説明

ポリデキストロースを含有する急速に分散する組成物及びその製造方法

【目的】 液体中での向上した分散性を有するポリデキストロース含有製品を提供する。
【構成】 1またはそれを越える薬剤及び/または化粧成分をポリデキストロースと溶融紡糸して得られるマトリックスを含む医薬組成物及び化粧料組成物並びにその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリデキストロース含有物質及びそれを製造する方法に関する。更に詳しくは、本発明は、急速に分散するポリデキストロース含有薬剤または化粧料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】普通に譲渡された米国特許第 4,855,326号及び第 4,873,085号において、薬学的及び/または化粧特性を有する多様な活性剤が、砂糖またはセルロース系物質の如き容易に水に溶ける溶融紡糸可能な材料と混合された。これら材料を伴う活性剤溶融糸は増大した溶解性を示す。普通に譲渡された米国特許第 5,011,532号及び第 5,096,492号には、砂糖及び溶融糸と混合された油性物質の例が記載されている。該溶融糸製品は水に容易に分散して、コロイド状または疑似コロイド状分散体を形成する。米国特許第 5,011,532号は、本来水と僅かしかまたは全く親和性を持たない、植物油、鉱油、ベビーオイル、マーガリン、ラノリン、ココアバター等の如き油性物質が、この油性物質を砂糖と混合してその混合物を綿菓子紡糸機またはその等価物中で溶融紡糸することによって変えられたこの特性を、如何にして有することができるかを説明している。米国特許第 5,011,532号のこの開示は、参照によって本明細書中に含まれる。
【0003】1またはそれを越える砂糖と紡糸する物質を取り扱っている本発明者らの開示は、普通に譲渡された米国特許第 4,873,085号;第 4,997,856号;第 5,028,632号及び第 5,034,421号に見られる。一般にこれら開示のそれぞれは、綿菓子紡糸機の中に砂糖と種々の成分を導入することによって砂糖を溶融紡糸することに向けられている。かかる装置は、普通、約200℃の温度及び約3,500rpm の速度で運転される。かかる装置での溶融紡糸は、高い結晶化度並びに高い物理的及び化学的不安定性の如きスクロースの一定の特性に依拠している。3つの特許に開示された紡糸製品は、紡糸繊維のフロスまたは塊の形状をとるものと記載されている。上記で議論した製品は急速に分散しかつ密に固められたものでさえあるが、該紡糸製品の取扱いを容易にする別の形状の紡糸製品を提供することが望まれてきた。特に、より動かし易く、注ぎ易く、かつ、他の固体と混合し易い等の形状の紡糸製品を提供することが望まれてきた。そのような別の形状は、そのマトリックスを種々の品物または最終製品に含める場合に、後の加工でより高い効率をもたらすことになる。
【0004】溶融紡糸された製品の形態を変更するための努力は、スクロースについて別の形状を見出すことに集中してきた。スクロース以外のまたはスクロース低含量のサッカライドを紡糸する試みは、その大部分が不成功に終わった。キャリアー成分としてスクロースをあまり有さないか全く有さない供給原料は、特に商業スケールで溶融紡糸の間に炭化し一般に加工不能である。溶融紡糸法にとって、スクロースは供給原料中の重要な成分であるというのが技術者の信ずるところであった。ポリデキストロースは、非スクロースであって本質的に非栄養炭水化物代用品である。ポリデキストロースは、ポリカルボン酸触媒及びポリオールの存在下でグルコースを重合することによって製造することができる。一般に、ポリデキストロースは、3つの形態、即ち、粉末状の固体であるポリデキストロースAとポリデキストロースK、及び70%溶液として供給されるポリデキストロースNの形態で商業的に入手可能であることが知られている。これら製品のいずれも、グルコース、ソルビトール及び一定のオリゴマーの如き幾つかの低分子量成分を含有している。
【0005】かつて、ポリデキストロースに関する興味の殆どは、多様な食用組成物における用途に集中していた。例えば、ポリデキストロースは、スクロースの約4分の1のカロリーしか有さないので、低カロリー増量剤として、または多くの低カロリー食品若しくは軽食品の一部として、食品技術において興味をそそってきた。該材料の用途に関連した非食品は大きく無視されてきた。不運にも、ポリデキストロースの分散する能力及び異なる製品中でのその用途は、ある物理的及び化学的現象によって制限されてきた。殆どのサッカライド製品とはちがって、それは比較的非反応性であり混合及び分散に対して物理的に抵抗性である。技術者は、食品及び他の製品中での砂糖の効用を高めるために砂糖を加工することができたが、ポリデキストロースはこれまで多方面で利用できるようには思われていなかった。従って、上記に言及した技術的及び加工上の困難性は、技術者がポリデキストロース及びポリデキストロース含有材料を使用するのを妨げてきた。もし、特に分散性及び溶解性の分野においてこれら困難性が克服されたならば、技術者はスクロース以外の有用な選択物を得るであろう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、液体中での向上した分散性を有するポリデキストロース含有製品を提供することにある。本発明の他の目的は、以下の記載中に示されており、本発明の範囲は添付の請求項中で指摘されるであろう。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、薬剤及び/または化粧料の如き1またはそれを越える添加物を含むポリデキストロース供給原料を溶融紡糸することによって製造されたポリデキストロース含有製品を包含する。本発明のポリデキストロースマトリックスは、固体及び液体中で容易に分散する。容易に分散するとは、溶融紡糸されていないポリデキストロース含有供給原料と比較した場合に、該ポリデキストロースマトリックスが低い機械的混合力で混合され得ることを意味する。多数の物質がポリデキストロースと溶融紡糸され得、向上した分散性と溶解性を製品全体に付与する。これら製品は、医薬製品、化粧料及び多様な他の製品を包含する広範な用途を有している。本発明は、また、広範な溶融紡糸されたポリデキストロース含有製品を製造する新規な方法をも包含する。該製品は、ポリデキストロースとアジュバント物質を混合して供給原料を形成し、該供給原料を溶融紡糸して該製品を回収することによって製造される。更に、その方法は、溶融紡糸されたマトリックスに追加の成分を導入して、医薬品、薬剤、化粧料等を製造する工程を包含する。
【0008】本発明の結果として、有用な非スクロース含有マトリックスが供給される。この別の形態は、通常、フロス及び/または繊維の形態である、スクロースを主成分とするマトリックスだけのものを越える増量特性及び分散特性を提供することを可能にする。かくして、多方面で利用できるマトリックスを、単独でまたは他の成分と組み合わせて簡単に使用し、化粧料または医薬製剤を形成することができる。また、他の態様においては、局所ローション(topical lotion)、摂取可能な液体、錠剤、カプセル等の一部として簡単に包含され得る。これらポリデキストロース含有材料の応用は膨大である。その結果、薬剤及び化粧料技術者に、特に、使用可能な媒体中において特定の物質の高い分散性が必要である場合に、医薬、化粧料または工業的システムを有意に高めるために使用することのできる新しい用具を授ける。
【0009】本発明は、ポリデキストロース及び1またはそれを越えるアジュバント物質を使用する組成物及び方法であって、新規な製品を提供するものである。特に、溶融紡糸が、多様な物理的及び場合によっては明白な化学的特性の変化を可能にする。かくして、ポリデキストロース及びそれを含有する製品は、水性及び非水性媒質中での溶解性、湿潤性、及び/または分散性に関して変化され得る。更に、ポリデキストロースの疎水的及び/または疎油的特性が変性され、薬剤及び/または化粧料の如きここに記載した新規な製品を提供することができる。ある態様においては、本発明の製品は、凍結乾燥品の代わりに使用することができる。ポリデキストロースの固体形態は粉ミルクのような形態である。そういうものであるから、分散または溶解するのは難しいといえる。水または水性液体中にそれを導入するには激しい攪拌が必要であり、塊になるか分散困難な凝集塊、即ち「魚の目(fish-eye)」現象になり得る。これに対して、本発明の溶融紡糸ポリデキストロース含有製品は、僅かな機械的攪拌でまたは機械的攪拌なしに水性液体中に分散する。かくして、本発明の溶融紡糸ポリデキストロース含有製品は、凝集塊になり及び乾燥状態で流動性がない等の一定の加工困難性を克服する。更に、本発明の新規な溶融紡糸ポリデキストロース含有組成物は、高い分散特性に加えて、該マトリックス中に混合された1またはそれを越える成分を保持してそれを経時的に放出するのに使用できる。
【0010】上記したように、本発明の製品は、溶融紡糸操作によって製造される。好ましい溶融紡糸方法は、砂糖から綿菓子またはフロスの製造に適用されるような装置を使用する方法である。かかる装置の例は、オハイオ州のシンシナティにあるゴールド・メダル・プロヅクツ・カンパニーによって生産されているエコノ・フロス・マシーン・モデル3017である。本明細書の記載から、類似の剪断力と時間/温度勾配条件を供給する如何なる装置または物理的方法も使用できるということを、当業者は理解できるであろう。本発明を開示し記載するのを簡略化するために、「溶融紡糸」という用語は、綿菓子型機械において使用されるタイプの温度、剪断、流れ、流速、機械力及び温度勾配の組み合わせを包含するフラッシュフロープロセス(flash flow process)を意味するものと理解されるであろう。該装置は、フラッシュフローを可能にするが、加工が行われる原料を劣化させない温度と速度で運転される。
【0011】該フラッシュフロープロセス(またはそれに匹敵する条件)は、キャリアー物質または何らかのアジュバント物質の分解を伴うことなしに、該キャリアー物質(ここではポリデキストロース)の構造を変化できる充分な内部流を提供する。内部流は、該物質の基盤構造が充分に壊れて、粒子に近いレベル、おそらくは分子レベルでの物質の運動が可能である場合に起こる。分子レベルで、内部流はお互いに相対的な分子の運動を起こす。物質の内部流は、一般に融点またはガラス転移温度と関係している。しかしながら、本発明では、熱及び外力を組合わせた適用は、殆どの組成物について、融点及びガラス転移温度を下回る温度で内部流を生み出すのに充分である。本発明のマトリックスにポリデキストロースを含めることによって得られる重要な利点は、ポリデキストロースを含有する混合物が多くの他の物質の温度よりもかなり低い温度で紡糸され得る点にある。例えば、ポリデキストロースは、スクロースが約200℃の温度で紡糸されるのに比して、約140℃で紡糸される。従って、ポリデキストロースは、何らかの劣化が起こる前にマトリックスを形成するのを可能にする短い滞留時間に加えて、より低い加工温度を可能にするという追加の利点を提供する。ポリデキストロースを含めることに関連する追加の利点は、生成するマトリックスが、粒子、フレーク、針状体等の形状であり得る点であり、これは、フロスまたは紡糸繊維の如きスクロースを主成分とする形状よりも実質的な利益を与える。これら選択可能な形態は、後の加工及び混合をより容易に行うことを可能にする。
【0012】本発明の1つの態様においては、ポリデキストロースと共に含まれるアジュバント物質は、薬剤関連物質である。かかる成分の好適なカテゴリーは広範である。例示的なカテゴリー及び具体例には以下のものがある。
(a) デキストロメトルファン及び塩酸クロルフェジアノール(chlorphedianol)の如き鎮咳剤;
(b) マレイン酸クロルフェニラミン及びテルフェナジンの如き抗ヒスタミン剤;
(c) フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン及びエフェドリンの如き充血緩和剤;
(d) コデイン及びモルヒネの如き種々のアルカロイド;
(e) 塩化カリウムの如き無機補助剤(mineral supplement);
(f) 緩下剤、ビタミン及び制酸剤;
(g) コレスチラミン(cholestyramine)の如きイオン交換樹脂;
(h) 抗コレステロール血症剤(anti-cholesterolemic)及び抗脂肪剤(anti-lipid agent);
(i) N−アセチルプロカインアミドの如き抗不整脈剤;
(j) アセトアミノフェン、アスピリン及びイブプロフェンの如き解熱剤及び鎮痛剤;
(k) 塩酸フェニルプロパノールアミンまたはカフェインの如き食欲抑制剤;
(l) グアイフェネシン(guaifenesin)の如き去痰剤;
(m) ジアゼパムの如き抗不安剤;及び(n) スクラルフェート(sucralfate)の如き抗潰瘍剤。
【0013】他の活性成分には、抗炎症物質、冠状血管拡張剤、脳血管拡張剤、抹消血管拡張剤、抗感染剤、向精神薬、抗うつ剤、興奮剤、胃腸薬、鎮静剤、抗下痢製剤、抗扁桃炎剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、片頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍剤、抗凝固剤、抗血栓剤、催眠薬、抗嘔吐剤、抗催吐剤、抗痙攣剤、神経筋薬、高血糖及び低血糖剤、甲状腺製剤及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙剤、子宮弛緩剤、ミネラル及び栄養添加剤、抗肥満薬、同化剤(anabolic drug)、赤血球増殖剤(erythropoietic)、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液分解薬、抗尿酸症剤(anti-uricemic drug)及びそれらの混合物があるが、これら成分に限定されるものではない。本発明で意図される薬剤は、該薬剤を水性液体中に分散すること及び/または活性物質の望ましくない味を隠すことが望ましい場合に使用するのに特に好適である。一般に、該薬剤をポリデキストロースと混合し溶融紡糸して該薬剤製品を得る。不快な薬剤の風味も、紡糸前の混合物に風味剤及び/またな甘味料を添加することによって、必要に応じて、隠すかまたは変化させることができる。上記の薬剤は、薬学的に許容されかつ効果的であると知られている量で、本発明の医薬組成物中に含まれ得る。
【0014】本発明の別の態様においては、ポリデキストロースと共に含まれるアジュバント物質は化粧関連成分である。化粧成分は、皮膚美化活性及び/または顔色関連活性を有する化粧料原料である。かかる製品は、髪の毛、皮膚またはその両方に外用することができる。外見をよくする化粧活性を有する成分には、ジメチルシロキサン類、ムコポリサッカライド類、メチル及びプロピルパラベン類、ビオチン、ラノリン、アロエ、グリセリン、鉱油、ニコチンアミド化合物類、p−アミノ安息香酸の如き日焼け止め、ヘアーコンディショナー、モイスチャライザー、モイスチャライジングクリーム、アストリンゼント、タルクの如きパウダー及びそれらの組み合わせがあるが、これらに限定されるものではない。上記の溶融紡糸態様のそれぞれにおいて、薬剤または化粧成分は、(1) マトリックス内、(2) マトリックスに加えて、または(3) マトリックスの内部及び外部の両方に含めてもよい。
【0015】本明細書の記載から、当業者には、ポリデキストロース及び主要な活性成分と共に追加の物質を含んでもよいことが理解できるだろう。かくして、着色剤、染料、顔料、酸化防止剤、防腐剤及び類似の成分を、マトリックス及び該マトリックスが含まれる製品の両方に添加してもよい。かかる物質は、本明細書の記載によって製造され記載された製品の外観、臭い、保存寿命または他の特性を向上するのに役立つ。更に、最終製品は、各最終用途に特に適したアジュバント物質をも含有することができる。マトリックス中に含まれる全物質の性質及び量は大きく変動する。例えば、ポリデキストロースは単独で紡糸可能であるということを理解しなければならない。従って、一般に、ある所定の組成物中に含まれ得るポリデキストロースの限界は、ホストマトリックス−キャリアー及びゲスト活性物質の望ましい形態及び性質に間に合うよりも多いものである。マトリックス及び/または該マトリックスを含有する製品中に含まれる活性物質の量は、その活性物質及び望まれる治療、化粧効果を得るのに要求される量に依存する。従って、マトリックス及び該マトリックスを含有する最終製品を作り上げる物質の正確な量は、当業者の水準の範囲内である。とはいえ、一般に、活性物質の量は、組成物全量の約80重量%以下、好ましくは20〜80重量%である。しかしながら、上記のように、本発明の組成物は、この範囲外であってもその目的を達成することができる。
【0016】本発明の更なる態様においては、生物接着剤(bioadhesive)、分散剤、界面活性剤等の如き補助物質を、マトリックス及び該マトリックスを含有する製品、またはその両方に含めることができる。例えば、ヒドロゲルまたはポリビニルピロリドンの如き合成物質の如き生物接着剤タイプの物質が有用である。ポリアクリル酸塩及びアルギン酸塩の如き分散助剤も有用である。本発明のマトリックスとの組み合わせで有用な界面活性剤には以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:アルキルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、オキシエチレン化されたアルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸エステル塩、イソチオン酸塩類、サルコシン酸塩類、スルホ酢酸ラウリルナトリウム塩、脂肪酸−ポリペプチド縮合物、線状アルキルアリールスルホン酸塩(LAS)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、有機リン酸エステル塩の如き陰イオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム塩(SLS)、臭化セトリモニウム(cetrimonium bromide)及びポリソルベート類の如き陽イオン性界面活性剤;アルキルアミノプロピオネート、アシルエチレンジアミン類及びベタイン類の如き両性界面活性剤;オキシエチレン化及びオキシプロピレン化された誘導体並びにソルビタンエステル類、ポリオキシエチレンエステル類を包含するポリオールエステル類の如き非イオン性界面活性剤;アルキルポリグリセリド類、スルホン酸/線状アルキレート・スルホン酸塩型界面活性剤、ケイ素誘導リン酸エステル類、非オキシノール(non-oxynol)界面活性剤、トリトン界面活性剤、アルキルフェノール類。また、本発明の組成物は、野菜油、コーンオイル、ひまわり油、オリーブ油、カノラ油、鉱油、ベビーオイル、マーガリン、ラノリン、ココアバター及びそれらの混合物等の油性物質を含むことができ、その量はマトリックスを基準として約2〜20重量%、好ましくは約5〜15重量%である。
【0017】本発明の組成物による治療方法は、患った面に、本明細書に記載されたような薬剤を含有する紡糸された本発明のマトリックスを接触させることを含む。該薬剤含有マトリックスは、密になったウェハーとしてまたはある液体中に分散した後で、紡糸された形状で患った面と接触して施与される。該マトリックスを患った面に直接に貼る場合には、状態を更に悪化させることのない生物接着剤タイプの物質も含ませることができる。本明細書の記載から、本明細書に記載された全ての薬剤の投与量は、患者の要求、治療されるべき症状の重さ及び類似の事柄に依存して変動し得る。現実の最適な投与量は、当業者の水準の範囲内である。
【0018】
【実施例】以下の実施例は本発明を更に理解するのに役立つが、本発明の有効な範囲を限定することを意味するものではない。特に断らない限り、上記で言及したエコノ・フロス・マシーンが紡糸マトリックスを形成するのに使用された。運転温度は約140〜150℃であり、紡糸速度は約3,500rpm であった。
実施例1 アセトアミノフェン−ポリデキストロースマトリックス
【0019】
【表1】
成 分 重 量(g)
──────────────────────────── アセトアミノフェン 20 ポリデキストロースK 80 野菜油 40 ────────────────────────────
【0020】この実施例において、アセトアミノフェンを含有するマトリックスを製造した。全ての成分を完全に混合し紡糸した。白色の針状体様のフレークが得られた。生成したフレークのテーブルスプーン一杯分を室温で水と接触させた。即座に溶解した後、水単独よりも高い粘度を有するコロイド状分散液を形成した。非紡糸条件で、同じ量のアセトアミノフェン、ポリデキストロース及び野菜油を一緒に混合し水の入った容器に入れた。該成分は分散せず、オイルの斑点及び乾燥物質の凝集塊が残った。
実施例2〜3以下の実施例は本発明を更に例示するものである。
【0021】
【表2】
成 分 重 量(%)
実施例2 実施例3 ──────────────────────────── アセトアミノフェン 60.0 80.0 ポリデキストロース 30.0 15.0 コーンオイル 10.0 5.0 100.0 100.0 ────────────────────────────
【0022】実施例2及び3において、アセトアミノフェン溶融紡糸マトリックスを製造した。各場合において、ポリデキストロースの量が少なかったにもかかわらず、該混合物は溶融紡糸されて軽い空気のようなフレークを生成した。各フレークは水中に容易に分散した。コーンオイルは、5%と少ない量であっても、他の方法では紡糸の間に起こってしまうダストの舞い上がりを少なくすることが分かった。しかしながら、植物油の存在は必要ではなく、該成分を乾燥した粉末のように紡糸することができるということを銘記すべきである。
実施例4 抗潰瘍組成物
【0023】
【表3】
成 分 重 量(g)
──────────────────────────── スクラルフェート(粉末) 50.0 キサンタンガム 10.0 コーンオイル 25 ペパーミント油 2 ポリデキストロース−K 438 ────────────────────────────
【0024】この実施例において、スクラルフェートを含有する抗潰瘍組成物を製造した。まず、キサンタンガム、スクラルフェート及びポリデキストロースを、実質的に均一な混合物が得られるまで混合することによって、キャリアー物質を製造した。その後、コーンオイル及びペパーミント油風味剤を、混合を続けながら添加した。次いで、生成した混合物を約140℃、3600rpm で紡糸した。白色の針状体様のフレークが得られた。生成したマトリックスのテーブルスプーン一杯分を室温で水道水の入ったグラス中に添加した。即座に溶解した後、クリーム様のコロイド状分散液を形成した。生成した混合物を胃潰瘍を患っている受容者に摂取させた。本発明の組成物は胃潰瘍の痛みを劇的にかつ即座に癒した。高度に剪断され熱加工された成分の独特の組み合わせが、治療速度及び治療程度に関し顕著な効果を有したものと考えられる。
【0025】実施例5 抗潰瘍組成物
【0026】
【表4】
成 分 重 量(g)
──────────────────────────── スクラルフェート(粉末) 50 キサンタンガム 10 コーンオイル 25 ペパーミント油 2 ポリデキストロース−K 438 ────────────────────────────
【0027】この実施例において、薬剤含有マトリックスを実施例4と同様に製造した。15gのフレークを少量に水に添加し、粘稠な分散液を得た。次いで、該分散液を潰瘍を患っている受容者の口腔組織内に投与した。該組成物のヒドロゲル部分、キサンタンガムは、薬剤と共に口腔の潰瘍を患っている組織に貼り付いたままで、口腔内の潰瘍化した組織に関連する不快さを即座に癒した。
実施例6
【0028】
【表5】
成 分 重 量(g)
──────────────────────────── ココアバター 16 サマーカンドフラグランス油 16 (Samarkand Fragrance Oil) グリーソンライトミネラル油 16 (Gleason Lite Mineral Oil)
ポリデキストロース−K 160 エタノール95% 3 ────────────────────────────
【0029】成分を一緒にガラス棒で約10分間混合した。この混合物を約140℃、3600rpm で紡糸し、淡褐色のチップを得た。該淡褐色のチップをぬるま湯に即座に溶解させ、皮膚に対して非常に心地よい見事なコロイド状浴水を得た。
実施例7
【0030】
【表6】
成 分 重 量(g)
──────────────────────────── ジメチルポリシロキサン 10 ポリデキストロース−K 90 ────────────────────────────
【0031】本実施例において、上記の成分を手で混合し、次いで、クイシナルト(Cuisinart)中で4分間混合した。該混合物を約140℃、3600rpm で紡糸し、長い絹様のチップを得た。次いで、該チップを熱水中に入れ、濃いコロイド状分散液を得た。該コロイド状分散液は化粧料として使用することができ、皮膚に対して向上したのりと外観を与えた。ジメチルポリシロキサンは、多くの化粧料及びヘアーコンディショナー配合物において望ましい成分であるが、従来の技術でコロイド状分散液を形成するのは非常に難しかった。現時点で本発明の好ましい態様であると信じられるものを記載してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなしに、本発明に対して変更及び修飾を加え得ることを認識するであろう。そして、本発明の真の範囲に属する、かかる全ての変更及び修飾を特許請求することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 薬剤をポリデキストロースと溶融紡糸して得られるポリデキストロースを主成分とするマトリックスを含む医薬組成物。
【請求項2】 前記ポリデキストロースとの前記薬剤溶融糸が、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤、アルカロイド、無機補助剤、緩下剤、ビタミン、制酸剤、イオン交換樹脂、抗コレステロール血症剤、抗脂肪剤、抗不整脈剤、解熱剤、鎮痛剤、食欲抑制剤、去痰剤、抗不安剤、抗潰瘍剤、抗炎症物質、冠状血管拡張剤、脳血管拡張剤、抹消血管拡張剤、抗感染剤、向精神薬、抗うつ剤、興奮剤、胃腸薬、鎮静剤、抗下痢製剤、抗扁桃炎剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、片頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍剤、抗凝固剤、抗血栓剤、催眠薬、抗嘔吐剤、抗催吐剤、抗痙攣剤、神経筋薬、高血糖及び低血糖剤、甲状腺製剤及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙剤、子宮弛緩剤、ミネラル及び栄養添加剤、抗肥満薬、同化剤、赤血球増殖剤、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液分解薬、抗尿酸症剤及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】 追加の薬剤を更に含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】 前記追加の薬剤が、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤、アルカロイド、無機補助剤、緩下剤、ビタミン、制酸剤、イオン交換樹脂、抗コレステロール血症剤、抗脂肪剤、抗不整脈剤、解熱剤、鎮痛剤、食欲抑制剤、去痰剤、抗不安剤、抗潰瘍剤、抗炎症物質、冠状血管拡張剤、脳血管拡張剤、抹消血管拡張剤、抗感染剤、向精神薬、抗うつ剤、興奮剤、胃腸薬、鎮静剤、抗下痢製剤、抗扁桃炎剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、片頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍剤、抗凝固剤、抗血栓剤、催眠薬、抗嘔吐剤、抗催吐剤、抗痙攣剤、神経筋薬、高血糖及び低血糖剤、甲状腺製剤及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙剤、子宮弛緩剤、ミネラル及び栄養添加剤、抗肥満薬、同化剤、赤血球増殖剤、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液分解薬、抗尿酸症剤及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】 前記マトリックスが更に油性物質を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】 前記油性物質が、野菜油、コーンオイル、ひまわり油、オリーブ油、カノラ油及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】 前記油性物質が、前記マトリックスの約2〜約20重量%の量で存在する、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】 前記油性物質が、前記マトリックスの約5〜約15重量%の量で存在する、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】 前記マトリックスが、界面活性剤、分散助剤、接着促進剤、風味剤、甘味料、染料、防腐剤及びそれらの混合物からなる群の一員を更に含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】 前記界面活性剤が、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アルキルポリグリセリド類、スルホン酸/線状アルキレート・スルホン酸塩、ケイ素誘導リン酸エステル類、非オキシノール界面活性剤、トリトン界面活性剤、アルキルフェノール類及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】 前記分散助剤が、ポリアクリル酸塩及びアルギン酸塩からなる群から選ばれる、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項12】 前記接着促進剤がヒドロゲルである、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項13】 前記ヒドロゲルが、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナンガム、トラガカントガム、アルギン酸ナトリウムの如きアルギン酸塩、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】 前記接着促進剤がポリビニルピロリドンである、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項15】 界面活性剤、分散助剤、接着促進剤、風味剤、甘味料、染料、防腐剤及びそれらの混合物からなる群の一員を更に含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項16】 ポリデキストロースと薬剤を溶融紡糸することによって製造されたマトリックスを供給する工程を含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項17】 前記ポリデキストロースと溶融紡糸された前記薬剤が、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤、アルカロイド、無機補助剤、緩下剤、ビタミン、制酸剤、イオン交換樹脂、抗コレステロール血症剤、抗脂肪剤、抗不整脈剤、解熱剤、鎮痛剤、食欲抑制剤、去痰剤、抗不安剤、抗潰瘍剤、抗炎症物質、冠状血管拡張剤、脳血管拡張剤、抹消血管拡張剤、抗感染剤、向精神薬、抗うつ剤、興奮剤、胃腸薬、鎮静剤、抗下痢製剤、抗扁桃炎剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、片頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍剤、抗凝固剤、抗血栓剤、催眠薬、抗嘔吐剤、抗催吐剤、抗痙攣剤、神経筋薬、高血糖及び低血糖剤、甲状腺製剤及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙剤、子宮弛緩剤、ミネラル及び栄養添加剤、抗肥満薬、同化剤、赤血球増殖剤、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液分解薬、抗尿酸症剤及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項16記載の方法。
【請求項18】 追加の薬剤を前記マトリックスと混合する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】 前記追加の薬剤が、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、充血緩和剤、アルカロイド、無機補助剤、緩下剤、ビタミン、制酸剤、イオン交換樹脂、抗コレステロール血症剤、抗脂肪剤、抗不整脈剤、解熱剤、鎮痛剤、食欲抑制剤、去痰剤、抗不安剤、抗潰瘍剤、抗炎症物質、冠状血管拡張剤、脳血管拡張剤、抹消血管拡張剤、抗感染剤、向精神薬、抗うつ剤、興奮剤、胃腸薬、鎮静剤、抗下痢製剤、抗扁桃炎剤、血管拡張剤、抗高血圧剤、血管収縮剤、片頭痛治療剤、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍剤、抗凝固剤、抗血栓剤、催眠薬、抗嘔吐剤、抗催吐剤、抗痙攣剤、神経筋薬、高血糖及び低血糖剤、甲状腺製剤及び抗甲状腺製剤、利尿薬、鎮痙剤、子宮弛緩剤、ミネラル及び栄養添加剤、抗肥満薬、同化剤、赤血球増殖剤、抗喘息剤、咳抑制剤、粘液分解薬、抗尿酸症剤及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項18記載の方法。
【請求項20】 前記マトリックスが更に油性物質を含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】 界面活性剤、分散助剤、接着促進剤、風味剤、甘味料、染料、防腐剤及びそれらの混合物からなる群の一員を、前記マトリックス、前記組成物あるいは前記マトリックスと前記組成物のうちの一つと混合する工程を更に含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】 化粧成分をポリデキストロースと溶融紡糸して得られるポリデキストロースを主成分とするマトリックスを含む化粧料組成物。
【請求項23】 前記化粧成分が、ジメチルシロキサン類、ムコポリサッカライド類、メチル及びプロピルパラベン類、ビオチン、ラノリン、アロエ、グリセリン、鉱油、ニコチンアミド化合物類、日焼け止め、ヘアーコンディショナー、モイスチャライザー、モイスチャライジングクリーム、アストリンゼント、パウダー及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項22記載の化粧料組成物。
【請求項24】 追加の化粧成分を更に含む、請求項22記載の化粧料組成物。
【請求項25】 前記追加の化粧成分が、ジメチルシロキサン類、ムコポリサッカライド類、メチル及びプロピルパラベン類、ビオチン、ラノリン、アロエ、グリセリン、鉱油、ニコチンアミド化合物類、日焼け止め、ヘアーコンディショナー、モイスチャライザー、モイスチャライジングクリーム、アストリンゼント、パウダー及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項24記載の化粧料組成物。
【請求項26】 前記マトリックスが更に油性物質を含む、請求項22記載の化粧料組成物。
【請求項27】 前記油性物質が、野菜油、コーンオイル、ひまわり油、オリーブ油、カノラ油及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項26記載の化粧料組成物。
【請求項28】 前記マトリックスが、界面活性剤、分散助剤、接着促進剤、風味剤、甘味料、染料、防腐剤及びそれらの混合物からなる群の一員を更に含む、請求項22記載の化粧料組成物。
【請求項29】 ジメチルシロキサンを含む、請求項22記載の化粧料組成物。
【請求項30】 ポリデキストロースと化粧成分を溶融紡糸することによって製造されたマトリックスを供給する工程を含む、化粧料組成物の製造方法。
【請求項31】 前記化粧成分が、ジメチルシロキサン類、ムコポリサッカライド類、メチル及びプロピルパラベン類、ビオチン、ラノリン、アロエ、グリセリン、鉱油、ニコチンアミド化合物類、日焼け止め、ヘアーコンディショナー、モイスチャライザー、モイスチャライジングクリーム、アストリンゼント、パウダー及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項30記載の方法。
【請求項32】 追加の化粧成分を更に含む、請求項30記載の方法。
【請求項33】 前記追加の化粧成分が、ムコポリサッカライド類、メチル及びプロピルパラベン類、ビオチン、ラノリン、アロエ、グリセリン、鉱油、ニコチンアミド化合物類、日焼け止め、ヘアーコンディショナー、モイスチャライザー、モイスチャライジングクリーム、アストリンゼント、パウダー及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項32記載の方法。
【請求項34】 前記マトリックスが更に油性物質を含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】 界面活性剤、分散助剤、接着促進剤、風味剤、染料、甘味料、防腐剤及びそれらの混合物からなる群の一員を、前記マトリックス、前記組成物あるいは前記マトリックスと前記組成物のうちの一つと混合する工程を更に含む、請求項30記載の方法。