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ポリファーマコフォア剤
説明

ポリファーマコフォア剤

【課題】アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満、または炎症に苦しむ哺乳動物を治療する方法において用いることができる新規ポリファーマコフォア化合物の提供。
【解決手段】D-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤、およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される個々のファーマコフォア単位を含むポリファーマコフォア化合物。さらに、ポリファーマコフォア化合物のコンビナトリアルライブラリ、それを必要とする哺乳動物を治療する方法におけるポリファーマコフォア化合物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2000年1月11日に出願された米国仮特許出願第60/175,617号に対する優先権の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒト脳におけるドーパミン作動性ニューロン集団の50%〜70%の変性は、パーキンソン病(PD)に特徴的な運動機能の著しい障害を引き起こす。このニューロン変性が進行すると、症状はますます重篤になり、運動機能の欠損のみならず、痴呆およびその他の神経学的障害の発症の増加も引き起こす。現在、北米において100万人を越える人々がこの疾患を患っており、疾患の一つの最も一貫した危険因子は年齢である。高齢者集団は今後40年間で増加すると予想されるため、パーキンソン病のような神経変性疾患は、高齢者における2番目に多い死因として癌を越える可能性があると予測される。従って、疾患の発症を遅延させるか、その進行速度を低下させるか、または他の薬剤の有効性を増強することができる治療薬の開発は、高齢者におけるパーキンソン病による死亡率および罹患率の減少、ならびに患者の生活の質の向上に、実質的に貢献すると考えられる。
【0003】
パーキンソン病の治療は、伝統的には、予防的介入、対症的介入、および回復的介入という3つのカテゴリに分類されている。副腎髄質細胞の移植、ドーパミン作動性神経栄養因子GDNFの脳室内輸送、および遺伝子治療を含む回復的介入は、安全性および効力に関する試験の極初期の段階にある。セレギリン(selegiline)のような選択的モノアミンオキシダーゼB(MAO-B)阻害剤による保護的治療には、現在のところ効果が認められていない。見込みを示した初期の試験は、疾患の進行速度の低下よりむしろ、症状の改善により十分説明されうる。結果として、現在の研究の大部分が、疾患の逆転または予防ではなく、疾患に伴う症状に影響を与える治療薬に焦点を当て続けている。これは、現在の治療的介入に関して存在する問題のため、依然として、医学研究の重要な分野である。
【0004】
文献の評価は、レボドパ(L-DOPA)が、依然として、PDの初期治療に選択される薬剤であることを示している。疾患の初期状態においては、明らかに、この薬剤に対する有益な運動応答が存在するが、疾患が進行するにつれ、薬剤の有効性は減少し、その他の副作用がより著しくなる。患者は、運動応答の変動、運動障害、または悪夢、幻覚、精神病、もしくは抑うつのような精神医学的障害を経験する場合がある。代替法、例えば、アマンタジン、セレギリン、または抗コリン作動剤の使用は、初期的な利益を提供しうるが、ほとんどの場合、患者はやはり効果的な症状の軽減のためレボドパまたはその他のドーパミン(DA)アゴニストを必要とする。DAアゴニストですら、単独治療薬として使用された場合、レボドパの有効性を越えることができない場合が多い。
【0005】
主要治療薬の減衰する効力、および疾患の過程における他の徴候の出現は、さらなる治療戦略を示唆する。提唱されている方向としては、脳の罹患領域への薬剤の送達を改善するためのレボドパの新規製剤、PD患者における抑うつを治療するための選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)およびモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、DAの効果を延長するためのドーパミン輸送体(DAT)およびカテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)の阻害剤、ならびにジスキネジアを減少させるためのDA受容体(D1)アゴニストがある。これらの手法は全て、所望の応答を誘発するための別々の分離している分子実体を、単独で、または他の薬剤と組み合わせて利用する。従って、それらは、組み合わせ療法にしばしば関連している限界、例えば異なる服薬計画による不履行、および薬剤-薬剤相互作用を伴う。
【0006】
モデルドーパミン作動性ニューロンを図示している図1に示されるように、この領域は、ドーパミン合成の過程を有するのみならず、シナプスからのドーパミンの除去を担うドーパミン輸送体(DAT)、DA代謝に関与しているカテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)およびモノアミンオキシダーゼ(MAO-AおよびB)、ならびにドーパミン作動性応答を媒介するDA受容体(D1、D2、D2等)を含有している。従って、1つの部位における介入または選択的な介入は、伝統的な治療法においては一般的であるが、他の部位により媒介される代償機構のため、部分的な応答しか与えないかもしれない。この減少した応答のため、有害な副作用をもたらすことが多い、より多量の用量を利用せざるを得ない場合は多い。対照的に、単独では有効でない用量レベルで、いくつかの部位に影響を与える介入戦略は、有害な副作用の可能性を減少させつつ、治療的に有益であると考えられる相加的な応答を与えることができる。図1は、ドーパミン作動性ニューロンを図示しているが、極めて近接した複数の受容体部位を有している他の領域も、他の疾患および状態に関与しているかもしれず、従ってこの介入戦略を利用しうることが理解されよう。
【0007】
明らかに、医薬品の効力および安全性を増加させる必要性のため、特定の疾患および状態と関係しており、かつ/またはこれらの疾患もしくは状態の副作用に関与している複数の生物学的部位、好ましくは協調作用する生物学的部位において相互作用することができる、複数のファーマコフォア部位を含有する医薬品を開発することは有益であると考えられる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、疾患または状態の治療、予防、および診断において、複数の生物学的部位において相互作用することができる薬剤を利用することが、しばしば望ましいことを認識する。例えば、これには、複数の受容体部位、好ましくは協調作用する生物学的受容体部位に関係する状態のための生物学的応答の誘発もしくは阻害、または特定の状態に関与するものに加え、副作用を治療するための生物学的応答の誘発もしくは阻害が含まれうるが、これらに限定されない。従って、この手法の必要性および望ましさを認め、一つの局面において、本発明は、新規ポリファーマコフォア足場、そのライブラリー、ならびに足場およびそのライブラリーを作成するための方法を提供する。
【0009】
一般に、ポリファーマコフォア足場は、各々が、生物学的部位において相互作用し、かつ/または所望の生物学的応答を誘発もしくは阻害することができる、少なくとも2個のファーマコフォア単位が付属している足場単位を含む。いくつかの好ましい態様において、ファーマコフォア単位は、好ましくは協調作用し、選択的に物理的または空間的に接近しており(例えば、DAアゴニストおよびDAT阻害剤)、または(例えば、ポリファーマコフォア単位を介して)機能的に連結されうる2個またはそれ以上の生物学的受容体部位において、応答を誘発する能力に関して選択される。いくつかの態様において、足場単位および/またはポリファーマコフォア単位には、一つまたは複数の修飾単位が付属しており、これらの修飾単位は、足場ポリファーマコフォア単位の送達、合成、活性化、吸収、可溶性、または(例えば、2〜3個挙げるとすれば蛍光性もしくは放射性の部分、またはビオチンの使用による)検出を促進するため、選択される。
【0010】
新規の足場ポリファーマコフォアは、式(I)および(IA)により一般的に図示されうる。
【化7】

式(I)に図示されるように、Sは足場単位を含み;Pはファーマコフォアを含み、xは2に等しいかそれより大きく;Mは修飾単位を含み、yは0に等しいかそれより大きく、PおよびMは、各位置において、該足場単位に付属しており、該足場単位は所望の薬理学的活性には直接参加しない。足場に直接付属している修飾単位に加え、(IA)に示されるようないくつかの他の態様において、付加的修飾単位(D)が、1個または複数のファーマコフォア(P)、および/または足場に付属している1個または複数存在する修飾単位(M)に直接付属していてもよく、式中、aおよびbは、xおよびyの各位置において、それぞれ独立に0に等しいかそれより大きい。
【化8】

【0011】
いくつかの態様において、各付加的修飾単位は、S-M-D1-D2-D3(等)またはS-P-D1-D2-D3(等)という付属物のいずれかが生成するよう、存在する修飾因子MまたはファーマコフォアPと連続的に連結されていてもよい。いくつかの他の態様において、各付加的修飾因子は、
【化9】

【化10】

という付属物のいずれかが生成するよう、ファーマコフォア(P)または修飾単位(M)と直接連結されていてもよい。さらに他の態様において、各付加的修飾因子は、例えば、下記のいくつかの例示的な付属物のような、付属物の組み合わせが生成するよう、ファーマコフォアまたは修飾単位と直接連結されている部分と、連続的に連結されている部分とを含んでいてもよい。
【化11】

【化12】

【0012】
好ましい態様において、(I)および(IA)に図示されるような、足場ポリファーマコフォアは、ドーパミン作動性ニューロンと関係する疾患および/または状態、ならびに2個またはそれ以上のシグナル伝達経路および/またはそれらの調節因子を含む疾患および/または状態において利用される。従って、本発明のポリファーマコフォアは、任意の神経学的障害を治療するために利用されうる。特に好ましい態様において、本発明において利用されるファーマコフォアとしては、ドーパミン作動性ニューロンの領域内の生物学的部位において相互作用するものが選択され、該ファーマコフォアは、好ましくは、D-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆性MAO阻害剤、可逆性MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤、DA輸送体阻害剤、5HT阻害剤、NET阻害剤、およびGABA阻害剤からなる群より各々独立に選択される。また、足場ポリファーマコフォアは、2個、より好ましくは3個のファーマコフォアを含むことが特に好ましい。
【0013】
本発明の他の態様において、式(II)および(IIA)に示されるようなポリファーマコフォア足場およびそのライブラリーが提供される。
【化13】

【化14】

【0014】
式(II)に示すように、A、B、またはCの少なくとも2つはファーマコフォアを含む。特定の好ましい態様において、A、B、およびCはそれぞれ、ファーマコフォアを含む。他の好ましい態様において、A、B、またはCの少なくとも2つがファーマコフォアを含み、A、B、またはCの一つが修飾剤単位を含む。式(IIA)に示すように、特定の他の好ましい態様において、一つのさらなる修飾剤単位をまた、A、B、またはCの一つまたは複数に結合させてもよい。式(I)に関して上記により詳しく考察したように、修飾剤は、A、B、またはCの一つまたは複数に直接結合させてもよく、または修飾剤は、A、B、またはCの一つまたは複数に連続的にしかも直接結合させてもよい。特定の好ましい態様において、本発明において用いられるファーマコフォアは、各ファーマコフォアのそれぞれが好ましくはD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、非可逆的MAO阻害剤、可逆的MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT-阻害剤、MAO阻害剤、およびDA輸送体阻害剤からなる群より独立して選択される、ドーパミン作動性ニューロンの領域における生体部位と相互作用するように選択される。
【0015】
本発明のもう一つの例としての態様において、ポリファーマコフォア足場およびそのライブラリは、式(III)および(IIIA)に示すように提供される:
【化15】

【化16】

式中、A、B、およびCはそれぞれ、所望のファーマコフォアまたは修飾剤単位を含む。A、B、またはCの二つがファーマコフォアを含み、A、B、またはCの一つが修飾剤単位を含むことが特に好ましい。(IIIA)に示すように、A、B、またはCはそれぞれ、同様に一つまたは複数のさらなる修飾剤単位Dをそれに結合させてもよい。式(I)に関して上記により詳しく考察したように、修飾剤は、A、B、またはCの一つまたは複数に連続的に結合してもよく;修飾剤はそれぞれA、B、またはCの一つまたは複数に直接結合してもよく;または修飾剤は、A、B、またはCの一つまたは複数に連続的に直接結合してもよい。特に好ましい態様において、本発明において用いられるファーマコフォアは、上記のファーマコフォアのそれぞれが好ましくはD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、非可逆的MAO阻害剤、可逆的MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT-阻害剤、MAO阻害剤、およびDA輸送体阻害剤からなる群より独立して選択される、ドーパミン作動性ニューロンの領域における生体部位と相互作用するように選択される。
【0016】
本発明はまた、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、または(IIIA)のいずれか一つを有する足場のポリファーマコフォアまたは足場のポリファーマコフォアのライブラリを、生体標的に接触させること、および足場ポリファーマコフォアの非存在下での生化学活性レベルと比較して、生化学活性の統計学的に有意な変化を決定することを含む、本発明のポリファーマコフォアまたはポリファーマコフォアのライブラリの一つまたは複数の生物活性を決定する方法を提供する。
【0017】
もう一つの局面において、本発明はまた、本明細書に記載した式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)のいずれか一つの化合物、またはその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む薬学的組成物を提供する。
【0018】
なおもう一つの局面において、本発明は、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)の化合物、またはその薬学的に許容される塩の薬学的有効量を投与することを含む、多数の受容体部位(例えば一つ以上)、好ましくは動物において協調して作用する部位が関係する障害または疾患を治療するための方法を提供する。特に好ましい態様において、本発明は、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)のいずれか一つの化合物またはその薬学的に許容される塩の薬学的有効量を投与することを含む、ドーパミン作動神経系が関係する疾患を治療するための方法を提供する。好ましい態様において、方法は、ドーパミン作動神経系の機能を調節するために用いられる。
【0019】
本発明はまた、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)のいずれか一つの化合物またはその薬学的に許容される塩を、協調して作用する生体系が関係する疾患を治療するために有用な薬剤の調製に用いることを提供する。好ましい態様において、薬剤は、ドーパミン作動神経系が関係している疾患を治療するために用いられ、好ましくは薬剤は、ドーパミン作動神経系の機能を調節するために用いられる。
【0020】
さらにもう一つの局面において、本発明は、医学的治療または診断において用いるために、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)のいずれか一つの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物を提供する。好ましい態様において、本発明は、ファーマコフォア単位または修飾剤単位の一つまたは複数が、放射性標識、蛍光、またはそれ以外を用いて標識される、放射性核種、蛍光タグ、または他の標識または同定物質と、式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、もしくは(IIIA)のいずれか一つの化合物、またはその薬学的に許容される塩とを含む標識化合物と共に、そのような標識化合物を造影または診断剤として(例えば、特定の関係臓器における特異的結合部位を同定する、またはその機能を評価するために)用いる方法を提供する。
【0021】
定義
「ファーマコフォア」
本明細書において用いられる「ファーマコフォア」という用語は、生物学的作用を有することができる物質を意味する。
【0022】
「修飾剤単位」
本明細書において用いられる「修飾剤単位」という用語は、本発明の足場構造ポリファーマコフォアの輸送、合成、活性化、溶解性、またはその他の所望の特性を促進することができる任意の部分または部分の組み合わせを意味する。例としての修飾剤単位には、いくつか例を挙げると、スペーサー、足場集合体、生物活性化基、およびターゲティング物質が含まれるがこれらに限定されない。
【0023】
「リンカー単位」
本明細書において用いられる「リンカー単位」という用語は、固相支持体と複合ライブラリメンバーとを結合させる分子または分子集団を意味する。リンカーは、一つの連結分子を含んでもよく、または連結分子とスペーサー分子とを含んでもよい。
【0024】
「同定用タグ」
本明細書において用いられる「同定用タグ」という用語は、化学物質ライブラリの合成において用いられる一連の反応における段階を記録するための手段を意味する。本出願の目的に関して、化学ライブラリまたはタグをつけた化学ライブラリをコードするこの用語は、いずれも化学ライブラリの合成のための反応シーケンスにおける各段階を記録する手段を含むライブラリを意味する。
【0025】
「ターゲティング部分」
本明細書において用いられる「ターゲティング部分」という用語は、一つまたは複数の付属のファーマコフォアまたは修飾剤単位が、特定のターゲティング領域に局在すること、標的細胞(複数)に入ること、および/または標的受容体に結合することを補助する任意の分子構造を意味する。例えば、脂質(陽イオン、中性、およびステロイド脂質、ビロソーム、およびリポソームを含む)、抗体、レシチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養および蛋白質は、ターゲティング部分として作用することができる。
【0026】
語句「アルキル」は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂肪族環)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた、飽和脂肪族基の残基に該当する。好ましい態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは、それの骨格に30またはそれより少ない炭素原子を有し(例えば、直鎖についてはC1-C30、分岐鎖についてはC3-C30)、そしてより好ましくは、20またはそれよりすくない。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造に4-10個の炭素原子を有し、さらに好ましくは、環構造に5、6または7個の炭素を有する。
【0027】
さらに、本明細書および請求項を通して使用される場合、語句「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「未置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことが意図され、その後者は、炭化水素骨格の1つまたはそれ以上の炭素における水素を置換する置換基を有するアルキル部分に該当する。そのような置換体は、例えばハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシ、エステル、ホルメート、またはケトンのような)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートのような)、アルコキシル、ホスホリル、ホスホネート、ホスフィネート、アナミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分が含まれうる。適当であれば、炭化水素鎖上で置換された部分それ自身を置換できることは、当業者によって理解されると考えられる。例えば、置換したアルキルの置換基は、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイル、およびスルホネートを含む)、およびシリル基と共に、エーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、-CF3、-CN等の置換型および非置換型を含んでもよい。例としての置換アルキルを下記に説明する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF3、-CN等によってさらに置換することができる。本明細書に使用される場合、語句「アラルキル」は、アリール基(例えば、芳香族またはヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基に該当する。
【0028】
語句「アルケニル」および「アルキニル」は、上に記述されたアルカリに対して長さおよび可能性のある置換で類似であるが、しかしそれぞれ、少なくとも1つの二重または三重結合を含む不飽和脂肪族基に該当する。
【0029】
ここで使用される場合、語句「アリール」としては、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンおよび同等物のような、ゼロから4個の異種原子を含みうる5-、6-および7-員単環芳香族基が挙げられる。環構造に異種原子を有するアリール基のものは、「アリール複素環」または「ヘテロ芳香族」にも該当されうる。芳香族環は、1つまたはそれ以上の環位置で、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフィジリル、イミノ、アミド、ホスファネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホナミド、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CN、または同等物のような上に記述されたとおりのような置換基に置換されうる。
【0030】
語句「複素環」または「ヘテロ環基」は、4-から10-員までの環構造、さらに好ましくは4-から7-員までの環に該当し、その環構造は、1から4個までの異種原子を含む。複素環基としては、例えば、ピロリジン、オキソラン、チオラン、イミダゾール、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルフォリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンのようなラクタム、スルタム、スルトン、および同等物が挙げられる。ヘテロ環基は、1つまたはそれ以上の位置で、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドキシル、アミノ、ニトロ、スルフィジリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CN、または同等物のような上に記述されたとおりのような置換基に置換されうる。
【0031】
語句「多環」または「多環基」は、2つまたはそれ以上の炭素が、2つの隣接環に共通である、例えば環は、「融合環」であることを特徴とする2つまたはそれ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、および/またはヘテロ環)に該当する。非隣接原子を通して結合される環は、「架橋」環と称される。多環の環の各々は、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドキシル、アミノ、ニトロ、スルフィジリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、複素環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF3、-CN、または同等物のような上に記述されるとおりのような置換基で置換されうる。
【0032】
本発明のいくつかの化合物の構造には不斉炭素原子が含まれることに留意されたい。したがって、そのような非対称から生じる異性体も本発明の範囲に含まれることが理解されねばならない。そのような異性体は、古典的な分離技術によって、および立体的に制御した合成によって実質的に純粋な形で得られる。
【0033】
本明細書において用いられる「保護基」という用語は、所望の官能基と選択的に反応して、その保護が望ましいさらなる反応に対して良好な収率で安定な誘導体を生じる化学基を意味し、これは、所望の官能基を生じるためにそれが保護する特定の官能基から選択的に除去されることができ、かつ反応のあいだに生成された他の官能基(複数)と適合性の試薬によって良好な収率で除去可能である。そのような保護基の例には、カルボン酸のエステル、アルコールのエーテル、アルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが含まれる。
【0034】
「置換」、または「置換する」という用語は、そのような置換が、置換される原子および置換基の許容される原子価に従って行われ、置換の結果、安定な化合物が得られる、例えば転位、環状化、消失等のような変化を自然に受けないという暗に意味された条件が含まれる。
【0035】
本明細書において用いられる「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換を含むと考慮される。広い局面において、許容される置換基には、非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環または複素環、かつ芳香族および非芳香族の置換基が含まれる。例としての置換基には、例えば上記の置換基が含まれる。許容される置換基は、適当な有機化合物に関して一つまたは複数であってよく、同じまたは異なってよい。本発明の目的に関して、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本発明に記載の有機化合物の如何なる許容される置換基を有してもよい。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって如何なるようにも制限されるべきでないと解釈される。
【0036】
本発明の目的に関して、化学元素は、「物理化学ハンドブック(Handbook of Chemistry and Physics)」第67版、1986〜87の表紙裏の元素の周期律表、CAS版に従って同定される。同様に、本発明の目的に関して、「炭化水素」という用語は、少なくとも一つの水素原子と一つの炭素原子とを有する全ての許容される化合物が含まれると考えられる。広い局面において、許容される炭化水素には、置換または非置換となりうる非環状および環状、分岐および非分岐、炭素環および複素環、芳香族および非芳香族の有機化合物が含まれる。
【0037】
「固相支持体」という用語は、堅固なまたは半堅固な表面を有する材料を意味する。そのような材料は、好ましくは小さいビーズ、ペレット、ディスク、チップ、ディッシュ、多ウェルプレート、ウェーハ等の形となるが、他の形状も用いてもよい。いくつかの態様において、基質の少なくとも一つの表面は、実質的に平坦であると考えられる。「表面」という用語は、固体基質上の一般的な任意の二次元構造を意味し、中断がなければ表面となる段差、隆起、ねじれ、段丘等を有してもよい。
【0038】
本明細書において用いられる「ポリマー支持体」という用語は、それに対してアミノ酸または他の化学部分が、ポリマー支持体の官能基との反応によって共有結合することができる可溶性または不溶性のポリマーを意味する。多くの適したポリマー支持体が既知であり、それらには、ポリエチレングリコールまたはポリビニルアルコールのような可溶性ポリマーと共に、ポリスチレン樹脂のような不溶性ポリマーが含まれる。適したポリマー支持体には、下記のような官能基が含まれる。ポリマー支持体は、ポリマーまたはポリマー支持化合物が用いた条件で可溶性であれば、「可溶性」であると呼ばれる。しかし、一般的に、可溶性ポリマーは、既定の条件では不溶性となりうる。したがって、ポリマー支持体は、特定の条件では可溶性であり、他の条件では不溶性となりうる。
【0039】
本明細書において用いられる「治療的有効量」という用語は、動物における細胞の少なくとも亜集団において何らかの所望の治療効果を生じるために有効であり、それによって任意の医学的治療に応用できる妥当な利益/リスク比で、処置された細胞におけるその事象の生物学的結末を妨害する、本発明の化合物、材料、または組成物の量を意味する。
【0040】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書において、妥当な利益/リスク比に比例して、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を引き起こすことなく、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織に接触して用いるために適している化合物、材料、組成物および/または投与剤形を意味するために用いられる。
【0041】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」という用語は、本発明の足場構造ポリファーマコフォアを、一つの臓器または体内の一部から別の臓器または体内の部分に運ぶまたは輸送することに関係する、液体もしくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、または封入材料を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容される材料、組成物、または溶媒を意味する。
【0042】
「被験者」
本明細書において用いられる「被験者」という用語は、ヒトまたは動物(例えば、ラット、マウス、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、サル、ネコ、イヌ、ヤギ等)を意味する。
【0043】
「アミノ酸」または「アミノ酸残基」という用語は、自然界に存在する任意のアミノ酸ならびに、その合成類似体および誘導体も意味する。一般的に、本明細書においてアミノ酸および保護基を命名するために用いられる省略語は、生化学的命名に関するIUPAC-IUB委員会の勧告に基づく(Biochemistry(1972)11:1726〜1732を参照のこと)。「アミノ酸」とは、自然界に存在する任意のアミノ酸ならびにその合成類似体および誘導体も意味する。αアミノ酸は、アミノ基、カルボキシル基、水素原子、および「側鎖」と呼ばれる特徴的な基が結合した炭素原子を含む。自然界に存在するアミノ酸の側鎖は、当技術分野で周知であり、例えば、水素(例えば、グリシン)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン)、置換アルキル(例えば、トレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジン)、アリールアルキル(例えば、フェニルアラニンおよびトリプトファン)、置換アリールアルキル(例えば、チロシン)、ならびにヘテロアリールアルキル(例えばヒスチジン)が含まれる。例えば、ハーパー(Harper)ら(1977)の「生理化学総説(Review of Phsiological Chemistry)」、第16版、ランゲ・メディカル出版、21〜24頁を参照のこと。当業者は、「アミノ酸」という用語には、β、γ、δ、およびωアミノ酸等も含まれることを認識すると考えられる。本明細書において用いられる従来のアミノ酸20個とその省略語は、慣例的な用法に従う(参照として本明細書に組み入れられる、「免疫学−合成(Immunology-A Synthesis)」、第二版、E.S.ゴルブ(Golub)およびD.R.グレン(Gren)編、シナウアーアソシエーツ、サンダーランド、マサチューセッツ州(1991)を参照のこと)。アミノ酸残基は、以下のように省略される:フェニルアラニンはPheまたはF;ロイシンはLeuまたはL;イソロイシンはIleまたはI;メチオニンはMetまたはM;ノルロイシンはNle;バリンはValまたはV;セリンはSerまたはS;プロリンはProまたはP;トレオニンはThrまたはT;アラニンはAlaまたはA;チロシンはTyrまたはY;ヒスチジンはHisまたはH;グルタミンはGlnまたはQ;アスパラギンはAsnまたはN;リジンはLysまたはK;アスパラギン酸はAspまたはD;グルタミン酸はGluまたはE;システインはCysまたはC;トリプトファンはTrpまたはW;アルギニンはArgまたはR;グリシンはGlyまたはG;およびXは任意のアミノ酸である。
【0044】
「アミノ酸」または「アミノ酸残基」という用語は、本明細書において参照される任意の特定のアミノ酸の類似体、誘導体およびコンジナーならびに、C-末端またはN-末端が保護されたアミノ酸誘導体(例えば、N-末端またはC-末端保護基によって改変されたもの)が更に含まれる。例えば、本発明は、側鎖がより長い、またはより短いがなおもカルボキシル、アミノ、または環状化のためのその他の反応性前駆体官能基を提供するアミノ酸類似体の使用を考慮すると共に、適当な官能基を有する変種側鎖を有するアミノ酸類似体も考慮する。例えば、本発明の化合物は、例えば、シアノアラニン、カナバニン、ジェンコール酸、ノルロイシン、3-ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチン、またはジアミノ酪酸のようなアミノ酸類似体を含みうる。その他の自然界に存在するアミノ酸代謝物または本発明にとって適した側鎖を有する前駆物質は、当業者によって認識されると共に、本発明の範囲に含まれる。
【0045】
同様に、非天然型のアミノ酸は、例えばウィリアムス(Williams)編、「光学活性αアミノ酸の合成(Synthesis of Optically Active alfa-AminoAcids)」パーガモン出版(1989);エバンス(Evans)ら、J. Amer. Chem. Soc. 112:4011〜4030(1990):プー(Pu)ら、J. Amer. Chem. Soc. 56:1280〜1283(1991);ウィリアムズ(Williams)ら、J. Amer. Chem. Soc. 113:9276〜9286(1991);およびそこに引用されている全ての参考文献に記載されているように、本発明の範囲内であると認識される。非慣例的アミノ酸の例には、4-ヒドロキシプロリン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、ならびにその他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書において用いられるポリペプチドの表記法において、標準的な用途および慣例に従って、左手方向はアミノ末端方向であり、右手方向はカルボキシ末端方向である。
【0046】
アミノ酸の構造が立体異性体型を容認する場合には、そのようなアミノ酸、または非天然アミノ酸の(D)立体異性体および(L)立体異性体も同様に含まれる。本明細書におけるアミノ酸およびアミノ酸残基の立体配置は、適当なシンボル(D)、(L)、または(DL)によって指定し、さらに、立体配置が指定されていない場合、アミノ酸または残基は立体配置(D)、(L)、または(DL)を有しうる。本発明の化合物のいくつかの構造には、不斉炭素原子が含まれることに留意されたい。したがって、そのような非対称から生じる異性体も本発明の範囲に含まれると理解すべきである。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体的に制御された合成によって実質的に純粋な形で得ることができる。本出願の目的に関して、特に意図的にそうでないことを明記していない限り、名前を挙げたアミノ酸は(D)立体異性体または(L)立体異性体の双方を含むと解釈すべきである。D-αアミノ酸およびL-αアミノ酸を、以下のフィッシャー投影およびウェッジ/ダッシュ図によって示す。多くの場合、D-アミノ酸およびL-アミノ酸はそれぞれ、R-絶対配置およびS-絶対配置を有する。
【0047】
本発明の特定の化合物は、特定の幾何学または立体異性体型として存在してもよい。本発明は、シスおよびトランス異性体、R-エナンチオマーおよびS-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、そのラセミ混合物およびその他の混合物を含むそのような全ての化合物を考慮し、それらは本発明の範囲内に含まれる。さらなる不斉炭素原子は、アルキル基のような置換基に存在してもよい。そのような異性体は全て、その混合物と共に本発明に含まれると解釈される。
【0048】
例えば、本発明の化合物の特定のエナンチオマーが望ましい場合、これを、不斉合成によって、またはカイラル補助基による誘導体化によって調製してもよく、得られたジアステレオマー混合物を分離して、補助基を切断して純粋な所望のエナンチオマーを得る。または、分子が、アミノ基のような塩基性官能基、またはカルボキシル基のような産生官能基を含む場合、ジアステレオマー塩は、適当な光学的に活性な酸または塩基によって形成され、その後ジアステレオマーを分解すると、当技術分野で周知の分別結晶またはクロマトグラフィー手段によって形成され、次に純粋なエナンチオマーが回収される。
【0049】
上記の化合物の考慮される同等物には、オピオイド受容体における化合物の有効性に負の影響を及ぼさない一つまたは複数の置換基の単純な変化が起こる、それ以外はそれに対応し、その同じ一般特性(例えば、オピオイド受容体との結合能)を有する化合物が含まれる。一般的に、本発明の化合物を、例えば下記に示すように、容易に入手可能な開始材料、試薬、および従来の合成技法を用いて、一般反応スキームに示す方法、またはその改変によって調製してもよい。これらの反応において、それら自身が既知であるが、本明細書において特に言及しない変種を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】モデルドーパミン作動性ニューロンを示す。
【図2】本発明のポリファーマコフォア剤の一つの態様によるドーパミン作用の修飾を示す。
【図3】現在利用されているハイブリッド剤、および本発明の足場ポリファーマコフォアとの対比を示す。
【図4】いくつかの好ましいファーマコフォア断片を示す。
【図5】足場ポリファーマコフォア剤の合成のためのいくつかの好ましい成分を示す。
【図6】組み合わせ合成において利用されるいくつかの好ましい成分を示す。
【図7】いくつかの好ましいビニルボロン酸(vinyl boronic acid)の代表的な合成を示す。
【図8】いくつかの好ましいアルデヒドの代表的な合成を示す。
【図9】いくつかの好ましい足場ポリファーマコフォアを示す。
【図10】いくつかの好ましい足場ポリファーマコフォアを示す。
【図11】いくつかの好ましい足場ポリファーマコフォアを示す。
【図12】いくつかの好ましい足場ポリファーマコフォアを示す。
【図13】log[薬剤]に対し、結合した特異的[125I]RTI-55の割合(%)を示す。
【図14】log[薬剤]に対し、結合した特異的[125I]RTI-55の割合(%)を示す。
【図15】log[薬剤]に対し、結合した特異的[125I]RTI-55の割合(%)を示す。
【図16】log[薬剤]に対し、結合した特異的[125I]RTI-55の割合(%)を示す。
【図17】log[薬剤]に対し、結合した特異的[125I]RTI-55の割合(%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
発明の詳細な説明
本発明は、一つ以上の生体部位において相互作用することができる物質を、疾患または病態の治療、予防、および診断に利用することがしばしば望ましいと認識する。例えば、これは、一つ以上の受容体部位(好ましくは協調して作用することができる生体部位)が関係する病態に対する生体反応を誘発もしくは阻害すること、または副作用を治療するために特定の病態に関係する反応の他に、生体反応を誘発もしくは阻害することを含みうるがこれらに限定されない。このように、このアプローチの必要性または望ましいことを認識して、一つの局面において、本発明は、新規ポリファーマコフォア足場構造、そのライブラリ、ならびに上記の足場およびそのライブラリを作製する方法を提供する。
【0052】
先に記述したように、特定の疾患または病態の治療に対して現在利用されるアプローチは、一般的に所望の反応を誘発するために個々の異なる分子実体を、単独または他の物質と併用して用いることを含む。この従来のアプローチとは対照的に、図2は、治療物質を開発するための本発明のアプローチを示し、この場合協調して作用する多数の生体標的を有する薬剤は、多数の有用な作用を発揮することができる。例えば、図2を参考にして、ファーマコフォア成分βによるDATの阻害は、その再取り込みを防止することによって内因性のDAの作用を増強すると考えられる。ファーマコフォア成分αのDA受容体(DAR)との結合は、DAの作用を補強し、ファーマコフォア成分xによるCOMTの阻害は、内因性DAの代謝を遅らせると考えられる。如何なる一つの部位においても最大の作用を発揮する必要はないため、他のニューロン部位における薬物相互作用または毒性の可能性は低下する。
【0053】
一般的に、本発明の新規ファーマコフォアは、本明細書において用いられるそれに対して特定の治療に関連したファーマコフォア基を付加または挿入することができる、分子足場または「足場単位」を含む。これらのポリファーマコフォアは好ましくは、病態に関連する多数の受容体部位が近位に存在する特定の疾患の場合に治療効果を発揮する。新規足場ポリファーマコフォアは、埋め込まれた基を有する従来の治療物質とは対照的に付属基を有するため、ファーマコフォアと生体標的との最大限の相互作用を得るために、特定の付属ファーマコフォアの空間的方向を制御して、このように特定の病態に対して最大の効果を発揮することが可能である。特定の態様において、足場単位および/またはファーマコフォア単位は、一つまたは複数の修飾剤単位をそれに結合しており、それによってこれらの修飾基単位は、足場ファーマコフォア単位または足場ファーマコフォア単位の輸送、合成、活性化、吸収、溶解性、または検出(例えば、例を挙げれば、蛍光もしくは放射活性部分、またはビオチンを用いることによって)を促進するように選択される。特に好ましい態様において、ポリファーマコフォア足場の構築は、組み合わせ化学技術に従い、このように、本発明の足場ポリファーマコフォアのライブラリを作製して、生物活性を調べることができる。図3は、薬物のコア構造の中に典型的に2つのファーマコフォア単位を組み入れた、または取り込んだ、現在利用される従来のハイブリッド薬物と、本発明の足場ポリファーマコフォア単位との対比を示し、本発明の足場ポリファーマコア足場は図2にも示すように、個々のファーマコフォア基の活性を保持する可能性がより高い。当業者に認識されるように、一つまたは複数の部位と相互作用することができる物質もまた、診断ツールまたは診断物質として有用となりうる。
【0054】
式(I)および(IV)に一般的に示す本発明の足場ポリファーマコフォア、そのライブラリ、およびこれらの足場ポリファーマコフォアを作製する方法を、下記により詳細に説明する。これらの足場およびライブラリの特定の他の好ましい態様はまた、式(II)、(IIA)、(III)および(IIIA)に記載し、本明細書においてより詳細に説明する。しかし、これらの特定の例に関する考察は、本発明の範囲を制限すると解釈されない。
【0055】
本発明の足場ファーマコフォア
先に記述したように、多くの疾患および病態は、一つ以上の生体部位が関係すると考えられ、このように本発明の足場ポリファーマコフォアは、特定の治療効果を得るために作製することができる。本発明に含まれる特定の疾患および病態には、例を挙げれば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ病、注意欠陥障害(ADD)、自閉症、肥満、炎症、リウマチ疾患、心血管疾患、高血圧症、癌および糖尿病が含まれる。特に好ましい態様において、足場ポリファーマコフォアは、ドーパミン作動性ニューロンが関係している疾患に用いられる。新規ポリファーマコフォアによってターゲティングされるその他の受容体には、セロトニン受容体、てんかんの治療のための代謝性グルタメート受容体、NMDA受容体、AMPA受容体、カイニン酸受容体、ペプチド受容体、ならびにnAGR、mACAR、およびAchE受容体が含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
本発明は、一般的に式(I)および(IA)に示すように、新規足場ポリファーマコフォアを提供する:
【化17】

式(I)に示すように、Aは足場単位を含む;Pはファーマコフォアを含み、式中、xは2より大きいか、または2に等しい;Mは修飾剤単位を含み、yは0より大きいかまたは0に等しく、それによってPおよびMはそれぞれ互いの発生に関して上記の足場単位に付属し、上記の足場単位は所望の薬理活性に直接関与しない。足場に直接付属する修飾剤単位の他に、特定の他の態様において、aおよびbがxおよびyのそれぞれの出現に関して互いに独立して0より大きいまたは0に等しいさらなる修飾剤単位(D)も同様に、一つまたは複数のファーマコフォア(P)に、および/または式(IA)に示すように一般式を生成するために足場に結合される一つまたは複数の既存の修飾剤単位(M)に直接結合してもよい。
【化18】

【0057】
一つの態様においては、それぞれの付加的な修飾単位が、存在している修飾体であるM、またはファーマコフォアであるPのいずれかに連続的に結合して、付加体であるS-M-D1-D2-D3(など)、またはS-P-D1-D2-D3(など)のいずれかを形成できることが認められると考えられる。他の態様では、それぞれの付加的な修飾体がファーマコフォア(P)または修飾単位(M)に直鉄的に結合することによって、付加体、即ち
【化19】

【化20】

のいずれかを形成できる。さらに他の態様では、それぞれの修飾体はある例においてはファーマコフォアまたは修飾単位に直接的に結合していてもよいし、また別の例においては連続的に結合して下記のある種の代表的な付加体について示されたような付加体の結合体を形成してもよい。
【化21】

【化22】

さまざまなファーマコフォア単位または修飾単位を足場構造に付加することによって、望ましい薬学的作用を達成できる。概して言うと、ファーマコフォア単位は、特定の状態に関連する望ましい生物学的作用を持つように選択されると考えられる、また修飾単位は、本発明の足場であるファーマコフォア単位の供給、検出、合成、活性化または溶解性を容易にすべく選択されると考えられる。好ましい態様ではファーマコフォア単位は、D-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的MAO阻害剤、可逆的MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤、及びDA輸送体阻害剤からなるグループより非依存的に選択される。
【0058】
本発明の好ましい態様では、ポリファーマコフォアの足場及びそれらのライブラリーは、化学式(II)及び(IIA)に示されたように与えられる。
【化23】

【化24】

【0059】
化学式(II)に示されているように、A、B、またはCの少なくとも二つはファーマコフォアを含んでいる。ある好ましい態様では、A、B、及びCはそれぞれファーマコフォアを含んでいる。他の好ましい態様では、A、B、またはCの少なくとも二つがファーマコフォアを含んでいて、A、B、またはCのうちの一つが修飾単位を含んでいる。化学式(IIA)に示されているように、ある種の他の好ましい態様では、一個またはそれ以上の付加的な修飾単位(D)、なおここでa、b、及びcがそれぞれ独立して0より大きいか0であるような修飾単位(D)がA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上に結合しててもよい。化学式(I)について上記でより詳細に説明したように、修飾体(D)はA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上に連続的に結合していてもよいし、修飾体がA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上にそれぞれ直接的に結合していてもよいし、あるいは修飾体がA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上に連続的と直接的の両方で結合していてもよい。ある好ましい態様では、新規な足場であるポリファーマコフォアを用いることによって、ドーパミン作動系が関与している状態を治療でき、そしてそのファーマコフォア単位は、D-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的MAO阻害剤、可逆的MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤、及びDA輸送体阻害剤からなるグループより選択される。
【0060】
本発明のもう一つの例示的な態様では、ポリファーマコフォア足場及びそのライブラリーは、化学式(III)及び(IIIA)に示されたように与えられる。
【化25】

【化26】

式中、A、B、またはCはそれぞれ、望ましいファーマコフォア単位と修飾単位を含んでいる。A、B、またはCの二つがファーマコフォアを含んでいて、A、B、またはCのうちの一つが修飾単位を含んでいると特に好ましい。化学式(IIIA)に示されているように、A、B、またはCのそれぞれはそれに結合する一個またはそれ以上の付加的な修飾単位であるDを持っており、ここでのa、b、及びcはそれぞれ独立して0より大きいか0である。化学式(I)について上記でより詳細に説明したように、修飾体はA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上に連続的に結合していてもよいし、修飾体がA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上にそれぞれ直接的に結合していてもよいし、あるいは修飾体がA、B、またはCのうちの一個またはそれ以上に、連続的と直接的の両方で結合していてもよい。ある好ましい態様では、足場を形成するポリファーマコフォアを用いることによって、ドーパミン作動性ニューロンが関与している状態を治療でき、そしてそのファーマコフォア単位は、D-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的MAO阻害剤、可逆的MAO阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤、及びDA輸送体阻害剤からなるグループより好適に選択される。
【0061】
本発明の化合物及びライブラリーにおいて利用するのに適したファーマコフォア及び修飾体は、下記でより詳細に説明されると考えられる。
【0062】
ファーマコフォア
さまざまなファーマコフォアを足場構造に付加させることによって、望ましい薬学的効果が得られることが認められると考えられる。前述したように本発明の化合物及びライブラリーは、生物学的活性についての一カ所以上の望ましい部位に関連するさまざまな状態及び/または疾患に対して、好ましくは協調して作用する可能性のある生物学的部位に対して利用することができる。概して言うとファーマコフォア単位は、特定の状態及び/または疾患が関連する目的の生物学的作用を持つように選択され、そこでは、ある官能基部分の選択及び/または特定の空間的即ち立体化学的方向性の選択が関与しているし、また、足場を形成するポリファーマコフォアの合成を容易にする特定の官能基のような、ある種の特徴についても選択されると考えられる。ある態様においては、ファーマコフォア単位はまた、下記により詳細に説明されるようにファーマコフォア単位が修飾体を用いて修飾することが可能になるように選択される。
【0063】
当業者によって認められているように、多くの状態及び疾患に対しては、特定の薬物及び薬剤の薬学的作用を記載したデータ及び文献の大規模な収集が実存している。疾患または状態を治療するために単純に一薬剤を用いるのではなく、本発明は疾患または状態を致傷するために数個のファーマコフォアの部分を用いている。したがってこの試みは、標的部位のそれぞれで有意な生物学的作用を保持できる方式で標的分子(ファーマコフォア)を合理的に設計することである。こうして本発明の新規な足場であるポリファーマコフォアは既知のファーマコフォアを用いており、そして最も効力の強いファーマコフォアを開発する際に特定の標的部位に対して入手できる構造−活性関連性を利用している。一般に種々のファーマコフォア単位が本発明で利用できる。特定のファーマコフォア部分には、限定するわけではないが小さな有機分子、ペプチド、ペプチド擬態物、ヌクレオチド、及び炭水化物が含まれ、そしてそれは治療すべき個々の状態及び薬学的プロフィールに基づいて選択されると考えられる。
【0064】
好ましい態様では、小さな有機分子はファーマコフォア単位として本発明においては用いられる。小さな有機分子を利用すると、安定性及び細胞透過性が増加することになる。本発明の特定の好ましい態様では、対象の足場を形成したポリファーマコフォアはパーキンソン病を治療するために用いられる。こうしていくつかのクラスのファーマコフォア単位を、限定するわけでないがドーパミンアゴニスト、MAO阻害薬、モノアミン輸送阻害薬、及びカテコールO-メチルトランスフェラーゼ阻害薬を含む足場に結合して用いることができる。図4は化学式(III)におけるA、B、Cについて、パーキンソン病治療に用いることのできる好ましいファーマコフォア断片を図示している。
【0065】
さらに別の態様では、本発明はアミノ酸、ペプチド、ペプチド擬態物またはペプチドもしくはペプチド擬態物の組み合わせを利用する。本発明の化合物及び方法で用いられるペプチドは、二個またはそれ以上のアミノ酸残基を含んでいる。一般に、アミノ酸及びその保護基を設計する際にここで用いた省略形は、生化学命名法(Biochemistry (1972) 11:1726-1732参照)でIUPAC-IUBコミッションの推奨に基づいている。ある態様では本発明の適用で用いられるアミノ酸は、タンパク質において天然アミノ酸であるか、またはアミノ基及びカルボキシル基を含むアミノ酸のような天然同化作用産物もしくは異化作用産物である。「アミノ酸」または「アミノ酸残基」という用語はさらに、ここで引用した特定のアミノ酸の類似体、誘導体及びコンジナーも含み、同様にC-末端もしくはN-末端が保護されたアミノ酸誘導体(例えば、N-末端保護基もしくはC-末端保護基で修飾されている)も含まれる。例えば本発明は、長かったり短かったりするが、それでも環化させるためのカルボキシル、アミノ、または他の反応性の前駆官能基を提供するようなアミノ酸類似体を使用することも考慮しているし、同様に適当な官能基を持つさまざまな側鎖を持つアミノ酸類似体を使用することも考慮している。例を挙げると対象の化合物には、例えばシアノアラニン、カナバニン、ジェンコリックアシッド(djenkolic acid)、ノルロイシン、3-ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシ-フェニルアラニン、5-ヒドロキシトリプトファン、1-メチルヒスチジン、3-メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチン、またはジアミノブチル酸のようなアミノ酸類似体を含むことができる。ここに適した側鎖を持つ他の天然アミノ酸代謝物または前駆体も当業者に認めらると考えられ、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0066】
例えば、その全体が参照として本明細書に組み入れられる、Williams(編)、「光学活性のアルファアミノ酸の合成(Synthesis of Optically Active alpha-Amino Acids)」、Pergamon Press (1989)、EvansらのJ. Amer. Chem. Soc.、112: 4011-4030 (1990)、PuらのJ. Amer. Chem. Soc., 56: 1280-1283 (1991)、WilliamsらのJ. Amer. Chem. Soc., 113: 9276-9286 (1991)に列挙されているように、本発明の範囲には、非天然のアミノ酸が含まれることが認められている。汎用されていないアミノ酸の例には、4-ヒドロキシプロリン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、及び他の同様のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が含まれる。
【0067】
さらに当業者によって認められているように、特定の活性を持つ望ましいペプチドが、化学的不安定性、または細胞透過性の欠如といったさまざまな理由のために不適当であると判明した場合には、適当なペプチド擬態物を代わりに用いることができる。このようなペプチド擬態物はファーマコフォア単位として選択された当初のペプチドに近い類似体を含んでいてもよいし、またはそのようなペプチド擬態物は当初のファーマコフォアペプチドからかけ離れていてもよく、そしてこれは、当初のペプチドの特徴のほんの数個のみを組み入れているかもしくは何も組み入れてはいない。さらに新規でランダムな「ペプチド様」、即ちペプチド擬態化合物は、より望ましい活性を持つ可能性のある化合物を決定するためのファーマコフォア単位として利用するために作成してもよい。このようなペプチド擬態物は、例えば加水分解不可能であること(例えば、プロテアーゼや、対応するペプチドを減成する他の生理学的状態に抵抗する安定性を増加させる)、特異性及び/または効力の増強、並びにペプチド擬態物の細胞内局在化に対する細胞透過性の増加といった特性を持っているとよい。例示的な目的では本発明のペプチド類似体は、例えばベンゾジアゼピン(例えば、Freidingerら、Peptides: Chemistry and Bioligy, G.R. Marshall編 ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988参照)、置換型ガンマラクタム環(Garveyら、Peptides: Chemistry and Bioligy, G.R. Marshall編 ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p123)、C-7擬態物(Huffmanら、Peptides: Chemistry and Bioligy, G.R. Marshall編 ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p105)、ケト-メチレン擬ペプチド(Ewensonら(1986) J Med Chem 29: 295、及びEwensonら、Peptides: Structure and Function (Proceeding of the 9th American Peptide Symposium) Pierce Chemical Co. Rockland, IL. 1985)、β-ターンジペプチドコア(Nagaら(1985) Tetrahedron Lett 26: 647、及びSatoら(1986) J Chem Soc Perkin Trans 1: 1231)、α−アミノアルコール(Gordonら(1985) Biochem Biophys Res Commun 126: 419、Dannら(1986) Biochem Biophys Res Commun 134: 71)、ジアミノケトン(Natarajanら(1984) Biochem Biophys Res Commun 124: 141)、及びメチレンアミノ−修飾物(RoarkらPeptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall編, ESCOM Publisher: Leiden, Netherlands, 1988, p134)を用いて形成できる。また一般的には、Peptides: Chemistry and Biology, G. R. Marshall編、ESCOM Publisher:Leiden, Netherlands, 1988におけるSessionIII:分析及び合成の方法(Analytic and synthetic methods)を参照するとよい。
【0068】
種々の側鎖置換とは別に本発明は、ペプチドの二次構造の配置的に制限された擬態物を使用することを特に考慮している。ペプチドのアミド結合に対して数多くの代替物が開発されている。アミド結合に代わりしばしば開発された代替物には、以下のグループ(i)トランス-オレフィン、(ii)フロロアルケン、(iii)メチレンアミノ、(iv)ホスホンアミド、及び(v)スルホンアミドが含まれる。
【化27】

【0069】
代替物の例
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【0070】
さらに、望ましいペプチドのより実質的な修飾物に基づいたペプチド擬態物も利用できる。このカテゴリーに入るペプチド擬態物には、(i)レトロ-インベルソ類似体、及び(ii)N-アルキルグリシン類似体(いわゆるペプトイド)が含まれる。
【化33】

【0071】
類似体の例
【化34】

【化35】

【0072】
さらに組み合わせ化学の方法は、新規なペプチド擬態物の開発に当たり、例えばハーバード大学のG. L. Verdineにより参加するように導いた(http://glviris.harvard.edu/frame_research.htm参照)。例えば、いわゆる「ペプチドモルフィング(peptide morphing)」戦略の一つの態様は、広範囲のペプチド結合置換物を含むペプチド類似体のライブラリーのランダム形成に焦点をあてている。
【0073】
この技術分野で既知の多くの他のペプチド擬態物構造は、本発明で使用するために容易に適切化できる。例示のために、「ペプチド擬態物のファーマコフォア」を1-アザビシクロ[4.3.0]ノナン代替物(Kimらの(1997) J. Org. Chem. 62: 2847参照)、またはN-アシルピペラジン酸(Xiらの(1998), J. Am. Chem. Soc. 120: 80参照)、または不自然なアミノ酸類似体としての2-置換型ピペラジン部分(Williamsらの(1996) J. M編 Chem. 39: 1345-1348参照)に組み入れるとよい。さらに他の態様ではあるアミノ酸残基を、アリール及びビ−アリール部分である、例えば単環状か二環状の芳香族もしくはヘテロ芳香族、または二芳香族、芳香族−ヘテロ芳香族、もしくは二ヘテロ芳香族核と置換できる。
【0074】
修飾単位及び付加的な修飾単位
さらに上記に記載したように本発明のある態様は、足場単位に直接的に結合するか、あるいは存在する修飾単位及び/またはファーマコフォア単位に結合するかそのいずれかの可能性のある一個またはそれ以上の修飾単位を含む。例えば修飾単位には、スペーサ、足場集合体、供給調節器、生物活性基(即ち、それらはエステラーゼによる開裂部位、酵素基質開裂部位、または数個に示されるpH不安定性の開裂部位を提供できる)、及び限定するわけではないが、ビオチン/アビジン、ビオチン、葉酸、及びペプチド受容体などの標的物質が含まれると考えられる。さらに修飾単位は固体支持単位を含んでいてもよく、それはリンカーを含む結合単位と任意のスペーサが固体支持体に本発明の足場を形成するポリファーマコフォアを結合させるために用いられる。
【0075】
特に好ましい一つの態様においては、足場に直接的に結合できるかまたはファーマコフォアもしくは他の修飾単位に結合できる修飾単位は標的部分である。ここで用いた場合の標的部分とは、特定の標的領域に局在していたり、標的細胞(複数)に入り込んだり、及び/または標的受容体に結合したりして本発明の足場であるポリファーマコフォアを補助する何らかの分子構造のことを言う。例えば脂質(カチオン性、中性、及びステロイド脂質、ビロソーム(virosomes)、及びリポソームを含む)、抗体、レクチン、リガンド、糖、ステロイド、ホルモン、栄養素及びタンパク質が、標的部分として機能することができる。
【0076】
特定の標的領域に局在していたり、標的細胞(複数)に入り込んだり、及び/または標的受容体に結合したりして構築物を補助する標的部分は、治療すべき特定の状態または部位に基づいて選択するとよい。標的部分にはさらに、たくさんの異なる化学的完全体が含まれる。一つの態様では標的部分は小分子である。
【0077】
本発明で用いられる特に好ましい標的部分はビオチン、即ち腫瘍及び感染部位に効率的に局在化することが示されている天然ビタミンである。さらに米国特許第5,716,594号に記載されているように画像化剤(imaging agent)及び治療薬は、ビオチンに結合した部位にうまく供給された。別の好ましい小分子の標的部分は葉酸である(米国特許第5,820,847号参照)。さまざまな癌が葉酸受容体を過剰に発現するため、標的の癌細胞において葉酸は特に有用である。ラジーノ(Ladino)ら(Int. J. Cancer 1997, 73 (6): 859-6)を参照されたい。リボフラビンとその誘導体は、癌細胞を標的として構築物を供給する際の別の小分子標的部分である(例えば、米国特許第5,688,488号参照)。受容体媒介型エンドサイトーシスを誘発することがわかっていて、そのため標的部分として有用である別の栄養素には、カルニチン、イノシトール、リポ酸、ニアシン、パントテン酸、チアミン、ピリドキサル、アスコルビン酸、並びに脂溶性ビタミンのA、D、E、及びKが含まれる。小分子標的部分の二つ目のタイプの例としては、コレステロールのようなステロイド脂質、及びエストラジオール、テストステロンなどのようなステロイドホルモンが挙げられる。
【0078】
別の態様では標的部分はタンパク質を含むことができる。特定のタイプのタンパク質が、標的部位または標的細胞の既知の特徴に基づいて選択できる。例えばプローブは、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかであってもよく、このとき対応する抗原が標的部位に提示される。第二の例としては、悪性細胞及び血液細胞のようなある種の細胞は特定のカルボヒドロエート(carbohydroate)を示し、それに対して対応するレクチンが標的部分として機能できる。ある受容体が標的細胞によって発現させられる状況では、標的部分はその受容体に結合する能力のあるタンパク質またはペプチド擬態物のリガンドを含むことができる。既知の細胞表面受容体に対応するタンパク質(低密度リポタンパク質、トランスフェリン及びインシュリンを含む)、フィブリン分解酵素、抗HER2、アネキシンのような血小板結合タンパク質、及び生物学的応答性の修飾物(インターロイキン、インターフェロン、エリスロポエチン、及びコロニー刺激因子を含む)は、好適な標的部分の例である。また、抗EGF受容体抗体は、続く受容体への結合およびある程度の核への運搬を内在化させるものであって、それはオージェ(Auger)エミッターと標的細胞の核に薬物を結合させる核との供給を容易にするために本発明で利用できる好ましい標的部分である。
【0079】
特定のタイプの細胞に結合する多くのモノクローナル抗体が開発されており、それにはヒトの腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体も含まれる。用いることのできるたくさんのそのようなモノクローナル抗体の中には、抗TAC、または他のインターロイキン-2受容体抗体、9.2.27及びNR-ML-05から250キロダルトンのヒト黒色腫関連プロテオグリカン、及び膵臓癌に対するNR-LU-10がある。本発明で使用した抗体は無傷な(全)分子であってもよいし、その断片であっても、またはその機能的等価物であってもよい。抗体断片の例はF(ab')2、Fab'、Fab、sFv、Fv断片、及び小部分であって、それらは従来の方法によって、即ち遺伝子操作またはタンパク質操作によって作製することができる。
【0080】
他の好ましい標的部分には、標的特異的受容体によって認識される糖(グルコース、フコース、ガラクトース、マンノース)が含まれる。例えば現在請求している構築物は、マンノース残基(例えば遊離の窒素にC-グリコシドとして結合している)でグリコシル化することによって、マンノース受容体を発現する腫瘍(例えば、グリオブラストーマ及びガングリオシトーマス)に、またマンノース受容体を発現することがわかっている細菌(Bertozzi, CR and MD Bednarski Carbohydrate Reserch 223: 243 (1992)、J. Am. Chem. Soc. 114: 2242, 5543 (1992))に、他の能力の高い感染剤と同様、高い親和性で結合する標的構築物を得ることができる。
【0081】
本発明において標的部分として用いるのに適した別のリガンドには、ハプテン、エピトープ、並びにそれらのdsDNA断片、類似体、及び誘導体が含まれる。このような部分は、抗体、それらの断片または類似体に、即ち擬態物(ハプテン及びエピトープに対する)、及びジンクフィンガータンパク質(dsDNA断片に対する)に特異的に結合する。
【0082】
さらに別の好ましい態様では修飾単位には、下記により詳細に説明されている組み合わせ化学法を用いて本発明の足場ポリファーマコフォアを合成することを可能にするスペーサ部分、または固体支持単位が含まれる。
【0083】
足場ポリファーマコフォアの合成
上述したように新規な足場のポリファーマコフォアの合成は、合成の容易性と、さまざまなファーマコフォア単位を組み入れるための能力を考慮して好ましくは行われる。そのため一般に、特定の治療で用いられる新規な足場のポリファーマコフォアの開発は、特定の望ましいファーマコフォア成分、即ちそのファーマコフォア成分のそれぞれが他のファーマコフォア成分にある機能的な実在部と反応する能力のある機能部を含んでいるような特定の望ましいファーマコフォア成分を選択する段階がまず関連し、続いてそこに結合した前記のファーマコフォアの置換基を持つ足場の構造を同時に形成できる条件下でその成分を反応させる段階が関連する。
【0084】
特に好ましい態様では、本発明のポリファーマコフォア足場はドミノ反応、即ち望ましい数の特定の簡単な成分または物質を用い、結合形成(または結合−開裂段階)が新しい官能基の形成と組合わさっていて、再度新しい結合や新しい官能基などが形成される段階を通して反応することの可能なドミノ反応を用いることによって合成される。ドミノ反応はこの技術分野で概説されており、非常に異なる反応がこの様式で複合分子を作成するために利用可能である(Tietzeら、Curr. Opin. Chem. Biol. 1998, 2, 363)。ドミノ反応を利用することは新規な足場のポリファーマコフォアを形成する際に好ましいものの、当業者は他の反応スキームを、それらのスキームが望ましい化合物を容易に良好な収率で合成することができ、そして組み合わせ法に当てはめることができるなら、その反応スキームを用いてもよいことを認識すると考えられる。
【0085】
所望の各成分が固形支持体に付着できるように、該成分を修飾することが特に好ましいことが理解されると思われる。より迅速な分割およびプール技術の使用により、より大きいライブラリー(例えば、10,000個を超えるメンバー)をより容易に作製することが可能であるため、成分が結合した固形支持体の使用が特に好ましい。
【0086】
本発明のために、固形支持体は、合成シーケンスの際に化合物が付着される不溶性物質として定義される。支持体結合物質から試薬を洗い落とすことによって簡単に支持体結合反応産物を単離でき、したがって反応を過剰試薬の使用によって終結させることができるため、固形支持体の使用は、ライブラリーの合成にとって都合がよい。さらに、固形支持体を用いることで、ライブラリーにおける本発明の化合物の同一性を「追跡」するための特定のコード化技術の使用もまた可能になる。固形支持体は、不溶性マトリックスである任意の物質であることができ、剛性または半剛性の表面を有することができる。例示的な固形支持体には、ペレット、ディスク、キャピラリー、中空繊維、針状、ピン、剛性繊維、セルロースビーズ、細孔ガラスビーズ、シリカゲル、選択的にジビニルベンゼンと架橋させたポリスチレンビーズ、グラフト共重合ビーズ、ポリアクリルアミドビーズ、ラテックスビーズ、選択的にN-N'-ビス-アクリロイルエチレンジアミンと架橋させたジメチルアクリルアミドビーズ、および疎水性共重合体で被覆したガラス粒子が含まれるが、これらに限定されない。当業者は、特定の固形支持体の選択が、使用される反応化学的性質と支持体の適合性によって制限されることを理解すると思われる。1つの特定の好ましい態様では、1)ジビニルベンゼンと架橋されるポリスチレンビーズ、および2)PEG(ポリエチレングリコール)の複合物であるテンタゲル(Tentagel)アミノ樹脂は、本発明の用途のために用いられる。テンタゲルは、ビーズ有りまたはビーズ無しのアッセイ法における使用のための汎用性のある支持体を提供し、トルエンから水までの溶媒中でかなりの膨潤にも耐えるので、特に有用な固形支持体である。
【0087】
本発明の化合物は、固形支持体に直接付着してもよくまたは結合試薬によって固形支持体に付着してもよい。固形支持体への直接的な付着は、固形支持体からライブラリーメンバーをはずすことが望まれない場合には、有用でありうる。例えば、生化学的/薬理学的活性のビーズ有りの直接的解析または化合物の構造解析について、ライブラリーメンバーと固形支持体のより強い相互作用が望まれる場合がある。または、固形支持体から本発明のライブラリーメンバーのより容易な分割が望まれる場合には、結合試薬の使用は有用でありうる。
【0088】
さらに、本発明で使用される任意の結合試薬は、単結合分子を含んでもよく、または1つの結合分子または1つもしくはそれ以上のスペーサー分子を含んでもよい。結合分子がライブラリーメンバーから離されるという特定の反応条件が必要な場合、または固形支持体/結合単位とライブラリーメンバー間のさらなる間隔が望まれる場合には、スペーサー分子は特に有用である。1つの特定の好ましい態様では、光開裂リンカーを用いて固相樹脂を成分に付着させる。光開裂リンカーは、インビボスクリーニング戦略においてこれらのリンカーを使用できるので、特に主張される本発明に好都合である。一旦、本発明の化合物が光開裂によって固相支持体からはずされると、本発明のポリファーマコフォアは細胞に侵入できる。例示的な光開裂リンカーには、オルト-ニトロベンジル光リンカーおよびジチアン保護ベンゾイン光リンカーが含まれるが、これらに限定されない。当業者は、本発明の方法は光開裂リンカーの使用に限定されず、むしろ他のリンカーを使用してもよく、好ましくはこのリンカーはインビボで所望の化合物を送達できることを理解すると考えられる。
【0089】
ポリファーマコフォアライブラリ合成のためのコンビナトリアル法
本発明の方法によれば、前述の足場構造からのライブラリの合成を、液相、固相、または液相および固相の組み合わせ合成法について確立されたコンビナトリアル法を用いて実施することができる。コンビナトリアルライブラリの合成は当技術分野において公知で、総説にまとめられている(例えば、「コンビナトリアルケミストリー(Combinatorial chemistry)」、Chemical and Engineering News, Feb. 24, 1997, p.43;トンプソン(Thompson), L.A.、エルマン(Ellman), J.A.、Chem. Rev. 1996, 96, 555参照)。当業者であれば、方法の選択は合成される化合物の具体的な数、具体的な反応化学、ならびに本発明のライブラリの調製および分析のための自動装置などの、利用できる具体的な装置類に依存していることを理解すると思われる。特に好ましい態様において、ライブラリを作製するために本発明の足場上で実施される反応は、高収率で、適切ならば、かつ立体選択的に進行するそれらの能力によって選択される。
【0090】
本発明の一つの態様において、本発明のライブラリは液相法を用いて作製される。コンビナトリアルライブラリ合成のための液相法の通常の利点には、はるかに広い範囲の有機反応が利用できることと、比較的容易に生成物を特徴付けられることとが含まれる。好ましい態様において、液相コンビナトリアルライブラリを作製するために、平行合成法を用いるが、この方法ではすべての生成物がそれ自体の反応容器中で別々に集められる。特に好ましい平行合成法において、反応が起こる数ミリリットルの溶媒を保持できる小さいウェルをn列、m段含むマイクロタイタープレートを用いる。次いで、n×m個のウェルにおいて、カルボン酸などの反応物Aのn個の変異体、およびアミドなどの反応物Bのm個の変異体を用いて、n×m個の変異体を得ることが可能である。当業者であれば、より小さいライブラリが望ましい場合には、この特定の方法が最も有用であり、特定のウェルにおけるライブラリメンバーを同定するために特有のウェルが迅速な手段を提供しうることを理解すると思われる。
【0091】
本発明のもう一つの特に好ましい態様において、前述のとおり、所望の足場構造が固相に直接単位または連結単位を通じて結合されている、固相合成法を用いる。固相合成法の利点には、多段階の反応をより容易に実施できることと、過剰の試薬を用いて、未反応の試薬を洗浄することができるため、反応を完了させることができることとが含まれる。おそらく、固相合成の最も重要な利点の一つは、平行合成法に加えて、フルカ(Furka)によって開発された「スプリット&プール」と呼ばれる方法を用いることができることである(フルカ(Furka)ら、Abstr 14th Int. Congr Biochem., Prague, Czechoslovakia, 1988, 5, 47;フルカ(Furka)ら、Int. J. Pept. Protein Res. 1991, 37, 487、セベスチェン(Sebestyen)ら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1993, 3, 413)。この方法では、関連化合物の混合物を同じ反応容器内で調製することができ、したがって百万以上ものライブラリメンバーを含むものなどの、非常に大きいライブラリの合成に必要な容器の数を実質的に減らすことができる。一例として、固体支持体足場をn個の容器に分けることができ、ただしnは足場構造と反応させる試薬Aの種類の数を表す。反応後、n個の容器の内容物を合わせ、次いでm個の容器に分割し、ただしmは足場構造と反応させる試薬Bの種類の数を表す。この手順を、所望の数の試薬が足場構造と反応するまで繰り返して、本発明のライブラリを得る。
【0092】
本発明における固相法の使用は、特定の符号化法の使用を含むこともできる。特定の符号化法はクザルニク(Czarnik)によって総説にまとめられている(クザルニク(Czarnik), A.W., Current Opinion in Chemical Biology, 1997, 1, 60)。本発明において用いられる場合、符号化法は、特定のライブラリメンバーの空間的配位を参照することなく、その構造決定を可能にする、固体支持体に結合された特定の「同定物質」の使用を含む。当業者であれば、より小さい固相ライブラリを96穴プレートなどの特定の反応ウェル内、または樹脂製ピン上で作製する場合、これらのライブラリメンバーの反応歴を特定のプレート内のそれらの空間的配位によって同定することもでき、したがって空間的に符号化されることを理解すると思われる。しかし、大きいコンビナトリアルライブラリにとっては、代替符号化法を用いて特定の反応歴を記録することが最も好ましい。
【0093】
本発明において用いることができる特定の好ましい代替符号化法の例には、空間的符号化法、「ティーバッグ」法を含む図式符号化法、化学的符号化法、および分光測光符号化法が含まれる。空間的符号化とは、反応歴をその位置に基づいて記録することである。図式符号化法は、相関データベースの作製を可能にするための、各合成プラットフォームの符号化を含む。好ましい分光測光符号化法の例には、質量分析蛍光発光、および核磁気共鳴分光法の使用が含まれる。最も好ましい態様において、反応生成物を符号化するために、その構造を用いる、化学的符号化法を用いる。この方法を用いての符号解読は、固相上または固相からはずして実施することができる。当業者であれば、本発明において用いられる特定の符号化法は、望まれるライブラリメンバーの数、および用いる反応化学に基づいて選択しなければならないことを理解すると思われる。
【0094】
本発明の方法について例示的な態様では、少なくとも25個の化合物、より好ましくは少なくとも100個の化合物、 最も好ましくは少なくとも500個の化合物のライブラリーを調製する。用いた各々の試薬は、好ましくは多様性を生じる能力および高収率で反応する能力について選択される。例えば、図6で図示されるように、特定のアミン、アルデヒド、およびホウ酸ビニル成分を選択することによって、および液相または固相法を用いてコンビナトリアルな方法でこれらを反応させることによってによってコンビナトリアル合成が行なわれる。当業者は、各段階における読みとばしコドン、または「ブランク」の使用もまた多様性をさらに生むということを理解すると思われる。さらに、特に好ましい態様においては、固相法が用いられる場合には、各反応段階後にビーズが「タグ」され、用いた特定の反応の選択をコード化する。当業者によって評価されると思われるように、好ましくは足場合成の段階においてコンビナトリアル法が用いられるが、足場ポリファーマコフォアを作製し、修飾単位に付加し、および/またはファルマコフォア単位に官能性をもたせた後にもコンビナトリアル法が用いられる。1つの例以外では、ペプチドファルマコフォアを最初に作製した場合には、その後このペプチドを必要に応じて修飾および/または長くし、ファルマコフォアのプロファイルを最適化する。
【0095】
その後、質量分析、核磁気共鳴分析法、およびガスクロマトグラフィーのような標準的解析法を用いて、ライブラリーメンバーの特徴づけを行うことができる。特定の解析技術の選択が、液相または固相中に本発明のライブラリーメンバーが存在するかどうかに依存することを当業者は理解すると考えられる。
【0096】
足場ポリファーマコフォアの生物活性
上記のように、生物学的部位において相互作用、例えば、タンパク質、核酸、脂質、またはそれらの組み合わせのような生物標的の生物活性の調節が可能な本発明の足場ポリファーマコフォアを同定することが望ましいと考えられ、それにより、このような同定された化合物は疾病または病状の治療および/もしくは予防に有用であるか、または診断薬として有用である。
【0097】
好ましい態様では、該化合物を化学的または生物学的機能の検出を可能にするインビトロアッセイ法、または任意の他の系において用いてもよい。一般的に、本発明の方法により、1つまたはそれ以上の本発明の足場ポリファーマコフォアを検出可能な生化学的活性を有する生物標的に接触させる。このような生物標的には、例えば、酵素、受容体、多量体複合体形成に関わるサブ単位が含まれる。このような多量体複合体サブ単位は、触媒能力(例えば、基質変換の触媒能力等)によって特徴づけられるてもよく、または、1つまたはそれ以上の他の分子に結合する際に主に活性があってもよい。生物標的は、精製もしくは半精製された組成物、細胞溶解物、細胞全体もしくは組織全体の形態で、または更に生物全体の形態で提供されうる。生化学的活性レベルは、化合物存在下で検出され、かつ化合物非存在下で生化学的活性レベルに対して統計学的に有意な変化により調節物質、例えば阻害剤または標的タンパク質の生物活性の相乗因子のような化合物が同定される。いくつかの場合では、特に、細胞全体または生物全体においてアッセイされる場合には、化合物の作用が特に生物標的の活性に加え、または該活性の代わりに量を変化するようになる可能性がある。従って、「調節物質」は、特定の標的のレベルまたは活性を変化する化合物である。特に好ましい態様においては、本発明の足場ポリファーマコフォアライブラリーの複数の化合物がハイスループットの形式で同時にアッセイされ、好ましくは、少なくとも25個の化合物、好ましくは少なくとも100個の化合物、より好ましくは少なくとも500個の化合物について同時に解析できる。
【0098】
薬学的組成物
一旦、生物標的に対する特定の所望の作用が本発明のライブラリーの特定の化合物に関連すれば、1つまたはそれ以上の本発明の化合物を特定の医学的症状のための治療薬として用いてもよい。本発明の使用に関する治療薬は、動物、好ましくは哺乳類、またはヒトにおいて局所的にまたは全身的に作用する任意の薬理活性のある物質を含むことができる。このようにこの用語は、疾病の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防、または動物もしくはヒトにおける所望の身体もしくは精神の発達および状態の向上における使用に関する任意の物質を意味する。
【0099】
当業者により理解されるように、治療薬は単独で、経口的、局所的にまたは注射によって投与されてもよく、またはさらに治療薬および生物学的に許容される担体を含む薬学的組成物として提供されてもよい。本発明の組成物は、水溶液、乳濁液、クリーム、軟膏、懸濁剤、ゲル、およびリポソーム懸濁液であってもよいが、これらに限定されない。特定の好ましい生物学的に許容される担体には、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液およびエタノール、グルコース、ショ糖、デキストラン、マンノース、マンニトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール(PEG)、フォスフェート、酢酸塩、ゼラチン、コラーゲン、カルボポール(carbopol)の溶液、並びに植物油を含むが、これらに限定されない。適当な防腐剤、安定剤、抗酸化剤、抗菌剤、並びに、例えばBHA、BHT、クエン酸、アスコルビン酸、およびテトラサイクリンを含む緩衝剤を含むこともできる。請求される本発明の治療薬はまた、適当な高分子マトリックスまたは膜に混合または封入されるされてもよく、従って局所的に治療される予定の部位近傍での注入に適した徐放性送達装置を提供する。
【0100】
当業者が理解すると思われるように、任意の特定の疾患の治療に必要な治療薬の量は、疾患の性質および重篤度、患者の年齢および状態、並びに当業者によって即座に決定される他の因子によって異なると当然考えられる。
【0101】
他の用途:
本発明に係る方法、化合物およびライブラリーは、さまざまな分野で利用することができる。例えば、本発明に係る足場ポリファーマコフォアも、放射性核種で標識するか、蛍光標識すれば、造影剤や診断用薬剤として用いることができる。例えば、修飾因子単位は、放射性核種(トリチウム、ヨウ素-125、ヨウ素-131、ヨウ素-123、ヨウ素-124、アスタチン-210、炭素-11、炭素-14、窒素-13、フッ素-18など)を含むことができ、またはハロゲン化などによって、コア構造に取り込まれたり、または直接結合したり、または、放射性核種(TC-99m、Re-186、Ga-68、Re-188、Y-90、Sm-153、Bi-212、Cu-67、Cu-64、Cu-62など)を結合基に結合させるか、もしくはキレート基に結合させてから、直接またはリンカーによって、化合物に結合させることができる。これらの放射性標識技術は、放射性医薬品産業で日常的に用いられている。
【0102】
本発明に係る放射標識化合物は、神経疾患(例えば、神経変性疾患など)もしくは精神状態などを診断するため、または、哺乳動物(例、ヒト)における、そのような疾患または状態の進行または治療を追跡するための造影剤として有用である。本発明に係る放射性標識化合物は、ポジトロン放出断層撮影法(PET)や単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPET)などの画像化技術とともに適宜用いることができる。
【0103】
また、本発明のポリファーマコフォアも材料科学の分野で有用であると思われる。これら化合物の中に反応性部分が存在するために、脂質およびその他のポリマー物質などの分子が結合することができ、それによって、重要な生体適合物質となりうるものを生成することができる。
【0104】
同等物
当業者は、本発明の組成物、および、本明細書に記載したそれらの使用法に同等なものが数多くあることを認識し、日常的な実験を用いるだけで、それらを確認することができる。そのような同等物も本発明の範囲に含まれると考えられ、特許請求の範囲内に含まれる。さらに、特に好ましい態様の例を以下の実施例中に示して、本発明をより詳細に説明しようとしているが、それらは特許請求の範囲に記載された、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例】
【0105】
足場をもつポリファーマコフォアの合成
本発明の一つの実施例では、パーキンソン病に対する薬剤として使用するための新規の足場をもつポリファーマコフォアを開発した。これらの足場をもつポリファーマコフォアは、多数の成分からなる「カクテル」薬とは対照的に、中枢神経系への接触を保持しつつ、単純な薬物動態学的性質をもつと期待されている。好ましい態様では、足場自体を、この方法にファーマコフォアの多様性と組み合わせの拡大に展開しうるような能力を付与する相対的に単純な材料から、1回の3コンポーネントの反応(ペタシス反応(Petasis reaction))で組み立てることができる。図5は、これらの足場をもつポリファーマコフォアを合成するための特定の好ましい成分を示したものである。下記のスキーム1は、本発明に係る、例示的なポリファーマコフォアの足場を同時に形成する方法を示したものである。具体的な態様は以下に詳述するが、すべての同等物が含まれることは当業者に理解されると思われる。
【化36】

【0106】
1)本発明の組成物を合成するための実験手順
a.α-ビニル-α-アミノ酸を合成するための一般的な手順(化合物RNH-VII-92、RNH-Z-24、RNH-Z-26、RNH-Z-39、RNH-Z-44、RNH-Z-58、RNH-Z-63、RNH-Z-68、RNH-84、RNH-92、RNH-93、RNH-94):
3 mlのジクロロメタン中のグリオキシル酸水和物(1.0当量)溶液に、アミノ(1.0当量)およびトランス-ビニルボロン酸(1.0当量)を連続的に加えた。反応液を、室温で2時間撹拌し、濾過して、沈殿物を冷ジクロロメタンで洗浄した。生成物を、メタノール-イソプロパノールから再結晶化することによって、または溶離液としてジクロロメタン-メタノールを用いたシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0107】
1.化合物RNH-Z-24:単離収率、35%;融点164〜166℃;

【0108】
2.化合物RNH-Z-26:収率=85%;融点=181〜182℃;

【0109】
3.化合物RNH-VII-92:収率=85%;融点=187〜188℃;

【0110】
b.α-ビニル-α-アミノアルコールを合成するための一般的な手順(化合物RNH-Z-59、RNH-Z-61、RNH-Z-64、RNH-Z-70):
3 mLのエタノール中のグリコアルデヒド(0.5当量)溶液に、アミノ(1.0当量)およびビニルボロン酸(1.0当量)を加えた。反応を室温で6時間〜24時間撹拌した。反応混合液を蒸発乾燥させ、得られた固体を、溶離液としてジクロロメタンおよびメタノールを用い、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。
1.化合物RNH-Z-59:収率=55%;融点=96〜98℃;

【0111】
c.α-ビニル-α-アミノアミドを合成するための一般的な手順(化合物RNH-Z-28、RNH-Z-31)(A):
10 mLのDMF中のα-ビニル-α-アミノ酸(1.0当量)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(3当量)、1-ヒドロキシベンゾチアゾール(1.1当量)、アミン(1.1当量)、およびカルボジイミドカップリング試薬(1.2当量)を連続的に加えた。反応を室温で6時間〜24時間撹拌した。反応混合液を、水と酢酸エチル間に区分した。有機層を集めて蒸発乾燥させた。得られた残渣は、溶離液としてジクロロメタン-メタノールを用い、シリカゲル上でクロマトグラフィーにより精製した。(B)エタノール中のアミノアルデヒド撹拌溶液(1.0当量)にアミン(1.0当量)およびビニルボロン酸(1.0当量)を連続的に加えた。反応を室温で6〜24時間進行させた。反応混合液を蒸発乾燥させ、残渣を溶離液として、ジクロロメタン-メタノールを用い、カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0112】
1.化合物RNH-Z-28:収率=50%;

【0113】
1.化合物RNH-Z-31:収率=60%;

【0114】
2)本発明のポリファーマコフォアのコンビナトリアルライブラリーの作製:
本発明の例示的な態様では、パーキンソン病を治療するための薬剤として使用するために、望ましいコンビナトリアルライブラリーを調製することができる。上記実施例において示された反応および条件を利用して、これらのポリファーマコフォア・コンビナトリアルライブラリーを作製することができる。これらのライブラリーは、液相中または固相上で調製することができる。本発明者らは、足場アミン成分として、D2アゴニスト、不可逆的MAO阻害剤、およびDAT阻害剤を選択した。アルデヒドおよびビニルボロン酸成分は、COMT、MAO、およびDATの阻害剤を取り込んでいる。図6は、パーキンソン病に対する薬剤として使用するための小さなコンビナトリアルライブラリーに特定な例示的な断片を使用することを図示しているが、本発明においては、他のファーマコフォアも利用することもできると考えられる。図6に示した、いくつかの二級アミン、アルデヒド、およびビニルボロン酸は市販されているが、出発物質の多くは、他の中間体から合成する必要がある。本発明のライブラリーで用いられる特定の成分の典型的な合成法を図7および図8に示す。
【0115】
小さな目的とする(mini-directed)ライブラリーの合成は、好ましくは、各標的化合物につき約0.1〜1.0 mmolが提供される規模で行なわれる。上記した反応条件を用いて、3種類の代表的なアミン、3種類のアルデヒド、および3種類のビニルボロン酸の溶液で、3×3×3のライブラリーを調製する。ロータリーエバポレーターによって溶媒を除去し、27種類の化合物のそれぞれをシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって単離し、マレイン酸塩またはフマル酸塩として再結晶化する。各化合物は、1H-NMR、FTIR、およびHRMS(または元素分析)によって特徴を調べ、その構造実体を確認する。明らかに、これらの合成法によって、光学異性体およびジアステレオマーの混合物が生成し、所望であれば、有機合成分野で周知の技術を用いて分離することができる。
【0116】
3)治療に関連する生物学的アッセイ法における、薬剤の生物学的評価
標的化合物および化合物ライブラリーの潜在的効能を評価するためには、付加されたファーマコフォアの生物学的標的に対するインビトロでのスクリーニングアッセイ法を利用する。例えば、ドーパミン受容体のアゴニスト、COMT阻害剤、およびMAO阻害剤ファーマコフォアをその構造中に含む化合物が、それらのスクリーニング法で評価される。これらの化合物を、その別々の成分と比較して、所望の生物活性が保持または増強されている程度を測定する。この最初のスクリーニングの後、別の利点や副作用の可能性を同定するために化合物をより広範にスクリーニングして、それらのより広い薬理学的特徴を決定する。
【0117】
競合的結合アッセイ法を用いて、ドーパミンD-1およびD2受容体(放射性リガンドとして[3H]SCH-23390および[3H]スピペロンをもつヒト組換え受容体)に対するリガンドの親和性を測定した。Kd値<10-7を示すリガンドの効果を、受容体のサブタイプに適した機能的アッセイ法で測定する。安定的に形質転換されたCHO-K1/hDAT細胞における、DAT結合の阻害(CHO細胞中のヒト組換えタンパク質)および[3H]DA再取込み。具体的には、IC50値を出すために3,4-ジヒドロキシ安息香酸の代謝の低下を期待して、ラットから得た酵素調製物を用いて、標的リガンドのCOMT阻害能力を測定する。IC50値を得るための標準基質として[3H]DAを用い、ラットの肝臓から得た調製物におけるMAO-Bの阻害を測定する。選択した化合物は、受容体リガンドの可能性があるものとして、さらに広範にスクリーニングすることもできる。
【0118】
表1に示すように、ヒトドーパミン輸送体に対する特異的な[125I]RTI-55結合に対する薬剤の効果を調べた。薬剤とヒトドーパミン輸送体(hDAT)との相互作用の特徴を調べるために、薬剤(約30 nMから10 μM)を、最終容量250μl中で、組換えhDATを安定的に発現するHEK-293細胞から得た膜調製物、[125I]RTI-55、および緩衝液とともにインキュベートした。1回に二度の測定を行う独立したアッセイを2回〜3回実施した。チェン-プルソフ(Chen-Prusoff)の等式を用いて、IC50値をKi値に変換した。表1のデータは、それぞれ、2回または3回の実験の平均値+/-範囲または+/-標準誤差(s.e.m.)を表す。GBR-12935についての値は、エシュルマンら(Eshlemanら、1999)から採られている。
【0119】
〔表1〕 ヒトドーパミン輸送体に対する特異的[125I]RTI-55結合に対する薬剤効果

【0120】
さらに、図13〜図17は、特異的[125I]RTI-55結合対log[薬剤]の百分率を示している。
【0121】
なお、表2に示すように、特定の化合物が多数の受容体に結合できるかを調べる。
【0122】
〔表2〕

【0123】
当業者には明らかなように、評価を行った各化合物に関する結果を集計して、各標的部位における構造活性関係(structure activity relationship)を構築することができる。このプロフィールには、化合物の物理化学的および分光学的特性に加えて、単一のファルマコフォア標準と比較した、例えばKd、Ki、IC50値など、材料の生物活性が含まれる。最初の研究から得られる構造活性関係は、以後のより大規模で、より優れた性質をもつ化合物の所望のライブラリーの合成を指示するために役立ち、また、臨床前評価を行なうための候補薬剤を選抜する基礎として役立つ。上記の実施例は、パーキンソン病、鬱病、薬物中毒、ADD、ADHD、ハンチントン病、および精神分裂病に関係すると思われるレセプター部位を目的とするものであったが、当業者には、別のアッセイ法を用いて、別の症状を対象とする他のポリファルマコフォア化合物の生物学的効果を調べられることは明らかであると思われる。
【0124】
特定の好ましい態様において、ハイブリッドファルマコフォア化合物に期待される性質は、単離されたファルマコフォア単位の活性と等しい、2つの標的部位に対する活性、および、置き換えられていない断片と較べて有効性が0.5 log単位減少した、第3の標的部位に対する活性である。別の好ましい態様において、ハイブリッドファルマコフォア化合物についての所望の性質は、1 log単位減少した3種類の薬理学的活性を含む。特に好ましい態様において、ハイブリッドファルマコフォア化合物に期待される最適な性質は、単離されたファルマコフォア単位の活性と等しい、各標的部位に対する活性を含む。例えば、ハイブリッドがドーパミンアゴニスト、DAT阻害剤、およびCOMT阻害剤を成分として含む場合に、そのままの分子は、好ましくは、各断片に見られるのとほぼ同じ強さで3つの活性すべてを発現する。好ましいポリファルマコフォア化合物は、各標的部位に対する所望の活性を含むことに加えて、所望の安全性に関する特徴ももつと解されると思われる。データの評価と解釈を行なうことによって、ハイブリッドのどの成分が増強または低下を必要とするのかを判定することが可能になる。また、この情報は、所望のコンビナトリアルライブラリーおよび化合物を合成する方法にも影響を与えると思われる。
【0125】
参考文献




【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)を含むポリファーマコフォア:
【化1】

上式で、Sは足場単位を含み;Pはファーマコフォア単位を含み、ただしxは2以上であり;かつMは修飾剤単位を含み、ただしyは0以上であり、PおよびMのそれぞれ一つはそれぞれの出現時に該足場単位に連結しており、かつポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項2】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項3】
協調してはたらく生体系に関係する状態または疾患を治療、予防、緩和、または進行を遅らせるために用いられる、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項4】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項5】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、ADHD、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項6】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項7】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、検出物質、溶解性増強物質、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項1に記載のポリファーマコフォア。
【請求項8】
下記の一般式(IA)を含むポリファーマコフォア:
【化2】

上式で、Sは足場単位を含み;Pはファーマコフォア単位を含み、ただしxは2以上であり;かつMは修飾剤単位を含み、ただしyは0以上であり、PおよびMのそれぞれ一つはそれぞれの出現時に該足場単位に連結しており;かつDは追加の修飾剤単位を含み、ただしaおよびbはxまたはyのそれぞれの出現時にそれぞれ独立に0以上であり、ただしDは足場に連結されている一つまたは複数のファーマコフォア(P)、あるいは、または加えて、一つまたは複数の既存の修飾剤単位(M)に直接連結されていてもよく、かつポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項9】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項10】
協調してはたらく生体部位に関係する状態または疾患を治療および/または予防するために用いられる、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項11】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項12】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項13】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項14】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、検出物質、溶解性増強物質、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項8に記載のポリファーマコフォア。
【請求項15】
下記の一般式(II)を含むポリファーマコフォア:
【化3】

上式で、Sは足場単位を含み;A、B、またはCの少なくとも二つはファーマコフォアを含み;かつA、B、またはCの一つが修飾剤単位を含むか、またはいずれも修飾剤単位を含まず、ポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項16】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項17】
協調してはたらく生体系に関係する状態または疾患を治療および/または予防するために用いられる、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項18】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項19】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項20】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項21】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、検出物質、溶解性増強物質、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項15に記載のポリファーマコフォア。
【請求項22】
下記の一般式(IIA)を含むポリファーマコフォア:
【化4】

上式で、Sは足場単位を含み;A、B、またはCの少なくとも二つはファーマコフォアを含み;A、B、またはCの一つが修飾剤単位を含むか、またはいずれも修飾剤単位を含まず;かつDは追加の修飾剤単位を含み、ただしa、b、およびcはそれぞれ独立に0以上であり、ポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項23】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項24】
協調してはたらく生体系に関係する状態または疾患を治療および/または予防するために用いられる、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項25】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項26】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項27】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項28】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項22に記載のポリファーマコフォア。
【請求項29】
下記の一般式(III)を含むポリファーマコフォア:
【化5】

上式で、A、B、またはCの少なくとも二つはファーマコフォアを含み;かつA、B、またはCの一つが修飾剤単位を含むか、またはいずれも修飾剤単位を含まず、ポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項30】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項31】
協調してはたらく生体系に関係する状態または疾患を治療および/または予防するために用いられる、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項32】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項33】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項34】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項35】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、検出物質、溶解性増強物質、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項29に記載のポリファーマコフォア。
【請求項36】
下記の一般式(IIIA)を含むポリファーマコフォア:
【化6】

上式で、A、B、またはCの少なくとも二つはファーマコフォアを含み、A、B、またはCの一つが修飾剤単位を含むか、またはいずれも修飾剤単位を含まず;かつDは追加の修飾剤単位を含み、ただしa、b、およびcはそれぞれ独立に0以上であり、ポリファーマコフォアは少なくとも二つの生物標的と相互作用する。
【請求項37】
足場単位がドミノ反応を用いて合成される、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項38】
協調してはたらく生体系に関係する状態または疾患を治療および/または予防するために用いられる、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項39】
ドーパミン作動系の機能を調節するために用いられる、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項40】
アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ、注意欠陥障害、自閉症、肥満および炎症からなる群より選択される疾患および状態を治療するために用いられる、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項41】
ファーマコフォア単位がD-1アゴニスト、D-2アゴニスト、D-3アゴニスト、D-4アゴニスト、不可逆的モノアミン阻害剤、可逆的モノアミン阻害剤、モノアミン輸送体阻害剤、COMT阻害剤、MAO阻害剤およびドーパミン輸送体阻害剤からなる群より選択される、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項42】
修飾剤単位がスペーサー、足場集合体、送達調節物質、生物作用活性化基、検出物質、溶解性増強物質、およびターゲティング物質の群より選択される、請求項36に記載のポリファーマコフォア。
【請求項43】
請求項1、8、15、22、29、または36のいずれか一項に記載のポリファーマコフォア、またはその薬学的に許容される塩と;薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む薬学的組成物。
【請求項44】
複数の生体部位に関与する疾患または状態を治療するための方法であって、請求項1、8、15、22、29もしくは26のいずれか一項に記載のポリファーマコフォアの薬学的に有効な用量、または薬学的に許容される希釈剤もしくは担体を投与することを含む方法。
【請求項45】
疾患または状態が協調してはたらく生体系に関係する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
疾患または状態がドーパミン作動系に関係する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
請求項1、8、15、22、29、または36に記載のポリファーマコフォアのいずれか一つを含む、ポリファーマコフォアのライブラリ。
【請求項48】
少なくとも25個のライブラリメンバーを含む、請求項47に記載のライブラリ。
【請求項49】
少なくとも100個のライブラリメンバーを含む、請求項47に記載のライブラリ。
【請求項50】
少なくとも500個のライブラリメンバーを含む、請求項47に記載のライブラリ。
【請求項51】
ポリファーマコフォアの一つまたは複数の生物活性を定量する方法であって、
(a)式(I)、(IA)、(II)、(IIA)、(III)、または(IIIA)のいずれか一つを有する、足場ポリファーマコフォアまたは足場ポリファーマコフォアのライブラリを生物標的と接触させることと;
(b)生化学的活性の統計学的に有意な変化を、足場ポリファーマコフォアが非存在下での生化学的活性のレベルと比べて定量することとを含む方法。
【請求項52】
請求項1、8、15、22、29または36に記載の化合物のいずれか一つを含む標識化合物であって、ファーマコフォア単位、足場単位、または修飾剤単位のいずれか一つまたは複数が検出物質で標識されている化合物。
【請求項53】
放射性核種で標識されている、請求項52に記載の標識化合物。
【請求項54】
蛍光標識で標識されている、請求項53に記載の標識化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−72147(P2012−72147A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229979(P2011−229979)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【分割の表示】特願2001−551856(P2001−551856)の分割
【原出願日】平成13年1月11日(2001.1.11)
【出願人】(507412863)モレキュラ インサイト ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】