説明

ポリマーを含む化粧用組成物

本発明は、液体脂肪相中に分散したグラフトアクリル系ポリマー粒子の分散液を含む化粧用組成物であって、前記グラフトポリマーが少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性エチレン系モノマーおよび少なくとも1種のマクロモノマーを重合させることにより得られる、化粧用組成物に関する。組成物は、ケラチン物質上に形成される付着物が、特に皮脂、汗または水の存在下で、良好な耐移行性を示すことを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリマーを含み、ヒトのケラチン物質、例えば皮膚、唇、睫毛、眉毛、爪および毛髪、への適用を意図されている化粧用組成物に関する。組成物は、より特に、皮膚または唇への適用を意図されている。
【0002】
本発明の組成物は、ケラチン物質、特に皮膚および唇のためのメークアップ組成物またはケア組成物、好ましくはメークアップ組成物であってよい。
【0003】
メークアップ組成物は、ファンデーション、リップメークアップ製品(リップスティック)、アイシャドウ、頬紅、コンシーラー、アイライナー、ボディメークアップ製品、マスカラ、ネイルエナメルまたはヘアメークアップ製品であってよい。
【0004】
ケア組成物は、フェイスおよびボディスキンケア製品、特に日焼け防止製品またはスキンカラーリング製品(セルフタンニング製品など)であってよい。組成物はまた、ヘア用製品、特にヘアスタイルの維持または毛髪を形作るためのものであってよい。
【背景技術】
【0005】
メークアップ組成物は通常、ケラチン物質に美的色彩を与えるために使用される。これらのメークアップ製品は、一般に油、顔料および/またはフィラーおよび任意選択で添加剤、例えば化粧用のまたは皮膚科学的活性物質を含む。
【0006】
これらの組成物は、ケラチン物質、特に皮膚、に適用されたとき、移行、すなわち、接触しうるある種の基材、特にグラス、カップ、タバコ、衣類または皮膚に、少なくとも部分的付着を起こし、痕跡を残すという欠点を示す。その結果として、適用した皮膜の持続性は平凡なものとなり、リップスティックまたはファンデーション組成物を定期的に適用し直さなければならなくなる。さらに、これらの許容し難い痕跡が、特にブラウスのエリに、現れることは、特定の女性にこの種のメークアップの使用を敬遠させる可能性がある。
【0007】
さらに、時の経過に伴い皮膚から分泌される皮脂または汗もまたメークアップの特性を変化させる。特に、皮脂はメークアップの皮膚への接着を促進せず、メークアップの色移りをさらに大きくし、皮膚上に残留するメークアップを実質的に失わせることになる。
【0008】
例えば、入浴またはシャワーの間などに、あるいは涙により、メークアップが水と接触すると、メークアップの非移行性もまた低下する。
【0009】
したがって、特に皮脂、汗または水の存在下において、持続性の高い付着物を形成するという利点を示す「移行しない」皮膚メークアップ組成物、特に、接触する基材(グラス、カップ、タバコ、繊維)に、少なくとも部分的付着を起こすことのない組成物が求められている。
【0010】
メークアップ製品の持続性を高める目的で、皮膜形成性ポリマーの使用が知られている。例えば、文献US6,074,654およびWO02/067877は、シリコーン樹脂の使用を提案している。
【特許文献1】米国特許第6,074,654号明細書
【特許文献2】国際出願公開WO 02/067877号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的の1つは、特に皮脂、汗または水の存在下において、ケラチン物質上に、良好な耐移行性を示す付着物を形成するのに適した化粧用製品を目的とする新しい配合経路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者は、特定のポリマーを使用することによりこのような組成物を得ることが可能であることを発見した。
【0013】
したがって、より詳細には、本発明は、化粧用組成物、特に、以下に記載する液体脂肪相中でのグラフトアクリル系ポリマーの粒子、好ましくは固体粒子の分散液を含むケラチン物質ケアまたはメークアップ組成物であって、前記グラフトアクリル系ポリマーが少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび少なくとも1種のマクロモノマーを重合させることにより得られる、化粧用組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、上に定義した組成物をケラチン物質に適用することを含む、ケラチン物質のメークアップ法をも提供する。
【0015】
本発明は付着、特に、良好な耐色移り性を特に皮脂、汗または水の存在下で有する、ケラチン物質上でのメークアップの付着を得る目的での、上に定義した組成物の使用をさらに提供する。
【0016】
本発明は、化粧用組成物において、付着物、特に、良好な耐移行性を特に皮脂、汗または水の存在下で示す、ケラチン物質上でのメークアップの付着物を得るための、上に定義したグラフトアクリル系ポリマーの粒子(好ましくは固体粒子)の液体脂肪相中での分散液の使用をさらに提供する。
【0017】
本発明の化粧用組成物は、グラフトアクリル系ポリマーが少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび少なくとも1種のマクロモノマーを重合させることにより得られるグラフトアクリル系ポリマーの粒子、好ましくは固体粒子の液体脂肪相中での分散液を含む。
【0018】
本発明の化粧用組成物は、ケラチン物質、特に皮膚との適合性がある。
【0019】
グラフトアクリル系ポリマー分散液は、例えばEP 749 747に記載されているもののように、特に前記グラフトポリマー以外に安定化ポリマーを含まず、かつグラフトアクリル系ポリマーの粒子は、したがって、そのような追加の安定化ポリマーによって表面安定化されることがない。したがってグラフトポリマーは、グラフトポリマー粒子表面上に追加の安定化剤なしで液体脂肪相中に分散される。
【0020】
グラフトポリマーとは、ペンダントまたは鎖末端に位置する、好ましくはペンダントである、少なくとも1つの側鎖を含む骨格を有するポリマーを意味する。
【0021】
有利には、グラフトアクリル系ポリマーは、液体脂肪相に溶解しないアクリル骨格と、前記骨格と共有結合しかつ前記液体脂肪相に溶解する側鎖とを含む。
【0022】
グラフトアクリル系ポリマーは、特に非架橋ポリマーである。特に、このポリマーは単一の重合性基を含むモノマーを重合させることにより得られる。
【0023】
好ましくは、上記グラフトアクリル系ポリマーは、皮膜形成性ポリマーである。
【0024】
「皮膜形成性ポリマー」とは、それ自体でまたは皮膜形成補助剤の存在下で、基材、特にケラチン物質に接着する連続的皮膜を形成するのに適したポリマーを意味する。
【0025】
グラフトアクリル系ポリマーは、特に
‐ 不溶性の骨格を形成するための、少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび、任意選択で少なくとも1種の追加の、非酸性の非アクリル系ビニルモノマーと、
‐ 側鎖形成のための重合可能な末端基を含む少なくとも1種のマクロモノマーであって、前記マクロモノマーが200以上の重量平均分子量を有し、重合したマクロモノマーの量がポリマーの0.05重量%から20重量%に相当するマクロモノマーとの、
有機重合媒体中でのフリーラジカル重合によって得ることが可能である。
【0026】
上記液体脂肪相は、有機重合媒体を含んでよい。
【0027】
液体有機分散媒体は、それに含まれてグラフトポリマーが提供される媒体に相当するが、重合媒体と同一であってよい。
【0028】
しかし、重合媒体は、全体的または部分的に他の液体有機媒体で置換されてよい。この他の液体有機媒体は、重合後に重合媒体に添加してよい。次いで後者を、全体的または部分的に蒸発させる。
【0029】
液体脂肪相は、分散媒体中に存在するもの以外の有機液体化合物を含んでよい。これら他の化合物は、グラフトポリマーが液体脂肪相中で分散状態を維持するように選択される。
【0030】
液体有機分散媒体は、得られたグラフトポリマー分散液の組成物への導入により、本発明の組成物の液体脂肪相中に存在する。
【0031】
液体脂肪相は、好ましくは主基剤として、以下に定義する1種または2種の液体有機化合物(または油)を含む。
【0032】
特に、液体脂肪相は、常温(25℃)において非水性かつ水非混和性の液体有機相である。
【0033】
「液体有機化合物」は、常温(25℃)において液体状態である非水性化合物であり、したがってその自重で流動する。
【0034】
「シリコーン化合物」とは、少なくとも1個のケイ素原子を含む化合物である。
【0035】
液体有機分散媒体中に存在しうる液体有機化合物または油のなかでは、
‐ 18(MPa)1/2以下の、さらに好ましくは17(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する液体有機化合物、特にシリコーン系または非シリコーン系液体有機化合物、
‐ 20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有するモノアルコール、および
‐ これらの混合物
を挙げることができる。
【0036】
ハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータδは、Eric A. Grulkeにより著作「Polymer Handbook」、3rd Edition、Chapter VII、519〜559頁において、論文「Solubility parameter values」において、以下の関係により定義される:
δ=(dD2+dp2+dH2)1/2
(式中、
‐ dDは、分子衝突の間に誘起される双極子形成に由来するロンドン分散力を特徴付け、
‐ dpは、永久双極子間のデバイ相互作用力を特徴付け、さらに、
‐ dHは、特定の相互作用の力(例えば水素結合、酸/塩基、供与体/受容体、など)を特徴付ける。)
【0037】
ハンセンによる溶解度空間における溶剤の定義は、C. M. Hansenによる論文「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.39,105(1967)に記載されている。
【0038】
18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する、液体有機化合物、特にシリコーン系または非シリコーン系液体有機化合物のなかでは、液体脂肪物質、特に油を挙げることができ、これらは、天然または合成の、炭素系、炭化水素系、フッ素およびシリコーン油から選択されることができ、さらにこれらは任意に分枝状であり、単独または混合物である。
【0039】
「油」とは、常温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体であり、かつ皮膚、粘膜(唇)および/または表皮派生物(爪、眉毛、睫毛、毛髪)への適用に適合する任意の非水性媒体である。
【0040】
これらの油のなかでは、脂肪酸エステルおよび多価アルコール、特にトリグリセリド、から形成される植物油、例えばヒマワリ油、ゴマ油またはナタネ油、あるいは長鎖(すなわち、6から20個の炭素原子を含む鎖)を含む酸またはアルコールから誘導されるエステル、特に式RCOOR'のエステル(式中Rは7から19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、かつR'は3から20個の炭素原子を含む炭化水素系鎖、例えばパルミテート、アジペートおよびベンゾエート、特にアジピン酸ジイソプロピルを表す)を挙げることができる。
【0041】
揮発性であってよい直鎖、分枝状および/または環状アルカン、特に流動パラフィン、ワセリンまたは水添ポリイソブチレン、イソドデカンまたは「Isopars」、揮発性イソパラフィンも挙げることができる。エステル、エーテルおよびケトンも挙げることができる。
【0042】
シリコーン油、例えば、任意選択でフッ素化されている脂肪族および/または芳香族基、あるいはヒドロキシル、チオールおよび/またはアミン基などの官能基で任意に置換されたポリジメチルシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサン、ならびに揮発性シリコーン油、特に環状の揮発性シリコーン油なども挙げることができる。
【0043】
特に、揮発性およびまたは不揮発性の、任意に分岐したシリコーン油を挙げることができる。
【0044】
用語「揮発油」とは、皮膚または唇から1時間以内に蒸発することが可能で、特に常温および大気圧において、10-3から300mmHg(0.13Paから40,000Pa)の範囲の蒸気圧を有する、任意の非水性媒体を意味する。
【0045】
本発明で使用しうる揮発性シリコーン油としては、2から7個のケイ素原子を含む直鎖または環状シリコーンを挙げることができ、これらのシリコーンは1から10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を任意に含む。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカオクタメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサン、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0046】
不揮発性シリコーン油のなかで挙げることができるのは、不揮発性ポリジアルキルシロキサン、例えば、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダントとしてまたはシリコーン鎖末端に存在するアルキル、アルコキシまたはフェニル基を含み、これらの基が2から24個の炭素原子を含む、ポリジメチルシロキサン; フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサン; 脂肪酸(特にC8〜C20の脂肪酸)、脂肪族アルコール(特にC8〜C20の脂肪族アルコール)またはポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン)で修飾されたポリシロキサン;アミノポリシロキサン;ヒドロキシル基を含むポリシロキサン;ペンダントとしてまたはシリコーン鎖末端に存在し、1から12個の炭素原子を含み、その水素原子の全てまたは一部がフッ素原子で置換されているフッ素化された基を含むフルオロポリシロキサン;ならびに、これらの混合物である。
【0047】
18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する非シリコーン系液体有機化合物としては、特に、
‐ 少なくとも6個の炭素原子、特に6から30個の炭素原子を含む直鎖、分枝状または環状エステル、
‐ 少なくとも6個の炭素原子、特に6から30個の炭素原子を含むエーテル、および
‐ 少なくとも6個の炭素原子、特に6から30個の炭素原子を含むケトン、
を挙げることができる。
【0048】
「20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する液体モノアルコール」の表現は、炭化水素系鎖が置換基を含まない、6から30個の炭素原子を含む脂肪族脂肪液体モノアルコールを意味する。挙げることができる本発明のモノアルコールは、オレイルアルコール、デカノールおよびリノレイルアルコールを含む。
【0049】
有利には、本発明の組成物は、揮発油を、組成物の全重量に対して、1重量%から90重量%の範囲、好ましくは5重量%から70重量%の範囲の量で含んでよい。
【0050】
組成物は、不揮発油を、組成物の全重量に対して、0.1重量%から80重量%の範囲、好ましくは3重量%から50重量%の範囲の量で含んでよい
【0051】
本発明の第一の実施形態に基づき、液体脂肪相は、非シリコーン系液体脂肪相であってよい。
【0052】
用語「非シリコーン系液体脂肪相」は、1種または2種の非シリコーン系液体有機化合物または油、例えば先に言及したもの、を含む脂肪相を意味し、前記非シリコーン系化合物は、液体脂肪相中で主として、すなわち、液体脂肪相の全重量に対して、少なくとも50重量%、特に50重量%から100重量%、好ましくは60重量%から100重量%(例えば60重量%から99重量%)、またはそれに代わり、65重量%から100重量%(例えば65重量%から95重量%)存在する。
【0053】
非シリコーン系液体有機化合物は、
‐ 18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する非シリコーン系液体有機化合物、
‐ 20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有するモノアルコール、および
‐ これらの混合物、
から特に選択されうる。
【0054】
前記非シリコーン系液体脂肪相は、したがってシリコーン系液体有機化合物または油、例えば先に言及したものなどを任意に含んでよく、それらは、液体脂肪相の全重量に対して、50重量%未満、特に0.1重量%から40重量%の範囲、またはさらに1重量%から35重量%の範囲、またはそれに代わり、5重量%から30重量%の範囲の量で存在してよい。
【0055】
本発明の特定の一実施形態によれば、非シリコーン系液体脂肪相は、いかなるシリコーン系液体有機化合物または油を含まない。
【0056】
上記液体脂肪相が、非シリコーン系液体脂肪相であるとき、グラフトポリマー中に存在するマクロモノマーは、以下に記載するような炭素系マクロモノマーであることが有利である。
【0057】
用語「非シリコーン系グラフトポリマー」とは、炭素系マクロモノマーを主として含み、かつ任意選択でポリマー全重量の7重量%以下、好ましくは5重量%以下のシリコーンマクロモノマーを含むか、またはシリコーンマクロモノマーを含まないグラフトポリマーを意味する。
【0058】
本発明の第二の実施形態に基づき、液体脂肪相は、シリコーン系液体脂肪相であることができる。
【0059】
用語「シリコーン系液体脂肪相」とは、1種または2種のシリコーン系液体有機化合物またはシリコーン油、例えば前述のもの、を含む脂肪相を意味し、前記シリコーン化合物は、液体脂肪相中で主として、すなわち、液体脂肪相の全重量に対して、少なくとも50重量%、特に50重量%から100重量%、好ましくは60重量%から100重量%(例えば60重量%から99重量%)、または65重量%から100重量%(例えば65重量%から95重量%)存在する。
【0060】
シリコーン系液体有機化合物は、特に、
‐ 18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する、非シリコーン系またはシリコーン系の液体有機化合物
から選択されうる。
【0061】
前記シリコーン系液体脂肪相は、したがって、非シリコーン系液体有機化合物または油を、前述のように、任意に含んでよく、それらは、液体脂肪相の全重量に対して、50重量%未満、特に0.1重量%から40重量%の範囲、またはさらに1重量%から35重量%の範囲、または5重量%から30重量%の範囲の量で存在してよい。
【0062】
本発明の特定の一実施形態に基づけば、シリコーン系液体脂肪相は、非シリコーン系液体有機化合物をまったく含まない。
【0063】
液体脂肪相が、シリコーン系液体脂肪相であるとき、グラフトポリマー中に存在するマクロモノマーは、以下に記載するようなシリコーン系マクロモノマーであることが有利である。
【0064】
特に、液体脂肪相が、シリコーン系液体脂肪相であるとき、組成物に存在するグラフトポリマーは、シリコーン系グラフトポリマーであることが有利である。
【0065】
用語「シリコーン系グラフトポリマー」とは、シリコーン系マクロモノマーを主として含み、ポリマー全重量の7重量%まで、好ましくは5重量%までの炭素系マクロモノマーを任意選択で含むか、またはさら炭素系マクロモノマーを含まないグラフトポリマーを意味する。
【0066】
ポリマーの骨格を構成するモノマー、マクロモノマー、ポリマーの分子量、ならびにモノマーおよびマクロモノマーの比率の選択は、液体有機分散媒体の作用として、有利にはグラフトポリマーの粒子の分散液、特に安定な分散液が得られるように行われることができ、この選択は場合により当業者が行うことができる。
【0067】
用語「安定な分散液」とは、固体沈殿物を形成する傾向がなく、または、特に遠心分離、例えば4,000rpmで15分間後の液/固相分離を起こす傾向がない分散液を意味する。
【0068】
したがって、分散液中で粒子を形成するグラフトアクリル系ポリマーは、前記分散媒体中に不溶な骨格および前記分散媒体に溶解する部分を含む。
【0069】
グラフトアクリル系ポリマーは、ランダムポリマーであることができる。
【0070】
本発明によれば、用語「グラフトアクリル系ポリマー」とは、
‐ 1つまたは複数のアクリル系モノマー、および任意選択で1つまたは複数の追加の非アクリル系ビニルモノマーと、
‐ 1つまたは複数のマクロモノマーの、
有機重合媒体中でのフリーラジカル重合によって得ることができるポリマーを意味する。
【0071】
エチレン系アクリルまたはビニルモノマーは、そのホモポリマーが検討中の分散媒体中に不溶、すなわちそのホモポリマーが、常温(20℃)において前記分散媒体中で5重量%以上の濃度で固体(または不溶性)形態であるモノマーから選択されることが好ましい。
【0072】
本発明によれば、表現「重合可能な末端基を含むマクロモノマー」とは、骨格を構成するアクリル系モノマーおよび任意に追加の非アクリル系ビニルモノマーとの重合反応時に反応可能な重合性末端基を、末端のうち1つのみに含む、任意のポリマーを意味する。マクロモノマーは、グラフトアクリル系ポリマーの側鎖の形成を可能にする。マクロモノマーの重合可能な基は、骨格を構成するモノマーとフリーラジカル重合する能力のあるエチレン系不飽和基であることが有利である。
【0073】
用語「炭素系マクロモノマー」とは、非シリコーン系マクロモノマー、特にエチレン系不飽和非シリコーン系モノマーの重合、主としてアクリルおよび/または非アクリル系ビニルモノマーの重合により得られるオリゴマーマクロモノマーを意味する。
【0074】
用語「シリコーン系マクロモノマー」とは、オルガノポリシロキサンマクロモノマー、特にポリジメチルシロキサンマクロモノマーを意味する。
【0075】
マクロモノマーは、ホモポリマーが検討中の分散媒体中に溶解、すなわち、常温において分散媒体中に5重量%以上の濃度で完全に溶解するマクロモノマーから選択されることが好ましい。
【0076】
したがって、グラフトアクリル系ポリマーは、特に1種または複数のアクリル系モノマーおよびマクロモノマーの反応に由来する側鎖(またはグラフト)の重合により生じるアクリル単位の配列からなる骨格(または主鎖)を含み、前記側鎖は前記主鎖と共有結合している。
【0077】
上記骨格(または主鎖)は、検討中の分散媒体に不溶であり、一方側鎖(またはグラフト)は、検討中の分散媒体に可溶である。
【0078】
グラフトアクリル系ポリマーの不溶性骨格は、少なくとも1種の酸性エチレン系モノマーおよび少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーを含む。
【0079】
上記酸性エチレン系モノマーは、少なくとも1のカルボン酸、リン酸またはスルホン酸官能基を含む(メタ)アクリル系モノマー、少なくとも1のカルボン酸、リン酸またはスルホン酸官能基を含む非(メタ)アクリルビニルモノマー、ならびにこれらの塩から選択されうる。
【0080】
本特許出願において、用語「非酸性アクリル系モノマー」とは、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られる)、および酸性基を含まない(メタ)アクリル酸アミド((メタ)アクリルアミドとしても知られる)から選択されるモノマーを意味する。
【0081】
酸性エチレン系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、およびこれらの塩、を挙げることができる。このエチレン系モノマーは、(メタ)アクリル酸であることが好ましい。
【0082】
酸性エチレン系モノマーは、ポリマーの全重量に対して、5重量%から80重量%の範囲、好ましくは10重量%から70重量%の範囲、さらに優先的には15重量%から60重量%の範囲の量で存在しうる。
【0083】
本発明の好ましい一実施形態によれば、酸性エチレン系モノマー、またはグラフトアクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸および (メタ)アクリル酸とは異なる任意の追加の酸性モノマーから選択される主酸性モノマー、及びこれらの塩を含む。
【0084】
上記追加の酸性モノマーは、アクリルアミドスルホン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、およびこれらの塩から選択されうる。
【0085】
(メタ)アクリル酸は、ポリマーの全重量に対して、少なくとも5重量%、特に5重量%から80重量%の範囲の量、好ましくは少なくとも10重量%、特に10重量%から70重量%の範囲の量、優先的には少なくとも15重量%、特に15重量%から60重量%の範囲の量で存在しうる。
【0086】
追加の酸性モノマーは、ポリマーの全重量に対して、0.1重量%から20重量%の範囲、好ましくは5重量%から15重量%の範囲の量で存在しうる。
【0087】
ポリマーの不溶性骨格を形成するために使用されてよい非酸性アクリル系モノマーとしては、単独または混合物として、以下のモノマーおよびこれらの塩も挙げることができる:
‐ (i) 下記式の(メタ)アクリレート:
【0088】
【化1】

【0089】
〔式中、
‐ R1は、水素原子またはメチル基を示し、
‐ R2は、
‐1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基(前記基は任意にその鎖中にO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含み;かつ/または任意に-OH、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)および、直鎖または分枝状C1〜C4アルキル基から選択されて同一でも異なっていてもよいR'およびR''を有する-NR'R''から選択される1つまたは複数の置換基を含み; かつ/または任意に、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基、特にC2〜C4アルキレン、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンで置換されており、前記ポリオキシアルキレン基は5から30のオキシアルキレン単位の繰返しからなる);
‐3から6個の炭素原子を含む環状アルキル基(前記基は任意にその鎖中にO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含みかつ/または任意にOHおよびハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)から選択される1つまたは複数の置換基を含む);
から選択される基を表す。〕
【0090】
挙げることができるR2の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキポリオキシエチレン(350 EO)、トリフルオロエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルまたはジメチルアミノプロピル基が含まれる;
【0091】
‐(ii)下記式の(メタ)アクリルアミド:
【0092】
【化2】

【0093】
〔式中、
‐ R3は、水素原子またはメチル基を示し、
‐ R4およびR5は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基(前記基は-OH、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)および、直鎖または分枝状C1〜C4アルキルから選択されて同一でも異なっていてもよいR'およびR''を有する-NR'R''から選択される1つまたは複数の置換基を含む)を表し;あるいは
‐ R4は、水素原子を表し、且つR5は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基、およびこれらの塩を表す。〕
【0094】
R4およびR5を構成することができるアルキル基の例としては、n-ブチル、t-ブチル、n-プロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチルおよびジメチルアミノプロピルを挙げることができる。
【0095】
これらの非酸性アクリル系モノマーの中で、最も特に挙げることができるのは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよびイソブチル(メタ)アクリレート;メトキシエチルまたはエトキシエチル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチルメタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート;ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド;及びこれらの塩;並びにこれらの混合物である。
【0096】
好ましくは、非酸性アクリル系モノマーは、メチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、(メタ)アクリル酸およびジメチルアミノエチルメタクリレート、ならびにこれらの混合物、から選択される。
【0097】
有利には、非酸性アクリル系モノマーは、C1〜C3アルキル(メタ)アクリレートから選択されてよい。
【0098】
上に定義したグラフトアクリル系ポリマーは、さらに、1つまたは複数の追加の、非酸性非アクリル系ビニルモノマーの存在下における重合により得ることができる。
【0099】
追加の、非酸性非アクリル系ビニルモノマーのなかで挙げることができるのは:
‐ 式:R6-COO-CH=CH2のビニルエステル
(式中、R6は、1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基、あるいは3から6個の炭素原子を含む環状アルキル基および/または芳香族基、例えばベンゼン、アントラセンまたはナフタレンタイプを表す)、
‐ 少なくとも1つの3級アミン官能基を含む非酸性非アクリル系ビニルモノマー、例えば2-ビニルピリジンまたは4-ビニルピリジン、
‐ およびこれらの混合物、
である。
【0100】
有利には、グラフトアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマー+任意選択の非アクリル系ビニルモノマー混合物の全重量に対して、50重量%から100重量%、好ましくは55重量%から100重量%(特に55重量%から95重量%)、優先的には60重量%から100重量%(特に60重量%から90重量%)のアクリル系モノマーを含む。
【0101】
上記塩のなかで挙げることができるのは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化アンモニウムなどの無機塩基、あるいはアルカノールアミン、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたは2-メチル-2-アミノ-1-プロパノールなどの有機塩基による酸性基の中和によって得られる塩である。
【0102】
また、例えば鉱酸または有機酸を用いた、3級アミン単位の中和により形成される塩を挙げることができる。鉱酸のなかで挙げることができるのは、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸およびホウ酸である。有機酸のなかで挙げることができるのは、1つまたは複数のカルボキシル、スルホンまたはリン酸基を含む酸である。これらは直鎖、分枝状または環状脂肪族酸、またはそれに代わり芳香族酸であってよい。これらの酸はまた、OおよびNから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を、例えばヒドロキシル基の形態で、含んでもよい。酢酸またはプロピオン酸、テレフタル酸、およびクエン酸および酒石酸を特に挙げることができる。
【0103】
本発明の一実施形態に基づけば、上記グラフトアクリル系ポリマーは、前述のように追加の非アクリル系ビニルモノマーを含まない。この実施形態において、グラフトアクリル系ポリマーの不溶性骨格は前述のようにアクリル系モノマーのみから形成される。
【0104】
これらの重合していないエチレン系アクリルまたはビニル系モノマーは、分散媒体に溶解することができるが、これらのモノマーにより形成されるポリマーは、分散媒体に不溶である、と理解される。
【0105】
上記マクロモノマーは、グラフトアクリル系ポリマーの側鎖を形成するために、アクリル系モノマーおよび任意選択で追加のビニルモノマーとの重合反応の間に反応する能力のある重合可能な末端基を鎖末端の1つに含む。前記重合可能な末端基は、特にビニルまたは(メタ)アクリレート(または(メタ)アクリロイル)基、さらに好ましくは(メタ)アクリレート基であることができる。
【0106】
マクロモノマーは好ましくは、そのホモポリマーが25℃以下、特に-100℃から25℃の範囲、好ましくは-80℃から0℃の範囲のガラス転移温度(Tg)を有するマクロモノマーから選択される。
【0107】
マクロモノマーは、200以上、好ましくは300以上、優先的には500以上、より優先的には600超の重量平均分子量を有する。
【0108】
好ましくは、マクロモノマーは、200から100,000の範囲、好ましくは500から50,000の範囲、優先的には800から20,000の範囲、より優先的には800から10,000の範囲、さらにより優先的には800から6,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0109】
本特許出願において、重量平均 (Mw)および数平均(Mn)分子量は、液体ゲル浸透クロマトグラフィ(THF溶媒、直鎖ポリスチレン標準で作成した検量線、屈折検出器)により測定する。
【0110】
特に挙げることができる炭素系マクロモノマーは、
‐ (i)ビニルまたは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を含む、直鎖または分枝状C8〜C22アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーおよびコポリマーを含み、そのなかで具体的には、
モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ドデシルアクリレート)またはポリ(ドデシルメタクリレート)マクロモノマー;モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ステアリルアクリレート)またはポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマー
を挙げることができる。
【0111】
このようなマクロモノマーは、特に特許EP 895 467およびEP 96 459、ならびにGillman K. F.による論文、Polymer Letters, Vol 5, 477〜481頁(1967)に記載されている。
【0112】
特にモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)系またはポリ(ドデシルアクリレート)系のマクロモノマーを挙げることができる;
‐ (ii)エチレン系不飽和末端基、特に(メタ)アクリレート末端基を含むポリオレフィン。特に挙げることができるこのようなポリオレフィンの例は、以下のマクロモノマーを含み、これらは(メタ)アクリレート末端基を含むことが理解される:ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーのマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー;ポリブタジエンマクロモノマー;ポリイソプレンマクロモノマー;ポリブタジエンマクロモノマー;ポリ(エチレン/ブチレン)ポリイソプレンマクロモノマー。
【0113】
このようなマクロモノマーは、特にUS 5,625,005に記載されており、そこでは(メタ)アクリレート反応性末端基を含むエチレン/ブチレンおよびエチレン/プロピレンマクロモノマーに言及している。
【0114】
特に、Kraton Liquid L-1253の名称でKraton Polymersにより販売されているものなどのポリ(エチレン/ブチレン)メタクリレートを挙げることができる。
【0115】
特に挙げることができるシリコーン系マクロモノマーには、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリジメチルシロキサン、特に下記の式(II)のポリジメチルシロキサンが含まれる:
【0116】
【化3】

【0117】
(式中、R8は、水素原子またはメチル基を示し;
R9は、1から10個の炭素原子を有しかつ任意選択で1個または2個のエーテル結合-O-を含む二価の炭化水素系基を示し;R10は、1から10個、特に2から8個の炭素原子を有するアルキル基を示し;nは1から300の範囲、好ましくは3から200の範囲、優先的には5から100の範囲の整数を示す。
【0118】
使用されうるシリコーン系マクロモノマーには、PS560-K6の名称でUnited Chemical Technologies Inc. (UCT)社により販売されている製品またはMCR-M17の名称でGelest Inc.社により販売されている製品などのモノメタクリルオキシプロピルポリジメチルシロキサンが含まれる。
【0119】
好ましくは、(グラフトポリマーの側鎖を構成する)重合したマクロモノマーは、ポリマーの全重量の0.1重量%から15重量%、好ましくは0.2重量%から10重量%、より好ましくは0.3重量%から8重量%に相当する。
【0120】
非シリコーン系液体脂肪相中に分散された特に好ましいグラフトアクリル系ポリマーとしては、
メチルアクリレート/アクリル酸モノマーおよび(メタ)アクリレート末端基を有するポリエチレン/ポリブチレンマクロモノマー(特にKraton L-1253)の、特にイソドデカン中における重合によって得られるものを使用することが可能である。
【0121】
シリコーン系液体脂肪相中に分散された特に好ましいグラフトアクリル系ポリマーとしては、
メチルアクリレート、アクリル酸、および800から6,000の範囲の重量平均分子量を有するモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンマクロモノマーの、特にイデカメチルシクロペンタシロキサン中における重合によって得られるものを使用することが可能である。
【0122】
上記グラフトポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000と300,000の間、特に20,000と200,000の間、よりよくは25,000と150,000の間である。
【0123】
前述の特性により、特定の有機分散媒体において、ポリマーはそれ自体で折り重なる能力を有し、したがってほぼ球形の粒子を形成し、これら粒子の表面は展開された側鎖を有し、これら粒子の安定性を確実にする。グラフトポリマーの特性に起因するこのような粒子は、前記媒体中で凝集せず、したがって自己安定化し、かつ特に安定なポリマー粒子分散液を形成するという特徴を有する。
【0124】
特に、分散液のグラフトアクリル系ポリマーは、10から400nm、好ましくは20から200nmの範囲の平均サイズを有するナノメーターサイズの粒子を形成することができる。
【0125】
この非常に小さなサイズの結果として、分散液中のグラフトポリマー粒子は、特に安定であり、したがって凝集体を形成する傾向はほとんどない。
【0126】
グラフトポリマーの分散液は、したがって常温(25℃)で長時間(例えば24時間)置いた場合、安定であり、かつ沈降物を形成しない。
【0127】
好ましくは、グラフトポリマー粒子の分散液は、固体の40重量%から70重量%、特に45重量%から65重量%の、ポリマーの固体含有量(または乾燥抽出物)を有する。
【0128】
グラフトポリマー粒子の分散液は、有機重合媒体中での、上に定義したような1つまたは複数のアクリル系モノマーと上に定義したような1つまたは複数のマクロモノマーとのフリーラジカル共重合のステップを含むプロセスにより調製されうる。
【0129】
先に言及したように、液体有機分散媒体は、重合媒体と同一であっても異なっていてもよい。
【0130】
共重合は、通常どおり重合開始剤の存在下で行うことができる。重合開始剤は、フリーラジカル開始剤であってよい。一般に、このような重合開始剤は、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイドまたはtert-ブチルぺルオキシ-2-エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリルまたはアゾビスジメチルバレロニトリルなどのジアゾ化合物から選択されてよい。
【0131】
反応はまた、光開始剤を用いて、またはUVまたは中性子などの照射により、またはプラズマにより開始されてもよい。
【0132】
一般に、このプロセスを行うために、少なくとも有機重合媒体の一部、重合後に不溶性骨格を構成することになる追加のアクリルおよび/またはビニルモノマーの一部、(ポリマーの側鎖を構成することになる)マクロモノマーの全部、および重合開始剤の一部を、調製しようとするポリマーの量に適したサイズの反応器に導入する。導入のこの段階において、反応媒体は、比較的均一な媒体を形成する。
【0133】
次いで、反応媒体を撹拌し、モノマーとマクロモノマーの重合が起こる温度にまで加熱する。一定時間後に、当初は均一で透明であった媒体が、乳状の外観の分散液になる。次いで、モノマーおよび重合開始剤の残りの部分からなる混合物を加える。混合物を撹拌しながら過熱し、充分な時間が経過した後に、媒体は乳状の分散液の形態で安定化し、前記分散液は、ポリマー粒子が形成された媒体中で安定化されたポリマー粒子を含み、前記安定化は、前記分散媒体に溶解する側鎖がポリマー中に存在することによるものである。
【0134】
前述のグラフトポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%から70重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から50重量%の範囲、優先的には1重量%から40重量%の範囲の量で存在してよい。
【0135】
本発明の組成物は、当業者に周知の、水溶性染料および顔料、真珠光沢顔料、フレークなどの粉状着色剤から選択される1つまたは複数の着色剤を含むことができる。着色剤は、組成物中に、組成物の全重量に対して、0.01重量%から50重量%、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲の量で存在することができる。
【0136】
顔料とは、生理的媒体に不溶であってかつ組成物を着色することを意図したあらゆる形状の白色または有色の、鉱物性または有機粒子を意味する。
【0137】
真珠光沢顔料は、特にある種の軟体動物が貝殻の内部で産生する、または合成の、任意の形状の虹色粒子である。
【0138】
顔料は、白色または有色の、鉱物および/または有機顔料であってよい。鉱物顔料の内、任意に表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄または赤)または酸化クロム、マンガンバイオレット、グンジョウ、水和クロムおよびコンジョウ、ならびにアルミニウムパウダーおよび銅パウダーなどの金属パウダーを挙げることができる。
【0139】
有機顔料のなかでは、カーボンブラック、D&C顔料、およびコチニールカルミン、バリウム、ストロンチウム、カルシウムおよびアルミニウム系レーキを挙げることができる。
【0140】
また、有機または鉱物、天然または合成基材を含む粒子、たとえばガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミックスまたはアルミナ、などであって、前記基材は素地のままかまたはアルミニウム、金、銀、プラチナ、銅、青銅などの金属物質によりまたは二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロムおよびこれらの混合物などの金属酸化物により被覆されている、効果顔料も挙げることができる。
【0141】
真珠光沢顔料は、チタン被覆マイカ、またはオキシ塩化ビスマスなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄で被覆したチタンマイカ、特にコンジョウまたは酸化クロムで被覆したチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料で被覆したチタンマイカ、およびまたオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢顔料から選択されてよい。干渉顔料、特に液晶顔料または多層顔料が使用されてもよい。
【0142】
分散液中のグラフトポリマーは、驚いたことに、顔料および真珠光沢顔料などの粉状着色剤を容易に組成物中に分散させることを可能にする。
【0143】
したがって、本発明は、前述のように、グラフトアクリル系ポリマー分子の液体脂肪相への分散物、および少なくとも1種の着色剤、特に顔料および真珠光沢顔料、または光学的効果を有する任意のその他のフィラーを含むファンデーション組成物をさらに提供する。
【0144】
上記水溶性染料は、例えば、ビート根液汁およびメチレンブルーである。
【0145】
本発明の組成物は、1種または複数のフィラーを、特に、組成物の全重量に対して、0.01重量%から50重量%の範囲、好ましくは0.01重量%から30重量%の範囲の量で、さらに含んでよい。フィラーとは、組成物が製造される温度に無関係に、組成物の媒体に不溶である、任意の形状の、無色または白色の、鉱物または合成の粒子を意味する。フィラーは、特に組成物のレオロジーまたは感触を変化させる働きがある。
【0146】
フィラーは、結晶形(例えば平板、立方晶、六方晶、斜方晶形等)とは無関係に、任意の形状、小板状、球状、あるいは楕円形の鉱物または有機フィラーであってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド(ナイロン(登録商標))パウダー(AtochemのOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))ポリマーのパウダー、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルの中空ポリマーマイクロスフィア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industries)、アクリル酸コポリマーの中空ポリマーマイクロスフィア(Dow CorningのPolytrap(登録商標))、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、ToshibaのTospearls(登録商標))、エラストマー系オルガノポリシロキサンの粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフィア(MaprecosのSilica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22個、好ましくは12から18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛およびミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0147】
本発明の組成物は、したがって、常温で固体であって、特にワックス、ペースト状脂肪、ガムおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の脂肪物質を含んでよい。これらの脂肪物質は、動物、植物、鉱物または合成由来であってよい。
【0148】
ペースト状脂肪とは、温度23℃で液体部分と固体部分を含む親油性脂肪化合物を意味する。
【0149】
前記ペースト状化合物は、0.001から0.5MPa、好ましくは0.002から0.4MPaの20℃における硬度を有する。
【0150】
硬度は、プローブを化合物の試料に貫入させる方法により、特に直径2mmのステンレス鋼スピンドルを備えたテクスチャ分析器(例えばRheoのTA-XT2i装置)を用いて、測定する。硬度測定は、20℃において、5個の試料の中心部で行う。スピンドルを1mm/秒の測定前速度で、次いで0.1mm/秒の測定速度で、貫入深さ0.3mmで、各試料に導入する。得られる硬度値は、最大ピークの値である。
【0151】
23℃で測定したペースト状化合物の液体部分は、化合物の9重量%から97重量%に相当する。この液体部分は23℃で好ましくは15重量%と85重量%の間、より好ましくは40重量%と85重量%の間に相当する。23℃でのペースト状化合物の液体の重量割合は、ペースト状化合物の融解熱に対する23℃で消費される融解熱の比率に等しい。
【0152】
ペースト状化合物の融解熱は、化合物が固体状態から液体状態へと変化することにより消費されるエンタルピーである。ペースト状化合物は、その質量の全てが固体結晶形態であるとき、固体状態にあると言われる。ペースト状化合物は、その質量の全てが液体形態であるとき、液体状態にあると言われる。
【0153】
ペースト状化合物の融解熱は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instrument社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を用いて、ISO 11357-3:1999標準法に基づき、毎分5から10℃の温度上昇で得られたサーモグラムの曲線の下の領域に等しい。ペースト状化合物の融解熱は、化合物を固体状態から液体状態に変化させるために必要なエネルギーの量であり、J/gで表される。
【0154】
23℃で消費される融解熱は、試料が固体状態から、23℃でそれが有する液体部分と固体部分とからなる状態へと変化するために吸収するエネルギー量である。
【0155】
32℃で測定したペースト状化合物の液体の割合は、好ましくは化合物の30重量%から100重量%、好ましくは80重量%から100重量%、より好ましくは化合物の90重量%から100重量%に相当する。32℃で測定したペースト状化合物の液体割合が100%に等しいとき、ペースト状化合物の融点範囲の終点の温度は32℃以下である。
【0156】
32℃で測定したペースト状化合物の液体の割合は、ペースト状化合物の融解熱に対する32℃で消費される融解熱の比率に等しい。32℃で消費される融解熱は、23℃で消費される融解熱と同様にして算出される。
【0157】
本発明の意味におけるワックスは、常温(25℃)で固体の親油性化合物であり、かつ可逆的な固体/液体状態変化を示し、30℃以上、場合によっては120℃までの融点を有する。
【0158】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、一例はDSC 30の名称でMettler Companyにより販売されている熱量計である、により測定することができる。
【0159】
ワックスは、炭化水素系ワックス、フッ素系ワックスおよび/またはシリコーン系ワックスであってよく、かつ植物、鉱物、動物および/または合成由来であってよい。特に、ワックスは30℃以上の融点、より好ましくは45℃超の融点を示す。
【0160】
本発明の組成物に使用できるワックスとしては、ミツロウ、カルナウバロウまたはカンデリラロウ、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンおよびオゾケライト;ポリエチレンまたはフィッシャートロプシュワックスなどの合成ワックス、ならびに16から45個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシジメチコンなどのシリコーンワックスを挙げることができる。
【0161】
ガムは、一般に、高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースガムまたは多糖類であり、ペースト状脂肪は一般に、ラノリンおよびこれらの誘導体およびPDMSなどの炭化水素系化合物である。
【0162】
固体物質の固有性および量は、所望の機械的特性および感触により決定される。指針として、組成物は、組成物の全重量に対して0.1重量%から50重量%、より好ましくは1重量%から30重量%のワックスを含んでよい。
【0163】
したがって、組成物は水、または水と親水性有機溶媒、例えばアルコール、特にエタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノールなど2から5個の炭素原子を有する直鎖または分枝状低級モノアルコール、およびグリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびポリエチレングリコールなどの多価アルコール、との混合物を含んでよい。
【0164】
水、または水と親水性有機溶媒との混合物は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して0.1重量%から95重量%の範囲、好ましくは1重量%から80重量%の範囲、より好ましくは10重量%から80重量%の範囲の量で存在してよい。
【0165】
本発明の組成物は、化粧品学において通常使用される成分、例えばビタミン、保湿剤、増粘剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、塩基性化または酸性化剤、防腐剤、可塑剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、脱毛防止剤、フケ防止剤、推進剤、またはこれらの混合物をさらに含んでよい。
【0166】
勿論、当業者であれば、意図される添加により、本発明の組成物の優位性が損なわれないか、または実質的には損なわれないように、この、またはこれらの任意の追加の化合物および/またはその量を慎重に選択するであろう。
【0167】
本発明の組成物は、特に、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)、または多相(W/O/Wまたは多価アルコール/O/WまたはO/W/O)エマルションの形態、クリーム、ペーストまたはムース、ベシクル分散液、特にイオン性または非イオン性脂質のベシクル分散液、2相または多相ローション、あるいはスプレー、パウダーまたはペーストの形態で存在してよい。組成物は、無水物であってよい:例えば、組成物にはスティックまたは無水ペーストが含まれる。組成物は、洗い流すことなく使用される組成物であってよい。
【0168】
当業者であれば、自己の通常の知識に基づき、第一に使用される構成成分の性質、特にベシクルへの溶解性を、第二に組成物について意図される用途を考慮に入れ、適切な剤形、およびその調製方法をも選択するであろう。
【0169】
別の側面によれば、本発明はまた、
i)少なくとも1つのコンパートメントの範囲を定める容器で、前記容器が閉鎖部材によって閉じられている容器、および
ii)本発明の組成物である、前記コンパートメント内に配置された組成物、
を含む化粧用アセンブリにも関する。
【0170】
容器は適切な任意の形態であってよい。容器は特に、ボトル、チューブ、ジャー、ケース、箱、小袋またはカートンの形態であってよい
【0171】
上記閉鎖部材は、着脱可能なストッパー、蓋、キャップ、切り取り式ストリップまたはカプセル、特に容器に取り付けられたボディとボディにつながったカバーキャップを含むタイプの形態であってよい。閉鎖部材はまた、容器を選択的に閉鎖する部材、特にポンプ、弁またはフラップ弁の形態であってよい。
【0172】
上記容器は、特に、ねじられたワイヤによって維持されているブラシ毛のアレンジを含むブラシの形態のアプリケータと組み合わされてよい。このようなねじられたブラシは、特にUS 4,887,622に記載されている。アプリケータはまた、特に成形により得られる、複数の塗布部分を含む櫛の形態であってもよい。このような櫛は、例えばFR 2 796 529に記載されている。アプリケータは、例えばFR 2 722 380に記載されているように、細いブラシの形態であってよい。アプリケータは、フォームのブロックまたはエラストマーのブロック、フェルトまたはスパチュラの形態であってよい。アプリケータは、例えば、US 5,492,426に記載されているように、自由に動く(刷毛またはスポンジ)かまたは、閉鎖部材によりロッドボーンに確実に固定されていてよい。アプリケータは、例えば、FR 2 761 959に記載されているように、容器に確実に固定されていてよい。
【0173】
製品は、直接または間接的に容器に含まれてよい。例証として、製品は、特に拭き取り布またはパッドの形態の含浸支持体に配置されて、かつ(個別にまたは複数で)箱または小袋に配置されてよい。製品を組み込んだこのような支持体は、例えば、特許出願WO 01/03538に記載されている。
【0174】
上記閉鎖部材は、ねじ留めにより容器と連結されてよい。別法として、閉鎖部材と容器との連結は、ねじ留め以外、特に差し込みピン構造、スナップ固定、グリッピング、溶接、接着または磁気的引力により行われる。用語「スナップ固定」とは、特に一部分、特に閉鎖部材の弾性変形による、素材のビーズまたはコードの交差を含むあらゆるシステムであって、ビーズまたはコードの交差後に引き続いて前記部材が拘束されない位置に、弾力的に戻るシステムを意味する。
【0175】
容器は、少なくとも部分的に熱可塑性の素材でできていてよい。挙げることができる熱可塑性の材料の例にはポリプロピレンまたはポリエチレンがある。
【0176】
別法として、容器は非熱可塑性の素材、特にガラスまたは金属(または合金)でできていてよい。
【0177】
容器は、特にチューブまたはチューブ状ボトルの形態の場合、固い壁または変形可能な壁を有してよい。
【0178】
容器は、組成物の分配または分配を容易にするための手段を含んでよい。例証として、容器は、容器内部での陽圧に応じて組成物を流出させるような変形可能な壁を有してよく、この陽圧は、容器の壁を弾性(または非弾性)的に絞ることによって生じる。それに代わり、特に製品がスティック形態の場合、製品はピストンメカニズムにより送り出されてよい。さらに、特にメークアップ製品(リップスティック、ファンデーション、など)のスティックの場合、容器は、メカニズム、特にラックメカニズム、ねじロッドメカニズム、またはらせん溝メカニズムを含んでよく、かつ前記開口部の方向へスティックを動かすことができてよい。このようなメカニズムは、例えばFR 2 806 273またはFR 2 775 566に記載されている。液体製品に関して、このようなメカニズムは、例えばFR 2 727 609に記載されている。
【0179】
容器は、組成物を含む少なくとも1つの収納部の範囲を定める底面、および特に底面につながり、かつ少なくとも部分的に前記底面を覆うことができる蓋を有するカートンからなってよい。このようなカートンは、例えば特許出願WO 03/018423またはFR 2 791 042に記載されている。
【0180】
容器は、容器開口部領域に配置された液切部を備えていてよい。このような液切部はアプリケータおよび場合によりそれが確実に固定されているであろうロッドを拭うことを可能にする。このような液切部は例えばFR 2 792 618に記載されている。
【0181】
組成物は、容器内部で(室温で)大気圧であるか、または、特に推進ガスを用いて加圧(エアロゾル)されていてよい。後者の場合、容器は(エアロゾルに使用されるタイプの)弁を備える。
【0182】
前述の特許または特許出願の内容を本願に援用する。
【0183】
本発明を、次に以下の実施例に照らして、より詳細に説明する。実施例は、例示を目的としており、限定するものではない。
【0184】
これらの実施例は、検討中の有機媒体中で粒子の分散液を形成するのに適した本発明のポリマーの調製を説明する。
【0185】
これらの実施例では、上記分散液の調製に続き、ポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)、ポリマーのガラス転移温度、分散液の固体含有量(または乾燥抽出物)およびポリマー粒子のサイズを決定する。
【0186】
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、液体ゲル浸透クロマトグラフィ(THF溶媒、直鎖ポリスチレン標準で作成した検量線、屈折検出器)により測定する。
【0187】
ガラス転移温度(Tg)の測定は、ASTM D3418-97標準法に準拠し、-100℃と+150℃の間の温度範囲にわたり、加熱速度10℃/分、150μlアルミニウムるつぼ中で、熱量計による示差熱分析(DSC「示差走査熱量測定」)により行う。
【0188】
るつぼは、以下の方法で準備する:得られた分散液の100μlを150μlアルミニウムるつぼに入れ、溶媒を常温、相対湿度50%で、24時間にわたり蒸発させる。操作を繰り返し、次いで、るつぼをMettler DSC 30熱量計に入れる。
【0189】
固体含有量(または乾燥抽出物)、すなわち不揮発性物質の量、は、種々の方法で測定してよい:例えばオーバードライイングによる方法または赤外線照射への暴露による乾燥による方法を挙げることができる。
【0190】
固体含有量は、好ましくは2μmから3.5μmの波長の赤外線で試料を加熱することにより測定する。蒸気圧が高い組成物中に含まれる物質は、この照射の影響下で蒸発する。試料の重量損失の測定により組成物の乾燥抽出物を測定することが可能になる。これらの測定は、Mettlerにより市販されている赤外線デシケータLP16を用いて行う。この手法は、Mettlerにより供給されるこの装置用の説明書に十分に記載されている。
【0191】
測定プロトコールは以下の通りである。約1gの組成物を金属カップ上に広げる。このカップをデシケータに入れた後、120℃の名目温度に1時間暴露する。試料の初期質量に相当する湿潤質量、および赤外線暴露後の質量に相当する試料の乾燥質量を、精密天秤を用いて測定する。
【0192】
固体含有量を以下の方法で算出する:
乾燥抽出物=100×(乾燥質量/湿潤質量)。
【0193】
粒子サイズは、種々の手法で測定してよい:特に光散乱法(動的および静的)、コールターカウンター法、(ストークスの法則によるサイズに関連する)沈降速度測定および顕微鏡法を挙げることができる。これらの手法により、粒子径および、一部の手法では、粒子サイズ分布を測定することが可能である。
【0194】
本発明の組成物における粒子のサイズおよびサイズ分布は、好ましくは、MalvernのMasterSizer 2000など、市販の粒度分析計を用いた静的光散乱法により測定する。データはMie散乱理論に基づき処理する。この理論は、等方性粒子に関して正確であるが、非球体粒子の場合、「有効」粒子径を決定することが可能である。この理論は、特にVan de Hulst、H.C.、「Light Scattering by Small Particles」、Chapter 9 and 10、Wiley、New York、1957の研究論文に記載されている。
【0195】
組成物は、以下の方法により定義される体積D[4.3]に基づき平均「有効」粒子径により特徴付けられる:
【0196】
【数1】

【0197】
(式中、Viは有効直径diを有する粒子の体積を表す。このパラメータは、特に粒度分析計の技術的説明書に記載されている。)
【0198】
測定は、組成物から得られた希釈粒子分散液について、以下の方法で、25℃で行う:1)水で100倍に希釈、2)溶液を均一化、3)溶液を18時間放置、4)白色がかった均一な上清を回収。
【0199】
「有効」粒子径は、水の屈折率1.33と粒子の平均屈折率1.42を利用することによって得られる。
【0200】
本発明を、以下に記載する実施例により、より詳細に説明する。
【0201】
(実施例1)
この実施例は、炭素系溶剤中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレート、アクリル酸およびポリエチレン/ポリブチレンコポリマー(Kraton L-1253)に相当するマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0202】
200gのヘプタン、200gのイソドデカン、14gのメチルアクリレート、10gのアクリル酸、16gのメタクリレート末端基を含むポリエチレン/ポリブチレンコポリマータイプのマクロモノマー(Kraton L-1253)および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0203】
反応混合物を撹拌し、1時間で常温から90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変わる反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、130gのメチルアクリレート、30gのアクリル酸および2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。
【0204】
次いで、上記混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。この蒸留操作の結果、このようにイソドデカン中にポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0205】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
重量平均分子量Mw=175294
数平均分子量Mn=28265
ポリ分散指数(Mw/Mn)=6.2
理論的乾燥抽出物:イソドデカン中54.9%
粒子サイズ: 0.04の多分散性をもつ85nm(Malvern Autosizer Lo-Cで25℃で実施)。
【0206】
グラフトポリマーは、ポリマーの全重量に対して、8重量%のマクロモノマーを含む。
【0207】
得られた分散液の安定性は、以下の安定性プロトコールを実施することにより示される:8mlの生成分散液を溶血チューブに入れ、Jouan C100-S5遠心分離機を用いて4,000rpmで15分間、遠心分離する。15分後、相分離は認められず、これにより、分散液が安定であることが証明される。
【0208】
(実施例2)
この実施例は、シリコーン系溶剤中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレート、アクリル酸、およびMCR-M17の名称でGelest Inc.により販売されている5,000の重量平均分子量を有するモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0209】
200gのヘプタン、200gのデカメチルシクロペンタシロキサン、26gのメチルアクリレート、14gのモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンMCR-M17、および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0210】
反応混合物を撹拌し、1時間で90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変わる反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、次いで120gのメチルアクリレート、40gのアクリル酸および2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。次いで、混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。
【0211】
この蒸留操作の結果、このようにデカメチルシクロペンタシロキサン中のポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0212】
上記グラフトポリマーは、ポリマーの全重量に対して、7重量%のマクロモノマー(したがってD5に溶解する側鎖のマクロモノマー)を含む。
【0213】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
‐ 乾燥抽出物: デカメチルシクロペンタシロキサン中50%(熱天秤で実施)
‐ ガラス転移温度:12℃(Mettler DSCによる)
‐ 粒子サイズ: 0.04の多分散性を有する170nm(Malvern Autosizer Lo-Cで25℃で実施)。
【0214】
(実施例3)
この実施例は、炭素系溶剤中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレート、アクリル酸およびポリエチレン/ポリブチレンコポリマー(Kraton L-1253)に相当するマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0215】
200gのヘプタン、200gのイソドデカン、14gのメチルアクリレート、10gのアクリル酸、16gのポリエチレン/ポリブチレンコポリマータイプのマクロモノマー(Kraton L-1253)および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0216】
反応混合物を撹拌し、1時間で常温から90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変化する反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、70gのメチルアクリレート、90gのアクリル酸および2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。
【0217】
次いで、上記混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。この蒸留操作の結果、このようにイソドデカン中にポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0218】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
‐ 重量平均分子量Mw=GPCでは識別できず
‐ 数平均分子量Mn=GPCでは識別できず
‐ ポリ分散指数(Mw/Mn)=GPCでは識別できず
‐ 理論的乾燥抽出物:イソドデカン中53.6%
‐ 粒子サイズ:測定せず。
【0219】
上記グラフトポリマーは、ポリマーの全重量に対して8重量%のマクロモノマーを含む。
【0220】
実施例1に従い、安定性プロトコールを実施した後、得られた分散液が安定であることがわかった。
【0221】
(実施例4)
この実施例は、炭素系溶剤中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレート、アクリル酸およびメタクリレート末端基を有するポリエチレン/ポリブチレンコポリマー(Kraton L-1253)に相当するマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0222】
200gのヘプタン、200gのイソドデカン、28gのメチルアクリレート、メタクリレート末端基を有するポリエチレン/ポリブチレンコポリマータイプのマクロモノマー(Kraton L-1253) 12g、、および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0223】
反応混合物を撹拌し、1時間で常温から90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変わる反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、次いで150gのメチルアクリレート、10gのアクリル酸および2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。
【0224】
次いで、混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。この蒸留操作の結果、このようにイソドデカン中のポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0225】
グラフトポリマーは、ポリマーの全重量に対して6重量%のマクロモノマーを含む。
【0226】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
‐ 重量平均分子量Mw=143639
‐ 数平均分子量Mn=23965
‐ 多分散指数(Mw/Mn)=5.99
‐ 理論的乾燥抽出物:イソドデカン中51.3%
‐ 粒子サイズ: 0.04の多分散性をもつ48nm(Malvern Autosizer Lo-Cで25℃で実施)。
【0227】
実施例1に従い、安定性プロトコールを実施した後、得られた分散液が安定であることがわかった。
【0228】
(例5)
この例は、本発明の一部を形成するものではないが、シリコーン油中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレート、およびMCR-M17の名称でGelest Inc.により販売されている、5,000の重量平均分子量を有するモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0229】
200gのヘプタン、200gのデカメチルシクロペンタシロキサン、30gのメチルアクリレート、10gのモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンMCR-M17、および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0230】
反応混合物を撹拌し、1時間で90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変わる反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、次いで160gのメチルアクリレートおよび2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。次いで、混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。
【0231】
この蒸留操作の結果、このようにデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)中のポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0232】
グラフトポリマーは、ポリマーの全重量に対して、5重量%のマクロモノマー(したがってD5に溶解する側鎖のマクロモノマー)を含む。
【0233】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
‐ 重量平均分子量Mw=102347
‐ 数平均分子量Mn=28283
‐ 多分散指数(Mw/Mn)=3.62
‐ 乾燥抽出物:D5中51.4%(熱天秤で実施)
‐ ガラス転移温度:12℃(Mettler DSCによる)
‐ 粒子サイズ: 0.04の多分散性を有する160nm(Malvern Autosizer Lo-Cで25℃で実施)。
【0234】
実施例1に従い、安定性プロトコールを実施した後、分散液が安定であることがわかった。
【0235】
(例6)
この例は、本発明の一部を形成するものではないが、炭素系溶剤中で粒子の分散液を形成するポリマーであって、前記ポリマーがメチルアクリレートおよびメタクリレート末端基を有するポリエチレン/ポリブチレンコポリマー(Kraton L-1253)に相当するマクロモノマーの重合により得られるポリマーの調製を説明する。
【0236】
200gのヘプタン、200gのイソドデカン、28gのメチルアクリレート、12gのメタクリレート末端基付きポリエチレン/ポリブチレンコポリマータイプのマクロモノマー(Kraton L-1253)および3.2gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(Trigonox 21S)を1リットルの反応器に充填する。
【0237】
反応混合物を撹拌し、1時間で常温から90℃まで加熱する。90℃で15分経過後に、透明な外観から乳状の外観へと変わる反応媒体の外観の変化が観察される。撹拌しながらの加熱をさらに15分間続け、次いで160gのメチルアクリレートおよび2gのTrigonox 21Sからなる混合物を1時間かけて滴下する。
【0238】
次いで、混合物を90℃で4時間加熱し、次いでヘプタンを反応媒体から留去する。この蒸留操作の結果、このようにイソドデカン中のポリマー粒子の安定な分散液が調製される。
【0239】
グラフトポリマーは、ポリマーの重量に対して6重量%のマクロモノマーを含む。
【0240】
ポリマーおよび前記ポリマーによって形成された粒子の特徴は以下の通りである:
‐ 重量平均分子量Mw=119212
‐ 数平均分子量Mn=31896
‐ ポリ分散指数(Mw/Mn)=3.74
‐ ガラス転移温度:10℃(Mettler DSCによる)
‐ 乾燥抽出物:イソドデカン中49.8%(熱天秤で実施)
‐ 粒子サイズ: 0.05の多分散性をもつ46nm(Malvern Autosizer Lo-Cで25℃で実施)。
【0241】
実施例1に従い、安定性プロトコールを実施した後、得られた分散液が安定であることがわかった。
【0242】
実施例1から6のポリマーは、以下のモノマーを含み、その量をポリマー重量に対するパーセンテージとして表示する。
【0243】
【表1】

【0244】
(実施例7〜12)
以下の組成を有する(量は組成物の全重量に対するパーセンテージとして表示されている)4種の本発明のファンデーション(実施例7から10)および2種の本発明ではないファンデーション(例11および12)を調製した:
【0245】
【表2】

【0246】
使用した成分:
ABIL EM 97: Goldschmidt社により販売されている、α,ω-置換、エトキシル化プロポキシル化シリコーン/シクロメチコン(85/12)混合物、
Imwitor 780 K: Sasol社により販売されている、コハク酸でエステル化されたイソステアリン酸のモノおよびジグリセリド
D5:シクロペンタシロキサン
シリコーンガム:Mirasil Cの名称で販売されている(RhodiaのDPDM)、ポリジフェニルジメチルシロキサンおよびシクロペンタシロキサン(15/85)の混合物
ナイロンパウダー:Orgasol(登録商標) 2002 extra D NAT COSの名称でAtofinaにより販売されているナイロンパウダー
10%の顔料は:
トリイソプロピルイソステアロイルチタネートで被覆した黄酸化鉄(KoboのBYO-I 2)を1.43%
トリイソプロピルイソステアロイルチタネートで被覆した褐色酸化鉄(KoboのBRO-I 2)を0.46%
トリイソプロピルイソステアロイルチタネートで被覆した黒酸化鉄(KoboのBBO-I 2)を0.22%
トリイソプロピルイソステアロイルチタネートで被覆した二酸化チタン(KoboのBTD-401)を7.89%
含む
【0247】
その後、各組成物の移行指数を以下の測定プロトコールに従って皮脂存在下で測定した。
【0248】
ネオプレンフォームの層で構成される基材(正方形40mm×40mm)で、1つの面に粘着性があるもの(RE70X40 212Bの名称でJoint Technique Lyonnais Indにより販売されている)を用意する。内径24mmで厚さ約250μmをもつ粘着性クラウンを基材の非粘着面に取り付ける。組成物をクラウンの内側に塗布し、スライドグラスで平らにして組成物の付着物が約250μmの厚さになるようにし、次いでクラウンを外して付着物を37℃で20時間、オーブン中で乾燥させる。
【0249】
次に、検力計(Imada Co. LtdのDPS-5R)を備えた圧縮機(Imada Co. LtdのStatif Manuel SV-1)に取り付けた直径27mmの末端部に、基材をその粘着面で付着させる。
【0250】
写真品質のコート紙(参照名 Epson S041061、102g/m2)に幅4cm、長さ21cmの帯を描き、この帯の中に縦方向に4.2cmの長さのボックスを5個描く。紙を圧縮機の台に置く。
【0251】
最初のボックスの中央に10μlの人工皮脂を1滴垂らす。この人工皮脂は以下の組成を有する:
‐ トリオレイン 29%
‐ オレイン酸 28.5%
‐ オレイン酸オレイル 18.5%
‐ スクワレン 14%
‐ コレステロール 7%
‐ パルミチン酸コレステリル 3%
【0252】
次いで、基材(組成物の試料を含む)を、約4kgの力を5秒間加えて、紙の帯の最初のボックスに押し付ける。次いで、基材が帯の長さ全体に接触するように、紙を一定の直線的動きで帯の全長にわたり移動させる。帯の移動速度は約10cm/秒である。
【0253】
次いで、紙片上に付着した製品の跡を視覚的に観察する。0.5きざみで0から5までの範囲のグレードを、横断した最初のボックスから5番目まで、適宜、完全にまたは部分的に製品の跡が付いたボックスの数の関数として与える。
【0254】
着色がないある種の製品に関して、製品の跡が見えるようにするために視覚化のステップが必要でありうる。一例として、移行した製品との接触により着色反応を起こすことができる化合物を使用する。別の例によれば、可視域において少なくともいくらかのUV放射(ウッドランプ)を出す活性成分を試験される製品に配合する。
【0255】
グレード5は、観察で、紙と基材の間に相対移動が起こった後で、基材上に製品が実質的に残っていない(10%以下)場合に与えられる。この場合、移行は、全部であると称してよい。
【0256】
グレード5はまた、基材に残っている製品の量とは無関係に、製品の跡が5番目のボックスを超えて伸びている場合にも与えられる。
【0257】
グレード0は、支持体上に存在する製品が紙の帯に全く移行していない場合に与えられる。目に見える跡はシート上に観察されない。移行はないと称してよい。
【0258】
慣例により、ボックスnとボックスn+1の間を分けている線は、ボックスnの一部を形成するものとする。
【0259】
以下の表は、その他のグレードが、製品の跡がそこで終わっているボックス1から5における点数の関数として与えられる方式を説明している。これらのグレードについては多かれ少なかれ製品が基材上に残る。移行は部分的である。
【0260】
【表3】

【0261】
得られた結果は以下の通りである:
グラフトポリマーが炭素系マクロモノマーを含む組成物:
【0262】
【表4】

【0263】
炭素系マクロモノマーを含むグラフトポリマーを含む組成物(実施例7、9、10および例12)については、本発明の実施例7、9および10の組成物(これらについてはグラフトポリマーがアクリル酸を含む)は、例12の組成物によって形成された付着物の移行指数よりも小さい移行指数(それぞれ0.5、0.5および3.5)を有する付着物を形成することがわかった。例12は (グラフトポリマーがアクリル酸を含まないために)本発明には含まれず且つその移行指数は4.5である。
【0264】
グラフトポリマーがシリコーン系マクロモノマーを含む組成物:
【0265】
【表5】

【0266】
シリコーン系マクロモノマーを含むグラフトポリマーを含む組成物(実施例8および11)に関して、本発明の実施例2の組成物(これについてはグラフトポリマーがアクリル酸を含む)は移行指数0.5を有する付着物を形成し、この移行係数は例12の組成物によって形成された付着物について得られた移行指数3.5よりも小さい。例12は本発明には含まれない。
【0267】
本発明の実施例7、8および9の組成物は、最も優れた非移行性(指数0.5)を示すことも観察され、アクリル酸の存在、特にグラフトポリマー中における20%および50%のレベルでの存在は、所望する非移行性に貢献することが効果的に確認された。
【0268】
(実施例13)
以下の組成のマスカラを調製する。
【0269】
【表6】

【0270】
この組成物は、標準的方法で、水中ワックス型エマルションの高温形成により調製できる。
【0271】
ワックスおよびステアリン酸を含む脂肪相(A相)を構成成分の混合物が完全に融けるまで加熱する。続いて、実施例2のポリマー分散液および原料を撹拌しながら油相に加える。同時に、中和剤(トリエタノールアミン)を含む水相(B相)とゲル化ポリマーを少なくとも脂肪相と同じ温度にまで加熱する。次いで、エマルションの高温形成をするために、激しく撹拌(3,000rpm)しながら水相を油相に加える。撹拌と温度を約30分間維持する。
【0272】
次いで、組成物が常温に戻るまで、穏やかなパドル撹拌を行う。
【0273】
(実施例14)
以下の組成のリップスティックを調製した:
‐ 水添ポリイソブテン(パールリーム油) 5.2g
‐ ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレート(AveciaのOctacare DSPOL300) 0.2g
‐ イソ酪酸酢酸スクロース(Eastman ChemicalのEastman SAIB) 5g
‐ C30〜C50脂肪族アルコールとC30〜C50炭化水素の混合物(80/20)(New Phase TechnologiesのPerformacol 550) 2g
‐ 顔料 8.2g
‐ ポリエチレンワックス(New Phase TechnologiesのPerformalene 500 polyethylene) 10g
‐ 実施例4のポリマー分散液 68.82g
‐ 香料 適量
【0274】
パールリーム(Perleam)油、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)ステアレートおよびイソ酪酸酢酸スクロースを約60℃に加熱しながら混合する。この混合物をトリプルロールミルに3回通すことにより、混合物を用いて顔料ミルベースを作る。
【0275】
次いで、顔料ミルベースとポリエチレンワックスを100℃に加熱しながら混合する。その後、撹拌しながらポリマー分散液を加え、続いて香料を加える。
【0276】
この処方を42℃で型に流し込み、次いでフリーザーに入れる。続いて生成したスティックを型から外す。
【0277】
このリップスティックは、耐移行性の良好なメークアップ結果を得ることを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフトアクリル系ポリマーの粒子の液体脂肪相中の分散液を含み、前記グラフトポリマーが少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび少なくとも1種のマクロモノマーを重合させることにより得られる、化粧用組成物。
【請求項2】
前記グラフトアクリル系ポリマーが、前記液体脂肪相に溶解しないアクリル骨格、および前記骨格と共有結合し且つ前記液体脂肪相に溶解する側鎖を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記グラフトアクリル系ポリマーが、グラフトポリマー粒子表面上の追加の安定化剤なしで分散されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
分散液中のグラフトアクリル系ポリマーが、
‐ 不溶性の骨格を形成するための、少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび、任意選択で少なくとも1種の追加的な、非酸性の非アクリル系ビニルモノマーと、
‐ 側鎖形成のための重合可能な末端基を含む少なくとも1種のマクロモノマーであって、前記マクロモノマーが200以上の重量平均分子量を有し、重合したマクロモノマーの量がポリマーの0.05重量%から20重量%に相当するマクロモノマーとの、
有機重合媒体中でのフリーラジカル重合によって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸性エチレン系モノマーが、少なくとも1のカルボン酸、リン酸またはスルホン酸官能基を含む(メタ)アクリル系モノマー、少なくとも1のカルボン酸、リン酸またはスルホン酸官能基を含む非(メタ)アクリルビニルモノマー、及びこれらの塩、から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記酸性エチレン系モノマーが、(メタ)アクリル酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、およびこれらの塩、から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記酸性エチレン系モノマーが、(メタ)アクリル酸であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酸性エチレン系モノマーが、ポリマーの全重量に対して、5重量%から80重量%、好ましくは10重量%から70重量%、さらに優先的には15重量%から60重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸性エチレン系モノマーが、(メタ)アクリル酸から選択される主酸性モノマー、および任意選択で、(メタ)アクリル酸とは異なる追加の酸性モノマー、ならびにこれらの塩、を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記追加の酸性モノマーが、アクリルアミドスルホン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、およびこれらの塩、から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記(メタ)アクリル酸が、ポリマーの全重量に対して、少なくとも5重量%、特に5重量%から80重量%の範囲、好ましくは少なくとも10重量%、特に10重量%から70重量%の範囲、優先的には少なくとも15重量%、特に15重量%から60重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記追加の酸性モノマーが、ポリマーの全重量に対して、0.1重量%から20重量%の範囲、好ましくは5重量%から15重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記非酸性アクリル系モノマーが、単独または混合物として、以下のモノマー及びそれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
‐ (i) 式:
【化1】

の(メタ)アクリレート
〔式中、
‐ R1は、水素原子またはメチル基を示し、
‐ R2は、
‐1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基(前記基は任意にその鎖中にO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含み;かつ/または任意に-OH、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)および、直鎖または分枝状C1〜C4アルキル基から選択されて同一でも異なっていてもよいR'およびR''を有する-NR'R''から選択される1つまたは複数の置換基を含み; かつ/または任意に、少なくとも1つのポリオキシアルキレン基、特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンで置換されており、前記ポリオキシアルキレン基は5から30のオキシアルキレン単位の繰返しからなる);
‐3から6個の炭素原子を含む環状アルキル基(前記基は任意にその鎖中にO、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含みかつ/または任意にOHおよびハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)から選択される1つまたは複数の置換基を含む);
から選択される基を表す。〕
(ii) 式:
【化2】

の(メタ)アクリルアミド
〔式中、
‐ R3は、水素原子またはメチル基を示し、
‐ R4およびR5は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基(前記基は-OH、ハロゲン原子(F、Cl、BrまたはI)および、直鎖または分枝状C1〜C4アルキルから選択されて同一でも異なっていてもよいR'およびR''を有する-NR'R''から選択される1つまたは複数の置換基を含む)を表し;あるいは
‐ R4は、水素原子を表し、且つR5は、1,1-ジメチル-3-オキソブチル基、およびこれらの塩を表す。〕
【請求項14】
前記非酸性アクリル系モノマーが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートおよびイソブチル(メタ)アクリレート;メトキシエチル(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート;トリフルオロエチルメタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート; ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ならびにこれらの塩から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記非酸性アクリル系モノマーが、メチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記非酸性アクリル系モノマーが、C1〜C3アルキル(メタ)アクリレートから選択されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記グラフトアクリル系ポリマーが、追加の非アクリル系ビニルモノマーを含まないことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記グラフトアクリル系ポリマーが、1つまたは複数の追加の非酸性非アクリル系ビニルモノマーの存在下での重合により得られることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記非酸性非アクリル系の追加のビニルモノマーが、
‐ 式:R6-COO-CH=CH2のビニルエステル
(式中、R6は、1から6個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基、あるいは3から6個の炭素原子を含む環状アルキル基および/または芳香族基、例えばベンゼン、アントラセンまたはナフタレンタイプ、を表す)、
‐ 少なくとも1つの3級アミン官能基を含む非酸性非アクリル系ビニルモノマー、例えば2-ビニルピリジンまたは4-ビニルピリジンなど、
‐ およびこれらの混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記グラフトポリマーが、アクリル系モノマー+任意選択の非アクリル系ビニルモノマーの混合物の全重量に対して50重量%から100重量%、好ましくは60重量%から100重量%、優先的には70重量%から100重量%のアクリル系モノマーを含むことを特徴とする、請求項17から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記マクロモノマーが、鎖末端の少なくとも一方に、ビニル基または(メタ)アクリレート基、さらに好ましくは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を含むことを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記マクロモノマーが、300以上、優先的には500以上、より優先的には600以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記マクロモノマーが、200から100,000の範囲、好ましくは500から50,000の範囲、優先的には800から20,000の範囲、より優先的には800から10,000の範囲、さらにより優先的には800から6,000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記重合したマクロモノマーが、ポリマーの全重量の0.1重量%から15重量%、好ましくは0.2重量%から10重量%、優先的には0.3重量%から8重量%に相当することを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記液体脂肪相が、
‐ 18(MPa)1/2以下の、好ましくは17(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する液体有機化合物、
‐ 20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有するモノアルコール、および
‐ これらの混合物、
から選択される液体有機化合物を含むことを特徴とする、請求項1〜24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記液体脂肪相が、揮発油を含むことを特徴とする、請求項1〜25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記液体脂肪相が、非シリコーン系液体脂肪相であることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記非シリコーン系液体脂肪相が、少なくとも50重量%の、
‐ 18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する非シリコーン系有機液体化合物、
‐ 20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する液体モノアルコール、および
‐ これらの混合物、
から選択される少なくとも1種の非シリコーン系有機液体化合物からなることを特徴とする、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記非シリコーン系液体脂肪相が、50重量%未満の、18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有するシリコーン系液体有機化合物を含むことを特徴とする、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
前記非シリコーン系液体脂肪相が、シリコーン系液体有機化合物を含まないことを特徴とする、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項31】
前記マクロモノマーが、炭素系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項27から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記炭素系マクロモノマーが、
‐ (i)ビニルまたは(メタ)アクリレート基から選択される重合可能な末端基を含む、直鎖または分枝状C8〜C22アルキルアクリレートまたはメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、
‐ (ii)重合可能なエチレン系不飽和末端基を含むポリオレフィン、
から選択されることを特徴とする、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記炭素系マクロモノマーが、
‐ (i)モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ドデシルアクリレート)マクロモノマー、ポリ(ドデシルメタクリレート)マクロモノマー、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ステアリルアクリレート)マクロモノマー、およびモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマー、
‐ (ii)ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーのマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーのマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、ポリイソプレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、
ポリ(エチレン/ブチレン)ポリイソプレンマクロモノマー、(メタ)アクリレート末端基を有するこれらのマクロモノマー、
から選択されることを特徴とする、請求項31または32に記載の組成物。
【請求項34】
前記炭素系マクロモノマーが、
‐ (i)モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー、およびモノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリ(ドデシルアクリレート)マクロモノマー、
‐ (ii)ポリ(エチレン/ブチレン)メタクリレート、
から選択されることを特徴とする、請求項31から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記グラフトポリマーが、
特にイソドデカン中での、メチルアクリレート/アクリル酸モノマーおよびメタクリレート末端基を有するポリエチレン/ポリブチレンマクロモノマー、
の重合によって得られるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項31から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記グラフトポリマーが、非シリコーン系グラフトポリマーであることを特徴とする、請求項27から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
非シリコーン系グラフトポリマーが、ポリマーの全重量に対して7重量%を超えないシリコーン系マクロモノマーを任意選択で含む炭素系マクロモノマーを主に含むことを特徴とする、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
前記シリコーン系グラフトポリマーが、炭素系マクロモノマーを含まないことを特徴とする、請求項36または37に記載の組成物。
【請求項39】
前記液体脂肪相が、シリコーン系液体脂肪相であることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記シリコーン系液体脂肪相が、少なくとも50重量%の、18(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有するシリコーン系有機液体化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン系有機液体化合物からなることを特徴とする、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記シリコーン系有機液体化合物が、揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項29または40に記載の組成物。
【請求項42】
前記揮発性シリコーン油が、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、およびこれらの混合物、から選択されることを特徴とする、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
前記シリコーン系有機液体化合物が、不揮発性シリコーン油を含むことを特徴とする、請求項29または40に記載の組成物。
【請求項44】
前記不揮発性シリコーン油が、不揮発性ポリジアルキルシロキサン;ペンダントとしてまたはシリコーン鎖末端に存在するアルキル、アルコキシまたはフェニル基を含み、これらの基が2から24個の炭素原子を含む、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン;脂肪酸(特にC8〜C20の脂肪酸)、脂肪族アルコール(特にC8〜C20の脂肪族アルコール)またはポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン)で修飾されたポリシロキサン;アミノポリシロキサン;ヒドロキシル基を含むポリシロキサン; ペンダントとしてまたはシリコーン鎖末端に存在し、1から12個の炭素原子を含み、その水素原子の全てまたは一部がフッ素原子で置換されているフッ素化された基を含むフルオロポリシロキサン;ならびにこれらの混合物、から選択されることを特徴とする、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記液体脂肪相が50重量%未満の非シリコーン系液体有機化合物を含むことを特徴とする、請求項39から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記非シリコーン系液体有機化合物が、18(MPa)1/2未満のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する非シリコーン系液体有機化合物、20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する液体モノアルコール、およびこれらの混合物、から選択されることを特徴とする、請求項28または45に記載の組成物。
【請求項47】
18(MPa)1/2未満のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する前記非シリコーン系液体有機化合物が、単独または混合物の、炭素系、炭化水素系およびフッ素油; 任意選択で揮発性の、直鎖または分枝状および/または環状アルカン;エステル、特に少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖または分枝状エステル;ケトン、特に少なくとも6個の炭素原子を有するケトン;ならびに、エーテル、特に少なくとも6個の炭素原子を有するエーテル、から選択されることを特徴とする、請求項28または46に記載の組成物。
【請求項48】
20(MPa)1/2以下のハンセン溶解度空間に基づく包括的溶解度パラメータを有する前記液体モノアルコールが、炭化水素鎖が置換基を含まない、6から30個の炭素原子を有する脂肪族モノアルコール、特にオレイルアルコール、デカノールおよびリノレイルアルコールから選択されることを特徴とする、請求項28または46に記載の組成物。
【請求項49】
前記液体脂肪相が非シリコーン系揮発油を含むことを特徴とする、請求項28、47、または49に記載の組成物。
【請求項50】
前記非シリコーン系揮発油が、イソドデカン、イソデカン、およびイソヘキサデカンから選択されることを特徴とする、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
前記液体脂肪相が非シリコーン系液体有機化合物を含まないことを特徴とする、請求項39から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記マクロモノマーがシリコーン系マクロモノマーであることを特徴とする、請求項39から51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記シリコーン系マクロモノマーが、オルガノポリシロキサンマクロモノマー、好ましくはポリジメチルシロキサンマクロモノマーであることを特徴とする、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
前記マクロモノマーが、モノ(メタ)アクリレート末端基を有するポリジメチルシロキサン、特にモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンであること特徴とする、請求項40または41に記載の組成物。
【請求項55】
前記シリコーン系マクロモノマーが、下記の式(II):
【化3】

(式中、R8は、水素原子またはメチル基を示し;
R9は、1から10個の炭素原子を有しかつ任意選択で1個または2個のエーテル結合-O-を含む二価の炭化水素系基を示し;R10は、1から10個、特に2から8個の炭素原子を有するアルキル基を示し;nは1から300の範囲、好ましくは3から200の範囲、さらに優先的には5から100の範囲の整数を示す)
のマクロモノマーから選択されることを特徴とする、請求項52から54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記グラフトポリマーが、
特にデカメチルシクロペンタシロキサンまたはフェニルトリメチコン中で、メチルアクリレート、アクリル酸、および800から6,000の重量平均分子量を有するモノメタクリロイルオキシプロピルポリジメチルシロキサンマクロモノマー
を重合させることによって得られるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項39から55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記グラフトポリマーがシリコーン系グラフトポリマーであることを特徴とする、請求項39から56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記シリコーン系グラフトポリマーが、任意選択でポリマーの全重量に対して7重量%以下の炭素系マクロモノマーを含むシリコーン系マクロモノマーを主に含むことを特徴とする、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記シリコーン系グラフトポリマーが炭素系マクロモノマーを含まないことを特徴とする、請求項57または58に記載の組成物。
【請求項60】
前記グラフトポリマーが、10,000と300,000の間、特に20,000と200,000の間、よりよくは25,000と150,000の間の重量平均分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1〜59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
前記グラフトポリマーの粒子が、10から400nmの範囲、好ましくは20から200nmの範囲の平均サイズを有することを特徴とする、請求項1〜60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
前記グラフトアクリル系ポリマーが、皮膜形成性ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記グラフトポリマーが、組成物の全重量に対して、0.1重量%から70重量%の範囲、好ましくは0.5重量%から50重量%の範囲、優先的には1重量%から40重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1〜62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
常温において固体であり、かつワックス、ペースト状脂肪、ガム、およびこれらの混合物、から選択される少なくとも1つの脂肪物質を含むことを特徴とする、請求項1〜63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
組成物の全重量に対して、0.1重量%から50重量%、好ましくは1重量%から30重量%のワックスを含むことを特徴とする、請求項1〜64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
着色剤を含むことを特徴とする、請求項1〜65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
前記着色剤が特に顔料および真珠光沢顔料から選択される粉状着色剤であることを特徴とする、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
無水形態であることを特徴とする、請求項1〜67のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項69】
ビタミン、保湿剤、増粘剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、塩基性化および酸性化剤、防腐剤、可塑剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、脱毛防止剤、フケ防止剤、推進剤またはこれらの混合物、から選択される化粧品用成分を含むことを特徴とする、請求項1〜68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)、または多相(W/O/Wまたは多価アルコール/O/WまたはO/W/O)エマルションの形態、クリーム、ペースト、ムース、ベシクル分散液、特にイオン性または非イオン性脂質のベシクル分散液の形態、あるいは2相または多相ローション、あるいはスプレー、パウダーまたはペーストの形態であることを特徴とする請求項1〜69のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項71】
無水形態であることを特徴とする請求項1〜70のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項72】
ケラチン物質のメークアップまたはケアのための組成物であることを特徴とする請求項1〜71のいずれか一項に記載の化粧用組成物。
【請求項73】
請求項1から63のいずれか一項に記載の液体脂肪相中のグラフトアクリル系ポリマー粒子の分散液、および少なくとも1種の着色剤、特に顔料、真珠光沢顔料、または光学的効果を有する任意の他のフィラーを含む化粧用組成物。
【請求項74】
a)少なくとも1つのコンパートメントの範囲を定める容器であって、前記容器が閉鎖部材によって閉じられている容器、および
b)前記コンパートメント内に配置された組成物であって、請求項1〜73のいずれか一項に記載の組成物、
を含む化粧用アセンブリ。
【請求項75】
前記容器が少なくとも部分的に、少なくとも1種の熱可塑性素材で形成されていることを特徴とする、請求項74に記載の化粧用アセンブリ。
【請求項76】
前記容器が少なくとも部分的に少なくとも1種の非熱可塑性素材、特にガラスまたは金属の熱可塑性素材で形成されていることを特徴とする、請求項74に記載の化粧用アセンブリ。
【請求項77】
前記容器を閉鎖する位置において、前記閉鎖部材が、容器にねじ留めされることを特徴とする、請求項74から76のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項78】
前記容器を閉鎖する位置において、前記閉鎖部材が、ねじ留め以外、特にスナップ固定、接着または溶接により容器と連結されていることを特徴とする、請求項74から76のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項79】
前記組成物がコンパートメント内で実質上大気圧下にあることを特徴とする、請求項74から78のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項80】
前記組成物が容器内で加圧されていることを特徴とする、請求項74から78のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項81】
請求項1から73の一項に記載の化粧用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚をメークアップまたはケアするための化粧方法。
【請求項82】
付着、特に、良好な耐移行性を特に皮脂、汗または水の存在下で有する、ケラチン物質上へのメークアップの付着を得るための請求項1から73の一項に記載の組成物の使用。
【請求項83】
液体脂肪相中の分散液におけるグラフトアクリル系ポリマー粒子の分散液の化粧用組成物における使用であって、前記グラフトアクリル系ポリマーが、付着、特に、良好な耐移行性を特に皮脂、汗または水の存在下で示す、ケラチン物質上へのメークアップの付着を得るために、少なくとも1種の酸性エチレン系モノマー、少なくとも1種の非酸性アクリル系モノマーおよび少なくとも1種のマクロモノマーを重合させることにより得られる分散液の化粧用組成物への使用。

【公表番号】特表2006−509809(P2006−509809A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559830(P2004−559830)
【出願日】平成15年12月12日(2003.12.12)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003707
【国際公開番号】WO2004/055077
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】