説明

ポリカーボネートおよびその製造方法

下記式(1)


で表される糖質から製造可能なエーテルジオール残基、および下記式(2)
−O−(C2m)−O− (2)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール残基を含んでなるポリカーボネートであって、当該エーテルジオール残基が全ジオール残基中、65〜98重量%を占め、かつガラス転移温度が90℃以上であるポリカーボネート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は再生可能資源である糖質から誘導され得る部分を含有する耐熱性に優れたポリカーボネート、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
一般的にポリカーボネートは石油資源から得られる原料を用いて製造されるが、石油資源の枯渇が懸念されており、植物などの再生可能資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの製造が求められている。
また、下記式(3)

に示したエーテルジオールは、再生可能資源、たとえば糖類およびでんぷんなどから容易に作られ、3種の立体異性体が知られているが、具体的には下記式(5)

に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール(本明細書では以下「イソソルビド」と呼称する)、下記式(6)

に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−マンニトール(本明細書では以下「イソマンニド」と呼称する)、下記式(7)

に示す、1,4:3,6−ジアンヒドロ−L−イジトール(本明細書では以下「イソイディッド」と呼称する)である。
イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドはそれぞれD−グルコース、D−マンノース、L−イドースから得られる。たとえばイソソルビドの場合、D−グルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
これまで上記のエーテルジオールの中でも、特に、モノマーとしてイソソルビドを中心に用いてポリカーボネートに組み込むことが検討されてきた(たとえば独国特許出願公開第2938464号、”Journal fuer praktische Chemie”,1992年,第334巻,p.298〜310、“Macromolecules”,1996年,第29巻,p.8077〜8082、“Journal of Applied Polymer Science”,2002年,第86巻,p.872〜880)。
しかしイソソルビドからのポリカーボネートはその剛直な構造のため、ガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなり、成型加工が困難であるという問題を抱えている。
また、イソソルビドとさまざまなジフェノールとのコポリカーボネートの製造方法が報告されているが(たとえば、特開昭56−110723号公報、“Macromolecular Chemistry and Physics”1997年,第198巻,p.2197〜2210、“Journal of Polymer Science:Part A”,1997年,第35巻,p.1611 〜1619、“Journal of Polymer Science:Part A”,1999年,第37巻,p.1125〜1133)、これらの原料は石油由来であるという問題を抱えている。
一方、脂肪族ジオールより誘導されたポリカーボネートについてはエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等から誘導されたポリカーボネートのガラス転移温度はそれぞれ0〜5℃、−35℃、−41℃、−50℃である(たとえば、“Journal of Polymer Science:Polymer Letters Edition”,1980年,第18巻,p.599〜602、“Macromolecular Chemistry and Physics”,1998年,第199巻,p.97〜102、ポリカーボネート樹脂ハンドブック 本間精一編 日刊工業新聞社,1992年,p.21)。
これら脂肪族ジオールとして再生可能資源を利用することも可能であるが、脂肪族ジオールより誘導されたポリカーボネートはその柔軟な構造のため、通常、室温下でオイル状もしくは低融点の固体であり、耐熱性に乏しいという欠点を有しており、よりガラス転移温度の高い共重合体は報告されていない。
また、イソソルビドと脂肪族ジオールとの共重合ポリーカーボネートに関する報告は少ないが、その1つとして1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオールとイソソルビドとの共重合ポリカーボネートが報告されている(たとえば、岡田他,文部科学省科学研究費補助金特定領域研究(B)「環境低負荷高分子」再生可能資源からの環境低負荷プラスチックの生産に基づく持続型材料システムの構築第7回公開シンポジウム講演要旨集,2002年,p.26〜29、“Journal of Polymer Science:Part A”,2003年,第41巻,p.2312〜2321)。
これらのポリカーボネートはブロック共重合体またはランダム共重合体で、ガラス転移点はそれぞれ脂肪鎖が長くなるにつれて低下し、65℃または59℃、26℃または20℃、12℃または23℃、−1℃または7℃であることが観測されており、耐熱性に乏しい。
また本願の基礎出願日以降の公開である特開2003−292603号公報にはイソソルビドから得られるポリカーボネート化合物を含む熱可塑性成形材料が記載されているが、ガラス転移温度が室温より十分高いとはいっても、さらなる耐熱性の向上が求められている。
【発明の開示】
本発明の目的は、再生可能資源から誘導されうる部分を含有し、かつ優れた耐熱性および成形性を有する新規なポリカーボネートを提供することにある。
本発明の他の目的は、コスト面で優れ、より簡単に該ポリカーボネートを製造できるプロセスを提供することにある。
本発明の更に他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
本発明は、下記式(1)

で表される糖質から製造可能なエーテルジオール残基、および下記式(2)
−O−(C2m)−O− (2)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール残基を含んでなるポリカーボネートであって、当該エーテルジオール残基が全ジオール残基中、65〜98重量%を占め、かつガラス転移温度が90℃以上であるポリカーボネート、およびその製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明を実施するための形態につき詳細に説明する。なお、これらの実施例および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
本発明にかかるポリカーボネートは下記式(1)

で表されるエーテルジオール残基、および下記式(2)
−O−(C2m)−O− (2)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール残基を含んでなり、エーテルジオール残基が全ジオール残基中、65〜98重量%を占め、かつガラス転移温度が90℃以上であるポリカーボネートである。エーテルジオール残基が全ジオール残基中、80〜98重量%を占めることが好ましい。
すなわち本発明のポリカーボネートは、式(8)

の繰り返し単位部分と式(9)

(ただしmは2〜12の整数)
の繰り返し単位部分とを有する。
エーテルジオール残基の含有量がこの範囲よりも少なくなると、得られる樹脂のガラス転移温度が下がり、また重合度も上がりにくくなって、もろいポリマーになる。エーテルジオールの含有量がこの範囲よりも多くなると、ガラス転移温度や溶融粘度が非常に高くなり、成型加工が困難になる。
本発明のポリカーボネートにおいて、上記式(2)で表されるジオール残基がエチレングリコール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、および1,6−ヘキサンジオール残基なる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
またエーテルジオール残基および上記式(2)で表されるジオール残基に加えて他のジオール残基を含むことも好ましい。その他のジオールとしてはシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなど脂環式アルキレンジオール類、ジメタノールベンゼン、ジエタノールベンゼンなどの芳香族ジオール、ビスフェノール類などを挙げることができる。その場合、上記式(2)のグリコール残基の100重量部に対し、その他のジオール残基は合計で50重量部以下とすることが好ましい。
また上記式(2)で表されるジオール残基を少なくとも2種類以上とすることも好ましい。上記式(2)で表されるジオールを2種以上用いるときの比はとくに限定はない。とくに自然界において分解性の高いエチレングリコール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、および1,6−ヘキサンジオール残基より選ばれる2種以上の組み合わせが好ましい。より好ましい組み合わせとしては1,6−ヘキサンジオール残基および1,3−プロパンジオール残基、または1,6−ヘキサンジオール残基および1,4−ブタンジオール残基が挙げられる。
本発明のポリカーボネートは、ガラス転移温度が90℃以上である。ガラス転移温度は成形物の耐熱性や、溶融成形性にとって重要であり、実用的に十分な耐熱性と成形性を維持する為には100℃以上160℃以下であることが好ましい。
また、本発明のポリカーボネートは、還元粘度が0.1dl/g以上であることが好ましく、より好ましくは0.35dl/g以上であり、さらには0.6dl/g以上であることが好ましい。この範囲内にあるときには良好な溶融流動性を有し、さらには十分な機械強度を有する。
本発明のポリカーボネートは、下記式(3)

で表されるエーテルジオール、下記式(4)
HO−(C2m)−OH (4)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール、および炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造することができる。
エーテルジオールとしては、具体的には上記式(5)、(6)および(7)で表されるイソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどが挙げられる。
これら糖質由来のエーテルジオールは、自然界のバイオマスからも得られる物質で、再生可能資源と呼ばれるものの1つである。イソソルビドは、でんぷんから得られるD−グルコースに水添した後、脱水を受けさせることにより得られる。その他のエーテルジオールについても、出発物質を除いて同様の反応により得られる。
特に、エーテルジオール残基としてイソソルビドの残基を含んでなるポリカーボネートが好ましい。イソソルビドはでんぷんなどから簡単に作ることができるエーテルジオールであり資源として豊富に入手することができる上、イソマンニドやイソイディッドと比べても製造の容易さ、性質、用途の幅広さの全てにおいて優れている。
本発明のポリカーボネートが、エーテルジオール残基としてイソソルビド残基を含有する場合、イソソルビド残基が、全ジオール残基中、65〜98重量%を占めることが好ましい。全ジオール残基中80〜98重量%を占めることがより好ましい。
本発明のポリカーボネートの製造方法に用いる炭酸ジエステルとしては、たとえばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられ、なかでも反応性、コスト面からジフェニルカーボネートが好ましい。
本発明の製造方法では、好ましくは重合触媒の存在下、原料であるジオールと炭酸ジエステルとを常圧で加熱し、予備反応させた後、減圧下で280℃以下の温度で加熱しながら撹拌して、生成するフェノールを留出させる。反応系は窒素などの原料、反応混合物、反応生成物に対し不活性なガスの雰囲気に保つことが好ましい。窒素以外の不活性ガスとしては、アルゴンなどを挙げることができる。
反応初期に常圧で加熱反応させることが好ましい。これはオリゴマー化反応を進行させ、反応後期に減圧してフェノール等の芳香族アルコールまたは脂肪族アルコールを留去する際、未反応のモノマーが留出してモルバランスが崩れ、重合度が低下することを防ぐためである。本発明にかかわる製造方法においては芳香族アルコールまたは脂肪族アルコールを適宜系(反応器)から除去することにより反応を進めることができる。そのためには、減圧することが効果的であり、好ましい。
本発明の製造方法において、エーテルジオールの分解を抑え、着色が少なく高粘度の樹脂を得るために、できるだけ低温の条件を用いることが好ましいが、重合反応を適切に進める為には重合温度は180℃以上280℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは230〜260℃の範囲である。
本発明に係わる製造方法では触媒を用いることが好ましい。使用できる触媒は(i)含窒素塩基性化合物、(ii)アルカリ金属化合物および(iii)アルカリ土類金属化合物等である。これらは一種類を単独で使用しても、二種類以上を併用してもよいが、(i)と(ii)、(i)と(iii)、(i)と(ii)と(iii)の組み合わせで併用することが好ましい場合が多い。
(i)については好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、(ii)については、好ましくはナトリウム塩類であり、中でも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を用いることが特に好ましい。
また、本発明のポリカーボネートには、用途に応じて各種の機能付与剤を添加してもよく、例えば熱安定剤、安定化助剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、重金属不活性化剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などである。
また、本発明のポリカーボネートには、用途に応じて各種の有機および無機のフィラー、繊維などを複合化して用いることもできる。フィラーとしては例えばカーボン、タルク、モンモリロナイト、ハイドロタルサイトなどを上げることができる。また、繊維としては例えばケナフなどの天然繊維のほか、各種の合成繊維、ガラス繊維、石英繊維、炭素繊維などが上げられる。
以上のとおり、再生可能資源から誘導される部分を含有し、かつ優れた耐熱性を有するポリカーボネートを得ることができる。
本発明のポリカーボネートは優れた耐熱性を有することから、光学用シート、光学用ディスク、情報ディスク、光学レンズ、プリズム等の光学用部品、各種機械部品、建築材料、自動車部品、各種の樹脂トレー、食器類をはじめとする様々な用途に幅広く用いることができる。なかでも光学用シート等のフィルム成形体として好適に用いられる。
さらに本発明のポリカーボネートは生分解性も有することからハウス用フィルム、マルチ用フィルムなどをはじめとする農業用資材むけフィルムおよびシート、食品包装、一般包装、コンポストバッグなどをはじめとする包装用フィルム及びシート、テープなどをはじめとする産業用製品、各種の包装用容器など、環境汚染の低減が望まれる各種用途の成形品として用いることも可能である。
また、本発明のポリカーボネートは、例えばポリ乳酸、脂肪族ポリエステルのほか、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリル、ABS、ポリウレタンなど、各種のバイオベースポリマーならび合成樹脂、ゴムなどと混合しアロイ化して用いることもできる。
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳述する。但し、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
なお、実施例中の各評価は次のようにして求めた。物性についてはまとめて表1に示す。
(1)ガラス転移温度の測定:
ガラス転移温度(Tg)の測定は、Dupont社製910示差走査熱量計を用い、窒素ガス気流下、毎分20℃の速度で昇温して行った。
(2)還元粘度の測定:
フェノール/テトラクロロエタン(体積比50/50)の混合溶媒10mlに対してポリカーボネート120mgを溶解して得た溶液の30℃における粘度をウベローデ粘度計で測定した。単位はdl(リットル)/gである。
(3)成形性の評価
日精樹脂工業製小型射出成形機PS−20を用いて吐出温度240℃、金型温度80℃で成型し、成形性を確認した。引っ張り試験をASTM D−683に準拠して行い、曲げ試験はASTM D−790に準拠して行った。
(4)生分解性の評価
市販の腐葉土(サンヨーバーク(有)製樹皮堆肥)200gに、溜池の水1リットルを用いて加え、30分以上約30℃の湯浴中で曝気した。これをろ紙でろ過した液に、最適化試験培養用A液(リン酸二水素カリウム37.5g、リン酸水素二ナトリウム72.9g、塩化アンモニウム2.0gを1リットルのイオン交換水に溶解させたもの)を100ミリリットル加え、全量を2リットルとして調整し、コンポスト条件と近い50℃の恒温槽内に設置し、圧空を通気量200ミリリットル/minで流通させた。3−4日おきに培養液の半分を新規に調製したものと交換した。
ポリマーをジクロロメタンに溶解して得た溶液をガラス基板上にキャストして得られた厚み約20μmのフィルムを約200mg切り出した上、市販の不織布製袋に入れ、上記の容器中に投入し、3ヵ月後に取り出し、重量減少率を調べ、生分解性を評価した。
【実施例1】
イソソルビド29.23重量部とエチレングリコール1.51重量部とジフェニルカーボネート49.48重量部とを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを2×10−3重量部(ジオール成分1モルに対して1×10−4モル)、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を30×10−4重量部(ジオール成分1モルに対して0.5×10−6モル)仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
撹拌下、反応槽内を13.3×10−3MPaに減圧し、生成するフェノールを留去しながら20分間反応させた。次に200℃に昇温した後、徐々に減圧し、フェノールを留去しながら4.00×10−3MPaで25分間反応させ、さらに、215℃に昇温して10分間反応させた。
ついで、徐々に減圧し、2.67×10−3MPaで10分間、1.33×10−3MPaで10分間反応を続行し、さらに減圧し、4.00×10−5MPaに到達したら、徐々に250℃まで昇温し、最終的に250℃,6.66×10−5MPaで1時間反応せしめた。
還元粘度が0.353dl/gで、ガラス転移温度が157.4℃のポリマーが得られた。
【実施例2〜5】
表1中記載量のイソソルビド、エチレングリコール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表1中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
【実施例6〜8】
表1中記載量のイソソルビド、1,3−プロパンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
実施例1と同様に重合させて、ポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
実施例6で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例6で得られたポリマーからフィルムを得て生分解性を評価したところ重量減少率は15.9%であった。
【実施例9〜10】
表1中記載量のイソソルビド、1,4−ブタンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
実施例10で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。
【実施例11〜12】
表1中記載量のイソソルビド、1,5−ペンタンジオール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
【実施例13〜16】
表2中記載量のイソソルビド、1,6−ヘキサンジオール、ジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
実施例15で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。
実施例11で得られたポリマーからフィルムを得て生分解性を評価したところ重量減少率は15.6%であった。
【実施例17〜21】
表2中記載量のイソソルビド、1,6−ヘキサンジオール、1,3−プロパンジオール、およびジフェニルカーボネートを反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
実施例17で得られたポリマーについて、ダンベル型成型片、120mm×12mm×3mmの板状成型片を作成し成形性の評価を行った。結果を表3に示す。
【実施例22】
イソソルビド23.38重量部と1,6−ヘキサンジオール2.36重量部、1,4−ブタンジオール1.80重量部、およびジフェニルカーボネート42.84重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
【実施例23】
イソソルビド24.84重量部、1,4−ブタンジオール1.80重量部、エチレングリコール1.24重量部、およびジフェニルカーボネート44.99重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融し実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。
比較例1〜4
表2中に記載のイソソルビドと各種ジフェニルカーボネート44.1重量部を反応器に入れ、重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドおよび2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩を実施例1と同濃度比率で仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
実施例1と同様に重合させてポリマーを得た。表2中に還元粘度、ガラス転移温度を記す。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)

で表される糖質から製造可能なエーテルジオール残基、および下記式(2)
−O−(C2m)−O− (2)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール残基を含んでなるポリカーボネートであって、当該エーテルジオール残基が全ジオール残基中、65〜98重量%を占め、かつガラス転移温度が90℃以上であるポリカーボネート。
【請求項2】
式(2)で表されるジオールの残基がエチレンジオール残基、1,3−プロパンジオール残基、1,4−ブタンジオール残基、1,5−ペンタンジオール残基、および1,6−ヘキサンジオール残基なる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項3】
式(2)で表されるジオール残基を少なくとも2種含むことを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項4】
該エーテルジオール残基として、イソソルビド残基を含んでなる、請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項5】
該イソソルビド残基が、全ジオール残基中、65〜98重量%を占める、請求項4に記載のポリカーボネート。
【請求項6】
下記式(3)

で表されるエーテルジオール、下記式(4)
HO−(C2m)−OH (4)
(ただしmは2〜12の整数)
で表されるジオール、および炭酸ジエステルとから溶融重合法により製造する請求項1記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項7】
重合触媒の存在下、上記式(3)で表されるエーテルジオール、上記式(4)で表されるジオール、および炭酸ジエステルとを、常圧で加熱反応させ、ついで、減圧下、180℃以上280℃以下の温度で加熱しながら溶融重縮合させる、請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項8】
重合触媒として含窒素塩基性化合物とアルカリ金属化合物とアルカリ土類金属化合物とからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物を使用する、請求項7に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項9】
重合触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン二ナトリウム塩とを使用する、請求項8に記載のポリカーボネートの製造方法。
【請求項10】
該当炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用する、請求項6に記載のポリカーボネートの製造方法。

【国際公開番号】WO2004/111106
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【発行日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507011(P2005−507011)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008648
【国際出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)
【Fターム(参考)】