説明

ポリヘテロシロキサンの調製方法

本発明は、少なくとも2つの異なる非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサン材料の調製方法に関する。これらの方法により調製されたポリヘテロシロキサン材料は最適な溶媒中に容易に分散させることができる固体材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2009年7月2日出願の米国特許出願第61/222693号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、金属塩および金属アルコキシドの両方を用いる化学的に結合された非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの調製方法に関する。金属塩および金属アルコキシドは同じまたは異なる金属元素を含有することができる。これらの方法により調製されたポリヘテロシロキサンは最適な溶媒中に容易に分散することができる固体材料である。
【0003】
金属元素のポリシロキサン中への組み込みは、それらの高い屈折率、耐衝撃性、耐引っかき性、難燃性、防食性、防汚性、等を与える能力のため、幅広い用途について非常に興味を持たれている。一般的には、金属元素およびポリシロキサンを含有するハイブリッド材料を調製するのにこれまで2つの合成方法が用いられてきた。1つの方法は、既製金属酸化物粒子のオルガノシロキサンまたはポリシロキサンでの修飾を含む。この粒子修飾方法はよく粒子凝集、分散、および不透明性の問題の課題に直面する。さらに、金属酸化物の不均質性は光学および電子用途についてそれらの使用を大幅に限定する。もう1つの方法は、金属アルコキシドおよびアルコキシシランの2成分系を含むゾルゲル加水分解および縮合化学反応に基づく。Ti、Zr、Al、Ge、およびSn以外の金属元素は利用可能でないまたは合成するのが難しいため、この方法によりポリシロキサン樹脂中に組み込まれる金属元素のタイプは、金属アルコキシド前駆体の利用可能性により限定される。
【0004】
本発明者らは、予想外にも、金属アルコキシドおよび加水分解性金属塩の両方をシロキサン重合反応に添加することが各種金属元素を金属−O−Siおよび金属−O−金属オキソ結合によってオルガノシロキサン中に組み込む便利な方法を提供することを見出した。よって、本発明は、金属塩および金属アルコキシドを用いる、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの製造方法に関する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(1)ある量の水を(A)少なくとも1つの金属(M1)アルコキシド、(B)少なくとも1つのケイ素含有材料、および(C)少なくとも1つの加水分解性金属(M2)塩を含む分散物に添加し、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを形成するステップを含む、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの調製方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、
(A)金属(M1)アルコキシド、
(B) (B1)オルガノシロキサン、または
(B2)シラン
から選択される加水分解性基を有するケイ素含有材料、および
(C)加水分解性金属(M2)塩
を成分(A)、(B)、および(C)上のアルコキシ基および他の加水分解性基を加水分解および縮合するのに必要な50〜200%をもたらすある量の水と反応させ、ポリヘテロシロキサンを形成するが、ただし、少なくとも2つの非Si金属元素が成分(A)および/または(C)よりもたらされるステップを含む、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの調製方法を提供する。1つの実施形態では、(M1)および(M2)は非Si金属元素であり、互いに異なる。
【0007】
本明細書において用いる「少なくとも1つ」の表現は、1つ以上を意味し、これは個別の成分および混合物/組み合わせを含む。
【0008】
成分(A)は金属(M1)アルコキシドである。本発明の1つの実施形態では、金属(M1)アルコキシド(A)は、一般式(I)RM1O(ORv1−m−p−2nを有する金属アルコキシドから選択され、式中、M1はTi、Al、Ge、Zr、Sn、Cr、Ca、Ba、Sb、Cu、Ga、Hf、In、Fe、Mg、Mo、Nb、Ce、Er、La、Nd、Pr、Sm、Y、Sr、Ta、Te、W、およびVから選択され、各Xは独立してカルボキシレート配位子、有機スルホン酸塩配位子、有機リン酸塩配位子、β−ジケトネート配位子、および塩化物配位子から選択され、v1はM1の酸化状態であり、mは0〜3の値であり、nは0〜2の値であり、pは0〜3の値であり、各Rは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、各Rは独立して選択される1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基である。
【0009】
成分(B)は、(B1)オルガノシロキサン、または(B2)シランから選択される加水分解性基を有するケイ素含有材料である。1つの実施形態では、成分(B)は(B1)平均式(II)R(RO)SiO(4−(a+b))/2を有するオルガノシロキサンまたは(B2)一般式(III)RSiYを有するシランから選択される少なくとも1つのケイ素含有材料であり、式中、YはClまたはORであり、各Rは独立して選択される水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜12個の炭素原子を有するアリール基、エポキシ基、アミノ基、またはカルビノール基であり、Rは独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基であり、aは0.1〜3の値であり、bは0.5〜3の値であり、(a+b)は0.6〜3.9の値であり、cは0〜3の値であり、dは1〜4の値であり、(c+d)は4に等しい。
【0010】
成分(C)は加水分解性金属(M2)塩である。1つの実施形態では、加水分解性金属(M2)塩は(C1)一般式(IV)RM2(Z)(v2−e)/wを有する非水和金属塩または(C2)一般式(V)M2(Z)v2/w・xHOを有する水和金属塩から選択され、式中、M2は周期表の金属元素のいずれかから選択され、v2はM2の酸化状態であり、wは配位子Zの酸化状態であり、Zは独立してカルボキシレート、β−ジケトネート、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、有機スルホン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、シアン化物、亜リン酸塩、リン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、およびシュウ酸塩から選択され、各Rは独立して選択される1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜8個の炭素原子を有するアリール基であり、eは0〜3の値であり、xは0.5〜12の値であり、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンが形成され、添加する水の総量は成分(A)、(B)、および(C)上のすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の50〜200%である。
【0011】
成分(A)は一般式(I)RM1O(ORv1−m−p−2nを有する金属アルコキシドから選択される少なくとも1つの金属アルコキシドを含むことができ、式中、M1はTi、Al、Ge、Zr、Sn、Cr、Ca、Ba、Sb、Cu、Ga、Hf、In、Fe、Mg、Mo、Nb、Ce、Er、La、Nd、Pr、Sm、Y、Sr、Ta、Te、W、およびVから選択され、各Xは独立してカルボキシレート配位子、有機スルホン酸塩配位子、有機リン酸塩配位子、β−ジケトネート配位子、および塩化物配位子から選択され、下付き文字v1はM1の酸化状態であり、mは0〜3の値であり、nは0〜2の値であり、pは0〜3の値であり、各Rは1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基であり、各Rは独立して選択される1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基である。
【0012】
式(I)中、Rは1〜18個の炭素原子を有する一価アルキル基である。Rのアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルが挙げられる。あるいは、アルキル基は1〜8個の炭素原子を含む。あるいは、アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシル、およびオクチルである。
【0013】
式(I)中、各Rは独立して選択される1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基である。
【0014】
のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、およびヘキシルが挙げられる。Rのアリール基の例としては、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0015】
の2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基の例としては、−CHCH−および−CHCH(CH)−が挙げられる。Rの1〜6個の炭素原子を有するアルキル基の例としては、Rについて上述したとおりである。式(VI)中の下付き文字qは1〜4、あるいは1〜2の値である。式(VI)のポリエーテル基の例としては、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、メトキシエトキシエチル、およびエトキシエトキシエチルが挙げられる。
【0016】
あるいは、Rは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはエチル、プロピル、およびブチル、あるいはプロピルおよびブチルである。
【0017】
式(I)中、Xはカルボキシレート配位子、有機スルホン酸塩配位子、有機リン酸塩配位子、β−ジケトネート配位子、および塩化物配位子、あるいはカルボキシレート配位子およびβ−ジケトネート配位子から選択される。Xに有用なカルボキシレート配位子は式R15COOを有し、式中、R15は水素、アルキル基、アルケニル基、およびアリール基から選択される。R15に有用なアルキル基の例としては、Rについて上述したとおり1〜18個の炭素原子、あるいは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。R15に有用なアルケニル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、アリル、へキセニル、およびオクテニルのような2〜18個の炭素原子、あるいは2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基が挙げられる。R15に有用なアリール基の例としては、フェニルおよびベンジルのような6〜18個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子を有するアリール基が挙げられる。あるいは、R15はメチル、2−プロペニル、アリル、およびフェニルである。
【0018】
Xに有用なβ−ジケトネート配位子は以下の構造:
【化1】

を有することができ、式中、R16、R18、およびR21は一価アルキルおよびアリール基から選択される。R16、R18、およびR21に有用なアルキル基の例としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル、およびt−ブチルのような1〜12個の炭素原子、あるいは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。R16、R18、およびR21に有用なアリール基の例としては、フェニルおよびトリルのような6〜18個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子を有するアリール基が挙げられる。R19はアルキル基、アルケニル基およびアリール基から選択される。R19に有用なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ヘキシルおよびオクチルのようなC1〜C18アルキル基、あるいはC1〜C8アルキル基が挙げられる。R19に有用なアルケニル基の例としては、アリル、へキセニル、およびオクテニルのような2〜18個の炭素原子、あるいは2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基が挙げられる。R19に有用なアリール基の例としては、フェニルおよびトリルのような6〜18個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子を有するアリール基が挙げられる。R17およびR20は水素またはアルキル、アルケニル、およびアリール基である。R17およびR20に有用なアルキル基の例としては、メチルおよびエチルのような1〜12個の炭素原子、あるいは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基が挙げられる。R17およびR20に有用なアルケニル基の例としては、ビニル、アリル、へキセニル、およびオクテニルのような2〜18個の炭素原子、あるいは2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基が挙げられる。R17およびR20に有用なアリール基の例としては、フェニルおよびトリルのような6〜18個の炭素原子、あるいは6〜8個の炭素原子を有するアリール基が挙げられる。R16、R17、R18、R19、R20、およびR21はそれぞれ独立して選択され、同じまたは異なり得る。
【0019】
式(I)により表される各金属アルコキシド基は、Ti、Al、Ge、Zr、Sn、Cr、Ca、Ba、Sb、Cu、Ga、Hf、In、Fe、Mg、Mo、Nb、Ce、Er、La、Nd、Pr、Sm、Y、Sr、Ta、Te、W、およびVから選択される金属(M1)元素を含有する。あるいは、M1はTi、Zr、Al、Ge、Ta、Nb、およびSnである。あるいは、M1はTi、Zr、Al、およびSnである。
【0020】
式(I)中、下付き文字v1はM1の酸化状態であり、1〜7の範囲内である。あるいはv1は1〜5の範囲内である。
【0021】
式(I)中、下付き文字mは0〜3、あるいは0〜2、あるいは0の値である。
【0022】
式(I)中、下付き文字nは0〜2、あるいは0〜1、あるいは0の値である。
【0023】
式(I)中、下付き文字pは0〜3、あるいは0〜2、あるいは0の値である。
【0024】
本方法において有用な式(I)により表される金属アルコキシドの例としては、DuPontのチタニウムテトラプロポキシド、チタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、およびジルコニウムテトラブトキシド、アルミニウムトリプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムフェノキシド、アンチモン(III)エトキシド、バリウムイソプロポキシド、カドミウムエトキシド、カドミウムメトキシド、カドミウムメトキシエトキシド、クロム(III)イソプロポキシド、銅(II)エトキシド、銅(II)メトキシエトキシエトキシド、ガリウムエトキシド、ガリウムイソプロポキシド、ジエチルジエトキシゲルマン、エチルトリエトキシゲルマン、メチルトリエトキシゲルマン、テトラ−n−ブトキシゲルマン、ハフニウムエトキシド、ハフニウム2−エチルヘキソキシド、ハフニウム2−メトキシメチル−2−プロポキシド、インジウムメトキシエトキシド、鉄(III)エトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムメトキシエトキシド、マグネシウムn−プロポキシド、モリブデン(V)エトキシド、ニオブ(V)n−ブトキシド、ニオブ(V)エトキシド、セリウム(IV)t−ブトキシド、セリウム(IV)イソプロポキシド、セリウム(IV)エチルチオエトキシド、セリウム(IV)メトキシエトキシド、エルビウムメトキシエトキシド、ランタンイソプロポキシド、ランタンメトキシエトキシド、ネオジムメトキシエトキシド、プラセオジムメトエトキシド、サマリウム(III)イソプロポキシド、イットリウムイソプロポキシド、イットリウムメトキシエトキシド、ストロンチウムイソプロポキシド、ストロンチウムメトキシプロポキシド、タンタル(V)エトキシド、タンタル(V)メトキシド、タンタル(V)イソプロポキシド、タンタルテトラエトキシドジメチルアミノエトキシド、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシスズ、ジ−n−ブチルジメトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ、トリ−n−ブチルエトキシスズ、チタニウムエトキシド、チタニウム2−エチルヘキソキシド、チタニウムメトキシド、チタニウムメトキシプロポキシド、チタニウムn−ノニルオキシド、タングステン(V)エトキシド、タングステン(VI)エトキシド、バナジウムトリブトキシドオキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、バナジウムトリ−n−プロポキシドオキシド、バナジウムオキシドトリス(メトキシエトキシド)、亜鉛メトキシエトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウム2−エチルヘキソキシド、ジルコニウム2−メチル−2−ブトキシド、ジルコニウム2−メトキシメチル−2−プロポキシド、アルミニウムs−ブトキシドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウムジイソプロポキシドエチルアセトアセテート、アルミニウム9−オクトデセニルアセトアセテートジイソプロポキシド、タンタル(V)テトラエトキシドペンタンジオネート、チタニウムアリルアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキシド、チタニウムクロリドトリイソプロポキシド、チタニウムジクロリドジエトキシド、チタニウムジイソプロポキシビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキシドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、チタニウムメタクリロキシエチルアセトアセテートトリイソプロポキシド、チタニウムトリメタクリレートメトキシエトキシエトキシド、チタニウムトリス(ジオクチルホスファト)イソプロポキシド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキシド、ジルコニウム(ビス−2,2’−(アロキシメチル)−ブトキシド)トリス(ジオクチルホスフェート)、ジルコニウムジイソプロポキシドビス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオネート)、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシド、ジルコニウムメタクリロキシエチルアセトアセテートトリ−n−プロポキシドが挙げられる
【0025】
式(I)により表される金属アルコキシドは一般的にはGelest(米国ペンシルベニア州モリスビル)から入手可能である。
【0026】
成分(B)は、(B1)オルガノシロキサン、または(B2)シランから選択される加水分解性基を有するケイ素含有材料である。1つの実施形態では、成分(B)は、(B1)平均式(II)R(RO)SiO(4−(a+b))/2を有するオルガノシロキサンまたは(B2)一般式(III)RSiYを有するシランから選択される少なくとも1つのケイ素含有材料であり、式中、YはClまたはORであり、各Rは独立して選択される水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜12個の炭素原子を有するアリール基、エポキシ基、アミノ基、またはカルビノール基であり、Rは独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(IV)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基であり、aは0.1〜3の値であり、bは0.5〜3の値であり、(a+b)は0.6〜3.9の値であり、cは0〜3の値であり、dは1〜4の値であり、(c+d)は4に等しい。
【0027】
式(II)はM、D、T、およびQビルディングブロックで構成される。定義によれば、Mビルディングブロックは、1つの酸素原子に結合した1つのケイ素原子を含有し、ケイ素原子上の残りの3つの置換基が酸素以外であるシロキシ単位を指す。Dビルディングブロックは、2つの酸素原子に結合した1つのケイ素原子を含有し、ケイ素原子上の残りの2つ置換基が酸素以外であるシロキシ単位を指す。Tビルディングブロックは、3つの酸素原子に結合した1つのケイ素原子を含有し、ケイ素原子上の残りの1つの置換基が酸素以外であるシロキシ単位を指す。Qビルディングブロックは、4つの酸素原子に結合した1つのケイ素原子を含有するシロキシ単位を指す。これらの分子構造は以下のとおりである:
【化2】

【0028】
式(II)および(III)中のRの1〜18個の炭素原子を有するアルキル基は、Rについて上述のとおりである。あるいは、アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み;あるいは、アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、およびヘキシルである。
【0029】
式(II)および(III)中のRの2〜18個の炭素原子を有するアルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、へキセニル、またはオクテニルが挙げられる。あるいは、アルケニル基は2〜8個の炭素原子を含む。あるいは、アルケニル基はビニル、アリル、およびへキセニルである。
【0030】
式(II)および(III)中のRの6〜12個の炭素原子を有するアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニルおよびフルオロフェニルが挙げられる。あるいは、アリール基は6〜8個の炭素原子を含む。あるいは、アリール基はフェニルである。
【0031】
式(II)および(III)中のRのエポキシ基は、グリシジルエーテル基、アルキルエポキシ基および脂環式エポキシ基から選択される。グリシジルエーテル基の例としては、2−グリシドキシエチル、3−グリシドキシプロピル、4−グリシドキシブチル、および2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルのようなアルキルグリシジルエーテル基が挙げられる。アルキルエポキシ基の例としては、2,3−エポキシプロピル、3,4−エポキシブチル、および4,5−エポキシペンチルがあり、脂環式エポキシ基の例としては、3,4−エポキシシクロへキシルメチル、3,4−エポキシシクロへキシルエチル、3,4−エポキシシクロへキシルプロピル、3,4−エポキシシクロへキシルブチル、およびアルキルシクロヘキセンオキシド基のような一価エポキシシクロアルキル基が挙げられる。あるいは、エポキシ基は3−グリシドキシプロピルである。
【0032】
式(II)および(III)中のRのアミノ基は、一般的には式−RNHR10または−RNHRNHR10を有し、式中、各Rは独立して少なくとも2つの炭素原子を有する二価炭化水素基であり、R10は水素または1〜18個の炭素原子を有するアルキル基である。R基の例としては、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基が挙げられ、例としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、−CHCHCHCHCHCHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−が挙げられる。あるいは、R10のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルである。あるいは、R10がアルキル基である場合、それはメチルである。
【0033】
一般的なアミノ官能性炭化水素基は、−CHCHNH、−CHCHCHNH、−CHCHCHNH、−CHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHNH、−CHCHCHCHCHCHNH、−CHCHNHCH、−CHCHCHNHCH、−CH(CH)CHCHNHCH、−CHCHCHCHNHCH、−CHCHNHCHCHNH、−CHCHCHNHCHCHCHNH、−CHCHCHCHNHCHCHCHCHNH、−CHCHNHCHCHNHCH、−CHCHCHNHCHCHCHNHCH、−CHCHCHCHNHCHCHCHCHNHCH、および−CHCHNHCHCHNHCHCHCHCHである。
【0034】
式(II)および(III)中のRのカルビノール基は、少なくとも3つの炭素原子を有するアリール基を含まないカルビノール基および少なくとも6つの炭素原子を有するアリール含有カルビノール基から選択される。一般的には「カルビノール」基は少なくとも1つの炭素結合ヒドロキシル(COH)基を含有するいずれかの基である。よってカルビノール基は、例えば:
【化3】

のような、1つ以上のCOH基を含有することができる。
【0035】
少なくとも3つの炭素原子を有するアリール基を含まないカルビノール基の例としては、式R11OHを有する基が挙げられ、式中、R11は少なくとも3つの炭素原子を有する二価炭化水素基または少なくとも3つの炭素原子を有する二価炭化水素オキシ基である。基R11の例としては、sが3〜10の値を有する−(CH−、ならびにtが1〜10の値を有する−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、および−OCH(CH)(CH−から選択されるアルキレン基が挙げられる。少なくとも3つの炭素原子を有しするアリール基を含まないカルビノール基の例としては、式R12(OH)CHOHを有する基も挙げられ、式中、R12はtが1〜10の値を有する式−CHCH(CHOCHCH−を有する基である。
【0036】
少なくとも6つの炭素原子を有するアリール含有カルビノール基の例としては、式R13OHを有する基が挙げられ、式中、R13はuが0〜10の値を有する−(CH−、−CHCH(CH)(CH−ならびにuおよびtが上述のとおりである−(CH(CH−から選択されるアリーレン基である。あるいは、アリール含有カルビノール基は6〜14個の炭素原子、あるいは6〜10個の炭素原子を有する。
【0037】
アミノおよび/またはカルビノール含有シランまたはシロキサンは、スズ、ゲルマニウム、およびアルミニウムのようないくつかの金属含有樹脂に適用できるが、アミノおよびカルビノールシランまたはシロキサンの特定の金属をキレートする能力のため、ゲル化問題が特定の金属元素(例えばZnおよびCu)との合成プロセス中に起こり得る。
【0038】
あるいは、式(II)および(III)中の各Rは独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜12個の炭素原子を有するアリール基である。あるいは、式(II)および(III)中の各Rは独立して1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜8個の炭素原子を有するアリール基から選択される。あるいは、各Rはメチル、ビニル、またはフェニルである。
【0039】
式(II)のR基は独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基またはアルキル基である。Rのアルキル基、アリール基およびポリエーテル基の例はRについて上述したとおりである。あるいは、Rは水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である。あるいは、Rは水素、メチル、またはエチルである。
【0040】
式(II)中、下付き文字aは0.1〜3、あるいは1〜3の値である。
【0041】
式(II)中、下付き文字bは0.5〜3、あるいは1.5〜2.5の値である。
【0042】
式(II)中、下付き文字(a+b)は0.6〜3.9、あるいは1.5〜3の値を有する。
【0043】
式(II)により表され、本方法において有用なオルガノシロキサン(B1)の例としては、シラノール末端ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメトキシシロキサン、ポリシルセスキオキサン、アルコキシおよび/またはシラノール含有MQ樹脂、およびこれらの組み合わせのような、オリゴマーおよびポリマーオルガノシロキサンが挙げられる。それらは対応するオルガノメトキシシラン、オルガノエトキシシラン、オルガノイソプロポキシシラン、およびオルガノクロロシランの加水分解により製造される。
【0044】
式(III)中、各Yはクロロ原子(C1)またはORであり、式中、Rは上述のとおりである。あるいは、YはORである。
【0045】
式(III)中、下付き文字cは0〜3の値であり、あるいは、cは1〜3、あるいは2〜3の値である。
【0046】
式(III)中、下付き文字dは1〜4の値であり、あるいは、dは1〜3、あるいは1〜2の値である。
【0047】
式(III)中、下付き文字(c+d)は4に等しい。
【0048】
式(III)により表されるシラン(B2)の例としては、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルシラントリオール、ジフェニルシランジオール、フェニルメチルシランジオール、ジメチルシランジオール、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール、フェニルジメトキシシラノール、フェニルメトキシシランジオール、メチルジメトキシシラノール、メチルメトキシシランジオール、フェニルジエトキシシラノール、フェニルエトキシシランジオール、メチルジエトキシシラノール、メチルエトキシシランジオール、等が挙げられる。
【0049】
成分(C)は、(C1)一般式(IV)RM2(Z)(v2−e)/wを有する非水和金属塩または(C2)一般式(V)M2(Z)v2/w・xHOを有する水和金属塩から選択される少なくとも1つの金属(M2)塩を含むことができ、式中、M2は周期表の金属元素のいずれかから選択され、v2はM2の酸化状態であり、wは配位子Zの酸化状態であり、Zは独立してカルボキシレート、β−ジケトネート、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、有機スルホン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、シアン化物、亜リン酸塩、リン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、およびシュウ酸塩から選択され、各Rは独立して選択される1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜8個の炭素原子を有するアリール基であり、eは0〜3の値であり、xは0.5〜12の値であり、各金属塩分子に関連するHO分子の平均数を表す。
【0050】
式(IV)および(V)中、M2により表される金属元素は周期表のすべての金属から選択される。あるいは、M2はLi、Na、Ca、Mg、Ba、Ti、Zr、Ce、Eu、Nd、Er、Yb、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Cd、Al、Ge、およびPbから選択される。
【0051】
式(IV)および(V)中、下付き文字v2はM2の酸化状態であり、1〜7、あるいは1〜4の範囲内とすることができる。
【0052】
式(IV)および(V)中、下付き文字wは配位子Zの酸化状態であり、1〜3、あるいは1〜2の範囲内とすることができる。
【0053】
式(IV)および(V)中のZ基は、金属元素(M2)に付随する各種対配位子を表す。一般的には、各Zは独立してカルボキシレート配位子、β−ジケトネート配位子、フッ化物配位子、塩化物配位子、臭化物配位子、ヨウ化物配位子、有機スルホン酸塩配位子、硝酸塩配位子、亜硝酸塩配位子、硫酸塩配位子、亜硫酸塩配位子、シアン化物配位子、亜リン酸塩配位子、リン酸塩配位子、有機亜リン酸塩配位子、有機リン酸塩配位子、およびシュウ酸塩配位子から選択される。
【0054】
Zに有用なカルボキシレート配位子およびβ−ジケトネート配位子はXについて上述のとおりである。
【0055】
Zに有用な有機スルホン酸塩配位子は式R22SOを有するが、式中、R22は一価アルキル基、アルケニル基およびアリール基から選択される。有用なアルキル基、アルケニル基およびアリール基の例は、R15について上述のとおりである。あるいは、R22はトリル、フェニル、およびメチルである。
【0056】
Zに有用な有機リン酸塩配位子は式(R23O)POまたはR23O−PO2−を有し、式中、R23は一価アルキル基、アルケニル基およびアリール基から選択される。有用なアルキル基、アルケニル基およびアリール基の例は、R15について上述のとおりである。あるいは、R23はフェニル、ブチル、およびオクチルである。
【0057】
Zに有用な有機亜リン酸塩配位子は式(R24O)POまたはR24O−PO2−を有し、式中、R24は一価アルキル基、アルケニル基およびアリール基から選択される。有用なアルキル基、アルケニル基およびアリール基の例は、R15について上述のとおりである。あるいは、R24はフェニル、ブチル、およびオクチルである。
【0058】
あるいは、式(IV)および(V)中のZは独立してカルボキシレート配位子、β−ジケトネート配位子、硝酸塩配位子、硫酸塩配位子、および塩化物配位子から選択される。あるいは、Zとしてはカルボキシレート配位子およびβ−ジケトネート配位子が挙げられる。
【0059】
式(IV)および(V)中、下付き文字eは0〜3、あるいは0〜2、あるいは0の値である。
【0060】
式(IV)中、Rは独立して選択される1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜8個の炭素原子を有するアリール基である。Rの例は、Rについて上述のとおりである。
【0061】
式(V)中、xは0.5〜12、あるいは1〜9の値である。
【0062】
本方法において有用な式(IV)により表される非水和金属塩(C1)の例としては、これらに限定されないが、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸スカンジウム、酢酸イットリウム、酢酸ルテチウム、酢酸ハフニウム、酢酸バナジウム、酢酸ニオブ、酢酸タンタル、酢酸クロム、酢酸モリブデン、酢酸タングステン、酢酸マンガン、酢酸テクネチウム、酢酸レニウム、酢酸鉄、酢酸ルテニウム、酢酸オスミウム、酢酸コバルト、酢酸ロジウム、酢酸イリジウム、酢酸ニッケル、酢酸パラジウム、酢酸白金、酢酸銅、酢酸銀、酢酸亜鉛、酢酸カドミウム、酢酸水銀、酢酸アルミニウム、酢酸ガリウム、酢酸インジウム、酢酸タリウム、酢酸スズ、酢酸鉛、酢酸アンチモン、酢酸ビスマス、酢酸ランタン、酢酸セリウム、酢酸プラセオジム、酢酸ネオジム、酢酸プロメチウム、酢酸サマリウム、酢酸ユーロピウム、酢酸ガドリニウム、酢酸テルビウム、酢酸ジスプロシウム、酢酸ホルミウム、酢酸エルビウム、酢酸ツリウム、酢酸イッテルビウム、リチウムアセチルアセトネート、ナトリウムアセチルアセトネート、カリウムアセチルアセトネート、ルビジウムアセチルアセトネート、セシウムアセチルアセトネート、ベリリウムアセチルアセトネート、マグネシウムアセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、ストロンチウムアセチルアセトネート、バリウムアセチルアセトネート、スカンジウムアセチルアセトネート、イットリウムアセチルアセトネート、ルテチウムアセチルアセトネート、チタニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ハフニウムアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、ニオブアセチルアセトネート、タンタルアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、モリブデンアセチルアセトネート、タングステンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、テクネチウムアセチルアセトネート、レニウムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、ルテニウムアセチルアセトネート、オスミウムアセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、ロジウムアセチルアセトネート、イリジウムアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、パラジウムアセチルアセトネート、白金アセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、銀アセチルアセトネート、亜鉛アセチルアセトネート、カドミウムアセチルアセトネート、水銀アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、ガリウムアセチルアセトネート、インジウムアセチルアセトネート、タリウムアセチルアセトネート、スズアセチルアセトネート、鉛アセチルアセトネート、アンチモンアセチルアセトネート、ビスマスアセチルアセトネート、ランタンアセチルアセトネート、セリウムアセチルアセトネート、プラセオジムアセチルアセトネート、ネオジムアセチルアセトネート、プロメチウムアセチルアセトネート、サマリウムアセチルアセトネート、ユーロピウムアセチルアセトネート、ガドリニウムアセチルアセトネート、テルビウムアセチルアセトネート、ジスプロシウムアセチルアセトネート、ホルミウムアセチルアセトネート、エルビウムアセチルアセトネート、ツリウムアセチルアセトネート、イッテルビウムアセチルアセトネート、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、メタクリル酸バリウム、アクリル酸バリウム、2−エチルヘキサン酸ビスマス、メタクリル酸カルシウム、アクリル酸カルシウム、ウンデシレン酸カルシウム、メタクリル酸銅(II)、2−エチルヘキサン酸銅(II)、2−エチルヘキサン酸ハフニウム、メタクリル酸鉄、アクリル酸鉄、メタクリル酸鉛、アクリル酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、メタクリル酸リチウム、アクリル酸リチウム、メタクリル酸マグネシウム、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カリウム、アクリル酸カリウム、スルホプロピルメタクリル酸カリウム、スルホプロピルアクリル酸カリウム、2−エチルヘキサン酸セリウム(III)、アクリル酸ユーロピウム(III)、メタクリル酸ユーロピウム(III)、メタクリル酸ネオジム、ネオデカン酸ネオジム、メタクリル酸イットリウム、アクリル酸銀、メタクリル酸銀、ネオデカン酸銀、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、アクリル酸ストロンチウム、メタクリル酸ストロンチウム、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、n−ブチルトリス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ウンデカン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、メタクリル酸ジルコニウム、硫酸銅、塩化亜鉛、硝酸銀、硝酸鉄、硝酸ニッケル、硝酸亜鉛、アクリロキシトリ−n−ブチルスズ、アクリロキシトリフェニルスズ、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−n−ブチルジアクリレートスズ、ジ−n−ブチルジラウリルスズ、ジ−n−ブチルジメタクリレートスズ、ジ−n−ブチルジネオデカノエートスズ、ジメチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジメチルジネオデカノエートスズ、ジオクチルジラウリルスズ、メタクリロキシトリ−n−ブチルスズ、トリ−n−ブチルアセトキシスズ、およびトリ−n−ブチルベンゾイルオキシスズが挙げられる。
【0063】
本方法において有用な式(VI)により表される水和金属塩(C2)の例としては、これらに限定されないが、酢酸亜鉛二水和物、酢酸ニッケル四水和物、酢酸マグネシウム四水和物、硝酸亜鉛六水物、および硫酸銅五水和物が挙げられる。
【0064】
上述の非水和金属塩および水和金属塩はともに、Sigma−Aldrich、Fisher Scientific、Alfa−Aesar、Gelest、等のような大手化学業者によって市販されている。
【0065】
本発明は、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの調製方法に関する。1つの実施形態では、成分(A)、(B)、および(C)を分散または溶解させ、水を添加し、反応が進んで少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを形成する。
【0066】
少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを調製するための別の実施形態は:(1)ある量の水を少なくとも1つの成分(A)および少なくとも1つの成分(B1)または(B2)を含む分散物に添加し、M1−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンを形成するステップ;ならびに(2)少なくとも1つの成分(C1)または(C2)および必要に応じて追加の量の水をM1−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンに添加し、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを形成するステップを含むが、添加する水の総量は成分(A)、(B)、および(C)上のすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の50〜200%である。
【0067】
少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを調製するための別の実施形態は:(1)ある量の水を少なくとも1つの成分(A)および少なくとも1つの成分(C1)または(C2)を含む分散物に添加し、M1−O−M2オキソ結合を含有する混合金属酸化物溶液を形成するステップ;ならびに(2)少なくとも1つの成分(B1)または(B2)をM1−O−M2オキソ結合を含有する混合金属酸化物溶液に添加し、必要に応じて追加の量の水を添加し、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを形成するステップを含むが、添加する水の総量は成分(A)、(B)、および(C)上のすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の50〜200%である。
【0068】
少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを調製するための別の実施形態は:(1)ある量の水を少なくとも1つの成分(C1)または(C2)および少なくとも1つの成分(B1)または(B2)を含む分散物に添加し、M2−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンを形成するステップ;ならびに(2)少なくとも1つの成分(A)および必要に応じて追加の量の水をM2−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンに添加し、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを形成するステップを含むが、添加する水の総量は成分(A)、(B)、および(C)上のすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の50〜200%である。
【0069】
本明細書において用いる、各方法における「分散物」の語は、各種成分の分子が均質に分布していることを意味する。各成分は液体または固体であってもよく、従ってそれらは予備混合または分散されることが好ましい。溶媒中で1つ以上の成分を撹拌することは、均質な分散物を得る優れた方法であり;または1つ以上の成分を別の成分中に分散させることができる場合、溶媒は必要ない場合もあり得る。溶媒を用いる場合、極性溶媒、非極性溶媒、芳香族および飽和炭化水素、アルコール、等を含む炭化水素溶媒を含むいずれかの種類の溶媒が有用である。成分(A)、(B)、および(C)を分散させるのに有用な溶媒の例としては、炭化水素エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、メトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール、酢酸ブチル、およびトルエン、あるいはイソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、および酢酸ブチルが挙げられる。1つのタイプの溶媒を用いることができ、または異なる溶媒の混合物も有用である。分散または混合は撹拌のようないずれかの便利な手段により行うことができる。
【0070】
一般的には、各方法における成分(A)、(B)、および(C)の間の反応は室温(20℃)で進むが、所望に応じて、約140℃までの高温を用いることができる。あるいは、温度は20℃〜120℃の範囲内とすることができる。一般的には、反応は30分〜24時間、あるいは10分〜4時間かかり得る。
【0071】
すべての方法における任意の工程は、溶媒を除去し、少なくとも2つの非Si金属元素を有する固体ポリヘテロシロキサンを生成するステップを含む。溶媒は、高温までの加熱または減圧の使用のような、いずれかの便利な手段により除去することができる。次にこの固体材料を、トルエン、THF、酢酸ブチル、クロロホルム、ジオキサン、1−ブタノール、およびピリジンのような最適な溶媒中に再分散させることができる。本方法により生成されるSi−O−M結合はHO存在下で加水分解開裂の影響を受けやすくあり得るので、より長い貯蔵寿命を確保するため、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの水分への露出を最小限にすることが好ましい。
【0072】
各方法により形成される少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンは、1000〜1000000、あるいは2000〜100000の範囲内の分子量(重量平均)を有する。好適な実施形態では、非Si金属元素は材料中に均等に分布し、10ナノメートルより小さいドメインサイズを有する。
【0073】
金属酸化物は固有のスペクトル吸収帯を有し、よって樹脂中に組み込まれた際に異なる色を示す。本方法により製造されたポリヘテロシロキサン樹脂は紫外線透過率分光により特徴づけることができる。本ポリヘテロシロキサン樹脂は紫外線領域(280〜400nm)において優れた吸収能力を示す。多くの場合において、本樹脂は可視光を吸収し、これはそれらのコーティング着色剤としての使用を可能にするだろう。
【0074】
本方法により形成された少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンは好適には1〜25重量%のアルコキシ基、あるいは5〜15重量%のアルコキシ基を含有する。各ポリヘテロシロキサン分子中には少なくとも2つの非Si金属元素が存在しなければならないが、ポリヘテロシロキサン材料中の非Si金属元素(M1およびM2)含有量のモル百分率は0.5〜90モルパーセント、あるいは5〜60モルパーセント、あるいは20〜50モルパーセントとすることもできる。本方法では脂肪酸は必要ない。
【0075】
各実施形態において有用なM2対M1のモル比は、0.001〜2、あるいは0.05〜1の範囲内である。本方法において有用なSi単位対M1のモル比は0.1〜200、あるいは0.6〜20の範囲内である。
【0076】
各実施形態において、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンが形成されるように、ある量の水を添加しなければならない。水和金属塩(C2)によって水を組み込むこともできるので、当業者であれば、水和金属塩を用いる場合、必要な量の水が存在するためには、より少量の水をする必要がある、または追加の量の水を添加する必要がないことがあり得ることを理解するだろう。一般的には、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを製造するのに必要な水の量は、各成分上に存在するすべてのアルコキシおよび他の加水分解性基の完全な加水分解および縮合に必要な水の理論的な量の50%〜200%の範囲内である。当業者であれば、1モルのアルコキシおよび他の加水分解性基の加水分解および縮合に0.5モルの水が必要であることを理解するだろう。あるいは、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンを製造するのに必要な水の量は、各成分上に存在するすべてのアルコキシおよび他の加水分解性基の完全な加水分解および縮合に必要なHOの理論的な量の70%〜150%、あるいは同じ基準について80%〜120%の範囲内である。各実施形態において、金属アルコキシドが溶液から沈殿するほど速く水と反応しないことを確実にするため、水は徐々に添加することが好ましい。これを達成する好適な方法は水を溶媒で希釈することによる。水を希釈するのに有用な溶媒は、成分を分散させるのに用いるものと同じである。用いる成分およびそれらをいつ添加するかに応じて、必要な水は1回でまたは1つ以上の工程の間に添加することもできる。存在し、加水分解および縮合する必要があり得る他の加水分解性基は、これに限定されないがクロロを含む、用いる成分上に見られるもののいずれかである。
【0077】
上述のとおり、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンは多くの溶媒に溶解性であり、エポキシおよびポリウレタンのような多くのポリマーと相溶性である。これらの利点は、金属前駆体の低コストとともに、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの実用を促進するだろう。金属特性および用途は、ポリヘテロシロキサン中に組み込まれた金属元素の特性によって決まる。潜在的な用途としては、これらに限定されないが、紫外線保護コーティング、熱伝導性材料、導電/帯電防止材料、自己洗浄コーティング、光触媒材料、コーティングまたは塗料の着色剤、光沢/機械特性向上剤、補強要素、接着要素、耐引っかき/衝撃性コーティング、および触媒が挙げられる。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は本発明の好適な実施形態を示すために含む。当業者であれば、以下実施例において開示する技術が、本発明者らにより本発明の実施において十分に機能することが見出された技術を表し、よってその実施のための好適な態様を構成すると見なすことができることを理解すべきである。一方で、当業者であれば、本開示を踏まえ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示する具体的な実施例において多くの変更を行うことができ、さらに同じまたは同様の結果が得られることを理解すべきである。本実施例における室温(RT)は20℃である。
【0079】
生成物の溶解性は、1グラムの固体生成物を9グラムのTHF、トルエン、酢酸ブチル、およびクロロホルムのような溶媒中で混合することにより試験した。溶解性とは、固体生成物が溶媒中で(顕著な不溶性の固体なしに)十分に溶解することを意味する。本明細書において用いるMeとはメチルを意味し、Acとは酢酸塩を意味し、acacとはアセチルアセトネートを意味し、Phとはフェニルを意味する。
【0080】
(実施例1)
4.40gのZnAc.2HO、11.37gのチタニウムテトライソプロポキシド(TPT)、20gのイソプロパノール(IPA)、および10gのトルエンを250mlフラスコに入れた。混合物をRTで1時間撹拌した後、わずかに濁った溶液を得た。シラノール含有オルガノシロキサンを、5.47gのフェニルメチルジメトキシシラン(PhMeSi(OMe))、5.95gのフェニルトリメトキシシラン(PhSi(OMe))、および2.54gの0.04MのHClを混合し、混合物を40分間超音波処理(ソニケーター:Fisher Scientific Instrument(ペンシルベニア州ピッツバーグ)、FS60型)することにより調製した。シラノール含有オルガノシロキサン溶液を250mlフラスコに添加し、10分後溶液は透明になった。撹拌をRTで2時間続けた。反応混合物中のHOの総量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の100%だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、THF、およびクロロホルムのような多くの有機溶媒に溶解性である、Ti0.33Zn0.17PhMe0.25Ph0.2513C NMRに基づきアルコキシ6.8重量%)の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0081】
(実施例2)
0.88gのAgNOを1.00gのHOおよび25gのIPAに溶解し、溶液を13.18gのTPTおよび6gのIPAを含有するTPT溶液中に添加した。RTで18分間撹拌後、30gのトルエンをフラスコ中に添加した。シラノール含有オルガノシロキサン溶液を、3.65gのフェニルメチルジメトキシシラン、1.99gのフェニルトリメトキシシラン、10gのトルエン、および1.36gの0.1MのHNOを混合し、混合物を30分間超音波処理することにより調製した。シラノール含有オルガノシロキサン溶液を250mlフラスコ中に添加し、溶液は暗褐色になった。撹拌をRTで3.5時間続けた。5.0gのIPA中の0.50gのHOを溶液に添加した。用いたHOの総量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の120%だった。RTで2時間撹拌後、回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、アセトン、THF、およびクロロホルムのような多くの有機溶媒に溶解性である、Ti0.57Ag0.06PhMe0.25Ph0.1213C NMRに基づきアルコキシ5.8重量%)の理論的組成を有する黄色の固体だった。
【0082】
(実施例3〜33)
上述と同じ合成方法を用いてさまざまなポリヘテロシロキサン材料を合成した。金属元素は、Li、Na、Mg、Ca、Ba、Y、Ce、Eu、Er、Yb、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Cd、Al、およびPb−周期表の1列〜14列の各列における少なくとも1つの金属元素を含んだ。ポリヘテロシロキサン材料は各種有機溶媒に溶解可能な固体材料だった。表1参照。
【表1】

【0083】
(実施例34)
5.32gのSn(Ac)、5.1gのTi(OBu)、15gの1−BuOHを250mlフラスコに入れた。撹拌下、0.86gのHOおよび20gの1−BuOHを含有する溶液を徐々に添加した。30分後溶液は透明だった。シラノール含有オルガノシロキサン溶液を、3.12gのSi(OEt)、19gの1−BuOH、および0.60gの0.1MのHClを混合し、混合物を30分間超音波処理することにより調製した。シラノール含有オルガノシロキサン溶液を250mlフラスコに添加し、RTで4時間の撹拌後、溶液は透明なままだった。用いたHOの量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の90%だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、THF、および1−BuOHに溶解性である、Ti0.333Sn0.3330.333の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0084】
(実施例35)
4.39gのZn(Ac).2HO、9.60gのジルコニウムテトラ(n−ブトキシド)(NBZ、1−BuOH中80%)、および15gの1−BuOHを250mlフラスコに入れた。20分後溶液は透明だった。3.22gのフェニルトリメトキシシランおよび3.03gのフェニルメチルジメトキシシランを添加し、10分間撹拌した。次に1.12gの0.1NのHCl(1−BuOH中6%)を徐々に添加した後、20gのトルエンを添加した。RTで4時間の撹拌後、溶液は透明なままだった。用いたHOの量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の100%だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、およびTHFに溶解性である、Zr0.275Zn0.275PhMe0.228Ph0.22313C NMRに基づきアルコキシ8.4重量%)の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0085】
(実施例36)
9.1gのTPT、10gのIPAを250mlフラスコに入れた。撹拌下、1.98gのPhSi(OMe)、3.65gのPhMeSi(OMe)、4.5gのトルエン、1.1gのIPA、および1.26gの0.1NのHClを混合し、混合物を30分間超音波処理することにより調製されたシラノール含有オルガノシロキサン溶液を徐々に添加した。10分後溶液は乳白色になった。次に20gのトルエンを添加し、溶液は透明になった。次に1.72gのMg(Ac).4HOおよび10gのIPA中の0.10gのHOを添加した。用いたHOの量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の100%だった。RTで4時間の撹拌後、溶液は透明だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、およびTHFに溶解性である、Ti0.457Mg0.114PhMe0.286Ph0.143の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0086】
(実施例37)
3.24gのAl(acac)を、1.98gのPhSi(OMe)、3.65gのPhMeSi(OMe)、4.5gのトルエン、1.1gのIPA、および1.26gの0.1NのHClを混合し、混合物を30分間超音波処理することにより調製されたシラノール含有オルガノシロキサン溶液中に分散させた。分散物をRTで30分間撹拌した。次に8.53gのTPTおよび10gのIPAを分散物に添加した。撹拌下、1.01gのHO(IPA中6%)を徐々に添加した。用いたHOの量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の100%だった。RTで4時間の撹拌後、溶液は透明だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物のGPC分析において未反応前駆体の兆候は見られない。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、およびTHFに溶解性である、Ti0.469Al0.159PhMe0.250Ph0.12513C NMRに基づきアルコキシ7.4重量%)の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0087】
(実施例38)
2.64gのZn(Ac).2HO、13.65gのTPT、5.47gのPhMeSi(OMe)、1.99gのPhSi(OMe)、10gのIPA、および30gのトルエンを250mlフラスコに入れた。分散物をRTで40分間撹拌した。次に2.12gの0.1NのHCl(IPA中4%)を徐々にフラスコに添加した。HOの総量はすべてのアルコキシ基の完全な加水分解および縮合に理論的に必要な水の量の100%だった。RTで3時間の撹拌後、溶液は透明だった。回転蒸発器を用いて溶媒を除去した。生成物は、酢酸ブチル、トルエン、およびTHFに溶解性である、Ti0.48Zn0.12PhMe0.30Ph0.10の理論的組成を有する白色の固体だった。
【0088】
(比較例1(金属塩不使用))
6.17gのSn(OBu)、5.10gのTi(OBu)、および3.12gのSi(OEt)を250mlフラスコ中で混合した。3重量%のH2O/1−BuOH溶液を撹拌下で徐々にフラスコ中に添加した。化学量論的量の60%のHOで、30分間の還流後、溶液は透明なままだった。化学量論的量の80%のHOで、ゲル化し、固体はトルエン、IPA、1−BuOH、および酢酸ブチルに溶解性でなかった。化学量論的量の60%のHOでの生成物中の理論的アルコキシ含有量の計算は55重量%となった。
【0089】
(用途例)
金属酸化物は固有の吸収帯を有し、よって樹脂中に組み込まれた際に異なる色を示す。上記実施例の各種ポリヘテロシロキサン樹脂の紫外線透過率スペクトルは、紫外線領域(280〜400nm)において優れた吸収能力を示した。
【0090】
ポリウレタンコーティングを、Bayer Desmophen A870およびDesmodur N3390を用いて製剤した。一般的な製剤は、0.60gのポリヘテロシロキサン樹脂、2.58gの酢酸ブチル、8.00gのDesmophen A870、および2.96gのDesmodur N3390で構成されていた。ゲル化時間は8時間より長い時間(無触媒)から2分未満(Si+Ti+V樹脂で触媒)まで大きく変化した。
【化4】


無触媒 ゲル化時間>8時間
Si+Ti+Zn ゲル化時間〜20分
Si+Ti+V ゲル化時間<2分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属(M1)アルコキシド、
(B) (B1)オルガノシロキサン、または(B2)シランから選択される加水分解性基を有するケイ素含有材料、および
(C)加水分解性金属(M2)塩
を成分(A)、(B)、および(C)上のアルコキシ基および他の加水分解性基を加水分解および縮合するのに必要な50〜200%をもたらすある量の水と反応させ、ポリヘテロシロキサンを形成するが、ただし、少なくとも2つの非Si金属元素が成分(A)および/または(C)よりもたらされるステップを含む、少なくとも2つの非Si金属元素を有するポリヘテロシロキサンの調製方法。
【請求項2】
(M1)および(M2)が非Si金属元素であり、互いに異なる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(A)前記金属(M1)アルコキシドが一般式(I)RM1O(ORv1−m−p−2nを有する金属アルコキシドから選択され、式中、M1はTi、Al、Ge、Zr、Sn、Cr、Ca、Ba、Sb、Cu、Ga、Hf、In、Fe、Mg、Mo、Nb、Ce、Er、La、Nd、Pr、Sm、Y、Sr、Ta、Te、W、およびVから選択され、各Xは独立してカルボキシレート配位子、有機スルホン酸塩配位子、有機リン酸塩配位子、β−ジケトネート配位子、および塩化物配位子から選択され、v1はM1の酸化状態であり、mは0〜3の値であり、nは0〜2の値であり、pは0〜3の値であり、各Rは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、各Rは独立して選択される1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基であり、
(B)前記ケイ素含有材料が(B1)平均式(II)R(RO)SiO(4−(a+b))/2を有するオルガノシロキサンまたは(B2)一般式(III)RSiYを有するシランから選択され、式中、YはClまたはORであり、各Rは独立して選択される水素原子、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜12個の炭素原子を有するアリール基、エポキシ基、アミノ基、またはカルビノール基であり、Rは独立して選択される水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、6〜8個の炭素原子を有するアリール基、または一般式(VI)−(RO)を有するポリエーテル基であり、式中、qは1〜4の値であり、各Rは独立して選択される2〜6個の炭素原子を有する二価アルキレン基であり、Rは独立して選択される水素原子または1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基であり、aは0.1〜3の値であり、bは0.5〜3の値であり、(a+b)は0.6〜3.9の値であり、cは0〜3の値であり、dは1〜4の値であり、(c+d)は4に等しく、
(C)前記加水分解性金属(M2)塩が(C1)一般式(IV)RM2(Z)(v2−e)/wを有する非水和金属塩または(C2)一般式(V)M2(Z)v2/w・xHOを有する水和金属塩から選択され、式中、M2は周期表の金属元素のいずれかから選択され、v2はM2の酸化状態であり、wは配位子Zの酸化状態であり、Zは独立してカルボキシレート、β−ジケトネート、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、有機スルホン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、シアン化物、亜リン酸塩、リン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、およびシュウ酸塩から選択され、各Rは独立して選択される1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、または6〜8個の炭素原子を有するアリール基であり、eは0〜3の値であり、xは0.5〜12の値である、
請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
M2がLi、Na、Ca、Mg、Ba、Ti、Zr、Ce、Eu、Nd、Er、Yb、Y、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、Cd、Al、Ge、およびPbから選択される、前請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
(1)成分(A)および少なくとも1つの成分(C1)または(C2)をある量の水と反応させ、M1−O−M2オキソ結合を含有する混合金属酸化物溶液を形成し;(2)少なくとも1つの成分(B1)または(B2)をM1−O−M2オキソ結合を含有する該混合金属酸化物溶液とさらに反応させ、必要に応じて追加の量の水を添加し、ポリヘテロシロキサンを形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
(1)成分(A)および少なくとも1つの成分(B1)または(B2)をある量の水と反応させ、M1−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンを形成し;(2)M1−O−Si結合を含有する該ヘテロシロキサンを少なくとも1つの成分(C1)または(C2)、および必要に応じて追加の量の水とさらに反応させ、ポリヘテロシロキサンを形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
(1)成分(C1)または(C2)および少なくとも1つの成分(B1)または(B2)をある量の水と反応させ、M2−O−Si結合を含有するヘテロシロキサンを形成し;(2)M2−O−Si結合を含有する該ヘテロシロキサンを少なくとも1つの成分(A)、および必要に応じて追加の量の水とさらに反応させ、ポリヘテロシロキサンを形成する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
添加する水の総量がすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の70〜150%である、前請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
添加する水の総量がすべてのアルコキシ基および他の加水分解性基の加水分解および縮合に理論的に必要な量の80〜120%である、前請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9に記載の方法のいずれかにより調製されたポリヘテロシロキサン。
【請求項11】
請求項10に記載のポリヘテロシロキサンを含む、コーティング組成物。


【公表番号】特表2012−532213(P2012−532213A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517876(P2012−517876)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/040510
【国際公開番号】WO2011/002826
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】