説明

ポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車内装部品用成形体

【課題】帯電防止性に優れ、かつ夏場の炎天下車内環境下における使用状況においても、製品内部からのブリードアウトに起因する白濁化を生じない自動車内装部品用成形体が得られるポリプロピレン系樹脂組成物の提供。
【解決手段】
ポリプロピレン系重合体を主成分とし、組成物の総量に対してステアリルジエタノールアミンモノステアレートを0.2〜1.5質量%含み、かつメルトフローレート(MFR)(JIS K−7210:温度230℃、荷重2.16Kgfで測定)が5〜150g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物、及びその組成物を射出成形して得られるインスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ、ドアトリム、コンソールボックスなどの自動車内装部品用成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止性に優れ、かつ夏場の炎天下車内環境下における使用状況において製品内部からのブリードアウトに起因する白濁化を生じない自動車内装部品に成形できるポリプロピレン系樹脂組成物、及びその組成物から得られる自動車内装部品用成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車内装部品の材料としてポリプロピレン系の樹脂組成物が広く用いられている。該樹脂組成物を射出成形してなる成形体は、軽量かつ安価に供給できると共に、他の樹脂、エラストマー、無機充填剤などを配合することによる材料組成により、成形体に剛性、耐熱性、耐衝撃性などを付与できるため、きわめて有用である。静電気により内装部品に塵埃が吸着されるのを防止するため帯電防止剤を配合することが多いが、自動車車内の温度は真夏の炎天下などの条件下では局部的に80〜90℃程度あるいはそれ以上に上昇する場合がある。仮に90℃まで温度上昇しない場合でも、50〜70℃の温度環境にて帯電防止剤が成形品表面にブリードアウトすることに起因する白濁化が顕著になり、視覚的に外観を損ねるという問題があった。例えば、特開平11−349778号公報(特許文献1)及び特開2003−82169号公報(特許文献2)には特定の帯電防止剤を配合することが提案されており、80℃ではブリードアウトを抑制できることが示されているが、そこで使用されている帯電防止剤の融点(70〜80℃)より10〜20℃低い50〜70℃の温度環境では白濁化が目立つために問題の解決に至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−349778号公報
【特許文献2】特開2003−82169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、帯電防止性に優れ、かつ夏場の炎天下車内環境下における使用状況においても、製品内部からのブリードアウトに起因する白濁化を生じないポリプロピレン系樹脂組成物及びその組成物を成形してなる自動車内装部品用成形体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、帯電防止剤としてステアリルジエタノールアミンモノステアレートを特定量配合したポリプロピレン系樹脂組成物を開発することにより上記課題を解決した。
すなわち、本発明は下記のポリプロピレン系樹脂組成物及び自動車内装部品用成形体を提供する。
【0006】
1.ポリプロピレン系重合体を主成分とし、組成物の総量に対してステアリルジエタノールアミンモノステアレートを0.2〜1.5質量%含み、かつメルトフローレート(MFR)(JIS K−7210:温度230℃、荷重2.16Kgfで測定)が5〜150g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物。
2.前記ポリプロピレン系重合体以外に、他の重合体を40質量%まで含む前項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
3.他の重合体が、ポリエチレン及びエチレンとα−オレフィンとの共重合体から選択される前項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
4.さらに、無機充填剤を30質量%まで含む前項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
5.前項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を射出成形して得られる自動車内装部品用成形体。
6.自動車内装部品用成形体が、インスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ、ドアトリムまたはコンソールボックスである前項5に記載の自動車内装部品用成形体。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車内装部品は、帯電防止性に優れ、かつ長時間の真夏の炎天下の気象条件下においても、帯電防止剤の製品内部からのブリードアウトに起因する白濁化を生じず、良好な外観を保つことができ、自動車内装部材として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)ポリプロピレン系樹脂
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物では、樹脂の主成分としてメルトフローレート(MFR)が5〜150g/10分であるポリプロピレン系重合体を使用する。
本発明で使用するポリプロピレン系重合体は、JIS K−7210に準じて温度230℃、荷重2.16Kgfで測定したメルトフローレート(MFR)が5〜150g/10分であればよい。
【0009】
本発明で樹脂の主成分として使用されるポリプロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体、ブロック共重合体、及びランダム共重合体のいずれでもよく、これらの2種以上を組み合わせたものでもよい。これらのブロック共重合体及びランダム共重合体のコモノマ−としては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1などのプロピレン以外のα−オレフィン類が用いられるが、なかでもエチレン及びブテン−1が好ましい。
【0010】
本発明においては上記のポリプロピレン系重合体のみを用いてもよいが、これらのポリプロピレン系重合体と共に他の重合体を用いてもよい。他の重合体としては、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ペンテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−ヘキセン共重合体、プロピレン−オクテン共重合体、ブテン−ヘキセン共重合体、ブテン−オクテン共重合体、ヘキセン−オクテン共重合体等のα−オレフィン系共重合体などが挙げられる。
他の重合体の配合量は、通常40質量%まで、好ましくは30質量%までである。
【0011】
またこれらのポリプロピレン系樹脂を製造する際、もしくはポリプロピレン系樹脂から自動車内装部品用成形体を製造するに至るまでの各々のプロセスにおいて、本願発明の効果を著しく損なわない範囲において、使用目的に応じて、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリスチレン、ポリブタジエンあるいはポリイソプレンのスチレングラフト重合体及びこれらの水素添加で得られる共重合体エラストマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどの高分子重合体などを添加してもよい。
これら高分子重合体の配合量は、通常5質量%まで、好ましくは3質量%までである。
【0012】
(B)帯電防止剤
本発明者らは、ポリプロピレン樹脂組成物中に分散して帯電防止の作用を有する、親油性部分と親水性部分を分子構造として持つ各種界面活性剤について検討した結果、特にステアリルジエタノールアミンモノステアレート(以下、本発明に係る帯電防止剤という。)を0.2〜1.5質量%、好ましくは0.2〜1.0質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%を配合したポリプロピレン系樹脂組成物が帯電防止に優れ、かつ成形製品とした時、夏場の炎天下車内環境下における使用状況において製品内部からのブリードアウトに起因する白濁化を生じない自動車内装部品を与えることを確認した。
【0013】
ポリプロピレン系樹脂組成物中の本発明に係る帯電防止剤の配合量が0.2質量%未満の場合は帯電防止の効果が十分に発揮されず、また、配合量が1.5質量%を超える場合には帯電防止剤のブリードアウトが発生し、本発明の効果が認められない。
【0014】
(C)無機充填剤
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性や耐熱性を向上させる等の目的で、無機充填剤を含有することがある。無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維、シリカ、ケイ酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム等が挙げられる。中でも、成形性、剛性−耐衝撃性等の点からタルク、マイカ、炭酸カルシウム、ガラス繊維が好ましく、特にタルクが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中の無機充填剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂組成物中、30質量%までが好ましく、25質量%までがさらに好ましい。
【0015】
(D)その他の成分
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記ポリプロピレン系重合体、他の重合体あるいはエラストマー、帯電防止剤、無機充填剤の他に、本願発明の効果を著しく損なわない範囲において、使用目的に応じて合成樹脂や合成ゴムの分野で広く利用されている熱、酸素、光などに対する安定剤、耐候剤、結晶核剤、滑剤、難燃剤、可塑剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明においてはこれら安定剤、あるいは各種添加剤が配合されたポリプロピレン系の樹脂に、さらに顔料を配合してもよい。
【0016】
熱・酸素に対する安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられ、
光による劣化防止の耐候剤としては、アミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル酸系等の各化合物が挙げられ、
結晶核剤としては、ソルビトール系、リン系、ロジン系、有機リン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩等が挙げられ、
滑剤としては、脂肪酸アミド、高級アルコール、ポリエチレンワックス等が挙げられ、
難燃剤としては、ホスフェート系、メラミン系、リン系、ハロゲン系、ノンハロゲン系化合物等が挙げられ、
可塑剤としては、フタレート系、脂肪酸系、アジペート系、トリメリテート系、エポキシ系、ポリエステル系化合物が挙げられる。
【0017】
顔料としては、無機顔料または有機顔料が挙げられる。無機顔料は発色部分が無機物で、成分として元素単体よりなるもの、及びZn、Pb、Ti、Sb、Cd、Fe、As、Mg、Al、Co、Crなどの酸化物、硫化物、硫酸塩などが挙げられる。有機顔料は発色部分が有機化合物であり、アゾ顔料、ポリアゾ系顔料、アチン系顔料、銅フタロシアニン顔料、ジオキサン顔料、キナクリドン顔料などが挙げられる。ポリプロピレンへの顔料の分散性向上を目的として、分散助剤(脂肪酸金属塩、ナフテン酸金属塩、界面活性剤、シリコンオイル、レシチンなどが挙げられる)を用いてもよい。
【0018】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形体とする場合は、通常の方法により、主成分のポリプロピレン系重合体に本発明に係る帯電防止剤を配合して製造することができ、さらに、他の重合体、無機充填剤、顔料や他の添加剤を配合してもよい。例えば、パウダー状、ペレット状のポリプロピレン系重合体及び他の重合体に、本発明に係る帯電防止剤、必要により無機充填剤、顔料その他の添加剤を配合し、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等にて混合後、一軸または二軸の混練押出機で溶融混練してペレット化する。このようにして得たペレットを射出成形機にかけて成形体に加工する。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが5g/10分に満たないと、射出成形における成形性が悪く、自動車内装部品用途として適さない。また、150g/10分を超える場合は、耐衝撃性に劣り、自動車内装部品用途として適さない。
【0019】
[自動車内装部品用成形体]
本発明の自動車内装部品用成形体は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形することにより製造することができる。
成形温度は一般的には150〜350℃、好ましくは170〜250℃で実施される。成形温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化及び成形不良の原因となり、150℃より低いと外観不良、成形不良が発生する。金型温度については、10〜60℃の範囲で行うことが好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなるばかりか、金型に結露を生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となる。冷却に関わるエネルギーコストの観点からも適さない。
【0020】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車内装部品用部品は、夏季の炎天下のような高温に長時間曝しても帯電防止剤のブリードアウトを防止するという効果がある。例えば、乗用車などのインスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ、ドアトリム、コンソールボックスなど、一般にポリプロピレン系樹脂組成物を用いて射出成形により製造されている自動車内装部品用成形体に適用して本発明の効果を奏することができる。
【実施例】
【0021】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1〜14及び比較例1〜4:
[ポリプロピレン系樹脂組成物成分]
実施例及び比較例において、ポリプロピレン系樹脂組成物成分として下記のPP−1〜PP−12を使用した。なお、各ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)の測定はJIS K−7210に準じて行い、230℃、荷重2.16Kgfで測定した。
【0023】
PP−1:MFR30g/10分のホモタイプのポリプロピレン(サンアロマー社製,PM900A)に対し、無機顔料(カーボンブラック30質量%、チタンホワイト20質量%、ステアリン酸マグネシウム50質量%の混合物)2質量%を混合した樹脂組成物。
【0024】
PP−2:MFR30g/10分、ゴム成分含有量20質量%のブロックタイプの結晶性エチレン−プロピレン共重合体(サンアロマー社製,PM970A)に対し、無機顔料(カーボンブラック30質量%、チタンホワイト20質量%、ステアリン酸マグネシウム50質量%の混合物)2質量%を混合した樹脂組成物。
【0025】
PP−3:MFR43g/10分、ゴム成分含有量22質量%のブロックタイプの結晶性エチレン−プロピレン共重合体(サンアロマー社製,PMA80X)に対し、有機顔料(銅フタロシアニンブルー50質量%、ステアリン酸マグネシウム50質量%の混合物)3質量%を混合した樹脂組成物。
【0026】
PP−4:PP−1に対し、MFR2g/10分のエチレン−ブテン共重合体(三井化学社製,A−1050S)10質量%を混合した樹脂組成物。
【0027】
PP−5:PP−1に対し、MFR2g/10分のエチレン−ブテン共重合体(三井化学社製,A−1050S)30質量%を混合した樹脂組成物。
【0028】
PP−6:PP−1に対し、MFR10g/10分のエチレン−オクテン共重合体(ダウケミカル社製,ENGAGE8200)30質量%を混合した樹脂組成物。
【0029】
PP−7:PP−5に対し、タルク(林化成社製,5000S)10質量%を混合した樹脂組成物。
【0030】
PP−8:PP−5に対し、タルク(林化成社製,5000S)30質量%を混合した樹脂組成物。
【0031】
PP−9:PP−6に対し、タルク(林化成社製,5000S)10質量%を混合した樹脂組成物。
【0032】
PP−10:PP−6に対し、タルク(林化成社製,5000S)30質量%を混合した樹脂組成物。
【0033】
PP−11:MFR7g/10分、ゴム成分含有量21.5質量%のブロックタイプの結晶性エチレン−プロピレン共重合体(サンアロマー社製,PM671A)に対し、無機顔料(カーボンブラック30質量%、チタンホワイト20質量%、ステアリン酸マグネシウム50質量%の混合物)2質量%を混合した樹脂組成物。
【0034】
PP−12:MFR110g/10分、ゴム成分含有量18.5質量%のブロックタイプの結晶性エチレン−プロピレン共重合体(サンアロマー社製,PMD81M)に対し、無機顔料(カーボンブラック30質量%、チタンホワイト20質量%、ステアリン酸マグネシウム50質量%の混合物)2質量%を混合した樹脂組成物。
【0035】
[帯電防止剤]
実施例1〜14及び比較例3〜4では、帯電防止剤としてステアリルジエタノールアミンモノステアレート(花王社製,エレクトロストリッパーTS−6B)を使用した。
比較例1〜2では、帯電防止剤としてグリセリンモノステアレート(花王社製,エレクトロストリッパーTS−5)を使用した。
【0036】
[試料の調製]
上記のPP−1〜PP−12のポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートからなる帯電防止剤を表1に示す量添加し、ドライブレンドした。得られた混合物を神戸製鋼社製KTX−30同方向二軸押出機を用い、押出設定温度180℃、押出スクリュー回転数300rpmで押し出してペレットを製造した。更にこのペレットを用い、FANUC社製α100C射出成形機により、シリンダ設定温度220℃、金型設定温度40℃の条件下で130×130×2mmtの平板を射出成形し、試験片とした。試験片は温度23±2℃、相対温度50±5%に管理された室内で24時間以上保管した後、試験に供した。
【0037】
[帯電防止性の評価]
試験片を温度23±2℃、相対温度50±5%に管理された室内で1週間以上保管した後、電気抵抗測定器(Hewlett Packard 4329A High Resistance Meter)で1000V、1分間電圧を印加し、印加電圧を切った後、表面固有抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
【0038】
[ブリード性の評価]
試験片を60℃に設定したオーブンに200時間入れておき、取り出してから、外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:ブリードが目視では観察されない、
△:ブリードが目視で観察される、
×:ブリードが目視で容易に観察され、実用上使用できない。
各試験片のブリード性の観察結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
PP−1を100質量%に対し、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートからなる帯電防止剤を0.2質量%の割合で配合して得た樹脂組成物を射出成形して得られた成形体(実施例1)は、ブリード試験の結果が良好であった。
【0041】
実施例1に対し、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートからなる帯電防止剤の配合割合及びポリプロピレン系樹脂の種類を、本発明の請求の範囲内で変えて得た樹脂組成物を射出成形して得られた成形体(実施例2〜14)についても、いずれもブリード試験結果が良好であった。
【0042】
実施例1に対し、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートのかわりにグリセリンモノステアレートからなる帯電防止剤を用いた比較例1については、ブリード試験の結果が悪かった。さらに、比較例2においてはグリセリンモノステアレートを半減させたが、ブリード試験の結果は×から△に改善されるものの、表面固有抵抗が大きくなり帯電防止効果が悪化した。
【0043】
実施例1に対し、ステアリルジエタノールアミンモノステアレートからなる帯電防止剤を請求の範囲の1.5質量%を超える比較例3においてはブリード試験の結果が悪く、請求の範囲の0.2質量%に満たない比較例4においては表面固有抵抗が大きくなり帯電防止効果が悪化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系重合体を主成分とし、組成物の総量に対してステアリルジエタノールアミンモノステアレートを0.2〜1.5質量%含み、かつメルトフローレート(MFR)(JIS K−7210:温度230℃、荷重2.16Kgfで測定)5〜150g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリプロピレン系重合体以外に、他の重合体を40質量%まで含む請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項3】
他の重合体が、ポリエチレン及びエチレンとα−オレフィンとの共重合体から選択される請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項4】
さらに、無機充填剤を30質量%まで含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物を射出成形して得られる自動車内装部品用成形体。
【請求項6】
自動車内装部品用成形体が、インスツルメントパネル、パッケージトレイ、リアトレイ、ピラーガーニッシュ、ドアトリムまたはコンソールボックスである請求項5に記載の自動車内装部品用成形体。

【公開番号】特開2010−280841(P2010−280841A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136086(P2009−136086)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(500547201)サンアロマー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】