説明

ポリマー、およびそれを含むフォトレジスト

【課題】新規ポリマー、およびそのようなポリマーを含有するフォトイメージャブル組成物の提供。
【解決手段】非炭素四価化学種(Si、Ti、Ge、Zr、Sn)を有する新規ポリマー、およびそのようなポリマーを含有するフォトイメージャブル組成物が提供される。好ましいポリマーは、有機であり、たとえば1種類以上のポリマー繰り返し単位が炭素原子を含む。SiOまたはTiOの繰り返し単位を含むポリマーが特に好ましく、このようなポリマーは、短波長、たとえば300nm未満および200nm未満において画像形成されるレジストの樹脂成分として非常に有用となりうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年3月3日に出願された米国仮出願第60/451,530号明細書の利益を主張し、この記載内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、非炭素四価化学種(Si、Ti、Ge、Zr、Sn)を有する新規なポリマー、およびそのようなポリマーを含有するフォトイメージャブル(photoimageable)組成物に関する。好ましいポリマーは有機であり、たとえば1種類以上のポリマー繰り返し単位が炭素原子を含む。SiOまたはTiO繰り返し単位を含むポリマーが特に好ましく、このようなポリマーは短波長、たとえば300nm未満および200nm未満で画像形成される樹脂成分として非常に有用となりうる。
【背景技術】
【0003】
フォトレジストは、画像を基体に転写するために使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層が基体上に形成され、次にフォトレジスト層はフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透明な領域と、活性化放射線に対して透明な別の領域とを有する。活性化放射線に露光することによって、光誘導性の化学変化がフォトレジストコーティングに生じ、それによってフォトマスクのパターンが、フォトレジストがコーティングされた基体に転写される。露光後、フォトレジストは現像され、レリーフ画像が得られ、それによって基体の選択的加工が可能となる。
【0004】
特に関心が高いフォトレジストは、短波長の放射線、たとえば約300nm未満または200nm未満、たとえば約248nm(KrFレーザーによって得られる)、193nm(ArF露光装置によって得られる)、または157nm(Fエキシマ装置によって得られる)の露光放射線によって光画像形成可能であるフォトレジストである。欧州特許出願公開EP915382A2号を参照されたい。
【0005】
このような短い露光波長を使用することによって、より小さな構造を形成することが可能になる。したがって、248nm、193nm、または157nmの露光によって十分に分解された画像が得られるフォトレジストでは、非常に小さな(たとえば0.2μm未満または0.1μm未満)の構造を形成可能であり、これは、たとえば回路密度を増加させデバイス性能を向上させるために、より小さな寸法の回路パターンが絶えず必要とされる産業に対応している。
【0006】
露光中により短波長を使用することに加えて、より薄いレジスト層を使用することも望ましい。しかし薄いレジストを使用することの大きな欠点は、パターンサイズが小さくなるにつれて、基体上での拡散ステップでのレジスト厚さのばらつきと、エッチングされたパターンに入り込むレジスト層の厚さのばらつきとが増加することである。このばらつきは、レジスト中に画像形成されたあらゆるパターンの寸法が、ステップ形状を横切るときに変動することを意味する。したがって、単層レジスト系では、ウエハ上での寸法制御が不十分であると、レジスト全体で異なる線幅が生じることがあり、これによって電子パッケージの品質が低下する。
【0007】
寸法制御を改善するために、二層(または二層や多層)レジスト系が使用されてきた。典型的な二層系では、底部レジストが最初に基体に適用されて、ウエハ形状の平坦化が行われる。この底部レジストを硬化させ、続いて第2のより薄い画像形成性上部レジストが底部レジストの上に適用される。次にこの上部レジストをソフトベークして、従来のレジスト露光および現像を使用してパターン形成(または画像形成)を行い、続いて上部レジストパターンをエッチングマスクとして使用して底部レジストを通して、上部パターンのエッチング転写が行われる。スギヤマ(Sugiyama)ら,脂肪族ジアゾケトンを使用して調製したポジ型エキシマレーザーレジスト(Positive Excimer Laser Resists Prepared with Aliphatic Diazoketones),プラスチック技術者協会会議議事録(Soc.Plastics Eng.,Conference Proceedings),51〜60ページ(1988年11月)、ならびに米国特許第4,745,169号明細書、第5,338,818号明細書、第5,619,396号明細書、第5,731,126号明細書、第6,296,985号明細書、および第6,340,734号明細書を参照されたい。さらに、国際公開第02/091083号パンフレット、米国特許出願公開第2002/0090572号明細書、および米国特許第5,378,585号明細書も参照されたい。
【0008】
画像形成のためのある種の無機Si組成物が報告されている。フェディニシン(Fedynyshyn)ら、封入無機レジスト技術(Encapsulated Inorganic Resist Technology)、SPIE議事録(Proceedings ofSPIE)、3999巻、627ページ(2000)、Y.フー(Hu)ら、電子ビームノンリソグラフィーのためのナノコンポジットレジスト(Nanocomposite resists for electron beam nonlithography),Microelectronic Engineering 56,289(2001)、L.マーハイ(Merhai)ら、次世代リソグラフィーのためのナノコンポジットレジスト系(Nanocomposite resists systems for next generation lithography)、Microelectronic Engineering 1(2002)を参照されたい。これらに報告されている系は、高性能用途においては現在実用的ではない。
【0009】
薄層二層レジスト系に関連する問題は、露光放射線に対して許容できる透明性と、プラズマエッチャントに対する優れた抵抗性とを実現することである。このことは、200nm未満の波長、たとえば193nmおよび157nmで画像形成される二層レジストの場合に特に問題となる。米国特許出願公開第2003/0207205号明細書および米国特許出願第6,593,058号明細書を参照すると、二層レジストの耐エッチング性を向上させるための試みが報告されている。
【0010】
高解像度で小さな画像を形成することができる新規なフォトレジストが望まれている。短波長放射線、たとえば300nm未満、たとえば248nm、および200nm未満の放射線、たとえば193nmおよび157nmで効率的に画像形成することができる新規なフォトレジストが特に望まれている。そのようなフォトレジストであって、耐プラズマエッチング性を示し、短い露光波長、たとえば193nmおよび157nmで良好な透明性を示すフォトレジストがさらに望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開EP915382A2号明細書
【特許文献2】米国特許第4,745,169号明細書
【特許文献3】米国特許第5,338,818号明細書
【特許文献4】米国特許第5,619,396号明細書
【特許文献5】米国特許第6,340,734号明細書
【特許文献6】米国特許第5,731,126号明細書
【特許文献7】米国特許第6,296,985号明細書
【特許文献8】国際公開第02/091083号パンフレット
【特許文献9】米国特許第5,378,585号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2002/0090572号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2002/0090572号明細書
【特許文献12】米国特許第5,378,585号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2003/0207205号明細書
【特許文献14】米国特許出願第6,593,058号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】スギヤマ(Sugiyama)ら著「脂肪族ジアゾケトンを使用して調製したポジ型エキシマレーザーレジスト(Positive Excimer Laser Resists Prepared with Aliphatic Diazoketones)」,プラスチック技術者協会会議議事録(Soc.Plastics Eng.,Conference Proceedings),51〜60ページ(1988年11月)
【非特許文献2】フェディニシン(Fedynyshyn)ら著「封入無機レジスト技術(Encapsulated Inorganic Resist Technology)」、SPIE議事録(Proceedings ofSPIE)、3999巻、627ページ(2000年)
【非特許文献3】Y.フー(Hu)ら著「電子ビームノンリソグラフィーのためのナノコンポジットレジスト(Nanocomposite resists for electron beam nonlithography)」、Microelectronic Engineering 56,289(2001年)
【非特許文献4】L.マーハイ(Merhai)ら著「次世代リソグラフィーのためのナノコンポジットレジスト系(Nanocomposite resists systems for next generation lithography)」、Microelectronic Engineering 1(2002年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
非炭素四価化学種(Si、Ti、Ge、Zr、Sn)を有する新規ポリマーと、そのようなポリマーを含むフォトレジストとが提供される。本発明の好ましいポリマーは有機成分を有する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の好ましいポリマーは、高いSiOおよび/またはTiO含有率を有し、特にポリマーが、SiO式がSiO1.5<x<2またはTiO式がTiO1.5<x<2である繰り返し単位の組み合わせを含む場合にこのことが言える。
【0015】
本発明者らは、本発明のポリマーが、フォトレジスト樹脂として使用すると特に好適となる非常に優れた性能特性を示すことができることを見出した。特に、本発明の好ましいポリマーは、高いガラス転移温度(たとえば、約150℃または160℃を超える)と、プラズマエッチャントに対する優れた抵抗性を付与することができる高いSiまたはTi含有率と、短波長波長、たとえば200nm未満、たとえば193nmおよび157nmなどの露光放射線に対する優れた透明性とを示すことができる。
【0016】
本発明者らは、このようなポリマーを含有する本発明のフォトレジストが、200nm未満および170nm未満の露光波長、特に193nmおよび157nmで高解像度の画像を得ることができることを示した。たとえば、後述の実施例の結果を参照されたい。
【0017】
本発明の好ましいポリマーは、光画像形成可能な官能基、たとえばフォト酸レイビル基、たとえばフォト酸レイビルエステルまたはアセタール基、あるいはその他のコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコール(ポジ型レジストレリーフ画像を得るため)、または架橋性の部位、たとえばヒドロキシ(ネガ型レジストレリーフ画像を得るため)を含む。
【0018】
前述したように、好ましいポリマーは有機であり、炭素含有基、たとえばアルキル、炭素脂環式基、または炭素環式アリール、たとえばフェニル、ナフチルなどを含む1種類以上の繰り返し単位を含む。好ましくは、これらの炭素含有基は、ポリマー全体に分散しており(たとえば末端基だけではなく)、ペンダント基であるか、ポリマー主鎖の一部を構成しているかであってよい。好適には、ポリマーの少なくとも5重量%が炭素であり、好ましくはポリマーの少なくとも約10重量%、20重量%、30重量%、または40重量%が炭素である。
【0019】
本発明のフォトイメージャブル組成物に使用すると特に好適なポリマーは、複数種類の異なるコポリマー繰り返し単位の中の1種類としてシリケート式SiOまたはTiOを含むコポリマーとしてその一部を特徴づけることができる。このようなSiポリマーの場合、好ましくはポリマーは、SiO1.5<x<2のSiO式を有し、フォト酸レイビル基、たとえばフォト酸レイビルエステルまたはアセタール基を1種類以上の繰り返し単位の成分として含有する、または他のコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコールを1種類以上の繰り返し単位の成分として含有する。
【0020】
本発明の好ましいSiポリマーは、次式(I):
【0021】
【化1】

【0022】
に示される構造の繰り返し単位を含むことができ、
式中、Rは、水素、または好ましくは非水素置換基、たとえば任意に置換されたアルキル、特にC20アルキル;任意に置換された脂環式基、とくにC20脂環式基、たとえばノルボルニル、アダマンチル、シクロヘキシル、イソボルニル、フェンキルなど;任意に置換されたアリール、たとえば任意に置換された炭素環式アリール、たとえば任意に置換されたフェニル、ナフチルなど、または任意に置換されたヘテロアリールであり;mおよびnはそれぞれ0より大きい。R基は、光画像形成を促進する基、たとえばフォト酸レイビル基、たとえばエステルまたはアセタール、あるいはコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコールを含んでもよい。値mは、ポリマー単位の総数を基準にして、好ましくは20〜90%である。この場合も、少なくとも一部の繰り返し単位が炭素を含有する(有機ポリマーを得るため)、たとえば任意に置換されたアルキル、任意に置換された脂環式基、任意に置換された炭素環式アリールなどを含有するポリマーが好ましい。
【0023】
本発明の特に好ましいポリマーとしては、2種類以上の異なる繰り返し単位(たとえばターポリマー、テトラポリマー)を有するポリマーが挙げられ、フォトレジストの性質をさらに調整するための別の繰り返し単位を含んでもよい。たとえば、好ましいポリマーは次式(II):
【0024】
【化2】

【0025】
に示される構造の繰り返し単位を含んでもよく、
式中、RおよびRは異なる種類であり、水素または非水素置換基であってよく、好ましくはRおよびRの両方が上記式IのRで議論された非水素置換基であり、x、y、およびzはそれぞれ0より大きい。好ましくは、RおよびRの少なくとも1つは、光画像形成を促進する基、たとえばフォト酸レイビル基、またはコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコールを含む。この場合も、少なくとも一部の繰り返し単位が炭素を含有する(有機ポリマーを得るため)、たとえば任意に置換されたアルキル、任意に置換された脂環式基、任意に置換された炭素環式アリールなどを含有するポリマーが好ましい。
【0026】
本発明は、上記式IおよびIIで、Si原子が非炭素四価化学種(原子)、特に、Ti、Zr、Ge、またはSn、さらに特にTi、Zr、またはSn、特にTiで置き換えられた関連するポリマーも包含する。本発明の開示では本発明のポリマーをSiを含有するとして言及することが多いが、本発明は、Ti、Zr、Ge、またはSn、特にTiによってSiが置換されたそのようなポリマーを含み、Siポリマーに関する言及は、このようなTi、Zr、Ge、およびSnポリマーに対しても等しく適用される。本発明は、本発明のSi−ポリマー、ならびに本発明のこのようなTi、Zr、Geおよび/またはSnポリマーの1種類以上の混合物を含む組成物(たとえばレジスト組成物)も包含する。
【0027】
別の態様では、本発明の好ましいポリマーは、加水分解または縮合反応に対して反応性である少なくとも2つの反応性基(たとえば脱離基)、より好ましくは3または4個のその様な反応性基を有する非炭素四価化学種(原子)を含む1種類以上の化合物の反応によって得ることができるとして特徴づけることができる。好ましい四価の化学種はSiであるが、他の化学種、たとえばTi、Zr、Ge、Snなども有用となりうる。好ましい反応性基(たとえば脱離基)としては、ハロゲン(特にCl、Br、およびI)、アルコキシ、アリールオキシ、または好適な脱離基に修飾することができるヒドロキシなどの基が挙げられる。複数の反応性基が混合されても好適である。たとえば、ハロゲンおよびアルコキシ基の両方を含有するモノマーを好都合に使用することができる。
【0028】
本発明のこのような態様では、本発明の好ましいポリマーは、次式(III):
【0029】
【化3】

【0030】
の1種類以上の化合物の反応によって得ることができ、
式中、各Mは独立に、Si、Ti、Zr、Ge、またはSnであり、好ましくはSi、Ti、Zr、またはSnであり、より好ましくはMはSiまたはTiであり、各Yは同種または異種であり、少なくとも2つのY基は、加水分解または縮合反応に対して反応性である基(たとえば脱離基)であり、好ましくは3または4個のY基がそのような反応性基である。
【0031】
本発明のポリマーは、異なる非炭素四価原子Si、Ti、Zr、Ge、および/またはSnの混合物を含んでよく、たとえばSi原子およびTi原子の両方を含むポリマーを含んでよい。しかし、多くの用途では、ポリマーは、非炭素四価原子Si、Ti、Zr、Ge、またはSnの1種類のみを含有することが好ましく、すなわちSi、Ti、Zr、Ge、またはSnの群から、ポリマーはSi原子のみを含有する、またはポリマーはTi原子のみを含有する。
【0032】
本発明のポリマーの合成に特に好ましい反応性化合物は、次式(IV):
【0033】
【化4】

【0034】
に対応し、
式中、各Yは、同種または異種の、ハロゲン、Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、またはSi原子への結合(化学結合)であり、少なくとも2つのY基はハロゲンまたはアルコキシであり、好ましくはCアルコキシまたはCアルコキシ、たとえばメトキシまたはエトキシである。
【0035】
本発明の好ましいポリマーは、高いSi含有率を有し、たとえば全ポリマーの少なくとも約10、12、15、16、17、18、19、または20原子重量%がSiである。本発明の好ましいポリマーは、比較的高い比率でSiO繰り返し単位を有してもよく、たとえばポリマーの全ポリマー単位の少なくとも約20%がSiOであってよく、あるいはポリマーのポリマー単位の総数の少なくとも約30、40、50、60、70、80%、さらには90%がSiOであってよい。
【0036】
好ましいポリマーはフッ素化されてもよく、たとえば1つ以上のフッ素原子をポリマーペンダント基の一部として有する炭素を含んでよい。たとえば、好ましいポリマー置換基としては、−CF、および他のC20ハロアルキル基、特にC20フルオロアルキル基、たとえば−CHF、−CHF、−CHCF、−CFCFなど、ならびにハロアルコキシ、特にフルオロアルコキシ、たとえばC20フルオロアルコキシ、たとえば−OCF、−OCHCFなどが挙げられる。このようなフッ素置換基は、ポリマーのSi原子と直接結合してもよいし、あるいは別のポリマー基、たとえば脂環式単位の置換基であってもよい。Si原子の直接フッ素置換、たとえば式Si−F、Si−Fの基なども好適である。
【0037】
アルコール部位を有する繰り返し単位を含む本発明のポリマーも多くの用途で好ましい。
【0038】
短波長画像形成、特に200nm未満での画像形成の場合、好ましくはポリマーは、透明性を向上させるために低い芳香族含有率を有する。たとえば、このような短波長画像形成に好ましいポリマーは、芳香族基を実質的に含有せず、全ポリマー単位を基準にしてたとえば約5、4、3、2、1、または0.5モル%未満の芳香族基を含有する。さらにより好ましくは、ポリマーは芳香族基を全く含有しない。
【0039】
193nmで画像形成されるレジストに使用すると好ましいポリマーペンダント単位としては、プラズマエッチャントに対する抵抗性を調整可能な脂環式基が挙げられる。任意に置換されたノルボルニル、アダマンチル、フェンキル(fencyl)、およびイソボルニルが好ましい脂環式基であるが、1〜4個の分離したまたは縮合した脂環式環と5〜約20個の環原子とを有する他の脂環式部分も好適である。好ましくは、このような脂環式基は、フォト酸レイビル部位、またはその他のコントラスト強化部位、たとえばフォト酸レイビルエステルまたはアセタール基、あるいはフッ素化アルコールを含む。
【0040】
本発明のポリマーは適宜フェノールまたはその他の芳香族基を含有してもよく、特に、本発明のポリマーがより長波長、特に200nmを超える波長、たとえば248nmで画像形成されるレジストに使用される場合に含有してもよい。フェノールまたはその他の芳香族置換を有するポリマーは、E−ビームまたはEUV放射線源で画像形成されるフォトレジストにも有用となりうる。芳香族基を含有するこのようなポリマーは、トリクロロシリル基、トリアルコキシシリルなどで置換されたフェニル基の重合によって得ることができる。
【0041】
本発明のポリマーは適宜種々の分子量多分散性値(すなわちMw/Mn)を有してよい。たとえば、好適なポリマーとしては、Mw/Mnが約20未満、より典型的には約10未満、または約5または4未満であるポリマーが挙げられる。多くの用途では、狭い分子量多分散性が好ましい場合があり、たとえばMw/Mnが約3または2未満、あるいはさらに小さく、たとえば約1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、または1.2未満であると好ましい場合がある。
【0042】
別の態様では、本発明のポリマーは、別々の粒子の形態、すなわち分離した異なるポリマー粒子として重合させてよい。このようなポリマー粒子は典型的には、線状またははしご型のケイ素ポリマーとは1つ以上の異なる特性を有する。たとえば、このようなポリマー粒子は典型的には、画定された寸法と低い分子量分布とを有する。
【0043】
さらに特に、好ましい態様では、本発明の複数のポリマー粒子は平均粒径が典型的には、約5〜3000Åであり、より好ましくは約10〜2000Åであり、さらにより好ましくは約10〜約1000Åであり、さらにより好ましくは約10〜約500Åであり、さらにより好ましくは10〜50または100Åである。
【0044】
本発明の複数の好ましいポリマー粒子は、典型的には狭い分子量多分散性(Mw/Mn)を有し、たとえば約1.3、1.2、または1.1未満であり、場合によっては約1に近づき、これらはゲル浸透クロマトグラフィーおよび/または質量分析によって測定することができる。たとえば、図2に示される結果を参照されたい。
【0045】
前述したように、本発明者らは、本発明のポリマーおよびフォトレジストが、短波長放射線、特に200nm未満の放射線、特に193nmおよび157nmに対して顕著な透明性を示すことができることも見出した。
【0046】
さらに別の態様では、157nm放射線に対する透明性が高いフォトレジストおよびポリマーが提供される。特に、本発明は、光活性成分とポリマー成分とを含む157nmにおける画像形成に好適なフォトレジストを提供し、このレジスト組成物はレジスト組成物は、157nm放射線に対して低い吸光度を有し、たとえば吸光度は1.5未満(すなわちAbs157/μmが1.5未満)である。さらにより低い吸光性のフォトレジスト、たとえば光活性成分とポリマー成分とを含む157nmにおける画像形成に好適なフォトレジストが提供され、このフォトレジスト組成物は、Abs157/μmが1.4、1.3、または1.2未満であるか、あるいはAbs157/μmが1.1または1未満であるか、あるいはさらにがAbs157/μmが0.9、0.8、または0.7未満であるか、あるいはAbs157/μmが0.6または0.5未満である。
【0047】
このようなフォトレジストでは、光活性成分およびポリマー成分は、1種類の一体となった材料(たとえば共有結合したフォト酸発生剤を有する樹脂)であってもよいが、より典型的にはこれらの成分は別個の(共有結合していない)材料であり、たとえば1種類以上のフォト酸発生剤化合物と、1種類以上の別個のポリマーとを含有するレジストである。本発明のポリマー、特に本発明のSiポリマー、特にSiO式がSiOであるポリマーは、本発明の低吸光度フォトレジストに使用すると好ましい。さらにより好ましくは、このようなポリマーはフッ素化される。
【0048】
このようなレジスト以外に、フォトイメージャブルポリマーは、157nm放射線に対して低い吸光度を示すように提供される。この点に関して、好ましいフォトイメージャブルポリマーは、Abs157/μmが1.2または1.1未満、あるいはAbs157/μmが1未満、あるいはさらにはAbs157/μmが0.9、0.8、0.7、0.6、または0.5未満である。Siコポリマー、特にSiO式がSiO1.5<x<2である本発明のSiポリマーが好ましい。フッ素化ポリマーが特に好ましい。
【0049】
本明細書で言及される吸光度値(Abs157/μm値を含む)は、以下のプロトコルで測定される。フォトレジストまたはポリマーのフィルムを、マイクロエレクトロニクス用シリコンウエハ基体上にスピンコーティングし、減圧ホットプレートを使用してソフトベーク(110℃で60秒間)することによって溶媒を除去する。乾燥したコーティング層の吸光度を、指定の放射線波長(たとえば157nm)でVU−301真空紫外可変角分光エリプソメーター(VUV−VESA)装置(J.A.ウォーラム(J.A.Woollam Co.)から市販されるものが好適である)を使用して測定する。測定した吸光度を、1μmのフォトレジストまたはポリマーフィルムコーティング厚さに規格化する。
【0050】
本発明の樹脂以外に、本発明の典型的なフォトレジスト組成物は、光活性成分、たとえば1種類以上のフォト酸発生剤化合物も含有する。本明細書で言及される本発明のポリマーまたは樹脂には、粒子形態のそのようなポリマーも包含される。
【0051】
フォトレジストは、レジストコーティング層の露光領域と未露光領域との間で十分な溶解性の差を生じさせて、現像によってレリーフ画像が形成されるようにするための機構も含む。
【0052】
好適には化学増幅ポジ型フォトレジストは、好ましくは1種類以上のフォト酸レイビルデブロッキング基、すなわち光によって生成した酸の存在下で反応して極性基、たとえばカルボキシ、ヒドロキシなどを生成する基を有する成分を含む。好ましいフォト酸レイビル基としては、フォト酸レイビルエステルまたはアセタール基が挙げられる。このようなフォト酸レイビル基は好適には、ケイ素含有樹脂の置換基であるが、本発明のレジストは、このようなフォト酸レイビル基を含有した独立した成分、たとえば独立したオリゴマーまたはポリマーも含んでよい。
【0053】
短波長で画像形成されるポジ型フォトレジストは、フッ素化アルコール基、たとえば近接する(ヒドロキシ置換された炭素から1、2、または3個以内の炭素)フッ素置換を有するアルコールを適宜含んでもよい。
【0054】
本発明のネガ型レジストは典型的には、レジストの1種類以上の成分を架橋させる物質を含み、典型的には独立した架橋成分、たとえばアミン系化学物質、たとえばメラミンまたはベンゾグアナミン樹脂を含む。ネガ型フォトレジストに使用される樹脂は好ましくは、第一級または第二級アルコール部位を含む。
【0055】
本発明のフォトレジストは、好ましくは多層リソグラフィーシステムに使用される。さらに特に、本発明のレジストの好ましい使用は、第1の有機ポリマーコーティングを基体、たとえば半導体マイクロエレクトロニクス用ウエハ上に適用するステップと、その上に本発明のフォトレジストを適用するステップとを含む。この有機底部層は適宜、非フォトイメージャブル(たとえばフォト酸発生剤化合物を含有しない)であってよいが、レジスト層を適用する前に熱的に架橋される。底部層は、フェノール系ポリマー、たとえば熱酸発生剤化合物および架橋剤と混合されたノボラックを含んでもよい。このような底部層を使用することによって、非常に薄い上部レジスト層の適用が可能になる。
【0056】
本発明は、レリーフ画像を形成する方法、たとえば、高解像度レリーフ画像、たとえば各線が実質的に垂直な側壁を有し、線幅が約0.40μm以下、さらには幅が約0.2μmまたは0.10μm以下である線のパターン、たとえば幅が80nm以下の複数の線のパターンを形成する方法を含む方法も提供する。本発明は、基体、たとえばマイクロエレクトロニクス用ウエハ基体(たとえば20または10インチ未満の直径を有するウエハ)、オプトエレクトロニクスデバイス基体、導波路、または液晶ディスプレイ基体またはその他のフラットパネルディスプレイ基体であって、その上に本発明のポリマー、フォトレジスト、またはレジストレリーフ画像がコーティングされた基体を含む製品もさらに提供する。本発明は、本発明のフォトレジストの使用を含む、そのような製品の製造方法も含む。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例14で作製したレジストレリーフ画像の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例19で測定したポリマー粒子のゲル浸透クロマトグラフィー(上図)および質量スペクトル(下図)である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
前述したように、高SiO含有率のケイ素ポリマーが提供される。
【0059】
特定の態様では、SiOおよび/またはTiOの繰り返し単位を含むフォトイメージャブルコポリマーが提供される。
【0060】
別の態様では、SiO1.5<x<2のSiO式(たとえば少なくとも一部、たとえばポリマーの全繰り返し単位の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、または90%が、このようなSiO式を有する)の組み合わせを有する繰り返し単位を含む、および/または全体のフォトイメージャブルコポリマーがSiO1.5<x<2のSiO式を有するフォトイメージャブルコポリマーが提供される。
【0061】
ポリマー(コポリマーを含む)がフォトイメージャブルであると本明細書に記載される場合、これはそのポリマーが、1つ以上のフォト酸レイビル部位、たとえばフォト酸レイビルエステル(たとえばt−ブチルエステル)またはアセタール基、あるいは他のコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコールを有することを示している。言い換えると、たとえば、フォトレジスト組成物の成分として、フォトイメージャブルポリマーは、光によって生成した酸(たとえばフォト酸発生剤化合物から生成される)を伴う反応(たとえば開裂反応)またはその他の作用によって、フォトレジストのコーティング層の露光領域と未露光領域との間で現像剤に対する溶解性の差を生じさせることができる。
【0062】
本発明の好ましいポリマーは、次式(I)および(II):
【0063】
【化5】

【0064】
【化6】

【0065】
に示される繰り返し単位を含んでもよく、
式中、R、R、およびRは、水素、または前述のような非水素置換であり、m、n、x、y、およびzはそれぞれ0より大きい。好適には、R、R、およびRのすべてが水素以外である。好ましいR、R、およびR基としては、次の構造:
【0066】
【化7】

【0067】
【化8】

【0068】
が挙げられ、
これらの構造において、構造の左側の開放された結合(−)はポリマーとの化学結合であり、R”は、化学結合または結合基、たとえばヘテロ原子、たとえばSまたはO、あるいは任意に置換されたアルキレン、たとえばCアルキレンであり、BGは、ブロック基、たとえばフォト酸レイビル基、たとえばエステル(たとえばt−ブチルエステル)またはヒドロキシ基とエチルビニルエーテル基との反応によって生成するようなアセタール基であるか、あるいはBGは、リソグラフィー加工に対して一般的に不活性である基、たとえばCアルキル、アルキルスルホネート、たとえばメシルなどであってもよく、Xは、水素、あるいは直前のBGに関して規定したようなブロック基であってよく、Rは、フォト酸レイビル部位を提供する基であり、たとえばRは、エステル酸素、たとえばt−ブチルに結合する第四級炭素を提供する。
【0069】
上記式Iにおいて、mおよびnの値は、適宜広範囲を変動してもよい。たとえば、好適にはm(すなわち、全ポリマー単位を基準にしたポリマー中の[Si(R)O3/2]繰り返し単位数の%値)は、ポリマー繰り返し単位の総数の2〜90または95%であり、より典型的には、5〜30、40、50、60、70、または80%であり、ポリマー単位の残分はSiO繰り返し単位、またはその他の単位である。したがって、式Iにおいて、適切にはn(すなわち、全ポリマー単位を基準にしたポリマー中の[SiO]繰り返し単位数の%値)は、全ポリマー繰り返し単位数を基準にして、2〜90または95%であり、より典型的には10〜15、20、30、40、50、60、70、80、または85%であり、ポリマー単位の残分はSi(R)O3/2繰り返し単位、またはその他の単位である。
【0070】
同様に、式IIにおいてx、y、およびzの値は、適宜広範囲を変動してもよい。たとえば、好適にはxとyの和(すなわち全ポリマー単位を基準にしたポリマー中の[Si(R)O3/2]および[Si(R)O3/2]繰り返し単位数の%値)が前述のmで議論した場合と同様であり、zの値は好適には直前にnに関して議論した場合と同様である。xおよびyのそれぞれの値は、広範囲で変動させることができ、たとえばxおよびyのそれぞれは適宜、全ポリマー単位を基準にして2〜80%となってよく、より典型的にはxおよびyは適宜、全ポリマー単位を基準にして5〜10、15、20、30、40、50、60、または70%となってよい。
【0071】
本発明のポリマーは容易に合成することができる。好ましい合成としては、酸性または塩基性条件下での縮合または加水分解反応が挙げられる。フォト酸レイビル部位など任意の反応物質が酸に感受性であれば、好ましくは重合反応は塩基性条件下で実施される。
【0072】
一般に、1種類以上の反応性Si反応物質、たとえば前述の式IIIまたはIVの物質は、塩基および水の存在下で、1種類以上の他の反応物質と、好ましくは好適な有機溶媒中で、所望のポリマーが生成するのに十分な時間のあいだ反応させる。反応は、重合を促進するために必要に応じて高温で実施することができ、たとえば50℃、70℃、80℃、または90℃以上で実施することができる。好ましくは、1種類以上の有機溶媒が使用され、たとえばエーテル、ケトン、あるいは芳香族溶媒、たとえばアセトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、グリム、トルエン、キシレンなどが使用される。水の量は、典型的には、Si反応物質(たとえば前述の式IIIまたはIVの反応物質)上の脱離基に対して当モルまたは過剰量で存在する。塩基は有機または無機の化学物質であってよい。トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの有機塩基を使用すると良好な結果が得られた。塩基は好適には、Si化学物質に対して当モルまたは過剰量で存在する。代表的な反応条件は後述の実施例を参照されたい。
【0073】
一般に、モル過剰の水および塩基、ならびに高い反応温度を使用すると、重合の促進または増強が可能となる。
【0074】
酸に感受性な基(たとえばフォト酸レイビル部位)が存在する場合は塩基を使用すると好ましい場合があるが、別の方法では、望ましいのであれば、酸系縮合反応を使用して、ポリマーを生成し、次に生成したポリマーをフォト酸レイビル基、または他の酸に感受性な基で官能化される。たとえば、後述の実施例22および23の手順を参照されたい。
【0075】
前述したように、種々の他のモノマーまたはオリゴマーは、Si化学物質、たとえば前述の式IIIまたはIVの化学物質と反応する物質であってよい。好ましい反応物質は、このような任意の反応性Si基、または種々のヒドロシリル化またはハロシリル化されたモノマーを有する。たとえば、後述の実施例で使用される反応物質を参照されたい。
【0076】
本発明の好ましいポリマーとしては、シリルハライドまたはシリルアルコキシド、たとえばトリハロおよびトリアルコキシ化合物、たとえば式R−Si(OCアルコキシ)、たとえばR−Si(OCHCHまたはR−Si(ハライド)、たとえばR−Si(Cl)の化合物、ならびに混合アルコキシ−ハロシラン、たとえばRSi(Cl)(OR)およびRSi(OR)Clの重合によって生成されるポリマーが挙げられる。このような化合物上のR部位は適宜、芳香族(たとえばフェニルまたはナフチル)であってよいが、より好ましくは非芳香族、たとえば任意に置換されたアルキルまたは脂環式基、たとえばノルボルニル、アダマンチルなどであってよい。このようなR基は、フォト酸レイビル基、たとえば酸レイビルエステル、たとえばt−ブチルエステル、あるいはアセタール基、またはアセタール基で置換されてもよいし、あるいは水性塩基可溶性基、たとえばフッ素化アルコール、スルホンアミド、チオールなどで置換されてもよい。このような基は、電子吸引基、たとえばフッ素、シアノなどでさらに置換されてもよい。
【0077】
このようなトリハロまたはトリアルコキシあるいは混合トリ(ハロ/アルコキシ)反応物質と反応する好ましい共反応物質は、4官能性(4個の脱離基)反応物質、たとえば、テトラアルコキシシランであり、これは反応することによって生成されるポリマー中にSiO単位を生成することができ、一方、このようなトリハロまたはトリアルコキシあるいは混合トリ(ハロ/アルコキシ)反応物質によってSi(R)O3/2ポリマー単位を生成する。
【0078】
特に好適なSi反応物質としては、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、トリエトキシクロロシラン(SiCl(Et))、およびヘキサクロロジシランが挙げられ、Sn反応物質、たとえばテトラプロポキシスズ、および関連するTiおよびZr反応物質、たとえばTi(IV)クロリド、Ti(IV)ブトキシド、Ti(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)エトキシド、ジルコニウム(IV)プロポキシドなどは、容易に調製することができ、あるいはゲレスト(Gelest)(ペンシルバニア州チュリータウン(Tullytown,PA))などの製造元より市販されている。
【0079】
本発明者らは、4官能性の有機金属反応物質、たとえばテトラアルコキシシランの加水分解および縮合反応は、大型で立体障害のあるトリアルコキシ有機シラン、たとえばヘキサフルオロイソプロパノールノルボルニル(HFIPNB)−トリエトキシシランの反応よりも顕著に速い速度で進行することも見出した。このような反応性の差によって、複数の異なる分子成分を含み広い分子量分布を有するポリマーが生成しうる。大型で立体障害のある反応物質、たとえば大型のトリアルコキシ有機シランの反応によって、反応混合物のゲル化が生じうる。
【0080】
本発明者らは、このような広い分子量分布およびゲル化は、トリエトキシシラン共反応物質のR基が比較的小さなアルキル基、たとえば1〜12個の炭素原子を有するアルキル基(α炭素上に分岐は存在しない)である場合に避けることができ、加水分解または縮合反応を立体的に阻害したり遅延したりすることがないことを見出した。このようなR基の例としては、フルオロアルコール、たとえば1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール(BTHB)−トリエトキシシラン、1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール−エトキシメチルエーテル−トリエトキシシラン、(1,1−ビス−トリフルオロメチル−ブタ−3−エニルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステル(BTHBTBAC)−トリエトキシシラン、3−トリフルオロメチル−3−ヒドロキシ−1−プロパンのトリエトキシシラン、ならびに非フルオロアルコール、たとえば2,2,2−トリフルオロエチル−トリエトキシシラン、または2,2,2−トリフルオロエチルエチルエーテルのトリエトキシシランが挙げられる。本明細書では、ある置換基について略語が使用され、たとえばTFAMNBBは2−トリフルオロメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸tert−ブチルエステルを表し、BTHBは1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−ペンタ−4−エン−2−オールを表し、BTHBTBACは(1,1−ビス−トリフルオロメチル−ブタ−3−エニルオキシ)−酢酸tert−ブチルエステルを表し、EOMはエトキシルメチルエーテルを表す。
【0081】
本発明者らは、このような小さなR基を有する反応物質が、本発明の分離したポリマー粒子を生成するために好都合であることをさらに見出した。すなわち、トリアルコキシシランを含有する小さなR基は、テトラアルコキシシランと縮合して、高密度で、高架橋度で、可溶性で、フィルム形成性のポリマー構造(粒子)を生成することができ、この構造は適切な置換基(たとえば、フォト酸レイビルエステルまたはアセタール基)を有し、フォトレジスト組成物として画像形成することができる。これらの粒子の形成は、酸または塩基のいずれかによって触媒することができ、好ましくは高温で強塩基触媒作用下で触媒される。フォトイメージャブルでもある本発明のポリマー粒子の代表的な合成に関する後述の実施例18および20を参照されたい。
【0082】
本明細書で一般的に言及される場合、フォトイメージャブルポリマーは、フォト酸レイビル基、たとえばフォト酸レイビルエステルまたはアセタール基、あるいはその他のコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコールを含む1種類以上の繰り返し単位を含有するか、あるいはこれらのポリマーは、架橋剤成分(たとえばアミン系架橋剤、たとえばメラミン)と架橋することができる部位を有する。
【0083】
本発明のコポリマー(少なくとも2種類の異なる繰り返し単位を有するポリマー、およびより高次のポリマー、たとえばターポリマーやテトラポリマーが含まれる)において、それぞれの異なる繰り返し単位は適宜、種々の相対量で存在してよい。ポリマー中の高Si含有率単位の好ましい量については前述している。フォト酸レイビル基を有する繰り返し単位は適宜、ポリマーの全繰り返し単位を基準にしてポリマー中に約1、2、または3〜約10、15、20、30、40、50、または60%以上でポリマー中に存在してよく、より好ましくはポリマーの全単位を基準にして約5、10、または20〜約30、40、50モル%で存在してよい。フォト酸レイビル基を含有せずSi含有率が高くない繰り返し単位、たとえば耐エッチング性を調整するための脂環式基またはフェニル基を含有する単位は適宜、ポリマー中に、ポリマーの全繰り返し単位を基準にして約1、2、または3〜約50または60モル%で存在してよく、好ましくはポリマーの全単位を基準にして約5、10、または20〜約30または40または50モル%で存在してよい。
【0084】
ネガ型レジスト組成物に使用すると好ましいSiポリマーは、好適には第一級および第二級ヒドロキシ部位を含み、好適にはヒドロキシC20アルキル基として存在することができる第一級または第二級アルコール基を含む。このような第一級および第二級ヒドロキシは、架橋に有効な位置または部位であってよい。
【0085】
前述の式IおよびII、ならびに本発明で議論されるその他のポリマー基に関して言及する場合、さらなる限定がない用語「アリール」は、炭素環式アリール基とヘテロアリール基との両方を含む。
【0086】
用語「炭素環式アリール」は、1〜3個の分離したまたは縮合した環と6〜約18個の環原子とを含み、ヘテロ原子は環の構成要素として含まない基を含む。特に好ましい炭素環式アリール基としては、フェニル、ならびにナフチル、たとえば1−ナフチルおよび2−ナフチル、ならびにアセナフチル、フェナントレンシルなどが挙げられる。
【0087】
本明細書では用語「ヘテロアリール」は、典型的には1〜3個の分離したまたは縮合した環と、1個以上、典型的には1〜3個のN、O、またはSの環原子と、5〜20個の全環原子とを含むヘテロ芳香族基を意味する。代表的なヘテロアリール基としては、たとえばキノリニル、ピリジル、ピラジニル、インドリル、カルバゾイル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ピリドナルなどが挙げられる。
【0088】
用語「アルキル」は、指定の数の炭素原子を有する分岐および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図している。アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびs−ペンチルが挙げられる。好ましいアルキル基はC〜C12アルキル基である。アルキル基は、環状構造を含み、基が芳香族とはならない多重炭素−炭素結合を含んでもよい(すなわち用語アルキルは、脂環式、アルケニル、およびアルキニルを含む)。
【0089】
本明細書で言及される場合、用語「炭素脂環式」は、非芳香族基の各環要素が炭素であることを意味する。炭素脂環式基は、環が芳香族にならないのであれば、1つ以上の環内炭素−炭素二重結合を有することができる。代表的な炭素脂環式基としては、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチル、フェンキルなどが挙げられる。典型的には炭素脂環式基は、3〜18個またはそれを超える環原子と、1〜3または4個の縮合またはそれ以外で結合した環を有してもよい。
【0090】
「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子で置換された分岐および直鎖の両方のアルキル(前述のように規定)を含むことを意図している。ハロアルキルの好ましい例としては、限定するものではないが、モノ−、ジ−、またはトリ−フルオロメチル、モノ−、ジ−、またはトリ−クロロメチル、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、またはペンタ−フルオロエチル、およびモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、またはペンタ−クロロエチルが挙げられる。典型的なハロアルキル基は、1〜約12個の炭素原子、より典型的には1〜約6個の炭素原子を有する。
【0091】
「アルコキシ」は、酸素架橋を含む上記規定のアルキル基を表す。アルコキシの例としては、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、および3−メチルペントキシが挙げられる。アルコキシ基は、典型的には1〜約12個の炭素原子、より典型的には1〜約6個の炭素原子を有する。
【0092】
「ハロアルコキシ」は、酸素架橋をさらに有する上記規定のハロアルキル基を含む。ハロアルコキシ基の好ましい例としては、トリフルオロメトキシ、2−フルオロエトキシ、およびジフルロメトキシが挙げられる。
【0093】
用語「アリールオキシ」は、アリール置換基を有するアルコキシ基であるアリール、または酸素環置換を有し、その酸素がさらに別の基に結合するアリール基を意味し、たとえばフェノキシが好ましいアリールオキシ基である。炭素環式アリールオキシ基は、ある用途には好ましい。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「アルキルスルホニル」または「アルキルスルホネート」は、それぞれ1つ以上のスルホニル(SO)またはスルホネート(SO)と、典型的には1〜約12個の炭素原子、より典型的には1〜約6個の炭素原子とを有する基を含む。
【0095】
前述したように、種々のポリマー部位、たとえば式IおよびIIの基は、任意に置換されてもよい。「置換される」置換基は、1つ以上の可能な位置、典型的には1位、2位、または3位において、1種類以上の好適な置換基で置換されてよく、たとえばハロゲン(特にF、Cl、またはBr)、シアノ、Cアルキル、Cアルコキシ、Cアルキルチオ、Cアルキルスルホニル、Cアルケニル、Cアルキニル、ヒドロキシル、アルカノール、たとえばCアルカノイル、たとえばアシルなどで置換されてよい。157nmで画像形成されるレジストに使用されるポリマーの場合、フッ素およびその他の電気陰性基による置換が好ましいが、カルボニル基による置換は、その官能基による157nm放射線の吸光度が高すぎるため、あまり望ましくない。
【0096】
前述したように、SiOの繰り返し単位を含むフォトイメージャブルコポリマーが提供される。これらのポリマーは、SiO1.5<x<2のSiO式を有することができる。さらに、コポリマーとして、これらのポリマーは2種類以上の異なる繰り返し単位を有し、繰り返し単位の1つはSiOである。典型的には、フォト酸レイビル基またはその他のコントラスト強化基は、1つ以上の非SiO繰り返し単位上に存在する。
【0097】
本発明のこれらの好ましいフォトイメージャブルポリマーは、シリケート(SiO)ポリマー、たとえばSiOホモポリマー、および表面処理されたSiOポリマーとは異なる。
【0098】
たとえば、本発明の好ましいフォトイメージャブルSiOコポリマーは、非SiO成分またはフォトイメージャブル官能基(たとえばフォト酸開裂性エステルまたはアセタール基、あるいはフッ素化アルコール)を得るための表面処理を必要としない。さらに、本発明の好ましいSiOコポリマーは、SiO繰り返し単位のみからなる延長されたポリマー領域を含まず、たとえば本発明の好ましいコポリマーは、典型的には200、150、100、80、50、40、またはさらには20個のSiO単位を連続した配列中に有する領域は含有しない。むしろ、本発明の好ましいポリマーでは、SiO単位は、他のポリマー単位、たとえば式RSiO3/2の繰り返し単位を有するポリマー中に分散し、R基は前述の式Iで規定される通りであり、たとえばRは、アルキル、炭素脂環式、または炭素環式アリールなどの炭素含有基である。
【0099】
前述したように、ポリマー(コポリマーを含む)が画像形成性であると本明細書で言及される場合、そのポリマーが、1つ以上のフォト酸レイビル部位、たとえばフォト酸レイビルエステル(たとえばt−ブチルエステル)またはアセタール基、あるいはその他のコントラスト強化基、たとえばフッ素化アルコール(たとえば2−ヘキサフルオロプロパノール)を有することを意味する。
【0100】
前述したように、本発明のフォトイメージャブル組成物は、多層系に使用されると好ましく、すなわち基体表面、たとえばマイクロエレクトロニクス用ウエハまたはデバイス基体または光導波路基体の上に配置されるさらなる有機(ポリマー組成物)層の上に本発明のフォトイメージャブル組成物が配置されると好ましい。
【0101】
好適な下層組成物としては、フェノール系ポリマー、たとえばノボラックおよび/またはポリ(ビニルフェノール)を含む組成物が挙げられる。下層のポリマー組成物が架橋性組成物である場合も好ましく、たとえば、酸または酸発生剤化合物、たとえば熱酸発生剤化合物と、好ましくは別の架橋剤成分、たとえばアミン系材料、たとえばメラミンまたはベンゾグアナミンとを含むと好ましい。このような架橋性組成物では、適用される下層は、フォトイメージャブル組成物を上にコーティングする前に架橋させてもよく、たとえば140℃、150℃、160℃、180℃、200℃、または230℃において、0.5、1、または2分間など架橋に十分な時間をかけて加熱するなどの好適な熱処理によって架橋させてもよい。多くの点において、下層のポリマー組成物は好適には非フォトイメージャブルである。好ましくは、下層の反射防止特性(吸光度)を上部レジスト層と適合させることによって、基体から反射した放射線を、リソグラフィー加工を促進するのに十分な量でレジスト層に戻すことができる。
【0102】
適宜、2種類以上のケイ素含有ポリマーを、本発明のフォトイメージャブル組成物に使用してよい。したがって、本発明のフォトイメージャブル組成物は、1種類、2種類、またはそれを超える種類のケイ素含有ポリマーを含んでもよい。2種類以上のケイ素ポリマーが使用される場合、少なくとも1種類は本発明のケイ素含有ポリマーである。残りのケイ素含有ポリマーは、従来のケイ素含有ポリマー、または本発明のポリマーであってよい。このように、ポリマーの混合物を好都合に本発明のフォトイメージャブル組成物中に使用することができる。このような混合物は、本発明のケイ素含有ポリマーと非ケイ素含有ポリマーとの混合物を含む。これらの混合物は、広範囲の比率で混合されたポリマーが好適となりうる。具体的な比率は、混合される個々のポリマー、および望まれる特性(溶解速度、耐エッチング性、フォトスピードなど)に依存する。
【0103】
種々の光活性成分を本発明に使用してよく、たとえば、限定するものではないが、フォト酸発生剤(photoacid generator)およびフォト塩基発生剤(photobase generator)を使用してよい。フォト酸発生剤が好ましい。当業者によって認識されるように、2種類以上の光活性成分を、本発明のフォトイメージャブル組成物中に好都合に使用することができる。
【0104】
本発明に有用なフォト酸発生剤は、活性化放射線、たとえば300nm未満の放射線、たとえば248nm、または200nm未満の放射線、たとえば193nmまたは157nmに露光すると酸を遊離するあらゆる化合物である。好適なフォト酸発生剤としては、たとえばイミドスルホナイト(imidosulfonayte)、オニウム塩、ハロゲン化トリアジン、スルホン化エステル、およびハロゲン化スルホニルオキシジカルボキシイミドが挙げられる。
【0105】
157nm、193nm、および248nmにおける画像形成に好ましいPAGとしては、イミドスルホネート、たとえば次式:
【0106】
【化9】

【0107】
の化合物が挙げられ、式中、Rは、ショウノウ、アダマンタン、アルキル(たとえばC12アルキル)、およびペルフルオロアルキル、たとえば、ペルフルオロ(C12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましいPAGはN−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0108】
スルホニウム塩およびヨードニウム塩も好適なPAGであり、特にスルホネート塩が好適である。193nmおよび248nmにおける画像形成に好ましい2種類の物質は以下のPAG1および2:
【0109】
【化10】

【0110】
である。
【0111】
そのようなスルホネート化合物は、欧州特許出願第96118111.2号明細書(公開番号第0783136号)に開示されるように調製することができ、この特許には上記PAG1の合成が詳細に記載されている。
【0112】
上記2種類のヨードニウム化合物が前述のショウノウスルホネート基以外の陰イオンと錯形成したものも好適である。特に、好ましい陰イオンとしては、式RSOの陰イオンが挙げられ、式中のRは、アダマンタン、アルキル(たとえばC12アルキル)、およびペルフルオロアルキル、たとえば、ペルフルオロ(C12アルキル)、特にペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロブタンスルホネートなどである。
【0113】
157nmにおける画像形成の場合、前述のスルホネート陰イオンなどの陰イオン、特にペルフルオロアルカンスルホネート、たとえばペルフルオロブタンスルホネートと錯形成したトリフェニルスルホニウムPAGが特に好ましい。
【0114】
特に有用なハロゲン化トリアジンとしては、ハロメチル−s−トリアジンが挙げられる。好適なハロゲン化トリアジンとしては、たとえば2−(1−(3,4−ベンゾジオキソリル))−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,2,5−トリアジン、2−(1−(2,3−ベンゾジオキソリル))−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−(3,4−ベンゾジオキソリル))−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−(2,3−ベンゾジオキソリル))−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(2−フルフィルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。本発明に有用な他のトリアジン型フォト酸発生剤は米国特許第5,366,846号明細書に開示されており、この記載内容を本明細書に援用する。
【0115】
ハロゲン化スルホニルオキシジカルボキシイミドもフォト酸発生剤として有用であり、たとえば、1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン、N−((ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、N−((トリフルオロメチルスルホニル)オキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−2,5−ピロリジンジオン、3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ベンズ(f)イソインドール−1,3(2H)−ジオン、3,4−ジメチル−1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン、2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン、および2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ベンズ(de)イソキノリン−1,3(2H)−ジオンが挙げられる。
【0116】
本発明のポジ型の系では、典型的には、活性化放射線に露光することによってレジスト材料のコーティング層中に潜像を形成するのに十分な量の光活性成分がフォトイメージャブル組成物に加えられる。光活性成分がフォト酸発生剤である場合、その量は、樹脂重量を基準にして、典型的には0.1〜15重量%の範囲であり、好ましくは1〜8重量%の範囲である。
【0117】
本発明のネガ型の系では、有用な光活性成分の量は、ケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーの架橋を触媒するのに十分となるあらゆる量である。光活性成分は典型的には、組成物の乾燥成分(すなわち溶媒担体を除いた全成分)の全重量を基準にして0.1〜25重量%の範囲で使用される。好ましくは、光活性成分は、0.1〜15重量%の範囲の量で存在し、より好ましくは0.1〜12重量%の範囲の量、さらにより好ましくは5重量%以下の量で存在する。特に好適な範囲は、組成物の乾燥成分の全重量を基準にして0.1〜5重量%である。
【0118】
ネガ型レジストは好ましくは、1種類以上の架橋剤をSi樹脂以外に含む。ケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーと反応するあらゆる芳香族または脂肪族の架橋剤が、本発明での使用に好適である。このような有機架橋剤は、硬化してケイ素含有ポリマーまたはオリゴマーと重合された網目構造を形成し、選択された溶媒に対する溶解性が低下する。このような有機架橋剤はモノマーまたはポリマーであってよい。当業者であれば理解できるように、複数の架橋剤の組み合わせを本発明で好都合に使用することができる。
【0119】
本発明に有用である好適な有機架橋剤としては、限定するものではないが、アミン含有化合物、エポキシ含有材料、少なくとも2つのビニルエーテル基を含有する化合物、アリル置換芳香族化合物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい架橋剤としては、アミン含有化合物、およびエポキシ含有材料が挙げられる。
【0120】
本発明の架橋剤として有用なアミン含有化合物としては、限定するものではないが、メラミンモノマー、メラミンポリマー、アルキロールメチルメラミン、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの樹脂は、アクリルアミドまたはメタクリルアミドのコポリマーとアルコール含有溶液中のホルムアルデヒドとを反応させることによって、あるいはN−アルコキシメチルアクリルアミドまたはメタクリルアミドと別の好適なモノマーとの共重合によって調製することができる。特に好適なアミン系架橋剤としては、ニュージャージー州ウエストパターソン(West Paterson)のサイテック(Cytec)より製造されるメラミン、たとえばサイメル(CYMEL)(商標)300、301、303、350、370、380、1116、および1130、ベンゾグアナミン樹脂、たとえばサイメル(商標)1123および1125、グリコールウリル樹脂サイメル(商標)1170、1171、および1172、ならびに同様にニュージャージー州ウエストパターソンのサイテックより入手可能である尿素系樹脂ビートル(BEETLE)(商標)60、65、および80が挙げられる。多くの種類の同様のアミン系化合物が種々の供給元より市販されている。
【0121】
メラミン類は好ましいアミン系架橋剤である。特に好ましいものはアルキロールメチルメラミン樹脂である。これらの樹脂は、典型的にはトリアルキロールメチルメラミンおよびヘキサアルキロールメチルメラミンなどのエーテルである。このアルキル基は、1〜8個またはそれを超える炭素原子を有することができるが、好ましくはメチルである。反応条件およびホルムアルデヒド濃度に依存するが、メチルエーテルを互いに反応させることによってより複雑な単位を生成することができる。
【0122】
特に好適なアミン系架橋剤としては、次式:
【0123】
【化11】

【0124】
が挙げられ、
式中、R11およびR12は独立に、H、(C〜C)アルキル、およびフェニルから選択される。R11およびR12の好ましいアルキル基は、メチルおよびプロピルである。
【0125】
エポキシ含有材料も本発明のネガ型レジストの架橋剤として有用な場合があり、開環によって重合することができる1つ以上のオキシラン環を有するあらゆる有機化合物が好適となりうる。このような材料は、広くエポキシドと呼ばれ、たとえば、限定するものではないが、脂肪族、脂環式、芳香族、または複素環式であってよいモノマーエポキシ化合物およびポリマーエポキシ化合物が挙げられる。好ましいエポキシ架橋材料は、一般に分子1つ当たり平均で少なくとも2つの重合性エポキシ基を有する。ポリマーエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する線状ポリマー(たとえば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格オキシラン単位を有するポリマー(たとえばポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントエポキシ基を有するポリマー(たとえば、コポリマーのメタクリル酸グリシジルポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であってもよいが、一般には1分子当たり1個、2個、またはそれを超える数のエポキシ基を有する混合物である。さらに、架橋剤として使用すると有用なエポキシ含有材料としてはグリシジルエーテルが挙げられる。その例は、多価フェノールを過剰のクロロヒドリン、たとえばエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる多価フェノールのグリシジルエーテルである(たとえば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)。このようなグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールAエポキシド、たとえばビスフェノールAエトキシル化ジエポキシドが挙げられる。この種類のエポキシドのさらなる例は米国特許第3,018,262号明細書に記載されている。
【0126】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、1種類以上の追加成分、たとえば限定するものではないが、溶媒、ストリエーション防止剤、可塑剤、界面活性剤、塩基添加剤、促進剤、フィラー、染料などを任意選択でさらに含んでよい。ポジ型系では、組成物のフォトスピードを調整するために、典型的には塩基添加剤が使用される。このような任意選択の添加剤は、フォトレジスト組成物中に比較的少量で存在し、ただしフィラーおよび染料は比較的高濃度で使用してもよく、たとえば組成物の乾燥成分の全重量に対して約5〜30重量%の量であってよい。
【0127】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、当業者によって容易に調製することができる。たとえば、本発明のフォトレジスト組成物は、フォトレジストの成分、すなわちポリマーバインダーおよび光活性成分を好適な溶媒に溶解することによって調製することができる。このような好適な溶媒としては、限定するものではないが、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピオン酸3−エトキシエチル、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、およびそれらの混合物が挙げられる。2−ヘプタノンは、フッ素化ポリマーを含有するレジストに多くの場合好ましい。
【0128】
典型的には、フォトレジスト組成物の固形分は、組成物の全重量を基準にして約5〜約35重量%を変動する。樹脂バインダーおよび光活性成分は、フィルムコーティング層を形成し、そして優れた品質の潜像およびレリーフ画像を形成するのに十分な量で存在すべきである。
【0129】
このようなフォトレジスト組成物は、あらゆる公知の手段、たとえば、スピンコーティング、浸漬コーティング、ローラーコーティングなどによって基体に適用することができる。本発明の組成物をスピンコーティングによって適用する場合は、コーティング溶液の固形分は、使用される個々の回転装置、溶液の粘度、スピナーの速度、およびスピンコーティングされる時間の長さに基づいて、所望のフィルム厚さが得られるように調整することができる。
【0130】
前述したように、本発明のフォトイメージャブル組成物は、二層フォトレジスト系の上部層として使用すると特に好適である。これも前述したように、このような系では、底部層は、従来のフォトレジストであり、たとえばノボラックポリマー系レジスト、不活性ポリアリールエーテル−スルホンコポリマー系レジスト、あるいはノボラックまたはポリヒドロキシスチレン系熱架橋系である。典型的には、このような底部層は、前述の方法のいずれかを使用して基体上に適用またはコーティングされる。次に、底部層は230℃で2分などのハードベークが行われ、その後、本発明のフォトイメージャブル組成物が硬化した底部層の上にコーティングされる。底部層は、光学密度およびエッチング性能を得るために十分な量のアントラセン染料などのUV吸収性成分を含有することが好ましい。典型的には底部層の厚さは0.4〜1μmである。本発明のフォトイメージャブル組成物の上部層の厚さは典型的には0.05〜1μmであり、好ましくは0.05〜0.5μmであり、より好ましくは0.05〜0.3μmである。
【0131】
底部層上にコーティングした後で、本発明のフォトイメージャブル組成物の上部層は、加熱(ベーク)によって乾燥されて溶媒が除去される。コーティングの粘着性がなくなるまで乾燥することが好ましい。その後、従来方法においてマスクを通して画像形成される。この露光は、フォトレジストの光活性成分を効率的に活性化させて、レジストコーティング層中にパターン画像を形成するのに十分な露光であり、より詳細に述べると、露光エネルギーは典型的には約1〜100mJ/cmの範囲であり、この値は露光ツールおよびフォトレジスト組成物の成分に依存する。
【0132】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、種々の露光波長、たとえば248nm、193nm、157nm、および11〜15nmで活性化させることができる。しかし、本発明のフォトイメージャブル組成物は、その他の放射線源、限定するものではないがたとえば可視光、EUV、eビーム、イオンビーム、およびX線を使用してもよい。
【0133】
露光後、本発明の組成物のフィルム上部層は、約70℃〜160℃の範囲の温度でベークされることが好ましい。その後、上部層フィルムは現像されて、エッチングパターンが形成される。露光したレジストフィルムは、極性現像剤を使用することによってポジ型に作用し、好ましくは極性現像液は水性塩基現像剤であり、たとえば水酸化第四級アンモニウム溶液、たとえばテトラ−アルキルアンモニウムヒドロキシド、好ましくは0.15〜0.26Nのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド;種々のアミン溶液、たとえばエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、またはメチルジエチルアミン;アルコールアミン、たとえばジエタノールアミン、トリエタノールアミン;環状アミン、たとえばピロール、ピリジンなどが挙げられる。当業者であれば理解しているように、現像方法は、所与の系に応じたものを使用すべきである。
【0134】
パターンは、次に、酸素反応性イオンエッチング法などでエッチングすることによって下層または底部層に転写される。この工程の後、上部層と底部層の両方のレジストは、当技術分野で公知のあらゆるストリッピング方法を使用して加工した基体から除去することができる。
【0135】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、フォトレジストの使用が典型的であるすべての用途において有用である。たとえば、本発明の組成物を、マイクロプロセッサおよびその他の集積回路部品の製造用のシリコンウエハまたは二酸化ケイ素をコーティングしたシリコンウエハの上に適用してもよい。前述したように、多くの用途では、本発明のレジストは二層系として使用され、有機下層組成物の上に配置される。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウムヒ素、セラミック、石英、銅、ガラス、スピンオン有機誘電体、スピンオンまたは化学蒸着無機誘電体なども、本発明のフォトレジスト組成物の基体として使用すると好適である。その他の化学蒸着層、たとえばキャップ層、エッチストップなどを基体として使用してもよい。
【0136】
本発明の組成物は、オプトエレクトロニクス用途、たとえば光導波路、光学的相互接続などの製造に使用してもよい。「光導波路」とは、光学的放射線を二次元基体表面に透過させるあらゆる装置を意味する。好適な光導波路としては、限定するものではないが、スプリッター、カプラー、スペクトルフィルター、偏光子、アイソレーター、波長分割多重構造などが挙げられる。このような光導波路は、能動機能、たとえば電気光学装置、熱光学装置、または音響光学装置などを使用する増幅および切り替えを含んでもよい。増幅器として有用となるためには、本発明の導波路は、典型的には1種類以上のドーパントを含有する。エルビウムは、代表的なドーパントである。このようなドーパントは当技術分野で公知である。したがって、増幅器として使用すると好適な本発明の導波路は、1種類以上のドーパントを含有する。
【0137】
本発明の導波路は、個別の導波路としてまたは導波路のアレイとして製造してよい。このような導波路がアレイとして製造されるかどうかは、個別の使用に依存し、これは当業者の能力の範囲内である。導波路用途での本発明のレジストの使用および製造は、グロンベック(Gronbeck)らの国際公開第02/091083号パンフレットに開示される方法によって適宜実施される。
【0138】
集積回路の製造のための一実施態様では、本発明の組成物の層は、スピンコーティングまたはその他の適用方法によってウエハ基体(たとえば直径20または10インチ未満)上に配置される。
【0139】
コーティングされた基体は、典型的にはベークすることなどによって硬化されて、溶媒が除去される。このような硬化は、選択された個々の溶媒に依存して種々の温度で実施してよい。好適な温度は、存在するすべての溶媒が実質的に除去されるのに十分なあらゆる温度である。典型的には、硬化は室温(すなわち25℃)〜170℃のあらゆる温度であってよい。典型的にはこのような硬化は5秒〜30分の期間実施される。このような硬化は、オーブン中またはホットプレート上で基体を加熱することによって実施されてもよい。
【0140】
硬化後、基体上に配置された本発明の組成物の層を、適切なアートワークまたはマスクを通して化学線に露光することによって画像を形成させる。露光後、続いて組成物を40℃〜160℃の温度で硬化させる。硬化時間は変動しうるが、一般には約30秒〜約1時間である。ポジ型レジストでは、露光した領域は未露光領域よりも溶解性が高くなる。したがって、好適な溶媒、水性現像剤または溶媒と水との混合物と接触させるなどによって露光領域を除去することができ、基体上には非露光領域のみが残留する。好適な水性現像剤としては、アルカリ金属水酸化物、たとえば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムの水溶液、ならびに水酸化テトラアルキルアンモニウム水溶液が挙げられる。このような現像剤は、典型的には0.1〜0.3Nの濃度で使用され、たとえば0.15〜0.26Nの水酸化テトラアルキルアンモニウム水溶液が使用される。現像剤の選択は、当業者の能力の十分範囲内にある。このような現像は、室温〜約100℃などの種々の温度で行ってよい。このような現像の時間は、除去する材料および使用する温度に依存するが、一般には約10秒〜約1時間である。
【0141】
本明細書で言及されるすべての文献について、それらの記載内容を本明細書に援用する。以下の非限定的な実施例は、本発明を説明するものである。
【実施例】
【0142】
(実施例1〜5:本発明のポリマーの調製に有用なモノマーの合成)
(実施例1:1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール(BTHB)−トリエトキシシランの合成)
【0143】
【化12】

【0144】
パート1。10gの1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール(48mmol)を30mlの無水トルエンに溶解したものに、7.2gのトリクロロシラン(53mmol)と、5滴のカールシュテット(Karstedt’s)触媒溶液とを加えた。反応混合物を加熱還流しながら、マグネチックスターラーバーを使用して撹拌し、還流を終夜続けた。この反応期間の終了後、生成混合物中に存在する溶媒およびその他の揮発成分を減圧下で除去した。残留物のH NMR分光法によって、トリクロロシラン中間体の生成が完了したことが分かった。次にこの生成物は、さらに精製することなく、本発明のポリマーまたはトリエトキシシランモノマーの生成に使用した。
【0145】
パート2。上記方法に従って調製した16gの1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール(BTHB)−トリクロロシラン(46mmol)を、マグネチックスターラーバーを取り付けた100mlのフラスコに入れた。この液体を窒素雰囲気下で周囲温度において激しく撹拌しながら、9.6gの無水エタノール(0.21mol)を1時間かけて反応フラスコに滴下した。終夜維持した後、反応混合物の揮発成分を減圧下でストリッピングした。H NMRスペクトルから、反応が終了していることが分かった。次に、生成物を減圧蒸留することによって精製した(70〜72℃/6mmHg)。
【0146】
(実施例2:ヘキサフルオロイソプロピルノルボルニル(HFIPNB)−トリエトキシシランの合成)
【0147】
【化13】

【0148】
HFIPNB−トリクロロシランおよびHFIPNB−トリエトキシシランの合成は、前述の実施例1に記載のBTHB−トリクロロシランおよびBTHB−トリエトキシシランの合成と同様である。トリクロロシラン中間体を使用して、本発明のポリマーを生成するか、または式に示されるようにトリエトキシシランモノマーに転化させるかした。最終トリエトキシシランモノマーは、150℃/6mmHgで回収した。
【0149】
(実施例3:HFIPNB−トリエトキシシランの別の方法による合成)
HFIPNB−トリエトキシシランモノマーは、HFIPNBとトリエトキシシランのヒドロシリル化反応による直接合成も行った。
【0150】
500mlの三口フラスコに、70.00g(255.40mmol)のHFIPNBと、220mlの無水トルエンと、46.10g(280.94mmol)のトリエトキシシランと、触媒量のヘキサクロロ白金(IV)酸水和物(HPtClxHO)とを加えた。反応混合物を125℃で3日間還流した。過剰の溶媒および残留する揮発性出発物質を予備蒸留によって除去し、ヒドロシリル化生成物を、128〜143℃(0.8〜2.0mmHg)で減圧蒸留することによって単離した。無色粘稠液体が得られ、この純度をプロトンNMRおよびガスクロマトグラフィー(GC)によって測定した。
【0151】
(実施例4:BTHB−EOM−トリエトキシシランの合成)
(パート1:1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルロメチル−ペンタ−4−エン−2−オール(BTHB)−エトキシメチルエーテル(EOM)の合成)
凝縮器と滴下漏斗とを取り付けた500mlの三口フラスコに、9.69g(403.79mmol)の水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液であり、無水ヘキサンで洗浄したもの)と150mlの乾燥THFとを加えた。70.00g(336.49mmol)のBTHBと50mlの乾燥THFとの混合物を、滴下漏斗で反応容器にゆっくりと加えた。次に、溶液全体を80℃で16時間還流した。反応混合物に38.17g(493.79mmol)のクロロメチルエチルエーテルと20mlのTHFとを加え、反応混合物を還流しながら終夜撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、200mlの水酸化カリウム水溶液を加えて、塩を溶解させた。その水相を200mlのジクロロメタンで2回抽出し、有機底部層を合わせたものを硫酸マグネシウムで乾燥させた。過剰の溶媒および残留する出発物質は、ロータリーエバポレーターを使用して除去した。67.80gの無色液体が、138〜143℃における単純な蒸留によって単離された(収率78%、GCによる純度99.24%)。
【0152】
(パート2:BTHB−EOM−トリエトキシシランの合成)
500mlの三口フラスコに、60.00g(225.50mmol)のBTHB−エトキシメチルエーテルと、220mlの無水トルエンと、40.70g(248.06mmol)のトリエトキシシランと、触媒量のヘキサクロロ白金(IV)酸水和物(HPtClxHO)とを加えた。反応混合物を125℃で3日間還流した。過剰の溶媒および残留する揮発性出発物質を予備蒸留によって除去し、ヒドロシリル化生成物を、88〜99℃(0.4〜1.3mmHg)で減圧蒸留することによって単離した。無色粘稠液体が得られ、NMRおよびGCによって特性決定した。
【0153】
(実施例5:2−トリフルオルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(TFAMNBB)−トリエトキシシランの合成)
【0154】
【化14】

【0155】
この合成手順は、前述のBTHB−EOM−トリエトキシシランと同様である。ヒドロシリル化反応を完了するためには、より長い反応時間(3〜5日)が必要である。生成物は、155−162℃/9mmHgで減圧蒸留することによって回収した。
【0156】
(実施例6〜12:本発明のポリマーの合成)
(実施例6:30部の実施例1のモノマーと、20部の実施例5のモノマーと、50部のテトラエトキシシラン(TEOS)とを含むポリマーの合成)
【0157】
【化15】

【0158】
水冷凝縮器とマグネチックスターラーバーとを取り付けた100mlの三口フラスコに、2g(5.4mmol)のBTHB−トリエトキシシランと、1.534g(3.6mmol)のTFAMNBB−トリエトキシシランと、1,872g(9mmol)のTEOSと、10.44g(180mmol)のアセトンとを加えた。次にこの溶液に、1.8g(18mmol)のEtNと1.62g(90mmol)の水とを加えた。この反応混合物を80℃の油浴を使用して加熱し、撹拌しながら二日間還流を続けた。2日間還流した後には一般に反応は完了する。生成混合物中に存在する揮発性成分はロータリーエバポレーターを使用して除去した。約3.5gの白色粉末が得られ、4本のウルトラスチロゲル(ultrastyrogel)カラムを取り付けたウォーターズ(Waters)244クロマトグラフを使用し、25℃でテトラヒドロフランを溶媒としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定すると、重量平均分子量(Mw)は5,513ダルトン(ポリスチレン標準物質を基準にして)であり、数平均分子量(Mn)は4,050ダルトンであった。シリコンウエハ基体上にスピンコーティングした後のポリマーフィルムの光学スペクトルを、J.A.ウォーラム製造のVU−301真空紫外可変角分光エリプソメーター(VUV−VESA)装置を使用して測定した。1μmに規格化した後、193nmにおけるポリマー吸光度(A193)は0.017/μmであり、157nmでは1.49/μmであった。
【0159】
(実施例7)
実施例6の手順によって、適切な別の反応混合物を使用して、157nm吸光度がより低い以下のポリマーを調製した。
【0160】
【化16】

【0161】
このポリマーは、重量平均分子量が5,386であり、数平均分子量が4,338であり、157nmにおける吸光度が1.29/μmであり、193nmにおける吸光度は0.19/μmであった。
【0162】
(実施例8:実施例3、実施例4のモノマーとTEOSとを含むポリマー)
【0163】
【化17】

【0164】
100mlのフラスコに、4.00g(9.30mmol)のBTHB−EOMトリエトキシシランと、4.07g(9.30mmol)のHFIPNB−トリエトキシシランと、3.87g(18.60mmol)のテトラエトキシシラン(TEOS)と、3.76g(37.20mmol)のトリエチルアミンと、21.60gのアセトンと、3.35gの水とを加えた。この反応混合物を80℃の油浴で3日間加熱した。室温に冷却した後、溶媒およびその他の揮発性物質を減圧下120℃で3時間かけて除去した。あるいは、反応混合物は、ヘキサン中に沈殿させて、低分子量不純物を除去した後に、乾燥させることもできる。次に、固体生成物を酢酸エチルに溶解し、IRN−150イオン交換樹脂で処理して、残留トリエチルアミンを除去した。酢酸エチルを蒸発させると、白色固体の生成物が回収され(全収率約71%)、このMwは約3,600ダルトンであり、157nm吸光度は約1.23/μmであった。得られたポリマーの示差走査熱分析(DSC)測定から、ガラス転移温度は約188℃と求められた。ガルブレイス・ラボラトリーズ(Galbraith Laboratories,Inc.)によって実施された元素分析では、このポリマーは約14.6%のケイ素、29.8%のフッ素、および31.3%の炭素を含有すると報告された。
【0165】
(実施例9)
実施例8の手順によって、適切な別の反応混合物を使用して、以下のポリマーを調製した。
【0166】
【化18】

【0167】
このポリマーは、重量平均分子量が3,649ダルトンで、157nmの吸光度が1.12/μmであったことから、SiO成分の量がより多いポリマー組成は、157nm吸光度を低下させるために有益であることを示している。さらにSiO成分の量がポリマー組成物中で増加すると、温度記録計で目立たない屈折が観察されないため、ポリマーのガラス転移温度はもはや測定できない。元素分析による報告では、16.9%のケイ素、27.6%のフッ素、および29.5%の炭素であった。
【0168】
(実施例10)
イオン交換ステップは使用せずに実施例8の一般手順を使用して、実施例1のモノマー1部と実施例2のモノマー1部を縮合させて、Mwが3,152ダルトンの樹脂を生成した。次にこの樹脂を160℃で5時間熱処理しても分子量の有意な変化はなかった(Mw=3098、Mn=2816)。この材料の特性は、A157nmが1.19/μmであり、Tgは約20℃であり、水性0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム現像液中の溶解速度は1500Å/秒を超え、ケイ素含有率は約9.5%であった。
【0169】
(実施例11)
生成物の熱処理ステップを使用せずに、実施例10の一般手順を使用して、実施例3のモノマー1部と、実施例4のモノマー1部と、1部のTEOSとを縮合させて、Mwが約6,435であり、Mnが5,044であり、A157が1.23/μmであるポリマーを生成した。0.26N現像液中の溶解速度は約1070Å/秒であり、測定によるケイ素含有率は約12%であった。
【0170】
(実施例12:193nmフォトレジストに好適なポリマーの合成)
【0171】
【化19】

【0172】
上部開放コイル還流凝縮器を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、3.31g(9.21mmol)のTBENB−トリエトキシシランと、6.00g(16.12mmol)のBTHB−トリエトキシシランと、4.31g(20.73mmol)のテトラエトキシシランと、27.09g(260.68mmol)のアセトンとを加えた。次に、4.66g(46.07mmol)のトリエチルアミンと4.15g(230.34mmol)の水との混合物を、室温で撹拌しながら反応混合物にゆっくりと加えた。この反応混合物を、約110℃で設定した油浴で加熱し、この温度で45時間撹拌した。室温に冷却した後、10mlのアセトンを加え、ポリマーを約800mlのヘキサン中で沈殿させた。沈殿物をろ過によって回収し、50℃で16時間減圧乾燥した。約6.02gの白色粉末を77.8%の収率で得た。計算による元素のF含有率は23.7重量%であり、Si含有率は16.7重量%であり、F/Si比は1.42である。ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーから、Mwが約8670、Mnが約6240、Mw/Mn比が1.39と求められた。示差走査熱分析から、2つの転移が認められ、1つは185℃において、もう1つは270℃において認められた。熱重量分析によると、主要な重量減は381℃を中心に起こった。吸光度は157nmでは約2.15/μmであり、193nmでは約0.0086/μmであり、MF−CD26現像液中の溶解速度は0.4Å/秒であり、MF−312現像液中での溶解速度は543Å/秒を超えた。
【0173】
(実施例13:Tiポリマーの合成)
【0174】
【化20】

【0175】
1.687g(5.1mmol)のTBuNBSiClと、1.83g(5.1mmol)のBTHB−トリスエトキシシランと、2.33g(10.2mmoles)のTi(OEt)とを、15gのアセトンに溶解し、室温で撹拌した。この混合物に、10分かけて2.58gのトリエチルアミンと2.5gの水との混合物を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。1.7gのトリエチルアミンを加えてpHを7.85〜9.0に調整し、この系を還流させ(57℃)、還流を44時間維持した。次にこの混合物を室温まで冷却し、200mlの脱イオン水中でクエンチした。次にろ過によって固形分を単離し、2×25mlの脱イオン水、次いで2×25mlのヘプタンで洗浄した。次に固形分を50℃で減圧乾燥して、3.2gの生成物を得た。Mw11933、Mn2488、PD4.8。
【0176】
(実施例14〜17:フォトレジストの調製およびリソグラフィー加工)
(実施例14〜16:フォトレジストの調製および157nmにおけるリソグラフィー加工)
実施例14〜16のそれぞれにおいて、以下の成分を以下の量で混合してフォトレジスト組成物を調製した。
【0177】
【表1】

【0178】
実施例14〜16のそれぞれのフォトレジストにおいて、フォト酸発生剤はトリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネートであり、塩基性添加剤はテトラブチルアンモニウムラクテートであり、界面活性剤はR−08(商品名MEGAFAC R−08、フルオロアクリレートエステルコポリマー)であり、溶媒は2−ヘプタノンであった。各レジストのポリマー成分は、すぐ下に明記する。以下のポリマーの構造において、各単位の次の数字は、全ポリマー単位を基準にしたポリマー中のその繰り返し単位のモル%を表している。以下の157nmの吸光度は、示されるポリマーを含有するフォトレジストの吸光度である。
実施例14のポリマー:
【0179】
【化21】

【0180】
Abs157/μm:1.64
実施例15のポリマー:
【0181】
【化22】

【0182】
Mw3666
Abs157/μm:1.47
実施例16のポリマー:
【0183】
【化23】

【0184】
Mw:3649
Abs157/μm:1.5
【0185】
実施例14〜16のフォトレジストを以下のように加工した。配合したレジストは、シリコンウエハ上の有機ポリマー層上にスピンコーティングした。下層の有機層は1180Åであり、215℃で90秒間硬化させることによって架橋させている。適用したレジストコーティング層の厚さは1100Åであり、125℃で60秒間ソフトベークした後、エキシテック(Exitech)0.68NAスキャナーを使用してフォトマスクを通して157nmの放射線を露光した。画像形成したレジスト層を105℃で60秒間かけて露光後ベークして、続いて0.26Nの水性アルカリ現像液で60秒間処理することによって現像し、レジストレリーフ画像を得た。0.1μm未満のラインアンドスペースを含む種々の寸法の構造を印刷した。図1は、実施例14のフォトレジストで作製した所定の寸法で現像したラインアンドスペースを示している。
【0186】
(実施例17:さらなるフォトレジスト組成物の調製)
以下の成分を以下の量で混合してフォトレジスト組成物を調製する。
【0187】
【表2】

【0188】
この配合物において、フォト酸発生剤はトリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネートであり、塩基性添加剤はテトラブチルアンモニウムラクテートであり、界面活性剤はR−08(商品名MEGAFAC R−08、フルオロアクリレートエステルコポリマー)であり、溶媒は2−ヘプタノンである。
【0189】
配合したレジストを、シリコンウエハ上の有機ポリマー層上にスピンコーティングする。下層の有機層は、215℃で90秒間硬化させることによってあらかじめ架橋させる。適用されたレジストコーティング層は、125℃で60秒間ソフトベークした後、フォトマスクを通して193nmの放射線を露光する。画像形成したレジスト層を105℃で60秒間かけて露光後ベークして、続いて0.26Nの水性アルカリ現像液で60秒間処理することによって現像する。
【0190】
(実施例18:フォトイメージャブルケイ素含有ポリマー粒子)
【0191】
【化24】

【0192】
温度計、凝縮器、窒素入口、マグネチックスターラー、および油浴を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、2.0g(5.6mmol)EOM−BTHB−トリエトキシシラン、3.9g(13.1mmol)のBTHB−トリエトキシシラン、3.32g(16.0mmol)のTEOS、2.0g(111mmol)の水、8gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、7gのアセトン、および0.05g(0.9mmol)のKOHを投入した。この反応混合物を120℃で12時間還流した。反応終了後、重合混合物を蒸発によって濃縮してアセトンを除去した。この濃縮混合物を酢酸エチルで希釈し、その溶液を水で数回洗浄した。この有機混合物を次に蒸発させて酢酸エチルを除去し、続いて減圧蒸留してPGMEAと残留する水とを除去した。蒸留中に、新しいPGMEAを時々加えて、残留する水をさらに除去した。新しいPGMEAを数回加えた後、有機相の粘度が沈殿に好適となったときに蒸留を停止した。ポリマーをn−ヘキサン中に沈殿させ、80℃で24時間減圧乾燥した(収量4.48g(94%)(GPC Mw=7400、Mw/Mn=1.05)(元素分析(%):計算値でSi=15.7、F=34.6、C=25.1、実験値でSi=18.67、F=30.16、C=21.08)。Tgは見られなかった。
【0193】
(実施例19)
実施例18のケイ素含有粒子のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(図2の上図のクロマトグラム)およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDITOF−MS)(下図のスペクトル)を測定した。別の実験において、3種類のポリメタクリレート標準物質のSECを使用して、粒子の回転半径Rgが2.7nmと求められた。MALDITOF−MSスペクトルから、粒子はMnが24,500Daの1種類の分子であることが明らかである。GPCは粒子の流体力学的体積の尺度であり、MSは実際の質量を測定するので、これら2つの測定から、高度に架橋された物質に期待される非常に高密度の粒子であることが分かる。この種の単分散性は、トリエチルアミンを塩基触媒として使用した場合にも得られた。この実施例で得られたGPCおよび質量スペクトルを図面の図2に示す。
【0194】
(実施例20:ケイ素リッチなコポリマー粒子)
【0195】
【化25】

【0196】
温度計、凝縮器、窒素入口、マグネチックスターラー、および油浴を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、10.0g(33.8mmol)のBTHB−トリエトキシシラン、6.0g(28.8mmol)のTEOS、3.0g(167mmol)の水、10gのPGMEA、15gのアセトン、および0.075g(1.35mmol)のKOHを投入した。この反応混合物を120℃で12時間還流した。この反応時間の後、アセトンを蒸発によって除去し、重合混合物を酢酸エチルで希釈した。この溶液を水で数回洗浄して塩基を除去した。生成混合物を蒸発によって濃縮し、続いて減圧蒸留して残留する溶媒および水を除去した。蒸留中に、新しいPGMEAを時々加えて、残留する水をさらに除去した。新しいPGMEAを数回加えた後、有機相の粘度が沈殿に好適となったときに蒸留を停止した。ポリマーをn−ヘキサン中に沈殿させ、80℃で24時間減圧乾燥した(収量7.27g(91%))(Mw=6920、Mw/Mn=1.06)。
【0197】
(実施例21:tert−ブチルアセテートの酸感受性基を有するターポリマー)
【0198】
【化26】

【0199】
温度計、凝縮器、窒素入口、マグネチックスターラー、および油浴を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、2.0g(4.88mmol)のt−BAC−BTHB−トリエトキシシラン、1.44g(4.88mmol)のBTHB−トリエトキシシラン、1.35g(6.50mmol)のTEOS、1.0g(55.5mmol)の水、5gのPGMEA、6gのアセトン、および0.3g(3mmol)のTEAを投入した。この反応混合物を110℃で12時間還流した。この反応時間の後、アセトンを蒸発によって除去し、続いて減圧蒸留しPGMEAおよび残留する水を除去した。蒸留中に、新しいPGMEAを時々加えて、残留する水をさらに除去した。新しいPGMEAを数回加えた後、有機相の粘度が沈殿に好適となったときに蒸留を停止した。ポリマーをn−ヘキサン中に沈殿させ、80℃で24時間減圧乾燥した(収量2.4g(87%);Mw=6000、Mw/Mn=1.11)。実施例18の方法に従って無機強塩基を使用してこの合成が行われる場合は、Mwが2,388Daであり、Mw/Mnが1.02である粒子が生成した。
【0200】
(実施例22:酸によって促進される合成(実施例20のモノマー))
温度計、凝縮器、窒素入口、マグネチックスターラー、および油浴を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、5.0g(16.9mmol)のBTHB−トリエトキシシラン、3.0g(14.4mmol)のTEOS、3.1gの水、1.6gのエタノール、および3ppmの濃塩酸を投入した。この反応混合物を4時間還流した。次にこの重合混合物を酢酸エチルで希釈して、酸が除去されるまで水で数回洗浄した。酸を塩基で中和した後に水で洗浄しても、ポリマーに影響を与えることなく酸を除去することができる。このポリマー溶液を減圧下(アスピレーター減圧)室温で30分間蒸発させ、続いてさらに24時間減圧(室温で2mmHg)した(収率88%、3.51g)(Mw=6700、Mw/Mn=1.39)。
【0201】
(実施例23:実施例22のポリマーのブロモ酢酸tert−ブチルによる後反応)
【0202】
【化27】

【0203】
温度計、凝縮器、窒素入口、マグネチックスターラー、および油浴を取り付けた100mlの三口丸底フラスコに、4.93g(35.8mmol)のKCO、30gのアセトン、および3.0gの実施例22のポリマーを加えた。この反応混合物を室温で30分間撹拌した後、6.96g(35.8mmol)のブロモ酢酸t−ブチルを1時間かけてゆっくりと加えた。この反応混合物を4日間還流した。この期間の後、反応混合物を蒸発させてアセトンを除去し、続いて酢酸エチルで希釈した。次にこの溶液を水で数回洗浄して水溶性塩を除去した。得られたポリマー溶液を減圧下で濃縮して、さらに80℃で24時間減圧乾燥した[収量4.75g(95%)、Mw=6140、Mw/Mn=1.22)。
【0204】
(実施例24:実施例17によるポリマーを使用したフォトレジストの調製、および193nmにおけるリソグラフィー加工)
フォトレジスト組成物を以下のようにして調製した。91部の実施例17で調製したSiポリマーと、4.5部のトリフェニルスルホニウムペルフルオロブタンスルホネートと、0.4部のジアミンオルガノシランと、580部の2−ヘプタノンとを混合することによって均一なレジスト溶液を得た。
【0205】
このフォトレジストを以下のように加工した。配合したレジストを、8インチシリコンウエハ上の有機ポリマー層上にスピンコーティングした。下層の有機層は825Åであり、215℃で90秒間硬化させることによって架橋させたものであった。適用したレジストコーティング層の厚さは1100Åであり、125℃で60秒間ソフトベークした後、フォトマスクを通して193nmの放射線を露光した。画像形成したレジスト層を110℃で60秒間かけて露光後ベークして、続いて0.26Nの水性アルカリ現像液で60秒間処理することによって現像し、レジストレリーフ画像を得た。
【0206】
特定の実施形態を参照しながら、本発明を詳細に説明してきた。しかし、当業者であれば、本開示を考慮することによって、本発明の意図および範囲内にある修正および改良を行えることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性成分とポリマー成分とを含むポジ型フォトイメージャブル組成物であって、
前記ポリマー成分は、(1)フッ素化アルコール基、および(2)次式:
【化1】

の繰り返し単位を含むポリマーを含み、
式中、Rは水素または非水素置換基であり、mおよびnはそれぞれ0より大きく;
前記ポリマーの全ポリマー単位の少なくとも20パーセントがSiOである;
ポジ型フォトイメージャブル組成物。
【請求項2】
光活性成分とポリマー成分とを含むポジ型フォトイメージャブル組成物であって、
前記ポリマー成分は、次式:
【化2】

の繰り返し単位を含むポリマーを含み、
式中、Rは非水素置換基であり、mおよびnはそれぞれ0より大きく;
(1)前記ポリマーがフォト酸レイビル基もしくはフッ素化アルコール基を含み、(2)前記ポリマーが、合計で2種の異なる繰り返し単位から成り、かつ(3)前記ポリマーは、表面処理されたSiOポリマーとは異なる;
ポジ型フォトイメージャブル組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−103014(P2011−103014A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−34479(P2011−34479)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【分割の表示】特願2004−58830(P2004−58830)の分割
【原出願日】平成16年3月3日(2004.3.3)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】