説明

ポリマーカプセル化顔料

本発明は、カプセル化顔料に関する。顔料は、第1のポリマー層及び第2のポリマー層によってカプセル封入されていてよく、第2のポリマー層は、第1のポリマー層及び/又は顔料をカプセル封入する。第1のポリマー層は、2重量%未満の重合酸モノマーを有していてよい。第2のポリマー層は、第1のポリマー層より親水性であり、おおよそ1.5:1より大きな第1のポリマー層と第2のポリマー層との重量比で、存在していてよい。カプセル化顔料を形成する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
インクジェットインクの化学の分野においては、市販のインクジェットインクの大部分は水ベースである。よって、その構成成分は、一般に、多くの染料の場合に水溶性、又は顔料の場合には水分散性である。様々な種類のポリマーカプセル化顔料(ポリマーで封入された、つまりカプセル化された顔料)が知られているが、そのような顔料のポリマーの化学的性質は、典型的には、多くのインクジェットインク及びプリントヘッドでの使用において、適合性がないか又は効果が乏しい。例えば、多くのものが、サーマルインクジェットプリントヘッドでの使用に適さない。そのような組成物は、ペンの発射チャンバの高い熱剪断条件下で凝集し、ノズル及びインクチャネルをブロックしてしまうか又は室温での印刷膜形成を阻止するような過度に高いガラス転移温度を有する傾向がある。よって、そのようなポリマーカプセル化顔料をサーマルインクジェットインク中に組み込んだ場合、結果として、ペンの信頼性が損なわれた又は印刷耐性の乏しい着色剤性能が得られることとなり得る。さらに、ポリマーカプセル化顔料の中には、カプセル材料の少なくとも一部を、周りの水相中へと放出し、意図せずともインクの化学的又は物理的特性を変化させてしまうものもある。そのようなことは、酸を含むカプセルポリマーの場合に生じることが多い。結局のところ、ポリマーカプセル化顔料は、顔料の所望の品質が不都合な性質とバランスされるように調製される場合が多い。例えば、顔料の安定性、耐性及び信頼性は互いに反目する場合が多い。カプセル化顔料粒子を耐性に関して最適化させると、典型的には、発射性能の低下がみられる。同様に、発射に関して最適化されたカプセル化顔料粒子は、溶液中で不安定となることが多い。
【発明の概要】
【0002】
本発明を開示し説明する前に、本発明はここに開示の特定のプロセスのステップ及び材料に限定されるものではないことを理解されたい。それというのは、そのようなプロセスのステップ及び材料は多少は変更可能であるからである。また、ここで使用されている用語が特定の態様のみを説明する目的で用いられていることも理解されたい。そのような用語は限定を意図するものではなく、本発明の範囲は、付随する特許請求の範囲及びそれと同等のものによってのみ限定されることを意図している。
【0003】
本明細書及び付随する特許請求の範囲で使用されているように、単数形である「a」、「an」及び「the」は(単数形の用語は)、文脈上明らかに別のことを指示しているのでなければ、複数形のものも含むことに留意されたい。
【0004】
ここで用いる限り、「液体ビヒクル」とは、その中に顔料粒子を分散させた液体を示す。液体ビヒクルは、当分野で公知であり、本発明の態様に応じて、広範な液体ビヒクルが使用可能である。そのような液体ビヒクルは、様々な異なる薬剤の混合物を含んでいてよく、その中には、界面活性剤、溶剤、共溶剤、緩衝剤、殺生物剤、増粘剤、金属イオン封鎖剤、安定化剤及び/又は水が非限定的に含まれる。
【0005】
「層」という用語は、具体的には、様々な性質及び外観の組成物を含むように定義されている。例えば、層は、その他の材料の表面に吸収されているか、そのような表面と化学的に反応せしめられたものであるか、又はそのような表面に塗布されている組成物であってよい。そのような層は、完全であるか、実質的に完全であるか、又は不完全である、つまり不連続なエリア又は領域を含んでいてよい。さらに、第1の層及び第2の層の議論は、そのような材料が互いの表面上に重ねられて塗布されていることを必ずしも示唆しておらず、例えば両方が、共通の基体上に被着されていてもよい。しかし、いくつかの態様では、層は互いに重ねられて被着されていて、複数層からなる構造が形成されている。ここで用いる限り、「複数」という語は1つ以上を指す。例えば、複数のモノマーは、少なくとも2つのモノマーを指す。
【0006】
ここで用いる限り、「約」という語は、数値範囲の終端点に、所与の値がその終端点を「わずかに超える」又は「わずかに下回る」ことになり得るようにすることでフレキシビリティーを与えるために使用される。この語によるフレキシビリティーの度合いは、特定の変数によって記述することができ、当業者の知識の範囲内で、経験及びここに記載の関連する説明に基づいて決定されるものであってよい。
【0007】
「実質的に含まない」という用語は、特定の化合物又は組成物が全く存在しない又はほとんど全く存在しないことを指す。例えば、組成物が酸を実質的に含まないであるという場合、組成物中に酸がないか又は組成物中に酸が微量しかない。同様に、「実質的に」という語は、作用、性質、特性、状態、構造、要素又は結果の完全な又はほとんど完全な範囲又は度合いを指す。絶対的な完全からの許容可能な逸脱の正確な度合いは、場合によって特定の内容に依存する。しかし、一般に、完全への近さの程度は、絶対的で全面的な完全が得られている場合と同じ又はそれに似た全体としての結果が得られるものとなろう。
【0008】
「顔料」は、液体ビヒクル中に懸濁又は溶媒和されていてよい色を付与する粒子及び他の物質を含む。
【0009】
ここで用いる限り、複数の要素、組成の成分及び/又は材料は、便宜上、共通の列記中に表示されていてよい。しかし、この列記は、列記された各構成成分が別々の固有の構成成分として個々に識別されるよう解釈されるべきである。よって、そのような列記中の個々の構成成分はいずれも、反対のことを意味する指示がない限り、共通の群中に表示されていることのみを根拠として、同じ列記の中の他のいかなる構成成分とも事実上同等として解釈されるべきでない。
【0010】
濃度、量及び他の数値データは、ここでは、範囲の形式で表現又は表示されていてよい。そのような範囲の形式は、便宜上且つ簡潔さのために使用されていると理解されたく、よって、その範囲の限界として明確に記載された数値のみを含むばかりではなく、前記範囲内に包含される全ての個々の数値又は下位範囲もその数値及び下位範囲のそれぞれが明確に記載されているかのように含むと柔軟に解釈されるべきである。例えば、「0.1重量%〜5重量%」という濃度範囲は、明確に記載された0.1重量%〜5重量%という濃度のみばかりではなく、その示された範囲内の個々の濃度及び下位範囲をも含むと解釈されるべきである。よって、この数値範囲の中には、1重量%、2重量%、3重量%及び4重量%といった個々の濃度、並びに0.1重量%〜1.5重量%、1重量%〜3重量%、2重量%〜4重量%、3重量%〜5重量%等の下位範囲が含まれる。この原則は、1つのみの数値範囲を記載して表される範囲にも当てはまる。例えば、「5重量%未満」と記載された範囲は、0重量%〜5重量%の間にある全ての値及び下位範囲を含むと解釈されるべきである。さらに、このような解釈は、記載されている範囲又は性質の幅に関わらず適用されるべきである。
【0011】
以上の定義を踏まえて、以下、カプセル化顔料について記載する。カプセル化顔料は、顔料、及びポリマーの少なくとも2つの層を含んでいてよい。第1のポリマー層は、顔料をカプセル化して(包み込んで若しくは封入して)いてよい。第2のポリマー層は、第1のポリマー層及び同様に顔料を封入していてよい。第2のポリマー層は、第1のポリマー層より親水性が大きくてよく、約1.5:1の第1のポリマー層と第2のポリマー層との重量比で存在していて。第1のポリマー層は、重合された酸モノマー2重量%未満を有していてよい。カプセル化顔料は、約500nm未満の粒径を有していてよい。さらに、カプセル化顔料を製造する方法は、水性媒体中に顔料を分散させ、前記水性媒体中で第1の群のモノマーを重合させて第1のポリマー層を形成し、第1の群とは異なる別の第2の群のモノマーを重合させ、第2のポリマー層を形成することを含んでいてよい。第1の層は、顔料を封入し、酸性モノマーを2重量%未満含んでいてよく、第2の層は、顔料及び第1の層の両方を封入していてよく、酸性モノマーを少なくとも2重量%含んでいてよい。別態様では、カプセル化顔料を製造する別の方法は、まず外側のポリマー組成物、例えば前記第2の組成物を形成し、次に第2の組成物と比較して疎水性である内側組成物を導入し、この内側組成物は、外側のポリマー組成物を通って移動し、前記第1の組成物と同様の材料の内側組成物を形成できるものである、ことを含んでいてよい。そのような移動は、動的又は熱力学的機構によって容易となり得る。この方法により調製されたカプセル化顔料は、所望の特性、例えば、大きく且つ維持される表面酸性並びにより大きな安定性を示し得る。上記層は、その各層が被着される顔料又は層を実質的に封入することができ、或いは各層が被着される顔料又は層を部分的に封入することができることに留意されたい。
【0012】
概要を記載した本発明の態様により、カプセル化顔料、顔料分散液、インクジェットインク、並びにカプセル化顔料、分散液及びインクジェットインクの製造方法のそれぞれに適用可能な様々な詳細がここに記載されている。よって、1つの特定の態様の議論は、他の関連する態様の内容に関連するし、そのような他の関連する態様の内容におけるこの議論のための根拠を提供する。
【0013】
上述のように、カプセル化顔料の製造方法は多数のステップを含んでいてよい。顔料は、少なくとも2度封入されていてよい。より具体的には、顔料は、ポリマーの区別される(区別可能な若しくは別々の)少なくとも2つの層によって封入されていてよい。そのような封入は、2つの別々の又はほとんど別々のステップにおける区別される2つの群のモノマーの重合、ひいては区別されるポリマー層によって2度封入されている顔料の形成の結果であり得る。封入層はそれぞれが独立して、完全となる(全体を覆う)には部分的であってよい。そのような封入によって、顔料の物理的特性、並びにポリマー層内の成分の位置及び量に対するより大きな制御が可能となり、最終的には、ポリマー層は、溶液中でより大きな安定性を有し且つ溶液への酸性群の損失が他のカプセル化顔料よりも小さいカプセル化顔料を製造するように選択し、生成させることができる。
【0014】
1つの局面では、カプセル化顔料の製造方法は、水性媒体中に顔料を分散させることを含む。水性媒体には、単一種の顔料を分散させることができるし、別態様では、複数の種類の顔料を分散させることができる。そのような顔料分散液は、事前分散させたものであるか又は既製のものであってよい。よって、分散液に追加的な液体ビヒクルを添加することは、所望される場合もされない場合もある。したがって、液体ビヒクル中に顔料粒子を分散させることは、いくつかの場合には、顔料粒子を含む分散液を購入し、使用することを含んでいてよい。分散液の源に関係なく、1つの局面では、追加的な成分、例えば界面活性剤及び分散剤が分散液に含まれていてよい。複数のモノマー(第1層モノマーと呼ぶ)を水性媒体中に存在させた場合、重合して第1のポリマー層を形成することができる。第1のポリマー層は、実質的に顔料を封入することができる。
【0015】
前記方法は、複数の第2層モノマーを水性媒体中に分散させることをさらに含んでいてよい。第2層モノマーは、第1層モノマーとはその組成が区別されるものであって異なっており、詳細には、第1層モノマーと異なる少なくとも1つのモノマーを含む。いくつかの態様では、第1層モノマーは、第2層モノマーと全く異なる。第1層モノマーという用語と同様に、第2層モノマーという用語も、議論を簡単にするために使用しているのであり、ポリマーカプセル化顔料の周りにポリマー層を形成するために使用されるモノマー以外のものを示唆することは意図していない。第1のポリマー層の表面上で第2層モノマーを重合させることにより、顔料及び第1のポリマー層を封入する第2のポリマー層が形成される。
【0016】
第1層及び第2層モノマーのうちいずれか又はその両方を水性媒体中で分散させることは、高エネルギー分散法によって複数のモノマーの水溶液エマルジョンを形成することを含んでいてよい。特定の態様では、エマルジョンは、従来のエマルジョンであってよく、別態様ではミニエマルジョンであってよい(mini-emulsion)。上記の高エネルギー分散法の非限定的な例は、超音波処理、ミクロ流動化(micro-fluidization、微少溶液操作)及び高圧均質化を含む。特定の態様では、前記高エネルギー分散法は超音波処理を含んでいてよい。エマルジョンを形成したら、それを顔料分散液に添加することができるし、顔料分散液をエマルジョンに添加してもよい。さらに、モノマー及び顔料を混合した後、その混合物を、任意の繰り返し回数で、再び分散装置によって再処理することができる。同様に、第2層モノマーのエマルジョンでは、エマルジョンをカプセル化顔料分散液(顔料が第1のポリマー層によって封入されているもの)に添加することができるし、カプセル化顔料を第2層モノマーのエマルジョンに添加することもできる。モノマー及び顔料を混合した後、その混合物を再び分散装置によって再処理できることにも留意されたい。各層の重合は、ニアバッチ(near-batch)又は半連続(semi-continuous)プロセスで行われてよい。例えば、プロセスにおいては、第1のポリマー層が顔料の周りに形成された後、第2のポリマー層の重合前の明確な時点があってよい。このように、バッチプロセスは、2つの別々の重合反応を示す。別態様では、半連続法を利用することができ、その場合、顔料分散液を反応装置内で帯電させ、その顔料分散液中にモノマーのプレエマルジョンを、第1の層ポリマーの形成及び第2の層ポリマーの形成において明確な中断なく連続的に供給する。1つの局面では、プロセスにおいて、第1の組成物ポリマーの形成と第2の組成物モノマーの形成との間に明確な中断があってもよい。その場合、第1の組成物と第2の組成物との間の何らかの中間組成物のポリマーの偶発的な生成を最小限に抑えるために、第2のモノマーシーケンス(monomer sequence)の導入前に第1の組成物からのほとんどの残りのモノマーが実質的に反応している状態にあることが望ましい。一態様では、2つの別々の層が、連続的な重合プロセスにおいて漸増的な変化が生じるようにして形成されているのではなく、ポリマーカプセル化顔料の形成は2つの別々の限定できる層の形成によって特定されることに留意されたい。
【0017】
モノマーの、顔料の表面及び第1の若しくは後続のポリマーカプセル層の表面のでの重合は、当分野で知られている方式で行うことができる。1つの局面では、顔料の表面は帯電していてよい。別の局面では、顔料は帯電してなくてよい。
【0018】
さらなる態様では、顔料は、2つ以上のポリマー層によって封入されていてよい。つまり、2つ以上のポリマー層を有するポリマーカプセル化顔料を製造する方法は、水性媒体中に複数の第3層モノマーを分散させることを含んでいてよい。第3層モノマーは、第2層モノマーとは組成が異なっていてよい。第3層モノマーと第1層モノマーとの関係は、組成的に異なっていても同じであってもよい。第3層モノマーは、第2のポリマー層の表面上で重合することができ、それにより、第2のポリマー層並びにひいては第1のポリマー層及び顔料を実質的に封入する第3のポリマー層が形成される。
【0019】
3つ以上の層も、同じ手法によって形成することができる。ポリマー層の数及び種類、並びによってモノマーの種類及び量の選択は、所望される使用に応じて決定することができる。カプセル化顔料を作る場合にできる1つの考慮は、最終の分子量及び粒子のサイズである。複数のカプセル層を形成することによって、カプセル化顔料の粒子質量は、自然と顔料自体の粒子質量よりも大きくなり、各カプセル層のサイズに応じて、多くの単層のカプセル化顔料よりも大きな粒子質量となる。
【0020】
第1層モノマー及び第2層モノマーは、異なる組成を有するべきであるが、両モノマーは、各組成物それぞれの中に、1つ以上の同じモノマーを含んでいてよい。モノマーは、一方の又は両方の層について、別々に又は両方とも、単一の異なるモノマーから選択されていてよいし、或いはそれぞれモノマーの混合物であってよい。顔料粒子を封入するために提供される本発明の方法により使用されるモノマーは、現在公知のあらゆるモノマーであってよい。一態様では、カプセル層のために選択されるモノマーは、アクリレート、メタクリレート又は他のビニル含有モノマー、例えばスチレンを本質的に含む又はそれからなっていてよい。モノマーの非限定的な例は、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、メタクリル酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、スチレン、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、二官能性/多官能性アクリレート/メタクリレート/ビニルモノマー、並びにそれらの混合物を含む。ここに規定の方法により生成されたカプセル化顔料は、顔料、顔料を封入する第1のポリマー層、並びに第1のポリマー層を封入し、及びひいては顔料も封入する第2のポリマー層を含む。第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、所与の用途に関連する又は互いに適合性のある層を生成可能であることに関連する場合には、互いに調和がとれるよう選択することができる。1つの局面では、第2層モノマーは、第1層モノマー及び封入プロセスで使用される量に基づいて選択することができる。各ポリマー層のモノマー及び使用される量(ひいては得られるポリマー層の厚み)はいずれも、カプセル化顔料の最終的な特性を変え得る。特定の態様では、第2のポリマー層は、第1のポリマー層よりも親水性であってよい。そのような構成によって、水性系中でより大きな安定性を得ることができる。
【0021】
様々な重量比が、本発明の設計によって示されている。1つの局面では、第1のポリマー層と第2のポリマー層との重量比は、おおよそ1.5:1より大きくてよい。別の態様では、重量比は、おおよそ2.5:1より大きくてよい。このような重量比は、より長さが長く又は厚い場合が多い第1のポリマー層であって、カプセル化顔料の外側部分上においてより薄いポリマー層を備えているもの意味している。特定の態様では、第1のポリマー層と第2のポリマー層との重量比は、おおよそ1.5:1より大きく、且つ第2のポリマー層は第1のポリマー層よりも親水性であってよい。1つの局面では、カプセル化顔料は、約500nm未満、又は約300nm未満の粒径を有していてよい。
【0022】
1つの局面では、1つの又は両方のポリマー層は、架橋剤を含んでいてよい。特定の態様では、第1のポリマー層は架橋剤を含んでいてよい。別の局面では、連鎖移動剤(chain transfer agent)が、1つ以上のポリマー組成物中に含まれていてよい。特定の態様では、第2のポリマー組成物が連鎖移動剤を含んでいてよい。
【0023】
各ポリマー層に対して使用するためにモノマーの量及び種類を選択する際、カプセル化顔料の物理的特性、例えば耐性、噴射性、印刷性及び/又は安定性を向上させることが望ましい場合が多い。典型的には、上記特性はある程度まで反比例の関係にある、つまり、1つの特性を向上させると自然にそれ以外の特性の少なくとも1つの機能性が低下してしまう。しかし、ここに記載のカプセル化顔料のいくつかの構成では、上述の特性の多く又は全てさえもを向上させることができ、それにより、大きく改善されたカプセル化顔料が提供される。
【0024】
ポリマー層中の酸濃度は、水性ベースの溶液中の顔料の発射性能及び安定性を向上させることができる。この酸は、典型的には、カプセル化顔料の表面に極めて近くに、例えば粒子と液体媒体のような周囲環境との境界に配置されていると最も有用である。典型的には、カプセル材料における高い酸濃度は、水相での酸含有オリゴマー及びポリマーのレベルの顕著な上昇をもたらし得る。インクの場合、液体ビヒクル中の酸の増大は、インク特性を大きく変化し得るし、インク成分及び/又はインク全体の有用性に影響を与え得る。
【0025】
しかし、ここに記載のカプセル化顔料は、表面により近いところを除き、より低い量で酸を含有するように構成されていてよく、それにより、水相のポリマー酸の増大をもたらし得る酸の量が減少する一方、カプセルポリマー全体にわたって酸を含有することの利益が維持又は向上する。特定の態様では、酸のバルクが、第2の又は最も外側のカプセル層中に存在する。さらに、一態様では、第1のポリマー層は、重合された酸モノマー2重量%未満含んでいてよい。さらに別の態様では、第1のポリマー層は、酸を実質的に含まないでいてよい。酸が、内側の又は第1のポリマー層に存在しているのは好ましくないが、存在していてよく、より詳細には、外側の又は第2のポリマー層中に酸を含むことが望ましい。一態様では、カプセル化顔料は、重合された酸モノマーを少なくとも2重量%含む第2のポリマー層を有していてよい。追加的な態様では、カプセル化顔料は、重合された酸モノマーを約5重量%より多く有する、特に重合された酸モノマーを特に約8重量%より多く有する第2のポリマー層を有していてよい。別の局面では、このような第2の組成物の酸濃度は、計算値であってよい。カプセル化顔料が第2のポリマー層中に酸性重合モノマーを約5重量%より多く有するさらに別の態様では、水性媒体が、水性媒体中に酸を2重量%未満含んでいてよい。さらに、酸が第2のポリマー層中に主として又はのみに含まれている場合には、カプセルポリマー中の酸の全量は低減し得る。その結果、水相中に分離(放出)される又は溶解する酸の量が減少し、これはひいては改善された長期安定性をもたらす。つまり、噴射性及び安定性の両方が同時に改善される。
【0026】
別の態様では、第1層モノマーは親水性モノマーを実質的に含まないでよく、一方、第2層モノマーは高濃度の親水性モノマーを含んでいてよい。親水性モノマーの非限定的な例は、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシルエチルメタクリレート及びアクリルアミドを含む。特定の態様では、HEAは、第2の又は最も外側のポリマー層を形成するために使用されるカプセルモノマー中に含まれていてよい。HEAの親水性の性質によって、改善された分散及び噴射が得られるが、インクの乾燥に関する難しさが増大するので、取り扱いが難しくなり得る。本発明のカプセル構成で使用する場合には、HEAの全体の含有量を減少させることができ、その際、第2層モノマー中にHEAを含有させる。第2層モノマーとして使用し且つ第1層モノマー中には存在させず又は最小量で存在させた場合、HEAは分散及び噴射を改善し、あったとしてもインクの乾燥への影響は最小限である。
【0027】
さらに別の態様では、第1のポリマー層は、第2のポリマー層のものより低いガラス転移温度(Tg)を有していてよい。高いTgのラテックス粒子は噴射が容易であり、一方、より低いTgのラテックス粒子は、より柔らかく、抵抗体に付着し、印刷の問題を生じさせる傾向があることが知られている。しかし、高いTgを有するラテックス粒子は、媒体への接着が弱く、過剰の加熱なしで膜を形成するのは時間的に困難である。多層中の顔料を封入するために、第1のポリマー層が第2のポリマー層のTgより低いTgを有するようにモノマーを選択することによって、硬い粒子を噴射する利益を維持することができ、膜形成及び付着の問題は、より低いTgを有する第1のポリマー層の存在によって抑えることができる。特定の態様では、第1のポリマー層のTgは、約0℃〜約105℃であってよく、且つ/又は第2のポリマー層は、約75℃〜約125℃のTgを有していてよい。
【0028】
別態様で、カプセル化顔料を製造する別の方法は、外側ポリマー組成物、例えば第2の組成物をまず形成し、続いて、第2の組成物と比較して疎水性であり且つ外側ポリマー組成物を通って移動可能な内側組成物を導入し、第1の組成物と同様の材料の内側組成物を形成する。上記移動は、動的又は熱力学的機構によって簡単になる。
【0029】
上述のように、カプセル化顔料は、インク中に含まれていてよい。特定の態様では、インクジェットインクは、液体ビヒクル中に分散されたカプセル化顔料若しくは複数のカプセル化顔料及び/又は他の顔料を含んでいてよい。1つの局面では、インクジェットインクは、サーマルインクジェット設計構造において使用するために構成されていてよい。
【0030】
ここに記載のカプセル化顔料と共に使用することができる典型的な液体ビヒクルの調合物は、水、及び任意に1つ以上の共溶媒を含んでいてよい。さらに、1つ以上の非イオン性、カチオン性及び/又はアニオン性の界面活性剤が存在していてよい。前記調合物のバランス(残り成分)は、純水、又は当分野で公知の他のビヒクル成分、例えば殺生物剤、増粘剤、pH調節のための材料、金属イオン封鎖剤、防腐剤及びこれらに類するものを含んでいてよい。典型的には、液体ビヒクルは、主として水である。
【0031】
使用可能な共溶媒の類の非限定的な例は、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリグリコールエーテル、カプロラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、及び長鎖アルコールを含んでいてよい。そのような成分の例は、第1級脂肪族アルコール、第2級脂肪族アルコール、1,2−アルコール、1,3−アルコール、1,5−アルコール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルエーテルのより高級の同族体(ホモログ)、N−アルキルカプロラクタム、非置換カプロラクタム、置換及び非置換ホルムアミド、置換及び非置換アセトアミド、並びにこれらに類するものを含む。使用可能な溶媒の特定の例は、トリメチロールプロパン、2−ピロリジノン、及び1,5−ペンタンジオールを含む。
【0032】
多くの界面活性剤のうち1つ以上を使用することもできる。そのような界面活性剤は、非イオン性、両性、アニオン性及びカチオン性界面活性剤を含んでいてよい。そのような界面活性剤は、インク調合物分野の当業者に知られており、アルキルポリエチレンオキサイド、アルキルフェニルポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドブロックコポリマー、アセチレン性ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド(ジ)エステル、ポリエチレンオキサイドアミン、プロトン性ポリエチレンオキサイドアミン、プロトン性ポリエチレンオキサイドアミド、ジメチコンコポリオール、置換アミンオキサイド、並びにこれらに類するものを含んでいてよい。
【0033】
特定の用途のためのインク組成物の特性を最適化するために、本発明の方法に整合する、他の様々な添加剤を使用することができる。これらの添加剤の例は、有害な微生物の成長を阻害するために添加される。そのような添加剤は、殺生物剤、殺菌剤、及びインク調合物で通常利用される他の微生物用薬剤であってよい。
【0034】
重金属不純物の有害な影響を排除するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)のような金属イオン封鎖剤が含まれていてよく、インクのpHを調整するために緩衝溶液が使用されてよい。存在させるのなら、例えば0.01重量%〜2重量%で使用することができる。増粘剤及び緩衝剤、並びに所望に応じてインクの特性を改善させる当業者に知られた他の添加剤も存在させてよい。存在させるのなら、そのような添加剤は、0.01重量%〜20重量%で含まれていてよい。
【0035】
ここに記載の方法により製造されるインクジェットインクは、一般に、いくつかの利点を提供することができる。例えば、ポリマーカプセル化顔料の使用により、溶液中の全粒子の数(顔料と共に共分散された別個のラテックス粒子を有するものとは対照的に)並びにその結合の表面積が減少する傾向があり、その場合、顔料懸濁液、例えばインクでは、粘性が低下し得る。カプセル化は、基体に塗布した時、例えばインクを媒体基体に印刷した時の顔料−ラテックスの分離も防止し、それにより耐性及び光学密度がより最適化される。また、ポリマーカプセル化顔料では、それぞれの又は大半の顔料粒子が、(印刷後に)形成される膜のラテックスの表面下に捕捉されるという結果も容易に得られ、光沢及び色間での光沢均一性(color-to-color gloss uniformity)も増大する。
【実施例】
【0036】
以下の例は、現在知られている本発明の態様を例示するものである。よって、これらの例は、本発明を限定するものとして認識されるべきではなく、単に、現在の実験データに基づいた最もよく知られた本発明の組成物がいかに作られるかを教示するものである。つまり、ここには、代表的な組成物及びその製造方法を開示する。
【0037】
例1−多層のポリマーカプセル化顔料
オーバーヘッドパドルスターラー(櫂形撹拌機)、熱電対プローブ及びコンデンサを取り付けた250ml三口丸底フラスコに、Pigment Yellow 213(10g)、ドデシル硫酸ナトリウム(1.75g)及び水(179.25g)の分散液を加えた。フラスコを200rpmで撹拌し、82℃に加熱した。その間に、メチルメタクリレート(6g)、ブチルアクリレート(2g)、Abex(登録商標) EP120(0.264g)、Triton(登録商標) X-305(0.16g)、Aerosol(登録商標) OT-75(0.1g)及び水(2g)を30分間強制混合することによって、モノマーエマルジョンを製造した。反応容器が77℃に達したら、過硫酸カリウム(0.4g)を加え、モノマーエマルジョンを反応混合物に、160分にわたって供した。モノマーの供給が完了したら直ちに、第2のモノマーエマルジョン(同様のプロセスで得られたものであるが、メチルメタクリレート(1.5g)、ブチルアクリレート(0.5g)、メタクリル酸(0.2g)、Abex(登録商標) EP120(0.066g)、Triton(登録商標) X-305(0.04g)、Aerosol(登録商標) OT-75(0.026g)及び水(0.5g)からなる)を反応混合物に、60分にわたって供給した。反応温度は、供給の間及び最後のモノマーの供給終了後1時間にわたり82℃に保持した。次いで、反応生成物を冷却し、1ミクロンフィルタを通して濾過した。反応生成物は、5重量%の顔料(UV−vis(紫外〜可視)により測定)及び5重量%のカプセルポリマーを含んでいた。
【0038】
例2−多層のポリマーカプセル化顔料
オーバーヘッドパドルスターラー、熱電対プローブ及びコンデンサを取り付けた250ml三口丸底フラスコに、Pigment Yellow 213(10g)、ドデシル硫酸ナトリウム(1.75g)及び水(179.25g)の分散液を添加した。フラスコを200rpmで撹拌し、82℃に加熱した。その間、メチルメタクリレート(6g)、ブチルアクリレート(2g)、Abex(登録商標) EP120(0.264g)、Triton(登録商標) X-305(0.16g)、Aerosol(登録商標) OT-75(0.1g)及び水(2g)を30分にわたり強制混合することによって、モノマーエマルジョンを製造した。反応容器が77℃に達したら、過硫酸カリウム(0.4g)を添加し、反応混合物にモノマーエマルジョンを160分にわたり供給した。モノマーの供給が完了して直ちに、第2のモノマーエマルジョン(同様のプロセスで製造されるが、メチルメタクリレート(1.5g)、ブチルアクリレート(0.5g)、メタクリル酸(0.3g)、Abex(登録商標) EP120(0.066g)、Triton(登録商標) X-305(0.04g)、Aerosol(登録商標) OT-75(0.026g)及び水(0.5g)からなる)を、反応混合物に60分にわたり供給した。反応温度は、供給中及び最終のモノマーの供給が完了してから1時間にわたり82℃に維持した。続いて、反応生成物を冷却し、1ミクロンフィルタを通して濾過した。反応生成物は、5重量%の顔料(UV−vis(紫外〜可視)により測定)及び5重量%のカプセルポリマーを含み、固体含有量は10.2重量%であった。
【0039】
例3−比較例
オーバーヘッドパドルスターラー、熱電対プローブ及びコンデンサを取り付けた250ml三口丸底フラスコに、Pigment Yellow 213(10g)、ドデシル硫酸ナトリウム(1.75g)及び水(179.25g)の分散液を添加した。フラスコを200rpmで撹拌し、82℃に加熱した。その間、メチルメタクリレート(7.5g)、ブチルアクリレート(2.5g)、メタクリル酸(1g)、Abex(登録商標) EP120(0.33g)、Triton(登録商標) X-305(0.2g)、Aerosol(登録商標) OT-75(0.13g)及び水(2.5g)を30分にわたり強制混合することによって、モノマーエマルジョンを製造した。反応容器が77℃に達したら、過硫酸カリウム(0.4g)を添加し、モノマーエマルジョンを反応混合物に200分にわたり供給した。反応温度は、モノマー供給の完了後1時間、82℃に維持した。次いで、反応生成物を冷却し、1ミクロンフィルタを通して濾過した。反応生成物は、5重量%の顔料(UV−vis(紫外〜可視)により測定)及び5重量%のカプセルポリマーを含んでいた。
【0040】
例4−比較例
以下の材料、つまりメチルメタクリレート(7.5g)、ブチルアクリレート(2.5g)、メタクリル酸(0.1g)、ヘキサデカン(0.5g)、ドデシル硫酸ナトリウム(0.8g)及び水(88.7g)を、250mlビーカー中で混合した。混合物をマグネチックスターラーで30分間撹拌し、十分に混合する。型式CL4 Ultrasonic ConverterのHeat System(登録商標) Ultrasonic Processorを用いて2分間、最大出力で超音波処理することにより、ミニエマルジョンを生成した。これに、Pigment Yellow 213(10g)、ドデシル硫酸ナトリウム(1.75g)及び水(88.25g)の分散液を添加した。次いで、この混合物を、2分間、最大出力で超音波処理した。次いで、このモノマー/顔料混合物を、オーバーヘッドパドルスターラー、熱電対プローブ及びコンデンサを取り付けた250ml三口丸底フラスコへ加えた。フラスコを、200rpmで撹拌し、Aerosol(登録商標) OT-75を0.95g添加した。フラスコを82℃に加熱した。77℃で、過硫酸カリウム0.2gを添加し、その反応を4〜5時間、82℃に維持した。次いで、生成物を冷却し、1ミクロンフィルタを通して濾過した。反応生成物は、5重量%の顔料(UV−vis(紫外〜可視)により測定)及び5重量%のカプセルポリマーを含んでおり、固体含有量は10.6重量%であった。粒径は約D500.11μmであった。
【0041】
例5−比較例
以下の材料、つまりメチルメタクリレート(7.5g)、ブチルアクリレート(2.5g)、メタクリル酸(0.3g)、ヘキサデカン(0.5g)、ドデシル硫酸ナトリウム(0.8g)及び水(88.7g)を、250mlビーカー内で混合した。混合物を、マグネチックスターラーで30分間撹拌し、十分に混合した。型式CL4 Ultrasonic ConverterのHeat System(登録商標) Ultrasonic Processorを使用して最大出力で2分間超音波処理をすることによって、ミニエマルジョンを生成した。これに、Pigment Yellow 213(10g)、ドデシル硫酸ナトリウム(1.75g)及び水(88.25g)の分散液を添加し、次いでそれを最大出力で2分間超音波処理した。このモノマー/顔料混合物を、オーバーヘッドパドルスターラー、熱電対プローブ及びコンデンサを取り付けた三口丸底フラスコに添加した。フラスコを200rpmで撹拌し、スルホコハク酸ジオクチル0.95gを添加した。フラスコを82℃に加熱し、77℃で、過硫酸カリウム0.2gを添加した。反応を4〜5時間82℃に維持した。次いで、生成物を冷却し、1ミクロンフィルタを通して濾過した。反応生成物は、5重量%の顔料(UV−vis(紫外〜可視)により測定)及び5重量%のカプセルポリマーを含み、固体含有量は10.6重量%であり、粒径はD500.11μmであった。
【0042】
例6−単層及び多層のカプセル化顔料における酸含有量の比較
上記例1〜5に基づき、5つのカプセル化顔料を準備し、分析した。
【0043】
【表1】

【0044】
表に示されている通り、バッチ1及び2の二重カプセル化顔料では、全酸濃度の量はより少なく、よって、酸の分配もより少ない、例えば、得られる表面酸密度に対して、より少ない酸が水相中へ侵入する。
【0045】
以上、本発明を特定の好ましい態様を参照して説明したが、本発明の思想から逸脱することがなければ、様々な変形、変更、省略及び置換を行うことができることは当業者には明らかである。したがって、本発明が以下の特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、
前記顔料をカプセル封入する、重合した酸モノマーを2重量%未満有する第1のポリマー層、並びに
前記第1のポリマー層又は前記顔料をカプセル封入する第2のポリマー層を含むカプセル化顔料であって、
前記第2のポリマー層が、前記第1のポリマー層より親水性であり、前記カプセル化顔料が約500nm未満の粒径を有する、カプセル化顔料。
【請求項2】
前記第1のポリマー層が酸を実質的に含まない、請求項1に記載のカプセル化顔料。
【請求項3】
前記カプセル化顔料が、重合酸モノマーを約5重量%を超える量で含む第2のポリマー層を有する、請求項1に記載のカプセル化顔料。
【請求項4】
前記第1のポリマー層が、第2のポリマー層のTgより低いTgを有する、請求項1に記載のカプセル化顔料。
【請求項5】
前記第2のポリマー層を実質的にカプセル封入する第3のポリマー層をさらに含む、請求項1に記載のカプセル化顔料。
【請求項6】
水性媒体中に顔料を分散させ、
第1層モノマーの重合を開始し、前記顔料をカプセル封入する第1のポリマー層を形成することによって、前記水性媒体中の複数の第1層モノマーを重合し、前記第1層モノマーが酸性モノマーを2重量%未満含み、
前記水性媒体中に複数の第2層モノマーを分散させ、前記第2層モノマーが、前記第1層モノマーとは組成的に異なる少なくとも1つのモノマーを含み、前記第2層モノマーが酸性モノマーを少なくとも2重量%含み、
前記第1のポリマー層の表面上に複数の第2層モノマーを重合させ、前記顔料及び前記第1のポリマー層をカプセル封入する第2のポリマー層を形成することを含む、カプセル化顔料の製造方法。
【請求項7】
前記第1層モノマーが酸を実質的に含まない、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カプセル化顔料を形成した後に、前記水性媒体が、当該水性媒体中でポリマー酸を2重量%未満含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
水性媒体中に顔料を分散させ、
前記水性媒体で複数の第2層モノマーを、前記第2層モノマーの重合を開始することによって、重合して、前記顔料をカプセル封入する第2のポリマー層を形成し、
前記水性媒体中に内側組成物を分散させ、前記内側組成物が、前記第2の組成物と比較して実質的に疎水性であり、
内側組成物の移動を前記第2のポリマー層を通して促進するよう構成された条件を提供することを含む、カプセル化顔料の製造方法。
【請求項10】
前記移動が、動的又は熱力学的機構によって容易になっている、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2011−503321(P2011−503321A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534001(P2010−534001)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/024099
【国際公開番号】WO2009/064278
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】