説明

ポリドカノールおよび誘導体を用いた核酸単離

【課題】生物学的試料の溶解のためのおよび/またはシリカ表面への核酸の結合挙動に影響を及ぼすか、あるいは増強するための新規組成物を提供すること。
【解決手段】−カオトロピック剤、
−緩衝物質、および
−0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体
を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む組成物に関する。さらに、本発明は、本組成物の使用および本発明による組成物を含むキットに関する。さらに、本発明は、カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、任意に核酸を単離する工程、任意に核酸を増幅する工程、並びに核酸を検出する工程を含む、生物学的試料中の核酸の検出方法に関する。さらに、本発明は、カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、および核酸を単離し、それにより核酸を精製する工程を含む、生物学的試料中の核酸の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの生物学的物質、特に核酸は、自然環境から単離する観点において特別な問題を示す。核酸は、非常に低い濃度でしばしば存在するが、一方で核酸は多くの他の固体および溶解物質の存在下で、例えば、細胞溶解後に、しばしば見出される。これは、特定の分析物、例えば、核酸または特定の分析物の特性の検出を可能にし、診断および生物分析の分野での研究および開発に主要な役割を果たす生物特異的アッセイにおいて特に単離または測定することを困難にさせる。生物特異的アッセイの例は、ハイブリダイゼーションアッセイ、免疫アッセイおよびレセプター−リガンドアッセイである。ハイブリダイゼーションアッセイは、核酸分析物、例えば、RNAおよびDNAの分子検出に対する特異的塩基対を使用する。即ち、18〜20ヌクレオチド長を有するオリゴヌクレオチドプローブは、例えば、ヒトゲノムにおいて、選択相補配列の特異的認識を可能にし得る。2つのオリゴヌクレオチドプライマーの選択的結合を必要とする別のアッセイは、特許文献1に記載されるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。この方法は、デオキシヌクレオチド三リン酸の存在下でいくつかのサイクルにおける熱安定性ポリメラーゼによって検出可能なレベルまで特定の核酸領域の選択的増幅を可能にする。
【0003】
上記されるように、生物学的物質が上記のアッセイの1つで分析され得るか、あるいは他のプロセスに使用され得る前に、例えば、タンパク質性および非タンパク質性成分のような種々の成分の複合混合物を含む生物学的試料から単離または精製されなければならない。しばしば、第一工程について、目的の成分、例えば、核酸の濃縮を可能にするプロセスが使用される。しばしば、これらは、細菌細胞、真菌細胞、ウイルス粒子、またはヒト血液細胞もしくは植物細胞のようなより高等の生物の細胞に含まれる。目的の成分はまた、「標的成分」と呼ばれ得る。
【0004】
前記細胞または粒子の内容物を放出するために、これらは、かかる生物の細胞壁を溶解、分解または変性する酵素または化学物質で処理され得る。このプロセスは、溶解と一般に呼ばれる。かかる溶解物質を含む得られた溶液は、溶解物と呼ばれる。溶解中にしばしば現れる問題は、標的成分を分解する他の酵素、例えば、核酸を分解するデオキシリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼが、溶解中に目的の成分と接触するということである。これらの分解酵素はまた、細胞外に存在し得るか、あるいは溶解前に種々の細胞区画に空間的に分離された状態であり得、次に標的成分と接触する。このプロセス中に放出される他の成分は、例えば、細胞に毒性であるリポ多糖のファミリーに属するエンドトキシンであり得、ヒトまたは動物治療に使用されることを意図する生成物について問題を起こし得る。
【0005】
上記のこの問題に取り組む様々な手段がある。核酸が遊離されることが意図される場合、例えば、チオシアン酸グアニジニウムまたは陰イオン、陽イオン、両イオンもしくは非イオン性界面活性剤としてカオトロピック剤を使用することが一般的である。これらの酵素または所望されないタンパク質を迅速に分解するプロテアーゼを使用することもまた利点である。しかしながら、これは、前記物質のような別の問題を生じ得るか、あるいは酵素は次の工程で試薬または成分に干渉し得る。
【0006】
かかる溶解または上記の試料調製プロセスに有利に使用され得る酵素は、タンパク質基質のアミド結合を切断する酵素であり、プロテアーゼまたは(互換的に)ペプチダーゼとして分類される酵素である(非特許文献1を参照)。使用されているプロテアーゼは、例えば、アルカリ性プロテアーゼ(特許文献2)または酸性プロテアーゼ(特許文献3)である。核酸単離のために試料調製に広範に使用されるプロテアーゼは、中性pH周辺で活性であり、サブチリシンとして当業者に公知なプロテアーゼファミリーに属するTritirachium album由来のプロテイナーゼKである(例えば、非特許文献2を参照)。サブチリシンは、グラム陽性細菌または真菌によって産生されるセリンプロテアーゼである。
【0007】
溶解工程に続く試料調製の次の工程において、標的成分がさらに濃縮される。標的成分が核酸である場合、標的核酸は通常、プローブベースアッセイに使用される前に複合溶解混合物から抽出される。
【0008】
核酸の抽出のためのいくつかの方法:
−例えば、
−アフィニティークロマトグラフィー
−固定化プローブへのハイブリダイゼーション
のような配列依存性または生物特異性方法
−例えば、
−例えば、フェノール−クロロホルムを用いる液体−液体抽出
−例えば、純粋エタノールを用いる沈降
−ろ紙を用いる抽出
−セチル−トリメチル−アンモニウム−ブロミドのようなミセル形成剤を用いる抽出
−固定化インターカレート剤、例えばアクリジン誘導体への結合
−シリカゲルまたは2価土類への吸着
−カオトロピック条件下で磁気ガラス粒子(MGP)または有機シラン粒子への吸着
のような配列非依存性または物理化学方法
が存在する。
【0009】
抽出目的で特に興味深いことは、他の表面も可能であるが、ガラス表面への核酸の吸着である。天然環境から核酸を単離する多くの手順が、ガラスまたはシリカ表面への結合挙動の使用によって近年提案されている。
【0010】
例えば、特許文献4は、カオトロピック剤の存在下でシリカ表面への核酸の結合を開示する。特許文献5および特許文献6は、磁気ガラス粒子のシリカ表面への核酸の結合を開示する。市場で売られている市販の系は、例えば、Roche Diagnostics, Mannheim, Germanyから入手可能なHigh Pure(登録商標)系およびMagNA Pure(登録商標)系である。
【0011】
生物学的試料の溶解および/またはシリカ表面への核酸の結合挙動を増強するか、あるいは影響を及ぼすために様々な薬剤が先行技術で使用された。
【0012】
特許文献7は、シリカ表面への核酸の結合のために、高塩濃度と組み合わせた1〜50%の種々のアルコール、ポリエチレングリコールまたはトリクロロ酢酸の使用を開示する。
【0013】
特許文献8は、生物学的試料からのDNA、RNAおよびタンパク質の単離および抽出のための溶液を開示する。溶液は、カオトロピック剤、還元剤およびアルコール等の有機溶媒を含む。
【0014】
特許文献9は、50mM Tris pH 7.0、15%(V/V)ポリドカノール、5Mグアニジニウムイソチオシアネートおよび1mMジチオスレイトール(DTT)を含む溶解バッファーを開示する。
【0015】
特許文献10は、水溶液中で固相に核酸を結合するために使用される組成物に関する。前記組成物は、グアニジニウム塩、緩衝物質並びにTriton-X-100、NP-40、ポリドカノールおよびTween20等の界面活性剤を含む。界面活性剤濃度は5〜30%、好ましくは10〜20%であり得る。
【0016】
特許文献11および特許文献12は、グアニジニウム塩、緩衝物質、還元剤および界面活性剤を含む溶液を有する容器を記載する。界面活性剤の濃度は、5〜30%であり得る。
【0017】
【特許文献1】米国特許第4,683,195号
【特許文献2】国際公開第98/04730号
【特許文献3】米国特許第5,386,024号
【特許文献4】欧州特許第0 389 063号
【特許文献5】国際公開第96/41811号
【特許文献6】国際公開第01/37291号
【特許文献7】国際公開第95/01359号
【特許文献8】国際公開第97/05248号
【特許文献9】国際公開第01/37291号
【特許文献10】国際公開第2005/064010号
【特許文献11】国際公開第00/09746号
【特許文献12】国際公開第01/60517号
【非特許文献1】Walsh, C., Enzymatic Reaction Mechanisms (1979)3章, W.H.Freeman および Company, San Francisco
【非特許文献2】Sambrook, J.,ら: Molecular Cloning(1989)Cold Spring Harbor University Press, NY, USA
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
(発明の要約)
従って、本発明の目的は、生物学的試料の溶解のためのおよび/またはシリカ表面への核酸の結合挙動に影響を及ぼすか、あるいは増強するための新規組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む組成物に関する本発明の発見によって解決された。
【0020】
本発明の別の態様において、本発明による組成物は、核酸の精製、固体表面への核酸の結合、または核酸の検出のために使用される。
【0021】
本発明のなお別の態様において、
a)カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)任意に核酸を単離する工程、
c)任意に核酸を増幅する工程、ならびに
d)核酸を検出する工程
を含む生物学的試料中の核酸の検出方法が提供される。
【0022】
本発明のなお別の態様において、
a)カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)核酸を単離し、それにより核酸を精製する工程
を含む生物学的試料中の核酸の精製方法が提供される。
【0023】
用語「ポリドカノール(polidocanolまたはpolydocanol)」は、分子あたり平均約9つのエチレンオキサイド基のポリエチレングリコールモノドデシルエーテルの混合物からなる化合物または組成物に関する。これは、分子式(C2H4O)nC12H26OまたはHO(CH2CH2O)n(CH2)11CH3で記載され得、式中、nは約9、即ち、エチレングリコール部分の平均数は生成方法の結果として約9であり、ラウリルアルコールはエチレンオキサイドと反応する(エトキシ化)。これは、分子量が約600g/molであることを意味する。本化合物の他の名前は、3,6,9,12,15,18,21,24,27-ノナオキサノナトリアコンタン-1-オール、ドデシルノナエチレングリコールエーテル、ドデシルノナグリコール、ポリオキシエチレン9ラウリルエーテルまたはlaureth9である。該化合物はまた、化粧および皮膚エマルション、局所麻酔、殺精薬剤および表面活性剤または静脈瘤の処置における硬化剤の油/水(O/W)型の適切なエマルション剤および可溶化剤である。該化合物は例えば、Kolb, Hedingen, Switzerland(Sympatens-AL/090 P)から得られることができる。しかし、本発明によって、用語「ポリドカノール」はまた、式(C2H4O)9C12H26OまたはHO(CH2CH2O)9(CH2)11CH3を有する化学的に定義された化合物のことをいう。「ポリドカノール」は、室温で白色軟膏様物質であり、およそ30℃で透明無色から淡黄液体になる。従って、ポリドカノールを含む組成物を調製するために、ポリドカノールは、例えば、水浴中で、例えば、37℃または40℃まで加熱される場合にピペットで移され得るか、または室温で固体物質として添加され得る。従って、本発明によって、2,37l(液体)のポリドカノール(30℃より少し高く、好ましくは37℃)は、2,365kgの固体ポリドカノール(30℃より少し低く、好ましくは室温、即ち、20〜25℃)に等しい。得られた組成物または溶液は、ポリドカノール濃度を%(V/V)または%(W/V)として表す。用語「(V/V)」は、体積あたりの体積を意味し、「(W/V)」は、体積あたりの重量を意味する。組成物の好ましい溶媒または主要成分は、水であり、即ち、好ましくは、これらは水性組成物または水性溶液である。
【0024】
用語「ポリドカノールの誘導体」は、化学的に誘導されるが、「ポリドカノール」の特性と一致するか、または非常に類似する特性、特に、本発明による方法における特性を有する「ポリドカノール」に関する。
【0025】
「組成物」のための別の用語は、本発明の文脈では溶液である。
【0026】
「生物学的試料」は、植物または動物(ヒトを含む)から採取された試料であり、固体または液体である。具体例は、以下でより詳細に記載される。
【0027】
即ち、本発明の要旨は、以下のとおりである:
〔1〕 −カオトロピック剤、
−緩衝物質、および
−0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体
を含む組成物、
〔2〕 0.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含み、好ましくは0.75〜1.75%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む、前記〔1〕記載の組成物、
〔3〕 1〜4.5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含み、好ましくは1.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む、前記〔1〕記載の組成物、
〔4〕 カオトロピック剤がチオシアン酸グアニジニウム、塩化グアニジニウムまたは尿素である、前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の組成物、
〔5〕 緩衝物質がトリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(TRIS)、リン酸塩、N-(2-ヒドロキシルエチル)-ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、酢酸またはクエン酸である、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の組成物、
〔6〕 pHが酸性であり、好ましくはpHが3〜5である、前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の組成物、
〔7〕 還元剤をさらに含む、前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の組成物、
〔8〕 4Mチオシアン酸グアニジニウム、50mMクエン酸ナトリウム、1%(W/V)DTT、3%(V/V)ポリドカノール、pH4を含む、前記〔1〕〜〔7〕いずれか記載の組成物、
〔9〕 プロテアーゼをさらに含む、前記〔1〕〜〔8〕いずれか記載の組成物、
〔10〕 核酸の精製、固体表面への核酸の結合または核酸の検出のための、前記〔1〕〜〔9〕いずれか記載の組成物の使用、
〔11〕 前記〔1〕〜〔9〕いずれか記載の組成物を含むキット、
〔12〕 核酸への親和性を有する物質、好ましくはシリカ表面を有する物質をさらに含むことを特徴とする、前記〔11〕記載のキット、
〔13〕 核酸への親和性を有する物質が磁気ガラス粒子を含む組成物である、前記〔12〕記載のキット、
〔14〕 洗浄バッファーおよび溶出バッファーをさらに含むことを特徴とする、前記〔11〕〜〔13〕いずれか記載のキット、
〔15〕 a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)任意に核酸を単離する工程、
c)任意に核酸を増幅する工程、ならびに
d)核酸を検出する工程
を含む生物学的試料中の核酸の検出方法、
〔16〕 増幅工程c)において核酸がポリメラーゼ連鎖反応で増幅される、前記〔15〕記載の方法、
〔17〕 a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)核酸を単離し、それにより核酸を精製する工程
を含む生物学的試料中の核酸の精製方法、
〔18〕 工程a)において、カオトロピック剤、緩衝物質、および0.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体、好ましくは0.75〜1.75%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする、前記〔15〕〜〔17〕いずれか記載の方法、
〔19〕 単離工程b)が、核酸への親和性を有する物質、好ましくはシリカ表面を有する物質に核酸を結合させること、任意に該物質に結合した核酸を洗浄すること、および該物質から核酸を溶出することを含む、前記〔15〕〜〔18〕いずれか記載の方法、
〔20〕 シリカ表面を有する物質が磁気ガラス粒子を含む組成物であることを特徴とする、前記〔19〕記載の方法、
〔21〕 生物学的試料がヒトまたは動物の身体由来の体液、好ましくは血液、血漿、血清または尿であることを特徴とする、前記〔15〕〜〔20〕いずれか記載の方法、
〔22〕 核酸がDNAまたはRNAまたはその両方を含むことを特徴とする、前記〔15〕〜〔21〕いずれか記載の方法、
〔23〕 DNAまたはRNAまたはその両方が、微生物またはウイルス、好ましくはA型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルスまたはサイトメガロウイルス由来であることを特徴とする、前記〔22〕記載の方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によって、生物学的試料の溶解のためのおよび/またはシリカ表面への核酸の結合挙動に影響を及ぼすか、あるいは増強するための新規組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明の1つの態様において、
−カオトロピック剤、
−緩衝物質、および
−0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体
を含む組成物が提供される。
【0030】
本発明の好ましい態様において、本発明による組成物は、0.5〜4.9%(V/V)ポリドカノール、0.5〜4.5%(V/V) ポリドカノール、0.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含み、好ましくは、組成物は0.75〜1.75%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む。
【0031】
本発明の別の好ましい態様において、本発明による組成物は、1〜4.5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含み、好ましくは、組成物は1.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む。
【0032】
本発明の別の好ましい態様では、本発明による組成物において、カオトロピック剤は、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウム、塩化グアニジニウムまたは尿素である。しかし、塩素酸カリウム(KClO4)またはヨウ化カリウム(KI)もまた、可能である。
【0033】
本発明の別の好ましい態様では、本発明による組成物において、緩衝物質は、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(TRIS)、リン酸塩、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、酢酸またはクエン酸である。
【0034】
本発明の別の好ましい態様では、本発明による組成物において、組成物のpHは酸性であり、好ましくは組成物のpHは3〜5である。
【0035】
本発明のなお別の好ましい態様において、組成物は、還元剤、好ましくはジチオスレイトール(DTT)をさらに含む。
【0036】
本発明の非常に好ましい態様において、組成物は4Mチオシアン酸グアニジニウム、50mMクエン酸ナトリウム、1%(W/V) DTT、3%(V/V)ポリドカノール、pH4を含む。
【0037】
本発明のなお別の好ましい態様において、本発明による組成物はプロテアーゼをさらに含む。
【0038】
本発明の好ましい態様において、本発明による組成物は核酸の精製、固体表面への核酸の結合または核酸の検出のために使用される。
【0039】
本発明は、本発明による組成物を含むことを特徴とするキットの部分をさらに企図する。当該分野で公知のかかるキットは、試料調製手順中に例えば、96または384ウェル形式のマイクロタイタープレートまたは例えばEppendorf, Hamburg, Germanyによって製造されるただの通常の反応チューブおよび本発明による方法を実施するための全ての他の試薬として使用され得るプラスチックウェアをさらに含む。従って、キットは核酸への親和性を有する物質をさらに含み得、好ましくは核酸への親和性を有する物質はシリカ表面を有する物質を含む。好ましくは、シリカ表面を有する物質はガラスである。最も好ましくは、核酸への親和性を有する物質は、磁気ガラス粒子を含む組成物である。本発明によるキットのこれらの構成物はチューブまたは保存用容器に別々に提供され得る。成分の性質に従って、これらは単一チューブまたは保存用容器にも提供され得る。キットはDNAまたはRNAが結合している場合の磁気ガラス粒子の洗浄工程に適切な洗浄溶液をさらに含み得る。この洗浄溶液はエタノールおよび/またはカオトロピック剤を、緩衝溶液中または上記のエタノールおよび/またはカオトロピック剤を含まない酸性pHを有する溶液中に含み得る。しばしば、洗浄溶液または他の溶液が使用前に希釈されるストック溶液として提供される。キットは溶離剤または溶出バッファー、すなわち、磁気ガラス粒子に結合したDNAまたはRNAを溶出する溶液またはバッファー(例えば、10mM Tris, 1mM EDTA, pH8.0)または精製水をさらに含み得る。さらに、核酸、すなわち、DNAまたはRNAの精製プロセスに使用され得るさらなる試薬または緩衝溶液が存在し得る。従って、本発明の態様において、本発明による組成物を含むキットが提供される。好ましくは、キットは核酸に親和性を有する物質、好ましくはシリカ表面を有する物質をさらに含む。より好ましくは、核酸に親和性を有する物質は、磁気ガラス粒子を含む組成物である。好ましくは本発明によるキットは、洗浄バッファーおよび溶出バッファーをさらに含む。
【0040】
本発明の好ましい態様において、本発明によるキットは、研究、生物分析または診断における核酸の精製に使用される。本発明による好ましい態様において、本発明によるキットまたは本発明による方法は、ハイスループット形式、即ち、多数の種々の試料の分析を可能にする自動化方法で使用される。
【0041】
本発明の1つの態様において、
a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)任意に核酸を単離する工程、
c)任意に核酸を増幅する工程、ならびに
d)核酸を検出する工程
を含む生物学的試料中の核酸の検出方法が提供される。
【0042】
本発明による方法の工程a)において、生物学的試料は溶解され、生物学的試料に含まれる核酸を含む生物学的物質を放出する。核酸を得るための溶解手順についての一般的なパラメーターに関して、特別な言及がSambrook, J., et al.:Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2nd edition(1989) Cold Spring Harbour Laboratory Press, NY, USA, およびAusubel, F., et al.: Current Protocols in Molecular Biology(1987) John Wiley & Sons, Inc., NY, USAにされている。本発明による組成物を用いる溶解手順の組み合わせも、同様に適用可能である。例えば、溶解は、超音波、高圧を用いて、せん断力によって実施され得る。生物学的試料中に存在するタンパク質を分解するプロテアーゼが添加されることもしばしばある。本発明によるプロテアーゼは、例えば、タブレットまたは粉末としての固体形態でまたは緩衝溶液もしくは非緩衝溶液における溶解形態で添加され得る。プロテアーゼのための例は、プロテイナーゼKまたはEP 1 201 753に記載されるBacillus subtilis由来の別のプロテアーゼである。
【0043】
核酸は検出可能な量まで標的配列を特異的に増幅するポリメラーゼ連鎖反応で好ましくは増幅される。従って、本発明の好ましい態様において、本発明による方法の増幅工程c)において、核酸はポリメラーゼ連鎖反応で増幅される。他の可能な増幅反応は、リガーゼ連鎖反応(LCR, Wu, D.Y.,およびWallace, R.B., Genomics 4 (1989) 560-569ならびにBarany, F., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88 (1991) 189-193);ポリメラーゼリガーゼ連鎖反応(Barany, F., PCR Methods and Appl. 1(1991) 5-16); Gap-LCR(PCT特許公開公報No. WO 90/01069); 修復連鎖反応(EP 0 439 182)、3SR(Kwoh, D.Y., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 1173-1177; Guatelli, C.J., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990) 1874-1878; PCT特許公開公報No.WO 92/08808)、およびNASBA(US5,130,238)である。さらに、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介増幅(TMA)、およびQβ増幅(概説として、例えば、Whelen, A.C.,およびPersing, D.H., Annu. Rev. Microbiol. 50 (1996) 349-373; Abramson, R.D.,およびMyers, T.W., Current Opinion in Biotechnology 4(1993) 41-47を参照)がある。
【0044】
特に好ましい検出方法は、WO 92/02638および対応する US 5,210,015、US 5,804,375、US 5,487,972に開示されるTaqMan(登録商標)装置で実施される方法である。本方法は、シグナルを生じるポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を利用する。詳細に、標的核酸成分は、ハイブリダイゼーション条件で二重鎖の混合物を作製するために、試料を、標的核酸成分の領域と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドおよび同じ標的核酸成分の配列鎖の第二の領域に相補的な配列を含むが第一のオリゴヌクレオチドで定義される核酸配列を含まない標識オリゴヌクレオチドと接触させる工程を含むプロセスによって検出され、ここで二重鎖は、第一のオリゴヌクレオチドの3’末端が標識オリゴヌクレオチドの5’末端と隣接するように第一のオリゴヌクレオチドおよび標識オリゴヌクレオチドとアニーリングされる標的核酸を含む。次に、この混合物を、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性によりアニーリングされた標識オリゴヌクレオチドが切断され、標識断片が放出されるのを可能にするのに充分な条件下で5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する鋳型依存性核酸ポリメラーゼで処理する。標識オリゴヌクレオチドの加水分解によって生じるシグナルが検出および/または測定される。TaqMan(登録商標)装置で行なわれる方法は、固相結合反応複合体が形成され検出可能にする必要性を排除する。より一般的には、(少なくとも1つの)標的核酸成分の精製の後に検出工程のための手順が開示され、ここで、増幅および/または検出反応は均一な溶液相である。
【0045】
核酸は、当業者に公知であり、例えば、Sambrook, J., et al.: Molecular Cloning (1989)Cold Spring Harbor University Press, NY, USAまたはLottspeich, F.およびZorbas, H. (編), Bioanalytik, 第1版(1998)Spektrum Akademischer Verlag GmbH, Heidelberg, Berlin, Germanyに記載された標準的な分析方法によって測定または検出され得る。好ましくは、核酸の量は、そこに記載された方法で測定される。また、DNA検出工程が行なわれる前に例えば沈殿工程のようなさらなる精製工程があり得る。検出方法としては、限定されないが、二本鎖DNA内にインターカレートし、その後、その蛍光を変化させるエチジウムブロミドのような特異的色素の結合またはインターカレートが挙げられ得る。精製されたDNAはまた、任意に制限酵素消化後、電気泳動法によって分離され得、その後、可視化され得る。また、特異的配列へのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションおよび続くハイブリッドの検出を利用するプローブ系アッセイがある。また、当業者に公知のさらなる工程の後にDNAを配列決定することが可能である。他の方法で、特異的プローブが結合され、相補配列が結合した場合にシグナルを生じるシリコンチップに種々のDNA配列を適用する。
【0046】
本発明の1つの態様において、
a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)のポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)核酸を単離し、それにより核酸を精製する工程
を含む生物学的試料中の核酸の精製方法が提供される。
【0047】
本発明による両方の方法の工程a)のインキュベーション条件は、好ましくは、本発明による組成物を生物学的試料に添加することにより調製される。本発明の好ましい態様では、本発明による方法の工程a)において、生物学的試料は、カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜4.9%(V/V)のポリドカノールまたはその誘導体、0.5〜4.5%(V/V)のポリドカノールまたはその誘導体、0.5〜3%(V/V)のポリドカノールまたはその誘導体、好ましくは、0.75〜1.75%(V/V)のポリドカノールまたはその誘導体の存在下でインキュベートされる。
【0048】
好ましくは、本発明による方法の単離工程b)は、核酸への親和性を有する物質、好ましくは、シリカ表面を有する物質に核酸を結合させること、任意に、該物質に結合した核酸を洗浄することおよび該物質から核酸を溶出することを含む。好ましくは、シリカ表面を有する物質は、磁気ガラス粒子を含む組成物である。最も好ましい態様において、洗浄工程は任意でない。
【0049】
核酸を、これに対して親和性を有する物質に結合させるため、溶解混合物を、核酸に親和性を有する物質と、該核酸が該物質の表面に結合する条件下で接触させる。このための条件は、基本的に当業者に公知である。これはまた、核酸を表面に結合させる方法に依存する。例えば、修飾された核酸が該核酸である場合、結合は、核酸の修飾を表す基、例えば、ストレプトアビジンコート表面との結合によるビオチンを介して起こり得る。
【0050】
未修飾の核酸が単離される場合、数ある理由の中でも、核酸を修飾する必要がなく、天然の核酸でさえ結合され得るため、シリカ表面を有する物質への核酸の直接結合が好ましい。これらの方法は種々の文献に詳細に記載されている。例えば、Vogelstein, B.およびGillespie, D., Proc. Natl. Acad. USA 76 (1979)615-619には、ヨウ化ナトリウムの存在下でアガロースゲルからの核酸をフリントガラス粉に結合させるのための手順が提案されている。過塩素酸ナトリウムの存在下でのガラス粉上での細菌由来のプラスミドDNAの精製が、Marko, M.A., et al., Anal. Biochem. 121 (1982)382-387に記載されている。DE3734442には、酢酸を用いたファージ粒子の沈殿および過塩素酸塩によるファージ粒子の溶解による、ガラス繊維フィルター上での単鎖M13ファージDNAの単離が記載されている。ガラス繊維フィルターに結合された核酸を洗浄し、次いで、メタノール含有Tris/EDTAバッファーで溶出する。λファージからのDNAを精製するための同様の手順が、Jakobi, R., et al., Anal. Biochem. 175 (1988)196-201に記載されている。該手順は、カオトロピック塩溶液中でのガラス表面への核酸の選択的結合およびアガロース、タンパク質または細胞残留物などの夾雑物からの核酸の分離を含む。夾雑物からガラス粒子を分離するため、粒子が遠心分離され得るか、または液体がガラス繊維フィルターを介して吸引されるかのいずれかである。これは、限定される工程であるが、該手順を、大量の試料を処理するために使用されないようにする。塩およびエタノールを添加することによる沈殿後に核酸を固定化するための磁気粒子の使用は、さらに有利であり、例えば、Alderton, R.P., et al., Anal. Biochem. 201 (1992)166-169およびWO91/12079に記載されている。この手順では、核酸が磁気粒子とともに凝集される。凝集体は、磁場を適用し、洗浄工程を行なうことにより元の溶媒から分離される。1回の洗浄工程後、Trisバッファー中に核酸を溶解する。また、多孔性の特定のガラスマトリックス中に磁気粒子を含有し、ストレプトアビジンを含有する層で被覆された多孔性磁気ガラスが市販されている。この製品は、生物学的物質、例えばタンパク質または核酸が、複合体調製工程でビオチンに共有結合するように修飾される場合に、これらを単離するために使用され得る。磁化可能な特定の吸着剤は、非常に効率的であり、自動試料調製に適していることがわかった。フェリ磁性および強磁性ならびに超常磁性顔料がこの目的に使用される。最も好ましいMGPはWO01/37291に記載されたものである。
【0051】
詳細には、核酸をガラス粒子に結合させるための手順は、以下のように説明され得る。これは、好ましくは、1〜8mol/l、好ましくは2〜6mol/lの濃度のカオトロピック剤または塩の存在下で行なわれる。カオトロピック塩は、例えば、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウムまたは塩酸グアニジニウムであり得る。他の物質もまた可能である。精製効果は、DNAまたはRNAが、ガラス表面を有する物質に、このような条件下で、すなわち、特定の濃度のカオトロピック剤、高濃度の有機溶媒の存在下、または酸性条件下で結合する性質からもたらされる。試料を核酸に対して親和性を有する物質と接触させるため、試料を該物質と混合し、結合が起こるのに充分な時間インキュベートする。通常、熟練者は非磁気粒子を用いた処理を行なうための手順からのインキュベーション工程の持続時間に精通している。この工程は、表面上に固定化された生物学的物質の量を種々の時点で測定することにより最適化され得る。10秒間〜30分間のインキュベーション時間が核酸に適切であり得る。インキュベーション後、結合された核酸を液体から分離する。これは、一般に、重力によって、または核酸が磁気ガラス粒子に結合された簡便な場合は、磁気粒子に結合された物質に磁場を適用することによって分離することにより行なわれ得る。例えば、磁気粒子は、インキュベーションを行なった容器の壁に引き寄せられ得る。磁気粒子に結合されなかった試料内容物を含む液体は、次いで、除去され得る。使用される除去手順は、インキュベーションを行なった容器の型に依存する。好適な工程は、ピペッティングまたは吸引による液体の除去を含む。結合されたDNAまたはRNAを有する物質は、次いで、少なくとも1回、例えば、70容量部のエタノールと30容量部の水(「70%エタノール」)の混合物によって、またはアルコールを含有しない適当な洗浄溶液によって洗浄され得る。核酸を物質表面から放出させないが、不要な夾雑物はできるだけ充分に洗い流す洗浄溶液が使用される。この洗浄工程は好ましくは、結合された核酸を有する物質を洗浄溶液とともにインキュベートすることにより行なわれる。該物質は、好ましくは、この工程中で再懸濁させる。夾雑洗浄溶液は、好ましくは、生物学的物質の結合について上記した工程とちょうど同じようにして除去される。最後の洗浄工程後、該物質は、真空にて簡単に乾燥され得るか、または液体を蒸発させ得る。アセトンを用いた前処置工程もまた、行なわれ得る。その後、条件を逆転させ得、例えば、カオトロピック剤または有機溶媒の濃度を低下させて、物質に結合されたDNAまたはRNAを溶出する。好ましくは、試料の残りから磁気ガラス粒子を分離する方法は、固定化された核酸を、例えば、重力によって、または磁気ガラス粒子の場合に磁石の使用および上澄みの除去によってペレット化することにより行なわれる。次いで、固定化された生物学的物質を有する磁気ガラス粒子を、カオトロピック剤および/または有機溶媒を含まないか、少量のみを含む溶液中に再懸濁する。あるいは、懸濁液は、カオトロピック剤および/または有機溶媒を含まないか、少量のみを含む溶液で希釈され得る。この性質のバッファーは、DE3724442およびJakobi, R., et al., Anal. Biochem. 175 (1988)196-201から公知である。低い塩含有量を有する溶出バッファーは、特に、0.2mol/l未満の含有量を有するバッファーである。特に好ましい態様では、溶出バッファーは、緩衝目的のための物質Trisを含有する。別の特別な態様において、溶出バッファーは脱塩水である。精製されたDNAまたはRNAを含有する溶液は、次に、他の反応に使用され得る。
【0052】
洗浄および結合工程について、好ましくは、分子生物学における方法、特に、特定の条件下でのガラス粒子への物質の結合を利用するデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)精製方法に適した液体が使用される。好ましい液体は、アルコールおよび/またはケトンあるいは水とのそのいずれかの混合物を含む。アルコールは、本発明によれば、好ましくは、一般式R-OH(式中、Rは一般式-(-CH2)n-CH3を表し、n>=0である)の1級、2級または3級アルコールを含む。しかしながら、分子生物学目的に適当な場合は、例えばグリセロールなどの他のアルコールもまた使用され得る。アルコールであるイソプロパノール、エタノール、または水とのその混合物、好ましくは、80容量部のイソプロパノールと20容量部の水の混合物は特に適当である。本発明の別の態様では、液体は、例えば、アセトンなどのケトンを含む。
【0053】
核酸および標的核酸成分に対して親和性を有する物質は、シリカ表面を有する物質を含み、好ましくは、シリカ表面を有する物質はガラスであり、最も好ましくは、核酸に対して親和性を有する物質は、磁気ガラス粒子を含む組成物である。該工程は、本質的に、既に上記したとおりに行なわれる。要約すると、磁気ガラス粒子を、核酸を含む溶解混合物に添加する。適当な期間、吸着を行なった(これは、機械的攪拌により最適化され得る)後、粒子は、検出されないさらなる成分を含有する周囲の液体から分離される。これは、好ましくは、容器壁に対して磁石を配置することによって磁場を適用し、残留する液体をチューブから除去することにより行なわれる。なお存在し得るさらなる夾雑物を除去するため、好ましくは、核酸をガラス表面から放出させない液体を用いた洗浄工程が行なわれる。核酸がガラス表面に結合されずに溶出される試薬条件を有する溶出バッファーを添加し、核酸をガラス表面から除去する。この条件は、特に低塩条件である。核酸の意図されるさらなる使用に応じて、液体は、次に粒子から分離され、さらに処理され得る。この分離工程は、好ましくは、粒子が溶出液から分離されるように磁場の適用により行なわれる。この方法に最も好ましい磁気ガラス粒子は、WO01/37291に記載されている。
【0054】
本発明において使用される磁気ガラス粒子は種々の製剤に提供され得る。これは、錠剤の形態で、粉末として、または好ましくは懸濁液として提供することが可能である。本発明の好ましい態様において、これらの懸濁液は、5〜60 mg/mlの磁気ガラス粒子(MGP)を含む。本発明の別の態様において、シリカ含有物質は、任意に、2〜8mol/l、好ましくは4〜6mol/lの濃度のカオトロピック剤を含み得る緩衝水溶液中に懸濁させる。カオトロピック塩は、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、チオシアン酸グアニジニウム、イソチオシアン酸グアニジニウムまたは塩酸グアニジニウムである。当業者に公知の他の化合物もまた可能である。本発明によるカオトロピック剤は、液体の水の規則正しい構造を乱し、この薬剤がDNAまたはRNA含有溶液中に存在する場合は、DNAまたはRNAが磁気ガラス粒子に結合する効果を有する任意の化学物質である。当業者には、適当な緩衝水溶液を作製することは自明である。分子生物学目的に適したバッファー系は、例えば、Sambrook et al. (1989), Molecular Cloning, Cold Spring Harbor University Press, New York, NY, USAに見られ得る。好ましい緩衝物質は、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(TRIS)、リン酸塩、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、その塩または他の適当な物質である。さらに、例えば、NaCl、KClもしくはCaCl2などの溶液のイオン強度を修飾する物質、または例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩などの金属カチオン複合体形成剤である物質が存在し得る。当業者に公知の他の生物学的物質もまた存在し得る。本発明による方法は、核酸、すなわちRNAまたはDNAを含有する他の生物学的物質との複雑な混合物からの該核酸、すなわちRNAまたはDNAの精製に適する。また、それにより、異なる核酸の混合物が、少ない存在量の目的の核酸を含有する混合物であっても精製され得る。本発明の1つの態様において、核酸(1種または複数種)が濃度に関して少ない成分であり得る(か、または少ない存在量で存在し得る)特定の核酸の混合物が精製される。
【0055】
上記の工程後、本発明による方法を用いて単離された核酸は、次に、必要に応じてさらに使用され得る。例えば、これは、種々の酵素反応の基質として使用され得る。核酸が関与する場合、これは、配列決定、放射性もしくは非放射性標識、含有される1つ以上の配列の増幅、転写、標識されたプローブ核酸とのハイブリダイゼーション、翻訳またはライゲーションのために使用され得る。
【0056】
本発明の1つの態様において、生物学的試料は、ウイルスまたは細菌細胞、ならびに多細胞生物から単離された細胞、例えば、白血球などのヒトおよび動物細胞など、ならびにハプテン、抗原、抗体などの免疫学的に活性な低分子および高分子化合物、ならびに核酸、血漿、脳脊髄液、痰、糞便、生検材料、骨髄、口腔洗浄液、血清、組織、尿またはその混合物を含むことが意図される。本発明の好ましい態様において、生物学的試料は、ヒトまたは動物の身体由来の体液であり、好ましくは、生物学的試料は、血液、血漿、血清または尿である。血漿は、好ましくは、EDTA、ヘパリンまたはクエン酸血漿である。本発明の1つの態様において、生物学的試料は、細菌細胞、真核生物細胞、ウイルスまたはその混合物を含む。生物学的試料はまた、環境分析、食品分析または例えば、細菌培養物、ファージ溶解物由来の、分子生物学研究に使用される型のものであり得る。
【0057】
本発明の別の好ましい態様において、核酸は、DNAまたはRNAまたはその両方を含む。好ましくは、DNAまたはRNAまたはその両方は、微生物またはウイルスに由来する。ウイルスは、A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)またはパルボウイルスB19であり得る。
【0058】
本発明による方法は、好ましくは、研究、生物分析、特に診断において、または医薬の診断的調査において、すなわち、ヒトまたは動物における病気または障害の原因を調べるために使用される方法において使用される。好ましくは、本発明による方法は、診断的分析または生物分析に使用される。
【0059】
本発明の好ましい態様は、本発明の方法またはキットを、例えばWO99/16781に記載されているような自動化可能な方法に使用することである。自動化可能な方法は、方法の工程が、外部制御またはヒトの影響をほとんど、または全く伴わずに操作可能な装置または機械により行なわれるのに適していることを意味する。自動化された方法は、自動化可能な方法の工程が、外部制御またはヒトの影響をほとんど、または全く伴わずに操作可能な装置または機械により行なわれることを意味する。例えば、人間によって保存容器が充填され、所定の位置に配置されなければならず、試料の選択が行われなければならない該方法のための調製工程のみ、および当業者に公知のさらなる工程、例えば、コンピュータを制御する操作が手で行なわれなければならない場合がある。装置または機械は、例えば、自動的に液体を添加し、試料を混合し、または特定の温度でインキュベーション工程を行ない得る。典型的に、かかる機械または装置は、単一の工程およびコマンドが指定されるプログラムを実行するコンピュータによって制御されるロボットである。好ましい自動化された方法は、該方法および使用される機械または装置が短時間でハイスループットの試料のために最適化されることを意味するハイスループット形式で行なわれるものである。本発明の別の態様において、本発明による方法またはキットは、いくつかの反応工程が手動で行なわれなければならない場合があることを意味する半自動化された方法において使用される。本発明の好ましい態様において、本発明によるMGPを含有する懸濁液を、保存容器から取り出し、部分容量を異なる反応容器に添加する。反応容器は、プラスチックで作製された反応チューブであり得、最終的に、反応が行なわれ得る96または384個以上のウェルを含むマイクロタイタープレート形式にする。しかしながら、これらの容器は、他の物質、例えばスチールで作製され得る。
【0060】
以下の実施例および図面は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。示した手順において、本発明の精神を逸脱することなく変形が行なわれ得ることが理解される。
【実施例】
【0061】
実施例1:
高速のポリメラーゼ連鎖反応を行なうための改善された方法が開示されており、TaqMan(登録商標)装置(Roche, Mannheim, Germany)(WO92/02638参照)において使用される。この方法では、2つの標識を有するプローブを増幅反応に添加する。2つの標識は近接しており、そのため、2つの標識が蛍光エネルギー移動(FRET)を行ない得、標識の蛍光が消光される。このプローブは、増幅物にハイブリダイズし得、熱安定性DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって増幅物依存的様式で加水分解される。それにより、標識が放出され、蛍光はさらに消光されず、それにより測定可能な蛍光が得られる。それにより、増幅物の量は特定の波長の発光の強度と相関する。したがって、この特異的PCR方法は、どれだけ多くの核酸がチューブ内に存在したか、およびどれだけ効率的に増幅され得るかを分析するために使用され得る。当業者は、同様に他の方法がこの評価に使用され得ることを知っている。
【0062】
蛍光測定は、サイクル間の蛍光測定が比較的一定と思われる反応の初期のサイクル中に得られる初期蛍光測定、すなわちバックグラウンド蛍光で割ることにより標準化される。初期蛍光測定のために選択されるサイクル数は、比較するすべての反応に対して同じであり、そのため、すべての測定値は、同じ反応のサイクルに対して増加を表す。ポリメラーゼ連鎖反応増幅の初期サイクルにおいて、標的分子の数は、幾何学的等式Ni=No×(1+E)iで示され得、式中、No=反応開始時の標的分子数、Ni=i回目のサイクル終了時の標的分子数、E=増幅の効率(0=<E=<1)である。増幅のこの幾何学的増殖相の間、特定の閾値(CTもしくはCP値またはクロスポイント(crossing point))に達するのに必要とされるサイクル数は、(1+E)の対数に逆比例する。したがって、CTまたはCP値は、反応間の比較を可能にする反応効率の目安を表す。反応がより少ないサイクルで閾値に達したことを意味するCTまたはCP値の減少は、反応効率の増大を示す。増幅産物の増加は、反応蛍光の増加を測定することによりモニターされるため、CTまたはCPは、本明細書において、蛍光が自由裁量蛍光レベル(AFL)を超えるまで行なわれた増幅サイクル数と規定する。ベースライン蛍光レベルに近いが、測定された蛍光におけるランダム変動の範囲より上であるAFLを選択し、そのため、反応速度論を、増幅の幾何学的増殖相の間に測定した。後期サイクルにおける増幅産物の蓄積は、反応を阻害し、最終的に反応安定水準状態をもたらす。すべての反応について1.5のAFLを選択した。PCR増幅は個別のサイクルからなり、蛍光測定は1サイクルにつき1回行なわれるため、測定される蛍光は、典型的に、1回のサイクルにおいてAFL未満からAFLより上に増加する。測定の精度を改善するため、本明細書においてCTもしくはCP値またはクロスポイントというAFL閾に達する「正確な」サイクル数を、サイクル間の蛍光測定値を補間することにより計算した。
【0063】
実施例1.1-両方の実験に使用される機器および物質:
2つのデータセットは、溶解および結合混合物中で1%〜5%のポリドカノール濃度を使用することによる分子生物学的検出の感度における増加を示す。
【0064】
機器:
- Docking Stationを伴うCOBAS(登録商標)AmpliPrep/COBAS(登録商標)TaqMan(登録商標)System (Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)
- 装置指定使い捨て品(SPU、S-チューブ、K-チューブ、K-チップ)
- エッペンドルフ型ピペットおよび試料物質の作製用チップ
【0065】
試料物質:
- HBV DNA NATアッセイ用WHO第1国際標準/HBV (National Biological Standards Board (NIBSC), South Mimms, Potters Bar, Hertfordshire, UK/NIBSCコード: 97/746; 濃度: 5E+05国際単位凍結乾燥/バイアル、0.5mLのヌクレアーゼを含まない水中で再構成、濃度: 1E+06 IU/mL)
- ヒトプール血清、HBVについて試験したときPCRネガティブ
【0066】
HBV WHO標準を血清中で12IU/mL(データセット1の実験)および10IU/mL(データセット2の実験)に希釈し、調製まで-20℃で凍結した。
【0067】
試薬: COBAS AmpliPrep/COBAS TaqMan HBV試験、IVD:
- カセット1: ビーズ
- カセット3: プロテアーゼおよび溶出バッファー
- カセット4: さらなる19ユニットのZO5を加えた、マスターミックス
マンガン溶液
定量標準
【0068】
カセット2は、試験される異なるポリドカノール濃度を有する溶解バッファーを含む。その調製を以下に記載する。すべてのバッファーのpH値はpH4である。
【0069】
溶解バッファーの基本組成:
以下において、すべてのバッファーの調製を代表する例示的なバッファーの調製を記載する。
- チオシアン酸グアニジニウム(GuSCN)(94.53 g)を磁気攪拌バーによって攪拌しながら、約50℃のPCRグレード水(50ml/全バッファー容量の0.25〜0.5)に溶解した。
- クエン酸ナトリウム(2.94 g)を添加し、溶解のために攪拌した。
- 40℃の水浴で液体化したポリドカノール(30ml、20ml、10ml、2mlまたは0.2ml)を、攪拌しながら対応する調製物(8.1a/b〜8.5a/b)に添加し、室温まで冷却した。
- ジチオスレイトール(DTT)(2g)をそれぞれの調製物(8.1b〜8.5b)に添加した。
- pHをHClでpH4.0に調整した。
- 各調製物を200mlまでPCRグレード水で補充し、各溶液が均一になるまで再度攪拌し、アリコート80mlを溶解バッファーボトルに入れた。

【0070】
また、作製した溶解バッファーを残留試薬として2℃〜8℃で保存し、使用したシステムのカセット2に手動で充填した。
【0071】
実施例1.2-方法/実施:
凍結された試料物質を水浴中30℃で解凍した。続いて、COBAS(登録商標)AmpliPrep装置における自動試料調製ならびにCOBAS(登録商標)TaqMan(登録商標)装置における増幅および検出を、製造業者の説明書に従って行なった。該試験および試験の原理の概要および説明は、COBAS(登録商標)AmpliPrep/COBAS(登録商標)TaqMan(登録商標)HBV Test Package Insert (Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)に詳細に記載されている。
【0072】
ヒット率の測定(図1および2)を、各ポリドカノール濃度の24個の複製物を分析することにより行ない、複製物の数あたりのネガティブ結果の数を測定した。また、目標ct値、IQS ct値ならびに目標およびIQS 蛍光値を測定し、IQSと目標ct値間の差を計算した。完全を期して該ctおよび蛍光測定のみを行ない、図1および2に示す。決定(decisive)値はネガティブ結果とポジティブ結果の比を意味するヒット率である。ct値は、本文脈において試料がポジティブかネガティブかどうかのみを示す。
【0073】
実施例1.3-使用した溶解バッファーの詳細な記載を伴うデータ分析:
実施例1.3.1-データセット1:
データセット1での実験において使用された溶解バッファーを上記のようにして作製した。以下のバッファーを調製した。

【0074】
溶解バッファーRL 8.3aおよびRL 8.4aの結果(図2)は、最適条件の傾向を示すが、これは、種々のポリドカノール濃度に依存する。この結果により、0.1%〜5%の範囲をより精密に分析するさらなる実験を行なった。
【0075】
実施例1.3.2-データセット2:
データセット2での実験において使用された溶解バッファーは、データセット1で使用されたものとほとんど同じである。存在しないバッファーは、他の製品を使用するか、または新たに作製した。


(これらのバッファーは、3%ポリドカノールを含むバッファーを作製するために使用した)
【0076】
データセット2の結果により、1.5%〜3%ポリドカノールであるポリドカノール依存性最適条件が確認される(図3および図4に示す)。
【0077】
実施例1.4-概要:
ポリドカノール濃度は、例えば、COBAS(登録商標)AmpliPrep/COBAS(登録商標)TaqMan(登録商標)Systemにおいて行なわれる方法などの分子生物学的検出の感度に対する影響を有する。好ましい範囲は、1.5%〜3%(V/V)ポリドカノールである。処方: 4M GuSCN、50mMクエン酸ナトリウム、1%(W/V)DTT、3%(V/V)ポリドカノール、pH4が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
(図面の説明)
【図1】図1はデータセット1の結果である。
【図2】図2はデータセット1の結果である。
【図3】図3はデータセット2の結果である。
【図4】図4は結果の概要である(ポリドカノール濃度はV/Vとして提供される)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−カオトロピック剤、
−緩衝物質、および
−0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体
を含む組成物。
【請求項2】
0.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
1〜4.5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
カオトロピック剤がチオシアン酸グアニジニウム、塩化グアニジニウムまたは尿素である、請求項1〜3いずれか記載の組成物。
【請求項5】
pHが酸性である、請求項1〜4いずれか記載の組成物。
【請求項6】
還元剤をさらに含む、請求項1〜5いずれか記載の組成物。
【請求項7】
4Mチオシアン酸グアニジニウム、50mMクエン酸ナトリウム、1%(W/V)DTT、3%(V/V)ポリドカノール、pH4を含む、請求項1〜6いずれか記載の組成物。
【請求項8】
プロテアーゼをさらに含む、請求項1〜7いずれか記載の組成物。
【請求項9】
核酸の精製、固体表面への核酸の結合または核酸の検出のための、請求項1〜8いずれか記載の組成物の使用。
【請求項10】
請求項1〜8いずれか記載の組成物を含むキット。
【請求項11】
核酸への親和性を有する物質をさらに含むことを特徴とする、請求項10記載のキット。
【請求項12】
核酸への親和性を有する物質が磁気ガラス粒子を含む組成物である、請求項11記載のキット。
【請求項13】
洗浄バッファーおよび溶出バッファーをさらに含むことを特徴とする、請求項10〜12いずれか記載のキット。
【請求項14】
a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、
b)核酸を単離する工程、
c)核酸を増幅する工程、ならびに
d)核酸を検出する工程
を含む生物学的試料中の核酸の検出方法。
【請求項15】
増幅工程c)において核酸がポリメラーゼ連鎖反応で増幅される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
a)カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜5%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする工程、ならびに
b)核酸を単離し、それにより核酸を精製する工程
を含む生物学的試料中の核酸の精製方法。
【請求項17】
工程a)において、カオトロピック剤、緩衝物質および0.5〜3%(V/V)ポリドカノールまたはその誘導体の存在下で生物学的試料をインキュベートする、請求項14〜16いずれか記載の方法。
【請求項18】
単離工程b)が、核酸への親和性を有する物質に核酸を結合させること、該物質に結合した核酸を洗浄すること、および該物質から核酸を溶出することを含む、請求項14〜17いずれか記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−142083(P2008−142083A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−318564(P2007−318564)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】