説明

ポリプロピレン及びポリスチレンへのアルミニウムホイル用のホットシーリング組成物

【課題】高い耐熱性及び短いシール時間に傑出しているホットシール系。
【解決手段】ホットシール系が、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーA、メタクリレートコポリマーB及びグラフトポリマーA−Xからなり、上記の成分並びに溶剤又は溶剤混合物からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
食品及び錠剤の包装の分野において、ポリスチレン(PS)及びポリ塩化ビニル(PVC)の他に、少し前からポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)も入ってきていた。前処理されていないポリプロピレンは、ラッカー分野にとって、極めて重要なプラスチックである、それというのも、極めて頻繁に接着強さの問題が生じるからである。この問題点は、ポリプロピレンにホットシーリングする際に確かに何か別の様相を呈している(PPは、ここでは、コーティングされるのではなくて、むしろ"接着される")が、しかし同様に存在している。こうして、ポリスチレン−又はPVC−シーリングの場合に実証されたポリメタクリレート樹脂、例えばPLEXIGUM P 24又はPLEXIGUM N 80は使用されることができない、それというのも、シール接合部強度はそれらを用いて達成可能ではないからである。
【0002】
PLEXIGUM P24は、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとからなるコポリマーであり、かつRoehm GmbH & Co.KGから市場に出される。
【0003】
PLEXIGUM N80は、メチルアクリレート−エチルメタクリレート−コポリマーであり、かつ同様にRoehm GmbH & Co.KGから市場に出される。
【0004】
PLEXISOL PM 555(製造者:Roehm GmbH & Co.KG)、酢酸ブチル/メチルエチルケトン中のポリオレフィン/ポリメタクリレートベースの特別な溶剤含有結合剤系を用いて、ポリプロピレンにアルミニウムホイルをシールするのに卓越して適している結合剤を開発することに成功している。しかし、さらにまた、PLEXISOL PM 555を用いて、ポリスチレン及びPVCに、同じように良好にシールすることも可能である。
【0005】
PLEXISOL PM 555は、PVC−混合ポリマー、例えば(R)VINYLITE VMCHとのアルミニウム接着を達成するために下塗りされなければならないが、しかし単層系としての相応する組合せでも使用されることができる。
【0006】
Vinylite VMCHは、酸含有PVC−ポリマーである(販売:Union Carbide)。
【背景技術】
【0007】
木材からか又は無機原材料、例えば金属、ガラス、セラミックからなる容器及びコンテナの代わりに、現在において、いろいろなプラスチック製品が踏み込んでいる。いずれにせよ、容器もしくはコンテナが食品の収容もしくは保存に利用される場合には、要求は特に高い。
【0008】
食品保存の決定的な視点は、脱水、凍結又は殺菌によってもよらなくても、微生物の成長の完全な阻止である。このことから、しばしば、コンテナに気密にふたをするという必然性がもたらされる。さらにまた、プラスチックコンテナの場合に機械的安定度、含水量の制御並びに雰囲気及び光の作用が考慮されなければならない。(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 第25版 Vol.A11, 523-560; 583-618 VCH 1988参照; そこで現行の規格にも論述されている)。
【0009】
プラスチック容器にふたをするために、食品技術において、特に酪農場製品、例えばヨーグルトカップの場合に、一般に、シールラッカーでコーティングされたアルミニウムふたが使用される。
【0010】
しばしば、そのようなアルミニウムふたは、三層の積層品であり、その外層は、しばしば(二軸配向した)ポリエチレンテレフタレート(O−PET)、二軸配向したポリプロピレン(OPP)又はポリアミド(O−PA)からか又はセルロースからなる。ホットシール可能な内層は、それに反して通常、ポリエチレン、エチレン−コポリマー又はポリプロピレンからなる(US-A 4 753 708; G. Stehle, Neue Verpackung 9/91, 94-101頁)。例えば食品包装のためのアルミニウムの使用に対して、しかしますます、経済的及び環境学的な理由、特にアルミニウムの製造の場合の高いエネルギー消費が議論されている。
【0011】
故に、アルミニウムの代わりにシール可能なラッカーを備えているプラスチック−ホイルも使用される。シールラッカーは、その際、使用されるプラスチックに適合される。良好な機械的強さ及び良好なバリヤー性を有するシール可能なホイルのための相対的に安価な材料として、硬質−PVCはまさにかなりの役割を果たし、その際、シールラッカー層として通常、アクリル樹脂が利用され、その接着強さ及び融点は、添加物により好都合には変更されることができる。
【0012】
DE-A 35 31 036には、衝撃に強いポリスチレン、ブロック−コポリマー及び離型剤からなるシール可能な層からなり、同時押出により製造可能なプラスチック−ホイルが記載されている。
【0013】
EP-A 0 406 681には、しかし当然、アルミニウムホイルの代わりにホットシールできるプラスチック−ホイルを使用する際に問題点が指摘されている。通例の場合に、本質的により狭い加工幅が制限的に表面化する。主に、妨害のない生産及びシールされた充填物の申し分のない使用を保証するために、かなり一定に遵守されなければならない10〜20℃の極めて狭い加工範囲の結果となる。カップの同時の充填のための複数のキャビティを有する充填施設の場合に、この必要条件は常に満たされていない。EP-A 0 406 681は、同時押出法によってDE-A 35 31 036に従って製造可能なポリスチレンベースのホイルを、とりわけ、加工幅及び加工安全性が増大されるように改善するという課題設定がなされていた。
【0014】
さらに、申し分のない生産は、複数の充填キャビティを有する充填施設上で安全の保証されるべきである。実地において、このことは、プラスチック−ホイルの品質への相応する要求を有するより高いシール温度の使用という結果になる。
【0015】
EP-A 0 406 681によれば、この要求は、同時押出方法によるか又は積層により製造され、2つの層A及びC及び場合により層B並びに場合により、その都度層A、場合によりB及びCの2つを結合させるためのそれぞれ接着促進剤(Haftvermittler)Dの層からなり、ホットシールできる衝撃に強いポリスチレンAからなる層1〜50%、担持層B95%まで及び高融点プラスチック層C 1〜99%からなっているシール可能なプラスチック−ホイルにより満たされ、その際、A及び場合によりB及びCの厚さ又は質量の総和はその都度100である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US-A 4 753 708
【特許文献2】DE-A 35 31 036
【特許文献3】EP-A 0 406 681
【特許文献4】DE-OS 16 44 941
【特許文献5】DE-OS 17 69 834
【特許文献6】DE-OS 19 39 037
【特許文献7】DE-OS 19 63 039
【特許文献8】DE-OS 20 59 981
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 第25版 Vol.A11, 523-560; 583-618 VCH 1988
【非特許文献2】G. Stehle, Neue Verpackung 9/91, 94-101頁
【非特許文献3】Macromolecular Reviews,10巻 1975
【非特許文献4】Houben-Weyl, Methoden der Org. Chemie, 1411巻, 114頁
【非特許文献5】H.A.J.Battaerd, G.W.Tregear, Polymer Reviews, 16巻, Interscience (1967)
【非特許文献6】Houben-Weyl, Methoden der Org. Chemie, 14/1, S.flOff.
【非特許文献7】Block Copolymers, 5 D.C.Allport, W.H.Janes, Appl. Sci. Publishers Ltd., London, 1973
【非特許文献8】Graft Copolymers, H.A.J.Battaerd, G.W.Tregear, Polymer Reviews 16巻 (1967)
【非特許文献9】Block and Graft Polymers. W,J.Burlant, A.S.Hoffmann, Reinhold Publishers Corp., New York,1960
【非特許文献10】"Verpackungs-Rundschau", 32 (1981), No.8, 58頁への技術−学術付録として刊行された包装剤No. 41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
既に相対的に高い温度で高い接着強さを達成する(高い耐熱性)という課題が存在した、それというのも、ホイルのコーティングの場合及び食品包装業者の場合にこうして短いサイクル時間が達成されるからである。
【0019】
さらに、アルミニウムホイル及びプラスチックホイル用の公知のホットシール組成物を、酢酸ブチル及びメチルエチルケトンからなるこれまで常用の溶剤含有結合剤系の代わりに、HAPS−リストに挙げられている溶剤系が使用されることができるように改善するという課題が存在した。さらに、アルミニウムホイル又はプラスチックホイルのホットシーリングの際に使用される常用のサイクル時間で、密封の十分に高い強さが達成されるという努力がなされるべきである。
【0020】
さらに、ホットシール組成物の施与に引き続く印刷過程において安定なままであるホットシール組成物を開発するという課題が存在した。技術水準の結合剤は、短い印刷時間の後に、印刷機の輸送ローラー上への堆積をまねきうるので、印刷すべきホイルの安全な輸送はもはや不可能である。印刷機は、停止されなければならず、部分的に解体されなければならず、かつ清浄されなければならない。このために必要な準備時間及び清浄時間は、部分的には機械走行時間に釣り合っていない。本発明による結合剤を用いて、問題のない印刷が長い期間に亘って可能である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記課題は、少なくとも2つの異なるポリマータイプA及びBのフィルム形成性分散液により解決され、その際、ポリマータイプAは、オレフィンコポリマー又はオレフィンポリマーである。
【0022】
Aに相当する、本発明により使用すべきオレフィンポリマー及びオレフィンコポリマーは本来公知である。まず第一に、エチレン、プロピレン、ブチレン又は/及び炭素原子5〜20個を有する別のα−オレフィンから構成されており、予めホットシールできる組成物として推奨されているような、ポリマーが当てはまる。分子量は、一般的に、10 000〜300 000、好ましくは50 000〜150 000である。使用すべきタイプのオレフィンコポリマーは、例えばドイツ連邦共和国特許出願公開明細書 DE-OS 16 44 941、DE-OS 17 69 834、DE-OS 19 39 037、DE-OS 19 63 039及びDE-OS 20 59 981に記載されている。
【0023】
オレフィンポリマーとして、例えばBuna 6170(製造者:Bayer AG)が使用されてよい。
【0024】
特に良好に有用なのは、エチレン−プロピレン−コポリマーであり;同様に、ターポリマーは、公知の三成分、例えばエチリデン−ノルボルネン(Macromolecular Reviews,10巻 1975参照)を添加しながら可能であるが、しかしながら、老化過程の際にその架橋する傾向が計算に含まれている。分布は、その際、広範囲に統計学的であってよいが、しかし有利にはエチレンブロックを有するシークェンスポリマーも使用されてよい。モノマーであるエチレン−プロピレンの比は、その際、上限としてエチレンについて約95%及びプロピレンについて約95%で定められうる一定の制限内で変化しうる。
【0025】
ポリマータイプBは、定義によれば、ポリアクリレート−シークェンス及び/又はポリメタクリレート−シークェンスからなる。これらは、それ自体で、例えば相応するホモポリマー又はコポリマーの形で、溶剤系L中に可溶性である。ポリマーBもしくはセグメントXは、一般的に、式I
【化1】

[式中、Rは水素又はメチルを表し、かつRは、アルキル基、炭素原子1〜30個、好ましくは炭素原子1〜20個を有する芳香脂肪族基又は芳香族基を表す]で示されるモノマー50質量%を上回り、好ましくは80〜100質量%(例えばセグメントXに対しての場合)から構成されている。
【0026】
ポリマーB中には、さらに次のものが含まれていてよい:
式II
【化2】

[式中、R′は水素又はメチルを表す]で示されるモノマー、又は/及び式III
【化3】

[式中、R″は水素又はメチルを表し、かつZは、場合によりアルキル置換されたフェニル基、−COR−基、
【化4】

−OR−基又は塩素原子を表し、かつR及びRは炭素原子1〜20個を有する場合により分枝鎖状のアルキル基を表すか又はフェニル基を表し、かつnは0又は1を表す]で示される重合可能な酸無水物及び/又はモノマー、
及び/又は式IV
【化5】

[式中、R及びRは水素又は基−COOR'、R、水素又は基−CHCOOR″を表すが、但し、式IVの化合物は、2つのカルボキシル含有基を有していなければならない、かつR、R′及びR″は水素を表すか又は炭素原子1〜20個を有する場合により分枝鎖状のアルキル基を表すか又はフェニルを表す]で示されるモノマー。ポリマーBは、場合によりさらに、式V
【化6】

[式中、R″′はRの意味を表し、かつBsは含窒素官能基、例えば−CN基、基−CONR10(式中、R及びR10は互いに独立して水素又は炭素原子1〜20個を有するアルキル基を表すか、又はR及びR10は窒素を含めてヘテロ環式の5員環又は6員環を形成する)を表すか又はBsは(不活性の)ヘテロ環式基、特にピリジン基、ピロリジン基、イミダゾール基、カルバゾール基、ラクタム基もしくはそのアルキル化誘導体を表すか、又はBsは−CHOHの意味を表すか、又はBsは
−COO−Q−R11
(式中、Qは炭素原子2〜8個を有する場合によりアルキル置換されたアルキレン基を表し、かつR11は、−OH、−OR″′又は基−NR′R′10を表し、その際、R″′、R′及びR′10はR、R及びRと同じ意味を有し、例えば窒素原子と一緒になって、場合により別のへテロ原子を含めて5〜6員のヘテロ環を形成する)の意味を表す]で示されるモノマーの含分を含有していてよい。
【0027】
式Iのモノマーの例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びイソブチルメタクリレートが挙げられる。式Iのモノマーは、標準メタクリレートとも呼ばれる。
【0028】
式IIのモノマーの例として、アクリル酸又はメタクリル酸が挙げられる。
【0029】
式IIIもしくはIVのモノマーの例として、特に、スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ビニルメチルケトン、ビニルイソブチルエーテル、酢酸アリル、塩化アリル、アリルイソブチルエーテル、アリルメチルケトン、ジブチルマレイネート、ジラウリルマレイネート、ジブチルイタコネートが挙げられうる。セグメントX′の式II−Vのモノマーの含分は、一般的に0〜50質量%、好ましくは0〜20質量%である(セグメントX′のモノマーに対して)。セグメントX′の式II及び/又はVのモノマーの含分は、一般的に20質量%を超えず、通例、0〜10質量%、好ましくは0〜5質量%である。
【0030】
詳細には、セグメントXは含分及び組成に従って、好都合には所望の工業的機能に関して選択される。式II及びVの極性モノマーの含分は、一般的に20質量%を超えず、好ましくは0〜10質量%(セグメントX′のモノマーに対して)、特に好ましくは0〜5質量%である。式Vのモノマーとして、C−ビニルピリジン及びN−ビニルピリジン並びにビニルピロリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール並びにそのアルキル誘導体、特にN−ビニル化合物が挙げられ、同じようにアクリル酸もしくはメタクリル酸のヒドロキシ−及びジアルキルアミノアルキルエステル、特別にジメチルアミノエチル(メタ)−アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられうる。セグメントB及びXは、一般的に質量比で1:20〜20:1、好ましくは1:4〜1:1である。
【0031】
付加的に、ホットシール系中には、BによりグラフトされたポリオレフィンであるポリマーAXが存在する。
一般的に当てはまる:
グラフトポリマーA−Xは、通例、適している乳化剤を用いて分散液が成分Aから製造され、かつこの上に成分Xがこのために適している反応条件下にグラフトされることによって、製造される。乳化剤は、系A−Xに類似の構成を有していてよい。タイプA−Xの適している乳化剤の製造方法は、本来公知である。こうして、例えばトランスファーグラフト法により行われてよい。
【0032】
グラフトポリマーAXの製造
一般的に当てはまる:
グラフトポリマーA−Xは、通例、適している乳化剤を用いて分散液が成分Aから製造され、かつこの上に成分Xがこのために適している反応条件下にグラフトされることによって、製造される。乳化剤は、系A−Xに類似の構成を有していてよい。タイプA−Xの適している乳化剤の製造方法は本来公知である。こうして、例えばトランスファーグラフト法により行われてよい:(Houben-Weyl, Methoden der Org. Chemie, 1411巻, 114頁, H.A.J.Battaerd, G.W.Tregear, Polymer Reviews, 16巻, Interscience (1967)も参照)。
【0033】
このために、通常の場合に加工温度を上回る沸点を有する、重合条件下で不活性な適している溶剤中の、10〜50%、好ましくは20〜30%のOCP溶液が製造される。溶剤として、例えば酢酸ブチル、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素が当てはまる。これらのOCP溶液に、式Iのモノマーもしくは場合により他のモノマーII〜IIIが記載された比で添加され、かつ1つ又はそれ以上の、好ましくは過酸化物のラジカル開始剤を添加しながら、60〜150℃の50温度で通常4〜8時間かけて重合される。できるだけ完全な変換が努力されるべきである。好ましくは、ペルエステル、例えばt−ブチルペルオクトエートが使用される。開始剤濃度は、所望のグラフト位置の数及びセグメントXの所望の分子量に従う。一般的に、開始剤濃度は、ポリマーに対して0.2〜3質量%である。
【0034】
場合により、セグメントXの所望の分子量の調節のために、さらに調節剤が併用されてよい。調節剤として、例えば硫黄調節剤、特にメルカプト基含有調節剤、例えばドデシルメルカプタンが適している。調節剤濃度は、一般的に全ポリマーに対して0.1〜1.0質量%である。グラフトポリマーA−Xの製造のための別の方法は、第一工程としてのOCPのヒドロペルオキシド化である。このようにして形成された連鎖成長ヒドロペルオキシド基は、次の段階においてビニルモノマーのグラフト重合を開始することができる。(H.A.J.Battaerd, G.W.Tregear, Polymer Reviews 上記引用文中参照)。
【0035】
適しているブロックポリマーの製造方法は、例えばアニオン重合にある。その際、例えば、イソプレンもしくはブタジエンが、適しているアニオン開始剤(例えば有機金属化合物)と重合され、かつ"リビング"アニオン連鎖末端が例えばアルキルメタクリレートもしくはスチレンと反応されるようにして行われてよい。こうして製造されたポリマーは、引き続いて、存在している官能基が攻撃されないという条件下で水素化される。製造の詳細に関して、関連文献が参照されうる、例えばHouben-Weyl, Methoden der Org. Chemie, 14/1, S.flOff.; Block Copolymers, 5 D.C.Allport, W.H.Janes, Appl. Sci. Publishers Ltd., London, 1973; Graft Copolymers, H.A.J.Battaerd, G.W.Tregear, Polymer Reviews 16巻 (1967); Block and Graft Polymers. W,J.Burlant, A.S.Hoffmann, Reinhold Publishers Corp., New York,1960。
【0036】
ポリマータイプA及びB及びグラフトポリマーAXに加えて、さらに溶剤系が、本発明によるホットシール系中に存在している。
【0037】
溶剤系Lに使用すべき溶剤は、これらがプラスチック及び金属のためのコーティング技術の必要条件に相応するように選択されるべきである。−場合により混合物中で−使用すべき溶剤は、不活性かつ全く危険のないべきであり、その際、沸点が760トルで105℃を超えない。
【0038】
溶剤として、脂肪族カルボン酸のエステルと脂肪族アルコール及び脂肪族炭化水素からなる混合物が当てはまる。
【0039】
脂肪族カルボン酸として、酢酸、プロピン酸又は酪酸が当てはまる。
【0040】
脂肪族アルコールとして、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール又は2−メチル−2−プロパノールが当てはまる。
【0041】
脂肪族炭化水素として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン又はドデカンが当てはまる。
【0042】
脂肪族炭化水素は、それらの異性体混合物の形でか及び互いの混合物で存在していてよい。シクロアルカン及び置換シクロアルカンも使用されてよい。
【0043】
Lの選択の際に、また、ポリマー成分A及びXの間の相溶性に注意されるべきである。A及びXの間で不相溶性の場合に、Lは、双方の成分にとって同じく良好な溶剤であってよく、分散液はついで不相溶性に基づき形成される。
【0044】
A及びXの間で相溶性の場合に、Lは、与えられた温度でXについて、Aよりもより良好な溶剤系であるように選択されなければならず、分散液は、ついで異なる溶液品質に基づき形成される。本発明によれば、溶剤Lとして好ましくは、オレフィンコポリマーが40〜150℃の温度範囲内で5〜300質量%に膨潤されうるものが選択される("膨潤度")。
【0045】
膨潤度は、次のように定義されている:既知の質量を有する厚さ1mm、長さ2cm、幅0.5cmのOCP−フィルムが、定義された温度で−例示的に確証けられた場合に90℃で−溶剤中に含浸され、かつ24時間の長さで等温に貯蔵され、ピンセットを用いて溶液から取り出され、ろ紙を用いて付着している膨潤剤を除去し、かつ直ちに引き続いて秤量される。膨潤の尺度として、出発質量に対する質量増大[%]が定義される。膨潤測定は、濃縮されたOCP分散液が製造されるべきである温度で、実施されるべきである。本発明によれば、この温度で膨潤は5〜300質量%であるべきである。基準の使用可能性のための必要条件は、前記の条件下でOCPの最大膨潤が達成されることである。
【0046】
前記の溶剤からなる混合物もまた、担持系について考慮の対象になる。本発明による濃縮されたポリマー分散液の溶剤系Lの含分は、例えば80質量%、特に好都合な場合には20質量%まで、好ましくは70質量%未満、実際にたいてい55〜40質量%であってよい。
【0047】
ホットシール系の製造
適している乳化剤を用いて、前記に説明されるように、分散液は、又はポリマー相溶性の適している調整の場合に成分Aの均質な溶液は、溶剤系L中で製造され、かつこの上に適している反応条件下で成分Xがグラフトされる。一般的に、A及びXの含分は1:5〜5:1の質量比である。全分散液に対する全ポリマーの含量は、少なくとも10質量%であり、その際、実地において40〜80質量%、通常の場合に45〜60質量%が努力される。
【0048】
本発明による方法によれば、ホットシールできるコーティング組成物は、加工プロセスにとって十分な安定性を有する分散液中に得られる。分散液の安定性は、少なくとも数日間、通常の場合に数週間ないし数ヶ月である。
【0049】
本発明によるホットシール系は、中程度の接着強さ及び高い耐熱性に傑出している。
【実施例】
【0050】
使用されたホイル材料
軟質アルミニウムホイル 40μm
ポリプロピレンホイル、顆粒JE 6100(Shell社)から押し出された、0.2mm
ホットシール溶液の配合表
加工の前に、PLEXISOL PM 555は良好に撹拌されなければならない、それというのも、より長期の貯蔵の際に相分離の可能性が存在するからである。
【0051】
PLEXISOL PM 555は、供給形(製造者:Roehm GmbH & Co. KG)で約45%の固体含量を有し、かつさらなる加工のためにMEKで30%に希釈される。アルミニウムホイルへの接着促進(Haftvermittlung)のためには、PVC−混合ポリマーが適することが実証されている。これらは、下塗りとして塗布されるか又はPLEXISOL PM 555と組合せて使用される。我々の研究の場合に、双方の可能性を試験した。Vinylite VMCHで下塗りし、並びに99/1〜90/10もしくは85/15の比でVMCHと組み合わせた。
【0052】
実験室中でのホットシール溶液の施与
下塗りを、酢酸エチル中の10%のVinylite VMCH溶液として、K-Handcoater No. 2を用いてアルミニウムホイル(10×20cm)上に貼り付けた。これは、0.5〜1.5umの乾燥層に相当する。
【0053】
PLEXISOL PM 555-ホットシール溶液を、K-Handcoater No. 4を用いて貼り付けた。その際、7−9μmの乾燥層厚が得られた。
【0054】
実験室中のコーティングされたホイルの乾燥
下塗りしたホイルを、短い排気時間(10−20分間)後に、180℃で1分間、循環空気乾燥器中で乾燥させた。
【0055】
ホットシールラッカーでコーティングしたホイルを、多様な温度(160℃、200℃)で1分間、しかしまた実地においてしばしば常用であるように205℃で5秒、乾燥させた。
【0056】
多様な負荷後のホットシーリング及びシール接合部強度の算出
シーリングを、Brugger社のホットシール装置(HSG/ET)を用いて実施した。
シール条件:
温度:180℃、200℃、220℃
圧力:6bar
時間:1秒
シール面積:10×10mm
シール接合部強度の算出のために、試料を15mm幅のストリップに切断し、かつInstron、型式No. 1195又はZwick、型式No. 1454の引張試験機を用いて100mm/minの速度で引っ張った。剥離試験の間に、既に互いに分離されたホイル部材を、まだ負荷されていない残部と90℃の角度を形成させることに注意した。
【0057】
試験を、通例の場合に、シールされた試料の予めの負荷なしに行ったが、しかし付加的に、23℃で28日間の水道水中の貯蔵及び+80℃で1時間水貯蔵後にも実施した。
【0058】
本発明による組成物でシールされたホイルの耐破裂圧性の算出を、"Verpackungs-Rundschau", 32 (1981), No.8, 58頁への技術−学術付録として刊行された包装剤No. 41の試験についての説明書きに依拠して行った。
【0059】
PP−カップのシーリングを、BHS社の実験室−カップシーリング装置VL-1 600を用いて行った。
【0060】
多様な負荷後の耐破裂圧性のホットシーリング及び算出
シーリングを、BHS社の実験室−カップシーリング装置VL-1600を用いて実施した。このために、名称Uniplast E 30及び7.5cmの外径を有するKnauer社のカップを使用した。
【0061】
シール条件:
温度:180℃、200℃、220℃
圧力:0.75bar(シール器具の全圧1400Nに相当)
時間:0.65秒
ホイルから、直径7.5cmを有するふた試料を打ち抜き(打抜き装置−自作)、かつへりの下約1cmまでに約70℃の温水で充填されたカップを置き、かつシールした。耐破裂圧性の算出を、4つの異なる負荷後に行った:
a)シーリング直後
b)室温で冷却30min後
c)シール表面を有し下へ向かって位置しているカップの28日間貯蔵後
d)80℃で1時間水貯蔵及び室温で冷却30min後
シーリング直後の耐破裂圧性測定は、耐熱性の尺度である。冷却後の測定を、安定性測定のための使用状態もしくは出発値における基礎強度の確定に利用する。
【0062】
試験の結果
表参照
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なるポリマータイプA及びBのフィルム形成性分散液と有機溶剤系Lとからなり、多様な基体のシーリングに適している、ホットシールできるコーティング系において、
ポリマータイプAが、オレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーであり、
ポリマータイプBが、標準メタクリレート及び総和で15%までのメタクリル酸及び/又はアクリル酸を含有している(メタ)アクリレートコポリマーであり、
かつ双方のポリマータイプが、A/Bの質量比0.4〜2で存在しており、分散液中にBによりグラフトされたポリオレフィンであるポリマーAXが存在しており、かつ
溶剤系が、酢酸プロピル(40〜70体積%)、酢酸エチル(24〜45体積%)及びイソオクタン(5〜15体積%)からなる混合物から構成されており、その際、溶剤系の沸点が標準状態下で最大105℃であることを特徴とする、多様な基体のシーリングに適している、ホットシールできるコーティング系。

【公開番号】特開2011−84747(P2011−84747A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292230(P2010−292230)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【分割の表示】特願2002−568656(P2002−568656)の分割
【原出願日】平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】