説明

ポリベンゾオキサゾール膜の選択性を向上させる方法

本発明は、芳香族ポリイミド膜から調製したポリベンゾオキサゾール(PBO)膜の気体、蒸気および液体分離の選択性を向上させる新規な方法を開示する。芳香族ポリイミド膜を熱処理して調製したPBO膜は、0.05〜20重量%のポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む。これらの高分子化合物は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まない対応する芳香族ポリイミド膜から調製したPBO膜と比較して、CO/CHおよびH/CH分離の選択性が最大95%向上した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子膜の選択性を向上させる方法、ならびに気体、蒸気および液体分離のためのそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は、ポリベンゾオキサゾール膜の調製においてポリスチレンスルホン酸高分子化合物を添加することによって、芳香族ポリイミド膜から調製したポリベンゾオキサゾール膜の気体、蒸気および液体分離の選択性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去30〜35年の間に、高分子膜による気体分離プロセスの最新技術は急速に進化している。膜を用いる技術は、従来の分離法と比較して、資本が少なく、エネルギー効率が高いという両方の利点を有する。気体の膜分離は、石油生産業者および精製業者、化学会社および工業用ガス供給業者にとって特に関心が高い。天然ガスおよびバイオガスからの二酸化炭素の除去、原油の二次回収などのいくつかの用途ならびにアンモニアパージガス流中の窒素、メタンおよびアルゴンからの水素除去の用途でも商業的な成功が収められている。例えば、UOP社のSeparex(商標)酢酸セルロース高分子膜は現在、天然ガスから二酸化炭素を除去するための国際的な市場での主力商品である。
【0003】
商業的な気体の分離用途で最も一般に使用されている膜は、非多孔性高分子膜である。分離は、溶解拡散機構に基づいている。この機構は、透過する気体と膜高分子化合物との分子レベルの相互作用を伴うものである。この機構は、2つの対向面を有する膜において、各成分が片面で膜に吸着され、気体濃度勾配によって輸送され、反対面で脱着されることを前提としている。この溶解拡散モデルによれば、一対の所与の気体(例えば、CO/CH、O/N、H/CH)を分離する際の膜性能は、次の2つのパラメータ:透過係数(以下、Pと略す)および選択性(αΑ/Β)によって決定される。Pは、気体流束と膜の選択的なスキン層の厚さとの積を、膜全体の圧力差で割ったものである。αΑ/Βは、2種類の気体の透過係数の比(αΑ/Β=P/P)であり、ここで、Pはより透過性の高い気体の透過率であり、Pはより透過性の低い気体の透過率である。気体は、溶解度係数または拡散係数が高い、あるいは両方の係数が高いため、高い透過係数を有することができる。一般に、気体の分子の大きさが増加すると、溶解度係数は増加するが、拡散係数は減少する。高性能の高分子膜では、高透過率および高選択性が望ましく、それは、透過率がより高いことにより、気体の所与の体積を処理するために必要とされる膜面積の大きさが減少し、それにより、膜単位の資本が減少し、選択性がより高いことで、より高純度の生成ガスが得られるからである。
【0004】
高分子化合物は、低コスト、良好な透過率、機械的安定性、および気体の分離にとって重要である加工容易性などの様々な特性を提供する。高いガラス転移温度(T)、高い融点および高い結晶性を有する高分子材料が好ましい。ガラス状高分子化合物(すなわち、それらのT以下の温度の高分子化合物)は、より剛直な高分子骨格を有し、従って、水素およびヘリウムなどのより小さい分子をより急速に通過させるが、炭化水素などのより大きな分子は、より剛直性の低い骨格を有する高分子化合物と比較して、よりゆっくりとガラス状高分子化合物を通過する。しかし、透過性がより高い高分子化合物は、一般に透過性がより低い高分子化合物よりも選択性が低い。透過率と選択性との間には常に一般的な二律背反が存在している(いわゆる高分子化合物の上限)。過去30年にわたって、この上限によって課された制限を克服することにかなりの調査努力が向けられている。各種高分子化合物および技術が用いられてきたが、それ程大きな成功は収められていない。さらに、従来の高分子膜は、熱安定性および耐汚染性の点でも限界を有する。
【0005】
気体の分離では酢酸セルロース(CA)ガラス状高分子膜が広く使用されている。現在では、そのようなCA膜は、二酸化炭素の除去などの天然ガスの品質向上のために商業的に使用されている。CA膜は多くの利点を有するが、選択性、透過率などの複数の特性、ならびに化学、熱および機械的安定性の点で限界がある。高分子膜の性能は急速に劣化し得ることが分かっている。膜性能の喪失の主な原因は、膜表面での液体の凝縮である。膜生成ガスの計算された露点に基づいて、操作にとって十分な露点限界を与えることによって凝縮を防止することができる。天然ガス流から水および重炭化水素を除去し、よって、天然ガス流の露点を低下させるために、分子篩を使用する再生可能な吸着システムであるUOP社のMemGuard(商標)システムが開発された。前処理システムで重炭化水素を選択的に除去すると膜の性能を著しく向上させることができる。これらの前処理システムによってこの機能を効果的に行うことができるが、コストが非常に高い。プロジェクトの中には、前処理システムのコストが、供給組成物に応じて、全体コスト(前処理システムおよび膜システム)の10〜40%程に及ぶ高さのものがあった。前処理システムを小さくし、さらには前処理システムを完全に取り除くと、天然ガスの品質向上のための膜システムのコストが著しく減少する。別の要因は、近年、ますます多くの膜システムが大きな沖合天然ガス品質向上プロジェクトに導入されていることである。設置面積は、沖合プロジェクトでは大きな制約となる。前処理システムの設置面積は非常に大きく、膜システム全体の設置面積の10〜50%を超える。膜システムから前処理システムを除去することは、特に沖合プロジェクトに対して大きな経済的効果を与える。
【0006】
ポリイミド(PI)、ポリトリメチルシリルプロピン(PTMSP)およびポリトリアゾールなどの高性能高分子は、膜選択性、透過率および熱安定性を向上させるために開発された。これらの高分子膜材料は、気体対(例えばCO/CH、O/N、H/CHおよびプロピレン/プロパン(C/C))の分離にとって有望な特性を示した。しかし、現在の高分子膜材料は、それらの生産性と選択性との二律背反の関係で限界に達している。さらに、ガラス状溶解拡散膜の使用に基づく気体分離プロセスは、COまたはCなどの吸着された透過分子によって高分子マトリックスが頻繁に可塑化されるという欠点を有する。供給ガス混合物が凝縮性の気体を含む場合、膜構造の膨張および供給物のすべての成分の透過率の顕著な増加によって実証される高分子化合物の可塑化が、可塑化圧力を超越して起こる。
【0007】
芳香族ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)およびポリベンゾイミダゾール(PBI)は、平坦で剛直な剛体棒状フェニレン複素環単位を有する非常に熱的に安定なはしご状のガラス状高分子化合物である。そのような高分子化合物中の剛直で強固な環単位は効率的に密集して、高分子膜に高透過率および高選択性を与えるのに望ましい透過アクセス可能な非常に小さな自由体積要素を残している。しかし、これらの芳香族PBO、PBTおよびPBI高分子化合物は一般的な有機溶媒への溶解度が非常に低いため、それらを使用して最も実用的な溶媒流延法で高分子膜を作製することができない。
【0008】
高分子骨格中の複素環イミド窒素のオルト位に側鎖官能基を含む可溶性芳香族ポリイミドを、芳香族ポリベンゾオキサゾール(PBO)またはポリベンゾチアゾール(PBT)に熱転換することで、溶媒流延法でPBOまたはPBT高分子化合物から直接に得ることが難しいまたは不可能なPBOまたはPBT高分子膜を作製するための別の方法が得られることが分かった(Tullos et al, MACROMOLECULES, 32, 3598 (1999))。定期刊行物SCIENCEの最新刊には、気体分離用の高透過性ポリベンゾオキサゾール高分子膜が報告されている(Ho Bum Park et al, SCIENCE 318, 254 (2007))。これらのポリベンゾオキサゾール膜は、複素環イミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含むヒドロキシ含有ポリイミド高分子膜を高温熱転位して調製される。これらのポリベンゾオキサゾール高分子膜は、従来の高分子膜よりも10〜100倍良好な極めて高いCO透過率を示した。しかし、これらのポリベンゾオキサゾール高分子膜のCO/CH選択性は、従来の高分子膜と同程度であった。現在市販されている高分子膜よりも高い分離効率を有する新しい商業的に実現可能な膜を作製するために、これらの新しいポリベンゾオキサゾール高分子膜の選択性を向上させることがなお必要である。定期刊行物SCIENCEのこの最新刊の著者は、酸性小分子(例えば、HClおよびHPO)を添加することによって、これらのポリベンゾオキサゾール高分子膜の選択性を増加させることを試みた。しかし、これらのポリベンゾオキサゾール高分子膜中の酸性小分子の安定性は、商業用途にとって重要な問題であることが分かった。
【0009】
本発明は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物などの芳香族スルホン酸基を含む高分子化合物の導入によってポリベンゾオキサゾール膜の選択性を向上させる方法を提供する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、芳香族ポリイミド膜から調製したポリベンゾオキサゾール(PBO)膜の気体、蒸気および液体分離の選択性を向上させる新規な方法に関する。
不活性雰囲気下300℃〜650℃の温度範囲でポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜を熱環化して、本発明のPBO膜を調製した。該芳香族ポリイミド膜は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物と高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物から調製した。
【0011】
ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜を熱処理して調製したPBO膜は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まない対応する芳香族ポリイミド膜から調製したPBO膜と比較して、CO/CHおよびH/CH分離の選択性に対して最大95%の向上を示した。
【0012】
これらのPBO膜は、加工容易性、高い機械的安定性、高選択性および高透過率を提供する。本発明に記載されているPBO膜は、非多孔性対称構造、もしくは選択層が多孔性支持層上に支持された非対称構造のいずれか一方を有することができる。これらの膜は、平判シート(または巻取シート)、円板、管、中空繊維または薄膜複合体などの任意の好都合な幾何学形状に形成することができる。
【0013】
本発明は、これらのPBO膜を用いて、少なくとも1種の気体または液体を、気体または液体の混合物から分離する方法も提供する。該方法は、少なくとも1種の気体または液体に対して透過性であるPBO膜を用意する工程と、選択性の高い該PBO膜の片側に気体または液体の該混合物を接触させて、選択性の高い該PBO膜に少なくとも1種の気体または液体を透過させる工程と、該膜を透過した少なくとも1種の気体または液体の一部である透過した気体または液体組成物を該膜の反対側から除去する工程とを含む。
【0014】
これらのPBO膜は、逆浸透による水の脱塩、ガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫などの非水液体の分離、エタノールと水の分離、水性/有機混合物の透過気化法による脱水、CO/CH、CO/N、H/CH、O/N、HS/CH、オレフィン/パラフィン、イソパラフィン/ノルマルパラフィンの分離および他の軽い気体の混合物の分離などの様々な液体、気体および蒸気の分離に適しているだけでなく、触媒作用および燃料電池用途などの他の用途のためにも使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明では、ポリベンゾオキサゾール膜を熱環化により作製するのに使用される芳香族ポリイミド膜に0.05〜20重量%のポリスチレンスルホン酸高分子化合物を導入することで、ポリベンゾオキサゾール膜の選択性が著しく向上することができることが分かった。ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜を熱処理して調製したPBO膜は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まない対応する芳香族ポリイミド膜から調製したPBO膜と比較して、CO/CH分離の選択性が最大95%、H/CH分離の選択性が最大130%向上した。
【0016】
本発明に記載されているPBO膜は、加工が容易で、機械的安定性が高く、かつ選択性と透過率が高い。
本発明は、最初に、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物と高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物から芳香族ポリイミド膜を作製する工程と、次いで、アルゴン、窒素または真空などの不活性雰囲気下300℃〜650℃で芳香族ポリイミド膜を加熱してそれをポリベンゾオキサゾール膜に転換する工程とを含む、気体、蒸気および液体分離に高い選択性を有する高性能ポリベンゾオキサゾール膜の製造方法を提供する。場合によっては、ポリベンゾオキサゾール膜の形成後に成膜後処理工程を追加することができ、この工程では、ポリベンゾオキサゾール膜の選択層の表面を、ポリシロキサン、フッ素重合体、熱硬化性シリコーンゴムまたは紫外線硬化性エポキシシリコーンなどの高透過性材料の薄層でコーティングする。
【0017】
ポリベンゾオキサゾール膜の調製のために使用される芳香族ポリイミド膜は、溶液流延または溶液紡糸方法あるいは当業者に知られている他の方法によって、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物と高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物から作製する。好ましくは、ポリスチレンスルホン酸は、混合物の0.02〜20重量%であり、より好ましくは、ポリスチレンスルホン酸は、混合物の1〜10重量%である。芳香族ポリイミド高分子化合物の熱環化によって、ポリベンゾオキサゾールが生成され、同時に、他の揮発性副産物を生成せずに二酸化炭素が失われる。ポリベンゾオキサゾール膜中のポリベンゾオキサゾール高分子化合物は、式(I)の繰り返し単位を含み、ここで、前記式(I)は、
【0018】
【化1】

【0019】
であり、
式中、
【0020】
【化2】

【0021】
は、
【0022】
【化3】

【0023】
およびそれらの混合物からなる群から選択され、−R−は、
【0024】
【化4】

【0025】
およびそれらの混合物からなる群から選択され、
【0026】
【化5】

【0027】
は、
【0028】
【化6】

【0029】
およびそれらの混合物からなる群から選択される。
ポリベンゾオキサゾール膜の調製のために使用される、高分子骨格中の複素環イミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミドは、複数の式(II)の第1の繰り返し単位を含み、ここで、式(II)は、
【0030】
【化7】

【0031】
であり、
式中、
式(II)の−X−は、
【0032】
【化8】

【0033】
およびそれらの混合物からなる群から選択され、式(II)の−X−は、
【0034】
【化9】

【0035】
およびそれらの混合物からなる群から選択され、−R−は、
【0036】
【化10】

【0037】
およびそれらの混合物からなる群から選択される。
本発明では、選択性の高い高性能ポリベンゾオキサゾール膜の調製のために使用される、高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む好ましい芳香族ポリイミド高分子化合物としては、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(BTDA−HAB))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(DSDA−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(ODPA−APAF−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(BTDA−APAF−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(6FDA−HAB))、ポリ(4,4’−ビスフェノールA二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン(ポリ(BPADA−BTDA−APAF))およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
芳香族ポリイミド膜は、清浄なガラス板の上にポリスチレンスルホン酸高分子化合物および芳香族ポリイミド高分子化合物の均一溶液を流延し、プラスチックカバー内で、室温で少なくとも12時間ゆっくりと溶媒を蒸発させることによって、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物と芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物から、非多孔性で対称性の薄膜幾何学形状を有する膜に形成することができる。次いで、この膜をガラス板から剥離し、室温で24時間、次いで、真空下200℃で少なくとも48時間乾燥する。
【0039】
ポリスチレンスルホン酸および芳香族ポリイミド高分子化合物を溶解するために使用される溶媒は、膜形成工程で高分子化合物を完全に溶解する能力および溶媒除去の容易さを主たる理由として選択する。溶媒の選択の際に考慮すべき他の事項としては、低毒性、低腐食活性、低環境危険性、入手可能性およびコストが挙げられる。本発明で使用される代表的な溶媒としては、N−メチルピロリドン(NMP)およびΝ,Ν−ジメチルアセトアミド(DMAC)などの大部分のアミド溶媒、塩化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、Ν,Ν−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ジオキサン、1,3−ジオキソランおよびそれらの混合物ならびに当業者に知られている他の溶媒およびそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
また、芳香族ポリイミド膜は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物および芳香族ポリイミド高分子化合物を溶媒に溶解して溶液を形成する工程と、多孔性膜支持体(例えば、無機セラミック材料で作製された支持体)をこの溶液に接触させる工程と、次いで、溶媒を蒸発させて、支持層上にポリスチレンスルホン酸高分子化合物および芳香族ポリイミド高分子材料を含む選択層を得る工程とを含む方法によって作製することもできる。
【0041】
芳香族ポリイミド膜は、相転換後に炭化水素またはエーテルなどの疎水性有機化合物である少なくとも1種の乾燥剤を用いて直接空気乾燥することによって、平判シートまたは中空繊維幾何学形状を有する非対称性膜として作製することができ(米国特許第4,855,048号を参照)、また、相転換後に溶媒交換を行うことによって、平判シートまたは中空繊維幾何学形状を有する非対称性膜として作製することもできる(米国特許第3,133,132号を参照)。
【0042】
次いで、アルゴン、窒素または真空などの不活性雰囲気下300℃〜650℃、好ましくは350℃〜500℃、最も好ましくは350℃〜450℃で加熱して、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜をポリベンゾオキサゾール高分子膜に転換する。この加熱工程の加熱時間は、30秒〜2時間の範囲である。より好ましい加熱時間は、30秒〜1時間である。
【0043】
場合によっては、ポリベンゾオキサゾール高分子膜の形成後に、ポリシロキサン、フッ素重合体、熱硬化性シリコーンゴムまたは紫外線硬化性エポキシシリコーンなどの高透過性材料の薄層の塗布を伴う成膜後処理工程を追加することができる。コーティングによって表面の孔および空隙を含む他の不完全な箇所を充填する(米国特許第4,230,463号、米国特許第4,877,528号および米国特許第6,368,382号を参照)。
【0044】
本発明の選択性の高い高性能ポリベンゾオキサゾール高分子膜は、非多孔性対称構造、もしくは高密度の非多孔性選択層が多孔性支持層上に支持された非対称構造のいずれか一方を有することができる。多孔性支持体は、同じポリベンゾオキサゾール高分子材料または高い熱安定性を有する異なる種類の有機もしくは無機材料で作製することができる。本発明の選択性の高いポリベンゾオキサゾール高分子膜は、平判シート(または巻取シート)、円板、管、中空繊維または薄膜複合体などの任意の好都合な幾何学形状に形成することができる。
【0045】
本発明は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜から調製した選択性の高いポリベンゾオキサゾール高分子膜を用いて、少なくとも1種の気体または液体を、気体または液体の混合物から分離する方法であって、(a)少なくとも1種の気体または液体に透過可能な本発明に記載されているポリベンゾオキサゾール膜を用意する工程と、(b)混合物をポリベンゾオキサゾール膜の片側に接触させて、少なくとも1種の気体または液体をポリベンゾオキサゾール膜に透過させる工程と、(c)次いで、膜を透過した少なくとも1種の気体または液体の一部を含む透過した気体または液体組成物を膜の反対側から除去する工程とを含む方法を提供する。
【0046】
これらのポリベンゾオキサゾール膜は、液相または気相中の特定の化学種の精製、分離または吸着に特に有用である。気体対の分離だけでなく、逆浸透による水の脱塩のため、あるいは、例えば医薬およびバイオ産業におけるタンパク質または他の熱的に不安定な化合物の分離のために、これらのポリベンゾオキサゾール膜を使用してもよい。また、ポリベンゾオキサゾール膜を発酵槽およびバイオリアクタに使用して、反応器内に気体を輸送したり、細胞培地を容器の外に移動させたりしてもよい。さらに、ポリベンゾオキサゾール膜を、空気または水流からの微生物の除去、水の浄化、連続的な発酵/膜透過気化システムにおけるエタノールの製造のために、および空気または水流中の微量化合物または金属塩の検出または除去に使用してもよい。
【0047】
本発明のポリベンゾオキサゾール膜は、空気精製、石油化学製品、精油所および天然ガス産業における気体分離プロセスに特に有用である。そのような分離の例としては、空気からの窒素または酸素および窒素の回収などの大気中の気体からの揮発性有機化合物(例えば、トルエン、キシレンおよびアセトン)の分離が挙げられる。そのような分離のさらなる例は、天然ガスからのCOまたはHSの分離、アンモニアパージガス流中のN、CHおよびArからのHの分離、精油所におけるHの回収、プロピレンとプロパンの分離およびイソパラフィンとノルマルパラフィンの分離などのオレフィン分離およびパラフィン分離である。分子の大きさが異なる気体の任意の所与の対または群、例えば、窒素および酸素、二酸化炭素およびメタン、水素およびメタンまたは一酸化炭素、ヘリウムおよびメタンを本明細書に記載されているポリベンゾオキサゾール膜を用いて分離することができる。3種以上の気体を第3の気体から除去することができる。例えば、本明細書に記載されている膜を用いて未精製の天然ガスから選択的に除去することができる気体成分のいくつかとしては、二酸化炭素、酸素、窒素、水蒸気、硫化水素、ヘリウムおよび他の微量気体が挙げられる。選択的に保持することができる気体成分のいくつかとしては、炭化水素気体が挙げられる。透過性成分が二酸化炭素、硫化水素およびそれらの混合物からなる群から選択される酸性成分であり、それらを天然ガスなどの炭化水素混合物から除去する場合、1つのモジュール(または平行に稼働する少なくとも2つのモジュール)または一連のモジュールを利用して酸性成分を除去してもよい。例えば、1つのモジュールを利用する場合、供給ガスの圧力は275kPa〜2.6MPa(25〜4000psi)の範囲で変動してもよい。膜全体の圧力差は、使用される特定の膜、流入流の流量、および圧縮が望まれる場合に透過流を圧縮するための圧縮器の利用可能性などの多くの要因に応じて、最低で0.7バールまたは最高で145バール(10psiまたは最高で2100psi)とすることができる。145バール(2100psi)よりも大きい圧力差によって膜が破裂することがある。少なくとも7バール(100psi)の圧力差が好ましく、それは、7バールよりも低い圧力差によって、より多くのモジュール、より長い時間および中間生成物流の圧縮が必要となり得るからである。プロセスの操作温度は、供給物流の温度および周囲温度条件によって異なってもよい。好ましくは、本発明の膜の有効な操作温度は、−50℃〜150℃の範囲である。より好ましくは、膜の有効な操作温度は−20℃〜100℃の範囲であり、最も好ましくは、有効な操作温度は25℃〜100℃の範囲である。
【0048】
ポリベンゾオキサゾール膜は、化学、石油化学、医薬、および気体流から有機蒸気を除去する関連産業における気体/蒸気分離プロセス、例えば、大気汚染防止規制に適合するように揮発性有機化合物を回収する気体廃棄物処理、あるいは有益な化合物(例えば、塩化ビニル単量体、プロピレン)を回収するように製造工場のプロセスの流れの中に使用するのに特に有用である。選択性の高いこれらのポリベンゾオキサゾール膜を使用することができる気体/蒸気分離プロセスのさらなる例は、天然ガスの炭化水素の露点を下げるため(すなわち、液体炭化水素がパイプライン中で分離しないように、パイプラインがとる可能性のある最低温度未満に炭化水素露点を下げるため)、ガス機関およびガスタービン用の燃料ガス中のメタン数を制御するため、またガソリンを回収するために、精油所および気体精製所で水素から炭化水素蒸気を分離することである。ポリベンゾオキサゾール膜には、膜を通るそれらの輸送を容易にするために、特定の気体に強く吸着する化学種(例えば、Oにはコバルトポルフィリンまたはフタロシアニン、エタンには銀(I))を組み込んでもよい。
【0049】
ポリベンゾオキサゾール膜は、天然ガスの品質向上(例えば、天然ガスからのCOの除去)のために十分な露点限界を得るように高温で操作することができる。ポリベンゾオキサゾール膜は、天然ガスの品質向上のための、単段の膜として、あるいは、二段膜システム中の第1および/または第2段の膜として使用することができる。ポリベンゾオキサゾール膜は、コストが高い前処理システムを使用せずに操作してもよい。従って、ポリベンゾオキサゾール膜システムを含む新しいプロセスでは、吸着システムなどのコストが高い膜前処理システムは必要ではない。前処理システムを取り除き、かつ膜面積が顕著に減少することで、新しいプロセスによって、資本の顕著な節約を達成することができ、既存の膜設置面積を減少させることができる。
【0050】
また、これらのポリベンゾオキサゾール膜を、透過気化法による液体混合物の分離、例えば、水性流出液またはプロセス流体などの水から有機化合物(例えば、アルコール類、フェノール類、塩素化炭化水素類、ピリジン類、ケトン類)を除去するのに使用してもよい。エタノール選択性であるポリベンゾオキサゾール膜は、発酵プロセスによって得られた比較的希薄なエタノール溶液(5〜10%エタノール)中のエタノール濃度を増加させるために使用することができる。これらのポリベンゾオキサゾール膜を用いた別の液相分離の例は、米国特許第7,048,846号に記載されているプロセス(その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に類似した透過気化膜プロセスによるガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫である。硫黄含有分子に選択的であるポリベンゾオキサゾール膜は、流動接触分解(FCC)流および他のナフサ炭化水素流から硫黄含有分子を選択的に除去するために使用される。さらなる液相分離の例としては、ある有機成分を別の有機成分から分離すること、例えば、有機化合物の異性体を分離することが挙げられる。選択性の高いポリベンゾオキサゾール膜を用いて分離され得る有機化合物の混合物としては、酢酸エチル−エタノール、ジエチルエーテル−エタノール、酢酸−エタノール、ベンゼン−エタノール、クロロホルム−エタノール、クロロホルム−メタノール、アセトン−イソプロピルエーテル、アリルアルコール−アリルエーテル、アリルアルコール−シクロヘキサン、ブタノール−酢酸ブチル、ブタノール−1−ブチルエーテル、エタノール−エチルブチルエーテル、酢酸プロピル−プロパノール、イソプロピルエーテル−イソプロピルアルコール、メタノール−エタノール−イソプロピルアルコール、および酢酸エチル−エタノール−酢酸が挙げられる。
【0051】
ポリベンゾオキサゾール膜を、水から有機分子(例えば、透過気化法によって水からエタノールおよび/またはフェノール)を分離する、また水から金属や他の有機化合物を除去するのに使用してもよい。
【0052】
ポリベンゾオキサゾール膜は、天然ガスからの二酸化炭素の除去などの気体混合物の分離に即座に利用することができる。天然ガス中の二酸化炭素はメタンよりも高速にこの膜を通過して拡散することができる。二酸化炭素は、より高い溶解度、より高い拡散率またはその両方により、メタンよりも透過率が高い。従って、二酸化炭素は膜の透過側に多く存在し、メタンは膜の供給(または非透過)側に多く存在する。
【0053】
ポリベンゾオキサゾール膜は、オレフィン分解用途に対し、パラフィン/オレフィン流からオレフィンを濃縮するのに利用することもできる。例えば、プロピレンとプロパンを分離するためにポリベンゾオキサゾール膜を使用して、プロパンからプロピレンまたイソブタンからイソブチレンを生成するための接触脱水素反応で流出液の濃度を増加させることができる。従って、重合等級のプロピレンを得るのに必要なプロピレン/プロパン分離装置の段数を減少させることができる。ポリベンゾオキサゾール膜の別の用途は、軽質パラフィンの異性化およびMaxEne(商標)(後にエチレンに転換することができるナフサ分解装置供給材料中のノルマルパラフィン(n−パラフィン)の濃度を高めるためのUOP社のプロセス)におけるイソパラフィンとノルマルパラフィンの分離である。
【0054】
ポリベンゾオキサゾール膜のさらなる用途は、特定の物質を選択的に除去することよって平衡制限反応の収率を高める化学反応器内の分離器として使用することである。
要約すると、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含む芳香族ポリイミド膜から調製した本発明のポリベンゾオキサゾール膜は、逆浸透による水の脱塩、ガソリンおよびディーゼル燃料の深度脱硫などの非水液体の分離、エタノールと水の分離、水性/有機混合物の透過気化法による脱水、CO/CH、CO/N、H/CH、O/N、HS/CH、オレフィン/パラフィン、イソパラフィン/ノルマルパラフィンの分離および軽気体混合物の分離などの様々な液体、気体および蒸気の分離に適している。
【実施例】
【0055】
本発明の1つ以上の好ましい実施形態を示すために以下の実施例を提供するが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲に含まれる以下の実施例に対する多くの変形が可能である。
【0056】
実施例1:ポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜の調製
ポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を、1:1の重量比でポリ(6FDA−HAB)およびポリ(BTDA−APAF−HAB)高分子化合物から調製した。ポリ(6FDA−HAB)高分子化合物は、重縮合反応によって、2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物および3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニルから合成した。ポリ(BTDA−APAF−HAB)高分子化合物は、重縮合反応によって、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニルから合成した。3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンおよび3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニルのモル比は、3:2:1である。2.5gのポリ(6FDA−HAB)および2.5gのポリ(BTDA−APAF−HAB)を、16.0gのNMPおよび9.0gの1,3−ジオキソランの溶媒混合物に溶解した。混合物を機械的に2時間撹拌して均質な流延溶液を形成した。得られた均質な流延溶液を一晩脱気させた。20ミリの間隙を有するドクターナイフを用いて、清浄なガラス板上で、気泡を含まない流延溶液から、ポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を調製した。次いで、この膜をガラス板と共に真空オーブンに入れた。真空オーブンの真空度と温度を徐々に上げながら溶媒を除去した。最後に、この膜を真空下200℃で少なくとも48時間乾燥して残留溶媒を完全に除去し、ポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜(PI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)と略す)を形成した。
【0057】
実施例2:ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜の調製
ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を以下のように調製した。1.25gのポリ(6FDA−HAB)および1.25gのポリ(BTDA−APAF−HAB)を、8.0gのNMPおよび4.5gの1,3−ジオキソランの溶媒混合物に溶解した。混合物を機械的に2時間撹拌して均質な流延溶液を形成した。次いで、0.2gのポリスチレンスルホン酸高分子化合物を撹拌しながら流延溶液に添加した。流延溶液をさらに1時間撹拌した。得られた均質な流延溶液を一晩脱気させた。20ミリの間隙を有するドクターナイフを用いて、清浄なガラス板上で、気泡を含まない流延溶液から、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を調製した。次いで、この膜をガラス板と共に真空オーブンに入れた。真空オーブンの真空度と温度を徐々に上げながら溶媒を除去した。最後に、この膜を真空下200℃で少なくとも48時間乾燥して残留溶媒を完全に除去し、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子化合物(PI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSAと略す)を形成した。
【0058】
実施例3:ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350の調製
実施例1で調製したPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)高分子膜を、3℃/分の加熱速度で窒素流中50℃〜350℃に加熱して、ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350を調製した。この膜を350℃で1時間保持した後、3℃/分の速度で窒素流中50℃に冷却した。
【0059】
実施例4:ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400の調製
実施例1で調製したPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)高分子膜を、3℃/分の加熱速度で窒素流中50℃〜400℃に加熱して、ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400を調製した。この膜を400℃で1時間保持した後、3℃/分の速度で窒素流中50℃に冷却した。
【0060】
実施例5:ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350の調製
実施例2で調製したPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA高分子膜を、3℃/分の加熱速度で窒素流中50℃〜350℃に加熱して、ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350を調製した。この膜を350℃で1時間保持した後、3℃/分の速度で窒素流中50℃に冷却した。
【0061】
実施例6:ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400の調製
実施例2で調製したPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA高分子膜を、3℃/分の加熱速度で窒素流中50℃〜400℃に加熱して、ポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400を調製した。この膜を400℃で1時間保持した後、3℃/分の速度で窒素流中50℃に冷却した。
【0062】
実施例7:比較可能なポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400の調製
ポリ(o−ヒドロキシスチレン)(PSOH)を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を以下のように調製した。1.25gのポリ(6FDA−HAB)および1.25gのポリ(BTDA−APAF−HAB)を、8.0gのNMPおよび4.5gの1,3−ジオキソランの溶媒混合物に溶解した。混合物を機械的に2時間撹拌して均質な流延溶液を形成した。次いで、0.2gのPSOH高分子化合物を撹拌しながら流延溶液に添加した。流延溶液をさらに1時間撹拌した。得られた均質な流延溶液を一晩脱気させた。20ミリの間隙を有するドクターナイフを用いて、清浄なガラス板上で、気泡を含まない流延溶液から、PSOH高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子膜を調製した。次いで、この膜をガラス板と共に真空オーブンに入れた。真空オーブンの真空度と温度を徐々に上げながら溶媒を除去した。最後に、この膜を真空下200℃で少なくとも48時間乾燥して残留溶媒を完全に除去し、PSOH高分子化合物を含むポリ(6FDA−HAB)/ポリ(BTDA−APAF−HAB)混合高分子化合物(PI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOHと略す)を形成した。
【0063】
PI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH高分子膜を、3℃/分の加熱速度で窒素流中50℃〜400℃に加熱して、比較可能なポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400を調製した。この膜を400℃で1時間保持した後、3℃/分の速度で窒素流中50℃に冷却した。
【0064】
実施例8:比較可能なポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−TSA−400の調製
膜を調製する際にPSOHの代わりに同量のトルエンスルホン酸(TSA)を使用したこと以外は実施例7で使用した同じ手順で、TSAを含む比較可能なポリベンゾオキサゾール高分子膜PBO(6FDA−HAB)/BTDA−APAF−HAB)−TSA−400膜を調製した。
【0065】
実施例9:PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−TSA−400高分子膜のCO/CH分離性能
CO/CHの分離について、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−TSA−400高分子膜をそれぞれ50℃および100℃の試験温度で試験した(表1)。表1から、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA膜から350℃で調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まないPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)膜から調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350よりも34%高い51.2のCO/CH選択性を有することが分かる。同様に、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA膜から400℃で調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まないPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)膜から調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−300よりも95%高い38.3のCO/CH選択性を有する。
【0066】
比較のために、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物と同じ高分子化合物鎖を有するがスルホン酸官能基を含まない別の高分子化合物であるポリ(o−ヒドロキシスチレン)(PSOH)を、実施例7に述べたようにPBO高分子膜に添加した。PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400膜を作製するために実施例7で使用したPSOHの量は、実施例6で調製したPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400PBO膜中のポリスチレンスルホン酸の量と同じである。表1の結果から、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)をPBO膜に添加することで、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400PBO膜について観察された選択性の向上が得られなかったことが分かる。これらの結果は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物のスルホン酸基が選択性の向上に対して重要な役割を担っていることを示唆している。さらに、小分子のスルホン酸化合物であるトルエンスルホン酸(TSA)を、実施例8で述べたように同じ量でPBO高分子膜に添加した。その結果から、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400PBO膜と比較して、CO透過率が減少し、選択性が向上しないことが分かった(表1を参照)。トルエンスルホン酸小分子化合物と比較したポリスチレンスルホン酸高分子化合物の利点について考えられる理由は、トルエンスルホン酸がポリスチレンスルホン酸よりも非常に低い温度で分解し、PBO膜を作製するための高温加熱処理中に有効でなかったことである。
表1 CO/CH分離のためのPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSOH−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−TSA−400高分子膜の純ガス透過試験の結果
【0067】
【表1】

【0068】
50℃および690kPa(100Psig)でPCO2およびPCH4を試験した
1Barrer=10−10cm(STP).cm/cm.sec.cmHg
実施例10:PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400高分子膜のH/CH分離性能
/CHの分離について、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400高分子膜を50℃の試験温度で試験した(表2)。表2から、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA膜から350℃で調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まないPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)膜から調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350よりも58%高い224のH/CH選択性を有することが分かる。同様に、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含むPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA膜から400℃で調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400は、ポリスチレンスルホン酸高分子化合物を含まないPI(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)膜から調製したPBO高分子膜PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400よりも130%高い84.6のH/CH選択性を有する。
表2 H/CH分離のためのPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−350、PBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−400およびPBO(6FDA−HAB/BTDA−APAF−HAB)−PSSA−400高分子膜の純ガス透過試験の結果
【0069】
【表2】

【0070】
H2およびPCH4を50℃および690kPa(100psig)で試験した
1Barrer=10−10cm(STP).cm/cm.sec.cmHg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初に、芳香族スルホン酸基を含む高分子化合物と芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物から芳香族ポリイミド膜を作製する工程と、次いで、不活性雰囲気下で加熱して、該芳香族ポリイミド膜をポリベンゾオキサゾール膜に転換する工程とを含む、気体、蒸気および液体分離に高い選択性を有する高性能ポリベンゾオキサゾール膜の製造方法。
【請求項2】
芳香族スルホン酸基を含む高分子化合物がポリスチレンスルホン酸高分子化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
芳香族スルホン酸基を含む高分子化合物がポリスチレンスルホン酸高分子化合物であり、該ポリスチレンスルホン酸高分子化合物が、芳香族スルホン酸基を含む高分子化合物と芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物との混合物の0.05〜20重量%を構成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
加熱が、300℃〜650℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物が、式(II)の第1の繰り返し単位を含み、ここで、式(II)は、
【化1】

であり、
式中、式(II)の−X−は、
【化2】

およびそれらの混合物からなる群から選択され、式(II)の−X−は、
【化3】

およびそれらの混合物からなる群から選択され、−R−は、
【化4】

およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物が、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(BTDA−HAB))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(DSDA−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(ODPA−APAF−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(BTDA−APAF−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(6FDA−HAB))、ポリ(4,4’−ビスフェノールA二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BPADA−BTDA−APAF))およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
芳香族ポリイミド高分子化合物とポリスチレンスルホン酸高分子化合物との混合物を含む膜。
【請求項8】
芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物が、式(II)の第1の繰り返し単位を含み、ここで、式(II)は、
【化5】

であり、
式中、式(II)の−X−は、
【化6】

およびそれらの混合物からなる群から選択され、式(II)の−X−は、
【化7】

およびそれらの混合物からなる群から選択され、−R−は、
【化8】

およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の膜。
【請求項9】
芳香族ポリイミド高分子骨格中のイミド窒素のオルト位に側鎖ヒドロキシル基を含む芳香族ポリイミド高分子化合物が、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BTDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(BTDA−HAB))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(ODPA−APAF))、ポリ[3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(DSDA−APAF))、ポリ(3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル)(ポリ(DSDA−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(6FDA−BTDA−APAF))、ポリ[4,4’−オキシジフタル酸無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(ODPA−APAF−HAB))、ポリ[3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(BTDA−APAF−HAB))、ポリ[2,2’−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物−3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−ビフェニル](ポリ(6FDA−HAB))、ポリ(4,4’−ビスフェノールA二無水物−3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン](ポリ(BPADA−BTDA−APAF))およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の膜。
【請求項10】
膜が、平判シート、円板、管、中空繊維または薄膜複合体からなる群から選択される形状を有する、請求項7、8または9に記載の膜。

【公表番号】特表2013−505822(P2013−505822A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530889(P2012−530889)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/045964
【国際公開番号】WO2011/037706
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】