説明

ポリスチレン系樹脂組成物

【課題】良好な外観及び優れた衝撃強度を有するフィルム又はシートが製造可能なシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を含み、前記(a)成分の含有量が50〜80重量%、前記(b)成分の含有量が10〜35重量%、前記(c)成分の含有量が3〜10重量%、及び前記(d)成分の含有量が3〜10重量%であるポリスチレン系樹脂組成物。
(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
(b)スチレン系エラストマー
(c)変性スチレン系エラストマー
(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系樹脂組成物、並びにそれからなるシート及びフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
シンジオタクチックポリスチレン(SPS)は表面張力(濡れ性)が低く、その用途として、プリント基盤製造工程フィルムで用いられる離型フィルムが検討されている。
しかし、SPSニートポリマーは、アタクチックポリスチレン(APS)と同様に靭性が低く、熱的に結晶化させた場合に、さらに脆くなる傾向があった。
【0003】
そのため、SPSにエラストマーを配合混練し、靭性を向上させた材料が多く用いられている(特許文献1〜3)。しかし、射出成形では目立たないが、SPSにエラストマーを添加した材料を押出成形した場合には、得られるフィルム又はシートの表面に凸状のブツが多数分散し、外観不良となる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−93151号公報
【特許文献2】特開2000−38461号公報
【特許文献3】特開2009−241410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、良好な外観及び優れた衝撃強度を有するフィルム又はシートが製造可能なシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物等が提供される。
1.下記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を含み、
前記(a)成分の含有量が50〜80重量%、前記(b)成分の含有量が10〜35重量%、前記(c)成分の含有量が3〜10重量%、及び前記(d)成分の含有量が3〜10重量%であるポリスチレン系樹脂組成物。
(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
(b)スチレン系エラストマー
(c)変性スチレン系エラストマー
(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂
2.前記(b)成分が、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴムである1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
3.前記(c)成分が、酸変性スチレン系エラストマーである1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
4.前記(c)成分が、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴムである1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
5.前記(d)成分がオキサゾリン基及び/又はエポキシ基を有するスチレン系樹脂である1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
6.1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物を押出成形してなるフィルム又はシート。
7.1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物及び軟質系樹脂とを多層押出成形してなる多層フィルム又は多層シート。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、良好な外観及び優れた衝撃強度を有するフィルム又はシートが製造可能なシンジオタクチックポリスチレン系樹脂組成物が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は下記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を含む。
(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
(b)スチレン系エラストマー
(c)変性スチレン系エラストマー
(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂
【0009】
本発明の組成物は、(a)成分が基材であり、(b)成分は得られるフィルム又はシートの耐衝撃性を向上させることができ、(c)及び(d)成分は組成物の分散性を向上させることができる。
特に(d)成分は、(c)成分と相溶化することで、得られるフィルム又はシートのブツ(表面の凸形状物)の発生を効果的に抑制することができる。
以下、(a)、(b)、(c)及び(d)成分について、それぞれ説明する。
【0010】
(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(SPS)が有するシンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。
13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。
【0011】
(a)成分として用いるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体としては、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、又はラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン;ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等のポリ(アルキルスチレン);ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等のポリ(ハロゲン化スチレン);ポリ(クロロメチルスチレン)等のポリ(ハロゲン化アルキルスチレン);ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等のポリ(アルコキシスチレン);ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
好ましいSPSは、スチレンのホモポリマー、スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体、及びスチレンとエチレンとの共重合体である。
上記スチレンとパラメチルスチレンとの共重合体におけるパラメチルスチレン含有量は1〜20モル%、スチレンとエチレンとの共重合体におけるエチレン含有量は1〜50モル%が好ましい。
【0013】
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、分子量について特に制限はないが、通常、重量平均分子量が10,000以上であり、好ましくは50,000以上である。
重量平均分子量が10,000未満の場合、得られる組成物あるいは成形品の熱的性質及び機械的性質が低下するおそれがある。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の分子量分布についてもその広狭は制約がなく、様々な分子量分布を有するスチレン系重合体を用いることができる。
【0014】
尚、(a)成分として用いるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は、後述する(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な置換基を有するスチレン系樹脂を含まない。
【0015】
(b)スチレン系エラストマー
(b)成分として用いるスチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、ブタジエン−アクリロニトリル−スチレン−コアシェルゴム(ABS)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MBS)、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート−スチレン−コアシェルゴム(MAS)、オクチルアクリレート−ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(MABS)、アルキルアクリレート−ブタジエン−アクリロニトリル−スチレンコアシェルゴム(AABS)、ブタジエン−スチレン−コアシェルゴム(SBR)等が挙げられる。
こられスチレン系エラストマーのうち、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴムが好ましい。
【0016】
スチレン系エラストマーは、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、(b)成分のスチレン系エラストマーは、変成スチレン系エラストマーを含まない。
【0017】
(c)変成スチレン系エラストマー
変成スチレン系エラストマーは、上記(b)スチレン系エラストマーを変成したエラストマーであり、好ましくは酸変成スチレン系エラストマーである。
スチレン系エラストマーの変成剤としては、無水マレイン酸、フマル酸及びフマル酸ジエステル、フマル酸金属塩、フマル酸アンモニウム塩、フマル酸ハロゲン化物等のフマル酸誘導体が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸である。
変成スチレン系エラストマーは、好ましくは無水マレイン酸変成水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体である。
【0018】
(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂
変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂は、(c)変性スチレン系エラストマーと反応し、相溶化する樹脂である。
変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基としては、オキサゾリン基、エポキシ基、
イソシアネート基等が挙げられ、好ましくはオキサゾリン基及びエポキシ基である。
スチレン系樹脂が有する上記官能基は、1種のみ又は2種以上の組合せでもよい。
【0019】
上記官能基を有するスチレン系樹脂は、例えばスチレンモノマーと変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系モノマーより重合される2元系重合体、又はスチレンモノマーと変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系モノマー及びメチルメタアクリレートモノマーより重合される3元系重合体である。
【0020】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、(a)成分の含有量が50〜80重量%、(b)成分の含有量が10〜35重量%、(c)成分の含有量が3〜10重量%、及び(d)成分の含有量が3〜10重量%である。
本発明の組成物において、例えば(a)成分の含有量が80重量%超の場合、得られるフィルムが脆くなるおそれがある。一方、(a)成分の含有量が50重量%未満の場合、エラストマー成分の含有量が多くなり、得られるフィルムの離型性が低下するおそれがある。
【0021】
本発明の組成物は、(a)、(b)、(c)及び(d)成分から実質的になっていてもよく、また、これら成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、本発明の組成物が、主に(a)、(b)、(c)及び(d)成分からなることであり、これらの成分の他に以下の添加剤を含み得ることである。
【0022】
本発明の組成物は、さらに酸化防止剤を含んでもよい。
酸化防止剤は、公知のものを使用することができ、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。本発明の組成物が、酸化防止剤を含むことで、混練、成形時の熱分解を低減化でき、さらに長期耐熱性が向上して、長期間にわたって物性を維持することができる。
酸化防止剤の配合量は、(a)成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましい。酸化防止剤は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0023】
本発明の組成物は、さらに核剤を含んでもよい。
核剤は、公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムジ(p−t−ブチルベンゾエート)等のカルボン酸の金属塩、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウム等のリン酸の金属塩、フタロシアニン誘導体等を挙げることができる。
【0024】
核剤の含有量は、(a)成分100質量部に対して、例えば1〜5質量部、好ましくは1〜4質量部、さらに好ましくは2〜4質量部である。1質量部未満であると、本発明の組成物を射出成形した際、金型内で十分に結晶化させることができず、十分な離型剛性が発現しないおそれがあり、5質量部を超えると成形品表面や金型を汚染しやすいおそれがある。
尚、核剤は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
離型性をさらに付与するため、本発明の組成物は、さらにジメチルシリコーンやメチルフェニルシリコーン等のシリコーンオイルを含んでもよい。
シリコーンオイルの含有量は、例えば組成物100重量部に対して0.1〜5重量部である。シリコーンオイルの含有量が0.1重量部未満の場合、離型性向上効果が発現しないおそれがあり、5重量部超の場合はプレス時に相手の基盤等にシリコーンオイルが転写し汚染するおそれがある。
【0026】
本発明のシンジオタクチックポリスチレン樹脂組成物は、各成分を所定の割合で配合し、例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機等により適当な温度、例えば270〜320℃の範囲の温度で十分に混練することにより、調製することができる。
【0027】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、フィルム又はシートの材料として好適に用いることができ、特に押出成形で成形する場合、表面外観が良好なフィルム又はシートが成形可能である。
フィルム又はシートの製造方法は、例えば本発明の組成物をペレット状に造粒し、射出成形機、押出成形基等に投入することによりフィルム又はシートを成形できる。
【0028】
フィルム又はシートの厚みは特に制限は無いが、例えば本発明の組成物が好適に用いられるプリント基盤製造用離型フィルムの場合、その厚みは好ましくは0.01〜0.5mmである。
フィルム又はシートのフィルムインパクトは、好ましくは10000J/m以上である。
【0029】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物と軟質系樹脂とを多層押出成形することで、多層フィルム又は多層シートを製造することができる。
上記軟質系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、特にポリエチレン系樹脂が好ましい。
【実施例】
【0030】
実施例1
ザレック130ZC(シンジオタクチックポリスチレン樹脂、出光興産株式会社製)を75重量部、セプトン8006(水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、株式会社クラレ製)を16重量部、タフテックM1962(マレイン酸変性SEBS、旭化成ケミカルズ株式会社製)を4重量部、エポクロスRPS1005(オキサゾリン基含有スチレンポリマー、株式会社日本触媒製)を5重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した後、35mmφ2軸混練機にて300℃で溶融混練し、樹脂ペレットを得た。
得られたペレットを25mmφ単軸押出機を用いて300℃で押出し、90℃に設定した冷却ロールにキャストすることにより、厚み100μmのフィルムを得た。
【0031】
得られたフィルムについて、以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
[外観]
フィルムの任意の表面5cm×5cm内でのブツの個数を目視にカウントした。
[引張伸度]
フィルムの長手方向(MD)に15mm幅×200mm長さで切り出し、チャック間100mm及び引張速度100mm/分で引張試験を行い、引張伸度を評価した。
[フィルムインパクト]
ハンマーのヘッド径が1/2インチであるフィルムインパクト試験機を用い、ASTM−D822に準拠して、フィルムを突き破ったときのエネルギーを測定した。
[離型性]
フィルムと1mm厚みのステンレス板を180℃、50kgf/m、5分間の条件で圧着した。その後、ステンレス板とフィルムを手で剥離し、離型性を評価した。
尚、離型性を評価することで、プリント基盤の工程フィルム用途での使用可能性が評価できる。
【0032】
実施例2
ザレック130ZCを80重量部、セプトン8006を13重量部、タフテックM1962を3重量部、エポクロスRPS1005を4重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
ザレック130ZCを53重量部、セプトン8006を30重量部、タフテックM1962を8重量部、エポクロスRPS1005を9重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0034】
実施例4
ザレック130ZCを75重量部、セプトン8006を16重量部、タフテックM1962を4重量部、アルフォンUG4040(エポキシ基含有スチレンポリマー、東亜合成株式会社製)を5重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0035】
実施例5
ザレック130ZCを50重量部、セプトン8006を35重量部、タフテックM1962を8重量部、エポクロスRPS1005を7重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
ザレック130ZCを25mmφ単軸押出機を用いて300℃で押出し、90℃に設定した冷却ロールにキャストすることにより100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムについて、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0037】
比較例2
ザレック130ZCを80重量部及びセプトン8006を20重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0038】
比較例3
ザレック130ZCを75重量部、セプトン8006を20重量部及びタフテックM1962を5重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0039】
比較例4
ザレック130ZCを75重量部、タフテックM1962を20重量部及びエポクロスRPS1005を5重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0040】
比較例5
ザレック130ZCを90重量部、セプトン8006を6重量部、タフテックM1962を2重量部、エポクロスRPS1005を2重量部を配合してポリスチレン系樹脂組成物を調製した他は、実施例1と同様にして樹脂ペレットを製造し、フィルムを成形し評価した。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物は、フィルム及びシートの材料として好適に用いることができる。本発明のポリスチレン系樹脂組成物からなるフィルム及びシートは、食品、薬剤、文具等の日用品の包装用フィルム及び容器、並びに産業用の各種フィルム、袋及び容器に用いることができ、特にプリント基盤製造工程に用いる離型フィルムとして好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)、(b)、(c)及び(d)成分を含み、
前記(a)成分の含有量が50〜80重量%、前記(b)成分の含有量が10〜35重量%、前記(c)成分の含有量が3〜10重量%、及び前記(d)成分の含有量が3〜10重量%であるポリスチレン系樹脂組成物。
(a)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
(b)スチレン系エラストマー
(c)変性スチレン系エラストマー
(d)変性スチレン系エラストマーと反応可能な官能基を有するスチレン系樹脂
【請求項2】
前記(b)成分が、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴムである請求項1に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記(c)成分が、酸変性スチレン系エラストマーである請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記(c)成分が、無水マレイン酸変性水素添加スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記(d)成分がオキサゾリン基及び/又はエポキシ基を有するスチレン系樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物を押出成形してなるフィルム又はシート。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂組成物及び軟質系樹脂とを多層押出成形してなる多層フィルム又は多層シート。

【公開番号】特開2011−207951(P2011−207951A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74960(P2010−74960)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】