説明

ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、型内発泡成形体および発泡粒子の製造方法

【課題】帯電防止性能を有すると共に、均一な気泡構造を兼ね備えた、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒子の提供。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、特定のトリアジン環を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝包材、通い箱、自動車バンパー用芯材、断熱材などに用いられる帯電防止性能を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、気泡径バラツキが小さく、成形性に優れた帯電防止性能を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子、この発泡粒子からつくられる型内発泡成形体、および該帯電防止性能を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン系樹脂粒子にノニオン系界面活性剤を添加しておき、該ポリプロピレン系樹脂粒子を、難水溶性無機物などの分散剤、界面活性剤などの分散助剤、必要に応じて揮発性有機発泡剤や炭酸ガス、窒素、空気などの無機ガス発泡剤を耐圧容器中で攪拌しながら水系分散媒に分散させ分散液とし、昇温して一定圧力、一定温度として樹脂粒子中に発泡剤を含浸したのち、耐圧容器の一端を解放して分散液を低圧雰囲気下に放出して、帯電防止性能を付与したポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する方法は既に知られている(例えば、特許文献1〜4)。
【0003】
また、ポリプロピレン系樹脂粒子にノニオン系界面活性剤とともに気泡調整剤として水酸化アルミニウムを添加しておく方法も知られている(例えば、特許文献1)。しかし、気泡調整剤としての水酸化アルミニウムは、ノニオン系界面活性剤を添加しない場合においては、気泡調整剤として効果を発揮するものの、ノニオン系界面活性剤を添加した場合は、ノニオン系界面活性剤による気泡不均一化(気泡を荒らす効果)が大きいため、水酸化アルミニウムでは十分な気泡調整効果を発揮し得ず、気泡径バラツキの小さい均一な気泡が得られ難いという問題がある。
【0004】
一方、ヒンダードフェノールを分散液中に添加しておくことにより気泡を均一にできることは公知技術として知られている(例えば、特許文献5)。
【0005】
また、ヒンダードフェノールをポリオレフィン系樹脂に練り込むことで、ポリプロピレン系樹脂の酸化劣化を防止することも知られた技術であり、一般的な事例として、ヒンダードフェノールをポリオレフィン系樹脂押出発泡体(例えば、特許文献6)や、水分散系で製造されるエチレン系樹脂発泡粒子(例えば、特許文献7)に使用できることが記載されている。更に、より具体的には、ヒンダードフェノールである2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)やペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが、水分散系で製造されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子にも適用されている(例えば、特許文献3、8)。特に、特許文献3には、帯電防止剤としてヒドロキシアルキルモノエタノールアミンなどの帯電防止剤を用い、フェノール系酸化防止剤を併用するポリオレフィン系樹脂発泡粒子について記載されているが、フェノール系酸化防止剤に関しては具体的には、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとBHTしか記載されていない。
【特許文献1】特開平3−28239号公報
【特許文献2】特開平7−304895号公報
【特許文献3】特開平8−12798号公報
【特許文献4】特開2000−290421号公報
【特許文献5】特開平1−156339号公報
【特許文献6】特開平7−238180号公報
【特許文献7】特開2000−191848号公報
【特許文献8】特開2003−327740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、帯電防止性能を有すると共に、均一な気泡構造を兼ね備えた、成形性に優れたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題解決のため鋭意研究を行った結果、特定のノニオン系界面活性剤と無機系気泡調整剤、特定のヒンダードフェノールを併用することにより、帯電防止性能に優れるとともに、気泡径が均一で成形性に優れるポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、下記一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
【0009】
【化4】

【0010】
好ましい態様としては、
(1)無機系気泡調整剤が、タルクまたは炭酸カルシウムである、
(2)一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールが、下記一般式2で表される1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである、
【0011】
【化5】

【0012】
(3)気泡径バラツキが0.4未満である、
(4)ノニオン系界面活性剤が、炭素数が6〜30である脂肪酸のグリセリンエステルである、
前記記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
【0013】
本発明の第2は、前記記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱して得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体に関し、本発明の第3は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、下記一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂粒子と、水、無機系分散剤、分散助剤を耐圧容器中に収容した後、攪拌条件下に分散させるとともに、発泡剤の存在下、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温し、次いで耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出して発泡させる、気泡径バラツキが0.4未満であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
【0014】
【化6】

【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ノニオン系界面活性剤により帯電防止性能が付与されるとともに、均一な気泡構造を兼ね備えた発泡粒子を提供することが出来る。その為、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、成形性に優れており、成形体の表面性や融着性が良好な帯電防止性能を有するポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、下記一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
【0017】
【化7】

【0018】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子のために用いられるポリプロピレン系樹脂としては、特に制限はなく、Ziegler−Natta触媒、メタロセン触媒などを用いて合成されるプロピレンホモポリマー、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては炭素数2,4〜15のα−オレフィンなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。また、前述のプロピレンホモポリマー、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を2種以上併用してもよい。
【0019】
中でも、共重合体では、ホモポリマーに比較して、本発明で併用する炭酸ガスの含浸がし易い特性も有しており、好適である。特に、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体、プロピレン−ブテン−1ランダム共重合体であって、プロピレン以外のコモノマー含量が1〜5重量%である場合に良好な発泡性を示し、好適に使用し得る。
【0020】
また、ポリプロピレン系樹脂の融点は、通常、130℃以上165℃以下が好ましく、更には135℃以上155℃以下であることが好ましい。前記融点が130℃未満の場合、耐熱性、機械的強度が十分でない傾向がある。また、融点が165℃を超える場合、型内発泡成形時の融着を確保することが難しくなる傾向がある。
【0021】
ここで、融点とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線における吸熱ピークのピーク温度をいう。
【0022】
更に、ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスとしては、2g/10分以上11g/10分以下が好ましく、より好ましくは3g/10分以上10g/10分以下であり、最も好ましくは4g/10分以上8g/10分以下である。メルトインデックスが2g/10分未満では、高発泡倍率の発泡粒子が得られにくくなるとともに、気泡も不均一になる傾向がある。また、メルトインデックスが11g/10分を超えた場合、発泡しやすく高発泡倍率の発泡粒子は得やすくなるが、発泡セルが破泡し易く、発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にあるとともに、気泡も不均一になる傾向がある。
【0023】
なお、メルトインデックスはJIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0024】
本発明ではノニオン系界面活性剤が用いられる。該ノニオン系界面活性剤は帯電防止剤としての機能がある。ノニオン系界面活性剤に特に制限は無く、一般的なノニオン系界面活性剤を使用することができる。
【0025】
具体的には、アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのモノエステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのジエステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのトリエステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、下記の一般式3あるいは4などで表されるエタノールアミン、脂肪族アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミンオキシドなどのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0026】
【化8】

【0027】
【化9】

【0028】
この中でも帯電防止性能、その持続性、更には得られた発泡粒子の成形融着性の観点からは、ポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのモノエステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのジエステル、炭素数が6〜30である脂肪酸とグリセリンのトリエステルなどの炭素数が6〜30である脂肪酸グリセリンエステル、前述の一般式3あるいは4で表されるエタノールアミンが好ましく、最も好ましくはポリグリセリン脂肪酸エステル、炭素数が10〜25である脂肪酸とグリセリンのモノエステル、炭素数が10〜25である脂肪酸とグリセリンのジエステル、炭素数が10〜25である脂肪酸とグリセリンのトリエステルなどの炭素数が10〜25である脂肪酸グリセリンエステルである。
【0029】
また、帯電防止性能、その持続性、更には得られた発泡粒子の成形融着性の観点からは、帯電防止剤として用いるノニオン系界面活性剤のHLB価が3〜11であることが好ましい。
【0030】
ノニオン系界面活性剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.05重量部以上5重量部以下であり、好ましくは0.2重量部以上3重量部以下、最も好ましくは0.5重量部以上1.5重量部以下である。0.05重量部未満では十分な帯電防止効果を発揮せず、5重量部を超えると得られた発泡粒子を成形する際、融着性が低下する。
【0031】
本発明で用いる無機系気泡調整剤は、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡径を均一化するためのものであり、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ゼオライト、ホウ酸金属塩などが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。これらの中では、タルク、炭酸カルシウムが好ましく、特にタルクを用いると、ポリプロピレン系樹脂中への分散性も良く、均一な気泡径を有する発泡粒子を得易くなるため好適である。
【0032】
無機系気泡調整剤の添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.005重量部以上0.5重量部以下であり、好ましくは0.01重量部以上0.4重量部以下、最も好ましくは0.03重量部以上0.3重量部以下である。0.005重量部未満では気泡の均一化効果が低下し、0.5重量部を超えると気泡の微細化し、型内成形する際の成形性が低下する。
【0033】
本発明で用いる一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールには、特に制限は無く、例えば、下記一般式2で表される1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(別名1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンであり、例えば、チバ・ジャパン製IRGANOX3114など)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート(別名1,3,5−トリス(4-t-ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−ベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、などが挙げられる。
【0034】
【化10】

【0035】
この中でも、気泡均一化効果の観点からは、一般式2で表される1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートが好ましい。
【0036】
一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールの添加量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、0.005重量部以上0.5重量部以下であり、好ましくは0.01重量部以上0.4重量部以下、最も好ましくは0.03重量部以上0.3重量部以下である。0.005重量部未満では気泡の均一化効果が低下し、0.5重量部を超えると気泡が微細化し、型内成形する際の成形性が低下する。
【0037】
なお、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールは、一般的には酸化防止剤として用いられるものであるが、一般式1で表される以外のフェノール系酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などを用いた場合、良好な気泡均一化効果が得られ難い。
【0038】
この原因は不明であるが、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)やペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を用いた場合、無機系気泡調整剤との相互作用が強く、気泡均一化効果を阻害・失活させるためと推定している。
【0039】
一方、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールを用いた場合、無機系気泡調整剤との相互作用が少ないことから、無機系気泡調整剤による気泡均一化効果がノニオン系界面活性剤添加による気泡不均一化を凌ぎ、均一な気泡構造が得られと推定している。このような効果は、タルクを無機系気泡調整剤として用いたときに顕著に現れる傾向がある。
【0040】
すなわち、ノニオン系界面活性剤と無機系気泡調整剤と一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールを併用することで、はじめて良好な帯電防止性能と気泡均一化効果が発現するものと考えられる。
【0041】
本発明における帯電防止性能を有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡径バラツキ(S)は小さくなるが、0.4未満であることが好ましく、より好ましくは0.3未満であり、最も好ましくは0.2未満である。気泡径バラツキ(S)が0.4以上であると得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面性が悪くなり、シワや発泡粒子の間のへこみ、穴などの粒間が顕著となる傾向がある。
【0042】
通常、ノニオン系界面活性剤をポリプロピレン系樹脂粒子に添加した場合、このポリプロピレン系樹脂粒子から得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は気泡径が不均一化する傾向(気泡が荒れる傾向)を有しており、その結果、気泡径バラツキ(S)が大きくなる。しかし、本発明においてノニオン系界面活性剤と無機系気泡調整剤と一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールを組み合わせた場合、前記のとおり気泡径が均一化した、気泡径バラツキ(S)の小さなポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られる。
【0043】
本発明のような気泡径が均一で、気泡径バラツキ(S)の小さなポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて型内成形した得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、成形体表面性が良好で、融着性も良好となる。
【0044】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の平均気泡径L(av)は、130〜500μmが好ましく、より好ましくは160〜400μmであり、さらに好ましくは210〜350μmである。平均気泡径L(av)が130μm未満の場合、得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の融着性が低下する、形状が歪む、表面にしわが発生するなどの問題が生じる傾向があり、500μmを越える場合、得られるポリプロピレン系樹脂発泡成形体の緩衝特性が低下する傾向がある。
【0045】
なお、本発明における平均気泡径L(av)と気泡径バラツキ(S)は、発泡粒子のほぼ中央を切断し、現れた断面を拡大観察して行うが、詳細は後述する。
【0046】
本発明により得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率に特に制限はないが、50倍以下が好ましい。発泡倍率が50倍を越える場合は得られる発泡粒子の気泡が破泡したり、成形した際のポリプロピレン系樹脂発泡成形体の寸法精度、機械的強度、耐熱性などが不充分となる傾向がある。
【0047】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、図1に示すように示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線において、2つの融解ピークを有するものが好ましい。
【0048】
2つの融解ピークを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子の場合、型内発泡成形性が良く、機械的強度や耐熱性の良好なポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が得られる傾向がある。
【0049】
ここで、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線とは、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜10mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線のことである。
【0050】
前記のごとく2つの融解ピークを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、発泡時の耐圧容器内の温度を適切な値に設定することにより容易に得られる。すなわち本発明の場合、前記耐圧容器内の温度は、通常、基材となるポリプロピレン系樹脂の軟化温度以上であり、好ましくは融点以上、より好ましくは融点+3℃以上、融解終了温度未満、さらに好ましくは融解終了温度−2℃以下の温度であり、このような場合に2つの融解ピークを有するポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られる。
【0051】
なお、前記融解終了温度とは、示差走査熱量計によってポリプロピレン系樹脂1〜10mgを40℃から220℃まで10℃/分の速度で昇温し、その後40℃まで10℃/分の速度で冷却し、再度220℃まで10℃/分の速度で昇温した時に得られるDSC曲線の融解ピークのすそが高温側でベースラインの位置に戻ったときの温度である。
【0052】
また、2つの融解ピークのうち高温側の吸熱ピーク熱量(以下、Qhと表記する場合がある)は、5J/g以上40J/g以下が好ましく、より好ましくは、7J/g以上30J/g以下である。5J/g未満ではポリプロピレン系樹脂発泡粒子の連泡率が高くなる傾向にあり、40J/gを超えるとポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得る際の融着性が低下する傾向にある。
【0053】
なお、高温側の吸熱ピーク熱量Qhは図1に示すように、DSC曲線の2つの融解ピーク間で最も吸熱量が小さくなる点をAとし、点AからDSC曲線に対しそれぞれ接線を引き、該接線とDSC曲線に囲まれた部分(図1の斜線部分)について、高温側を高温側の融解ピーク熱量(Qh)、低温側を低温側の融解ピーク熱量(Ql)とする。
【0054】
以上、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子について説明したが、例えば、後述するような水分散媒を用いた製造方法で製造することができるが、別の方法によっても製造することも可能である。例えば、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器に収容し、例えば気体の炭酸ガス等の発泡剤を注入してポリプロピレン系樹脂粒子に含浸したのち、大気中に取り出し、発泡性樹脂粒子を得る。次いで該発泡性樹脂粒子を発泡装置に収容し、水蒸気やヒーターにより所定時間加熱することにより本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることも可能である。
【0055】
また、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂混合物を押出機に投入し、溶融混練するとともに、押出機途中から炭酸ガス等の発泡剤を注入し、必要に応じて冷却機を通した後、押出機先端あるいは冷却機先端に設けたダイス穴から大気中に押出し、得られるストランド状の発泡体を粒子状にカットすることでポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることも可能である。
【0056】
あるいは、前記ダイス穴から水中などに押出し、発泡していない、あるいは発泡が完了していないストランド状物を得、これを粒子状にカットして発泡性樹脂粒子とした後、該発泡性樹脂粒子を発泡装置に収容し、水蒸気やヒーターにより所定時間加熱することにより本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得ることも可能である。
【0057】
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂粒子と、水、無機系分散剤、分散助剤を耐圧容器中に収容した後、攪拌条件下に分散させるとともに、発泡剤の存在下、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温し、次いで耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出して発泡させる、気泡径バラツキが0.4未満であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法である。
【0058】
本発明において用いる水に特に制限は無いが、硬度が0mg/L以上、180mg/L以下の水を用いることは、好ましい態様である。ここで硬度は、水性媒体に含まれるカルシウム・マグネシウムの量を炭酸カルシウムの量に換算した、いわゆるアメリカ硬度であり、一般的に用いられている硬度のことであって、おおむね次の式で表すことができる。
硬度(mg/L)=カルシウム量(mg/L)×2.5+マグネシウム量(mg/L)×4.1
【0059】
この硬度が180mg/Lを越えると、水中のカルシウムあるいはマグネシウムが分散助剤を失活させると推定しており、その結果、耐圧容器中の分散系が安定せず、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子がくっついた状態のスティック現象が現れたり、該発泡粒子が偏平化したり、更には発泡後に耐圧容器中に残存するポリプロピレン系樹脂粒子量が多くなり、生産性が低下する傾向にある。また、偏平したポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形しようとした場合、充填不良や得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の融着性が低下する原因となる傾向がある。
【0060】
このような観点から、水の硬度は、好ましくは0mg/L以上120mg/L以下であり、より好ましくは0mg/L以上60mg/L以下であり、最も好ましくは0mg/Lを超えて20mg/L以下である。
【0061】
なお、水の硬度の測定方法に特に制限はなく、従来公知の測定方法や装置を用いて測定すれば良い。例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を用いたキレート滴定法、フレーム−原子吸光光度法、イオンクロマトグラフ法、誘導結合プラズマ発光分光分析法、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP/MS法)等で測定することができる。
【0062】
水の使用量としては特に制限はないが、生産性の観点からはポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対し、100重量部以上500重量部以下が好ましく、より好ましくは130重量部以上300重量部以下であり、最も好ましくは150重量部以上210重量部以下である。100重量部未満ではポリプロピレン系樹脂粒子、水、無機系分散剤、および分散助剤を含んでなる分散液が安定しない場合があり、500重量部を超えると生産性が低下する場合がある。
【0063】
本発明で用いられる無機系分散剤としては、特に制限はなく、一般的に用いられている無機系分散剤を使用することができる。具体的には、硫酸バリウム、シリカ−アルミナを主成分とするアルミノ珪酸塩(カオリン、タルクなど)、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム(第三リン酸カルシウムなど)、炭酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛などが挙げられる。
【0064】
この中でも、少ない使用量で分散効果があり、排水処理負荷が少ない観点からは硫酸バリウム、シリカ−アルミナを主成分とするアルミノ珪酸塩、リン酸カルシウム(第三リン酸カルシウムなど)、リン酸マグネシウムが好ましい。
【0065】
このような無機系分散剤の添加量としては、特に制限はなく、分散液の安定化効果が発現するよう適宜調整されるものではあり、また、分散助剤との添加比率をも勘案して適宜調整されるものであるが、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.01重量部以上5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.05重量部以上4重量部以下であり、最も好ましくは0.1重量部以上3重量部以下である。0.01重量部未満では樹脂粒子の軟化点温度以上でポリプロピレン系樹脂粒子の分散性が低下する傾向にあり、5重量部を越えると発泡粒子の表面に分散剤が多く付着し、型内成形した際のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の融着性が低下する傾向にある。
【0066】
本発明で用いられる分散助剤としては、界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤としては、一般的に用いられているアニオン系、ノニオン系、カチオン系界面活性剤、更には両性界面活性剤などを用いることが出来る。
【0067】
具体的には、(イ)アルキルスルホン酸塩(高級アルコール硫酸エステル塩)、アルキルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩などのアニオン系界面活性剤;
【0068】
(ロ)アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、脂肪族アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミンオキシドなどのノニオン系界面活性剤;
【0069】
(ハ)脂肪族アミン塩、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤、(ニ)カルボキシベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミノカルボン酸塩などの両性界面活性剤、などが挙げられる。
【0070】
ポリプロピレン系樹脂粒子、水、無機系分散剤、および分散助剤である界面活性剤からなる分散液の安定性の観点からは、界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤が好ましく、より好ましくはアルキルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩などのスルホン酸塩であり、最も好ましくはアルキルスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
【0071】
このような分散助剤の添加量としては、特に制限はなく、分散液が安定するよう適宜調整されるものではあるが、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.001重量部以上0.5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.003重量部以上0.3重量部以下であり、最も好ましくは0.005重量部以上0.2重量部以下である。0.001重量部未満では樹脂粒子の軟化点温度以上で樹脂粒子の分散性が低下する傾向にあり、0.5重量部を越えると水懸濁系の泡立ちが激しくなり、排水処理の負荷が大きくなる傾向にある。
【0072】
また、前述した硬度が0mg/L以上180mg/L以下の水性媒体を用いれば、分散助剤として十分な効果を発揮させるための界面活性剤の使用量がばらつくことなく、常に安定した量を使用することが可能となる。
【0073】
本発明で用いる発泡剤としては、特に制限はなく、一般的に用いられている発泡剤を使用することができる。具体的には、炭酸ガス(二酸化炭素)、空気、酸素、窒素、水などの無機発泡剤が挙げられ、水を用いる場合は分散液とするために用いる水を利用することが好ましい。
【0074】
また、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタンなどの炭素数が3〜5の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、沸点が発泡可能温度以下であるメタノール、エタノールなどのアルコールなどの有機発泡剤なども挙げられる。
【0075】
この中でも、発泡性と、得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の倍率バラツキが小さく、かつ気泡径バラツキ(S)が小さくなる観点からは、水、炭酸ガス、あるいは、炭酸ガスと水を併用して用いることが好ましい態様のひとつである。
【0076】
また、環境適合性の観点からは、発泡剤として水を用いることが好ましく、炭酸ガスと併用して用いることが別の好ましい態様のひとつである。
【0077】
一方、発泡倍率の高い発泡粒子を得る観点からは、ポリプロピレン樹脂への含浸性の高いiso−ブタンを発泡剤として用いることが別の好ましい態様のひとつである。
【0078】
本発明における発泡剤は、発泡するまでのいずれかの段階で耐圧容器中に導入すればよく、また、数回に分けて導入しても良いが、発泡性の観点からは少なくとも昇温する前に導入しておくことが好ましい。
【0079】
このような発泡剤の添加量としては、特に制限はなく、発泡倍率などにより適宜調整されるものであるが、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対し、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、より好ましくは2重量部以上30重量部以下であり、最も好ましくは3重量部以上20重量部以下である。0.1重量部未満では発泡倍率が発現しにくい傾向があり、50重量部を超えると得られるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡が破れ、連泡化してしまう傾向がある。
【0080】
但し、発泡剤として水を用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部に対し、100〜500重量部の水を耐圧容器中に仕込んで用いればよい。
【0081】
本発明において、発泡剤として水あるいは炭酸ガスを用いる場合は、ポリプロピレン系樹脂粒子中に、親水性、吸水性、水溶解性、水との相溶性などを有する有機物質および/または無機物質(以下、これらを総称して親水物質とも言う)を添加しておくことが好ましい。
【0082】
このような親水物質としては、具体的には次のような物質が挙げられる。
【0083】
すなわち、(A)ポリアルキレングリコールブロックを含む共重合体(例えば三洋化成工業株式会社の商品名ペレスタット)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、(B)ポリアクリル酸ナトリウム、セルロース、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマー、(C)グリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール、(D)ゼオライト、ベントナイト、合成ヘクトライト(ラポナイト)、ホウ酸金属塩などの無機化合物、が挙げられる。
【0084】
更に、(E)(イ)脂肪族アミン塩、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤、(ロ)高級アルコール硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルアミノ酸塩などのアニオン系界面活性剤、
【0085】
(ハ)アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、高級脂肪酸とグリセリンのモノエステル、高級脂肪酸とグリセリンのジエステル、高級脂肪酸とグリセリンのトリエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、脂肪族アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミンオキシドなどのノニオン系界面活性剤、
【0086】
(ニ)カルボキシベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミノカルボン酸塩などの両性界面活性剤、などの界面活性剤や、(ホ)前記界面活性剤などを主成分とする帯電防止剤、(へ)ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとがエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合から選ばれる少なくとも1種の結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有する帯電防止剤であって、例えば特許第3488163号の請求の範囲に記載の帯電防止剤、などを挙げることができる。
【0087】
また、(F)メラミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)、アンメリン(化学名:1,3,5−トリアジン−2−ヒドロキシ−4,6−ジアミン)、アンメリド(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4−ヒドロキシ−6−アミン)、シアヌル酸(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオール)、イソシアヌル酸(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン)、アセトグアナミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン−6−メチル)、ベンゾグアナミン(化学名:1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン−6−フェニル)、トリス(メチル)イソシアヌレート、トリス(エチル)イソシアヌレート、トリス(ブチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、メラミン・イソシアヌル酸縮合物などの、トリアジン骨格を有し単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物も挙げることができる。
【0088】
これらの親水物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いても良い。
【0089】
これらの中でも、より好ましい親水物質としては、ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物、トリアジン骨格を有し単位トリアジン骨格あたりの分子量が300以下の化合物、多価アルコールである。これらの中でも、ポリエチレングリコール、メラミン、あるいはグリセリンであることがより好ましい。
【0090】
ポリエチレングリコールは、きわめて毒性の低い物質であり、得られたポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を食品との接触がある用途に用いることも可能である。
【0091】
さらには、ポリエチレングリコールの中でも平均分子量が200以上9000以下であるポリエチレングリコールであることが好ましく、最も好ましくは平均分子量が200以上600以下のポリエチレングリコールである。一般に、グリコール類はポリプロピレン系樹脂への相溶性にやや劣る特性があるが、平均分子量200以上9000以下といった比較的分子量の小さいポリエチレングリコールに関しては、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレングリコールを押出機にて混練、ストランドカット法にてポリプロピレン系樹脂粒子を作製する工程での分散不良によるストランド切れや、溶融樹脂の送り不安定などのトラブルの発生が少なく、気泡径バラツキ(S)が小さく、倍率バラツキも小さい発泡粒子が得られる傾向がある。更にその発泡粒子を用いて型内成形したポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、粒間・収縮・歪が小さく、美麗であり、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の融着率が高く、耐熱寸法安定性も充分となる。
【0092】
なお、分子量が異なるポリエチレングリコールを混合使用することも可能である。
【0093】
また、ポリエチレングリコールの平均分子量は、液体クロマトグラフ質量分析装置(たとえばサーモフィッシャーサイエンティフィック製LCQアドバンテージ)を使用し、測定できる。
【0094】
本発明で用いられる親水物質の添加量は、発泡倍率などにより適宜選択されるものであるが、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、親水物質0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、より好ましくは0.01重量部以上3重量部以下である。0.01重量部未満であっても、例えば発泡倍率2倍のポリプロピレン系発泡粒子を得る際には何ら問題は無いが、より高倍率の発泡粒子を得る際には0.01重量部未満では不足となる傾向にある。5重量部を超える場合は、気泡径バラツキ(S)を悪化させる傾向がある。
【0095】
本発明において、耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出する際には、低圧域に発泡する前のいずれかの段階、あるいは発泡開始と同時に、炭酸ガス、窒素もしくは空気などの無機ガスを圧入することで耐圧容器内の内圧を高め、あるいは維持し、発泡時の圧力開放速度を調節し、発泡倍率や平均気泡径の調整を行うことができる。
【0096】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂粒子は、従来周知の方法を用いて作製することが出来る。例えば、あらかじめポリプロピレン系樹脂、ノニオン系界面活性剤、無機系気泡調整剤、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール、必要に応じて親水物質などをブレンドしたものを押出機にて溶融混練し、ダイスより押出し、冷却したのち、カッターにてポリプロピレン系樹脂粒子とする方法が挙げられる。
【0097】
なお、本発明においては、酸化防止剤、相溶化剤、着色剤(カーボンブラック、顔料、染料など)、安定剤、耐候剤、難燃剤などの添加剤を本発明の効果を損わない程度に適宜添加可能であり、これらの添加剤の分散性を向上させるために高級脂肪酸金属塩などを共に添加してもよく、このような添加剤もポリプロピレン系樹脂粒子を造る際に添加しておくことが好ましい。
【0098】
また、ノニオン系界面活性剤、無機系気泡調整剤、一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール、必要に応じて添加する親水物質、酸化防止剤、相溶化剤、着色剤、安定剤、耐候剤、難燃剤などをあらかじめポリオレフィン系樹脂によりマスターバッチ化しておき、これを最終的に所望の添加量となるようにポリプロピレン系樹脂とブレンドし、押出機にて溶融混練してポリプロピレン系樹脂粒子とすることは、気泡径バラツキ(S)や倍率バラツキを小さく出来る傾向があるため好ましい態様といえる。
【0099】
本発明のポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体は、前述のようにして得たポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱する成形方法により得られる。
【0100】
このような成形方法としては、特に制限はなく、一般的な方法を採用しうる。例えば、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を閉鎖し得るが密閉し得ない金型内に充填し、水蒸気などで加熱し、発泡粒子を互いに加熱融着させて型通りに成形する方法などが挙げられる。なお、融着性や機械的強度、表面外観性などの良好なポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を得るためには、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を空気、窒素、二酸化炭素などの無機ガスの加圧下に保持して発泡粒子内に内圧を付与し、その後金型内に充填して成形する方法を採用することが好ましい。
【実施例】
【0101】
以下、実施例および比較例をあげて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0102】
なお、実施例および比較例における評価は、次の方法により行なった。
【0103】
(硬度)
誘導結合プラズマ質量分析法により水性媒体中のカルシウム、マグネシウム濃度を測定し、炭酸カルシウム量に換算して求めた。
【0104】
(発泡倍率)
発泡粒子3〜10g程度を取り、60℃で6時間乾燥したのち重量wを測定後、水を入れたメスシリンダーに投入して水没させ、水面上昇から体積vを測定し、発泡粒子の真比重ρb=w/vを求め、原料組成物の密度ρr(=0.9g/cm)との比から発泡倍率K=ρr/ρbを求めた。
【0105】
(平均気泡径L(av))
無作為に選んだ20個の発泡粒子のそれぞれについて、ほぼ中央を切断し、現れた断面を拡大観察する。ここで、断面ほぼ中心で直交するX軸とY軸を引き、断面ほぼ中心のX軸とY軸が交差する点を中心O、X軸が断面端部と交差する点をそれぞれA、A’、Y軸が断面端部と交差する点をB、B’とした。
【0106】
次いで線分OAがクロスする気泡壁の数を数え、線分OAの長さを気泡壁数で除した値を更に0.616で除することにより気泡径L(OA)を求める。すなわち次の式(1)で気泡径L(OA)を求める。
【0107】
【数1】

【0108】
線分OA’、線分OB、線分OB’についても同様に行い、それぞれL(OA’)、L(OB)、L(OB’)を求める。なお、気泡壁上に中心Oがある場合は、気泡壁として数えた。
【0109】
L(OA)、L(OA’)、L(OB)、L(OB’)の4つの相加平均値L’(av)を算出し、20個のポリプロピレン系樹脂発泡粒子のL’(av)を更に相加平均した値を平均気泡径L(av)とした。
【0110】
(気泡径バラツキ(S))
平均気泡径L(av)の測定において、1個の発泡粒子における気泡径バラツキ(S’)を次の式(2)から算出した。
【0111】
【数2】

【0112】
次いで、20個の発泡粒子の気泡径バラツキ(S’)を相加平均した値を気泡径バラツキ(S)とした。
【0113】
(帯電防止性能)
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を温度20℃、相対湿度65%の室内に48時間保存した後、アドバンテスト(株)製の超絶抵抗計TR8601を用いて、成形体表面の表面固有抵抗を測定した。
○:1×1012Ω未満
×:1×1012Ω以上
【0114】
(成形体融着率)
ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体の表面にナイフで約5mmの深さのクラックを入れたのち、このクラックに沿ってポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体を割り、破断面を観察し、観察した全粒子数に対する破壊粒子数の割合を求め、成形体融着率とした。
【0115】
(成形体表面性)
○:しわ少なく、粒間(発泡粒子の間のへこみ、穴など)少なく、美麗
△:しわが少ないが、粒間(発泡粒子の間のへこみ、穴など)がやや目立つ
×:しわがある、あるいは粒間が顕著であり、ヒケなどもあり外観不良
次に実施例と比較例を具体的に示すが、得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、いずれの場合も示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線において、2つの融解ピークを有しており、2つの融解ピークのうち高温側の吸熱ピーク熱量Qhとしては、8〜18J/gの範囲であった。
【0116】
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂組成物a(エチレン含有率3.0重量%、MI=6g/10分、融点144℃)100重量部に対し、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(チバ・ジャパン製IRGANOX3114)0.2重量部、触媒残渣中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部を混合し、次いでこの混合物を45mmφ二軸押出機に供給し、ダイス先端温度200℃で溶融混練した後、押出し、水冷後、カッターで切断し、ポリプロピレン系樹脂組成物Aを得た。
【0117】
次に、ポリプロピレン系樹脂組成物Aと、ノニオン系界面活性剤としてステアリン酸グリセリンエステル(HLB4.3)を、ステアリン酸グリセリンエステルが20重量%となるよう混合し、この混合物を45mmφ二軸押出機に供給し、ダイス先端温度200℃で溶融混練した後、押出し、水冷後、カッターで切断し、マスターバッチペレットを得た。
【0118】
該マスターバッチペレットとポリプロピレン系樹脂組成物Aを、ステアリン酸グリセリンエステル量が1重量%となるように混合し、この混合樹脂100重量部に対し、ポリエチレングリコール(平均分子量300、ライオン製)を0.2重量部プリブレンドし、次に無機系気泡調整剤としてタルク(林化成製、タルカンパウダーPK−S)0.05重量部を加えブレンドした。これを50mmφ単軸押出機に供給し、ダイス先端温度200℃で溶融混練したのち、直径1.8mmの円筒ダイより押出し、水冷後、カッターで切断し、円柱状のポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を得た。
【0119】
得られたポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、水(硬度<0.1mg/L)200重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム1重量部、分散助剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム0.12重量部を10L耐圧容器に投入したのち、脱気し、攪拌しながら炭酸ガス5重量部を耐圧容器内に入れ、150℃に加熱した。このときの耐圧容器内圧力は2.3MPa(G)であった。更に炭酸ガスを追加し耐圧容器内温度を2.6MPa(G)とし15分間保持した。その後、耐圧容器下部のバルブを開いて、分散液を直径4mmのオリフィスを通じて大気圧下の発泡筒に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。この際、放出中は耐圧容器内の圧力が低下しないように、炭酸ガスで圧力を保持した。
【0120】
ここで得た発泡粒子を酸洗浄し、60℃にて6時間乾燥させたのち耐圧容器内にて空気で加圧し、約0.2MPaの空気内圧とした後、型内発泡成形を行い、390mm×290mm×50mmの成形体を得た。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体について評価した結果を表1に示す。
【0121】
【表1】

【0122】
(実施例2)
ポリエチレングリコールを用いず、無機系気泡調整剤を、タルク0.05重量部に代えて、ホウ酸亜鉛0.1重量部とした以外は実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【0123】
(実施例3)
ヒンダードフェノールを、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートに代えて、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル] イソシアヌレートとした以外は実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【0124】
(実施例4)
ノニオン系界面活性剤のステアリン酸グリセリンエステルを、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン(一般式3において、Rが炭素数10と12の混合物:ミヨシ油脂製ダスパー125B)とした以外は実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【0125】
(実施例5)
ヒンダードフェノールの1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートの添加量を0.1重量部とした以外は実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【0126】
(実施例6)
ヒンダードフェノールの1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートの添加量を0.1重量部としたことと、ポリエチレングリコールを添加しなかった点を除いて、実施例4記載にしたがってヒドロキシアルキルモノエタノールアミン添加ポリプロピレン系樹脂粒子までを作製した。
【0127】
このヒドロキシアルキルモノエタノールアミン添加ポリプロピレン系樹脂粒子100重量部、純水(硬度<0.1mg/L)300重量部、分散剤として第三リン酸カルシウム1重量部、分散助剤としてアルカンスルホン酸ナトリウム0.12重量部を10L耐圧密閉容器に投入したのち、脱気し、攪拌しながらイソブタン11重量部を密閉容器内に入れ、140℃に加熱した。このときの耐圧密閉容器内圧力は2.0MPa(G)であった。
【0128】
30分間保持した後、耐圧密閉容器下部のバルブを開いて、分散液を直径4mmのオリフィスを通じて大気圧下の発泡筒に放出してポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。なお、放出中は耐圧密閉容器内の圧力が低下しないように、窒素ガスで圧力を保持した。
【0129】
ここで得た発泡粒子を酸洗浄し、60℃にて6時間乾燥させたのち耐圧容器内にて空気で加圧し、約0.2MPaの空気内圧とした後、型内発泡成形を行い、390mm×290mm×50mmの成形体を得た。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、成形体について評価した結果を表1に示す。
【0130】
(比較例1)
ノニオン系界面活性剤であるステアリン酸グリセリンエステルを用いず、ポリプロピレン系樹脂組成物A100重量部に対し、ポリエチレングリコール(平均分子量300、ライオン製)を0.2重量部プリブレンドし、次に無機系気泡調整剤としてタルク(林化成製、タルカンパウダーPK−S)0.05重量部を加えブレンドした以外は、実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【0131】
(比較例2)
ヒンダードフェノールを、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートに代えて、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・ジャパン製IRGANOX1010)とした以外は実施例1と同様にした。評価した結果を表1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子1〜10mgを示差走査熱量計によって10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温したときに得られるDSC曲線の一例である。DSC曲線の2つの融解ピーク間で最も吸熱量が小さくなる点をAとし、点AからDSC曲線に対しそれぞれ接線を引き、該接線とDSC曲線に囲まれた部分のうち、高温側が高温側の融解ピーク熱量Qh、低温側が低温側の融解ピーク熱量Qlである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、下記一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【化1】

【請求項2】
無機系気泡調整剤が、タルクまたは炭酸カルシウムである請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項3】
一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノールが、下記一般式2で表される1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートである請求項1あるいは2記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【化2】

【請求項4】
気泡径バラツキが0.4未満である請求項1〜3何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項5】
ノニオン系界面活性剤が、炭素数が6〜30である脂肪酸のグリセリンエステルである請求項1〜4何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
【請求項6】
請求項1〜5何れか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱して得られるポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体。
【請求項7】
ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し、ノニオン系界面活性剤0.05重量部以上5重量部以下、無機系気泡調整剤0.005重量部以上0.5重量部以下、下記一般式1で表される構造を有するヒンダードフェノール0.005重量部以上0.5重量部以下を含んでなるポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂粒子と、水、無機系分散剤、分散助剤を耐圧容器中に収容した後、攪拌条件下に分散させるとともに、発泡剤の存在下、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の軟化点温度以上に昇温し、次いで耐圧容器の内圧よりも低い圧力域に耐圧容器中の分散液を放出して発泡させる、気泡径バラツキが0.4未満であるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【化3】


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−256470(P2009−256470A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107436(P2008−107436)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】