説明

ポリトリメチレンテレフタレート組成物とその製造方法

熱酸化時に発生する有害なアクロレインの発生を抑制し、かつ色調の悪化の少ないPTT組成物及び該組成物の製造法を提供する。PTTと、フェノール性水酸基(a)を有する化合物及び第2級アミン構造(b)を有する化合物、あるいはフェノール性水酸基(a)及び第2級アミン構造(b)を同時に有する化合物及び/又はこれらの変性物を含有したPTT組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明はポリトリメチレンテレフタレート組成物及びその製造方法に関する。更に詳しくは、主たる繰り返し単位がトリメチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、溶融酸化時のアクロレインの発生が抑制されたポリエステル組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
近年ポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と略すこともある)は、繊維化した場合、その低弾性率から由来する柔らかい風合、優れた弾性回復性、易染性といったナイロン繊維に類似した性質と、ウォッシュアンドウェアー性、寸法安定性、耐黄変性といったポリエチレンテレフタレート繊維に類似した性質とを併せ持つ画期的な繊維となり、その特徴を活かして、カーペットや衣料等への応用できる素材として注目され始めている。
PTTは、化学構造的に類似するポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略す)やポリブチレンテレフタレート(以下「PBT」)と略す)と同様に、テレフタル酸(以下「TPA」と略す)又はテレフタル酸ジメチル(以下「DMT」と略す)のようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルと、トリメチレングリコール(以下「TMG」と略す)とを、有機チタン化合物を触媒として少量用いて、溶融状態で重合させて得ることができる。
PTTはPETやPBTなどと同様の方法で製造することができ、しかも、PBTやPETにはない特徴をもっているために注目されてはいるが、溶融加工時に有害なアクロレインが発生することが知られている。そのため、アクロレインの発生を抑制する技術が望まれている。
アクロレインの発生を抑制する技術としては、ポリアミドのような窒素を含む有機物を溶融下でPTTと混練することが提示されている(例えば、下記特許文献1参照)。しかし、本発明者らが、この方法を実際に実施したところ、アクロレイン発生抑制効果は非常に小さいものであった。また、得られたポリマーはかなり黄色味を帯びた色調となった。
また、PTTの末端をヒンダードフェノールで封鎖することにより、アクロレインの発生を抑制する技術が提示されている(例えば、下記特許文献2参照)。しかし、この方法も特許文献1の技術と同様、本発明者らの追試によれば、アクロレイン発生抑制効果は小さいものであった。また得られたポリマーはかなり黄色味を帯びたものであった。つまり、アクロレインの抑制と色調を満足できる技術とは言い難いものであった。
このようにPTTを溶融加工する際のアクロレイン発生抑制技術において、公知の技術ではその効果が充分ではなく、また色調も黄色味を帯びた色のPTT組成物しか得られないといった問題があった。
【特許文献1】:国際公開00/58393パンフレット
【特許文献2】:国際公開98/23662パンフレット
【発明の開示】
本発明が解決しようとする課題は、溶融加工する際のアクロレイン発生が少なく、更に、PTT組成物そのものの色調及び溶融加工によって得られる製品の色調が良好なPTT組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、驚くべきことに、式(1)で表されるフェノール性水酸基を有する化合物と式(2)で表される第2級アミン構造を有する化合物、あるいは式(1)で表されるフェノール性水酸基と式(2)で表される第2級アミン構造を同時に有する化合物を添加することで、大幅にアクロレイン発生を抑制することができ、かつ着色が少ないPTT組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は下記の通りである。
1. ポリマー成分、並びに下記A成分とB成分の両方及び/又はC成分を含んでなるポリトリメチレンテレフタレート組成物であって、該ポリマー成分の10〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰返単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートである上記組成物:
A:下記式(1)で表されるフェノール性水酸基(a)を有する化合物及び/又はこれらの変性物

(式中、各Rは、C1−30アルキルから独立に選択され、そして少なくとも1つのRはフェノール性水酸基に対してオルト位にあり、Xは1から4までの整数であり、EはC5−50のヒドロカルビル又はヘテロカルビル基であり、そしてnは1から4までの整数である。)
B:式(2)で表される第2級アミン構造(b)を有する化合物及び/又はこれらの変性物

(但し、FとGとは異種又は同一種の原子であってもよいが、同一の原子ではない)
C:基(a)及び基(b)を1分子中に同時に有する化合物及び/又はこれらの変性物。
2. 成分B及びCに含まれる第2級アミン構造の合計量が、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜1.0ミリ当量であり、且つ、成分B及びCの含有量が合わせて組成物全体に対して0.001〜0.2重量%である上記1記載の組成物。
3. 成分A、B及びCの化合物が安定剤である上記1又は2記載の組成物。
4. ポリマー成分及び上記C成分を含んでなるポリトリメチレンテレフタレート組成物であって、該ポリマー成分の10〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートである上記1記載の組成物。
5. 成分Bが、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、旭電化(株)社製の重金属不活性剤の3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド及びこれらの変性物からなる群から選ばれた1種類以上である上記1〜3のいずれか一項記載の組成物。
6. 成分Cが、N,N−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール及びこれらの変性物からなる群から選ばれた1種類以上である上記1〜5のいずれか一項記載の組成物。
7. 硫黄原子を含む化合物及び/又はこれらの変性物を更に含み、該硫黄原子がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜1.0ミリモルの範囲である上記1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
8. 硫黄原子を含む化合物としてチオエーテル基を有する化合物及び/又はこれらの変性物を含む上記7記載の組成物。
9. 組成物中のポリマー成分の10〜80モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成される上記1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
10.組成物中のポリマー成分の10〜80モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートであり、90〜20モル%がポリトリメチレンテレフタレート以外の、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなる群から選ばれた1種類以上の樹脂の繰り返し単位から構成される上記9記載の組成物。
11.組成物の90〜20モル%がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート及びこれらを主成分とする共重合体からなる群から選ばれた1種類以上のポリマーである上記9記載の組成物。
12.A成分とB成分の両方及び/又はC成分を、ポリマーの重合中から反応終了後の冷却終了までの間に直接、又はトリメチレングリコールを主体とするグリコールの溶液若しくは分散液として添加することを含む上記1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
13.A成分とB成分の両方及び/又はC成分を、ポリマー混練時に混入させる上記1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
14.上記1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物を含んでなる繊維又は成形品。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明ポリトリメチレンテレフタレート組成物(以下「PTT組成物と略すこともある)に含まれるポリマー成分は、該ポリマー成分の10〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰返し単位から構成されるPTTである。該PTTには90モル%以下で1種類以上の他の成分を含有することも含む。ここで「含有」とは他の成分を共重合体の繰返し単位として含む場合や、ブレンド(場合によってはアロイとも呼ぶ)の混合成分として含む場合等のいずれをも意味する。ここでブレンドは混合した他のポリマーの一部分がPTTと結合している場合も含む。
このような共重合成分としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、3,6−ジカルボン酸ナフタレン−4−スルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、3,6−ジカルボン酸ナフタレン−4−スルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、3,5−ジカルボン酸ベンゼンスルホン酸アンモニウム塩が挙げられる。また、3,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルグルタル酸、2−メチルアジピン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等のエステル形成性モノマーが挙げられる。
また、ブレンド成分としては、PET、PBT、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類や、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとの組合せや1,4−ブタンジオールとエチレンカーボネートとの組合せなどからなるポリカーボネート類、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂環式ポリオレフィンなどのポリオレフィン類など、及びこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。脂肪族のポリアミドやポリアミンは、PTTと混ぜた場合に着色しやすいため好ましくない。このようなアロイやブレンドを調製することは、PTTが持っている特徴に加え、添加する成分の特徴をも併せ持つ画期的な組成物となる場合があり特に有用である。特に、靱性、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性を兼ね備えるポリカーボネートとPTTのブレンドや、結晶化速度を高めることができるPBTとPTTのブレンド、耐熱性、靱性、耐薬品性を兼ね備えるポリPETとのブレンドなどは特に好ましいものの代表である。
このようなアロイやブレンドを調製する場合は、組成物のポリマー成分のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と、他のポリマーの繰り返し単位がそれぞれ、10〜80モル%と90〜20モル%であることが好ましく、20〜70モル%と80〜30モル%がより好ましく、30〜70モル%と70〜40モル%が更に好ましい。
本発明のPTT組成物では上記のPTTに、上記のA成分とB成分の両方及び/又はC成分を含有させる必要がある。
まず、このうちA成分について説明する。A成分は、式(1)で表されるフェノール性水酸基(a)を有する化合物及び/又はこれらの変性物である。式中の各Rは、炭素数が1から30のアルキル基から独立に選択されるものである。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などの線状アルキル基だけでなく、tert−ブチル基などに代表される分岐構造のアルキル基も含まれる。炭素数が30を超えると、PTTとの相溶性が低下するために、アクロレイン発生抑制効果が小さくなる。また、Rがないとアクロレイン発生抑制効果は非常に小さなものとなってしまう。Rの炭素数は、好ましくは、1から20であって、更に好ましくは1から10である。
中でも、アクロレイン発生抑制の観点から、炭素数が4のtert−ブチル基が好ましい。また、少なくとも1つのRはフェノール性水酸基に対してオルト位にあり、Rの数xは1から4までの整数である。また、Eは炭素数が5から50のヒドロカルビル又はヘテロカルビル基であり、そしてnは1から4までの整数である。
なお本発明において変性物とは、ある化合物が、それをPTTに添加する際に用いる溶媒と反応したり、PTTそのものと反応したり、熱分解したり、酸素によって分解や反応したり、加水分解したり、化合物自体が重合したりして構造が変化したものを示す。
A成分としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のような安定剤及びこれらの変性物が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体的な例としては、ペンタエリストール−テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ベンゼンプロパン酸、3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ、C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。また、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサ−tert−ブチル−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6,−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス(((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホネート)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなども挙げられる。
安定剤として市販されている商品の名を挙げると、チバスペシャルティーケミカル株式会社製のIrganox1010、Irganox1035、Irganox1076、Irganox1098、Irganox1135、Irganox1141、Irganox1222、Irganox1330、Irganox1425WL、Irganox1520、Irganox245、Irganox259、Irganox3114、Irganox3790、Irganox565、(「Irganox」は商標である)などがある。
次にB成分について説明する。B成分は、式(2)で表される第2級アミン構造(b)を有する化合物及び/又はこれらの変性物である。式中、FとGとは異種又は同一種の原子であってもよいが、同一の原子ではなく、式中の窒素原子と他の原子が二重結合を形成する場合は含まない。第2級アミン構造(b)を有する化合物としては、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物(商品名:Irganox5057など)や、N,N′N″N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ−)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のChimassorb 119FL)、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のChmassorb 2020FDL)、ポリ((6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のChimassorb944FDなど)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のTinuvin770など)、旭電化(株)社製の重金属不活性剤の3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール(商品名:アデカスタブ CDA−1)、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド(商品名:アデカスタブ CDA−6)、光安定剤であるLA−57、LA−77Y、LA−87、2−アミノベンズアミド(商品名:ColorMatrix Co.社製のTripleA)など、及び/又はこれらの変性物などが挙げられる。中でも、Irganox5057やCDA−1、CDA−6及び/又はこれらの変性物はアクロレイン抑制と着色をバランス良く両立できるので好ましい。
上記の他にB成分として、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン4・6などのポリアミドやポリエチレンイミンなどのポリマーもアクロレイン発生の抑制には効果があるものの、その程度は大きくはなく、また、成形の際に着色しやすいので、あまり好ましくない。また乾燥や成形時の飛散を抑えるためにはB成分の分子量は300以上であることが好ましい。
最後にC成分について説明する。C成分は式(1)で表されるフェノール性水酸基(a)及び式(2)で表される第2級アミン構造(b)を同時に有する化合物及び/又はこれらの変性物である。C成分は、これらがポリトリメチレンテレフタレート組成物中に反応せずに存在している場合と、末端や分子骨格内に該有機基が化学結合により取り込まれている場合のいずれの場合も含む。式(1)のフェノール性水酸基(a)のみ、又は式(2)の第2級アミン構造(b)のみを有する化合物及び/又はこれらの変性物のどちらか一方のみが存在している場合は、溶融酸化時に発生するアクロレイン発生抑制効果は非常に小さい。式(1)の(a)と式(2)の(b)を含む化合物及び/又はこれらの変性物が共存していることによってはじめて、非常に大きなアクロレイン発生抑制効果と、成形品の良好な白度という2つの効果を両立することが可能となる。C成分としてはN,N−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のIrganox1098)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール(商品名:チバスペシャルティーケミカル株式会社製のIrganox565)、2,3−ビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)プロピオノヒドラジド(商品名:Irganox MD1024)などの安定剤及びこれらの変性物が好ましい。
上記の第2級アミン構造(b)は、B成分及びC成分に含まれるその合計量がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜1.0ミリ当量であり、且つ、第2級アミン構造(b)を有するB成分とC成分の含有量が合わせてPTT組成物全体に対して0.001〜0.2重量%であることが好ましい。該第2級アミン構造を有する化合物の量は多ければ多いほど溶融酸化時のアクロレイン発生量が小さくなるが、一方で得られる製品の色調の悪化、強度低下、ブリードアウトなどの問題が生じやすくなる。第2級アミン構造(b)の含有量は、より好ましくは、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり0.005ミリ当量から0.5ミリ当量、且つ、B成分とC成分の含有量が合わせてPTT組成物当たり0.01〜0.1重量%、更に好ましくは、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり0.01ミリ当量から0.3ミリ当量、且つ、B成分とC成分の含有量が合わせてPTT組成物当たり0.03〜0.08重量%である。
一方、フェノール性水酸基(a)は、かなり広い範囲の量で効果が認められ、且つ、悪影響も少ないが、B成分及びC成分に含まれる合計量はトリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜10ミリ当量であり、且つ、フェノール性水酸基(a)を有するB成分とC成分の含有量が合わせて0.001〜2重量%であることが好ましい。該化合物の量はある程度までは多いほどアクロレイン発生量が小さくなるが、あまり多くしても効果はあまり変わらず、かえって得られる製品の色調の悪化、ブリードアウトなどの問題が発生しやすくなるので、上記した範囲とすることが好ましい。フェノール性水酸基(a)の含有量は、より好ましくは、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり0.005ミリ当量から5ミリ当量、且つ、B成分とC成分の含有量が合わせてPTT組成物当たり0.005〜1重量%、さらに好ましくは、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり0.01ミリ当量から1ミリ当量、且つ、B成分とC成分の含有量が合わせてPTT組成物当たり0.03〜0.08重量%である。
本発明では上記のA成分とB成分の両方及び/又はC成分を含有させることにより、溶融酸化時のアクロレインの発生を低減させることができるが、硫黄原子を含ませる化合物及び/又はこれらの変性物を更に含ませることにより、より一層低減効果を高めることができる。
硫黄原子を含む化合物としては、分子骨格内に硫黄原子を含むものであればよいが、硫黄原子をチオエーテル基の形で有する化合物がより好ましい。なお、該化合物及び/又はこれらの変性物はPTTの骨格に取り込まれていてもよいし、取り込まれていなくてもよい。ジドデシル−3,3′−チオジプロピネート、ジオクタデシル−3,3′−チオジプロピネートなどが挙げられる。具体的には、チバスペシャリティーケミカル社製のIrganox PS 800FL、Irganox PS 802FL(「Irganox」は商標である)や、旭電化株式会社製のアデカスタブAO−23(CAS−No 66534−05−2)、アデカスタブAO−412S(CAS−No 29598−76−3)、アデカスタブAO−503A(CAS−No 10595−72−9)(「アデカスタブ」は商標である。)などのチオエーテル系酸化防止剤から由来する化合物が好ましい。中でも、アデカスタブA−412Sから由来する化合物が色調の悪化が少ないために最も好ましい。
硫黄を含む化合物及び/又はこれらの変性物の量は、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、硫黄原子のモル量で、0.001ミリモルから1.0ミルモルの範囲であることが好ましい。硫黄原子のモル量は多ければ多いほど、溶融酸化時のアクロレイン発生量は小さくなるが、一方で得られる製品の色調の悪化、強度低下、ブリードアウトが生じてしまう。更に好ましくは、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり0.005ミリモルから0.5ミリモル。更に好ましくは、0.01ミリモルから0.3ミリモルである。
本発明では、必要に応じて各種の添加剤、例えば艶消し剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤などを共重合又は混合させる場合も含む。これらの添加剤は重合の任意の段階で入れることができる。また、ガラスファイバーやタルク、ワラストナイトなどの無機フィラーなどを入れる場合も含む。
次に、本発明のPTT組成物の製造方法について説明する。
通常PTTは、テレフタル酸又はテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸の低級アルコールジエステルと、トリメチレングリコールとを、無触媒で、又は金属カルボン酸塩、チタンアルコキシド等の触媒の存在下で、エステル交換反応又は直接エステル化反応に付し、ビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレートを得た後、該ビス(3−ヒドロキシプロピル)テレフタレートをチタンアルコキシドやアンチモン酸化物等の触媒の存在下、溶融状態にて加熱して、副生するトリメチレングリコールを系外に抜き出しながら重縮合反応させることにより得られる。
本発明において、A成分とB成分の両方及び/又はC成分は、通常のPTTを製造する任意の段階でPTT反応液の中に該化合物を添加することができる。例えば、A成分とB成分の両方及び/又はC成分をトリメチレングリコールに溶解又は分散させた後、この溶液又は分散液をそのままエステル化反応又はエステル交換反応の反応液に添加し、その後重縮合反応を行うことができる。また、該化合物をエステル交換反応又はエステル化反応終了後に添加してもよいし、重縮合反応終了後に一旦固化されたPTT組成物に混練機などで溶融しながら、添加してもよい。またこれらの化合物の添加の順序は限定されず、いずれを先に入れても構わないし、同時に添加してもよい。
アクロレイン発生の抑制と得られるポリマーの色調の観点からは、A成分とB成分の両方及び/又はC成分を製造工程の後半で添加することが好ましく、具体的には重縮合終了後のポリマーが冷却固化するまでの溶融状態で添加するか、あるいは一旦固化して得られたポリマーを混練機などによって再溶融して、添加することが好ましい。理由は定かでないが、これらの化合物が重合初期からPTT中に共存していると、長期に渡る熱履歴によって変質するために、アクロレイン発生抑制効果が小さくなったり、着色が生じたりするためと考えられる。
本発明のPTT組成物は、従来技術で得られるPTT組成物や、PET、PBTなどの他のポリエステル組成物と同様に、溶融紡糸によって繊維を得たり、射出成形によって射出成形品を得たり、押出成形によって押出成形品を得たりすることができる。ただし、本発明のPTT組成物を用いることにより、このような溶融成形を行う際、従来技術で得られるPTT組成物を用いる場合に比べて発生するアクロレインの量を激減できるとともに、成形時の着色が少なく、品質の高い成形品を得ることが容易になる。
以下、実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度[η]
極限粘度[η]は、オストワルド粘度計を用い、35℃、o−クロロフェノール中での比粘度ηspと濃度C(g/100ミリリットル)の比ηsp/Cを濃度ゼロに外挿し、以下の式に従って求めた。
[η]=lim (ηsp/C)
C→0
(2)色調(L値、b*値)
スガ試験機(株)のカラーコンピューターを用いて測定した。
(3)アクロレイン発生量
ポリマー5gを直径5.3cmのアルミシャーレ内に均一に置き、270℃にて50ml/minの空気をポリマーに接触させながら、30分間に発生するアクロレインを−70℃に冷却したメタノールで捕捉し、メタノールに捕捉したアクロレインの量はガスクロマトグラフィーにて測定した。
【実施例1】
タービン状の攪拌翼を有した縦型攪拌反応装置にDMT1300kg、TMG1120kg、触媒としてテトラブチルチタネートを、得られるポリマーに対して0.1重量%となるように仕込み、常圧下、160〜220℃に昇温しながら3時間エステル交換反応を行い、PTTのオリゴマーを得た。エステル交換反応終了と同時に、A成分としてIrganox1076(チバスペシャルティーケミカル株式会社製)の0.69kg、B成分としてIrganox5057(チバスペシャルティーケミカル株式会社製)の0.69kgをTMG69kg中に分散させて、得られたPTTオリゴマーに添加し、5分間常圧で混合した。引き続き、上記のPTTオリゴマーを、アンカー状の攪拌翼を有した縦型攪拌反応装置に移送し、260℃にて減圧下で重縮合反応させ、PTT組成物を得た。減圧度は時間とともに下げていき、最終的には100Paとした。重縮合触媒はエステル交換反応に用いたものをそのまま用い、新たに追加はしなかった。得られたPTT組成物は固有粘度が0.75dl/gであった。色調はL*が90、b*が5と良好であった。また、この得られたPTT組成物を270℃、空気下でのアクロレイン発生量を評価した。その結果、アクロレインの発生量はポリマー重量当たり0.010重量%と少なかった。
【実施例2】
Irganox1076とIrganox5057の代わりに、C成分としてIrganox1098(チバスペシャルティーケミカル株式会社製)を用いた以外は実施例1と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が91、b*が4と良好であった。またアクロレイン発生量は0.007重量%であった。
【実施例3】
硫黄原子を有する化合物としてアデカAO−412S(旭電化株式会社製)を0.69kg添加した以外は実施例2と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が92、b*が2と良好であった。またアクロレイン発生量は0.004重量%であった。
【実施例4】
C成分としてIrganox1098をIrganox565(チバスペシャルティーケミカル株式会社製)に変更した以外は実施例3と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が92、b*が2と良好であった。またアクロレイン発生量は0.004重量%であった。
比較例1
Irganox1076とIrganox5057のいずれも用いなかった以外は実施例1と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76gl/g、色調はL*が93、b*が1と良好であった。しかし、アクロレイン発生量は0.04重量%と非常に多いものであった。
比較例2
A成分としてIrganox1076を0.69kg用いて、B成分としてIrganox5057を用いなかった以外は実施例1と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が92、b*が2と良好であった。しかし、アクロレイン発生量は0.035重量%と多いものであった。
比較例3
A成分としてIrganox1076の量を6.9kgに増やした以外は比較例2と同様に重合を行った。得られたPTT組成物の固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が75、b*が21と非常に黄色味を帯びた色となった。アクロレイン発生量は0.015重量%であった。
比較例4
イルガノックス1076と5057の代わりに重量平均分子量20000のナイロン6.6を0.69kg用いた以外は実施例1と同様に重合した。得られたPTTの固有粘度は0.76dl/g、色調はL*が87、b*が10であった。しかし、アクロレイン発生量は0.034重量%と多いものであった。
【実施例5】
比較例1で得られた充分乾燥したPTT組成物1380kgに対し、A成分としてIrganox1098の0.69kg、硫黄原子を有する化合物としてアデカAO−412Sの0.69kgを均一に混練できるように、2軸の押出機で混練してペレット化した。得られたPTT組成物の固有粘度は0.75dl/g、色調はL*が93、b*が1と良好であった。また、アクロレイン発生量は0.003重量%と非常に少ないものであった。
比較例5
Irganox1098とアデカAO−412Sの代わりにIrganox1076を1.38kg、ホルムアミジンを3.45kg用いた以外は比較例5と同様にしてペレットを得た。得られたPTTの固有粘度は0.75dl/gと、実施例5と同程度であり、アクロレイン発生量も0.013重量%と比較的少ないものであったが、色調はL*が89、b*が23と非常に黄色く着色したものであった。
【実施例6】
固有粘度が0.7のPETを500kg加えた以外は実施例5と同様にしてペレットを得た。得られたPTT/PETブレンド物(アロイ)の固有粘度は0.74dl/g、色調はL*が92、b*が2と良好であった。また、アクロレイン発生量は0.002重量%と非常に少ないものであった。
実施例7及び8
PETの代わりに、実施例7では固有粘度が0.9のPBTを600kg、実施例8では重量平均分子量が20000のPCを3000kg加えた以外は、実施例6と同様にしてペレットを得た。色調はそれぞれ、L*が89と93、b*が3と1と良好であり、アクロレイン発生量もそれぞれ0.002重量%と0.001重量%と非常に少ないものであった。

※式(1)化合物量はPTTを構成する繰り返し単位1mol当たりに対するフェノール性水酸基のミリ当量
※式(2)化合物量はPTTを構成する繰り返し単位1mol当たりに対する2級アミンのミリ当量
※硫黄原子量はPTTを構成する繰り返し単位1mol当たりに対する硫黄原子のミリモル
※アクロレイン量はポリマー重量に対する270℃×30分の空気下で発生するアクロレイン量(重量%)
【産業上の利用可能性】
PTTとフェノール性水酸基(a)を有する化合物及び第2級アミン構造(b)を有する化合物、あるいは(a)及び(b)を同時に有す化合物を含有したPTT組成物とすることにより、熱酸化時に発生する有害なアクロレイン抑制と着色の抑制を両立することができる。そのため繊維化したり樹脂化したりする際や製品を取り扱う際のアクロレイン発生が抑制できるだけでなく、色調の優れたPTT組成物からなる製品を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー成分、並びに下記A成分とB成分の両方及び/又はC成分を含んでなるポリトリメチレンテレフタレート組成物であって、該ポリマー成分の10〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートである上記組成物:
A:下記式(1)で表されるフェノール性水酸基(a)を有する化合物及び/又はこれらの変性物

(式中、各RはC1−30アルキルから独立に選択され、そして少なくとも1つのRはフェノール性水酸基に対してオルト位にあり、Xは1から4までの整数であり、EはC5−50のヒドロカルビル又はヘテロカルビル基であり、そしてnは1から4までの整数である。)
B:式(2)で表される第2級アミン構造(b)を有する化合物及び/又はこれらの変性物

(但し、FとGとは異種又は同一種の原子であってもよいが、同一の原子ではない)
C:基(a)及び基(b)を1分子中に同時に有する化合物及び/又はこれらの変性物。
【請求項2】
成分B及びCに含まれる第2級アミン構造の合計量が、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜1.0ミリ当量であり、且つ、成分B及びCの含有量が合わせて組成物全体に対して0.001〜0.2重量%である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
成分A、B及びCの化合物が安定剤である請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
ポリマー成分及び上記C成分を含んでなるポリトリメチレンテレフタレート組成物であって、該ポリマー成分の10〜100モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートである請求項1記載の組成物。
【請求項5】
成分Bが、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、旭電化(株)社製の重金属不活性剤の3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド及びこれらの変性物からなる群から選ばれた1種類以上である請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
成分Cが、N,N−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール及びこれらの変性物からなる群から選ばれた1種類以上である請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
硫黄原子を含む化合物及び/又はこれらの変性物を更に含み、該硫黄原子がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位1モル当たり、0.001〜1.0ミリモルの範囲である請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
硫黄原子を含む化合物としてチオエーテル基を有する化合物及び/又はこれらの変性物を含む請求項7記載の組成物。
【請求項9】
組成物中のポリマー成分の10〜80モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成される請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中のポリマー成分の10〜80モル%がトリメチレンテレフタレート繰り返し単位から構成されるポリトリメチレンテレフタレートであり、90〜20モル%がポリトリメチレンテレフタレート以外の、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリオレフィンからなる群から選ばれた1種類以上の樹脂の繰り返し単位から構成される請求項9記載の組成物。
【請求項11】
組成物の90〜20モル%がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート及びこれらを主成分とする共重合体からなる群から選ばれた1種類以上のポリマーである請求項9記載の組成物。
【請求項12】
A成分とB成分の両方及び/又はC成分を、ポリマーの重合中から反応終了後の冷却終了までの間に直接、又はトリメチレングリコールを主体とするグリコールの溶液若しくは分散液として添加することを含む請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
【請求項13】
A成分とB成分の両方及び/又はC成分を、ポリマー混練時に混入させる請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリトリメチレンテレフタレート組成物を含んでなる繊維又は成形品。

【国際公開番号】WO2004/083306
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503691(P2005−503691)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003475
【国際出願日】平成16年3月16日(2004.3.16)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】