説明

ポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体

【課題】機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体の提供。
【解決手段】ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。前記樹脂分散部は、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されていることが好ましく、またはポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができるポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、発泡用ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、それを用いて得られるポリスチレン系樹脂予備発泡粒子及びポリスチレン系樹脂発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包材や緩衝材として使用される発泡成形体には、弾性や柔軟性に優れていることが求められる。とりわけ、精密機器等の梱包に使用される発泡成形体には、優れた耐衝撃性が要求されている。このような梱包材や緩衝材には、従来よりポリスチレン系樹脂の発泡成形体が用いられているが、このポリスチレン系樹脂発泡成形体は、柔軟性に乏しく、衝撃により破壊され易いことから、使用範囲が限定されるという問題があった。
【0003】
一方、前記の問題を解決するべく、ポリスチレン系樹脂にブタジエンゴム等の弾性体を配合したハイインパクトポリスチレン(以下、HIPSと略記する。)を用いた発泡成形体が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
特許文献1(特公昭47−17465号公報)には、弾性体としてスチレンとブタジエンとのブロック共重合体を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造方法が開示されている。
また、特許文献2(特公昭47−18428号公報)には、弾性体としてのブタジエンを所定量含有した、軟化温度が100℃以上のポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。
また、特許文献3(特開昭56−67344号公報)には、非配向性のゴム粒子を弾性体として配合したポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体が開示されている。
【0004】
しかし、前記特許文献1〜3に開示された従来の発泡成形体は、いずれも耐衝撃性が実用上不十分であるという問題がある。この他にも、スチレンとブタジエンとのブロック共重合体を用いた場合は、当該共重合体が高価であるために工業的に不利になったり、非配向性のゴム粒子を用いた場合は、当該ゴム粒子が変形しにくいことに起因して発泡剤の保持性が不十分になったり、さらには特許文献3に開示された発泡性重合体組成物のように、予備発泡粒子内部の気泡が均一化するまでの熟成期間が長く、予備発泡した状態で長期間保管を必要とする、といった問題もある。
【0005】
さらに、特許文献4(特開平3−182529号公報)には、水素添加されたスチレン−ブタジエンブロック共重合体をHIPSに混合した組成物からなる発泡成形体が開示されている。この発泡成形体の耐衝撃性は、前述した従来の発泡成形体に比べて向上しているものの、依然実用上不十分なレベルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭47−17465号公報
【特許文献2】特公昭47−18428号公報
【特許文献3】特開昭56−67344号公報
【特許文献4】特開平3−182529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本来HIPSは、ポリスチレン樹脂の耐衝撃性を向上させたものであるにもかかわらず、前記従来技術に開示されたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、その耐衝撃性が実用上不十分なレベルであるのは、HIPS樹脂を使用して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造した場合、配合したブタジエンゴム等の弾性体が発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層部と中心部とに均一に存在する。このため該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱し予備発泡して得られた予備発泡粒子は、表層部の気泡膜が弾性体により破れ易くなり、その予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱し型内発泡成形して発泡成形体を製造する際に、成形時の予備発泡粒子間の結合が低下することが原因であると推測される。
【0008】
そこで本発明の目的は、前記の課題を解決し、耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができ、かつ成形性が良好な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、及びその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するため、本発明は、ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなるポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡用ポリスチレン系樹脂組成物を提供する。
また、前記課題を達成するため、本発明は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
【0010】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、及び発泡用ポリスチレン系樹脂粒子において、前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲であることが好ましい。
【0011】
また、前記課題を達成するため、本発明は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供する。
【0012】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されていることが好ましい。
【0013】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造であることが好ましい。
【0014】
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)であり、且つ(A)が0.10以下である関係を満たすことが好ましい。
【0015】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は1〜500nmの範囲であることが好ましい。
【0016】
また本発明は、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られたポリスチレン系予備発泡粒子を提供する。
【0017】
また本発明は、前記ポリスチレン系予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供する。
【0018】
また本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程を行って前記発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
また本発明は、
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡用ポリスチレン系樹脂粒子内にポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を有するものなので、該発泡用ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とし、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡し、さらに得られた予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱し型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子内にポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を有するものなので、該発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡し、さらに得られた予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱し型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、耐衝撃性に優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されている構造、或いはポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造としたことによって、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表層部にはポリアクリル酸エステル微粒子が少なく、粒子内部にポリアクリル酸エステル微粒子が含まれる分布構造となり、型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、発泡粒子同士の融着度合を高く保ったままで耐衝撃性を向上させることができるため、機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
また、本発明の製造方法によれば、前述したように機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造可能な発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を効率よく、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面の吸光度測定位置を示す概略図である。
【図2】ATR法赤外分光分析による発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の測定において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部の吸光度測定位置を示す概略図である。
【図3】実施例1で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層部の電子顕微鏡画像である。
【図4】実施例1で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部の電子顕微鏡画像である。
【図5】実施例6で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部の電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、次いで、該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程とを行って発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴としている。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法としては、ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル系単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、次いで、該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させる工程とを行って発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴としている。
【0022】
本発明の製造方法において、ポリスチレン系樹脂種粒子(以下、種粒子と略記する)の材料であるポリスチレン系樹脂としては、スチレン又はスチレン誘導体の単独または共重合体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。更に、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレン系モノマー成分を主成分とすれば、前記スチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーを併用した共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性モノマー;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、多官能性モノマーが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、nが4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。なお、前記スチレンと共重合可能なモノマーは単独で用いられても併用されてもよい。
【0023】
また、種粒子は一部、または全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができる。更に種粒子の粒径は、作製する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径が1.0mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を作製する場合には平均粒子径が0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
【0024】
本発明の製造方法において、第1重合工程に使用するアクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル等が挙げられ、これらの中でもアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシルが好ましい。
【0025】
第1重合工程に用いられるアクリル酸エステル系単量体の量は、種粒子100質量部に対して、30.0〜90.0質量部の範囲とする。30.0質量部未満の場合は、得られるポリスチレン系樹脂泡成形体の耐衝撃性向上効果が十分に得られなくなり、90.0質量部を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子からの発泡剤の逸散が速くなり、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の使用可能期間が短くなるので好ましくない。
【0026】
本発明の製造方法において、第2重合工程に使用するスチレン系単量体としては、スチレン、またはスチレン誘導体が挙げられる。ここで、スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられるが、これらの中でもスチレンが好ましい。
【0027】
また、本発明の第2重合工程においては、スチレン系単量体の添加時期を第1重合工程で生成する種粒子の重合転化率で制御する。詳しくは第1重合工程で生成した種粒子の重合転化率が85〜95質量%の範囲にあるときに、第2重合工程で使用するスチレン系単量体を反応系に添加、種粒子に吸収、重合させることを特徴としている。ここで、重合転化率は、第1重合工程で種粒子中に含浸されたアクリル酸エステル系単量体がポリアクリル酸エステルに転化された比率を言う(測定方法の詳細は後述する。)
【0028】
重合転化率が85質量%未満では、型内発泡成形して得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観が劣り、良品を得るためには成形時の水蒸気圧力を高くしなければならず、使用エネルギーが増加してしまう。一方、重合転化率が95質量%を超えると、予備発泡時に粒子間の結合が多くなり、生産性が低下する問題がある。
【0029】
本発明において発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に含有させる発泡剤は、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えばイソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の揮発性発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられ、ブタン系発泡剤が好ましい。
【0030】
更に、前記発泡剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から低密度のポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないと共に型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観性が低下し、又、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下するので、2.5〜5.0質量%の範囲とされ、2.7〜4.8質量%の範囲が好ましい。
【0031】
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をクロマトグラフにて測定することができる。
【0032】
また、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、発泡剤と共に発泡助剤を含有させることができる。この発泡助剤としては、従来から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に用いられている発泡助剤であれば、特に限定されずに使用でき、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の一気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。
【0033】
そして、前記低密度発泡成形用発泡助剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、ポリスチレン系樹脂の可塑化効果が発現せず、又、多いと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体に収縮や溶けが発生して外観性が低下したり或いは発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いたポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなるので、1.0〜2.5質量%に限定され、1.2〜2.2質量%が好ましい。
【0034】
なお、前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡助剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させると共に内部標準液としてシクロペンタノールを加えてガスクロマトグラフにて測定することができる。
【0035】
更に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、加熱発泡時に用いられる水蒸気の圧力が低くても良好な発泡成形性を維持させるために、一気圧下における沸点が200℃を超える可塑剤、例えば、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジアセトモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペート等のアジピン酸エステル、ヤシ油等の可塑剤が2.0質量%未満含有されていてもよい。
【0036】
なお、前記発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよく、又、ジンクステアレート等の粉末状金属石鹸類を前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に塗布しておけば、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の予備発泡工程においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子同士の結合を減少させることができて好ましい。
前記の難燃剤としては、ポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させる条件下において他の媒体に溶解させない状態で存在した場合に粉末状であれば、特に限定されず、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサンなどの臭素化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノールなどの臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテルなどの臭素化フェノール誘導体などが挙げられ、臭素化脂肪族炭化水素系化合物が好ましく、テトラブロモシクロオクタン(以下、TBCOと記す。)がより好ましい。
【0037】
本発明の製造方法で使用する重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、得られるポリスチレン系樹脂のZ平均分子量Mzや質量平均分子量Mwを調整して残存モノマーを低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、前記重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0038】
更に、本発明の製造方法において、スチレン系単量体の小滴及び種粒子を水性媒体中に分散させる為に用いられる懸濁安定剤としては、従来からスチレン系単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸またはその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩などのカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0039】
前記ポリスチレン系樹脂粒子は球状であるのが好ましく、該樹脂粒子の粒径は、成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2.0mmが好ましく、0.3〜1.4mmがより好ましい。
【0040】
なお、前記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させる際の温度は、低いと、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがあり、又、高いと、ポリスチレン系樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがあるので、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
【0041】
次に、前記製造方法で得られた本発明に係る発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子について説明する。
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子である。
また、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれたものである。
【0042】
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の好適な実施形態では、前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されている構造、或いは、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造であることが好ましい。
【0043】
前記樹脂分散部とそれを囲む表層部とを備えた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)である関係を満たす。
【0044】
ATR法赤外分光分析とは、全反射吸収を利用する1回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。
この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
【0045】
本発明では、ATR法赤外分光分析により、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面と中心部とを分析し、得られた赤外吸収スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求める。そして前記各吸光度の値から樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)とを算出する。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステル系樹脂に含まれるエステル基C=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピーク高さをいう。
【0046】
また表面の吸光度比は、図1に示すように発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1の表面AについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値であり、また中心部の吸光度比は、図2に示すように発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1をその中心を通って切断した断面の中心部BについてATR法赤外分光分析により測定して求めた値である。
【0047】
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述したように算出された樹脂粒子の表面吸光度比(A)と樹脂粒子の中心部の吸光度比(B)とが、(A)<(B)である関係を満たし、且つ(A)が0.10以下である関係を満たすことが好ましい。
即ち、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、樹脂粒子の直径方向において、含有されているポリアクリル酸エステル微粒子が表層部で少なく、内側で多くなっている。
【0048】
前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造としたことによって、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子表層部にはポリアクリル酸エステル微粒子が少なく、粒子内部にポリアクリル酸エステル微粒子が含まれる分布構造となり、型内発泡成形して発泡成形体を製造した際に、発泡粒子同士の融着度合を高く保ったままで耐衝撃性を向上させることができるため、機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
【0049】
前記表面吸光度比(A)は、0.10以下であり、0.05以下が好ましい。表面吸光度比(A)が0.10を超えると、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡し、得られた予備発泡粒子を型内発泡成形して発泡成形体を製造する際に、得られる発泡成形体の表面に融けが生じて外観が悪化したり、発泡成形体に収縮が生じて外観が悪化するために好ましくない。がいかんをみ
前記中心部の吸光度比(B)は0.20〜0.60の範囲が好ましく、更に好ましくは0.30〜0.60の範囲である。中心部の吸光度比(B)が0.20未満であると発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性能が劣る。また中心部の吸光度比(B)が0.60を超えると成形時に収縮が大きくなりやすく、発泡成形体の強度が低下する。
【0050】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子において、前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は1〜500nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜400nm、最も好ましくは150〜250nmである。
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1nm未満であると、発泡成形体の耐衝撃性が不十分である。前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が500nmを超えると、発泡剤の逸散速度が早くなり、好ましくない。
【0051】
なお、本発明においてポリスチレン系樹脂組成物、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡用ポリスチレン系樹脂組成物、発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含まれるポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は、次の測定方法によって測定された平均粒径のことを言う。また、ポリアクリル酸エステル微粒子は、内部にポリスチレンを内包する構造であっても良い。
<ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径の測定方法>
樹脂組成物又は樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、樹脂組成物又は樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製 透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。ポリアクリル酸エステル微粒子の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当たりの平均粒子径とする。この作業を任意のポリアクリル酸エステル微粒子30個について行い、微粒子の総平均の粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径とした。
【0052】
本発明の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子、及び発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、前述した本発明に係る製造方法により効率良く製造することができるが、製造方法はそれに限定されない。
【0053】
前述した本発明に係る製造方法により得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、水蒸気加熱等により加熱して予備発泡し、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子とする。この予備発泡粒子は、製造するべき発泡成形体の密度と同等の嵩密度となるように予備発泡される。本発明に係る製造方法において、その嵩密度は0.010〜0.033g/cmの範囲内であり、0.015〜0.025g/cmの範囲内が好ましい。
【0054】
なお、本発明においてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
<予備発泡粒子の嵩密度>
先ず、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させ、メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積VcmをJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩密度を測定する。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0055】
前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子は、発泡樹脂成形体の製造分野において周知の装置及び手法を用い、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気加熱等により加熱して型内発泡成形し、ポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造する。
本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は、0.010〜0.033g/cmの範囲内であることが好ましく、0.015〜0.025g/cmの範囲内がより好ましい。
【0056】
なお、本発明においてポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した密度のことである。
<発泡成形体の密度>
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
【実施例】
【0057】
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。また、以下の実施例、比較例において、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果は、発泡剤含浸前のポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比の結果と同様であった。
【0058】
以下の実施例、比較例において、種粒子の重合転化率、ポリスチレン系樹脂粒子の吸光度比、樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径、発泡成形体の落球値、発泡成形体の成形性及び総合評価は、次の測定方法及び評価基準により測定・評価した。
【0059】
<種粒子の重合転化率測定方法>
ポリスチレン系樹脂種粒子の重合転化率は下記の方法により求められる。
即ち、ポリスチレン系樹脂種粒子を分散液中から取り出し、該種粒子の表面に付着した水分をガーゼを用いて拭き取り除去する。
試料0.10gをビーカーに精秤し、メチルエチルケトン10mlを加え溶解する。ついでメタノール約35mlで再沈殿し、1時間攪拌する。No.5Aろ紙でろ過後、メタノールで50mlに定容してHPLC測定を行った。
HPLCの測定結果から、種粒子に対するアクリル酸エステルモノマーの残存量Aを質量%で算出し、次式によりポリスチレン系樹脂粒子の重合転化率とした。
重合転化率=100−A(%)
【0060】
<吸光度比の測定>
吸光度比(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各樹脂粒子の表面(図1中の符号A)、及び粒子を中心を通って切断した断面の中心部(図2中の符号B)について、ATR法赤外分光分析により粒子表面分析を行って赤外線吸収スペクトルを得る。
各赤外線吸収スペクトルから吸光度比(D1730/D1600)をそれぞれ算出し、表面Aに付いて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(A)とし、中心部Bについて算出した吸光度比の相加平均を吸光度比(B)とする。
吸光度D1730及び、D1600は、たとえばNicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGMA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
尚、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm−1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm−1での吸光度D1730は、アクリル酸エステルに含まれるエステル基のC=0間の伸縮振動に由来する1730cm−1付近に現れるピークの高さをいう。
【0061】
<樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を切断し、その断面に四酸化ルテニウム染色を行う。ついで染色面を超薄切片とし、日立製作所社製 透過型電子顕微鏡にて写真撮影を行う。ポリアクリル酸エステル微粒子の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当たりの平均粒子径とする。この作業を任意のポリアクリル酸エステル微粒子30個について行い、微粒子の総平均の粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径とした。
【0062】
<発泡成形体の落球値>
JIS K7211:1976「硬質プラスチックの落錘衝撃試験方法通則」記載の方法に準じて測定した。
得られた発泡成形体を50℃にて1日乾燥した後、215mm×40mm×厚み20mmの試験片とし、この試験片を150mmスパンになるように両端をクランプにて固定し、重さ198gの鋼球を、試験片の中央部に落下させ破壊の有無を観察した。試験は試験片5個が全数破壊する最低の高さから全数破壊しない最高の高さまで5cm間隔で高さを変えておこない、JIS K7211記載の計算式より落球衝撃値を算出した。
落球値が大きいほど発泡成形体の耐衝撃性が大きいことを示す。本実施例・比較例において、発泡成形体の落球値の評価基準は以下の通りとした。
○(良好):落球値が20cmを超える
△(やや不良):落球値が12〜20cmの範囲
×(不良):落球値12cm未満
【0063】
<発泡成形体の成形性>
予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、水蒸気で加熱して発泡成形体を得る際に、加熱蒸気圧を0.06MPaで設定したときに得られた発泡成形体の外観を目視で観察し、以下の基準で発泡成形体の成形性を評価した。
○(良好):成形体の表面に融け、または成形体の収縮が発生しない
△(やや不良):軽微な融け又は収縮が発生する
×(不良):融け又は収縮が発生して発泡成形体の外観が明らかに劣る
【0064】
<総合評価>
前記<発泡成形体の落球値>及び<発泡成形体の成形性>の各試験・評価項目において、全ての評価が○(良好)であった場合を◎(非常に良好)とし、一つでも△があった場合を○(良好)、一つでも×(不良)があった場合を×(不良)として総合評価した。
【0065】
[実施例1]
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記ポリスチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのポリスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000質量部、前記ポリスチレン系樹脂粒子(b)500質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3質量部を供給して攪拌しながら72℃に昇温した。
【0066】
(第1重合工程)
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.5質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1質量部をアクリル酸ブチル210質量部の混合液に溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、72℃で90分保持した。
この重合工程において、前記<種粒子の重合転化率測定方法>によって樹脂粒子の重合転化率を測定しながら重合反応を進めた。
【0067】
(第2重合工程)
種粒子の重合転換率が90質量%になるまで第1重合工程の液温72℃を保持した後、反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、且つスチレンモノマー1290gを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した上で、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(c)を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子(c)について、前記<吸光度比の測定>によって樹脂粒子の表面の吸光度比(A)と中心部の吸光度比(B)とを測定した。
その結果を表1に示す。また得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子についても、前記<吸光度比の測定>により吸光度比を測定することができる。
【0068】
(発泡剤含浸)
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200質量部、ポリスチレン系樹脂粒子(c)1800質量部、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0質量部及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4質量部を供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に、発泡助剤としてシクロヘキサン9.0質量部を重合容器内に入れて密閉し100℃に昇温した。 次に、発泡剤としてノルマルペンタン126質量部をポリスチレン系樹脂粒子(c)が入った重合容器内に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却した上で重合容器内から取り出し乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は215nmであった。
【0069】
(予備発泡)
続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に表面処理剤としてジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを被覆処理した。
次いで予備発泡装置にて嵩密度0.0200g/cmに予備発泡した後に20℃で24時間熟成してポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を得た。
【0070】
(発泡成形体の製造)
そして、内寸300mm×400mm×30mmの直方体形状のキャビティを有する成形型を備えた発泡ビーズ自動成形機(積水工機製作所社製 商品名「エース3型」)のキャビティ内に前記ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填し、ゲージ圧0.060MPaの水蒸気で15秒間加熱成形を行った。次に、前記成形型のキャビティ内の発泡体を5秒間水冷した後、減圧下にて放冷(冷却工程)してポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、密度0.0200g/cmで収縮もなく、外観の良好なものであった。
得られた発泡成形体について、前記<発泡成形体の落球値>、<発泡成形体の成形性>及び<総合評価>を測定・評価した。その結果を表2に示す。
【0071】
[実施例2]
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を175質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1325質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は210nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
【0072】
[実施例3]
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を425質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1075質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は195nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
【0073】
[実施例4]
第2重合工程にスチレンモノマーを添加する際の種粒子の重合転化率を86質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は190nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
【0074】
[実施例5]
第2重合工程にスチレンモノマーを添加する際の種粒子の重合転化率を94質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は210nmであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
【0075】
[実施例6]
第1重合工程において使用するアクリル酸エステルをアクリル酸2エチルヘキシルとしたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は250nmであり、ポリスチレンを内包する構造のものであった。
得られた発泡成形体は、収縮もなく、外観の良好なものであった。
【0076】
[実施例7]
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を120質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1380質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は205nmであった。
【0077】
[実施例8]
第1重合工程において使用するアクリル酸ブチルの量を475質量部とし、更に第2重合工程で使用するスチレンモノマーを1025質量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂発泡成形体を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部のポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径は155nmであった。
【0078】
[比較例1]
第1重合工程でアクリル酸ブチルを使用せず、スチレンモノマーを210質量部のみ使用したこと以外は、実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部には、ポリアクリル酸エステル微粒子が存在していなかった。
この比較例1で得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、弾性材料であるポリアクリル酸エステル樹脂が含まれておらず、これを実施例1と同様にして予備発泡及び型内発泡成形して得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、樹脂材料がポリスチレン系樹脂のみである従来品のポリスチレン系樹脂発泡成形体と同様の耐衝撃性となった。
【0079】
前記実施例1〜8、比較例1の製造条件の概要と、各試験・評価結果を表1,2にまとめて記す。
また、図3は、実施例1で製造した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表層部の電子顕微鏡画像であり、図4は同じ発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の内部の電子顕微鏡写真である。図3及び図4に示すように、本発明に係る発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、ポリアクリル酸エステル微粒子11が分散したポリスチレン系樹脂部分10からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた構造になっていることがわかる。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
表1,2の結果より、本発明に係る実施例1〜8のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、樹脂材料としてポリスチレン系樹脂のみを用いた比較例1の発泡成形体と比べ、落球値が高く、耐衝撃性に優れていた。特に、実施例1〜6のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、比較例1の3倍程度の高い落球値となり、優れた耐衝撃性が得られ、同時に成形性も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、機械強度、成形性及び耐衝撃性の全てにおいて優れたポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。本発明のポリスチレン系樹脂発泡成形体は、梱包材や緩衝材として好適に使用される。
【符号の説明】
【0084】
1…発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、A…表面、B…中心部、10…ポリスチレン系樹脂部分、11…ポリアクリル酸エステル微粒子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなるポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなるポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項4】
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項3に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項5】
ポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸エステル微粒子が分散してなる発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項6】
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項5に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項7】
ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項8】
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項7に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項9】
ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部を少なくとも一部に有する樹脂粒子に発泡剤が含まれた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項10】
前記樹脂分散部が、前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂で被覆されている請求項9に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項11】
ポリアクリル酸エステル微粒子が分散したポリスチレン系樹脂からなる樹脂分散部と、該樹脂分散部を囲む前記樹脂分散部よりもポリアクリル酸エステル微粒子の含有量が少ないか又は該微粒子を含まないポリスチレン系樹脂からなる表層部とを備えた請求項9に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項12】
ATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)とATR法赤外分光分析により前記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の中心部を分析し得られた赤外スペクトルのうち、1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)であり、且つ(A)が0.10以下である関係を満たす請求項9〜11のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項13】
前記ポリアクリル酸エステル微粒子の平均粒径が1〜500nmの範囲である請求項9〜12のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡して得られたポリスチレン系予備発泡粒子。
【請求項15】
請求項14に記載のポリスチレン系予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させて得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項16】
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程を行って請求項7又は8に記載の発泡用ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡用ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項17】
(1)ポリスチレン系樹脂種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂種粒子100質量部に対し、アクリル酸エステル単量体30.0〜90.0質量部を供給し、該単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程と、
(2)次いで、アクリル酸エステル単量体のポリアクリル酸エステルへの重合転化率が85〜95質量%の範囲で該分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第2重合工程と、
(3)第2重合工程を行ってポリスチレン系樹脂粒子を得た後、又はポリスチレン系樹脂粒子の成長途上で発泡剤を含浸させて請求項9〜13のいずれか1項に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを有する発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−68817(P2011−68817A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222489(P2009−222489)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】