに十分な材料が利用可能であったなら、おそらく、ずっと長時間にわたって実行できたと考えられる。単一ポリエーテル中間体を使ってTPUから製造した繊維は、良好な特性を有しているものの、溶融紡糸工程にて長い実行時間を得るためには、中間体のブレンドを使用することが必要である。長い実行時間は、商業規模の操作には、必須である。
【0088】
これらの実施例から得られたデータはまた、これらの溶融紡糸繊維をポリエステル繊維と配合可能にする高い耐熱性を得るためには、芳香族鎖延長剤を使用する必要があることを示している。このデータはまた、良好な紡糸操作を得るために、共鎖延長剤が望ましいことを示している。この共鎖延長剤は、このTPUの高い溶融ピークを下げ、それにより、この紡糸工程での完全な溶融を可能にすると考えられている。この共鎖延長剤は、もし、このTPU重合体をプレポリマー経路により製造したなら、それほど重要ではない。
【0089】
上記データから、これらの溶融紡糸繊維は、優れた弾性を有することが分かる。
【0090】
特許法に従って、最良の形態および好ましい実施態様が示されているものの、本発明の範囲は、それらには限定されず、むしろ、添付の請求の範囲の範囲で限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の反応生成物を含有する熱可塑性ポリウレタン重合体:
(a)第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体;
(b)第二ヒドロキシル末端中間体であって、該第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される;
(c)少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル末端鎖延長剤;および
(d)少なくとも1種のポリイソシアネート;
ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも多い量で存在しており、ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも高い数平均分子量を有し、ここで、該第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、1200ダルトンより高い、
熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項2】
(d)の前記ポリイソシアネートが、ジイソシアネートである、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項3】
前記ジイソシアネートが、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートである、請求項2に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項4】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、約1500〜約4000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項5】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、約1800〜約2500ダルトンの数平均分子量を有する、請求項4に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項6】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項5に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項7】
前記第二ヒドロキシル末端中間体が、ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項8】
前記第二ヒドロキシル末端中間体が、約700〜約1500ダルトンの数平均分子量を有する、請求項7に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項9】
前記第二ヒドロキシル末端中間体が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項8に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項10】
前記重合体が、約25,000〜約30,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項11】
前記重量平均分子量が、約50,000〜約200,000ダルトンである、請求項10に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項12】
前記重量平均分子量が、約75,000〜約150,000ダルトンである、請求項11に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項13】
前記第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、1500ダルトンより高い、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項14】
前記芳香族ヒドロキシ末端鎖延長剤が、ベンゼングリコール(HQEE)である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項15】
前記芳香族ヒドロキシ末端鎖延長剤が、ベンゼングリコール(HQEE)とヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER)とのブレンドである、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項16】
HQEEとHERとのモル比が、約98:2〜約50:50である、請求項15に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項17】
HQEEとHERとのモル比が、約70:30〜約90:10である、請求項16に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項18】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体と前記第二ヒドロキシル末端中間体との重量比が、約60:40〜約90:10である、請求項1に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項19】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体と前記第二ヒドロキシル末端中間体との重量比が、約70:30〜約85:15である、請求項18に記載の熱可塑性ポリウレタン重合体。
【請求項20】
以下の反応生成物を含有する溶融紡糸熱可塑性繊維:
(a)以下の反応により形成されるTPU重合体:
(i)第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体;
(ii)第二ヒドロキシル末端中間体であって、該第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される;
(iii)少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル末端鎖延長剤;および
(iv)少なくとも1種のポリイソシアネート;
ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも多い量で存在しており、ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも高い数平均分子量を有し、ここで、該第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、1200ダルトンより高い;ならびに
(b)以下の反応により製造される架橋剤:(i)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるヒドロキシル末端ポリオール;および(ii)少なくとも1種のポリイソシアネート。
【請求項21】
(a)(iv)および(b)(ii)の前記ポリイソシアネートが、ジイソシアネートである、請求項20に記載の繊維。
【請求項22】
前記ジイソシアネートが、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートである、請求項21に記載の繊維。
【請求項23】
(a)(i)の前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、約1500〜約4000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項20に記載の繊維。
【請求項24】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、約1800〜約2500ダルトンの数平均分子量を有する、請求項23に記載の繊維。
【請求項25】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項24に記載の繊維。
【請求項26】
前記繊維が、約200,000〜約800,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項20に記載の繊維。
【請求項27】
前記繊維が、約250,000〜約500,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項26に記載の繊維。
【請求項28】
前記繊維が、約300,000〜約450,000ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項27に記載の繊維。
【請求項29】
(a)(ii)の前記第二ヒドロキシル末端中間体が、ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体である、請求項20に記載の繊維。
【請求項30】
前記第二ヒドロキシル末端中間体が、約700〜約1500ダルトンの数平均分子量を有する、請求項29に記載の繊維。
【請求項31】
前記第二ヒドロキシル末端中間体が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである、請求項30に記載の繊維。
【請求項32】
前記第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、1500ダルトンより高い、請求項20に記載の繊維。
【請求項33】
(a)(iii)の前記芳香族ヒドロキシ末端鎖延長剤が、ベンゼングリコール(HQEE)である、請求項20に記載の繊維。
【請求項34】
(a)(iii)の前記芳香族ヒドロキシ末端鎖延長剤が、ベンゼングリコール(HQEE)とヒドロキシルエチルレゾルシノール(HER)とのブレンドである、請求項20に記載の繊維。
【請求項35】
HQEEとHERとのモル比が、約98:2〜約50:50である、請求項34に記載の繊維。
【請求項36】
HQEEとHERとのモル比が、約70:30〜約90:10である、請求項35に記載の繊維。
【請求項37】
(a)(i)の前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体と(a)(ii)の前記第二ヒドロキシル末端中間体との重量比が、約60:40〜約90:10である、請求項20に記載の繊維。
【請求項38】
前記第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体と前記第二ヒドロキシル末端中間体との重量比が、約70:30〜約85:15である、請求項37に記載の繊維。
【請求項39】
(b)の前記架橋剤が、約1,000〜約10,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項1に記載の繊維。
【請求項40】
前記架橋剤が、約1,200〜約4,000ダルトンの数平均分子量を有する、請求項39に記載の繊維。
【請求項41】
前記架橋剤が、約1,500〜約2,800ダルトンの数平均分子量を有する、請求項40に記載の繊維。
【請求項42】
(b)の前記架橋剤が、前記TPU重合体および該架橋剤の全重量の5.0〜約20.0重量パーセントのレベルで使用される、請求項20に記載の繊維。
【請求項43】
前記架橋剤の前記レベルが、約8.0〜約15重量パーセントである、請求項42に記載の繊維。
【請求項44】
前記架橋剤の前記レベルが、約10.0〜約13.0重量パーセントである、請求項43に記載の繊維。
【請求項45】
40デニールの太さに製造したとき、130℃で60分間にわたって分散染料で染色したとき、1.6重量パーセントより高い染料ピックアップを有する、請求項20に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項46】
130℃で60分間にわたって分散染料で染色したとき、2.0重量パーセントより高い染料ピックアップを有する、請求項45に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項47】
240デニール未満の太さを有する、請求項20に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項48】
約10デニールから240デニール未満の太さを有する、請求項47に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項49】
40デニールの太さに製造したとき、70℃で7時間にわたって8%塩素漂白液に晒した後、その初期靱性およびパワーの50パーセントより高い靱性およびパワーを保持している、請求項20に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項50】
70℃で7時間にわたって8%塩素漂白液に晒した後、その初期靱性の60パーセントより高い靱性および初期パワーの80パーセントより高いパワーを保持している、請求項49に記載の溶融紡糸繊維。
【請求項51】
溶融紡糸熱可塑性繊維を製造するプロセスであって、該プロセスは、以下の工程を包含する:
(a)以下の反応により形成されるTPU重合体を溶融する工程:
(i)第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体;
(ii)第二ヒドロキシル末端中間体であって、該第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される;
(iii)少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル末端鎖延長剤;および
(iv)少なくとも1種のポリイソシアネート;
ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも多い量で存在しており、ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも高い数平均分子量を有し、ここで、該第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、少なくとも1200ダルトンである;
(b)該溶融熱可塑性ポリウレタン重合体に、以下の反応により製造される少なくとも1種の架橋剤を加える工程:(i)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるヒドロキシル末端ポリオール;および(ii)少なくとも1種のポリイソシアネート;
(c)該架橋剤と混合した該溶融熱可塑性ポリウレタン重合体を少なくとも1個の紡糸口金に給送する工程;
(d)該架橋剤を含有する該溶融重合体を該紡糸口金に通して、溶融紡糸繊維を製造する工程;
(e)該繊維を冷却する工程;および
(f)該繊維をボビン上に巻き付ける工程。
【請求項52】
前記架橋剤が、前記押出機にて、前記溶融熱可塑性ポリウレタン重合体に加えられる、請求項51に記載のプロセス。
【請求項53】
前記架橋剤が、前記重合体が前記押出機を出た後、前記溶融熱可塑性ポリウレタン重合体に加えられる、請求項51に記載のプロセス。
【請求項54】
前記架橋剤および前記重合体が、ダイナミックミキサーで混合される、請求項53に記載のプロセス。
【請求項55】
前記架橋剤および前記重合体が、スタティックミキサーで混合される、請求項53に記載のプロセス。
【請求項56】
前記架橋剤が、ポリエステルまたはポリエーテルヒドロキシル末端ポリオールおよびジイソシアネートを反応させることから製造される、請求項51に記載のプロセス。
【請求項57】
前記架橋剤が、約1,500〜約2,800ダルトンの数平均分子量を有する、請求項56に記載のプロセス。
【請求項58】
前記ボビンが、約100〜約3000メートル/分の速度で巻き付けられる、請求項51に記載のプロセス。
【請求項59】
前記ボビンが、約300〜約1200メートル/分の速度で巻き付けられる、請求項58に記載のプロセス。
【請求項60】
前記繊維が、240デニール未満の太さを有する、請求項51に記載のプロセス。
【請求項61】
前記繊維が、約10から約240デニール未満までの太さを有する、請求項60に記載のプロセス。
【請求項62】
前記ダイナミックミキサーが、前記押出機の出口末端に装着されている、請求項54に記載のプロセス。
【請求項63】
前記ダイナミックミキサーが、フィードスクリュー、バレルおよび混合ピンを含み、ここで、該フィードスクリューが、該バレル内で回転し、そして該混合ピンが、該バレルに装着され、該フィードスクリューの中心線に向かって伸長している、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
前記ダイナミックミキサーが、無視できるバック混合で、実質的なプラグフロー流れを生じる、請求項63に記載のプロセス。
【請求項65】
前記溶融重合体および前記架橋剤が、前記紡糸口金を出るとき、NCO基の消失により証明されるように、20%より高い反応完結に達する、請求項51に記載のプロセス。
【請求項66】
前記反応が、約40パーセント〜約50パーセントの完結である、請求項65に記載のプロセス。
【請求項67】
熱可塑性ポリウレタン溶融紡糸繊維を含有する物品であって、該繊維は、以下の反応生成物から誘導される:
(a)以下の反応により形成されるTPU重合体:
(i)第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体;
(ii)第二ヒドロキシル末端中間体であって、該第二ヒドロキシル末端中間体は、ポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される;
(iii)少なくとも1種の芳香族ヒドロキシル末端鎖延長剤;および
(iv)少なくとも1種のポリイソシアネート;
ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも多い量で存在しており、ここで、該第一ヒドロキシル末端ポリエーテル中間体は、該第二ヒドロキシル末端中間体よりも高い数平均分子量を有し、ここで、該第一および該第二ヒドロキシル末端中間体の重量平均数平均分子量は、1200ダルトンより高い;ならびに
(b)以下の反応により製造される架橋剤:(i)ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるヒドロキシル末端ポリオール;および(ii)少なくとも1種のポリイソシアネート。
【請求項68】
前記熱可塑性ポリウレタン溶融紡糸繊維を1〜60重量パーセントで含有する、請求項67に記載の物品。
【請求項69】
木綿、ナイロンおよびポリエステルからなる群から選択される繊維を40〜99重量パーセントで含有する、請求項68に記載の物品。
【請求項70】
ポリエステルを40〜99重量パーセントで含有する、請求項69に記載の物品。
【請求項71】
分散染料で染色された、請求項70に記載の物品。
【請求項72】
70℃で7時間にわたって8%塩素漂白液に晒した後、前記熱可塑性ポリウレタン溶融紡糸繊維がその初期靱性およびパワーの50パーセントより高い靱性およびパワーを保持していることにより証明される漂白剤耐性である、請求項67に記載の物品。
【請求項73】
70℃で7時間にわたって8%塩素漂白液に晒した後、前記熱可塑性ポリウレタン溶融紡糸繊維が、その初期靱性の60パーセントより高い靱性および初期パワーの80パーセントより高いパワーを保持している、請求項72に記載の物品。
【請求項74】
前記物品が、水着である、請求項73に記載の物品。

【公表番号】特表2007−531796(P2007−531796A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517830(P2006−517830)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/021251
【国際公開番号】WO2005/005509
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(506347528)ルブリゾル アドバンスド マテリアルズ, インコーポレイテッド (74)
【Fターム(参考)】