説明

ポリマフィルムの延伸方法

【課題】テンタの延伸室内でポリマフィルムの表面にポリマフィルムから気化した物質が結露することを防ぐ。
【解決手段】テンタ12が搬送ユニット32及び延伸室31を有する。延伸室31内の気体はフィルム21から気化する添加剤を含む。フィルム21を連続的に延伸室31に案内する。延伸室31内の気体に気化した高沸点添加剤が充満する。延伸室31の入口にある気体に含まれる気化した高沸点添加剤の露点をT(℃)とする。延伸室31の上流に加熱手段を配置する。加熱手段によりフィルム21を加熱する。フィルム21の温度を(T+10)(℃)以上(T+80)(℃)以下とする。その後、フィルム21を延伸室31に搬送する。延伸室31内の入口でフィルム21の表面に気化した添加剤が結露することが防がれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマフィルムの延伸方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマフィルム、例えば、セルロースエステルフィルムは、液晶ディスプレイの偏光膜を保護する保護フィルムとして広く使用されている。そして、このようなポリマフィルムに所望の光学特性を持たせるために、ポリマフィルムを加熱して延伸(以下、「熱延伸」と称する)する場合がある。
【0003】
熱延伸されるポリマフィルムには、通常、添加剤が含まれている。そして、添加剤として使用される物質の中には、高い沸点をもつものがある。このような高沸点添加剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート(以下、「TPP」と称する)やビフェニルジフェニルホスフェート(以下、「BDP」と称する)等がある。
【0004】
長尺のポリマフィルムを熱延伸するためにテンタが用いられる。テンタは、ポリマフィルムを搬送する搬送装置と、ポリマフィルムが幅方向に引っ張られる延伸室とを備える。搬送装置は、ポリマフィルムの側縁部を把持手段で把持して、この把持手段が延伸室内を走行することにより、ポリマフィルムを搬送しながら延伸する。延伸室内では、搬送されている間のポリマフィルムを、劣化させることなく効果的かつ効率的に加熱するために、加熱された気体をポリマフィルムの近傍に流す。このような熱延伸は、溶液製膜におけるポリマフィルムの製造過程で実施することもあるし、溶液製膜もしくは溶融製膜につくられたポリマフィルムに対して実施されることもある。
【0005】
溶液製膜におけるポリマフィルムの製造過程で熱延伸を実施する場合には、溶媒が残留する状態のポリマフィルムをテンタに供する。そして、把持手段でポリマフィルムの側縁部を把持するためには、把持するのに十分な強度を有する程度にまでポリマフィルムが乾燥されていなければならないので、テンタの上流側、すなわちポリマ溶液が流延される流延支持体からテンタに至る渡り部においては、ポリマフィルムから溶媒を大量に蒸発させる。ところが、この溶媒の蒸発に伴い、添加剤がポリマフィルムから析出、蒸発してしまい、渡り部でポリマフィルムを支持する移送ローラを汚してしまうことがある。このように添加剤で汚れた移送ローラを使用すると、汚れがポリマフィルムに移ったりするという問題がある。ポリマフィルムの汚れは、種々の光学特性を悪くする大きな要因ともなる。
【0006】
そこで、溶媒残留量が所定範囲であるポリマフィルムを剥ぎ取り、所定の硬度の移送ローラにより渡り部での搬送を実施するという方法(例えば、特許文献1)や、溶媒残留量が所定範囲であるポリマフィルムを、表面粗さと表面エネルギーとの値が所定の範囲である移送ローラに接触させながら搬送する方法(例えば、特許文献2)が提案されている。これらの方法により、析出あるいは蒸発した添加剤が移送ローラに付着しにくくなり、移送ローラの汚れによるポリマフィルムの光学特性の悪化は軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−086474号公報
【特許文献2】特開2002−292658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の方法を適用したとしても、熱延伸した後のポリマフィルムには、添加剤の付着が確認される。また、熱延伸は、前述の通り、溶液製膜の他、溶融製膜でつくられたポリマフィルムに対し実施される場合があるが、特許文献1及び特許文献2の方法は、溶液製膜の過程、しかも、溶媒残留量が所定範囲であるポリマフィルムのローラによる搬送過程にしか適用することができないという問題がある。
【0009】
溶液製膜もしくは溶融製膜によりつくられたポリマフィルムに対して実施されるような熱延伸、いわゆるオフライン延伸の場合では、溶液製膜による製造過程における熱延伸の場合よりも、通常は、ポリマフィルムを高い温度にする必要がある。これはオフライン延伸では、溶媒がポリマフィルムに含まれていないために、熱エネルギーだけでポリマ分子を動かしやすくする必要があるからである。そして、ポリマフィルム中に含まれていた添加剤は、このオフライン延伸でも蒸発してしまうことがある。
【0010】
気化する添加剤のうち高い沸点のもの、すなわち高沸点添加剤は、延伸室内の温度が沸点を超えた後、少しの温度低下により延伸室内にあるポリマフィルムに結露しやすい。そして、高沸点添加剤がポリマフィルムの表面に固体となって付着して結晶化する場合がある。その結果、延伸室を出た後、ポリマフィルムは汚染されて、製品として欠陥となる。
【0011】
この問題を回避するために、延伸室内の高沸点添加剤を含む気体を延伸室外へ取り出して、取り出した気体から気化している高沸点添加剤を取り除いた気体を延伸室内に戻すという方法が考えられる。この方法では、延伸室内で熱せられた気体を一旦取り出して、添加剤を除去するため、添加剤が凝縮する温度に気体の温度を下げる必要がある。
【0012】
再びこの気体を延伸室内に送るためには、この気体の温度を上昇させるために加熱しなければならない。このようにするには、気体を再加熱する設備を設ける必要があり、コストが上がることはもちろんのこと、添加剤を回収する設備をも必要とする。
【0013】
本発明は、上記の問題を鑑み、延伸室内でポリマフィルムから気化した物質がポリマフィルムの表面に結露することを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のポリマフィルムの延伸方法は、延伸室の中に延伸手段を備えるテンタに、添加剤を含むポリマフィルムを連続的に案内して加熱しながら幅方向に引っ張るポリマフィルムの延伸方法において、前記延伸室の入口の気体中に含まれる前記添加剤の露点をT(℃)とするときに、前記延伸室に入るときの前記ポリマフィルムの温度が(T+10)(℃)以上(T+80)(℃)以下の範囲となるように、前記延伸室に入る前の前記ポリマフィルムの温度を加熱手段により上昇させることを特徴とする。
【0015】
前記加熱手段は、前記ポリマフィルムに対して遠赤外線を照射する遠赤外線ヒータと、前記ポリマフィルムに対して近赤外線を照射する近赤外線ヒータと、前記ポリマフィルムに加熱された空気を吹き付ける送風ヒータと、前記ポリマフィルムと周面が接触することにより前記ポリマフィルムを加熱する加熱ローラとの少なくともいずれか一つであるが好ましい。
【0016】
前記ポリマフィルムが、前記添加剤としてのトリフェニルフォスフェートを含むセルロースアシレートフィルムであり、前記延伸室の内部の温度が140(℃)以上240(℃)以下の範囲であることが好ましい。オフライン延伸設備で行われるが好ましく、前記延伸室内の気体を外部へ出して、前記気体に含まれる前記添加剤を前記気体から除去した後に、前記気体を加熱して前記延伸室の内部へ送ることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポリマフィルムが延伸室に入る場合に、ポリマフィルムの表面に延伸室のポリマフィルムから気化する添加剤が結露することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】オフライン延伸設備の概略図である。
【図2】テンタ装置の上部からの平面図である。
【図3】テンタ装置の側面からの側面図である。
【図4】テンタの延伸室における温度分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施様態について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施様態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の実施形態のオフライン延伸設備を示す概略図である。オフライン延伸設備10は、フィルム送出室11と、テンタ12と、耳切装置13と、加熱室14と、冷却室15と、フィルム巻取室16とを順に有する。
【0021】
フィルム送出室11は、ロール状に巻き回したフィルム原反17からフィルム21を連続的に繰り出すフィルム送出機18を備える。フィルム送出機18には取付軸が設けられており、フィルム原反17は、この取付軸にセットされる。
【0022】
テンタ12の入口には、遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33が設けられている。遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33は、テンタ12に入る前にフィルム21を予め加熱する。その後、フィルム21は、テンタ12に送られる。
【0023】
テンタ12では、フィルム21は両端部がクリップで把持され、このクリップが移動することにより搬送される。一方の側端部を把持するクリップと他方の側端部を把持するクリップとの距離が下流に向かうに従い大きくなることにより、フィルム21は幅方向に張力が付与されて延伸される。このような搬送の間に、フィルム21は加熱されて温度が上昇する。なお、延伸倍率は、所望の光学特性等に応じて適宜設定される。
【0024】
テンタ12で延伸されたフィルム21は耳切装置13に送られる。フィルム21は、耳切装置13により、クリップで把持された部分である両側縁部が所定の切り離しラインで切り離され、切り離されたスリット状の側縁部である耳屑は、カットブロア23で細かく小片にカットされる。カットされた耳屑小片は、図示しない風送装置によりクラッシャ24に送られ、粉砕されてチップとなる。このチップはドープ調製用に再利用される。
【0025】
耳切装置13によりその両側縁部が切り離された製品部分としてのフィルム21は、加熱室14に送られる。加熱室14には、多数のローラ25及び図示しない送風ダクトが備えられており、フィルム21はローラ25により加熱室14の内部を搬送されて加熱された後、冷却室15に送られる。なお、送風ダクトからの風の温度は、20℃以上250℃以下の範囲であることが好ましい。ただし、フィルム21がセルロースアシレートフィルムである場合には、加熱室14の送風ダクトからの風の温度は20℃以上240℃以下の範囲であることが好ましい。加熱室14は設けずともよいが、テンタ12での延伸によるフィルム21の残留応力を、加熱室14での加熱により除くことが好ましい。
【0026】
フィルム21は、冷却室15で30℃以下に冷却された後、フィルム巻取室16に送られる。フィルム巻取室16には、プレスローラ26を有するフィルム巻取機27が設けられている。フィルム21は、フィルム巻取機27によって巻き芯に巻き取られ、このときに、プレスローラ26で押圧される。
【0027】
図2はテンタ12の入口の上部からの平面図である。図3はテンタ12の入口の側面図である。図2及び図3においては、フィルム21の搬送方向を矢印Aで示す。また、テンタ12は延伸室31と搬送ユニット32とを備える。延伸室31では、フィルム21が熱延伸され、搬送ユニット32はクリップ39を有し、このクリップ39によりフィルム21を搬送する。搬送ユニット32の上流端及びクリップ39によるフィルム21の把持開始位置は、いずれも延伸室31の上流側、すなわち延伸室31の入口51よりも上流とされているが、本発明はこの態様に限定されない。例えば、把持開始位置が延伸室31の内部となるように延伸室31と搬送ユニット32とが配されてもよいし、搬送ユニット32の上流端が延伸室31の内部となるように延伸室31と搬送ユニット32とが配されてもよい。そして、搬送ユニット32の上流側には遠赤外線ヒータ22と加熱ローラ33とが設けられている。
【0028】
搬送ユニット32は、フィルム21を搬送する第1レール35と、第2レール36と、これらレール35,36に案内される第1,第2チェーン(エンドレスチェーン)37,38とを備えている。そして、第1,第2チェーン37,38には、クリップ39が一定の間隔で多数取り付けられている。
【0029】
第1,第2チェーン37,38は、図示しない原動スプロケット及び従動スプロケット40,50の間に掛け渡されており、これらのスプロケットの間では、第1チェーン37は第1レール35によって、第2チェーン38は第2レール36によって案内される。原動スプロケットはテンタ12の図示しない出口側に設けられている。一方、従動スプロケット40,50はテンタ12の入口側に設けられている。そして、これらは、図示しない原動スプロケットの駆動により回転する。
【0030】
搬送ユニット32は、延伸室31の入口51の上流で、クリップ39によりフィルム21を把持して、延伸室31の内部へフィルム21を搬送する。
【0031】
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33は、延伸室31に導入される前のフィルム21を加熱する。このようにして、フィルム21を延伸室31に入る前にフィルム21の温度を予め上げる。
【0032】
延伸室31では、フィルム21を加熱する。この加熱により、フィルム21に含まれていたTPP等の高沸点添加剤が気化してしまう。そのため、延伸室31の内部には、高沸点添加剤が気体状態で存在する。沸点が高いとは、すなわち、高い温度で気体から液体へ状態変化しやすいことでもある。従って、気体として存在する高沸点添加剤は、高い温度で液体へと状態変化、すなわち結露しやすい。気体の高沸点添加剤がフィルム21の表面で結露すると、温度が下がったときに固化するので、フィルム21は、この固化物で汚染されたものとして得られてしまう。ここで、延伸室31の入口51の気体に含まれている高沸点添加剤の露点をT℃とおく。複数の添加剤が気体中にある場合には、これら複数の添加剤の各露点のうち最も高い温度をT℃とおけばよい。延伸室31の入口51における高沸点添加剤の露点を測定できない場合には、延伸室31の内部であり、かつ、延伸室31の入口51の付近の気体に含まれている高沸点添加剤の露点を測定して、その露点をT℃としてもよい。
【0033】
露点を測定する方法としては、例えば、湿度−測定方法(JIS Z 8806−2001)等の公知の方法がある。上記の露点は、このJIS規格に規定されている自動平衡式露点計である鏡面冷却式露点計により得られ、具体的には、ミッシェル社製鏡面冷却式露点計S4000 RS/TRSを用いて測定可能である。しかし、本発明は、露点の測定方法は特に限定されず、他の公知の露点を測定する方法を用いてもよい。
【0034】
本発明では、延伸室31に入る前にフィルム21を加熱して昇温する。加熱は、遠赤外線ヒータ22と加熱ローラ33とにより実施する。この加熱により、延伸室31に入るときのフィルム21の温度を(T+10)(℃)以上(T+80)(℃)以下との範囲となるようにする。これにより、延伸室31に入ったフィルム21の表面では高沸点添加剤が結露しにくくなる。フィルム21の温度を(T+10)(℃)未満とすると、フィルム21の表面で高沸点添加剤が結露し、(T+80)(℃)より高くすると、結露は防ぐことができるものの、それまでにフィルム21に含まれていた高沸点添加剤までもが気化しはじめてしまう。高沸点添加剤が可塑剤である場合には、これが気化してしまうと、延伸室31での延伸の際にフィルム21が裂けてしまったり、得られたフィルム21の可撓性が不十分になってしまう可能性がある。より好ましくは、フィルム21の温度を(T+15)(℃)以上(T+70)(℃)以下の範囲となるように加熱し、更に好ましくは、(T+20)(℃)以上(T+60)(℃)以下の範囲となるように加熱する。複数の高沸点添加剤がフィルム21に含まれており、露点が最も高いものがTPPである場合においても、特に、フィルム21の温度が(T+10)(℃)以上(T+80)(℃)以下となるようにフィルム21を加熱すれば、前述の効果が得られる。
【0035】
フィルム21を加熱するために延伸室31に供給する、高沸点添加剤を含まない新鮮な空気の風量を変更する等の公知の方法で、延伸室31の内部の露点を変えることができ、これにより延伸室31の入口51における高沸点添加剤の露点を変えることができる。露点を下げることで、延伸室31に入るときのフィルム21の温度をより低く抑えることができる。これにより、熱によるフィルム21の劣化がより抑制される。
【0036】
フィルム21に所望の光学特性を発現させるために、延伸室31では、フィルム21を加熱して温度を上昇させる。延伸室31でフィルム21を加熱する場合には、フィルム21の搬送方向における延伸室31の中央部の領域が最も高い温度範囲となるように延伸室31の内部を加熱する。延伸室31の入口51の付近や出口付近も中央部と同じように高い温度にすると、フィルム21が延伸室31に入ったときや延伸室31から出たときに、急激に昇温または降温してしまい、フィルム21の光学特性が悪くなるからである。このようにフィルム21の温度が一時的にでも所定の温度以上になるように高めることにより、フィルム21の光学特性を向上させることができる。なお、光学特性を向上させるためのフィルム21の温度は、フィルム21を構成するポリマの種類と添加剤とに応じて決定する。
【0037】
また、フィルム21の主成分がセルロースアシレートであり、高沸点添加剤としてTPPを含む場合には、延伸室31の内部の温度を140(℃)以上240(℃)以下の範囲にしてフィルム21の温度をこの範囲にまで一時的にでも高めることが好ましい。これにより、フィルム21のレタデーション等の光学特性をより向上させることができる。しかし、140(℃)以上240(℃)以下という非常に高い温度でフィルム21が熱せられると、しかも240(℃)に近づくほど、高沸点添加剤は気化しやすくなる。そこで、TPPを含み、セルロースアシレートからなるフィルム21を、上記のような温度で熱する場合には、本発明の上記効果は特に顕著である。なお、延伸室31の内部の温度が240℃を超える状態でセルロースアシレートからなるフィルム21を延伸すると、フィルム21は破断する可能性がある。
【0038】
本発明は、以上のようなオフライン延伸のみならず、溶液製膜ライン中で延伸が実施されるいわゆるオンライン延伸にも適用することができる。溶液製膜ラインの中でテンタ12によりフィルムを延伸する場合には、製造効率や製膜ラインの大きさや発現させる光学特性を考慮して、完全には乾燥しきらないうちにフィルムを延伸することが多く、このテンタ12では延伸に加えてフィルムの乾燥をも実施する。高沸点添加剤は、溶媒の蒸発に伴って気化しやすい。このため、延伸室31における気化した高沸点添加剤の量が経時的に多くなり、その高沸点添加剤はフィルムの表面に結露するようになる。このような場合にも、本発明は特に効果を奏する。
【0039】
第1,2レール35,36は、延伸室31の入口51の上流側に延長する。これらの第1,2レール35,36には、従動スプロケット40,50が設けられる。延伸室入口から3m上流の位置から延伸室31の入口までの間に遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33が配置されることが好ましい。第1,2レール35,36の従動スプロケット40,50の上流端から3mより離れた場所でフィルム21を加熱しても、延伸室31内に搬送される前に、フィルム21の温度が下がるためである。
【0040】
本実施態様では、延伸室31内に搬送される前のフィルム21を加熱して温度を高める手段として、遠赤外線ヒータ22と加熱ローラ33とを用いているが、この態様に限らず、遠赤外線ヒータ22と加熱ローラ33のうちいずれか1つのみを用いてもよいし、遠赤外線ヒータ22に代えて、別の加熱手段、例えば、近赤外線ヒータや送風ヒータ等を用いてもよい。遠赤外線ヒータ22とはフィルム21に対して遠赤外線を照射するヒータである。近赤外線ヒータとは近赤外線を照射するヒータである。送風ヒータとは、加熱された空気を吹き付ける送風ヒータである。また、加熱ローラ33は、フィルム21と周面が接触することによりフィルム21を加熱する。これらの加熱手段はフィルム21を所望の温度とするように図示しないコントローラにより制御されている。
【0041】
図4は、延伸室における温度分布を示すグラフである。横軸は延伸室の入口からの搬送方向における距離を示し、左端は延伸室の入口、右端は延伸室の出口に対応する。縦軸は、温度を示し、上に向かうほど温度が高いことを意味する。延伸室は温度条件により4つのゾーン、すなわち第1ゾーン41,第2ゾーン42,第3ゾーン43、第4ゾーン44に分けられている。
【0042】
CAの曲線は、従来技術、つまりは、延伸室に入る前にフィルムを加熱することなく、フィルムが延伸室に入る場合における各ゾーン41〜44のフィルムの温度を示す。CBの一点破線は、各ゾーン41〜44における気体に含まれるフィルムからした気化した高沸点添加剤の露点を示す。CCの二点破線は、本発明を適用した場合における各ゾーン41〜44のフィルムの温度を示す。
【0043】
延伸室では、フィルムは幅方向に延伸される。第1ゾーン41では延伸を行う前のフィルムを加熱して、フィルムを延伸するのに最適な温度にする。第2ゾーン42では、第1ゾーン41で加熱されたフィルムに更に熱を加えながら、フィルムを高温にして延伸する。第2ゾーン42の間で、延伸を開始する。ここで、延伸とはフィルムを拡幅することをいう。第3ゾーン43では、第2ゾーン42に引き続いてフィルムに熱を加えて熱処理を行う。この熱処理は、フィルムにレタデーション等の光学特性を所望に発現させるために、延伸を終えたあるいは延伸中のフィルムに対して行われる。すなわち、延伸は、第3ゾーン43でも引き続き実施してもよい。第4ゾーン44では、延伸室からフィルムが出る前に高温に加熱されたフィルムを冷却する。各ゾーン41〜44では、図示しないコントローラ及び送風器により熱風が送られており、各ゾーン41〜44の温度が制御されている。
【0044】
本実施形態においては、第1ゾーン41は小ゾーン41aから構成される。各ゾーン42〜44は、更に細かく小ゾーンに分けられる。第2ゾーン42は小ゾーン42a〜42cから構成される。第3ゾーン43は小ゾーン43a〜43cから構成される。第4ゾーン44は小ゾーン44a〜44bから構成される。各ゾーン41〜44に区画される小ゾーンの個数は、本実施形態に限られず、例えば、第1ゾーン41は3つの小ゾーンから構成されてもよい。各小ゾーン41a〜44bにおける処理に最適な温度となるよう熱せられた空気が送られて、一定の温度が保たれる。
【0045】
テンタ装置内の小ゾーン41a〜44bの各ゾーンにおいては、気化している添加剤の量を減らすために、気体を外部へ出して、気体に含まれる添加剤を気体から除去した後に、気体を加熱して延伸室の内部へ送るようにしてもよい。
【0046】
曲線CA、一点破線CB、二点破線CCは、概ね各ゾーン41〜44で設定された温度に対応した温度分布となっている。各小ゾーン41a〜44bでは個別に温度が設定されているので、フィルムは各小ゾーン41a〜44bの設定されている温度に応じて、フィルムの温度が変化する。例えば、延伸室の入口付近に位置する小ゾーン41aにおいては、曲線CA及び一点破線CBに示す通り、曲線CAに示すフィルムの温度が、曲線CBに示す高沸点添加剤の露点より大きく下回っている。そのため、フィルムから気化した高沸点添加剤がフィルムに結露する可能性が高い。
【0047】
一方、一点破線CB及び二点破線CCに示す通り、小ゾーン41aにおいては、本発明を適用したフィルムの温度は一点破線CBに示すフィルムから気化した高沸点添加剤の露点を上回っている。これは、フィルムの温度が小ゾーン41aの気体中にあるフィルムから気化した高沸点添加剤の露点、すなわち延伸室の入口における高沸点添加剤の露点を超えるように、延伸室にフィルムが搬入される前に遠赤外線ヒータ22又は加熱ローラ33(図2参照)により、フィルムの温度が高められるからである。このようにして、小ゾーン41aにおいて、気化した高沸点添加剤がフィルムに結露することが防がれる。
【0048】
小ゾーン42a,42bや小ゾーン44a,44bにおいても、曲線CA,一点破線CB,二点破線CCに示すように、本発明を適用する場合であっても、従来の場合であっても、小ゾーン42a,42bや小ゾーン44a,44bにおける気化した高沸点添加剤の露点よりフィルムの温度は低くなる場合がある。従って、これらの小ゾーン42a,42b,44a,44bにおいても、フィルムから気化した高沸点添加剤はフィルムに結露する可能性がある。しかしながら、延伸室の入口付近である小ゾーン41aにおいて、高沸点添加剤はフィルムに特に結露することが確認されており、小ゾーン41aにおける高沸点添加剤の結露現象を防げば、フィルムは製品として欠陥となる可能性が極めて低くなる。
【0049】
また、製膜装置で得られたフィルム原反のフィルムに対してテンタでの延伸を実施するといういわゆるオフライン延伸においては、残留している溶媒がほとんど無い乾燥したフィルムを延伸する。残留している溶媒が少ないので乾燥したフィルムをより軟らかくするために、延伸室では、オンライン延伸の場合に比べて、フィルムの温度をより高くする。そのため、オフライン延伸設備のテンタの延伸室内も、オンライン延伸の延伸室内と同じようにフィルムに含まれている高沸点添加剤が特に気化し、結露しやすい環境となる。従って、本発明は特にオフライン延伸設備で延伸を実施する場合に、効果が顕著に現れる。
【0050】
以上の方法により、テンタの延伸室において、フィルムから気化した物質が延伸室に入るフィルムに結露することが防がれるため、フィルムが製品として欠陥となることを回避することができる。
【実施例1】
【0051】
以下、本発明の具体的な実施例について述べるが、本発明はこれに限定されるものではい。
【0052】
図1に示すオフライン延伸設備10を用いて、フィルム21を延伸した。幅2500mmのフィルム21を使用して、50m/sの搬送速度で、フィルム原反17をフィルム送出機18によりテンタ12、加熱室14、冷却室15に送出して、フィルム巻取機27でフィルム21を巻き取った。搬送時間は2時間とした。
【0053】
フィルム21としては、以下の成分のセルロースアシレートフィルムを使用した。添加剤はTPPを含めて複数種類用いられており、このうち露点が最も高くなりやすいものはTPPである。
セルロースアシレートフィルム 90重量%TPP 7重量%TPP以外の添加剤 3重量%
【0054】
テンタ12において区画されている、第1ゾーン41における小ゾーン41aの温度を100(℃)とした。第2ゾーン42における小ゾーン42a,42bの温度を200(℃)とし,小ゾーン42cの温度を210(℃)とした。第3ゾーン43における小ゾーン43a,43bの温度を220(℃)とし、小ゾーン43cの温度を150(℃)とした。第4ゾーン44における小ゾーン44a,44bの温度を150(℃)とした(図4参照)。各ゾーン41a〜44bのうち、小ゾーン43a,43bを最も高い温度とした。
【0055】
この場合においては、テンタ12の延伸室の入口の気体におけるTPPの露点は約50(℃)であった。
【0056】
フィルム21を延伸する過程において、遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33によりフィルム21に加える熱量を変更して、本発明を満たすようにテンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度(℃)を調節した。
【0057】
[実験1]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は60(℃)であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0(個/m)であった。
【0058】
[実験2]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は70(℃)であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0(個/m)であった。
【0059】
[実験3]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は130℃であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0060】
<比較例1>
フィルム21を延伸する過程において、遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33によりフィルム21に加える熱量を変更して、本発明を満たさないようにテンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度(℃)を調節した。その他の条件は実施例1と同じにした。
【0061】
[比較実験1]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を機能させず、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は、30(℃)であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は13(個/m)であった。
【0062】
[比較実験2]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は40(℃)であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は11(個/m)であった。
【0063】
[比較実験3]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は50(℃)であった。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は4(個/m)であった。
【0064】
[比較実験4]
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33を調節してフィルム21を加熱した。その後、テンタ12にフィルム21を搬送した。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は150℃であった。また、TPPの微結晶の数は4個/mであった。
【0065】
<評価>
本発明を満たさない比較実験1〜4で得られたフィルム21と、本発明を満たす実験1〜3で得られたフィルム21とについて、テンタ12の出口における1mのフィルム表面に形成される最長の長さが0.1mm以上であるTPPの微結晶の数(個/m)を目視で数えることで、フィルム汚れを評価した。実験1〜3及び比較実験1〜4の結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
比較実験1〜3では、テンタ12の延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点である50℃より10℃高い60℃以上の高い温度を有するようにフィルム21を加熱していない。また、比較実験4では、テンタ12の延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点である50℃より80℃高い130℃を超える温度を有するようにテンタ12の延伸室の入口の直前でフィルム21を加熱した。一方で、実験1〜3では、テンタ12の延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点である50℃より10℃高い60℃から、50℃より80℃高い130℃までの範囲の温度を有するように、テンタ12の延伸室の入口前でフィルム21を加熱した。以上の実験結果により、テンタ12の延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点をT℃とするとき、テンタ12の延伸室の入口に入るときのフィルム21の温度が(T+10)℃以上(T+80)℃以下の範囲となるように、フィルム21を加熱することにより、テンタ12から搬出されて得られたフィルム21の表面でのTPPの結露が抑制され、結果的にTPPの微結晶の数を激減した。
【実施例2】
【0068】
遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33によりフィルム21を加熱してから、テンタ12にフィルム21を搬送した。そして、以下の実験11〜実験16の各実験において、第1ゾーン41〜第4ゾーン44の温度を実施例1の各ゾーンの温度から変更した。ただし、小ゾーン41aから小ゾーン43aに向けて徐々に内部の温度を高くし、小ゾーン43aから小ゾーン44bに向けて徐々に内部の温度を低くした。延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点は、実験11〜実験16の各実験においては共通して約50℃であった。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は70℃とした。これらの設定を除いては、実施例1と同様に図1に示すオフライン延伸設備10を用いて、フィルム21を延伸した。
【0069】
[実験11]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を120℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0070】
[実験12]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を140℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0071】
[実験13]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を200℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0072】
[実験14]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を220℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0073】
[実験15]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を240℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は0個/mであった。
【0074】
[実験16]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を250℃とした。この条件でフィルム21を延伸した結果、フィルム21は破断したため、フィルム汚れを評価することができなかった。
【0075】
<比較例2>
以下の比較実験11〜比較実験16の各実験において、遠赤外線ヒータ22及び加熱ローラ33により加熱してから、テンタ12にフィルム21を搬送した。ただし、テンタ12の延伸室に入るときのフィルムの温度を本発明の範囲外とした。延伸室の入口の気体に含まれるTPPの露点は、比較実験11〜比較実験16の各実験においては共通して約50℃であった。テンタ12の延伸室に入るときのフィルム21の温度は40℃とした。これらの設定を除いては、実施例2と同様に図1に示すオフライン延伸設備10を用いて、フィルム21を延伸した。
【0076】
[比較実験11]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を120℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は3個/mであった。
【0077】
[比較実験12]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を140℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は5個/mであった。
【0078】
[比較実験13]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの設定温度を200℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は10個/mであった。
【0079】
[比較実験14]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を220℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は12個/mであった。
【0080】
[比較実験15]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を240℃とした。テンタ12から搬出されたフィルム21のTPPの微結晶の数は15個/mであった。
【0081】
[比較実験16]
第3ゾーン43を構成する小ゾーン43aの温度を250℃とした。この条件でフィルム21を延伸した結果、フィルム21は破断したため、フィルム汚れを評価することができなかった。
【0082】
本発明を満たす実験11〜実験16で得られたフィルム21と本発明を満たさない比較実験11〜比較実験16で得られたフィルム21とについて、実施例1と同様にフィルム汚れを評価した。実験11〜実験16及び比較実験11〜比較実験16の結果を表2に示す。表2に記載されている符号「−」は、フィルム21が破断したことを表す。
【0083】
【表2】

【0084】
比較例2によれば、延伸室の内部の一部である小ゾーン43aの温度を140(℃)以上240(℃)以下の範囲である比較実験12〜比較実験15では、延伸室の内部ではフィルム21に含まれる高沸点添加剤が特に気化しやすいので、そうでない場合の比較実験11と比べて、より多くのTPPの微結晶がフィルム21に付着していることがわかる。一方、本発明を満たす実施例2では、延伸室の内部の一部である小ゾーン43aの温度を140(℃)以上240(℃)以下の範囲となる場合であっても、TPPの微結晶の数を0として、フィルム21の汚れを抑えることができた。
【符号の説明】
【0085】
10 オフライン延伸設備
12 テンタ
21 フィルム
22 遠赤外線ヒータ
31 延伸室
32 搬送ユニット
33 加熱ローラ
39 クリップ
43 第3ゾーン
51 延伸室の入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸室の中に延伸手段を備えるテンタに、添加剤を含むポリマフィルムを連続的に案内して加熱しながら幅方向に引っ張るポリマフィルムの延伸方法において、
前記延伸室の入口の気体中に含まれる前記添加剤の露点をT(℃)とするときに、
前記延伸室に入るときの前記ポリマフィルムの温度が(T+10)(℃)以上(T+80)(℃)以下の範囲となるように、前記延伸室に入る前の前記ポリマフィルムの温度を加熱手段により上昇させることを特徴とするポリマフィルムの延伸方法。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記ポリマフィルムに対して遠赤外線を照射する遠赤外線ヒータと、前記ポリマフィルムに対して近赤外線を照射する近赤外線ヒータと、前記ポリマフィルムに加熱された空気を吹き付ける送風ヒータと、前記ポリマフィルムと周面が接触することにより前記ポリマフィルムを加熱する加熱ローラとの少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項1記載のポリマフィルムの延伸方法。
【請求項3】
前記ポリマフィルムが、前記添加剤としてのトリフェニルフォスフェートを含むセルロースアシレートフィルムであり、
前記延伸室の内部の温度が140(℃)以上240(℃)以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマフィルムの延伸方法。
【請求項4】
オフライン延伸設備で行われることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のポリマフィルムの延伸方法。
【請求項5】
前記延伸室内の気体を外部へ出して、前記気体に含まれる前記添加剤を前記気体から除去した後に、前記気体を加熱して前記延伸室の内部へ送ることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のポリマフィルムの延伸方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−196356(P2009−196356A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6856(P2009−6856)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】