説明

ポリサルファイド系シーリング材組成物

【課題】耐久性に優れるポリサルファイド系シーリング材組成物。
【解決手段】2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマーを含む第1液と、ウレタンプレポリマーを含む第2液とを有し、さらに、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーと、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Bを2個以上持つ反応性ポリマーとを有するポリサルファイド系シーリング材組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリサルファイド系シーリング材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、反応性基を有するシリコーンポリマー、反応性基を有するポリサルファイドポリマー、反応性基を有する変成ポリサルファイドポリマー、反応性基を有するアクリルウレタンポリマー、フルオロオレフィンに基づく重合単位を有する反応性基を有する含フッ素ポリマー、加水分解性ケイ素基を有する飽和炭化水素ポリマー、および加水分解性ケイ素基を有するアクリルポリマーの中から選ばれた少なくとも1種の反応硬化型ポリマー(A)、ならびにアクリロイル基および/またはメタクリロイル基を末端に有するポリオキシアルキレン化合物(B)を含有することを特徴とする硬化性組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−2976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者は、(メタ)アクリロイル基を末端に有するポリオキシアルキレン化合物を含有するポリサルファイド系シーリング材組成物は耐久性について改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明は、耐久性に優れるポリサルファイド系シーリング材組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマーを含む第1液と、ウレタンプレポリマーを含む第2液とを有し、さらに、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーと、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Bを2個以上持つ反応性ポリマーとを有する組成物が、耐久性に優れるポリサルファイド系シーリング材組成物となりうることを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記1〜7を提供する。
1. 2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマーを含む第1液と、
ウレタンプレポリマーを含む第2液とを有し、
さらに、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーと、
エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Bを2個以上持つ反応性ポリマーとを有するポリサルファイド系シーリング材組成物。
2. 前記反応性モノマーの分子量が500未満であり、前記反応性ポリマーの重量平均分子量が500以上である上記1に記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
3. 前記第1液100質量部に対して、前記反応性ポリマーの量が1〜25質量部であり、前記反応性モノマーの量が1〜25質量部である上記1または2に記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
4. 前記反応性ポリマーと前記反応性モノマーとの合計量中、前記反応性ポリマーの量が10〜80質量%であり、前記反応性モノマーの量が20〜90質量%である上記1〜3のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
5. 前記官能基Aと前記官能基Bとが異なる上記1〜4のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
6. 前記反応性ポリマーと前記反応性モノマーとの組み合わせが、
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ、
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ、ならびに、
無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性ポリマーとエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1〜4のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
7. 実質的に二酸化鉛を含まない上記1〜6のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリサルファイド系シーリング材組成物は、耐久性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明について以下詳細に説明する。
本発明のポリサルファイド系シーリング材組成物は、
2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマーを含む第1液と、
ウレタンプレポリマーを含む第2液とを有し、
さらに、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーと、
エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Bを2個以上持つ反応性ポリマーとを有する組成物である。
以下本発明のポリサルファイド系シーリング材組成物を「本発明の組成物」ということがある。
【0009】
ポリサルファイドポリマーについて以下に説明する。
本発明の組成物において、第1液に含まれるポリサルファイドポリマーは、1分子中に2個以上のチオール基(SH基)を有し、主鎖中にポリスルフィド結合を含むものである。
【0010】
ポリサルファイドポリマーは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。ポリサルファイドポリマーとしては、具体的には例えば、下記式(A)および(B)で示されるもの等が挙げられる。
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立にC24OCH2OC24または炭素数1〜12のアルキレン基を表し、xはそれぞれ独立に2〜5の整数を表し、mはそれぞれ独立に1〜1500の整数を表す。)
xは2であるのが好ましい。
【0011】
ポリサルファイドポリマー中、−(R−Sx)−で示される構造単位は、主鎖の全て(100質量%)を形成しているのが好ましく、他の構造単位を含有する場合であっても5〜95質量%を形成しているのが好ましい。
【0012】
ポリサルファイドポリマーとしては市販品を用いることができ、その具体例としては、実施例で使用したAKZO NOBEL社製のTHIOPLASTポリマー、東レ・ファインケミカル社製(東レチオコール社製)のLPポリマー等が挙げられる。
【0013】
ポリサルファイドポリマーの数平均分子量は、通常300〜200,000であるのが好ましく、500〜50,000であるのがより好ましい。
ポリサルファイドポリマーはその製造について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
ポリサルファイドポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0014】
ウレタンプレポリマーについて以下に説明する。
本発明の組成物において、第2液に含まれるウレタンプレポリマーは、特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。具体的には例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを、ヒドロキシ基に対してイソシアネート基が過剰となるように反応させることによって得られる反応生成物が挙げられる。ウレタンプレポリマーは、0.5〜5質量%のNCO基を分子末端に含有するのが好ましい。
【0015】
ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリイソシアネートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートが挙げられる。
【0016】
ポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であるのが、得られるウレタンプレポリマーが低粘度となり、取り扱いが容易となり、相溶性、耐発泡性に優れ、硬化性に優れる理由から好ましい。
【0017】
ウレタンプレポリマーを製造する際に使用されるポリオールは、ヒドロキシ基を2個以上有するものであれば特に限定されない。
ポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール;ポリエステルポリオール;ポリマーポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;アクリルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールのような低分子量のポリオールが挙げられる。
なかでも、相溶性、耐発泡性に優れ、硬化物の強度、伸びに優れるという観点から、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
【0018】
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオールおよびペンタエリスリトールからなる群から選択される少なくとも1種に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびポリオキシテトラメチレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオールが好適に例示される。
【0019】
ポリオールはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリオールは、相溶性、耐発泡性に優れ、硬化物の強度、伸びに優れるという観点から、ポリオキシアルキレンポリオールであるのが好ましく、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオールであるのが好ましい。
ポリオールの数平均分子量は、相溶性、耐発泡性に優れ、硬化物の強度、伸びに優れるという観点から、400〜10000であるのが好ましく、400〜8000であるのが好ましい。
【0020】
本発明においては、ウレタンプレポリマーを製造する際のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との組み合わせとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)およびジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)からなる群から選択される少なくとも1種と、ポリオキシアルキレンポリオール(特にポリオキシプロピレンジオールおよび/またはポリオキシプロピレントリオール)との組み合わせが好適に例示される。
【0021】
ウレタンプレポリマーを製造する際のポリイソシアネートとポリオールとの量は、NCO基/OH基(当量比)が、1.2〜2.5となるのが好ましく、1.5〜2.0となるのがより好ましい。当量比がこのような範囲である場合、得られるウレタンプレポリマーの粘度が適当となり、ウレタンプレポリマー中の未反応のポリイソシアネート化合物の残存量を低減することができる。
【0022】
ウレタンプレポリマーの製造方法は特に限定されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
ウレタンプレポリマーは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
ウレタンプレポリマーの量は、硬化物の性状に優れ、耐発泡性に優れるという観点から、第2液中のウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基の、第1液中の含まれるポリサルファイドポリマーが有するチオール基に対する当量比(イソシアネート基/チオール基)が、0.7〜1.3となるのが好ましく、0.85〜1.15となるのがより好ましい。
【0024】
反応性モノマーについて以下に説明する。
本発明の組成物に使用される反応性モノマーは、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ化合物である。
なお、本発明において、(メタ)アクリロイルオキシ基は、アクリロイルオキシ基およびメタクリロイルオキシ基のうちの一方または両方を意味する。
反応性モノマーの官能基A以外の構造は2価以上の有機基であれば特に制限されない。有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
反応性モノマーはオリゴマーであってもよい。反応性モノマーがオリゴマーである場合、官能基Aは耐久性により優れるという観点からオリゴマーの両末端に少なくとも結合しているのが好ましい。
反応性モノマーがオリゴマーである場合、その主鎖としては例えばポリオキシアルキレン、エポキシ樹脂が挙げられる。
反応性モノマーとしては、例えば、エポキシ基を2個以上有する反応性モノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマー、無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマー、マレイミド基を2個以上有する反応性モノマーが挙げられる。
【0025】
反応性モノマーの分子量は、耐水性により優れるという観点から、500未満であるのが好ましく、250〜500未満であるのがより好ましい。
また、反応性モノマーの分子量については、耐水性により優れるという観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーは50〜500未満であるのが好ましく、それ以外の反応性モノマーは500未満であるのが好ましい。
【0026】
<エポキシ基を2個以上有する反応性モノマー>
エポキシ基を2個以上有する反応性モノマーは、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するモノマーであれば特に制限されない。
エポキシ基を2個以上有する反応性モノマーの分子量は50以上500未満であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0027】
エポキシ基を2個以上有する反応性モノマーとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型等のビスフェニル基を有するエポキシ化合物や、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物や、ナフタレン環を有するエポキシ化合物や、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の多官能型のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;
ダイマー酸等の合成脂肪酸のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;
下記式(1)で表されるN,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン(TGDDS)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(TGMXDA)、下記式(2)で表されるトリグリシジル−p−アミノフェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジル1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(TG1,3−BAC)、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;
【0028】
【化2】

【0029】
下記式(3)で表されるトリシクロ[5,2,1,02,6]デカン環を有するエポキシ化合物(式中のmが0または1の混合物であって分子量が500未満のもの)、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエンとメタクレゾール等のクレゾール類またはフェノール類を重合させた後、エピクロルヒドリンを反応させる公知の製造方法によって得ることができるエポキシ化合物;
【0030】
【化3】

【0031】
脂環型エポキシ樹脂;東レチオコール社製のフレップ10に代表されるエポキシ樹脂主鎖に硫黄原子を有するエポキシ樹脂;ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂;ポリブタジエン、液状ポリアクリロニトリル−ブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含有するゴム変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0032】
これらのエポキシ樹脂のうち、耐久性により優れ、安価で入手しやすい理由から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であるのが好ましい。
【0033】
本発明においては、上記エポキシ基を2個以上有する反応性モノマーとして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128、エポキシ当量190、東都化成社製)等の市販品を用いることができる。
【0034】
<(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマー>
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーであれば特に制限されない。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーの分子量は耐久性により優れるという観点から、50〜500未満であるのが好ましく、500未満であるのがより好ましい。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーはオリゴマーであってもよい。(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーはオリゴマーである場合としては、例えば、ポリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレートのようなポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性オリゴマーの分子量は耐久性により優れるという観点から、50〜500未満であるのが好ましく、200〜500未満であるのがより好ましい。
【0035】
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーとしては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレートのようなポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、耐久性より優れ、皮膚への刺激性が低く、作業性に優れる理由から、ポリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
【0036】
本発明においては、上記(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーとして、ポリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート[商品名M220(分子量:300、東亜合成社製)]等の市販品を用いることができる。
【0037】
<無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマー>
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーは、1分子中に2個以上の無水マレイン酸基を有するモノマーであれば特に制限されない。
無水マレイン酸基は芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン環)と縮合して縮合多環を形成することができる。無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーも同様である。
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーの分子量は50以上500未満であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0038】
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーとしては、具体的には、例えば、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、等が挙げられる。
これらのうち、耐久性により優れ、液状であり、作業性に優れる理由から、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートであるのが好ましい。
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーは、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートと脂環式ジカルボン酸無水物との混合物であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0039】
本発明においては、上記無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーとして、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート(リカシッドTMTA−C、新日本理化社製)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(リカシッドTMEG−S、新日本理化社製)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(リカシッドTMEG−100、新日本理化社製)等の市販品を用いることができる。
【0040】
<マレイミド基を2個以上有する反応性モノマー>
マレイミド基を2個以上有する反応性モノマーは、1分子中に2個以上のマレイミド基を有するモノマーであれば特に制限されない。
マレイミド基を2個以上有する反応性モノマーの分子量は50以上500未満であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
【0041】
マレイミド基を2個以上有する反応性モノマーとしては、具体的には、例えば、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−マレイミドフェニル)メタン、2,2′−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
これらのうち、耐久性により優れ、溶解性に優れるという観点から、ビス(3−エチル−5−メチル−マレイミドフェニル)メタンであるのが好ましい。
【0042】
本発明においては、上記マレイミド基を2個以上有する反応性モノマーとして、ビス(3−エチル−5−メチル−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、ケイ・アイ化成社製)、2,2′−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(BMI−80、ケイ・アイ化成社製)等の市販品を用いることができる。
【0043】
反応性ポリマーについて以下に説明する。
本発明の組成物に使用される反応性ポリマーは、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選択される1種の官能基Bを2個以上持つ反応性の重合体である。
反応性ポリマーの官能基B以外の構造は2価以上の有機基であれば特に制限されない。有機基は酸素原子、窒素原子、硫黄原子のようなヘテロ原子を有することができる。
官能基Bは耐久性により優れるという観点から反応性ポリマーの両末端に少なくとも結合しているのが好ましい。
反応性ポリマーはオリゴマーであってもよい。反応性ポリマーがオリゴマーである場合、官能基Bは耐久性により優れるという観点からオリゴマーの両末端に少なくとも結合しているのが好ましい。
反応性ポリマーがオリゴマーである場合、反応性ポリマーの主鎖としては、ポリブタジエンのようなジエン系ポリマー、ウレタンプレポリマー、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリフェニルメタンが挙げられる。
反応性ポリマーとしては、例えば、エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマー、無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマー、マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマーが挙げられる。
【0044】
反応性ポリマーの重量平均分子量は、耐水性により優れるという観点から、500以上であるのが好ましく、500〜10000であるのがより好ましい。
また、反応性ポリマーの分子量については、耐水性により優れるという観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーは500〜10000であるのが好ましく、それ以外の反応性ポリマーは500以上であるのが好ましい。
【0045】
<エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマー>
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーは、1分子中に2個以上のエポキシ基(オキシラン環)を有するものであれば特に限定されず、ホモポリマーおよびコポリマーのいずれであってもよい。エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーの重量平均分子量は500以上であるのが好ましい。
【0046】
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーとしては、具体的には、例えば、エポキシ化天然ゴム、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシドを有するスチレン系エラストマー、エポキシドを有するアクリルゴムのようなゴム変性エポキシ樹脂;エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体のようなエポキシ変性アクリル樹脂が挙げられる。
これらのうち、耐久性により優れ、粘度が低く、作業性が良好となる理由から、エポキシ化ポリブタジエンであるのが好ましい。
【0047】
(エポキシ化天然ゴム)
上記エポキシ化天然ゴムとしては、天然ゴムをエポキシ化して得られるものを用いてもよく、また市販品を用いてもよい。
天然ゴムをエポキシ化する方法は特に限定されず、例えば、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法等の方法が挙げられる。具体的には、天然ゴムに過酢酸や過ギ酸などの有機過酸を反応させる方法が挙げられる。
また、市販品としては、具体的には、例えば、マレーシアゴム局(MRB)製のENR−25(エポキシ化率:25%)、ENR−50(エポキシ化率:50%)、ENR−60(エポキシ化率:60%)等が挙げられる。
【0048】
また、上記エポキシ化天然ゴムのエポキシ化率は、5〜80モル%であるのが好ましく、5〜60モル%であるのがより好ましい。
【0049】
(エポキシ化ポリブタジエン)
上記エポキシ化ポリブタジエンとしては、ポリブタジエンをエポキシ化して得られるものを用いてもよく、また市販品を用いてもよい。
ポリブタジエンをエポキシ化する方法は特に限定されず、1,2−ポリブタジエンを過酸化水素法等によりオキシラン酸素が5%以上となるようにエポキシ化する方法等が挙げられる。
また、市販品としては、具体的には、例えば、ダイセル化学社製のエポリードPB3600等が挙げられる。
【0050】
(エポキシドを有するアクリルゴム)
上記エポキシドを有するアクリルゴムとしては、具体的には、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレートなどの主骨格を形成するモノマー成分と、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの架橋点を形成するモノマー成分とを共重合させて得られるものを用いてもよく、また市販品を用いてもよい。
市販品としては、具体的には、例えば、日本ゼオン社製のNipol AR30シリーズ、40シリーズ、50シリーズが挙げられ、中でも、Tgが低く、耐寒性に優れる理由から、AR32、AR53L、AR54が好適に挙げられる。
【0051】
(エポキシドを有するスチレン系エラストマー)
上記エポキシドを有するスチレン系エラストマーとは、ハードセグメントがポリスチレンであるスチレン系熱可塑性エラストマーであって、ソフトセグメントの共役ジエン成分に含まれる不飽和二重結合部分をエポキシ化したエラストマーをいう。
本発明においては、ダイセル化学工業社製のエポフレンド(例えば、CT301、AT501)等の市販品を用いることができる。
【0052】
(エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体)
上記エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリル酸メチル共重合体としては、例えば、住友化学社製のボンドファースト7L、7M等の市販品を用いることができる。
【0053】
(エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体)
上記エチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビニル共重合体としては、例えば、住友化学社製のボンドファースト2B、7B等の市販品を用いることができる。
【0054】
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーは、なかでも、耐久性により優れ、液状で分散性に優れるという観点から、2官能エポキシが好ましい。
【0055】
<(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマー>
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有し、重量平均分子量が500以上のものであれば特に限定されず、ホモポリマーおよびコポリマーのいずれであってもよい。
【0056】
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の単独重合体や共重合体のうち、重合体の両末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するもの;ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、耐久性により優れるという観点から、ウレタン(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
【0057】
(ウレタン(メタ)アクリレート)
ウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン結合を有し、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体であれば特に限定されない。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、主鎖にウレタン結合を有し、2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基が主鎖の末端または側鎖に結合しているものが挙げられる。
具体的には、1分子中に2個以上の水酸基を有するポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、および、1分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレートの反応生成物;ポリイソシアネート化合物、および、1分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレートの反応生成物が挙げられる。
【0058】
ここで、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、および、(メタ)アクリレートの反応生成物は、ポリオール化合物およびポリイソシアネート化合物を反応させ、イソシアネート基を有するいわゆるウレタンプレポリマーを生成した後に、(メタ)アクリレートを反応させて得られる生成物である。
具体的には、まず、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、通常のウレタンプレポリマーの合成と同様、イソシアネート基が過剰量となるように反応させて、ウレタンプレポリマーを生成する。なお、この反応におけるイソシアネート基/水酸基(当量比)は、1.2〜2.5となるのが好ましく、1.5〜2.2となるのがより好ましい。
次いで、得られたウレタンプレポリマーのイソシアネート基と(メタ)アクリレートの水酸基とを反応させることにより、ウレタン(メタ)アクリレートを生成する。
【0059】
一方、ポリイソシアネート化合物、および、(メタ)アクリレートの反応生成物は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基とアクリレートの水酸基を反応させて得られる生成物である。
【0060】
上記ウレタン(メタ)アクリレートの生成に用いる上記ポリオール化合物は、水酸基を2個以上有する化合物であれば、その分子量および骨格等は特に限定されず、その具体例としては、低分子多価アルコール類、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
上記ポリオール化合物としては、具体的には、例えば、ウレタンプレポリマーの生成に用いる従来公知のポリオール化合物が挙げられる。
【0061】
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの生成に用いる上記ポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0062】
また、上記ウレタン(メタ)アクリレートの生成に用いる上記(メタ)アクリレートは、1分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するアクリレートであり、その具体例としては、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0063】
本発明においては、(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーとして、ウレタン(メタ)アクリレート(CN968、脂肪族6官能ウレタンオリゴマー、サートマー社製)等の市販品を用いることができる。
【0064】
<無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマー>
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーは、1分子中に2個以上の無水マレイン酸基を有し、重量平均分子量が500以上のものであれば特に限定されず、ホモポリマーおよびコポリマーのいずれであってもよい。
【0065】
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーとしては、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムや、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−アクリルゴム(AEM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)などのオレフィン系ゴム等のエラストマー性ポリマーを無水マレイン酸で変性して得られる無水マレイン酸変性ゴム;スチレンと無水マレイン酸との共重合体;等が挙げられる。
これらのうち、耐久性により優れ、粘度が低く、作業性が良好となる理由から、無水マレイン酸で変性したブタジエンゴムであるのが好ましい。また、耐久性により優れ、結晶性が高く、乾燥性がよく、シーラントを施工した後の未硬化状態での表面タックをより抑制することができる理由から、スチレンと無水マレイン酸との共重合体であるのが好ましい。
【0066】
エラストマー性ポリマーを無水マレイン酸で変性する方法は特に限定されず、無水マレイン酸のエチレン性不飽和結合部分とエラストマー性ポリマーとを反応させる方法等が挙げられる。
【0067】
本発明においては、上記無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーとして、無水マレイン酸で変性したブタジエンゴム(POLYVESTOC 800S、デグサ社製)、無水マレイン酸基を2個以上有するイソプレンゴム(L−IR−403、クラレ社製)、スチレンと無水マレイン酸との共重合体(SMA−EF80、サートマー社製)等の市販品を用いることができる。
【0068】
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーは、耐久性により優れ、液状で分散性に優れるという観点から、無水マレイン酸で変性したブタジエンゴム、無水マレイン酸基を2個以上有するイソプレンゴムが好ましい。
【0069】
<マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマー>
マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマーは、1分子中に2個以上のマレイミド基を有し、重量平均分子量が500以上のものであれば特に限定されず、ホモポリマーおよびコポリマーのいずれであってもよい。
【0070】
マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマーとしては、具体的には、例えば、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。
【0071】
本発明においては、上記マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマーとして、ポリフェニルメタンマレイミド(BMI−2300、大和化成社製)等の市販品を用いることができる。
マレイミド基を2個以上有する反応性ポリマーは、耐久性により優れ、可塑剤等の溶解性に優れるという観点から、ポリフェニルメタンマレイミドが好ましい。
【0072】
本発明において、反応性ポリマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、ポリサルファイドポリマー100質量部に対して、1〜25質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
反応性ポリマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、第1液100質量部に対して、1〜25質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
【0073】
本発明において、反応性モノマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、ポリサルファイドポリマー100質量部に対して、1〜25質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
反応性モノマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、第1液100質量部に対して、1〜25質量部であるのが好ましく、1〜10質量部であるのがより好ましい。
【0074】
反応性ポリマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、反応性ポリマーと反応性モノマーとの合計量中の10〜80質量%であるのが好ましく、25〜75質量%であるのがより好ましい。
【0075】
反応性モノマーの量は、耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、反応性ポリマーと反応性モノマーとの合計量中の20〜90質量%であるのが好ましく、25〜75質量%であるのがより好ましい。
【0076】
本発明において、反応性モノマーが有する官能基Aと反応性ポリマーが有する官能基Bとは、同じでも異なるものであってもよい。耐久性により優れ、物性に優れるという観点から、反応性モノマーが有する官能基Aと反応性ポリマーが有する官能基Bとが異なることが好ましい。
好適態様における反応性ポリマーと反応性モノマーとの組み合わせとしては、
(1)エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ;
(2)エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ;
(3)無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性ポリマーとエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせが挙げられる。
【0077】
具体的には、例えば、
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーとの併用、
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーとの併用、
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーとマレイミド基を2個以上有する反応性モノマーとの併用、
無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーとの併用、
等が挙げられる。
反応性モノマーと反応性ポリマーとの組み合わせは、なかでも、耐久性により優れ、物性と耐候性に優れるという観点から、無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーと(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性モノマーとの併用が好ましい。
【0078】
なお、エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと無水マレイン酸基を2個以上有する反応性モノマーとを併用する場合や、無水マレイン酸基を2個以上有する反応性ポリマーとエポキシ基を2個以上有する反応性モノマーとを併用する場合は、反応性ポリマーと反応性モノマーとが反応してしまうため、施工直前に混合することで併用することができる。
【0079】
本発明の組成物は反応性モノマーを有していればよく、第1液および第2液のうちの片方もしくは両方が反応性モノマーを含むことができ、または第1液および第2液以外の第3液として反応性モノマーを有することができる。反応性ポリマーについても同様である。
具体的には、例えば、少なくとも第1液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、少なくとも第2液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、少なくとも第1液および第2液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、少なくとも第3液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合が挙げられる。
少なくとも第1液および第2液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、第1液および第2液がそれぞれ反応性モノマーおよび反応性ポリマーを含んでもよく、第1液が反応性モノマーを含み第2液が反応性ポリマーを含んでもよく、第1液が反応性ポリマーを含み第2液が反応性モノマーを含んでもよい。
【0080】
本発明の組成物が第3液を有する場合、少なくとも第3液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含めばよい。この場合第1液および第2液は反応性モノマーと反応性ポリマーとを含まないとすることができる。
【0081】
本発明の組成物は、耐久性により優れ、環境負荷に優れるという観点から、実質的に二酸化鉛を含まないのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明において、実質的に二酸化鉛を含まないとは、本発明の組成物全体中の二酸化鉛の量が0〜1質量%以下であることをいう。
【0082】
本発明の組成物は、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤を含むことができる。添加剤としては、例えば、可塑剤、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、表面処理された炭酸カルシウム、樹脂中空体)、硬化触媒、チクソトロピー性付与剤、シランカップリング剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、乾性油、接着性付与剤、分散剤、脱水剤、紫外線吸収剤、溶剤が挙げられる。
【0083】
本発明の組成物はその製造について特に制限されない。例えば、前記第1液および前記第2液のうちの片方もしくは両方が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、第1液および第2液のうちの片方もしくは両方に反応性モノマーと反応性ポリマーとを加えて、ポリサルファイドポリマーを含む第1液(主剤)と、ウレタンプレポリマーを含む第2液(硬化剤)とし、それらを別々に窒素ガス雰囲気下で十分に混合する方法により調製することができる。
また、第3液が反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む場合、ポリサルファイドポリマーを含む第1液(主剤)と、ウレタンプレポリマーを含む第2液(硬化剤)と、反応性モノマーと反応性ポリマーとを含む第3液とを別々に窒素ガス雰囲気下で十分に混合する方法により調製することができる。
本発明の組成物は、第1液(主剤)と第2液(硬化剤)とを十分に混合して使用することによって使用することができる。
本発明の組成物は、第1液(主剤)と第2液(硬化剤)と第3液とを十分に混合して使用することによって使用することができる。
【0084】
本発明の組成物の用途としては、例えば、シーリング材、接着剤が挙げられる。
本発明の組成物を適用することができる被着体としては、例えば、モルタル、コンクリート、金属、塗装板、プラスチック、ゴムが挙げられる。
本発明の組成物を被着体に塗布する方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物は例えば湿気等の水分、加熱によって硬化することができる。
【実施例】
【0085】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
<評価>
下記のようにして得られた組成物について以下の方法で耐久性を評価した。結果を第1表に示す。
JIS A5758:2004の4.4.3 耐久性による区分の適否を、耐久性による区分:9030と主成分による区分:ポリサルファイド系との組み合わせについて、JIS A1439:2004の5.17(耐久性試験)によって試験した。試験体は、被着体として陽極酸化アルミニウムを使用し、試料として下記のようにして製造した組成物を使用し、JIS A1439:2004の5.17.2の図14耐久性試験体(b)2形に準じて作製された。養生条件は、前養生を23(±2)℃、50(±5)%RH、7日間、後養生を50(±2)℃、7日間とした。耐久性試験の手順は、JIS A1439:2004の5.17.3の表4(a)耐久性試験手順(1)に準じた。
【0086】
試験体の溶解、膨潤、ひび割れ、皴、亀裂、被着体からのはく離および外形の変形等を目視により確認し、その結果を以下評価基準で評価した。
○:外観上ひびや亀裂など外観上の異常や剥離等がない場合。
△:試験体の表面にひび、皴などあるが、剥離や亀裂、外形の変形などない場合。
×:亀裂や外形上の変形および剥離等の異常があった場合。
【0087】
<組成物の製造>
第1表に示す成分を同表に示す量(質量部)で用いてこれらを均一に混合し、組成物を製造した。なお第2液として、イソシアネートを含む、ポリサルファイド系シーリング材組成物の第2液(商品名SC−M500の硬化剤、横浜ゴム社製)を使用し、これを第1表に示す成分と共に混合した。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
第1表に示されている各成分は、以下のとおりである。
・第1液:ポリサルファイドポリマーを含む、ポリサルファイド系シーリング材組成物の第1液(商品名SC−M500の主剤、横浜ゴム社製)
・反応性ポリマー1:エポキシ化ポリブタジエン(エポリードPB3600、重量平均分子量:2800、エポキシ当量:188〜213、ダイセル化学社製。1分子当たり13〜15個のエポキシ基を有する。)
・反応性ポリマー2:ウレタン(メタ)アクリレート(CN968、脂肪族6官能ウレタンオリゴマー、重量平均分子量:1400、サートマー社製。1分子当たり平均6個の(メタ)アクリレート基を有する。)
・反応性ポリマー3:無水マレイン酸変性ポリブタジエン(POLYVESTOC800S、重量平均分子量:2500、デグサ社製。1分子当たり平均1.4個の無水マレイン酸基を有する。)
・反応性ポリマー4:ポリフェニルメタンマレイミド(BMI−2300、重量平均分子量:670、大和化成工業社製。1分子あたり平均3個のマレイミド基を有する。)
・反応性モノマー1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YD128、分子量:340、エポキシ当量:190、東都化成社製。1分子あたり2個のエポキシ基を有する。)
・反応性モノマー2:ポリプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート(商品名M220(分子量:300、東亜合成社製、1分子あたり2個の(メタ)アクリレート基を両末端に有する。)
・反応性モノマー3:グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテートと脂環式ジカルボン酸無水物との混合物(MTA−15、分子量:482、新日本理化社製)
・反応性モノマー4:ビス(3−エチル−5−メチル−マレイミドフェニル)メタン(BMI−70、分子量:442、ケイ・アイ化成社製)
【0091】
第1表に示す結果から明らかなように、反応性モノマーを含まない比較例1〜4、反応性ポリマーを含まない比較例5〜8は耐久性に劣った。
これに対して、実施例1〜13は耐久性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2個以上のチオール基を有するポリサルファイドポリマーを含む第1液と、
ウレタンプレポリマーを含む第2液とを有し、
さらに、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーと、
エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Bを2個以上持つ反応性ポリマーとを有するポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項2】
前記反応性モノマーの分子量が500未満であり、前記反応性ポリマーの重量平均分子量が500以上である請求項1に記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項3】
前記第1液100質量部に対して、前記反応性ポリマーの量が1〜25質量部であり、前記反応性モノマーの量が1〜25質量部である請求項1または2に記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項4】
前記反応性ポリマーと前記反応性モノマーとの合計量中、前記反応性ポリマーの量が10〜80質量%であり、前記反応性モノマーの量が20〜90質量%である請求項1〜3のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項5】
前記官能基Aと前記官能基Bとが異なる請求項1〜4のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項6】
前記反応性ポリマーと前記反応性モノマーとの組み合わせが、
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ、
エポキシ基を2個以上有する反応性ポリマーおよび/または(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する反応性ポリマーと、エポキシ基および(メタ)アクリロイルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせ、ならびに、
無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を2個以上持つ反応性ポリマーとエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、無水マレイン酸基およびマレイミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基Aを2個以上持つ反応性モノマーとの組み合わせからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。
【請求項7】
実質的に二酸化鉛を含まない請求項1〜6のいずれかに記載のポリサルファイド系シーリング材組成物。

【公開番号】特開2011−236353(P2011−236353A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109916(P2010−109916)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】