説明

ポリヌクレオチドの検出及び定量装置

【課題】対象生体物質を、ポリヌクレオチド抽出、増幅及び分析にかける発現プロファイリング分析装置を提供する。
【解決手段】ポリヌクレオチドを増幅する増幅デバイスと、増幅されたポリヌクレオチド産物の量を定量する分析デバイスとを含む装置。増幅デバイスはさらに、増幅用鋳型を調製するためのポリヌクレオチド抽出、又は定量されたポリヌクレオチド産物の配列同定を可能とする。本装置は、フラクション回収器を含む。これは、定量されたポリヌクレオチド産物を、その配列が同定される前に回収する。分析デバイスはさらにデータ生成を可能とする。または、別個のデータ生成デバイスによるデータ生成も可能である。本装置内のデバイスは、増幅及び分析を目的として流体又は信号を送る接続手段により接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリヌクレオチドの検出及び定量に用いられる自動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲノム導入は、薬剤発見のペースを加速する手段となっている。ゲノム技術は、新規な薬剤標的の発見において価値があることを立証している。この分野でのさらなる改良によって、潜在薬剤を迅速にかつ費用効率よく開発できる効率的なツールが得られる。
【0003】
薬剤発見のプロセスにはいくつかのステップがある。疾患に関連する潜在生化学標的の同定、活性化合物のスクリーニング、並びに、さらなる化学的設計、前臨床試験、及び最終臨床試験である。かかるプロセスの効率は未だ完璧にはほど遠い。研究開発プロセス資金に費やされた費用の約75%が、失敗プロジェクトに回されていたとされる。さらに、失敗が生じるのが製品開発の後期になるほど、当該プロジェクトに関連する損失は大きくなる。したがって、薬剤開発プロセス全体の費用を大幅に削減するべく、早期に将来的な失敗をなくすことが必要である。よって、元となる分子標的の品質が、対費用効果の高い薬剤開発のための決定因子となる。
【0004】
標的の同定及び検証プロセスに影響すると考えられるアプローチの1つが、転写プロファイリングである。この方法は、特定条件下での遺伝子の発現を比較する。例えば、疾患細胞と正常細胞との比較、対照細胞と薬剤処理した細胞との比較、処置に応答する細胞と処置に抵抗する細胞との比較を行なう。このアプローチにより得られる情報は、治療の標的となる特定の遺伝子を直接同定することができる。また、重要なことに、疾患及び治療に関連する生化学的経路を明らかにすることができる。要するに、転写プロファイリングにより、生化学的標的が得られるだけでなく、同時に当該標的の品質を評価する方法も得られる。さらに転写プロファイリングは、細胞に基づくスクリーニングと組み合わせて、薬剤発見分野を劇的に変化させることができる。歴史的に、潜在薬剤のスクリーニングは、表現型変化を機能細胞システムのマーカーとして用いてうまく行なわれてきた。例えば、培養組織におけるがん細胞の増殖を観測することで抗がん剤を同定した。同様に、抗生化合物の同定を目的としたアッセイに細菌生存率を利用した。かかるスクリーニングは典型的には、標的生化学経路に関する知識が得られないまま実行されていた。実際、かかる経路が明らかにされ、真の分子標的であるとされた同定有効化合物により、次世代薬剤のその後の合理的設計が可能になった。
【0005】
転写プロファイリングの最新のツールを、新規なスクリーニング法を設計するべく用いることができる。そのスクリーニング法は、表現型の変化の代わりに遺伝子発現を利用して薬剤の有効性を評価する。例えば、かかる方法は米国特許第5,262,311号、5,665,547号、5,599,672号、5,580,726号、6,045,988、及び5,994,076号、及びLuehrsenら(1997年、Biotechniques,22:168−74)、LiangとPardee(1998年、Mol Biotechnol.10:261−7)に記載される。かかるアプローチは、痴呆、軽度の認識障害、鬱などの中枢神経系(CNS)疾患分野における薬剤の発見にとって非常に貴重である。この場合、表現型のスクリーニングは適用できないが、所望の転写プロファイルを容易に確立して特定の疾患に関連付けることができる。同定された有効化合物により根本的な分子プロセスが明らかにされる。さらに、この方法は、いくつかの生化学的な標的に同時に作用して所望の薬理学的効果を生じるような、現存薬剤の改良物の開発において一助となりうる。かかる場合、多くの標的への結合の最適化に基づく選択よりも転写応答の方が薬剤作用の好適なマーカーとなる。
【0006】
本発明以前では、最も進歩した転写プロファイリングは、DNAマイクロアレイを用いた技術に基づいており、例えばGreenberg、2001年、Neurology 57:755−61;Wu、2001年、J Pathol.195:53−65;Dhimanら、2001年、Vaccine 20:22−30;Bierら、2001年 Fresenius J Anal Chem.371:151−6;Millsら、2001年、Nat Cell Biol.3:E175−8で概説されており、また米国特許第5,593,839号、5,837,832号、5,856,101号、6,203,989号、6,271,957号、及び6,287,778号に開示される。DNAマイクロアレイは、mRNAの逆転写により得られた、標識したポリヌクレオチド試料のハイブリダイゼーションを評価することにより、与えられた試料中の何千もの遺伝子発現と、試験アレイの表面に付着したDNA分子との同時比較を行なう方法である。従来技術から転写変化についての貴重な情報が得られるが、それは完璧からはほど遠く、問題点及び欠点がある。
【0007】
第1に、この技術はマイクロアレイ中に存在する遺伝子プールに限定される。現行の印刷法では一のチップ上に配置できる遺伝子は10,000から15,000である。これは実質的に、特定の細胞型で発現する遺伝子のいくつかである。細胞型が多様であるため、特定の細胞型に対する特定のアレイの開発が必要である。この課題は理論的に可能であるが、細胞中に発現する遺伝子プールについての情報を、マイクロアレイの製造前に得ることが必要なので、達成するのはほぼ不可能である。
【0008】
さらに、組織試料中の転写物の数は、細胞試料中のものよりもはるかに多く、マイクロアレイの容量を越える。加えて、選択的スプライシングの結果、遺伝子発現に変化が生じ、評価が必要な転写物の数が増加する。これらの問題を克服できる唯一の可能性は、選択的にスプライシングされた遺伝子を含むゲノム全体をカバーする多数のアレイを開発することである。このアプローチでは一回の実験にかかる費用が著しく増大する。また、大きな生体試料、恐らくは合理的に入手可能なものよりも大きな試料が必要になる。
【0009】
第2に、従来技術のDNAマイクロアレイでは量的に正確なデータを得ることができない。また、遺伝子発現に観察される変化を、独立した方法(例えば定量的ポリメラーゼ連鎖反応(Q−PCR))で確認しなければならない。
【0010】
最後に、従来の検出技術を用いるマイクロアレイでは、特に重要となる希な転写物が検出できない。
【0011】
遺伝子発現の定量的検出にはキャピラリー電気泳動法が用いられてきた。Rajevicら(2001年、Pflugers Arch.442(6増補1):R190−2)は、複数の腫瘍遺伝子における発現の差異を同時に検出するために7対のプライマーを用いて、腫瘍遺伝子の発現差分を検出する方法を開示する。センスプライマーは5’末端が蛍光色素で標識された。複合蛍光RT−PCRの結果が、ABI−PRISM310遺伝子分析器でのキャピラリー電気泳動法により分析された。Borsonら(1998年、Biotechniques 25:130−7)は、産物の迅速な分離及び検出を行なうべくキャピラリー電気泳動法(CE)と組み合わせた定量的競合逆転写PCR(QC−RT−PCR)に基づく低存在量mRNA転写物の信頼性ある定量のためのストラテジーを記載する。Georgeら(1997年、J Chromatogr B Biomed Sci Appl 695:93−102)は、キャピラリー電気泳動法システム(ABI310)の、蛍光差分表示が発生するESTパターンの同定への適用を記載する。Odinら(1999年、J Chromatogr B Biomed Sci Appl 734:47−53)は、PCR 増幅cDNAの分離及び定量のために、多色を検出する自動キャピラリーゲル電気泳動法を記載する。
【0012】
PCR増幅及びCEを行なうべく、別個のデバイスが入手可能である。例えば、PCR機はApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)、Bio−Rad(Hercules、カリフォルニア州)、Eppendorf(Westbury、ニューヨーク州)、Roche(Indianapolis、インディアナ州)から市販されている。CE装置はApplied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)、Beckman Coulter(Fullerton、カリフォルニア州)、及びSpectrumedix Corporation(State College、ペンシルベニア州)から市販されている。
【0013】
米国特許第6,126,804号は、統合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)酵素反応ウェル、付属キャピラリー電気泳動法(CE)チャネル、検出器、及び読み出し器が全て手持ちサイズのパッケージ上又はパッケージ中に含まれる小型の使い捨てデバイスを使用した微生物及びDNA断片の野外同定のための器具を開示する。しかし、この器具は、特に野外での使用のために設計されている。さらに、従来技術のデバイスには、一以上の試料における遺伝子発現のプロファイルを定量的に検出する簡単かつ高感度な装置がなかった。
【0014】
これらの制限を克服するべく、本技術分野にて転写プロファイリングを行なう代替的な装置を開発する必要性が存在する。その代替的な装置には以下が望まれる。(1)アッセイを行なう前に発現遺伝子プールの配列を知っておく必要はなく、アッセイ中又はアッセイ後にその情報を装置自体から得ることができること、(2)発現した転写物のレベルの定量変化を測定できること、(3)希な遺伝子の発現を検出できること、及び(4)自動化されていることである。本技術分野において、一以上の試料の遺伝子発現のプロファイルを定量的に検出する簡単かつ高感度な装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5,262,311号明細書
【特許文献2】米国特許第5,665,547号明細書
【特許文献3】米国特許第5,599,672号明細書
【特許文献4】米国特許第5,580,726号明細書
【特許文献5】米国特許第6,045,988号明細書
【特許文献6】米国特許第5,994,076号明細書
【特許文献7】米国特許第5,593,839号明細書
【特許文献8】米国特許第5,837,832号明細書
【特許文献9】米国特許第5,856,101号明細書
【特許文献10】米国特許第6,203,989号明細書
【特許文献11】米国特許第6,271,957号明細書
【特許文献12】米国特許第6,287,778号明細書
【特許文献13】米国特許第6,126,804号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Luehrsen et al.(1997,Biotechniques,22:168−74)
【非特許文献2】Liang and Pardee(1998,Mol Biotechnol.10:261−7)
【非特許文献3】Greenberg,2001Neurology 57:755−61
【非特許文献4】Wu,2001,J Pathol.195:53−65
【非特許文献5】Dhiman et al.,2001,Vaccine 20:22−30
【非特許文献6】Bier et al.,2001Fresenius J Anal Chem.371:151−6
【非特許文献7】Mills et al.,2001,Nat Cell Biol.3:E175−8
【非特許文献8】Rajevic at el.(2001,Pflugers Arch.442(6 Suppl 1):R190−2)
【非特許文献9】Borson et al.(1998,Biotechniques 25:130−7)
【非特許文献10】George et al.,(1997,J Chromatogr B Biomed Sci Appl 695:93−102)
【非特許文献11】Odin et al.(1999,J Chromatogr B Biomed Sci Appl 734:47−53)
【発明の概要】
【0017】
本発明は、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、第1接続手段によって増幅デバイスと接続された分析デバイスとを含む発現プロファイリング装置を与える。これにより、反応混合物の定分量が増幅デバイスから、増幅産物を検出及び定量する分析デバイスへ移送される。第1接続手段はロボットアームである。
【0018】
一実施例において、本装置は、第2接続手段によって増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含む。これにより、抽出されたポリヌクレオチド試料がポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0019】
他実施例において、本装置はフラクション回収器デバイスをさらに含む。
【0020】
好ましい実施例において、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によってフラクション回収器デバイスが分析デバイスに接続される。
【0021】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。配列同定器は第5接続手段によって分析デバイスに接続され、定量された産物が分析デバイスから配列同定器へ移送される。
【0022】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。配列同定器は第5接続手段によってフラクション回収器デバイスに接続され、回収された産物がフラクション回収器デバイスから配列同定器へ移送される。
【0023】
本発明はまた、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、第1接続手段によって増幅デバイスに接続された分析デバイスと、第2接続手段によって増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスとを含む、発現プロファイリングを行なうための装置を与える。第1接続手段により、反応混合物の定分量が、増幅デバイスから、増幅産物を検出及び定量化する分析デバイスへ移送される。第2接続手段により、抽出されたポリヌクレオチド試料が、ポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0024】
一実施例において、本装置はフラクション回収器デバイスをさらに含む。
【0025】
好ましい実施例において、フラクション回収器は、定量された産物の回収を可能にする第4接続手段によって分析デバイスに接続される。
【0026】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、定量された産物を分析デバイスから配列同定器へ移送する第5接続手段によって分析デバイスに接続される。
【0027】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、回収された産物をフラクション回収器デバイスから配列同定器へ移送する第5接続手段によってフラクション回収器デバイスに接続される。
【0028】
本発明は、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、第1接続手段によって増幅デバイスに接続された分析デバイスと、第3接続手段によって分析デバイスに接続されたデータ生成デバイスとを含む発現プロファイリング装置を与える。第1接続手段により反応混合物の定分量が増幅デバイスから、増幅産物を検出及び定量する分析デバイスへ移送される。第3接続手段により信号が分析デバイスからデータ生成デバイスへ移送される。
【0029】
一実施例において、本装置は、第2接続手段によって増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含む。これにより、抽出されたポリヌクレオチド試料がポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0030】
他実施例において、本装置はフラクション回収器デバイスをさらに含む。
【0031】
好ましい実施例において、フラクション回収器デバイスは、定量された産物が回収可能な第4接続手段によって分析デバイスに接続される。
【0032】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、第5接続手段によって分析デバイスに接続される。これにより、定量された産物が分析デバイスから配列同定器へ移送される。
【0033】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、第5接続手段によってフラクション回収器デバイスに接続される。これにより、回収された産物がフラクション回収器デバイスから配列同定器へ移送される。
【0034】
本発明は、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、第1接続手段によって増幅デバイスに接続された分析デバイスと、定量された産物を回収可能なフラクション回収器デバイスとを含む発現プロファイリング装置を与える。第1接続手段により、反応混合物の定分量が増幅デバイスから、増幅された産物を検出及び定量する分析デバイスへ移送される。
【0035】
好ましい実施例において、フラクション回収器デバイスは、定量された産物が回収可能な第4接続手段によって分析デバイスに接続される。
【0036】
一実施例において、本装置は、第2接続手段によって増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含む。これにより、抽出されたポリヌクレオチド試料がポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0037】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は第5接続手段によってフラクション回収器に接続され、回収された産物がフラクション回収器デバイスから配列同定器へ移送される。
【0038】
本発明は、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、第1接続手段によって増幅デバイスに接続された分析デバイスと、第5接続手段によって分析デバイスに接続されて定量された産物の配列を同定する配列同定器とを含む発現プロファイリング装置を与える。第1接続手段により、反応混合物の定分量が増幅デバイスから、増幅された産物を検出及び定量する分析デバイスへ移送される。第5接続手段により、定量された産物が分析デバイスから配列同定装置へ移送される。
【0039】
一実施例において、本装置は、第2接続手段によって増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含む。これにより、抽出されたポリヌクレオチド試料がポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0040】
他実施例において、本装置は、フラクション回収器デバイスをさらに含む。
【0041】
好ましい実施例において、フラクション回収器デバイスは、定量された産物が回収可能な第4接続手段によって分析デバイスに接続される。フラクション回収器デバイスは、回収された産物を当該フラクション回収器から配列同定器へ移送する他の第5接続手段によって配列同定器にも接続される。
【0042】
一実施例において、増幅デバイス及び分析デバイスもポリヌクレオチドの配列を同定することができる。
【0043】
本発明は、反応混合物中のポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、増幅産物を検出及び定量するキャピラリー電気泳動法デバイスとを含む発現プロファイリング装置をさらに与える。キャピラリー電気泳動法デバイスのキャピラリーが反応混合物に浸漬されて、反応混合物の定分量が増幅デバイスからキャピラリー電気泳動法デバイスへ移送される。
【0044】
一実施例において、本装置は、第2接続手段によって増幅デバイスに接続するポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含む。これにより、抽出されたポリヌクレオチド試料がポリヌクレオチド抽出デバイスから増幅デバイスへ移送される。
【0045】
他実施例において、本装置はフラクション回収器デバイスをさらに含む。
【0046】
好ましい実施例において、フラクション回収器デバイスは、第4接続手段によってキャピラリー電気泳動法デバイスに接続される。これにより、定量された産物の回収が可能となる。
【0047】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、第5接続手段によってキャピラリー電気泳動法デバイスに接続される。これにより、定量された産物がキャピラリー電気泳動法デバイスから配列同定器へ移送される。
【0048】
他実施例において、本装置は、定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含む。当該配列同定器は、第5接続手段によってフラクション回収器デバイスに接続される。これにより、回収された産物がフラクション回収器デバイスから配列同定器へ移送される。
【0049】
他実施例において、増幅デバイス及びキャピラリー電気泳動法デバイスもポリヌクレオチドの配列を同定することができる。
【0050】
本発明の装置において、増幅デバイスは、好ましくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅デバイスである。
【0051】
同様に好ましくは、各PCRサイクルの終わりに、第1接続手段により反応混合物の定分量が増幅デバイスから分析デバイスに移送される。
【0052】
好ましくは、反応混合物は、反応管の内壁又はマイクロタイタープレートのウェルに化学的に結合した一以上のPCR増幅プライマーを含む。
【0053】
本発明の装置において、増幅デバイスは、好ましくは逆転写を行ないcDNAを産生することもできる。
【0054】
好ましくは、逆転写に用いる一以上のプライマーは、反応管の内壁又はマイクロタイタープレートのウェルに化学的に結合される。
【0055】
好ましくは、本装置は、一以上の蛍光標識から生じる信号を検出及び定量することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施例において、第1、第2、第4、又は第5接続手段はロボットアームである。
【0057】
本発明の他実施例において、第1、第2、第4、又は第5接続手段は管又はチャネルである。
【0058】
本発明のいくつかの実施例において、第1、第2、第4、及び第5接続手段は、例えばロボットアームのような、試料を一のデバイスから他のデバイスへ移送する一の接続手段である。
【0059】
一実施例において、移送を可能とするべく電流が第1、第2、第4、又は第5接続手段に印加される。
【0060】
本発明の装置において、分析デバイスは、好ましくはキャピラリー電気泳動法デバイスである。
【0061】
好ましくは、本装置のポリヌクレオチド抽出デバイスは、一以上の生体物質から全RNA又はmRNAを単離することができる。
【0062】
本発明は、生物学的及び生物医学的な研究、治療剤及び診断マーカーの同定、遺伝子組み換えを受けた細胞及び生物の特徴付け、不明な疾患の同定、並びにDNAの特徴付け及び生体試料の同定等、広いアプリケーションで使用される。かかるアプリケーションの非限定的な例には、定量PCR、リアルタイムPCR、DNA配列決定、転写プロファイリング、及び遺伝子型決定が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本発明についてさらに、添付の図面を参照しながら説明する。複数の図面を通して、同様の構造は同様の番号で示す。表示した図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を図解するのに強調を用いる。
【0064】
【図1】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は、増幅デバイス64と、第1接続手段66によって増幅デバイス64に接続された分析デバイス68とからなる。
【図2】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10はポリヌクレオチド抽出デバイス20、増幅デバイス64、及び分析デバイス68からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第2接続手段40はポリヌクレオチド抽出デバイス20と増幅デバイス64とを接続する。
【図3】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、分析デバイス68、及びデータ生成デバイス120からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第2接続手段40はポリヌクレオチド抽出デバイス20と増幅デバイス64とを接続し、第3接続手段80は分析デバイス68とデータ生成デバイス120とを接続する。
【図4】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、及び分析デバイス68からなる。増幅デバイス64は増幅反応の前にポリヌクレオチドの逆転写を行なうことができる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。
【図5】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、及び分析デバイス68からなる。分析デバイス68によりデータ生成が可能である。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。
【図6】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、及び分析デバイス68からなり、これらは同一ハウジング60内に配置される。ハウジング60内の第1接続手段66は、増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。
【図7】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10はポリヌクレオチド抽出デバイス20、増幅デバイス64、分析デバイス68、及びデータ生成デバイス120からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第2接続手段40はポリヌクレオチド抽出デバイス20と増幅デバイス64とを接続し、第3接続手段80は分析デバイス68とデータ生成デバイス120とを接続する。
【図8】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、分析デバイス68、及びフラクション回収器デバイス160からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第4接続手段140は分析デバイス68とフラクション回収器デバイス160とを接続する。
【図9】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、分析デバイス68、及び配列同定器200からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第5接続手段180は増幅デバイス64と配列同定器200とを接続する。
【図10】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、分析デバイス68、フラクション検出器デバイス、及び配列同定器200からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第4接続手段140は分析デバイス68とフラクション回収器デバイス160とを接続し、第5接続手段180はフラクション回収器デバイス160と配列同定器200とを接続する。
【図11】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、及び分析デバイス68からなり、分析デバイス68は配列同定器200の役割もする。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。
【図12】本発明の一実施例に係る発現プロファイリング装置の概略図である。装置10は増幅デバイス64、分析デバイス68、配列同定器200、及びデータ生成デバイス120からなる。第1接続手段66は増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第5接続手段180は増幅デバイス64と配列同定器200とを接続し、第3接続手段80は配列同定器200とデータ生成デバイス120とを接続する。
【図13】本発明のいくつかの実施例による装置を用いた発現プロファイリングプロセスの概略図である。
【0065】
図面は、本発明の好ましい実施例を示すが、説明に記載したように、本発明のその他の実施例をも企図する。本明細書は、本発明の実施例について例証するが、それらは代表的なものであって、それらに限定されるものではない。多数のその他の改変及び実施例が、当業者により、本発明の原理の範囲内で考え出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本明細書中では以下の用語及び定義を用いる。
【0067】
本明細書中で用いる「試料」は、自然な環境で単離された生体物質を意味し、ポリヌクレオチドを含む。本発明による「試料」は、精製又は単離されたポリヌクレオチドからなり、または、ポリヌクレオチドを含む組織試料、生体液体試料、又は細胞試料等の生体試料を含む。生体液体試料は、血液、血漿、唾液、尿、髄液、洗浄液、及び白血球除去法試料を含むが、それらに限定されない。本発明における試料はポリヌクレオチドを含む任意の植物、動物、細菌性又はウイルス性物質、又はこれらに由来の任意の物質でありうる。
【0068】
本明細書中で用いる「調製試料」は、ポリヌクレオチドを単離又は合成するべく試料から得た調製物を意味する。すなわち、DNA(例えば、ゲノムDNA若しくはcDNA)又はRNA(例えば全RNA若しくはmRNA)を意味する。
【0069】
本明細書中で用いる「定分量」は、調製試料又は反応混合物全体から取り出した試料の容積を意味する。一の定分量は試料又は反応混合物の全容積よりも少なく、好ましくは1μlから5μlの容積である。本発明の一実施例において、取り除かれた各定分量に関して、反応に必要な試薬を含む等容積の反応緩衝液(例えば、緩衝液、塩、ヌクレオチド、及びポリメラーゼ酵素)が加えられる。
【0070】
本明細書中で用いる「接続手段」は、2つのデバイスを接続して、流体及び/又は信号を一のデバイスから他のデバイスへ移送する手段を意味する。
【0071】
本明細書中で用いる「ロボットアーム」は、好ましくはマイクロプロセッサで制御されるデバイスを意味する。試料、管、又は試料を収納したプレートを、一の場所から他の場所へ物理的に移送する。それぞれの場所は、本発明による有用なモジュール装置のユニットでありうる。本発明による有用なロボットアームの例は、Mitsubishi(登録商標)RV−E2ロボットアームである。ロボットアームを制御するソフトウェアは、一般に当該アームの製造者から入手可能である。
【0072】
本明細書中で用いる「反応チャンバ」は、反応(例えば、増幅反応又は抽出プロセス)を受けているか又は当該反応を受けようとしている反応物を入れるための流体チャンバを意味する。「反応チャンバ」は、任意の適切な材料、すなわち最小限の非特異的吸着性を示す材料又は最小限の非特異的な吸着性を示すべく処理された材料から作られる。例えば、ガラス、プラスチック、ナイロン、セラミック、又はこれらの組み合わせを含む。「反応チャンバ」は、物質を反応チャンバ内へ又は反応チャンバ外へ移送するべく少なくとも一の接続手段に接続される。
【0073】
本明細書中で用いる用語「発現」は、一の細胞又は無細胞系内のタンパク質又はヌクレオチド配列の製造を意味する。RNA産物への転写、転写後修飾、及び/又はその産物をコードするDNA由来のタンパク質産物若しくはポリペプチドへの翻訳、並びに可能な翻訳後修飾が含まれる。
【0074】
本明細書中で用いる「発現プロファイリング」は、複数の試料間で発現プロファイルの差異を検出することである。
【0075】
本明細書中で用いる「発現プロファイルの差異」は、遺伝子の発現における定量的な(すなわち存在量)及び定性的な違いを意味する。ポリヌクレオチド検出のための周知の方法(例えば電気泳動法)により、遺伝子発現が一の試料において検出可能であるが、他の試料で検出されなかった場合、「発現プロファイルの差異」があるという。代替的には、2つの試料間における遺伝子発現の定量的な違い(すなわち、増加又は減少)が約20%、約30%、約50%、約70%、約90%から約100%(約2倍)又はそれ以上、約1.2倍、2.5倍、5倍、10倍、20倍、50倍まで、及びそれらを含む場合に、「発現プロファイルの差異」があるという。2つの試料間において差異のある発現プロファイルを持つ遺伝子は、当該2つの試料において異なる発現をする遺伝子である。
【0076】
明細書中で用いる「複数」は、2以上を意味する。複数とは、本発明によれば、3以上、100以上、又は1000以上であり得る。例えば、試料中の全mRNAに対応するcDNAの数までであり得る。
【0077】
本明細書中で用いる「増幅産物」は、特定ポリヌクレオチド配列及び/又はそれに相補的な配列の一部の複製であるポリヌクレオチドを意味する。これは、ヌクレオチド配列が当該鋳型ポリヌクレオチド配列及びそれに相補的な配列に対応する。本発明による「増幅産物」は、DNA又はRNAであり得る。また、二本鎖又は一本鎖であり得る。
【0078】
本明細書中で用いる「合成」及び「増幅」は、互換的に使用される。特定のポリヌクレオチド配列の複製を産生する反応、又は特定ポリヌクレオチド配列の複製の数又は量を増加させる反応を意味する。この反応は例えば、限定はされないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリヌクレオチド特異的塩基増幅反応(NSBA)といったin vitroの方法、又はその他の業界周知の方法を用いて行い得る。例えば、ポリヌクレオチド増幅は、任意の特定のポリヌクレオチド配列すなわち標的ポリヌクレオチド配列又は標的ポリヌクレオチドを、当初存在していた量よりも多く産生させるべく、ポリメラーゼ及び一対のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるプロセスであり得る。
【0079】
本明細書中で用いる用語「フラクション回収」とは、クロマトグラフィーカラム又は電気泳動法デバイスのような、ゆっくり流れる供給源から液体試料を回収することを企図したデバイスを意味する。この場合、液体の組成は時間に伴い変化する。一般にフラクション回収器は、複数の分離された回収管を保持できる支持表面と、液体試料を別個の回収管に選択的に導くことができる分注ヘッドとを含む。このようにして、当該試料の別個の液体フラクションが、その後の分析又は使用のために別個の管に回収される。キャピラリー電気泳動法では、キャピラリー端部及び電極を液体の入った回収管に浸漬し、電流を印加してポリヌクレオチドを回収管の中に溶出させることにより、フラクション回収が行われる。
【0080】
本明細書で用いる用語「配列同定器」は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド同一性の同定すなわちDNA配列決定ができるデバイスを意味する。
【0081】
本明細書で用いる「標識」又は「検出可能標識」は、(好ましくは定量的に)検出可能な信号を与えるべく使用できるか又はポリヌクレオチドに操作可能に結合できる任意の原子又は分子を意味する。標識は、蛍光、放射能、比色定量、重量測定、X線回折又は吸収、磁性、酵素活性、質量分析、結合親和性、ハイブリダイゼーション高周波、ナノ結晶等により、検出可能な信号が得られる。本発明のプライマーは、検出可能標識を「検出する」ことによって「検出される」ように増幅反応産物を標識できる。「定性的又は定量的」検出は、標識から生じる信号の大きさ(強度)又は数に基づいて視覚的又は自動的に評価することを意味する。
【0082】
ポリヌクレオチドに関して、本明細書中で用いる「単離した」又は「精製した」は、天然に存在する配列が、その通常の細胞(例えば染色体)の環境から除去されること、又は非自然環境で合成されること(例えば人工合成)を意味する。したがって、「単離した」又は「精製した」配列は、無細胞溶液中に存在し得るか又は異なる細胞環境に置かれ得る。「精製した」という用語は、当該配列が存在する唯一のヌクレオチドであること示すわけではなく、非ヌクレオチド又は自然にこれに関連するポリヌクレオチド物質が実質的に存在しない(約90から95%、99から100%まで純粋である)ことを意味する。したがって、単離された染色体から識別される。
【0083】
本明細書で用いる「cDNA」は、RNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば逆転写酵素)の作用によりRNA鋳型から産生された相補的又は複製のポリヌクレオチドを意味する。「cDNAクローン」は、クローニングベクター中に存在する、対象RNA分子に相補的な二本鎖DNA配列を意味する。
【0084】
本明細書で用いる「ゲノムDNA」は、RNA転写物から複製された相補的DNAと対立する染色体DNAを意味する。本明細書で用いる「ゲノムDNA」は、一細胞内に存在するすべてのDNAであるか又は一細胞内のDNAの一部分である。
【0085】
本発明は、遺伝子発現プロファイリングのための自動装置に関する。本装置により、複数の試料及び一の試料に対して高スループット発現分析を行なうことができる。したがって、一の自動装置は、技術者がピペッター、インキュベータ、ポリヌクレオチド増幅デバイス、分析デバイス(例えば、ゲル電気泳動法システム)、及びデータ取得システムを用いて従来行っていた機能を一のシステムに含む。本発明の装置により、増幅産物の検出、分析、定量、及び/又は視覚化を行なうことができる。
【0086】
本発明の実施は、特に示さない限り、当業者に周知であり文献に説明されている分子生物学、微生物学、及び組み換えDNA技術の従来技術を用いる。例えば、Sambrook、Fritsh及びManiatis、1989年、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)第2版;オリゴヌクレオチド合成(Oligonucleotide Synthesis)(M.J.Gait編,1984年);ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション(Polynucleotide Hybridization)(B.D.HarnesとS.J.Higgins編,1984年);分子クローニングの実用解説(A Practical Guide to Molecular Clonong)(B.Perbal、1984年);及びシリーズ、酵素学における方法(Methods in Enzymology)(Academic Press、Inc.);分子生物学における簡略プロトコル(Short Protocols In Molecular Biology)(Ausubelら編.,1995年)を参照のこと。本発明の実施はまた、米国特許第5,965,409号、第5,665,547号、第5,262,311号、第5,599,672号、第5,580,726号、第6,045,998号、第5,994,076号、第5,962,211号、第6,217,731号、第6,001,230号、第5,963,456号、第5,246,577号、第5,126,025号、第5,364,521号、及び第4,985,129号に開示される技術及び組成物も含む。本明細書中で挙げたすべての特許、特許出願、及び出版物は、上記、下記にかかわらず、参照として本明細書中に組み込まれる。
【0087】
本発明における、遺伝子発現プロファイリング装置は、図1の10に一般的に図示される。装置10は、増幅デバイス64と、第1接続手段66によって増幅デバイス64に接続された分析デバイス68とからなる。対象試料から抽出されたポリヌクレオチドは増幅デバイス64にて増幅される。次に、増幅ポリヌクレオチド産物の定分量が第1接続手段66により分析デバイス68へ移送される。分析デバイス68により、当該増幅産物の検出及び定量が行われる。
【0088】
一実施例において、本装置により、ポリヌクレオチドのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅が可能となる。当該増幅産物は、電気泳動法により分析される。好ましくは、増幅産物の分析にはキャピラリー電気泳動法が用いられる。
【0089】
図2に示すように、本発明に係る発現プロファイリング装置はさらに、増幅反応に用いるDNA鋳型の調製を可能とする。装置10は、ポリヌクレオチド抽出デバイス20、増幅デバイス64、及び分析デバイス68を含む。第1接続手段66が増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第2接続手段40がポリヌクレオチド抽出デバイス20と増幅デバイス64とを接続する。生体試料がポリヌクレオチド抽出デバイス20に導入されて、当該生体物質からポリヌクレオチドが抽出される。次に、抽出されたポリヌクレオチドは第2接続手段40を通して増幅デバイス64へ移送され、当該ポリヌクレオチドは増幅デバイス64において増幅される。次に、当該増幅ポリヌクレオチド産物の定分量が第1接続手段66によって分析デバイス68へ移送される。分析デバイス68は、当該増幅産物の検出及び定量を行う。
【0090】
好ましい実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイスは、生体物質からRNAを抽出する。さらに好ましい実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20内の生体物質からmRNAが抽出される。
【0091】
本装置の分析デバイス68は、図5に一般的に示すように、所望の発現プロファイリングデータを生成することができる。装置10は、増幅デバイス64と、第1接続手段66によって増幅デバイス64に接続された分析デバイス68とからなる。対象試料から抽出されたポリヌクレオチドは増幅デバイス64にて増幅される。次に、増幅ポリヌクレオチド産物の定分量が第1接続手段66により分析デバイス68へ移送される。分析デバイス68は、当該増幅産物の検出及び定量を行い、発現プロファイリングデータを生成する。
【0092】
代替的に、本発明に係る発現プロファイリング装置はさらに、図3に示すような別個のデータ生成デバイスを含む。装置10は、増幅デバイス64、分析デバイス68、及びデータ生成デバイス120からなる。第1接続手段66が増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続し、第3接続手段80が分析デバイス68とデータ生成デバイス20とを接続する。
【0093】
図4に示すように、発現プロファイリング装置の増幅デバイスは、逆転写によるcDNAの産生が可能である。装置10は、増幅デバイス64及び分析デバイス68からなる。第1接続手段66が、増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。抽出されたRNA(例えば全RNA又はmRNA)が増幅デバイス64に導入されて、増幅デバイス64内のRNAからcDNAが合成される。次に、当該合成cDNAが増幅デバイス64にて増幅される。次に、当該増幅ポリヌクレオチド産物の定分量が、第1接続手段66によって分析デバイス68へ移送される。分析デバイス68は、当該増幅産物の検出及び定量を行う。
【0094】
ポリヌクレオチド抽出デバイス20
図2及び図7に示すように、本発明に係るポリヌクレオチド抽出デバイス20は、生体試料(例えば細胞試料又は組織試料)からポリヌクレオチド(すなわち、DNA又はRNA)を直接抽出することができる。
【0095】
好ましくは、ポリヌクレオチド抽出デバイス20は、増幅デバイス64における逆転写反応及び/又はPCR増幅反応のための鋳型として使用されるポリヌクレオチドを抽出できるように設計される。一実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20は、ポリヌクレオチド増幅のための既存又は将来のシステムの要求に対応する品質及び容積のポリヌクレオチド調製を与える。市販されている増幅システムとしては、Applied Biosystems(Forster City、カリフォルニア州)製のGeneAmp PCR System 9700;Hercules、カリフォルニア州製のiCycler Thermal Cycler;Eppendorf製のEppendorf Mastercycler Gradient;Cepheid(Sunnyvale、カリフォルニア州)製のSmart Cycler TD System;Roche(Indianpolis、インディアナ州)製のLightCycler;AMPLICOR(登録商標)自動化PCRシステム(Roche、Indianpolis、インディアナ州)、及びこれらの機種の後継機が挙げられるが、これらに限定されない。抽出デバイスは、抽出されたポリヌクレオチドを含有する流体を、任意の適した出力容積で供給するべく設計することができる。例えば、約100mlから約750μl、好ましくは約500mlから約500μl、さらに好ましくは約1μlから250μl、さらに好ましくは約1μlから約100μlである。
【0096】
一実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20は、一の生体物質からのmRNAの単離が可能である。他実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20は、複数の生体物質からのmRNAの単離が可能である。
【0097】
ポリヌクレオチドを抽出する技術及び試薬は業界周知である。例えば、分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Molecular Biology)(1986年、Davisら、Elsevier、ニューヨーク州);及び分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(1977年、Ausubelら、John Weley&Sons,Inc.)に記載される。
【0098】
上記のポリヌクレオチド抽出技術を用いた様々なポリヌクレオチド抽出装置を本発明とともに用いることができる。例えば、特開平3−125972号公報は、ウイルス感染を予防するべく及び抽出効率を向上させるべく設計されたポリヌクレオチド抽出装置を記載する。これは、DNAの抽出及び精製に必要な多関節工業ロボット及び周辺ユニットを含む。特開平4−131076号公報は、少量の血液又はその他の生体物質からポリヌクレオチドを抽出する効率を向上させるべく設計された抽出装置を開示する。これは、ポリヌクレオチド抽出容器の遠心機への移送手段をコンパクトに配置することによる。特開平成9−47278号公報は、遠心機の代わりに、真空ポンプを備えた濾過システムを用いた抽出装置を開示する。完全に自動化された抽出デバイスを実現するべく、遠心機又は真空ポンプ及びそれに関連するハードウェアを当該デバイスの中に組み込んでよい。
【0099】
一実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20はポリヌクレオチド抽出装置である。本発明に係るポリヌクレオチド抽出装置は、(1)一の生体物質、一の試薬溶液、及び磁性担体が混合かつ反応する反応管と、不要な組成物溶液をプールする廃液カップと、ポリヌクレオチド回収管とをそれぞれ含みすべてがサポートに固定される一群の抽出容器と、(2)当該抽出容器のそれぞれに溶液を導入する分配手段と、(3)反応管内の溶液及び磁性担体を混合する撹拌手段と、(4)磁性担体を容器内に静止保持する保持器具と、(5)磁性担体が静止保持されている間に反応管から溶液を放出する放出手段と、(6)反応管内の溶液及び磁性担体を加熱する加熱手段と、(7)容器を所定位置に連続移送する移送手段とを含んでよい。かかるデバイスは、米国特許第6,281,008号明細書に開示される。これは、全体が参照として本明細書中に組み込まれる。
【0100】
他実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20は自動ポリヌクレオチド単離デバイスである。本デバイスは、取り外し可能なカセットを含む。このカセットは、試料を分離可能な試料移送/貯蔵ストリップを含む。本カセットは密閉又は開放されてよく、好ましくは密閉される。好ましいカセットはまた可動インプット移送バーを有し、キャディに入れられる。本デバイスはさらに、上側面と、外側面と、内側面と、カセットを配置するための少なくとも1つのスロットと、試料容器を配置するため少なくとも1つのウェルとを有する中空体を含む。加えて、カセットは、当該カセットをキャディから又は当該キャディ内へ移動する手段と、当該インプット移送試料バーを作動させる手段とを含む。好ましいデバイスはまた、加圧空気を接続、貯蔵、又は発生させる手段と連通する空気ノズルと、カセットの試料インプットチャネルを密閉する手段とを含む。さらに本デバイスは、当該内側面に配置されてカセット内のバルブを開閉するバルブアクチュエータと、カセット内の流体チャンバ内に又は当該チャンバ外へ流体を移動させる一以上のポンプアクチュエータとを含む。本デバイスはまた、好ましくは磁石、電源、ユーザーインターフェース、及びバーコード読み取り手段を含む。好ましくは、本デバイスはまた、当該スロット又はウェル内にセンサー手段を含む。これは、カセット又は試料容器のそれぞれが挿入されると当該スロット又はウェルが占有されている旨の信号を送信する。かかるデバイスは、米国特許第6,281,008号に開示される。これは、全体が参照として本明細書中に組み込まれる。
【0101】
他実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20はさらに、記憶手段を含む。他実施例において、ポリヌクレオチド抽出デバイス20はさらに、残りのカセットからストリップを分離する分離手段を含む。本分離手段は好ましくは、加熱手段が連通されたナイフである。これの使用によりストリップと残りのカセットとの両方を密閉する。好ましいデバイスは、2以上のウェルを有する。さらに好ましくは、本デバイスは、約24のウェル、又は48のウェル、又は96のウェル、又は386のウェルを有する。本デバイスは好ましくは、(1)本デバイスの同数のウェルに直列にそれぞれが連通し、当該カセットのインプット試料貯蔵リザーバとも連通する、インプット移送試料バー上に配置された一以上の試料ポートと、(2)同数の試料インプット貯蔵リザーバと流体交換チャネルを介して直列にそれぞれが連通する一以上の反応流路と、(3)流体交換チャネルと連通する試薬供給チャンバ、試料貯蔵器、又は反応チャンバである流体チャンバと、(4)流体交換チャネル内の流体の流れを制御するバルブと、(5)反応流路と連通する少なくとも1つの流体チャンバを有する試料移送/貯蔵ストリップとをさらに含むカセットを備える。
【0102】
ポリヌクレオチド抽出デバイス20は、任意の生体試料からポリヌクレオチドを調製するべく設計される。本発明において用いる生体試料は、ポリヌクレオチド、すなわちRNA又はDNAを含む任意の物質である。かかる試料は、昆虫のような一の生物全体であってよい。または、細菌又は酵母の分析においてのように複数の生物であってよい。さらに、組織、体液、又は排出物のような、生物の一部であってよい。ポリヌクレオチド組成物を得るのに好適な組織は、皮膚、骨、肝臓、脳、葉、根等、すなわち任意の生きている生物又は死んだ生物の組織を含むが、これらに限定されない。組織は、供給源生物の他の組織により実質的に非汚染であってよい。または、当該組織により汚染されても、異なる生物由来の組織により汚染されてもよい。生物、又は特定の生体試料が取り出された生物の供給源は、本発明の方法に適用される前に既知であることが好ましいが、かかる知識は法医学的試料の場合のように、常に入手できるわけではない。
【0103】
生体試料はまた、臨床的な試料又は検体であってよい。例えば、外因性の原因による疾患又は病気の徴候は、特定の病原体の存在下に関して、例えば、そのような病原体の中に含有される特徴的なポリヌクレオチド配列の調製における同定によって証明されるような、尿、糞便、髄液、唾液、血液又は血液組成物、又はその他の任意の適した検体のような、臨床的な検体の試料から取り出したポリヌクレオチドを試験することにより評価できる。個体の所定の先天性遺伝疾患又は状態の存在又は傾向もまた試験できる。かかる遺伝疾患は、ハンチントン病、テイ・サックス病、及びその他を含むが、これらに限定されない。これらは、被検個体の任意の細胞物質のような適切な臨床的試料から単離したポリヌクレオチドの、かかる遺伝疾患又は傾向のポリヌクレオチド配列特徴を試験することによる。ただし、生殖系列幹細胞のDNAに関して再編成されたか又は検出可能に少ないDNAを有する細胞、例えば赤血球及び抗体産生細胞等は、かかる試験単独では不十分である。
【0104】
したがって、ポリヌクレオチド抽出デバイスにより抽出すなわち単離されたポリヌクレオチドは、任意の好適なポリヌクレオチドである。この好適性は所望の試験により決定される。例えば、個体中の所定病原体の存在を試験するべく、臨床的試料から取り出したDNA組成物中に見られる単数又は複数のポリヌクレオチド配列を同定する試験を行なうことが好ましい。病原体及び宿主の既知の生物学により、被検個体が感染していた場合に、病原体が見つかることが示唆される。代替的には、個体に特定の遺伝子が発現しているか否かを試験するには、組織から取り出したRNA組成物中の単数又は複数の識別ポリヌクレオチド配列の証拠を探すことによってかかる発現を試験することができる。根本にある生物学/病理学は、当該発現が、試験される状態又は疾患に適切である又はそうでないとする。発現がモニタされる遺伝子によっては、当該RNA組成物は、業界周知の方法を用いて、ポリアデニル化又は非ポリアデニル化RNA種を主に含むようにさらに精製することができる。代替的に又は追加的に、本発明においても同様に、RNA種の大きさの階級を選択することができる。
【0105】
生体試料は、個体から新鮮に取り出し得、又は自然から単離し得、又はそのような試料は、氷上などの適切な条件下で保管し得る。例えば血液の試料は、個体の静脈に配置し、例えば個体から管へ血液を吸い出すために標準排出管に接続される、皮下注射針のような標準的な方法を用いて、個体から採取し得る。採取された血液はそのまま使用可能であり、又は氷上で保管し得、好ましくはヘパリン、クエン酸塩、又はEDTAなどの抗凝固剤の存在下で保管し得る。長期貯蔵のためには、試料は好ましくは冷凍、凍結乾燥し、又は例えばDNAの貯蔵のためには、適切な基質に適応させて乾燥させる。そのような好適な基質としてはWhatman濾紙などの吸収性の紙、又は遊離可能なようにDNAを結合させるように処理した膜物質が挙げられる。好ましい膜としては、IsoCode.TM.Stix(Schleicher&Schuell,Inc.,Keene、ニューハンプシャー州)という名称の市販製品が挙げられる。これは、遊離可能なDNA結合に加えて、不可逆的にヘモグロビン(所定のポリヌクレオチド増幅法の阻害剤)が結合する。本発明にしたがって、基質に結合したポリヌクレオチドは、ここで基質から抽出し、新鮮な試料と同様に精製できる。
【0106】
好ましくは、ポリヌクレオチド抽出デバイス20によって、一以上の生体試料から核酸を抽出することができる。一実施例において、これは、デバイスのスロットに挿入可能な取り外し可能カセットを含むかかるデバイスにより達成できる。好ましくは、当該デバイスは、4つの異なるカセット(例えば各カセットが一の試料に対応)のための複数のスロットを含む。当該カセットは、同時に、連続的に、又は時差式に動作させることができる。
【0107】
試料調製デバイスもまた、増幅反応混合物のリザーバとして機能する。これにより、定分量と同等の量が、分析デバイスへの増幅産物の各移送の後に反応混合物に補充される。
【0108】
増幅デバイス64
図1に示すように、本発明に係る増幅デバイス64は、好ましくはポリヌクレオチド連鎖反応(PCR)によりポリヌクレオチドを増幅できる任意の装置であってよい。典型的には、PCR反応はサーマルサイクラーを用いて行われる。有用なサーマルサイクラーとしては、Applied Biosystems(Forster City、カリフォルニア州)製のGeneAmp PCR System 9700;Bio−Rad(Hercules、カリフォルニア州)製のiCycler Thermal Cycler;Eppendorf製のEppendorf Mastercycler Gradient;Cepheid(Sunnyvale、カリフォルニア州)製のSmart Cycler TD System;Roche(Indianapolis、インディアナ州)製のLightCycler;AMPLICOR(登録商標)自動化PCRシステム(Roche、Indianapolis、インディアナ州)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なPCRデバイスとしては、以下の米国特許第5,475,610号、第5,602,756号、第5,720,923号、第5,779,977号、第5,827,480号、第6,033,880号、及び第6,326,147号、第6,1716,785号に開示される装置が挙げられるが、これらに限定されない。当該文献は全て、本明細書に参照として組み込まれる。
【0109】
ポリメラーゼ連鎖反応の目的は、初めに得られた小容積の「鋳型」DNAと同一のDNAを大量に生産することである。この反応は、DNA鎖を複製した後に、その複製を用いて一連のサイクルで他の複製を産生することを含む。理想的条件下では、各サイクルでDNAの量が倍になる。その結果、反応混合物中に存在する「標的」又は「鋳型」DNA鎖の複製の容積が幾何学級数的に増加する。
【0110】
例えば、典型的なPCR温度サイクルは、反応混合物が、所定時間の間各インキュベート温度に正確に保持されることを要求する。また、同一又は類似のサイクルが何回も繰り返されることを要求する。典型的なPCRプログラムは、反応混合物の変性を行なうべく約30秒間維持される約94℃の試料温度で開始する。次に、反応混合物の温度が、約30℃から約60℃に下げられて1分間保持され、プライマーハイブリダイゼーションが行われる。次に、反応混合物の温度が、約50℃から約72℃の範囲まで上げられて約2分間保持され、伸長産物の合成が促進される。これで1サイクルが完了する。次に、反応混合物の温度を再び約94℃まで上げることにより次のPCRサイクルが開始し、前サイクルで形成された伸長産物の鎖が分離される。典型的には、サイクルは25から30回繰り返される。PCRサイクルの温度及びPCR反応におけるサイクル数が、反応の目的及び鋳型の特徴に応じて変わることは、当業者に周知である。基本的なPCRプロトコル及びストラテジーは業界周知であり、例えば分子生物学における基本的方法(Basic Methods in Molecular Biology)(1986年、Davisら、Elsevier、ニューヨーク州);及び分子生物学における最新プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)(1997年、Ausubelら、John Weley&Sons,Inc.)に記載される。
【0111】
一実施例において、反応混合物は、キャップで閉められる使い捨てのプラスチック管中に保存される。かかる管に入る典型的な試料容積は50〜100マイクロリットルである。典型的に、かかるデバイスは、試料DNA及び反応混合物で満たされた多数の管を使用する。当該管は、金属ブロック内の試料ウェルと呼ばれる孔に挿入される。PCRプロセスを行なうべく、金属ブロックの温度は、ユーザがPCRプロトコルファイルに指定した所定温度及び時間に応じて制御される。次に、コンピュータ及び関連電子機器が、当該PCRプロトコルファイル中のユーザ提供データに応じて金属ブロックの温度を制御する。当該プロトコルファイルは、時間、温度及びサイクル数等を規定する。金属ブロックの温度変化に伴い、様々な管内の試料も同様の温度変化で追従する。
【0112】
一般に、金属ブロック内の場所ごとの温度を均一にすることが望ましい。これは、金属ブロック内に温度勾配が存在することにより、サイクルの特定の時間において他の試料と温度が異なる試料が生じるからである。また、試料ブロックから試料への熱伝達の遅延を最小限にすることが望ましい。これは特に、当該遅延がすべての試料で同じではないからである。これらの因子は、本発明のPCRデバイスを設計する際に考慮される。
【0113】
一実施例において、PCRデバイスは金属ブロックを有する。当該金属ブロックは、業界標準マイクロタイタープレートの形態で配列された96の試料管を収容するのに十分な大きさである。マイクロタイタープレートは、生化学及び生物工学の分野において、多数の微小試料の取り扱い、プロセシング、及び分析を行うための広く使用される手段である。有用なマイクロタイタープレートには24ウェル、48ウェル、96ウェル、196ウェル、又は384ウェルが含まれ得る。典型的には、マイクロタイタープレートは、幅が9.2センチメートル(3と5/8インチ)、長さが12.7センチメートル(5インチ)のトレイであり、9ミリメートルの中心部に8ウェル×12ウェルの矩形アレイで、96の同一の試料ウェルを含む。マイクロタイタープレートは、多くの異なる用途に最適化された、試料ウェルの材料、形状、及び容積について様々なものが入手可能である。好ましくは、マイクロタイタープレートは、全体外形寸法及び9ミリメートルの中心部に上記と同様の8×12アレイのウェルを有する。標準マイクロタイタープレート形態での試料の取り扱い、プロセシング、及び分析を自動化するべく様々な器具が利用可能である。マイクロタイタープレートは、本技術分野で例えば、MWG biotech INC.(High Point、ノースカロライナ州)から市販されている。マイクロプレートは、例えば、米国特許第5,602,756号に開示される業界周知の方法で作られる。当該文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0114】
好ましくは、マイクロタイタープレートに使用される管は、試料ブロックの試料温度変化とそれに対応する反応混合物温度変化との間の遅延を減少させるべく、壁の薄い試料管である。使用されるいかなる熱交換とも接触する試料管の一部の壁厚は、PCRサイクルの熱応力及び通常使用の応力に耐えられるほど十分な強度を持つ範囲でできるだけ薄くしなければならない。典型的に、試料管は、Himont PD701のような、オートクレーブ対応のポリプロピレンで作られ、円錐部の壁厚が、0.0023センチメートル(0.009インチ)から0.0030センチメートル(0.012インチ)±0.0025センチメートル(0.001インチ)の範囲である。
【0115】
他実施例において、PCRデバイスは、試料ブロックの加熱及び冷却を使用する。これにより、急速な熱サイクル速度、周囲温度の非制御変化、並びに、電力線電圧及び冷却液温度のような他の動作条件の変化にかかわらず、試料ごとの均一性が得られる。以下に記載のように、凝縮及び試料容積の低下を防ぐべく、加熱したカバーを利用してもよい。
【0116】
他実施例において、PCRデバイスは、試料がその沸点に近い温度でインキュベートされる場合に反応混合物から溶媒が失われることを防ぐ。加熱されたプラテンが、試料管の上端を覆う。当該カバーは、各試料管に気密シールを与える別個のキャップと接触する。プラテンからの熱が、各試料管の上部及びキャップを、凝縮点を超える温度まで加熱する。これにより、任意の試料管内においても凝縮及び還流が起こらない。凝縮は、相対的に大きな熱伝達を表す。水蒸気が凝縮するときに、蒸発熱と同等の熱量が放出されるからである。凝縮が均一に起こらない場合には、試料間での温度差が大きくなりうる。加熱されたプラテンにより、任意の試料管内で任意の凝縮が起こるのを防ぐことができる。これにより、起こりうる温度エラーのうち、この原因によるものが最小限となる。また、加熱されたプラテンの使用により、試薬の消費が低減される。
【0117】
好ましい実施例において、本発明における増幅デバイス64は、cDNA合成のための逆転写を行なうことができる。逆転写反応とは、RNA鋳型に相補的なDNA鎖の鋳型依存重合化が起こるin vitroの酵素反応を意味する。逆転写はRNA鋳型にアニーリングされたオリゴヌクレオチドプライマーの伸長により行われ、AMV(鳥類骨髄芽細胞症ウイルス)逆転写酵素又はMMLV(モロニーマウス白血病ウイルス)逆転写酵素のような、ウイルス性逆転写酵素が最もよく用いられる。逆転写の条件及び方法は業界周知である。逆転写の典型的な条件としては以下が挙げられる。AMV逆転写酵素に関しては、約37℃にて、pH8.3、50mMのTri−HCl、75mMのKCl、3mMのMgCl2、10mMのDTT、0.8mMのdNTP、50ユニットの逆転写酵素、及び1〜5μgの鋳型RNAを含有する緩衝液中での反応。MMLV逆転写酵素に関しては、pH8.3、50mMのTri−HCl、30mMのKCl、8mMのMgCl2、10mMのDTT、0.8mMのdNTP、50ユニットの逆転写酵素、及び1〜5μgの鋳型RNAを含有する緩衝液中で反応。
【0118】
他の好ましい実施例において、逆転写は96ウェルのプレートを用いて行われ、プレートのウェルの内壁に化学的に結合した、一以上のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてcDNAが合成される。かかる化学的に結合したオリゴヌクレオチドの合成技術については、McGallら、国際出願PCT/US93/03767号;Peaseら、(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.,91:5022−5026;SouthenとMaskos、国際出願PCT/GB89/01114号;MaskosとSouthern(上記);Southernら、(1992年)Genomics、13:1008−1017;及びMaskosとSouthern、(1993年)Polynucleotides Research,21:4663−4669に記載される。当該文献は、その全文が参照として本明細書に組み込まれる。
【0119】
いくつかの実施例において、逆転写は、マイクロタイタープレートのウェルの内壁に化学的に結合した一以上のオリゴヌクレオチドを用いて行われる。他実施例において、増幅反応は、マイクロタイタープレートのウェル又は反応管の内壁に化学的に結合した一以上のオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行われる。その結果、合成されたcDNA又は増幅されたポリヌクレオチド産物は、容易な分離、精製を目的としてマイクロタイタープレートの内壁に結合される。
【0120】
オリゴヌクレオチドはまた、マイクロタイタープレートのウェル又は反応管の内壁のような一の(又は少数の)固相支持体上で合成される。合成されたオリゴヌクレオチドで均一にコーティングされた領域のアレイが形成される。かかるアレイの合成技術は、McGallら、国際出願PCT/US93/03767号、Peaseら、(1994年)Proc.Natl.Acad.Sci.,91:5022−5026,SouthenとMaskos、国際出願PCT/GB89/01114号、MaskosとSouthern(上記)、Southernら、(1992年)Genomics、13:1008−1017、及びMaskosとSouthern(1993年)Polynucleotides Research,21:4663−4669に記載される。
【0121】
一実施例において、増幅デバイスにより、標識された増幅産物が産生される。例えば、増幅産物は標識されたプライマーを用いることにより産生される。本発明の方法に係る標識されたポリヌクレオチド(例えば、オリゴヌクレオチドプライマー)は5’末端、3’末端、又は両方の末端を、又は内部を、標識される。標識は、例えば色素、放射能標識のように「直接的(direct)」であり得る。また、標識は、例えば抗体エピトープ、ビオチン、ジゴキシン、アルカリホスホターゼ(AP)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)のように「間接的(indirect)」であってもよい。「間接的標識」を検出するには、標識された抗体、又は酵素基質のような付加的組成物を加えて、キャプチャされ、放出され、標識されたポリヌクレオチド断片を視覚化する必要がある。好ましい実施例において、オリゴヌクレオチドプライマーは蛍光標識によって標識される。好適な蛍光標識としては、ローダミン及びその誘導体(例えばテキサスレッド)、フルオレセイン及びその誘導体(例えば5−ブロモメチルフルオレセイン)、ルシファーイエロー、IAEDANS、7−Me2N−クマリン−4−アセテート、7−OH−4−CH3−クマリン−3−アセテート、7−NH2−4−CH3−クマリン−3−アセテート(AMCA)、モノブロモビマン、カスケードブルーなどのピレントリスルホン酸、及びモノブロモリメチル−アンモニオビマンなどの蛍光色素が挙げられる(例えば、参照として本明細書中に組み込まれる、DeLuca、免疫蛍光分析、抗体内でのツールとして(Immunofluorescene Analysis,in Antibody As a Tool)、Marchalonisら編,John Wiley&Sons,Ltd.,(1982年)を参照のこと)。
【0122】
分析デバイス68−キャピラリー電気泳動法デバイス
キャピラリー電気泳動法は、本発明における増幅産物を分析するために好ましい方法である。図1に示すように、本発明は、例えばキャピラリー電気泳動法デバイスのような増幅デバイス64及び分析デバイス68の両方を含む一の装置を与える。キャピラリー電気泳動法デバイスは業界周知である。本発明において有用なキャピラリー電気泳動法デバイスとしては、Applied Biosystems(Foster City、カリフォルニア州)製のABI PRISM(商標)3100 Genetic Analyzer、ABI PRISM(商標)3700 DNA Analyzer、ABI PRISM(商標)377 DNA Sequencer、ABI PRISM(商標)310 Genetic Analyzer;Amersham Pharmacia Biotech(Piscataway、ニュージャージー州)製のMegaBACE1000Capillary Array Electrophoresis System;Beckman Coulter(Fullerton、カリフォルニア州)製のCEQ(登録商標)8000 Genetic Analytic System;Caliper Technologies(Mountain View、カリフォルニア州)製のAgilent 2100 Bioanalyzer;Convergent Bioscience Ltd.(Toronto、カナダ)製のiCE280 Systemが挙げられる。有用なキャピラリー電気泳動法反復装置は、米国特許第6,217,731号、第6,001,230号、第5,963,456号、第5,246,577号、第5,126,025号、第5,364,521号、第4,985,129号、第5,202,010号、第5,045,172号、第5,560,711号、第6,027,624号、第5,228,969号、第6,048,444号、第5,616,228号、第6,093,300号、第6,120,667号、第6,103,083号、第6,132,582号、第6,027,627号、第5,938,908号、及び第5,916,428号に開示されており、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0123】
キャピラリー電気泳動法において、バックグラウンド電解溶液を収容する2つのリザーバが、同じ溶液を含むキャピラリー管と相互接続される。各リザーバには電極が備えられる。被分析試料が、短い帯としてキャピラリーの一端に導入される。試料を導入するべく、キャピラリーの当該端部が1つのリザーバ内に移送される。所望量の試料溶液がキャピラリーに注入される。その後、キャピラリーの当該端部がバックグラウンド溶液内に戻される。リザーバ内の電極を用いて、キャピラリーに電界が印加される。通常は、200から1000V/cmの範囲である。当該電界の影響により、電荷を帯びた粒子がキャピラリー中を移動する。異なる粒子が電界中で異なる速さであれば、互いに分離される。粒子の帯が、キャピラリーの他端の検出器を異なる時間に通過し、その信号が計測される。
【0124】
一実施例において、キャピラリー電気泳動法デバイスは、複数のキャピラリー、一の電極/キャピラリーアレイ、マルチルーメン配管、配管ホルダ、光学検出領域、キャピラリーバンドル、及び高圧T字フィッティングを与える。キャピラリーは、電極/キャピラリーアレイに配置される試料端部を有する。第2の端部は、高圧T字フィッティングに受け入れられる。
【0125】
好ましくは、電極/キャピラリーアレイは、電極と、キャピラリーの試料端部とを含む。これらは、キャピラリー電気泳動法デバイスの底面から突出する。電極とキャピラリーの試料端部とは、96ウェル又は384ウェルのマイクロタイタートレイの対応する試料ウェルに浸漬されるように配置される。マイクロタイタートレイ上のすべてのウェルを完全に利用するには、96又は384のキャピラリーが必要となる。
【0126】
同様に好ましくは、キャピラリーは、対応するマルチルーメン管の内部を通る。当該マルチルーメン管は、配管ホルダによってしっかり固定される。キャピラリーの一部は、露出され、並んで配列され、マルチルーメン配管の保護がない。さらに、カメラアセンブリを含む光学検出領域を通過する。カメラアセンブリは露出したキャピラリーの内部を移動する試料の画像をキャプチャする。次に、キャピラリーの露出した第2端部は一緒にバンドルされ、高圧T字フィッティング内にはめ込まれる。
【0127】
一実施例において、図6に示すように、増幅デバイス64及び分析デバイス68は同一のハウジング60に配置される。ハウジング60内の第1接続手段66が、増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。
【0128】
データ生成120
図5に示すように、本発明の分析デバイス68によりデータ生成が行われる。代替的には、図3に示すように、別個のデータ生成デバイス120によりデータが生成される。
【0129】
データ生成は、例えば米国特許第6,217,731号、第6,001,230号、第5,963,456号、第5,246,577号、第5,126,025号、第5,364,521号、第4,985,129号、第5,202,010号、第5,045,172号、第5,560,711号、第6,027,624、第5,228,969号、第6,048,444号、第5,616,228号、第6,093,300号、第6,120,667号、第6,103,083号、第6,132,582号、第6,027,627号、第5,938,908号、第5,900934号、第6,184,990号、及び第5,916,428号に開示されるような、業界周知の方法によって実施し得る。当該文献は、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0130】
一実施例において、データ生成デバイスは、信号検出器、ディスプレイモニタ、並びに、制御回路及びディスプレイモニタに接続されたコンピュータプロセッサを含む。コンピュータプロセッサは、制御回路と通信するべく構成された入力/出力(I/O)インターフェースと、ディスプレイモニター上にグラフィカルユーザーインターフェースを表示する表示プログラムを記憶する第1のコンピュータメモリを含む。
【0131】
好ましくは、データ生成デバイスにより、蛍光プローブが生成する蛍光信号の検出及び定量が可能となる。蛍光プローブは、ローダミン及びその誘導体(例えばテキサスレッド)、フルオレセイン及びその誘導体(例えば5−ブロモメチルフルオレセイン)、ルシファーイエロー、IAEDANS、7−Me2N−クマリン−4−アセテート、7−OH−4−CH3−クマリン−3−アセテート、7−NH2−4−CH3−クマリン−3−アセテート(AMCA)、モノブロモビマン、カスケードブルーなどのピレントリスルホン酸、及びモノブロモリメチル−アンモニオビマン等の蛍光色素を含むが、これらに限られない。
【0132】
一実施例において、本デバイスは、キャピラリーフローセルの一側に配置された凹面反射体を第1の高開口数(numerical aperture(NA))集光器として与え、当該フローセルの反対側に配置されたレンズ集光器を第2の高NA集光器として与える。また、当該フローセルに近接して配置された光ファイバを与える。これにより励起光が送られて、当該フローセル内に含まれた試料が放出光を放出する。反射体は、放出光を反射する凹面を有する。集光器は、当該放出光を集光する近位の凸面と、当該放出光をコリメートする遠位の凸面とを有する。この構成により、フローセルの両側からの大きな立体集光角度が達成される。これにより、集光効率が高められる。異なる放出源からの励起光を送るべく、2以上の光ファイバが用いられる。光ファイバを反射体及び集光器の光軸に直交する平面に配置することで、散乱バックグラウンド光の干渉が低減される。これにより、信号対ノイズ比が改善される。コリメートされた放出光は、例えば光電子増倍管検出器により検出可能である。
【0133】
フラクション回収器160
本発明において、本装置はフラクション回収器を含む。これは、分析デバイスから任意の所望のポリヌクレオチド試料を回収するべく分析デバイスに接続される。図8に示すように、フラクション回収器160は第4接続手段140を介して分析デバイス68に接続される。加えて、図10に示すように、フラクション回収器160は第5接続手段180によって配列同定器200に接続される。
【0134】
従来のフラクション回収器は大きく2つの群に分類しうる。第1の群では、回収管は、ほぼ矩形のアレイ内に配置され、分注ヘッドは別個の回収管に選択的に供給するべく操作される。第2の群では、回収管はらせんパターンに配置され、ほぼ円形の回転台の上に取り付けられる。回転台は、分注ヘッドが、らせんパターンに従って別個の回収管をたどるべく径方向に動くように回転する。かかるフラクション回収器はいずれも、本発明で用いられる。かかるフラクション回収器の例は、米国特許第4,862,932号、第3,004,567号、第3,945,412号、第4,495,975号、第4,171,715号に開示されるものを含むが、これらに限られない。当該文献はそれぞれ、全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0135】
フラクション回収器は、高スループット分析システムのニーズに応えるべく開発されている。かかるフラクション回収器もまた、本発明の装置に統合される。例えば、米国特許第6,309,541号明細書(その全体が参照として本明細書中に組み込まれる)は、マイクロタイタープレートを固定位置に保持し、当該マイクロタイタープレート内の選択されたウェルに試料の一部を分注する自動フラクション回収アセンブリを開示する。本フラクション回収アセンブリは分注針を含む。これを通して試料の一部が、使い捨ての拡張チャンバ内、さらにはマイクロタイタープレート内に分注される。本分注針は分注ヘッド上に取り付けられる。当該分注ヘッドは、使い捨ての拡張チャンバ内に拡張されるように構成される。試料の一部が拡張チャンバ内に凝縮された後に、マイクロタイタープレート内に分注される。
【0136】
本発明において有用な他の種類のフラクション回収器は電気泳動法を用いたフラクション回収器であり、例えば、米国特許第5,541,420号、第5,635,045号、第5,439,573号、第4,964,961号、第4,608,147号、第4,049,534号、第4,040940号、第3,989,612号(その全てが参考として本明細書に組み込まれる)に開示される。一実施例において、本発明に係るフラクション回収器は、電気泳動法により試料を分離するべく一以上の電気泳動トラックを特定のギャップに含む。分離組成物はその後、電気泳動トラックから溶出される。一以上のキャピラリー試料移送管が、その端部が当該特定のギャップにある電気泳動トラックに近接して配置され、各電気泳動トラックから溶出された分離組成物を移送する。オプションとして接続手段が使用される。これにより、緩衝液がギャップに供給され、分離組成物は、緩衝液のシース流(sheathflow)によって試料移送管まで運ばれる。
【0137】
その他の有用なフラクション回収器デバイスとしては、米国特許第6,106,710号、第6,004,443号、第5,205,154号、及び第6,335,164号が挙げられるが、これらに限定されない。当該文献は、全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0138】
配列同定器200
本発明の装置はさらに配列同定器を含む。これにより、例えば分析デバイスにより同定された対象ポリヌクレオチドのような所望のポリヌクレオチドの配列が与えられる。図10に示すように、配列同定器200は、それぞれの回収フラクション中のポリヌクレオチドの配列を同定するべくフラクション回収器160に接続される。他実施例において、図9及び12に示すように、配列同定器200は第5接続手段180により分析デバイスに接続される。他実施例において、図11に示すように、分析デバイス68自体が配列同定器として機能してよい。好ましくは、対象ポリヌクレオチドを含む試料が、その配列を同定するべく分析デバイスに再ロードされる。DNA配列決定は一般に、Sangerら(Proc.Nat.Acad.Sci.USA 74:5463、1977年)の方法により行われ、一本鎖DNA鋳型とプライマーからの一本鎖DNAの酵素合成を伴う。一本鎖の鋳型は、鋳型にハイブリダイズするプライマーとともに与えられる。このプライマーは、DNAポリメラーゼを用いて伸長される。それぞれの反応は、例えばジデオキシヌクレオチドのような適切な連鎖終結剤との協働により、特定の塩基(グアニン,G、アデニン,A、チミン,T、又はシトシン,C)にて終結される。次に、ポリヌクレオチドのヌクレオチド同一性が、ポリヌクレオチドの各位置に組み込まれた連鎖終結剤に応じて決定される。しかしながら、その他のDNA配列決定デバイス及び方法も開発されており、本発明における配列同定器として用いることができる。
【0139】
好ましい実施例において本装置は、別個の配列同定器を有しない。増幅デバイス及び分析デバイス(例えばキャピラリー電気泳動法デバイス)が配列同定の機能を果たす。配列決定反応を行うべく、配列決定試薬混合物が増幅反応液に加えられる。次に、配列決定反応液の定分量が、配列同定を目的として分析デバイス(例えばキャピラリー電気泳動法デバイス)へ移送される。配列決定反応及び配列同定に用いる方法及び試薬は業界周知である。例えば、分子生物学における簡略プロトコル(Short Protocols In Molecular Biology)(Ausubelら編,1995年、前記)に記載される。
【0140】
本発明において有用な配列同定器は、米国特許第6,270,961号、第6,025,136号、第5,955,030号、第5,846,727号、第5,821,058号、第5,608,063号、第5,643,798号、第5,556,790号、第5,543,247号、第5,332,666号、第5,306,618号、第5,288,644号、第5,242,796号、第5,221,518号、及び第5,122,345号に開示されるものを含むが、これらに限定されない。当該文献は、全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0141】
同定された対象ポリヌクレオチドの配列は、Genbankのような様々なデータベースの利用可能な配列と比較するべく使用される。
【0142】
接続手段40、66、80、140又は180
本発明の接続手段40、66、80、140又は180により、図1−12に示すように、流体及び/又は信号を2つのデバイス間で連通することができる。好ましくは、本発明の接続手段は、流体の移送を可能にするべく水平及び垂直の両方向に移動できる。接続手段は、管若しくはチャネル又はロボットアームである。接続手段は、2つ以上の管を含む。2以上の管が互いに隣り合う。例えば増幅デバイスの反応チャンバのような接続手段が取り付けられる区画は、接続手段が存在する場合を除いて閉じられる。または、一以上の開いた側面を有してもなお、本発明の目標及び目的に適合する有効な容積を画定する。試料は接続手段を通して界面導電学的に移送される。例えば、接地電位を含む選択可能な電位を印加可能な電圧コントローラを用いて移送される。かかる電圧コントローラは、選択可能な電位を得るべく複数の分圧器及び複数のリレーを使用して実装できる。界面導電学的移送の利用は、試料操作のため及びポンピングメカニズムとして実行可能なアプローチである。本発明はまた、様々な流体を制御された再現可能な様式で混合させるべく電気浸透流の使用を伴う。適切な流体が、対応する適切な材料で作られた管内に配置されると、当該管の表面の官能基がイオン化される。電気浸透は、プログラム可能なポンピングメカニズムとして使用できる。
【0143】
ポンピング動作はまた、例えば蠕動ポンプを使用して達成できる。また、流体チャンバの可撓性フィルムにローラを押し下げてチャンバの容積を減らすメカニズム、流体チャンバの可撓性フィルムをその容積を低減するべく押圧するプランジャ、及びその他の業界周知なポンピングの仕組みを使用して達成してもよい。かかるメカニズムは、Shojiら、「総合的化学分析システムのためのポンプの製作(Fabrication of a Pump for Integrated Chemical Analyzing Systems)」Electronics and Communication in Japan,Part2,70,52−59(1989年)、又はEsashiら、「通常閉じているマイクロバルブと、シリコンウェハー上に製作されたポンプ(Normally closed microvalve and pump fabricated on a Silicon Wafer)」Sensors and Actuators,20,163−169(1989年)によって報告されるような微小電気機械デバイスを含む。
【0144】
本発明に有用な接続手段40、66、140又は180はロボットアームである。ロボットアームは、試料、試料を含む管又はプレートを、一の場所から他の場所へ物理的に移送する。自動サンプリングプロセスが、プログラムされたルーチンとして容易に実行できる。また、サンプリングの人為ミス(すなわち、試料の大きさ、及び試料の同一性追跡でのミス)と、人がサンプリングすることによる汚染の可能性との双方を回避できる。サーマルサイクラーから定分量を引き出すことができるロボットアームが業界にて利用可能である。例えば、Mitsubishi RV−E2ロボットアームが、SciClone(登録商標)Liquid Handler又はRobbins Scientific Hydra 96ピペッターと組み合わせて使用できる。好ましくは、本発明のロボットアームはまた、試料移送を目的とする水平及び垂直の両方向の移動が可能なモーター駆動ステージを含む。
【0145】
一実施例において、第1接続手段66が、増幅デバイス64と分析デバイス68とを接続する。これにより、流体が移送されて特定の分析にかけられる。好ましい実施例において、第1接続手段66により、流体試料を分析デバイス68内にあるローディングウェルに自動的にロードできる。次に、ローディングウェル内に配置された試料の容積又は「プラグ」は、所望の分析にかけられるとすぐに分析チャネルから引き下ろされる。好ましい実施例において、分析デバイス68はキャピラリー電気泳動法デバイスである。したがって、かかる操作に対して主チャネル又は分析チャネルは一般に、ふるいマトリクスと、その中に配置される緩衝液又は溶剤とを含む。これにより、試料の構成要素の電気泳動分離が最適化される。しかしながら、本明細書を読めば、分析デバイス68は多様な非CEデバイスであってよく、試料に対して任意数の異なった分析反応を行なってよいことが理解できる。
【0146】
好ましくは、試料を移送する接続手段66により、増幅反応工程中に増幅反応物から定分量を引き出すことができる。接続手段66はピペットチップ又は針を含む。これは、一の試料が引き出された後に処分されるか、又は各試料が引き出された後に当該針又はチップを洗浄する一以上のステップが組み入れられる。代替的に、接続手段は、キャピラリー電気泳動法に使用されるキャピラリーを、当該キャピラリ-に定分量をロードするべく増幅反応液に直接接触させることができる。
【0147】
一実施例において、第1接続手段66は、各PCRサイクルの終わりにPCR増幅反応混合物の定分量を増幅デバイスから分析デバイスへ移送する。
【0148】
他実施例において、第2接続手段40が、ポリヌクレオチド抽出デバイスと増幅デバイスとを接続する。他実施例において、第2接続手段は、dNTP、プライマー、必要な試薬、及びDNAポリメラーゼを含む混合物を、開始反応混合物と同じ濃度で増幅反応混合物に補充する機能も果たす。さらなる他実施例において、異なる接続手段が増幅反応混合物の補充に用いられる。この接続手段は、流体移送を可能にする本アプリケーションにおいて説明したのと同じ方法で作られる。
【0149】
好ましくは、本発明の第1接続手段により、増幅反応混合物の定分量を、例えばキャピラリー電気泳動法デバイスのような分析デバイスに供給することができる。かかる供給機能は、例えば米国特許第6,280,589号、第6,192,768号、第6,190,521号、第6,132,582号、及び第6,033,546号に開示される業界周知の方法によって達成可能である。当該文献は、その全てが参考として本明細書に組み込まれる。
【0150】
一実施例において、試料は試料プラグとして接続手段に注入される。当該接続手段は、少なくとも一の電解質緩衝液用チャネルと、試料供給及び排出チャネルとを含む。供給及び排出チャネルは、分析デバイス68のそれぞれの供給及び排出ポートにおいて電解質チャネル内に放出される。供給ポートと排出ポートとの間の距離が、試料容積を幾何学的に画定する。電解質チャネル内への試料プラグの注入は、供給及び排出チャネルにわたって電界を適用することにより界面導電学的に達成される。当該適用は、最も低い電気泳動移動度を有する試料組成物が当該幾何学的に画定された容積内に含まれるのに十分長い時間に及ぶ。供給及び排出チャネルはそれぞれ電解質チャネルの方に傾斜する。界面導電学的に試料を試料容積内に注入する方法が与えられる。電解質緩衝液に対するソース及び排出チャネルの流動抵抗は、電解質チャネルの各流動抵抗より少なくとも約5%低い。
【0151】
他実施例において、試料は、業界周知の流体力学的方法を用いて、第1接続手段によって注入される。試料は圧力差によりキャピラリー内に注入される。圧力差は、キャピラリー端部を静水圧差が生じる異なる高さに置くことで発生するか、又は試料溶液をキャピラリー内に注入する過度の圧力がガスによって生じる密閉可能試料リザーバにおいて発生する。キャピラリーを通る試料の量は、圧力差及びその有効時間の選択により制御される。
【0152】
他実施例において、試料は、固定又は可動の試料注入キャピラリーを用いて注入される。当該試料注入キャピラリーは、キャピラリーゾーン電気泳動法装置のキャピラリーの入口端近傍に、試料溶液が当該入口端を完全に取り囲むように配置される。試料は、電気泳動電流又はその他の方法により分離キャピラリー内へ移送され、所定時間後、溶液は入口端近傍から引き出される。このとき、試料溶液がバックグラウンド溶液に置換される。
【0153】
しかしながら、他実施例においては、増幅デバイスとキャピラリー電気泳動法分析デバイスとを接続するのに第1接続手段を使用しない。その代わり、増幅されたポリヌクレオチド試料のフラクションは、当該電気泳動法デバイスのキャピラリー及び電極がPCR反応液内に直接浸漬されることにより電気泳動法デバイスにロードされる。好ましくは、制限された時間だけ電流を電極に印加して、上記の界面導電学的な力によりポリヌクレオチド試料をキャピラリーに強制的に入れる。電流を印加する時間は、例えば約0.001秒、0.01秒、0.1秒、1秒、又は10秒、又はそれ以上である。これは、キャピラリー電気泳動法による分析のためにキャピラリーに取り込む必要がある試料の容積による。この実施例により、分析デバイスへの試料をロードするプロセスが単純となる。
【0154】
第3接続手段80は、分析デバイス68と、当該分析デバイスの外側に配置されたデータ生成デバイス120とを接続する。
【0155】
第4接続手段140は一実施例において、分析デバイス68とフラクション回収器160とを接続するべく使用される。しかしながら、本発明の他実施例においては、分析デバイスとフラクション回収器デバイスとの間に接続手段を使用しない。
【0156】
第5接続手段180はいくつかの実施例において、配列同定器200と、分析デバイス68又はフラクション回収器160とを接続するべく使用される。これにより、対象ポリヌクレオチドの配列同一性が得られる。
【0157】
いくつかの実施例において、第1、第2、第4、及び第5接続手段は、例えば、流体を一のデバイスから他のデバイスへ移送するロボットアームのような一の接続手段である。一のロボットアームは、一のデバイスから第2のデバイスへ流体を移送した後、一のデバイスから第3のデバイスへ流体が移送される前に、自身を洗浄及び消毒する。
【0158】
本発明に係る接続手段を作るのに適切な基板は、様々な材料の任意の一つ又は材料の組み合わせから製造される。しばしば、接続手段は、例えば、ガラス、石英、シリコン、又はポリシリコン等のシリカ系基板、及びその他の周知の基板すなわちガリウムヒ素のような、業界周知の通常の中実基板を使用して作られる。代替的には、本発明の接続手段を作るべく重合体基板材料を使用できる。例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、及び類似の材料が含まれる。
【0159】
本発明により、転写プロファイリングのために用いる自動装置が可能になる。本装置により、標的ポリヌクレオチドの増幅と、当該標的ポリヌクレオチドからの増幅産物の定量分析とを行なうことができる。本装置により、ポリヌクレオチド抽出及び逆転写もできる。本装置によりさらに、対象ポリヌクレオチド(例えば、2つ以上の試料で異なる発現をする遺伝子)及び当該対象ポリヌクレオチドの配列同一性の同定が可能になる。
【0160】
図13は、本発明の装置を用いた発現プロファイリングプロセスの概略図を示す。例えば、このプロセスは、図10に示した装置を用いて行われる。好ましい実施例において、図10のすべての装置は一のハウジング内に配置される。RNAは独立して抽出される。または、図2に示す増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスにより抽出される(ステップ1)。増幅デバイス64により、cDNAの合成及び増幅が行われる(例えば、PCRによる。ステップ2)。各PCRサイクルの終わりに、増幅産物の定分量が除去されて分析デバイス68において分析される(例えば、キャピラリー電気泳動法デバイス。ステップ3)。異なる発現をするポリヌクレオチドがフラクション回収器160により回収される(ステップ4)。また、一以上の異なる発現をするポリヌクレオチドの配列が配列同定器200により同定される(ステップ5)。ステップ5に対しては、配列決定試薬マスター混合物が添加されてよく、配列決定反応混合物が業界周知の方法に従ってインキュベートされてよい。一実施例においては、その後、配列の同定を目的として配列決定反応混合物が分析デバイス68(例えば、キャピラリー電気泳動法デバイス)にロードされる。他実施例において、フラクション回収器160により回収されたフラクションの定分量が、配列反応を行うべく増幅デバイス64に戻される。次に、配列同定を行うべく反応産物が分析デバイス68に適用される。
【0161】
一実施例において、本発明に係る装置は、ゲノムDNA試料の分析(例えば、遺伝子のゲノム複製の定量)に用いられる。かかる技術は、全ゲノムベースで、プローブに基づくアッセイ又は核型分析よりも、低費用かつ高分解能である。ゲノムDNA分析のプロセスは、RNA分析のプロセス(例えば上記のような)と同様に行なってよいが、ゲノムDNAを用いた場合には逆転写及びcDNA合成の必要はない。ゲノムDNA分析のプロセスは、比較する2以上の試料からゲノムDNAを単離することから開始される。試料は複数の定分量に分割してよい(例えば、5、10、20、又は30以上の定分量)。各定分量が、異なるプライマーセット(例えば、被分析定分量のすべてに対して全体で5、10、20、又は30以上のプライマーセット)により増幅される。各プライマーセットに対し、一のプライマーは通常の反復配列と相補的であるか、又は単なるランダム配列となり得る。また、試料特異的とするための試料特異的配列タグを有し得る。他方のプライマーはランダムプライマーであり得る。一実施例において、2以上の試料が同じ条件下で、同じプライマーを用いて増幅される。次に、PCR産物のはしごが、ゲノム全体にわたりランダムに展開した遺伝子座から形成される。次に、各PCR産物の量が測定されて、試料間で比較される。これにより、異なる遺伝子座での複製数の全ゲノム差異が同定される。かかる差異は、局所的な重複又は増幅、トリソミー、及びヘテロ接合性の消失を示す。
【0162】
代替的には、遺伝子座に特異的なプライマーセット(すなわち、標的とする遺伝子座の特異的な配列を認識するプライマー)が、2以上の試料間での、特定の遺伝子座の複製数の変化を決定するべくPCR増幅反応に用いられる。
【0163】
上記実施例は、本発明を製造及び実施する際に、本発明によって行った実験、及び検討された技術を実証するものである。これらの実施例は、本発明の実施の技術を知らせて有効性を実証する技術の開示を含むと信じられる。当業者は、本明細書中に開示された技術及び実施例は好ましい実施例であって、一般に多数の同等な方法及び技術を用いて同様の結果を得てよいことを理解する。
【0164】
本明細書中に前記した参考文献は全て、その全体が参照として本明細書中に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、
前記増幅デバイスに第1接続手段によって接続されて前記増幅産物を検出及び定量する分析デバイスと
を含み、
前記第1接続手段は、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送することを可能とするロボットアームである、発現プロファイリング装置。
【請求項2】
第2接続手段によって前記増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出装置をさらに含み、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチド抽出デバイスから前記増幅デバイスへ移送することを可能とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
フラクション回収器デバイスをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記フラクション回収器デバイスは、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、定量された産物を前記分析デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、回収された産物を前記フラクション回収器デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記フラクション回収器デバイスに接続される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅して増幅産物を産生する増幅デバイスと、
前記増幅デバイスに第1接続手段によって接続されて前記増幅産物を検出及び定量する分析デバイスと、
前記増幅デバイスに第2接続手段によって接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスと
を含み、
前記第1接続手段は、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送することを可能とし、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチドデバイスから前記増幅デバイスへ移送することを可能とする、発現プロファイリング装置。
【請求項8】
フラクション回収器デバイスをさらに含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記フラクション回収器は、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、定量された産物を前記キャピラリー電気泳動法デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、回収された産物を前記フラクション回収器デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記フラクション回収器デバイスに接続される、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
増幅産物を産生するべく反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅する増幅デバイスと、
前記増幅デバイスに第1接続手段によって接続されて前記増幅産物を検出及び定量する分析デバイスと、
前記分析デバイスに第3接続手段によって接続されたデータ生成デバイスと
を含み、
前記第1接続手段は、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送することを可能とし、
前記第3接続手段は、信号を前記分析デバイスから前記データ生成デバイスへ送信することを可能とする、発現プロファイリング装置。
【請求項13】
前記増幅デバイスに第2接続手段によって接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含み、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチド抽出装置から前記増幅デバイスへ移送することを可能とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
フラクション回収器デバイスをさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記フラクション回収器デバイスは、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、定量された産物を前記分析デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、回収された産物を前記フラクション回収器デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記フラクション回収器デバイスに接続される、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
増幅産物を産生するべく反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅する増幅デバイスと、
前記増幅デバイスに第1接続手段によって接続されて前記増幅産物を検出及び定量する分析デバイスと、
定量された産物の回収を可能とするフラクション回収器デバイスと
を含み、
前記第1接続手段は、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送する、発現プロファイリング装置。
【請求項19】
前記フラクション回収器デバイスは、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記分析デバイスに接続される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記増幅デバイスに第2接続手段によって接続されたポリヌクレオチド抽出デバイスをさらに含み、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチド抽出デバイスから前記増幅デバイスへ移送することを可能にする、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、回収された産物を前記フラクション回収器デバイスから前記配列同定器へ移送するこをと可能とする第5接続手段によって前記フラクション回収器に接続される、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
増幅産物を産生するべく反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅する増幅デバイスと、
前記増幅デバイスに第1接続手段によって接続されて前記増幅産物を検出及び定量する分析デバイスと、
定量された産物の配列を同定する配列同定器と
を含み、
前記第1接続手段は、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送することを可能とし、
前記配列同定器は、定量された産物を前記分析デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記分析デバイスに接続される、発現プロファイリング装置。
【請求項23】
第2接続手段によって前記増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出装置をさらに含み、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチド抽出デバイスから前記増幅デバイスへ移送することを可能とする、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
フラクション回収器デバイスをさらに含む、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記フラクション回収器デバイスは、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記分析デバイスに接続され、
前記フラクション回収器デバイスもまた、他の第5接続手段によって前記配列同定器に接続され、
前記第5接続手段は、回収された産物を前記フラクション回収器から前記配列同定器に移送するこをと可能とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記増幅デバイス及び前記分析デバイスもまたポリヌクレオチドの配列同定を可能にする、請求項1、7、12、18、及び22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
増幅産物を産生するべく反応混合物中でポリヌクレオチドを増幅する増幅デバイスと、
前記増幅産物を検出及び定量するキャピラリー電気泳動法デバイスと
を含み、
前記キャピラリー電気泳動法デバイスのキャピラリーは前記反応混合物に浸漬されて、前記反応混合物の定分量が前記増幅デバイスから前記キャピラリー電気泳動法デバイスへ移送される、発現プロファイリング装置。
【請求項28】
第2接続手段によって前記増幅デバイスに接続されたポリヌクレオチド抽出装置をさらに含み、
前記第2接続手段は、抽出されたポリヌクレオチド試料を前記ポリヌクレオチド抽出デバイスから前記増幅デバイスへ移送することを可能とする、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
フラクション回収器デバイスをさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記フラクション回収器デバイスは、定量された産物の回収を可能とする第4接続手段によって前記キャピラリー電気泳動法デバイスに接続される、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、定量された産物を前記キャピラリー電気泳動法デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記キャピラリー電気泳動法デバイスに接続される、請求項27に記載の装置。
【請求項32】
前記キャピラリー電気泳動法デバイスの電極に電流が印加されて、前記反応混合物に浸漬された前記キャピラリー電気泳動法デバイスのキャピラリーが、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記キャピラリー電気泳動法デバイスへ移送する、請求項27に記載の装置。
【請求項33】
前記増幅デバイス及び前記キャピラリー電気泳動法デバイスもまたポリヌクレオチドの配列同定を可能にする、請求項27に記載の装置。
【請求項34】
定量された産物の配列を同定する配列同定器をさらに含み、
前記配列同定器は、回収された産物を前記フラクション回収器デバイスから前記配列同定器へ移送することを可能とする第5接続手段によって前記フラクション回収器に接続される、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記増幅デバイスはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅デバイスである、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記第1接続手段は、各PCRサイクルの終わりに、前記反応混合物の定分量を前記増幅デバイスから前記分析デバイスへ移送する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記増幅デバイスは、cDNA産生のための逆転写を可能とする、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項38】
逆転写に使用された一以上のプライマーが、反応管の内壁又はマイクロタイタープレートのウェルに化学的に結合する、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記装置は、一以上の蛍光標識によって生成される信号の検出及び定量を可能とする、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
前記第1、第2、第4又は第5接続手段はロボットアームである、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項41】
前記第1、第2、第3、第4又は第5接続手段は管又はチャネルである、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記第1、第2、第4又は第5接続手段は一の接続手段である、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項43】
移送を可能にするべく前記第1、第2、第4又は第5接続手段に電流が印加される、請求項1、7、12、18、22、及び27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項44】
前記分析デバイスはキャピラリー電気泳動法デバイスである、請求項1、7、12、18、及び22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記ポリヌクレオチド抽出デバイスは、一以上の生体物質から全RNA又はmRNAを単離可能である、請求項2、7、12、20、23、及び28のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−207237(P2010−207237A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−104811(P2010−104811)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2004−516034(P2004−516034)の分割
【原出願日】平成15年6月19日(2003.6.19)
【出願人】(505188630)プリメラディーエックス インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】