説明

ポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法

【課題】水中カット式造粒機を用いて均質なポリスチレン系発泡性樹脂粒子を得ること。
【解決手段】 複数のダイス孔を有するダイスと、該ダイスに溶融樹脂を供給する押出機とを備え、前記ダイスがダイバータバルブを有し、該ダイバータバルブが、前記押出機から供給される溶融樹脂を前記ダイス孔に供給する第一の流路と機外に排出する第二の流路とを有している水中カット式造粒機を用い、発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を前記押出機から前記ダイスに供給しつつ前記第二の流路を通じて機外に排出させる準備工程を実施し、該準備工程後に、前記溶融ポリスチレン系樹脂の流路を前記第一の流路に切り替えてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法であって、前記第一の流路への切り替え前の前記溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が、前記切り替え後の10%以上となるようにして前記準備工程を実施することを特徴とするポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法に関し、より詳しくは、水中カット式造粒機を用いたポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂組成物からなるポリスチレン系発泡性樹脂粒子を使って発泡成形した発泡成形品は、“発泡スチロール”などと呼ばれて断熱材や緩衝材として広く利用されている。
例えば、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を一旦発泡させて発泡粒子を作製し、この発泡粒子を金型内で加熱することによって断熱性容器などの発泡成形品を作製することが従来行われている。
【0003】
この種の用途に利用されるポリスチレン系発泡性樹脂粒子は、発泡剤を含有していないポリスチレン系樹脂粒子を予め作製し、該樹脂粒子に後から発泡剤を含浸させる方法や、炭化水素系の発泡剤等とポリスチレン系樹脂とを押出機で溶融混練して発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を作製し、該溶融ポリスチレン系樹脂を水中に押出しつつ粒状に切断する方法などによって作製されている。
この内、後者の製造方法においては、例えば、下記特許文献1に示されているような水中カット式造粒機が使用されており、この種の水中カット式造粒機でポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するのに際しては、溶融ポリスチレン系樹脂が水ですばやく冷却されるため発泡剤の散逸を抑制することができるとともにポリスチレン系樹脂粒子に後から発泡剤を含浸させるようなバッチ式の方法と違って連続生産が可能で効率的な生産が可能である。
【0004】
しかも、近年の水中カット式造粒機は、溶融樹脂を押出すためのダイス孔が数多く備えられたダイスを有しており、該複数箇所から一度に溶融樹脂を水中に押出してカッターによる一度の切断で多数の樹脂粒子を形成することが可能となっており、樹脂粒子の生産効率がさらに向上されている。
【0005】
ところで、水中カット式造粒機としては、下記特許文献1に示されているようにダイバータバルブと呼ばれる機構をダイスに備えさせたものが知られており、押出機から供給される溶融樹脂の流路をダイス孔に供給する第一の流路と、機外に排出する第二の流路とを有するダイバータバルブを備えたものが知られている。
【0006】
この種の水中カット式造粒機は、例えば、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製する際に押出機の運転状態が安定するまでの準備工程の期間中、溶融ポリスチレン系樹脂をダイス孔から押出させずに前記ダイバータバルブを通じて機外に排出させておき、押出機の運転状態が安定化した段階で前記ダイバータバルブによって溶融ポリスチレン系樹脂の流路をダイス孔側に切り替えるとともにダイス前面に装着させたチャンバー内に水を循環させてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製する造粒工程を開始させることができ、押出機が安定している状態でポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製することができるために均質な製品を得られ易いという利点を有する。
【0007】
しかし、このように複数のダイス孔を備えた水中カット式造粒機では、一つのダイス孔から一定時間当たりに排出される溶融樹脂量と、他のダイス孔から一定時間あたりに排出される溶融樹脂量とに違いを生じると、得られる樹脂粒子の粒子径を異ならせることになり、均質な樹脂粒子を得ることが困難になるという問題を有している。
【0008】
例えば、水中カット式造粒機は、樹脂粒子の製造時にはダイスの前面(樹脂吐出面)を水に接触させておりダイス孔の出口を水中にて開口させた状態にして樹脂粒子を製造するために冷却された樹脂でダイス孔の流路が狭くなったり、完全に閉塞されたりする場合があり、閉塞されていないダイス孔からの溶融ポリスチレン系樹脂の吐出量を過度に増大させて粗大なポリスチレン系発泡性樹脂粒子を形成させるおそれを有する。
【0009】
特に、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子においては、平均粒径が2mm以下の比較的小さな粒径のものに対するニーズが高まっており小径なダイス孔を形成させたダイスが用いられたりしているが、この種のポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造時にはダイス孔がより一層閉塞され易いため上記のような問題がより顕著なものとなるおそれを有する。
即ち、ポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法においては、水中カット式造粒機を用いて粒径のそろった均質な製品を得ることが困難であるという問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−130600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような問題を解決することを課題としており、水中カット式造粒機を用いて均質なポリスチレン系発泡性樹脂粒子を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく本発明者らが鋭意検討を行ったところ、押出機での前記溶融混練を実施しつつ得られた溶融ポリスチレン系樹脂を前記ダイス孔に供給せずに前記ダイバータバルブを通じて機外に排出させる準備工程にあたって、従来、押出機内の流れを良好なものとして動力負荷の軽減を図るとともに早期に安定状態になるようにダイバータバルブを全開にして押出機の樹脂圧を下げた状態にしている点に粒径のばらつきの原因があることを見出した。
【0013】
即ち、溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が低い状態からポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製する造粒工程を実施すると、ダイバータバルブを切り替えた後、大きなタイムラグを生じることなく溶融樹脂がダイス孔に到達されてはいるものの内部の圧力が所定の圧力に上昇するまでの間にある程度の時間を要し、この間に冷却されたポリスチレン系樹脂でダイス孔が閉塞される傾向にあることを見出した。
そうして、本発明者らは、準備工程での樹脂圧をある程度以上に確保しておくことで上記のような現象を抑制させ得ることを見出して本発明を完成させるに至ったものである。
【0014】
上記課題を解決するためのポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法に係る本発明は、 複数のダイス孔を有するダイスと、該ダイスに溶融樹脂を供給する押出機とを備え、前記ダイスがダイバータバルブを有し、該ダイバータバルブが、前記押出機から供給される溶融樹脂を前記ダイス孔に供給する第一の流路と機外に排出する第二の流路とを有している水中カット式造粒機を用い、発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を前記押出機から前記ダイスに供給しつつ前記第二の流路を通じて機外に排出させる準備工程を実施し、該準備工程後に、前記溶融ポリスチレン系樹脂の流路を前記第一の流路に切り替えてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法であって、前記第一の流路への切り替え前の前記溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が、前記切り替え後の10%以上となるようにして前記準備工程を実施することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、準備工程での樹脂圧をある程度以上に確保しておくことから、造粒工程に移行した後にダイス孔の閉塞を抑制させることができ、粒径のそろった均質なポリスチレン系発泡性樹脂粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態に用いる水中カット式造粒機の概略構成図。
【図2】準備工程(a)と造粒工程(b)とにおけるダイバータバルブの様子を示した側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法について、図を参照しつつ説明する。
まず、前記ポリスチレン系発泡性樹脂粒子を製造するための水中カット式造粒機について説明する。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施形態における水中カット式造粒装置T(以下、単に「造粒装置」ともいう)は、いわゆる水中ホットカット方式によってポリスチレン系発泡性樹脂粒子(以下、単に「発泡性樹脂粒子」ともいう)を造粒するための造粒装置である。
【0019】
前記造粒装置Tは、造粒用ダイス1が先端に取り付けられた押出機2と、造粒用ダイス1のダイス孔15から吐出される溶融ポリスチレン系樹脂20(発泡剤を含有した溶融状態のポリスチレン系樹脂)を切断するカッター3が収容されるとともに、造粒用ダイス1の前面となる樹脂吐出面10fに水流を接触させるためのチャンバー4とを備えている。
前記チャンバー4には、循環する水を流すための管路5が接続され、この管路5の一端(チャンバー4より上流側)が、送水ポンプ6を介して水槽7に接続されている。
また、管路5の他端(チャンバー4より下流側)には、循環水から発泡性樹脂粒子を分離し、脱水・乾燥する脱水処理部8が設けられている。
この脱水処理部8で分離され、脱水・乾燥した発泡性樹脂粒子は、容器9に送られるようになっており、水は前記水槽7に返送されるようになっている。
そして、符号21はホッパー、22は発泡剤供給口、23は高圧ポンプである。
なお、造粒装置Tおよび造粒用ダイス1において、樹脂が吐出される側を「先方」、「先端」とし、その反対側を「後方」、「後端」として以下の説明では統一して用いる。
【0020】
図2に示すように、造粒用ダイス1は、ダイス本体10(ダイプレートとも呼称される)と、押出機2の先端側(図中右側)に固定されたダイホルダ11とからなり、前記ダイス本体10が、ダイホルダ11の先端側に複数のボルトによって固定されており、該ダイス本体10が固定されている前記ダイホルダ11の先端側の一部が可動式となってダイバータバルブ13として機能するようになっている。
【0021】
前記ダイホルダ11は、押出機2のシリンダに連通して設けられ、後端側から先端側に向けて後端側流路11a、先端側流路11bが順に形成されており、前記ダイバータバルブ13は後端側から先端側に貫通する第一流路11cと後端側からダイホルダ11の側面部へと抜ける第二の流路11dとを有し、後端側流路11aと先端側流路11bと前記第一流路11cで中継する態様(図2(b))と前記第二流路11dを後端側流路11aに接続させることにより先端側流路11bへの溶融ポリスチレン系樹脂20の流れを遮断して該溶融ポリスチレン系樹脂20を機外に排出させる態様(図2(a))とを採り得るように構成されている。
【0022】
なお、前記ダイバータバルブ13は、それぞれ径の異なる貫通孔を有する数種類の穴開き栓11nを第二流路11dの出口に装着させ得るように形成されており、装着する穴開き栓11nの種類によって前記第二流路11dを通じて機外に排出される溶融ポリスチレン系樹脂20の流通状態を制御し得るようになっている。
【0023】
前記ダイス本体10は、後端面中央部において、後方側に突出してなる円錐状凸部10aが形成され、ダイス本体10とダイホルダ11とが接続した状態で、ダイホルダ11の先端側流路11b内に、所定隙間をもって円錐状凸部10aが挿入されている。
すなわち、ダイホルダ11の後端側流路11aを通過した溶融ポリスチレン系樹脂20は先端側流路11bにおいて円錐状凸部10aの周面に沿って流れ、複数の樹脂流路14を通ってダイス本体10の先端面に開口する複数のダイス孔15に連通する構成となっている。
【0024】
前記ダイス本体10は、その先端面で水流に接触する樹脂吐出面10fと、押出機2から押出された溶融ポリスチレン系樹脂20を樹脂吐出面10fに向けて移送するための複数の樹脂流路14と、複数の樹脂流路14の先端に設けられると共に樹脂吐出面10fに開口する複数のダイス孔15と、樹脂吐出面10fの中心位置に設けられた断熱材16と、樹脂吐出面10fよりも押出機2側の位置で樹脂吐出面10fや樹脂流路14を温めるためのカートリッジヒーター17、ダイス本体10を温めるための短ヒーター18とを備えて概略構成されている。
カートリッジヒーター17および短ヒーター18は、従来周知のカートリッジヒーターの中からダイス本体10の大きさや形状に応じて適宜選択して使用できる。
つまり、カートリッジヒーター17および短ヒーター18としては、例えば棒状のセラミックに巻き付けた発熱線(ニクロム線)をパイプ(耐熱ステンレス鋼)の中に挿入し、発熱線とパイプの隙間を高熱伝導性と高絶縁性に優れた材料(MgO)で封じ込めた、電力密度の高い棒状ヒーターを用いることができる。カートリッジヒーター17及び短ヒーター18は、片側にリード線が2本付いたカートリッジヒーターでも、両側にリード線が1本ずつ付いたカートリッジヒーター(シーズヒーター)でもよいが、片側にリード線が2本付いたカートリッジヒーターの方がより高い電力密度を得られるので好ましい。
【0025】
ダイス本体10の樹脂吐出面10fは、中心部に円形断面の断熱材16を配置し、その断熱材16の径方向外側に複数のダイス孔15がその開口を周方向に沿って並べた状態で設けられている。
そして、断熱材16が配置され、複数のダイス孔15が開口されている樹脂吐出面10fの中央部分は、チャンバー4内部で水と接触するようになっている。
【0026】
前記樹脂流路14は、円形断面をなし、樹脂吐出面10fに対して直交する方向に延在されるとともに、ダイス本体10の中心軸線を中心とした円周(樹脂吐出面10f上に描かれた円周)に沿って一定の間隔をもって配置されている。本実施の形態では、樹脂流路14は、8箇所設けられており、前記円周の周方向に隣り合う樹脂流路14どうしの中心角が45°になっている。
そして、前述したように各樹脂流路14は、ダイホルダ11の先端側流路11bに連通しており、前記ダイバータバルブ13の第一流路11cを通じて溶融ポリスチレン系樹脂20をダイス孔15まで流通させ得るように設けられている。
【0027】
前記ダイス孔15は、樹脂吐出面10f上に描かれた円周に沿って所定間隔をもって複数配置されており、前記断熱材16は、複数のノズル15を配置した円周の内側の樹脂吐出面10fに設けられ、チャンバー4内の水にダイス本体10の熱が逃げないようにしてダイス本体10の温度低下を抑制すべく設けられている。
この断熱材16としては、耐水性があり、表面硬度の高い構造の断熱材を用いることが好ましい。
例えば、高温のダイス本体10と接触しても変形等を起こさない耐熱性能と断熱性能に優れた断熱材を配し、これを断熱性能に優れたフッ素樹脂等の防水性樹脂で被覆し、さらに樹脂吐出面10f側には、ステンレス鋼、セラミックスなどの表面硬度の高い材料を順に積層した積層タイプの断熱材16を用いることができる。
【0028】
カートリッジヒーター17および短ヒーター18は、それぞれ棒状ヒーターをなし、カートリッジヒーター17が短ヒーター18よりも造粒用ダイス1の先端後端方向で樹脂吐出面10f側に位置している。
カートリッジヒーター17は、樹脂流路14の前記円周の周方向両側に配置されるとともに、長手方向を円周の径方向に向けてその円周を横切った状態で配置され、樹脂吐出面10fの近傍において、該樹脂吐出面10f、ダイス孔15、及び樹脂流路14を加熱する機能を有している。
本実施の形態のカートリッジヒーター17は、それぞれが円周方向に所定の中心角(ここでは、45°の角度)をもって8本設けられている。
つまり、個々のダイス孔15は、2本のカートリッジヒーター17によって前記円周の周方向から挟み込まれるようにして配置されている。
【0029】
また、カートリッジヒーター17は、樹脂吐出面10fの近傍、すなわち樹脂吐出面10fから押出機2側に向かって所定のヒーター深さの範囲内に設けられている。
ここで、ヒーター深さとは、樹脂吐出面10fから表面加熱用のカートリッジヒーター17の中心部までの距離であり、ダイスの加工面や耐久性に支障がでない範囲で、その距離が小さい方がダイス孔15の閉塞抑制効果が大きくなり好ましい。
つまり、ヒーター深さとしては、10〜50mmの範囲が好ましい。
10mm未満ではダイスの加工面や耐久性に支障がでるおそれがあり、50mmを超えるとダイス孔15の閉塞抑制効果が低下するおそれがある。
このようなことから、より好ましい範囲は、15〜30mmである。
【0030】
さらに、カートリッジヒーター17の直径は、発熱容量が確保できる範囲で小さい方が樹脂流路14の断面積が大きく確保できるとともに、ダイス孔15も数多く確保することができる点において好ましい。
即ち、カートリッジヒーター17の直径としては、15mm以下が好ましいが、10mm未満では必要な発熱容量が確保できにくくヒーターも高価となるため、10mm〜15mmが好ましく、10mm〜12mmがより好ましい。
そして、カートリッジヒーター17の長さ寸法は、ダイス本体10の半径方向で、配置されるダイス孔15より中心側に延びる位置(すなわち、少なくともカートリッジヒーター17の先端部がダイス孔15より中心側となる位置)からダイス本体10の略外周までの位置とされることが好ましい。
【0031】
短ヒーター18は、各カートリッジヒーター17に対して所定間隔をもって後方側に配置され、カートリッジヒーター17の本数と同数(8本)が配置され、樹脂流路14の後端側を加熱する機能を有している。短ヒーター18の長さ寸法は、カートリッジヒーター17より短いものとなっている。
【0032】
また、造粒用ダイス1には、ダイス本体10の温度や溶融樹脂温度を測定するための測温体19A,19Bが設けられている。
第1の測温体19Aは、ダイス本体10の中央部の温度(ダイス本体の温度:ダイス保持温度)を測定する。
第2の測温体19Bは、ダイホルダ11内を流れる溶融ポリスチレン系樹脂20の温度及び樹脂圧力を測定するためのものである。
【0033】
図1に示す造粒装置Tに用いる押出機2は、従来周知の各種押出機の中から造粒する樹脂の種類等に応じて適宜選択して使用でき、例えばスクリュを用いる押出機またはスクリュを用いない押出機のいずれも用いることができる。
スクリュを用いる押出機としては、例えば、単軸式押出機、多軸式押出機、ベント式押出機、タンデム式押出機などが挙げられる。
スクリュを用いない押出機としては、例えば、プランジャ式押出機、ギアポンプ式押出機などが挙げられる。
また、いずれの押出機もスタティックミキサーを用いることができる。
これらの押出機のうち、生産性の面からスクリュを用いた押出機が好ましい。
また、カッター3を収容したチャンバー4も、ホットカット法において用いられている従来周知のものを用いることができる。
【0034】
本実施形態において、発泡性樹脂粒子を形成させるための材料は特に限定されないが、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体又はこれらの共重合体等が挙げられ、スチレン単独重合体(汎用ポリスチレン(GPPS))、ゴム成分を含有するポリスチレン系樹脂(ハイインパクトポリスチレン(HIPS))などが挙げられる。
【0035】
なお、前記ポリスチレン系樹脂としては、前記スチレン系モノマーとこのスチレン系モノマーと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体であってもよく、このようなビニルモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性モノマーなどが挙げられる。
【0036】
また、ポリスチレン系樹脂が主成分であれば、他の樹脂を添加してもよく、添加する樹脂としては、例えば、発泡成形体の耐衝撃性を向上させるために、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三次元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性ポリスチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられる。
あるいは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0037】
本実施形態に係る発泡性樹脂粒子は、原料となるポリスチレン系樹脂としては、市販されている通常のポリスチレン系樹脂、懸濁重合法などの方法で新たに作製したポリスチレン系樹脂などの、リサイクル原料でないポリスチレン系樹脂(以下、バージンポリスチレンと記す。)を使用できる他、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたリサイクル原料を使用することができる。
このリサイクル原料としては、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料を用いることができる。
また、使用することができるリサイクル原料は、使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体を再生処理して得られたもの以外にも、家電製品(例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)や事務用機器(例えば、複写機、ファクシミリ、プリンターなど)から分別回収された非発泡のポリスチレン系樹脂成形体を粉砕し、溶融混練してリペレットしたものを用いることができる。
【0038】
なお、前記発泡剤についても特に限定はされないが、例えばノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン等を単独もしくは2種類以上混合して使用することができる。また、前記ペンタン類を主成分として、ノルマルブタン、イソブタン、プロパン等を混合して使用することもできる。
特にペンタン類は、ノズルから水流中に吐出される際の粒子の発泡を抑制しやすいので好適に用いられる。
また、発泡性樹脂粒子を形成させるための材料としては、前記ポリスチレン系樹脂や前記発泡剤以外に、着色剤やその他の添加剤を必要に応じて適宜採用させ得る。
さらに、ポリスチレン系樹脂発泡剤、添加剤の配合も発泡性樹脂粒子の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0039】
次いで、本実施形態に係るポリスチレン系発泡性樹脂粒子(発泡性樹脂粒子)の製造方法について説明する。
造粒装置Tを用いて発泡性樹脂粒子を作製するには、まず、造粒用ダイス1を先端に取り付けた押出機2にホッパー21からポリスチレン系樹脂を供給するとともに発泡剤供給口22から高圧ポンプ23によって発泡剤を所定の圧力で押出機2に圧入してこれらの溶融混練を実施する。
【0040】
なお、本実施形態においては、実際に発泡性樹脂粒子を作製する前に、押出機2の運転を実施して前記溶融混練を行いつつも得られた溶融ポリスチレン系樹脂20を前記樹脂流路14の側に供給せずに前記ダイバータバルブ13の第二流路11dを通じて機外に排出させ続ける準備工程を実施する。
即ち、前記樹脂流路14及び前記ダイス孔15に溶融ポリスチレン系樹脂20を内在させず空の状態で押出機2による溶融混練のみを実施する。
この準備工程は、押出機2の温度や発泡剤の圧力等の押出機側の条件、及び、カートリッジヒーター17や短ヒーター18によるダイス本体10の加熱状態等が安定するまで実施し、これらの条件が安定した時点で発泡性樹脂粒子を製造する造粒工程に移行する。
【0041】
この造粒工程は、まず、前記ダイバータバルブ13を操作してその第一流路11cを後端側流路11aと先端側流路11bとの間に移動させて溶融ポリスチレン系樹脂20を樹脂流路14側に供給させるとともに前記チャンバー4に水を導入させ、且つ、カッター3を始動させることで開始される。
即ち、前記ダイバータバルブ13の第一流路11cが後端側流路11aに接続されることにより、それまで機外に排出されていた溶融ポリスチレン系樹脂20が樹脂流路14を通じてダイス孔15から水中に押出され、カッター3によって切断されて発泡性樹脂粒子が作製されることになり、造粒工程が開始されることになる。
【0042】
この造粒工程においては、水によって冷却されたポリスチレン系樹脂がダイス孔15の内部や開口部周辺に付着して複数のダイス孔15の内のいくつかを閉塞させたり、溶融ポリスチレン系樹脂20の流れを弱めたりするおそれがあるが、本実施形態においては、前記準備工程における樹脂圧を造粒工程の樹脂圧の10%以上となるようにすることでこのダイス孔15の閉塞を防止する。
即ち、準備工程において前記第2の測温体19Bで測定される樹脂圧を造粒工程での樹脂圧の10%以上にしておくことで造粒工程に移行した後、樹脂流路14やダイス孔15における樹脂圧を素早く上昇させ、ダイス孔15の閉塞を防止するものである。
【0043】
この準備工程における樹脂圧の調整は、ダイバータバルブ13の第二流路11dへの穴開き栓11nの装着によって実施することができ、要すれば、穴開き栓などを用いることなく、単にダイバータバルブ13の開度によって調整することもできる。
なお、樹脂圧は、準備工程の全ての期間を通じて造粒工程の10%以上を維持させる必要はなく、溶融ポリスチレン系樹脂20の流路を第二流路11dから第一流路11cに切り替えて造粒工程に移行する直前(例えば、1分前)において造粒工程移行直後(流路切り替え直後)の10%以上になっていればよい。
【0044】
なお、この準備工程、及び、造粒工程においては、ダイス本体10の温度が溶融ポリスチレン系樹脂20の温度より115℃〜200℃高い範囲となるように、各ヒーターをオンオフ制御することによってダイス本体10の温度制御を行い、冷却媒体である循環水の温度は、10〜60℃に調節しておくことが好ましい。
ここで、「溶融ポリスチレン系樹脂の温度」とは、押出機2の先端からダイホルダ11に流入してきた溶融ポリスチレン系樹脂20の温度であり、第2の測温体19Bにより測定される温度である。
【0045】
このように、ダイス本体10の温度が溶融樹脂温度より115℃〜200℃高くなるように、好ましくは120℃〜180℃高くなるように、より好ましくは120℃〜180℃高くなるように温度制御することによって、水中ホットカット法による発泡性樹脂粒子の製造において、小粒で粒径の揃った発泡性樹脂粒子を連続生産することができる。
また、前記条件で造粒を行うと、得られる発泡性樹脂粒子内部のボイドが少なくなり、その発泡性樹脂粒子を型内発泡成形して製造した発泡成形体の機械強度を向上させることができる。
【0046】
これは、ダイス本体の温度が溶融ポリスチレン系樹脂温度+115℃未満であると、発泡性樹脂粒子を連続生産する際に、ダイス孔15が閉塞しやすくなって各ダイス孔15から一定時間に押出される溶融ポリスチレン系樹脂の量に差が出来てしまい粒径の揃った発泡性樹脂粒子を連続生産することができなくなるおそれがあるためである。
また、ダイス本体10の温度が溶融樹脂温度+200℃を超えると、得られる発泡性樹脂粒子が微発泡し、小粒で粒径の揃った粒子を連続生産することができなくなるおそれがあるためである。
【0047】
また、冷却媒体である循環水の温度が上記条件であることが好ましいのは、10℃未満であると、循環水による樹脂吐出面10fからの奪熱が大きくなり、造粒用ダイス1の温度保持が難しくなるためである。
一方、循環水の温度が60℃を超えると、カットされた樹脂の冷却が不十分となり、発泡性樹脂粒子に発泡を生じさせてしまうおそれを有するためである。
このようなことから循環水の温度は、好ましくは20℃〜40℃の範囲であり、より好ましくは25℃〜35℃の範囲である。
【0048】
このようにしてチャンバー4内で粒状に切断された溶融ポリスチレン系樹脂20は、ほぼ球形の発泡性樹脂粒子となり、該発泡性樹脂粒子は、水流に従って管路5内を搬送され、脱水処理部8に達し、ここで循環水から分離され、脱水・乾燥される。
なお、分離した水は水槽7に送られ、この脱水処理部8で分離され、脱水・乾燥した発泡性樹脂粒子は、容器9に送られてこの容器内に収容される。
【0049】
このようにして作製する発泡性樹脂粒子としては、従来の製造方法において粒径のそろったものが得られ難く、本発明の効果がより顕著に発揮され得る点において、平均粒径2mm以下の発泡性樹脂粒子が好適である。
また、この平均粒径2mm以下の発泡性樹脂粒子は、自由空間内で加熱して予備発泡し、この予備発泡粒子を所望の形状のキャビティを有する成形型のキャビティ内に入れ、蒸気加熱して予備発泡粒子どうしを融着させた後、離型して所望形状の発泡樹脂成形体を製造するのに好適なである。
【0050】
本実施形態においては、前述した通り、準備工程を所定の樹脂圧で実施することから、水中カット式造粒機を用いて発泡性樹脂粒子を作製するのに際し、平均粒径2mm以下の発泡性樹脂粒子を作製可能な小径なダイス孔を有するダイスを用いても粒径の揃った発泡性樹脂粒子を連続生産することができる。
また、本実施形態に係る製造方法により得られる発泡性樹脂粒子は、粒子内部のボイドも抑制することができるために、得られた発泡性樹脂粒子を型内発泡成形して製造した発泡成形体の機械強度を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態に係るポリスチレン系樹脂粒子の製造方法においては、詳細な製造条件は、使用する樹脂のグレードや発泡剤の種類などに応じて適宜設定できるが、好ましい製造条件として次の項目が挙げられる。
(1)ダイス孔15の孔径は、0.2mm〜2.0mmの範囲が好ましく、0.3mm〜1.0mmの範囲がより好ましく、0.4mm〜0.7mmの範囲がさらに好ましい。
(2)得られる発泡性樹脂粒子の平均粒径は、0.3mm〜2.0mmの範囲が好ましく、0.5mm〜1.4mmの範囲がより好ましく、0.7mm〜1.2mmの範囲がさらに好ましい。
(3)用いるポリスチレン系樹脂の重量平均分子量Mwは12万〜40万の範囲が好ましく、12万〜27万の範囲がより好ましい。また、用いるポリスチレン系樹脂は、JIS K7210(B法、試験温度200℃、荷重49.03N)に基づくメルトマスフローレイト(MFR)が5g/10min〜10g/minのものが好ましい。
(4)発泡性樹脂粒子中の発泡剤含有量は、1〜10質量%の範囲が好ましく、3〜8質量%の範囲がより好ましく、4〜7質量%の範囲がさらに好ましい。
(5)発泡剤は、ノルマルペンタン、イソペンタン、又はこれらの任意の割合の混合した混合ペンタンが好ましい。
混合ペンタンの場合、その組成は質量比でイソペンタン:ノルマルペンタン=10:90〜80:20の範囲が好ましく、イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80〜60:40の範囲がより好ましい。
【0052】
このような条件を選択することにより、ダイス孔の閉塞をより確実に抑制することができ、均質で発泡性に優れたポリスチレン系発泡性樹脂粒子を、連続生産することができ、例えば、48時間以上の連続生産においてもダイス孔の開孔率の減少を50%以下に抑制させることができ、得られるポリスチレン系発泡性樹脂粒子の平均粒径の変化率を20%以下に抑制させることができる。
【実施例】
【0053】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
(実施例1)
実施例1では、図2に示すようなダイバータバルブを有し、直径0.6mm、ランド長3.0mmのダイス孔を80個備えたダイスを有する水中カット式造粒機を用い、しかも、前記ダイバータバルブの機外排出側の樹脂流路の出口に口径3mm、ランド長15mmの貫通孔を有する穴開き栓を装着し、該樹脂流路を通じて押出機からダイに供給される溶融ポリスチレン系樹脂を機外に排出させるようにダイバータバルブをセットした水中カット式造粒機を用いた。
また、前記ダイスを取り付ける押出機として、口径65mm−50mmのタンデム型押出機が備えられた水中カット式造粒機を用いた。
【0055】
まず、前記ダイスのダイス孔部分の温度が300℃となるようにヒーターによる温度調整を実施するとともに押出機の温度調整を実施した。
具体的には、上流側の押出機を下流側の押出機に比べて高温にセットして発泡剤の溶解性を高めた状態にし、最終的に前記ダイスに175℃の樹脂温度で溶融樹脂が供給されるように押出機の温度設定を行った。
【0056】
この押出機に、ポリスチレン樹脂(東洋スチレン社製、商品名「HRM10N」、ビカット軟化点温度102℃、MFR=7.9g/10min)100質量部に対してタルクマスターバッチ(ポリスチレン樹脂31.5質量%、タルク65質量%、ステアリン酸モノグリセライド3.5質量%)が0.5質量部の割合となるようにタンブラーミキサーで予めドライブレンドした混合ペレットを、48kg/hの割合で供給し、第一段目の押出機でポリスチレン樹脂を加熱溶融させた。
その後、発泡剤としてイソペンタンを、ポリスチレン樹脂100質量部に対する割合が6質量部となるように前記押出機に圧入し、前記ポリスチレン樹脂などとともに溶融混練して前記ダイスに供給し、前記ダイバータバルブの樹脂流路を通じて機外に排出させた(準備工程)。
【0057】
なお、このとき穴開き栓を排出口に装着させたことでダイス入り口における樹脂圧は5.1MPaとなっていた。
【0058】
押出機の温度や、発泡剤の圧力等が安定した段階で、ダイスの前方に装着させたチャンバー内でカッターを運転させ、前記ダイバータバルブによる溶融ポリスチレン樹脂の流路を切り替えるとともに前記チャンバーに0.4MPaの水圧を有する40℃の水を12m3/h循環させて造粒工程を開始した。
なお、この時の樹脂圧は13.5MPaであった。
【0059】
この造粒工程を開始した直後に健全な状態ダイス孔がいくつあるかを計測した。
なお、計測に際しては、一定時間当たりにおけるカッターでの切断回数(回転数(rpm)×刃数)を「X」とし、一定時間に得られる発泡性樹脂粒子の数を「N(個/分)」として、下記式により求めた。

健全なダイス孔の数(開口数)=N/X

ただし、一定時間に得られる発泡性樹脂粒子の数「N(個/分)」については、一定時間の溶融ポリスチレン系樹脂吐出量「M(kg/分)」を発泡性樹脂粒子の平均質量「m(kg/個)」で除して求めた(N=M/m)。
また、発泡性樹脂粒子の平均質量「m(kg/個)」は、無作為に100個の発泡性樹脂粒子を数え採り、その質量「Mx(kg)」を個数で除して求めた(m=Mx/100)。
【0060】
その結果、68個のダイス孔によって発泡性樹脂粒子が作製されており、ダイス孔の開口率が全体の85%(68個/80個×100%)に及ぶことが確認できた。
また、同様にして、24時間後の開口率を確認したところ60%(閉塞されていないダイス孔48個)であることが確認できた。
【0061】
(実施例2、3、比較例1、2)
準備工程においてダイバータバルブに装着する穴開き栓の穴径を変更することにより、樹脂圧を変更させたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を作製し、開口数、及び、開口率を測定した。
【0062】
(実施例4)
押出機を口径90mmのシングル押出機に変更したこと、該押出機からのダイスに供給する溶融ポリスチレン系樹脂の量を170kg/hとしたこと、直径0.6mm、ランド長3.0mmのダイス孔を200個備えたダイスを用いたこと、及び、チャンバーの循環水量を18m3/hとしたこと以外は、実施例1と同様にして発泡性樹脂粒子を作製し、開口数、及び、開口率を測定した。
なお、この実施例4の準備工程での樹脂圧は1.4MPaとした。
【0063】
以上の結果を、下記表1に示す。
【表1】

【0064】
この表からも、準備工程における樹脂圧が、造粒工程における樹脂圧の10%を下回った場合に極端にダイス孔の閉塞が生じることがわかる。
即ち、本発明によれば、水中カット式造粒機を用いて均質なポリスチレン系発泡性樹脂粒子が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0065】
1:水中カット式造粒機、3:カッター、4:チャンバー、10:ダイス、13:ダイバータバルブ、15:ダイス孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダイス孔を有するダイスと、該ダイスに溶融樹脂を供給する押出機とを備え、前記ダイスがダイバータバルブを有し、該ダイバータバルブが、前記押出機から供給される溶融樹脂を前記ダイス孔に供給する第一の流路と機外に排出する第二の流路とを有している水中カット式造粒機を用い、発泡剤を含有する溶融ポリスチレン系樹脂を前記押出機から前記ダイスに供給しつつ前記第二の流路を通じて機外に排出させる準備工程を実施し、該準備工程後に、前記溶融ポリスチレン系樹脂の流路を前記第一の流路に切り替えてポリスチレン系発泡性樹脂粒子を作製するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法であって、
前記第一の流路への切り替え前の前記溶融ポリスチレン系樹脂の樹脂圧が、前記切り替え後の10%以上となるようにして前記準備工程を実施することを特徴とするポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
製造するポリスチレン系発泡性樹脂粒子の平均粒径が2mm以下である請求項1記載のポリスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−207093(P2012−207093A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72767(P2011−72767)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】