説明

ポリシロキサン−ポリオールマクロマー、これらの製造法及びこれらの用途

【課題】成形品、コンタクトレンズ、角膜移植片又は生物医学的製品に用いるマクロマー又はそれから製造されるポリマーを提供する。
【解決手段】二価の構造要素により中断されないか、又は中断されており、更にポリオールセグメント上に少なくとも1つの重合しうるセグメントを有する、ポリシロキサン−ポリオールマクロマー、及び該マクロマーの少なくとも1つ、及び適切ならば、ビニルコモノマーの重合生成物の少なくとも1つを含むポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二価の構造要素により中断されていないか、又は中断されており、更にポリオールセグメント上に少なくとも1つの重合しうるセグメントを有する、ポリシロキサン−ポリオールマクロマー;本発明のマクロマーの少なくとも1つ、及び適切ならば、ビニルコモノマーの重合生成物の少なくとも1つを含むポリマー;中間体;マクロマー及び重合生成物の製造方法;重合生成物の、成形品、コンタクトレンズ、角膜移植片又は生物医学的製品;更には物質の被覆のための本発明のマクロマー又はこれから製造されるポリマーの用途を記載している。
【0002】
特開昭62/068820 及び特開昭63/139106(花王株式会社)は、少なくとも1つの第一級アミノ基(これを介してポリシロキサンが糖残基で修飾される)を有するポリシロキサンよりなるポリマーを記載している。これらの修飾ポリシロキサンは、毛髪保護製品の添加物として推奨されている。
【0003】
WO83/01617(Minnesota Mining)は、特に、ポリシロキサンのメタクリル又はアクリルアミドアシル誘導体であるマクロマーを記載している。このようなシロキサン誘導体は、フィルムの被覆として有用であると言われている。
【0004】
EP362145(Ciba-Geigy)は、末端イソシアナートを含むポリジアルキルシロキサンプレポリマーとポリジアルキルシロキサン−ジ−又は−ポリアルカノールとの反応により製造されるコンタクトレンズを記載している。
【0005】
R.Stadlerら(Macromolecules 28,17-24(1995))は、ペンダントグルコンアミド又はマルトヘプタオンアミド基を有するポリシロキサン類、及び例えば対応する過アシル化N−アリルアルドンアミドから出発して、これをロジウム又はプラチナ触媒を用いてヒドロシリル化により対応するポリシロキサンのSi−H基上に付加する、これらの合成を記載している。
【0006】
生体適合性ポリシロキサン含有ポリマーは、今もなお必要とされている。例えば、以下の特定の性質を有するポリシロキサン類は特に必要とされている:靭性、機械的制動、遅い力学的緩和、酸素に対する透過性及びタンパク質、脂質及び塩類の沈着に対する抵抗性、並びにある程度の親水性。
【0007】
上述の問題は、遊離ヒドロキシル基を含む重合しうるマクロマーの製造により達成された。例えば、重合しうる不飽和側鎖を含む、少なくとも1つのポリオール成分で誘導体化されているアミノーアルキル化ポリシロキサンから構成されるマクロマーが開示されている。
【0008】
一方で、ポリマーは、本発明のマクロマーからホモ重合により調製することができる。前述のマクロマーは、更に1つ以上の親水性及び/又は疎水性コモノマーと混合して重合することができる。本発明のマクロマーの特性は、これらが、架橋最終生成物において、選択される親水性成分と疎水性成分の間のミクロ相分離を制御する要素として機能することである。親水性/疎水性ミクロ相分離は、300nm未満の領域で起こる。このマクロマーは、好ましくは、例えば、一方のアクリラートコモノマーと他方のポリシロキサンに結合したポリオールの重合しうる不飽和側鎖の間の界面で、共有結合及びこれに加えて可逆的な物理的相互作用(例えば、水素結合)により架橋する。これらは、例えば、多くのアミド又はウレタン基により形成される。複合相(phase composite)に存在する連続するシロキサン相は、酸素に対する非常に高い透過性を生み出す効果を有する。
【0009】
本発明は、式(I):
【化1】


〔式中、(a)は、ポリシロキサンセグメントであり、
(b)は、少なくとも4個のC原子を含むポリオールセグメントであり、
Zは、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、20個までのC原子を有する有機化合物の二価基であり、そしてそれぞれのX2は、他と独立に、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基である)として定義される)又はX1基(ここで、X1は、X2として定義される)であり、そして
(d)は、式(II):
【化2】


(式中、P1は、遊離基により重合しうる基であり;
Y及びX3は、相互に独立に、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基であり;
kは、0又は1であり;そして
Lは、結合又は有機化合物の20個までのC原子を有する二価基である)で示される基である〕で示される部分を少なくとも1つ含むことを特徴とするマクロマーに関する。
【0010】
ポリシロキサンセグメント(a)は、式(III):
【化3】


[式中、nは、5〜500の整数であり;
1、R2、R3、R4、R5及びR6基の99.8〜25%は、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の0.2〜75%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2m−(OCH2p−OR7(ここで、R7は、水素又は低級アルキルであり、alkは、アルキレンであり、そしてm及びpは、相互に独立に、0〜10の整数である)であり、1つの分子は、少なくとも1つの第一級アミノ又はヒドロキシル基を含む]で示される化合物から誘導される。
【0011】
式(III)のシロキサン中のアルキレンオキシ基:−(OCH2CH2m及び−(OCH2pは、1つのリガンド:alk−(OCH2CH2m(OCH2p−OR7中にランダムに分布しているか、又は1つの鎖中にブロックとして分布している。
【0012】
ポリシロキサンセグメント(a)は、全部で1〜50回、好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回、Z基を介してセグメント(b)又はもう1つのセグメント(a)(a−Z−a配列中のZは、常にセグメント(c)である)と結合している。Z基とのセグメント(a)における結合部位は、水素が1個少ないアミノ又はヒドロキシル基である。
【0013】
好適な意味において、ポリシロキサンセグメントは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基が、独立に、末端又はペンダントとして、全部で1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回のアミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、他の可変基が、上記と同義である、式(III)の化合物から誘導される。
【0014】
好適な実施態様において、ポリシロキサンセグメントは、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2CH2m−(OCH2p−OR7(ここで、可変基は、上記と同義である)である、式(III)の化合物から誘導される。
【0015】
別の好適な実施態様において、ポリシロキサンセグメント(a)は、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルである、式(III)の化合物から誘導される。
好適な意味において、nは、5〜400、更に好ましくは10〜250、そして特に好ましくは12〜125の整数である。
【0016】
好適な意味において、2つの末端基R1及びR6は、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、他の可変基は、上記と同義である。
別の好適な意味において、R4及びR5基は、ペンダントとして1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回のアミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そして他の可変基は、上記と同義である。
【0017】
別の好適な意味において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基は、独立に、末端及びペンダントの両方として、全部で1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回のアミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そして他の可変基は、上記と同義である。
【0018】
Zが、X1であれば、X1は、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基である。上述のカルボニル基は、適切ならば、−O−、−CONH−、−NHCO−又は−NH−が任意の様式で隣接している。二価基Zの例は、典型的には、カルボニル類、エステル類、アミド類、ウレタン類、尿素類又はカーボナート類である。X1は、好ましくは、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基、特にエステル又はアミド基である。
【0019】
2は、X1と同様に定義されており、好ましくは、エステル、アミド、ウレタン、カーボナート又は尿素基であり、更に好ましくは、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、そして特に、アミド、ウレタン又は尿素基である。
【0020】
式(I)中のZが、X1であれば、ポリオールセグメント(b)は、好ましくは、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるポリオールを意味すると理解される。
【0021】
炭水化物は、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖を意味すると理解される。炭水化物ラクトンは、アルドン酸又はウロン酸のラクトンを意味すると理解される。アルドン酸又はウロン酸は、例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖の酸化により形成されるカルボン酸である。アルドン酸ラクトンの例は、グルコノラクトン、ガラクトノラクトン、ラクトビオノラクトン又はマルトヘプタオノラクトンであり;ウロン酸ラクトンの例は、グルクロン酸ラクトン、マンヌロン酸ラクトン又はイズロン酸ラクトンである。炭水化物ジラクトンの例は、D−グルカロ−1,4:6,3−ジラクトンである。
炭水化物ラクトンは、例えば、セグメント(a)の第一級アミノ基又はヒドロキシル基と反応して、X1型の共有アミド又はエステル結合を形成する。このような結合は、本発明のマクロマーの更なる好適な実施態様の構成要素である。このようなマクロマーは、X1により中断される、(a)型と(b)型のセグメントの交互の分布を有する。
【0022】
好適な実施態様は、式(I):
【化4】


[式中、(a)は、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)は、ボリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zは、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1基(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;そして
(d)は、P1が、アルケニルであり、X3が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yが、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kが、0又は1であり、そしてLが、結合又はアルキレンである式(II)の基である]で示される部分を少なくとも1つ含むことを特徴とするマクロマーである。
【0023】
本発明は、好ましくは、式(IV):
【化5】


(式中、可変基は、上記と同義である)で示されるマクロマーに関する。
【0024】
本発明は、更に好ましくは、式(V):
【化6】


[式中、ポリシロキサンセグメント(a)は、q個のペンダントリガンドを含み、
xは、0、1又は2であり、
qは、1〜20、好ましくは1〜10、そして特に1〜5の平均数値を有しており、そして
式(V)のマクロマー中のセグメント(b)は、(1分子当たり)全部で20個まで、好ましくは15個まで、そして特に6個までの重合しうるセグメント(d)と結合している]で示されるマクロマーに関する。
【0025】
本発明は、更に好ましくは、式(VI):
【化7】


[式中、1つの直鎖状の配列が存在し、
xは、0、1又は2であり、
qは、1〜20、好ましくは1〜10、そして特に1〜5の平均数値を有しており、そして
式(VI)のマクロマー中のセグメント(b)は、(1分子当たり)全部で20個まで、好ましくは15個まで、そして特に6個までの重合しうるセグメント(d)と結合している]で示されるマクロマーに関する。
【0026】
本発明は、更に非常に好ましくは、式(VII):
【化8】


[式中、xは、0、1又は2であり、そして
式(VII)の1分子当たりのセグメント(d)の平均数は、好ましくは、2〜5の範囲であり、そして非常に好ましくは、3〜4の範囲である]で示されるマクロマーに関する。
【0027】
更に好適なマクロマーは、
ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)
の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマーである。
【0028】
また、更に好適なマクロマーは、
ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化された低級アルキル、低級アミノアルキル又は低級ヒドロキシアルキルであり、そしてnが、10〜250の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、低級アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又は低級アルキレンである)の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマーである。
【0029】
ポリオールセグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導される。このようなポリオールの例は、1,2−ポリオール(例えば、還元単糖類、例えば、マンニトール、グルシトール、ソルビトール又はイジトール)、1,3−ポリオール(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)(これは、部分的に又は完全に加水分解されたポリ酢酸ビニルから誘導される))、及び更にアミノ末端PVAテロマー、アミノポリオール、アミノシクロデキストリン、アミノ単糖、−二糖、−三糖、−オリゴ糖若しくは−多糖又はシクロデキストリン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)である。上述の炭水化物ジラクトンは、例えば、好ましくはアミノ末端PVAテロマー2当量と反応させて、中央部にこのジラクトンから誘導される炭水化物化合物を有する、ポリオールマクロマーを得ることができる。この組成のこのようなポリオールは、同様に適切なポリオールであると理解される。
【0030】
式(I)に示されるように、セグメント(b)は、少なくとも1つの重合しうるビニルセグメント(d)を有しており、そしてここで、セグメント(b)へのセグメント(d)の結合は、セグメント(d)に含まれる二価基X3による、好ましくはポリオールーセグメント(b)に含まれるアミノ及び/又はヒドロキシル基(水素原子が1個少ない)への結合であることが意図される。
【0031】
重合しうるビニルセグメント(d)は、末端又はペンダントとして、本発明のマクロマー1分子当たり、好ましくは1〜20回、更に好ましくは2〜15回、そして特に2〜6回組み込まれている。
【0032】
ビニル性の重合しうるビニルセグメント(d)は、末端として、及び所望ならばペンダントとしても(末端/ペンダント混合物として)、本発明のマクロマー1分子当たり、好ましくは1〜20回、更に好ましくは2〜15回、そして特に2〜6回組み込まれている。
【0033】
遊離基により重合することができるP1基は、例えば、20個までのC原子を有する、アルケニル、アルケニルアリール又はアルケニルアリーレンアルキルである。アルケニルの例は、ビニル、アリル、1−プロペン−2−イル、1−ブテン−2−又は−3−又は−4−イル、2−ブテン−3−イル;及びペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル又はウンデセニルの異性体である。アルケニルアリールの例は、ビニルフェニル、ビニルナフチル又はアリルフェニルである。アルケニルアリーレンアルキルの例は、ビニルベンジルである。
【0034】
1は、好ましくは、12個までのC原子を有するアルケニル又はアルケニルアリール、更に好ましくは、8個までのC原子を有するアルケニル、そして特に4個までのC原子を有するアルケニルである。
【0035】
Lは、好ましくは、アルキレン、アリーレン、6〜20個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基、アリーレンアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンアリーレンアルキレン又はアリーレンアルキレンアリーレンである。
【0036】
好適な意味において、更にLは、好ましくは結合である。
【0037】
好適な意味において、Lは、12個までのC原子を有する二価基、更に好ましくは、8個までのC原子を有する二価基である。好適な意味において、Lは更に、12個までのC原子を有するアルキレン又はアリーレンである。Lの非常に好適な意味は、低級アルキレン、特に4個までのC原子を有する低級アルキレンである。
【0038】
Yは、好ましくは、カルボニル、エステル、アミド又はウレタン基、特にカルボニル、エステル又はアミド基、そして非常に好ましくはカルボニル基である。
別の好適な意味において、Yは、存在しない(即ち、kは、0である)。
【0039】
好適な意味において、X3は、ウレタン、尿素、エステル、アミド又はカーボナート基、更に好ましくは、ウレタン、尿素、エステル又はアミド基、そして特にウレタン又は尿素基である。
【0040】
ビニル性の重合しうるビニルセグメント(d)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸2−イソシアナトエチル(IEM)、アリルイソシアナート、ビニルイソシアナート、ビニルベンジルイソシアナート異性体又はメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)と2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)若しくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)との付加物、特に1:1付加物から誘導される。
【0041】
本発明は、更に好ましくは、セグメント(d)が、末端若しくはペンダントとして、又は末端/ペンダント混合物として、5回組み込まれているマクロマーに関する。
【0042】
本発明は、更に好ましくは、セグメント(d)が、末端として5回組み込まれているマクロマーに関する。
【0043】
ジラジカルRは、例えば、20個までの炭素原子を有する、アルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン、アリーレンアルキレン若しくはアリーレンアルキレンアリーレン;6〜20個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基;又は7〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレンアルキレンシクロアルキレンである。
【0044】
好適な意味において、Rは、14個までの炭素原子を有する、アルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン、アリーレンアルキレン若しくはアリーレンアルキレンアリーレン;又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基である。
【0045】
好適な意味において、Rは、14個までの炭素原子を有する、アルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン;又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基である。
【0046】
好適な意味において、Rは、12個までの炭素原子を有するアルキレン若しくはアリーレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基である。
【0047】
好適な意味において、Rは、10個までの炭素原子を有するアルキレン若しくはアリーレン、又は6〜10個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基である。
【0048】
非常に好適な意味において、セグメント(c)は、ジイソシアナート、例えば、ヘキサン1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、フェニレン1,4−ジイソシアナート、トルエン2,4−ジイソシアナート、トルエン2,6−ジイソシアナート、m−若しくはp−テトラメチルキシレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート又はシクロヘキサン1,4−ジイソシアナートから誘導される。
【0049】
セグメント(c)の好適な実施態様は、更に、それぞれのイソシアナート基が、異なる反応性を有する、ジイソシアナートから誘導される。異なる反応性は、特に、イソシアナート基の周辺の立体上の要求及び/又は電子密度により影響されている。
【0050】
本発明のマクロマーの平均分子量は、好ましくは約300〜約30,000の範囲、非常に好ましくは約500〜約20,000の範囲、更に好ましくは約800〜約12,000の範囲、そして特に好ましくは約1,000〜約10,000の範囲である。
【0051】
マクロマーの好適な実施態様は、式(VIII):
【化9】


〔式中、rは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1、そして好ましくは1であり;
セグメント(b)で終わっても終わらなくともよい直鎖(c−a)は、存在し(t=1);そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合している、セグメント(d)の総数に適用される]で示されるセグメント配列を有する。
【0052】
マクロマーの好適な実施態様は、式(IX):
【化10】


[式中、配列:(c−a)−(Z−b)tは、セグメント(a)にペンダントとしてr回懸垂し、そしてセグメント(b)で終わっても終わらなくともよく;
rは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1、そして好ましくは1であり;
Zは、セグメント(c)又はX1基であり;そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合している、セグメント(d)の総数に適用される]で示されるセグメント配列を有する。
【0053】
マクロマーの別の好適な実施態様は、式(X):
【化11】


[式中、sは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合している、セグメント(d)の数に適用される]で示されるセグメント配列を有する。
【0054】
マクロマーの別の好適な実施態様は、式(XI):
【化12】


〔本構造は、直鎖状であり、式中、
sは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;
tは、0又は1であり;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合している、セグメント(d)の数に適用される]で示されるセグメント配列を有する。
【0055】
マクロマーの更に好適な実施態様は、
ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)
であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、15回まで、更に好ましくは6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X2は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であるように可変基が定義される、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)のセグメント配列である。
【0056】
マクロマーの別の更に好適な実施態様は、
ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化された低級アルキル、低級アミノアルキル又は低級ヒドロキシアルキルであり、そしてnが、10〜250の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン若しくはアリーレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、低級アルケニルであり、X3は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又は低級アルキレンである)の基であるように可変基が定義される、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)のマクロマーである。
【0057】
本発明のマクロマー中のセグメント(a)及び(b)の数の比は、好ましくは、(a):(b)=3:4、2:3、1:2、1:1、1:3又は1:4の範囲にある。
【0058】
セグメント(a)及び(b)、又は適切ならば、(a)及び(b)及び(c)の総計は、2〜50、好ましくは3〜30の範囲、そして特に3〜12の範囲にある。
【0059】
アルキルは、20個までの炭素原子を有しており、そして直鎖であっても分岐鎖であってもよい。適切な例としては、ドデシル、オクチル、ヘキシル、ペンチル、ブチル、プロピル、エチル、メチル、2−プロピル、2−ブチル又は3−ペンチルを含む。
【0060】
アリーレンは、好ましくは、非置換であるか、又は低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されている、フェニレン又はナフチレンであり、特に、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン若しくはメチル−1,4−フェニレン;
又は1,5−ナフチレン若しくは1,8−ナフチレンである。
【0061】
アリールは、非置換であるか、又は好ましくは低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されている、芳香族炭素環基である。例としては、フェニル、トルイル、キシリル、メトキシフェニル、t−ブトキシフェニル、ナフチル又はフェナントリルがある。
【0062】
二価の飽和脂環式基は、好ましくはシクロアルキレン、例えば、シクロヘキシレン又はシクロヘキシレン−低級アルキレン、例えば、シクロヘキシレンメチレンであり、これは、非置換であるか、又は1つ以上の低級アルキル基、例えばメチル基により置換されており、例えばトリメチルシクロヘキシレンメチレン、例えば二価のイソホロン基である。
【0063】
基及び化合物に関して本発明における「低級」という用語は、他に定義がなければ、詳細には、8個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有する基又は化合物を意味する。
【0064】
低級アルキルは、詳細には、8個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有しており、そして例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル又はイソヘキシルである。
【0065】
アルキレンは、12個までの炭素原子を有しており、そして直鎖であっても分岐鎖であってもよい。適切な例としては、デシレン、オクチレン、ヘキシレン、ペンチレン、ブチレン、プロピレン、エチレン、メチレン、2−プロピレン、2−ブチレン又は3−ペンチレンを含む。
【0066】
低級アルキレンは、8個まで、そして特に好ましくは4個までの炭素原子を有するアルキレンである。低級アルキレンの特に好適に意味するものは、プロピレン、エチレン又はメチレンである。
【0067】
アルキレンアリーレン又はアリーレンアルキレンのアリーレン単位は、好ましくは、非置換であるか、又は低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されているフェニレンであり、そしてこのアルキレン単位は、好ましくは、メチレン又はエチレンのような低級アルキレンであり、特にメチレンである。したがってこのような基は、好ましくは、フェニレンメチレン又はメチレンフェニレンである。
【0068】
低級アルコキシは、詳細には、8個までの炭素原子、好ましくは4個までの炭素原子を有しており、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ又はヘキシルオキシである。
【0069】
部分的にフッ素化されたアルキルとは、90%まで、好ましくは70%まで、そして特に50%までの水素が、フッ素により置換されているアルキルを意味するものと理解される。
【0070】
アリーレンアルキレンアリーレンは、好ましくは、アルキレン単位中に8個まで、そして特に4個までの炭素原子を有するフェニレン−低級アルキレン−フェニレン、例えば、フェニレンエチレンフェニレン又はフェニレンメチレンフェニレンである。
【0071】
本発明における単糖とは、アルドペントース、アルドヘキソース、アルドテトロース、ケトペントース又はケトヘキソースを意味するものと理解される。
【0072】
アルドペントースの例としては、D−リボース、D−アラビノース、D−キシロース又はD−リキソースがあり;アルドヘキソースの例としては、D−アロース、D−アルトロース、D−グルコース、D−マンノース、D−グロース、D−イドース、D−ガラクトース、D−タロース、L−フコース又はL−ラムノースがあり;ケトペントースの例としては、D−リブロース又はD−キシルロースがあり;テトロースの例としては、D−エリトロース又はトレオースがあり;そしてケトヘキソースの例としては、D−プシコース、D−フルクトース、D−ソルボース又はD−タガトースがある。
【0073】
二糖の例としては、トレハロース、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、サッカロース、ラクトース、キトビオース、N,N−ジアセチルキトビオース、パラチノース又はスクロースがある。
【0074】
ラフィノース、パノース又はマルトトリオースは、三糖の例として挙げることができる。
オリゴ糖の例としては、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、キトヘプタオース及び更にはシクロデキストリンのような環状オリゴ糖がある。
【0075】
シクロデキストリンは、6〜8個のα−1,4−グルコースの同一単位を含む。幾つかの例としては、α−、β−及びγ−シクロデキストリン、このようなシクロデキストリンの誘導体、例えばヒドロキシプロピルシクロデキストリン、及び分岐鎖シクロデキストリンがある。
【0076】
本発明のマクロマーは、例えば以下のとおり、それ自体既知の方法により調製することができる。
【0077】
第1工程において、例えば、少なくとも1つの第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサンを、炭水化物ラクトンと反応させて、アミド又はエステル結合を形成させて、式(XII a)又は(XII b):
【化13】


(式中、可変基は、上記と同義であり、そして
Zは、X1基である)で示される化合物を生成させ、
次に化合物(XII)を、式(XIII):
【化14】


(式中、X4は、セグメント(b)のヒドロキシル又はアミノ基と共反応性であり、式(II)のセグメント(d)のX3基は、このような反応から生成し、
4は、好ましくは、−COOH、−COOR10、−COCl又は−NCO(ここで、R10は、アルキルであるか、又は非置換であるか、若しくは低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されているアリールである)であり、そして
他の可変基は、上記と同義である)で示される重合しうる不飽和化合物と反応させて、
次に式(IV)又は(V):
【化15】


(式中、セグメント(d)は、末端及び/又はペンダントとして組み込まれる)
で示されるマクロマーを生成させる。
【0078】
別の方法は、末端第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサン(a)から出発して、炭水化物ジラクトンと反応させて、式(XIV):
【化16】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される直鎖構造を形成させ、
次に式(XIV)の化合物を上記方法と同様に式(XIII)の化合物と反応させて、式(VI):
【化17】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示されるマクロマーを得る。
【0079】
別の方法は、末端第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサン(a)から出発して、最初に式(XV):
【化18】


(式中、X4は、セグメント(a)のヒドロキシル又はアミノ基と共反応性の基であり、セグメント(c)のX2基は、このような反応から生成し、
4は、好ましくは−COOH、−COOR10、−COCl又は−NCO(ここで、R10は、アルキル、又は非置換であるか若しくは低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されているアリールである)であり、そして
Rは、上記と同義である)で示される二官能性化合物と反応させて、
次にこの中間体を、ラクトン基を持たないポリオールと反応させて、式(XVI):
【化19】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物を得、
次に式(XVI)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、式(X):
【化20】


(式中、sは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合している、セグメント(d)のものに適用される)で示されるマクロマーを得る(式(X)中にセグメント(d)は示されていない)。
【0080】
別の方法は、式(XV):
【化21】


で示される二官能性化合物から出発して、
これを過剰のポリシロキサン(a)と反応させて、−a−(c−a)r−配列(ここで、上記の意味が適用される)を得、次に第2工程において、この中間体を、ラクトンのないポリオールと反応させて、式(XVII):
【化22】


で示される化合物を得、
次に化合物(XVII)を化合物(XIII)と反応させて、式(VIII):
【化23】


(式中、rは、1〜10、好ましくは1〜7、そして特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1であり、そして好ましくは1であり;
セグメント(b)で終わっても終わらなくともよい直鎖(c−a)は、存在し(t=1);そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合している、セグメント(d)の総数に適用される)で示されるマクロマーを得る(式(VIII)中にセグメント(d)は示されていない)。
【0081】
別の方法は、炭水化物ラクトンから出発し、これを第1工程において式(XIII)の化合物と反応させて、ラクトン官能基を保持し、次にこの中間体を、少なくとも1つのアミノ又はヒドロキシル基を含むポリシロキサンと反応させて、式(IV)又は(V):
【化24】


(式中、qは、典型的には1又は2であり;
他の場合には、上記の意味と好適なものが、適用され;そして
セグメント(d)は、末端及び/又はペンダントとして組み込まれる)で示される化合物を得る。
【0082】
本発明は、更に、新規で、本発明のマクロマーの合成中に生成する中間体に関する。
したがって、本発明は、更に、式(XII a):
【化25】


(式中、qは、1より大きく、
(a)は、上記と同義のポリシロキサンから誘導され、そして
(b)は、炭水化物ジラクトンから誘導される)で示される化合物に関する。
本発明は、更に、式(XII b):
【化26】


〔式中、Z、(b)及びqは、上記と同義であり、好適なものも同じであるが、但し、セグメント(a)は、式(III):
【化27】


(式中、nは、5〜500の整数であり;
1、R2、R3、R4、R5及びR6基の99.8〜25%は、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の0.2〜75%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2CH2m−(OCH2p−OR7(ここで、R7は、水素又は低級アルキルであり、alkは、アルキレンであり、そしてm及びpは、相互に独立に、0〜10の整数である)である)で示される化合物から誘導され、1分子は、少なくとも1つの第一級アミノ又はヒドロキシル基及び少なくとも1つの部分的にフッ素化されたアルキル基を含む]で示される化合物に関する。
【0083】
本発明は、更に、式(XVI):
【化28】


(式中、セグメント(b)は、ラクトンを持たないポリオールから誘導され、そして
他の可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物に関する。
【0084】
本発明は、更に、式(XVII):
【化29】


(式中、セグメント(b)は、ラクトンを持たないポリオールから誘導され、そして他の可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物に関する。
少なくとも1つの第一級アミノ又はヒドロキシル基を含むシロキサン(a)は、例えば市販されていて入手しうる。例としては、KF−6002、KF−8003、X−22−161C(信越化学)又はGP4(Genesee)がある。他のシロキサンは、発表されている方法により合成することができる。
【0085】
合成に必要なポリオール(b)は、大抵は市販されていて入手しうる。例としては、グルコノラクトン又はラクトビオノラクトンがある。さもなければ、これらは、発表されている方法により合成することができる。
【0086】
本発明の化合物は、溶媒の存在下又は非存在下で調製することができる。十分に不活性な、即ち、反応に関与しない溶媒が有利には使用される。これらの適切な例としては、テトラヒドロフラン(THF)、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はジオキサンのよなエーテル類、クロロホルム又は塩化メチレンのようなハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルスルホキシド(DMSO)のような双極性非プロトン性溶媒、トルエン又はキシレンのような炭化水素類、及び更にピリジン又はN−メチルモルホリンがある。
【0087】
本発明の化合物の調製のために、反応物は、有利には化学量論量で使用する。
【0088】
反応温度は、例えば、−30℃〜150℃であってよい。0℃〜40℃の範囲は、好適な温度範囲である。ここでの反応時間は、約15分〜7日間の範囲、好ましくは約12時間の範囲である。必要であれば、反応は、不活性ガスとしてアルゴン又は窒素下で行われる。ウレタン形成反応に、有利には適切な触媒(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL))が加えられる。
【0089】
本発明は更に、本発明のマクロマーの少なくとも1つ、及び適切ならば、ビニルコモノマー(a)の重合生成物の少なくとも1つを含むポリマーに関する。
【0090】
本発明のポリマーの好適な組成は、全ポリマーに対して、100〜0.5%の範囲、特に80〜10%の範囲、そして好ましくは70〜30%の範囲の本発明のマクロマーの重量含量よりなる。
【0091】
本発明のマクロマーの重合生成物の少なくとも1つを含む好適なポリマーにおいて、コモノマー(a)は存在せず、このポリマーは、好ましくはホモポリマーである。
【0092】
本発明のポリマーに含まれるコモノマー(a)は、親水性であっても疎水性であっても両方の混合物であってもよい。適切なコモノマーは、詳細には、通常コンタクトレンズ及び生物医学的材料の調製に使用されるものを含む。
【0093】
疎水性コモノマー(a)は、典型的には、ホモポリマーとして、水不溶性であり、水分を10重量%未満しか吸収できないポリマーを与えるモノマーを意味するものと理解される。
【0094】
同様に、親水性コモノマー(a)は、典型的には、ホモポリマーとして、水溶性であるか、又は水分少なくとも10重量%を吸収することができるポリマーを与えるモノマーを意味するものと理解される。
【0095】
適切な疎水性コモノマー(a)は、アクリル酸及びメタクリル酸C1−C18アルキル及びC3−C18シクロアルキル、C3−C18アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C1−C18アルカン酸ビニル、C2−C18アルケン、C2−C18ハロアルケン、スチレン、低級アルキルスチレン、低級アルキルビニルエーテル、アクリル酸及びメタクリル酸C2−C10ペルフルオロアルキル又は対応する部分的にフッ素化されたアクリラート及びメタクリラート、アクリル酸及びメタクリル酸C3−C12ペルフルオロアルキル−エチル−チオカルボニルアミノエチル、アクリルオキシ−及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、並びにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1−C12アルキルエステルを含むが、これらに限定されるものではない。好適なコモノマーは、例えば、アクリロニトリル、3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸のC1−C4アルキルエステル、又は5個までの炭素原子を有するカルボン酸のビニルエステルである。
【0096】
適切な疎水性コモノマー(a)の例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル(IBA)、アクリル酸イソオクチル(OA)、アクリル酸イソデシル(DA)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、メタクリル酸ペルフルオロヘキシルエチルチオカルボニルアミノエチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、メタクリル酸及びアクリル酸ヘキサフルオロブチル(HFBMA及びHFBA)、メタクリル酸トリス−トリメチルシリルオキシ−シリル−プロピル(TRIS)、3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン並びにビス(メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサンを含む。
【0097】
疎水性コモノマー(a)の好適な例は、メタクリル酸メチル、IBA、HFBA、HFBMA、OA、EHA、DA、TRIS及びアクリロニトリルである。
【0098】
適切な親水性コモノマー(a)は、アクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシル置換低級アルキル、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、エトキシ化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、全部で3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸、アミノ−低級アルキル(ここで、「アミノ」という用語は、第四級アンモニウムをも含む)、アクリル酸及びメタクリル酸モノ−低級アルキルアミノ−低級アルキル及びジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、アリルアルコールなどを含むが、これらに限定されるものではない。好適なコモノマーは、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシル置換低級アルキル、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド並びに全部で3〜5個の炭素原子を有するビニル性不飽和カルボン酸である。
【0099】
適切な親水性コモノマー(a)の例は、メタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピル塩酸塩(ブレマー(Blemer)(登録商標)QA、例えば、日本石油から)、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)、アリルアルコール、ビニルピリジン、メタクリル酸グリセロール、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、アクリル酸、メタクリル酸などを含む。
【0100】
好適な親水性コモノマー(a)は、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸トリメチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピル塩酸塩、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN−ビニル−2−ピロリドンである。
【0101】
本発明のポリマーは、専門家には周知の重合反応により、対応するモノマー(ここでモノマーという用語は、本発明のマクロマーをも含む)からそれ自体既知の方法で構築される。通常、上述のモノマーの混合物に、遊離基を形成する物質を加えて加熱する。このような遊離基を形成する物質は、例えば、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、ペルオキソ二硫酸カリウム、過酸化ジベンゾイル、過酸化水素又は過炭酸ナトリウムである。上述の化合物を加熱すると、例えば、ホモリシスにより遊離基が生成し、次いで例えば重合を開始することができる。
【0102】
重合反応は、特に好ましくは光開始剤を用いて行われる。光重合は、この場合に使用される用語である。光重合のために、適切には光の利用により遊離基重合及び/又は架橋を開始させることができる光開始剤が加えられる。これらの例は、専門家には周知であり、そして具体的には、適切な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及びダロキュア(Darocur)及びイルガキュア(Irgacur)型のもの、好ましくはダロキュア1173(登録商標)及びダロキュア2959(登録商標)である。例えばマクロマー中に組み込むことができるか、又は特別なコモノマー(a)として使用することができる反応性光開始剤も適している。これらの例は、EP632329に見い出すことができる。次に光重合は、化学線、例えば光、特に適切な波長のUV光により開始させることができる。スペクトルの要求は、適切ならば、適切な光増感剤の添加により、しかるべく制御することができる。
【0103】
重合は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。適切な溶媒は、使用されるモノマーを溶解する大体全ての溶媒、例えば、水、低級アルカノール類のようなアルコール類、例えば、エタノール又はメタノール、及び更にジメチルホルムアミドのようなカルボン酸アミド類、ジメチルスルホキシド又はメチルエチルケトンのような双極性非プロトン性溶媒、ケトン類、例えば、アセトン又はシクロヘキサノン、炭化水素類、例えばトルエン、エーテル類、例えばTHF、ジメトキシエタン又はジオキサン、及びハロゲン化炭化水素類、例えばトリクロロエタン、更には適切な溶媒の混合物、例えば水とアルコールの混合物、例えば水/エタノール又は水/メタノール混合物である。
【0104】
好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)請求項1の定義によるマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の成分の重合生成物を含むポリマーに関する。
【0105】
別の好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の成分の重合生成物を含むポリマーに関する。
【0106】
別の好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマー30〜40%、
(2)疎水性モノマー30〜70%、及び
(3)親水性モノマー20〜35%、の成分の重合生成物を含むポリマーに関する。
【0107】
別の好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)
であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、15回まで、更に好ましくは6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であるように可変基が定義される、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)のセグメント配列を有するマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の成分の重合生成物を含むポリマーに関する。
【0108】
適切ならば、ポリマー網目組織は、いわゆる架橋剤、例えばポリ不飽和コモノマー(b)の添加により強化することができる。本発明は、更に、適切ならば、少なくとも1つのビニルコモノマー(a)及び少なくとも1つのコモノマー(b)との本発明のマクロマーの重合生成物を含むポリマーに関する。
【0109】
典型的なコモノマー(b)の例は、例えば、メタクリル酸若しくはアクリル酸アリル、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸低級アルキレングリコール、ポリ低級アルキレングリコールジメタクリラート若しくはジアクリラート、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸低級アルキレン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジ−若しくはトリビニルベンゼン、トリメタクリル酸若しくはトリアクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸若しくはテトラアクリル酸ペンタエリトリトール、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸ビスフェノールA、メチレンビス−メタクリルアミド若しくは−アクリルアミド、フタル酸トリアリル又はフタル酸ジアリルである。
【0110】
使用されるコモノマー(b)の量は、全ポリマーに対する重量含量で表され、20〜0.05%の範囲、特に10〜0.1%の範囲、そして好ましくは2〜0.1%の範囲である。
【0111】
本発明のポリマーは、例えば、適切なコンタクトレンズ成形用の型で本発明のポリマーの光重合又は光架橋を行うことにより、それ自体既知の方法で加工して、成形品、詳細にはコンタクトレンズを得ることができる。したがって、本発明は、更に、実質的に本発明のポリマーを含む成形品に関する。コンタクトレンズに加えて、本発明の成形品の他の例としては、生物医学的製品、即ち具体的には眼科用成形品、例えば人工角膜、眼内レンズ、眼帯;心臓弁、人工動脈などのような外科において使用することができる成形品、更には被覆、フィルム又は膜、例えば、拡散制御用の膜、光構築(photostructured)することができる情報保存用のフィルム、又はホトレジスト材料、例えば、食刻レジスト又はスクリーン印刷レジストのための膜若しくは成形品、更には粒子、特に微粒子、カプセル、特にマイクロカプセル、薬剤送達システム用のフィルム及びプラスターがある。
【0112】
本発明の特別な実施態様は、本発明のポリマーを含むか、又は実質的に若しくは完全に本発明のポリマーを含むことを特徴とする、コンタクトレンズに関する。このようなコンタクトレンズは、並外れた範囲の極めて有利な性質を有する。
【0113】
これらの性質は、例えば、ヒトの角膜(適切ならば、適切な表面処理(被覆)後に)及び涙液によるこれらの優れた許容性(水分含量、酸素に対する透過性の間の調和のとれた関係に基づく)、並びに機械的及び吸着的性質である。このため、快適さが高く、刺激やアレルゲン性作用がない。種々の塩、栄養物、水及び涙液の他の多様な成分、及びガス(CO2、O2)に対するこれらの有利な透過性のため、本発明のコンタクトレンズは、角膜における自然の代謝過程を障害しないか又は極く僅かにしか障害しない。
【0114】
他の多くのシロキサン含有コンタクトレンズとは対照的に、例えば、必須の成分として本発明のマクロマーを含む親水性レンズは、有害な吸盤効果を示さない。
【0115】
本発明のコンタクトレンズは、比較的長期にわたる装着(長期装着)に特に適している。更には、本発明のコンタクトレンズは、高い寸法安定性及び保存安定性を有する。
【0116】
上述の表面処理は、詳細には、蒸気若しくは液体との接触により、かつ/又はエネルギー源の適用により、(a)製品の表面に被覆を適用するか、(b)化学種を製品の表面に吸着させるか、(c)製品の表面上の化学基の化学的性質(例えば、静電荷)を変えるか、又は(d)製品の表面特性を別な方法で修飾する、表面の眼科的適合性を高めるための処理を意味する。
【0117】
材料の表面を親水性にするための種々の方法が、当該分野で開示されている。
【0118】
例えば、レンズを親水性ポリマー材料の層で被覆することができる。あるいは、親水性基をレンズの表面上にグラフトして、親水性材料の単層を生成することができる。これらの被覆又はグラフト法は、適切な条件下での、プラズマガスへのレンズの暴露、又はモノマー溶液へのレンズの浸漬を含む(これらに限定されない)多くの方法により達成することができる。
【0119】
レンズの表面特性を変える別の種類の方法は、重合してレンズを形成する前の処理に関する。例えば、成形品をプラズマ(即ち、イオン化ガス)、静電荷、照射、又は他のエネルギー源で処理することにより、成形品表面の直近の重合前混合物を、重合前混合物の芯とは組成が異なるものにすることができる。
【0120】
好適な分類の表面処理法は、イオン化ガスを製品の表面に適用するプラズマ法である。プラズマガス及び処理条件は、US 4,312,575及びUS 4,632,844により詳細に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。プラズマガスは、好ましくは低級アルカンと、窒素、酸素又は不活性ガスとの混合物である。
【0121】
好適な実施態様において、レンズは、(a)C1−C6アルカン及び(b)窒素、アルゴン、酸素、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるガスの混合物の存在下でプラズマ処理される。C1−C6アルカン(a)は、好ましくはC1−C4アルカンから選択され、そして例えば、メタン、プロパン又はブタンであってよい。ガス(b)は、好ましくは、窒素、酸素及びこれらの混合物から、そして特に空気(ここで、本発明の意味において空気は、窒素79%及び酸素21%を意味する)から選択される。更に好適な実施態様において、レンズは、メタンと空気の混合物の存在下でプラズマ処理される。前述及び後述のプラズマ処理(装置及び方法)は、好ましくはH.Yasuda,Plasma Polymerization,Academic Press,オーランド、フロリダ州(1985),319頁以降の開示と同様に行われる。
本発明は、また、新規なポリマーの1つを含む成形品に関し、この成形品の表面は、C1−C6アルカン(a)、並びに窒素、アルゴン、酸素、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるガス(b)の存在下でプラズマ処理される。
【0122】
好適な実施態様は、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)
の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の成分の重合生成物のポリマーを含む成形品(ここで、該成形品の表面は、C1−C4アルカンと空気の存在下でプラズマ処理される)に関する。
【0123】
別の好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)
の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマー30〜40%、
(2)疎水性モノマー30〜70%、及び
(3)親水性モノマー20〜35%、の成分の重合生成物のポリマーを含む成形品(ここで、該成形品の表面は、C1−C4アルカンと空気の存在下でプラズマ処理される)に関する。
【0124】
別の好適な実施態様は、また、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、15回まで、更に好ましくは6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であるように可変基が定義される、式(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)のセグメント配列を有するマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の成分の重合生成物のポリマーを含む成形品(ここで、該成形品の表面は、C1−C4アルカンと空気の存在下でプラズマ処理される)に関する。
【0125】
本発明は、更に、実質的に本発明のポリマーの1つを含むコンタクトレンズ(このコンタクトレンズは、詳細には、好ましくは水分1〜40%を含むソフトコンタクトレンズである)に関する。
本発明は、更に、実質的に本発明のポリマーの1つを含むコンタクトレンズ(このコンタクトレンズは、詳細にはガスに対して透過性であり、好ましくは低水分含量(RGP)であり、そしてハイブリッドレンズでもある柔軟なコンタクトレンズである)に関する。
上述の全ての利点は、当然コンタクトレンズのみでなく、本発明の他の成形品にも適用される。
【0126】
本発明は、更に、本発明のマクロマー、又はここから調製される上述のポリマー若しくは架橋ポリマーの、基礎材料、例えば、ガラス、セラミック又は金属、そして好ましくはポリマー物質、例えばコンタクトレンズ、眼内レンズ若しくは眼帯のような眼科的に使用することができる製品、更には医学的(例えば、外科又は製剤システムにおいて)に使用することができる製品の被覆のための用途に関する(最後に挙げた場合(眼科的用途)においては親水性被覆が好ましい)。
【0127】
本発明のポリマーは、また、角膜移植片又は人工角膜として;更には細胞増殖基質として、インビトロ及びインビボで動物細胞の付着及び培養用の材料として、医療用移植片(例えば、移植しうる半透過性膜材料)として、美容外科用の組織移植片として、ホルモンを分泌する細胞(例えば、膵島細胞)を含む移植片として、胸部移植片として又は人工関節などとしての用途にも適している。
【0128】
したがって、本発明は、更に、上述のポリマーから製造される角膜移植片に関する。このような角膜移植片は、コンタクトレンズの製造について上述したのと同じ方法により製造することができる。角膜移植片は、外科的従来法により、例えば、角膜の上皮組織の下、中若しくはこれを通して、又は角膜の支質中に、又は角膜の他の組織層中に移植することができる。このような移植片は、角膜の光学的性質(例えば、視覚欠損の矯正の意味で、かつ/又は目の外見(例えば瞳孔の色)を変化させることにより)を変化させることができる。角膜移植片は、移植により瞳孔を覆い、見る能力を与える光軸上の領域を含み、更には光軸の周辺を囲む領域を含んでよい。この移植片は、全領域にわたって同じ視覚的性質を有してよい。
【0129】
組織液の高分子量成分、例えばタンパク質又は糖タンパク質(例えば、成長因子)、ペプチド、ホルモン、又は必須金属イオンの輸送を担当するタンパク質の、角膜移植片を通して、詳細には上皮細胞と支質細胞の間、更には内皮細胞層の後ろまでの通過は、組織の生存及び角膜移植片の外側及び内側の生存性の両方に重要である。したがって角膜移植片は、好ましくは、10,000ダルトンを超える分子量を有する組織の液性成分を通すのに十分な多孔度を有するように製造される(移植片の両側の細胞間の、低分子量の栄養成分若しくは代謝物(例えば、グルコース、脂質又はアミノ酸)、又は呼吸ガスの通過に加えて、組織液の成分の通過が保証される)。
【0130】
角膜移植片の多孔度は、それが製造されるポリマー材料自体により決定されるか、又はもう一方で、細孔は、詳細には、例えば、WO 90/07575、WO 91/07687、US 5,244,799、US 5,238,613、US 4,799,931又はUS 5,123,721に記載される、多くの既知の方法の1つにより、本発明のポリマーに更に組み込むことができる。
【0131】
本発明の移植片の必要な多孔度を作り出す方法に関わらず、移植片は、好ましくは10,000ダルトンまで又はこれを超える分子量(例えば、10,000〜1,000,000ダルトンの分子量)を有するタンパク質及び他の生物学的巨大分子を通過させるのに十分であるが、細胞全体が、移植片の光軸上の領域を通過及び貫通することができるほど大きくはない多孔度を有する。移植片の透過性が、細孔により可能となる場合、光軸上の領域は、多くの細孔(細孔の数は、限定されないが、移植片の外側及び内側領域間で組織成分が自由に通過するのに十分な数でなければならない)を含む。光軸の領域の上にある細孔は、好ましくは、視力の矯正に関して問題を起こす程度まで可視光の散乱を引き起こすことはない。上記及び下記の細孔という用語は、幾何学的制限がなく、規則的な又は不規則な形態を有する細孔を意味するものと理解される。細孔の寸法の記載は、全ての細孔が同じ直径であることを意味するものではない。むしろこれは、平均直径である。
【0132】
光軸の外側領域において、角膜移植片は、光軸上の領域と同じ多孔度であってもよい。光軸の領域を囲むこの移植片の周辺領域は、ヘリとも呼ばれるが、光軸の領域とは対照的に、角膜細胞が中に増殖することができ、その結果移植片が目に固定される。
【0133】
ヘリにおける多孔度は、また、ヘリが製造される材料とは独立の特徴であってよい。ヘリが、光軸上の材料と同じ材料から作られるならば、一方でヘリ上に、もう一方で光軸上に、異なる直径の細孔を組み込むことができる。他方で、ヘリは光軸上の材料とは異なる材料から製造することができ、この場合に、上述のように、ヘリの多孔度は、光軸上のそれよりも大きいはずである。ヘリは、好ましくは光軸上のそれのように、光学的に透明なポリマーである;しかしまた、ヘリは、光学的に不透明な材料であってもよく、あるいは光学的に不透明な多孔性材料から製造される。
【0134】
本発明のポリマーは、例えば、血管内皮細胞、繊維芽細胞又は骨で形成される細胞のような組織細胞が集落形成するのを助けることができる(細胞接着及び細胞増殖を促進するために表面に特異的な性質が存在する必要はない)。処理費用を低く抑えられるため、この方法は有利である。他方で、本発明のポリマーは、既知の方法、例えば、US 4,919,659若しくはWO 89/00220 に記載されるように、例えば高周波コロナ放電による表面のプラズマ処理、又は照射又は化学処理により、その表面を修飾することができる。
【0135】
本発明のポリマーは、例えば、組織の増殖を促進するために、1つ又は幾つかの成分で表面を被覆することができる。このような材料は、例えば、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、コラーゲン、ラミニン、細胞固定タンパク質(cell fixing proteins)、グロブリン、コンドロネクチン、上皮成長因子、筋繊維タンパク質及び/又はこれらの誘導体、並びにこれらの活性断片及び混合物である。フィブロネクチン、上皮成長因子及び/又はこれらの誘導体並びにこれらの活性断片及び混合物は、特に有用である。必要であれば、このような表面被覆はまた、上述の表面修飾後に行うことができる。本発明のポリマーは、有利には、それ自体に上述の幾つかの性質(例えば、良好な生物安定性での細胞への固定と、析出に対する抵抗性)を合わせ持つことができる。
【0136】
本発明のポリマーの機械的性質は、角膜移植片としての用途に適しており、この材料は、好ましくは0.5〜10MPa のE弾性率を有する。上述のE弾性率は、角膜移植片に、目(例えば、ボーマン膜(Bowman's membrane)の領域上)への挿入を可能にする適切な柔軟性を与える。
【0137】
本発明のポリマーは、更に細胞増殖基質、例えば細胞培養装置、例えば、食器、瓶、皿などとして、そして更には生物学的反応器中で、例えば有用なタンパク質及び他の細胞培養成分の調製において、使用することができる。
【実施例】
【0138】
以下の実施例は、本発明を更に例示するものであるが、本発明をその範囲において何ら限定することを意図したものではない。温度は摂氏度で記載される。
【0139】
実施例A1
下記式:
【化30】


の化合物の調製
PDMS=ポリジメチルシロキサン
α,ω−ビス−アミノプロピル−ジメチルポリシロキサンとD(+)グルコン酸δ−ラクトンとの反応
反応の前に、合成に使用するアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン(X−22−161−C、信越化学、日本)をアセトニトリル中に十分に分散させ、抽出して、次いで分子蒸留に付した。
2Oを排除して以下の反応を行った。無水THF200mlに溶解した、精製したアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン200g(NH20.375meq/g;
n(VPO)3,400〜3,900(VPO、蒸気圧浸透圧測定法)を、無水THF50ml中のD(+)グルコン酸δ−ラクトン13.35g(75mmol)
の懸濁液に滴下によりゆっくり加えて、この混合物を40℃で約24時間、ラクトンが完全に反応するまで撹拌した。(薄層クロマトグラフィー(TLC)による反応のモニタリング:シリカゲル;i−プロパノール/H2O/酢酸エチル(6:3:1);硫酸Ce(IV)/ホスホロモリブデン酸溶液(CPS試薬)による染色)。反応後、反応溶液を濃縮して乾固し、残渣を3Pa(0.03mbar)下で48時間乾燥した。α,ω−ビス(3−グルコンアミドプロピル)−ポリ−ジメチルシロキサン213.3gを得た。過塩素酸によるアミノ基の滴定により、99.8%を超えるアミノ基の変換を確認した。
【0140】
α,ω−ビス−3−グルコンアミドプロピル−ジメチルポリシロキサンとIEMとの反応
上で得られた生成物(213.3g)を無水THF800mlに溶解して、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)触媒量を加えて溶液を40℃に加熱した。
【0141】
無水THF20ml中のIEM14g(90mmol)を、約4時間かけてこの溶液に滴下により加えた。これは、グルコンアミド1単位当たりIEM1.2当量の濃度に相当した。48時間のうちに反応を行った(NCOバンドの赤外吸収スペクトル検出による反応のモニタリング)。反応溶液を濃縮し、生成物を、氷で冷却しながら、褐色ガラスフラスコ中で3Pa(0.03mbar)下で24時間乾燥した。高い光学的透明性を有する無色のゴム弾性生成物227.2gを得た。
【0142】
実施例A2〜A7
更なるアミノプロピル−ジメチルポリシロキサン(PDMS)を、実施例A1と同様に、異なる量のグルコノラクトン及び異なる濃度のIEMと反応させた。
【0143】
実施例を表1に要約した。
【表1】

【0144】
実施例A8
D(+)グルコン酸δ−ラクトンの代わりに、無水THF50mlに懸濁したラクトビオン酸1,5−ラクトン75mmolを、無水THF180ml及びDMSO(純度99%)20ml中のアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン(X−22−161−C)の溶液に滴下により加えた他は、実施例A1により反応を行った。過塩素酸によるアミノ基の滴定により、99%の反応変換を確認した(NH2<0.01meq/g)。ここでも、無色の光学的に透明なマクロマーを得た。
【0145】
実施例A9及びA10
実施例1と同様に反応を行った。しかし、ヒドロキシル基へのイソシアナートの付加に必要な触媒を変更した。DBTDLに代えて、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2]オクタン(DABCO)又は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)触媒量を加えて、実施例A1に記載されたように反応を続けた。両方の場合に、実施例1に対応する方法で、光学的に透明で、無色のゴム弾性マクロマーを得た。
【0146】
実施例A11
実施例A1と同様に反応を行った。実施例A8に対応する方法で、ラクトビオン酸1,5−ラクトン0.1mol を無水THF50mlに懸濁して、この懸濁液を、無水THF180ml及びDMSO(純度99%)20ml中のアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン(KF−8003)の溶液に滴下により加えた。反応時間を約48時間に延長した。NH20.07meq/g の残留含量を検出することができ、対応するモル量のD(+)グルコン酸δ−ラクトンの反応溶液への添加により、これを完全に反応させた。無色の透明性の高い生成物は、<0.01meq/g のアミノ基の残留含量であった。
【0147】
実施例A12
下記式:
【化31】


の化合物の調製
無水THF110mlに溶解した、精製したアミノ官能基化ポリジメチルシロキサン(X−22−161−C、信越化学、日本)52.09g(9.78mmol)を、最初に不活性ガス雰囲気下で反応容器に導入して、無水THF20mlに溶解したD−グルカロ−1,4:6,3−ジラクトン1.14g(6.52mmol)を加えた。反応溶液を室温で15時間撹拌し、次に実施例A1に対応する方法で処理した。アミン含量は、0.134meq/g であった。
【0148】
得られたペンタ−ブロックマクロマーの末端アミノ基を、以下の反応工程でグルコノラクトンと反応させた。上記マクロマー41.84g(NH25.146meq)及びD(+)グルコン酸δ−ラクトン0.917g(5.15mmol)を無水THF300mlに懸濁して、この懸濁液を窒素下で40℃で18時間撹拌した。次に瀘過した溶液を濃縮して、残渣を3Pa(0.03mbar)下で48時間乾燥した。0.013meq/g のアミノ基の残留含量を有する非常に粘性で光学的に透明な物質を得た。
【0149】
アミノ−及びペルフルオロアルキレン−官能基化ポリジメチルシロキサンの調製:
実施例A13
無水トルエン3.0mlを、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−メチル−ヒドロシロキサン)[バイエル・シロプレン(Bayer Silopren)U−230;10,000g/mol;Si−H2.3mmol/g〕15gに加えて、次にアリルフタルイミド[CAS登録番号5428−09−1]1.72g(9.2mmol)を加えた。この混合物を数回凍結して、フラスコを真空排気し、次に再度室温にした。次にフラスコをアルゴンで戻した。無水トルエン中のラモロー(Lamoreaux)触媒(US 3,220,972 General Electric により調製)の0.005モル溶液(Pt100ppm/Si−Hmol)0.7mlを加えて、混合物を80℃に加熱した。30分の反応時間後、無色の透明〜僅かに濁った溶液を得たが、1H−NMRスペクトルは、もはやアリル水素原子の共鳴を示さなかった。
【0150】
次に脱気したアリル1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクチルエーテル6.2g(15.3mmol)をゆっくり加えて、混合物を80℃で2時間撹拌した。ここで、1H−NMRスペクトルにより、4.6ppm でSi−H官能基の非常に弱くなった共鳴、及びSi−CH2水素原子に由来する0.5ppm の強い共鳴を確認した。
【0151】
次に1−ヘキセン3.0mlを加えて、残った過剰のSi−H基を反応させた(さもなければ、これらの基は、後に空気に接触するとポリマーの架橋を引き起こしてしまう)。この混合物を更に30分間80℃で更に撹拌した。次に反応混合物を一晩静置した。生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(3:2)によりシリカゲルカラムで精製し、溶媒をストリッピングして、マクロマーを高真空下で乾燥した。無色の透明な粘性生成物を得た。このように精製したマクロマーを、ヘキサン20mlにとり、メチルアミン〔エタノール中33%]20mlを加えて、混合物を40℃まで加熱した。10〜15分後、白色の多量の沈殿物が分離した。30分後、懸濁液を冷却して、濾過し、沈殿物をヘキサン少量で洗浄した。瀘液から溶媒を留去して、次に残渣を高真空下で乾燥した。次に、アミノ基の含量を滴定(過塩素酸)により求めた。生じたマクロマーは、透明で粘性であった。アミノ基含量は、理論値の78.6%であった。クロマトグラフィーによる精製後のマクロマーの全収率は、75%であった。
【0152】
グルコンアミドの調製:
このアミノアルキル置換生成物17.3g(アミン含量5.4meq に対応する)を無水THF20mlに溶解した。溶液を繰り返し凍結し、脱気して、アルゴンで戻した。以下の全ての操作は、アルゴン雰囲気下に行った。次にD(+)−グルコン酸δ−ラクトン712mg(4mmol)を加えた。ラクトンの溶解度が低いため、最初に懸濁液を得た。50℃で一晩撹拌後、溶液は透明であり、ラクトンは完全に用いられていた。次にD(+)−グルコン酸δ−ラクトン、化学量論量の残量(260mg、1.46mmol)を加えて、混合物を再度50℃で一晩撹袢した。未反応ラクトン痕跡量を観察した。反応の完了を、1−プロパノール/酢酸エチル/水(6:1:3)を移動相とするシリカゲルプレートの薄層クロマトグラフィーによりモニターした。
シリカゲルプレートは、硫酸Ce(IV)/ホスホロモリブデン酸溶液により発色させた。次にアミノ基の滴定により、<0.1%の残留アミノ含量を得た。瀘過及び蒸留による溶媒の除去後、マクロマー1グラム当たりグルコンアミド0.295m当量の、非常に粘性の透明なマクロマーを得た。
【0153】
実施例B1
重合の前に、使用されるアクリラート類のアクリル酸イソブチル(IBA)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMA)及び3−メタクリロイルオキシプロピル−トリス(トリメチルシリルオキシ)シラン(TRIS)から、それぞれ蒸留により阻害剤を除去した。IBA0.32g(2.76mmol)、DMA0.80g(8.1mmol)及びTRIS1.44g(3.4mmol)を秤量して50ml丸底フラスコに入れ、氷で冷却しながらフラスコをN2で30分間フラッシュした。実施例A1からのマクロマー1.44gを、窒素取り入れ装置の付いた丸底フラスコに移して、3Pa(0.03mbar)下で24時間脱気して、次に前もってN2で30分間フラッシュしたエタノール2.7gに溶解した。次に試料の調製及び重合は、グローブボックス内で酸素を排除して行った。上記モノマー混合物及び実施例A1からのマクロマー溶液にダロキュア1173(登録商標)0.012g(0.21mmol)を加えて混合し、この混合物をミクロ瀘過(0.45mmフィルター)に付した。この混合物180μl をポリプロピレンの成形用の型に導入し、次にこれを適切なポリプロピレンのフタで閉じた。次に混合物を、このために据付けたUVオーブン内で窒素雰囲気下でUV−A水銀高圧ランプで5分間照射した。ランプ(商標TLK40W/10R、フィリップス(Philips)を各5個)をホルダーの上と下に挿入した。照射強度は、14.5mW/cm2であった。
【0154】
ポリプロピレンの成形用の型を開き、塩化メチレンとエタノールの溶媒混合物(2:3)で浸漬することにより、完成したディスク又はレンズを取り出した。
【0155】
レンズ及びディスクを、室温で特別なポリプロピレンケージ内でエタノール中で48時間抽出し、次に40℃で10Pa(0.1mbar)下で24時間乾燥した(120℃でオートクレーブ処理、30分)。このディスクは、1.1MPa のE弾性率、183バレル(barrer)の酸素に対する透過性及び53の硬度(ショアA(Shore A))を示した。
【0156】
実施例B2〜B12
異なるマクロマーの出発化合物(実施例A1〜A8)並びに異なる性質及び組成のコモノマーによる更なるポリマーを、実施例B1に対応する方法で調製した(重量百分率の組成)。表2に、実施例B2〜B12及びディスクで測定した得られた物質の性質を示した。
【0157】
【表2】

【0158】
実施例B13
このポリマーの合成は、以下のコモノマー組成による実施例B1に対応する:実施例A3/TRIS/DMA、32.8%/32.6%/34.2%(重量百分率)にメタクリル酸トリエチルアンモニウム−2−ヒドロキシプロピル塩酸塩(ブレマー(登録商標)QA、日本石油)0.4重量%の添加。このポリマーは、0.9MPa の弾性率及び±2バレルの酸素に対する透過性を有していた。水分含量は25.1%であった(30分の120℃でのオートクレーブ処理後)。比較のため、非常に類似したコモノマー組成(ブレマー(登録商標)QAの添加なし)による実施例B7は、20%の水分含量であった。
【0159】
実施例B14〜B29
重合をバルクで行った(エタノールの添加がなかったことを意味する)他は、実施例B1と同様にポリマーを調製した。表3に、コモノマーの組成、及びディスクで測定した合成したポリマーの物性を示した。
【表3−1】


【表3−2】

【0160】
実施例B30
コモノマー組成を以下のように変更した他は、実施例B1により重合を行った:マクロマーA7/IBA/TRIS、20%/19%/60%及びビス(3−メタクリロイルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン1%(重量百分率)
。0.4MPa のE弾性率、241バレルの酸素に対する透過性及び42の硬度(ショアA)を有する光学的に透明なポリマーを得た。
【0161】
実施例B31
以下のコモノマー組成で、実施例B1と同様に重合を行った:マクロマーA1/IBA/TRIS、37%/17%/43%(重量百分率)。重合は、エタノールに代えて1,4−ジメトキシエタン中で行い、追加の架橋剤としてエチルカルバミン酸N−(m−イソシアナト−p−トルオイル)−アクリロイルオキシ(文献により調製)3%を加えた。得られたポリマーは、高い光学的透明性、0.7MPa の弾性率、330バレルの酸素に対する透過性及び41のショアA硬度を有していた。
【0162】
実施例B32
実施例A13からのグルコンアミド置換マクロマー5.0gを無水テトラヒドロフラン5.0gに溶解した。新たに蒸留したIEM572mg(3.69mmol)と無水THF0.5gの混合物を加えた。この混合物を50℃で24時間撹拌した。次いで赤外吸収スペクトルでは、2,250cm-1のイソシアナート吸収がなくなった。溶媒を高真空下で除去し、次に透明で僅かに帯黄色で非常に粘性の中間体を得た。
この物質2.54gを、アルゴン雰囲気下で無水エタノール1.7gと混合した。この混合物を繰り返し凍結して、フラスコを真空排気して再度解凍した。最後に、フラスコをアルゴンで戻した。第2のフラスコで、TRIS2.54gとDMA1.27gを一緒に加えて、混合物を繰り返し凍結し、真空排気して再度解凍した。次にアルゴンで戻した。光開始剤のダロキュア(登録商標)1173の30mgを加えて、混合物を再度凍結し、真空排気して、再度解凍して、アルゴンで戻した。2つのフラスコを、不活性ガス雰囲気下のグローブボックスに移した。ここで、マクロマー溶液とコモノマー混合物を混合した。この均質な溶液を瀘過して、ピペットによりレンズ又はディスクのポリプロピレンの成形用の型に入れた。充填したレンズとディスクの成形用の型をUV光(360nmで最大発光)により5分間照射した。成形用の型を開いた後、こうして得られた架橋したレンズとディスクをエタノール中で24時間抽出し、次に乾燥して、続いて蒸留水中で平衡化した。滅菌のため、レンズとディスクは、リン酸緩衝化塩化ナトリウム溶液中で120℃でオートクレーブ処理を行った。透明なレンズとディスクを得た。酸素に対するディスクの透過性は、120バレル単位であり、水の吸収は3.8重量%であった。
【0163】
実施例B33
実施例A3のマクロマーを用いて、重量百分率で以下の組成:
マクロマーA3: 33.3
DMA: 33.3
TRIS: 33.4
により、実施例B1に対応する方法でコンタクトレンズを調製した。このレンズは、約94のDk及び約20.0重量%の水分含量であった。結果は、比較のために表4に要約した。
【0164】
実施例B34
実施例B33に記載された方法により調製した乾燥したレンズを、プラズマ被覆装置中に移して、そこでレンズをメタン/空気混合物中で表面処理した。装置及びプラズマ処理法は、両方共上記に引用したYasudaの開示によった。
乾燥したプラズマ処理コンタクトレンズは、オートクレーブ耐性バイアル中でリン酸緩衝化生理食塩水で平衡化し、次に約120℃で30分間オートクレーブ処理を行った。このプラズマ処理のオートクレーブ処理のレンズは、90のDk及び21.5%の水分含量であった。結果は比較のため表4に要約した。
【表4】

【0165】
実施例B35
実施例B1と同様に、ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで以下のコモノマー組成:
マクロマーA1: 33.3
DMA: 33.3
TRIS: 33.3
により重合を行った。光学的に透明なポリマーを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化32】


[式中、(a)は、ポリシロキサンセグメントであり、
(b)は、少なくとも4個のC原子を含むポリオールセグメントであり、
Zは、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、20個までのC原子を有する有機化合物の二価基であり、そしてそれぞれのX2は、他と独立に、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基である)として定義される)又はX1基(ここで、X1は、X2として定義される)であり、そして
(d)は、式(II):
【化33】


(式中、P1は、遊離基により重合しうる基であり;
Y及びX3は、相互に独立に、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基であり;
kは、0又は1であり;そして
Lは、結合又は有機化合物の20個までのC原子を有する二価基である)で示される基である〕で示される部分を少なくとも1つ含むことを特徴とするマクロマー。
【請求項2】
ポリシロキサンセグメント(a)が、式(III):
【化34】


〔式中、nは、5〜500の整数であり;
1、R2、R3、R4、R5及びR6基の99.8〜25%は、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の0.2〜75%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2m−(OCH2p−OR7(ここで、R7は、水素又は低級アルキルであり、alkは、アルキレンであり、そしてm及びpは、相互に独立に、0〜10の整数である)であり、式(III)の1つの分子は、少なくとも1つの第一級アミノ又はヒドロキシル基を含む〕で示される化合物から誘導される、請求項1記載のマクロマー。
【請求項3】
ポリシロキサンセグメント(a)が、全部で1〜50回、好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回、Z基を介してセグメント(b)又はもう1つのセグメント(a)と結合しており、a−Z−a配列中のZは、常にセグメント(c)である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項4】
ポリシロキサンセグメントが、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基が、独立に、末端又はペンダントとして、全部で1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回のアミノアルキル又はヒドロキシアルキルである式(III)の化合物から誘導される、請求項2記載のマクロマー。
【請求項5】
ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2CH2m−(OCH2p−OR7である式(III)の化合物から誘導される、請求項2記載のマクロマー。
【請求項6】
nが、5〜400、更に好ましくは10〜250、特に好ましくは12〜125の整数である、請求項2記載のマクロマー。
【請求項7】
2つの末端基R1及びR6が、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルである、請求項2記載のマクロマー。
【請求項8】
4及びR5基が、ペンダントとして、1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回の、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルである、請求項2記載のマクロマー。
【請求項9】
1、R2、R3、R4、R5及びR6基が、独立に、末端及びペンダントの両方として、全部で1〜50回、更に好ましくは2〜30回、そして特に4〜10回のアミノアルキル又はヒドロキシアルキルである、請求項2記載のマクロマー。
【請求項10】
Zが、X1である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項11】
1が、少なくとも1つのカルボニル基を含む二価基である、請求項10記載のマクロマー。
【請求項12】
1が、2回以下の−O−、−CONH−、−NHCO−又は−NH−が隣接しているカルボニル基である、請求項11記載のマクロマー。
【請求項13】
1が、カルボニル、エステル、アミド、ウレタン、尿素又はカーボナート基である、請求項12記載のマクロマー。
【請求項14】
2が、X1と同義である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項15】
2が、エステル、アミド、ウレタン、カーボナート又は尿素基である、請求項14記載のマクロマー。
【請求項16】
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導される、請求項1記載のマクロマー。
【請求項17】
ポリオールセグメント(b)が、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖若しくは多糖;又はアルドン酸若しくはウロン酸のラクトン、例えば、グルコノラクトン、ガラクトノラクトン、ラクトビオノラクトン若しくはマルトヘプタオノラクトン;グルクロン酸ラクトン、マンヌロン酸ラクトン若しくはイズロン酸ラクトン;又は更に、例えば、D−グルカロー1,4:6,3−ジラクトンから誘導される、請求項16記載のマクロマー。
【請求項18】
式(IV):
【化35】


(式中、可変基は、上記と同義である)で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項19】
式(V):
【化36】


[式中、ポリシロキサンセグメント(a)は、q個のペンダントリガンドを含み、
xは、0、1又は2であり、
qは、1〜20、好ましくは1〜10、特に1〜5の平均数値を有しており、そして
式(V)のマクロマー中のセグメント(b)は、(1分子当たり)全部で20個まで、好ましくは15個まで、特に6個までの重合しうるセグメント(d)と結合している]で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項20】
式(VI):
【化37】


[式中、1つの直鎖状の配列が存在し、
xは、0、1又は2であり、
qは、1〜20、好ましくは1〜10、特に1〜5の平均数値を有しており、そして
式(VI)のマクロマー中のセグメント(b)は、(1分子当たり)全部で20個まで、好ましくは15個まで、そして特に6個までの重合しうるセグメント(d)と結合している]で示される部分を含む、請求項1記載のマクロマー。
【請求項21】
式(VII):
【化38】


[式中、xは、0、1又は2であり、そして
式(VII)の1分子当たりのセグメント(d)の平均数は、好ましくは、2〜5の範囲であり、そして非常に好ましくは、3〜4の範囲である〕で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項22】
ポリオールセグメント(b)が、ラクトン基のないポリオールから誘導され、そしてZ基が、セグメント(c)である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項23】
ポリオールセグメント(b)が、1,2−ポリオール(例えば、還元単糖類、例えば、マンニトール、グルシトール、ソルビトール又はイジトール)、1,3−ポリオール(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)(これは、部分的に又は完全に加水分解されたポリ酢酸ビニルから誘導される))、あるいは更にアミノ末端PVAテロマー、アミノポリオール、アミノシクロデキストリン、アミノ単糖、−二糖、−三糖、−オリゴ糖若しくは−多糖又はシクロデキストリン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン)から誘導される、請求項1記載のマクロマー。
【請求項24】
セグメント(b)が、式(I)に示されるように、少なくとも1つの重合しうるビニルセグメント(d)を有しており、セグメント(d)は、それの二価基X3を介して、セグメント(b)の水素原子1個を除いた、アミノ又はヒドロキシル基に結合している、請求項1記載のマクロマー。
【請求項25】
本発明のマクロマー1分子当たり、重合しうるビニルセグメント(d)
が、末端又はペンダントとして、好ましくは1〜20回、更に好ましくは2〜15回、そして特に2〜6回組み込まれている、請求項1記載のマクロマー。
【請求項26】
本発明のマクロマー1分子当たり、重合しうるビニルセグメント(d)
が、末端として、及び必要であればペンダントとしても(末端/ペンダント混合物として)、好ましくは1〜20回、更に好ましくは2〜15回、そして特に2〜6回組み込まれている、請求項1記載のマクロマー。
【請求項27】
1が、20個までのC原子を有する、アルケニル、アルケニルアリール又はアルケニルアリーレンアルキルである、請求項1記載のマクロマー。
【請求項28】
Lが、アルキレン、アリーレン、6〜20個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基、アリーレンアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンアリーレンアルキレン又はアリーレンアルキレンアリーレンである、請求項1記載のマクロマー。
【請求項29】
Lが、結合である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項30】
Yが、カルボニル、エステル、アミド又はウレタン基である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項31】
kが、0である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項32】
3が、ウレタン、尿素、エステル、アミド又はカーボナート基である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項33】
セグメント(d)が、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリロイルクロリド、メタクリル酸2−イソシアナトエチル(IEM)、アリルイソシアナート、ビニルイソシアナート、ビニルベンジルイソシアナート異性体又はメタクリル酸ヒドロキシエチル(HEMA)と2,4−トリレンジイソシアナート(TDI)若しくはイソホロンジイソシアナート(IPDI)との付加物、特に1:1付加物から誘導される、請求項1記載のマクロマー。
【請求項34】
セグメント(d)が、末端若しくはペンダントとして、又は末端/ペンダント混合物として、1分子当たり5回組み込まれている、請求項1記載のマクロマー。
【請求項35】
Rが、20個までの炭素原子を有する、アルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン、アリーレンアルキレン若しくはアリーレンアルキレンアリーレン;6〜20個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基;又は7〜20個の炭素原子を有するシクロアルキレンアルキレンシクロアルキレンである、請求項1記載のマクロマー。
【請求項36】
セグメント(c)が、ヘキサン1,6−ジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、フェニレン1,4−ジイソシアナート、トルエン2,4−ジイソシアナート、トルエン2,6−ジイソシアナート、m−若しくはp−テトラメチルキシレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート又はシクロヘキサン1,4−ジイソシアナートから誘導される、請求項1記載のマクロマー。
【請求項37】
平均分子量が、約300〜30,000の範囲、非常に好ましくは約500〜約20,000の範囲、更に好ましくは約800〜約12,00の範囲、特に好ましくは約1,000〜約10,000の範囲である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項38】
式(VIII):
【化39】


〔式中、rは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1、そして好ましくは1であり;
セグメント(b)で終わっても終わらなくともよい直鎖(c−a)が、存在し(t=1);
ここで、セグメント(d)は、少なくとも1つのセグメント(b)に結合しており;そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合しているセグメント(d)の総数に適用される]で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項39】
式(IX):
【化40】


〔式中、配列:(c−a)−(Z−b)tは、セグメント(a)にペンダントとしてr回懸垂し、そしてセグメント(b)で終わっても終わらなくともよく;
rは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1であり、そして好ましくは1であり;
Zは、セグメント(c)又はX1基であり;
ここで、セグメント(d)は、少なくとも1つのセグメント(b)に結合しており;そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合しているセグメント(d)の総数に適用される]で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項40】
式(X):
【化41】


[式中、sは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;
ここで、セグメント(d)は、少なくとも1つのセグメント(b)に結合しており;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合している、セグメント(d)の数に適用される]で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項41】
式(XI):
【化42】


〔本構造は、直鎖状であり、
sは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;
ここで、セグメント(d)は、少なくとも1つのセグメント(b)に結合しており;
tは、0又は1であり;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合しているセグメント(d)の数に適用される〕で示される化合物である、請求項1記載のマクロマー。
【請求項42】
セグメント(a)及び(b)の数の比が、(a):(b)=3:4、2:3、1:2、1:1、1:3又は1:4の範囲にある、請求項1記載のマクロマー。
【請求項43】
セグメント(a)及び(b)、又は適切ならば、(a)及び(b)及び(c)の総計が、2〜50、好ましくは3〜30の範囲、特に3〜12の範囲にある、請求項1記載のマクロマー。
【請求項44】
ポリシロキサンセグメント(a)が、式(III):
【化43】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%は、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnは、5〜400の整数である)で示される化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、請求項18〜21のいずれか1項記載のマクロマー。
【請求項45】
ポリシロキサンセグメント(a)が、式(III):
【化44】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%は、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnは、5〜400の整数である)で示される化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてX2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)
であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、15回まで、更に好ましくは6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)で示される基であるように可変基が定義される、請求項38〜41のいずれか1項記載のマクロマー。
【請求項46】
請求項1記載のマクロマーの製造方法であって、
最初に、少なくとも1つの、第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサンを、炭水化物ラクトンと反応させて、アミド又はエステル結合を形成させて、式(XII a)又は(XII b):
【化45】


(式中、可変基は、上記と同義であり、そして
Zは、X1基である)で示される化合物を生成させ、
次に化合物(XII a)又は(XII b)を、式(XIII):
【化46】


(式中、X4は、セグメント(b)のヒドロキシル又はアミノ基と共反応性であり、式(II)のセグメント(d)のX3基は、このような反応から生成し、
4は、好ましくは、−COOH、−COOR10、−COCl又は−NCO(ここで、R10は、アルキルであるか、又は非置換であるか、若しくは低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されているアリールである)であり、そして
他の可変基は、上記と同義である)で示される不飽和の重合しうる化合物と反応させて、
次に式(IV)又は(V):
【化47】


(式中、セグメント(d)は、末端又はペンダントとして組み込まれる)で示されるマクロマーを生成させることを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項1記載のマクロマーの製造方法であって、
末端第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサン(a)を、炭水化物ジラクトンと反応させて、式(XIV):
【化48】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される直鎖構造を得、
次に式(XIV)の化合物を、上記方法と同様に式(XIII)の化合物と反応させて、式(VI):
【化49】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示されるマクロマーを得ることを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項1記載のマクロマーの製造方法であって、
最初に、末端第一級アミノ−又はヒドロキシアルキル基を含むポリシロキサン(a)を、式(XV):
【化50】


(式中、X4は、セグメント(a)のヒドロキシル又はアミノ基と共反応性の基であり、セグメント(c)のX2基は、このような反応から生成し、
4は、好ましくは、−COOH、−COOR10、−COCl又は−NCO(ここで、R10は、アルキル、又は非置換であるか若しくは低級アルキル若しくは低級アルコキシにより置換されているアリールである)であり、そして
Rは、上記と同義である)で示される二官能性化合物と反応させ、
次にこの中間体を、ラクトン基のないポリオールと反応させて、式(XVI):
【化51】


(式中、可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物を得、
次に式(XVI)の化合物を式(XIII)の化合物と反応させて、式(X):
【化52】


(式中、sは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
Bは、セグメント(a)又は(b)であり;そして
上記の好適なものが、セグメント(b)に結合しているセグメント(d)の数に適用される)で示されるマクロマーを得ることを特徴とする方法。
【請求項49】
請求項1記載のマクロマーの製造方法であって、
式(XV):
【化53】


で示される二官能性化合物を、過剰のポリシロキサン(a)と反応させて、−a−(c−a)r−配列(ここで、上記の意味が適用される)を得、次に第2工程において、この中間体を、ラクトンのないポリオールと反応させて、式(XVII):
【化54】


で示される化合物を得、
次に化合物(XVII)を化合物(XIII)と反応させて、式(VIII):
【化55】


(式中、rは、1〜10、好ましくは1〜7、特に1〜3の整数であり;
tは、0又は1であり、好ましくは1であり;
セグメント(b)で終わっても終わらなくともよい直鎖(c−a)が、存在し(t=1);そして
上記の好適なものが、好ましくはセグメント(b)に結合しているセグメント(d)の総数に適用される)で示されるマクロマーを得ることを特徴とする方法。
【請求項50】
請求項1記載のマクロマーの製造方法であって、
第1工程において、炭水化物ラクトンを式(XIII)の化合物と反応させて、ラクトン官能基を保持し、次にこの中間体を、少なくとも1つのアミノ又はヒドロキシル基を含むポリシロキサンと反応させて、式(IV)又は(V):
【化56】


(式中、qは、典型的には1又は2であり;
他の場合には、上記の意味と好適なものが、適用され;そして
セグメント(d)は、末端又はペンダントとして組み込まれる)で示される化合物を得ることを特徴とする方法。
【請求項51】
式(XII a):
【化57】


(式中、qは、1より大きく、
(a)は、請求項1と同義のポリシロキサンから誘導され、そして
(b)は、炭水化物ジラクトンから誘導される)で示される化合物。
【請求項52】
式(XII b):
【化58】


[式中、Z、(b)及びqは、上記と同義であり、好適なものも同じであるが、但し、セグメント(a)は、式(III):
【化59】


(式中、nは、5〜500の整数であり;
1、R2、R3、R4、R5及びR6基の99.8〜25%は、相互に独立に、アルキルであり、かつR1、R2、R3、R4、R5及びR6基の0.2〜75%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル、アルケニル、アリール、シアノアルキル、alk−NH−alk−NH2又はalk−(OCH2CH2m−(OCH2p−OR7(ここで、R7は、水素又は低級アルキルであり、alkは、アルキレンであり、そしてm及びpは、相互に独立に、0〜10の整数である)である)で示される化合物から誘導され、1分子が、少なくとも1つの第一級アミノ又はヒドロキシル基及び少なくとも1つの部分的にフッ素化されたアルキル基を含む]で示される化合物。
【請求項53】
式(XVI):
【化60】


(式中、セグメント(b)は、ラクトンを持たないポリオールから誘導され、そして
他の可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物。
【請求項54】
式(XVII):
【化61】


(式中、セグメント(b)は、ラクトンを持たないポリオールから誘導され、そして
他の可変基は、上記と同義であり、好適なものも同じである)で示される化合物。
【請求項55】
請求項1に定義されたマクロマーの少なくとも1つ、及び適切ならば、ビニルコモノマー(a)の重合生成物の少なくとも1つを含むことを特徴とするポリマー。
【請求項56】
請求項1記載のマクロマーの全ポリマーに対する重量含量が、100〜0.5%の範囲、特に80〜10%の範囲、そして好ましくは70〜30%の範囲である、請求項55記載のポリマー。
【請求項57】
コモノマー(a)が存在しない、請求項55記載のポリマー。
【請求項58】
コモノマー(a)が、親水性若しくは疎水性又は両方の混合物である、請求項55記載のポリマー。
【請求項59】
コモノマー(a)が、アクリル酸及びメタクリル酸C1−C18アルキル及びC3−C18シクロアルキル、C3−C18アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C1−C18アルカン酸ビニル、C2−C18アルケン、C2−C18ハロアルケン、スチレン、低級アルキルスチレン、低級アルキルビニルエーテル、アクリル酸及びメタクリル酸C2−C10ペルフルオロアルキル又は対応する部分的にフッ素化されたアクリラート及びメタクリラート、アクリル酸及びメタクリル酸C3−C12ペルフルオロアルキル−エチル−チオカルボニルアミノエチル、アクリルオキシ−及びメタクリルオキシ−アルキルシロキサン、N−ビニルカルバゾール、並びにマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸などのC1−C12アルキルエステルから選択される、請求項55記載のポリマー。
【請求項60】
コモノマー(a)が、アクリル酸及びメタクリル酸ヒドロキシル置換低級アルキル、アクリルアミド、メタクリルアミド、低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、エトキシル化アクリラート及びメタクリラート、ヒドロキシル置換低級アルキルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、ヒドロキシル置換低級アルキルビニルエーテル、ビニルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、N−ビニルピロール、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルオキサゾリン、2−ビニル−4,4’−ジアルキルオキサゾリン−5−オン、2−及び4−ビニルピリジン、全部で3〜5個の炭素原子を有するビニル型不飽和カルボン酸、アミノ−低級アルキル(ここで、「アミノ」という用語は、第四級アンモニウムをも含む)、アクリル酸及びメタクリル酸モノ−低級アルキルアミノ−低級アルキル及びジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、アリルアルコールなどから選択される、請求項55記載のポリマー。
【請求項61】
更に少なくとも1つのコモノマー(b)を含む、請求項55記載のポリマー。
【請求項62】
コモノマー(b)が、メタクリル酸若しくはアクリル酸アリル、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸低級アルキレングリコール、ポリ低級アルキレングリコールジメタクリラート若しくはジアクリラート、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸低級アルキレン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジ−若しくはトリビニルベンゼン、トリメタクリル酸若しくはトリアクリル酸トリメチロールプロパン、テトラメタクリル酸若しくはテトラアクリル酸ペンタエリトリトール、ジメタクリル酸若しくはジアクリル酸ビスフェノールA、メチレンビス−メタクリルアミド若しくは−アクリルアミド、フタル酸トリアリル又はフタル酸ジアリルから選択される、請求項61記載のポリマー。
【請求項63】
ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、式(III):
【化62】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%は、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%は、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnは、5〜400の整数である)で示される化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導され;
(d)が、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)
の基であり;そして
1が、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であるように可変基が定義される、請求項18〜21記載の式(IV)、(V)、(VI)又は(VII)のマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の重合生成物を含むことを特徴とするポリマー。
【請求項64】
ポリマーの全重量に基づく重量パーセントで:
(1)ポリシロキサンセグメント(a)が、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の95〜29%が、相互に独立に、低級アルキルであり、R1、R2、R3、R4、R5及びR6基の5〜71%が、相互に独立に、部分的にフッ素化されたアルキル、アミノアルキル又はヒドロキシアルキルであり、そしてnが、5〜400の整数である、式(III)の化合物から誘導され;
ポリオールセグメント(b)が、ポリオール、炭水化物、炭水化物モノラクトン又は炭水化物ジラクトンから誘導されるが、但し、セグメント(b)は、Z基が、セグメント(c)であれば、ラクトン基のないポリオールから誘導され;
Zが、セグメント(c)(ここで、セグメント(c)は、X2−R−X2(ここで、Rは、14個までの炭素原子を有するアルキレン、アリーレン、アルキレンアリーレン若しくはアリーレンアルキレン、又は6〜14個の炭素原子を有する二価の飽和脂環式基であり、そしてx2は、アミド、ウレタン又は尿素基である)を表す)又はX1(ここで、X1は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基である)であり;
(B)が、上述の好適な定義を有するセグメント(a)又はセグメント(b)
であり;そして
(d)が、末端及び/又はペンダントとして、15回まで、更に好ましくは6回までセグメント(b)に結合する、式(II):X3−L−(Y)k−P1(式中、P1は、アルケニルであり、X3は、エステル、アミド、ウレタン又は尿素基であり、Yは、カルボニル、エステル又はアミド基であり、kは、0又は1であり、そしてLは、結合又はアルキレンである)の基であるように可変基が定義される、請求項38〜41記載の式(VIII)
、(IX)、(X)又は(XI)のマクロマー25〜45%、
(2)疎水性モノマー25〜75%、及び
(3)親水性モノマー15〜40%、の重合生成物を含むことを特徴とするポリマー。
【請求項65】
実質的に請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする成形品。
【請求項66】
成形品の表面が、窒素、アルゴン、酸素、及びこれらの混合物よりなる群から選択されるガスとC1−C6アルカンの存在下にプラズマ処理される、請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする成形品。
【請求項67】
コンタクトレンズである、請求項65又は66記載の成形品。
【請求項68】
1〜40%の水分含量を有するソフトコンタクトレンズである、請求項65又は66記載の成形品。
【請求項69】
ガスに対して透過性であり、低水分含量(RGP)である、柔軟なコンタクトレンズである、請求項65又は66記載の成形品。
【請求項70】
眼内レンズである、請求項65又は66記載の成形品。
【請求項71】
本質的に請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする生物医学的製品。
【請求項72】
製品の表面を被覆するための、請求項1記載のマクロマーの用途。
【請求項73】
製品の表面を被覆するための、請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーの用途。
【請求項74】
成形品の製造のための、請求項1記載のマクロマーの用途。
【請求項75】
コンタクトレンズの製造のための、請求項1記載のマクロマーの用途。
【請求項76】
実質的に請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする角膜移植片。
【請求項77】
温血動物の角膜上又は角膜内への外科移植に用いることができ、光軸上の領域において視力を与えることができる光学的性質を有し、更に10,000ダルトンを超える分子量を有する組織液の成分を通過させるのに十分な多孔度を有しており、移植片の外側の細胞から移植片内の細胞への組織液の通過を保証し、かつ光軸上の領域における多孔度は、組織液の成分の通過は可能であるが、眼組織の移植片内への増殖は排除するものである、請求項76記載の角膜移植片。
【請求項78】
移植片が、移植片付近の組織の増殖を促進するか、かつ/又は移植片への細胞の付着を促進する、1つ以上の成分で被覆される、請求項76又は77記載の角膜移植片。
【請求項79】
移植片の多孔度が、多くの細孔(これの寸法は、10,000ダルトンを超える分子量を有する組織液のタンパク質成分の移植片通過を保証するが、組織の移植片内への増殖を排除する)により与えられる、請求項76〜78のいずれか1項記載の角膜移植片。
【請求項80】
細孔の大部分が、15ナノメートル〜0.5マイクロメートル、好ましくは150ナノメートル〜0.5マイクロメートルの直径を有する、請求項79記載の角膜移植片。
【請求項81】
請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする細胞増殖基質。
【請求項82】
請求項55〜64のいずれか1項記載のポリマーを含むことを特徴とする医療用移植片。
【請求項83】
角膜移植片、細胞増殖基質又は医療用移植片の製造における、請求項1記載のマクロマーの用途。

【公開番号】特開2011−225884(P2011−225884A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−111611(P2011−111611)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【分割の表示】特願平8−534513の分割
【原出願日】平成8年5月7日(1996.5.7)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】