説明

ポリペプチド・コンジュゲート

本開示は、複数の改善された薬理学的特性および薬物動態特性を持つポリペプチド・コンジュゲート、ならびに、糖尿病および/または肥満のような様々な疾患および病態の治療におけるそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年11月23日に提出した米国仮特許出願番号第61/263,752号の恩恵を主張する。その内容全体は全ての目的のために本明細書中に組み込まれる。
【0002】
GLP-1受容体アゴニストと優れた薬理学的特性を含むアミリン模倣活性との両方を有するポリペプチド・コンジュゲート、およびそれらの使用のための治療方法を本明細書中で提供する。
【背景技術】
【0003】
ペプチドおよびタンパク質は、生物学的プロセスの調節において重要な役割を果たす。例えば、ペプチドはホルモンおよび阻害剤として調節的役割を果たし、免疫学的認識にも関与している。ペプチドの重要な生物学的役割は、これらが結合する受容体とのそれらの相互作用を理解するために重要になる。
【0004】
インクレチンペプチドは、グルコースレベルが正常である場合、または特に、グルコースレベルが上昇する場合に放出されるインスリンの量の増加を引き起こすホルモンであり、ペプチド模倣物である。インクレチン効果の概念は、インスリンが経口グルコースに対して、等量のグルコースの静脈内投与後に計測されるものを上回って反応するという観察から発展した。これらのインクレチンペプチドはインスリン分泌により規定される当初のインクレチン作用を上回る他の作用を有する。例えば、これらはまた、グルカゴン産生を減少させる、満腹度を高める、または食物摂取量を減少させるとともに胃排出を遅らせる作用も有し得る。加えて、これらはインスリン感受性を改善する作用を有し得るとともに、これらは膵島細胞新生-新しい膵島の形成-を増加させ得る。
【0005】
多くの食後ホルモンがインクレチン様活性を有するが、主要なインクレチンペプチドとしては、胃抑制ポリペプチド(GIP)としても知られている、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、およびエキセンディンペプチド(これは非内在性インクレチン模倣物である)が挙げられる。GIPおよびGLP-1はいずれもグルカゴンペプチドスーパーファミリーに属する。GLP-1は胃腸管内の特殊化された細胞により分泌され、膵島細胞ならびに他の組織上に位置する受容体を有する。GLP-1は、栄養の摂取に反応して腸から分泌され、結果としてインスリン分泌の亢進をもたらす。GLP-1のインスリン分泌刺激効果は周囲のグルコースの上昇に依存する。GLP-1は、偏在性酵素であるジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)により急速に不活性化される。エキセンディン-4はGLP-1受容体を、インスリン分泌細胞上で結合し、グルコースの存在下でインスリン分泌を刺激し、このペプチドはまた、グルカゴンを抑制し、胃排出を遅らせ、そして満腹度を高めて食物摂取量を減少させる。真性糖尿病の治療および高血糖の予防のためのエキセンディン-4のインスリン分泌刺激活性の使用が提言されている(Eng、米国特許第5,424,286号)。しかし、GLP-1とは異なり、エキセンディン-4は、ヒトにおいて比較的長い半減期を有し、より低いエキセンディン-4濃度でインスリン分泌を刺激するより強い能力をさらに有する。
【0006】
代謝性疾患および障害に関与するペプチドホルモンの別のファミリーは、ペプチドホルモンのアミリンファミリー(例えば、アミリンおよびそのアナログ、例えば、プラムリンチドおよびダバリンチド)である。アミリン分子は2個の翻訳後修飾を有する:C末端がアミド化されるとともに、2位および7位のシステインがN末端ループを形成するように架橋される。ヒトアミリン遺伝子のオープンリーディングフレームの配列は、LysのN末端コドンより前にあるLys-Arg二塩基性アミノ酸タンパク質分解切断シグナル、およびCLAIMS末端位置にあるLys-Argタンパク質分解シグナルより前にあるGly、タンパク質アミド化酵素であるPAMによるアミド化のための典型的な配列の存在を示す(Cooper et al., Biochem. Biophys. Acta, 1014:247-258(1989))。アミリンは胃排出を遅らせるとともに、グルカゴン分泌を抑制して食物摂取を減少させ、これにより、循環中のグルコース出現速度を調節すると考えられている。アミリンはインスリンの作用を補完し、循環中からのグルコース消失速度および末梢組織によるその取込みを調節すると見られる。これらの作用は、アミリンが食後グルコース制御におけるインスリンの効果を少なくとも3つの独立した機序により補完し、その全てがグルコース出現速度に影響を及ぼすことを示す齧歯類およびヒトにおける実験的所見によりサポートされる。ヒトでの治験においては、アミリンアナログであるプラムリンチドが体重または体重増加を小さくすることが示されている。アミリン模倣物は、糖尿病および肥満のような代謝性病態の治療に有益であり得る。アミリン模倣物はまた、疼痛、骨障害、胃炎を治療するため、脂質、特にトリグリセリドを調節するため、または脂肪の優先的減少および除脂肪組織の保存のように体組成に影響を及ぼすためも使用することがでいる。
【0007】
代謝性疾患および障害は、肥満、糖尿病、異常脂質血症、インスリン抵抗性、細胞アポトーシスなどを含む多くの形態をとる。肥満およびその関連障害は、米国内および世界中で一般的であるとともに非常に深刻な公衆の健康問題である。上半身肥満は2型真性糖尿病について知られている最も強力な危険因子であるとともに、心血管疾患の強力な危険因子である。肥満は、糖尿病、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、脳卒中、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸、多嚢胞性卵巣症候群などの生殖障害、乳癌、前立腺癌、および結腸癌のような癌、および全身麻酔の合併症の発症率増加について認識されている危険因子である(例えば、Kopelman, Nature 404:635-43(2000)を参照のこと)。これは寿命を短くするとともに上記の併存症に加え、感染、静脈瘤、黒色表皮腫、湿疹、運動不耐性、インスリン抵抗性、高血圧症高コレステロール血症、胆石症、整形外科的傷害、および血栓塞栓性疾患のような障害の深刻なリスクを有する(Rissanen et al., Br. Med. J. 301:835-7(1990))。肥満はまた、インスリン抵抗性症候群、または「症候群X」と呼ばれる病態群についての危険因子でもある。肥満は現在、不十分にしか治療することができず、慢性的な、本質的に難治性の代謝性疾患である。糖尿病の有無にかかわらず、肥満または過体重の人の体重減少に有用な治療薬は健康に対し重大で有益な効果を有し得るであろう。
【0008】
糖尿病は、不十分なインスリンの産生または利用の結果生じる高血糖および糖尿を特徴とする炭水化物代謝の障害である。糖尿病は先進諸国の大部分の人々の生活の質に重大な影響を及ぼす。不十分なインスリンの産生は1型糖尿病として特徴づけられ、不十分なインスリンの利用は2型糖尿病である。しかしながら、対象が顕性糖尿病を有していると診断されるよりはるか前に彼らが発症する多くの異なる糖尿病関連疾患があることが今日広く認識されている。また、糖尿病におけるグルコース代謝の最適を下回る制御による影響は、広域型の関連脂質および心血管障害を生じさせる。過体重および肥満は、糖尿病についての一般的な深刻な共存症であり、場合によっては、糖尿病に至るか、または糖尿病になる傾向が増大し得る。
【0009】
異常脂質血症、または血漿中のリポタンパク質の異常なレベルは、糖尿病者の間で頻繁に起こる。異常脂質血症は、典型的には、血漿トリグリセリド上昇、低HDL(高密度リポタンパク質)コレステロール、正常〜上昇レベルのLDL(低密度リポタンパク質)コレステロール、および低密度の血中LDL(低密度リポタンパク質)粒子のレベル上昇を特徴とする。異常脂質血症は、糖尿病の対象の間での冠動脈事象および死亡の発生率増加の主要な要因の1つである。疫学的研究は、糖尿病ではない対象と比較した場合に、糖尿病の対象の間での冠動脈死が数倍の増加を示すことにより、これを確認している。糖尿病の対象の間で、数個のリポタンパク質の異常が記載されている。
【0010】
糖尿病に伴う多数の異常を治療する試みでは、異なる対象におけるこれらの異常性に対処するために、数種類の抗糖尿病薬物の投与が促進されてきた。抗糖尿病薬物の例は、インスリンおよびインスリンアナログのようなタンパク質、ならびにインスリン感作薬、インスリン分泌促進剤、および食欲を調節する化合物のような低分子であり、これらは多くの場合、起こり得る多数の異常に対処するために一斉に投与される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記代謝性疾患、病態、および障害において有用なポリペプチドを開発することが依然として必要である。したがって、本明細書中に記載する疾患および病態を治療するために有用なポリペプチド、ならびに上記ポリペプチドの生産と使用のための方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の要旨
本発明は一般的に、血漿グルコースレベル、インスリンレベル、および/またはインスリン分泌の制御により、ならびに/あるいは、体重減少を増大させること、体重を減少させること、体重を維持すること、体重増加を防ぐこと、食物摂取量を減らすこと、満腹感を高めること、食欲を低下させること、および/または質素にし、脂肪を消費することにより体組成を改善すること、あるいは、グルコース/インスリンの制御特性と本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲート中に存在する体重減少/食物摂取の制御特性との組み合わせによるかのいずれかにより軽減することができる、代謝性疾患および障害の治療ならびに予防のための薬剤としてのそれらの使用を可能にする多数の薬理学的作用を持つ新規のポリペプチド・コンジュゲートに関する。そのような病態および疾患としては、高血糖および高血糖関連病態、糖尿病および糖尿病関連病態、肥満および過体重、ならびにグルコース/インスリン制御関連疾患または病態と、体重減少/食物摂取量関連疾患または病態の両方が存在する病態が挙げられる。さらに、そのような病態および障害として、高血圧症、異常脂質血症、心血管疾患、摂食障害、インスリン抵抗性、肥満、ならびに、1型、2型、および妊娠糖尿病を含む任意の種類の真性糖尿病、さらにはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。本発明の多作用化合物についてはまた、多くの場合には顕性糖尿病が存在しない状態で高血糖が重要な要因である病態において、ならびにさらには、例えば、ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」、ならびにメタボリックシンドローム(X症候群)を持つ対象における糖尿病の発症においてそうであるように、過体重または肥満が存在するか、あるいは過体重または肥満が起こり得る場合の病態においても用途が見出されている。
【0013】
抗糖尿病ポリペプチド・コンジュゲートが、エクセナチド(すなわち、エキセンディン-4、米国および欧州で糖尿病の治療について承認されているGLP-1受容体アゴニスト)と比較して、そしてこれまでに知られている結合体ペプチド構築物と比較して、類似するかまたは改善されたグルコース低下効果を有することができ、さらに、体重減少の改善および/または食物摂取量の減少効果を有することができることが、思いがけず発見された。本明細書中の開示はこの発見に基づく。本発明のポリペプチド・コンジュゲートは、本明細書中に記載するように、少なくとも2つの薬理学的作用(例えば、グルコース/インスリンの制御と体重/食物摂取量の制御)を提供し、優れた治療効果(例えば、複数の代謝機能および異常性を改善または正常化するように相乗的様式で作用すること)をもたらす。
【0014】
アミリン模倣ペプチドに対して結合体化させたGLP-1受容体アゴニストペプチドを含む、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲート化合物1Aおよび化合物2Aを提供する。上記ポリペプチド・コンジュゲートはGLP-1受容体でエキセンディン-4の受容体活性化作用を示し、C1a受容体でダバリンチド(アミリン模倣物)の受容体活性化作用を示して、エキセンディン-4またはダバリンチドのいずれと比較しても、少なくとも、体重減少および/または食物摂取量の優れた制御とともに、グルコースとインスリンの望ましい制御をもたらす。
【0015】
いくつかの実施形態においては、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、対応する参照化合物(例えば、エクセナチドもしくはダバリンチド)、あるいは、異なるGLP-1受容体アゴニスト構成要素および/または異なるアミリン模倣物構成要素(例えば、本明細書中に記載する化合物3Aおよび化合物7A)を有している対応する参照結合体化合物より優れている。この状況では、用語「優れた」は、疾患または障害の治療の評価において重みづけすることができる様々な機能的特性をいう。例えば、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、最大効果のために、例えば、対応する参照化合物の1倍、2倍、3倍、4倍、5倍少ない、またはさらに少ない用量を必要とし得る。例えばさらに、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、高い効力、例えば、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、またはさらに高い効力を有することができる。例えばさらに、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、参照化合物中では有意な程度では見られない機能を有し得る。
【0016】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートに化学的に誘導されたものが含まれることがさらに理解される。そのような誘導されたペプチドには、ポリエチレングリコール(PEG)のような1つ以上のポリマー部分または様々な長さの脂肪酸鎖(例えば、ステアリル、パルミトイル、オクタノイルなど)に対する結合体、あるいは、ポリアミノ酸(例えば、ポリ-his、ポリ-arg、ポリ-lys、およびポリ-ala)の付加によるものが含まれる。修飾にはまた、短いアルキルおよび制約のあるアルキル(例えば、分岐、環状、縮合、アダマンチル)ならびに芳香族基のような低分子部分も含めることができる。ポリマー部分は、典型的には、約500ダルトン〜約60,000ダルトンの分子量を有する。ポリマーは直鎖であっても、分岐であってもよい。そのような誘導は、ポリペプチド・コンジュゲート中の、N末端もしくはC末端で、またはアミノ酸残基の側鎖(例えば、リジンのεアミノ基、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインのスルフヒドリル基)で行うことができる。あるいは、誘導は、結合体ポリペプチドの至るところにある複数の部位で行うことができる。誘導のための部位(単数または複数)を提供するために、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、もしくはシステインでの1つ以上のアミノ酸の置換、またはリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、もしくはシステインの付加を行うことができる。例えば、米国特許第5824784号および同第5824778号(これらは参照により本明細書中に組み込まれる)を参照のこと。
【0017】
1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートを、1個、2個、または3個のポリマー部分に対して結合させることができる。ポリペプチド・コンジュゲートをペグ化することにより、それらの水溶解度を改善する、血漿内半減期を長くする、免疫原性を低下させる、および/または経口摂取を改善することができる。1つの実施形態においては、ペグ化ポリペプチド・コンジュゲートには、リジンのεアミノ基を介してポリエチレングリコール部分が共有結合させられたリジン側鎖が含まれ、さらなる実施形態においては、PEG部分の総分子量は、少なくとも約10,000ダルトン、少なくとも約20,000ダルトン、少なくとも約40,000ダルトン、または少なくとも約60,000ダルトンである。1つの実施形態においては、PEG鎖(単数または複数)の分子量は10,000ダルトンより大きく、60,000ダルトン以下である。
【0018】
上記ポリペプチド・コンジュゲートは、治療目的(例えば、糖尿病を治療する)のために;研究目的のために;ならびに、改良されたGLP-1受容体結合活性および/または改良されたインビボでのグルコース低下活性および/または改良されたアミリン模倣活性および/または改良された体重減少/食物摂取制御活性を有しているGLP-1受容体アゴニスト化合物(例えば、より長い作用期間、高い溶解度、および/または低い免疫原性を有している誘導体)を産生するために使用することができる。本開示は、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物を提供する。本開示はまた、ポリペプチド・コンジュゲートを合成するための方法も提供する。
【0019】
本開示は、治療有効量の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを投与することによりそれが必要な対象において、糖尿病を治療する;インスリン抵抗性を治療する;食後高血糖を治療する;血中グルコースレベルを下げる;HbA1cレベルを下げる;インスリン放出を刺激する;胃運動性を低下させる;胃排出を遅らせる;食物摂取量を減少させる;食欲を低下させる;体重を減らす;過体重を治療する;および/または肥満を治療するための方法を提供する。本開示はまた、治療有効量の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを投与することによりそれが必要な対象において、高血糖および高血糖関連病態、糖尿病および糖尿病関連病態、肥満および過体重、ならびにグルコース/インスリン制御関連疾患もしくは病態と体重減少/食物摂取量関連疾患もしくは病態の両方が存在している病態を治療するための方法も提供する。本開示はまた、治療有効量の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを投与することによりそれが必要な対象において、高血圧症、異常脂質血症、心血管疾患、摂食障害、インスリン抵抗性、肥満、および1型、2型、および妊娠糖尿病を含む任意の種類の真性糖尿病、ならびにそれらの組み合わせを治療するための方法も提供する。本開示はまた、治療有効量の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを投与することによりそれが必要な対象において、ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」を持つ対象における糖尿病の発症、ならびにメタボリックシンドローム(X症候群)を治療するための方法も提供する。
【0020】
上記ポリペプチド・コンジュゲートは、別の抗糖尿病薬および/または抗肥満薬と同時投与することができる。「同時投与」は、2種類以上の活性薬剤の単一の組成物としての投与、別の溶液としての同時投与を意味し、代わりに、(例えば、上記ポリペプチド・コンジュゲートの胃排出効果が遅れるとの理由から第2の薬剤の取込みの妨害を避けるために)互いに4時間、8時間、または12時間のように、互いに異なるタイミングで投与することもできる。第2の薬剤に対する上記ポリペプチド・コンジュゲートの正確な比は、医師が決定する部分と対象の必要性に応じて様々である。
【0021】
上記ポリペプチド・コンジュゲートは、対象が使用するために適しているキットの中に提供することができる。この場合、上記キットには、上記ポリペプチド・コンジュゲートの使用についての説明書が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、実施例に記載するように図1Aに示す量の化合物2Aまたは他の化合物を投与したDIO(食餌性肥満)ラットにおける体重の変化を示しているグラフである。p<0.05、例えば、図1Aのビヒクル対照は互いに有意には異ならない。
【図1B】図1Bは、実施例に記載するように図1Bに示す量の化合物1Aまたは複数の化合物を投与したDIOラットにおける体重の変化を示しているグラフである。外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる。p<0.05、例えば、図1Bのビヒクル対照は互いに有意には異ならない。
【図2A】図2Aは、実施例に記載するように図2Aに示す量の化合物2Aまたは他の化合物を投与したDIOラットについての累積総食物摂取量を示しているグラフである。p<0.05、例えば、図2Aのビヒクル対照は互いに有意には異ならない。
【図2B】図2Bは、実施例に記載するように図2Bに示す量の化合物1Aまたは他の化合物を投与したDIOラットについての累積総食物摂取量を示しているグラフである。外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なり;p<0.05、例えば、図2Bのビヒクル対照は互いに有意には異ならない。
【図3】図3は、実施例に記載するように図3に示す量の化合物2Aまたは他の化合物を投与したDIOラットにおける脂肪症の変化を示しているグラフである。外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる;p<0.05。
【図4】図4は、実施例に記載するように図4に示す量の化合物1Aまたは他の化合物を投与したDIOラットにおける脂肪症の変化を示しているグラフである。外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる;p<0.05。
【図5】図5は、実施例に記載するように図5に示す量の化合物2Aまたは他の化合物を投与したDIOラットの除脂肪体重の百分率の変化を示しているグラフである。
【図6】図6は、実施例に記載するように図6に示す量の化合物1Aまたは他の化合物を投与したDIOラットの除脂肪体重の百分率の変化を示しているグラフである。*ビヒクルに対してp<0.05。
【図7】図7Aおよび7Bは、本明細書中に記載する慢性DIOラットの研究による、化合物1A、化合物2A、および化合物3Aについての14日目(図7A)および28日目(図7B)での体重減少(PD特性)と相関関係がある、測定した血漿中薬剤濃度(PK特性)を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の詳細な説明
「GLP-1受容体アゴニスト化合物」は、当該分野で公知の測定法(例えば、本明細書中に、そしてHargrove et al, Regulatory Peptides, 141:113-119(2007)(その開示は参照により本明細書中に組み込まれる)により記載されているような受容体結合試験、cAMPの生成、またはインビボでの血中グルコースおよび/もしくはインスリン分泌の分析により評価した場合に、エキセンディン参照ペプチド(例えば、エキセンディン-4)またはGLP-1(7-37)参照ペプチドの生物学的活性を誘発する化合物を意味する。GLP-1受容体アゴニスト化合物としては、例えば、天然のエキセンディン、エキセンディン・アナログ、天然のGLP-1、GLP-1アナログ、GLP-1(7-37)、およびGLP-1(7-37)アナログが挙げられる。
【0024】
用語「エキセンディン」には、アメリカドクトカゲの唾液分泌物中に見られる自然界に存在している(または自然界に存在しているものの合成のバージョンの)エキセンディンペプチドが含まれる。エキセンディンには、上記分子のアミド化形態、酸形態、薬学的に許容される塩形態、および全ての他の生理学的に活性な形態が含まれる。1つの実施形態においては、用語エキセンディンは、用語「エキセンディン・アゴニスト」と互換的に使用することができる。
【0025】
「エキセンディン・アナログ」は、当該分野で公知の測定法(例えば、本明細書中に、そしてHargrove et al, Regulatory Peptides, 141:113-119(2007)により記載されているような受容体結合試験またはインビボでの血中グルコース分析)により評価した場合に、エキセンディン参照ペプチド(例えば、エキセンディン-4)の生物学的活性と類似する生物学的活性を誘発するペプチド、アミノ酸の置換、挿入、欠失、もしくは付加を含有しているペプチド、および/またはペプチド模倣物、および/または他の化学的部分を意味する。エキセンディン・アナログには、上記分子のアミド化形態、酸形態、薬学的に許容される塩形態、および全ての他の生理学的に活性な形態が含まれる。1つの実施形態においては、用語エキセンディン・アナログは用語「エキセンディン・アゴニスト・アナログ」と互換的に使用することができる。
【0026】
エクセナチド(エキセンディン-4)は、2型糖尿病の治療に現在適用されている39アミノ酸のグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストであり、DIOラットに投与すると体重減少と他の代謝性の作用もまた発揮する。エキセンディン-4の配列は以下のとおりである:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS-NH2(配列番号:1)。ここでは、-NH2は、C末端アミド化アミノ酸の存在を示す。エキセンディン-4は、その遊離の酸形態でも活性である。Hargrove et al, Regulatory Peptides, 141:113-119(2007)には、天然のエキセンディン-4と比較して14位に1ヌクレオチドの相違を持つ全長のC末端アミド化エキセンディン-4ペプチドアナログであるエキセンディン-4ペプチドアナログが報告されており、これを本明細書中では化合物4Aと命名する。Hargroveは、このエキセンディン-4アナログ化合物4Aが、その胃排出の遅延、抗肥満特性、および半減期に関して、エキセンディン-4にかなり劣ることを報告した。化合物4Aの配列は以下のとおりである:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS-NH2(配列番号:2)。14位と28位にアミノ酸置換を有しているエキセンディン-4の最初の32個のアミノ酸と、それに続く非哺乳動物(カエル)のGLP1のC末端から5個のアミノ酸配列のキメラである別のエキセンディン-4ペプチドアナログを、本明細書中で化合物5と命名する。化合物5は以下の配列を有する:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKQGGPSKEIIS(配列番号:3)。
【0027】
以下の配列を有している本明細書中で化合物10と命名したエキセンディン-4の生物学的に活性な短縮形態であるエキセンディン-4(1-28):HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKN(配列番号:4));および以下の配列を有している化合物10Aと命名したそのアミド化形態:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKN-NH2(配列番号:5)もまた、当該分野で公知である。
【0028】
アミリンは、栄養摂取後の膵臓β細胞によりインスリンと一緒に分泌されるペプチドホルモンであり、その重要な生理学的役割には、摂食行動および胃排出の阻害、さらにはそれに続く体重減少が含まれる。ダバリンチドは「AC-2307」としても知られており、様々な適応疾患の治療に有用であることが報告されているアミリンアゴニストである。WO 2006/083254およびWO 2007/114838(これらはそれぞれが、参照により、全ての目的についてその全体が本明細書中に組み込まれる)を参照のこと。ダバリンチドは、アミリンまたはカルシトニンのN末端ループ領域およびそのアナログ、カルシトニンのα-へリックス領域もしくはαへリックス領域の一部またはそのアナログ、あるいは、アミリンα-へリックス領域の一部とカルシトニンα-へリックス領域を有しているα-へリックス領域またはそのアナログと、アミリンまたはカルシトニンのC末端テール領域を有しているキメラペプチドである。ダバリンチド配列のアミノ酸配列は以下のとおりである:KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY-NH2(配列番号:6)。これを本明細書中では化合物6Aと命名する。食餌性肥満(DIO)ラットについて、アミリンにより、および化合物6Aの投与により誘導される体重減少は、脂肪量の優先的な減少、除脂肪体重の保存を特徴とする。
【0029】
エキセンディン・アナログとアミリン模倣物のこれまでに記載されている結合体に、以下の配列を有している化合物3A:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGGKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY-NH2(配列番号:7)(ここでは、ポリペプチドは、C末端がアミド化されている)と、以下の配列を有している化合物7A:
HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKN(β-A)(β-A)KCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY-NH2(配列番号:8)(ここでは、ポリペプチドはC末端がアミド化されており、β-アラニン、β-アラニン非天然アミノ酸ジペプチドリンカーを含む)が含まれる。上記化合物には、エキセンディン-4の活性なC末端短縮形態である化合物10Aエキセンディン-4(1-28)アミド:HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKN-NH2(配列番号:5)が含まれる。
【0030】
本発明は、ダバリンチド化合物6Aに共有結合させた特定のエキセンディン-4ペプチドアナログを含む、本明細書中に記載する特定のポリペプチド・コンジュゲートの優れた効果の驚くべき結果に基づく。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、本明細書中に記載する化合物1Aおよび化合物2A、ならびにそれらの化学的誘導体、例えば、ペグ化されたものである。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、GLP-1受容体でエキセンディン-4の受容体活性化作用を示し、さらにC1a受容体でダバリンチド(アミリン模倣物)の受容体活性化作用を示して、エキセンディン-4またはダバリンチドのいずれと比較しても、少なくとも、優れた体重減少/食物摂取量の制御を伴うグルコースの制御を提供する。上記化合物は、公知の結合体およびもとのペプチドと比較して、驚くほどに優れた体重制御と優れた薬物動態特性を伴う優れたグルコース制御を有する。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、血糖調節と体重減少が誘導するGLP-1受容体の受容体活性化作用を併せ持ち、これは、脂肪特異的体重減少を誘導するアミリン模倣活性を有するが、もとのペプチドまたはこのタイプの公知の結合体のいずれよりも優れた特性、例えば、より大きな治療効果、改良された半減期を有する。
【0031】
用語「ポリペプチド・コンジュゲート」は、本発明に関して、C末端がアミド化されている化合物1Aおよび化合物2Aを意味し、これには、化学修飾された誘導体、例えば、血漿内半減期を伸ばすかまたは経口摂取を改善するためのようなペグ化誘導体または脂肪酸アシル化誘導体を含む、化合物1Aまたは化合物2Aの酸形態、それらの薬学的に許容される塩形態、および任意の他の生理学的に活性な形態が含まれる。
【0032】
本明細書中に記載する化合物1は以下の配列を有する:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPSGGGKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(配列番号:9)。そのC末端アミド化形態が、以下の配列を有している本発明のポリペプチド・コンジュゲートである化合物1Aである:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPSGGGKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY-NH2(配列番号:10)。化合物1Aは、グリシン-グリシン-グリシンペプチドリンカーにより化合物6Aに対してインフレームで共有結合させた化合物4Aのポリペプチド・コンジュゲートである。化合物2は以下の配列を有する:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKQGGPSKEIISGGGKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY(配列番号:11)。そのC末端アミド化形態が、以下の配列を有している本発明のポリペプチド・コンジュゲートである化合物2Aである:HGEGTFTSDLSKQLEEEAVRLFIEWLKQGGPSKEIISGGGKCNTATCVLGRLSQELHRLQTYPRTNTGSNTY-NH2(配列番号:12)。化合物2Aは、グリシン-グリシン-グリシンペプチドリンカーにより化合物6Aに対してインフレームで共有結合させた化合物5のポリペプチド・コンジュゲートである。
【0033】
本研究は化合物1Aおよび化合物2Aの代謝性作用とpKを特徴とし、アミリン模倣物であるダバリンチドに対して共有結合させたエキセンディン-4のアナログ(化合物6A)が含まれる。実施例に開示するように、化合物1Aおよび化合物2Aの4週間の持続皮下注入(3nmol/kg/d、10nmol/kg/d、30nmol/kg/d、および100nmol/kg/日)の効果を、食餌性肥満(DIO)の雄のSprague Dawleyラットにおけるもとのペプチド化合物6A、化合物5、および化合物4Aの単回投与ならびに同時投与(2.8nmol/kg/、15nmol/kg/、および7.2nmol/kg/;体重減少についての最大有効量)と比較した。簡単に説明すると、化合物1Aおよび化合物2Aは、DIOラットにおけるもとのペプチドの単回投与と比較して体重減少についてより有効であり、化合物1Aは、化合物2Aと比較して体重減少についてより大きな効力と効果を示した。化合物1Aおよび化合物2Aは、ビヒクル対照と比較して用量依存的に体重を減少させた。化合物1Aまたは化合物2Aにより誘導された体重減少は、脂肪量百分率の有意な低下(100nmol/kg/dの用量で:化合物2Aについては、-12.2±1.3%、そして化合物1Aについては、15.5±2.2%;いずれも、ビヒクル対照に対してp<0.05)と関係があった。化合物2Aは除脂肪体重の百分率を変化させなかったが、化合物1Aの全ての用量によっては、ビヒクル対照と比較して、除脂肪体重の百分率が増大することにより体組成が改善された。試験した最大用量では、もとのペプチドの単回投与と比較して、食物総摂取量が化合物1Aおよび化合物2Aの両方により有意に減少した。化合物1Aの最大用量では、食物摂取量が、もとの化合物である化合物4Aと化合物6Aの同時投与による抑制を上回って抑制された。化合物2Aでの治療を行った場合には、28日後、グルコース、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の百分率、インスリン、総コレステロールまたはHDLコレステロールにおいては変化が観察されなかった。同様に、28日後の総コレステロールレベルもしくはHDLコレステロールレベルまたはHbA1cレベルに対しては、化合物1Aも有意な影響を及ぼさなかった。しかし、血漿インスリンレベルとグルコースレベルは、ビヒクル対照と比較して、いくつかの用量で、化合物1Aにより有意に低下した。血漿トリグリセリドは、治療の28日後に、ビヒクルと比較して、化合物1Aおよび化合物2Aにより有意に低下した。特定の免疫測定法により測定した、化合物1Aおよび化合物2Aの血漿中濃度は、治療の2週間後および4週間後の両方で、治療用量に対応して漸増レベルが検出された。
【0034】
化合物1Aと化合物2Aはいずれも、用量依存性の様式で有意な体重減少を誘導し、試験したより高用量では、ペプチドでの単回治療として投与したもとのホルモンの最大有効用量により誘導された体重減少を上回った。それぞれのポリペプチド・コンジュゲートの最大用量(100nmol/kg/日)により誘発された体重減少は30%に近づき(ビヒクルで補正した)、もとのペプチドの同時注入により得られた体重減少と等しい(例えば、化合物2A)かまたはそれより大きかった(例えば、化合物1A)。これまでの参照結合体化合物、例えば、化合物3Aおよび化合物7Aは、高い効率にも関らず、もとの化合物よりも体重を減少させることについて相当能力が低いかった。驚くほど対照的に、化合物1Aと化合物2Aは、化合物3Aおよび7Aよりも優れた効力を示した。100nmol/kg/dの化合物3Aおよび化合物7Aを用いてもわずかに約20%の体重減少しか得られなかったが、同程度の体重減少が、わずか10nmol/kg/dの化合物1Aおよび化合物2Aを用いて得られた。さらに、化合物1Aまたは化合物2Aのそれぞれの3nmol/kg/dの最小用量が、化合物6A(12%)、化合物4A(14%)、および化合物5(17%)の全てのものに類似する、4週間にわたる、ビヒクル対照と比較して約11%〜19%の有意な体重減少を誘発した。化合物1Aはまた、体重減少について化合物2Aよりも有効であった(それぞれ、-37%対-28%)。
【0035】
化合物1Aおよび化合物2Aにより誘導された体重減少は、食物摂取量の用量依存性の減少と関係していた。さらに、化合物1Aでの治療は、脂肪量の減少および付随する除脂肪体重の保存、体組成の改善と関係していた。対照のDIOラットは高インスリン血症または糖尿病ではなかったが、化合物1Aを用いた場合、ならびに、もとのペプチドの単回投与または同時投与を用いた場合には、インスリンの低下に対する中程度の効果が観察されたが、意外にもグルコースまたはHbA1cが観察されなかった。
【0036】
化合物1Aおよび化合物2Aの血漿中濃度を、特定の試験を使用して、実施例に記載するラットでの研究の14日目および28日目に測定した。いずれのポチペプチド結合体においても、おおよその用量依存性の増大が観察されたが、化合物2Aのレベルは、特に28日後に、化合物1Aのレベルよりもはるかに高いことが明らかになった。しかし、PKプロフィールをそれぞれの化合物の薬理学的(PD)プロフィールと並べると、化合物2AのPD効果は、そのPKプロフィールに一致するようには拡大しなかった。言い換えると、化合物2Aは研究期間の間に血清中に蓄積し得るが、そのPD効果は化合物1Aと比較すると弱まっていた。理論に束縛されるものではないが、この相違は、化合物2Aに対する抗体の初期開発にあり得る。この差異の原因が化合物2AのPK試験における何らかの妨害(血漿Ab)であったとしても、比較した同時に起こる化合物1AのPDプロフィールとPKプロフィールの拡大は、化合物2Aを上回る化合物1Aの別の重要な驚くほど優れた特性を提供する。全体として、化合物1Aと化合物2Aは、他の化合物のいずれよりも優れた化合物1Aを用いた場合に、化合物3Aよりも優れた、DIOラットにおける顕著な脂肪特異的体重減少を発揮した。非常に高い程度の効力と有効性を示す化合物1Aでの治療はまた、参照化合物および結合体と比較して、トリグリセリド低下作用および抗糖尿病作用を含む他の代謝性パラメーターの改善、ならびに吐き気の消滅または減少も示した(実施例を参照のこと)。
【0037】
1つの実施形態においては、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートに、化学的に誘導された結合体が含まれる。そのような誘導されたポリペプチド・コンジュゲートには、ポリエチレングリコール(PEG)のような1つ以上のポリマー部分または様々な長さの脂肪酸鎖(例えば、ステアリル、パルミトイル、オクタノイルなど)に対する結合体、あるいは、ポリアミノ酸(例えば、ポリ-his、ポリ-arg、ポリ-lys、およびポリ-ala)の付加によるものが含まれる。修飾にはまた、短いアルキルおよび制約のあるアルキル(例えば、分岐、環状、縮合、アダマンチル)ならびに芳香族基のような低分子部分も含めることができる。ポリマー部分は、典型的には、約500ダルトン〜約60,000ダルトンの分子量を有する。ポリマーは直鎖であっても、分岐であってもよい。そのような誘導は、ポリペプチド・コンジュゲート中の、N末端もしくはC末端で、またはアミノ酸残基の側鎖(例えば、リジンのεアミノ基、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインのスルフヒドリル基)で行うことができる。あるいは、誘導は、結合体ポリペプチドの至るところにある複数の部位で行うことができる。誘導のための部位(単数または複数)を提供するために、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、もしくはシステインでの1つ以上のアミノ酸の置換、またはリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、もしくはシステインの付加を行うことができる。例えば、米国特許第5824784号および同第5824778号(これらは参照により本明細書中に組み込まれる)を参照のこと。
【0038】
1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートを、1個、2個、または3個のポリマー部分に対して結合させることができる。1つの実施形態においては、化合物を1つのポリエチレングリコールに対して連結させる。ポリペプチド・コンジュゲートをペグ化することにより、それらの水溶解度を改善する、血漿内半減期を長くする、免疫原性を低下させる、および/または経口摂取を改善することができる。ポリエチレングリコールは、約200ダルトン〜約80,000ダルトン;約5,000ダルトン〜約60,000ダルトン;約10,000ダルトン〜約50,000ダルトン;または約15,000ダルトン〜約40,000ダルトンの分子量を有し得る。ポリエチレングリコールは、直鎖であっても分岐であってもよい。1つの実施形態においては、ペグ化ポリペプチド・コンジュゲートには、リジンのεアミノ基を介してポリエチレングリコール部分が共有結合させられたリジン側鎖が含まれる。さらなる実施形態においては、PEG部分の総分子量は、少なくとも約10,000ダルトン、少なくとも約20,000ダルトン、少なくとも約40,000ダルトン、または少なくとも約60,000ダルトンである。
【0039】
1つの実施形態においては、化合物を1個または2個のポリエチレングリコールに連結させる。この場合、ポリエチレングリコールを親油性部分に対してさらに連結させる。1つの実施形態においては、この場合のポリエチレングリコールは、約200ダルトン〜約7,000ダルトン、または約500ダルトン〜約5,000ダルトンの分子量を有し得る。上記親油性部分は、アルキル基(例えば、C1-20アルキル基;C1-10アルキル基;C1-6アルキル基;C1-4アルキル基)、脂肪酸(例えば、C4-28脂肪酸鎖;C8-24脂肪酸鎖;C10-20脂肪酸鎖)、コレステリル、アダマンチルなどであり得る。上記アルキル基は直鎖であっても、分岐であってもよく、直鎖が好ましい。1つの実施形態においては、脂肪酸は、アセチル化された脂肪酸またはエステル化された脂肪酸である。-(ポリエチレングリコール)-(親油性部分)は、C末端アミノ酸残基、N末端アミノ酸残基、内部アミノ酸残基(例えば、内部Lysアミノ酸残基)、またはそれらの組み合わせで、上記化合物に対して連結させることができる(例えば、上記化合物をN末端アミノ酸残基とC末端アミノ酸残基で連結する)。そのような実施形態においては、上記誘導体は、誘導されていない化合物1Aまたは化合物2Aと比較して優れた経口摂取および生物学的利用性を有する。
【0040】
1つの実施形態においては、上記化合物をポリアミノ酸に連結させる。例示的なポリアミノ酸としては、ポリ-リジン、ポリ-アスパラギン酸、ポリ-セリン、ポリ-グルタミン酸などが挙げられる。上記ポリアミノ酸はD型であってもL型であってもよく、L型が好ましい。上記ポリアミノ酸には、1個〜12個のアミノ酸残基;2個〜10個のアミノ酸残基;または2個〜6個のアミノ酸残基が含まれ得る。上記誘導体は、誘導されていない化合物1Aまたは化合物2Aと比較して、長い作用期間を提供し得ることができる。
【0041】
1つの実施形態においては、化合物を脂肪酸に連結させる。上記脂肪酸は、C4-C28脂肪酸鎖、C8-C24脂肪酸鎖、またはC10-C20脂肪酸鎖であり得る。1つの実施形態においては、上記脂肪酸はアセチル化された脂肪酸である。1つの実施形態においては、上記脂肪酸はエステル化された脂肪酸である。上記誘導体は、誘導されていない化合物1Aまたは化合物2Aと比較して、長い作用期間を提供することができる。
【0042】
1つの実施形態においては、化合物をアルブミンに連結させる。上記アルブミンは、組み換え体アルブミン、血清アルブミン、または組み換え体血清アルブミンであり得る。別の実施形態においては、上記化合物をアルブミン-脂肪酸(すなわち、脂肪酸に連結させたアルブミン)に連結させる。上記誘導体は、誘導されていない化合物1Aまたは化合物2Aと比較して、長い作用期間を提供することができる。
【0043】
1つの実施形態においては、上記化合物を免疫グロブリンまたは免疫グロブリンFc領域に連結させる。上記免疫グロブリンは、IgG、IgE、IgA、IgD、またはIgMであり得る。1つの実施形態においては、上記化合物をIgG Fc領域またはIgM Fc領域に連結させる。上記免疫グロブリンFc領域は、(i)免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2);(ii)免疫グロブリンの重鎖定常領域3(CH3);または(iii)免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2)と3(CH3)の両方である。上記免疫グロブリンFc領域にはさらに、重鎖定常領域にあるヒンジ領域が含まれ得る。エキセンディン・アナログペプチドに対して連結することができる免疫グロブリンFc領域についての他の実施形態は、WO 2008/082274に記載されている(その開示は参照により本明細書中に組み込まれる)。上記誘導体は、誘導されていない化合物1Aまたは化合物2Aと比較して、長い作用期間を提供することができる。
【0044】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを本明細書中に記載するもののような1つ以上のポリマーに対して共有結合させる場合は、当該分野で公知である任意の連結基を使用することができる。上記連結基には、ポリマーに対するペプチドの連結に適している任意の化学基(単数または複数)が含まれ得る。代わりに、ポリペプチド・コンジュゲートを、連結基を全く使用せずにポリマーに対して直接連結することができる。例示的な連結基としては、アミノ酸、マレイミド基、ジカルボン酸基、スクシンイミド基、またはそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。1つ以上のポリマーに対してペプチドを連結するための方法は当該分野で公知であり、例えば、米国特許第6,329,336号;米国特許第6,423,685号;米国特許第6,924,264号;WO 2005/077072、WO 2007/022123、WO 2007/053946;WO 2008/058461;およびWO 2008/082274(これらの開示は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。
【0045】
投与するポリペプチド・コンジュゲートはプロドラッグの形態であり得る。用語「プロドラッグ」は、投与後に、いくつかの化学的または生理学的プロセス(例えば、タンパク質分解的切断)により、または特定のpHの環境に達すると、インビボで薬剤を放出する薬剤前駆体である化合物を意味する。
【0046】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、当該分野で公知である生物学的、化学的、および/または組み換えDNA技術を使用して調製することができる。例示的な方法は、米国特許第6,872,700号;WO 2007/139941;WO 2007/140284;WO 2008/082274;WO 2009/011544;および米国特許公開番号第2007/0238669号(これらの開示は参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。ポリペプチド・コンジュゲートを調製するための他の方法を本明細書中に示す。
【0047】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、自動ペプチド合成装置または半自動ペプチド合成装置のような標準的な固相ペプチド合成技術を使用して調製することができる。典型的には、そのような技術を使用して、α-N-カルバモイル保護アミノ酸および樹脂上の成長しているペプチド鎖に連結させたアミノ酸を、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下のカップリング剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-ヒドロキシベンゾ-トリアゾールなど)の存在下で、不活性な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、塩化メチレンなど)中で、室温でカップリングさせる。α-N-カルバモイル保護基を、得られるペプチド-樹脂から試薬(例えば、トリフルオロ酢酸、ピペリジンなど)を使用して除去し、ペプチド鎖に付加しようとする次の所望するN保護アミノ酸を用いてカップリング反応を繰り返す。t-ブチルオキシカルボニル(tBoc)フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などのような適切なN-保護基は当該分野で周知である。ペプチド合成装置において使用する溶媒、アミノ酸誘導体、および4-メチルベンズヒドリル-アミン樹脂は、Applied Biosystems Inc.(Foster City, Calif.)から購入することができる。
【0048】
化学合成について、一般的には、固相合成が商業的規模への優れた拡張性があるストレートなアプローチであり、これが一般的には比較的長いポリペプチド・コンジュゲートと適合するので、固相ペプチド合成をポリペプチド・コンジュゲートのために使用することができる。固相ペプチド合成は自動ペプチド合成装置(例えば、Model 430A, Applied Biosystems Inc., Foster City, Calif.)で、NMP/HOBt(Option 1)システムおよびtBocまたはFmoc化学反応を用いて(Applied Biosystems User's Manual for the ABI 430A Peptide Synthesizer, Version 1.3B 1988年7月1日、Section 6, pp. 49-70, Applied Biosystems, Inc., Foster City, Calif.を参照のこと)、キャッピングを伴って実行することができる。Boc-ペプチド-樹脂はHFで切断することができる(-5oC〜0oC、1時間)。ペプチドは、水と酢酸を交互に用いて樹脂から抽出することができ、濾液を凍結乾燥させる。Fmoc-ペプチド樹脂を標準的な方法にしたがって切断することができる(例えば、Introduction to Cleavage Techniques, Applied Biosystems, Inc., 1990, pp. 6-12)。ペプチドはまた、Advanced Chem Tech Synthesizer(Model MPS 350, Louisville, Ky.)を使用して構築することもできる。
【0049】
ペプチドはRP-HPLC(調製用および分析用)により、Waters Delta Prep 3000システムを使用して精製することができる。C4、C8、またはC18調製用カラム(10μ、2.2×25cm;Vydac, Hesperia, Calif.)を使用してペプチドを単離することができ、C4、C8、またはC18分析用カラム(5μ、0.46×25cm;Vydac)を使用して純度を決定することができる。溶媒(A=0.1%のTFA/水、およびB=0.1%のTFA/CH3CN)を、1.0ml/分の流速で分析用カラムに、そして15ml/分で調製用カラムに投入することができる。アミノ酸分析は、Waters Pico Tagシステム上で実行し、Maximaプログラムを使用して処理することができる。ペプチドは、気相酸加水分解(115oC、20〜24時間)により加水分解することができる。加水分解物を、標準的な方法により誘導体化し、分析することができる(Cohen et al, The Pico Tag Method:A Manual of Advanced Techniques for Amino Acid Analysis, pp. 11-52, Millipore Corporation, Milford, Mass.(1989))。高速原子衝突分析法を、M-Scan, Incorporated(West Chester, Pa.)により行うことができる。質量補正を、ヨウ化セシウムまたはヨウ化セシウム/グリセロールを使用して行うことができる。飛行時間の検出を使用するプラズマ脱着イオン化分析を、Applied Biosystems Bio-Ion 20質量分析計上で行うことができる。
【0050】
非ペプチドポリペプチド・コンジュゲートは当該分野で公知の方法により調製することができる。例えば、ホスフェート含有アミノ酸およびそのようなアミノ酸を含有しているペプチドを、Bartlett et al, Biorg. Chem., 14:356-377(1986)に記載されているような当該分野で公知の方法を使用して調製することができる。
【0051】
代わりに、ポリペプチド・コンジュゲートを当該分野で周知の組み換え技術により産生することができる。例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor(1989)を参照のこと。組み換え技術により産生したこれらのポリペプチド・コンジュゲートはポリヌクレオチドから発現させることができる。当業者は、このようなポリペプチド・コンジュゲートをコードするポリヌクレオチド(DNAおよびRNAを含む)を、コドン利用の縮重を考慮に入れて、野生型cDNA(例えば、エキセンディン-4、アミリン)から得ることができ、また、示す置換を取り込ませることを所望する場合は、さらに操作することができることを理解するであろう。これらのポリヌクレオチド配列に、微生物宿主中でmRNAの転写および翻訳を促進するコドンを組み込むことができる。そのような工業的配列は当該分野で周知の方法にしたがって容易に構築することができる。例えば、WO 83/04053を参照のこと。上記ポリヌクレオチドはまた、状況に応じてN末端メチオニル残基をコードし得る。本発明に有用な非ペプチド結合体は当該分野で公知の方法により調製することができる。例えば、ホスフェート含有アミノ酸およびそのようなアミノ酸を含有しているペプチドを当該分野で公知の方法を使用して調製することができる。例えば、Bartlett and Landen, Bioorg. Chem. 14:356-77(1986)を参照のこと。
【0052】
様々な発現ベクター/宿主系を、ポリペプチド・コンジュゲートコード配列を含める、および発現させるために利用することができる。これらとしては、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換される細菌のような微生物;酵母発現ベクターで形質転換される酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させる昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)でトランスフェクトされるか、もしくは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換される植物細胞系;または動物細胞系が挙げられるが、これらに限定はされない。組換えタンパク質の産生に有用である哺乳動物細胞としては、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、COS細胞(例えば、COS-7)、WI38、BHK、HepG2、3T3、RIN、MDCK、A549、PC12、K562および293細胞が挙げられるが、これらに限定はされない。タンパク質の組換え発現用例示的プロトコルを本明細書に記載する。
【0053】
このように、ポリヌクレオチド配列は、新しくかつ有用なウイルスおよびプラスミドDNAベクター、新しくかつ有用な形質転換およびトランスフェクトされた原核生物および真核宿主細胞(培養液中で増殖させた細菌、酵母、および哺乳動物細胞を含む)、ならびに、本発明の結合体ポリペプチドを発現することができるそのような宿主細胞の培養増殖のための新しくかつ有用な方法を作出することにおいて有用である。本明細書中のポリペプチド・コンジュゲートをコードするポリヌクレオチド配列は、ポリペプチド・コンジュゲートの産生不足が軽減されるであろう場合、またはそのようなレベルの上昇の必要性に合致するであろう場合に、遺伝子治療に有用であり得る。
【0054】
本発明はまた、本発明の結合体ポリペプチドの組換えDNA産生のためのプロセスも提供する。提供されるのは、上記ポリペプチド・コンジュゲートを、そのようなポリペプチド・コンジュゲートをコードする核酸を含む宿主細胞から産生するためのプロセス方法であり、この方法には、(a)上記DNA分子の発現を促進する条件下で前記ポリペプチド・コンジュゲートをコードするポリヌクレオチドを含む上記宿主細胞を培養する工程;および(b)上記結合体ポリペプチドを得る工程が含まれる。
【0055】
宿主細胞は原核生物であっても真核生物であってもよく、これには、細菌、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、サル細胞、ベビーハムスター腎細胞、癌細胞、または他の細胞)、酵母細胞、および昆虫細胞が含まれる。
【0056】
組換えタンパク質の発現のための哺乳動物宿主系もまた、当該分野で周知である。宿主細胞株は、発現されたタンパク質をプロセシングする、またはタンパク質活性を提供することにおいて有用であろう特定の翻訳後修飾を生じさせる特定の能力について選択することができる。ポリペプチドのそのような修飾としては、アセチル化、カルボキシ化、グリコシル化、リン酸化、脂質化およびアシル化が挙げられるが、これらに限定はされない。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後プロセシングもまた、正確な挿入、折り畳みおよび/または機能に重要であり得る。CHO、HeLa、MDCK、293、WI38などのような様々な宿主細胞は、そのような翻訳後活性の特異的細胞機構および特徴的機序を有するとともに、正確な修飾および導入された外来タンパク質のプロセシングを確実に行うために選択することができる。
【0057】
あるいは、酵母系を、本発明のポリペプチド・コンジュゲートを生成するために利用することができる。ポリペプチド・コンジュゲートDNAのコード領域はPCRにより増幅される。酵母プレ-プロ-αリーダー配列をコードするDNAは、酵母ゲノムDNAからPCR反応において、α接合因子遺伝子のヌクレオチド1-20を含む1つのプライマーとこの遺伝子のヌクレオチド255-235に相補的な別のプライマーを使用して増幅される(Kurjan and Herskowitz, Cell, 30:933-43(1982))。プレ-プロ-αリーダーコード配列およびポリペプチド・コンジュゲートコード配列の断片は、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH2)プロモーターを含むプラスミドに連結され、その結果、上記プロモーターは成熟結合体ポリペプチドに融合させられたプレ-プロ-α因子からなる融合タンパク質の発現を指図する。Rose and Broach, Meth. Enz. 185:234-79, Goeddel編, Academic Press, Inc., San Diego, California(1990)により教示されているように、ベクターには、クローニング部位の下流のADH2転写ターミネーター、酵母「2-ミクロン」複製起点、酵母leu-2d遺伝子、酵母REP1およびREP2遺伝子、大腸菌β-ラクタマーゼ遺伝子、および大腸菌複製起点がさらに含まれる。β-ラクタマーゼおよびleu-2d遺伝子は、それぞれ、細菌および酵母における選択を提供する。leu-2d遺伝子はまた、酵母中のプラスミドのコピー数増加も促進してより高レベルの発現を誘発する。REP1およびREP2遺伝子はプラスミドコピー数の調節に関与しているタンパク質をコードする。
【0058】
先の段落に記載したDNA構築物を、公知の方法、例えば、酢酸リチウム処理を使用して酵母細胞に形質転換する(Steams et al., Meth. Enz. 185:280-97(1990))。ADH2プロモーターは増殖培地中のグルコースが消耗すると誘導される(Price et al., Gene 55:287(1987))。プレ-プロ-α配列は融合タンパク質の細胞からの分泌に影響を及ぼす。それと同時に、酵母KEX2タンパク質はプレ-プロ配列を成熟ポリペプチド・コンジュゲートから切断する(Bitter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:5330-4(1984))。
【0059】
本発明のポリペプチド・コンジュゲートはまた、市販されている発現系、例えば、ピキア発現系(Invitrogen, San Diego, California)を使用して、製造業者の説明書にしたがって、酵母(例えば、ピキア)の中で組換え発現させることもできる。この系もまたプレ-プロ-α配列に依存して分泌を指図するが、挿入断片の転写は、メタノールによって誘導されるとアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターにより駆動される。分泌されたポリペプチド・コンジュゲートは、例えば、上記ポリペプチド・コンジュゲートを細菌および哺乳動物細胞上清から精製するために使用される方法により酵母増殖培地から精製される。
【0060】
あるいは、ポリペプチド・コンジュゲートをコードするDNAを、バキュロウイルス発現ベクター、例えば、pVL1393(PharMingen, San Diego, California)にクローニングすることができる。この結合体-ポリペプチドをコードするベクターは、次に、製造者の説明書(PharMingen)にしたがい、(例えば、sF9タンパク質を含まない培地中で)増殖させたSpodoptera frugiperda細胞に感染させて組換えタンパク質を産生するための公知の技術にしたがって使用される。タンパク質は、当該分野で公知の方法(例えば、ヘパリン-セファロースカラム(Pharmacia, Piscataway, New Jersey)および連続分子サイジングカラム(Amicon, Beverly, Massachusetts))を使用して培地から精製され、濃縮され、そして適切な溶液(例えば、PBS)中に再懸濁させられる。SDS-PAGE分析を、例えば、単一のバンドが示されることにより、所望する結合体タンパク質のサイズを確認する、タンパク質の特性決定のために使用することができる。なぜなら、これにより、全長のアミノ酸のアミノ酸配列分析(例えば、Proton 2090 Peptide Sequencer上でのエドマン配列決定法)、またはそのN末端配列の確認ができるからである。
【0061】
例えば、予測される成熟ポリペプチド・コンジュゲートをコードするDNA配列を、所望するプロモーターと、状況に応じてリーダー配列を含むプラスミドにクローニングすることができる(例えば、Better et al., Science 240:1041-3(1988)を参照のこと)。この構築物の配列は自動化された配列決定法によって確認することができる。プラスミドは、次に、大腸菌、MC1061株に、CaCl2インキュベーションと細菌の熱ショック処理を利用する標準的な手順を使用して形質転換される(Sambrook et al., 前出)。形質転換された細菌はカルベニシリンが補給されたLB培地中で増殖させられ、発現されるタンパク質の産生が、適切な培地中での増殖により誘導される。存在する場合は、リーダー配列は成熟ポリペプチド・コンジュゲートの分泌に影響を及ぼし、分泌中に切断されるであろう。分泌された組換え体ポリペプチド・コンジュゲートは細菌培地から本明細書に記載する方法により精製される。
【0062】
あるいは、ポリペプチド・コンジュゲートは昆虫系で発現させることができる。タンパク質の発現のための昆虫系は当業者に周知である。1つのそのような系においては、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)がスポドプテラ・フルギペルダ細胞中またはトリコプルシアの幼虫において外来遺伝子を発現させるためのベクターとして使用される。ポリペプチド・コンジュゲートをコードする配列はポリヘドリン遺伝子のようなウイルスの非必須領域にクローニングされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に配置される。ポリペプチド・コンジュゲートの挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質のコートが欠失している組換え体ウイルスの産生が生じるであろう。上記組換え体ウイルスは次に、本発明のポリペプチド・コンジュゲートがその中で発現されるS. フルギペルダa細胞またはトリコプルシアの幼虫を感染させるため使用される(Smith et al., J. Virol. 46:584(1983);Engelhard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3224-7(1994))。
【0063】
別の例においては、ポリペプチド・コンジュゲートをコードするDNA配列を、PCRにより増幅し、適切なベクター(例えば、pGEX-3X(Pharmacia, Piscataway, New Jersey)にクローニングすることができる。pGEXベクターは、上記ベクターによりコードされる、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を含む融合タンパク質、およびベクターのクローニング部位に挿入されるDNA断片によりコードされるタンパク質を産生するように設計されている。PCR用のプライマーは、例えば、適切な切断部位を含むように作製することができる。組換え体融合タンパク質は次に、融合タンパク質のGST部分から切断することができる。pGEX-3X/ポリペプチド・コンジュゲート構築物は、大腸菌XL-1 Blue細胞(Stratagene, La Jolla, California)に形質転換され、個々の形質転換体が単離され、そして37℃でLB培地(カルベニシリンが補給された)中で、0.4の波長600nmでの光学密度まで増殖させられ、続いて4時間、0.5mMイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri)の存在下でさらにインキュベーションされる。個々の形質転換体に由来するプラスミドDNAが精製され、自動配列分析器を使用して部分的に配列決定され、適正な方向で所望するポリペプチド・コンジュゲートをコードする遺伝子挿入断片の存在が確認される。
【0064】
融合タンパク質は、細菌中で不溶性封入体として産生されると予測される場合には、以下のように精製することができる。細胞は遠心分離により収集される;0.15MのNaCl、10mMのTris(pH 8)、1mMのEDTA中で洗浄される;そして0.1mg/mLのリゾチーム(Sigma Chemical Co.)で15分間、室温で処理される。溶解物は超音波処理により清澄化され、細胞破片が、10分間、12,000×gでの遠心分離によりペレット状にされる。融合タンパク質を含有しているペレットは、50mMのTris(pH8)および10mMのEDTA中に再懸濁させられ、50%のグリセロール上に層状に重ねられ、そして6000×gで30分間遠心分離される。ペレットは、Mg++およびCa++を含まない標準リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS)中に再懸濁させられる。融合タンパク質は変性SDSポリアクリルアミドゲル中で再懸濁されたペレットを分画することによりさらに精製される(Sambrook et al., 前出)。ゲルは、タンパク質を可視化するために0.4MのKCl中に浸漬され、切り取られ、SDSを含まないゲル泳動緩衝液中で電気的に溶出される。GST/ポリペプチド・コンジュゲート融合タンパク質が細菌中で可溶タンパク質として産生される場合は、これを、GST精製モジュール(Pharmacia Biotech)を使用して精製することができる。
【0065】
融合タンパク質は、成熟結合体ポリペプチドからGSTを切断するために、消化することができる。消化反応(20〜40μgの融合タンパク質、20〜30単位のヒト・トロンビン(0.5mlのPBS中4000U/mg(Sigma))は、室温で16〜48時間インキュベートされ、変性SDS-PAGEゲル上に負荷され、反応産物が分画化される。ゲルは0.4MのKCl中に浸漬され、タンパク質バンドが可視化される。ポリペプチド・コンジュゲートの期待される分子量に対応するタンパク質バンドの実態が、自動配列分析器(Applied Biosystems Model 473A, Foster City, California)を使用する部分的なアミノ酸配列分析により確認され得る。
【0066】
本発明のポリペプチド・コンジュゲートの組換え発現の特定の例示的な方法においては、293細胞を、pCMVベクター(5'CMVプロモーター、3'HGHポリA配列)中にポリペプチド・コンジュゲートcDNAを含むプラスミドとpSV2neo(neo耐性遺伝子を含む)中にポリペプチド・コンジュゲートcDNAを含むプラスミドをリン酸カルシウム法により同時トランスフェクトすることができる。1つの実施形態においては、ベクターはトランスフェクションの前にScaIで直鎖状にされるべきである。同様に、neo遺伝子が組み込まれた同様のpCMVベクターを使用する代替の構築物を使用することができる。安定な細胞株は、10〜14日間にわたる0.5mg/mLのG418(ネオマイシン様抗生物質)を含有している増殖培地中での限界希釈により単一の細胞クローンより選択される。細胞株は、ELISAまたはウエスタンブロットによりポリペプチド・コンジュゲートの発現についてスクリーニングされ、高発現細胞株が大規模な増殖へと拡張される。
【0067】
形質転換された細胞は長期間、多量のタンパク質産生に使用されることが好ましく、そのような安定な発現が望ましい。そのような細胞が所望される発現カセットとともに選択マーカーを含有するベクターで形質転換されると、細胞を、上記細胞が選択培地に移される前に富栄養培地中で1〜2日間増殖させることが可能となり得る。選択マーカーは選択に対する耐性を付与するよう設計され、その存在により導入された配列をうまく発現する細胞の増殖および回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性凝集物は細胞に適した組織培養技術を使用して増殖させることができる。
【0068】
多くの選択系を、組換え体タンパク質の生産のために形質転換された細胞を回収するため使用することができる。そのような選択系としては、tk-、hgprt-、またはaprt-細胞中の、それぞれ、HSVチミジンキナーゼ、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子が挙げられるが、これらに限定はされない。また、代謝拮抗物質耐性が、メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr、ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt、アミノグリコシドに対する耐性を付与するneo、また、クロルスルフロンに対する耐性を付与するG418、および、ハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygroの選択基準として使用され得る。有用である可能性があるさらなる選択可能遺伝子としては、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、または細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisDが挙げられる。形質転換体の同定のための視覚的指標をもたらすマーカーとしては、アントシアニン、β-グルクロニダーゼおよびその基質であるGUS、ならびに、ルシフェラーゼおよびその基質であるルシフェリンが挙げられる。
【0069】
本発明のポリペプチド・コンジュゲートは、自動ペプチド合成および組換え技術の双方の組み合わせを使用して産生することができる。例えば、本発明のポリペプチド・コンジュゲートには、欠失、置換、挿入、およびペグ化による誘導(あるいは、他の部分、例えば、ポリマー、脂肪酸アシル鎖、C末端アミド化)を含む修飾の組み合わせが含まれ得る。そのようなポリペプチド・コンジュゲートは段階的に産生することができる。第1の段階においては、欠失、置換、挿入、およびそれらの任意の組み合わせの修飾を含む中間体ポリペプチド・コンジュゲートを、記載されるような組換え技術により産生することができる。次に、本明細書に記載するような状況に応じた精製工程の後、中間体ポリペプチド・コンジュゲートが、適しているペグ化試薬(例えば、NeKtar Transforming Therapeutics, San Carlos, Californiaによる)での化学的修飾を通じペグ化され(または、他の化学的誘導(例えば、アシル化、C末端アミド化)が行われ)、所望されるポリペプチド・コンジュゲート誘導体が得られる。当業者は、上記手順を、欠失、置換、挿入、誘導体化、および当該分野で周知であり本発明により意図される他の修飾の手段より選択される修飾の組み合わせを含むポリペプチド・コンジュゲートに適用されるように一般化することができることを理解するであろう。
【0070】
C末端アミド化は、培養培地中に分泌されるであろうα-因子融合タンパク質として、例えば、酵母(例えば、ピキア)中で合成された、グリシンアミノ酸-C末端伸長前駆体の使用により達成することができる。精製後、上記ポリペプチド・コンジュゲート前駆体のC末端グリシンは、酵素的アミド化、例えば、ペプチジルグリシンα-アミド化モノオキシゲナーゼ(PAM)によりアミドに変換されるであろう。例えば、Cooper et al., Biochem. Biophys. Acta, 1014:247-258(1989)を参照のこと。タンパク質1mgあたり少なくとも約25mUの比活性を示すために十分なα-アミド化酵素の純度であり、天然の供給源から精製されたかまたは組み換えDNA技術により産生された物質とともに使用するために適している程度に十分にタンパク質分解による不純物を含まない、ラット由来のα-アミド化酵素を含む酵素的アミド化のための方法を教示している米国特許第6319685号(これは参照により本明細書中に組み込まれる)もまた参照のこと。
【0071】
処方物。本開示はまた、少なくとも1種類の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含有している医薬組成物も提供する。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、治療有効量で上記医薬組成物中に存在することができ、また、治療効力のための最小血漿中濃度をもたらす量で存在することもできる。
【0072】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内)、局所、鼻腔、または経口投与のような末梢投与のために提供することができる。適切な薬学的に許容される担体およびそれらの処方は、標準的な処方技術(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences by Martin;およびWang et al, Journal of Parenteral Science and Technology, Technical Report No. 10, Supp. 42:2S(1988))に記載されている。
【0073】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、注射または注入のための非経口用組成物中で提供することができる。これらは例えば、水;植物性油(例えば、ゴマ油、ピーナッツ油、オリーブ油など)のような不活性油;または他の薬学的に許容される担体中に懸濁させることができる。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは水性担体中、例えば、約3.0〜約8.0のpH、または約3.0〜約5.0のpHの等張性緩衝溶液中に懸濁させられる。組成物は従来の滅菌技術により滅菌することができ、また、濾過滅菌することもできる。組成物には、生理学的条件に近づける必要がある場合には、pH緩衝化剤のような薬学的に許容される補助物質が含まれ得る。有用な緩衝液としては、例えば、酢酸緩衝液が挙げられる。レポジトリ形態または「デポー」徐放調製物の形態を、治療有効量の調製物が皮下注射、経皮注射、もしくは他の送達方法の後、数時間または数日にわたり血流に送達されるように、使用することができる。所望する等張性は、塩化ナトリウムまたは他の薬学的に許容される薬剤(例えば、デキストロース、ホウ酸、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコール、ポリオール類(例えば、マンニトールおよびソルビトール)、または他の無機もしくは有機溶媒)を使用して達成することができる。塩化ナトリウムは、ナトリウムイオンを含有している緩衝液について特に好ましい。
【0074】
ポリペプチド・コンジュゲートはまた、薬学的に許容される塩(例えば、酸付加塩)および/またはその複合体としても処方することができる。薬学的に許容される塩は、それらが投与される濃度で非毒性の塩である。薬学的に許容される塩としては、酸付加塩(例えば、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、およびキナ酸塩を含有しているもの)が挙げられる。薬学的に許容される塩は、塩酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、およびキナ酸のような酸から得ることができる。酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、または塩酸塩の塩形態について、本明細書中で特定の用途が見出されている。そのような塩は、例えば、その中では塩が不溶性である溶媒もしくは媒質中または水のような溶媒中で、遊離酸または塩基形態の生成物を1またはそれを超える当量の適当な塩基または酸とを反応させ、次いでこれを、真空下もしくは凍結乾燥によって、または適切なイオン交換樹脂上で存在する塩のイオンを他のイオンに交換することにより除去することによって調製することができる。
【0075】
担体または賦形剤もまた、上記ポリペプチド・コンジュゲートの投与を促進するために使用することができる。担体および賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖(例えば、ラクトース、グルコース、もしくはスクロース)、またはデンプン型のもの、セルロース誘導体、ゼラチン、植物性油、ポリエチレングリコール、および生理学的に適合性の溶媒が含まれる。
【0076】
所望する場合には、上記組成物の溶液を、メチルセルロースのような増粘剤で増粘させることができる。これらは、油中水型または水中油型いずれかの乳化形態で調製することができる。任意の広範囲の様々な薬学的に許容される乳化剤を利用することができ、これには例えば、アカシア粉末、非イオン性界面活性剤(例えば、Tween)、またはイオン性界面活性剤(例えば、アルカリポリエーテルアルコールの硫酸塩またはスルホン酸塩(例えばTriton))が含まれる。
【0077】
組成物は、一般的に受容されている手順に従って複数の成分を混合することにより調製することができる。例えば、選択した構成成分をブレンダーまたは他の標準的なデバイスの中で単純に混合して濃縮混合物を得ることができる。次いでこれを、水または増粘剤、および可能であれば、pHを制御するための緩衝液または浸透圧を制御するためのさらなる溶質を添加することにより、最終的な濃度および粘度に調整することができる。
【0078】
本明細書中に記載する疾患を治療するための本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量は、典型的には、約0.01μg〜約5mg;約0.1μg〜約2.5mg;約1μg〜約1mg;約1μg〜約50μg;または約1μg〜約25μgであろう。あるいは、GLP-1受容体アゴニストであるポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量は、対象の体重70kgを基準として約0.001μg〜約100μg;または対象の体重70kgを基準として約0.01μg〜約50μgであり得る。これらの治療有効用量は、処方物に応じて、1回/日、2回/日、3回/日、1回/週、2週間に1回、または1回/月であり得る。投与すべき正確な用量は、例えば、処方物(例えば、即時放出型処方物または徐放型処方物のような処方物)により決定される。経皮、鼻腔、または経口用の投薬形態については、投与量を約5倍〜約10倍に増加することができる。
【0079】
本明細書中に記載する結合体化ポリペプチド(高い体重減少特性とともに抗高血糖特性を有する)および上記結合体化ポリペプチドを含有している医薬組成物は、血中グルコースレベルを下げるように、高血糖を予防もしくは治療するように制御することにおいて、ならびに/または過体重もしくは肥満を予防、治療、または制御するために体重減少もしくは食欲を制御することにおいて利点がある本明細書中に記載する多数の代謝性疾患および病態を治療するために有用である。高血糖の治療または予防が、糖尿病前症、耐糖能異常、インスリン抵抗性および糖尿病の治療あるいは予防の中心にある。糖尿病は、1型糖尿病、2型糖尿病、または妊娠糖尿病であり得る。本発明の結合体化ポリペプチドは、これらの病態(例えば、2型糖尿病または1型糖尿病)が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向と関係がある場合、例えば、過食、ストレス、体重を増加させる薬剤(例えば、インスリン)、または遺伝的異常、あるいは、当該分野の医師に公知であるように本明細書中に記載する他の疾患および病態により引き起こされる場合に、非常に有用である。過体重もしくは肥満またはそれらの傾向の存在を伴う糖尿病、およびそれらを伴わない糖尿病を治療するための方法は、対象(典型的には、それが必要な対象)への、対象を治療するための治療有効量1種類以上の本明細書中に記載する結合体化ポリペプチドの投与を提供する。本発明のポリペプチド・コンジュゲートはまた、高血糖が重要な要因である、多くの場合には、顕性糖尿病が存在しない病態、そしてさらに、例えば、ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」を持つ対象における糖尿病の発症、ならびにメタボリックシンドローム(X症候群)において、過体重もしくは肥満が存在するかあるいはそれらが起こり得る場合に、用途が見出されている。
【0080】
肥満と、過体重を含むその関連障害は、米国内および世界中で一般的であるとともに非常に深刻な公衆の健康問題である。上半身肥満は2型真性糖尿病について知られている最も強力な危険因子であるとともに、心血管疾患の強力な危険因子である。肥満は、高血圧症、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、脳卒中、胆嚢疾患、変形性関節症、睡眠時無呼吸、多嚢胞性卵巣症候群などの生殖障害、乳癌、前立腺癌、および結腸癌のような癌、および全身麻酔の合併症の発症率増加について認識されている危険因子である。例えば、Kopelman, 2000, Nature 404:635-43を参照のこと。
【0081】
肥満は寿命を短くするとともに上記の共存症に加え、感染、静脈瘤、黒色表皮腫、湿疹、運動不耐性、インスリン抵抗性、高血圧症高コレステロール血症、胆石症、整形外科的傷害、および血栓塞栓性疾患のような障害の深刻なリスクを有する。例えば、Rissanen et al, 1990, Br. Med. J., 301:835-7を参照のこと。肥満はまた、インスリン抵抗性症候群、または「症候群X」と呼ばれる病態群、およびメタボリックシンドロームについての危険因子でもある。肥満とその関連疾患についての世界的な規模での医学的コストはとてつもなく大きい。
【0082】
肥満の病因は、多因子性であると考えられている。問題は、肥満体の対象では、脂肪組織が過剰になるまで栄養素利用能とエネルギー消費が均衡した状態にならないということである。中枢神経系(CNS)は、エネルギー均衡を制御し、さまざまな行動的、自律神経系および内分泌系の活動を、動物の代謝状態に適切であるように調和させる。これらの活動を制御する機構または系は、前脳全体(例えば、視床下部)、後脳(例えば、脳幹)、および脊髄にわたり広く分布している。最終的には、これらの系からの代謝上(すなわち、燃料利用能)および認知上(すなわち、優先性の知得)の情報は統合され、欲求行動(摂食願望)および完了行動(摂食)に関わる決定が刺激されるか(食事の調達および開始)または停止される(食事終了)のいずれかとなる。視床下部は、主に、これらのシグナルの統合、次の脳幹への命令の発信を担うと考えられている。脳幹核は、完了行動制御系の要素(例えば、咀嚼および嚥下を担う筋肉)を制御する。そのため、これらのCNS核は、文字通り、摂食行動に対する「最終共通経路」を構成しているといわれている。
【0083】
神経解剖学的および薬理学的証拠は、エネルギーと栄養物摂取の恒常性のシグナルが前脳核内で統合されること、および完了運動制御系は、脳幹核内のおそらく三叉神経運動核周囲の領域に存在することを裏付けている。視床下部と脳幹との間には、大きな互恵的関係が存在している。さまざまなCNS指向型抗肥満治療薬(例えば、低分子およびペプチド)は、主に、視床下部に存在する前脳基質および/または脳幹に存在する後脳基質に着目したものである。
【0084】
肥満は、依然として治療することが難しい、慢性の、本質的に難治性の代謝障害である。したがって、対象の体重減少および/または体重維持に有用な新規の治療薬の必要性が存在している。そのような治療薬により、対象の健康に対して顕著に有益な効果がもたらされるであろう。
【0085】
糖尿病および心血管疾患。真性糖尿病は複合的な慢性疾患として認識されており、糖尿病対象の間での総致死率のうちの60%〜70%が心血管の合併症の結果である。糖尿病は、冠動脈性心疾患の危険と同等と考えられるだけではなく、有害事象(再発性心筋梗塞、うっ血性心不全、および心血管事象後の死亡を含む)の独立した予測因子としても同定されている。心血管の危険因子についてのより厳しいグルコース制御と積極的な治療の採用により、糖尿病の対象の間で冠動脈性心疾患の合併症のリスクが下がり、全生存率が改善すると期待されるであろう。さらに、糖尿病対象は、糖尿病ではない対象よりも急性心筋梗塞を経験する可能性が2倍〜3倍あり、糖尿病対象は、糖尿病ではない対象よりも8年〜13年短い期間しか生存できない。
【0086】
糖尿病/急性心筋梗塞対象の高リスクの性質の理解に関して、不安定狭心症または非ST上昇型心筋梗塞(まとめて「ACS」と呼ぶ)の入院対象の制御についてのAmerican College of Cardiology/American Heart Association(「ACC/AHA」)の診療ガイドラインは、最近、糖尿病の入院対象が積極的な高血糖の制御が必要な特定の集団であることを認識した。具体的には、このガイドラインには、糖尿病/ACSの入院対象についてグルコースを低下させる治療は、10mg/dL未満の食前グルコース、180mg/dLを上回る最大一日目標、および7%未満の退院後ヘモグロビンA1cを達成の目標とするべきであると記載されている。
【0087】
高齢のACS対象の全国規模の試料においては、糖尿病対象における30日以内での死亡率の増大が、入院時により高いグルコース値を有していた対象に対応していたことが明らかになった。「Diabetic Coronary Artery Disease & Intervention,」Coronary Therapeutics 2002, Oak Brook, IL, 2002年9月20日を参照のこと。入院時の一時的に高いグルコースよりも高い血糖値の持続のほうが重篤な有害事象と関係があることの証拠が増えつつある。対象における高血糖および血管の危険についての理想的な測定基準は簡単にはわからないが、入院中の平均のグルコース値が死亡率について最も優れた予測となると見られる。米国の40を超える病院によるACS対象の別々の研究において、入院時のランダムなグルコース値とは対照的に、持続する高血糖が、病院での死亡率についてより優れた予測となることが明らかになった。Acute Coronary Syndrome Summit:A State of the Art Approach, Kansas City, MO, 2002年9月21日を参照のこと。入院時のグルコース値と比較して、入院期間全体についてのグルコース制御のロジスティック回帰モデルは、死亡率についての最も優れた予測であった。120mg/dLを超えてグルコースが10mg/dL増大するごとに、入院の間の死亡の危険についてはほぼ2倍の増大があった。連続する糖尿病/ACS対象のより小規模のコホートにおいては、入院時のグルコースレベルが高くなるに伴い、1年での死亡率が段階的に高くなった。病院内では、ACC/AHAガイドラインは、入院中により低い血中グルコースに達するように、積極的なインスリン治療の開始を勧めている。
【0088】
脂質調節疾患。当該分野で公知であるように、リポジストロフィーは、体の脂肪組織の異常な、または退行性の病態を特徴とする。異常脂質血症は、血液中の正常な脂質成分の崩壊である。高いインスリンレベルの持続が異常脂質血症を導く可能性があると考えられている。高脂質血症は、血液中の脂質および/またはリポタンパク質の高いレベルまたは異常レベルの存在である。視床下部性無月経は、視床下部に関係する問題が原因で、数カ月間月経が停止する病態である。視床下部性無月経の女性においては、レプチン補充療法により、生殖ホルモン、甲状腺ホルモン、および成長ホルモン軸、ならびに有害な作用を引き起こすことなく骨形成のマーカーが改善することが明らかになっている。例えば、Oral et al., N Engl J Med. 2004, 351:959-962, 987-997を参照のこと。脂肪性肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD))は、単純な脂肪肝(脂肪症)から、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変(肝臓の不可逆性の進行した瘢痕化)までの範囲にわたる広範囲の肝疾患を意味する。NAFLDの病期全てが、共通して、肝臓細胞(肝細胞)中に脂肪の蓄積(脂肪浸潤)を有する。レプチンは、NASHを含む様々な慢性肝臓疾患において炎症および線維症の進行についての鍵となる調節因子のうちの1つであると考えられている。例えば、Ikejima et al., Hepatology Res. 33:151-154を参照のこと。
【0089】
さらに、いずれの理論にも束縛されることは望ましくないが、2型糖尿病における相対的なインスリン欠乏、ブドウ糖耐性、および腹腔内脂肪組織からの門脈を介した送達の増大による肝臓での遊離の脂肪酸負荷の増大が、脂肪性肝臓障害について考えられる原因であることをほのめかしていると考えられる。実際、その多くの推論により、摂食行動がNASHを含む肥満のメタボリックシンドロームに至らせる鍵となる要因であるという仮説が立てられている。したがって、食物摂取量を減少させる、および少量の食事の回数を増やすことを助ける治療により、2型糖尿病においてすでに実証されているように、NASHを効率よく治療および予防することができる。インスリン分泌および体重減少を促進する、ならびに胃排出を遅らせる薬剤もまた、耐糖能の改善に有効であり、これにより、高インスリン血症が付随している脂肪肝を改善することができる。このように、エキセンディン、エキセンディン・アナログアゴニスト、エキセンディン誘導アゴニスト、特に、エキセンディン-4の使用が、この病態についての治療方法として十分に適し得る。したがって、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、脂肪性肝臓障害の治療に有用であり得る。
【0090】
メタボリックシンドロームX。メタボリックシンドロームXは、インスリン抵抗性、異常脂質血症、高血圧症、および脂肪組織の内蔵分布を特徴とし、2型糖尿病の病態生理学において中心的役割を担う。これはまた、肝臓のNASH、線維症、および肝硬変とも強く関係があることが明らかにされている。したがって、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートはメタボリックシンドロームXの治療に有用であり得る。
【0091】
ステロイド誘発性糖尿病。グルココルチコイドは、炭水化物の代謝に影響を及ぼすことが周知である。外因性のグルココルチコイドの投与に反応して、肝臓でのグルコースの生産の増大、インスリン分泌の減少、および末梢組織中でのインスリン刺激性のグルコース取込みが観察される。さらに、グルココルチコイド治療により、当該分野で公知であるように、プロインスリン(P1)/免疫反応性インスリン(IRI)比が変化する。糖尿病を持たない対象においてグルココルチコイドにより誘導される高血糖の典型的な特徴として、空腹時血中グルコースの最小限の上昇、食後高血糖の異常な増大、外因性のインスリンに対する非感受性、およびメトホルミンまたはスルホニル尿素治療に対する非反応性が挙げられる。したがって、アミリン、エキセンディン、もしくはダバリンチド、それらの生物学的に活性な(ホルモンドメイン)ペプチド構成要素もしくは断片もしくはアナログを含む本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、ステロイド誘発性糖尿病の治療に有用であり得る。
【0092】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1プロテアーゼ阻害剤(PI)の日常的に行われている臨床的用途への導入直後、高血糖の発症が現われはじめるとともに、連携するPTの使用が報告される。PIで治療したHIV感染対象のうちのおよそ1%〜6%が真性糖尿病を発症するであろうが、相当に大きな割合においてインスリン抵抗性が生じ、耐糖能が損なわれるであろう。したがって、アミリン、エキセンディン、またはダバリンチド、それらの生物学的に活性な(ホルモンドメイン)ペプチド構成要素もしくは断片もしくはアナログを含む本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、HIV治療誘導性糖尿病の治療に有用であり得る。
【0093】
成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)。進行性自己免疫性糖尿病は、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)としても知られおり、2型糖尿病と診断された対象のうちのおよそ10%に存在すると考えられる。LADA対象は、膵島細胞細胞質抗原、またはより多くの場合には、グルタミン酸デカルボキシラーゼのいずれかに対する循環抗体を有する。これらの対象は、1型糖尿病および2型糖尿病の両方に特徴的である臨床特性を示す。インスリン分泌は、自己免疫性糖尿病の迅速に進行する形態よりもゆっくりと進行する形態においてより良く保存されるが、インスリン分泌は、LADA対象においては時間に伴い減少する傾向にある。したがって、アミリン、エキセンディン、またはダバリンチド、それらの生物学的に活性な(ホルモンドメイン)ペプチド構成要素もしくは断片もしくはアナログを含む本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートは、LADAの治療に有用であり得る。
【0094】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、インスリン抵抗性を治療するため、およびインスリンの放出を刺激するために有用である。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。インスリン抵抗性を治療するための方法は、対象においてインスリン抵抗性を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。インスリンの放出を刺激して治療するための方法は、対象においてインスリンの放出を刺激するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0095】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、食後高血糖を治療するために有用である。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。食後高血糖を治療するための方法は、対象において食後高血糖を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0096】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、血中グルコースレベルを下げるため、およびHbA1cレベルを下げるために有用である。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。血中グルコースレベルを下げるための方法は、対象において血中グルコースレベルを下げるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。1つの実施形態においては、血中グルコースレベルは空腹時血中グルコースレベルであり得る。HbA1cレベルを下げるための方法は、対象においてHbA1cレベルを下げるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。HbA1cレベルは、一般的には、対象の血中グルコースレベルの長期間にわたる測定値である。
【0097】
糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、または妊娠糖尿病)を治療するための方法もまた提供され、この方法には、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約3ヵ月間、または少なくとも約6ヵ月間の期間にわたり、少なくとも約50pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートを投与する工程が含まれる。1つの実施形態においては、上記方法に、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約50pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aもしくは化合物1A、またはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、空腹時グルコースを下げる、食後グルコース変動を小さくする、HbA1cを減少させるなど)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。さらなる実施形態においては、対象には体重の減少が必要であるかまたは望ましい。さらなる実施形態において、対象にはまた、体重/食物摂取量の制御も必要であり、例えば、体重の減少、食欲の低下、満腹度の増大、食物摂取量の減少、胃排出の遅延、トリグリセリドの低下、体組成の改善、またはそれらの任意の組み合わせが必要であり、さらに状況に応じて、吐き気の発生率および/または重篤度を下げることも必要である。
【0098】
さらなる実施形態は、例えば、HbA1c、1日平均血中グルコース、または空腹時血中グルコースの低下が必要な対象に対して、エキセンディンの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの量である、少なくとも約12時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1カ月、少なくとも約3カ月間、または少なくとも約6カ月間の期間にわたる少なくとも約50pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートを投与することによる、HbA1c、全体としての1日平均血中グルコース濃度、空腹時血中グルコース、および/または食後血中グルコースの低下のための方法を提供する。1つの実施形態においては、上記方法に、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aもしくは化合物1A、またはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、HbA1cの低下)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。1つの実施形態においては、平均あるいは最小循環血漿濃度は、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、または約7日の期間にわたって達成される。さらなる実施形態においては、平均あるいは最小血漿濃度は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、または約16週間の期間にわたって得られる。なおさらなる実施形態においては、平均あるいは最小血漿濃度は、約5カ月間、約6カ月間、約7カ月間、約8カ月間、約9カ月間、約10カ月間、約11ヵ月間、または約12ヵ月間の期間にわたって達成される。エキセンディンまたはエキセンディン・アゴニストまたはダバリンチドの循環血中濃度を決定するための任意の方法を、特許請求する方法とともに利用することができる。さらなる実施形態においては、対象には体重の減少が必要であるかまたは望ましい。さらなる実施形態において、対象にはまた、体重/食物摂取量の制御も必要であり、例えば、体重の減少、食欲の低下、満腹度の増大、食物摂取量の減少、胃排出の遅延、トリグリセリドの低下、体組成の改善、またはそれらの任意の組み合わせが必要であり、さらに状況に応じて、吐き気の発生率および/または重篤度を下げることも必要である。
【0099】
さらに、食前血中グルコース濃度と比較した食後血中グルコース濃度の上昇を小さくし、その結果、食事の前後の血中グルコース濃度の差異を小さくするための方法も提供する。これにより、例えば、本明細書中に記載する7点で自己モニタリングした血中グルコースにより決定した場合に、1日の間での血中グルコース濃度の変動が小さくなることが生じる。この方法には、少なくとも約12時間、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1カ月間、少なくとも約3カ月間、または少なくとも約6カ月間の期間にわたり少なくとも約50pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの量を投与する工程が含まれる。1つの実施形態においては、上記方法に、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小循環血漿濃度を達成するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均あるいは最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aもしくは化合物1A、またはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、食後血中グルコース変動を小さくすること、平均1日血中グルコースの低下など)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。1つの実施形態においては、平均あるいは最小循環血漿濃度は、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間の期間にわたって達成される。さらなる実施形態においては、平均あるいは最小血漿濃度は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、または約16週間の期間にわたって達成される。なおさらなる実施形態においては、平均あるいは最小血漿濃度は、約5カ月間、約6カ月間、約7カ月間、約8カ月間、約9カ月間、約10カ月間、約11ヵ月間、または約12ヵ月間の期間にわたって達成される。エキセンディンまたはエキセンディン・アゴニストまたはダバリンチドの循環血中濃度を決定するための任意の方法を、特許請求する方法とともに利用することができる。さらなる実施形態においては、対象には体重の減少が必要であるかまたは望ましい。さらなる実施形態において、対象にはまた、体重/食物摂取量の制御も必要であり、例えば、体重の減少、食欲の低下、満腹度の増大、食物摂取量の減少、胃排出の遅延、トリグリセリドの低下、体組成の改善、またはそれらの任意の組み合わせが必要であり、さらに状況に応じて、吐き気の発生率および/または重篤度を下げることも必要である。
【0100】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、胃運動性を低下させる、および胃排出を遅らせるために有用である。上記ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。胃運動性を低下させるための方法は、対象において胃運動性を低下させるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。胃排出を遅らせるための方法は、対象において胃排出を遅らせるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0101】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、食物摂取量を減少させる、食欲を低下させる、満腹度を高める、および体重を減少させるために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が、高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。食物摂取量を減少させるための方法は、対象において食物摂取量を減少させるために本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。食欲を低下させるための方法または満腹度を高めるための方法は、対象において食欲を低下させるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。体重を減少させて治療するための方法は、対象において体重を減少させるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。本明細書中に記載する方法においては、対象には、食物摂取量を減少させる、食欲を低下させる、または体重を減少させる必要があり得る。本明細書中に記載する他の方法においては、対象は、食物摂取量が減少している、食欲が低下している、または体重が減少していることが望ましい場合がある。対象は任意の体重であり得、過体重もしくは肥満であってもよい。
【0102】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、過体重および肥満を治療するために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。過体重を治療するための方法は、対象において過体重を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。肥満を治療するための方法は、対象において肥満を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0103】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、例えば、除脂肪筋肉対体脂肪比の改善とともに、典型的には、体重の減少と組み合わせて、体組成を改善するために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。体組成を改善するための方法は、対象において体組成を改善し、状況に応じて体重を減少させるために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0104】
1つの実施形態においては、本出願は、それが望ましいかまたはそれが必要な対象において体重を減少させるための方法を提供し、ここでは、この方法には、対象において体重の減少を生じさせるために有効な量のポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。別の実施形態においては、上記方法には、対象において体重の減少を生じさせるために有効なポリペプチド・コンジュゲートの長期にわたるかまたは持続性の投与が含まれる。なお別の実施形態においては、体重の減少の原因は体脂肪または脂肪組織の減少であり、相当する除脂肪体重または筋肉量の減少は伴わない。なお別の実施形態においては、体脂肪の減量が原因である体重の減少は、除脂肪体重または筋肉量の減量が原因である体重の減少より大きい。1つの実施形態においては、除脂肪組織または筋肉と比較した体脂肪の減少は、絶対重量の基準に基づくが、別の実施形態においては、消失した体重の百分率の基準に基づく。1つの実施形態においては、内蔵脂肪の減量は、内蔵脂肪以外の減量より大きい。別の実施形態においては、内蔵脂肪以外の減量は、内蔵脂肪の減量より大きい。なお別の実施形態においては、本出願は、例えば、個体において除脂肪組織に対する脂肪の比を小さくすること、体脂肪の百分率を小さくすること、または除脂肪組織の百分率を大きくすることにより、体組成を変化させるための方法を提供する。
【0105】
本明細書中で使用する場合は、「体重減少」は、対象の体重の減少を意味する。1つの実施形態においては、体重の減少は、対象の体脂肪の優先的な減少の結果である。1つの実施形態においては、内蔵脂肪の減量は内蔵脂肪以外の減量より大きい。別の実施形態においては、内蔵脂肪以外の減量は内蔵脂肪の減量より大きい。本発明は、対象の体重のいずれの特定の減少にも依存しないが、本明細書中に記載する方法は、様々な実施形態において、本明細書中に開示する方法の開始前の対象の体重と比較して、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%、対象の体重を減少させるであろう。様々な実施形態において、体重の減少は、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月間、約2カ月間、約3カ月間、約4カ月間、約5カ月間、約6カ月間、約7カ月間、約8カ月間、約9カ月間、約10カ月間、約11カ月間、約1年間、またはそれ以上の期間にわたって起こる。他の実施形態においては、対象は、約5ポンド、約6ポンド、約7ポンド、約8ポンド、約9ポンド、約10ポンド、約15ポンド、約20ポンド、約25ポンド、約30ポンド、約35ポンド、約40ポンド、約45ポンド、約50ポンド、約100ポンド、約125ポンド、約150ポンド、約175ポンド、約200ポンド、またはそれ以上を減量することができる。体重の減少は、任意の再現性がある測定手段を使用して測定することができる。1つの実施形態においては、体重の減少は、対象の体格指数を計算し、一定期間の間の対象のBMIを比較することにより測定することができる。体格指数は、任意の利用できる方法を使用して、例えば、ノモグラムまたは類似するデバイスを使用することにより計算することができる。
【0106】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、異常脂質血症を治療するために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。異常脂質血症を治療するための方法は、対象において異常脂質血症を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。異常脂質血症を治療するための方法は、対象において異常脂質血症を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0107】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、高トリグリセリド血症を治療するために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。高トリグリセリド血症を治療するための方法は、対象において高トリグリセリド血症を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。高トリグリセリド血症を治療するための方法は、対象において高トリグリセリド血症を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0108】
本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートおよび上記ポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物は、ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」を持つ対象における糖尿病の発症、ならびに/あるいはメタボリックシンドローム(X症候群)を治療するために有用である。ポリペプチド・コンジュゲートは、そのような病態が高血糖(例えば、糖尿病)または高血糖の傾向、あるいは、過体重もしくは肥満、または過体重もしくは肥満の傾向とさらに関係がある場合に特に有用である。ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」を持つ対象における糖尿病の発症、ならびに/あるいはメタボリックシンドローム(X症候群)を治療するための方法は、対象において上記疾患/病態を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。ステロイド誘発性糖尿病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)治療誘導性糖尿病、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、先天性もしくはHIV関連脂肪組織萎縮症または「脂肪再分布症候群」を持つ対象における糖尿病の発症、ならびに/あるいはメタボリックシンドローム(X症候群)を治療するための方法は、対象において上記疾患/病態を治療するために、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートの治療有効量をそれが必要な対象に投与することを提供する。
【0109】
本明細書中に記載する方法においては、対象には、記載する治療効果が必要であり得る、および/または記載する治療効果を有することが望まれ得る。対象は任意の体重であり得、過体重もしくは肥満であってもよい。
【0110】
本明細書中の方法は、本明細書中に記載する所望する結果に影響を及ぼすための、対象に対するポリペプチド・コンジュゲートの有効量の長期にわたるかまたは持続性の投与を意図する。
【0111】
開示する方法は、そのような方法が必要な任意の個々の対象、または上記方法の実行が所望される個々の対象に対して使用することができる。これらの個体は、任意の哺乳動物であり得、これには、ヒト、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、および他の商業的価値がある動物またはペットが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0112】
いくつかの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートを長期投与により投与する。本明細書中で使用する場合は、「長期投与」は、急な様式とは反対に、長い期間にわたり所望する治療効果(活性)を得るために必要な血漿濃度が維持されるような、持続的様式での薬剤(単数または複数)の投与を意味する。1つの態様においては、「長期投与」は、治療有効量または所望する量で、あるいはそれを上回る量で血漿濃度が維持されるような持続的様式でのポリペプチド・コンジュゲートの投与を意味する。1つの実施形態においては、そのような長期投与は、長い期間にわたり、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約50pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約85pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約300pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度を維持する。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aであるか、または他の実施形態においては、化合物1Aまたはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、体重の減少、グルコースの低下、体組成の変化など)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。
【0113】
なお別の実施形態においては、長期投与は、少なくとも約12時間、または少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、または少なくとも約7日間の期間にわたり、ポリペプチド・コンジュゲートの平均または最小のいずれかの血漿濃度を維持する。別の実施形態においては、長期投与は、少なくとも1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、または少なくとも約4週間、あるいは少なくとも約1ヵ月間、少なくとも約2ヵ月間、または少なくとも約3ヵ月間にわたり、ポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度を維持する。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは持続的様式により投与される。本明細書中で使用する場合は、「持続的様式」は、体(例えば、循環)へのポリペプチド・コンジュゲートの導入を意味し、投与の手段を意味するのではない。したがって、持続的様式による長期投与は、静脈内または皮下のいずれかでの持続注入により;持続的もしくは間欠的送達のための、埋め込み型または外部のいずれかであるポンプまたは計器測定システムの使用;あるいは、例えば、1日に1回、1週間に2回、1週間に1回、1カ月に2回、1カ月に1回、2カ月に1回、または3カ月に1回投与される徐放出型、徐放性、持続放出型、または長期作用型処方物の使用により生じ得る。平均あるいは最小血漿中濃度には、処方物の投与直後に到達する必要はなく、到達するまでに数時間から数日、または数週間を要する場合があることが理解されるものとする。到達すれば、その平均あるいは最小血漿濃度は、その治療効果を有すると所望される期間にわたり維持される。
【0114】
体重の減少または体組成を変化させる状況において本明細書中で使用する場合は、「それが必要な対象」は過体重もしくは肥満である対象である。体重の減少または体組成を変化させる状況において本明細書中で使用する場合は、「望ましい」対象は、例えば、それらの除脂肪組織に対する脂肪の比を小さくすることにより、その体重を減少させるかまたはその体組成を変化させることを望む対象である。1つの実施形態においては、対象は、肥満または過体重の対象である。例示的な実施形態においては、「過体重の対象」は、25を上回る体格指数(BMI)、または25〜30の間のBMIを持つ対象を意味する。しかし、過体重の意味が、25を上回るBMIを持つ個体には限定されず、体重減少が望ましいか、または医学的もしくは美容上の理由のために体重減少が指示される任意の対象も意味することが理解されるものとする。「肥満」は一般的には、30を上回る体格指数と定義されるが、本開示の目的については、体重を減少させることが必要であるかまたはそれを望む任意の対象が「肥満」の範囲に含まれる。1つの実施形態においては、インスリン抵抗性、耐糖能異常であるか、または真性糖尿病のいずれかの型(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、もしくは妊娠糖尿病)を有している対象がこの方法の恩恵を受けることができる。別の実施形態においては、それが必要な対象は肥満体である。しかし、本明細書中に記載する方法が、耐糖能が低下している、インスリン抵抗性、または真性糖尿病を有していない、および/あるいはそれらとは診断されていない対象に適用できることにも注目されるべきである。
【0115】
糖尿病を治療する、HbA1cを低下させる、食後血中グルコースを制御する、空腹時血中グルコースを下げる、および全体的な1日血中グルコース濃度を下げる状況において本明細書中で使用する場合は、それが必要な対象には、糖尿病、耐糖能が低下している、インスリン抵抗性を有している対象、または血中グルコースを自己調節することができない対象が含まれ得る。
【0116】
当該分野で一般的に使用されているように、HbA1cまたはA1cまたは糖化ヘモグロビンまたはグリコヘモグロビンは、糖化ヘモグロビンを意味する。
【0117】
1つの実施形態においては、体重を減少させる、除脂肪組織に対する脂肪の比を小さくする、BMIを下げるための方法を提供し、ここでは、上記方法には、ポリペプチド・コンジュゲートをそれが必要であるかまたはそれが望ましい対象に対して長期間にわたり投与することが含まれる。1つの実施形態においては、脂肪または脂肪組織の減量が原因である体重減少は、除脂肪組織が原因である体重減少より大きい。別の実施形態においては、除脂肪体重の減量が原因である体重の減少の百分率は、体重の減少の全体の約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、または0%である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、徐放出型、徐放性、持続放出型、または長期作用型の処方物中で投与される。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、ポリマーをベースとする持続放出型処方物の中で投与される。そのようなポリマーをベースとする持続放出型処方物は、例えば、2001年8月31日に提出された米国特許出願番号第09/942,631号(現在は、米国特許第6,824,822号)と2005年12月21日に提出された関連する出願番号第11/312,371号;2002年10月17日に提出された米国仮特許出願番号第60/419,388号および2003年10月17日に提出された関連する米国特許出願番号第10/688,786号と同第10/688,059号;2006年1月9日に提出された米国仮特許出願番号第60/757,258号;2004年4月15日に提出された米国仮特許出願番号第60/563,245号および2005年4月13日に提出された関連する米国特許出願番号第11/104,877号;ならびに、2005年4月15日に提出された米国特許出願番号第11/107,550号(これらの全体が、参照により本明細書中に組み込まれる)に記載されている。
【0118】
本明細書中に開示する実施形態または方法のいずれか1つにおいて、ポリペプチド・コンジュゲートの循環血漿濃度は、定められた平均血漿濃度で、または定められた平均血漿濃度の約10%、約15%、約20%、もしくは約25%以内で維持され得る。他の実施形態においては、循環血漿濃度は、定められた平均濃度で、または定められた平均濃度の約98%、約97%、約96%、約95%、約90%、約80%、約70%、もしくは約60%で維持される。ポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度は、当業者が利用できる任意の方法を使用して測定することができる。
【0119】
本明細書中に記載する実施形態または方法のいずれか1つにおいては、ポリペプチド・コンジュゲートの投与は、少なくとも約12時間、約24時間、または約48時間にわたり、少なくとも約50pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの最小循環血漿濃度を維持するために有効である。他の実施形態においては、上記方法に、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの最小循環血漿濃度を維持するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの最小濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの最小血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aもしくは化合物1A、またはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、体重の減少、グルコースの低下、体組成の変化など)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。特定の実施形態では、ポリペプチド・コンジュゲートの最小濃度は、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、または少なくとも約7日間の期間にわたって維持される。様々な実施形態において、最小循環血漿濃度は、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、または少なくとも約16週間にわたり維持される。さらなる実施形態においては、最小循環血漿濃度は、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11ヵ月間、または少なくとも約12ヵ月間にわたり維持される。ポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度は、当業者が利用できる任意の方法を使用して測定することができる。
【0120】
本明細書中に記載する実施形態または方法の任意の1つにおいて、上記ポリペプチド・コンジュゲートの投与が、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、または少なくとも約48時間にわたり少なくとも約50pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度を維持するために有効である。他の実施形態においては、上記方法には、少なくとも約25pg/ml、少なくとも約65pg/ml、少なくとも約75pg/ml、少なくとも約100pg/ml、少なくとも約150pg/ml、少なくとも約170pg/ml、少なくとも約175pg/ml、少なくとも約200pg/ml、少なくとも約225pg/ml、少なくとも約250pg/ml、少なくとも約350pg/ml、少なくとも約400pg/ml、少なくとも約450pg/ml、少なくとも約500pg/ml、少なくとも約550pg/ml、または少なくとも約600pg/mlのポリペプチド・コンジュゲートの平均循環血漿濃度を維持するために十分なポリペプチド・コンジュゲートの投与が含まれる。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均濃度は、少なくとも約170pg/ml〜600pg/mlの間、または少なくとも約170pg/ml〜350pg/mlの間である。なお他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度は、40pmol/リットルより大きい、50pmol/リットルより大きい、60pmol/リットルより大きい、70pmol/リットルより大きい、80pmol/リットルより大きい、90pmol/リットルより大きい、100pmol/リットルより大きい、110pmol/リットルより大きい、120pmol/リットルより大きい、130pmol/リットルより大きい、140pmol/リットルより大きい、または150pmol/リットルより大きい。なおさらなる実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均血漿濃度は、40pmol/リットルより大きいが150pmol/リットル未満であるか、または40pmol/リットルより大きいが80pmol/リットル未満である。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、化合物1Aもしくは化合物2Aもしくは化合物1A、またはそれらの誘導体である。他の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの濃度は、所定の濃度のエキセンディン-4、化合物4A、ダバリンチド、またはエキセンディンとダバリンチドの組み合わせを用いた場合に観察されるものと同等の生物学的効果または治療効果(例えば、体重の減少、グルコースの低下、体組成の変更など)を生じるポリペプチド・コンジュゲートの濃度である。特定の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの平均濃度は、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、または少なくとも約7日間の期間にわたり維持される。様々な実施形態において、平均循環血漿濃度は、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、少なくとも約7週間、少なくとも約8週間、少なくとも約9週間、少なくとも約10週間、少なくとも約11週間、少なくとも約12週間、少なくとも約13週間、少なくとも約14週間、少なくとも約15週間、または少なくとも約16週間にわたり維持される。さらなる実施形態においては、平均循環血漿濃度は、少なくとも約5カ月間、少なくとも約6カ月間、少なくとも約7カ月間、少なくとも約8カ月間、少なくとも約9カ月間、少なくとも約10カ月間、少なくとも約11ヵ月間、または少なくとも約12ヵ月間にわたり維持される。ポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度は、当業者が利用できる任意の方法を使用して測定することができる。
【0121】
上記ポリペプチド・コンジュゲートは、利用できる任意の方法により投与することができる。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは皮下投与される。別の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは経口投与されるか、またはポンプもしくはインプラントにより投与される。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは連続投与される。別の実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、徐放型、徐放出型、持続放出型、または長期作用型の処方物中で投与される。上記実施形態のうちの任意のものにおいて、ポリペプチド・コンジュゲートは、1日に1回、2日に1回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、1カ月に2回、1カ月に1回、2カ月に1回、または3カ月に1回投与され得る。加えて、ポリペプチド・コンジュゲートの投与時間の合計の長さを、所望する体重減少の量により決定することができる。したがって、ポリペプチド・コンジュゲートを、その後に投与を終了することができる特定の目的体重、BMI、または体組成を達成するために十分な期間にわたり、本明細書中に開示する方法にしたがって投与することができる。あるいは、目的の体重、BMI、または体組成に達した後、ポリペプチド・コンジュゲートの用量を、所望する目的を維持するためのレベルに減少させることができる。加えて、目的体重に達した後に、対象の体重は再度増えた場合には、ポリペプチド・コンジュゲートの量を増大させることができ、また、すでに終了している場合には、投与を再開することができる。
【0122】
血糖制御の分野においてと同様に、ポリペプチド・コンジュゲートを、その後にポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度を維持レベルに減少させることができるかまたは中止することができる、目的のHbA1c、目的の空腹時グルコースレベル、目的の全体として1日血中グルコース糖濃度などに到達させるために十分な期間にわたり、本明細書中に開示する方法にしたがって投与することができる。中止した場合は、必要に応じて後で投与を再び始めることができる。1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートは、空腹時グルコースレベルを下げるまたは安定化させる、高いかもしくは所望するよりも高い空腹時グルコースレベルを低下させるまたは排除するために十分な期間にわたり、本明細書中に開示する方法にしたがって投与される。
【0123】
いくつかの実施形態においては、本明細書中に開示する方法はさらに、ポリペプチド・コンジュゲートを、1種類以上の他の抗糖尿病薬および/または抗肥満/食欲抑制薬とともに同時投与することを提供する。「同時投与」は、2種類以上の活性薬剤の単一の組成物としての投与、別の溶液としての同時投与を意味し、代わりに、互いに異なるタイミングで投与することもできる。そのような抗糖尿病薬として、メトホルミン、スルホニルウレア(SU)、チアゾリジンジオン(TZD)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定はされない。例示的な薬剤として、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、クロルプロパミド、およびトルブタミドが挙げられる。さらなる薬剤として、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)阻害剤(例えば、ビルダグリプチンまたはシタグリプチン)が挙げられる。ポリペプチド・コンジュゲートはまた、インスリンと同時投与することもできる。同時投与は、任意の適切な手段または投与レジュメにより達成され得る。当該分野で公知であるかまたは研究中の抗肥満薬として、食欲抑制薬(フェルネチルアミン型興奮薬、フェンテルミン(状況に応じて、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンとともに)、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェタミン、シブトラミンを含む);リモナバン、他のカンナビノイド受容体アンタゴニスト;オキシントモジュリン;フルオキセチン塩酸塩;キューネクサ(トピラマートとフェンテルミン)、ブプロピオンおよびゾニサミド、またはブプロピオンおよびナルトレキソン;あるいはゼニカルまたはセチリスタットまたはGT 389-255と類似するリパーゼ阻害剤が挙げられる。
【0124】
1つの実施形態においては、ポリペプチド・コンジュゲートの投与(本明細書中に記載する方法のうちのいずれかによるポリペプチド・コンジュゲートの長期投与を含む)に伴う胃腸への作用(吐き気を含む)の頻度および/または重篤度、あるいは吐き気の事象の回数および/または重篤度を下げるための方法を提供する。場合により、低用量またはより低い用量で開始する長期投与により、投与したポリペプチド・コンジュゲートに対する耐性が誘導される可能性があり、その結果、典型的には、胃腸への作用の許容できないほどの頻度および/または重篤度を誘発する高用量を、小さい胃腸への作用を伴うか、または胃腸への作用を伴わずに対象に投与することができる。したがって、例えば、一定の期間(この場合は、処方物を1週間に1回投与する)を超えて投与したポリペプチド・コンジュゲートを放出する処方物を使用して、ポリペプチド・コンジュゲートの最適未満の投与量を用いて長期投与を開始できることが意図される。数週間にわたり、ポリペプチド・コンジュゲートの血漿濃度が増大し、最終的にはプラトー濃度に達するであろう。いくつかの実施形態においては、このプラトーは、単回用量または初回用量で投与した場合の悪い胃腸への作用が原因で、寛容化することができない濃度である。任意の適切な長期放出型処方物および投与レジュメを、プラトー効果を達成するために使用することができる。
【0125】
したがって、1つの実施形態においては、それぞれの連続用量により、対象中の薬剤(単数または複数)の濃度が増大する多数の持続放出型の用量を提供する。ここでは、薬剤(単数または複数)の治療有効濃度は、対象の中で達成される。1つのさらなる実施形態においては、それぞれの連続的な持続放出型の用量が、その持続期がその前の用量の持続期と重複するように投与される。
【0126】
本開示はまた、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートまたは本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを含有している医薬組成物の少なくとも1治療有効用量を有している薬剤送達デバイスも提供する。薬剤送達デバイスは、使い捨てのバイアルまたは多重使用バイアル、使い捨ての薬学的ペンまたは多重使用の薬学的ペン、使い捨てのカートリッジまたは多重使用のカートリッジなどであり得る。1つの実施形態においては、薬剤送達デバイスには、少なくとも約1週間または約1カ月間、約7用量〜約40用量または十分な用量を対象に対して提供することができる量の本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートあるいは医薬組成物が含まれる。
【0127】
本開示はまた、本明細書中に記載するポリペプチド・コンジュゲートを含有している容器と、状況に応じて、対象による上記ポリペプチド・コンジュゲートの使用についての説明書をともに含むキットも提供する。上記容器は、本明細書中に記載するように、使い捨てまたは多重使用のためのバイアル、カートリッジ、ペン、または他の送達デバイスであり得る。
【0128】
本明細書中に記載する治療方法のうちの任意のものにおいて使用するための医薬品の製造のためのポリペプチド・コンジュゲートの使用もまた、具体的に意図される。
【0129】
さらなる実施形態として以下の実施形態を挙げる:
1.化合物1Aまたは化合物2Aを含有しているポリペプチド・コンジュゲート。
2.化合物1Aを含有している実施形態1に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
3.化合物2Aを含有している実施形態1に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
4.化合物1Aまたは化合物2Aが少なくとも1つのポリエチレングリコール部分に対して共有結合されている、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
5.ポリエチレングリコールが親油性部分に対して連結されている、実施形態4に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
6.前記親油性部分が、アルキル基、脂肪酸、コレステリル、またはアダマンチルである、実施形態5に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
7.化合物1Aまたは化合物2Aが少なくとも1種類の脂肪酸に対して共有結合されている、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
8.化合物1Aまたは化合物2Aがアルブミンに対して共有結合されている、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
9.アルブミンが1種類の脂肪酸に対して連結されている、実施形態8に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
10.化合物1Aまたは化合物2Aがポリアミノ酸に共有結合されている、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
11.GLP-1受容体の機能分析において1μmol未満のEC50を有している、実施形態1〜10のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
12.GLP-1受容体の機能分析において100nmol未満のEC50を有している、実施形態11に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
13.GLP-1受容体の機能分析において10nmol未満のEC50を有している、実施形態12に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
14.GLP-1受容体の機能分析において1nmol未満のEC50を有している、実施形態13に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
15.ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能分析において1μmol未満のEC50を有している、実施形態1〜14のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
16.ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能分析において100nmol未満のEC50を有している、実施形態15に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
17.ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能分析において10nmol未満のEC50を有している、実施形態16に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
18.ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能分析において5nmol未満のEC50を有している、実施形態17に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
19.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4、化合物4A、またはダバリンチドよりも強力に体重を減少させる、実施形態1〜18のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
20.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4およびダバリンチドのいずれよりも強力に体重を減少させる、実施形態1〜19のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
21.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4よりも効率よく体重を減少させる、実施形態1〜20のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
22.ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドよりも効率よく体重を減少させる、実施形態1〜20のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
23.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4およびダバリンチドのいずれよりも効率よく体重を減少させる、実施形態1〜22のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
24.ポリペプチド・コンジュゲートが、同時投与された最大有効用量のエキセンディン-4とダバリンチドよりも効率よく体重を減少させる、実施形態1〜20のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
25.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4よりも強力かつより効率よく体重を減少させる、実施形態1〜24のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
26.ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物3Aよりも強力におよび/またはより効率よく体重を減少させる、実施形態1〜24のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
27.体重の減少が4週間の期間にわたって起こる、実施形態1〜26のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
28.体重の減少が6カ月の期間にわたって起こる、実施形態1〜27のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
29.体重の減少が1年の期間にわたって起こる、実施形態1〜28のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
30.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4と比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、実施形態1〜29のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
31.ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドと比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、実施形態1〜30のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
32.ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物7Aと比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、実施形態1〜31のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
33.ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4と比較して少ない吐き気を有している、実施形態1〜32のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
34.ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドと比較して少ない吐き気を有している、実施形態1〜33のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
35.ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物7Aと比較して少ない吐き気を有している、実施形態1〜34のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
36.少ない吐き気が、吐き気の低い重篤度、または1年あたりの吐き気の有害事象のより少ない数、あるいはそれらの両方であり、ここでは、吐き気の事象は、軽度、中度、または重度の吐き気、あるいは吐き気の事象の合わせた総数であり得る、実施形態1〜35のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
37.ポリペプチド・コンジュゲートが空腹時血漿グルコースを下げる、実施形態1〜36のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
38.ポリペプチド・コンジュゲートが経口グルコース負荷に対する耐性を高める、実施形態1〜37のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
39.ポリペプチド・コンジュゲートが、グルコース誘導性インスリン分泌を増大させる、実施形態1〜38のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
40.ポリペプチド・コンジュゲートが、胃排出を少なくとも2時間、少なくとも4時間、または少なくとも8時間遅らせる、実施形態1〜39のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
41.ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量で化合物3Aよりも大きな程度に胃排出を遅らせる、実施形態1〜40のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
42.ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量でエキセンディン-4、ダバリンチド、または化合物3Aよりも大きな程度にまで血漿トリグリセリドを低下させる、実施形態1〜41のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
43.ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量で化合物2Aよりも大きな程度にまで血漿トリグリセリドを低下させる、実施形態1〜42のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲート。
44.薬学的に許容される塩の形態の請求項1〜43のいずれか1つに記載の化合物。
45.実施形態1〜44のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含有している、医薬組成物。
46.対象において糖尿病を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは実施形態1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において糖尿病を治療するための方法。
47.糖尿病が1型糖尿病である、請求項46に記載の方法。
48.糖尿病が2型糖尿病である、請求項46に記載の方法。
49.糖尿病が妊娠糖尿病である、請求項46に記載の方法。
50.対象が過体重、肥満であるか、または過体重もしくは肥満の傾向がある、実施形態46〜49のいずれか1つに記載の方法。
51.対象においてインスリン抵抗性を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象においてインスリン抵抗性を治療するための方法。
52.対象において食後高血糖を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食後高血糖を治療するための方法。
53.対象において血中グルコースレベルを下げるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において血中グルコースレベルを下げるための方法。
54.対象においてHbA1cレベルを下げるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象においてHbA1cレベルを下げるための方法。
55.対象においてインスリン放出を刺激するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象においてインスリン放出を刺激するための方法。
56.対象において胃運動性を低下させるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象において胃運動性を低下させるための方法。
57.対象において胃排出を遅らせるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象において胃排出を遅らせるための方法。
58.対象において食物摂取量を減少させるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食物摂取量を減少させるための方法。
59.対象において食欲を低下させるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食欲を低下させるための方法。
60.対象において体重を減少させるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において体重を減少させるための方法。
61.対象において過体重を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において過体重を治療するための方法。
62.対象において肥満を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1〜45のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において肥満を治療するための方法。
63.化合物の治療有効量が約0.1μg〜約5mgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
64.化合物の治療有効量が約1μg〜約2.5mgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
65.化合物の治療有効量が約1μg〜約1mgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
66.化合物の治療有効量が約1μg〜約50μgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
67.化合物の治療有効量が約1μg〜約25μgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
68.化合物の治療有効量が、対象の体重70kgを基準として約0.01μg〜約100μgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
69.化合物の治療有効量が、対象の体重70kgを基準として約0.01μg〜約50μgである、請求項46〜62のいずれか1つに記載の方法。
70.請求項1〜45のいずれか1つに記載の化合物または医薬組成物の少なくとも1治療有効用量を含有している薬剤送達デバイス。
71.バイアル、薬学的ペン、またはカートリッジである、請求項70に記載の薬剤送達デバイス。
72.治療有効用量の約1カ月分の供給量を含有している、請求項70または71に記載の薬剤送達デバイス。
73.実施形態1〜45のいずれか1つに記載の化合物を作製するプロセス。
74.組み換えプロセスを含む、実施形態73に記載のプロセス。
75.実施形態1〜45のいずれか1つに記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を含み、状況に応じて対象による上記ポリペプチド・コンジュゲートまたは組成物の使用のための説明書を有している、キット。
76.ポリペプチド・コンジュゲートの投与により、化合物6Aと比較して改善された対象コンプライアンス、化合物6Aと比較して重症の顔面紅潮の緩和の改善、および/または化合物6Aと比較して吐き気の減少が生じる、実施形態1〜75のいずれか1つに記載の方法。
77.用量が1日あたり約0.1mg〜1.0mgである、実施形態63に記載の方法。
78.用量が1日あたり約0.3mg〜0.6mgである、実施形態67に記載の方法。
79.用量が1日に2回に分けられる(BID)か、または1日に1回投与される(QD)、実施形態1〜78のいずれか1つに記載の方法。
【実施例】
【0130】
以下の実施例は、説明の目的のためのものにすぎず、特許請求の範囲を限定するようには意図されない。
【0131】
実施例1:DIOラットでのインビボでの研究のための方法
本研究では、化合物1Aおよび化合物2Aの代謝性の作用を特性決定した。本実施例において開示するように、化合物1Aおよび化合物2Aの4週間の持続皮下注入(3nmol/kg/d、10nmol/kg/d、30nmol/kg/d、および100nmol/kg/日)の効果を、食餌性肥満(DIO)である雄のSprague Dawleyラットにおいて、もとのペプチドである化合物6A、化合物5、および化合物4A(2.8nmol/kg/、15nmol/kg/、および7.2nmol/kg/;体重減少についての最大有効用量)の単回投与ならびに同時投与と比較した。様々な代謝性のパラメーターとPKパラメーターを評価した。
【0132】
動物。雄のSprague Dawleyラット(CRL:CDラット、Charles River Laboratories, Wilmington, MA)を個別に飼育し、高脂肪食(脂肪により32%のkcal;D12266B Research Diets, Brunswick, NJ)で、本研究の前におよそ8週間維持した。試験の開始時(0日)では、ラットの平均体重は545±3.8gであった。
【0133】
化合物。本実施例で使用した化合物には以下が含まれる:
天然のエキセンディン-4と比較して14位に1ヌクレオチドの相違を有している、全長のC末端アミド化エキセンディン-4ペプチドアナログである、化合物4A;
14位と28位にアミノ酸置換を有しているエキセンディン-4の最初の32個のアミノ酸と、その後ろに続く非哺乳動物(カエル)GLP1のC末端に由来する5個のアミノ酸配列のキメラである、化合物5;
C末端がアミド化されたアミリン模倣物であるダバリンチドである、化合物6A;
グリシン-グリシン-グリシンペプチドリンカーを介して化合物6Aに対してインフレームで共有結合させられた化合物5のポリペプチド・コンジュゲートである、化合物2A;および
グリシン-グリシン-グリシンペプチドリンカーを介して化合物6Aに対してインフレームで共有結合させられた化合物4Aのポリペプチド・コンジュゲートである、化合物1A。
【0134】
研究の設計。ポリペプチド・コンジュゲートを、ビヒクル(滅菌水中の50%のDMSO)と、単独のもとの化合物および組み合わせたもとの化合物と比較して試験した(表1を参照のこと)。化合物5、化合物4A、および化合物6Aの用量は、このモデルにおける体重減少について最も有効である(未公開データ)。1日目に、ラットに、ビヒクル、化合物2A、化合物1A、化合物5、化合物4A、または化合物6Aのいずれかを一定速度で(nmol/kgラット/日)で4週間にわたって送達する2個の浸透圧ミニポンプ(Alzet, Durect Corporation, Cupertino, CA)を外科手術により移植した。表1を参照のこと。
【0135】
【表1】

【0136】
食物摂取量と体重を、1週間に1回測定した。体組成は、NMR機器(Echo Medical Systems, Houston, TX)を使用して、-1日目と28日目に評価した。脂肪症(脂肪量百分率)は、体重に対する脂肪の量として定義した(脂肪量/体重×100)。血液を14日目に尾静脈から採血した。28日目に、血液試料を頸静脈から採血し、動物をイソフルランの過剰投与により麻酔した。ミニポンプをすぐに取り出し、動物について簡単なNMRスキャンを行った。今後の組織学的試験と予備的毒性学的評価のために、組織を収集した。
【0137】
統計分析。データをNewman-Keuls post-hoc比較を用いて一元配置分散分析(ANOVA)を使用して分析した。有意性はp<0.05と推測した。グラフは、Prism 4 for Windows(Graphpad Software, San Diego, CA)を使用して作製した。全てのデータ点は平均±SEMとして表わす。化合物1Aおよび化合物2Aの最大用量について、動物のうちのいくつかは最小食物摂取量を有していた。このデータを分析に含めた。
【0138】
ホルモンおよび代謝物の分析。試験薬剤の血漿濃度を、14日目とELISAの終了時に測定した。14日目および終了時の全血のヘモグロビンA1c百分率(%HbA1c)、血漿トリグリセリド、総コレステロール、HDLコレステロール、および血漿グルコースを、Olympus bioanalyzer(Olympus America Diagnostics)を使用して測定した。14日目と終了時の血漿インスリンレベルをELISAキット(Rat/Mouse Insulin ELISA, Linco Diagnostics)により分析した。
【0139】
実施例2:化合物1Aは優れた体重減少を提供する
実施例1の方法にしたがうと、それぞれのポリペプチド・コンジュゲート(化合物1Aおよび化合物2A)は、28日の治療にわたり、3nmol/kg/d、10nmol/kg/d、30nmol/kg/d、および100nmol/kg/dで用量依存的に体重を有意に減少させた(ビヒクルと比較してp<0.05)(図1Aおよび1Bを参照のこと)。もとの化合物(化合物5+化合物6A、および化合物4A+化合物6A)の同時投与は、ビヒクル対照と比較して、および化合物6A単独と比較して、体重を有意に減少させた(p<0.05)。図1Aおよび1Bを参照のこと。
【0140】
図1Aに示すように、4週のビヒクルで補正した体重減少は:100nmol/kg/dの化合物2Aについては-31.5±2.7%、化合物5については-16.6±3.6%、化合物6Aについては-12.3±1.3%、化合物5+化合物6Aについては-24.3±1.3%、化合物2A対化合物6Aについてはp<0.05であったが、化合物5、または化合物5+化合物6Aの同時投与とは異ならなかった。化合物2Aについては、10nmol/kg/dを超える用量効果は存在しなかった;30nmol/kg/dまたは100nmol/kg/dの用量を用いた場合には、さらなる体重減少は観察されなかった。最大の体重減少は、-27.8±5.3%で、100nmol/kg/dの群において達成された。図1Aを参照のこと。化合物2Aもまた、持続注入による体重減少において、化合物3Aよりも数倍強力であった。
【0141】
図1Bに示すように、4週のビヒクルで補正した体重減少は:100nmol/kg/dの化合物1Aについては-37.3±4.8%、化合物4Aについては-13.5±1.5%、そして化合物4A+化合物6Aについては-25.8±1.5%;化合物1A対単独および組み合わせでの両方のもとのペプチドについてp<0.05であった。化合物1Aについては、用量依存性の体重減少が試験した最大用量まで観察された[-37.3±4.8%で100nmol/kg/dの群]。100nmol/kg/dで化合物1Aを用いた場合の体重減少もまた、もとの化合物の最大有効用量の同時投与を用いて観察された体重減少より有意に大きかった。図2Aを参照のこと。いずれのポリペプチド・コンジュゲートも、28日の治療期間にわたり、最強度の体重減少を誘発したが、化合物1Aについては、試験した最も低い用量でもなお、体重減少は、いずれかのもとのペプチドの単回投与による体重減少よりも有意に大きかった。化合物1Aはまた、化合物2Aよりもかなり強力であり、より有効であった。化合物1Aはまた、化合物3Aよりも、持続注入による体重の減少についておよそ10倍強力であった。
【0142】
実施例3:化合物1Aは食物摂取量の優れた減少を提供する
実施例1の方法にしたがうと、体重と同様に、それぞれのポリペプチド・コンジュゲートは、28日の治療期間にわたり、ビヒクル対照と比較して試験した各用量で食物摂取量を有意に減少させた(p<0.05)。図2Aおよび2Bを参照のこと。試験した最大用量で、食物総摂取量は、もとのペプチドの単回投与と比較して、化合物1Aにより、および化合物2Aにより有意に減少した。化合物1Aの最大用量では、食物摂取量は、化合物4A+化合物6Aの同時投与により抑制されたものを上回って抑制された。
【0143】
3nmol/kg/dでの化合物2Aについての累積の食物摂取量は、他の用量よりも有意に高かった(p<0.05)。もとの化合物の単剤療法と比較すると、10nmol/kg/dおよび100nmol/kg/dの用量がいずれのもとの化合物よりも有意に低かったが、もとの化合物である化合物6Aと有意に異なったものは30nmol/kg/dの用量だけであった。化合物5+化合物6Aでの同時投与による治療は、上記ポリペプチド・コンジュゲートの用量のいずれとも有意には異ならなかった。図2Aを参照のこと。化合物2Aは、正確に食物摂取量を減少させることにおいて化合物3Aよりも強力であった。
【0144】
化合物1Aの全ての用量が、ビヒクルと、および単独で投与したいずれのもとの化合物と比較しても、食物摂取量を有意に減少させた。図2Bを参照のこと。化合物1Aの最大用量だけが、2種類のもとの化合物4Aおよび化合物6Aの併用療法(同時投与)と有意に異なっていた。図2Bを参照のこと。したがって、化合物1Aは食物摂取量の優れた減少を提供した。化合物1Aはまた、急激に食物摂取量を減少させることにおいて化合物3Aよりも強力であった。全体として、化合物1Aおよび化合物2Aは、化合物2Aと比較して体重減少についてより大きな効力と有効性を示す化合物1Aを用いた場合には、DIOラットにおけるもとのペプチドの単回投与と比較して、体重減少についてより有効であった。
【0145】
実施例4:化合物1Aは体組成の改善を提供する
実施例1にしたがうと、本研究の開始時には、生の重量としてもしくは脂肪量百分率(脂肪症)のいずれかとして表わしたベースラインの脂肪量において、またはベースラインの除脂肪体重においては、試験対象間で有意な差は観察されなかった(表2および表3を参照のこと)。終了時には、漸増用量のポリペプチド・コンジュゲートにより、脂肪量の減少が生じたことが観察された。ポリペプチド・コンジュゲートにより誘導された体重減少は、脂肪量百分率の有意な低下と関係していた(100nmol/kg/dの用量:化合物2Aについては-12.2±1.3%、および化合物1Aについては-15.5±2.2%;いずれも、ビヒクル対照に対してp<0.05)。化合物2Aによっては除脂肪体重の百分率は変化しなかったが、化合物1Aの全ての用量により、ビヒクル対照と比較した除脂肪体重の百分率が増大した。化合物1Aおよび化合物2Aは、100nmol/kg/dで、ビヒクルと、およびいずれかのもとの化合物の群の投与と比較して、脂肪量を有意に減少させた(表2および表3を参照のこと)。化合物2Aは10nmol/kg/dおよび100nmol/kg/dで、そして化合物5+化合物6Aの同時投与による治療により、ビヒクルと比較して最終的な除脂肪体重が有意に減少した(表2を参照のこと)。化合物1Aでの治療は10nmol/kg/d、30nmol/kg/d、および100nmol/kg/dで、そして化合物4A+化合物6Aでの治療により、ビヒクル対照と比較して除脂肪体重が有意に低下した(表3)。
【0146】
【表2】

1.外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる(p<0.05)。
【0147】
【表3】

1.外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる(p<0.05)。
【0148】
体重の減少を補正するために、脂肪および除脂肪体重の減少を、脂肪症(脂肪量百分率)の変化および除脂肪体重の百分率の変化を計算するために最終的な体重について調整した。脂肪症は、化合物2A、ならびにもとの化合物単独および併用の全ての用量により有意に軽減された(図3を参照のこと)。化合物2Aは100nmol/kg/dで、脂肪症の最大の軽減を生じた(-12.2±1.3%;図3)。
【0149】
脂肪症の軽減は化合物1Aを用いた場合に観察された:全ての治療用量により、化合物4Aおよび化合物6Aの投与によりそうであったように、ビヒクル対照と比較して脂肪症が有意に軽減した。図4を参照のこと。化合物1Aの最大用量により最大の軽減が生じ(-15.5±2.2%)、これは他の全ての用量よりも有意に低かったが、もとの化合物の同時投与と同等であり(図4を参照のこと)、そして化合物2Aよりも優れていた。
【0150】
全体としての除脂肪(すなわち、脂肪を含まない)体重は、高用量のポリペプチド・コンジュゲートでの治療によって減少したが、除脂肪体重の変化は、体重の百分率として表わした場合には、ビヒクル対照と、化合物2A、化合物5、化合物6A、または化合物5+化合物6Aの組み合わせの群のいずれの用量との間でも有意な差はなかった(図5を参照のこと)。驚くほど対照的に、化合物1Aのそれぞれの用量での治療により、ビヒクル対照と比較して、除脂肪体重の百分率が有意に増大した(図6を参照のこと)。化合物1Aは、体組成を改善する、例えば、除脂肪体重を残す、脂肪を消費することにおいて優れている。
【0151】
暴露の28日目に、化合物1Aおよび2Aは、ob/obマウス(肥満および糖尿病)において、空腹時血中グルコースの低下(mg/dL)、HbA1cの減少および体重減少(脂肪を消費する、除脂肪体重を残す)を提供する。ob/obマウスにおいては、化合物1Aは、エキセンディン-4と比較して同等の空腹時血中グルコースの低下を提供したが、優れた体重減少(脂肪を消費する、除脂肪体重を残す)も提供した。HbA1cの減少および空腹時血中グルコースの低下に対するこれらの有益な効果は、この系においてダバリンチドだけを用いた場合に観察された、観察されたHbA1cの増加と空腹時血中グルコースの増大を考慮するとさらに驚くことである。化合物1Aのこの優れた効果は、エキセンディン-4とダバリンチドの組み合わせで治療したob/obマウスにおいて観察された28日目での血漿グルコースレベルの増大と比較して、なおさらに驚くことである(未公開データ)。
【0152】
実施例6:化合物1Aは優れた代謝性パラメーターを提供する
血漿パラメーター。以下の血漿パラメーターに対するもとの化合物およびポリペプチド・コンジュゲート化合物の効果を決定した:14日目および28日目の、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の百分率、食後血漿インスリン、および血漿中のポリペプチド・コンジュゲートの濃度。
【0153】
28日後、化合物2Aでの治療を用いた場合には、グルコース、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の百分率、インスリン、総コレステロールまたはHDLコレステロールにおいては変化が観察されなかった。同様に、28日後の、総コレステロールまたはHDLコレステロール、あるいはHbA1cレベルに対しては、化合物1Aは有意な効果がなかった。血漿インスリンおよびグルコースレベルは、ビヒクル対照と比較していくつかの用量で化合物1Aにより有意に低下した。血漿トリグリセリドは、治療の28日後、ビヒクルと比較してペプチドでの全ての治療により有意に低下した。特定の免疫アッセイにより測定した化合物1Aおよび化合物2Aの血漿濃度は、2週間の治療後および4週間の治療後のいずれも、治療用量に対応して漸増レベルで検出された。
【0154】
治療の14日後、HbA1cレベルは、化合物5+化合物6A、化合物5、および化合物2Aを10nmol/kg/dで用いた場合は、ビヒクルおよび化合物6A群のいずれと比較しても、わずかではあるが有意に上昇した(表4を参照のこと)。HbA1cにおいては、28日後のこれらの群のいずれの間でも差は明らかではなかった。全ての治療群が、ビヒクル対照と比較して、14日後に有意に低いインスリンレベルを示したが、28日後には差異は観察されなかった。化合物2Aの血漿濃度は、14日目および28日目に、用量依存性様式で血漿中で有意に増大した(表4を参照のこと)。
【0155】
【表4】

1.外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる。
【0156】
対照的に、14日後、3nmol/kg/dおよび10nmol/kg/dの化合物1Aでの治療により、ビヒクルおよび化合物6A群に対してHbA1cレベルが増大したが、28日目には差異は観察されなかった(表5を参照のこと)。化合物2Aでの治療と同様に、化合物1Aおよび化合物4A+化合物6Aの組み合わせの全ての用量により、14日目に、ビヒクルと比較して血漿インスリンが有意に減少したが、28日後、ビヒクルと比較して、化合物1Aの10nmol/kg/dおよび30nmol/kg/dでの治療、ならびに化合物4A+化合物6Aの同時投与による治療により、さらに減少した(表5を参照のこと)。14日目に、100nmol/kg/dの化合物1Aは、ビヒクルと、ならびに3nmol/kg/dおよび10nmol/kg/dの化合物1Aと比較して有意に高い血漿濃度を示したが、30nmol/kg/dの化合物1Aと比較すると有意に高くはなかった。14日目の値と28日目の値との間には差はなかった。
【0157】
【表5】

1.外書きされた文字が共通していない群は互いに有意に異なる。
【0158】
本研究はまた、28日後のグルコースおよび脂質(トリグリセリド、総コレステロールおよびHDLコレステロール)の血漿濃度も評価した。別々にまたは一緒に投与した化合物2Aおよびもとのペプチドの全ての用量は、グルコース、または総コレステロールもしくはHDLコレステロールを変化させなかった。トリグリセリドは、ビヒクルと比較して全ての群により有意に低下した(表6を参照のこと)。
【0159】
【表6】

【0160】
化合物2Aを含む全ての他の化合物とは対照的に、化合物1Aは、10nmol/kg/dおよび30nmol/kg/dで、例えば、化合物6Aと比較して、HDLコレステロールを低下させた。化合物1Aは総コレステロールを変化させなかった。表7を参照のこと。化合物1Aおよびもとのペプチドの全ての用量により、化合物4A+化合物6Aによりそうであったように、ビヒクルと比較してトリグリセリドが減少し、10nmol/kg/dおよび30nmol/kg/dではグルコースが低下した(表7を参照のこと)。
【0161】
【表7】

【0162】
実施例7:ポリペプチド・コンジュゲートは望ましい二重受容体活性化作用を保持している
ポリペプチド・コンジュゲート化合物1A、化合物2A、化合物3A、およびもとの化合物を、GLP-1受容体(例えば、エキセンディン-4様活性)またはカルシトニン受容体(例えば、ダバリンチド/アミリン模倣物様活性)に結合し、これらを受容体活性化させるそれらの能力について細胞に基づくアッセイにおいて試験した。
【0163】
GLP-1受容体の機能的アッセイでは、内生的に発現されるGLP-1受容体のペプチドにより誘導される活性化により、6-23(クローン6)細胞株(Zeytinoglu et al.“Establishment of a calsitonin-producing rat medullary thyroid carcinoma cell line:I. Morphological studies of the tumor and cells in culture,”Endocrinology 107:509-515(1980);Crespel et al.,“Effects of glucagon and glucagon-like peptide-1-(7-36)amide on C cells from rat thyroid and medullary thyroid carcinoma CA-77 cell line,”Endocrinology 137:3674-3680(1996))中でのcAMPの増加を測定する。cAMPの蓄積を、384ウェル形式でのHTRF(CisBio, Bedford, MA USA)細胞に基づくcAMPアッセイキットを使用して、30分間のペプチドでの処理の後に測定する。HTRF(均一時間分解蛍光測定)は、TR-FRET(時間分解蛍光および蛍光共鳴エネルギー移動測定)、FRET化学反応と長い放出半減期を持つ蛍光色素の使用との組み合わせに基づく技術である。試験化合物の有効性は、10μMのホルスコリン(cAMPの生成を導くアデニル酸シクラーゼの構成的活性化因子)での細胞の処理と比較して決定し、試験化合物の効力(EC50)は、4パラメーターモデルにフィットさせた非線形回帰分析を使用する濃度応答曲線の分析により決定する。濃度応答曲線は、1μmol〜0.1pmolの試験化合物濃度(濃度あたりN=4個の複製)の範囲である。試験化合物は、8点の用量反応について段階的に1:10に希釈する。細胞を、500μMのIBMXおよびHTRF溶液を含有している緩衝液中に2.5×10-6細胞/mlで懸濁させる。5μlの試験化合物を5μlの懸濁した細胞に対して添加し、室温にて暗所で30分間インキュベートする。活性化を、検出試薬/溶解緩衝液の付加により停止する。蓄積したcAMPをキットの説明書にしたがって決定する。
【0164】
ラットのカルシトニンC1a受容体での試験化合物の機能的活性は、384ウェル形式においてHTRF-based cAMP assay kit(CisBio, Bedford, MA USA)を使用して試験化合物に対して30分間暴露した後に、ラットのC1aカルシトニン受容体を過剰発現するC1a-HEK細胞株中でのcAMPの蓄積により決定した。cAMPの蓄積は、漸増濃度の試験ペプチドに対する反応と、10μMのホルスコリン(アデニル酸シクラーゼの構成的活性化因子)での細胞の処理と比較して決定した上記ペプチドの有効性において測定する。試験化合物の機能的活性はまた、AlphaScreen Whole Cell cAMP Functional Assay(Perkin Elmer, MA USA)を使用して測定することもできる。計算したEC50値は、1μmol〜0.1pmolの濃度(濃度あたりN=4個の複製)のペプチド用量を用いた4パラメーターの濃度応答曲線に基づく。細胞を、500μMのIBMXおよびHTRF溶液を含有している緩衝液中に、2.0×10-6細胞/mlで懸濁させる。5μlの試験化合物を5μlの懸濁した細胞に対して添加し、室温にて暗所で30分間インキュベートする。活性化は、検出試薬/溶解緩衝液の付加により停止させる。蓄積したcAMPをキットの説明書にしたがって決定した。
【0165】
表8は、受容体活性のインビトロでの指標であるcAMPについてのEC50の測定を提供する。予想したとおり、エキセンディン-4、化合物4A、化合物5、および化合物10Aは全てGLP-1受容体アゴニストであり、GLP-1受容体の機能分析においては活性であったが、C1aカルシトニン受容体の機能分析においては活性ではなかった。エキセンディン-4は、他のもとの化合物のいずれよりも活性であった。予想したとおり、化合物6A(アミリン模倣物ダバリンチド)は、C1aカルシトニン受容体の機能分析においては活性であったが、GLP-1受容体の機能分析においては活性ではなかった。
【0166】
【表8】

【0167】
さらに、インビボでは、化合物1Aおよび2Aは、それぞれの化合物について確認された血中カルシウムを下げる効果(エキセンディン・アゴニストではなくアミリンアゴニストの特性)に基づいて活性なアミリン模倣配列を有する(未公開データ)。したがって、全ての結合体化合物、化合物1A、化合物2A、および化合物3A(以前から知られている結合体)は、GLP-1およびアミリン受容体の両方で機能性であった。
【0168】
実施例8:ポリペプチド・コンジュゲートは基底グルコースを下げることについて活性である
ポリペプチド・コンジュゲートおよびもとの化合物を、インビボでの基底グルコース低下アッセイにおいて分析した。このアッセイは、経口投与によるグルコースチャレンジ(経口耐糖能試験;OGTT)のインスリン媒介性グルコースクリアランスを高める結合体ポリペプチドの能力を反映する。OGTTは、糖尿病を診断するために使用されるが、より簡単な空腹時血漿グルコース試験(少なくとも8時間の空腹後の対象の血漿グルコースレベルを測定する)が好ましい。以下の手順を使用した:試験化合物を様々な濃度で、t=-5分〜4時間で、絶食させたNIH/Swiss雌マウスに腹腔内に(IP)注射した。グルコースの強制経口投与(1.5g/kg)を、t=0で与えた。試料をOneTouch(登録商標)Ultra(登録商標)(LifeScan, Inc., Milpitas, CA)を使用してt=30分で尾の血中グルコースとして採取した。ANOVA(p<0.05)、これに続くGraphPad Prism version 4.00 for Windows(GraphPad Software, San Diego CA)を使用するDunnett's post testにより、有意な効果を同定した。
【0169】
結果を表9に示す。予想したとおり、エキセンディン-4、ならびに、エキセンディン-4ペプチドアナログである化合物4A、化合物5、および化合物10Aは、グルコースを下げることについて活性である。化合物2Aは、以前から知られているポリペプチド・コンジュゲート化合物3Aおよび化合物7Aのいずれよりも驚くほど強力である。化合物1Aは、化合物2A、ならびに化合物3Aおよび化合物7Aよりも驚くほど強力である。
【0170】
【表9】

【0171】
実施例9:ポリペプチド・コンジュゲート化合物1Aおよび化合物2Aはあまり吐き気を伴わずに食物摂取量を減少させる
結合体ポリペプチドについて可能性がある吐き気に対する効果を調べるために、カオリンの急性の摂取をラットにおいて測定した。異食行動(排泄物/泥の摂取)は、げっ歯類においては吐き気のマーカーであり、これには典型的には、食物摂取量と体重の減少が付随する。異食は、合成のカオリン泥の摂取を測定することにより評価することができる。胃において嘔吐を生じるように作用することができる化学療法薬シスプラチンを、陽性対照として吐き気を伴う食欲不振を誘導するために使用した。ラットは、通常の固形飼料と混合したカオリン泥として、3日間にわたりカオリンに慣れさせた。その後、4時間および24時間のベースラインのカオリンおよび固形飼料の摂取を測定した。続いて、ラットを、試験化合物を以下に示す用量で注射した後、およそ16時間にわたり絶食させた。注射の24時間後に、固形飼料とカオリンの消費量を測定した。表10は、カオリン摂取量の結果と、(固形飼料の)食物摂取の阻害との相関関係を示す。
【0172】
【表10】

【0173】
化合物7Aは以前から知られている結合体であり、食物摂取を阻害する用量で、陽性対照と同様に、ラットにおいて吐き気の兆候であるカオリンの摂取を有意に誘導した。化合物3Aは、食物摂取量をシスプラチンの注射と同様に急激に抑制する用量で、あるとしても中程度にすぎないが、カオリンの消費に対する効果を有していた。化合物1Aおよび化合物2Aは、陽性対照である化合物3Aまたは7Aよりさらに大きい食物摂取量の減少を誘発した用量でも、カオリンの消費量の有意な増大を誘導しなかった。驚くことに、エキセンディン-4およびダバリンチドには吐き気が伴うにも関らず、化合物1Aおよび化合物2Aは、本研究においては有意なカオリンの摂取を示さなかった。
【0174】
記載したように、化合物1AはGLP-1受容体とアミリンおよびカルシトニン受容体の両方について高い効力を示し、これは、それらのエキセンディン様部分とダバリンチド部分がそれらの生物学的活性を保持していることを明らかに示している。これらの標的受容体に対する活性は、もとの化合物と比較して中程度にしか弱められない。興味深いことに、化合物1AはCGRP受容体を非常に低い親和性で結合し、これは、CGRP受容体に対して、アミリン受容体(それぞれ、>100倍に対して>600倍)およびカルシトニン受容体(>280倍に対して>1600倍)についての化合物3Aよりも優れた選択性を示しており、CGRP受容体に対して、カルシトニンおよびアミリン受容体に対する結合についてのダバリンチド(化合物6A)選択性よりもなおさらに優れている。ダバリンチドは強力なアデノレメジュリン受容体アンタゴニストである(IC50=18nM)にも関らず、化合物1Aは、10uMまでの濃度では、アドレノメジュリン受容体の機能的活性化または拮抗作用を示さなかった。したがって、化合物1Aは、アミリンおよびアミリン模倣物を認識する細胞性受容体に関して、ダバリンチドと比較して驚くほど異なる薬理学的プロフィールを示す。化合物1Aは、もとのペプチドよりも少ないオフターゲット活性を有する。化合物1Aについてのこの改善された薬理学的プロフィールは、もとのペプチド化合物6Aと比較して、特にヒト対象を用いた場合に、重篤な顔面紅潮の軽減、吐き気、および/または嘔吐の軽減のような、副作用の軽減をもたらすと期待される。例えば、CGRPおよびCGRPアゴニストは、ヒト対象において重篤な顔面紅潮およびさらには吐き気や嘔吐を誘導すると報告されており、これは、CGRP受容体の活性化が一部原因であると考えられ、CGRPアンタゴニストにより軽減される。
【0175】
化合物1Aと化合物2A、特に化合物1Aは、対象コンプライアンスを増大させ、かつ/またはこれまでの化合物と比較して、例えば、化合物6Aと比較して必要に応じて用量を増大させることが可能であり、これにより商業的成功の改善をもたらすと期待される。
【0176】
実施例10:ポリペプチド・コンジュゲートは胃排出を遅らせる
ポリペプチド・コンジュゲートおよびもとの化合物を、ラットにおいて胃排出を遅らせるそれらの能力について分析した。胃排出の阻害は、GLP-1受容体活性化作用およびアミリン受容体活性化作用の生理学的効果、ならびにグルコース制御におけるエキセンディン-4と化合物6Aの鍵となる薬理学的作用である。絶食させた雄のSprague Dawleyラット(約250g、グループあたりn=5)に、t=0で生理食塩水、化合物6A、または試験化合物の単回の皮下注射を行った(1nmol/kg)。その後、ラットに、t=注射後3.5時間、5.5時間、または7.5時間で、33mgのアセトアミノフェン/1mlのOrablend(Paddock Laboratories, Inc., MN USA)の強制経口投与を行った。血液を、SC注射後4時間、6時間、または8時間でアセトアミノフェンの測定のために採血した。胃排出は、強制経口投与後30分での血漿中のアセトアミノフェンの出現により評価した。
【0177】
表11は、胃排出の阻害の百分率を示す。化合物1Aと化合物2Aは、単回注射後6時間まで、胃排出を阻害することに関して化合物6Aと同程度に有効であった。化合物3Aおよび化合物7Aは、試験した時点および用量では胃排出を有意には阻害しなかった。驚くことに、化合物1Aは、化合物2Aと比較してより長い作用期間を提供した。
【0178】
【表11】

【0179】
本明細書中に提供するアッセイにおける、もとの化合物である化合物4Aを含有しているポリペプチド・コンジュゲートである化合物1Aの効果は驚くほどである。Hargrove et al. 2007は、エキセンディン-4ペプチドアナログLeu14エキセンディン-4である化合物4Aが、エキセンディン-4と比較して、顕著に能力が低い胃排出の遅延(4倍の低さ)、顕著に能力が低い食物摂取量の阻害(8倍の低さ)、より短い半減期およびより短い作用期間を示すことを教示している。ポリペプチド・コンジュゲート化合物1A中にLeu14エキセンディン-4ペプチドアナログの配列が存在するにも関らず、化合物1Aは、化合物2Aおよび以前から知られている結合体と比較して、驚くほど優れた薬理学的特性(例えば、強く、長く作用する胃排出活性の阻害、ならびに驚くほど強く、長く作用する食物摂取量の減少および体重減少)を示す。驚くことに、化合物1Aと化合物2Aは、エキセンディン-4、化合物4A、および化合物6Aと比較して、5時間のインキュベーションの間中、ヒト血漿中、およびヒトの腎臓の刷子縁膜マトリックスを用いた場合に、インビトロでより安定な(少なくとも2倍の)代謝プロフィールを有する(未公開データ)。その期間の間に化合物1Aまたは化合物2Aについての代謝物は検出されず、これは、どの特定されなかった代謝物も10%を下回るレベルでしか存在しないことを示している。
【0180】
驚くことに、化合物1Aおよび化合物2Aは、エキセンディン-4、化合物4A、または化合物6Aのいずれと比較しても、同様の生物学的利用性(ラットにおける皮下注射)を伴うより長い半減期を有する(未公開データ)。化合物1Aは、20分のエキセンディン-4および約30分のダバリンチドと比較して、(雄のSprague-Dawleyラットにおいて)皮下投与した場合に72分の半減期を有しており、同様の絶対的生物学的利用性を有している。
【0181】
非常に優れたPKプロフィールおよび他の好ましい薬剤特性(例えば、より少ないオフターゲット活性および少ない吐き気)と組み合わせたこれらの優れた薬理学的特性は、体重制御のさらなる改善を伴うグルコース制御、およびそのような治療が有益である疾患および病態を有しているそのような治療が必要な対象における組成物について驚くほど有用なポリペプチド・コンジュゲート(化合物2A、および化合物1Aがなおさらにそうである)を提供する。そのような病態としては、糖尿病前症、糖尿病、過体重もしくは肥満を伴う糖尿病、過体重または肥満を有している対象が挙げられ、この場合、そのような対象は、血中グルコースを制御すること(例えば、抗高血糖)、ならびに/あるいは、体重の改善効果もしくは体重の制御の改善、ならびに、体重を減少させる、体重を維持する、体重の増加を防ぐ、および/または除脂肪筋肉対体脂肪比を改善するための体組成物を有することが必要であり、望ましい。
【0182】
全ての刊行物および特許出願は、参照により、それぞれが参照により組み込まれたことが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に、あたかも本明細書中に完全に示されているかのように、本明細書中に組み込まれる。上記は、理解の明確化の目的のために詳細に記載されてきたが、変更および改変が、本開示または添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく行われ得ることは、当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1Aまたは化合物2Aを含むポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項2】
化合物1Aを含む請求項1に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項3】
化合物2Aを含む請求項1に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項4】
化合物1Aまたは化合物2Aが少なくとも1つのポリエチレングリコール部分に対して共有結合されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項5】
ポリエチレングリコールが親油性部分に対して連結されている、請求項4に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項6】
前記親油性部分が、アルキル基、脂肪酸、コレステリル、またはアダマンチルである、請求項5に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項7】
化合物1Aまたは化合物2Aが少なくとも1つの脂肪酸に対して共有結合されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
【請求項8】
化合物1Aまたは化合物2Aがアルブミンに対して共有結合されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
【請求項9】
アルブミンが脂肪酸に対して連結されている、請求項8に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項10】
化合物1Aまたは化合物2Aがポリアミノ酸に共有結合されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート化合物。
【請求項11】
GLP-1受容体の機能アッセイにおいて1μmol未満のEC50を有している、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項12】
GLP-1受容体の機能アッセイにおいて100nmol未満のEC50を有している、請求項11に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項13】
GLP-1受容体の機能アッセイにおいて10nmol未満のEC50を有している、請求項12に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項14】
GLP-1受容体の機能アッセイにおいて1nmol未満のEC50を有している、請求項13に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項15】
ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能アッセイにおいて1μmol未満のEC50を有している、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項16】
ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能アッセイにおいて100nmol未満のEC50を有している、請求項15に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項17】
ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能アッセイにおいて10nmol未満のEC50を有している、請求項16に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項18】
ポリペプチド・コンジュゲートが、カルシトニンC1a受容体の機能アッセイにおいて5nmol未満のEC50を有している、請求項17に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項19】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4、化合物4A、またはダバリンチドよりも強力に体重を減少させる、請求項1ないし18のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項20】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4およびダバリンチドのいずれよりも強力に体重を減少させる、請求項1ないし19のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項21】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4よりも効率よく体重を減少させる、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項22】
ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドよりも効率よく体重を減少させる、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項23】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4およびダバリンチドのいずれよりも効率よく体重を減少させる、請求項1ないし22のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項24】
ポリペプチド・コンジュゲートが、同時投与された最大有効用量のエキセンディン-4およびダバリンチドよりも効率よく体重を減少させる、請求項1ないし20のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項25】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4よりも強力かつより効率よく体重を減少させる、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項26】
ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物3Aよりも強力におよび/またはより効率よく体重を減少させる、請求項1ないし24のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項27】
体重の減少が4週間の期間にわたって起こる、請求項1ないし26のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項28】
体重の減少が6カ月の期間にわたって起こる、請求項1ないし27のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項29】
体重の減少が1年の期間にわたって起こる、請求項1ないし28のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項30】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4と比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、請求項1ないし29のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項31】
ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドと比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、請求項1ないし30のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項32】
ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物7Aと比較してラットにおいて低いカオリンの取込みを有している、請求項1ないし31のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項33】
ポリペプチド・コンジュゲートが、エキセンディン-4と比較して少ない吐き気を有している、請求項1ないし32のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項34】
ポリペプチド・コンジュゲートが、ダバリンチドと比較して少ない吐き気を有している、請求項1ないし33のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項35】
ポリペプチド・コンジュゲートが、化合物7Aと比較して少ない吐き気を有している、請求項1ないし34のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項36】
少ない吐き気が、吐き気の低い重篤度、または1年あたりの吐き気の有害事象のより少ない数、あるいはそれらの両方であり、ここでは、吐き気の事象は、軽度、中度、または重度の吐き気、あるいは吐き気の事象の合わせた総数であり得る、請求項1ないし35のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項37】
ポリペプチド・コンジュゲートが空腹時血漿グルコースを下げる、請求項1ないし36のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項38】
ポリペプチド・コンジュゲートが経口グルコース負荷に対する耐性を高める、請求項1ないし37のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項39】
ポリペプチド・コンジュゲートが、グルコース誘導性インスリン分泌を増大させる、請求項1ないし38のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項40】
ポリペプチド・コンジュゲートが、胃排出を少なくとも2時間、少なくとも4時間、または少なくとも8時間遅らせる、請求項1ないし39のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項41】
ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量で化合物3Aよりも大きな程度に胃排出を遅らせる、請求項1ないし40のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項42】
ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量でエキセンディン-4、ダバリンチド、または化合物3Aよりも大きな程度にまで血漿トリグリセリドを低下させる、請求項1ないし41のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項43】
ポリペプチド・コンジュゲートが、同じ用量で化合物2Aよりも大きな程度にまで血漿トリグリセリドを低下させる、請求項1ないし42のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲート。
【請求項44】
薬学的に許容される塩の形態の請求項1ないし43のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
請求項1ないし44のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートと薬学的に許容される担体を含有している、医薬組成物。
【請求項46】
対象において糖尿病を治療するために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1ないし45のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において糖尿病を治療するための方法。
【請求項47】
糖尿病が1型糖尿病である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
糖尿病が2型糖尿病である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
糖尿病が妊娠糖尿病である、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
対象が過体重、肥満であるか、または過体重もしくは肥満の傾向がある、請求項46ないし49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
対象においてインスリン抵抗性を治療するために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象においてインスリン抵抗性を治療するための方法。
【請求項52】
対象において食後高血糖を治療するために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食後高血糖を治療するための方法。
【請求項53】
対象において血中グルコースレベルを下げるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において血中グルコースレベルを下げるための方法。
【請求項54】
対象においてHbA1cレベルを下げるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象においてHbA1cレベルを下げるための方法。
【請求項55】
対象においてインスリン放出を刺激するために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象においてインスリン放出を刺激するための方法。
【請求項56】
対象において胃運動性を低下させるために、治療有効量のポリペプチド・コンジュゲートまたは請求項1ないし45のいずれか1項に記載の医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象において胃運動性を低下させるための方法。
【請求項57】
対象において胃排出を遅らせるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要がある対象において胃排出を遅らせるための方法。
【請求項58】
対象において食物摂取量を減少させるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食物摂取量を減少させるための方法。
【請求項59】
対象において食欲を低下させるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において食欲を低下させるための方法。
【請求項60】
対象において体重を減少させるために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において体重を減少させるための方法。
【請求項61】
対象において過体重を治療するために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において過体重を治療するための方法。
【請求項62】
対象において肥満を治療するために、治療有効量の請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を投与する工程を含む、その必要があるかまたはそれが望ましい対象において肥満を治療するための方法。
【請求項63】
化合物の治療有効量が約0.1μgないし約5mgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
化合物の治療有効量が約1μgないし約2.5mgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
化合物の治療有効量が約1μgないし約1mgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
化合物の治療有効量が約1μgないし約50μgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
化合物の治療有効量が約1μgないし約25μgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
化合物の治療有効量が、対象の体重70kgを基準として約0.01μgないし約100μgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
化合物の治療有効量が、対象の体重70kgを基準として約0.01μgないし約50μgである、請求項46ないし62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
請求項1ないし45のいずれか1項に記載の化合物または医薬組成物の少なくとも1の治療有効用量を含む薬剤送達デバイス。
【請求項71】
バイアル、薬学的ペン、またはカートリッジである、請求項70に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項72】
治療有効用量の約1カ月分の供給量を含む、請求項70または71に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項73】
請求項1ないし45のいずれか1項に記載の化合物を作製する方法。
【請求項74】
組み換え法を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
請求項1ないし45のいずれか1項に記載のポリペプチド・コンジュゲートまたは医薬組成物を含み、所望により対象による前記ポリペプチド・コンジュゲートまたは組成物の使用のための説明書を有している、キット。
【請求項76】
ポリペプチド・コンジュゲートの投与により、化合物6Aと比較して改善された対象コンプライアンス、化合物6Aと比較して重症の顔面紅潮の緩和の改善、および/または化合物6Aと比較して吐き気の減少が生じる、請求項1ないし75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
用量が1日あたり約0.1mgないし1.0mgである、請求項63に記載の方法。
【請求項78】
用量が1日あたり約0.3mgないし0.6mgである、請求項67に記載の方法。
【請求項79】
用量が1日に1回投与される(QD)か、または1日に2回に分けられる(BID)、請求項1ないし78のいずれか1項に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−511287(P2013−511287A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540160(P2012−540160)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/057890
【国際公開番号】WO2011/063414
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(598133654)アミリン・ファーマシューティカルズ,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (38)
【氏名又は名称原語表記】AMYLIN PHARMACEUTICALS,LLC
【住所又は居所原語表記】9360 Towne Centre Drive, San Diego, CA 92121 USA
【Fターム(参考)】