説明

ポリプロピレン樹脂成形体塗装品

【課題】耐傷付き性及び塗装外観性を向上させることができ、車両用内装部品として好適なポリプロピレン樹脂成形体塗装品の提供を目的とする。
【解決手段】ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、エルカ酸アマイド0.05〜0.5重量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン0.5〜5.0重量部、アスペクト比10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの偏平形状の無機フィラー5〜25重量部含有し、ポリジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体等のポリオルガノシロキサンを含まないポリプロピレン樹脂組成物からなるポリプロピレン樹脂成形体に塗装を施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐傷付き性及び塗装外観性を向上させたポリプロピレン樹脂成形体塗装品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のデッキサイドトリム、ピラーガーニッシュ、インストルメントパネル等の車両用内装部品には、射出成形や押出成形等により成形されたポリプロピレン樹脂成形体に塗装が施されたものが多用されている。
車両用内装部品として使用されるポリプロピレン樹脂成形体は、必要十分な剛性が求められている。
従来、ポリプロピレン樹脂成形体の剛性を向上させるため、タルク等の偏平形状の無機フィラーをポリプロピレン樹脂に添加することが行われている。偏平形状の無機フィラーは、配向状態によってポリプロピレン樹脂成形体の剛性を向上させることができる。
しかし、偏平形状の無機フィラーを添加することによって、ポリプロピレン樹脂成形体の表面に傷が付きやすくなる。
【0003】
ポリプロピレン樹脂成形体における表面の傷付きメカニズムは、局所的な剪断力が加わることで、表面樹脂が溶融し、ここに存在する白色の無機フィラーの偏平粒子が配向状態にあってむき出しになることにより、傷になって見えるようになる。
フィラーを含まないポリプロピレン樹脂成形体あるいは、球状粒子フィラーの炭酸カルシウムなどを含むポリプロピレン樹脂成形体においては、無機フィラーの偏平粒子による現象が生じないため傷付きの問題を生じないが、所望の剛性が得られない問題がある。
【0004】
耐傷付き性の改良手段として、成形体表面の摩擦抵抗を低下させるためにポリプロピレン樹脂に滑剤(いわゆるスリップ剤)を添加することに加え、極性基含有樹脂(グラフト変性ポリプロピレン)や表面処理が施された無機フィラーを添加することを挙げることができる。
このようにポリプロピレン樹脂に、より多くの化合物を配合することによって耐傷付き性の改良を図ることは可能であるが、その場合には、ポリプロピレン樹脂成形体の成形直後に、又は成形後に成形体表面に不具合(例えばフローマークやフラッシュ)を生じやすくなる。その場合、成形後のポリプロピレン樹脂成形体に塗装を施すことにより、成形体表面の不具合を見えなくできるが、耐傷付き性向上のために添加した多くの化合物が共存することによって塗膜の密着性低下やムラが発生するなどして塗装外観が損なわれやすい問題がある。
【0005】
また、プロピレン−ランダムエチレン−プロピレンブロックコポリマーにプレート状無機充填材を含むポリマー組成物に、ポリオルガノシロキサンと脂肪酸アミドを併用することにより耐引掻性を良好にできることが以下の特許文献3に開示されている。
しかし、ポリオルガノシロキサンは、疎水性であり、離型作用を有するため、樹脂成形体の塗料とのなじみを悪くし、その結果、塗膜に凹凸を生じたり塗膜が剥がれたりして塗装外観の低下を生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−122068号公報
【特許文献2】特開2010−53332号公報
【特許文献3】特表平6−509378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、耐傷付き性及び塗装外観性を向上させることができるポリプロピレン樹脂成形体塗装品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ポリプロピレン樹脂成形体に塗装が施されたポリプロピレン樹脂成形体塗装品において、前記ポリプロピレン樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、エルカ酸アマイド0.05〜0.5重量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン0.5〜5.0重量部、アスペクト比10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの偏平形状の無機フィラー5〜25重量部を含有し、かつポリオルガノシロキサンを含まないことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ポリプロピレン樹脂成形体は、曲げ弾性率が1800MPa以上であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ポリプロピレン樹脂成形体は、ロックウェル硬度(Rスケール)55以上であることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記ポリプロピレン樹脂成形体塗装品が車両用内装部品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポリプロピレン樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、エルカ酸アマイド0.05〜0.5重量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン0.5〜5.0重量部、アスペクト比10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの偏平形状の無機フィラー5〜25重量部を含有し、かつポリオルガノシロキサンを含まないことにより、ポリプロピレン樹脂成形体の耐傷付き性が向上すると共に塗装品の外観を向上させることができる。また、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、アスペクト比10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの偏平形状の無機フィラーを5〜25重量部含有するため、車両用内装部品として適する剛性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明におけるポリプロピレン樹脂組成成形体は、ポリプロピレン樹脂組成物を所定形状に成形したものである。ポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂にエルカ酸アマイドと、無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、偏平形状の無機フィラーとを含有し、かつポリオルガノシロキサンを含まない構成からなる。
【0013】
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンを主体とする共重合体(例えばプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体)、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0014】
エルカ酸アマイドの量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して0.05〜0.5重量部が好ましい。0.05重量部よりも少ないとエルカ酸アマイドによる耐傷付き防止効果が得難くなると共に塗装品の外観品質が低下し、一方、0.5重量部を超えると、ポリプロピレン樹脂成形体は剛性及び硬度が低くなりすぎて変形し易くなるため、例えば車両用内装部品の用途としては好ましくない。
【0015】
無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、無水マレイン酸をポリプロピレンにグラフト共重合して変性したものである。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの製造方法は特に限定されるものではなく、公知の溶融法、溶液法などを挙げることができる。無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、GPC法により測定した重量平均分子量10,000〜200,000が好ましい。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの量は、0.5〜5.0重量部である。無水マレイン酸変性ポリプロピレンンの量が0.5重量部よりも少ないと耐傷付き性が低くなり、5.0重量部を超えると剛性及び硬度が低くなる。
【0016】
偏平形状の無機フィラーは、アスペクト比(長径/厚み)が10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmのものが使用される。平均長径が0.1μm未満の場合、剛性や耐熱性の向上効果が得難くなり、一方、20μmを超える場合、ポリプロピレン樹脂組成物に無機フィラーが均一に分散し難くなって外観不良や物性のバラツキを生じるようになる。また、アスペクト比が10未満の場合、偏平性が低下して無機フィラーが層状に積み重なり難くなり、剛性向上効果が低下する。偏平形状の無機フィラーの量は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対して5〜25重量部である。5重量部より少ないと無機フィラーによる剛性向上効果が得難くなり、一方、25重量部を超えると耐衝撃性が低下するようになる。
【0017】
偏平形状の無機フィラーとしては、タルク、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ガラスフレークなどを挙げることができる。また、偏平形状の無機フィラーは、一種類に限られず、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
さらに前記ポリプロピレン樹脂組成物には、ポリプロピレン樹脂成形体の着色用として顔料または染色剤を添加したり、カラーマスターバッチを添加したりしてもよい。
【0018】
また、本発明では、ポリプロピレン樹脂成形体(ポリプロピレン樹脂組成物)に、ポリオルガノシロキサンを含まない。ポリジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ポリジメチル・メチルオクチルシロキサン、ポリジメチル・メチル(3,3,3−トリフロオロプロピル)シロキサン等のポリオルガノシロキサンは、離型作用を有するため、ポリプロピレン樹脂成形体(ポリプロピレン樹脂組成物)にポリオルガノシロキサンを含有すると、ポリプロピレン樹脂成形体の塗装において塗料とのなじみを悪くし、その結果、ポリプロピレン樹脂成形体塗装品における塗膜に凹凸を生じたり、塗膜が剥がれたりして塗装外観の低下を生じるようになる。
【0019】
本発明におけるポリプロピレン樹脂成形体(塗装前の未塗装品)の曲げ弾性率(JIS K 7191準拠)が1800MPa以上であり、ロックウェル硬度(JIS K 7202準拠、Rスケール)が55以上であることが好ましい。曲げ弾性率が1800MPa未満の場合には成形体として剛性不足となり、ロックウェル硬度が55未満の場合には成形体の表面が押圧等により変形し易くなる。より好ましくは、曲げ弾性率が1800〜2200MPa、ロックウェル硬度が60〜70である。
【0020】
ポリプロピレン樹脂成形体の成形方法は、射出成形、押出成形等、公知のプラスチック成形方法のなかから、ポリプロピレン樹脂成形体の用途に応じて選択された成形方法によって行われる。
【0021】
ポリプロピレン樹脂成形体は塗装が施され、表面に塗膜が形成されて本発明のポリプロピレン樹脂成形体塗装品とされる。本発明のポリプロピレン樹脂成形体塗装品は、耐傷付き性試験として行われる5フィンガースクラッチ試験の結果が15N以上となり、傷付き難いものである。5フィンガースクラッチ試験は、塗装後1日経過時点からなる初期の値と、塗装後1ヶ月経過時点からなる長期の値があり、何れの値も15N以上が好ましい。15N未満の場合には傷付き易くなる。より好ましくは16〜20Nである。なお、5フィンガースクラッチ試験の具体的な手順は、塗装を施した縦250mm×横100mm×厚み2mmのテストピースを試験片とし、ROCKWOOD SYSTEMS&EQUIPMENT社製の「SCRATCH & MAR TESTER」を用い、半径0.5mmでボール状の引っ掻き先端にて、引っ掻き速度100mm/min、雰囲気温度23℃において引っ掻き、生じた傷の様態を目視判定した。この際、徐々に荷重を変化させ白化が目立ち始める荷重を測定した。
【0022】
ポリプロピレン樹脂成形体に対する塗装は、吹付法、エアレススプレー法等、公知の方法により行うことができる。使用される塗料は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。塗膜の厚みは10〜50μmが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂成形体は、塗装に際し、塗膜の接着性を高めるために予めプライマー処理を施してもよい。
本発明のポリプロピレン樹脂成形体塗装品の用途は、自動車のデッキサイドトリム、ピラーガーニッシュ、インストルメントパネル等の車両用内装部品が特に好適である。
【実施例】
【0023】
以下の原料成分を用い、表1の配合からなるポリプロピレン樹脂組成物を調製し、射出成形により、ポリプロピレン樹脂成形体(未塗装品)を作成した。実施例及び比較例のポリプロピレン樹脂成形体(未塗装品)に対して、曲げ弾性率(JIS K 7191準拠)とロックウェル硬度(JIS K 7202準拠)を測定した。曲げ弾性率の測定に用いる試験片はダンベル形状であり、一方、ロックウェル硬度の測定に用いる試験片は厚み2.0mmである。測定結果を表1に示す。
【0024】
ポリプロピレン樹脂:品名;ノバテックPP BC05GS、日本ポリプロ(株)製
エルカ酸アマイド:品名;エルカ酸アマイドE、花王(株)製
無水マレイン酸変性ポリプロピレン:品名;ユーメックス1001、三洋化成工業(株)製
ポリオルガノシロキサン:シリコーンパウダー、品名;KMP−600、信越化学工業(株)製
偏平状無機フィラー:タルク、アスペクト比12、平均長径8μm、品名;K−1、日本タルク(株)製
粒状無機フィラー:炭酸カルシウム:平均粒径3μm、品名;SL−10、白石カルシウム(株)製
【0025】
また、実施例及び比較例のポリプロピレン樹脂成形体にアクリル樹脂塗料を用いて吹付法により塗装を行い、厚み20μmの塗膜を形成し、実施例及び比較例のポリプロピレン樹脂成形体塗装品を作成した。実施例及び比較例のポリプロピレン樹脂成形体塗装品に対し、外観品質の判断と耐傷付き性(5フィンガースクラッチ試験)の測定を行った。試験片の厚みは2.0mmである。なお、外観品質は、試験片を目視で判断し、容易に認識しうるムラが存在する場合に×(不合格)、容易にはムラが認識されない場合に○(合格)とした。測定結果及び判断結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1に示す通り、実施例1〜3のポリプロピレン樹脂成形体(未塗装品)は、曲げ弾性率が1860MPa〜1920MPa、ロックウェル硬度が55〜62であり、曲げ強度及び剛性が十分なものであった。また、実施例1〜3のポリプロピレン樹脂成形体塗装品は、5フィンガースクラッチ試験が初期及び長期の何れも15N以上で耐傷付き性が良好であった。
【0028】
一方、比較例1はエルカ酸アマイドが本発明の範囲より少ない0.03重量部からなる例であり、塗装品の外観品質が×であった。比較例2はエルカ酸アマイドと共にポリオルガノシロキサンを含む例であり、塗装品の外観品質が×であった。比較例3は、比較例1と同様にエルカ酸アマイドが本発明の範囲より少ない0.03重量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが本発明の範囲内で比較例1よりも少ない0.5重量部からなる例であり、耐傷付き性に劣り、かつ塗装品の外観品質が×であった。比較例4は、エルカ酸アマイドが本発明の範囲より多い0.6重量部からなる例であり、曲げ弾性率及びロックウェル硬度の何れも低い値を示した。比較例5は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの量が本発明の範囲より少ない0.4重量部からなる例であり、耐傷付き性に劣っていた。
【0029】
比較例6は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの量が本発明の範囲より多い6重量部からなる例であり、曲げ弾性率及びロックウェル硬度の何れも低くなった。比較例7は、比較例6と同様に無水マレイン酸変性ポリプロピレンの量が本発明の範囲より多い6重量部からなり、タルク及びエルカ酸アマイドの量が本発明の範囲内で比較例6よりも多い例であり、曲げ弾性率及びロックウェル硬度の何れも低かった。比較例8は、タルクの量が本発明の範囲よりも少ない3重量部からなる例であり、曲げ弾性率が低かった。比較例9は、タルクの量が本発明の範囲よりも多い30重量部からなる例であり、耐傷付き性に劣っていた。比較例10は、エルカ酸アマイド及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンの何れも含まない例であり、耐傷付き性に劣り、かつ塗装品の外観品質が×であった。
【0030】
比較例11は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まない例であり、耐傷付き性に劣り、かつ塗装品の外観品質が×であった。比較例12は、比較例11と同様に無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まず、かつエルカ酸アマイドが本発明の範囲よりも多い例であり、耐傷付き性に劣り、かつ曲げ弾性率及びロックウェル硬度が低く、さらに塗装品の外観品質が×であった。比較例13は、エルカ酸アマイドを含まない例であり、耐傷付き性に劣ると共に塗装品の外観品質が×であった。比較例14は、エルカ酸アマイドの量が本発明の範囲よりも多く、かつポリオルガノシロキサンを含み、さらに無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まない例であり、曲げ弾性率及びロックウェル硬度が低く、塗装品の外観品質が×であった。比較例15は、タルク、エルカ酸アマイド及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンの何れも含まず、かつ炭酸カルシウムを含む例であり、曲げ弾性率が低く、塗装品の外観品質が×であった。
【0031】
比較例16は、タルク及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まず、かつエルカ酸アマイドを含む例であり、曲げ弾性率が低く、塗装品の外観品質が×であった。比較例17は、エルカ酸アマイドとポリオルガノシロキサンの両方を含み、かつ無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まない例であり、塗装品の外観品質が×であった。比較例18は、比較例17と同様に、エルカ酸アマイドとポリオルガノシロキサンの両方を含み、かつ無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まず、さらにエルカ酸アマイドの量を本発明の範囲内で比較例17よりも少なくし、ポリオルガノシロキサンの量を比較例17よりも多くした例であり、塗装品の外観品質が×であった。比較例19は、比較例18と同様に、エルカ酸アマイドとポリオルガノシロキサンの両方を含み、かつ無水マレイン酸変性ポリプロピレンを含まず、さらにタルクの量を本発明の範囲内で比較例18よりも少なくし、エルカ酸アマイドの量を本発明の範囲内で比較例18よりも多くした例であり、塗装品の外観品質が×であった。
【0032】
このように、本発明のポリプロピレン樹脂成形体塗装品は、ポリプロピレン樹脂成形体の耐傷付き性が向上すると共に塗装品の外観を向上させることができ、車両用内装部品として適する剛性を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン樹脂成形体に塗装が施されたポリプロピレン樹脂成形体塗装品において、前記ポリプロピレン樹脂成形体は、ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、エルカ酸アマイド0.05〜0.5重量部、無水マレイン酸変性ポリプロピレン0.5〜5.0重量部、アスペクト比10以上で且つ平均長径が0.1〜20μmの偏平形状の無機フィラー5〜25重量部を含有し、かつポリオルガノシロキサンを含まないことを特徴とするポリプロピレン樹脂組成体塗装品。
【請求項2】
前記ポリプロピレン樹脂成形体は、曲げ弾性率が1800MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン樹脂成形体塗装品。
【請求項3】
前記ポリプロピレン樹脂成形体は、ロックウェル硬度55以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン樹脂成形体塗装品。
【請求項4】
前記ポリプロピレン樹脂成形体塗装品が車両用内装部品であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポリプロピレン樹脂成形体塗装品。

【公開番号】特開2013−91725(P2013−91725A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234762(P2011−234762)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】