ポリシクロヘキセンオキサイドの重合方法および成型材料
【課題】シクロヘキセンオキサイドの開環重合において、効率的な製造が可能な触媒を提供する。
【解決手段】シクロヘキセンオキサイドの開環重合において、これまで知られていない固体酸触媒、好ましくはゼオライト、金属硫酸塩、金属リン酸塩、固体無機酸化物などの無機固体酸触媒を用いることによる高効率でかつ分子量の高いポリマーを製造する方法を見出した。本製造法は、生成物の重合体と触媒の分離を容易であり、また、溶媒の使用量が従来より極端に少ないなどの環境側面からのメリットを併せ持つものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疎水性潤滑剤(ゴム成型、陶磁器、繊維、金属、加工など)、離型剤、油性ペイントなどの塗料、研磨材などのほか、人工皮革、界面活性剤、およびプラスチック原料などとして有用な環状エーテル重合体の製造方法および成形材料に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシクロヘキセンオキサイドは、古くは、トリアルキルアルミニウムなどに代表される有機金属化合物、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素に代表されるルイス酸などを用いて重合されることが知られており、近年、有機化合物を利用した触媒としては、カテコールボランの誘導体を触媒とした重合方法(特許文献1)、ハロゲン置換された安息香酸およびその誘導体を触媒とした重合方法(特許文献2、3)、ベンゼン環を配位させた高配位ケイ素化合物を用いた重合方法(特許文献4)などが開発されており、また無機化合物を利用した方法として、コバルトカルボニルを触媒とした重合方法(特許文献5)、ホウ酸を触媒とした重合方法(特許文献6)などが知られている。
【特許文献1】特開2001-261814号公報
【特許文献2】特開2000-344813号公報
【特許文献3】特開2000-344717号公報
【特許文献4】特開平9-12585号公報
【特許文献5】特開平6-172510号公報
【特許文献6】特公平7-5723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これまでの製造法では、触媒が均一系触媒の場合、その触媒の除去が困難であるため、製造されるポリマーに異物が発生したり、着色が生じたりするなどの製品上の問題があったり、塩素化芳香族化合物を用いることに起因する環境問題の発生などの製造上の課題があったり、多量の溶媒をもちいることによるための環境負荷の大きいプロセスであるなどの課題があった。
【0004】
また不均一系の触媒においても、その収率が十分満足いくものでなかったり、触媒の安全性や発火性などの課題を抱えており、決して製造上好ましい合成法とは言えず、まだまだ改善の必要のあるものばかりであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、高効率でかつ高い分子量をもつポリシクロヘキセンオキサイドを重合する新規な製造方法を見出した。即ち、本発明は、
(1)シクロヘキセンオキサイドを固体酸触媒存在下、開環重合させることを特徴とするポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(2)固体酸触媒が無機固体酸触媒であることを特徴とする(1)記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(3)無機固体酸触媒が、ゼオライトであることを特徴とする(2)記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(4)ゼオライトが、亜鉛イオンで交換されたゼオライトであることを特徴とする(3)記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(5)無機固体酸触媒が、金属硫酸塩、金属リン酸塩、固体無機酸化物から選ばれる1種以上のものである(1)記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(6)無機固体酸触媒を固定化して、シクロヘキセンオキサイドと接触させ、ポリシクロヘキセンオキサイドを連続重合させることを特徴とする(1)から(5)のいずれか1項記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法、
(7)(1)から(6)のいずれか1項記載の方法で得られたポリシクロヘキセンオキサイドを含有してなる成形材料
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明を用いれば、ポリシクロヘキセンオキサイドの高効率かつ高い分子量のものを工業的に実施しやすい形で製造することができるだけでなく、溶媒を使用しない点やダイオキシン発生原因になる物質を使用しない点などから、環境低負荷型の製造法であり、また触媒除去が格段に実施しやすく、これまでにない高付加価値製品を得ることができる製造法であるため、産業上非常に有用な技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係るポリシクロヘキセンオキサイドの重合方法について具体的に説明する。
【0008】
本発明のポリシクロヘキセンオキサイドの重合方法は、シクロヘキセンオキサイドを原料とし、触媒として固体酸触媒を用いることを特徴とする。
【0009】
本発明における、固体酸触媒とは、常温、常圧において固体状態をとる、酸触媒であり、無機固体酸でも有機固体酸であっても良い。無機固体酸触媒としては、例示するならば、酸性白土、クラリット、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、シリカゲルやアルミナに硫酸、リン酸、マロン酸などを付着させた固形化酸、ゼオライト、アモルファスアルミノシリケート、アモルファスチタノシリケート、アモルファスホウ酸シリケート、メソポーラスアルミノシリケートなどの複合酸化物、合成スメクタイトなどの層状化合物、アルミナ、チタニア、酸化ケイ素、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、硫酸ニッケル、硫酸ジルコニウム、硫酸アルミニウムなどの金属硫酸塩、リン酸ジルコニウムなどの金属リン酸塩などが挙げられ、有機固体酸触媒としては、リン酸基やスルフォン酸基をもつ樹脂のような酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。
【0010】
本発明では、無機固体酸触媒としてゼオライト、固体無機酸化物、金属硫酸塩、金属リン酸塩が好ましく使用できる。さらに好ましくは、ゼオライトである。
【0011】
本発明においてゼオライトとは、結晶性マイクロポーラス物質のことで、分子サイズの均一な細孔径を有する結晶性アルミノシリケート、結晶性メタロシリケート、結晶性メタロアルミノシリケート、結晶性アルミノホスフェート、結晶性メタロアルミノホスフェート、結晶性シリカアルミノホスフェートのことである。ここでいうメタロシリケート、メタロアルミノシリケートとは、アルミノシリケートのアルミニウムの一部または全部がガリウム、鉄、チタン、ボロン、コバルト、クロム等のアルミニウム以外で金属で置換されたものである。メタロアルミノホスフェートも同様にアルミノホスフェートのアルミニウムまたはリンに対してその一部がそれ以外の金属で置換されたものをいう。
【0012】
本発明においてゼオライトは、アトラス オブ ゼオライト ストラクチャー タイプス(Atlas of Zeolite Structure types)(ダブリュー.エム.マイヤー、デイー.エイチ.オルソン.シーエイチ.ベロチャー,ゼオライツ(W.M.Meier,D.H.Olson,Ch.Baerlocher,Zeolites,)17(1/2),1996)に掲載されているゼオライト構造を有するもの全てを意味する。上記の文献に掲載されていない構造の新種のゼオライトも本発明のゼオライトに含まれる。しかし、好ましくは簡単に入手できるL型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、A型ゼオライト、MFI型ゼオライト、モルデナイト型ゼオライト、β型ゼオライト、Ω型ゼオライト、AFI型ゼオライト、AEL型ゼオライト、ATO型ゼオライトが好ましい。これらのゼオライトを使用することで、高分子量のポリシクロヘキセンオキサイドを高効率で得ることができる。
【0013】
好ましくは、陽イオンとしてアルカリ金属または遷移金属のイオンで交換されているゼオライトであり、さらに好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオンで交換されたゼオライトであり、特に好ましくは、亜鉛イオンで交換されたるゼオライトである。亜鉛イオンで交換されたゼオライトを使用することで、他の金属で交換されたゼオライトよりも高効率で高分子量体のポリシクロヘキセンオキサイドを得ることができる。
【0014】
これらの陽イオンは、ゼオライトのイオン交換サイトの好ましくは10%から100%がイオン交換されているものが好ましく使用できる。
【0015】
本発明の原料は、シクロヘキセンオキサイドを使用する。本シクロヘキセンオキサイドは、特に純度など限定されることはなく、工業的に入手できるものを使用する。純度は高いほうが好ましいが、若干不純物が含まれているのが通常であり、これらが含まれていてもかまわない。
【0016】
本発明の重合方法では、反応温度は任意の温度で達成できるが、反応温度が低すぎると、反応速度が遅すぎる場合があり、反応温度があまり高いと副反応が多くなることがある。好ましくは、−50℃〜200℃、特に好ましくは、室温〜200℃である。
【0017】
触媒としての無機固体酸の使用量としては、原料となるシクロヘキセンオキサイドに対して、0.01重量%から80重量%、好ましくは、0.01重量%から20重量%であり、さらに好ましくは、0.01重量%から1重量%である。この範囲で無機固体酸を触媒として使用することにより、効率よくポリシクロヘキセンオキサイドを製造することができる。
【0018】
本発明に用いる反応装置は、連続式、回分式、半回分式のいずれでもよい。回分式、半回分式の場合、攪拌を行っても、行わなくても良いが、行ったほうが収率よくポリシクロヘキセンオキサイドを得ることができるので、好ましい。
【0019】
また、反応に必要とする圧力は、1kg/cm2から30kg/cm2が好ましく、さらに好ましくは、1kg/cm2から20kg/cm2であり、よりこのましくは、1kg/cm2から10kg/cm2である。
【0020】
回分式、半回分式などで、1kg/cm2以上で反応を行う際は、耐圧容器を用いて反応を行う方が好ましい。
【0021】
本発明では、反応に溶媒を用いても、用いなくてもよい。当然ながら、溶媒を使用しない方が、効率面、製造コスト面、回収面、環境面などから有利に思われる。しかし、包括的な損益の面から溶媒を使用したほうがよい場合は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n-デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒を用いて実施することが可能である。
この場合、使用する溶媒の量は、原料であるシクロヘキセンオキサイドに対して1%から80%、好ましくは1%から60%、さらに好ましくは、1%から40%程度である。
【0022】
本発明の、重合時間は、触媒量、反応温度等の条件により著しく異なる。通常は、0.1〜200時間、好ましくは、0.2〜150時間、さらに好ましくは、0.5〜100時間である。
【0023】
本発明で得られた重合体は、触媒との分離を行うために、ろ過、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、蒸留、遠心分離、沈殿分離などの精製行うことができるが、操作が簡便であることから、ろ過法が最も好ましく、生成物の純度を上げるために再沈殿を行ってもよい。
【0024】
また、本発明の製造法により得られるポリシクロヘキセンオキサイドは、実質的には一般式(1)
【0025】
【化1】
【0026】
で表される繰り返し単位からなるものであり、重合中に一般式(1)以外の重合単位、すなわちシクロヘキセンオキイド以外の環状エーテルが共重合成分として、共存している場合もありうる。シクロヘキセンオキサイド以外の環状エーテルが共重合されている場合、ポリマー中シクロヘキセンオキサイド以外の環状エーテルの共重合単位の量は、ポリシクロヘキセンオキサイド以外の環状エポキサイドの共重合体単位の総モル量に対して、0〜30モル%が好ましく、さらに好ましくは0〜10モル%である。
【0027】
ここでいう環状エーテルとは、具体的に例示するならば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド、スチレンオキサイドなどの芳香族エポキサイド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテルなどである。
【0028】
さらに、本発明で得られるポリシクロヘキセンオキサイドに対しては、所望により、フェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤、熱安定剤、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、耐光安定剤、アミン系などの帯電防止剤、脂肪族アルコールなどのエステル、アミドなどの滑剤、離型剤、多価アルコールのエーテルなどの改質剤および染料・顔料を含む着色剤などの通常の添加剤を1種以上添加できる。
【0029】
さらに、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレンやポリエチレンなどのオレフィン系重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/環状オレフィン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体などのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマーなどの熱可塑性樹脂あるいはメラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を配合してもかまわない。
【0030】
熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の配合量には、特に制限はなく、熱可塑性および/または熱可塑性樹脂の改質、あるいはポリシクロヘキセンオキサイドの改質などに応じて適宜配合することができる。一般にポリシクロヘキセンオキサイドと熱可塑性樹脂/熱硬化性樹脂の合計に対して、約1〜99重量%の範囲で用いることができる。
【0031】
また、繊維状および/または粒状の充填剤を添加することにより、ポリシクロヘキセンオキサイドの強度、剛性、耐熱性を大幅に向上させることができる。このような充填剤の具体例としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、アスベスト、チタン酸カリウムウィスカ、ワラステナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンおよび酸化アルミニウムなどがあげられ、なかでもチョップストランドタイプのガラス繊維が好ましく用いられる。繊維状および/または粒状の充填剤を添加量に特に制限はなく、ポリシクロヘキセンオキサイドを含む樹脂成分100重量部に対して通常400重量部以下、好ましくは0.1〜350重量部以下の範囲で添加することができる。
【0032】
かくして得られる本発明のポリシクロヘキセンオキサイドおよびポリシクロヘキセンオキサイドを含有してなる組成物は、溶融成型可能であるため成形材料として有用であり、具体的にはフィルム、シートなどの溶融プレス成形品、押出機で押し出しされる部品、例えばフィルム、シート、管、パイプ、ロッドおよび繊維など、あるいは希望する任意の形状と大きさを持った射出成形品に有用である。
【0033】
本発明で得られるポリシクロヘキセンオキサイドおよびポリシクロヘキセンオキサイドは、例えば、電気機器のハウジング、OA機器のハウジング、各種カバー、各種ギアー、各種ケース、センサー、LEPランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドケース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気、電子部品、;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアドライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響機器、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスク、などの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される、家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受、などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミネーター、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却センサー、油温センサー、ブレーキパッドウェアーセンサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアフローメーター、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関連部品、デュストリビュター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルターおよびその点火装置ケースなど、これら各種の用途にとって有用である。
【0034】
また透明性に優れている点から、映像機器関連部品として、カメラ、VTR、プロジェクションTV等の撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ等、光記録・光通信関連部品として各種光ディスク(VD,CD,DVD,MD,LD等)基板、各種ディスク基板保護フィルム、光ディスクプレーヤーピックアップレンズ、光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等、情報機器関連部品として、液晶ディスプレー、フラットパネルディスプレー、プラズマディスプレーの導光板、フレネルレンズ、偏光板、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、ピックアップレンズ、タッチパネル用導光フィルム、カバー等、自動車等の輸送機器関連部品として、テールランプレンズ、ヘッドランプレンズ、インナーレンズ、アンバーキャップ、リフレクター、エクステンション、サイドミラー、ルームミラー、サイドバイザー、計器針、計器カバー、窓ガラスに代表されるをグレージング等、医療機器関連部品として、眼鏡レンズ、メガネフレーム、コンタクトレンズ、内視鏡、分析用光学セル等、建材関連部品として、採光窓、道路透光板、照明カバー、看板、透光性遮音板、バスタブ用材料等、これら各種の用途にとって極めて有用である。
【実施例】
【0035】
本発明を、以下の実施例をもって具体的に説明するが、本実施例は、本発明を何ら制限するものではない。
【0036】
また、各種物性は、核磁気共鳴装置、ゲル・パーメンデーションクロマトグラフィー、示差熱量測定装置以下の機器を用い測定した。詳細な分析条件は以下の通りである。
【0037】
核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製:AL-400
ゲル・パーメンデーション・クロマトグラフィー(GPC):
島津製作所社製 LC-10Aシリーズを下記の条件で使用し、標準ポリスチレンよる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
【0038】
カラム:昭和電工社製KL-806+KL-804、カラム槽温度:30℃
移動相:THF、流速:1.0ml/min
検出:示差屈折率計
示差熱量測定装置(DSC):セイコーインスルメンツ社製 ロボットDSC RDC220U
赤外分光光度計(IR):パーキンエルマー(Perkin Elemer)社製 システム(System)2000FT-IR
使用した触媒のうち、ナトリウムイオンX型ゼオライト(東ソー株式会社製、F−9)、ナトリウムイオンY型ゼオライト(東ソー株式会社製、HSZ320NAA)、カリウムイオンL型ゼオライト(東ソー株式会社製、HSZ500KOA)については、市販品を購入し使用した。
【0039】
参考例1(ゼオライトの合成)
表1、2および参考例3で使用した固体酸触媒のうち、ナトリウムイオンペンタシル型ゼオライトについては、以下のように合成した。
【0040】
固形カセイソーダ(NaOH含量96.0wt%、H2O含量4.0wt%、片山化学)7.3グラム、酒石酸粉末(酒石酸含量99.7wt%、H2O含量0.3wt%,片山化学)10.2グラム、を水583.8グラムに溶解した。この溶液にアルミン酸ソーダ溶液(Al2O3含量18.5wt%、NaOH含量26.1wt%、H20含量55.4wt%、住友化学)35.4グラムを加えて均一な溶液とした。この混合液にケイ酸粉末(SiO2 含量91.6wt%、Al2 O3含量0.33wt%、NaOH含量0.27wt%、ニップシールVN−3、日本シリカ)111.5グラムを撹拌しながら徐々に加え、均一なスラリー状水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。
【0041】
SiO2/Al2O3=25
H2O/SiO2 =20
OH−/SiO2=0.164
A/Al2O3=1.0 A:酒石酸塩
反応混合物を1000ml容のオートクレーブに入れ密閉し、その後250rpmで撹拌しながら160℃で72時間反応させた。
【0042】
反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物は図1に示すX線回折パターンを有するペンタシル型ゼオライトであった。
【0043】
このゼオライトのシリカ/アルミナモル比は組成分析の結果、22であった。
【0044】
参考例2ナトリウムイオンモルデナイト型ゼオライト
表1,2および参考例3で使用した固体酸触媒のうち、ナトリウムイオンモルデナイト型ゼオライトについては、以下のように合成した。
【0045】
固形カセイソーダ(NaOH含量96.0wt%、H2O含量4.0wt%、片山化学)21.3グラム、酒石酸粉末(酒石酸含量99.7wt%、H20含量0.3wt%,片山化学)21.3グラム、を水586.8グラムに溶解した。この溶液にアルミン酸ソーダ溶液(Al2O3含量18.5wt%、NaOH含量26.1wt%、H20含量55.4wt%、住友化学)29.2グラムを加えて均一な溶液とした。この混合液にケイ酸粉末(SiO2含量91.6wt%、Al2O3含量0.33wt%、NaOH含量0.27wt%、ニップシールVN−3、日本シリカ)111.5グラムを撹拌しながら徐々に加え、均一なスラリー状水性反応混合物を調製した。この反応混合物の組成比(モル比)は次のとおりであった。
【0046】
SiO2/Al2O3=30
H2O/SiO2=20
OH−/SiO2=0.25
A/Al2O3=2.5 A:酒石酸塩
反応混合物を1000ml容のオートクレーブに入れ密閉し、その後250rpmで撹拌しながら160℃で72時間反応させた。
【0047】
反応終了後、蒸留水で5回水洗、濾過を繰り返し、約120℃で一晩乾燥した。得られた生成物は図2に示すX線回折パターンを有するモルデナイト型ゼオライトであった。
【0048】
このゼオライトのシリカ/アルミナモル比は組成分析の結果、19であった。
【0049】
同様に、シリカ/アルミナ比のことなる、ナトリウムイオンモルデナイト型ゼオライトについては、反応混合物の組成比(モル比)を次のとおり変えて同様に調製した。
【0050】
SiO2/Al2O3=10.5
H2O/SiO2=20
OH−/SiO2=0.285
A/Al2O3=1.25 A:酒石酸塩
参考例3(無機固体酸の陽イオン交換)
陽イオンを交換した無機固体酸触媒は、以下の様に調製した。
【0051】
10%硝酸亜鉛水溶液30gにナトリウムイオンX型ゼオライト(東ソー株式会社製、F−9)5.0gを加え、80℃で1時間加熱した。得られた反応液を濾過し、蒸留水で洗浄を行った。得られた濾過物を再び10%硝酸亜鉛水溶液中に加え、80℃1時間加熱し、蒸留水にて洗浄を行った。同様の操作をもう一度行った後、得られたろ過物を、蒸留水30g中に加え80℃で1時間加熱し、蒸留水で洗浄を行った。得られたろ過物について同様の操作を2回行い、その結果得られたろ過物を120℃にて加熱乾燥を行い、亜鉛イオンX型ゼオライトを得た。
【0052】
亜鉛イオンY型ゼオライト(東ソー株式会社製、HSZ320NAA)、亜鉛イオンL型ゼオライト(東ソー株式会社製、HSZ500KOA)、亜鉛イオンモルデナイト型ゼオライト、亜鉛イオンペンタシル型ゼオライト(東レ株式会社製NZA-10)についても同様に調整した。
【0053】
実施例1〜9(ポリシクロヘキセンオキサイドの重合)
ポリシクロヘキセンオキサイドの重合は以下の方法で実施した。表1、2に示すように実施例2から9においては、触媒を変えて、同様の条件で実施した。
【0054】
触媒とする固体酸触媒を400℃で2時間乾燥を行い、五酸化リンをいれたデシケーター内で冷却することにより、乾燥した亜鉛イオンX型ゼオライトを得た。不活性ガス下中、シクロヘキセンオキサイド(東レ株式会社製)5.0g、乾燥した固体酸触媒である亜鉛イオンX型ゼオライト200mgを50mlオートクレーブに加え、不活性ガスで3回置換した後に、反応容器を145℃のオイルバス中で24時間加熱した。冷却後、反応液をクロロホルム50mlで抽出し、触媒を濾過により除去後、濃縮を行った。得られた濃縮液をメタノール中で再沈殿を行うことにより、ポリシクロヘキセンオキサイドを得た。得られたポリマーは、いずれも無色透明であった。
【0055】
結果は、表1、2に示す。
1H-NMR(400MHz:CDCl3):δ1.240(4H,br)、1.61(2H、br)、1.86(2H、br)、3.38(2H、br)。
IR(film、cm-1):3432、2892、2664。
得られたポリシクロヘキセンオキサイドの物性を表1、2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
実施例10
触媒を硫酸ジルコニウム(ジャパンエナジー社製、品番 SZA−60)200mgに変えた以外は実施例1と同様に行ったところ、収量2.01g、数平均分子量Mn=6000、重量平均分子量Mw=12500、分子量分布=2.08で目的であるポリシクロヘキセンオキサイドを得た。収率40%。
【0059】
比較例1
シクロヘキセンオキサイド5.0gをオートクレーブ中に加え、触媒を加えない点以外は、実施例1と同様の反応を行った。その結果、目的物は全く得られなかった。本結果より、酸触媒の効果があることがわかる。
【0060】
比較例2
実施例1の固体酸触媒の代わりに、98%硫酸64mgを加え、同様の反応を行った。その結果、目的物は、全く得られなかった。
【0061】
本結果より、固体酸触媒の効果が顕著であることがわかる。
【0062】
比較例3
窒素雰囲気下、特許文献1の例2に記載されているように合成した、テトラクロロカテコールブトキシボラン0.5gとシクロヘキセンオキサイド5gを50mlオートクレーブに加え、不活性ガスで3回置換した後に、反応容器を145℃のオイルバス中で24時間加熱した。冷却後、反応液をクロロホルム50mlで抽出し、水1mlを加え、触媒を失活させた。反応混合物に2NのNaOHを加え攪拌した後に、クロロホルム層を2gのアルミナカラムに通し、得られたクロロホルム溶液の濃縮を行った。得られた濃縮液をメタノール中で再沈殿を行うことにより、ポリシクロヘキセンオキサイドを得た。
収率 13%。数平均分子量Mn=2200、重量平均分子量Mw=7400 。分子量分布3.36であった。本比較例では、本発明に比べ、触媒分離の操作が煩雑であり、また得られたポリマーに着色が認められた。
【0063】
実施例11
実施例4で得られたポリシクロヘキセンオキサイドを用い、150℃で溶融プレスを行うことにより、フィルム上の成形材料を作り、成形材料としての特性を評価した。その結果、薄膜上の透明なフィルムを得ることができ、良好な成形材料になることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明で得られた重合方法は、これまでにない高効率合成法であり、又、得られるポリシクロヘキセンオキサイドは、フィルム、シート、管、パイプ、ロッドなどの成形材料や、特に光学フィルム、透明カバーなどの用途に非常に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】参考例1で得た固体酸触媒のX線回折図形を示す図である。
【図2】参考例2で得た固体酸触媒のX線回折図形を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキセンオキサイドを固体酸触媒の存在下、開環重合させることを特徴とするポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項2】
固体酸触媒が無機固体酸触媒であることを特徴とする請求項1記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項3】
無機固体酸触媒が、ゼオライトであることを特徴とする請求項2記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項4】
ゼオライトが、亜鉛イオンで交換されたゼオライトであることを特徴とする請求項3記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項5】
無機固体酸触媒が、金属硫酸塩、金属リン酸塩、固体無機酸化物から選ばれる1種以上のものである請求項1記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項6】
無機固体酸触媒を固定化して、シクロヘキセンオキサイドと接触させ、ポリシクロヘキセンオキサイドを連続重合させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のポリシクロヘキセンオキサイドの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の方法で得られたポリシクロヘキセンオキサイドを含有してなる成形材料。
【図1】
【図2】
【公開番号】特開2006−206877(P2006−206877A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
化学;冶金 | 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物 | 炭素−炭素不飽和結合のみが関与する反応以外の反応によって得られる高分子化合物 | 用いられた触媒に特徴のあるもの
【出願番号】特願2005−352763(P2005−352763)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社
【Fターム(参考)】
ポリエーテル | ポリエーテル化合物 | 複素環の開環 | 環状エーテルのみの開環によるもの | 環外にC、H以外の原子を有しない環状エーテル | 飽和オキシラン
ポリエーテル | 用いるモノマー
ポリエーテル | 製造方法 | 重合触媒
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