説明

ポリテトラフロロエチレンへ炭素微粒子をしみ込ませる方法

【課題】ポリテトラフロロエチレンまたは架橋ポリテトラフロロエチレンに炭素の微粒子を浸透拡散させる。
【解決手段】ポリテトラフロロエチレンまたは架橋ポリテトラフロロエチレンを、表面に炭素の微粒子を接触させた状態で、330℃から360℃の温度範囲に加熱して炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンの中に拡散浸透させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフロロエチレンまたは架橋されたポリテトラフロロエチレンへ炭素の微粒子をしみ込ませる方法、およびポリテトラフロロエチレンまたは架橋されたポリテトラフロロエチレンと炭素の微粒子の複合化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフロロエチレンは化学的に安定であり、他の物質との相溶性が悪いことが知られている。そのために、油性あるいは水性の塗料でポリテトラフロロエチレンに絵や文字などを書き込むことは困難である。
【0003】
ポリテトラフロロエチレンは、他の材料と接着しにくいので、ポリテトラフロロエチレンで鋳型を作り得れば、それを雌型として他の材料を溶融あるいは溶解状態でこの中に流し込み、固化あるいは乾燥後雌型からはがせば、容易に雄型を作成できる。ここで、任意の形状の図形の鋳型を作成するために光の照射によって必要な個所を分解すればよい。しかし、ポリテトラフロロエチレンは、分解温度が有機材料の中では高いうえ、色が乳白色であるために光の吸収効率が良くない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンに接触させ、加熱することにより炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンにしみ込ませる。
【発明の効果】
【0005】
本方法によってポリテトラフロロエチレンに任意の文字や図を炭素の微粒子を浸透させることができる。
【0006】
炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンに接触させ、加熱することにより炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンにしみ込ませることができるので、加熱時間を調節することによって炭素微粒子のしみこむ深さを調節することができる。適度の深さまでに炭素粒子が拡散した試料を作り、ここに光を照射すれば光は炭素によって吸収されるのでポリテトラフロロエチレンのみの場合に比較して光の吸収量が格段に大きくなり、光の密度が高ければ光を吸収した部分は高温となり、分解する。これを利用して、任意の図形をポリテトラフロロエチレンに刻み込むことができるので、図形が刻み込まれたポリテトラフロロエチレンを鋳型として利用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンへ炭素の微粒子に接触させた状態で、加熱することによって炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンに浸透拡散させる。
【実施例】
【0007】
ポリテトラフロロエチレンをローソクから出る煙に暴露し、煤をポリテトラフロロエチレンの表面に付着させてから、340℃の空気恒温槽の中に間置いた。10分後に空気恒温槽から取り出すと煤の一部はポリテトラフロロエチレンの中に浸透し、水、テトラヒドロフラン、エチルアルコールで洗浄しても炭素微粒子による黒色は消えなかった。また、消しゴムでこすっても黒色は消失せず、炭素微粒子がポリテトラフロロエチレンの内部に浸透していることが認められた。
【0008】
金属表面にローソクから出る煤を付着し、この金属とポリテトラフロロエチレンを密着して、340℃に加熱した空気恒温槽の中に置いた。10分後に取り出すと金属板の表面に付着した炭素微粒子の一部はポリテトラフロロエチレンに浸透し、ポリテトラフロロエチレンの表面から内部にかけて黒色となった。この色は、水、テトラヒドロフラン、エチルアルコールで洗浄しても炭素微粒子による黒色は消えなかった。また、消しゴムでこすっても黒色は消失せず、炭素微粒子がポリテトラフロロエチレン内部に拡散浸透していることが確認された。
【0009】
ポリテトラフロロエチレンを340℃に加熱し、ここにローソクから出る煤を10分間接触させた。試料を室温にしてから観察すると、ポリテトラフロロエチレンの表面から内部にかけて黒色となっていた。この色は、水、テトラヒドロフラン、エチルアルコールで洗浄しても炭素微粒子による黒色は消えなかった。また、消しゴムでこすっても黒色は消失せず、炭素微粒子がポリテトラフロロエチレン内部に拡散浸透していることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンに炭素微粒子を接触させた状態で、試料を330℃から360℃の温度範囲に加熱することによって、試料内部に炭素の微粒子を拡散浸透させることを特徴とする、ポリテトラフロロエチレンおよび架橋されたポリテトラフロロエチレンへの炭素微粒子の拡散浸透方法。
【請求項2】
炭素の微粒子を付着させた材料を、ポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンに、炭素の微粒子の面をポリテトラフロロエチレンまたは架橋ポリテトラフロロエチレンに接触させて、330℃から360℃の温度範囲に加熱して炭素の微粒子をポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンに拡散浸透させる方法。
【請求項3】
ポリテトラフロロエチレンもしくは架橋されたポリテトラフロロエチレンを330℃から360℃の温度範囲において炭素微粒子と接触させることによって得られるポリテトラフロロエチレンまたは架橋されたポリテトラフロロエチレンと炭素微粒子の複合組成物。

【公開番号】特開2009−179792(P2009−179792A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48706(P2008−48706)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(508061653)
【Fターム(参考)】