説明

ポリマーセメントモルタル及び補修材並びに硬化ポリマーセメントモルタル

【課題】フレッシュな状態及び硬化した状態で優れた性質を有するとともに、耐爆裂性の良好なポリマーセメントモルタル等を提供する。
【解決手段】本発明に係るポリマーセメントモルタルは、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有したポリマーセメントモルタルであって、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のポリマー/結合材比が4.2%〜9.8%であることを特徴とする。当該ポリマーセメントモルタルは、例えば、コンクリート構造物の断面修復用、又は、コンクリート構造物のかぶり厚さ補修に用いる補修材として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐爆裂性に優れたポリマーセメントモルタル等に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマーを含有することによって、施工性、接着力に優れ、耐候性、耐熱性、耐薬品性等の特性が良好なポリマーセメントモルタルが知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−120121号公報(段落0001;0005;0009;0037等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリマーセメントモルタルは、一般的に、ポリマーの含有率が大きくなると、フレッシュな状態では、ワーカビリティー、保水性、ブリーディング及び材料分離に対する抵抗性に優れた性質を有するようになるとともに、硬化した状態では、曲げおよび引張強度と伸び能力が増大し、接着性、水密性能(防水性)、中性化及び塩化物イオン浸透に対する抵抗性、耐凍結融解性能、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性などに優れた性質を有するようになる一方で、爆裂しやすくなると言われている。具体的には、ポリマーセメントモルタルは、ポリマー/結合材比(以下、P/B比という)が4%以上になると、爆裂しやすくなると言われている。尚、結合材(B)=セメント+膨張材=粉体である。
即ち、従来、上述したフレッシュな状態及び硬化した状態での性質を向上させる要因と耐爆裂性を向上させる要因とが相反していたので、フレッシュな状態及び硬化した状態で上述したような優れた性質を有するとともに、耐爆裂性の良好なポリマーセメントモルタルが求められている。
本発明は、フレッシュな状態及び硬化した状態で優れた性質を有するとともに、耐爆裂性の良好なポリマーセメントモルタル等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るポリマーセメントモルタルは、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有したポリマーセメントモルタルであって、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のP/B比が4.2%〜9.8%であることにより、フレッシュな状態及び硬化した状態で優れた性質を有するとともに、耐爆裂性の良好なポリマーセメントモルタルが得られる。
本発明に係る補修材は、コンクリート構造物の断面修復用、又は、コンクリート構造物のかぶり厚さ補修に用いる補修材であって、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有し、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のP/B比が4.2%〜9.8%であるので、当該補修材がコンクリート構造物の欠損部に充填されて断面修復された部分が耐火性に優れたコンクリート構造物、又は、当該補修材がコンクリート構造物のコンクリート内の鉄筋のかぶり厚さ不足部分に塗られてかぶり厚さが補修されたかぶり部分が耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
本発明に係る硬化ポリマーセメントモルタルは、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有し、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のP/B比が4.2%〜9.8%であって、材齢28日経過後800℃の条件において爆裂しないので、耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】試験に用いたポリマーセメントモルタルの組成を示す図。
【図2】試験に用いたポリマーセメントモルタルの組成の詳細を示す図。
【図3】ポリマーセメントモルタルの各試験体による耐火試験の結果を示し、(a)は試験結果後の試験体を示し、(b)は試験結果の評価表を示す。
【図4】ポリマーセメントモルタルの各試験体による耐火試験の結果を示し、(a)は試験結果後の試験体を示し、(b)は試験結果の評価表を示す。
【図5】ポリマーセメントモルタルの各試験体による耐火試験の結果を示し、(a)は試験結果後の試験体を示し、(b)は試験結果の評価表を示す。
【図6】ポリマーセメントモルタルの各試験体による耐火試験の結果を示し、(a)は試験結果後の試験体を示し、(b)は試験結果の評価表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
4種類のポリマーを用い、かつ、ポリマーの量の異なる12種類のポリマーセメントモルタルの試験体を作製し、耐火試験を行って図3乃至図6に示すような各試験体の耐火性能結果を得た。
【0008】
図1;図2を参照し、試験に用いたポリマーの量の異なる12種類のポリマーセメントモルタルの組成について説明する。
図1に示すように、No.1〜No.13は、プレーンモルタル及び12種類のポリマーセメントモルタルのそれぞれに個々に付した番号である。
No.1は、水(W)とセメントと細骨材とを練混ぜして形成されたセメントモルタル、所謂、プレーンモルタルである。
No.2、No.3、No.4は、前記水と前記セメントと膨張材と上記細骨材とポリマー(P)と収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであり、ポリマーとして図2に示したアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体樹脂を用いたポリマーセメントモルタルである。No.2はP/B比が4.2%、No.3はP/B比が7.0%、No.4はP/B比が9.8%である。
No.5、No.6、No.7は、前述した水と結合材と膨張材と細骨材とポリマーと収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであり、ポリマーとして図2に示したスチレン・アクリル共重合体樹脂を用いたポリマーセメントモルタルである。No.5はP/B比が4.2%、No.6はP/B比が7.0%、No.7はP/B比が9.8%である。
No.8、No.9、No.10は、前述した水と結合材と膨張材と細骨材とポリマーと収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであり、ポリマーとして図2に示した酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体樹脂を用いたポリマーセメントモルタルである。No.8はP/B比が4.2%、No.9はP/B比が7.0%、No.10はP/B比が9.8%である。
No.11、No.12、No.13は、前述した水と結合材と膨張材と細骨材とポリマーと収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであり、ポリマーとして図2に示した酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を用いたポリマーセメントモルタルである。No.11はP/B比が4.2%、No.12はP/B比が7.0%、No.13はP/B比が9.8%である。
尚、No.1〜No.13のモルタルの水/結合材比(W/B比)は40%である。
【0009】
No.1〜No.13のモルタルを組成する各材料の質量は図1に示した通りであり、また、No.1〜No.13のモルタルを組成する各材料の詳細は図2に示した通りである。
即ち、セメントとしては普通ポルトランドセメントを用いた。
繊維としてはナイロン繊維を用いた。
細骨材としては珪砂4号を40%、珪砂5号を40%、珪砂6号を20%の割合で混合したものを用いた。
膨張材としてはエトリンガイト石灰複合系を用いた。収縮低減剤としてはポリオキシアルキレングリコールを用いた。
増粘剤としてはメチルセルロースを用いた。
消泡剤としてはポリアルキレングリコール誘導体の配合品(含有量;ポリアルキレングリコール誘導体50%、シリカ50%)を用いた。
【0010】
No.1〜No.13のモルタルを用いて耐火試験用の試験体を作製した。即ち、No.1〜No.13の各モルタルを用いて、それぞれ、一辺の長さが10cmで高さ(厚さ)40cmの正四角柱体が形成されるよう打設し、打設後材齢2日まで湿空養生、材齢2日から材齢7日まで20℃水中養生し、材齢7日目に、当該正四角柱体を高さ(厚さ)方向と垂直な方向に切断して、厚さ10mm、および、厚さ30mmの正四角形のモルタル板を作製し、これら正四角形のモルタル板を材齢7日以降試験材齢まで20℃、湿度60%の恒温恒湿室で養生したものを試験体とした。
耐火試験は、800℃に熱した耐火炉に、同じNo.のモルタルで作製した試験体をそれぞれ3個ずつ入れて、爆裂の有無を確認した。加熱時間は、爆裂が起きた場合には爆裂が終了するまで、爆裂が起きない場合には最大15分間とした。
【0011】
耐火試験結果を図3乃至図6に示す。
各図の図(b)の番号−番号により示した左の番号は試験体を形成したモルタルのNo.を示し、右の番号は各No.のモルタル毎にそれぞれ形成された3個の試験体にそれぞれ付された1〜3までの番号である。各図の図(b)の番号−番号の下の欄に記入された「◎」、「○」、「△」、「×」、「なし」は、試験結果を示す。ここで、「◎」は「変化なし(爆裂しなかった(試験体が100%残存した))」、「○」は「爆裂したが試験体が90%以上残存した」、「△」は「爆裂したが試験体が50%〜90%残存した」、「×」は「爆裂したが試験体が50%以下残存した」、「なし」は「爆裂して試験体が残存しなかった」ということを示す。また、各図の図(a)は、試験後の試験体を各図の図(b)の表の試験体の並びと同じ並びにして写真撮影したものである。
図3は、厚さ30mmに切断された正四角形のモルタル板を材齢7日以降材齢14日まで20℃、湿度60%の恒温恒湿室で養生して作製した各試験体の耐火試験結果を示す。
図4は、厚さ30mmに切断された正四角形のモルタル板を材齢7日以降材齢28日まで20℃、湿度60%の恒温恒湿室で養生して作製した各試験体の耐火試験結果を示す。
図5は、厚さ10mmに切断された正四角形のモルタル板を材齢7日以降材齢28日まで20℃、湿度60%の恒温恒湿室で養生して作製した各試験体の耐火試験結果を示す。
図6は、厚さ10mmに切断された正四角形のモルタル板を材齢7日以降材齢28日まで封緘養生して作製した各試験体の耐火試験結果を示す。
尚、以下の評価においては、各No.のモルタル毎の3個の試験体のすべてが90%以上残存していれば「耐爆裂性を満たす」として評価し、3個の試験体のうちの1つでも90%以上残存していなければ「爆裂した」として評価した。
【0012】
図6に示した実験結果からわかるように、ポリマーの種類が、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体樹脂、又は、スチレン・アクリル共重合体樹脂であり、かつ、P/B比が7.0%以上の場合、さらに、ポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体樹脂であり、かつ、P/B比が9.8%の場合においては、厚さが10mmと薄く、しかも、図3乃至図5に示す恒温恒湿室で養生した試験体と比べて乾燥条件が緩やかで含水率が高い状態の試験体である、試験体No.3、No.4、No.6、No.7、No.10は爆裂した。即ち、これら試験体を形成したポリマーセメントモルタルは、耐火性能を要求される条件下においては使用することが難しいということである。
また、図3に示した実験結果からわかるように、ポリマーの種類が、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体樹脂、又は、スチレン・アクリル共重合体樹脂であり、かつ、P/B比が9.8%の場合においては、図4乃至図6に示す材齢28日よりも短い材齢14日の試験体である、試験体No.4、No.7は爆裂した。即ち、これら試験体を形成したポリマーセメントモルタルは、材齢が28日になるまでの間に爆裂する可能性があり、モルタルの硬化後すぐに耐火性能が要求される条件下においては使用することが難しいということである。
【0013】
一方、試験体のポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂(No.11、No.12、No.13)である場合は、P/B比(4.2%〜9.8%)、及び、試験体の作製条件に関わらず、耐爆裂性を満たすという結果が得られた。このことから、ポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂である場合は、P/B比の条件、試験体の作製条件に関わらず、耐爆裂性に優れ、耐火性能の要求される条件下においても使用できることがわかった。
特に、ポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂である場合には、図6に示すように、厚さが10mmと薄く、かつ、図3乃至図5に示す恒温恒湿室で養生した試験体と比べて乾燥条件が緩やかで含水率が高くて、しかも、ポリマー量も多いという爆裂しやすい条件を満たすにも係わらず、すべての試験体において爆裂しなかった(図6のNo.11〜13参照)。よって、ポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂であるポリマーセメントモルタルは、耐爆裂性が一番良く、耐火性能の要求される条件下での使用に適したポリマーセメントモルタルであることがわかった。
尚、ポリマーの種類が、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体樹脂である場合は、図6に示すように、厚さが10mmと薄く、図3乃至図5に示す恒温恒湿室で養生した試験体と比べて乾燥条件が緩やかで含水率が高く、P/B比が9.8%の3つの試験体のうちの1つ(図6のNo.10−1)が爆裂したが、それ以外は、ポリマーの種類が酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂である場合と同様の良好な結果が得られた。このことから、厚さが10mmと薄く、しかも、図3乃至図5に示す恒温恒湿室で養生した試験体と比べて乾燥条件が緩やかで含水率が高くて爆裂しやすいという条件で、かつ、P/B比が9.8%と高い試験体においては、ポリマーとして酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル酸エステル共重合体樹脂よりも酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を用いたポリマーセメントモルタルの方が、耐爆裂性が良いことがわかった。
【0014】
尚、上記試験体No.11〜No.13のモルタルは、以下に示す、コンクリート構造物の断面修復に用いられるポリマーセメントモルタルの品質基準、及び、コンクリート構造物のかぶり部分の補修に用いられる材料の品質基準を満たしていることを確認した。
コンクリート構造物の断面修復に用いられるポリマーセメントモルタルの品質基準=曲げ強さが6N/mm以上、圧縮強さが20N/mm以上、付着強さ(標準時)が1.0N/mm以上、長さ変化が0.5%以下(「鉄筋コンクリート造建築物の耐久性調査・診断および補修指針(案)・同解説」、編集著作人 社団法人 日本建築学会、発売所 丸善株式会社、1997年1月25日 第1版第1刷 参照)。
コンクリート構造物のかぶり部分の補修に用いられる材料の品質基準=曲げ強さが6N/mm以上、圧縮強さが20N/mm以上、接着強さが1.0N/mm以上、接着耐久性が1.0N/mm(平成13年国土交通省告示第1372号)。
【0015】
即ち、実施形態のポリマーセメントモルタルは、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーと収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであって、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を用い、P/B比が、4.2%〜9.8%となるように調製されたポリマーセメントモルタルとしたので、フレッシュな状態及び硬化した状態で優れた性質を有するとともに、耐爆裂性の良好なポリマーセメントモルタルが得られる。
【0016】
また、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーと収縮低減剤と繊維と増粘剤と消泡剤とを練混ぜして形成されたポリマーセメントモルタルであって、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を用い、P/B比が、4.2%〜9.8%となるように調製されたポリマーセメントモルタルを、コンクリート構造物の断面修復用、又は、かぶり部分の補修用の補修材として用い、当該補修材がコンクリート構造物の欠損部に充填されて断面修復された部分が耐火性に優れたコンクリート構造物、又は、当該補修材がコンクリート構造物のコンクリート内の鉄筋のかぶり厚さ不足部分に塗られてかぶり厚さが補修されたかぶり部分が耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
例えば、鉄筋コンクリート構造物の壁において、鉄筋腐食によるコンクリートのひび割れ、浮き、剥落等の劣化現象に対し、鉄筋や健全なコンクリート部分をはつり出し、はつり出した欠損部に補修材を埋めることによって、断面修復された部分が耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
また、コンクリート構造物の柱、梁、壁、床のコンクリート内に埋め込まれた鉄筋のかぶり厚さが足りない場合、所定のかぶり厚さを満たすように、補修材を塗ることによって、かぶり厚さが補修されたかぶり部分が耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
【0017】
また、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有し、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のポリマー/結合材比が4.2%〜9.8%であって、材齢28日経過後800℃の条件において爆裂しない硬化ポリマーセメントモルタルが得られる。
例えば、10mm以上の厚さに塗ってかぶり厚を補修したポリマーセメントモルタルによるかぶり部分が、材齢28日経過後の硬化した状態において、800℃の条件下で少なくとも15分間爆裂しない硬化ポリマーセメントモルタルとなる。
従って、硬化後、800℃の条件下で少なくとも15分間爆裂しない硬化ポリマーセメントモルタルが得られたことで、耐火性に優れたコンクリート構造物を得ることができる。
尚、コンクリート構造物としては、建物、橋脚等がある。
【0018】
本発明のポリマーセメントモルタルは、コンクリート構造物の断面修復用、又は、かぶり部分の補修用の補修材として用いられるだけでなく、その他の耐火性能を要求される場所においての使用に適する。
【符号の説明】
【0019】
W 水、B 結合材、P ポリマー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有したポリマーセメントモルタルであって、
ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のポリマー/結合材比が4.2%〜9.8%であることを特徴とするポリマーセメントモルタル。
【請求項2】
コンクリート構造物の断面修復用、又は、コンクリート構造物のかぶり厚さ補修に用いる補修材であって、水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有し、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のポリマー/結合材比が4.2%〜9.8%であることを特徴とする補修材。
【請求項3】
水とセメントと膨張材と細骨材とポリマーとを含有し、ポリマーとして、酢酸ビニル・バーサチック酸ビニル・アクリル共重合体樹脂を含有し、セメント及び膨張材を結合材とした場合のポリマー/結合材比が4.2%〜9.8%であって、材齢28日経過後800℃の条件において爆裂しないことを特徴とする硬化ポリマーセメントモルタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−10667(P2013−10667A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144633(P2011−144633)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(502281127)株式会社ファテック (83)
【出願人】(591029921)フジモリ産業株式会社 (65)
【出願人】(511158971)RECOエンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】