説明

ポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなる白熱発光材

【課題】 ポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなる白熱発光材の提供。
【解決手段】 マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有するポリピロール類製マイクロチューブに電流を流し白熱発光せしめるか、火で直接加熱するポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなる白熱発光材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなる白熱発光材に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者らは、先に、それ以前知られていなかったポリピロール類製マイクロチューブおよびその製造方法について発明をし、特許出願をした(特許文献1参照)。
そこにおいて、このポリピロール類製マイクロチューブは、ピロール類と有機スルフォン酸塩を含む水溶液を用い、電解重合することにより製造することができること、得られたポリピロール類製マイクロチューブは、マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有すること、このポリピロール類としては、
【化1】

(式中、RとRは、水素、置換基を有することもあるアルキル基、アリー
ル基、アルコキシ基、アシル基およびアルコキシカルボニル基などを挙げる
ことができる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
sec−ブチル、tert−ブチルなどを例示することができ、アリール基
としては、フェニル、ジフェニル、トルイルなどを例示することができる。
nは50以上、好ましくは100以上であり、条件によってはnを10000
程度とすることができる。)
であることを明らかにした。
【0003】
【特許文献1】特開2002−324430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなる白熱発光材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1は、マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有するポリピロール類製マイクロチューブに電流を流し白熱発光せしめるポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなることを特徴とする白熱発光材に関する。
本発明の第2は、マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有するポリピロール類製マイクロチューブを火で直接加熱するポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなることを特徴とする白熱発光材に関する。
【0006】
ポリピロール類製マイクロチューブに電流を流す場合の電流は、直流でも交流でも良い。その場合の電圧、電流については、マイクロチューブが白熱発光せしめるに十分であれば特に限定するものではない。例えば、電圧は、100〜240Vと通常の電気を使用できる。また、電流についても、0.1〜10Aで十分である。また、ポリピロール類製マイクロチューブに電流を流す場合の雰囲気は、窒素雰囲気のような不活性ガス雰囲気中でも、空気中でも良い。マイクロチューブに電流を流し、白熱発光せしめる処理法に代えてマイクロチューブを火で直接加熱することによっても同様の効果を得ることができた。
本発明の処理法で処理されたポリピロール類製マイクロチューブの電気伝導度は、処理前のマイクロチューブの電気伝導度に比較して、2倍以上高い値を示し、導電性が向上し導電材として優れたものであることが明らかとなった。また、このポリピロール類製マイクロチューブは、空気中でも安定な白色発光特性を有し、タングステンなど高価な金属フィラメントに代る白熱発光材として優れたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ポリピロール類製マイクロチューブを加熱処理することにより、ポリピロール類製マイクロチューブからなる高温安定性を有する白熱発光材を提供することができた。
【実施例】
【0008】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
【0009】
実施例1 (ポリピロール・マイクロチューブの製造)
ピロールの電解重合は、0.25mol dm−3のピロールと0.80mol dm−3のトルエンスルフォン酸ナトリウムを含む水溶液中、窒素雰囲気中、定電位800mV(vs.参照電極Ag/AgCl)を2時間かけて行った。生成物は、蒸留水とアセトニトリルで洗浄し、60℃で一晩真空乾燥した。このようにしてポリピロール・マイクロチューブを得た。
このポリピロール・マイクロチューブを液体窒素で急速冷凍した後、切断して走査型電子顕微鏡写真で観察するとマイクロチューブであることが明らかであった。
【0010】
実施例2
実施例1で得られたポリピロール・マイクロチューブの両端に電極を形成し、窒素雰囲気中それを通じて1.5Aの直流電流を1分間ながして明るく発光した。その後、このポリピロール・マイクロチューブの電気伝導度を測定すると3倍近く電気伝導度は向上した。さらに10分間発光させても電気伝導度にはほとんど変化が認められなかった。これら結果を表1に示す。
【表1】

このポリピロール・マイクロチューブに流す電流値を大きくするとポリピロール・マイクロチューブの表面温度が上昇するが、依然として発光した。このポリピロール・マイクロチューブは、900℃以上の温度でも高い電気伝導性と白熱発光特性を保持することが明らかとなった。これら結果を図1に示す。
【0011】
実施例3
実施例1で得られたポリピロール・マイクロチューブを窒素雰囲気中または空気中において火で直接加熱した後、電気伝導度を測定すると高い電気伝導性を示した。これら結果を前記表1に示す。また、この空気中において火で直接加熱したポリピロール・マイクロチューブの両端に電極を形成し、窒素雰囲気中1.5Aの直流電流を1分間流して明るく発光することが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例2における、電流値と白熱発光するマイクロチューブの表面温度の関係を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有するポリピロール類製マイクロチューブに電流を流し白熱発光せしめるポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなることを特徴とする白熱発光材。
【請求項2】
マイクロチューブの壁厚が0.1μm〜10μm、長さが10μm〜10μm、直径が1μm〜10μmであり、マイクロチューブ長軸の方向で50Ω−1cm−1以上の導電率を有するポリピロール類製マイクロチューブを火で直接加熱するポリピロール類製マイクロチューブの処理法により処理されたポリピロール類製マイクロチューブからなることを特徴とする白熱発光材。

【図1】
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【公開番号】特開2006−28505(P2006−28505A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201771(P2005−201771)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【分割の表示】特願2001−319931(P2001−319931)の分割
【原出願日】平成13年10月17日(2001.10.17)
【出願人】(394013644)ケミプロ化成株式会社 (63)
【Fターム(参考)】