説明

ポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法、ポリカルボン酸エステル系重合体及びセメント分散剤

【課題】 空気連行性や凍結融解性、消泡性に優れ、高強度の硬化物を与えることができるポリカルボン酸エステル系重合体を効率的かつ経済的に製造する方法、該製造方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体及び該重合体を含むセメント分散剤を提供する。
【解決手段】 不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合してポリカルボン酸エステル系重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、触媒の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体及び/又はポリカルボン酸エステル系重合体が有するエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程を含んでなるポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法、ポリカルボン酸エステル系重合体及びセメント分散剤に関する。より詳しくは、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等のセメント添加剤の成分として広く用いられるポリカルボン酸エステル系重合体を製造する方法、その製造方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体、及び、このようなポリカルボン酸エステル系重合体を含むセメント分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカルボン酸エステル系重合体は、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物等のセメント添加剤の成分として広く用いられており、セメント組成物から建築物外壁材や土木・建築構造物等を構築するために欠かすことのできないものとなっている。このようなポリカルボン酸エステル系重合体を含むセメント添加剤は減水剤として用いられ、セメント組成物の流動性を高めてセメント組成物を減水させることにより、硬化物の強度や耐久性等を向上させる作用を有することになる。このような減水剤は、従来のナフタレン系等の減水剤に比べて高い減水性能を発揮するため、高性能AE減水剤として多くの実績がある。
【0003】
ところで、昨今のコンクリート業界では、コンクリート建造物の耐久性と強度の向上が強く求められ、セメント組成物における単位水量の低減が重要な課題となっており、特にポリカルボン酸エステル系重合体を用いたセメント分散剤については、多くのものが検討されている。このようなポリカルボン酸エステル系重合体の製法としては、例えば、下記反応式;
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表す。Mは、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。nは、1〜300の数を表す。)で表されるように、予めアルコールへのEO付加反応を行い、次に該反応で得られるEO付加物(B)と不飽和カルボン酸(A)とのエステル化反応を行って単量体(C)を得た後、重合を行う方法が広く用いられている。しかしながら、このような方法では、モノマー合成、EO/PO付加、更にエステル化を行う必要があり、しかも、EO付加、エステル化には10〜20時間程度の長時間を要することから、反応時間及びコストを低減することにより、効率的かつ経済的にポリカルボン酸エステル系重合体を製造することのできる方法が望まれていた。
また、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)にエチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)を付加し、そのモノマーを用いて不飽和カルボン酸と重合する方法や、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸に直接アルキレングリコールをエステル化する方法等も一般に用いられているが、これらの方法においても、反応に要する時間やコストを充分に低減するための工夫の余地があった。
【0006】
従来のポリカルボン酸エステル系重合体に関し、単量体の製造方法としては、少なくとも1種のカルボン酸エステルを、少なくとも1種のアルキレンオキシドと特定の多金属シアニド化合物を含む触媒の存在下で反応させる工程を含むアルキルポリアルキレングリコールカルボキシレートの製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、特定の触媒を用いて、エステル化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加させるエステルアルコキシレートの製造方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。また、複合金属酸化物触媒の存在下で、脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキサイドを直接付加重合した後、アルキレンオキサイドを直接付加重合して生成する脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、これらの製法では、EO付加のモノマー製造段階までしか開示されておらず、セメント分散剤等の主成分として好適な重合体をより簡便に得るための工夫の余地があった。例えば、空気連行性や消泡性等のセメント分散剤に要求される物性を充分に発揮することのできる重合体を効率良く得るための工夫の余地があった。
【特許文献1】特開2003−138007号公報(第2頁)
【特許文献2】特開平10−137592号公報(第2頁)
【特許文献3】特開平11−71328号公報(第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、空気連行性や凍結融解性、消泡性に優れ、高強度の硬化物を与えることができるポリカルボン酸エステル系重合体を効率的かつ経済的に製造する方法、該製造方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体及び該重合体を含むセメント分散剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、ポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法について種々検討したところ、アルキレンオキサイドを重合体中に含むポリカルボン酸エステル系重合体が、減水性や分散性、耐久性等の各種物性に優れることに着目し、このような重合体の製造工程において、触媒の存在下に、原料となる不飽和カルボン酸エステル系単量体や得られる重合体中のエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応を行うと、ポリカルボン酸エステル系重合体を効率的かつ低コストで製造できることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。すなわち、従来の製造方法では、予めアルコールへのEO付加反応を行い、次に該反応で得られるEO付加物と不飽和カルボン酸とのエステル化反応を行って単量体を得た後、重合を行うことが一般的であったが、上述したように触媒を用いてアルキレンオキサイドのエステル部位への挿入反応を行うと、長時間を要するエステル化工程を省略することができるため、反応時間及びコストを大幅に低減することができ、コストパフォーマンスの良い製造方法とすることができる。そして、このような製造方法を、触媒の存在下に不飽和カルボン酸エステル系単量体とアルキレンオキサイドとを反応させてエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程(1)と、該工程(1)により得られる不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合する工程(2)とを含んでなる方法とすると、重合工程で使用される不飽和カルボン酸エステル系単量体を簡便に得ることができることを見いだし、これに起因して、より効率的かつ経済的にポリカルボン酸エステル系重合体を製造できることを見いだし、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合してポリカルボン酸エステル系重合体を製造する方法であって、上記製造方法は、触媒の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体及び/又はポリカルボン酸エステル系重合体が有するエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程を含んでなるポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法である。
本発明はまた、上記製造方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体でもある。
以下に本発明を詳述する。
【0010】
本発明の製造方法は、触媒の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体及び/又はポリカルボン酸エステル系重合体が有するエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程を含んでなるが、不飽和カルボン酸エステル系単量体とは、不飽和カルボン酸エステル、及び、不飽和カルボン酸エステルにアルキレンオキサイドを反応させて得られる不飽和カルボン酸エステルの誘導体を含むものを意味し、ポリカルボン酸系エステル重合体とは、不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合して得られる重合体を意味する。すなわち、アルキレンオキサイドとしては、不飽和カルボン酸エステル、その誘導体及び得られる重合体のうち少なくとも1種以上の形態におけるエステル部位に挿入することが好ましい。中でも、不飽和カルボン酸エステル及び/又はその誘導体が有するエステル部位に挿入することが好適であり、上記製造方法が、触媒の存在下に不飽和カルボン酸エステル系単量体とアルキレンオキサイドとを反応させてエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程(1)と、該工程(1)により得られる不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合する工程(2)とを含んでなる形態は、本発明の好適な形態の1つである。
【0011】
特に、上記工程(1)としては、触媒の存在下に不飽和カルボン酸エステルとアルキレンオキサイドとを反応させてエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する工程であることが好ましく、これにより、工程(2)の重合に使用される単量体を効率的かつ簡便に得ることができるため、ポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法全体として、コストパフォーマンスを向上することが可能となる。
なお、本発明の製造方法における好適な形態について、アルキレンオキサイドとしてEOを用いる場合を例として下記反応式に示す。
【0012】
【化2】

【0013】
なお、式中、R、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を表し、特に水素又はメチル基が好ましい。Mは、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基又は有機アンモニウム基を表す。nは、1〜300の数を表す。
【0014】
上記工程(1)において、不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素数の1〜30のアルキル(メタ)アクリレートであることが好適である。より好ましくは、炭素数1〜10の(メタ)アクリレートであり、更に好ましくは、炭素数1〜5の(メタ)アクリレートであり、特に好ましくは、炭素数1〜3の(メタ)アクリレートである。
また上記アルキレンオキサイドとしては特に限定されず、その炭素数としては、例えば、2〜18であることが好ましい。より好ましくは、2〜8であり、更に好ましくは、2〜4である。具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができ、2種以上を使用する場合は、ブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好適である。なお、本発明において、アルキレンオキサイドとは、スチレンオキサイドをも含むものを意味する。
【0015】
上記工程(1)において、原料の供給量としては、不飽和カルボン酸エステル系単量体(不飽和カルボン酸エステル又は不飽和カルボン酸エステルの誘導体)1モルに対して、アルキレンオキサイドが1〜300モルであることが好ましい。1モル未満であると、反応が充分に進行しなくなるおそれがあり、300モルを超えると、粘性が高くなり、作業性を向上することができないおそれがある。より好ましくは、2〜200モルであり、更に好ましくは、2〜100モルであり、特に好ましくは、3〜100モルであり、最も好ましくは、5〜50モルである。
【0016】
上記アルキレンオキサイドの挿入反応で用いられる触媒としては、例えば、多金属シアニド化合物触媒や、複合金属酸化物触媒等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記多金属シアニド化物触媒としては、少なくとも1種の金属塩と少なくとも1種のシアン金属化合物との反応により得られるものであればよく、シアン金属化合物は、塩又は酸の形態のものを用いることが好適である。このような多金属シアニド化物触媒の具体例としては、下記一般式(1);
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、Mは、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Co2+、Sn2+、Pb2+、Mo4+、Mo6+、Al3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Cr2+、Cr3+、Cd2+、Hg2+、Pd2+、Pt2+、V2+、Mg2+、Ca2+、Ba2+及びCu2+のうち少なくとも1種以上の金属イオンを表す。Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg2+、Ca2+、Ba2+及びSr2+のうち少なくとも1種以上の金属イオン、アンモニウムイオン並びに炭素数1〜24の炭化水素基を有する有機アンモニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種以上のカチオンを表す。Mは、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、V4+、V5+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+及びIr3+のうち少なくとも1種以上の金属イオンを表す。R、R及びRは、同一又は異なって、ハライド、ヒドロキシド、アルコキシド、スルフェート、カーボネート、シアニド、チオシアネート、イソシアネート、シアネート、カルボキシレート、オキサレート、ニトレート、ニトロシル、硫酸水素塩、ホスフェート、リン酸二水素塩、リン酸水素塩及び炭酸水素塩のうち少なくとも1種以上のアニオンを表す。Lは、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素、アミド、第一級、第二級及び第三級アミン、ピリジン窒素含有配位子、ニトリル、スルフィド、ホスフィド、ホスフィット、ホスフィン、ホスホネート並びにホスフェートのうち少なくとも1種以上の水相溶性配位子を表す。a、b、c、d、e、f、g、h及びiは、同一又は異なって、上記一般式(1)で表される化合物が電気的に中性となるように選択した0以上の数を表す。qは、配位子分子の数を表し、0以上の数である。m、m及びpは、同一又は異なって、0以上の数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
上記一般式(1)で表される化合物としては、更に、任意の重合体を配位又は付加して用いることができ、重合体としては、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリルアミド−co−マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸−co−スチレン)、オキサゾリンポリマー、ポリアルキレンイミン、マレイン酸と無水マレイン酸との共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアセテート、イオン性の表面−及び界面−活性化合物、胆汁酸又はその塩、エステル又はアミド、多価アルコールとグリコシドのカルボン酸エステル等の1種又は2種以上を使用することができる。
【0020】
上記多金属シアニド化物触媒の中でも、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)等からなる二金属シアン化物触媒であることが好適であり、具体的には、下記一般式(2);
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Mは、カリウム(K)又はアンモニウム(NH)を表す。Mは、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)又はコバルト(Co)を表す。v、w、y、z及びpは、同一又は異なって、0を超える数を表す。)で表される化合物が好ましい。
【0023】
上記複合金属酸化物触媒としては、金属水酸化物及び/又は金属アルコキシドで表面を改質した複合金属酸化物であることが好ましく、中でも、MgOとAlとの複合金属酸化物が好適である。具体的には、下記一般式(3);
【0024】
【化5】

【0025】
(式中、rは、0を超える数を表す。sは、0以上の数である。)で表される化合物を焼成したものが挙げられる。
上記一般式(3)において、rとしては特に限定されないが、1〜5であることが好ましい。より好ましくは、2〜4であり、更に好ましくは、2.2〜3.5である。また、sとしては特に限定されないが、0〜20であることが好ましい。より好ましくは、0〜15であり、更に好ましくは、0〜12である。
上記一般式(3)で表される化合物の焼成温度としては、200〜1000℃とすることが好ましい。200℃よりも低いと、触媒を充分に活性化することができないおそれがあり、1000℃よりも高いと、結晶構造が変化し、この場合も触媒を充分に活性化できないおそれがある。より好ましくは、300〜950℃であり、特に好ましくは、400〜800℃である。また、焼成時間としては、30〜400分間とすることが好ましい。より好ましくは、30〜300分間、特に好ましくは、60〜250分間である。
【0026】
上記複合金属酸化物触媒としてはまた、金属イオン添加酸化マグネシウムを用いて製造された複合金属酸化物を使用することもでき、金属イオンとしては、例えば、Al3+、Ga3+、Zr4+、Ti4+、In3+、Tl3+、Co3+、Ni3+、Sc3+、La3+、Fe3+、Cu2+及びMn2+等の1種又は2種以上を用いることが好適である。金属イオンの添加量としては、例えば、複合金属酸化物100質量%に対して、下限が0.1質量%、上限が40質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.5質量%、上限は20質量%である。
このような複合金属酸化物としては、上記一般式(3)で表される化合物と同様に、金属イオン添加酸化マグネシウムを処理することにより得ることができる。
【0027】
上記複合金属酸化物触媒としては更に、ハイドロタルサイトの焼成物を用いることもできる。具体的には、下記一般式(4);
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、Yt−は、CO2−、SO2−、OH、NO、Fe(CN)3−又はCHCOOを表す。x及びtは、0を超える数を表す。uは、0以上の数を表す。)で表されるハイドロタルサイトを焼成したものが挙げられる。
上記一般式(4)において、xとしては特に限定されないが、上限が0.33であることが好ましい。より好ましい上限は0.3である。また、下限は0.25であることが好適である。
上記一般式(4)におけるtとしては特に限定されないが、1〜5であることが好ましい。より好ましくは、2〜4であり、特に好ましくは、2.2〜3.5である。また、uとしては特に限定されないが、0〜10であることが好ましい。より好ましくは、0〜8であり、特に好ましくは、0〜5である。
なお、上記ハイドロタルサイトは、天然のものであってもよいし、共沈等で調製した合成物であってもよい。
【0030】
上記一般式(4)で表される化合物の焼成温度としては、200〜1000℃とすることが好ましい。200℃よりも低いと、触媒を充分に活性化することができないおそれがあり、1000℃よりも高いと、結晶構造が変化し、この場合も触媒を充分に活性化できないおそれがある。より好ましくは、300〜950℃であり、特に好ましくは、400〜800℃である。また、焼成時間としては、30〜400分間とすることが好ましい。より好ましくは、30〜300分間、特に好ましくは、60〜250分間である。
なお、上記ハイドロタルサイトの焼成物である複合金属酸化物としては、必要に応じ、金属水酸化物で表面改質してもよい。
【0031】
上記アルキレンオキサイドの挿入反応で用いられる触媒としてはまた、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属の有機酸塩と、MgO−Al複合金属酸化物との混合物であってもよい。なお、上記有機酸塩を構成する有機酸とは、酸性を持つ有機化合物全体を意味し(共立出版社発行、「化学大辞典9」参照。)、1価又は多価のカルボン酸や、スルホン酸、フェノール等を指す。
上記有機酸塩としては、例えば、Na、K等のアルカリ金属;Mg、Ca、Ba等のアルカリ土類金属;Y、La等の希土類金属の脂肪酸塩が挙げられ、中でも、炭素数1〜22の脂肪酸塩が好ましい。より好ましくは、アルカリ土類金属の脂肪酸塩であり、更に好ましくは、ラウリン酸バリウム等の脂肪酸バリウムである。
【0032】
上記MgO−Al複合金属酸化物としては、上述した一般式(3)で表される化合物や一般式(4)で表される化合物を焼成したものの他、天然又は合成のハイドロタルサイト(協和化学社製、商品名「キョーワード1000、500」等)を400〜1000℃で焼成したもの;Mg2+イオンとAl3+イオンをアルカリ性にして共沈させたものを400〜1000℃で焼成したもの;MgO又はMg(OH)の水スラリーにAl3+イオンを滴下し、沈着させたものを400〜1000℃で焼成したもの等を使用することが可能である。
上記混合物において、有機酸塩とMgO−Al複合金属酸化物との配合割合(有機酸塩/MgO−Al複合金属酸化物)としては、例えば、1/99〜80/20であることが好ましい。
【0033】
上記アルキレンオキサイドの挿入反応で用いられる触媒としては更に、硫酸、塩酸、硝酸等のブレンステッド酸触媒;三フッ化ホウ素等のルイス酸触媒;β−ゼオライト等の固体酸触媒;水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基触媒;トリエチルアミンやジメチルアミノエタノール等のような有機性塩基触媒;アルミニウムイソプロポキシド等のようなアルミニウム化合物;硫酸ランタン等のようなランタン化合物;塩化第二スズ、塩化アンチモン、塩化アルミニウム、塩化第二鉄等の金属ハロゲン化物触媒;活性白土のような複合酸化物触媒等を用いることもできる。
【0034】
上記工程(1)において、触媒量としては、不飽和カルボン酸エステル系単量体100質量%に対して、下限は0.01質量%、上限は30質量%とすることが好適である。0.01質量%未満であると、アルキレンオキサイドのエステル部位への挿入反応を充分に進行させることができないおそれがあり、30質量%を超えても、触媒作用が頭打ちとなり、経済的に不利となるおそれがある。より好ましい下限は0.01質量%、上限は10質量%であり、更に好ましい下限は0.1質量%、上限は5質量%であり、特に好ましい下限は0.2質量%、上限は3質量%である。
【0035】
上記工程(1)におけるアルキレンオキサイドの挿入反応としては、反応温度を20〜200℃とすることが好ましい。より好ましくは、40〜150℃であり、更に好ましい下限は50〜120℃である。また、このような反応は、大気圧下で行ってもよいし、減圧下又は加圧下で行ってもよい。例えば、8.0×10〜5.0×10Paの圧力下で行うことが好ましく、より好ましくは、1×10〜1×10Paの圧力下である。
上記挿入反応としてはまた、バッチ式又は連続的に行うことができ、例えば、撹拌器付反応器、管状反応器、ループ式反応器、固定床反応器又は移動床反応器を用いることが可能である。
【0036】
上記挿入反応においては、反応を促進等するために、添加剤等を使用してもよい。添加剤としては、例えば、通常の重合開始剤を用いることができ、具体的には、後述する化合物等の1種又は2種以上を使用することができる。重合開始剤は、不飽和カルボン酸エステル系単量体に対して、10〜50000ppmであることが好ましい。より好ましくは、100〜10000ppmである。また、安全上の問題を引き起こさない程度の分子酸素又は一酸化窒素を使用することもできる。更に、上記反応においては溶剤を用いてもよく、用いなくてもよいが、溶剤を用いる場合、例えば、水;脂肪族、脂環式若しくは芳香族炭化水素、アルキル、エーテル、アセタール、ケトン、エステル又は環式カーボネート等の有機溶剤等を使用することができる。
【0037】
本発明の製造方法において、工程(2)は、上記工程(1)により得られた不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合する工程であるが、該不飽和カルボン酸エステル系単量体(上記不飽和カルボン酸エステルの誘導体)としては、下記一般式(5);
【0038】
【化7】

【0039】
(式中、Rは、水素又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表し、2種以上の場合は、ブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。Rは、炭素数1〜30のアルキル基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表されるものであることが好適である。
【0040】
上記一般式(5)において、Rで表されるオキシアルキレン基としては、炭素数2〜18のものであれば特に限定されないが、その炭素数は、例えば、2〜8であることが好ましい。より好ましくは、2〜4である。具体的には、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上のアルキレンオキサイドが付加した形態が挙げられる。中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好適である。なお、本発明において、オキシアルキレン基とは、オキシスチレン基も含むものを意味する。
上記Rで表されるアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基であれば特に限定されないが、その炭素数は、例えば、1〜10であることが好ましい。より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
【0041】
上記nで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数としては、2〜200モルであることが好ましい。より好ましくは、2〜100モルであり、更に好ましくは、3〜100モルであり、特に好ましくは、5〜50モルである。なお、本発明において、平均付加モル数とは、上記単量体を構成する繰り返し単位のうち同一の繰り返し単位1モル中において付加している当該有機基のモル数の平均値を意味する。
【0042】
上記不飽和カルボン酸エステル系単量体の具体的な化学名としては、例えば、下記のもの等が挙げられる。メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ブトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メチル−1−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メチル−2−プロポキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ペンチルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−オクチルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−エチル−1−ヘキシルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、セチルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアリルアルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェニルメトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、p−エチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジメチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、p−t−ブチルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ドデシルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ナフトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、エチレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
【0043】
メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、プロピレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
【0044】
メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−プロポキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1−ブトキシポリエチレンポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとブチレンオキシドを付加させた(メタ)アリルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、エチレンオキシドとプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとブチレンオキシドを付加させたクロチルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の2種類以上のアルキレンオキシドを付加させたアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物等の各種アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類。
【0045】
上記工程(2)における重合工程においては、上記工程(1)により得られた不飽和カルボン酸エステル系単量体のみを重合してもよいし、該単量体と重合可能な単量体と共重合してもよい。上記不飽和カルボン酸エステル系単量体の全単量体成分100質量%に占める割合としては、下限が1質量%、上限が99質量%であることが好ましい。より好ましい下限は10質量%、上限は98質量%であり、更に好ましい下限は40質量%、上限は97質量%である。
なお、上記単量体と共重合可能な単量体としては特に限定されないが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボン酸系単量体が特に好ましい。上記工程(1)により得られた不飽和カルボン酸エステル系単量体と上記カルボン酸系単量体との重合比率としては、重量比として、好ましくは99:1〜1:99、97:3〜10:90、95:5〜20:80、90:10〜30:70、85:5〜40:60、80:20〜45:55、70:30〜50:50である。
【0046】
上記単量体と共重合可能な単量体としてはまた、例えば、以下の化合物の1種又は2種以上を使用することができる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物類;上述のような不飽和モノカルボン酸系単量体と炭素原子数1〜30のアミンとのアミド類、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類。
【0047】
上述のような不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数1〜30のアルコールとのハーフエステル、ジエステル類;上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数1〜30のアミンとのハーフアミド、ジアミド類;上記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素原子数2〜18のグリコールとのハーフエステル、ジエステル類;マレアミン酸と炭素原子数2〜18のグリコールとのハーフアミド類;ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;ビニルスルホネート、(メタ)アリルスルホネート、2−(メタ)アクリロキシエチルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホフェニルエーテル、3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシスルホベンゾエート、4−(メタ)アクリロキシブチルスルホネート、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2−メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類、並びに、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩;スチレン、α−メチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン等のビニル芳香族類;ヘキセン、ヘプテン、デセン等のα−オレフィン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;アリルアルコール等のアリル類。
【0048】
1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールモノ(メタ)アクリレート類;ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン等のジエン類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の不飽和シアン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エステル類;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジブチルアミノエチル、ビニルピリジン等の不飽和アミン類;ジビニルベンゼン等のジビニル芳香族類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;ポリジメチルシロキサンプロピルアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサンアミノプロピレンアミノマレインアミド酸、ポリジメチルシロキサン−ビス−(プロピルアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(ジプロピレンアミノマレインアミド酸)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−(1−プロピル−3−メタクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−アクリレート)、ポリジメチルシロキサン−ビス−(1−プロピル−3−メタクリレート)等のシロキサン誘導体。
【0049】
上記共重合可能な単量体としては更に、重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレンイミン系単量体、多価アルコール残基にオキシアルキレン基が結合した構造を有する単量体等を用いてもよく、例えば、(1)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーにグリシジルメタクリレートを付加させたマクロマー、(2)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーの(メタ)アクリル酸エステルマクロマー、(3)ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加させた多分岐ポリマーのマレイン酸エステルマクロマー等の(1)〜(3)の多分岐ポリオキシアルキレン基を有するエチレン系単量体を挙げることができる。上記多分岐ポリマーとしては、ポリアミドポリアミン、多価アルコールにアルキレンオキシド付加させたものを用いてもよい。
【0050】
上記ポリアルキレンイミンとしては、例えば、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2−ブチレンイミン、2,3−ブチレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン等の炭素数2〜8アルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体や共重合体が挙げられ、エチレンイミンを主体として形成されるものであることが好ましい。このようなポリアルキレンイミンは、直鎖状の構造、分枝状の構造、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等であってもよい。このようなポリアルキレンイミンでは、通常、構造中に第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有することになる。
上記ポリアルキレンイミンの重量平均分子量としては、100〜100000が好ましく、より好ましくは、300〜50000、更に好ましくは、600〜10000である。
【0051】
上記ポリアルキレンイミンに付加させるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドの他、ジペンタンエチレンオキシド、ジヘキサンエチレンオキシド等の脂肪族エポキシド;トリメチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オクチレンオキシド等の脂環エポキシド;スチレンオキシド、1,1−ジフェニルエチレンオキシド等の芳香族エポキシド等が好適である。これらの中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましい。更にエチレンオキシドを主成分とするものがより好ましい。
【0052】
上記工程(2)において、重合方法としては、重合開始剤、及び、必要により連鎖移動剤を用いて、水溶液重合、有機溶媒中での重合、エマルション重合及び塊状重合等の通常使用される方法を用いることができる。重合開始剤としては、通常使用されるものを用いることができ、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビス−2メチルプロピオンアミジン塩酸塩、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のパーオキシド等が好適である。また、促進剤として、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、モール塩、ピロ重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、アスコルビン酸、エリソルビン酸等の還元剤;エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、グリシン等のアミン化合物を併用することもできる。これらの重合開始剤や促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
上記重合方法においては、連鎖移動剤も必要に応じて使用することができる。連鎖移動剤としては、通常使用されるものを1種又は2種以上使用できるが、疎水性連鎖移動剤として、例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタン等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレン等の不飽和炭化水素化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、親水性連鎖移動剤としては、例えば、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸等のチオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オール等の1級アルコール;イソプロパノール等の2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸及びその塩(亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)の低級酸化物及びその塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0054】
上記連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入してもよく、単量体や溶媒等と予め混合しておいてもよい。
上記重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、通常使用されるものを用いることができ、例えば、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類等の1種又は2種以上を使用することができる。これらの中でも、単量体及び得られるポリカルボン酸系重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
【0055】
上記重合方法において、単量体や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に添加することによって重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体と重合開始剤の全量を添加する方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、セメント組成物等の流動性を高める作用であるセメント分散性を向上することができることから、重合開始剤と単量体とを反応容器に逐次滴下する方法で重合を行うことが好ましい。また、単量体の重合性が向上して得られる重合体の保存安定性がより向上することから、重合中の反応容器内の溶媒濃度を80質量%以下に維持して共重合反応を行うことが好ましい。より好ましくは、70質量%以下であり、更に好ましくは、60質量%以下である。
上記重合方法において、重合温度等の重合条件としては、用いられる重合方法、溶媒、重合開始剤、連鎖移動剤により適宜定められるが、重合温度としては、通常0℃以上であることが好ましく、また、150℃以下であることが好ましい。より好ましくは、40℃〜120℃の範囲である。
【0056】
上記重合方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体は、そのままでも種々の用途に用いることができるが、必要に応じて、更にアルカリ性物質で中和して用いてもよい。アルカリ性物質としては、一価金属及び二価金属の水酸化物、塩化物及び炭酸塩等の無機塩;アンモニア;有機アミンを用いることが好ましい。
【0057】
上記ポリカルボン酸エステル系重合体の重量平均分子量としては、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」という)によるポリエチレングリコール換算で、下限が5000、上限が500000であることが好ましい。重量平均分子量が5000未満であると、材料分離低減性能が充分に発揮できないおそれがあり、500000を超えると、分散性能を充分なものとすることができないおそれがある。より好ましい下限は8000、上限は100000であり、更に好ましい下限は10000、上限は50000である。なお、本発明において、重量平均分子量とは、下記GPC条件下で求められる値を意味する。
【0058】
(GPC条件)
使用カラム:東ソー製TSKguardcolumn SWXL+TSKgel G4000 SWXL+TSKgel G3000 SWXL+ TSKgel G2000 SWXL
溶離液:水10999g、アセトニトリル6001gの混合溶媒に酢酸ナトリウム三水和物115.6gを溶かし、更に酢酸でpH6.0に調製した溶離液を用いる。
打ち込み量:0.5%溶離液溶液100μL
溶離液流速:0.8mL/min
カラム温度:40℃
標準物質:ポリエチレングリコール、ピークトップ分子量(Mp):272500、219300、85000、46000、24000、12600、4250、7100、1470
検量線次数:3次式
検出器:日本Waters社製 2414示差屈折計
解析ソフト:日本Waters社製 Empwer
【0059】
本発明のポリカルボン酸エステル系重合体としては、種々の用途に用いることができ,例えば、各種高分子材料、粘着剤、接着剤、塗料、化粧品添加剤、セメント分散剤等の各種分散剤に利用可能である。中でも、セメント分散剤に用いることが好適であり、本発明のポリカルボン酸エステル系重合体を含んでなるセメント分散剤もまた、本発明の一つである。このようなセメント分散剤を用いることにより、空気連行性や凍結融解性、消泡性を充分に発揮することが可能となり、高強度の硬化物を与えることができることとなる。
【0060】
本発明のセメント分散剤としては、セメントペースト、モルタル、コンクリート等のセメント組成物に加えて用いることができる。また、超高強度コンクリートにも用いることができる。上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含む通常用いられるものが好適である。また、フライアッシュ、高炉スラグ、シリカヒューム、石灰石等の微粉体を添加したものであってもよい。なお、超高強度コンクリートとは、セメント組成物の分野で一般的にそのように称されているもの、すなわち従来のコンクリートに比べて水/セメント比を小さくしてもその硬化物が従来と同等又はより高い強度となるようなコンクリートを意味し、例えば、水/セメント比が25質量%以下、更に20質量%以下、特に18質量%以下、特に14質量%以下、特に12質量%程度であっても通常の使用に支障をきたすことのない作業性を有するコンクリートとなり、その硬化物が60N/mm以上、更に80N/mm以上、より更に100N/mm以上、特に120N/mm以上、特に160N/mm以上、特に200N/mm以上の圧縮強度を示すことになるものである。
【0061】
上記セメントとしては、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等のポルトランドセメント;アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等の混合ポルトランドセメントが好適である。上記セメントのコンクリート1m当たりの配合量及び単位水量としては、例えば、高耐久性・高強度のコンクリートを製造するためには、単位水量100〜185kg/m、水/セメント比=10〜70%とすることが好ましい。より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、水/セメント比=20〜65%である。
【0062】
上記セメント分散剤のセメント組成物中の添加量割合としては、本発明の必須成分であるポリカルボン酸エステル系重合体が、セメント質量の全量100質量%に対して、下限が0.01質量%、上限が10質量%となるようにすることが好ましい。0.01質量%未満であると、性能的に充分ではなくなるおそれがあり、10質量%を超えると、コストを低減することができないおそれがある。より好ましい下限は0.05質量%、上限は8質量%、更に好ましい下限は0.1質量%、上限は5質量%である。なお、上記質量%は、固形分換算の値である。
【0063】
上記セメント分散剤は、取り扱い上、水溶液の状態とすることが好ましい。また、通常用いられる公知のセメント分散剤と併用することができる。このようなセメント分散剤としては、以下のものが好適である。
リグニンスルホン酸塩;ポリオール誘導体;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリスチレンスルホン酸塩;特開平1−113419号公報に記載の如くアミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系;特開平7−267705号公報に記載の如く(a)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系化合物と(メタ)アクリル酸系化合物との共重合体及び/又はその塩と、(b)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と無水マレイン酸との共重合体及び/若しくはその加水分解物、並びに/又は、その塩と、(c)成分として、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル系化合物と、ポリアルキレングリコール系化合物のマレイン酸エステルとの共重合体及び/又はその塩とを含むセメント分散剤;特許第2508113号明細書に記載の如くA成分として、(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルと(メタ)アクリル酸(塩)との共重合体、B成分として、特定のポリエチレングリコールポリプロピレングリコール系化合物、C成分として、特定の界面活性剤からなるコンクリート混和剤;特開昭62−216950号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル若しくはポリエチレン(プロピレン)グリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体。
【0064】
特開平1−226757号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、及び、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特公平5−36377号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレン(プロピレン)グリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)、並びに、(メタ)アクリル酸(塩)からなる共重合体;特開平4−149056号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテルとマレイン酸(塩)との共重合体;特開平5−170501号公報に記載の如く(メタ)アクリル酸のポリエチレングリコールエステル、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸(塩)、アルカンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、分子中にアミド基を有するα,β−不飽和単量体からなる共重合体;特開平6−191918号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸(塩)、並びに、(メタ)アリルスルホン酸(塩)若しくはp−(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸(塩)からなる共重合体;特開平5−43288号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体、若しくは、その加水分解物、又は、その塩;特公昭58−38380号公報に記載の如くポリエチレングリコールモノアリルエーテル、マレイン酸、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、若しくは、その塩、又は、そのエステル。
【0065】
特公昭59−18338号公報に記載の如くポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体;特開昭62−119147号公報に記載の如くスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び必要によりこれと共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩;特開平6−271347号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端にアルケニル基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開平6−298555号公報に記載の如くアルコキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテルと無水マレイン酸との共重合体と、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン誘導体とのエステル化反応物;特開昭62−68806号公報に記載の如く3−メチル−3−ブテン−1−オール等の特定の不飽和アルコールにエチレンオキシド等を付加したアルケニルエーテル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、及び、これらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体、又は、その塩等のポリカルボン酸(塩)。これらセメント分散剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
このような公知のセメント分散剤を併用する場合には、使用するセメント分散剤の種類、配合及び試験条件等の違いにより一義的に決められないが、本発明のセメント分散剤と上記公知のセメント分散剤との配合質量の割合は、5〜95:95〜5であることが好ましい。より好ましくは、10〜90:90〜10である。
本発明のセメント分散剤としてはまた、他のセメント添加剤と組み合わせて用いることもできる。他のセメント添加剤としては、以下に示すような他の公知のセメント添加剤(材)等が挙げられる。
【0067】
(1)水溶性高分子物質:ポリアクリル酸(ナトリウム)、ポリメタクリル酸(ナトリウム)、ポリマレイン酸(ナトリウム)、アクリル酸・マレイン酸共重合物のナトリウム塩等の不飽和カルボン酸重合物;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシエチレンあるいはポリオキシプロピレンのポリマー又はそれらのコポリマー;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の非イオン性セルロースエーテル類;酵母グルカンやキサンタンガム、β−1,3グルカン類(直鎖状、分岐鎖状の何れでも良く、一例を挙げれば、カードラン、パラミロン、パキマン、スクレログルカン、ラミナラン等)等の微生物醗酵によって製造される多糖類;ポリアクリルアミド;ポリビニルアルコール;デンプン;デンプンリン酸エステル;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン;分子内にアミノ基を有するアクリル酸のコポリマー及びその四級化合物等。
【0068】
(2)高分子エマルジョン:(メタ)アクリル酸アルキル等の各種ビニル単量体の共重合物等。
(3)遅延剤:グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸又はクエン酸、及び、これらの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、トリエタノールアミン等の無機塩又は有機塩等のオキシカルボン酸並びにその塩;グルコース、フラクトース、ガラクトース、サッカロース、キシロース、アピオース、リボース、異性化糖等の単糖類や、二糖、三糖等のオリゴ糖、又はデキストリン等のオリゴ糖、又はデキストラン等の多糖類、これらを含む糖蜜類等の糖類;ソルビトール等の糖アルコール;珪弗化マグネシウム;リン酸並びにその塩又はホウ酸エステル類;アミノカルボン酸とその塩;アルカリ可溶タンパク質;フミン酸;タンニン酸;フェノール;グリセリン等の多価アルコール;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等のホスホン酸及びその誘導体等。
【0069】
(4)早強剤・促進剤:塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等の可溶性カルシウム塩;塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸塩;水酸化カリウム;水酸化ナトリウム;炭酸塩;チオ硫酸塩;ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩;アルカノールアミン;アルミナセメント;カルシウムアルミネートシリケート等。
(5)鉱油系消泡剤:燈油、流動パラフィン等。
(6)油脂系消泡剤:動植物油、ごま油、ひまし油、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(7)脂肪酸系消泡剤:オレイン酸、ステアリン酸、これらのアルキレンオキシド付加物等。
(8)脂肪酸エステル系消泡剤:グリセリンモノリシノレート、アルケニルコハク酸誘導体、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールトリオレエート、天然ワックス等。
【0070】
(9)オキシアルキレン系消泡剤:(ポリ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレン付加物等のポリオキシアルキレン類;ジエチレングリコールヘプチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン−2−エチルヘキシルエーテル、炭素数12〜14の高級アルコールへのオキシエチレンオキシプロピレン付加物等の(ポリ)オキシアルキルエーテル類;ポリオキシプロピレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等の(ポリ)オキシアルキレン(アルキル)アリールエーテル類;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレンアルコールにアルキレンオキシドを付加重合させたアセチレンエーテル類;ジエチレングリコールオレイン酸エステル、ジエチレングリコールラウリル酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシプロピレンメチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンドデシルフェノールエーテル硫酸ナトリウム等の(ポリ)オキシアルキレンアルキル(アリール)エーテル硫酸エステル塩類;(ポリ)オキシエチレンステアリルリン酸エステル等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミン等の(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン類;ポリオキシアルキレンアミド等。
【0071】
(10)アルコール系消泡剤:オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、グリコール類等。
(11)アミド系消泡剤:アクリレートポリアミン等。
(12)リン酸エステル系消泡剤:リン酸トリブチル、ナトリウムオクチルホスフェート等。
(13)金属石鹸系消泡剤:アルミニウムステアレート、カルシウムオレエート等。
(14)シリコーン系消泡剤:ジメチルシリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機変性ポリシロキサン(ジメチルポリシロキサン等のポリオルガノシロキサン)、フルオロシリコーン油等。
(15)AE剤:樹脂石鹸、飽和あるいは不飽和脂肪酸、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、ラウリルサルフェート、ABS(アルキルベンゼンスルホン酸)、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)、アルカンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸エステル又はその塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテルリン酸エステル又はその塩、蛋白質材料、アルケニルスルホコハク酸、α−オレフィンスルホネート等。
【0072】
(16)その他界面活性剤:オクタデシルアルコールやステアリルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂肪族1価アルコール、アビエチルアルコール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する脂環式1価アルコール、ドデシルメルカプタン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有する1価メルカプタン、ノニルフェノール等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアルキルフェノール、ドデシルアミン等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するアミン、ラウリン酸やステアリン酸等の分子内に6〜30個の炭素原子を有するカルボン酸に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを10モル以上付加させたポリアルキレンオキシド誘導体類;アルキル基又はアルコキシル基を置換基として有しても良い、スルホン基を有する2個のフェニル基がエーテル結合した、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類;各種アニオン性界面活性剤;アルキルアミンアセテート、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の各種カチオン性界面活性剤;各種ノニオン性界面活性剤;各種両性界面活性剤等。
(17)防水剤:脂肪酸(塩)、脂肪酸エステル、油脂、シリコン、パラフィン、アスファルト、ワックス等。
(18)防錆剤:亜硝酸塩、リン酸塩、酸化亜鉛等。
(19)ひび割れ低減剤:ポリオキシアルキルエーテル類;2−メチル−2,4−ペンタンジオール等のアルカンジオール類等。
(20)膨張材:エトリンガイト系、石炭系等。
【0073】
その他の公知のセメント添加剤(材)としては、セメント湿潤剤、増粘剤、分離低減剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、セルフレベリング剤、防錆剤、着色剤、防カビ剤、高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石膏等を挙げることができる。これら公知のセメント添加剤(材)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上述した公知のセメント分散剤やセメント添加剤(材)の他に、セメント組成物の分散性、抑泡制等を向上させるものと併用させてもよい。
【0074】
上記セメント組成物において、セメント及び水以外の成分についての特に好適な実施形態としては、以下の(1)〜(7)が挙げられる。
(1)<1>本発明のセメント分散剤と<2>オキシアルキレン系消泡剤との2成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能であるが、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。なお、<2>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント分散剤に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
(2)<1>本発明のセメント分散剤、<2>オキシアルキレン系消泡剤及び<3>AE剤の3成分を必須とする組み合わせ。オキシアルキレン系消泡剤としては、ポリオキシアルキレン類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアセチレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類等が使用可能であるが、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類が特に好適である。また、AE剤としては、樹脂酸石鹸、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類が特に好適である。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント分散剤に対して0.01〜20質量%が好ましい。また、<3>のAE剤の配合質量比としては、セメントに対して0.001〜2質量%が好ましい。
【0075】
(3)<1>本発明のセメント分散剤、<2>炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖を有するポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、(メタ)アクリル酸系単量体及びこれらの単量体と共重合可能な単量体からなる共重合体(特公昭59−18338号公報、特開平7−223852号公報、特開平9−241056号公報等に記載)、及び、<3>オキシアルキレン系消泡剤の3成分を必須とする組み合わせ。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の共重合体との配合質量比としては、5/95〜95/5の範囲が好ましく、10/90〜90/10の範囲がより好ましい。<3>のオキシアルキレン系消泡剤の配合質量比としては、<1>のセメント分散剤と<2>の共重合体との合計量に対して0.01〜20質量%の範囲が好ましい。
(4)<1>本発明のセメント分散剤と<2>遅延剤との2成分を必須とする組み合わせ。遅延剤としては、グルコン酸(塩)、クエン酸(塩)等のオキシカルボン酸類、グルコース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール類、アミノトリ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類等が使用可能である。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の遅延剤との配合比としては、本発明のポリカルボン酸エステル系重合体と<2>の遅延剤との質量比で、50/50〜99.9/0.1の範囲が好ましく、70/30〜99/1の範囲がより好ましい。
【0076】
(5)<1>本発明のセメント分散剤と<2>促進剤との2成分を必須とする組み合わせ。促進剤としては、塩化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム等の可溶性カルシウム塩類、塩化鉄、塩化マグネシウム等の塩化物類、チオ硫酸塩、ギ酸及びギ酸カルシウム等のギ酸塩類等が使用可能である。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の促進剤との配合質量比としては、10/90〜99.9/0.1が好ましく、20/80〜99/1がより好ましい。
(6)<1>本発明のセメント分散剤と<2>材料分離低減剤との2成分を必須とする組み合わせ。材料分離低減剤としては、非イオン性セルロースエーテル類等の各種増粘剤、部分構造として炭素原子数4〜30の炭化水素鎖からなる疎水性置換基と炭素原子数2〜18のアルキレンオキシドを平均付加モル数で2〜300付加したポリオキシアルキレン鎖とを有する化合物等が使用可能である。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の材料分離低減剤との配合質量比としては、10/90〜99.99/0.01が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましい。この組み合わせのセメント組成物は、高流動コンクリート、自己充填性コンクリート、セルフレベリング材として好適である。
【0077】
(7)<1>本発明のセメント分散剤と<2>分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との2成分を必須とする組み合わせ。スルホン酸系分散剤としては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、アミノアリールスルホン酸−フェノール−ホルムアルデヒド縮合物等のアミノスルホン酸系の分散剤等が使用可能である。なお、<1>のセメント分散剤と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との配合比としては、<1>のセメント分散剤と<2>の分子中にスルホン酸基を有するスルホン酸系分散剤との質量比で、5/95〜95/5が好ましく、10/90〜90/10がより好ましい。
【発明の効果】
【0078】
本発明のポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法は、上述のような構成であるので、ポリカルボン酸エステル系重合体を効率的かつ経済的に製造することができ、コストパフォーマンスの良い製造方法として工業的に有用なものである。このような製造方法により得られるポリカルボン酸エステル系重合体は、空気連行性や凍結融解性、消泡性に優れ、高強度の硬化物を与えることができる重合体であり、セメント分散剤の主成分として特に好適なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記の実施例及び比較例において、重量平均分子量は、上述したGPC条件下で、GPCによるポリエチレングリコール換算で求めた。
【0080】
実施例1
(多金属化合物触媒の調製)
塩化鉄(III)六水和物の30%濃度水溶液180gを、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物の30%濃度水溶液211g中に、撹拌しながら滴下した。混合物を更に30分間撹拌し、次いで、吸引ろ過した。フィルター上の残留物にメタノール200mLを加えて10分間撹拌し、吸引ろ過して洗浄した。この洗浄工程をもう一度繰り返した後、フィルター上の残留物を減圧下にて50℃で乾燥した。これにより、77.4gの紺青色の粉末が得られた。
【0081】
(アルコキシル化反応)
2.4gのフェノチアジンを60gのメチルメタクリレートに溶解し、この溶液に(1)で調製した触媒2.4gを懸濁した。この混合物を耐圧反応器に仕込み、撹拌下3気圧の窒素で三回系内を置換した。反応器を80℃に昇温後、系内に撹拌下でエチレンオキシド290gを17時間かけて逐次導入した。この間反応器内の圧力は8気圧を超えないものとした。更に撹拌下80℃で3時間熟成後冷却し、続いて減圧下で残留エチレンオキシドを除去した。349gの半固形生成物が得られた。分析の結果、この生成物はメトキシポリエチレングリコールメタクリレートで、ポリエチレングリコール部のエチレングリコール数は平均10.5個であった。
【0082】
(ポリマー調製)
温度計、撹拌機、滴下漏斗、窒素導入管及び還流冷却器を備えたガラス製反応容器に水166gを仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。次にメトキシポリ(n=10.5)エチレングリコールメタクリレート188g、メタクリル酸37g、3−メルカプトプロピオン酸2.6g、水56g混合した溶液を4時間、並びに過硫酸アンモニウム2.6g、水47.4gを混合した溶液を5時間かけて滴下した。その後、1時間引き続いて80℃に温度を維持して、重合反応を完結させ、30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して、重量平均分子量25000の重合体水溶液からなる本発明のセメント分散剤(1)を得た。
【0083】
比較例1
(エステル化)
温度計、攪拌機、生成水分離器、還流冷却管を備えたガラス製反応容器にメトキシポリ(n=10)エチレングリコール1000g、メタクリル酸445.9g、シクロヘキサン150g、パラトルエンスルホン酸一水和物45g、ヒドロキノン0.5gを仕込み、攪拌下に昇温してエステル化反応を開始した。15時間後所定量の生成水が留去されたのを確認して、30%水酸化ナトリウム水溶液33g、水2000gを加えて更に加熱しシクロヘキサンを留去した。またそのとき、エステルの濃度が80%になるように調製した。
【0084】
(重合)
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、及び還流冷却管を備えたガラス製反応容器に水166gを仕込み、攪拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで加熱した。上記単量体混合物を282g、3−メルカプトプロピオン酸2.6gを混合し、反応容器内に4時間で滴下した。過硫酸アンモニウム2.6g、並びに水47.4gを溶解させた溶液を5時間かけて反応容器に滴下した。滴下終了後、更に1時間80℃を維持して反応を完結させた。30%水酸化ナトリウム水溶液でpH7.0まで中和して分子量21000の比較ポリマーを得た。
【0085】
(モルタル試験)
実施例及び比較例で示したセメント分散剤を用いて、下記のようにモルタルを調合・混練し、モルタルフロー値及び空気量の測定を行った。
モルタル配合は、以下のとおりである。
・太平洋普通ポルトランドセメント:480g
・JIS R5201規定の標準砂:1350g
・水:220g
・試験方法:モルタルフローは、JIS R5201(1997)の10.4.3項の練り混ぜ方法に準じたミキサー、練り混ぜ方法を使用し、JIS R5201(1997)のフロー試験に従って測定した。また、空気量は、モルタルの体積と重量(質量)から計算した。
・セメント分散剤(実施例1で得たセメント分散剤(1)又は比較例1で得た比較ポリマー)の添加量:セメント質量に対して0.12質量%(固形分換算)
【0086】
上記モルタル試験より、実施例1で得たセメント分散剤(1)では、モルタルフローは210mm、モルタルの空気量は7.0質量%であった。一方、比較例1で得た比較ポリマーでは、モルタルフローは180mm、モルタルの空気量は9.6質量%であり、本発明のセメント分散剤(1)は、モルタル空気量が少ないことが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合してポリカルボン酸エステル系重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、触媒の存在下に、不飽和カルボン酸エステル系単量体及び/又はポリカルボン酸エステル系重合体が有するエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程を含んでなることを特徴とするポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項2】
前記製造方法は、触媒の存在下に不飽和カルボン酸エステル系単量体とアルキレンオキサイドとを反応させてエステル部位にアルキレンオキサイドを挿入する反応工程(1)と、該工程(1)により得られる不飽和カルボン酸エステル系単量体を含有する単量体成分を重合する工程(2)とを含んでなることを特徴とする請求項1に記載のポリカルボン酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項3】
前記工程(1)により得られる不飽和ポリカルボン酸エステル系単量体は、下記一般式(5);
【化1】

(式中、Rは、水素又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を表し、2種以上の場合は、ブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。Rは、炭素数1〜30のアルキル基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表されることを特徴とする請求項2に記載のポリカルボン酸エステル系重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とするポリカルボン酸エステル系重合体。
【請求項5】
請求項4に記載のポリカルボン酸エステル系重合体を含んでなることを特徴とするセメント分散剤。

【公開番号】特開2006−96884(P2006−96884A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285194(P2004−285194)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】