説明

ポリマーカラー電子写真トナー組成物及びポリマー電子写真トナー組成物の調製方法

本発明は、ミクロンからサブミクロンの大きさの着色ポリマー電子写真トナー粒子、これらの粒子の作製方法、並びに乾燥又は液体電子写真トナーとして及び2成分電子写真顕色剤の調製における成分としての使用に関する。粒子は、2つの異なる種類のポリマーを含み、油中水エマルションの脱水により作製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロンからサブミクロンの大きさの着色ポリマー電子写真トナー粒子、これらの粒子の作製方法、並びに乾燥又は液体電子写真トナーとして及び2成分電子写真顕色剤の調製における成分としての使用に関する。
【0002】
電子写真トナー又は2成分電子写真顕色剤は、例えば、静電複写機、レーザービームプリンターなどのような像形成装置のために使用される。
【0003】
表現「電子写真トナー」、「トナー粒子」及び「トナー」は、本発明の文脈において全て同等の意味で使用される。
【0004】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、それ自体、粉末被覆方法又は粉末被覆組成物の調製においても有用である。
【0005】
電子写真トナー粒子の必須成分は、ポリマーマトリックス及び着色剤である。慣用の任意成分は、電荷制御剤、ロウ及び/又はUV吸収剤である。ポリマーマトリックスは、粒子の重量の約40%〜約99%を構成する主要な成分である。ポリマーマトリックスは、着色剤を担持し、それを基材に融合させる。これは、トナー粒子の毒性、融合特性、溶融レオロジー及び摩擦電気荷電特性に影響を及ぼす。顔料は、電子写真トナーにおいて最も広く使用されている着色剤である。使用される主要な4つの色は、黒色、黄色、シアン及びマゼンタである。しかし、現在、改善された色域のために緑色及び橙色のような広範囲の追加的な色を使用して印刷する電子写真プリンターが利用可能である。ポリマーマトリックス内の顔料の分散及び濃縮は、トナーの色、レオロジー及び摩擦電気荷電特性に影響を与える。一般に、電荷制御剤を組み込むと、トナー電荷符号及び荷電レベルの制御において有意な改善が得られる。適切には、これらは少量でしか存在せず、通常、トナー粒子の重量に基づいて0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.002重量%〜3重量%、最も好ましくは0.005重量%〜1重量%である。トナー粒子は、一般に、狭い粒径分布(95重量%の粒子が5μmの最頻値内)を有する3〜15μm、好ましくは3〜11μmの大きさの範囲内にある。
【0006】
2成分電子写真顕色剤は、数重量%のトナーとより大きいサイズの担体ビーズとの混合物から実質的になる。担体ビーズは、2つの機能を果たし、これらは、(1)微細トナー粒子を機械的に輸送する方法、及び(2)トナーを荷電する手段を提供する。
【0007】
現在製造されている大部分の市販の電子写真トナ―は、従来の溶融混合方法により生産されている。この方法において、顔料、電荷制御剤及び他の活性成分は、溶融ポリマー樹脂の中に機械的に分散される。この後には、一般にジェットミルを使用して所望の粒径に粉砕する前に、得られた分散体を冷却することが続く。
【0008】
そのような磨砕方法により生産されるトナーは、不規則な形状及び広い粒径分布を有する粒子をもたらし、高解像度印刷には十分に適さない。しかし、機械的磨砕方法を使用して平均粒径を更に減少すると、収率が不十分になる。ミルを使用するこの微粉砕の必須工程は、高エネルギー入力も必要とし、したがって極めて費用がかかる。したがって、十分に分散され、規則的に形状された、微細で機械的に安定した粒子トナーをもたらす代替的なトナー生産方法は、トナー製造者にとって大きな関心事である。
【0009】
粒径及び径分布は、トナーの品質に強く影響を及ぼす重要なパラメーターである。より小さい粒径を均一の径分布と一緒にすると、いっそう平均した電荷を粒子に付与することが可能になり、これらが紙に移動したときに、制御することがより容易になる。したがって、印刷像の品質が改善される。
【0010】
封入又は化学トナーは、幾つかの異なる粒子形成方法のうちの1つを使用する前に、顔料、任意の電荷制御剤及び他の成分のような原材料を分散媒質中に分散又は乳化することによって製造されるトナーである。マイクロカプセル化のような化学的方法を使用することは、トナー粒径及び径分布を制御するのに極めて効率的であり、その上、簡素な方法である。多数の異なる技術が使用されてきたが、これらはそれぞれ欠点を有する。
【0011】
Arshady, "Microspheres and Microcapsules: A Survey of Manufacturing Techniques. Part 1: Suspension Cross-Linking", Polym. Eng. Sci. 29, 1746-1758 [1989]において、不混和性液体中にポリマー溶液又は溶融物の小型液滴を形成すること、続く共役架橋によりこれらの液滴を硬化して別個の硬化ポリマー粒子をもたらすことに基づいた、懸濁架橋方法が開示されている。電子写真トナ―のカプセルの場合では、特定の所望の着色剤及び/又は任意の電荷制御剤の存在は、架橋反応において問題を起こし、不十分な硬化と、両方とも製品の性能に重要であるガラス転移温度(T)及び融合温度のようなパラメーターの不十分な制御をもたらす。このことは、成分の選択を限定し、有意な改善への道を阻む。
【0012】
例えば、US4330460、US4727011、US4868086及びUS5324616は、顔料の封入のための懸濁重合方法が開示する。この方法において、顔料及び電荷制御剤及びロウのような他の成分が、モノマーの中に分散される。次に制御された大きさの小型のモノマー液滴が、モノマーを懸濁剤の存在下、水相の中で撹拌することによって、水中油懸濁液/エマルションとして形成される。重合開始剤の添加又は熱の適用は、封入された顔料及び他の成分を水相中に有するポリマー粒子の形成をもたらす。しかし、顔料及び任意の電荷制御剤又はロウの存在は、重合開始を妨害し、そのために硬化は多くの場合に不完全又は不均一である。加えて、顔料及び他のいずれかの固体成分又は添加剤をモノマーの中に分散する必要がある。これらの成分の組み込みは、分散剤が重合にも影響を及ぼすので、多くの場合において問題である。
【0013】
US4725522、US4761358及びUS5529877は、ポリマーシェルに囲まれた固体ポリマー/着色剤コアを含有するマイクロカプセルを形成する界面重合によるトナーの製造を開示する。懸濁重合の場合では、特定の顔料及び他の添加剤の存在は、重合を遅延し、さらには防止する。加えてこの方法は、同様に、上記で記述した困難を伴う、モノマーの中への着色剤の分散を必要とする。
【0014】
US5358821は、顔料封入ポリマーのプレスケーキを溶融熱可塑性結合剤と混合する方法を記載する。顔料を結合剤の中にフラッシュし、次にそれを冷却し、そして従来のトナーを生産するように微粉砕する必要がある。そのような微粉砕方法は、多くの場合、不規則な形状及び広い粒径分布を有する粒子をもたらす。
【0015】
更に、上記に提示されている全ての封入方法は、水中油懸濁液/エマルションの形成に依存しているので、大量の洗浄排水をもたらし、費用のかかる排水処理が必要となる。この問題は、可溶性染料から誘導される又はそれにより処理される顔料をトナー着色剤として用いる場合、そのような顔料が水相にブリードし、着色排水に特別に対処しなければならないので特に重大になる。
【0016】
顔料の水性分散体又はプレスケーキから出発する封入技術に関する多数の参考文献がある。例えばUS6894090では、着色剤の水性分散体を水性樹脂分散体と混合する方法が記載されている。次にこの混合物を、酸性化又は塩析により凝固して、トナー粒子を形成する。WO03/087949、US5863696及びUS6472117も同様の方法を開示する。緊密に関連する別の方法が、US5604076、US5650255、US5698223及びUS5723252に表されている。そこでは、凝固は、水性ラテックスを安定化するのに使用されるアニオン性界面活性剤と、水性顔料分散体を安定化するのに使用されるカチオン性界面活性剤との静電相互作用により引き起こされる。次に得られた凝集懸濁液を顔料のTを超えて加熱し、最終粒子をもたらす。しかし、分散体を塩析する必要性又は反対に荷電した界面活性剤で凝集する必要性は、分散体を、樹脂、顔料及び任意の電荷制御剤の個別の分散に大きく依存する、色強度のような重要なトナー特性ではなく、トナー形成方法に最適化させるために配合させなければならないことが要求される。
【0017】
WO02/090445は、ポリマーマトリックスと、それに全体的に分散されている着色剤とを含むポリマー粒子を開示する。ポリマーマトリックスは、エチレン性不飽和イオン性モノマー及びエチレン性不飽和疎水性モノマーを含むモノマーのブレンドから形成される。典型的なポリマーマトリックスには、スチレンとアンモニウムアクリレートから形成されたコポリマーが含まれる。ポリマー粒子は、非常に良好な保持特性を示し、多様な条件下で着色剤を保持することができる。しかし、これらの粒子は、厳しい条件下で割れるか、さらには粉々になり、したがって着色剤の放出をもたらし、電子写真トナーとしての使用には不適切となる欠点を被る傾向がある。
【0018】
EP0362859A2は、主要粒子のポリマーよりも高い親水性を有するより硬いラテックス粒子からなる突出部(小隆起)に覆われている均一に着色された主要粒子からなるトナー粒子を開示する。そのようなトナーの構造は、図1に表されている。しかし、硬質小隆起は破砕を妨げることはなく、同時にトナーの特性、特に荷電性が望ましくなく改変される。更に、この方法は、2つの成分の別々の製造、及び最初にラテックスを主要粒子に部分的に融合して小隆起を形成し、次に、電荷特性を損なわないために、表面に依然として残っている遊離ラテックス粒子を除去しなければならない追加の工程を伴うので(実施例4を参照すること)、非常に複雑で制御することが困難である。更には、この方法は多量の排水をもたらす。
【0019】
WO87/01828A1は、その全体がシェル形成樹脂の中に埋め込まれている、機能性粒子をその表面に有する着色又は非着色コアを含む、機械的衝撃により作製される複合体トナーを開示する。そのようなトナーの構造は、本発明の図2aに表されている。場合により、粒子内部の表面に集まり、したがって図2bで表されているような疑似カプセル構造を形成する、極性ポリマーを用いることができる。機能性粒子は、金属合金、金属酸化物、窒化物、カーバイド、硫酸塩及び炭酸塩、半導体、セラミック、染料、顔料、電荷制御剤、ロウ及び脂肪酸金属塩のような、電荷制御(抑制又は増強の両方)着色研磨又は放出粒子であることができる。しかし、そのようなトナー粒子の特性、特に耐破砕性は、依然として完全に満足できるものではない。着色剤は、コアの外側に付着している粒子に分散され、したがって不十分な分散、透明度及び色強度をもたらすか、又は疎水性の軟質結合剤に分散され、したがって完全な重合を妨害し、ブリーディングをもたらす。これらの欠点は、フルカラー系に使用される有機着色剤を含むトナーの場合、特に重要である。
【0020】
WO05/123009及びWO05/123796(両方ともEPCの54(3)及び(4)条、並びにPCTの規則64.3に準じる従来技術)は、実施例5において、20.4重量%の着色剤を含む着色ポリマー粒子を開示する。したがって、着色剤及び任意の更なる成分を保持し、破砕に対して耐性があり、得られるトナーの可能な限り最適の性能基準に基づき、製造過程の際の加工性に基づかないで最適に選択された着色剤及び任意の更なる成分を含む着色ポリマー電子写真トナー粒子を持つ、電子写真トナ―を有することが望ましい。更に、簡素で効率的な環境に優しい方法により得られるそのようなトナーが望ましい。更に、有機顔料及び染料は、高透明度、色強度及び/又は彩度を達成するように、極めて良好に分散されるべきである。
【0021】
本発明の一つの目的は、電子写真トナーに使用されるとき、多様な操作条件下で耐破砕性があり、封入された着色剤及び場合により更なる成分を保持する、ミクロンからサブミクロンの大きさの着色ポリマー電子写真トナー粒子を提供することである。
【0022】
着色剤及び任意の更なる成分の選択に改善された自由度を可能にする前記粒子の加工の簡素で普遍的な方法を提供することが、本発明の別の目的である。その方法において、着色剤及び任意の更なる成分は、重合マトリックスの形成における重合過程を妨げない
【0023】
着色剤及び任意の更なる成分をモノマーの中に分散させることのない電子写真トナーの加工方法を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0024】
大量の洗排水を避けることにより、特に着色排水を避けることにより、電子写真トナーの生態学的及び経済的な加工方法を提供することが、本発明のさらに別の目的である。
【0025】
加えて、染料及び油又は水溶性染料を、それ自体、粉末被覆方法において又は粉末被覆組成物の調製のための着色剤として使用することができる、ミクロンからサブミクロンの大きさの着色ポリマー粒子に変換する方法を提供することが、本発明の目的でもある。
【0026】
驚くべきことに、現在、本発明のこれらの及び他の目的は、特定のミクロンからサブミクロンの大きさの耐破砕性着色ポリマー粒子及びこれらの製造のための特定の方法を提供することによって達成されることが見出されている。
【0027】
したがって、本発明によると、
− モノマー(a)が、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーであり、モノマー(b)が、エチレン性不飽和疎水性モノマーである、少なくとも2つのモノマー(a)及び(b)から誘導される反復単位を含むコポリマー(I)からなる、架橋されているか又は架橋されていない、ポリマーマトリックスと;
− エチレン性不飽和疎水性モノマー(c)及び場合によりモノマー(d)から誘導される反復単位を含み、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)と異なる、前記ポリマーマトリックスの全体にわたって分布している疎水性ポリマー(II)の第2粒子と;
− 着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜20重量%の量の着色剤と;
− 場合により電荷制御剤と
を含む着色ポリマー電子写真トナー粒子が提供される。
【0028】
図1は、EP0362859A2(上記に考察された従来技術)によるトナー粒子を示す。斑点領域は、より硬い親水性ラテックス粒子からなる突出部(小隆起)である。
【0029】
図2aは、その全体がシェル形成樹脂の中に埋め込まれている、機能性粒子をその表面に有する着色又は非着色コアからなるWO87/01828A1(上記に考察された従来技術)の図8に対応するトナー粒子である。
【0030】
図2bは、WO87/01828A1の17頁に開示されている、コア内部が、結合剤及び結合剤の表面に集まっている極性ポリマー(斑点領域)からなる疑似カプセルである、その変形を示す。
【0031】
図3は、疎水性ポリマー(II)の粒子が、イオン性又は潜在的にイオン性の基を含むコポリマー(I)(斑点領域で示されている)からなるマトリックスの全体にわたって分散されている、本発明のトナーを示す。疎水性ポリマー(II)の粒子は、マトリックスの大きさと比較して同じ縮尺で表されてはいない。
【0032】
全ての図は、対応する粒子の中心を通った切断面を表す。
【0033】
場合により、着色ポリマー電子写真トナー粒子は、更なる成分又は更なる成分の混合物を含むことができる。
【0034】
本発明の更なる態様において、
− モノマー(a)が、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーであり、モノマー(b)が、エチレン性不飽和疎水性モノマーである、少なくとも2つのモノマー(a)及び(b)から誘導される反復単位を含むコポリマー(I)からなる、架橋されているか又は架橋されていない、ポリマーマトリックスと;
− エチレン性不飽和疎水性モノマー(c)及び場合によりモノマー(d)から誘導される反復単位を含み、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)と異なる、前記ポリマーマトリックスの全体にわたって分布している疎水性ポリマー(II)の第2粒子と;
− 着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜20重量%の量の着色剤と;
− 場合により電荷制御剤及び/又は更なる成分若しくは更なる成分の混合物と
を含む着色ポリマー電子写真トナー粒子の調整方法であって、
(A)前記コポリマー(I)を好ましくは塩の形態で含む水相を提供する工程;
(B)前記水相中に第2粒子を形成する工程又は前記水相の外部で第2粒子を予備形成し、それを前記水相と組み合わせる工程;
(C)着色剤と任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を、工程(A)又は(B)の前、間又は後のいずれかの段階で水相に溶解又は分散する工程;
(D)工程(A)、(B)及び(C)の水相から実質的になる油中水エマルションを形成する工程であって、したがって、好ましくは両親媒性ポリマー安定剤を含む水不混和性液相中に、コポリマー(I)、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む油中水エマルションを形成する工程;
(E)前記エマルションから水を除去し、それによって中実(solid)着色ポリマー電子写真トナー粒子を含む油分散体を形成し、そのポリマーマトリックスが、全体に分散している、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む工程;
(F)場合により、前記着色ポリマー電子写真トナー粒子を単離、洗浄及び/又は乾燥する工程
を含む方法が提供される。
【0035】
驚くべきことに、本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、改善された耐破砕性を、改善された視覚性能と組み合わせて示し、更にポリマーマトリックスは、着色剤のような閉じ込められている成分及び場合により更なる成分のいずれも、長期間の使用の間であっても放出しない。
【0036】
更に、本発明のトナーは、また、適当な融合温度及び放出特性、増強された粉体流及び取り扱い特性、さらには、安定した一定の荷電特性、高い色強度、必要とされる範囲の基材への良好な接着性、優れた保存安定性などのような優れた一般的な特性を有する。
【0037】
用語「(a)モノマーから誘導される反復単位を含む(コ)ポリマー」は、出発モノマーが反応し、したがって最終ポリマー又はコポリマーの一部となることを意味する。反復単位は、ランダム、ブロック、グラフト、アイソタクチック又はシンジオタクチックに配置されていることができる。
【0038】
本発明の第1の態様による着色ポリマー電子写真トナー粒子及び本発明の第2の態様による方法によってもたらされる製品は、増強された耐破砕性を有する。
【0039】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、少なくとも2つのモノマー(a)及び(b)から誘導される反復単位を含むコポリマー(I)からなるポリマーマトリックスを含む。
【0040】
モノマー(a)は、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーである。用語「イオン性モノマー」とは、プロトンイオン化が可能な基を有し、したがってpHに応じて中性又はイオン性となるモノマー、又はpHと無関係に永久にイオン性の電荷を有するモノマーであると理解されるべきである。したがって、アニオン性モノマーは、pHに応じて中性又はアニオン性であることができる。一般に、アニオン性モノマーは、7のpHでアニオン性である。カチオン性モノマーは、pHに応じて中性又はカチオン性であることができる。一般に、カチオン性モノマーは、7のpHでカチオン性である。用語「潜在的にイオン性のモノマー」とは、重合過程の前又はその間にその場でイオン性のモノマーに容易に変換されるモノマーであると理解されるべきである。酸無水物は、その場でイオン性モノマーに容易に加水分解されるので、そのような潜在的にイオン性のモノマーの典型的な例である。1つ以上のアニオン性若しくは潜在的にアニオン性のモノマー、又は1つ以上のカチオン性若しくは潜在的にカチオン性モノマーを、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)として使用することができる。
【0041】
モノマー(a)は、アニオン性若しくは潜在的にアニオン性、又はカチオン性若しくは潜在的にカチオン性の基を有することができる。好ましくは、モノマー(a)は、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーである。そのようなモノマーの例には、エチレン性不飽和カルボン酸、酸無水物、スルホン酸及びホスホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいエチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーには、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、クロトン酸、ビニル酢酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が含まれる。最も好ましくは、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーは、カルボン酸又は酸無水物である。
【0042】
本発明の代替的実施態様において、モノマー(a)は、エチレン性不飽和カチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマー、例えば、限定的ではないが、ジアルキルアミノ−アルキル−(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ−アルキル−(メタ)アクリルアミド、ビニルアミン、アリルアミン及び他のエチレン性不飽和アミン、並びにこれらの酸付加塩のようなエチレン性不飽和アミンであることができる。典型的には、ジアルキルアミノ−アルキル−(メタ)アクリレートには、ジメチルアミノ−メチルアクリレート、ジメチルアミノ−メチルメタクリレート、ジメチルアミノ−エチルアクリレート、ジメチルアミノ−エチルメタクリレート、ジエチルアミノ−エチルアクリレート、ジエチルアミノ−エチルメタクリレート、ジメチルアミノ−プロピルアクリレート、ジメチルアミノ−プロピルメタクリレート、ジエチルアミノ−プロピルアクリレート、ジエチルアミノ−プロピルメタクリレート、ジメチルアミノ−ブチルアクリレート、ジメチルアミノ−ブチルメタクリレート、ジエチルアミノ−ブチルアクリレート及びジエチルアミノ−ブチルメタクリレートが含まれる。典型的には、ジアルキルアミノ−アルキル−(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノ−メチルアクリルアミド、ジメチルアミノ−メチルメタクリルアミド、ジメチルアミノ−エチルアクリルアミド、ジメチルアミノ−エチルメタクリルアミド、ジエチルアミノ−エチルアクリルアミド、ジエチルアミノ−エチルメタクリルアミド、ジメチルアミノ−プロピルアクリルアミド、ジメチルアミノ−プロピルメタクリルアミド、ジエチルアミノ−プロピルアクリルアミド、ジエチルアミノ−プロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノ−ブチルアクリルアミド、ジメチルアミノ−ブチルメタクリレート、ジエチルアミノ−ブチルアクリレート及びジエチルアミノ−ブチルメタクリルアミドが含まれる。典型的には、アリルアミンには、ジアリルアミン及びトリアリルアミンが含まれる。
【0043】
モノマー(a)は、完全に若しくは部分的に遊離酸の形態、又は完全に若しくは部分的に遊離塩基の形態であることができる。しかし好ましくは、モノマー(a)は、対イオンの塩であり、対イオンは、揮発性塩基の共役酸、又は揮発性酸の共役塩基である。
【0044】
モノマー(a)がアニオン性又は潜在的にアニオン性、例えばカルボン酸又は酸無水物である場合、対イオンは、好ましくは、揮発性アミン成分のアンモニウム又は共役酸であり、例えば、エタノールアミン、メタノールアミン、1−プロパノールアミン、2−プロパノールアミン又はジメタノールアミンである。一般に、揮発性アミン成分は、低から中温、例えば常圧で200℃までの温度で蒸発しうる液体である。好ましくは、揮発性アミンを減圧下、100℃未満の温度で蒸発させることが可能である。したがって、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)は、エチレン性不飽和アニオン性若しくは潜在的にアニオン性のモノマーのアンモニウム塩、又はエチレン性不飽和アニオン性若しくは潜在的にアニオン性のモノマーの揮発性アミンの共役酸の塩を、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)と共重合させ、揮発性アミンの共役酸のポリマー塩であるコポリマー(I)を得ることによって、調製することができる。あるいは、コポリマー(I)は、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーの遊離酸形態を、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)と共重合させ、続いて水酸化アンモニウム水溶液又は揮発性アミン(例えば、エタノールアミン、メタノールアミン、1−プロパノールアミン、2−プロパノールアミン又はジメタノールアミン)で中和して、揮発性塩基の共役酸のポリマー塩であるコポリマー(I)を得ることによって、生産することができる。
【0045】
モノマー(a)が、カチオン性又は潜在的にカチオン性である場合、対イオンは、好ましくは揮発性酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロパン酸、ブタン酸又はカルボン酸)の共役塩基である。一般に、揮発性酸は、低から中温、例えば常圧で200℃までの温度で蒸発しうる液体である。好ましくは、揮発性酸を減圧下、100℃未満の温度で蒸発させることが可能である。したがって、本発明のこの実施態様において、コポリマー(I)は、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーを、エチレン性不飽和カチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマーに代える以外は、一般に、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーを使用する場合についての上記に記述したものと類似の方法で形成される。一般に、コポリマー(I)がエチレン性不飽和遊離アミンモノマーとエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)のコポリマーの形態で調製される場合、適切な揮発性酸、例えば酢酸、ギ酸、プロパン酸、ブタン酸又はさらにはカルボン酸を含めることによって中和される。好ましくは、コポリマー(I)は、揮発性カルボン酸により中和され、揮発性酸の共役塩基のポリマー塩であるコポリマー(I)をもたらす。
【0046】
エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)は、水100mlあたり10g未満、好ましくは水100mlあたり5g未満の水中での溶解度を有する適切なモノマーである。1つ以上のエチレン性不飽和疎水性モノマーを、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)として使用することができる。適切なモノマー(b)には、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルビニルカーボネート、アルキルビニルカルバメート、シリコーン含有(メタ)アクリレート、シリコーン含有(メタ)アクリルアミド、シリコーン含有ビニルカーボネート、シリコーン含有ビニルカルバメート、スチレンモノマー、アクリロニトリル及びポリオオキシプロピレン(メタ)アクリレートが含まれるが、これらに限定されない。好ましいモノマー(b)は、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート及びスチレンモノマーである。前記モノマー(b)の特定の例には、スチレン、メチルメタクリレート、第三級ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートが挙げられる。
【0047】
用語「(メタ)アクリル」は、アクリルとメタクリルの両方の化合物を指定するために使用される。
【0048】
驚くべきことに、50℃を超える、好ましくは60℃を超える、最も好ましくは80℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することができるモノマーをモノマー(b)として使用して、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)を形成することが好ましい。したがって、得られるコポリマー(I)は、着色剤及び任意の他の成分に対する不透過性に関して著しく改善された性能を示す。
【0049】
多様なモノマーから誘導される反復単位を含むホモポリマーのガラス転移温度は、当該技術において周知であり、例えば、Polymer Handbook, J. Brandrup, E. H. Immergut, third edition, pages Vl 209-277, John Wiley&Sons, New York, Chichester, Brisbane, Toronto, Singapore, 1989に提示されている。
【0050】
少なくとも50℃のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成することができないエチレン性不飽和カルボン酸エステルをモノマー(b)として使用することは、着色剤及び任意の更なる成分に対してポリマーマトリックスの透過性を逆に増加させる。例えば、特定の(メタ)アクリル酸エステル、例えばエチルアクリレート、プロピルアクリレート又は2−エチルヘキシルアクリレートをモノマー(b)として使用すると、着色剤及び任意の他の成分に対する不透過性に関してあまり厳密ではない条件を満たすだけのポリマーマトリックスをもたらす。
【0051】
ポリマーのガラス転移温度は、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Volume 19, fourth edition, page 891において、(1)分子全体の転移運動と(2)鎖の40〜50個の炭素原子セグメントの巻き込み及び巻き戻しの両方が凍結するよりも低い温度として定義される。したがって、ポリマーは、そのTよりも低いと流動性又はゴム弾性を示さない。ポリマーのTは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して決定することができる。したがって、既知のTを有する基準試料及び実験試料を、線形温度プログラムに従って別個ではあるが平行して加熱する。2個の加熱器を2つの試料で同一の温度に維持する。これを達成するために2個の加熱器に供給される電力をモニターし、その間の差を基準温度の関数としてプロットし、温度の関数として比熱を記録して解釈する。基準温度が増加又は減少し、実験試料が転移に近づくと、温度を保持するために必要な熱量は、転移が吸熱性であるか又は放熱性であるかによってより大きくなるか又は小さくなる。
【0052】
ポリマーマトリックスは架橋されていても、架橋されていなくともよい。しかし好ましくは、ポリマーマトリックスは架橋されていない。
【0053】
架橋が実施される場合、これは、コポリマー(I)に自己架橋基を含めること、例えばヒドロキシメチル(メチロール)官能基を担持するモノマーから誘導される単位を含めることによって達成することができる。あるいは、架橋は、架橋剤をコポリマー(I)に含めることによって達成される。架橋剤は、一般にポリマー鎖で官能基と反応する化合物である。例えば、ポリマー鎖がアニオン性又は潜在的にアニオン性の基を含有する場合、適切な架橋基は、アジリジン、ジエポキシド、カルボジアミド、シラン又はアルミニウム、亜鉛若しくはジルコニウムのような多価金属であることができる。特に好ましい架橋剤は、炭酸ジルコニウムアンモニウム又は酸化亜鉛である。別の特に好ましい部類の架橋剤には、ポリマー鎖の間に共有結合を形成する化合物が含まれ、例えばシラン又はジエポキシドである。
【0054】
ポリマーマトリックスの架橋が実施される場合、好ましくは、下記に記載される、着色ポリマー粒子を調製する方法における水を除去する工程の際に起こる。したがって、架橋剤が含まれる場合、一般に、水の除去が始まるまで休止状態を維持している。
【0055】
典型的には、コポリマー(I)は、コポリマー(I)を作製するのに使用される全てのモノマーの総重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)、50重量%までのエチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)及び20重量%まで、好ましくは10重量%まで、最も好ましくは5重量%までの任意の他のモノマーから構成される。任意の他のモノマーとして適切なものは、非イオン性の親水性モノマー、例えばアクリルアミドのような、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)及びエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)と異なるモノマーである。1つ以上のアニオン性若しくは潜在的にアニオン性のモノマー、又は1つ以上のカチオン性若しくは潜在的にカチオン性モノマーを、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)として使用することができる。カチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマーとアニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマーとのブレンドを使用することも可能でありうる。1つ以上のエチレン性不飽和疎水性モノマーを、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)として使用することができる。一般に、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)は、少なくとも60重量%の量で存在する。コポリマー(I)を調製するのに好ましいモノマー組成物は、コポリマー(I)を作製するのに使用される全てのモノマーの総重量に基づいて、65重量%〜90重量%、好ましくは70重量%〜75重量%のエチレン性不飽和疎水性ポリマー(b)、10重量%〜35重量%、好ましくは25重量%〜30重量%のエチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)を含み、残部は、任意の他のモノマーから構成される。
【0056】
ポリマーマトリックスの特に好ましいコポリマー(I)は、スチレンとアンモニウムアクリレートのコポリマーである。
【0057】
一般に、コポリマー(I)をあらゆる適切な重合方法によって調製することができる。例えば、コポリマー(I)を、例えばEP0697423又はUS5070136に記載されているように、水性エマルション重合により都合良く調製することができる。次にコポリマー(I)を、水酸化アンモニウムの水溶液又はモノマー(a)がアニオン性若しくは潜在的にアニオン性の場合は揮発性アミンの添加により、或いはモノマー(a)がカチオン性又は潜在的にカチオン性の場合は揮発性酸の添加により中和することができる。
【0058】
典型的な重合方法において、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)とエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)とのブレンドを、適切な量の乳化剤を含有する水相の中で乳化させる。典型的には、乳化剤は、水性エマルションを形成するのに適切なあらゆる市販の界面活性剤であることができる。望ましくは、これらの界面活性剤は、水不混和性モノマー相よりも水相に可溶性である傾向があり、したがって高い親水性油性バランス(HLB)を示す傾向がある。本発明に有用な典型的な界面活性剤は、非イオン性、カチオン性又はアニオン性の種類のものである。多くの種類の界面活性剤が当該技術において既知であり、使用される界面活性剤に関して特に制限はない。
【0059】
非イオン性界面活性剤は、例えば、3〜50のエトキシル度及びC〜Cの範囲のアルキル基を有するエトキシル化フェノール(モノ、ジ、トリ)、エトキシル化長鎖アルコール又はポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーのような脂肪族又はアルアリファチック(araliphatic)化合物である。
【0060】
アニオン性界面活性剤の例は、C12〜C18アルキルスルホン酸のアルカリ及びアンモニウム塩、コハク酸のジアルキルエステル、又はエトキシル化アルカノールのスルホン酸半エステルである。これらの化合物は、例えばUS4269749によって知られており、商標名Dowfax(登録商標)2A1(Dow Chemical Company)のようにほとんどは市販品である。
【0061】
一般に、アニオン性及び非イオン性界面活性剤が好ましい。
【0062】
更に、ポリビニルアルコール、カルボキシル化スチレンコポリマー、デンプン、セルロース誘導体又はビニルピロリドン含有コポリマーのような保護コロイドを添加して、従来の水中油エマルションを形成することができる。更なる例が、"Houben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie, Band XIV/1, Makromolekulare Stoffe, G. Thieme Verlag Stuttgart 1961, 411-420"に提示されている。
【0063】
モノマーの乳化は、モノマー/水相を激しい撹拌、剪断又は超音波に付すか、あるいはモノマー/水相を、スクリーン若しくはメッシュに通すことを含む既知の乳化技術により実施することができる。次に重合を、適切な開始剤系、例えばUV開始剤又は熱開始剤の使用によって実施することができる。重合を開始する適切な技術は、例えば、モノマーの水性エマルションの温度を70℃〜80℃を超えて上昇させること、次に、モノマー(a)及び(b)と場合により他のモノマーの重量に基づいて50ppm〜1000ppmの重量の過硫酸アンモニウムを加えることである。
【0064】
好ましい重合方法において、エチレン性不飽和アニオン性又は潜在的にアニオン性のモノマー(a)とエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)とのブレンドを、適切な量の乳化剤を含有する水相の中で乳化させ、重合を上記に記載したように実施する。
【0065】
代替的な重合方法において、エチレン性不飽和カチオン性又は潜在的にカチオン性のモノマー(a)とエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)とのブレンドを、適切な量の乳化剤を含有する水相の中で乳化させ、重合を上記に記載したように実施する。
【0066】
一般に、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)は、200,000までの分子量(GPCにより決定された平均量)を有する。好ましくは、コポリマー(I)は、50,000未満、例えば2,000〜20,000の分子量を有する。通常、コポリマー(I)の最適な分子量は、6,000〜12,000である。
【0067】
本発明の好ましい実施態様において、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)は、30℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃のガラス転移温度を有する。
【0068】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、ポリマーマトリックスの全体にわたって分布している、疎水性ポリマー(II)の第2粒子も含む。疎水性ポリマー(II)は、エチレン性不飽和疎水性モノマー(c)及び場合により他のモノマー(d)から誘導される反復単位を含む。第2粒子の疎水性ポリマー(II)は、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)と異なる。
【0069】
第2粒子のモノマー(c)は、コポリマー(I)を形成するのに使用されるエチレン性不飽和疎水性モノマー(b)に関して上記で定義されたモノマーのいずれかであることができる。好ましくは、第2粒子のモノマー(c)は、コポリマー(I)を形成するのに使用されるモノマー(b)と同じである。好ましいモノマー(c)は、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート及びスチレンモノマーである。前記モノマー(c)の特定の例には、スチレン、メチルメタクリレート、第三級ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート及びイソボルニルメタクリレートが挙げられる。最も好ましいモノマー(c)はスチレンである。
【0070】
(b)と同じように、第2粒子の形成に特に適切なエチレン性不飽和疎水性モノマー(c)は、50℃を超える、好ましくは60℃を超える、最も好ましくは80℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することができるモノマーである。
【0071】
モノマー(c)を単独で重合することができるか、又は場合により1つ以上の他のモノマー(d)と共重合することができる。任意のモノマー(d)は、疎水性であっても、疎水性でなくてもよい。モノマー(d)が疎水性である場合、エチレン性不飽和疎水性モノマー(b)又は(c)に関して上記で定義されたモノマーのいずれかであることができる。50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することができない疎水性モノマー(d)を使用することも可能であるが、但しそのようなモノマーが、あらゆる有害な効果をもたらさないことが条件である。適切なものは、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート又はステアリルアクリレートのようなアクリル又はメタクリル酸のC〜C18アルキルエステルである。典型的には、そのようなモノマー(d)が含まれる場合、これらは、第2粒子を形成するのに使用されるモノマー(c)及び(d)の総重量に基づいて20重量%以下の量で存在するべきである。好ましくは、これらのモノマー(d)は、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満の量で存在する。
【0072】
代替的には、疎水性モノマーではなく、50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することができない疎水性モノマー(d)を含めることが可能であるが、但しそのようなモノマーが、あらゆる有害な効果をもたらさないことが条件である。あるいは、任意のモノマー(d)は親水性モノマーであることができる。親水性モノマーは、非イオン性、例えばアクリルアミドであることができるか、又はコポリマー(I)を形成するのに使用されるエチレン性不飽和イオン性若しくは潜在的にイオン性のモノマー(a)に関して定義されているように、イオン性若しくは潜在的にイオン性であることができる。一般に、そのようなモノマーは、第2粒子のポリマーが疎水性になるように、少ない割合で使用される傾向がある。典型的には、そのようなモノマー(d)が含まれる場合、これらは、第2粒子を形成するのに使用されるモノマー(c)及び(d)の総重量に基づいて20重量%以下の量で存在するべきである。好ましくは、これらのモノマー(d)は、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満の量で存在する。
【0073】
特に好ましいものは、50℃を超えるガラス転移温度のホモポリマーを形成することができる1つ以上のエチレン性不飽和疎水性モノマーから誘導される反復単位を含む、疎水性ポリマー(II)の第2粒子である。第2粒子の特に適切な疎水性ポリマー(II)は、スチレンとメチル(メタ)アクリレートのコポリマー及びスチレンのホモポリマーである。スチレンとメチル(メタ)アクリレートのコポリマーは、一般に少なくとも40重量%のスチレン及び60重量%までのメチル(メタ)アクリレートを含む。好ましくは、コポリマーは、50:50〜95:5、より好ましくは60:40〜80:20、特に好ましくは70:30〜75:25のスチレンのメチル(メタ)アクリレートに対する重量比を有する。
【0074】
一般に、第2粒子は、1μm未満、通常750nm未満の平均粒子直径を有する。好ましくは、第2粒子は、50nm〜500nm、より好ましくは100nm〜300nmの平均粒子直径を有する。第2粒子の粒径は、例えば、文献で十分に詳述されている手順のいずれかに従って、Malvern粒径分析機を用いるレーザー回折により決定することができる。
【0075】
トナー粒子全体と比較してそれらのかなりの小型サイズのため、複数個、適切には2〜約10個の粒子の、疎水性ポリマー(II)の第2粒子が、コポリマー(I)のマトリックスの全体にわたって分布している。
【0076】
第2粒子をあらゆる従来の方法により調製することができる。典型的には、粒子を水性エマルション重合により調製することができる。好ましくは、粒子を、例えばEP−A−531005又はEP−A−449450に記載されているように、従来技術において詳述されているあらゆる典型的なマイクロエマルション重合方法に従ったマイクロエマルション重合により調製する。
【0077】
典型的には、第2粒子は、水中油エマルション、好ましくは水(20重量%〜80重量%)、モノマー(c)及び場合により更なるモノマー(d)(一緒に10重量%〜70重量%)、並びに界面活性剤及び/又は安定剤(10重量%〜70重量%)を含むマイクロエマルションを形成することによって調製することができる。一般に、界面活性剤及び/又は安定剤は、主に水相の中に入る。好ましい界面活性剤及び/又は安定剤は、上記に記載したように、コポリマー(I)のポリマー塩である。特に好ましい界面活性剤及び/又は安定剤は、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)に関して上記に定義したように、アンモニウムアクリレートとスチレンとのコポリマーである。
【0078】
マイクロエマルションにおけるモノマーの重合は、適切な開始剤系、例えばUV開始剤又は熱開始剤により実施することができる。重合を開始する適切な技術は、例えば、モノマーの水性エマルションの温度を70℃、好ましくは80℃を超えて上昇させること、次に、モノマー(c)と場合により(d)の重量に基づいて50重量ppm〜1000重量ppmの過硫酸アンモニウム又はアゾジイソブチロニトリルのようなアゾ化合物を添加することである。あるいは、適切な過酸化物、例えば室温硬化性過酸化物又は光開始剤を使用することができ、重合を約室温で実施することができる。
【0079】
一般に、第2粒子は、2,000,000までの分子量(GPCにより決定された平均量)を有する疎水性ポリマーを含む。好ましくは、疎水性モノマーは、500,000未満、例えば5,000〜300,000の分子量を有する。通常、第2粒子の疎水性ポリマーの最適な分子量は、100,000〜200,000である。
【0080】
典型的には、着色ポリマー電子写真トナー粒子は、5〜80重量部の、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)及び20〜95重量部の、第2粒子の疎水性ポリマー(II)を含む。好ましくは、10〜65重量部のコポリマー(I)及び35〜90重量部の疎水性ポリマー(II)、より好ましくは、20〜40重量部のコポリマー(I)及び60〜80重量部の疎水性ポリマー(II)を含む。
【0081】
理論に制限されることなく、イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)、疎水性モノマー(b)及び第2粒子の特定の組み合わせは、着色剤及び任意の更なる成分に対するポリマーマトリックスの不透過性における改善、並びに改善された耐破砕性の原因であると思われる、妥当な親水性の程度及び硬度を有する着色ポリマー電子写真トナー粒子をもたらすと考えられる。
【0082】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、1つ以上の着色剤を含む。一般に、着色剤の含有量は、着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて0.1〜20重量%である。好ましくは、着色剤の含有量は、着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて、0.5〜18重量%、より好ましくは1〜15重量%、最も好ましくは2〜12重量%である。
【0083】
着色剤は、黒色及び白色を含むあらゆる色のあらゆる種類の着色剤、例えば染料又は顔料であることができる。一般に、着色剤は、有機顔料及び無機顔料からなる群より選択される顔料又は顔料の混合物であり、好ましくは着色剤は、有機顔料又は有機顔料の混合物である。
【0084】
有機顔料は、被覆、塗装又は印刷産業のような顔料使用産業で慣用的に使用される4色:すなわち、黒色、シアン(青色)、マゼンタ(赤色)及び黄色を生成するものであることができる。例えば緑色及び橙色のような他の色の顔料を使用することもできる。
【0085】
有機顔料は、例えば、限定的ではないが、モノアゾ、ジアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、レーキアゾ、ベンズイミダゾロン、アゾ縮合、金属錯体アゾのような金属錯体、アゾメチン、イソインドリノン、イソインドリン、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、インジゴ、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン、ジケトピロロピロール、ニトロ、キノリン、イソビオラントロン、プテリジン及び塩基性染料錯体顔料を含む。顔料の混合物を使用することもできる。好ましい顔料は、モノアゾ、ジアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、レーキアゾ、アゾメチン、金属錯体アゾ及びフタロシアニン顔料、並びにこれらのいずれかの混合物からなる群より選択される。これらの有機顔料全ての更なる詳細については、Industrial Organic Pigments, W. Herbst, K. Hunger, 2nd edition, VCH Verlagsgesellschaft, Weinheim, 1997が参照される。
【0086】
特に適切な有機顔料は、Society of Dyers and Colourists及びAmerican Association of Textile Chemists and Coloristsにより編集されたColour Index (C.I.)に提示されている。そのような顔料の例は、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、120、123、128、129、139、147、150、151、154、155、168、173、174、175、180、181、185、188、191、191:1、191:2、193、194及び199;ピグメントオレンジ5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73及び81;ピグメントレッド2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270及び272;ピグメントブラウン23、25、41及び42;ピグメントバイオレット19、23、29、31、37及び42;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、60、64及び66;ピグメントグリーン7、36及び37;ピグメントブラック31及び32;並びにこれらの混合物及び固溶体である。
【0087】
場合により、有機顔料を、とりわけ酸化チタン顔料、酸化及び水酸化鉄顔料、酸化クロム顔料、スピネル型焼成顔料、クロム酸鉛顔料、カーボンブラック及びプルシアンブルーを含む無機顔料と混合することができる。
【0088】
あるいは、有機顔料を無機顔料に完全に代えることも可能であるが、好ましくはない。
【0089】
特に適切な無機顔料は、Society of Dyers and Colourists及びAmerican Association of Textile Chemists and Coloristsにより編集されたColour Index (C.I.)に提示されている。そのような顔料の例は、ピグメントイエロー34、42、53、119、164及び184;ピグメントオレンジ20及び21;ピグメントレッド101及び104;ピグメントブラウン24、33、43及び44;ピグメントブルー28及び29;ピグメントグリーン17及び50;ピグメントホワイト6、6:1及び7;ピグメントブラック6、7、8、10、12、27及び30;並びにこれらの混合物である。
【0090】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、好ましくは電荷制御剤を含む。電荷制御剤の混合物も適している。電荷制御剤は、無色であるか又は着色されていることができる。
【0091】
電荷制御剤は、トナーにおいて達成された静電荷の特定の符号及び/又はレベルに影響を及ぼす(それらを増強する、規定する、制限する又は弱める)こと、この電荷レベルに達する速度を変更すること又はいったん達成された電荷をその後に安定化することという役割を持って、電子写真トナー粒子に組み込まれる任意の添加剤である。電子写真に使用されるトナーの分野に一般に使用されるあらゆる電荷制御剤を、本発明の目的に使用することができる。特定の着色剤及びその誘導体は電荷制御剤特性を有することが、当該技術において知られている。それにもかかわらず、本発明の範囲内における明りょう性の目的のため、可視スペクトル範囲(400〜700nm)の光吸収と電荷制御剤特性の両方を有する化合物を、着色剤、並びに電荷制御剤の全て又は一部として考慮するべきである。着色剤又は着色剤の一部が電荷制御特性を有する場合、少なくとも2成分からなる着色剤を使用することが好ましく、したがって電荷制御特性を調節することが可能になる。一方、可視スペクトル範囲で吸収を欠いている電荷制御剤は、任意の電荷制御剤として考慮されるべきである。
【0092】
典型的な電荷制御剤(着色されている又は着色されていない)には、以下が含まれるが、これらに限定されない:
− アミン、第四級アンモニウム及びピリジニウム化合物又はこれらのモリブデン錯体のようなこれらの金属化変種、例えばUS3893935、US4312933及びUS4291112に開示されているもの;
− 金属錯化アゾ染料、例えばUS4433040に開示されているもの;
− 金属サリチル酸塩を含む有機化合物又は有機化合物の混合物の金属錯体及び塩、例えばUS4206064、US4404271、US5250379、US5250381、US3577345、US4404271、US6025105、US4762763、US5290651、日本国公開特許出願(JP−A)2004−251934、2004−251935、2004−271795及び2004−271796、WO9420437及びWO9423344に開示されているもの;
− アジン、例えばニグロシン;
− アゾ及びトリフェニルメタン染料、例えばEP0408192に開示されているもの;
− 溶剤染料及び顔料、例えば、ソルベントレッド102のような金属錯体を含むインダントロン、例えばUS4665001及びUS4433040に開示されているもの;
− 改質又は表面処理着色剤、例えば酸性化又はフッ素化カーボンブラック;
− ホスホニウム塩又は有機リン酸塩、例えばUS6027847、及び日本国公開特許出願(JP−A)平07−165774、平06−130727及び平05−119508に開示されているもの;
− スルホン、例えばUS5238768に開示されているもの;
− ホウ酸塩、例えばUS4767688に開示されているもの;
− ヒュームドシリカ;
− シラン化アルミナ又はチタニア;
− ハロゲン化有機酸又は金属塩、例えばUS4411974及びUS5238768に開示されているもの;
− 有機アンモニウムスルホネート又はカルボキシレート塩;
− フェノール、ナフトール及びカルボキシレート変種、例えばEP1420006、US5290651及びActa Cryst. 2005, E61, pages 2587-2589に開示されているもの;
− カリックスアレーンのような金属遊離又は金属錯体環状フェノールオリゴマー、例えばUS5318883及び日本国公開特許出願(JP−A)2003−186252に開示されているもの;
− 金属錯化ジケトン又はケトエステル、例えばUS5409794に開示されているもの;
− 金属錯体又は金属遊離ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸及び/又はこれらのエステル、例えばEP1420006、US5451482及びEP1462440、US5346795及びEP1462440に開示されているもの;
− ピラゾロン、ピリドン、ピリミジン、アゾピリドン、アゾピリミジン、フロオレン、ビフェニルメタン及びカルバゾール、例えばCA2309946、CA2309823、WO9924874、WO9924872、WO9924871、US5395969、CA1337296及びUS5278315に開示されているもの;
− グアニジン誘導体の芳香族スルホネート塩、例えばWO9614294に開示されているもの;並びに
− 酸性基を有するポリマー化合物、例えばスルホン酸、ホスホン酸若しくはカルボン酸基、又は塩基性基を有するポリマー化合物、例えば第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン若しくは第四級アミン基のようなポリマー電荷制御剤であり、これらのポリマー電荷制御剤は、追加的な化合物であることが意図され、前述されたコポリマー(I)及び(II)と構造が異なるものである。
【0093】
多くの代表的な上記の種類の電荷制御剤が市販されている。例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
− BONTRON(登録商標)の商品(Orient Chemical lnd Ltd):N-01、N-01 A、N-02、N-03、N-04、N-07A、N-13、N-21、S-34、S-44、E-81、E-82、E-84、E-88、E-89、S-34、P-51及びP-53;
− Esprix(登録商標)Technology材料:CCA-A4、P-12、N-22、N-23、N-24、N-24HD、N-25、N-28、N-29、N-30B、N-31、N-32A、N-32CA、N-32B、N-32CB及びN-33;
− Avecia Pro-Toner(登録商標)CCA-7;
− Hodogaya Chemical T-77、T-95、TRH、TN-105、TP-415、P-525、TP-302及びAizen Spilon Violet RH;
− Clariant Copy Blue PR、Copy Charge PSY、Copy Charge N4P;
− Wacker HDK(登録商標)H2015EP、H2050EP、H2150VP、H3050VP、H1018、H1303VP、H2000/4、H2000、H3004、H15、H20、H30、H05TD、H13TD、H20TD、H30TD、H05TM、H 13TM、H20TM、H30TM、H05TX、H13TX、H20TX、H30TX、H05TA、H13TA、H30TA;
− Japan-Carlitの商品、例えばLRA-901及びLR147;
− Hubei Dinglongの商品、例えばDL-N22D、DL-N24、DL-N23、DL-N28、DL-N33、DL-P12及びDL-N32CA。
【0094】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、場合により、更なる成分又は更なる成分の混合物を含むことができる。一般にそのような更なる成分は、ロウ及びUV吸収剤からなる群より選択される。
【0095】
電子写真トナーは、例えば、溶融トナーがロールに張り付くのを防ぐように、加熱ロールによる定着の際のトナーの分離能力を改善するために剥離剤として作用するロウを含むことができる。電子写真に使用されるトナーの分野に一般に使用されるあらゆるロウを、本発明の目的に使用することができる。そのようなロウの例には、下記が挙げられるが、これらに限定されない:
− 植物系ロウのような天然ロウ(例えば、カンデリラロウ、カルナウバロウ、和ロウ、米ぬかロウ、綿ロウ、木ロウ)
− 動物系ロウ(例えば、ミツロウ、ラノリン、セラックロウ)、鉱ロウ(例えば、モンタンロウ、オゾケライト、セレシン)及び石油系ロウ(例えば、パラフィンロウ、微晶ロウ、ペトロラクタム)
− 合成炭化水素ロウ(例えば、フィッシャー-トロプシュロウ、ポリエチレンロウ、ポリプロピレンロウ、酸化ポリエチレンロウ)
− 合成ロウ(例えば、脂肪族アミド、エステル、ケトン、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素)
− 長アルキル側鎖を有する結晶性ポリマー樹脂(例えば、n−ステアリルメタクリレート及びn−ラウリルメタクリレートのようなアクリレートのホモ−又はコポリマー)
並びにこれらの混合物。
【0096】
ロウの含有量は、特に制限されていないが、好ましくはポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて5重量%以下である。
【0097】
ロウの軟化点は、特に制限されていないが、最適の性能を得るために、好ましくは50℃〜180℃である。
【0098】
例えば、紫外線が着色剤に到達するのを阻止することによって着色ポリマー電子写真トナー粒子中の着色剤をUV分解から保護するために、任意のUV吸収剤が組み込まれる。適切なUV吸収剤の特定の例には、下記が挙げられるが、これらに限定されない:
− ベンゾトリアゾール系
− ベンゾフェノン及びその誘導体(例えば、2−アミノ−2′,5−ジクロロベンゾフェノン又は4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、又は5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン又は2−アミノ−5−クロロベンゾフェノン)
− アセトフェノン及びその誘導体(例えば、2−アミノ−4′,5′−ジメトキシアセトフェノン又は4′−ピペラジノアセトフェノン又は4′−ベンジルオキシ−2′−ヒドロキシ−3′−メチルアセトフェノン又は4′−ピペリジノアセトフェノン又は2−ブロモ−2′,4−ジメトキシアセトフェノン若しくは2−ブロモ−2′,5′−ジメトキシアセトフェノン又は2−ブロモ−3′−ニトロアセトフェノン又は3′,5′−ジアセトキシアセトフェノン又は2−ブロモ−4′−ニトロアセトフェノン又は2−フェニルスルホニルアセトフェノン又は3′−アミノアセトフェノン若しくは4′−アミノアセトフェノン)
− 2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4′−モルホリノブチロフェノン
− スクシンイミド誘導体(例えば、2−ドデシル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)スクシンイミド若しくは2−ドデシル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)スクシンイミド又はN−(1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−ドデシルスクシンイミド)
− 1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル
− 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール
− 1,1−(1,2−エタン−ジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)
− 2,2,4−トリメチル−1,2−ヒドロキノン
− 2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート
− (1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ−(5,5)ウンデカン)ジエチル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
− 2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル/β,β,β′,β′−テトラメチル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ−(5,5)−ウンデカン)ジエチル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
− (2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
− N−p−エトキシカルボニルフェニル)−N′−エチル−N′−フェニルホルマジン
− 6−エトキシ−1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン
− 2,4,6−トリス−(N−1,4−ジメチルペンチル−4−フェニレンジアミノ)−1,3,5−トリアジン
− ニッケルジブチルジチオカルバメート
− 金属酸化物、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セレン及び酸化セリウム
並びにこれらの混合物。
【0099】
一般に、本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子の平均粒子直径は、約100μm未満である。通常、平均粒子直径はそれより小さい傾向があり、例えば、80μm又は70μm未満、例えば50μm又は40μm未満であり、典型的には平均粒子直径は0.1〜20μmである。好ましくは、平均粒子直径は、0.8〜9.9μmであり、最も好ましくは、3〜7μmである。平均粒子直径は、文献で十分に説明されている手順に従ってCoulter粒径分析機によって決定することができる。
【0100】
一般に、粒径分布は、粒子画分の80重量%が0.5〜50μm、好ましくは1〜25μm、最も好ましくは1〜15μmの大きさであるようなものである。
【0101】
着色ポリマー電子写真トナー粒子は、100〜150℃、好ましくは120〜150℃の融合温度を有することが好ましい。電子写真印刷又は複写法における融合温度は、ポリマー粒子(トナー)が、例えば紙シート又はオーバーヘッドプロジェクター用透明シートのような媒質に融合するのに必要な温度である。融点装置を使用して、ポリマー粒子が合体し始める温度として決定することができる。
【0102】
本発明の方法は、最適なレベルの分散を与えるためにそれぞれ最適化されている、ポリマー、着色剤及び更なる任意の成分の水性分散体から出発することによって、従来技術で遭遇する上記に記述された問題を回避する。特定の妨害着色剤及び/又は電荷制御剤の存在下で必要とされる重合、好ましくは架橋がなく、個別の成分を、この方法に使用する前に最適なレベルで分散することができる。
【0103】
本発明の方法は、水不混和性液相中の水相から実質的になる油中水エマルションを形成することを含む。前記水相は、コポリマー(I)の溶解ポリマー塩又はコポリマー(I)のエマルション、第2粒子、溶解又は分散着色剤、並びに例えば電荷制御剤、ロウ及びUV吸収剤のような任意の更なる成分を含む。
【0104】
したがって、本発明の方法は、(A)ポリマーマトリックスのコポリマー(I)のポリマー塩を含む水相を提供する工程を含む。コポリマー(I)のポリマー塩は、完全若しくは部分的に水相に溶解していることができるか、又はエマルション若しくは懸濁液として存在することができる。好ましくは、コポリマー(I)のポリマー塩は、水相に完全に溶解している。ポリマー塩に適用される「完全に溶解している」とは、水と自然に混合して均一で熱力学的に安定している分子分散混合物を形成するポリマー塩を意味する。
【0105】
本発明の方法は、(B)工程(A)の水相中に第2粒子を形成するか又は前記水相の外部で第2粒子を予備形成し、それを工程(A)の水相と組み合わせる工程を更に含む。
【0106】
例えば前記に記載されたような界面活性剤及び/又は安定剤としてのコポリマー(I)の前記ポリマー塩の存在下、水性エマルション又は水性マイクロエマルション重合により、水相中に第2粒子を形成するために使用したモノマーを重合することによって、第2粒子を、工程(A)のコポリマーのポリマー塩の水相内に含めることができる。
【0107】
あるいは、第2粒子を別々に調製し、次にコポリマー(I)のポリマー塩を含む工程(A)の水相内に分散することができる。
【0108】
本発明の方法は、(C)着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を工程(A)及び/又は(B)の水相中に溶解する又は分散する工程を更に含む。
【0109】
本発明の方法は、(D)工程(A)、(B)及び(C)の水相から実質的になる油中水エマルションを形成する工程であって、したがって、好ましくは両親媒性ポリマー安定剤を含む水不混和性液相中に、コポリマー(I)のポリマー塩、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む油中水エマルションを形成する工程を更に含む。
【0110】
着色剤を、工程(D)の油中水エマルションを形成する前に方法の任意の段階、例えば工程(A)又は(B)の間又は後で、水相に溶解又は分散することができる。しかし、第2粒子を形成するとき、特定の着色剤の存在が重合過程を妨害するので、着色剤を、工程(B)の第2粒子の形成の後で水相に溶解又は分散することが好ましい。着色剤が顔料である場合、水相中での着色剤の分散は、従来の手段、例えばビード粉砕により達成することができる。分散は、そのような水性分散に従来使用されるあらゆる分散剤又は安定化界面活性剤を含むことができる。分散のための顔料供給原料は、従来のあらゆる形態、例えば乾燥粉末、顆粒又はプレスケーキの形態であることができる。
【0111】
任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、例えば、電荷制御剤及び/又は更なる成分を、工程(D)の油中水エマルションを形成する前に、方法の任意の段階で、例えば工程(A)又は(B)の間又は後で水相中に溶解又は分散することによって調製することができる。したがって、工程(D)の油中水エマルションは、コポリマー(I)又はその塩の水溶液又はエマルションの全体に分散されている、着色剤、電荷制御剤及び/又は更なる成分(例えば、UV吸収剤及びロウ)、並びに第2粒子を含む。
【0112】
代替案として、水相中で第2粒子を形成するのに使用されたモノマーを、任意の電荷制御剤及び/若しくは更なる成分、又は任意の更なる成分の一部の存在下で重合することも可能であり、その結果、任意の更なる成分の全て又は一部が第2粒子の中に封入され、第2粒子全体にわたって分布される。特に、水相中で第2粒子を形成するのに使用したモノマーを、UV吸収剤の存在下で重合することも可能であるが、好ましくは、電荷制御剤及び/又はロウの存在下ではない。場合により、コポリマー(I)の塩は、重合の際には界面活性剤及び/又は安定剤として水相中に存在する。
【0113】
典型的には、工程(D)のエマルションの油相を形成する水不混和性液体は、有機液体又は有機液体のブレンドである。好ましい有機液体は、約200℃を超える、典型的には常圧で210〜300℃の範囲の沸点を有する不揮発性パラフィン油である。場合により、常圧で100〜175℃の範囲の沸点を有する揮発性パラフィン油を、不揮発性パラフィン油と混合することもできる。2つの油を等しい重量比で使用することができるが、一般に、不揮発性油を過剰量で、例えば不揮発性油を50以上から75重量%まで、揮発性油を25から50重量%未満で使用することが好ましい。
【0114】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子を得る方法において、水不混和性液体中にポリマー両親媒性安定剤を含むことが望ましい。両親媒性安定剤は、適切な任意の市販の両親媒性安定剤であることができ、例えばHYPERMER(登録商標)(ICIより入手可能)である。適切な安定剤には、WO−A−97/24179に記載されている安定剤も含まれる。両親媒性安定剤に加えて、界面活性剤のような他の安定化物質を含むことが可能であるが、一般に唯一の安定化物質は両親媒性安定剤であることが好ましい。
【0115】
本発明の方法は、(E)工程(D)の油中水エマルションから水を除去し、それによって、中実(solid)着色ポリマー電子写真トナー粒子を含む油分散体を形成し、そのポリマーマトリックスが、全体に分散している、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む工程を更に含む。
【0116】
上記に引用した従来技術において、ポリマー粒子を囲んでいるエマルションの支持液体が、ポリマー粒子の形成の後で除去される。反対に本発明では、驚くべきことに、分散相、すなわち水を、着色ポリマー電子写真トナー粒子内からその構造を破壊することなく除去することができ、一方、着色ポリマー電子写真トナー粒子を囲んでいる支持液体は、そのままの場所を維持することが見出された。
【0117】
本発明の方法において、工程(E)における工程(D)の油中水エマルションからの水の除去は、あらゆる従来の手段によって達成することができる。望ましくは、水の除去は、油中水エマルションを、好ましくは減圧下で実施される蒸留に付すことによって実施することができる。一般に、これは、上昇した温度、例えば10〜90℃、好ましくは20〜70℃、より好ましくは30〜60℃の温度を必要とする。最も好ましくは、圧力は、コポリマー(I)のガラス転移温度(T)より低い蒸留温度を得るために、それに応じて低減される。
【0118】
真空蒸留の代わりに、噴霧乾燥による水の除去を実施することが望ましい場合もある。適切には、これはWO−A−97/34945に記載されている噴霧乾燥方法により達成することができる。
【0119】
好ましい実施態様において、水除去工程(E)は、コポリマー(I)のエチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマー(a)の対イオン由来の揮発性酸又は揮発性塩基も除去し、ここで対イオンは、上記で記載したように、揮発性塩基の共役酸又は揮発性酸の共役塩基である。このことは、少なくとも一部、一般に少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも70%の揮発生酸又は揮発性塩基が蒸発することを意味する。例えば、コポリマー(I)がアンモニウム塩である場合、揮発性塩基のアンモニアが蒸発する。したがって、水除去工程(E)の際に、コポリマー(I)は、好ましくは、少なくとも部分的に遊離酸又は遊離塩基形態である反復単位を含むポリマーマトリックスに変換される。加えて、架橋が実施される場合、ポリマーマトリックスの架橋が、好ましくは水除去工程の際に起こる。したがって、架橋剤が含まれる場合、一般に、水の除去が始まるまで休止状態を維持している。しかし好ましくは架橋剤は含まれない。
【0120】
この方法の結果は、ポリマーマトリックスの全体に分布している、第2粒子、着色剤、並びに場合により電荷制御剤及び/又は更なる成分(例えば、UV吸収剤及び/又はロウ)を含む分散中実(solid)着色ポリマー電子写真トナー粒子を含む油相である。
【0121】
任意の工程(F)において、着色ポリマー電子写真トナー粒子を、単離、洗浄及び/又は乾燥することができる。好ましくは、単離は濾過により達成され、乾燥は周囲温度で行われる。望ましい場合、洗浄はあらゆる適切な溶媒、例えば石油エーテルで達成することができる。分離された水不混和性液体を、本発明の方法において再生利用又は再使用することができる。
【0122】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子を、それ自体、電子写真トナーとして、及び/又は2成分電子写真顕色剤の調製における成分として使用することができる。単離、洗浄及び/又は乾燥した着色ポリマー電子写真トナー粒子を、電子写真用の乾燥トナーとして使用することができる。あるいは、水不混和性液体に分散した着色ポリマー電子写真トナー粒子を、液体トナーの調製のために先に単離することなく使用することができる。
【0123】
2成分電子写真顕色剤の調製において、本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子を、より大きいサイズの担体粒子及び場合により更なる成分と組み合わせることができる。そのような担体粒子は、好ましくは20〜200μmの平均粒子直径を有する。トナーと一緒に使用される担体は、特に限定されず、既知の担体が適切であり、例えば樹脂被覆担体などである。そのような樹脂被覆担体は、その表面が樹脂で被覆されているコア物質を含み、コア物質としては、例えば鉄粉末、フェライト粉末、ニッケル粉末などのような磁気特性を有する粉末を使用することができる。ガラスビーズ、無機塩の結晶、硬質樹脂粒子及び金属粒子のような多様な非磁性粒子も適用可能である。被覆樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂などが有用である。
【0124】
電子写真トナー及び/又は2成分電子写真顕色剤として適切である上に、本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、他の用途、例えば粉末被覆にも適している。粒子を、それ自体、粉末被覆方法において、あるいは粉末被覆組成物の調製のために使用することができる。粉末被覆組成物の調製に使用する場合、着色ポリマー電子写真トナー粒子の平均サイズは1μm未満である。
【0125】
粉末被覆は既知の技術であり、例えば、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth, Completely Revised Edition, Volume A 18", pages 438 to 444 (1991) in Section 3.4に記載されている。粉末被覆方法において、粉末を、一般的に空気の供給により流動化し、静電気的に荷電して、接地された、好ましくは金属基材に適用する。基材を実質的に加熱し、その間に付着粉末が溶融し、合体して、金属表面に凝集被膜を形成する。粉末被覆は溶媒なしで機能するので、この技術は特に環境に優しい。
【0126】
「粉末被覆」の定義は、"Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Fifth, Completely Revised Edition, Vol. A 18", pages 438 to 444 (1991) in Section 3.4に記載されているとおりであることが理解される。粉末被覆は、特に、主に金属基材に粉末形態で適用される熱可塑性又は焼き付け可能で架橋可能な有機皮膜形成結合剤である。本発明によると、粉末が、被覆される加工品と接触する方法は、好ましくは静電粉末吹付である。クーロン力により加工品に付着する、適用された粉末粒子は、オーブンで一緒に溶融され、硬化される。使用される焼き付け温度は、通常140〜260℃、特に140〜220℃であり、主に粉末被覆配合物の化学及びオーブン設計によって左右される。オーブン滞留時間は、典型的には数分から1/2時間の範囲である。
【0127】
UV硬化系の場合では、基材への適用の後、本発明の粉末被覆組成物を、好都合に赤外線を使用して、50〜180℃の温度で最初に溶融又は加熱する。続いて、好ましくはまだ熱いうちに、被覆をUV光線により硬化する。
【0128】
本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子それ自体を粉末被覆方法に使用する場合、これらは静電粉末吹付により基材に適用される。
【0129】
あるいは、本発明の着色ポリマー電子写真トナー粒子は、粉末被覆組成物の調製のために使用される。
【0130】
着色ポリマー電子写真トナー粒子の彩色的に活性な量を含む粉末被覆組成物は、本発明の更なる目的である。一般に、本発明の粉末被覆組成物は、有機皮膜形成結合剤、着色ポリマー電子写真トナー粒子の彩色的に活性な量、及び場合により更なる添加剤を含む。
【0131】
着色粒子の彩色的に活性な量は、一般に、粉末被覆組成物の重量に基づいて0.01〜70重量%、好ましくは0.01〜30重量%である。
【0132】
好ましい粉末被覆組成物は、有機皮膜形成結合剤が、架橋剤と一緒になったポリエステル若しくはポリアクリレート樹脂、又はエポキシ樹脂、又はこれらの樹脂の組み合わせであるものである。
【0133】
また、興味深いものは、熱可塑特性を有する皮膜形成結合剤であり、その例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデン及びポリ二フッ化ビニリデンである。更に、粉末被覆は、エチレン性不飽和成分を含むことも知られており、光開始剤で硬化することができる。
【0134】
好ましいものは、有機皮膜形成結合剤が、光線、特に紫外線により光開始剤の存在下で硬化されうるエチレン性不飽和成分である粉末被覆組成物である。適当な光源の例は、中圧又は高圧水銀灯である。
【0135】
本発明の粉末被覆組成物は、有機皮膜形成結合剤及び着色ポリマー電子写真トナー粒子に加えて、場合により、顔料、染料、充填剤、流動助剤、脱泡剤、蛍光増白剤、接着促進剤、光開始剤、耐蝕剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤などのような従来の添加剤を含むことができる。
【0136】
一般に、粉末被覆組成物の全ての成分は、計量され、適当なミキサーで一緒に混合される。この目的に使用されるミキサーは、タンブルミキサー、コーンミキサー、ダブルコーンミキサー、横型ミキサー、ブレンダー及び撹拌装置、例えば遊星型ミキサーである。
【0137】
すなわち、配合物は、典型的には70〜120℃、好ましくは70〜110℃の範囲の温度で熱押出機において加工して、最大限の均一性を持つ溶融塊を得る。このことに適切な装置には、一軸スクリュー共混練機、二軸スクリュー押出機及び遊星型押出機が含まれる。添加は、ほとんどの場合、スクリューコンベヤー、コンベヤーベルト又は振とうトラフにより行われる。押出しに続いて、高温塊を、例えば冷却ベルトで圧延し、冷却する。凝固したとき、塊を破砕し、次に摩砕する。適切な摩砕装置は、ピン留めディスクミル、遠心分離ミル、ジェットミル、特に分級ミルである。続いて粉末を分級することができ、好ましくは篩にかける。望ましい場合、追加の物質、例えばシリカ又は金属フレーク顔料のような凝結防止剤を、篩にかける前に粉末の中にブレンドすることができる。
【0138】
本発明の粉末被覆組成物は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは30〜50μmの平均粒径を有する。
【0139】
粉末被覆を調製する他の技術(EP−B−368851又はWO−A−92/00342を参照すること)が最近開示され、これも本発明に用いることができる。この技術において、プレミックス配合物又は押出物を、熱ロータリーチューブに供給し、回転プレート上で遠心分離的に回転させる。プレートの端に、円形で実質的に単分散の液滴が形成され、それは、ホッパーの中に落下する前に冷却空気中で凝固する。
【0140】
粉末被覆用粉末を調製する最近の技術が、EP−A−661091及びWO−A−94/009913に記載されている。ここでは粉末被覆配合物の全ての成分が、好ましくは二酸化炭素である超臨界液体の存在下で一緒に混合される。混合物は、二酸化炭素が蒸発分離されたときに必要な大きさの粉末塗料の球形粒子を得るように、微細ジェットで噴霧される。
【0141】
あるいは、粉末被覆組成物は、以前に記載されたいずれかの方法により、着色ポリマー電子写真トナー粒子以外の全ての成分を混合及び加工することによって調製される。次に後者を、追加の混合工程において、有機皮膜形成結合剤及び着色ポリマー電子写真トナー粒子以外の任意の更なる添加剤を含む粉末の中にブレンドする。
【0142】
更なる代替案としては、有機皮膜形成結合剤及び着色ポリマー電子写真トナー粒子以外の任意の更なる添加剤を含む粉末を、前記着色粒子とブレンドすることは、2つの成分を、例えば2つの異なる噴霧供給源から噴霧して基材に同時に適用することによって行うことができる。
【0143】
更なる代替案としては、有機皮膜形成結合剤及び着色ポリマー電子写真トナー粒子以外の任意の更なる添加剤を含む粉末と、前記着色粒子とを、基材に別々に適用することができる。
【0144】
以下の実施例は本発明を更に説明する。特に記述のない場合は、全ての百分率及び部は、重量%又は重量部を示す。
【0145】
実施例1:水相を調製するために、水73gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Yellow B-Pl(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能な40%C.I.ピグメントイエロー13調製物)8.1gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0146】
油相は、ISOPAR G(登録商標)(ExxonMobil Chemicalから入手可能な蒸留範囲155〜179℃のイソパラフィン)600gを、AGEFLOC(登録商標)WPT7593(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能な炭化水素溶媒中のアクリルコポリマー)30gと混合して調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0147】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0148】
実施例2:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Yellow B-Pl 8.1gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0149】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0150】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0151】
実施例3:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Rubine 4BA-PA(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能な35%C.I.ピグメントイエロー57:1調製物)9.13gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0152】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0153】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0154】
実施例4:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Blue G-Pl(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能な45%C.I.ピグメントイエロー15:3調製物)7.36gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0155】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0156】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0157】
実施例5:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Black B-Pl(Ciba Specialty Chemicalsより入手可能な35%C.I.ピグメントブラック7調製物)9.26gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0158】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0159】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0160】
実施例6:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Blue G-Pl 24.53gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0161】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0162】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0163】
実施例7:水相を調製するために、水100gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Black B-Pl 30.87gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。
【0164】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0165】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0166】
実施例8:水相を調製するために、水73gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Yellow B-Pl 8.1gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。炭酸ジルコニウムアンモニウム3gを加え、更に1分間乳化した。
【0167】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0168】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0169】
実施例9:水相を調製するために、水73gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Rubine 4BA-PA 9.13gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。炭酸ジルコニウムアンモニウム3gを加え、更に1分間乳化した。
【0170】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0171】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0172】
実施例10:水相を調製するために、水73gと、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液200gとを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、UNISPERSE(登録商標)Blue G-Pl 7.36gをこのポリマーエマルションに加え、5分間乳化した。炭酸ジルコニウムアンモニウム3gを加え、更に1分間乳化した。
【0173】
油相は、ISOPAR G(登録商標)600gをAGEFLOC(登録商標)WPT7593 30gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で10分間続けて乳化を完了させた。
【0174】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0175】
実施例11:水相を調製するために、水50g、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液100g、電荷制御剤DL−N24 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0176】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0177】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0178】
実施例12:水相を調製するために、水50g、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液100g、電荷制御剤DL−N22D 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0179】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0180】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0181】
実施例13:水相を調製するために、水50g、14%スチレン−アクリル酸コポリマー(モノマー比65:35重量%、分子量6000)で安定化された32%スチレン−メタクリル酸メチルコポリマーの第2粒子(モノマー比70:30重量%、分子量200,000)を含有する水性ポリマーマイクロ懸濁液100g、電荷制御剤DL−P12 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0182】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0183】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0184】
実施例14:水相を調製するために、水50g、スチレンアクリルコポリマーに基づく水性エマルション100g、電荷制御剤DL−P12 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0185】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0186】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0187】
実施例15: 水相を調製するために、水50g、カルボキシル化アクリルコポリマー(モノマー比68:32重量%)に基づく水性エマルション96g、電荷制御剤DL−N24 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0188】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0189】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0190】
実施例16:水相を調製するために、水50g、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー第2粒子(モノマー比98:2重量%)を含有する水性エマルション92g、電荷制御剤DL−N24 0.49g及びGLASSWAX(登録商標)E1 0.98gを、高速ミキサーを使用して撹拌した。次に、IRGALITE Rubine LPBC 2.45gをこのポリマーエマルションに加え、10分間乳化した。
【0191】
油相は、ISOPAR G(登録商標)300gをSTABILISER(登録商標)1849 15gと混合することにより調製した。高剪断ミキサーの速度を低減し、水相を油相にゆっくりと加えた。添加が完了すると、撹拌を高速で20分間続けて乳化を完了させた。
【0192】
水を減圧下で45〜50℃の蒸留により除去した。残留油を冷まし、形成された着色ポリマー粒子を濾過により単離し、石油エーテルで洗浄し、周囲温度で乾燥させた。
【0193】
荷電特性:実施例11〜16のトナーの荷電特性及び粒径分布は、q/mメーター(Epping- PES)及びMastersizer X(Malvern)をそれぞれ使用して測定した。結果は下記のとおりである:
【0194】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0195】
【図1】図1は、EP0362859A2(上記に考察された従来技術)によるトナー粒子を示す。斑点領域は、より硬い親水性ラテックス粒子からなる突出部(小隆起)である。
【図2a】図2aは、その全体がシェル形成樹脂の中に埋め込まれている、機能性粒子をその表面に有する着色又は非着色コアからなるWO87/01828A1(上記に考察された従来技術)の図8に対応するトナー粒子である。
【図2b】図2bは、WO87/01828A1の17頁に開示されている、コア内部が、結合剤及び結合剤の表面に集まっている極性ポリマー(斑点領域)からなる疑似カプセルである、その変形を示す。
【図3】図3は、疎水性ポリマー(II)の粒子が、イオン性又は潜在的にイオン性の基を含むコポリマー(I)(斑点領域で示されている)からなるマトリックスの全体にわたって分散されている、本発明のトナーを示す。疎水性ポリマー(II)の粒子は、マトリックスの大きさと比較して同じ縮尺で表されてはいない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− モノマー(a)が、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーであり、モノマー(b)が、エチレン性不飽和疎水性モノマーである、少なくとも2つのモノマー(a)及び(b)から誘導される反復単位を含むコポリマー(I)からなる、架橋されているか又は架橋されていない、ポリマーマトリックスと;
− エチレン性不飽和疎水性モノマー(c)及び場合によりモノマー(d)から誘導される反復単位を含み、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)と異なる、前記ポリマーマトリックスの全体にわたって分布している疎水性ポリマー(II)の第2粒子と;
− 着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜20重量%の量の着色剤と;
− 場合により電荷制御剤と
を含む、着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項2】
モノマー(a)が、対イオンの塩であり、対イオンが、揮発性塩基の共役酸又は揮発性酸の共役塩基である、請求項1記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項3】
ポリマーマトリックスが、遊離酸又は遊離塩基形態である反復単位を含む、請求項1記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項4】
コポリマー(I)が、30〜100℃、好ましくは50〜80℃のガラス転移温度を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項5】
0.1〜20μm、好ましくは0.8〜9.9μm、最も好ましくは3〜7μmの平均粒子直径を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項6】
着色剤が、有機顔料及び無機顔料、好ましくは有機顔料又は有機顔料の混合物からなる群より選択される顔料又は顔料の混合物である、請求項1〜5のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項7】
顔料が、モノアゾ、ジアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、レーキアゾ、ベンズイミダゾロン、アゾ縮合、金属錯体、アゾメチン、イソインドリノン、イソインドリン、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、インジゴ、チオインジゴ、アントラキノン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、アントラントロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン、ジケトピロロピロール、ニトロ、キノリン、イソビオラントロン、プテリジン顔料及びこれらのいずれかの混合物からなる群より選択され、好ましくは、モノアゾ、ジアゾ、β−ナフトール、ナフトールAS、レーキアゾ、アゾメチン、金属錯体アゾ及びフタロシアニン顔料、並びにこれらのいずれかの混合物からなる群より選択される顔料である、請求項6記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項8】
ロウ及びUV吸収剤からなる群より選択される成分を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項9】
融合温度が、100〜150℃、好ましくは120〜150℃である、請求項1〜8のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子。
【請求項10】
− モノマー(a)が、エチレン性不飽和イオン性又は潜在的にイオン性のモノマーであり、モノマー(b)が、エチレン性不飽和疎水性モノマーである、少なくとも2つのモノマー(a)及び(b)から誘導される反復単位を含むコポリマー(I)からなる、架橋されているか又は架橋されていない、ポリマーマトリックスと;
− エチレン性不飽和疎水性モノマー(c)及び場合によりモノマー(d)から誘導される反復単位を含み、ポリマーマトリックスのコポリマー(I)と異なる、前記ポリマーマトリックスの全体にわたって分布している疎水性ポリマー(II)の第2粒子と;
− 着色ポリマー電子写真トナー粒子の重量に基づいて、好ましくは0.1重量%〜20重量%の量の着色剤と;
− 場合により電荷制御剤及び/又は更なる成分若しくは更なる成分の混合物と
を含む、着色ポリマー電子写真トナー粒子の調製方法であって、
(A)前記コポリマー(I)を好ましくは塩の形態で含む水相を提供する工程;
(B)前記水相中に第2粒子を形成する工程又は前記水相の外部で第2粒子を予備形成し、それを前記水相と組み合わせる工程;
(C)着色剤と任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を、工程(A)又は(B)の前、間又は後のいずれかの段階で水相に溶解又は分散する工程;
(D)工程(A)、(B)及び(C)の水相から実質的になる油中水エマルションを形成する工程であって、したがって、好ましくは両親媒性ポリマー安定剤を含む水不混和性液相中に、コポリマー(I)、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む油中水エマルションを形成する工程;
(E)前記エマルションから水を除去し、それによって中実(solid)着色ポリマー電子写真トナー粒子を含む油分散体を形成し、そのポリマーマトリックスが、全体に分散している、第2粒子、着色剤、並びに任意の電荷制御剤及び/又は更なる成分を含む工程;
(F)場合により、前記着色ポリマー電子写真トナー粒子を単離、洗浄及び/又は乾燥する工程
を含む方法。
【請求項11】
電子写真トナーとしての請求項1〜9のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子の使用。
【請求項12】
2成分電子写真顕色剤の調製のための請求項1〜9のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子の使用。
【請求項13】
粉末被覆方法における請求項1〜9のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子の使用。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子を含む2成分電子写真顕色剤。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項記載の着色ポリマー電子写真トナー粒子の彩色活性量を含む粉末被覆組成物。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−516220(P2009−516220A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540569(P2008−540569)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068094
【国際公開番号】WO2007/054467
【国際公開日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】