説明

ポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体、その製造方法およびその用途

【課題】本発明の課題は、耐熱性に優れ、実用的に十分な機械物性、溶融物性を有するポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体を提供する事にある。
【解決手段】脂環式ポリカーボネートユニット(a)と、脂肪族ポリカーボネートユニット(b)を含んでなるポリカーボネート共重合体、および該ポリカーボネート共重合体からなる成形体を提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐熱性に優れた、ポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体、その製造方法、及び該成形体からなる光ディスク用基材、シート、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護に対する関心が高まってきており、日本においてはグリーン購入法による環境にやさしい材料の購入推進や、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法によるプラスチック材料、電化製品のリサイクル推進等はその現われである。このような一連の流れの中で、環境負荷の低い脂肪族ポリエステルや脂肪族ポリカーボネート等のポリマーが注目されている。
とりわけ、原材料として植物由来のモノマーを用いたポリマーは、大きな期待を持って開発が進められている。
【0003】
この様な脂肪族ポリエステルの一つであるポリ乳酸は、透明性が高く、強靱である上に、トウモロコシから大量に生産される乳酸を自己縮合させたポリマーであり、汎用樹脂として使用する場合には廃棄後に環境を汚染することなく分解するので環境にやさしく、また医療用材料として生体内に留置された場合には医療用材料としての目的達成後に生体に毒性を及ぼすことなく生体内で分解・吸収されるので生体にもやさしい。
【0004】
しかし、耐熱性という観点からすると、ポリ乳酸は汎用樹脂として使用するには十分であるとは言い難い。それ故、十分に高い耐熱性と分子量を有する、脂肪族ポリエステルや脂肪族ポリカーボネートのホモポリマー、コポリマーの出現が熱望されていた。
このため、ポリ乳酸と代表的な汎用透明耐熱ポリマーであるポリカーボネート樹脂との共重合体が特許文献1により提案されている。
しかしながら、このものはポリ乳酸の耐熱性を向上させることには貢献しているものの、ポリカーボネート樹脂の本来の耐熱性を大幅に低下させ、充分な耐熱性を与えたものとは言い難い。
【0005】
さらには、環境負荷の低いポリ乳酸を用いながらも、耐熱性を高める場合はポリカーボネート樹脂を50〜90%(重量)が好ましいとされ、必ずしも環境負荷の低減に対して大きな貢献をしているとは言い難い。
【0006】
また、肪族ポリカーボネートの一つとして、非特許文献1にイソソルビドとホスゲンから作られるポリカーボネートが開示されている。
これによれば、このポリカーボネートはMw=3.2万と記載されているが、具体的なポリマー特性は記載されておらず、後述比較例1に示されるように、本発明者らが追試したところ、充分な分子量を有するイソソルビドポリカーボネート樹脂は、高Tgではあるものの、堅くて脆く、また流動性が悪く成形不可能な、実用的な樹脂ではないことが判明した。
【0007】
しかしながら、イソソルビドは近年トウモロコシ等から得られるでんぷんを原料に、グルコースからソルビトールを得て製造されている、非常に環境に優しい非石油原料であり、これを用いたポリマーはポリ乳酸に続く環境負荷の低い材料となると期待されている。
【0008】
また、特許文献2には脂肪族環状カーボネートである1,2−O−isopropylidene−D−xylofuranose−3,5−cyclic carbonate(IPXTC)とポリ乳酸のコポリマーに関する記載がある。これによれば、脂肪族ポリカーボネート成分のIPXTCが60mol%含まれるポリ乳酸とのコポリマーはTg=90℃と記載されている。しかし、IPXTCが60mol%含まれるPLAとIPXTCのコポリマーは重量比に直すとPLA/IPXTC=18/82(wt%)となり、高価なIPXTCを多量に使用しなければならない。また、IPXTCの添加量を多くすると収率が低下し、得られるコポリマーの分子量も低くなるという問題点もある。
以上の事から、十分に高い耐熱性と分子量を有し、工業的に成形可能であり汎用ポリマーとして充分な物性を有し、且つ経済的に製造可能な、環境負荷の低い脂肪族のポリマーは知られていない。
【0009】
一方、非特許文献に示されるイソソルビドポリカーボネートとアルカンジオール類を共重合させたものが特許文献3に開示されている。
【0010】
ここで開示されているポリカーボネートは、イソソルビドホモポリカーボネートのTgが86℃と先の非特許文献と大きく開きがある一方、アルカンジオールとの共重合ポリカーボネートが67℃〜77℃となることも示している。
しかしながら、その他の物性の記載が無く、また透明性に関しても何ら開示していないため、成形体としての実用の可能性は示されていない。
【特許文献1】特許―3460777
【特許文献2】US−6093792 5−10ページ
【特許文献3】特開2003−292603
【非特許文献1】Journal Fur Praktische Chemie Chemiker−Zeitung(1992),334(4),298―310ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、環境負荷の低い材料を用いて耐熱性、溶融流動性、機械物性に優れた高分子量のポリカーボネート共重合体を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一般式(1)
【0013】
【化1】

【0014】
(一般式(1)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)で表される脂環式ポリカーボネートユニット(a)および、
一般式(2)
【0015】
【化2】

【0016】
(一般式(2)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で表される脂肪族ポリカーボネートユニット(b)を含んでなる、重量平均分子量が5000〜200000であるポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体を提供する。
脂環式ポリカーボネートユニット(a)と脂肪族ポリカーボネートユニット(b)の組成比が(a)/(b)=90/10〜30/70重量%である前記ポリカーボネート共重合体からなる透明成形体は本発明の好ましい態様である。
一般式(3)
【0017】
【化3】

【0018】
(一般式(3)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)で表される脂環式2価アルコール(A)、
一般式(4)
【0019】
【化4】

【0020】
(一般式(4)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で表される脂肪族2価アルコール(B)及びカーボネート前駆体から製造される前記ポリカーボネート共重合体から成る透明耐熱成形体も本発明の好ましい態様である。
【0021】
前記透明耐熱成形体からなる光ディスク用基材も本発明の好ましい態様である。
【0022】
前記透明耐熱成形体からなるシートも本発明の好ましい態様である。
【0023】
前記透明耐熱成形体からなる容器も本発明の好ましい態様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明で示すポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体は、優れた耐熱性と実用的に十分な機械物性、溶融物性を有しており、光ディスク用基材、容器や包装材料、その他汎用樹脂として好適に使用する事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、透明性、耐熱性、溶融流動性、機械特性、加工性等に優れたポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体に関するものである。詳しくは、
一般式(1)
【0026】
【化5】

【0027】
(一般式(1)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)
で表される脂環式ポリカーボネートユニット(a)および、
一般式(2)
【0028】
【化6】

【0029】
(一般式(2)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)
で表される脂肪族ポリカーボネートユニット(b)を含んでなる重量平均分子量が5000〜200000であるポリカーボネート共重合体から成る透明耐熱成形体に関するものである。
また、一般式(3)
【0030】
【化7】

【0031】
(一般式(3)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)
で表される脂環式2価アルコール(A)
および、一般式(4)
【0032】
【化8】

【0033】
(一般式(4)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で表される脂肪族2価アルコール(B)及びカーボネート前駆体から製造される重量平均分子量が5000〜200000であるポリカーボネート共重合体から成る透明耐熱成形体に関するものである。
【0034】
本発明で示す、一般式(1)の脂環式ポリカーボネートユニット(a)は
一般式(1)
【0035】
【化9】

【0036】
(一般式(1)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)で表されるユニットであり、
好ましくは式(5)
【0037】
【化10】

【0038】
で示されるイソソルビド由来の構成単位を有するカーボネートユニットである。
本発明で示すポリカーボネートユニット(b)は、一般式(2)
【0039】
【化11】

【0040】
(一般式(2)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で示されるユニットであり、好ましくは炭素数2~8の2価アルコール由来の構成単位を有するポリカーボネートユニットであり、具体的に例示すると、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の由来のユニットを有するポリカーボネートユニットが挙げられる。また乳酸、グリコール酸由来の構成単位を含む2価アルコール由来の構成単位を有するポリカーボネートユニットも用いることができる。具体例としては、2価アルコールと乳酸、グリコール酸、それらの環状2両体であるラクタイド、グリコライドとのエステル縮合物由来のユニットを有するポリカーボネートであり、たとえばイソソルビドと、乳酸またはラクチドとの縮合物あるいはグリコール酸またはグリコライドとの縮合物である。これらは、単独、又は2種類以上を組み合わせでもよい。また、分子内に不斉炭素を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0041】
これらのジオール体の中でもより好ましいものは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールであり、上記ジオールやイソソルビドを開環反応の開始剤として用いた分子量200〜5000の範囲のラクチドとの縮合物である。
【0042】
本発明で示すポリカーボネート共重合体とは、脂環式ポリカーボネートユニット(a)と脂肪族ポリカーボネートユニット(b)を含むものであり、その重量平均分子量は、特に制限されないが、一般的には得られる樹脂の熱物性、機械物性を考慮して、重量平均分子量(Mw)で5,000〜200,000が好ましく、10,000〜100,000がより好ましく、25,000〜100,000が最も好ましい。
【0043】
ポリカーボネートユニット(a)およびポリカーボネートユニット(b)の組成比は、重量比換算して(a)/(b)=90/10〜30/70の範囲であり、好ましくは85/15〜40/60の範囲であり、さらに好ましくは80/20〜50/50の範囲である。
本発明で用いられるポリカーボネート共重合体の各ユニットのブロック性、あるいはランダム性は全く問わない。
【0044】
本発明で用いられるポリカーボネート共重合体の製造方法と特に限定されず、公知公用の方法を用いることができる、例えば一般式(3)で示される
【0045】
【化12】

【0046】
(一般式(3)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)脂環式2価アルコール(A)、
一般式(4)で示される
【0047】
【化13】

【0048】
(一般式(4)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)脂肪族2価アルコール(B)とを、カーボネート前駆体と反応させることで製造することができる。
また、一般式(3)で示される脂環式2価アルコール(A)とカーボネート前駆体とを反応させて得られる脂環式2価アルコール(A)由来の構成単位を有する脂肪族ポリカーボネートと、一般式(4)の脂肪族2価アルコール(B)とカーボネート前駆体とを反応させて得られる脂肪族2価アルコール(B)由来の構成単位を有する脂肪族ポリカーボネートとを、エステル交換反応によってポリカーボネート共重合体とさせても良い。
【0049】
本発明で示す脂環式2価アルコール(A)とは、
一般式(3)で示される
【0050】
【化14】

【0051】
(一般式(3)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)2価アルコールであり、好ましくは
一般式(6)
【0052】
【化15】

【0053】
で示されるイソソルビドを含むものであり、より好ましくはイソソルビドのみからなるものである。
【0054】
本発明で示す脂肪族2価アルコール(B)とは
一般式(4)
【0055】
【化16】

【0056】
(一般式(4)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)
で表されるジオールを由来とするものである。
【0057】
本発明に用いられる一般式(4)のジオールを具体的に例示すれば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等が挙げられる。また乳酸、グリコール酸由来の構成単位を含む2価アルコール由来の構成単位を有するポリカーボネートユニットも用いることができる。具体例としては、2価アルコールと乳酸、グリコール酸、それらの環状2両体であるラクタイド、グリコライドとのエステル縮合物由来のユニットを有するポリカーボネートであり、たとえばイソソルビドと乳酸または、グリコール酸との縮合物である。これらは、単独、又は2種類以上を組み合わせでもよい。また、分子内に不斉炭素を有する場合には、D体、L体及びそれらの等量混合物(ラセミ体)が存在するが、それらの何れも使用することができる。
【0058】
これらのジオール体の中でもより好ましいものは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシリレングリコール、m−キシリレングリコールであり、上記ジオールやイソソルビドを開環反応の開始剤として用いた分子量200〜5000の範囲のラクチドとの縮合物である。
【0059】
本発明で示すカーボネート前駆体とは、2個の水酸基を有する2価アルコールまたは2価フェノールと反応してポリカーボネートを与えるカルボニル等価体のことであって、具体例としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、及びハロホルメート等が挙げられる。具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート等が挙げられ、ホスゲンの二量体、三量体も用いる事が出来る。
カーボネート前駆体は単独または2種類以上を混合して使用しても良い。
【0060】
本発明で示すポリカーボネート共重合体は公知公用の方法、例えば溶液法、溶融法で製造することができる。またその際、適当な分子量調節剤、分岐剤、その他の改質剤等を添加しても良い。
【0061】
溶液法とは、一般的にホスゲンおよびその2量体、3量体を用いる場合、あるいはハロホルメートを用いる場合に採用されることが多く、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、アセトニトリル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等の、反応に関与しない溶媒が用いられる。
【0062】
溶媒量は特に制限されないが、少なすぎれば撹拌に難が生じ、多すぎれば容積効率が悪くなるため、一般的には原料に対して1倍〜20倍、好ましくは2倍〜5倍程度で行われる。
【0063】
溶媒法においては、必要量の塩基を用いることにより反応をスムーズに進行させることができる。この時用いられる塩基としては、有機塩基、無機塩基を問わない。具体的に例示すれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジブチルアニリン等の3級アミン類等である。
【0064】
無機塩基の場合は、水溶液として使用することが多い。また有機塩基の場合には、当量用いればよいが、溶媒を兼ねて過剰に用いても構わない。
溶融法とは、一般に炭酸エステル類を用いたエステル交換反応によるポリカーボネート樹脂の製造の際に用いられる方法である。
【0065】
炭酸ジエステルと、イソソルビドおよび一般式(2)の2価アルコールとのエステル交換反応は、通常無溶媒で行われる。
この時用いられる炭酸ジエステルは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネート等が用いられるが、反応性の観点、およびコストの観点からジフェニルカーボネートが好ましい。
溶媒法、溶融法とも、反応に用いるカーボネート前駆体の量は、一般式(3)のイソソルビド誘導体および一般式(4)の2価アルコールの総量に対し、実質的に反応する量として、0.5〜1.5当量、好ましくは0.75〜1.25当量、より好ましくは0.9〜1.1当量の範囲である。
【0066】
より具体的には、望む分子量のポリカーボネート共重合体が得られるモル比をあらかじめ求めて反応することが好ましい。
【0067】
本発明のポリカーボネート共重合体を、溶融法により製造する際は、触媒を用いてもよい。触媒としては、一般的に知られるエステル交換触媒、とりわけビスフェノールAと炭酸ジエステルとのエステル交換法によるポリカーボネート樹脂の製造に用いられる触媒を用いることが可能である。この様な触媒の具体例としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、無機塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコキサイドや、4級アンモニウム塩、4級アンモニウムヒドロキシド、ホスホニウム塩、アミン類周期表II、III、IV、V族の金属、その酸化物あるいはその塩等が挙げられる。
より具体的には、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム、ゲルマニウム等の金属、酸化錫(II)、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン(IV)、酸化ゲルマニウム(II)、酸化ゲルマニウム(IV)等の金属酸化物、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、臭化錫(II)、臭化錫(IV)、フッ化アンチモン(III)、フッ化アンチモン(V)、塩化亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫(II)、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、ホウ酸亜鉛等のホウ酸塩、酢酸錫(II)、オクタン酸錫(II)、乳酸錫(II)、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫(II)、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスルホン酸錫(II)、p−トルエンスルホン酸錫(II)等の有機スルホン酸塩等類が挙げられる。
【0068】
その他の例としては、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、又は、チタニウムイソプロポキシド等の上記金属の金属アルコキサイド、又は、ジエチル亜鉛等の上記金属のアルキル金属等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも錫末(金属錫)、酸化錫(II)、オクタン酸錫(II)、乳酸錫(II)塩化錫(II)等に代表される錫系触媒が好ましい。これらは、単独で又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0070】
本発明における触媒の使用量は、実質的に反応を進行させる事ができる程度の量であれば特に制限されない。具体的な触媒の使用量は、使用する触媒の種類によって異なるが、一般的には、得られるポリカーボネート共重合体の0.00005〜5重量%の範囲が好ましく、経済性を考慮すると、0.0001〜1重量%の範囲がより好ましい。
また、一般に試薬中には極微量の触媒となり得る塩基性化合物が不純物として含まれるため、特に精製を行わない場合は、あらためて触媒を添加しなくても反応が進行する場合が多い。
【0071】
本発明のポリカーボネートのガラス転移温度は、60℃〜200℃である事が好ましく、75℃〜180℃である事がより好ましく、イソソルビド誘導体と2価アルコールの比、2価アルコールの種類により主に調整することが可能である。
【0072】
イソソルビドの含有量がこれ以上であれば、ガラス転移点(Tg)等の耐熱性は向上するものの溶融流動性や引っ張り強度、弾性率、伸び等の機械的特性が劣り、堅くて脆く、成形が実質的に不可能な樹脂となる。
また、これ以上イソソルビドの含有量を減らせば、本発明の特徴である耐熱性が発現しなくなる。
【0073】
本発明で示すポリカーボネート共重合体に対しては、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、他の樹脂、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤など)、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、メラミン化合物など)、滑剤、離形剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、染料や顔料を含む着色剤、核剤(有機カルボン酸金属塩など)および可塑剤、末端封鎖剤(エポキシ化合物、オキサゾリン化合物)を添加し、本発明にかかる透明耐熱成形体とすることもできる。これらの添加剤等は1種または2種以上を含有させて使用することができる。
【0074】
本発明にかかるポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体は、本発明で示すポリカーボネート共重合体から成形された成形体であり、その成形加工法は特に制限されず公知公用の方法をも散ることができる、具体的には、射出成形、押出成形、インフレーション成形、押出中空成形、発泡成形、カレンダー成形−、ブロー成形、バルーン成形、真空成形、紡糸等の成型加工法が適用される。
本発明においてシートとは厚みが10μm〜10mm程度のシートまたはフィルムを両方含んだものをいうこととする。
【0075】
本発明におけるポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体は、耐熱性、透明性、機械物性等に優れており、ガラス転移温度(Tg)としては60℃以上200℃未満の範囲であり、好ましくは65℃以上180℃未満の範囲、さらに好ましくは70℃以上150℃未満の範囲である。引張破断伸びに関しては、0.5%以上200%未満の範囲であり、より好ましくは1%以上200%未満の範囲、さらに好ましくは1.5%以上200%未満の範囲である。
【0076】
本発明におけるポリカーボネート共重合体は、必ずしも透明材料として用いる必要は無いが、透明性が求められる用途においては、その指標としてHazeの値が0.1%〜30%未満であることが好ましく、より好ましくは0.1%〜20%未満の範囲、更に好ましくは0.1〜10%未満の範囲で用いられる。
【0077】
本発明で示す測定値は特に断りのない限り以下の測定方法で測定したものをいう。ポリカーボネート共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロロホルム溶媒)で測定し、ポリスチレンを標準としてサンプルとの比較により重量平均分子量を求めたものであり、ガラス転移温度(Tg)は、走査熱量計(島津製作所社製DSC−60)で昇温速度10℃/分、30℃〜250℃の温度範囲で示差熱分析(DSC分析)したものであり、引張破断伸び試験はJIS K−7113に準じた方法で、1(1/5)号形試験片を用いて測定したものであり、温度23℃、湿度50%、引張速度10mm/minの条件で試験を行った。透明性は透明性の指標としてHaze(曇度)を用い、JIS K−6714に従って、HazeメーターTC−HIII(東京電色(株))にて厚さ0.5mm、幅および長さ4mmのシート状試験片を測定したものをいう。
【0078】
本発明におけるポリカーボネート共重合体からなる成形体の用途は特に制限されないが、耐熱性と透明性に優れているという特徴を生かしは光ディスク用基材、シート、容器として用いることができ、容器や包装材料、汎用に使用されている樹脂の代替物として好適に使用する事ができる。
【0079】
具体的には、ボールペン・シャープペン・鉛筆等の筆記用具の部材、ステーショナリーの部材、ゴルフ用ティー、始球式用発煙ゴルフボール用部材、経口医薬品用カプセル、肛門・膣用座薬用担体、皮膚・粘膜用張付剤用担体、農薬用カプセル、肥料用カプセル、種苗用カプセル、コンポスト、釣り糸用糸巻き、釣り用浮き、漁業用擬餌、ルアー、漁業用ブイ、狩猟用デコイ、狩猟用散弾カプセル、食器等のキャンプ用品、釘、杭、結束材、ぬかるみ・雪道用滑り止め材、ブロック、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、箸、割り箸、フォーク、スプーン、串、つまようじ、カップラーメンのカップ、飲料の自動販売機で使用されるようなカップ、鮮魚、精肉、青果、豆腐、惣菜等の食料品用の容器やトレイ、鮮魚市場で使用されるようなトロバコ、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌飲料等の乳製品用のボトル、炭酸飲料・清涼飲料等のソフトドリンク用のボトル、ビール・ウイスキー等の酒類ドリンク用のボトル、シャンプーや液状石鹸用のポンプ付き、又は、ポンプなしのボトル、歯磨き粉用チューブ、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、植木鉢、浄水器カートリッジのケーシング、人工腎臓や人工肝臓等のケーシング、注射筒の部材、テレビやステレオ等の家庭電化製品の輸送時に使用するための緩衝材、コンピューター・プリンター・時計等の精密機械の輸送時に使用するための緩衝材、ガラス・陶磁器等の窯業製品の輸送時に使用するための緩衝材等に使用することができるが、優れた耐熱性と透明性を生かした、包装用フィルム、食品用容器、卵パック、ブリスターパック、コンパクトディスク(CD)、CD−R、CD−ROM、LD、DVD、透明導電性フィルム、ミニディスク(MD)、カセットテープ、ビデオテープ、パソコンや携帯電話の筐体、哺乳瓶、吸い飲み等の用途へ好適に利用する事ができる。
【実施例】
【0080】
以下に実施例をあげて本発明を詳述する。なお、本出願の明細書における実施例の記載は、本発明の内容の理解を支援するための説明であって、その記載は本発明の技術的範囲を狭く解釈する根拠となる性格のものではない。この実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
1)重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム温度40℃、クロロホルム溶媒)で測定し、ポリスチレンを標準としてサンプルとの比較により重量平均分子量を求めた。
2)ガラス転移温度(Tg)
走査熱量計(島津製作所社製DSC−60)で昇温速度10℃/分、30℃〜250℃の温度範囲で示差熱分析(DSC分析)した。
3)透明性
透明性の指標として用いたHaze値(曇度)および平行光線透過率は、JIS K−7136(ISO14782)およびJIS K−7361−1(ISO13468−1)に準拠して、ヘーズメーターNDH2000(日本電色工業社製)により、Haze値(曇度)(HZ:%)および平行光線透過率(PT:%)を測定した。測定値は5回の平均値である。測定には厚さ0.5mm、幅および長さ4mmのシート状試験片を用いた。
4)引張破断伸び
JIS K−7113に準じた方法で、1(1/5)号形試験片を用いて測定した。温度23℃、湿度50%、引張速度10mm/minの条件で試験を行った。
5)ヤング率
厚さ0.5mmのプレスシートについて、23℃、相対湿度50%の条件中に3日間放置した後、ダンベル型の試料を切り出し、引張試験機インストロン4501(インストロン社製)を用い、23℃、相対湿度50%の条件下で、ひずみ速度100%/分の条件で引張試験を行い、ヤング率を求めた。
【0081】
[実施例1]
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下ロート、窒素導入管を装着した300ml丸底フラスコに、イソソルビド14.7g(0.1006mol)、1,4−ブタンジオール6.3g(0.0699mol)、ピリジン138.4g(1.75mol)を装入し、窒素気流下において室温で溶解させた。撹拌をしながら約50℃まで昇温し、トリホスゲン25.3gと1,2−ジクロロエタン60gの溶液を3.5時間かけてゆっくり滴下した。反応開始とともに反応熱により内温が上昇したので、内温を50〜55℃に保つように注意しながら反応を行った。
【0082】
滴下終了後、同温度を保ちながらさらに1時間撹拌を行い、反応を充分進行させた。反応終了後、反応マス中に水100mlを、発生する炭酸ガスによる突沸に注意しながらゆっくり滴下し、未反応のトリホスゲンを分解した。この反応マスを、濃塩酸146g(1.4mol)、水265gの塩酸水中に静かに注ぎ、デカントして褐色の固形物を得た。このものを、300mlのメタノールを用いてホモミキサーで粉砕洗浄を2回行い、さらに300mlの水でスラリー洗浄、濾過後のウェットケーキをメタノールでリンス洗浄したのち、窒素雰囲気下で乾燥し、イソソルビド70重量部、1,4−ブタンジオール30重量部のポリカーボネート共重合体21.2gを得た。
【0083】
得られたポリカーボネート共重合(1)はMw=3.5万、ガラス転移温度=85℃であった。得られたポリカーボネート共重合体(1)をガラス転移温度+100℃の温度に設定したプレス機にて100kg/cm2の圧力で溶融した後に、20℃に設定したプレス機にて急冷することにより、各種プレス成形試験片を得、機械物性を測定した。結果を表1に示す。溶融流動性は良好で、特に問題なく加工できた。
【0084】
[実施例2]
1,4−ブタンジオールを、1,3−プロパンジオール6.3g(0.0828mol)変え、トリホスゲンを27.2g(0.0917mol)に変えた以外は実施例1と同様にしてイソソルビド70重量部、1,4−ブタンジオール30重量部のポリカーボネート共重合体(2)21.0gを得た。
【0085】
得られたポリカーボネート共重合体(2)はMw=3.4万、ガラス転移温度=100℃であった。得られたポリカーボネート共重合体(2)を実施例1と同様の方法で成形し、機械物性を測定した。結果を表1に示す。溶融流動性は良好で、特に問題なく加工できた
【0086】
[実施例3]
攪拌機、温度計、ト字管および空冷管、受器、窒素道入管、滴下ロートを装着した反応装置に、イソソルビド70g(0.479mol)、炭酸ジフェニル173.92g(0.8119mol)を装入し、窒素気流下において215℃まで昇温した。同温度を保ちながら3.5時間撹拌し、エステル交換により反応を進行させた。生成するフェノールは系外へ除去した。続けて同温度において1,4−ブタンジオール32.2g(0.357mol)を3.5時間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、さらに5時間熟成した。この時生成するフェノールも同様に、系外へ除去した。
【0087】
この後、反応系を徐々に減圧しながら生成するフェノールを系外に除去し、最大で215℃、4mmHgの条件で反応を終了させ、イソソルビド70重量部、1,4−ブタンジオール30重量部のポリカーボネート共重合体(3)83.2gを得た。
得られたポリカーボネート共重合体(3)はMw=3.1万、ガラス転移温度=95℃であった。得られたポリカーボネート共重合体(3)を実施例1と同様の方法で成形し、測定した。結果を表1に示す。溶融流動性は良好で、特に問題なく加工できた
【0088】
[比較例1]
実施例1と同様の反応装置に、イソソルビド14.6g(0.1mol)、シクロヘキサノール0.133g(0.00133mol)、ピリジン79.1g、1,2−ジクロロエタン50gを装入し、トリホスゲン14.83g(0.05mol)および1,2−ジクロロエタン50gの溶液を滴下しながら、同様にして反応を行った。反応終了後、同様の処理を行い、イソソルビドのホモポリカーボネート樹脂(4)15.3gを得た。
得られたイソソルビドのホモポリカーボネート樹脂(4)はMw=11.6万、ガラス転移温度=166℃であった。
得られたイソソルビドのホモポリカーボネート樹脂(4)を成形しようとしたが、溶融流動性が悪く、成形時に割れてしまうため成形することができず、測定不可能であった。
【0089】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のポリカーボネート共重合体は、優れた耐熱性を有しており、光ディスク用基材、容器や包装材料に好適であり、汎用樹脂の代替として使用する事ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


(一般式(1)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)で表される脂環式ポリカーボネートユニット(a)および、
一般式(2)
【化2】


(一般式(2)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で表される脂肪族ポリカーボネートユニット(b)を含んでなる、重量平均分子量が5000〜200000であるポリカーボネート共重合体からなる透明耐熱成形体。
【請求項2】
脂環式ポリカーボネートユニット(a)と脂肪族ポリカーボネートユニット(b)の組成比が(a)/(b)=90/10〜30/70重量%であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート共重合体からなる透明成形体。
【請求項3】
一般式(3)
【化3】

(一般式(3)において、X、XはO、N−R7、Sであり、互いに同一でも異なっていても良い。また、R1,R2は炭素数が1〜10のアルキレン鎖であり、直鎖状でも分岐状でも良い。また、R3〜R7は水素原子または炭素数が1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基であり、アルキル基は直鎖状でも分岐状でも良く、シクロアルキル基、フェニル基は置換基を有していても良い)で表される脂環式2価アルコール(A)、
一般式(4)
【化4】

(一般式(4)において、R8は炭素数2〜10の、直鎖状でも分岐状でも環状構造を含んでも良いでも良いアルキレン基またはアラルキル基である)で表される脂肪族2価アルコール(B)及びカーボネート前駆体から製造されることを特徴とする請求項1記載ポリカーボネート共重合体から成る透明耐熱成形体
【請求項4】
請求項1に記載された透明耐熱成形体からなる光ディスク用基材。
【請求項5】
請求項1に記載された透明耐熱成形体からなるシート。
【請求項6】
請求項1に記載された透明耐熱成形体からなる容器。

【公開番号】特開2009−46519(P2009−46519A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343218(P2005−343218)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】