説明

ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマー及びその製造方法

【課題】疎水性と共に親水性を備え、加水分解性が低く、また、安定な新規オルガノポリシロキサンを提供すること、また、そのようなアミノ官能性オルガノポリシロキサンを、複雑・煩雑な操作を経ることなく、容易に合成可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】第2級アミノ基を有するポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーと糖酸又はその分子内脱水環化物とを反応させて、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマー及びその製造方法、並びに、当該コポリマーの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリジメチルシロキサンに代表されるシリコーンオイルは撥水性、離型性、消泡性を有することから、離型剤、消泡剤、艶出し剤、繊維処理剤、化粧品等に利用されてきた。しかしながら、通常のシリコーンオイルは水と親和性を示さず、また、水に乳化され難いため、その使用法に制限があった。水との親和性を向上させるためにシリコーンオイル中に各種の親水基を導入する試みが行われている。親水基を導入したこれら変性シリコーンの中では、ポリオキシアルキレン構造を導入したポリオキシアルキレン変性シリコーンが最も一般的である。このものは疎水性のポリジメチルシロキサンと親水性のポリオキシアルキレンが結合した非イオン系高分子界面活性剤構造を有している。しかしながら、ポリオキシアルキレン部分の親水性は比較的低いのでポリオキシアルキレン変性シリコーンを水溶性にしたり、また、親水疎水のバランスをとるためには、全体に対するポリオキシアルキレン部分の占める割合を高くする必要がある。しかし、そのような場合、シリコーンとしての性質がポリオキシアルキレンに打ち消される恐れがある。更に、ポリオキシアルキレン変性シリコーンにはポリオキシアルキレン部分に由来する曇点があり、使用温度が限定されるという問題点があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、シリコーンオイルの特性を有し、かつ非イオン系の親水基をバランスよく含有した糖変性シリコーン類が各種提案されている。例えば特許第3172787号ではグルコースとアリルアルコール、又は、アリルオキシエタノールを酸触媒存在下で反応させて得たアリルグルコシドとSiH官能性ポリシロキサンとの付加反応による製造方法が開示されているが、この方法では事前にアリルグルコシドを合成・単離する必要があり、更に付加反応中にSiH基とカルビノール基の脱水縮合を完全には防ぎえないという問題点があった。
【0004】
また、特開2008−274241号公報ではキシリトールをケタール化して水酸基を保護し、残った水酸基をウィリアムソン反応でエーテル化して得られた水酸基の保護されたキシリトールモノアリルエーテルをSiH官能性ポリシロキサンと付加反応し、保護基を外すという方法が開示されているが、非常に複雑な工程を経るため、生産性が低く、大量生産には適していなかった。また、前記水酸基の保護されたキシリトールモノアリルエーテルの水酸基を外して得たキシリトールモノアリルエーテルとSiH官能性ポリシロキサンと付加反応する方法も開示されているが、この方法は前記の通り付加反応中のSiH基とカルビノール基の脱水縮合を完全には防ぎえないという問題点があった。
【0005】
シリコーンに糖残基を導入する最も簡便、高収率かつ高選択的な方法として、特公平5−25252号公報、特開昭63−139106号公報、特表2008−542284号公報には、アミノ変性シリコーンとアルドノラクトン類又はウロノラクトン類との反応がすでに開示されている。しかしながら、これらアミノ変性シリコーンとアルドノラクトン類又はウロノラクトン類との反応で得られた糖変性シリコーンはカルボニル基とアミノ基の結合部分が加水分解されやすいという問題点があり、改良が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3172787号公報
【特許文献2】特開2008−274241号公報
【特許文献3】特公平5−25252号公報
【特許文献4】特開昭63−139106号公報
【特許文献5】特表2008−542284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、疎水性と共に親水性を備え、加水分解性が低く、また、安定な新規オルガノポリシロキサンを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、複雑・煩雑な操作を経ることなく、疎水性と共に親水性を備え、加水分解性が低く、また、安定な新規オルガノポリシロキサンを容易に合成することのできる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、下記一般式:
【化1】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
Gは、糖酸残基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を有するポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーによって達成される。
【0010】
前記Aはメチル基であることが好ましい。また、前記Bはプロピレン基であることが好ましい。そして、前記単位数は2〜1000であることができる。
【0011】
前記Gはアルドノイル基又はウロノイル基であることが好ましい。
【0012】
前記アルドノイル基は、−CO−(CHOH)l−CHOH(lは1〜10の整数を表す)であることができ、リボン酸残基、アラビノン酸残基、キシロン酸残基、リキソン酸残基、アロン酸残基、アルトロン酸残基、グルコン酸基、マンノン酸残基、グロン酸残基、イドン酸残基、ガラクトン酸残基又はタロン酸残基であることが好ましい。
【0013】
前記ウロノイル基は、グルクロン酸残基、イズロン酸残基、ガラクツロン酸残基又はマンヌロン酸残基であることが好ましい。
【0014】
本発明のコポリマーは、水性又はエマルジョン組成物に好適に配合することができる。
【0015】
本発明のコポリマーは、表面処理剤、塗料又は化粧料に特に好適に配合することができる。
【0016】
本発明のコポリマーは、界面活性剤として使用することができる。
【0017】
本発明の他の目的は、下記一般式:
【化2】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を有するポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー及び糖酸又はその分子内脱水環化物を反応させる、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの製造方法によって達成することができる。
【0018】
前記糖酸又はその分子内脱水環化物は、前記ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー中の第2級アミノ基と反応することが好ましい。
【0019】
前記Aはメチル基であることが好ましい。
【0020】
前記糖酸はアルドン酸又はウロン酸であることが好ましい。
【0021】
前記アルドン酸は、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸又はタロン酸であることが好ましい。
【0022】
前記ウロン酸は、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸又はマンヌロン酸であることが好ましい。
【0023】
前記糖酸の分子内脱水環化物はアルドノラクトン又はウロノラクトンであることが好ましい。
【0024】
前記ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは下記一般式:
【化3】

(式中、
A、B及びmは、上記のとおりであり、
Gは、糖酸残基を表す)で示される単位を有することが好ましく、当該単位数は2〜1000であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは直鎖状ポリシロキサンの両末端ケイ素原子が、アルドン酸、ウロン酸等の糖酸から水酸基を除いた糖酸残基で置換した2価ハイドロカルビレンアミノ基を介して結合した、新規なコポリマーであり、加水分解性が低く安定である。また、糖(酸)残基による親水性とオルガノポリシロキサン残基による疎水性を兼ね備えており界面活性剤として有用であるのみならず、繊維、織布、不織布、皮革、粉体等の表面処理剤、並びに、塗料又は化粧料の成分として好適である。
【0026】
また、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは従来のアルドン酸アミド又はウロン酸アミド変性シリコーンと比較して、加水分解性が低く安定であり、粒径の小さな安定なエマルジョンを容易に与えることができる。
【0027】
本発明の製造方法によれば、上記の優れた特性を備えるポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを容易に、高い生産性をもって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】製造例1で製造されたポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーの29Si-NMRチャートを示す。
【図2】製造例1で製造されたポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーの13C-NMRチャートを示す。
【図3】製造例1で製造されたポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーのIRチャートを示す。
【図4】実施例1で製造されたポリシロキサン−N,N-ジプロピレングルコナミドマルチブロックコポリマーの29Si-NMRチャートを示す。
【図5】実施例1で製造されたポリシロキサン−N,N-ジプロピレングルコナミドマルチブロックコポリマーの13C-NMRチャートを示す。
【図6】実施例1で製造されたポリシロキサン−N,N-ジプロピレングルコナミドマルチブロックコポリマーのIRチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーはアミド基を分子主鎖中に有するコポリマーである。
【0030】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは下記一般式:
【化4】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
Gは、糖酸残基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を少なくとも1つ有する。
【0031】
脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換の、及び、直鎖状、環状又は分岐状の一価炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,ヘプチル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基,シクロヘキシル基等の飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基が例示される。
【0032】
脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基の炭素数は特に限定されるものではないが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更により好ましい。Aとしては、メチル基、エチル基又はフェニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0033】
二価炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換の、及び、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基等を含む有機基で置換された基が例示される。
【0034】
二価炭化水素基の炭素数は特に限定されるものではないが、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜10が更により好ましい。Bとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、プロピレン基が特に好ましい。
【0035】
糖酸残基は、糖の一部の酸素官能基がカルボキシ基に酸化された糖酸の残基である。糖としては単糖が好ましい。前記酸素官能基としては、ホルミル基等のアルデヒド基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
【0036】
前記糖酸残基はアルドノイル基又はウロノイル基であることが好ましい。アルドノイル基はアルドン酸のカルボキシ基からOH基を除いたアシル基であり、ウロノイル基はウロン酸のカルボキシ基からOH基を除いたアシル基である。
【0037】
前記アルドノイル基としては、具体的にはD-グルコース、D-ガラクトース、D-アロース、D-アルトロース、D-マンノース、D-グロース、D-イドース、D-タロース等の還元性単糖に由来するアルドン酸から水酸基を除いた残基のアルドノイル基;マルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、ニゲロース、コージビオース等の還元性二糖に由来するアルドン酸から水酸基を除いた残基のアルドノイル基;マルトトリオース、パノース、イソマルトトリオース等の還元性三糖に由来するアルドン酸から水酸基を除いた残基のアルドノイル基;四糖以上の還元性オリゴ糖に由来するアルドン酸から水酸基を除いた残基のアルドノイル基が挙げられる。前記ウロノイル基としては、具体的には、D-グルクロン酸、L-イズロン酸、マンヌロン酸等のウロン酸から水酸基を除いた残基のウロノイル基が例示される。これらは単独或いは二種類以上の混合した基であっても構わない。
【0038】
前記アルドノイル基は−CO−(CHOH)l−CHOH(lは1〜10の整数を表し、好ましくは1〜5の整数を表す)で表されるものがより好ましい。前記アルドノイル基は、リボン酸残基、アラビノン酸残基、キシロン酸残基、リキソン酸残基、アロン酸残基、アルトロン酸残基、グルコン酸基、マンノン酸残基、グロン酸残基、イドン酸残基、ガラクトン酸残基又はタロン酸残基であることが更により好ましい。前記アルドノイル基としては、グルコン酸基が特に好ましい。
【0039】
前記ウロノイル基は、グルクロン酸残基、イズロン酸残基、ガラクツロン酸残基又はマンヌロン酸残基であることが好ましい。前記ウロノイル基としては、グルクロン酸残基がより好ましい。
【0040】
mは、1〜500が好ましく、1〜300がより好ましく、1〜200が更により好ましい。なお、mが1000を超えると、分子中の糖酸残基の含有率が低下し、糖酸残基の効果を十分に発揮できなくなるおそれがある。
【0041】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは、上記化学式で表される単位を2〜1000有することができる。前記単位数は2〜500が好ましく、2〜300がより好ましく、2〜100が更により好ましい。
【0042】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの分子量は特に限定されるものではないが、例えば、1000〜1000000の数平均分子量を有することができる。前記数平均分子量は1000〜500000が好ましく、1000〜100000がより好ましく、1000〜50000が更により好ましい。
【0043】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は特に限定されるものではないが、例えば、1〜5の分散度を有することができる。前記分散度は1〜4が好ましく、1〜3.5がより好ましく、1〜3が更により好ましい。
【0044】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは分子主鎖中にアミド基が存在しているため、分子側鎖中又は分子鎖末端にアミド基が存在する場合に比べて、加水分解性され難く安定である。
【0045】
また、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは親水性の糖(酸)残基と疎水性のオルガノポリシロキサン部位を有するので、界面活性剤として機能することがでいる。
【0046】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの製造方法は第2級アミノ基を有するポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーと糖酸又はその分子内脱水環化物とを反応させることを特徴とする。
【0047】
前記糖酸又はその分子内脱水環化物が前記ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー中の第2級アミノ基と反応することが好ましい。
【0048】
本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの製造方法では、下記一般式:
【化5】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を有するポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー及び糖酸又はその分子内脱水環化物を反応させる。
【0049】
前記ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーは、両末端SiH(ケイ素原子結合水素原子)基封鎖ポリシロキサンと脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンを付加反応させることによって製造することができる。
【0050】
具体的には、下記一般式:
【化6】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される両末端SiH基封鎖ポリシロキサン、及び、
下記一般式:
【化7】

(式中、
Cは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合含有一価炭化水素基を表し、
Dは、水素原子又はトリオルガノシリル基を表す)で示される脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンを付加反応させ、必要に応じて脱シリル化反応を行うことによって、前記ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーを合成することができる。
【0051】
前記脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基は上記のとおりである。前記Aとしては、メチル基が好ましい。
【0052】
前記脂肪族不飽和結合含有一価炭化水素基としては、例えば、置換又は非置換の、及び、直鎖状又は分岐状の、少なくとも1つの脂肪族不飽和結合を有する一価炭化水素基が挙げられる。具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基等の炭素原子数2〜10のアルケニル基;ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基等が挙げられる。
【0053】
前記脂肪族不飽和結合含有一価炭化水素基の炭素数は特に限定されるものではないが、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましく、2〜10が更により好ましい。Cとしては、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基が好ましく、アリル基が特に好ましい。
【0054】
前記トリオルガノシリル基としては通常有機反応で保護基として使用されるシリル基を使用することができる。具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等が例示される。
【0055】
前記付加反応は通常のヒドロシリル化反応条件で実施することができる。付加反応を促進させるためヒドロシリル化触媒を使用することが好ましい。使用する触媒は特に制限は無いが、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等の第VIII族遷移金属或いはそれらの化合物を好適に使用することができる。このような化合物の具体的な例としては、第VIII族遷移金属のクロロ錯体、オレフィン錯体、アルデヒド錯体、ケトン錯体、ホスフィン錯体、スルフィド錯体、ニトリル錯体等を挙げることができる。これらのうち、白金黒、塩化白金酸、或いは、白金のオレフィン錯体、アルデヒド錯体、ケトン錯体等の白金系触媒が好ましく、白金のオレフィン錯体が特に好ましい。
【0056】
前記付加反応は無溶媒で行うことができるが、溶媒存在下でも行うことができる。使用できる溶媒としては、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン,ヘプタン,シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン,ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトン,メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル,酢酸ブチル等のエステル類が例示される。
【0057】
Dがトリオルガノシリル基の場合、付加反応終了後に加水分解、加アルコール分解等の適切な方法で脱シリル化反応を行い、シリルアミノ基を第2級アミノ基に変換する必要がある。
【0058】
脂肪族不飽和結合とSiH基の当量比[脂肪族不飽和結合]/[SiH]には特に制限はない。しかしながら、生成物の末端に脂肪族不飽和結合を残したい場合には[脂肪族不飽和結合]/[SiH]比を1より大きくする必要があり、生成物の末端にSiH基を残したい場合には[脂肪族不飽和結合]/[SiH]比を1より小さくする必要がある。またこの比が1に近いほど高分子量の生成物が得られ、1から離れるほど低分子量の生成物が得られるので、この比を制御することにより生成物の分子量を制御することができる。
【0059】
反応方法としては両末端SiH基封鎖ポリシロキサンとヒドロシリル化触媒との混合物を加熱し、脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンを徐々に滴下していく方法が好ましい。一方、脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンとヒドロシリル化触媒を最初に混合しておいて加熱し、両末端SiH基封鎖ポリシロキサンを滴下していく場合は、アミノ基が白金に配位して触媒が失活し易くなるため好ましくない。また、両末端SiH基封鎖ポリシロキサンと脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンを混合し、加熱してからヒドロシリル化触媒を添加する場合は、反応が一気に起こるため、反応の暴走に十分注意する必要がある。
【0060】
このようにしてヒドロシリル化反応に基づく付加反応を行う場合、反応の進行は赤外吸光分析、核磁気共鳴分析等により確認することができる。反応の完結を確認した後、溶媒等の低沸点物を加熱減圧留去することにより目的のポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーを得ることができる。
【0061】
両末端SiH基封鎖ポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子と脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミン又はシリルアミンの脂肪族不飽和との付加反応では、不飽和結合への水素原子の付加態様により、α付加物とβ付加物の両者が生成する。β付加物とα付加物の割合は核磁気共鳴分析により測定することができる。脂肪族不飽和結合を一分子中に二個有するアミンとして、ジアリルアミンを使用した場合、通常のヒドロシリル化条件ではβ付加とα付加の割合はほぼ7:3である。したがって、付加反応によるプロピレンアミノプロピレン体:プロピレンアミノメチルエチレン体:メチルエチレンアミノメチルエチレン体の生成比はほぼ49:42:9になる。
【0062】
この製造方法では、副生成物としての環状物の生成がない。したがって、環状副生成物を生成することなく、ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーを容易に得ることができる。
【0063】
前記糖酸としては、アルドン酸又はウロン酸が好ましい。
【0064】
前記アルドン酸としては、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸又はタロン酸が好ましく、グルコン酸がより好ましい。
【0065】
前記ウロン酸としては、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸又はマンヌロン酸が好ましく、グルクロン酸がより好ましい。
【0066】
前記糖酸の分子内脱水環化物としては、アルドン酸又はウロン酸が分子内脱水環化したものが例示される。アルドノラクトン又はウロノラクトンが好ましく、入手のし易さからグルコノラクトンがより好ましい。
【0067】
ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーと糖酸又はその分子内脱水環化物との反応は、両者を、無溶媒中又は溶媒中、好ましくは溶媒中、で混合又は懸濁し、撹拌しながら加熱することにより行うことができる。
【0068】
ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーと糖酸又はその分子内脱水環化物との反応当量比に特に制限はないが、ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマーに残留する第2級アミノ基が反応によって生成するアミド基の経時的な加水分解を促進するため、前者より後者が化学量論的に当量か小過剰であることが好ましい。したがって好ましい比は1≦([酸基]/[第2級アミノ基])<1.5であり、この比が1.3以下であることが更に好ましい。
【0069】
前記溶媒としては極性溶媒が好ましく、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが好適に使用される。なお、反応系中に水が存在すると糖酸の分子内脱水環化物を分解し、対応する酸を生成するので、反応系から水分を除いた乾燥溶媒を用いることが望ましい。
【0070】
反応時間は、溶媒の有無、溶媒の種類、反応温度等によって異なるが、溶媒として低級アルコール類を用いた場合は還流温度で3〜10時間行うのが好ましい。
【0071】
溶媒等の低沸点物を加熱減圧留去することにより、目的のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマー、好ましくは、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレンアルドン酸アミドマルチブロックコポリマー又はポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレンウロン酸アミドマルチブロックコポリマー、がその化学構造に応じて透明〜白濁した高粘度流体〜ガム状物として得られる。
【0072】
ところで、本発明のコポリマーは水との親和性が高いので、水中に溶解又は分散させることによって安定な水性組成物を形成することができる。このような水性組成物は、例えば、通常の攪拌機を用いて水中に本発明のコポリマーを溶解又は分散させることによって調製することができる。
【0073】
また、本発明のコポリマーは界面活性剤として使用することができ、本発明のコポリマーは水性相と油性相を備えるエマルジョンの乳化状態を安定化できる。特に、本発明のポリマーは、エマルジョンの連続相(水性相又は油性相)中の分散相(油性相又は水性相)の粒径を小さくすることができる。したがって、本発明のポリマーによって乳化されたエマルジョンは長期に亘って安定である。このようなエマルジョンは、水性相及び油性相の各成分、並びに、本発明のコポリマー、更には、必要に応じて他の乳化剤をホモミキサー、ホモジナイザー、コロイドミル、コンビミキサー、インライン式連続乳化機、真空乳化機、超音波乳化機、連続混合装置等の乳化機を用いて乳化分散することによって調製することができる。
【0074】
したがって、本発明のコポリマーは水性又はエマルジョン組成物の成分として好適である。
【0075】
また、本発明のコポリマーは、オルガノポリシロキサン本来の性質を保持しているので、繊維、織布、不織布、皮革、粉体等の表面処理剤、そして、塗料又は化粧料の成分として使用することができる。
【0076】
本発明の表面処理剤は、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを含むものである。前記コポリマーの配合量は特に限定されるものではないが、例えば、表面処理剤全体の0.1〜99.9質量%、好ましくは1〜90質量%、の範囲とすることができる。
【0077】
本発明の表面処理剤には、通常、表面処理剤に配合されている添加剤を本発明の効果が損なわれない程度に配合することができる。例えば、繊維、織布、不織布、皮革用の表面処理剤の場合は、各種形状(例えばオイル、樹脂、ガム、ゴム等)のシリコーン化合物(例えばジメチルポリシロキサン、ジメチルメチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、エポキシ変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ポリカプロラクトン変性ジメチルポリシロキサン、α−オレフィン変性ジメチルポリシロキサン、ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体等)、シラン化合物、架橋剤、防腐剤、塩類、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル、アルキル硫酸エステル、アルカンスルホン酸塩、アルキルエトキシカルボン酸塩、コハク酸誘導体、アルキルアミンオキサイド、イミダゾリン型化合物、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物等)等を適量配合することができる。
【0078】
本発明の表面処理剤が適用できる繊維素材としては、材質的には天然繊維(例えば木綿、麻、羊毛、絹、木材パルプ、皮革等)、再生繊維(例えばレーヨン、アセテート、キュプラ、スフ等)、有機合成繊維(例えばポリエステル、ポリアミド、ビニロン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルエーテル、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、スパンデックス等)、無機合成繊維(例えばガラス繊維、炭素繊維、シリコンカーバイド繊維等)等が挙げられる。また、形状的にはステーブル、フィラメント、トウ、糸、織物、編物、不織布、樹脂加工布帛、紙、合成皮革等が挙げられる。
【0079】
本発明の表面処理剤を浸漬、スプレー等によりこれらの繊維素材に付着させ、次いで乾燥させ過剰の水等を繊維素材から除去し、更に、必要に応じて加熱することにより目的の処理効果が得られる。乾燥工程と加熱工程は同時に行ってもよい。加熱工程は80乃至225℃で30秒乃至20分間、好ましくは100乃至180℃で1乃至10分間行えばよい。この範囲で高温・長時間加熱すれば、より柔軟性付与効果及び効果の耐久性がより向上し好ましい。しかしながら、加熱工程のためにコストが上昇したり、繊維素材が着色する等の欠点もあるので、その条件は処理装置、繊維の使用用途等に応じて適宜設定すればよい。
【0080】
本発明の表面処理剤が粉体に適用される場合は、粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)、粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、及び、粒子構造(多孔質、無孔質等)は何ら限定されるものではないが、粉体の平均一次粒子径は1nm〜100μmの範囲にあることが好ましい。
【0081】
粉体としては、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料等が挙げられ、更に、これらを複合化したものも使用することができる。具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0082】
更に、これらの粉体は、その一部又は全部が撥水化処理、親水化処理等の表面処理を施されていることが特に好ましい。なお、これらの粉体同士を複合化してもよい。また、一般油剤、前記糖アルコール変性オルガノポリシロキサン以外のシリコーン化合物、フッ素化合物、界面活性剤、増粘剤等で表面処理が施されたものも使用することができ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0083】
撥水化処理は、特に限定されるものではないが、前記粉体を各種の撥水化表面処理剤で処理することが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のオルガノシロキサン処理;ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理;シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理;パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理;N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理;スクワラン処理等の油剤処理;アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
【0084】
粉体としてシリコーンエラストマー粉体を使用することもできる。シリコーンエラストマー粉体は、主としてジオルガノシロキシ単位(D単位)からなる直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、側鎖若しくは末端に珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと側鎖若しくは末端にアルケニル基等の不飽和炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応触媒下で架橋反応させることによって好適に得ることができる。シリコーンエラストマー粉体は、T単位及びQ単位からなるシリコーン樹脂粉体に比して、柔らかく、弾力があり、また、吸油性に優れるため、肌上の油脂を吸収し、化粧崩れを防ぐことができる。そして、前記糖アルコール変性オルガノポリシロキサンにより表面処理を行うと、シリコーンエラストマー粉体のスエード調の感触を減じることなく、しっとりした感触を付与することができる。更に、シリコーンエラストマー粉体と共に前記糖アルコール変性オルガノポリシロキサンを化粧料に配合する場合は、化粧料全体における当該粉体の分散安定性が改善され、経時的に安定な化粧料を得ることができる。
【0085】
シリコーンエラストマー粉体は、球状、扁平状、不定形状等種々の形状を取りうる。シリコーンエラストマー粉体は油分散体の形態であってもよい。本発明の化粧料には、粒子形状を有するシリコーンエラストマー粉体であり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析/散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、且つ、一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉体を好適に配合することができる。シリコーンエラストマー粉体を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下のものが好ましく、65以下のものがより好ましい。
【0086】
シリコーンエラストマー粉体はシリコーンレジン、シリカ等による表面処理が任意に施されていていてもよい。前記表面処理としては、例えば、特開平2−243612号公報、特開平8−12545号公報、特開平8−12546号公報、特開平8−12524号公報、特開平9−241511号公報、特開平10−36219号公報、特開平11−193331号公報、特開2000−281523号公報等に記載されているものが挙げられる。なお、シリコーンエラストマー粉体としては、「化粧料種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末が該当する。シリコーンエラストマー粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S、トレフィルE−508、9701 Cosmetic Powder、9702 Powder等が挙げられる。これらのシリコーンエラストマー粉体は表面処理がされていてもよく、表面処理剤の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンレジン、金属石鹸、シランカップリング剤、シリカ、酸化チタン等の無機酸化物、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等のフッ素化合物が挙げられる。
【0087】
本発明の表面処理剤が粉体に適用される場合は、当該表面処理剤を粉体と直接混合してもよいし、表面処理剤を予め有機溶媒に溶解しておき、この有機溶媒を粉体と混合した後、有機溶媒を乾燥除去してもよい。有機溶媒としては、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルテトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類が例示される。乾燥温度は、室温〜180℃の範囲が好ましい。
【0088】
本発明の表面処理剤による粉体の処理比率は、粉体100重量部に対して表面処理剤が0.1〜30重量部となる比率が好ましく、0.1〜15重量部となる比率がより好ましい。
【0089】
本発明の塗料は、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを含むものである。前記コポリマーの配合量は特に限定されるものではないが、例えば、塗料全体の0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、の範囲とすることができる。
【0090】
本発明の塗料には、通常の塗料に配合されている添加剤を、本発明の効果が損なわれない程度に配合することができる。例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、エチレングリコール、1−メトキシ−2−エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族類;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等の窒素化合物;ジメチルスルホキシド等の硫黄化合物;トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン等のフッ素化炭化水素、塩素化フッ化炭化水素類等の溶媒が挙げられる。この他に、プロパン、n−ブタン、イソブタン等の低級炭化水素類(LPG)、二酸化炭素等の液化ガス等;各種形状(例えばオイル,樹脂,ガム,ゴム,粉末等)のシリコーン化合物(例えばジメチルポリシロキサン,ジメチルメチルフェニルポリシロキサン,ジメチルジフェニルポリシロキサン,アミノ変性ジメチルポリシロキサン,エポキシ変性ジメチルポリシロキサン,ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン,ポリカプロラクトン変性ジメチルポリシロキサン,α−オレフィン変性ジメチルポリシロキサン、カルボキシル変性ジメチルポリシロキサン等);界面活性剤(例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル,アルキル硫酸エステル,アルカンスルホン酸塩,アルキルエトキシカルボン酸塩,コハク酸誘導体,アルキルアミンオキサイド,イミダゾリン型化合物,ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物等);他の高分子化合物(例えばヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,メチルセルロース,カチオン化セルロース,カチオン化高分子,ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム,特開平5−310538号公報に開示されたカチオン性樹脂及びアクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、色素、防腐剤、固着剤等が挙げられる。本発明の塗料は、各種基材の表面に下塗塗料を介して、又は介さずに、塗布し、(硬化)皮膜を形成させることが可能であり、離型性、耐久性、非転写性、耐汚れ性等に優れた、塗膜を形成させることができる。塗装方法は限定されず定法を用いることができる。例えば刷毛やバーコーダー又はスプレーにより塗布する事ができる。また、本発明の塗料は、貯蔵安定性に特に優れたものである。特に、プリント基板原稿の表面保護フィルムの表面に塗布した場合、フォトレジストやソルダーレジストの付着を防止する好適な離型層を得ることができる。その場合、作業効率上、スプレーにより塗布することが好ましい。
【0091】
本発明の化粧料は、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを含むものである。前記コポリマーの配合量は特に限定されるものではないが、例えば、化粧料全体の1〜99質量%、好ましくは10〜90質量%、の範囲とすることができる。
【0092】
本発明の化粧料に配合される他の成分としては、油剤、親水性媒体、保湿剤、シリコーン類、紫外線遮蔽剤、水溶性高分子、水膨潤性粘土鉱物、防腐剤、抗菌剤、生理活性成分、pH調整剤、有機溶媒、酸化防止剤、キレート化剤、香料、色素等が挙げられる。
【0093】
油剤は、疎水性であれば、起源を問わず、固形、半固形、液体のいずれでもよく、不揮発性、半揮発性、揮発性のいずれでよい。具体的には、シリコーンオイル、炭化水素油及びワックス、動植物油、高級アルコール、エステル油等が挙げられる。シリコーンオイル類がさっぱりとした使用感を付与できるので好ましい。油剤は1種類であってもよく、或いは、2種類以上を混合して使用してもよい。化粧料中の油剤の配合量は、化粧料の全質量の1〜50質量%が好ましい。
【0094】
シリコーンオイルの分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。25℃における粘度は、通常、0.65〜100,000mm/sの範囲であり、0.65〜10,000mm/sの範囲が好ましい。具体的には、環状シリコーンオイルとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メルカプトプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−イソプロペニルベンゾイルアミノ)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−メタクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−ラウロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(メタクリロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。直鎖状シリコーンオイルとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジメトキシポリジメチルシロキサン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等が挙げられる。分岐状シリコーンオイルとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシランが挙げられる。これらの中でも、揮発性のものが好ましい。これら2種類以上を併用してもよい。
【0095】
炭化水素油及びワックスとしては、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、セレシン、パラフィン、パラフィンワックス、流動パラフィン、プリスタン、ポリイソブチレン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0096】
動植物油としては、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0097】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、フィトステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0098】
エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸アミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等;グリセライド油としては、アセトグリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0099】
親水性媒体としては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の1価低級アルコール;1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールが挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料における親水性媒体の配合量は、化粧料の全質量の1〜80質量%が好ましい。
【0100】
保湿剤としては、グルコース、キシリトール、マルチトール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。なお、親水性媒体である1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等も化粧料の保湿感の向上に寄与する場合がある。化粧料における保湿剤の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜30質量%が好ましい。
【0101】
シリコーン類としては、例えば、ガム状シリコーン、シリコーン樹脂及びシリコーンエラストマー粉末が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0102】
ガム状シリコーンは、超高重合度の直鎖状ジオルガノポリシロキサンであり、シリコーン生ゴム又はオルガノポリシロキサンガムと称されている。代表例として、(CHSiO{(CHSiO}{(CH)RSiO}Si(CH(式中、Rはビニル基、フェニル基、炭素数が6〜20のアルキル基、炭素数3〜15のアミノアルキル基、炭素数3〜15のパーフロロアルキル基、炭素数3〜15の4級アンモニウム塩基含有アルキル基から選択され、f=3000〜6000、g=0〜1000、f+g=3000〜6000)で表されるものがある。これら2種類以上を併用してもよい。
【0103】
シリコーン樹脂は、高度の分岐状構造、網状構造又は籠状構造を有するオルガノポリシロキサンであり、常温で液状又は固形状である。固形状のシリコーン樹脂には、例えば、トリオルガノシロキシ単位(M単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、ジオルガノシロキシ単位(D単位)(オルガノ基はメチル基のみ、メチル基とビニル基若しくはフェニル基である)、モノオルガノシロキシ単位(T単位)(オルガノ基はメチル基、ビニル基、又はフェニル基である)及びシロキシ単位(Q単位)の任意の組み合わせからなるMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂がある。更には、トリメチルシロキシケイ酸、ポリアルキルシロキシケイ酸、ジメチルシロキシ単位含有トリメチルシロキシケイ酸、アルキル(パーフルオロアルキル)シロキシケイ酸等が挙げられる。これらのシリコーン樹脂は油溶性であることが好ましく、オクタメチルテトラシロキサン(D4)やデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)に溶解しうるものが特に好ましい。これら2種類以上を併用してもよい。
【0104】
ガム状シリコーン及びシリコーン樹脂は、単独で化粧料に配合しても構わないが、揮発性又は不揮発性シリコーンオイル、或いは、揮発性又は不揮発性炭化水素油へ溶解させて配合することもできる。ガム状シリコーン及びシリコーン樹脂の配合量は、化粧料の総量の0.1〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。皮膚への密着性のより高い化粧料を得るためには、化粧料100重量部当たりガム状シリコーン又はシリコーン樹脂50〜500重量部が好ましい。
【0105】
シリコーンエラストマー粉末は、主として直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、球状、扁平状、不定形状等種々の形状をとりうる。粒子形状を有するシリコーンエラストマーであり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析・散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、かつ一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉末が好ましい。シリコーンエラストマー粉末を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下が好ましく、65以下がより好ましい。2種類以上のシリコーンエラストマー粉末を併用してもよい。
【0106】
シリコーンエラストマー粉末は、例えば、2つ以上のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサンと2つ以上のケイ素原子結合水素原子を有するアルキルハイドロジェンポリシロキサンと塩化白金酸からなる組成物を、乳化状態又は噴霧状態で硬化させることにより製造することができる。アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンとしては、例えば、両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンが挙げられるが、α,ω−アルケニルジエン、グリセリントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ポリオキシアルキニル化トリメチロールプロパントリアリルエーテル等のように、分子中に二つ以上のビニル基やアリル基を有する有機化合物でもよい。
【0107】
シリコーンエラストマー粉末は、例えば、特開平2−243612号公報、特開平8−12545号公報、特開平8−12546号公報、特開平8−12524号公報、特開平9−241511号公報、特開平10−36219号公報、特開平11−193331号公報、特開2000−281523号公報等に記載されているものが挙げられる。市販品として東レ・ダウコーニング株式会社製トレフィルEシリーズのトレフィルE−505、E−506、E−507、E−508等があり、「化粧料種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末が該当する。これらのシリコーンエラストマー粉末は表面処理がされていてもよく、表面処理剤の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンレジン、金属石鹸、シランカップリング剤、シリカ、酸化チタン等の無機酸化物、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩等のフッ素化合物が挙げられる。
【0108】
シリコーンエラストマー粉末は、油性成分との混練物であるペースト状物や、水系分散体の形で化粧料に配合することが好ましい。より詳しくは、例えば、シリコーンエラストマー粉末と、エステル油、炭化水素油、高級アルコール及び動植物油からなる群から選ばれる常温で液体の油剤とを混練して作られたペースト状物;シリコーンエラストマー粉末を機械力で乳化剤含有水中に分散したものが挙げられる。
【0109】
シリコーンエラストマー粉末は粒子径が10μmを超えるものも多く、水性組成物に安定に配合することが難しかったが、本発明のアミノ酸変性オルガノポリシロキサンエマルジョンと併用することにより安定に配合することができる。化粧料におけるオルガノポリシロキサンエラストマー粉体の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜30質量%が好ましい。
【0110】
シリコーン類として、シリコーン変性有機重合体を配合してもよい。シリコーン変性有機重合体としては、例えば、ポリジメチルシロキサングラフト型アクリル系共重合体、特開2000−063225に開示されているカルボキシシロキサンデンドリマーグラフト型アクリル系共重合体、及び特開2003−226611に開示されているカルボキシシロキサンデンドリマー構造及びフッ化有機基を有するアクリル系共重合体が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0111】
紫外線遮蔽剤は、無機系と有機系のUVスクリーン剤のいずれであってもよい。無機系のUVスクリーン剤は、典型的には無機系粉体であり、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタン等の金属酸化物、水酸化鉄等の金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレーク等の金属フレーク類、炭化珪素等のセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある微粒子金属酸化物若しくは微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。これら2種類以上を併用してもよい。これらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理(パーフルオロアルキルリン酸エステル処理やパーフルオロアルキルシラン処理、パーフルオロポリエーテル処理、フルオロシリコーン処理、フッ素化シリコーン樹脂処理が好ましい)、シリコーン処理(メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、気相法テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン処理が好ましい)、シリコーン樹脂処理(トリメチルシロキシケイ酸処理が好ましい)、ペンダント処理(気相法シリコーン処理後にアルキル鎖等を付加する方法)、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理(アルキルシランやアルキルシラザン処理が好ましい)、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理(ステアリン酸やミリスチン酸塩が好ましい)、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理等がされていることが好ましく、これらの処理の複数で処理されていることが好ましい。例えば、微粒子酸化チタン表面を酸化ケイ素やアルミナ等の金属酸化物で被覆した後、アルキルシランで表面処理すること等が挙げられる。表面処理量は、粉体に対して総計で0.1〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
【0112】
有機系のUVスクリーン剤としては、例えば、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4-(2-β-グルコピラノシロキシ)プロポキシ-2-ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2―シアノ―3,3―ジフェニルプロパ―2―エン酸2―エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0113】
有機系のUVスクリーン剤をポリマー粉末中に分散させたものを使用してもよい。ポリマー粉末は中空又は中実であり、平均一次粒子径は好ましくは0.1〜50μmの範囲であり、粒度分布はブロード又はシャープである。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。有機系UVスクリーン剤を0.1〜30質量%の範囲で含有するポリマー粉末が好ましく、特にUV−A吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを含有するポリマー粉末が好ましい。
【0114】
紫外線遮蔽剤としては、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が、汎用されており、入手が容易で、かつ紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系のUVスクリーン剤を併用することが好ましく、UV−Aに対応したUVスクリーン剤とUV−Bに対応したUVスクリーン剤を併用することが更に好ましい。化粧料における紫外線遮蔽剤の配合量は、無機系及び/又は有機系UVスクリーン剤の合計で、化粧料の0.1〜60質量%の範囲にあることが好ましく、3〜40質量%がより好ましい。更に、無機系のUVスクリーン剤の配合量は化粧料の0.1〜30質量%の範囲が好ましく、有機系UVスクリーン剤は、化粧料の0.1〜20質量%の範囲が好ましい。
【0115】
水溶性高分子としては、両性、カチオン性、アニオン性又は非イオン性の水溶性高分子が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0116】
両性水溶性高分子としては、例えば、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0117】
カチオン性水溶性高分子としては、例えば、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0118】
アニオン性水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ポリメタアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩、アセチル化ヒアルロン酸又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物等の脂肪族カルボン酸又はその金属塩の水溶性重合体、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0119】
非イオン性水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、ペクチン、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジュランガム、デキストラン、クインスシードガム、トラガントガム、キチン・キトサン誘導体、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体等の天然の高分子化合物が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。
【0120】
水溶性高分子は、水に溶解又は分散させて均一な水溶液又は分散液にしてから、他の化粧料原料と混合することが好ましい。化粧料における水溶性高分子の配合量は、化粧料の0.001〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。0.001質量%未満の配合量の場合には十分な増粘効果が望めず、5質量%を超えて配合すると化粧料の粘度が高くなりすぎ、使用感が劣ることになりかねない。
【0121】
水膨潤性粘土鉱物は、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種であり、例えば、式:(X,Y)−3(Si,Al)10(OH)1/3・nHO (式中、Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)又はCr(III)であり、Y は、Mg、Fe(II)、Ni、Zn又はLiであり、Zは、K、Na又はCaである)で表されるものが挙げられる。このような水膨潤性粘土鉱物として、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウムが例示され、これらは天然物及び合成物のいずれであってもよい。これら2種類以上を併用してもよい。
【0122】
水膨潤性粘土鉱物は、水に溶解又は分散させて均一な水溶液又は分散液にしてから、他の化粧料原料と混合することが好ましい。化粧料における水膨潤性粘土鉱物の配合量は、化粧料の0.001〜5質量%の範囲にあることが好ましく、0.01〜3質量%がより好ましい。0.001質量%未満の配合量の場合には十分な増粘効果が望めず、5質量%を超えて配合すると化粧料の粘度が高くなりすぎ、使用感が劣ることになりかねない。
【0123】
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノールが挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料におけるシリコーン類の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0124】
抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノン等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料におけるシリコーン類の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0125】
生理活性成分としては、例えば、抗炎症剤、老化防止剤、ひきしめ剤、発毛剤、育毛剤、血行促進剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分が挙げられる。その中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分からなるものが特に好ましい。化粧料には、これらの生理活性成分を1種又は2種以上配合することが好ましい。化粧料における生理活性成分の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜10質量%が好ましい。
【0126】
具体的には、例えばアシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、ザクロエキス、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0127】
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子;グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸;エストラジオール、エテニルエストラジオール等のホルモン;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、アラントイン、トラネキサム酸、アズレン等の抗炎症剤;ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類;アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸等の細胞賦活剤;γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、カンフル等の清涼剤;モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコルチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤等が挙げられる。
【0128】
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料におけるpH調整剤の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0129】
有機溶媒としては、例えば、エーテル類があり、更に、プロペラントとしてLPG、N−メチルピロリドン、次世代フロンが挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料における有機溶媒の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜50質量%が好ましい。
【0130】
酸化防止剤(抗酸化剤)としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニンが挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料における酸化防止剤の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0131】
キレート化剤としては、例えば、EDTA、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料におけるキレート化剤の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0132】
香料としては、例えば、生理活性成分として例示した各種の抽出物を含め、様々な植物の花、種子、葉、根等から抽出した香料、海藻類から抽出した香料、動物の各部位又は分泌物から抽出した香料(例、じゃこう、マッコウ)、人工的に合成した香料(例、メントール、ムスク、酢酸エステル、バニラ)が挙げられる。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料における香料の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0133】
色素としては、例えば、染料、顔料、蛍光増白剤があり、染料には水溶性染料、油溶性染料、天然系染料、合成染料等があり、顔料には体質顔料、無機顔料、有機顔料等がある。これら2種類以上を併用してもよい。化粧料における色素の配合量は、化粧料の全質量の0.1〜5質量%が好ましい。
【0134】
本発明の化粧料の形態及び性状は特に限定されるものではないが、水中油型エマルジョン形態の化粧料、特にレーザー回折・散乱法を用いて測定した平均粒子径が10.0μm未満、0.5μm(500nm)未満、特には0.2μm(200nm)未満の分散相を連続水相中に有する水中油型エマルジョン化粧料であることが好ましい。平均粒子径が0.5μm未満の水中油型エマルジョン化粧料は半透明から白濁の外観を呈し、経時安定性に特に優れるという利点を有する。
【0135】
水中油型エマルジョンの形態の化粧料は、パドル翼付攪拌機、プロペラ攪拌器、ヘンシェル型攪拌機、TKホモミクサー(特殊機化工業(株))、TKホモディスパー(特殊機化工業(株))等の公知の攪拌装置、混合装置或いは乳化装置を用いて、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマー及び上記の化粧料一般に使用される化粧料原料を所望量の水と混合することにより得ることができる。混合にあたっては既述したような高圧乳化装置やコロイドミル、コロイドミキサーのような高せん断力による乳化装置は必ずしも必要ではないが、小粒径乃至微細な粒径の安定な水中油型エマルジョンを得ることができるのでそのような装置を使用することが好ましい。
【0136】
水中油型エマルジョンの形態の化粧料を製造するには、例えば、まず、分散相を構成する成分を均一に混合して予備混合物を調製する。次に、水及び水相を構成する成分を500〜5000rpm程度の回転速度で攪拌しつつ、前記予備混合物及び本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを任意の順で徐々に添加し、添加後、更に撹拌する。予備混合物に対する水の質量比は任意であるが、0.05/0.95〜0.50/0.50であることが、得られる水中油型エマルジョン化粧料の経時安定性の点から有利である。なお、化粧料の製造量が少ない場合には、例えば、任意の容器中で水及び水相を構成する成分をへら等を用いて人力で攪拌しながら、前記予備混合物及び本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを徐々に添加してもよい。
【0137】
水中油型エマルジョンの形態の本発明の化粧料は、その経時安定性及び使用感に優れるものである。
【0138】
上記の化粧料の用途は特に限定されず、皮膚洗浄剤、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、制汗剤、紫外線防御剤等の皮膚用化粧料;毛髪洗浄剤、整髪料、毛髪着色料、養毛料、ヘアリンス等の毛髪用化粧料;浴用化粧料;香水、オーデコロン等であってよい。本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーを含む化粧料は皮膚用化粧料又は毛髪用化粧料であることが特に好ましい。
【0139】
前記皮膚用化粧料は、頭皮、顔面(口唇、眉目、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位用でもよい。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体全身用石鹸、ハンドソープ、ゲル状石鹸、固形石鹸、フェイシャルリンス、ボディリンス、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、化粧水、保湿液、美容液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション等のスキンケア化粧料;ファンデーション、メークアップベース、白粉、フェースパウダー、リップスティック、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイシャドウ、アイライナー、アイクリーム、眉墨、アイブロー、マスカラ、頬紅、頬化粧料(チークカラー、チークルージュ)、マニキュア、ペディキュア、ネイルカラー、ネイルラッカー、エナメルリムーバー、ネイルポリッシュ等のメイクアップ化粧料;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御剤等が挙げられる。
【0140】
前記毛髪用化粧料としては、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアオイル、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド、ヘアワックス等の整髪料;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料;ヘアトニック、ヘアトリートメント、ヘアパック等の養毛料;コンディショナー、オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス等のヘアリンス、マスカラ等の睫毛化粧料等が挙げられる。
【0141】
また、前記の浴用化粧料としては、バスオイル、バスソルト、フォームバスが挙げられる。
【0142】
上記の化粧料を収納する容器は、特に限定されるものではなく、ジャー、ポンプ、チューブ、ボトル、圧力缶吐出容器、耐圧エアゾール容器、遮光容器、コンパクト容器、金皿、スティック容器、繰り出し容器、噴霧容器、混合液吐出口を備えた仕切り付き容器等が挙げられる。水中油型エマルジョン型の化粧料である場合は、ジャー、ポンプ、ボトル、噴霧容器等が挙げられる。本発明に係るアミノ酸変性オルガノポリシロキサンエマルジョンを用いて製造された水中油型エマルジョン化粧料はその経時安定性に優れるため、透明容器に充填されても安定に保管することができ、外観に優れた製品として店頭販売することが可能である。
【0143】
なお、この他に、本発明のポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーは、離型剤、防曇剤、帯電防止剤、消泡剤、繊維油剤、プラスチック改質剤、艶出し剤、潤滑剤等にも使用することができる。
【実施例】
【0144】
本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0145】
[製造例1]
重合度6.5の両末端SiH基封鎖ポリジメチルシロキサン80グラム(130.1ミリモル)に、白金と1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体触媒を、白金金属量が反応混合物全体の10ppmになるようにして添加し、窒素雰囲気下で90℃に加熱した後ジアリルアミン13.9グラム(143.1ミリモル、Vi(ビニル基)/SiH(ケイ素原子結合水素原子)比:1.1)をゆっくり滴下しつつ90〜140℃で3時間加熱した。反応混合物のIR分析でSiH基の特性吸収が消失したことを確認した後、低沸点物を加熱減圧留去して淡黄色透明液体90.1グラム(収率96%)を得た。図1に示す29SiNMRの分析結果から、α付加とβ付加の比が約30:70である下記構造
【化8】

の繰り返し単位を有するポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーが得られたことが判明した。また、末端のアリルアミノ基はほとんど転移してエチルイミノ基になっていた。図2及び図3に、それぞれ、製造例1で得られたポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーの29SiNMR及びIR吸収の分析結果を示す。
【0146】
また、生成物中のアミノ基をジエチルピロカーボネートでアミド化した後GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)により分子量を測定したところ、Mn(数平均分子量)は6.3×103、分散度(Mw(重量平均分子量)/Mn)は1.57であった。アミノ含有率は2.28%であった。
【0147】
[製造例2〜製造例6]
重合度の異なる両末端SiH基封鎖ポリシロキサンを使用し、Vi/SiHを変更した以外は製造例1と同様にしてポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーを得た。得られたポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーを製造例1と同様に分析した。結果を表1に示す。
【表1】

【0148】
[実施例1]
製造例1で合成したシリコーン部分の繰返し単位重合度が6.5であるポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーの50%エタノール溶液に第2級アミノ基に対して1.15倍モル量のグルコノラクトンを添加し、50〜65℃で7時間加熱撹拌した。低沸点物を加熱減圧留去すると橙色透明な高粘度ポリマーが得られた。収率は98%であった。NMR、IR分析によるとこのコポリマーはポリシロキサン-N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーであった。図4乃至図6に、それぞれ、実施例1で得られたポリシロキサン-N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーの29SiNMR、13C-NMR及びIR吸収の分析結果を示す。
【0149】
[実施例2〜実施例6]
製造例2〜6で得られたポリシロキサン−プロピレンアミノプロピレンマルチブロックコポリマーを用いた以外は実施例1と同様にしてポリシロキサン-N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーを得た。得られたポリシロキサン-N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーを実施例1と同様に分析した。結果を表2に示す。
【表2】

【0150】
[評価1]
実施例4で得られたシリコーン重合度43のポリシロキサン−N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマー0.04グラム、エタノール0.03グラム、デカメチルシクロペンタシロキサン20gグラム及び水20グラムをホモディスパーを用いて3000回転で10分間撹拌した。得られたエマルジョンの24時間後の分離率は7%であった。
【0151】
これに対し、下記櫛型糖変性シリコーン
【化9】

から得られたエマルジョンの分離率は27%、下記ABA型糖変性シリコーン
【化10】

から得られたエマルジョンの分離率は13%であった。
【0152】
[評価2]
実施例6で得られたシリコーン重合度107のポリシロキサン−N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマー2gグラムとジメチルポリシロキサン( 東レ・ダウコーニング株式会社製のSH 200 C FLUID 6CS)18グラムを混合し、塩化ナトリウム:グリセリン:水=1:5:74(重量比)から成る水相混合物を5グラムずつ添加し、デンタルミキサーで36秒間混合し、全量が100グラムの油中水型エマルジョンを得た。得られた油中水型エマルジョン中の水相粒子の粒子径を、透過型顕微鏡(Nikon製 ECLIPSE 80i型)を用いて目視観察したところ、粒子径は2-5μmであった。
【0153】
一方、ポリシロキサン−N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーの代わりに下記櫛型糖変性シリコーン
【化11】

を用いて、同様の方法で得られた油中水型エマルジョンを得た。得られた油中水型エマルジョン中の水性粒子の粒子径は、透過型顕微鏡(Nikon製 ECLIPSE 80i型)を用いて目視観察したところ、2-20μmであった。
【0154】
[評価3]
実施例3で得られたシリコーン重合度34のポリシロキサン−N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマー2gグラムとジメチルポリシロキサン( 東レ・ダウコーニング株式会社製のSH 200 C FLUID 6CS)18グラムを混合し、塩化ナトリウム:グリセリン:水=1:5:74(重量比)から成る水相混合物を5グラムずつ添加し、デンタルミキサーで36秒間混合し、全量が100グラムの油中水型エマルジョンを得た。得られた油中水型エマルジョン及び50℃で3週間保存したサンプルの粘度を、動的粘弾性試験装置を用いて測定した。測定条件は以下の通りであった。初期サンプル粘度に対する1週間保存後のサンプル粘度の保持率を百分率で求めた。同様に実施例4、実施例5の櫛型糖変性シリコーンの保持率を測定した。
【0155】
サンプルの直径:40mm
サンプル厚:0.3mm
歪:100%
周波数:0.05Hzから80Hz
保持率:(50℃で1週間保存したサンプルの粘度/初期サンプルの粘度)×100(%)
【0156】
一方、ポリシロキサン−N,N−ジプロピレングルコン酸アミドマルチブロックコポリマーの代わりに下記式(1)の櫛型糖変性シリコーン
【化12】

を用いて、同様の方法で得られた油中水型エマルジョンを得た。得られた油中水型エマルジョン及び50℃で3週間保存したサンプルの粘度を、動的粘弾性試験装置を用いて測定し、保持率を百分率で求めた。結果を表3に示す。
【表3】

【0157】
実施例のコポリマーは、安定なエマルジョンを形成することができる。したがって、前記ポリマーは乳化剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
【化1】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
Gは、糖酸残基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を有するポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマー。
【請求項2】
前記Aがメチル基である、請求項1記載のコポリマー。
【請求項3】
前記Bがプロピレン基である、請求項1又は2記載のコポリマー。
【請求項4】
前記単位数が2〜1000である、請求項1乃至3のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項5】
前記Gがアルドノイル基又はウロノイル基である、請求項1乃至4のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項6】
前記アルドノイル基が−CO−(CHOH)l−CHOH(lは1〜10の整数を表す)で表される、請求項5記載のコポリマー。
【請求項7】
前記アルドノイル基が、リボン酸残基、アラビノン酸残基、キシロン酸残基、リキソン酸残基、アロン酸残基、アルトロン酸残基、グルコン酸基、マンノン酸残基、グロン酸残基、イドン酸残基、ガラクトン酸残基又はタロン酸残基である、請求項5又は6記載のコポリマー。
【請求項8】
前記ウロノイル基が、グルクロン酸残基、イズロン酸残基、ガラクツロン酸残基又はマンヌロン酸残基である、請求項5記載のコポリマー。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコポリマーを含む、水性又はエマルジョン組成物。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコポリマーを含む、表面処理剤。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコポリマーを含む、塗料。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコポリマーを含む、化粧料。
【請求項13】
請求項1乃至8のいずれかに記載のコポリマーからなる、界面活性剤。
【請求項14】
下記一般式:
【化2】

(式中、
Aは、それぞれ独立して、脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基を表し、
Bは、それぞれ独立して、二価炭化水素基を表し、
mは1以上1000以下の数を表す)で示される単位を有するポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー及び糖酸又はその分子内脱水環化物を反応させる、ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーの製造方法。
【請求項15】
前記糖酸又はその分子内脱水環化物が前記ポリシロキサン−ヒドロカルビレンアミノヒドロカルビレンマルチブロックコポリマー中の第2級アミノ基と反応する、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
前記Aがメチル基である、請求項14又は15記載の製造方法。
【請求項17】
前記糖酸がアルドン酸又はウロン酸である、請求項14乃至16のいずれかに記載の製造方法。
【請求項18】
前記アルドン酸が、リボン酸、アラビノン酸、キシロン酸、リキソン酸、アロン酸、アルトロン酸、グルコン酸、マンノン酸、グロン酸、イドン酸、ガラクトン酸又はタロン酸である、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
前記ウロン酸が、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸又はマンヌロン酸である、請求項17記載の製造方法。
【請求項20】
前記糖酸の分子内脱水環化物がアルドノラクトン又はウロノラクトンである、請求項14乃至19のいずれかに記載の製造方法。
【請求項21】
前記ポリシロキサン−N,N−ジヒドロカルビレン糖変性マルチブロックコポリマーが下記一般式:
【化3】

(式中、
A、B及びmは、上記のとおりであり、
Gは、糖酸残基を表す)で示される単位を有する、請求項14乃至20のいずれかに記載の製造方法。
【請求項22】
前記単位数が2〜1000である、請求項21記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−136588(P2012−136588A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288650(P2010−288650)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】