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ポリクロロプレンラテックス
説明

ポリクロロプレンラテックス

【課題】
貯蔵安定性や機械的安定性に優れたポリクロロプレンラテックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、クロロプレン単独、またはクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体を、ポリビニルアルコール1.0〜10質量部の存在下で乳化重合させ、遊離ポリビニルアルコールが全ポリビニルアルコール中の70%以下であるポリクロロプレンラテックスである。ポリクロロプレンラテックスの固形分は、40〜65質量%であることが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は、80〜93モル%であることが好ましく、クロロプレンと共重合可能な単量体が、エチレン性不飽和カルボン酸であることが好ましい。ポリクロロプレンラテックスは、接着剤の原料として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリクロロプレンラテックス、およびそれを用いた水系接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリクロロプレンラテックスは、土木建築、合板、家具、靴、ウェットスーツなどの水系接着剤、労働作業用手袋、実験用手袋、医療用手袋、ゴム糸、風船などの浸漬成形品、土木、建築での防水用塗膜など、様々な分野で利用されている。特に、ポリビニルアルコールを乳化剤に使用して製造されたポリクロロプレンラテックスは、配合安定性や、粘着性に優れているため、水系接着剤に利用されることが多い。ところが、ポリビニルアルコール以外の乳化剤を使用したラテックスに比べて、機械的安定性が低い傾向があり、輸送中に振動したり、撹拌機やポンプによって機械的剪断力が加わったりする時に、凝固物が生成することがある。また、ポリビニルアルコールは水溶性であるため、これを用いて乳化重合して得られるポリクロロプレンラテックスを使用した接着剤は、雨や湿気に曝される場所では、耐水性が不足する場合があった。このような問題を解決するため、いくつかの改良が検討されている。
例えば、特許文献1では、クロロプレンと、エチレン系不飽和カルボン酸を、ポリビニルアルコールとグリコールジエーテルの存在下に共重合させて、耐水性に優れるポリクロロプレンラテックスを製造することを発明している。
特許文献2では、クロロプレン単独、またはクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体を、HLB値が14〜19のポリオキシエチレンアルキルエーテルとポリビニルアルコールの存在下で乳化重合することによって、粘度が低くてハンドリング性に優れ、なおかつ耐水性が良好なポリクロロプレン系ラテックス組成物が得られることを発明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−076015号公報
【特許文献2】特開2005−008859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や2の技術で製造されたポリクロロプレンラテックスは、通常の使用では問題ないが、製品の保管環境によってはラテックス中に凝集物が生成したり、成分沈降が発生したりする場合があった。また、極端な機械的せん断力が加わると凝固物が発生する場合があった。また、これらの既知技術は、一定の耐水性を向上させる効果はあるものの、靴やウェットスーツの接着剤のように水に完全に浸される用途で使用するためには、更に耐水性を改良が必要であった。
【0005】
本発明は、これら貯蔵安定性や機械的安定性に優れたポリクロロプレンラテックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、クロロプレン単独、またはクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体を、全単量体の合計100質量部に対して、ポリビニルアルコール1.0〜10質量部存在下で乳化重合させ、かつ、遊離ポリビニルアルコールが全ポリビニルアルコール中の70質量%以下であるポリクロロプレンラテックスである。ポリクロロプレンラテックスの固形分は、40〜65質量%であることが好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は、80モル%以上であることが好ましく、クロロプレンと共重合可能な単量体が、エチレン性不飽和カルボン酸であることが好ましい。ポリクロロプレンラテックスは、接着剤の原料として用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貯蔵安定性や機械的安定性に優れたポリクロロプレンラテックスが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0009】
ポリクロロプレンラテックスとは、ポリクロロプレンを、水中に分散させて得られるラテックス(エマルジョン)である。ポリクロロプレンとは、2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、クロロプレンと記す)の単独重合体、または、クロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体との共重合体である。
【0010】
クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メタクリル酸及びそのエステル類、アクリル酸及びそのエステル類があり、必要に応じて2種類以上用いても良い。本発明では、クロロプレン重合体が、クロロプレンとエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体であることが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸としては、メタクリル酸が最も好ましく、その仕込み量は、単量体の合計100質量部のうち、カルボキシル基含有ビニル単量体が0.01〜5質量部が好ましい。カルボキシル基含有ビニル単量体を共重合させると、接着剤に酸化亜鉛や酸化マグネシウムといった金属酸化物を配合した時に、2価金属イオンとカルボキシル基の架橋が起こり、耐熱性や耐溶剤性といった接着性能を向上させることができるからである。
【0011】
ポリクロロプレンラテックスを得るためには、クロロプレン単独、またはクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体を、ポリビニルアルコールの存在下で、重合開始剤、連鎖移動剤を用いて乳化重合し、所定の重合率となった際に重合停止剤を添加して重合を停止させればよい。
【0012】
本発明では、クロロプレンの乳化重合に使用される乳化剤は、ポリビニルアルコールを用いる。ポリビニルアルコールは、ビニルエステル単量体の単独重合体を、又はビニルエステル単量体及びそれと共重合可能な単量体の共重合体を、鹸化させることによって得られた重合体のことである。
【0013】
ビニルエステル単量体としては、特に限定するものではないが、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニルなどが挙げられる。また、これらの中でも特に、重合時の安定性に優れる酢酸ビニルを使用することが望ましい。
ポリビニルアルコールの製造時には、必要に応じて、前述した各単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させてもよい。その際、共重合可能な単量体としては、特に限定するものではないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フタル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和酸類、又はその塩類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩などのアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、グリセリンモノアリルエーテル、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩などのメタクリルアミド類、炭素数1〜18のアルキル鎖長を有するアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコールなどのアリル化合物、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物及び酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
なお、これらの共重合可能な他の単量体の使用量は、特に限定するものではないが、単量体全量に対して0.001mol%以上20mol%未満であることが好ましい。
【0014】
これらの単量体の重合方法は、特に限定するものではなく、公知のラジカル重合方法を採用することができる。一般には、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールなどのアルコールを溶媒とする溶液重合により製造されるが、バルク重合や乳化重合や懸濁重合などで製造してもよい。また、バルク重合または溶液重合を行う場合には、連続重合でもよいし、バッチ重合でもよい。更に、単量体は一括して仕込んでもよいし、分割して仕込んでもよく、あるいは連続的又は断続的に添加してもよい。
【0015】
ラジカル重合において使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)などのアゾ化合物、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどの過酸化物、ジイソプピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネートなどのパーエステル化合物、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシバレロニトリルなどの公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。また、重合反応温度は、特に限定するものではないが、通常30〜90℃程度の範囲で設定することができる。
【0016】
一方、変性ポリビニルアルコールを製造する際の鹸化条件も特に限定されるものではなく、前述した方法で得られた重合体を、公知の方法で鹸化すればよい。一般的には、アルカリ触媒又は酸触媒の存在下で、分子中のエステル部を加水分解することで行うことができる。このとき、重合溶媒であるアルコール中の共重合体の濃度は、特に限定されないが、10〜80質量%であることが望ましい。
【0017】
その際使用されるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート及びカリウムメチラートなどのアルカリ金属の水酸化物や、アルコラートなどを用いることができる。また、酸触媒としては、例えば、塩酸及び硫酸などの無機酸水溶液、p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いることができるが、特に水酸化ナトリウムを用いることが望ましい。
【0018】
更に、鹸化反応の温度も、特に限定されないが、好ましくは10〜70℃、より好ましくは30〜40℃の範囲であることが望ましい。反応時間は、特に限定されないが、30分〜3時間の範囲で行なうことが望ましい。
【0019】
本発明ではクロロプレン単量体の乳化重合操作を安定的に行うという観点から、ポリビニルアルコールのケン化度を80モル%以上、更に好ましくは85〜99モル%とすることが好ましい。また、重合度は、200〜3000、更に好ましくは200〜700が望ましい。なお、ここで記載するケン化度と重合度とは、JIS K 6726に規定される方法で測定した値である。
【0020】
ポリビニルアルコールの添加量は、重合させる全単量体の合計100質量部に対して、1.0〜10質量部が好適である。1.0質量部未満では、乳化重合の際の保護コロイドが不足することとなり、重合安定性が不良となる傾向があり、10質量部を超えると、重合反応系の粘度が上昇し、均一な撹拌が困難になる。
【0021】
クロロプレン単量体の乳化重合で使用する乳化剤は、ポリビニルアルコールが必須であるが、必要に応じて、他のノニオン系乳化剤を併用することも可能である。他のノニオン系乳化剤を併用することによって、重合中の増粘を抑えて、濾過時に目詰まりのもととなる微少凝固物を減らすことができる。ノニオン系乳化剤の具体例としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシエチレンひまし油エーテル等のポリオキシエチレン誘導体、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウリレート、ソルビタンモノパルミテート等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエレート等のグリセロールの脂肪酸エステル類、脂肪族アルカノールアミン、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、ポリオキシエチレンヒドロキシナフチルエーテル等が挙げられる。
【0022】
クロロプレン単量体の乳化重合時の重合温度は、遊離ポリビニルアルコール量を70%以下とするため、5〜45℃とすることが好ましい。特に、重合温度を30〜40℃とすることにより、副生成物であるクロロプレン二量体の生成を低減することができるため好ましい。
【0023】
クロロプレン単量体の乳化重合で使用する重合開始剤は、特に限定するものではないが、例えば、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類等の有機過酸化物などがある。これらの中でも、安定した重合を行う上で過硫酸カリウムを使用することが好ましい。
【0024】
上記の重合開始剤に還元剤を併用してレドックス型開始剤とすることによって、乳化重合時の重合開始剤の活性を高めることも可能である。還元剤の具体例としては、亜硫酸ソーダ、硫酸第1鉄、アントラキノン−β−スルフォン酸ソーダ、フォルムアミジンスルフォン酸、L−アスコルビン酸等が挙げられる。還元剤の添加量は、0.6質量部以下が好ましい。
【0025】
クロロプレン単量体の乳化重合で使用する連鎖移動剤の種類は特に限定されず、通常クロロプレンの乳化重合に使用されるものが使用できるが、例えばn−ドデシルメルカプタンやtert−ドデシルメルカプタン等の長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィド等のジアルキルキサントゲンジスルフィド類、ヨードホルム等の公知の連鎖移動剤を使用することができる。
【0026】
重合停止剤(重合禁止剤)は特に限定するものではなく、例えば、チオジフェニルアミン、ジエチルハイドロキシルアミン、ハイドロキノン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、ハイドロキノンメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(6−t−4−メチルフェノール)、4,4−ブチレンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヒドロキシアミン等が使用できる。
【0027】
クロロプレン(共)重合体の重合率は、特に限定するものではないが、80〜100%で任意に調節することができる。未反応単量体の除去(脱単量体)は、減圧加熱等の公知の方法によっておこなう。
【0028】
本発明におけるポリクロロプレンラテックスは、クロロプレン(共)重合体のトルエン不溶分が、20〜99%であることが好ましい。この範囲であれば、接着力のバランス優れた接着剤を作ることができる。
【0029】
未反応単量体を除去して濃縮した後のポリクロロプレンラテックスの固形分濃度は、40〜65質量%の範囲であることが好ましい。固形分濃度が40質量%に満たないと、得られる接着剤の接着強度が低下する場合があり、65質量%を超えてしまうと、機械的安定性が低下する場合がある。
ポリクロロプレンラテックスの固形分濃度は、以下の方法で測定することができる。
<固形分濃度>
アルミ皿だけの質量をX(g)とする。ラテックス試料を2ml入れたアルミ皿の質量をY(g)とする。ラテックス試料を入れたアルミ皿を125℃で1時間乾燥させた後の質量をZ(g)とする。固形分濃度(%)は下式で算出する。
固形分濃度(%)={(Z−X)/(Y−X)}×100
【0030】
ポリクロロプレンラテックスに含まれる遊離ポリビニルアルコールは、全ポリビニルアルコール中、70質量%以下が好ましい。遊離ポリビニルアルコール量が70質量%を越えると、貯蔵安定性及び機械的安定性が低下する。遊離ポリビニルアルコール量は20〜50質量%がより好ましい。なお、遊離ポリビニルアルコールは以下の方法により算出することができる。
<遊離ポリビニルアルコール>
PETフイルム上に100μm用のアプリケーターを用いてポリクロロプレンラテックスを塗布し、23℃、50%RHの暗所で3日間静置乾燥し、さらに室温条件で真空乾燥した後、125℃で1時間乾燥して皮膜を作成する。皮膜には、ポリビニルアルコール、及びポリビニルアルコール以外の水溶性の助剤が含まれる。皮膜を100mlビーカーに1(g)量り取り、30℃の純水50gを加え、皮膜を48時間浸漬し、皮膜中に存在する水溶性成分を抽出する。金網ろ過により皮膜を除去した後、抽出液を125℃で質量変化が無くなるまで乾燥固化し、固形分の質量A(g)を測定する。この固形分には、遊離ポリビニルアルコールB(g)とポリビニルアルコール以外の水溶性の助剤が含まれる。
皮膜1(g)中に含まれる、全ポリビニルアルコールの質量C(g)及びポリビニルアルコール以外の水溶性の助剤の質量D(g)は、ポリクロロプレンラテックスを得る仕込み条件から、全単量体の合計を100質量部とし、重合率をE(%)、ポリビニルアルコールの仕込み量をF(質量部)、ポリビニルアルコール以外の水溶性の助剤の仕込み量をG(質量部)、これら以外の仕込み物質の合計をH(質量部)として、下式で算出する。
C(g)=F/(E+F+G+H)
D(g)=G/(E+F+G+H)
遊離ポリビニルアルコールB(g)は、下式で算出する。
B(g)=A−D
全ポリビニルアルコール質量に対する遊離ポリビニルアルコールの割合Iは、下式で算出する。
I=B/C
【0031】
遊離ポリビニルアルコール量は、還元剤、連鎖移動剤、共重合単量体の量及び重合温度でコントロールできる。クロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体に対して、還元剤を0.5質量部以下、連鎖移動剤を0.1〜1.0質量部、共重合単量体量を5.0質量部以下、重合温度を5〜45℃の範囲とすることで遊離ポリビニルアルコール量を70%以下とすることができる。
【0032】
ポリクロロプレンラテックスの固形分濃度は、40〜65質量%の範囲であることが好ましい。固形分濃度が40質量%に満たないと、得られる接着剤の接着強度が低下する場合があり、65質量%を超えてしまうと、機械的安定性が低下する場合がある。
ポリクロロプレンラテックスの固形分濃度は、以下の方法で算出することができる。
<固形分濃度>
アルミ皿だけの質量をX(g)とする。ラテックス試料を2ml入れたアルミ皿の質量をY(g)とする。ラテックス試料を入れたアルミ皿を125℃で1時間乾燥させた後の質量をZ(g)とする。固形分濃度(%)は下式で算出する。
固形分濃度(%)={(Z−X)/(Y−X)}×100
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。
【0034】
<実施例1>
内容積3リットルの反応器を用い、窒素気流下で、水100質量部、ポリビニルアルコール[日本合成化学工業株式会社製ニチゴーGポリマー(登録商標)OKS−8041(ケン化度89モル%)]3.5質量部、メタクリル酸3.0質量部、亜硫酸ナトリウム0.1質量部を仕込み、溶解後、撹拌しながらクロロプレン97質量部とn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えた。過硫酸カリウムを開始剤として用い、窒素雰囲気下、40℃で重合し、重合率が95%に達したところでフェノチアジンの乳濁液を加えて重合を停止した。減圧下で未反応の単量体を除去した後、更に減圧下で水分を蒸発させて濃縮をおこない、固形分濃度50%のポリクロロプレンラテックスを得た。
【0035】
<実施例2〜実施例16>
表1および表2に示す条件でそれぞれ重合を行ない、その他の条件は実施例1と同様の条件にてポリクロロプレンラテックスを得た。
【0036】
<比較例1〜比較例7>
表3に示す条件でそれぞれ重合を行ない、その他の条件は実施例1と同様の条件にてポリクロロプレンラテックスを得た。
【0037】
<貯蔵安定性>
235gのポリクロロプレンラテックスを胴径が19.5cmで225mlのガラス容器に入れ密閉したものを8本用意する。その全てを40℃で保存し、1週間毎にそのうちの一本を取り出し、中のポリクロロプレンラテックスを100メッシュの金網でろ過する。ガラス容器の底に残ったラッテクスの厚みが2mm以上となるか、金網に残った凝固物を110℃で3時間乾燥した凝固物が、ポリクロロプレンラテックスの固形分に対して0.005%以上となるまでの期間を記録する。
【0038】
<機械的安定性>
JISK6828に準拠して、マーロン式試験装置を用い、50gのポリクロロプレンラテックスに荷重10kg、回転数1000rpmのせん断力を10分間加えた際に発生した凝固物の量を評価したものである。値は、生成した凝固物を乾燥計量して下記の式により算出したものであり、小さいものほどせん断力に対して安定であることを示す。
機械的安定性(%)=凝固物乾燥質量g/ラテックス量50g×100
【0039】
こうして得られたポリクロロプレンラテックス100質量部(固形分換算)、粘着付与樹脂(荒川化学工業社製タマノールE−100)50質量部、酸化亜鉛(大崎工業社製AZ−SW)1質量部の配合比率でスリーワンモータを用いて攪拌し、接着剤を作成した。得られた接着剤につき、以下のとおりサンプルを作製し接着強度の評価をおこなった。結果を表1に示した。
【0040】
<サンプルの作製>
帆布(25×150mm)2枚各々に、300g(固形分)/mの接着剤組成物を刷毛で塗布し、80℃雰囲気下9分間乾燥し、室温で1分間放置後に塗布面を張り合わせハンドローラーで圧着した。これについて、以下の接着力評価試験を行った。
「初期剥離強度」
ローラー圧着10分間後、引張り試験機を用い、引張り速度200mm/minで180°剥離強度を測定した。
「常態剥離強度」
圧締7日後、引張り試験機を用い、引張り速度200mm/minで180°剥離強度を測定した。
「耐水強度」
圧締7日後、水中に2日間浸漬し、引張り試験機を用い、引張り速度200mm/minで180°剥離強度を測定した。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロプレン単独、またはクロロプレン及びクロロプレンと共重合可能な単量体を、全単量体の合計100質量部に対してポリビニルアルコール1.0〜10質量部の存在下で乳化重合することにより製造され、かつ、遊離ポリビニルアルコールが全ポリビニルアルコールに対して70質量%以下であることを特徴とするポリクロロプレンラテックス。
【請求項2】
固形分濃度が、40〜65質量%であることを特徴とする、請求項1記載のポリクロロプレンラテックス。
【請求項3】
ポリビニルアルコールのケン化度が、80モル%以上であることを特徴とする、請求項1または2記載のポリクロロプレンラテックス。
【請求項4】
クロロプレン重合体が、クロロプレンとエチレン性不飽和カルボン酸との共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項記載のポリクロロプレンラテックス。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか一項に記載したポリクロロプレンラテックスを用いた接着剤。

【公開番号】特開2012−188552(P2012−188552A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53413(P2011−53413)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】