説明

ポリシロキサン/ポリウレアおよびシランの水性分散体を含む化粧用組成物、化粧的なトリートメントプロセス、ならびに、そのためのキット

本発明は、ポリシロキサン/ポリウレアコポリマーおよびシランの水性分散体を含む化粧用組成物に関し、ならびに、前記組成物を用いる化粧的なトリートメントプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に非イオン性で水素結合供与体であり、シランと混合されたシリコーンコポリマーの水性分散体を含む化粧用組成物に関し、および、特に髪を化粧的にトリートメントする目的でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
髪のシェーピングは通常、スタイリング剤を用いて繊維表面に皮膜形成ポリマーを塗布して行われる。繊維に対する親和性が良好でスタイリング特性に優れると同時に、化粧的な手触りが心地よく、特に柔軟性が良好で粘着性がないことがこのポリマーにとって重要である。それにもかかわらず、このシェーピングでは、特に経時的な残留性に関していくつかの問題が提起される:具体的には、スタイリングの拘束下でポリマーが脆化する場合があり;水分残留性の問題があり:水で洗ったり界面活性剤が存在したりすると、シェーピングがとれてしまう場合があり;または、「重い」手触りおよび粗いおよび/または不自然な手触りの問題がある。
【0003】
しかも、揮発性有機化合物(VOC)の含有量が少ない組成物がとりわけ求められている。
【0004】
一方、パーマでウェーブを付けるなど、繊維を化学的に処理することで髪のシェーピングがなされることもある。この場合、スタイリング剤によるシェーピングと比較すれば、髪のシェーピングの耐久性は改善される。しかしながら、このような耐久性の向上は通常、髪のタンパク質を密に変性させる化学的な処理によって達成されるものであり、多かれ少なかれ繊維の物理化学的特性、特にその固有の柔軟性、親水性および/または機械的強度の実質的な低下を引き起こしやすい。
【0005】
よって、本発明の目的の1つは、特にシランとポリマー分散液が混合されて存在することにより、長時間維持されて損なわれることのない繊維のシェーピングを達成しつつ、一方では特にシランが存在することによるラテックスデポジット(水性ポリマー分散液)の良好な耐性、特にシャンプー耐性(これは、髪のシェーピングの耐性が良くなることに反映される)を付与するための手段を提案することにある。
【0006】
また、整ったヘアスタイルの自然な見た目を得るとともに、特に櫛通しに対する良好な耐性によって反映される機械的摩耗に対するデポジットの耐性を改善することが望ましい(粒子が見えない)。
【0007】
本出願人らは、驚くべきことに、シランの非イオン性シリコーンコポリマーの水性分散液を化粧組成物において混合して用いると、繊維を劣化させずに残留や耐性を損なうこともない、長時間維持されるシェーピングを得られることを発見した。
【0008】
非イオン性シリコーンポリマーを含む組成物への水の導入が困難となることは周知である。具体的には、シリコーンポリマーが親水性グラフトを持たないおよび/または高濃度の界面活性剤が配合物に導入されていないと、シリコーンの沈殿が生じて、配合を不可能にしてしまう。界面活性剤を高濃度で添加することが常に望ましいとはかぎらない。特に、洗い流さない用途では、除去されない界面活性剤が原因で、デポジットの機械的特性、特に可塑化が変化したり、あるいは、特にヘアケアの分野で重い手触り(脂っぽく、指に付く)の見た目になったりすることがある。
【0009】
シリコーンポリマーの水性分散液を調製することは、従来技術において周知である。
【0010】
よって、文献すなわち米国特許出願公開第2005/137 327号明細書には、最終的に分散液中でポリオルガノシロキサン/ポリ尿素コポリマーを得る目的で、好ましくは界面活性剤を含む酸性の水性溶液にアミン基で終端されたオルガノポリシロキサンを分散させ、ジイソシアネートを加えた後、中性のpHに戻してアミノオルガノポリシロキサンとジイソシアネートとの重縮合を引き起こすべく塩基を加えるプロセスによって、ポリオルガノシロキサン/ポリ尿素の水性分散液を合成することについて記載されている。
【0011】
しかしながら、この手法ではジイソシアネートを取り扱う必要があり、これが毒性の問題を生じる場合がある。また、水との接触時にジイソシアネートが反応して、重合の邪魔になりやすいジアミンが多少なりとも大量に形成されることもある。この現象が重合に影響する場合もあれば、その制御や得られる最終分散液の性質に害がおよぶことすらある。最後に、第一段階で酸を加えた後に第二段階で塩基を加えることは、アルカリ性媒体や酸性媒体中で影響されやすい化合物で問題となりかねない。さらに、このプロセスでは、こうして調製される分散液を後に含むことになる組成物に害をおよぼす場合もある塩が形成される。
【0012】
フランス特許第2 708 199号明細書には、アニオン性またはカチオン性ポリウレタン/ポリ尿素の水性分散液の合成について記載されている。ここに記載のプロセスによれば、十分に多量のイオン基を導入して、ポリマーが水に分散できるようにする必要がある。
【0013】
ここで、イオン単位の含有量が過剰であると、ポリマーの耐水性が落ちる可能性があることが見出されている。また、かぎられた数のアニオン単位またはカチオン単位しか合成時に導入できず、それがゆえにポリウレタンまたはポリ尿素の化学的な多様性にも限界が生じる。さらに、このプロセスで調製されるポリマーの安定性が配合物のpHに左右され、それによってその配合物の範囲が制限されることもある。
【0014】
これらの文献では、ポリマー分散液が通常、所望の溶媒中で直接、あるいは別の溶媒中で合成されるモノマーを用いて調製され、後者の場合は合成後に溶媒を変えるステップを実施することがわかる。
【0015】
本発明においては、シリコーンコポリマーの水性分散体は、既に形成されたポリマーから調製される。本発明の文脈において用いられるプロセスは、一般にこのような水性ポリマー分散体に対する適合性に劣る化合物であるシランの、分散体を含む組成物への導入を可能とする。具体的には、これを導入すると、通常は水性媒体中でポリマーが事実上瞬時に沈殿してしまう。
【0016】
よって、本発明の一つの主題は、以下に定義されている式(I)の少なくとも1種類のポリマーと少なくとも1種類のジイソシアネート誘導体との反応から誘導されるポリシロキサン/ポリウレアコポリマーの水性分散体を含む化粧用組成物であり、しかも、前記組成物は、以下に定義されている構造のシランを少なくとも1種類含む。
【0017】
本発明のもう1つの主題は、ケラチン材料、特に身体または顔面の皮膚、唇、爪、髪および/またはまつげ用の特にメイクアップ、手入れ、洗浄、カラーリングまたはシェーピングのための化粧的なトリートメントの方法であって、上記にて定義したような化粧用組成物を前記材料に適用することを含む方法である。
【0018】
本発明のもう1つの主題は、当該化粧用組成物を少なくとも1種類含む、2以上のパートでのキットである。
【0019】
本発明によるシリコーンコポリマー分散液が、大量の水を含有可能であり、これによって親水性化合物を組成物に容易に導入できることが見出された。これらの親水性化合物は、新規な化粧特性を提供するという観点で好都合であると判明するかもしれない。
【0020】
さらに、デポジットの点で、これらの分散液を含む組成物で得られる特性は、従来技術のものとはまったく異なっている。特に、ヘアケアの分野では、これらの組成物は、手ぐし、マッサージまたは櫛でとくなどの外部からの機械的応力に耐えるコーティングのなされた、特徴的な髪になるようにするものである。
【0021】
さらに、本発明による組成物では、エタノールなどのVOCタイプ、あるいはアルカンまたはイソドデカンなどのタイプ、たとえば、あるいはD5またはD6などのシリコーンタイプの大量の溶媒を使用する必要がない。これによって、配合物の自由度を大きくできる。
【0022】
本発明の文脈で用いられるシリコーンコポリマーは、水素結合供与体である非イオン性シリコーンである。これらは、特に特許出願である米国特許出願公開第2005/137 327号明細書に記載されている。
【0023】
これらは特に、
−不安定水素(特に、OH、SH、NHまたはNHRであり、R=C1〜C20アルキル、C3〜C40シクロアルキルまたはC6〜C30芳香族である)を含有する少なくとも1つの反応性官能基を末端に有する、式(I)で表される少なくとも1種類のポリマーと、
−少なくとも1つのジイソシアネートベースの単位と、
の反応に由来するものであってもよい。
【0024】
任意に、不安定水素を含有する少なくとも2つの反応性官能基を有する、少なくとも1つの別の非イオン性単位を反応させることも可能である。
【0025】
不安定水素を含有する反応性単位を末端に有する式(I)のポリマーは、式

で表され、式中、
−ラジカルR1は、同一であっても異なっていてもよく、(i)未置換であってもヘテロ原子(特に、O、N、SまたはP)で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖で一価のC1〜C20の炭化水素ベースのラジカルと、(ii)C6〜C30芳香族ラジカルと、から選択され、
−Yは、同一であっても異なっていてもよく、不安定水素(特に、OH、SH、NHまたはNHRであり、R=C1〜C20アルキル、C3〜C40シクロアルキルまたはC6〜C30芳香族である)を含有する少なくとも1つの反応性官能基を含むC1〜C20脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素ベースのラジカルを示し、
−nは、ポリシロキサンセグメントの平均分子量が300〜10000g/mol、好ましくは500〜8000g/molになるような整数である。
【0026】
本発明の文脈で用いるのに適したラジカルR1として、特に、C1〜C20アルキルラジカル、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルラジカル;C3〜C7シクロアルキルラジカル、特に、シクロヘキシルラジカル;アリールラジカル、特にフェニルおよびナフチル;アリールアルキルラジカル、特にベンジルおよびフェニルエチルならびに、トリルおよびキシリルラジカルがあげられる。
【0027】
好ましくは、Yが式−(CH−のアルキレンラジカルから選択され、式中、aは1〜10の整数を示す。これらのラジカルが、特に鎖の端に存在する不安定水素を含有する少なくとも1つの反応性官能基で置換されることは、理解できよう。
【0028】
優先的に選択されるシリコーンは、式

で表されるものであり、nは平均分子量(Mw)が300〜10000g/molのようなものである。
【0029】
任意に、特にポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリペプチドから選択される、不安定水素を含有する反応性末端基を有する1つ以上の他のポリマーを反応させることも可能である。
【0030】
当然ながら、式(I)で表される異なるポリマー同士の混合物を反応させてもよい。
【0031】
ジイソシアネートは一般式(II):OCN−R−NCOで表され、
式中、Rは、直鎖、分枝鎖および/または環状で、飽和または不飽和、あるいはさらには芳香族である、二価のC1〜20アルキレン基であり、未置換であっても1つ以上のヘテロ原子(特に、O、N、SまたはP)で置換されていてもよい。
【0032】
特に、Rは式

で表されるラジカルから選択され、
式中、bは0〜3の整数であり、cは1〜20の整数である。
【0033】
ジイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネート、ヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートから優先的に選択されることになる。言うまでもなく、これらのジイソシアネートは、単独で用いてもよいし、2種類以上のジイソシアネートの混合物の形で用いてもよいものである。
【0034】
別の非イオン性単位を、式(III):X−R’−Xで表すことができ、
−Xは、同一であっても異なっていてもよく、不安定水素(特にOH、SH、NHまたはNHRであり、R=C1〜C20アルキル、C3〜C40シクロアルキルまたはC6〜C30芳香族である)を含有する反応性官能基であり、
−R’は、直鎖、分枝鎖および/または環状で、飽和または不飽和で二価のC1〜20アルキレン基であり、未置換であっても1つ以上のヘテロ原子(特に、O、N、SまたはP)で置換されていてもよい。
【0035】
特に、プロパンジオール(1,2−または1,3−)、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオールがあげられる。
【0036】
本発明によれば、コポリマーは非イオン性ポリシロキサン/ポリ尿素コポリマーであるすなわち、イオン化された基またはイオン化可能な基を含有しない。
【0037】
好ましくは、これはブロックコポリマーである。本発明の文脈において、「ブロックコポリマー」という用語は、コポリマーの骨格で当該コポリマーを構成する各々のポリマーとは異なる少なくとも2つのブロックから形成されるコポリマーを意味する。たとえば、本発明のコポリマーは、コポリマー骨格に、少なくとも1つのシロキサンブロックと、少なくとも1つのポリ尿素ブロックとを含有する。
【0038】
上述したように、本発明のコポリマーは、ポリシロキサン/ポリ尿素に加えて、異なる単位の他のブロックを含むものであってもよい。特に、ポリシロキサン/ポリ尿素/ポリウレタンブロックターポリマーがあげられる。
【0039】
特定の一実施形態によれば、コポリマーは、5%を超えるポリシロキサン重量を含有する。
【0040】
特定の一実施形態によれば、コポリマーではポリシロキサンの量が優勢であり、好ましくはコポリマーの総重量に対して90重量%を超える。
【0041】
一変形例によれば、コポリマーは1つ以上のシロキサンブロックと1つ以上のポリ尿素ブロックとだけを含有する。
【0042】
本発明によれば、コポリマーは、一般式(IV)

に対応するものであってもよく、
式中、
−Rは、必要に応じてフッ素または塩素で置換され、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素ベースのラジカルを示し、
−Xは、1〜20個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを示し、隣り合わないメチレン単位が−O−ラジカルで置換されていてもよく、
−Aは、酸素原子またはアミノラジカル−NR’−を示し、
−Zは、酸素原子またはアミノラジカル−NR’−を示し、
−R’は、水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルラジカルを示し、
−Yは、必要に応じてフッ素または塩素で置換され、1〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素ベースのラジカルを示し、
−Dは、必要に応じて、フッ素、塩素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルエステルで置換され、1〜700個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを示し、隣り合わないメチレン単位が、−O−、−C(O)O−、−OC(O)−または−OC(O)O−ラジカルで置換されていてもよく、
−nは、1〜2000の範囲の数であり、
−aは、少なくとも1に等しい数であり、
−bは、0〜40の範囲の数であり、
−cは、0〜30の範囲の数であり、
−dは、0より大きい数であり、
ただし、Aは少なくとも1つの単位(a)においてNHラジカルを示す。
【0043】
好ましくは、Rが、一価のC1〜C6炭化水素ベースのラジカル、たとえばメチル、エチル、ビニルおよびフェニルを示す。特定の一実施形態によれば、Rは未置換のアルキルラジカルである。
【0044】
好ましくは、XがC2〜C10アルキレンラジカルを示す。好ましくは、アルキレンラジカルXが中断されていない。
【0045】
特定の一実施形態によれば、すべての単位(b)および(c)における基Aが、存在する場合、NHを示す。
【0046】
特に好ましい一実施形態によれば、基AがいずれもNHラジカルを示す。
【0047】
好ましくは、Zが、酸素原子またはNHラジカルを示す。
【0048】
好ましくは、Yが、C3〜C13炭化水素ベースのラジカルを示し、これは好ましくは未置換である。好ましくは、Yが直鎖または環状アラルキレンまたはアルキレンラジカルを示す。
【0049】
好ましくは、Dが、少なくとも2個、特に少なくとも4個の炭素原子を有し、12個以下の炭素原子を含むアルキレンラジカルを示す。
【0050】
また、好ましくは、Dが、ポリオキシアルキレンラジカル、特に少なくとも20個、特に少なくとも100個の炭素原子を有し、600個以下、特に200個以下の炭素原子を有するポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンラジカルを示す。
【0051】
好ましくは、ラジカルDが未置換である。
【0052】
好ましくは、nが、少なくとも3、特に少なくとも25、好ましくは800以下、特に400以下、特に好ましくは250以下に等しい数を示す。
【0053】
好ましくは、aが、50を超える数を示す。
【0054】
bが0以外である場合、bは、好ましくは50以下、特に25以下の数を示す。
【0055】
好ましくは、cが、10以下、特に5以下の数を示す。
【0056】
本発明のコポリマーは、特許出願である米国特許出願公開第2004/0 254 325号明細書または特許出願である国際公開第03/014 194号パンフレットに記載された重合プロセスによって得られるものである。
【0057】
このように、コポリマーは、次のような2ステップからなる方法で得られる。
【0058】
−第1のステップでは、式(2)または(2’)のシラザンすなわち、

(Wは、水素原子、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する置換または未置換の炭化水素ベースのラジカルまたはラジカルRSi−X−NHを示す)を、一般式(3)
(HO)(RSiO)n−1[H] (3)
のオルガノケイ素化合物と反応させ、一般式(4)
N−X−[SiRO]SiR−X−NH (4)
のアミノアルキルポリジオルガノシロキサンを得て、
−第2のステップで、一般式(4)のアミノアルキルポリジオルガノシロキサンを、一般式(5)
OCN−Y−NCO (5)
のジイソシアネートと重合させる。
【0059】
通常、第1のステップでは、一般式(2)または(2’)のシラザンと、等モル比でシラノール基を含有する試薬とを使用する。
【0060】
一般式(4)の、ビスアミノアルキル末端基を含有する極めて純度の高いシリコーンを調製するために、一般式(2)または(2’)のシラザン化合物(後に、少量の水を加えるなどの別の単純なプロセスステップでこれを除去してもよい)を少し余分に使用すると好ましい。
【0061】
bが少なくとも1である場合、第2のステップにおいて、使用する全成分に対して最大95重量%の鎖延長剤(ジアミン、イソシアネートでブロックされたヒドロキシ化合物、ジヒドロキシ化合物またはこれらの混合物から選択される)を使用してもよい。
【0062】
好ましくは、鎖延長剤が一般式(6):HZ−D−ZH (6)で表され、式中、DおよびZは上記の意味を有する。ZがOの意味を持つ場合、第2のステップでの一般式(5)のジイソシアネートとの反応の前に一般式(6)の鎖延長剤を反応させてもよい。必要に応じて、鎖延長剤として水を使用してもよい。
【0063】
使用される一般式(5)のジイソシアネートの例として、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、4,4’−メチレンジシクロヘキシルジイソシアネートなどの脂肪族化合物あるいは、たとえば4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,5−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネートなどの芳香族化合物、あるいはこれらのイソシアネートの混合物があげられる。市販の化合物の一例に、ドイツのBayer AG社によるDesmodur(登録商標)シリーズ(H、I、M、TまたはW)のジイソシアネートがある。UV安定性が改善された材料が得られることから、Yがアルキレンラジカルである脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
【0064】
一般式(6)のα,ω−OH末端基を有するアルキレンは、好ましくはポリアルキレンまたはポリオキシアルキレンである。これらは、好ましくは本質的に、一官能性または三官能性のポリオキシアルキレンまたはそれよりも官能性が高いポリオキシアルキレンの汚染物を含まない。ここでは、ポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンジオール、ポリエステルポリオールまたはポリカプロラクトンジオール、さらには、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)−エチレンコポリマー、ポリ(塩化ビニル)コポリマーまたはポリイソブチルジオールを主成分とする、α,ω−OH末端基を有するポリアルキレンを使用してもよい。好ましくはポリオキシアルキル、特に好ましくはポリプロピレングリコールを使用する。このような化合物は、ことさらポリウレタンフォーム用ならびにコーティングとして使用する目的で、分子量Mn最大10000の塩基材料として市販されている。例として、ドイツのBayer AG社によるポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールであるBaycoll(登録商標)あるいは、米国Lyondell Inc.によるポリエーテルポリオールであるAcclaim(登録商標)があげられる。α,ω−アルキレンジオールモノマー、たとえばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールまたはヘキサンジオールも使用できる。さらに、本発明の目的で、「ジヒドロキシル化された化合物」という用語は、たとえば、Goldschmidt社によって名称Tegomer H−Si 2111、2311および2711で販売されているものなどのビスヒドロキシアルキルシリコーンも意味する。
【0065】
一般式(I)で上述したコポリマーの調製は、連続またはバッチモードで、溶液中で実施すればよいが固体形態でも実施できる。
【0066】
ウレタンまたは尿素セグメントの量が多い場合、ジメチルアセトアミドなどの溶解パラメータの大きい溶媒を選択する。THFを使用してもよい。特定の一実施形態によれば、溶媒を使用せずにコポリマーの合成を実施する。
【0067】
合成については、好ましくは水分が存在しない中で、通常は窒素またはアルゴンである保護ガス下にて実施する。
【0068】
反応については、好ましくは触媒の存在下にて実施する。この調製に適した触媒は、ジブチルスズジラウレートまたはジブチルスズジアセテートなどのジアルキルスズ化合物あるいは、N,N−ジメチルシクロヘキサンアミン、2−ジメチルアミノエタノールまたは4−ジメチルアミノピリジンなどの第3級アミンである。
【0069】
特定の一実施形態によれば、本発明において有用なコポリマーは、ポリウレタンを含有しない。
【0070】
言及できるコポリマーの例として、INCI名がポリ尿素ジメチコンであるジメチルポリシロキサン/尿素コポリマーがあげられる。
【0071】
特に、Wacker社から販売されているBelsil UD−60(Wacker SLM TPSE 60またはGeniomer 60)、Belsil UD−80(Wacker SLM TPSE 80またはGeniomer 80)、Wacker Belsil UD−140(Wacker SLM TPSE 180またはGeniomer 180、Wacker Belsil UD−200(Wacker SLM TPSE 200またはGeniomer 200)などの業務用ポリマーがあげられる。
【0072】
好ましくは、本発明によるコポリマーは、数平均分子量(Mn)が1000〜5000000、特に2000〜1000000、より優先的には2000〜100000g/molである。
【0073】
シランの存在下でのこれらのコポリマーの水性分散体としての使用は、好ましくは以下のステップを含む分散プロセスを必要とし得る:
−1種類以上の化粧油および/または溶媒からなる有機相へのコポリマーの溶解;
−ポリマーを含む前記有機相の1種類以上の界面活性剤の水性相への添加、その後の高速の攪拌での乳化。
【0074】
任意に、ポリマーの溶解に使用する化粧油または溶媒の全部または一部を、真空下での蒸発などの当業者が適切であるとみなす技術で蒸発させて除去してもよい。
【0075】
こうして経時的に安定したシリコーンコポリマーの水性分散液(室温で5日経過後に肉眼で見える相分離がない)が得られる。
【0076】
本発明の文脈で使用できる化粧油または溶媒として、水に不溶で当該コポリマーが可溶になる液体化合物(20〜25℃、1気圧)があげられる。
【0077】
「水に不溶」という表現は、水中での溶解性(25℃、1気圧)が1重量%未満の化合物を示す。
【0078】
「当該コポリマーが可溶になる」という表現は、少なくとも1重量%のポリマーの溶解を可能にする(25℃、1気圧)化合物を示す。
【0079】
好ましくは、1気圧での沸点が150℃未満の少なくとも1種類の溶媒化合物、および/または水との間で共沸混合物を形成可能な溶媒化合物が使用される。
【0080】
特に、以下の化合物があげられるが、いずれも20〜25℃、1気圧で液体である点を理解されたい。
−ヘテロ原子(O、N、PまたはS)を含有してもよい、直鎖または分枝鎖で、飽和または不飽和、任意に環状または芳香族のC5〜C30アルコールまたはポリオール;より具体的には、飽和した直鎖または分枝鎖のC5〜C30アルコールまたはポリオール;あるいはさらには飽和した直鎖または分枝鎖のC5〜C20アルコールまたはポリオール;優先的にモノアルコール;
−モノアルコールまたはポリオールならびに、一酸または多酸のエステル、特に植物油などのトリグリセリドならびに、一般式R3−O−CO−R4のエステルであって、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝鎖、またはさらには環状である、飽和または不飽和で、好ましくはC3〜C30またはさらにはC4〜C20である、アルキル炭化水素ベースのラジカル;特に、R3は、好ましくはC1〜C6またはさらにはC2〜C4アルキルである;特に、R4は、好ましくはC1〜C18またはさらにはC1〜C15アルキルである;
−タイプR3−CO−R4のケトンであって、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝鎖、またはさらには環状である、飽和または不飽和で、好ましくはC3〜C30アルキル炭化水素ベースのラジカル;優先的に、R3およびR4は、直鎖または分枝鎖のC4〜C8アルキルである;
−トルエンなどの芳香族炭化水素;
−直鎖、環状または分枝鎖C5〜C30アルカン;好ましくはC6〜C20、一層よいのがC10〜C16または特にC11〜C13;
−揮発性または不揮発性シリコーン油;特に、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ポリメチルフェニルシロキサンなどのフェニル化ポリオルガノシロキサン(任意にフッ素化されていてもよい);脂肪酸、脂肪族アルコールまたはポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン、フルオロシリコーンおよびパーフルオロシリコーン油があげられる。
【0081】
好ましいシリコーン油のうち、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリオキシアルキレンブロックまたはグラフトを含むシリコーン、特にジメチコンコポリオールなどのポリオキシエチレンまたはコポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)、炭化水素ベースの疎水性基(C〜C30アルキル基など)と、アルキルジメチコンコポリオールなどのポリオキシエチレンまたはコポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ブロックまたはグラフトとの両方を持つシリコーン、パーフルオロアルキルポリジメチルシロキサンおよびパーフルオロアルキルポリメチルフェニルシロキサンなどのフルオロ基またはパーフルオロ基を持つシリコーン、これらの混合物があげられる。これらのシリコーン油は、任意に、そのペンダントまたはシリコーン鎖の末端にアルキルまたはアルコキシ基を含むものであってもよい。
【0082】
また、直鎖または環状シリコーン、特に2〜7個のケイ素原子を含むものがあげられる。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロペンタシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、これらの混合物があげられる。
【0083】
これらの溶媒のうち、エチルアセテート、ブチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、イソプロピルパルミテート、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ヘプタン、デカン、ドデカン、イソドデカン、ウンデカン、トリデカン、シクロテトラメチルシロキサン(D4)、シクロペンタメチルシロキサン(D5)、シクロヘキサメチルシロキサン(D6)、メチルエチルケトン、トルエン;ならびに、これらの混合物を優先的に選択することになる。
【0084】
言うまでもなく、溶媒の混合物を用いてもよい。
【0085】
特定の一実施形態では、直鎖または分枝鎖のC5〜C20アルコールタイプの溶媒を、単独あるいは、C5〜C20アルカン、環状揮発性シリコーン油および/またはC4〜C20エステル(これらは、それ自体も単独であっても混合物としてでもよい)との混合物として使用する。
【0086】
使用できる界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性のものがあげられ、界面活性剤同士の混合物を使用してもよい。
【0087】
好ましくは、界面活性剤は、カチオン性またはアニオン性であり、優先的にカチオン性である。
【0088】
単独または混合物として使用できる以下のアニオン性界面活性剤が挙げられ得る:特に、以下の化合物:アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート;アルキルスルホネート、アルキルホスフェート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート;アルキルスルホアセテート;アシルサルコシン;ならびに、アシルグルタメートの塩、特にナトリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、または、例えばマグネシウムといったアルカリ土類金属の塩が挙げられ得、ここで、これらのすべての化合物のアルキルまたはアシル基は6〜24個の炭素原子を含み、好ましくはアリール基はフェニルまたはベンジル基を示す。また、アルキルグルコシドシトレート、ポリアルキルグリコシドタートレート、ポリアルキルグリコシドスルホスクシネートなどのC〜C24アルキルおよびポリグリコシド−カルボン酸のエステル;アルキルスルホスクシナメート、アシルイセチオネート、N−アシルタウレート、12〜20個の炭素原子を含むこれらの化合物すべてのアルキル基またはアシル基を用いることも可能である。使用できるアニオン性界面活性剤のうち、アシル基が8〜20個の炭素原子を含むアシルラクチレートがあげられる。さらにまた、アルキル−D−ガラクトシドウロン酸およびその塩ならびに、ポリオキシアルキレン化(C〜C24アルキル)エーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C〜C24)アルキル(C〜C24)アリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C〜C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸およびこれらの塩、特に2〜50個のエチレンオキシド基を含むもの、これらの混合物もあげられる。
【0089】
好ましいアニオン性界面活性剤のうち、特にナトリウム、マグネシウムまたはアンモニウムの塩、アルキル硫酸塩;アルキルエーテルスルフェート、たとえばナトリウムラウリルエーテルスルフェート(好ましくは2または3molのエチレンオキシドを含有);アルキルエーテルカルボキシレート;これらの混合物があげられ、アルキル基は通常、6〜24個の炭素原子を含み、好ましくは8〜16個の炭素原子を含む。
【0090】
本発明の文脈において使用できる非イオン性界面活性剤としては、例えば、8〜18個の炭素原子を有する脂肪鎖を持つ、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化またはポリグリセロール化アルコール、α−ジオール、(C〜C20)アルキルフェノールおよび脂肪酸が挙げられ得、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド基は特に2〜50個の範囲であることが可能であり、および、グリセロール基の数は特に2〜30の範囲であることが可能である。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドと脂肪アルコールとの縮合物;好ましくは2〜30molのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド、平均1〜5、特に1.5〜4個のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド;好ましくは2〜30molのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミン;2〜30molのエチレンオキシドを有するソルビタンのエトキシ化脂肪酸エステル;スクロースの脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、(C〜C24)アルキルポリグリコシド、N−(C〜C24)アルキルグルカミン誘導体、(C10〜C14)アルキルアミンオキシドまたはN−(C10〜C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシドなどのアミンオキシド;これらの混合物もあげられる。
【0091】
両性界面活性剤のうち、脂肪族基が8〜22個の炭素原子を有し、たとえばカルボキシレート基、スルホネート基、スルフェート基、ホスフェート基またはホスホネート基などの少なくとも1つの水溶性アニオン性基を有する、直鎖または分枝鎖の鎖である脂肪族第二級または第三級アミン誘導体があげられる;(C〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C〜C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルベタインまたは(C−C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルスルホベタイン;これらの混合物もあげられる。
【0092】
言及できるアミン誘導体には、特許である米国特許第2 528 378号明細書および同第2 781 354号明細書に記載され、CTFA辞書、第3版、1982にて、アンフォカルボキシグリシネートおよびアンフォカルボキシプロピオネートの名で分類された、それぞれ構造(2)および(3)を有する、Miranol(登録商標)の名称で販売されている製品がある。
−CONHCHCH−N(R)(R)(CHCOO−) (2)
式中、
は、加水分解ココナツ油に存在する酸R−COOH由来のアルキル基あるいは、ヘプチル基、ノニル基またはウンデシル基を示し、
は、β−ヒドロキシエチル基を示し、
は、カルボキシメチル基を示し、
2’−CONHCHCH−N(B)(C) (3)
式中、
Bは、−CHCHOX’を示し、
Cは、−(CH−Y’を示し(z=1または2)、
X’は、−CHCH−COOH基または水素原子を示し、
Y’は、−COOHまたは−CH−CHOH−SOH基を示し、
2’は、ココナツ油または加水分解あまに油に存在する酸R−COOHのアルキル基、アルキル基、特にC17基およびそのイソ型、あるいは不飽和C17基。
【0093】
これらの化合物は、CTFA辞書、第5版、1993において、二ナトリウムココアンフォジアセテート、二ナトリウムラウロアンフォジアセテート、二ナトリウムカプリルアンフォジアセテート、二ナトリウムカプリロアンフォジアセテート、二ナトリウムココアンフォジプロピオネート、二ナトリウムラウロアンフォジプロピオネート、二ナトリウムカプリルアンフォジプロピオネート、二ナトリウムカプリロアンフォジプロピオネート、ラウロアンフォジプロピオン酸、ココアンフォジプロピオン酸の名で分類されている。
【0094】
一例として、Rhodia社から商品名Miranol(登録商標) C2M Concentrateで販売されているココアンフォジアセテートがあげられる。
【0095】
好ましくは用いられる両性界面活性剤として、(C〜C20)アルキルベタイン、(C〜C20)アルキルアミド(C〜C)アルキルベタイン、アルキルアンフォジアセテート、これらの混合物がある。
【0096】
カチオン性界面活性剤のうち、以下のものへの言及がなされてよい。
i)少なくとも1つのエステル官能基を含有するアルキルピリジニウム塩、イミダゾリンのアンモニウム塩、ジ第4級アンモニウム塩、アンモニウム塩;
ii)以下の一般式を有する第4級アンモニウム塩:

式中、ラジカルR1〜R4は、同一であっても異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の脂肪族ラジカルあるいは、アリールまたはアルキルアリールなどの芳香族ラジカルを示し;脂肪族ラジカルは、任意にヘテロ原子(O、N、Sまたはハロゲン)を含むものであってもよい。
【0097】
脂肪族ラジカルは、たとえば、1〜30個の炭素原子を有する、C12〜C22アルキル、アルコキシ、C2〜C6ポリオキシアルキレン、アルキルアミド,(C12〜C22)アルキルアミド(C2〜C6)アルキル、(C12〜C22)アルキルアセテート、ヒドロキシアルキルラジカルから選択される。
【0098】
は、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、C2〜C6アルキルスルフェート、アルキル−またはアルキルアリール−スルホネートからなる群から選択されるアニオンである。
【0099】
iii)式

で表されるイミダゾリンの第4級アンモニウム塩
(式中、
−R5は、牛脂またはココナッツの脂肪酸誘導体など、8〜30個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキルラジカルを示し、
−R6は、水素原子、C1〜C4アルキルラジカルあるいは、8〜30個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキルラジカルを示し、
−R7は、C1〜C4アルキルラジカルを示し、
−R8は、水素原子またはC1〜C4アルキルラジカルを示し、
−Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、C2〜C6アルキルスルフェート、アルキルスルホネートまたはアルキルアリールスルホネートからなる群から選択されるアニオンであり、
R5およびR6は、好ましくは、牛脂の脂肪酸誘導体などの12〜21個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルキルラジカルの混合物を示し、R7はメチルを示し、R8は水素を示す)。このような生成物は、たとえば、名称Rewoquat(登録商標) W75、W90、W75PGおよびW75HPGでWitco社から販売されているQuaternium−27(CTFA 1997)またはQuaternium−83(CTFA 1997)である。
iv)式

のジ第4級アンモニウム塩
(式中、
−R9は、約16〜30個の炭素原子を有する脂肪族ラジカルを示し、
−R10、R11、R12、R13、R14は、同一であっても異なっていてもよく、水素ならびに、1〜4個の炭素原子を有するアルキルラジカルから選択され、
−Xは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート、エチルスルフェート、メチルスルフェートからなる群から選択されるアニオンである。このようなジ第4級アンモニウム塩は、特に、プロパン牛脂ジアンモニウムジクロリドを含む。
v)式:

のものなど、少なくとも1つのエステル官能基を有する第4級アンモニウム塩
(式中、
−R15は、C1〜C6アルキルラジカルおよびC1〜C6ヒドロキシアルキルまたはジヒドロキシアルキルラジカルから選択され、
−R16は、ラジカルR19−CO−、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1〜C22炭化水素ベースのラジカルR20、水素原子から選択され、
−R18は、ラジカルR21−CO、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1〜C22炭化水素ベースのラジカルR22、水素原子から選択され、
−R17、R19、R21は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C7〜C21炭化水素ベースのラジカルから選択され、
−r、n、pは、同一であっても異なっていてもよく、2〜6の範囲の整数であり、
−yは、1〜10の範囲の整数であり、
−xおよびzは、同一であっても異なっていてもよく、0〜10の範囲の整数であり、
−Xは、単純たは複雑な有機または鉱物アニオンであり、
ただし、x+y+zの合計が1〜15であり、xが0の場合、R16はR20を示し、zが0の場合、R18がR22を示す)。
【0100】
アルキルラジカルR15は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、特に直鎖である。好ましくは、R15は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルまたはジヒドロキシプロピルラジカルを示し、特にメチルまたはエチルラジカルを示す。
【0101】
好都合なことに、x+y+zの合計が1〜10である。
【0102】
R16が炭化水素ベースのラジカルR20である場合、これは12〜22個の炭素原子を有するものであってもよいし、あるいは1〜3個の炭素原子を有するものであってもよい。
【0103】
R18が炭化水素ベースのラジカルR22である場合、これは好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。
【0104】
好都合なことに、R17、R19、R21は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C11〜C21炭化水素ベースのラジカルから選択され、特に直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C11〜C21アルキルおよびアルケニルラジカルから選択される。
【0105】
好ましくは、xおよびzは、同一であっても異なっていてもよく、0または1に等しい。好都合なことに、yは1に等しい。
【0106】
好ましくは、r、n、pは、同一であっても異なっていてもよく、2または3に等しく、さらに具体的には2に等しい。
【0107】
アニオンXは、好ましくはハライド(クロリド、ブロミドまたはヨージド)またはC1〜C4アルキルスルフェートであり、特にメチルスルフェートである。アニオンXは、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸由来のアニオン(アセテートまたはラクテートなど)あるいは、エステル官能基を有するアンモニウムと相性のよい他のアニオンを示すものであってもよい。
【0108】
界面活性剤は、たとえば、ジアシルオキシエチル−ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチル−ジメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルヒドロキシエチル−ジメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム、これらの混合物の塩(クロリドまたはメチルスルフェート)である。アシルラジカルは、好ましくは14〜18個の炭素原子を有し、特に、植物油、たとえばパーム油またはヒマワリ油由来である。化合物がいくつかのアシルラジカルを含有する場合、これらのラジカルは、同一であっても異なっていてもよい。このような化合物は、たとえば、名称Dehyquart(登録商標)でCognis社から、Stepanquat(登録商標)でStepan社から、Noxamium(登録商標)でCeca社から、Rewoquat(登録商標) WE 18でRewo−Goldschmidt社から販売されている。
【0109】
vi)第4級アンモニウム塩、特にベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメソスルフェート、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、クオタニウム−83、ベヘニルアミドプロピル−2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロリド、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド。
【0110】
本発明によるシリコーンコポリマーの水性分散体には他の成分が存在していてもよい。これらの成分は、例えば、分散体の調製の最中に水性相または有機相に導入されてもよい。
【0111】
よって、単独でまたは混合物として、以下のものが挙げられ得る:親水性または疎水性グラフトを持つカチオン性、アニオン性および/または非イオン性シリコーン;可塑化剤;延展剤またはコアレッサー;脂肪アルコール、脂肪酸、植物ワックスまたは鉱物ワックスなどの固体脂肪物質;特にポリアミンを含むカチオン性ポリマータイプのコンディショニング剤;アニオン性(中性化または非中性化)、カチオン性または非イオン性ポリマー、特にスタイリングポリマー;pH剤、塩基または酸;有機または鉱物顔料または着色剤;サンスクリーン配合物、芳香剤、しゃく解剤、保存料、アミノ酸またはビタミン;増粘剤;シラン。
【0112】
上述したように、本発明によるポリシロキサン/ポリウレアの水性分散体を調製するための方法は、以下のステップを含む:
−i)コポリマーを有機相中に溶解させる工程;
好ましくは、このコポリマーは、有機相中に、2重量%〜60重量%、特に5重量%〜40重量%、または、さらには8重量%〜25重量%の割合で存在する。
−ii)1種類以上の界面活性剤を含む水性相を調製する工程;
好ましくは、界面活性剤は、水性相中に、0.01重量%〜15重量%、特に0.05重量%〜10重量%、または、さらには0.1重量%〜6重量%の割合で存在する。
−iii)有機相と水性相とを一緒に混合し、次いで、特に、高速に攪拌する工程。
好ましくは、界面活性剤は、コポリマーを含む有機相の重量に対して、0.01重量%〜15重量%、特に0.05重量%〜10重量%、または、さらには0.1重量%〜5重量%を表す。
【0113】
コポリマーを含む有機相1部当たり、界面活性剤を含む水性相が、好ましくは、0.5〜50重量部および特に0.8〜20重量部で、特に1〜12重量部、または、さらには2〜8重量部で添加される。
【0114】
好ましくは、乳化は、特にUltra−Turraxタイプの、特にホモジナイザを備える、当業者に周知の任意の手段により、15〜100℃、特に18〜50℃、または、さらには20〜30℃の温度で、50〜30000rpm、および、特に200〜10000rpmの速度で実施される。
【0115】
任意により、減圧下(真空下)での蒸発などの当業者が適切であるとみなす任意の技術によって、有機相のすべてまたはその一部が蒸発されてもよい。
【0116】
よって、最終的には、固体含有量が0.1重量%〜50重量%、特に0.5重量%〜40重量%、または、さらには1重量%〜30重量%、および、より良くは2重量%〜25重量%であり得るポリシロキサン/ポリウレアコポリマーの水性分散体を得ることが可能である。
【0117】
本発明による分散体は、溶媒化合物および/または有機相を含むものであってもよく、これは、前記分散体の0.05重量%〜80重量%、および、特に1重量%〜70重量%を表し得る。この有機相は存在していなくてもよい(0.05%未満であるか、または、さらには0%)。
【0118】
分散体は界面活性剤を含んでいてもよく、これは、前記分散体の0.05重量%〜10重量%、特に0.01重量%〜8重量%、または、さらには0.1重量%〜5重量%を表し得る。これらの界面活性剤は存在していなくてもよい(0.05%未満であるか、または、さらには0%)。
【0119】
本発明による組成物中に存在するポリマーの量は、当然のことながら組成物のタイプと所望の特性に左右される。これは、化粧用組成物の重量に対して、ポリマー固体0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、特に0.5重量%〜10重量%、または、さらには1重量%〜5重量%の範囲をとってもよい。
【0120】
本発明による化粧用組成物は、しかも、構造:

の少なくとも1種類のシランを含む
(式中、
−Xは、C1〜C6アルコキシ基、特にエトキシを示し、
−Yは、C1〜C6アルコキシ基、特にエトキシ;またはC1〜C6アルキル、特にメチルを示し、
−Zは、アミン基NH2またはNHR(R=C1〜C20、特にC1〜C6アルキル、C3〜C40シクロアルキルまたはC6〜C30芳香族)あるいは、ヒドロキシル基、チオール基、アリール基(特にベンジル)(置換または未置換)で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1〜C22炭化水素ベースの鎖であり、Zには、ヘテロ原子(O、SまたはNH)またはカルボニル基(CO)が介在している可能性があり;
−nは、1または2に等しい整数を表す)。
【0121】
言及できる例として、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、o−(メタクリルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、o−(プロパルギルオキシ)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)グルコンアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、o−(ビニルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、これらの混合物があげられる。
【0122】
シランは、ケラチン支持体に対するコポリマーの結合を促進するよう作用するものであってもよい。
【0123】
シランは、単独または混合物として、組成物の重量に対して0.5重量%〜30重量%、特に1重量%〜25重量%、あるいはさらには2重量%〜20重量%の割合で存在してもよい。
【0124】
乳酸、クエン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、塩酸あるいは硫酸、または、これらの混合物などの特に酸性剤といった前記シランの加水分解剤が、シランと併用されて、組成物に添加されてもよい。
【0125】
加水分解剤は、単独または混合物として、好ましくは約10のpHが達成されるよう、組成物の重量に対して、0.01重量%〜20重量%、特に0.5重量%〜10重量%、または、さらには1重量%〜5重量%の割合で存在していてもよい。
【0126】
この加水分解剤は、特に、コポリマーの加水分解フェーズが開始されるよう添加され、これは、その加水分解形態で、すなわち、そのモノマー形態ではなくオリゴマーの形態での導入を可能とすることとなる。
【0127】
本発明による組成物は、局所塗布に従来から用いられているどのような生薬形態であってもよく、特に、水性、アルコールまたは水性−アルコール溶液または懸濁液;油性溶液または懸濁液;ローションまたは美容液タイプの溶液または分散液;脂肪相を水性相(O/W)に分散させるか、逆に(W/O)で得られる乳またはクリームタイプの液体または半液体コンシステンシーのエマルション;水性または無水ジェル、軟膏、この形態で用いられるか、賦形剤に取り込まれるルースまたはコンパクト粉末などの形態あるいは、他の化粧用の形態であればよい。組成物を気化形態またはムースの形態にするために、これらの組成物を特にポンプ式のボトルあるいは、エアロゾル容器に封入してもよい。このような包装形態は、髪のトリートメント目的でスプレーまたはムースを得ることが望ましいときなどに指示される。本発明による組成物は、クリーム、ジェル、エマルション、ローションまたはワックスの形態であってもよい。ラッカーまたはムースを得るために、本発明による組成物をエアロゾルの形で包装する場合、そこには少なくとも1種類の高圧ガスを含む。
【0128】
本発明による組成物は、化粧的に許容可能な媒体すなわち、ケラチン材料、特に顔面または身体の皮膚、唇、髪、まつげ、眉毛、爪と相性のよい媒体を含む。
【0129】
組成物の性質および意図した用途に応じて、化粧的に許容可能な媒体の成分が通常の量で存在してもよく、これは当業者であれば容易に判断できるものであり、各成分について、0.01重量%〜80重量%であればよい。
【0130】
特に、単独または混合物として、以下の成分があげられる。非イオン性、カチオン性、アニオン性または両性界面活性剤;親水性溶媒(アルコール)または疎水性溶媒(アルカン);フェニル化されていてもいなくてもよい、親水性または疎水性グラフトを持つカチオン性、アニオン性または非イオン性シリコーン;たとえばポリオールタイプの可塑化剤;延展剤またはコアレッサー;脂肪アルコール、脂肪酸、植物脂または鉱物油ならびに、植物ワックスまたは鉱物ワックスなどの液体または固体の脂肪物質;ポリアミンを含むカチオン性ポリマーなどのコンディショニング剤;特にアニオン性(中性化または非中性化)、カチオン性または非イオン性である、ポリマー、特にスタイリングポリマー;pH剤(塩基または酸);有機または鉱物顔料または着色料;真珠層、TiO、樹脂、クレーなどのフィラー;サンスクリーン配合物;香料;しゃく解剤;保存料;アミノ酸;ビタミン。
【0131】
本発明による化粧用組成物は、身体または顔面の皮膚、唇、眉毛、まつげ、爪および髪の手入れ、洗浄および/またはメイクアップ用の製品、日焼け止めまたはセルフタンニング製品、身体衛生製品またはヘアケア製品(特に髪の手入れ、洗浄、スタイリング、シェーピングまたはカラーリング用)の形態であってもよい。
【0132】
この組成物には特に、ヘアケアの分野で、特にヘアスタイルを保持または髪をシェーピングする目的あるいは、髪の手入れ、化粧的なトリートメントまたは洗浄目的で、特定の好都合な用途がある。ヘアケア組成物は、好ましくはシャンプー、ヘアコンディショナー、スタイリングまたはケアジェル、ケアローションまたはクリーム、コンディショナー、整髪ローション、ブロー乾燥用ローション、ラッカーまたはスプレーなどのヘアスタイリングおよび固定用組成物;髪再構成用ローション;髪が失われるのを防ぐためのローションまたはジェル、抗寄生虫シャンプー、フケ防止用ローションまたはシャンプー、脂漏症予防治療用シャンプーである。ローションは、組成物を気化形態またはムースの形態で適用するために、さまざまな形態、特に噴霧器、ポンプボトルまたはエアロゾル容器に入れて包装できるものである。
【0133】
また、組成物は、ヘアカラーリング製品、特に酸化染毛剤または直接染毛剤の形態、任意にカラーリングシャンプーの形態;パーマ、軟化組成物または漂白組成物の形態、あるいは染毛、髪の漂白、パーマまたは軟化の前または後あるいは、パーマと軟化作業の2つのステップの間に適用する、洗い流す組成物の形態であってもよい。
【0134】
本発明による組成物は、ケア組成物、特に身体または顔面の皮膚、唇および/または外皮用のモイスチャライザ、特に皮膚を化粧的にトリートメントするためのケア製品、特にこれを保湿し、なめらかにし、脱色、栄養補給、太陽光から保護または特定の化粧的なトリートメントを与えるための形態であってもよい。このため、これはリップケアベース、口紅の固定用ベース、日焼け止めまたは人工日焼け用組成物、フェイシャルケア組成物(日中、夜間、アンチエイジングまたは保湿用組成物);つや消し組成物;皮膚洗浄組成物、たとえばメイク落とし製品あるいは、入浴またはシャワー用ジェル、あるいは洗浄バーまたは石鹸;身体衛生組成物、特にデオドラントまたは制汗製品あるいは、脱毛組成物またはアフターシェーブジェルまたはローションであってもよい。また、身体または顔面の皮膚、唇、まつげ、爪または髪用のメイクアップ製品;特に、ファンデーション、頬紅、メイクアップルージュ、アイシャドー、コンシーラー製品、アイライナ、マスカラ、口紅、リップグロス、リップペンシル;マニキュア、ネイルケア製品;身体の皮膚用の一時的な刺青製品の形態であってもよい。
【0135】
なお特に、本発明による組成物には、ヘアスタイルを保持または髪をシェーピングする上で、あるいは、髪を手入れ、化粧的にトリートメントまたは洗浄する上で、好都合な用途がある。
【0136】
よって、本発明の一主題は、ケラチン材料、特に身体または顔面の皮膚、唇、爪、髪および/またはまつげ用の特にメイクアップ、手入れ、洗浄、カラーリングまたはシェーピングのための化粧的なトリートメントの方法であって、本発明による少なくとも1種類の化合物を含む化粧用組成物を前記材料に適用することを含む方法である。
【0137】
好ましくは、特に髪にしなやかさを与えたり、髪のしなやかさを改善したりする目的で髪をコンディショニングし、もつれをほぐし、なめらかにし、櫛通りをよくして取り扱いやすくするための化粧的なトリートメントの方法である。
【0138】
この組成物を適用後、任意に熱処理ステップを実施してもよい。
【0139】
この組成物は、2以上のパートからなるキットの形であってもよい。
【0140】
これらのパートは、使用時に混合することを想定したものであってもよいし、トリートメント対象となるケラチン基材、特に髪に対して順次適用することを想定したものであってもよい。これらの順次適用するステップは、たとえばタオルを用いるか、あるいはヘアドライヤなどの機器による手作業での乾燥によって中断されてもされなくてもよい。
【0141】
本発明の好ましい一例では、本発明による分散液を含む組成物を洗い流さない方法で使用する。
【0142】
本発明の好ましい一例では、本発明による分散液を含む組成物を、カールアイロン、ウェーブアイロン、クリンプアイロン、ストレートアイロンまたはホットカーラーなどの髪のシェーピング用の加熱機器と併用する。使用する加熱機器の温度は、好ましくは60℃〜200℃である。
【0143】
好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、湿った髪または乾いた髪に適用でき、任意に髪を部分的または全体的に乾燥させるステップが続き、その後、任意にヘアドライヤあるいは、機械的制約と熱とを同時に与えるための道具(ストレート、ウェーブアイロン、クリンプアイロンまたはカールアイロンなど、スチームを使用/未使用)などであってもよい加熱用の道具を適用する。この道具の温度は、好ましくは60℃〜200℃である。
【実施例】
【0144】
本発明について、以下の実施例でさらに詳細に説明する。
【0145】
実施例1
A/分散体の調製
10gのポリシロキサン/ポリウレアコポリマー(Belsil UD−80)を、30gの酢酸エチル、0.5gのシクロペンタジメチルシロキサン(D5)および10gのヘキサノールから形成されている有機相に溶解させる。この混合物を、攪拌(磁気棒)しながら、130gの水性0.1%ナトリウムラウリルエーテルスルフェート溶液に添加する。次いで、この分散体を、Ultra−Turraxブレンダーで13000rpmで15分間攪拌することにより均質化する。こうして不透明な白色の分散体が得られるが、これから、減圧下でのロータリーエバポレータでヘキサノールおよび酢酸エチルを蒸発させる。
【0146】
8.9%のコポリマー、および、また、0.45%のD5、および、0.17%の界面活性剤を含むポリシロキサン/ポリウレアコポリマーの水性分散体(1)が最終的に得られる。
【0147】
界面活性剤およびコポリマーが分散体(1)と同等である以下の分散体(2)〜(10)を同等の様式で調製する。
【0148】

【0149】
B/髪のシランでのプレトリートメント後の2段階での塗布
分散体(1)および(3)〜(10)を、3.75重量%の最終コポリマー濃度が得られるように蒸留水中に希釈する。分散体(2)は希釈せずに用いる。
【0150】
これらは、以下の配合物:乳酸でpH10に調整した濃縮水溶液(0.3%ヒドロキシエチルセルロース)中のアミノプロピルトリエトキシシラン(10%活性物質)での髪のプレトリートメント後に髪に塗布する。プレトリートメントは、2.7gの髪に対して1gの配合物で実施する。洗い流す時間はなく、塗布後、髪をドライヤで乾かす。
【0151】
これらの条件下で、配合物(1)〜(10)の残留性は、4回のシャンプー洗浄から6回のシャンプー洗浄に増加し、同時に、化粧品の品質の良好性および手触りが維持される。
【0152】

【0153】
実施例2
A/分散体の調製
ポリシロキサン/ポリウレアコポリマー(Belsil UD80)をヘキサノール中に溶解させる。この溶液を、水中に希釈したカチオン性界面活性剤(セチルトリメチル塩化アンモニウム)の水溶液に添加すると共に、Ultra−Turraxブレンダーで13000rpmで攪拌する。この混合物を30分間均質化し、次いで、ヘキサノールをロータリーエバポレータで除去する。これにより、不透明な白色の水性分散体を得、その組成が以下に示されている。
【0154】

【0155】
2/アミノシランの添加
以下を含むアミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)の水溶液を調製する。
−APTES 50重量%
−乳酸 適量pH10
−脱イオン水 適量100%
【0156】
APTESの水溶液を、攪拌しながら上記で調製した分散体に添加し、脱イオン水で希釈度を調整する。
【0157】
以下の配合物が最終的に得られる(重量%):
【0158】

【0159】
3/髪のシェーピングへの効果の実証
処方物1gを、ひとふさの天然髪2.7gに塗布する。乾燥後、カールアイロンなどの加熱用の道具を用いて、サーモスタットを140〜180℃の温度に設定して30秒間適用し、シェーピングを実施する。冷却後、ふさを周囲環境に吊す。形状のセットとその経時的な保持状態をT0と6回のシャンプー洗浄後に評価する。
【0160】
シャンプーに対するコーティングの耐性を以下のようにして評価する。Garnier製Ultra Douxシャンプー1gを、あらかじめ湿らせておいたふさに塗布する。ふさを根本から先端まで10回マッサージする。次に、ふさを水で10秒間すすぐ。この作業を6回連続して繰り返す。乾燥後、再度アイロンを適用し、形状を評価できるように、ふさを再び吊す。
【0161】
比較配合物においては、50%APTES溶液が脱イオン水と置き換えられる。
【0162】
分散体(11)〜(13)中へのアミノシランの添加は、時間が経過しても十分に保持されるしっかりとした形状が得られ;この効果は、6回のシャンプー洗浄後にもより残留性であることに注目されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i):
−a)不安定水素を含有する少なくとも1つの反応性官能基を末端に持つ、式(I)で表される少なくとも1種類のポリマー

(式中、
−ラジカルR1は、同一または異なり、(i)未置換であってもヘテロ原子で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖で一価のC1〜C20の炭化水素ベースのラジカルと、(ii)C6〜C30芳香族ラジカルと、から選択され、
−Yは、同一であっても異なっていてもよく、不安定水素を含有する少なくとも1つの反応性官能基を含むC1〜C20脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素ベースのラジカルを示し、
−nは、ポリシロキサンセグメントの平均分子量が300〜10000g/molになるような整数である);と、
−b)少なくとも1つのジイソシアネートベースのユニットと、
の反応から得られるポリシロキサン/ポリウレアコポリマーの水性分散体、
および
(ii)シラン構造

(式中、
−Xは、C1〜C6アルコキシ基を示し、
−Yは、C1〜C6アルコキシまたはC1〜C6アルキル基であり、
−Zは、アミン基NHまたはNHR(R=C1〜C20アルキル、C3〜C40シクロアルキルまたはC6〜C30芳香族)あるいは、ヒドロキシル基、チオール基、あるいは置換または未置換のアリール基で置換されていてもよい、直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和C1〜C22炭化水素ベースの鎖であり、Zには、ヘテロ原子またはカルボニル基(CO)が介在している可能性があり;
−nは、1または2に等しい整数を表す)
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記コポリマーが、不安定水素を含有する少なくとも2つの反応性官能基を持つ少なくとも1つの別の非イオン性単位も含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記コポリマーがブロックコポリマーである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが、一般式(IV)

(式中、
−Rは、必要に応じてフッ素または塩素で置換され、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素ベースのラジカルを示し、
−Xは、1〜20個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを示し、隣り合わないメチレン単位が−O−ラジカルで置換されていてもよく、
−Aは、酸素原子またはアミノラジカル−NR’−を示し、
−Zは、酸素原子またはアミノラジカル−NR’−を示し、
−R’は、水素または1〜10個の炭素原子を有するアルキルラジカルを示し、
−Yは、必要に応じてフッ素または塩素で置換され、1〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素ベースのラジカルを示し、
−Dは、必要に応じて、フッ素、塩素、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルキルエステルで置換され、1〜700個の炭素原子を有するアルキレンラジカルを示し、隣り合わないメチレン単位が、−O−、−C(O)O−、−OC(O)−または−OC(O)O−ラジカルで置換されていてもよく、
−nは、1〜2000の範囲の数であり、
−aは、少なくとも1に等しい数であり、
−bは、0〜40の範囲の数であり、
−cは、0〜30の範囲の数であり、
−dは、0より大きい数であり、
ただし、Aは少なくとも1つの前記単位(a)においてNHラジカルを示す)で表されるものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
分散体が、以下の:
−前記コポリマーを有機相に溶解させるステップと;
−1種類以上の界面活性剤を含む水性相を調製するステップと、
−前記有機相と水性相とを混合した後、乳化するステップと
を含む分散プロセスによって得られ得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機相が、水に不溶かつ前記コポリマーが可溶になる液体化合物(20〜25℃、1気圧で)を含み、前記化合物は、以下の化合物:
−ヘテロ原子を含有してもよい、直鎖または分岐鎖で、飽和または不飽和、任意に環状または芳香族のC5〜C30アルコールまたはポリオール;
−モノアルコールまたはポリオールのエステル、一酸または多酸のエステル、特に、植物油などのトリグリセリド、および、一般式R3−O−CO−R4のエステル(式中、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分岐鎖であるか、または、さらには環状、飽和または不飽和であるC3〜C30炭化水素ベースのラジカルである);
−タイプR3−CO−R4のケトン(式中、R3およびR4は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖または分岐鎖であるか、または、さらには環状、飽和または不飽和であるC3〜C30炭化水素ベースのラジカルである);
芳香族炭化水素;
直鎖、環状または分岐鎖のC5〜C30アルカン;
−特に、任意にフッ素化されていてもよい、フェニルトリメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルメチルジメチルトリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコンおよびポリメチルフェニルシロキサンなどのフェニルポリオルガノシロキサン、ポリジメチルシロキサン(PDMS);脂肪酸、脂肪アルコールまたはポリオキシアルキレンで変性されたポリシロキサン;フルオロシリコーンおよびパーフルオロシリコーン油が挙げられ得る、揮発性または非揮発性のシリコーン油;
から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、カチオン性界面活性剤から選択される、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
コポリマーの前記量が、前記化粧用組成物の前記重量に対して、ポリマー固体0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、特に0.5重量%〜10重量%、または、さらには1重量%〜5重量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記シランが、N−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、ビス(メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]尿素、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、ヒドロメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、o−(メタクリルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、N−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、o−(プロパルギルオキシ)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−グルコンアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4−ヒドロキシブチルアミド、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、N−(トリエトキシシリルプロピル)−O−ポリエチレンオキシドウレタン、ウレイドプロピルトリエトキシシランおよびo−(ビニルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、ならびに、これらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記シランが、単独で、または、混合物として、前記組成物の前記重量に対して、0.5重量%〜30重量%、特に1重量%〜25重量%、あるいは、さらには2重量%〜20重量%の割合で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
特に、乳酸、クエン酸、ピルビン酸、リンゴ酸、塩酸あるいは硫酸、または、これらの混合物から選択される前記シランの加水分解剤も含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記加水分解剤が、単独で、または、混合物として、前記組成物の前記重量に対して、0.1重量%〜20重量%、特に0.5重量%〜10重量%、または、さらには1重量%〜5重量%の割合で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
身体または顔面の皮膚、唇、眉毛、まつげ、爪および髪の手入れ、洗浄および/またはメイクアップ用製品、日焼け止めまたはセルフタンニング製品、身体衛生製品またはヘアケア製品(特に前記髪の手入れ、洗浄、スタイリング、シェーピングまたはカラーリング用)の形態である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン材料、特に身体または顔面の皮膚、唇、爪、髪および/またはまつげ用の特にメイクアップ、手入れ、洗浄、カラーリングまたはシェーピングのための化粧的なトリートメントの方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に規定したような化粧用組成物を前記材料に適用することを含む方法。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に規定したような化粧用組成物を少なくとも1種類含む、2以上のパートからなるキット。

【公表番号】特表2012−516313(P2012−516313A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546927(P2011−546927)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050149
【国際公開番号】WO2010/086568
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】