説明

ポリマーの製造方法及びその製造方法に用いる反応器

本発明は、反応器内でモノマー及び/またはオリゴマーの液滴を含む液体を連続液相に添加し、前記連続液相をモノマー及び/またはオリゴマーを含む液体に対して不混和な状態とし、及びモノマー及び/またはオリゴマーを前記連続液相内で反応させてポリマーを得ることでポリマーを製造する方法に関する。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体は、連続液相の外部で液滴に形成され、続いて連続液相に導入される。本発明は、更に、上記方法を実行する反応器に関し、連続液相を流下する管と、液滴を発生させる手段と、を備え、連続液相の外部に液滴を発生させ且つ発生させた液滴を連続した液相に導入するように、液滴を発生させる手段が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器内の連続液相に滴下するモノマー及び/またはオリゴマーを含む液体と、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体と不混和な連続液相と、連続液相中で反応してポリマーを付与するモノマー及び/またはオリゴマーとを付加することによって、モノマー及び/またはオリゴマーからポリマーを製造する方法に関する。本発明は更に、その方法を実行する反応器、その方法及び反応器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーは、モノマー及び/またはオリゴマーから様々な手法によって製造される。例えば、ポリマー粒子の製造に、いわゆる液体粒子の重合を用いることができる。一般に、液状粒子の重合のために、液状のモノマーが気相に噴射され、個別の液体粒子が形成される。モノマーは、ポリマーを与える液体粒子及び個別のポリマー粒子フォーム内で反応する。しかし、この製造方法の欠点は、気相中での液体粒子の落下時間が急速な反応のみで許容されることである。例えば、この反応は、高吸水物質のアクリル酸の重合である。
【0003】
液体モノマーの噴射に加えて、不混和の液体で液体モノマーを液滴化することも可能である。例えば、ポリメタクリレートの製造方法がドイツ特許出願3009812号で、また、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマーの製造方法がヨーロッパ特許出願0173518号で知られている。それぞれの場合において、液体モノマーは液体中で直接的に液滴化される。しかし、連続液相で液滴を発生させることの欠点は、大きな液滴は制限され、液滴のサイズは小さくするようにしか制御できないことである。連続液相で液滴を発生させることの更なる欠点は、比較的高温の状態でノズルの閉塞のおそれがあることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願第3009812号
【特許文献2】ヨーロッパ特許出願第0173518号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、モノマー及び/またはオリゴマーからポリマーを製造する方法を提供することにある。これにより、任意のサイズのポリマー粒子を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、反応器内でモノマー及び/またはオリゴマーの液滴を含む液体を連続液相に添加し、連続液相をモノマー及び/またはオリゴマーを含む液体に対して不混和な状態とし、及びモノマー及び/またはオリゴマーを連続液相内で反応させてポリマーを得ることでポリマーを製造する方法によって達成される。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体は、連続液相の外部で液滴に形成され、その後、この液滴は連続液相に導かれる。
【0007】
本発明に係る方法は、液滴を発生させるために気相中で用いられる任意の装置を用いることができる。これにより、液滴のサイズを所望のサイズにすることができる。気相中で液滴を発生させる更なる利点は、液滴を発生させる装置で液滴化された液体が高温の液相に接触することなく、ノズルの閉塞の可能性が極めて低いことが挙げられる。加えて、液滴は、液相中に最適に散布され、利用可能な反応体積がより効率的に活用される。
【0008】
連続液相の外部で液滴を形成する更なる利点は、液滴は反応の初期温度よりも低い温度で形成され、連続液相中にあるうちは反応が始まらないことである。対照的に、連続液相中で液滴を形成する場合は、先行技術で知られているように、液滴ディストリビュータ内で既に反応し、液滴の発生のための個別のノズルは、モノマーの重合の完成によって閉塞することとなる。
【0009】
反応が実行される反応器は、好ましくは、管状の反応器である。管状反応器の管は、典型的には、連続液相が流下する流管である。
【0010】
連続液相に適した液体を選択することで、個々の液滴が連続液相の表面で塊になることが防止される。この目的のためには、連続液相の表面に接触する液滴が連続液相に直ちに浸漬されるように、連続液相の表面張力が低い場合は、特に利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の実施の形態では、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴と、連続液相の液滴とが向流で流れる。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴、及び連続液相を含む液体の液滴を向流で流すには、流れの駆動力が液滴に適用される必要がある。この駆動力は、例えば重力でもよく、液滴は連続液相に落下する。この場合、連続液相の速度は、連続液相に落下する液滴が連続液相に乗らないように選択されなければならない。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴、及び連続した液相を含む液体の液滴が向流で流れることにより、比較的小さい構造空間における比較的長い滞留時間が実現される。
【0012】
しかし、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴、及び連続した液相を含む液体の液滴は、並流で流れることが好ましい。この場合、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴は、連続液相に乗る。反応が行われる流管の形状が変えられることも利点である。例えば、構造上の高さを抑えるために、連続液相が蛇行状に流れる管を構成することが可能である。例えばまた、管を螺旋状に形成することも可能である。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴とともに、連続液相が流れる流管の他の任意の形状も考えられる。流管の種々の形状に起因して、長さの異なる管を通して任意の望ましい滞留時間を達成することができる。加えて、連続液相のフローレートを適合させることによって、種々の滞留時間を達成することも可能である。
【0013】
モノマー及び/またはオリゴマーが滴下して導入される手段の場合は、連続液相は、好適には、流管として形成された反応器に供給される。この供給は、連続液相の液面の上方、または連続液相の高さ位置でなされる。連続液相の表面の下の位置から行うことも考えられる。しかし、連続液相の表面の上方、または連続液相の高さ位置から行うことが好ましい。
【0014】
反応器として供される流管から再度液体が除去される前に、液滴に存在するモノマー及び/またはオリゴマーの反応によって形成されたポリマー粒子が除去される。例えば、当業者に知られた任意の固液分離装置によって除去されることが効果的である。例えば、固液分離装置は、好適なフィルタ、スクリーン、遠心機またはその他の例えばハイドロサイクロンによって構成されることが効果的である。フィルタが分離に用いられる場合、好適なフィルタは、例えば、ベルトフィルタまたは回転高圧フィルタである。更に好適な例としては、連続プッシャー遠心機が挙げられる。
【0015】
フィルタがポリマー粒子の除去に用いられる場合、特にポリアミドの調製の場合の濾過は、80℃以上の温度で実施される。さもなければ、カプロラクタムが凝結してフィルタが目詰まりするからである。
【0016】
濾過の後にポリマー粒子から、例えばホワイト油といった連続液相を除去するためには、ポリマー粒子は、好ましくは洗浄される。好適な洗浄液の例としては、ブチルアセテートが挙げられる。
【0017】
固形粒子の除去後、液相はフィードを介して反応器に戻される。液滴または液滴から生成されたポリマー粒子にせん断力が作用することを妨げるために、例えばポンプで連続液相を移動させる手段は、流管として機能する反応器の外側に配置される。例えば、ポンプは、フィードの上流に隣接して、または固液分離装置の下流に隣接して配置される。しかし、ポンプは、連続液相の取り出し位置と反応器への連続液相のフィードとの間の接続部の任意の位置に配置することができる。
【0018】
流下する連続液相に代えて、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴が、並流または向流であろうがなかろうが、連続液相は、流下していなくともよい。しかし、この場合、液滴が、重力を起因として下方の非流下液体中に落下することができるように、反応器は垂直管として、またはカラムとして形成されることが必要である。この場合、反応器は、液体が補充されるフィードを具備し、例えば、気化によってまたは製造されたポリマー粒子の取り出しによって液体が放出される。
【0019】
ポリマーを付与するモノマー及び/またはオリゴマーの反応が一般的に高温で作用することから、連続液相は加熱されることが好ましい。例えば、このために、反応器は壁部としてのジャケットを具備し、ジャケットを介して加熱するように形成することもできる。このため、加熱媒体が、ジャケットを通して流れる。一方、任意の他の種類の加熱を行うことも可能である。例えば、適切な加熱要素を用いてジャケットを電気的に加熱することも可能である。加熱要素が管内に組み込まれるように構成することも可能であり、これにより連続液相を加熱する。連続液相が加熱される温度は、反応器で実行される反応に依存する。
【0020】
気相中での液滴の重合と比較すると、液体中での滞留時間はより大きくなる。従って、より急速でなく進む反応を実現することができる。例えば、撹拌タンクまたは管状反応器で実行される従来の重合方法、例えば溶液重合、沈殿重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合は、急速に反応する。液滴の高比表面積によって、高いエンタルピーを制御することが可能となり、それによって、高反応速度、高発熱性、高固体含有量を実現することが可能となる。液滴の高比表面積によって、反応の過加熱または逃避が防止される。
【0021】
本発明に係る方法による更なる効果は、液滴の一体化を防ぐための付加的な手段を必要としないことである。そのような手段は、例えば、表面張力を低下させる界面活性剤である。
【0022】
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴は、当業者に知られた任意の所望の手法によって発生させられる。典型的には、気相で生成された液滴によって液滴を生成する方法が用いられている。好適な方法は、例えば、液滴生成プレートのノズルまたはその他の孔である。ノズルが用いられる場合、液滴が生成される任意の所望のノズルフォームが好適である。
【0023】
液滴発生のためには、例えば、1以上の噴霧ノズルを用いることが可能である。この場合、当業者に知られた任意の噴霧ノズルを用いることができる。噴霧される液体は、噴霧ノズルに圧力を付与して供給することができる。噴霧される液体は、例えば、ノズル孔の液体を減圧して予め設定された最小速度に到達することによって、個々の液滴に分けられる。単一物質ノズル、例えば、スロットノズルまたはフルコーンノズルを用いることが可能である。
【0024】
特に好適なのは、フルコーンノズルを用いることである。これらの中で、特に好適なのは、噴霧コーンの開放角度が60°〜180°であることである。更に、特に好適なのは、開放角度が90°〜120°の範囲のフルコーンノズルである。噴霧の過程で確立された液滴の直径は、好ましくは10〜1000μmの範囲、好ましくは50〜500μm、特に好ましくは100〜200μmの範囲である。液滴の直径は、当業者に知られた手法で決定される。例えば、光拡散、またはノズルの製造メーカから得られる特性によって決定される。用いられるそれぞれ個々の噴霧ノズルの処理量は、好ましくは0.1〜10m3/hの範囲、特に好ましくは0.5〜5m3/hの範囲である。
【0025】
噴霧ノズルの使用に代えて、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体を単分散液滴の形で自由落下させることができる装置を用いることもできる。このような装置は、例えば、米国特許第5269980号に記載されている。加えて、例えばRev.Sci.Instr.38(1966)502に記載されているように、ラミナージェット分解装置による液滴の発生を行うこともできる。
【0026】
孔を備えた液滴生成プレートを用いることは、粘性のある液体に特に適している。孔の寸法は、液体の噴射ばかりでなく、孔を介して個々の液滴が出るように選択される。このため、液体リザーバは、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体を含んでいる液滴生成プレート上に存在する。液体は、液体リザーバから液滴生成プレートの孔を通り抜け、そこから、連続した液相に滴り落ちる。
【0027】
充填空気圧ノズル、回転、噴射の裁断または急速作動マイクロバルブノズルによって液滴を生成することも、同様に好適である。
【0028】
充填空気圧ノズルによる液滴生成の場合は、液体噴射は、ガス流とともに隔壁を介して加速される。ガスの使用量は、液体噴射の直径に影響を与えることから、液滴の直径に影響を与える。
【0029】
回転による液滴発生の場合は、液体は、回転ディスクのオリフィスを通り抜ける。液体に作用する遠心力により、大きさが画定された液滴が引き離される。噴射流を切断して液滴を発生させる場合は、例えば、オリフィスまたはノズルから排出される液体を回転ブレードで形状の画定したセグメントに切断することが可能である。それぞれのセグメントは、続いて、液滴を形成する。
【0030】
マイクロバルブノズルを用いる場合、形状の画定した液量の液滴が、直接的に発生する。
【0031】
液滴を形成するために、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体を、液滴生成プレートの少なくとも1つの孔を通過させて測定する場合は、液滴生成プレートまたは液体を振動させることが好ましい。これにより、液滴生成プレートの下側にそれぞれの孔から理想的な単分散の液滴鎖が生成される。しかし、液滴生成プレートは、振動させないことが好適である。
【0032】
液滴生成プレートの孔の数及び大きさは、所望の容量及び液滴の大きさに従って選択される。液滴の直径は、典型的には孔の内径の1.9倍である。ここで、液滴化される液体の孔の通過が速過ぎず、かつ孔の上の圧力降下が大きすぎないことが確保される。そうでなければ、液体は液滴化されず、むしろ、液体噴射が高い運動エネルギー、例えば噴霧に起因して引き裂かれてしまうからである。孔ごとの処理量及び孔の内径を基としたレイノルズ数は、好適には2000以下、より好適には1600以下、特に好適には1400以下、しかし1200以下が最も好適である。
【0033】
本発明に係る方法に用いられる液滴生成プレートは、少なくとも1つの孔、好適には少なくとも10、特に好適には50〜10000まで、より好適には5000まで、特に好適には1000の孔を有する。孔は、液滴生成プレート上で均一に分布していることが好ましい。分布は、好ましくは、いわゆる三角ピッチといわれる分布が好適であり、それぞれの場合の3つの孔は、等辺三角形を形成する。
【0034】
孔間の距離は、1〜50mmの範囲が好適であり、より好適には2.5〜20mm、及び特に好適には5〜10mmの範囲である。
【0035】
液滴を発生させる手段の種類に関わらず、液滴発生の手段と連続した液相との間の距離は、好ましくは20〜500mmの範囲、より好ましくは30〜200mmの範囲、特に50〜150mmの範囲である。
【0036】
液滴の大きさは、液滴を発生させるために用いられる手段の機能、及びモノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の粘性に影響を及ぼす。モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の粘性は、例えば、モノマー及び/またはオリゴマーが分散した溶媒を用いることによって適応させることができる。しかし、モノマー及び/またはオリゴマーのみを含み、溶媒を含まない液滴を用いることが好適である。これは、反応の完了時に、連続液相または得られたポリマーから余剰の溶媒を除去する必要がない点において利点がある。モノマー及び/またはオリゴマーが余剰の溶媒なしに用いられる場合、重合反応の完了時に、連続液相及びポリマー粒子は、任意の所望の固液分離装置によって互いに分離せしめられ、続いて粒子が乾燥せしめられる点において利点がある。乾燥は、例えば、窒素とともに散布されることによって効果あらしめられる。しかし、当業者に知られた任意の他の乾燥手法によっても行うことができる。ここで、ポリマー粒子が乾燥する大気が単に不活性であることが確保される。
【0037】
ポリマーを製造するために本発明に係る方法によって実行される反応は、ポリマーが製造される全ての反応であってもよい。例えば、用いることのできる方法は、例えば、イオンまたはフリーラジカル重合、重付加、重縮合がある。特に、重縮合を用いる場合は、連続液相が重縮合の過程で排除される液体を含むときに特に有効である。
【0038】
製造されたポリマーによれば、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体は、一種類のモノマー及び/またはオリゴマー、あるいは異なったモノマー及び/またはオリゴマーを含む。異なったモノマー及び/またはオリゴマーが存在する場合、それらは互いに反応する異なった機能の族を有し、鎖またはコポリマーを製造するために用いられるモノマー及びコモノマーを形成する。
【0039】
ポリアミドを製造するためにこの方法を用いることは特に好ましい。ポリアミドを製造する場合、2つの異なるモノマー体は、ポリマーを付与するために反応する。異なったモノマー体は、以下、モノマー及びコモノマーと称する。
【0040】
ポリアミドの製造の場合、例えば、モノマーはカプロラクタム、カプロラクトン及びラウロラクタムからなる族から選択され、コモノマーは、カプロラクタム、カプロラクトン、ラウロラクタム、ポリテトラヒドロフラン及びアミノカプロラクタムからなる族から選択される。
【0041】
しかし、ポリアミドの製造に加えて、任意の他のポリマーを製造することもできる。例えば、本発明に係る方法は、例えば過吸収剤として用いられるポリアクリル酸エステル(ポリメタクリル)を製造するために特に用いることができる。
【0042】
加えて、本発明に係る方法は、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアミン、ポリマレイン酸、ポリブチルアクリレート、ポリカプロラクタム及び熱可塑性ポリウレタンを製造することに用いることも可能である。
【0043】
本発明の一の実施の形態では、封入された粒子を製造することも可能である。封入されたポリマー粒子の殻のための好適な封入材料としては、原則として、内部の液相によって溶解しない、または部分的に溶解しない全ての材料を用いることができる。殻に用いられる材料は、例えば、内部の液相に対して不溶性であることを条件として、重合されるモノマーのホモポリマ−またはコポリマーが用いられる。内部の液相は、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体である。
【0044】
例えば、ポリスチレンを製造する場合は、殻の材料として既に重合されたポリスチレンを用いることができる。この場合、ポリスチレンは、溶解した状態で用いられる。
【0045】
加えて、N−ビニルピロリドンを基礎としたポリマーの製造の場合は、殻材料としてポリビニルピロリドンを用いることができる。このとき、ポロビニルピロリドンは溶液の状態で用いることができる。
【0046】
ポリエーテルスルホン、ポリスルホンまたはポリカプロラクトンといった熱可塑性のポリマーもまた好適である。パラフィンワックスといった付加的なワックスは、容器材料として好適である。この付加的なワックスは、溶液の状態で液滴化することができる。
【0047】
ポリマーは、水溶液として、または溶解状態で用いることができる。容器材料は、20〜220℃の範囲で融点を有し、好ましくは60〜200℃の範囲で融点を有する。
【0048】
封入されたポリマー粒子を得るためには、連続液相に二重液滴を滴下して付加することが好ましい。二重液滴は、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体から構成されたコアを有し、封入材料または封入材料の前駆体から構成された外殻を有する。二重液滴は、好ましくは単核液滴として生成される。そのような二重液滴の場合、コアはマイクロカプセルの内部の中心に配置され、殻に取り囲まれている。そのような二重液滴を発生させる好適な装置は、例えば、マルチ物質ノズルが挙げられる。これは、例えば、ラミナージェット分解装置が挙げられる。特に好適なのは、環状隙間ノズルである。そのような環状隙間ノズルは、一般に、モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体がコア材料として流下するセンタインナノズルを含む。環状隙間ノズルは、封入材料または封入材料の前駆体のために、これらの材料と同心上に配置される。マルチ物質ノズルは、ラミナージェット分解装置によって液滴化が効果あらしめられるように操作可能である。
【0049】
液滴化は、例えば、振動装置によって促進される。この振動装置は、例えば、シヌソイド振動である。これらの振動工程では、マルチ物質装置の全体が振動発生機によって振動される。その周波数は、50〜20000Hzの範囲である。このように形成された二重液滴は、反応器を出た後、硬化用たらいで固化されるか、または冷却領域を通って殻材料が固められる。
【0050】
殻によって、ケーシングの内部に存在するモノマー及び/オリゴマーを反応器で完全にポリマーに変化させる必要がない。更なる重合は、殻の固化の後、または他の後の任意のときに作用させることが可能である。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
カプロラクタム(BrueggemannのBrueggolen C20)中のカプロラクタムナトリウムを17〜19%含む溶液を、カプロラクタム中のキャップが形成されたジイソシアネートを含む溶液と混合させる。キャップが形成されたジイソシアネートを含む溶液は、およそ17%のNCO族(BrueggemannのBrueggolen C10)を含む。2つの溶液は、7対1の割合で互いに混合される。
【0052】
130℃のホワイト油中で混合物を液滴化するために毛細管が用いられる。毛細管とホワイト油との距離は、50mmである。
【0053】
ホワイト油は、高さ1500mmのガラスカラム内に存在する。ホワイト油は、頂部から下方へ、そして固形沈殿物のためにフィルタを通るようにポンプで循環される。
【0054】
ガラスカラム中の個々の液滴の滞留時間は、20秒である。取り出されたポリマー粒子の分析によれば、残余するカプロラクタム内容物は2%である。粘度数(VN)は、毛細管定数が0.0996のDIN−II型のUbbelohde粘度計を備えたDIN1628−1で測定され、気温25℃、溶媒としての96%の硫酸の条件のもとで、120ml/gである。平均粒子サイズは750μmである。
【0055】
(実施例2)
ガラスカラム内での液滴の滞留時間が50秒であること以外は、実施例1で示したように反応が実行される。この場合、残余するカプロラクタム内容物は1%であり、粘度数は170ml/gであり、平均粒子直径はおよそ750μmである。
【0056】
(実施例3)
実施例2と対比すると、フィルタ中でのより長い滞留時間が実行される。この場合、残余するカプロラクタム内容物は0.4%が得られ、粘度数は170ml/gであり、平均粒子直径は750μmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内でモノマー及び/またはオリゴマーの液滴を含む液体を連続液相に添加し、前記連続液相をモノマー及び/またはオリゴマーを含む液体に対して不混和な状態とし、及びモノマー及び/またはオリゴマーを前記連続液相内で反応させてポリマーを得ることでポリマーを製造する方法において、
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体を連続液相の外部で液滴に形成する工程と、
前記形成した液滴を連続液相に導入する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴と連続液相とが向流で流れることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体の液滴と連続液相とが並流で流れることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応器が管状反応器として形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体が、少なくとも一つのノズルまたは液滴生成プレートの孔によって、液滴に形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
モノマーを含む液体が、互いに反応してポリマーを得るモノマー及びコモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
モノマーが、カプロラクタム、カプロラクトン及びラウロラクタムからなる群から選択され、
コモノマーが、カプロラクタム、カプロラクトン、ラウロラクタム、ポリテトラヒドロフラン及びアミノカプロラクタムからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
モノマー及び/またはオリゴマーを含む液体から構成されるコアと、
封入材料または封入材料の先駆物質から構成される外殻と、
を備える二重液滴が、連続液相に滴下して付加されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
封入材料は、使用されるモノマーのホモポリマーまたはコポリマーを含み、
ホモポリマ−またはコポリマーは、コア中に存在するモノマーを含む液体に不溶性であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
二重液滴は、環状隙間ノズルによって得られることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10に記載の方法を実行する反応器であって、
連続液相を流下させる管と、
液滴を発生させる手段と、を備え、
液滴を発生させる手段が、連続液相の外部に液滴を発生させ且つ発生させた液滴を連続液相に導入するように配置されたことを特徴とする反応器。
【請求項12】
用いられる液滴を発生させる手段は、
ノズルまたは孔を有する液滴生成プレートであることを特徴とする請求項11に記載の反応器。
【請求項13】
液滴を発生させる手段と連続液相との距離が20〜500mmの範囲内であることを特徴とする請求項11または12に記載の反応器。
【請求項14】
液滴を発生させる手段から連続液相に液滴が落下するように、液滴を発生させる手段が連続した液相の上部に配置されたことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項15】
ポリアミド類、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリレート類、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアミン類、ポリマレイン酸、ポリブチルアクリレート、ポリカプロラクタム類及び熱可塑性ポリウレタン類を製造するために用いることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法または請求項11〜14のいずれか1項に記載の反応器。

【公表番号】特表2012−516901(P2012−516901A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546863(P2011−546863)
【出願日】平成22年2月1日(2010.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051146
【国際公開番号】WO2010/086433
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】