説明

ポリマーの着色のための非移染性の着色共重縮合物

本発明は、互いには干渉しない少なくとも2つの反応性基で置換されている着色剤と、選択された環状ジカルボン酸(特に、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)、脂肪族ジオール(特に、エチレングリコール)、環状ジアミン(特に、イソホロンジアミン)、および/またはアミノ酸との特定の量における反応によって得られる、着色された、および/または蛍光性の共重縮合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いには干渉しない少なくとも2つの反応性基で置換されている着色剤と、選択されたジカルボン酸、ジオール、ジアミン、および/またはアミノ酸との反応によって得られる、着色された(特に、青、赤に)、および好ましくは蛍光性の、非移染性の共重縮合物に関する。
【0002】
着色された、および蛍光性の着色剤は、半結晶性ポリマー(特に、皮膚および/または食品と接触する用途のためのもの、例えば包装用など)のバルク着色において、問題の原因となる。
【0003】
蛍光は、着色剤分子の間に相互作用が全く無い場合のみ、十分に発せられる。蛍光性着色剤が顔料形態の場合、光励起状態は、結晶粒子内のエネルギー移動プロセスによって失活し(クエンチされ)、これが発光を妨げる。現在、驚くべきことに、さらにこれは、ある程度まで、蛍光性着色剤の分子が部分的結晶性のポリマー性保護シェル中に取り込まれている場合であるということがわかっている。
【0004】
この状況は、着色剤の色濃度および彩度に対しても同様である。顔料粒子は、多くの場合、溶存染料よりも光安定性であるが、それらでは、所望の程度まで十分に飽和した所望の色相を実現できない。
【0005】
一方、溶存形態にあるほとんどすべての着色剤は、かなりの程度の望ましくない移染を生じる。当該着色剤は、基材の表面に集まり得、これにより、周囲(特に包装された内容物)へ着色および/または滲出(同時に、クエンチングおよび、皮膚に接触した場合には皮膚による吸収を伴う)を生じ得る。移染は、特に蛍光性、赤色、および青色の着色剤の場合、人の目によって特に顕著に知覚されるので、視覚的に望ましくない。
【0006】
既に、移染を抑制するための多くの提案がなされているが、これは、今のところ、完全に満足するには到らない程度においてのみ、ならびに/あるいは蛍光の望ましくない減少および/またはスペクトルのシフトを伴ってのみ、可能である。
【0007】
米国特許第4,116,923号では、テレフタル酸もしくはイソフタル酸、第一級アルカントリオール、および着色されたエステルから得ることができる、低溶融性の着色ポリエステルについて開示されている。しかしながら、これらの着色ポリエステルは、もはや通常の包装用ポリマーへの適用に対する現在の高い要求を満たしてはいない。
【0008】
国際公開公報第99/21937号では、重合可能な基を導入することによる、着色剤の移染の遅延について開示されている。
【0009】
米国特許第6,103,006号では、1H,3H−Z−ベンゾピラノ[6,5,4−mna]キサンテン−1,3−ジオン(3,4−ベンゾキサンテンジカルボン酸無水物「BXDA」)と、二官能性カルボン酸、二官能性アミン、および任意により二官能性アルコールとの共重合によって得られるポリマー性顔料について開示されている。イソホロンジアミン、エチレングリコール、およびシクロヘキサンジカルボン酸について言及されてはいるが、好ましいジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸である。すべての実施例において、使用されるジアルコールはシクロヘキサンジメタノールであり、ならびに、実施例20を除いて、イソフタル酸が、追加的に、ジカルボン酸として常に使用されている。これらの顔料は、耐光性が向上しているとのことだが、非移染性については不十分であり、および/または十分には満足できる蛍光性を有していないことが分かる。
【0010】
国際公開公報第01/17356号では、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンビス(シアノグアニジン)、およびN−(6−アミノヘキシル)−4−(6−アミノヘキシルアミノ)−1,8−ナフタルイミドから得られるポリマーなどの抗菌性ポリマーについて開示されている。
【0011】
国際公開公報第02/066483号では、メタクリレート基で置換されている染料モノマー、ならびにオレフィンコポリマーを製造するためのそれらの使用について開示されている。
【0012】
Dyes and Pigments 52,137−143[2002]では、着色剤としてN−(5−ヒドロキシペンチル)−4−(5−ヒドロキシペンチルアミノ)−1,8−ナフタルイミド、N−(11−ヒドロキシウンデシル)−4−(11−ヒドロキシウンデシルアミノ)−1,8−ナフタルイミド、または4−ブチルアミノ−N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)−1,8−ナフタルイミドを含む、蛍光ポリウレタンフォームについて開示されている。この文献によれば、移染は生じないが、蛍光は非常に弱いか、または少なくとも非重合性の着色剤であるN−ペンチル−4−ペンチルアミノ−1,8−ナフタルイミドよりも弱い。
【0013】
国際公開公報第2005/019523号では、2つの反応性基を含有する発色団と、二官能性カルボン酸、二官能性アミン、および任意により二官能性アルコールとの共重合によって得られるポリマー性着色剤について開示されている。使用されるジオールは、90%がシクロヘキサンジメタノールであり、シクロヘキサンジメタノールの典型的な二次成分はメタノールである。しかしながら、これらのポリマー性着色剤も、熱安定性、非移染性、および蛍光に関して、現在の高い要求を完全に満足のいくほど満たしているわけではない。
【0014】
驚くべきことに、少なくとも2つの別々の反応性置換基で置換されている着色剤を、特定の共重合可能な成分の限られた選択肢と反応させた場合、非常に満足のいく、完全に非移染性の、着色された共重縮合物が得られるということが、ここにおいて見出された。そのようにして得られた、着色されたまたは蛍光性の共重縮合物は、高い移染抵抗性、および適用目的にとって好都合な範囲のガラス転移温度を特徴とする。さらに、それらは、良好な一般的堅牢性、とりわけ、通常は高温安定性および光安定性、ならびに包装の内容物(とりわけ、食品またはそれらの成分、例えば、脂肪、塩、酢、および糖類)および腐食性環境因子(例えば、酸素、水蒸気、オゾン、一酸化炭素、二酸化硫黄、および/または窒素酸化物など)に関して素晴らしい安定性を有する。
【0015】
したがって、本発明は、
・ 少なくとも1つの1,2−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、1,3−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、または1,4−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、あるいはそれらのエステル、無水物、または酸塩化物と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.3〜0.8モル、好ましくは0.4〜0.8モル、より好ましくは0.5〜0.7モルの、少なくとも1種の1,2−C6〜C12シクロアルカンジアミン、1,3−C6〜C12シクロアルカンジアミン、または1,4−C6〜C12シクロアルカンジアミン、あるいはそれらの潜在型と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.2〜0.6モル、好ましくは0.3〜0.5モルの、1,2−C2〜C6アルカンジオール、1,3−C2〜C6アルカンジオール、または1,4−C2〜C6アルカンジオールの少なくとも1種(これらの1つのヒドロキシル基の0〜0.05モルは、モノカルボン酸によってエステル化されていてもよく、C2〜C6アルカンジオールは、割りこまれていなくても、または−O−で割り込まれていてもよく、ただし、C2〜C6アルカンジオールの炭素原子で、1つより多くの酸素原子に結合しているものはない)と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モル、好ましくは0または0.01〜0.05モルの1種以上のアミノ酸と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モル、好ましくは0〜0.05モル、より好ましくは0〜0.02モルの、それぞれ1〜18個の炭素原子を有するモノアルコール、第一級モノアミン、および一塩基酸からなる群より選択される1種以上の単官能性成分と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.001〜0.15モル、好ましくは0.001〜0.01モル、より好ましくは0.002〜0.05モル、最も好ましくは0.01〜0.03モルの、−X、−NH2、−COX、−SO2X、−CO−O−CO−、および−SO2−O−SO2−からなる群より選択される少なくとも2つの置換基を有する少なくとも1種の着色剤(ここで、Xは、ヒドロキシル、または反応性の塩素、臭素、フッ素原子、ヨウ素、またはニトロであり、ただし、これらの置換基の少なくとも2つは、互いと縮合して10員環未満の分子内環を形成したりしない程度に、互いに離れていなければならない)と、
の共重縮合によって得ることができる共重縮合物であって、
ただし、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基およびスルホ基の総量とのモル比は、5:4〜4:5、好ましくは9:8〜8:9である、
共重縮合物に関する。
【0016】
好ましい実施形態において、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基またはスルホ基の総量とのモル比は、共重縮合によって共重縮合物に転換されるすべての成分に基づいている。特に、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基またはスルホ基の総量とのモル比は、当該共重縮合の出発物質として採用され当該共重縮合物中に組み入れられると予想されるすべての成分に基づいている。
【0017】
好ましいのは、
・ 少なくとも1つの1,2−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、1,3−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、または1,4−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、あるいはそれらのエステル、無水物、または酸塩化物と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.3〜0.8モルの少なくとも1種の1,2−C6〜C12シクロアルカンジアミン、1,3−C6〜C12シクロアルカンジアミン、または1,4−C6〜C12シクロアルカンジアミン、あるいはそれらの潜在型と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.2〜0.6モルの少なくとも1種の1,2−C2〜C6アルカンジオール、1,3−C2〜C6アルカンジオール、または1,4−C2〜C6アルカンジオール(これらの1つのヒドロキシル基の0〜0.05モルは、モノカルボン酸によってエステル化されていてもよく、C2〜C6アルカンジオールは、割りこまれていなくても、または−O−で割り込まれていてもよく、ただし、C2〜C6アルカンジオールの炭素原子で、1つより多くの酸素原子に結合しているものはない)と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モルの1種以上のアミノ酸と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モルのそれぞれ1〜18個の炭素原子を含有するモノアルコール、第一級モノアミン、および一塩基酸からなる群より選択される1種以上の単官能性成分と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.001〜0.15モルの、−X、−NH2、−COX、−SO2X、−CO−O−CO−、および−SO2−O−SO2−からなる群より選択される少なくとも2つの置換基を有する少なくとも1種の着色剤(ここで、Xは、ヒドロキシル、または反応性の塩素、臭素、フッ素原子、ヨウ素、またはニトロであり、ただし、これらの置換基の少なくとも2つは、互いと縮合して10員環未満の分子内環を形成したりしない程度に、互いに離れていなければならない)と
の共重縮合によって得ることができる共重縮合物であって、
ただし、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基およびスルホ基の総量とのモル比は、5:4〜4:5である、
共重縮合物である。
【0018】
好ましいのは、
・ 少なくとも1つの1,2−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、1,3−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、または1,4−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、あるいはそれらのエステル、無水物、または酸塩化物と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.5〜0.7モルの少なくとも1種の1,2−C6〜C12シクロアルカンジアミン、1,3−C6〜C12シクロアルカンジアミン、または1,4−C6〜C12シクロアルカンジアミン、あるいはそれらの潜在型と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.3〜0.5モルの少なくとも1種の1,2−C2〜C6アルカンジオール、1,3−C2〜C6アルカンジオール、または1,4−C2〜C6アルカンジオール(これらの1つのヒドロキシル基の0〜0.05モルは、モノカルボン酸によってエステル化されていてもよく、C2〜C6アルカンジオールは、割りこまれていなくても、または−O−で割り込まれていてもよく、ただし、C2〜C6アルカンジオールの炭素原子で、1つより多くの酸素原子に結合しているものはない)と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.05モルの1種以上のアミノ酸と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.02モルの、それぞれ1〜18個の炭素原子を含有するモノアルコール、第一級モノアミン、および一塩基酸からなる群より選択される1種以上の単官能性成分と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.01〜0.03モルの、−X、−NH2、−COX、−SO2X、−CO−O−CO−、および−SO2−O−SO2−からなる群より選択される少なくとも2つの置換基を有する少なくとも1種の着色剤(ここで、Xは、ヒドロキシル、または反応性の塩素、臭素、フッ素原子、ヨウ素、またはニトロであり、ただし、これらの置換基の少なくとも2つは、互いと縮合して10員環未満の分子内環を形成したりしない程度に、互いに離れていなければならない)と、
の共重縮合によって得ることができる共重縮合物であって、
ただし、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基およびスルホ基の総量とのモル比は、9:8〜8:9である、
共重縮合物である。
【0019】
本発明に従って使用される着色剤の特に有利な置換基は、クロロスルホニル、4−クロロ−3−オキソ−2−アザブチル(クロロアセトアミノメチル)、(2つの反応性カルボキシル基を含有する)3,5−ジカルボキシフェニル、ならびに、ハロゲンと、好ましくはメチレン、オキシ、カルボニル、スルホ、およびアミノから選択される基からなる少なくとも4個のメンバーを有する脂肪族鎖によって着色剤の発色団に結合しているカルボキシル、ヒドロキシル基、またはアミノ基との組み合わせである。
【0020】
特定の官能基を有する少なくとも1種の反応物質は、他の種類の官能基を有する反応物質から独立して、各場合において、例えば同じ官能基を有する1種以上(例えば、2〜12種)の化合物であってそれぞれを個別にまたは同じ官能基を有する2種以上の反応物質の混合物として添加することができる化合物、を意味する。
【0021】
着色剤は、400〜700nmの範囲の波長に対してモル吸光係数Kn≧1・104l・mol-1・cm-1を有する物質、または、モル吸光係数Kn≧1・104l・mol-1・cm-1により300〜400nmの範囲において吸収した放射線を、400〜700nmの範囲において発光という形態で放つ物質を意味するものとして理解される。
【0022】
好ましいのは、本発明に従って、300〜500nmの範囲に吸収極大を有し、かつ400〜700nmの範囲において発光する発光性黄色着色剤、500〜600nmの範囲に吸収極大を有する赤色着色剤、ならびに600〜700nmの範囲に吸収極大を有する青色着色剤である。
【0023】
特に好適な着色剤は、少なくとも1種の部分構造:
【化1】

[式中、
1およびY2は、それぞれ独立して、OまたはN−であり、ならびにY3およびY4は、それぞれ独立して、O、N−、またはSである]を有し、
好ましい着色剤は、部分構造:
【化2】

[式中、Y1〜Y4はそれぞれ、上記において定義された通りであり、Y5は、−C−またはN−である]を有する。
【0024】
式:
【化3】

の部分構造は、好ましくは、式:
【化4】

の部分構造である。
【0025】
反応性基を有する着色剤を使用する場合、および得られた本発明の共重縮合物を使用する場合の両方において、発光の量子収率は、好ましくは、独立して、少なくとも0.01の値、より好ましくは少なくとも0.1の値である。
【0026】
当該着色剤における「少なくとも2つの置換基」は、概して、2、3、または4つの置換基を意味するが、より多くの置換基も可能である(例えば、5〜10個の置換基)。驚くべきことに、分子内において互いと縮合して3〜9員環を形成することができる置換基は、所望の共重縮合物を生じるように共重縮合において不可逆的に反応するのではなく、むしろ副生成物を形成し、これが望ましくない移染を引き起こすということが見出された。したがって、これは、より良い程度にまで避けるべきである。特に好ましくない置換基は、縮合して分子内5員環または6員環を生じるもの、特に、脂肪族基または脂環式基上の1,2配置または1,3配置のもの、ベンゼン基上の1,2配置のもの、またはナフタレン基上の1,8配置のものであって、例えば、以下の望ましくない部分構造:
【化5】

を形成するものである。
【0027】
しかしながら、分子内縮合性ではない少なくとも1つのさらなる置換基が存在する場合、分子内縮合性置換基は、概して、破壊的ではない。それでもなお、好ましいのは、分子内縮合性でない少なくとも2つのさらなる置換基である。
【0028】
反応性塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素は、例えば、触媒の不在下において、あるいは、反応性塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素を含有する物質の量に対して1モル%以下のトリフルオロ酢酸または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBU)の存在下において、198℃にて、エチレングリコール(1,2−エタンジオール)と反応して、それぞれ塩素、臭素、フッ素、またはヨウ素が除去されるような、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、またはヨウ素原子を意味するものとして理解される。
【0029】
反応性ニトロ基は、典型的には、例えば、o−またはp−置換基(例えば、カルボニル、カルボキシルなど)によるさらなる置換により、電子活性を有する。活性化された反応性ニトロ基の典型的な例は、4−ニトロ−1,8−ナフトエ酸無水物である。
【0030】
すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基およびスルホ基の総量とのモル比は、より好ましくは20:19〜19:20、最も好ましくは50:49〜49:50である。
【0031】
当該共重縮合物は、好ましくは、指定された反応物質から本質的に排他的に製造される。しかしながら、さらなる成分を非破壊的な量において加えることも可能であり、その場合、任意のさらなる成分の総量は、適切には、上記において指定された反応物質の全体量に対して10質量%を超えるべきではなく、ならびに、縮合性ヒドロキシル、アミノ、カルボキシル、およびスルホ基の量は、上記において指定された反応物質中に存在する同じ基の全体量に対して10モル%を超えるべきではない。しかしながら、驚くべきことに、2つを超えるヒドロキシル基を有するアミノアルコール化合物およびポリヒドロキシル化合物は、多くの場合、共重縮合物の特性に対して好ましくない作用を有しており、それらの量は、好ましくは、すべてのヒドロキシル基の全体量に対して5モル%を超えるべきではないということが見出された。
【0032】
当該共重縮合は、1つ以上の工程において実施することができ、それぞれの反応物質は、全部または一部が最初から存在していてもよく、または共重縮合中の任意の時点(例えば、任意の工程中または任意の2つの工程の間)において添加してもよい。より反応性の高い反応物質(特にC6〜C12シクロアルカンジアミン)は、好ましくは、遅れて添加される。当該反応物質は、より好ましくは、共重縮合中に規則的に計量供給される。
【0033】
シクロアルカンジカルボン酸の2つのカルボキシル基は、シクロアルカン環に対してシス型またはトランス型であり得る。好ましいのは、D体またはL体においての、あるいはラセミ体としての、シスおよびトランス立体異性体の混合物である。当該シクロアルカンジカルボン酸は、単環式または二環式、非分岐鎖状または分枝鎖状、ならびに非置換または置換であってもよく、特にメチル、エチル、非分岐鎖状または分岐鎖状のC3〜C8アルキルまたはC3〜C8シクロアルキルでエステル化されていてよく、好ましいのは、C1〜C4アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、またはtert−ブチル)である。特に好ましいのは、cis−またはtrans−シクロヘキサンジカルボン酸ならびにそれらの立体異性体の混合物である。
【0034】
4〜C8シクロアルカンジカルボン酸エステルが使用される場合、適切には、通例のエステル化触媒(例えば、ラウリン酸ジブチルスズ、硫酸、トリフルオロ酢酸、またはそれらの無水物)を使用し、ならびに、エステル基の少なくとも95%が開裂するか、または、例えば形成されたアルコールの蒸留などによって反応混合物から除去されるまで、共重縮合が行われる。C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸の任意のさらなる置換基は、例えば、ハロゲンまたはオキソであり得る。
【0035】
6〜C12シクロアルカンジアミンの2つのアミノ基は、適切には第一級である。それらは、シクロアルカン環に基づいてシス型またはトランス型であり得る。好ましいのは、D体またはL体においての、あるいはラセミ体としての、シスまたはトランス立体異性体の混合物である。C6〜C12シクロアルカンジアミンは、単環式または二環式、非分岐鎖状または分岐鎖状、および非置換または置換であってもよい。特に好ましいのは、1,2−シクロヘキサンジアミンおよびイソホロンジアミンであり、極めて特に好ましいのは、cis−イソホロンジアミンおよびcis/trans−イソホロンジアミン混合物であり、特にシス型が支配的なものである。C6〜C12シクロアルカンジアミンは、任意により、最初に、既知の潜在型において充填されていてもよく、それらから、アミノ基が熱的におよび/または酸性触媒の存在下において放出され、その場合、一方または両方のアミノ基は、例えば、tert−ブトキシカルボニル(BOC保護基)によって置換され得る。
【0036】
2〜C6アルカンジオールは、非分岐鎖状または分岐鎖状であり得、ならびに非置換または置換であってもよいが、概して、環状ではない。特に好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、およびジエチレングリコールであり、極めて特に好ましいのは、エチレングリコールである。任意により、C2〜C6アルカンジオールの一部は、モノカルボン酸でエステル化されていてもよく、その場合、エステル化に必要なモノカルボン酸の量は、遊離モノカルボン酸の量に含まれるべきである。
【0037】
任意によるアミノ酸は、アミノカルボン酸またはアミノスルホン酸であってもよく、これらは、芳香族、または好ましくは脂肪族もしくは脂環式であってもよく、この場合、脂肪族または脂環式の種は、それぞれ非分岐鎖状または分岐鎖状であってもよい。特に、当該アミノ酸は、式:H2N−A−COOHまたはH2N−A−SO3H[式中、Aは、C64またはG1−G2−[G3nであり、G1、G2、およびG3は、それぞれ独立して、(CH22、CH2O、CH2NH、COCH2、CO2、CONH、SO2CH2、SO3、またはSO2NHであり、nは、0、1、または2であり、G1、G2、およびG3における炭素原子の総数は2〜8である]の化合物であってもよい。
【0038】
任意による単官能性成分は、共重縮合物において末端基としての役割を果たし得る。この単官能性成分の総量が少ない場合、末端基は、共重縮合物の特性にあまり影響を及ぼさないので、モノアルコール、第一級モノアミン、および一塩基酸は、原則として、それらが18個を超える数の炭素原子を有しない場合に限り、任意の所望の構造を有していてもよい。より詳しくは、当該化合物は、式:T−OH、T−NH2、T−COOH、またはT−SO3H[式中、Tは、18個の炭素原子を有する有機基である]の化合物であり得る。Tは、脂肪族、脂環式、複素環式、一価不飽和または多価不飽和、芳香族/脂肪族(アラルキル)、芳香族/脂環式、芳香族またはヘテロ芳香族であってもよく、この場合、脂肪族または脂環式の種は、それぞれ非分岐鎖状または分岐鎖状であってもよく、ならびに脂肪族種または複数の芳香族環またはヘテロ芳香族環は、割り込まれていないか、または−O−、−NH−、−N=、−CO−、−S−、または−SO2−で1〜8回割り込まれていてもよく、ただし、Tの炭素原子は1個を超える割り込み酸素原子または窒素原子に単結合しておらず、2個の−O−は互いに直接結合してはおらず(すなわち、ペルオキシドを除く)、この場合、Tは、非置換であるか、または非縮合性置換基で置換されている。
【0039】
本発明の共重縮合物は、概して、60〜200℃の有利なガラス転移温度(Tg)を有する。本発明の共重縮合物のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは80〜180℃の範囲であり、より好ましくは100〜160℃の範囲である。
【0040】
本発明の共重縮合物は、適切には、共重縮合の反応物質を、任意により好ましい酸性触媒の存在下において、1秒〜100時間にわたって、適切には50〜300℃に加熱することによって得られる。温度が高いほど、必要となる反応時間も短くなる。経験則では、温度が10℃上昇すると反応速度はおよそ2倍となる。適切には、形成された揮発性成分(例えば、水、アルコール、エーテル、またはエステルなど)は、重力または蒸留によって反応混合物から除去される。当該共重縮合は、標準圧力下において、あるいは、任意により減圧下または高圧下において(例えば、102〜107Pa、好ましくは104〜106Pa)行うことができる。
【0041】
当該共重縮合は、任意のさらなる不活性媒体の不在下において行うことができ、この場合、所望の生成物は、冷却の間に固化し、形成された固体は、例えば粉砕され得る。しかしながら、不活性媒体の存在下において共重縮合を実施することも可能であり、この場合、所望の生成物は、粉状形態において得られ、例えば、ろ過または遠心分離され、ならびに、任意により、水または他の不溶解性溶媒(例えば、ベンゼンおよび他の芳香族(例えば、トルエンまたはクロロベンゼンなど)、アセトニトリル、または脂肪族炭化水素)によって洗浄してもよい。任意のさらなる不活性媒体の量は、適切には、共重縮合物の本発明の反応物質の総量に対して0〜5000質量%である。
【0042】
酸性触媒は、例えば、ブレンステッド酸またはルイス酸(例えば、有機酸または鉱酸(例えば、塩化水素、リン酸、硫酸、酢酸、またはプロピオン酸)など)、あるいはエステル化触媒およびエステル交換触媒(例えば、有機金属塩)である。任意の触媒の量は、好ましくは、共重縮合物の本発明の反応物質の総質量に対して0.001〜10質量%である。
【0043】
使用される不活性媒体は、適切には、反応温度において液状の物質であり、例えば、有機合成において溶媒として典型的に使用される溶媒(例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、N−メチルピロリドン、またはN,N−ジメチルホルムアミドなど)である。しかしながら、いかなる不活性媒体も使用しないことが好ましい。反応は、好ましくは、不活性ガス下(例えば、窒素またはアルゴンなど)において実施される。
【0044】
溶媒の存在または不在にかかわらず、当該共重縮合は、バッチ式または連続式において実施することができる。高温での短い反応時間は、例えば、フローマイクロリアクターにおいて達成することができる。好ましい共重縮合法は、押出機中において共重縮合を実施する方法であり、この場合、すべての反応物質は、取入口ゾーンにおいて連続的に計量供給してもよく、あるいはそれらの1種以上を異なるゾーンにおいて連続的に計量供給してもよい。したがって、形成された揮発性成分は、それ自体既知の方式において、装備されたゾーンにおいて重力または蒸留により、任意により不活性媒体またはそれらの一部と一緒に、除去することができる。所望の生成物は、任意により、ペレット化してもよく、あるいは、押出機の下流において直接繊維状に固化させて粉砕することも可能である。
【0045】
特に効率的な変法では、押出機を使用する場合、所望の共重縮合物は、それらが形成された直後にポリマー性基材中に組み入れられ得、これらは、好ましくは共重縮合ゾーンの後で押出機中へと計量供給され得る。この方法では、例えば、非常に簡単な方法において、移染を生じることなくマスターバッチに着色することが可能となる。
【0046】
別の変法では、非常に効率的な変法と同様に、押出機を使用する場合、反応媒体として、軟化したポリマーまたは溶融状態のポリマーを使用することができる。このために、着色されるべきポリマーは、当該押出機の取入口ゾーンへと計量供給され、共重縮合の反応物質は、同じ取入口か、またはポリマーが既に軟化または溶融されている1つ以上の下流ゾーンかのどちらかへ計量供給される。この場合、形成される生成物は、適切には、顆粒形状において単離され、これらはさらに、この形態において、またはマスターバッチとして、通例通りに処理することができる。
【0047】
適用性を向上させるために、沈殿または単離の前またはその間のいずれかにおいて、通例の添加剤を通例の濃度において、本発明の共重縮合物に添加することが可能である。
【0048】
本発明の共重縮合物は、ポリマー、とりわけ半結晶性ポリマー、のバルク着色にとって傑出して好適である。それらは、完全な非移染に対して非常に満足できるものであり、望ましくない色シフトを生じることなく高い蛍光性を有する。本発明の共重縮合物は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリスチレン、およびα−オレフィンのコポリマーなど);部分的結晶性の熱可塑性プラスチック、特に、アクリレート樹脂(例えば、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、あるいは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、スチレンおよび/またはビニルエステルとのコポリマーなど)、ポリカーボネートなどのポリエステル(例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、または他のポリアリレート、不飽和ポリエステル樹脂など)、および、ポリアラミドなどのポリアミド(例えば、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカンアミド、脂肪族メンバーを有するポリフタルアミド、ポリ(テレフタル酸−p−フェニレンジアミド)、ポリ(イソフタル酸−m−フェニレンジアミド)など);あるいは剛体鎖ポリマー(例えば、ポリ−p−フェニレン、ポリイミド、またはイオノマー(例えば、Surlyn(RTM、DuPont社)、Naflon(RTM)、Thionic(RTM)、またはEEA Copolymer(RTM))など)、のバルク着色にとって特に好適である。
【0049】
ポリマーのバルク着色以外に、本発明の共重縮合物は、例えば、コーティング材料または印刷用インクの形態における他の高分子量有機材料の着色、あるいは、例えば、固体トナー、ワックス転写リボン、またはカラーフィルターの製造にとっても好適である。
【0050】
本発明に従って着色される高分子量有機材料は、天然起源または合成起源であってもよく、典型的には、103〜108g/molの範囲の分子量を有する。当該材料は、例えば、天然樹脂または乾性油、ゴム、もしくはカゼイン、あるいは改質されたな天然物質(例えば、クロロゴム、油変性アルキド樹脂、粘着物、またはセルロースエーテルもしくはエステル(例えば、酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセトブチレート、またはニトロセルロースなど))を含み得るが、特段には、重合、重縮合、または重付加によって得られるような、完全な合成有機ポリマー(熱硬化性樹脂および熱可塑性プラスチックの両方)、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリイソブチレンなど)、置換ポリオレフィン(例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル、あるいはブタジエンのポリマーなど)、ならびに、言及されたモノマーのコポリマー、特にABSまたはEVA、を含み得る。
【0051】
重付加樹脂および重縮合樹脂の群のうち、言及すべきは、フェノール樹脂として知られているホルムアルデヒドとフェノールとの縮合生成物、および、アミノ樹脂として知られているホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素、およびメラミンとの縮合生成物、塗料用樹脂として使用されるポリエステル樹脂、飽和ポリエステル(例えば、アルキド樹脂など)および不飽和ポリエステル(例えば、マレイン酸樹脂など)の両方、ならびに直鎖ポリエステルおよびポリアミド、あるいはシリコーンである。
【0052】
言及された高分子量化合物は、単独において、あるいはプラスチック混合物または溶融物などの混合物において存在し得、これらは、任意により繊維へと紡績することができる。
【0053】
これらは、それらのモノマー形態において、または重合状態において、コーティング材料または印刷用インクのための塗膜形成物またはバインダー(例えば、亜麻仁油ワニス、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、またはアクリル樹脂など)として、溶存形態であってもよい。
【0054】
高分子量有機物質は、例えば、本発明の共重縮合物を、任意によりマスターバッチの形態において、ロールミルまたは混合装置または粉砕装置を使用してこれらの基材に添加することにより、当該共重縮合物により着色される。次いで、着色された材料は、一般的に、それ自体既知の方法(例えば、カレンダー加工、プレス成形、押出し加工、塗装、注型、または射出成形)によって、所望の最終形態に転換される。非剛性成形物の製造、またはそれらの脆性の低減、それらの成形前における高分子量化合物への可塑剤の組み入れは、多くの場合、望ましい。使用される可塑剤は、例えば、リン酸、フタル酸、またはセバシン酸のエステルであり得る。当該可塑剤は、本発明の共重縮合物を当該ポリマー中に組み入れる前または後に、本発明による方法においてポリマー中に組み入れてもよい。様々な明度を達成するために、高分子量有機物質に対し、本発明の共重縮合物に加えて、各場合において所望の量において充填剤または他の成分(例えば、白色顔料、着色顔料、または黒色顔料、ならびに無機発光団(例えば、酸化亜鉛)、メタリック効果顔料、またはゴニオクロマチック効果顔料(例えば、アルミニウムフレークまたは被覆マイカ))を添加することも可能である。
【0055】
コーティング材料および印刷用インクの着色のために、当該高分子量有機材料および本発明の共重縮合物を、任意により添加剤(例えば、充填剤、他の着色剤、乾燥剤、または可塑剤など)と一緒に、有機溶媒および/または水性溶媒あるいは溶媒混合物中に、微細分散させるか、または溶解させる。当該手法は、個々の成分を、単独において、または2種以上を一緒に分散または溶解させ、それによって、すべての成分を組み合わせるためのものであり得る。
【0056】
したがって、さらなる実施形態は、
(a)(a)および(b)の合計に対して、0.05〜70質量%の本発明の共重縮合物と、
(b)(a)および(b)の合計に対して、99.95〜30質量%の高分子量有機材料と
を含む、バルク着色された高分子量有機材料にも関する。
【0057】
当該材料は、使用準備済みの組成物またはそれらから成形された物品であるか、あるいは、例えばペレット状のマスターバッチであってもよい。任意により、本発明に従って着色された当該高分子量有機材料は、通例の添加剤(例えば、安定化剤など)も含んでいてもよい。
【0058】
したがって、さらなる実施形態は、高分子量有機材料をバルク着色する方法であって、本発明の共重縮合物が、それ自体既知の方式において、任意によりマスターバッチの形態において、例えば当該高分子量有機材料を本発明の共重縮合物と混合または処理することによって、それらの中に組み入れられることを特徴とする方法にも関する。
【0059】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を例証するものである(特に明記されない限り、「%」は、常に質量%である)。
【0060】
試験方法
ガラス転移温度(Tg)は、ASTM規格D−3418に従って測定する。
【0061】
耐熱性:5分間の滞留時間後の、ΔE*<3における最も高い温度(200℃で2分間のブランクと比較)。
【0062】
移染性(DIN 53775、パート3により):非移染性は、ΔE*=4.9〜5.0のグレースケールに相当。
【0063】
試験体
PVC:150〜160℃において二本ロール機により、0.2質量%の共重縮合物を含有する厚さ約0.3mmのPVCフィルムを作製する。
【0064】
「圧延」HDPE:共重縮合物をM 80063S HDPEペレット(Sabic社)と混合し、単軸押出機において220℃で押出し加工し、次いで冷却ロール(ロール1+2:90℃、ロール3:冷却)において圧延することにより、1質量%の共重縮合物を含有する厚さ約0.3mmのHDPEフィルムを作製する。
【0065】
「圧延」LDPE:共重縮合物をLupolen 1840D LDPE粉末(RTM、Lyondell−Basell社)と混合し、次いで二本ロール機において150℃で5分間圧延することにより、1質量%の共重縮合物を含有する厚さ0.5mmのLDPEフィルムを作製する。
【0066】
射出成形HDPE:共重縮合物をM 80063S HDPE粉末(Sabic社)と混合し、二軸押出機において200℃で2回押出し加工し、次いで射出成形(Boy A 30)することにより、1質量%の共重縮合物を含有する厚さ約1.5mmの射出成形HDPEブランクを作製する。
【0067】
射出成形ポリプロピレン:共重縮合物をRD360 MO PPペレット(Borealis社)と混合し、二軸押出機において200℃で二回押出し加工し、次いで射出成形(Boy A 30)することにより、1質量%の共重縮合物を含有する厚さ約1.5mmの射出成形PPブランクを作製した。
【0068】
実施例1:最初に、プロペラ式攪拌機、温度計、滴下漏斗、およびガス入口を備える500mlのガラスフラスコに、124.0g(0.713mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(99%)を充填し、これをゆっくりと攪拌しながら195℃に加熱する。当該酸が溶融した後、4.0g(0.011mol)の式:
【化6】

の化合物(4−クロロ−1,8−ナフトエ酸無水物および6−アミノヘキサン酸から製造可能)を加える。次いで、窒素下において、72.0g(0.423mol)のイソホロンジアミン(Aldrich社、≧99%、シスおよびトランス異性体のラセミ混合物)および19.2g(0.303mol)のエチレングリコール(98%)を20分以内において滴加する。当該反応混合物を210℃で3時間攪拌する(550rpm、この経過中、粘度が増加するため、2時間後に速度をわずかに減速させる)。当該粘性材料を流し出し、固化させる。当該固化した脆い材料を、ローター粉砕機により粉砕する。約141℃のガラス転移温度(Tg)(ASTM D−3418)を有する187.1gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、完全に非移染性であり、ならびに当該着色は、300℃まで耐熱性であり(ΔE*<3):キセノン光による50時間の露光後のそれらの光安定性(Atlas Weather−O−meter)は、グレースケールにおいて3〜4である。
【0069】
実施例2:0.4g(0.001mol)の式:
【化7】

の化合物(欧州特許第0728745号の実施例5に従って、4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物および6−アミノヘキサン酸から製造可能)を、12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(Aldrich社、99%)、6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミン(Aldrich社、99%)、および2.4g(0.038mol)のエチレングリコール(Fluka社 purissグレード)の混合物に加え、当該反応混合物を、窒素フロー下において220℃で3時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、16.9gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約142℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0070】
実施例3:最初に、300mlのスルホン化用フラスコに、70mlのプロピオン酸(Fluka社、purumグレード)中における3.7g(0.015mol)の4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および5.5g(0.029mol)の5−アミノイソフタル酸(Aldrich社、94%)を充填し、これを、130℃に加熱する。3時間後、別の2.4g(0.012mol)の5−アミノイソフタル酸および50mlのプロピオン酸をそこに加え、当該混合物を120℃でさらに18時間攪拌する。次いで、当該反応混合物を50℃まで冷却し、500mlの3:1のメタノール/水混合物に注ぎ入れる。当該生成物をろ別し、水で洗浄して、70℃/5・103Paで乾燥させる。これにより、5.3gの式:
【化8】

の淡いベージュ色の粉末を得る(MS/LDI−TOF:M=395)。
【0071】
実施例4:実施例3による染料を使用することを除いて、当該手順は、実施例2に類似する。17gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0072】
実施例5:最初に、200mlのスルホン化用フラスコに、80mlのエタノール(Fluka社、purissグレード)中における6.1g(0.025mol)の4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および6.6g(0.056mol)の1,6−ヘキサメチレンジアミン(Aldrich社、98%)を充填し、これを加熱して還流させる。当該混合物を、70℃でさらに18時間攪拌する。当該反応混合物を冷却し、当該粗材料をろ別して、その都度300mlのエタノールで2回再結晶させる。当該生成物をろ別し、エタノールおよび水で洗浄して、80℃/5・103Paで乾燥させる。これにより、4.7gの淡いベージュ色の粉末を得、これは、1H−NMR分光分析により、以下の構造:
【化9】

を有する。
【0073】
実施例6:実施例5による染料を使用することを除いて、当該手順は実施例2に類似する。17.3gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0074】
実施例7:100mlのスルホン化用フラスコにおいて、0.51g(0.002mol)の4−クロロ−1,8ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および0.54g(0.005mol)の1,6−ヘキサメチレンジアミン(Aldrich社、98%)を、窒素下においてゆっくりと攪拌しながら130℃に加熱する。当該反応混合物は、時間と共に黄色に変わる。1時間攪拌した後、そこに18.6g(0.107mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、8.3g(0.048mol)のイソホロンジアミン、および3.6g(0.057mol)のエチレングリコールを加え、当該混合物を200℃に加熱して、1時間攪拌する。次いで、当該混合物を220℃に加熱し、さらに2時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、25.3gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0075】
実施例8:実施例7と同様に、0.51g(0.002mol)の4−クロロ−1,8ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および0.48g(0.005mol)の5−アミノ−1−ペンタノール(Sigma社、97%)を、窒素下においてゆっくりと攪拌しながら130℃に加熱する。当該反応混合物は、時間と共に黄色に変わる。1時間攪拌した後、そこに18.6g(0.107mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、8.3g(0.048mol)のイソホロンジアミン、および3.6g(0.057mol)のエチレングリコールを加え、当該混合物を200℃に加熱して、1時間攪拌する。次いで、当該混合物を220℃に加熱し、さらに2時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、25gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約131℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0076】
実施例9:実施例7と同様に、0.51g(0.002mol)の4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および8.3g(0.048mol)のイソホロンジアミンを、窒素下においてゆっくりと攪拌しながら130℃に加熱する。当該反応混合物は、時間と共に黄色に変わる。1時間攪拌した後、18.6g(0.107mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および3.6g(0.057mol)のエチレングリコールをそこに加え、当該混合物を200℃に加熱して、さらに4時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、粉砕する。これにより、24.9gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約134℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0077】
実施例10:実施例7と同様に、0.51g(0.002mol)の4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および0.6g(0.004mol)の6−アミノヘキサンカルボン酸(Aldrich社、98.5%)を、窒素下においてゆっくりと攪拌しながら130℃に加熱する。当該反応混合物は、時間と共に黄色に変わる。1時間攪拌した後、そこに18.6g(0.107mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、8.25g(0.048mol)のイソホロンジアミン、および3.6g(0.057mol)のエチレングリコールを加え、当該混合物を200℃に加熱して、1時間攪拌する。次いで、当該混合物を220℃に加熱し、さらに2時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、25.6gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0078】
実施例11:350mlのスルホン化用フラスコにおいて、124.0g(0.720mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および4.0g(0.010mol)の式:
【化10】

の化合物(Bioorganic & Medicinal Chemistry 14(9),2935−2941[2006]に従って、4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物および2−(2−アミノエトキシ)エタノールから製造可能)を、窒素の導入下においてゆっくり攪拌しながら、オイルバスによって195℃に加熱する。酸が溶融した後、60.0g(0.349mol)のイソホロンジアミンおよび24.0g(0.387mol)のエチレングリコールの混合物を30分以内において滴加する。当該混合物を、窒素下において、210℃でさらに3時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、180.2gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約134℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0079】
実施例12:当該手順は、式:
【化11】

の染料(4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物および6−アミノペンタノールから製造可能、Dyes and Pigments 52(2),137−143[2002]を参照のこと)を使用することを除いて、実施例11に類似している。これにより、180.2gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約144℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0080】
実施例13:最初に、500mlのスルホン化用フラスコに、122.0g(0.702mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を充填し、これを195℃に加熱する。酸が溶融した後、そこに4.0g(0.005mol)のスルホローダミンB(C.I.アシッドレッド52、Aldrich社、75%)を加える。
【0081】
【化12】

【0082】
窒素フローを導入する。60.3g(0.351mol)のイソホロンジアミンおよび21.8g(0.351mol)のエチレングリコールを20分以内において滴加する。当該混合物を、窒素下において、210℃でさらに3時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、当該脆い材料をローター粉砕機により粉砕する。これにより、180.2gの微細なマゼンタに着色された粉末(Tg=約135℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280〜300℃まで耐熱性である。
【0083】
実施例14:手順は実施例13に類似する。最初に、12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を充填し、190℃に加熱する。酸が溶融した後、0.7g(0.001mol)のスルホローダミンG(C.I.アシッドレッド50、Aldrich社、染料含有量60%)を加え、
【化13】

次いで、6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミンおよび2.2g(0.035mol)のエチレングリコールを滴加する。当該混合物を、窒素下において、200℃でさらに3時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、当該脆い材料をローター粉砕機により粉砕する。これにより、18gの微細な赤色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280〜300℃まで耐熱性である。
【0084】
実施例15:25gのイミダゾール(Fluka社、purumグレード)中における2.9g(0.010mol)の3,4−ベンゾキサンテンジカルボン酸無水物(BXDA、Journal of the Society of Dyers and Colourists 105,29[1989]に従って製造可能)、2.1g(0.0116mol)のジメチル−5−アミノイソフタレート(Fluka社、purumグレード)、および0.1g(0.0005mol)の酢酸亜鉛二水和物(Fluka社、purumグレード)を200℃に加熱する。1時間攪拌した後、当該混合物を23℃まで冷却し、当該反応混合物を氷水に加える。黄色固体が沈殿するまで、1Mの塩酸水溶液をゆっくりと加える。以下の式の生成物(MS/LDI−TOF:M=451)をろ別し、水で洗浄して、60℃/5・103Paで乾燥させる。
【0085】
【化14】

【0086】
実施例16:実施例15により製造した2.4g(0.005mol)の染料、36g(0.210mol)のイソホロンジアミン、および14.4g(0.232mol)のエチレングリコールを、窒素下においてゆっくり攪拌しながら130℃に加熱する。これにより、黄色溶液が形成される。1時間攪拌した後、当該反応混合物を200℃に調整し、74.4g(0.428mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をそこに加える。当該混合物を、窒素フロー下において、200℃でさらに4時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、106gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約129℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0087】
実施例17:1.4g(0.005mol)のBXDAを、1.85g(0.015mol)のN−ヒドロキシメチル−クロロアセトアミド(ABCR社、98%)と混合し、10分以内において、0℃で30mlの95〜97%のtechnicalグレードの硫酸中に導入する。0℃において12時間後、当該反応混合物を50mlの氷/水に注ぐ。当該黄色沈殿物を15℃で30分間攪拌して、ろ別する。ろ別した当該材料を、水で洗浄して中性にし、50℃/5・103Paで乾燥させる。2.2gの黄色染料を得る。これは、主に(64%)式:
【化15】

の二置換生成物(64%、M=498、LC/MS APCI 正イオン)と、未知の置換パターンのいくらかの(20%)三置換生成物(M= 602、HPLC/MS APCI 正イオン)とを含有する混合物である。この染料混合物は、更なる精製を行わないで使用する。
【0088】
実施例18:実施例17により製造した0.4g(0.001mol)の染料、6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミン、および2.4g(0.038mol)のエチレングリコールを窒素下においてゆっくり攪拌しながら130℃に加熱する。これにより、黄色溶液が形成される。1時間攪拌した後、当該反応混合物を200℃に調整し、そこに12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を加える。当該混合物を、窒素フロー下において、200℃でさらに4時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、16gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約155℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0089】
実施例19:4.3g(0.015mol)のBXDAを、10〜15℃で、15分以内において43mlのクロロスルホン酸(Fluka社、purumグレード)に導入する。橙茶色の当該溶液を23℃で攪拌し、30分後に0℃まで冷却し、1000gの氷の上に放出する。当該黄色懸濁液を、0℃で簡単に攪拌し、ろ過する。ろ別した当該材料を、500mlの氷水中においてもう一度スラリー化し、冷たい状態のままろ過する。次いで、この中間体を、10℃において、150mlの水中における7.2ml(0.117mol)のエタノールアミン(Fluka社、purumグレード)の溶液に加える。これにより、微細な黄色懸濁液を得る。当該混合物を、23℃でさらに18時間攪拌する。当該黄色生成物をろ別し、水で洗浄して中性にし、60℃/5・103Paで乾燥させる。当該生成物は、未知の正確な置換パターンの二置換生成物であり、これは、分析により、おそらく、式:
【化16】

(M=577、97%、HPLC/MS APCI正イオン)に一致する。この着色剤は、更なる精製を行わないで使用する。
【0090】
反応時間を短くすれば、一置換生産物を製造することも可能であり、これは、分析により、おそらく、式:
【化17】

(M=454、99%、HPLC/MS APCI 正イオン)に相当する。
【0091】
実施例20:実施例19により製造した0.4g(0.001mol)の二置換染料、6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミン、および2.4g(0.038mol)のエチレングリコールを、窒素下においてゆっくり攪拌しながら130℃に加熱する。これにより、黄色溶液が形成される。1時間攪拌した後、当該反応混合物を200℃に調整し、12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を加える。当該混合物を、窒素フロー下において、200℃でさらに4時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。15.8gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約131℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0092】
実施例21:当該手順は、実施例11に類似する。最初に、12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および0.4g(0.001mol)の実施例19により製造した一置換染料を充填し、190℃に加熱する。酸が溶融した後、6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミンおよび2.4g(0.038mol)のエチレングリコールを滴加する。当該混合物を、窒素下において、200℃でさらに3時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、当該脆い材料をローター粉砕機により粉砕する。これにより、結果として20gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280〜300℃まで耐熱性である。
【0093】
実施例22:実施例10と同様に、0.51g(0.002mol)の4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(ABCR社、94%)および8.3g(0.048mol)のイソホロンジアミンを、窒素下においてゆっくりと攪拌しながら150℃に加熱する。1時間攪拌した後、当該反応混合物は黄色に変わった。0.05g(染料の約10質量%に相当する)の2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−4−ピペリジノール(国際公開公報第2006/024621号に従って製造可能)を加える。
【0094】
【化18】

【0095】
次いで、この混合物を、150℃において、18.6g(0.107mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸および3.6g(0.058mol)のエチレングリコールの溶融混合物に滴加する。当該反応混合物を、200℃に加熱し、さらに2時間攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、粉砕する。これにより、24.5gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0096】
実施例23:実施例1と同様に、12.4g(0.071mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を、190℃でゆっくりと溶融させる。0.4g(0.001mol)の以下の式:
【化19】

の化合物をそこに加え、窒素フローを導入する。6.0g(0.035mol)のイソホロンジアミンおよび2.4g(0.038mol)のエチレングリコールの混合物を5分以内において滴加し、当該反応混合物を、窒素フロー下において200℃で2時間にわたって攪拌する。1.5gのCHIMASSORB 944(RTM、BASF社;CASNo.71878−19−8、ポリ[[6(1,1,3,3−テトラメチルブチルアミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル]−[(2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン−[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]])をそこに加え、当該混合物を、200℃でさらに1時間にわたって攪拌する。当該粘性材料を流し出し、固化させて、ローター粉砕機により粉砕する。これにより、18.8gの微細な黄色蛍光性粉末(Tg=約139℃)を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0097】
実施例24:当該手順は、CHIMASSORB 944(RTM、BASF社)を30mgしか加えないことを除いて、実施例23の通りである。これにより、18.6gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0098】
実施例25:当該手順は、CHIMASSORB 944(RTM、BASF社)を0.3gしか加えないことを除いて、実施例23の通りである。これにより、18.6gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0099】
実施例26:当該手順は、反応が完了する少し前までCHIMASSORB 944(RTM、BASF社)を加えず、次いで、当該混合物をさらに10分間攪拌することを除いて、実施例23の通りである。これにより、18.6gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0100】
実施例27:当該手順は、CHIMASSORB 944(RTM、BASF社)の代わりに、1.5gのTINUVIN 783(RTM、BASF社;TINUVIN 783は、CHIMASSORB 944およびTINUVIN 622の混合物である)を加えることを除いて、実施例23の通りである。これにより、18.6gの微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0101】
実施例28:当該手順は、CHIMASSORB 944(RTM、BASF社)の代わりに、IRGANOX 1010(RTM、BASF社;テトラキス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオニルオキシメチル]メタン)
【化20】

を加えることを除いて、実施例24の通りである。これにより、微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0102】
実施例29:当該手順は、0.3gのCHIMASSORB 944(RTM、BASF社)の代わりに、0.15gのTINUVIN 783(RTM、BASF社)および0.15gのIRGANOX 1010(RTM、BASF社)の混合物を加えることを除いて、実施例25の通りである。これにより、微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該着色は、300℃まで耐熱性である。
【0103】
実施例30:当該手順は、0.015gのTINUVIN 783(RTM、BASF社)および0.015gのIRGANOX 1010(RTM、BASF社)しか加えないことを除いて、実施例29の通りである。これにより、微細な黄色蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0104】
実施例31:当該手順は、式:
【化21】

の化合物の代わりに、4.0g(0.004mol)のスルホローダミンG(C.I.アシッドレッド52、Aldrich社、60%)を使用することを除いて、実施例26の通りである。これにより、微細な赤色〜マゼンタ蛍光性粉末を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、300℃まで耐熱性である。
【0105】
実施例32:最初に、750mlのスルホン化用フラスコに、400mlのクロロスルホン酸を充填し、38g(0.080mol)のC.I.ソルベントブルー104(Sandoplast Blue 2BP、RTM、Clariant社)を、15分以内において、攪拌しながら少量ずつ加え、
【化22】

その間に、当該反応混合物の温度は、最高35℃まで上昇する。当該混合物を、23℃でさらに6時間攪拌し、次いで、当該反応混合物を、氷−メタノール混合物により外部からさらに冷却しながら、1200mlの氷水混合物に攪拌しながら加える。この過程において、当該生成物の一部が、既に、青黒色の結晶形態において沈殿する。当該混合物を0℃でさらに30分間攪拌し、攪拌した当該懸濁液の200mlをろ過し、30℃/5・103Paで15分間乾燥させる。これにより、式:
【化23】

の、6.0gの暗青色の結晶を得、これは、実施例33において説明した共重合のための染料として使用する。残った水性懸濁液を分液漏斗へ移し、400mlの酢酸エチルを加えて、よく振り、当該生成物を有機相へと移行させる。この溶液を直接使用して、実施例34および37に記載のスルホンアミドを製造する。
【0106】
実施例33:150mlのスルホン化用フラスコにおいて、窒素をパージしながら、31.0g(0.180mol)のシクロヘキサンジカルボン酸を200℃に加熱し、実施例32による染料の2.5g(0.005mol)(そこで説明した暗青色の結晶6gのうちの)を加え、当該混合物を同じ温度で5分間攪拌し、次いで、5.6g(0.090mol)のエチレングリコールおよび15.3g(0.089mol)のイソホロンジアミンを加える。当該反応混合物を、3時間攪拌する間、200℃に維持し、流し出して23℃まで冷却し、機械により細砕して、微細な暗青色の粉末を得、これにより、46.0gの共重縮合物を得る。1%のこの粉末で着色されたHDPEは、非移染性であり、ならびに当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0107】
実施例34:最初に、350mlのスルホン化用フラスコに、実施例32において説明した染料の酢酸エチル溶液150mlを充填する。10℃まで冷却した後、6.1g(0.100mol)のエタノールアミンを2分以内において攪拌しながら加え、当該反応混合物を加熱して、2時間還流させる。その後、当該反応混合物を23℃まで冷却し、順次、最初に200ml、次いで150mlの水で2回以上振って抽出する。当該有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、当該溶媒を、ロータリーエバポレーターで除去する。4.2gの式:
【化24】

の暗青色の着色剤を単離する。
【0108】
実施例35:当該手順は、実施例34による染料2.5g(0.004mol)を使用することを除いて、実施例33に類似する。44.8gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、2%の濃度において、非移染性の着色されたHDPEを得、当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0109】
実施例36:当該手順は、実施例34による染料4.0g(0.006mol)を使用することを除いて、実施例33に類似する。47.4gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、0.625%および0.3125%の濃度において、非移染性の着色されたポリプロピレンを得、当該色は、280℃まで耐熱性であり、0.625%の濃度において、非移染性の着色されたポリプロピレンを得、当該着色は、260℃まで耐熱性である。
【0110】
実施例37:当該手順は、エタノールアミンの代わりに、13.5g(0.126mol)の2−(2−アミノエトキシ)エタノール(Fluka社、purumグレード)を使用することを除いて、実施例34に類似する。5.4gの式:
【化25】

の暗青色の着色剤を得る。
【0111】
実施例38:当該手順は、4.0g(0.005mol)の実施例37による染料を使用することを除いて、実施例33に類似する。46.4gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、0.625%の濃度において、非移染性の着色されたHDPEを得、当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0112】
実施例39:乳鉢において、4.8g(0.010mol)のC.I.ソルベントブルー104(Sandoplast Blue 2BP、Clariant社(RTM、Clariant社))および6.2g(0.050mol)のN−ヒドロキシメチルクロロアセトアミド(ABCR社、98%、CASNo.2832−19−1)を十分に混合する。その間に、最初に150mlのスルホン化用フラスコに50mlの95%硫酸を充填し、0℃に冷却する。当該反応物質の上記の混合物を、30分以内において、攪拌しながら当該硫酸に少しずつ加え、その間、反応温度は、冷却によって6℃未満に維持する。当該溶液を0℃で2時間攪拌し、次いで、23℃に温め、再度、さらに4時間攪拌する。次いで、当該反応混合物を、攪拌しながら300mlの水に加え、当該青色の懸濁液を23℃でさらに30分間攪拌し、ろ過して、減圧下(5・103Pa)において乾燥させる。8.0gの暗青色の共重縮合物を得る。HPLC/MS分析の併用により、当該生成物は、主に、式:
【化26】

の化合物(アントラキノンとメチロールクロロアセトアミドとの4倍の反応)と、それに加えて少量の、メチロールクロロアセトアミドのわずか2倍および3倍の転換率の化合物とからなる。
【0113】
実施例40:当該手順は、4.0g(0.005mol)の実施例39による着色剤を使用することを除いて、実施例33に類似する。46.8gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、0.625%の濃度において、非移染性の着色されたHDPEを得、当該色は、280℃まで耐熱性である。
【0114】
実施例41:当該手順は、2.5g(0.005mol)のC.I.アシッドブルー80(Polar Blau RAWL、Huntsman Textile Effects社(RTM、Huntsman社))を使用することを除いて、実施例33に類似する。
【0115】
【化27】

【0116】
47.1gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、1.25%の濃度において、非移染性の着色されたHDPEを得、当該色は、260℃まで耐熱性である。
【0117】
実施例42:1.42g(0.002mol)のビス(N−(2,6−ジイソプロピルアニリノ))ペリレンテトラカルボキシミド(Lumogen F Orange 240、BASF社(RTM、BASF社))
【化28】

を、1.83g(0.007mol)の1−(2’,3’−ジブロモプロピオニルアミノ)−1−ヒドロキシ酢酸(
【化29】

国際公開公報第81/01009号に従って製造可能)と、乳鉢において十分に混合し、次いで、当該混合物を、50mlの二ツ口フラスコ中における12mlの95%硫酸に、10〜15℃に冷却しつつ15分以内において攪拌しながら加える。次いで、当該反応混合物を23℃に昇温し、この温度で23時間攪拌して、最後に、36gの氷の上に徐々に(およそ10分かけて)注ぐ。当該赤色懸濁液を、さらに10分間攪拌し、その間に、温度は15℃に達し、次いで、ろ別し、200mlの水で洗浄して中性(pH約6)にする。60℃/5・103Paで乾燥させた後、2.28gの着色剤を得る;質量分光分析およびプロトン共鳴分光分析によれば、当該化合物は、主に式:
【化30】

の化合物である。
【0118】
実施例43:当該手順は、1.0g(0.001mol)の実施例42による着色剤を使用することを除いて、実施例33に類似する。そこで説明した方法を変更して−記載された反応物質の量はそのままで−、最初に、染料を、150℃で2時間かけてイソホロンジアミンのみと反応させ、その後、エチレングリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を加え、当該反応温度を200℃まで高め、当該混合物をこの温度で3時間攪拌する。43.6gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、1%濃度において、非移染性に着色されたHDPEを得る。
【0119】
実施例44:50mlのスルホン化用フラスコにおいて、窒素でパージしながら、20.9g(0.120mol)のシクロヘキサンジカルボン酸を200℃に加熱し、9.0g(0.013mol)の実施例34による染料を加え、当該混合物を同じ温度で5分間攪拌し、次いで、3.4g(0.054mol)のエチレングリコールおよび9.2g(0.054mol)のイソホロンジアミンを15分以内において加える。当該反応混合物を、4時間攪拌する間、200℃に維持し、流し出して、23℃まで冷却し、機械により細砕して微細な暗青色の粉末を得、これにより、34.0gの共重縮合物を得る。0.1%および0.2%のこの粉末を含有する着色されたPPは、非移染性であり、ならびに当該色は、260℃まで耐熱性である。
【0120】
実施例45:当該手順は、20.2g(0.116mol)のシクロヘキサンジカルボン酸および6.0g(0.009mol)の実施例34による染料を使用することを除いて、実施例44に類似する。30.1gの共重縮合物を得、当該共重縮合物により、0.3%の濃度において、非移染性の着色されたPPを得、当該色は、260℃まで耐熱性である。
【0121】
比較例1:(米国特許第6,103,006号の実施例14により)1.9部の水、0.01部のシリコーン消泡剤(シリコーン泡止め剤、30%水性エマルション、Fluka社)、11.3部(0.066mol)のイソホロンジアミン(Aldrich社、99%)、3.3部(0.023mol)のシクロヘキサンジメタノール(Janssen社、99%)、6.3部(0.028mol)のアゼライン酸(Fluka社、technicalグレード)、11.0部(0.065mol)のイソフタル酸(Fluka社、purumグレード)、および0.6部(0.002mol)の3,4−ベンゾキサンテンジカルボン酸無水物(BXDA、J.Soc.Dyers Col.105,29[1989]に従って製造可能)の混合物を、260℃に加熱し、その後、1時間半以内において230℃まで冷却する。形成された重合化顔料を、金属シート上に放出し、23℃まで冷却した後、粉砕する(Tg=約129℃)。1%のこの重合化顔料を含有する着色されたHDPEの色は、比較的耐熱性ではあるが、非移染性ではない。
【0122】
比較例2:(米国特許第6,103,006号の実施例1により)5.3g(0.045mol)の1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン(Fluka社、purumグレード)、10.9g(0.075mol)の1,4−シクロヘキサンジメタノール(Janssen社、99%)、18.9g(0.113mol)のイソフタル酸(Fluka社、purumグレード)、0.52g(0.001mol)のポリエチレンモノアルコール(Aldrich社、Mn:約460)、および0.7g(0.002mol)のBXDAを窒素フロー下において220℃に加熱する。当該混合物を、220℃で2時間攪拌する。次いで、当該粘性材料を流し出して、固化させ、ローター粉砕機により粉砕する。28.1gの微細な黄色粉末を得る(Tg=約92℃)。1%のこの粉末を含有する着色されたHDPEの色は、耐熱性ではあるが、非移染性ではない。
【0123】
比較例3:(国際公開公報第2005/019523号の実施例3により)8.2部(0.002mol)の2−(3−ヒドロキシプロピル)−6−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−1H−ベンズ[de]イソキノリン−1,3(2H)−ジオン[CAS登録No.52821−24−6]:
【化31】

【0124】
17部(0.098mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス体/トランス体の混合物、Aldrich社、99%)、5.4部(0.037mol)のシクロヘキサンジメタノール、0.6部(0.019mol)のメタノール、および6.4部(0.037mol)のイソホロンジアミンの混合物を230℃で3時間加熱し、この間に、水が除去される。形成された生成物を金属シート上に放出し、23℃まで冷却した後、粉砕する。36.5gの黄〜燈色粉末を得る(Tg=約125℃)。1%のこの粉末を含有する着色されたHDPEの色は、実質的に非移染性であるが、蛍光性ではない。
【0125】
比較例4:(国際公開公報第2005/019523号の実施例7により)8.1部(0.056mol)のシクロヘキサンジメタノール、0.9部(0.028mol)のメタノール、3.2部(0.019mol)のイソホロンジアミン、および15.5部(0.089mol)の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス体/トランス体の混合物)の混合物を、220℃に加熱し、次いで、2時間後に185℃まで冷却する。続いて、3.4部(0.001mol)の1,4−ジ(3’−ヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン(
【化32】

、Eur.J.Med.Chem.34/7−8、597−616[1999]により製造可能)、および0.2部(0.0003mol)のブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)(エステル交換触媒、Aldrich社、95%、CASNo.23850−94−4)を加える。190℃で2時間後、形成された当該生成物を金属シート上に放出し、23℃まで冷却した後、機械的に粉砕する。24.9gの暗青色の粉末を得る。0.5%および0.025%のこの粉末を含有する着色されたHDPEの色は、260℃までにおいてのみ耐熱性であり、比較的高い移染性を示すが、これは、例えば包装用などには許容できない。
【0126】
さらなる試験の結果
PVC:実施例1〜31による共重縮合物を含有するPVCフィルムは、強い蛍光性および非移染性を示している。
【0127】
「圧延HDPE」:実施例1〜31による共重縮合物を含有するフィルムは、強い蛍光性および非移染性を示している。
【0128】
「圧延LDPE」:実施例1、11、および12による共重縮合物を含有するフィルムは、強い黄色蛍光性および非移染性を示している。
【0129】
射出成形HDPE:実施例1〜31による共重縮合物を含有するブランクは、強い蛍光性を示している。それらは、280〜300℃までにおいて耐熱性であり、移染は示さない(DIN 53775,パート3に従って)。
【0130】
射出成形ポリプロピレン:実施例1〜31による共重縮合物を含有するブランクは、強い蛍光性を示している。それらは、280〜300℃までにおいて耐熱性であり、移染は示さない(DIN 53775,パート3に従って)。
【0131】
実施例46〜64:選択された共重縮合物を、以下のポリマーにおいて試験した。この試験は、Leistritz社のTSE混合機により、所望の1質量%濃度において共重縮合物を直接処理することよって実施した。すべての色は、下記において指定したすべての温度において、耐熱性であり、かつ非移染性であり、移染は、各場合において、試験温度で24、48、72、および96時間貯蔵した後に、より厳密な条件下において測定する。
【0132】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ 少なくとも1種の1,2−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、1,3−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、または1,4−C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、あるいはそれらのエステル、無水物、または酸塩化物と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.3〜0.8モル、好ましくは0.4〜0.8モル、より好ましくは0.5〜0.7モルの少なくとも1種の1,2−C6〜C12シクロアルカンジアミン、1,3−C6〜C12シクロアルカンジアミン、または1,4−C6〜C12シクロアルカンジアミン、あるいはそれらの潜在型と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.2〜0.6モル、好ましくは0.3〜0.5モルの少なくとも1種の1,2−C2〜C6アルカンジオール、1,3−C2〜C6アルカンジオール、または1,4−C2〜C6アルカンジオール(これらの1つのヒドロキシル基の0〜0.05モルは、モノカルボン酸によってエステル化されていてもよく、C2〜C6アルカンジオールは、割りこまれていなくても、または−O−で割り込まれていてもよく、ただし、C2〜C6アルカンジオールの炭素原子で、1つより多くの酸素原子に結合しているものはない)と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モル、好ましくは0または0.01〜0.05モルの1種以上のアミノ酸と、
・ 任意により、1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0〜0.1モル、好ましくは0〜0.05モル、より好ましくは0〜0.02モルの、それぞれ1〜18個の炭素原子を有するモノアルコール、第一級モノアミン、および一塩基酸からなる群より選択される1種以上の単官能性成分と、
・ 1モルのC4〜C8シクロアルカンジカルボン酸に対して、0.001〜0.15モル、好ましくは0.001〜0.01モル、より好ましくは0.002〜0.05モル、最も好ましくは0.01〜0.03モルの、−X、−NH2、−COX、−SO2X、−CO−O−CO−、および−SO2−O−SO2−からなる群より選択される少なくとも2つの置換基を有する少なくとも1種の着色剤(ここで、Xは、ヒドロキシル、または反応性の塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、またはニトロであり、ただし、これらの置換基の少なくとも2つは、互いと縮合して10員環未満の分子内環を形成しえない程度に、互いに離れていなければならない)と
の共重縮合によって得ることができる共重縮合物であって、
ただし、すべてのヒドロキシル基および第一級アミノ基あるいはそれらの潜在型の総量と、すべてのカルボキシル基およびスルホ基の総量とのモル比は、5:4〜4:5、好ましくは9:8〜8:9である、前記共重縮合物。
【請求項2】
前記着色剤が、300〜500nmの範囲に吸収極大を有し、かつ400〜700nmの範囲に発光を有するか、500〜600nmの範囲に吸収極大を有するか、または600〜700nmの範囲に吸収極大を有し、ならびに、対応する吸収極大が、好ましくは、モル吸光係数Kn≧1・104l・mol-1・cm-1を有する、請求項1に記載の共重縮合物。
【請求項3】
前記着色剤が、部分構造
【化1】

好ましくは、部分構造
【化2】

を有し、この場合、Y1およびY2は、それぞれ独立して、OまたはN−であり、Y3およびY4は、それぞれ独立して、O、N−、またはSであり、ならびに、Y5は、−C−または−N−である、請求項1または2に記載の共重縮合物。
【請求項4】
60〜200℃のガラス転移温度(Tg)を有することを特徴とする、請求項1、2、または3のいずれか1項に記載の共重縮合物。
【請求項5】
前記C4〜C8シクロアルカンジカルボン酸、前記C6〜C12シクロアルカンジアミン、前記C2〜C6アルカンジオール、前記着色剤、ならびに任意により前記C4〜C4シクロアルカンジカルボン酸、および前記単官能性成分が、任意により好ましくは酸性触媒の存在下において、好ましくは102〜107Paの圧力において、1秒〜100時間にわたっておよそ50〜300℃に加熱される、請求項1、2、3、または4のいずれか1項に記載の共重縮合物の製造方法。
【請求項6】
前記共重縮合物が、該共重縮合物の本発明による反応物質の総質量に対して0〜5000質量%の不活性媒体の存在下において製造される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記共重縮合が、押出機中において行われる、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー性基材が、好ましくは共重縮合ゾーンの後で、前記押出機に追加的に計量供給される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー、特に半結晶性ポリマーのバルク着色のため、好ましくは、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリスチレン、およびα−オレフィンのコポリマー;部分的結晶性の熱可塑性プラスチック、特に、アクリレート樹脂、例えば、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、あるいは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと、スチレンおよび/またはビニルエステルとのコポリマー、ポリカーボネートを含むポリエステル、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)、または他のポリアリレート、不飽和ポリエステル樹脂、および、ポリアラミドを含むポリアミド、例えば、ポリ(ε−カプロラクタム)、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカンアミド、脂肪族メンバーを有するポリフタルアミド、ポリ(テレフタル酸−p−フェニレンジアミド)、ポリ(イソフタル酸−m−フェニレンジアミド);あるいは剛体鎖ポリマー、例えば、ポリ−p−フェニレン、ポリイミド、またはイオノマーのバルク着色のための、請求項1、2、3、または4のいずれか1項に記載の共重縮合物の使用。
【請求項10】
塗料、印刷用インク、固体トナー、ワックス転写リボンまたはカラーフィルターを着色するための、請求項1、2、3、または4のいずれか1項に記載の共重縮合物の使用。
【請求項11】
(a)(a)および(b)の合計に対して0.05〜70質量%の、請求項1、2、3、または4のいずれか1項に記載の共重縮合物と、
(b)(a)および(b)の合計に対して99.95〜30質量%の高分子量有機材料と
を含む、バルク着色された高分子量有機材料。
【請求項12】
高分子量有機材料をバルク着色する方法であって、請求項1、2、3、または4のいずれか1項に記載の共重縮合物を、該高分子量有機材料中に導入することを特徴とする、方法。

【公表番号】特表2013−506020(P2013−506020A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530215(P2012−530215)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063503
【国際公開番号】WO2011/036075
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】