Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
ポリマーダラー粒子を含む水性組成物
説明

ポリマーダラー粒子を含む水性組成物

【課題】本発明は水性つや消しコーティング組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、バインダー成分B)およびポリマーダラー成分A)を含む、水性つや消しコーティング組成物を提供し、該ポリマーダラー成分A)は、1種以上の多段コポリマーまたは一段の架橋した(コ)ポリマー、たとえば、架橋t−ブチル(メタ)アクリレート、からなり、該ダラー成分粒子A)は1〜20μmの平均直径を有する。成分A)およびB)は適合性である。好ましくは、ダラー成分A)はアクリル系であり;さらに好ましくは、成分A)およびB)はアクリル系である。水性組成物は、触感または感触(柔らかい手触り)特性、光沢耐性および低い色の損失をはじめとするフィルムおよび外観特性を有するつや消しコーティングを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1〜20μmの平均粒子直径を有するポリマーダラー成分およびバインダー成分を含む水性コーティング組成物であって、透明性、光沢抵抗性、柔軟性および感触または触覚特性を有するつや消しコーティング、ならびにこれから製造されるコーティングされた物品を提供する。さらに詳細には、バインダー成分およびこれと適合性のダラー成分を含む水性コーティング組成物に関し、ダラー粒子は多段ポリマーから、および−60℃〜75℃のTを有する一段ポリマーから選択され、並びに、これから製造される肌触りが柔らかいコーティングにも関する。
【背景技術】
【0002】
光沢の制御は、多くの完成品、たとえば、皮革、木材、ガラス、メーソンリー、プラスチックおよび金属の保護および/または装飾用コーティングのデザインおよび適用において重要であり得る。光沢を低下させる一方法は、つや消し剤(ダラー(duller)としても知られている)を添加することを含み、このつや消し剤は、無機粒子、たとえば、シリカ、もしくは炭酸カルシウム粒子、または有機粒子、たとえば、ポリウレタン分散物、またはフィルムの表面を粗面化することにより機能する尿素−ホルムアルデヒド樹脂のいずれかである。光沢の低下に有用であるが、これらのダラーは著しい程度の、前方および後方散乱の両方の光散乱をもたらし、および内部および外部反射をもたらす。このような光とダラー粒子の制御不良の相互作用は、コーティングされた物品の灰色化、曇り、混濁、色の強さの損失および色あせた外観をもたらし得る。さらに、ダラー粒子はしばしばフィルム一体性を崩壊させ、重要なフィルム特性、たとえば、水および摩擦耐性、柔軟性などの喪失につながり得る。さらに、ダラー粒子は摩擦後に磨きまたはつや出しの傾向があり、光沢の増大につながる。
【0003】
粒子サイズの制御、ランダムな光散乱を最小限に抑えること、粒子とマトリックス間の屈折率を慎重に選択すること、またはマトリックスまたはフィルム形成ポリマーを修飾することにより、ダラー粒子の使用に関連する問題を克服する試みは失敗に終わっていた。しかしながら、このような方法は透明性、またはつや消し効果のためのフィルム特性を犠牲にし、有用な組成物の範囲を大きく制限し得る。
米国特許出願公開番号2004/0062913号(大日本印刷株式会社)において、有機または無機多孔性微粒子ダラーを含む水性または溶媒ベースの熱硬化性樹脂組成物は、退色に抵抗する合成皮革のための漆黒コーティングまたはフィルムを提供する。しかしながら、ほとんどの多孔性ダラーは、高いバインダー要求を有する傾向にあり、樹脂またはフィルム形成性物質を吸収し、最終的にフィルム品質および柔軟性を損なうであろう。さらに、多くの無機ダラーを全ダラーの重量基準で30重量%を超える量で使用することにより、白変または曇ったコーティングがもたらされる。加えて、Dai Nippon溶液は、漆黒合成皮革のコーティングされた物品を提供するための組成物にのみ適用する。さらに、溶媒ベースの組成物は、許容できない量の揮発性有機化合物(VOC)を含有し、健康、環境および安全性の観点から望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開番号2004/0062913号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、退色、光沢の増加または不適切なフィルム特性の問題がない耐久性つや消し仕上げコーティングを提供できる多目的組成物を提供することが望ましい。
【0006】
本発明に従って、本発明者らは、明らかな透明性、色の強度またはフィルム特性の損失がない、調節可能な光沢の制御および光沢耐性を有するコーティングを提供する独自のポリマー粒子を含有する組成物を見いだした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、多段コポリマー、−60℃〜75℃のTを有する一段の架橋した(コ)ポリマー、およびその混合物から選択される1種以上のポリマーの1〜20μmの平均直径を有する粒子からなるポリマーダラー成分A);およびダラー成分A)と適合性の1種以上のフィルム形成性有機バインダーからなるバインダー成分B)を含む水性組成物を提供する。組成物は、非粘着性コーティングまたはフィルムを形成する。好適なバインダーポリマーは、200000〜10000000のmwを有する1種以上のポリマーバインダーおよび20℃〜70℃のTを有し、1000000まで、または10000以上のmwを有する1種以上のポリマーバインダー、およびその混合物から選択することができる。好適なダラー粒子は、フィルム形成性バインダー成分と、ダラー粒子とバインダーの重量比がGOTHRU4:1で組み合わせられ、基体に適用され、150℃以下で乾燥された場合にコーティングフィルムを形成する。
【0008】
好ましくは、ダラー成分A)は、第一段ポリマー粒子上にグラフト重合された少なくとも1つの追加の外側段を有する1種以上の多段ポリマーを含む。さらに好ましくは、本発明のバインダーおよびダラー成分のそれぞれはアクリル系である。好ましい態様の一例において、バインダー成分B)は、1種以上の二段アクリルエマルジョンポリマーを含み、およびダラー成分A)は1種以上のアクリル一段(コ)ポリマーを含む。
【0009】
好適なダラー粒子は、たとえば、一段ポリマー、たとえば、架橋したt−ブチルアクリレート(t−BA)(コ)ポリマー、架橋した2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したsec−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したエチル(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したメチルアクリレート(コ)ポリマー、架橋したヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したベンジル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソプロピル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したドデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したn−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したC21〜C30アルキル(メタ)アクリレート、架橋したビニルプロピオネート(コ)ポリマー、ウレタンポリマー、メラミン樹脂、シリコーン官能性(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したポリマーのアクリルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する)、架橋したポリマーのビニルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する);多段ポリマー、たとえば、アクリル多段ポリマー、ビニル多段ポリマー、多段合成ゴムコポリマー、多段ウレタンコポリマー、水分散性グラフトコポリマー、その混合物および組み合わせ、たとえば、ポリ(ウレタンアクリレート)から選択されるポリマーを包含する。好ましくは、ダラー粒子は、−10℃〜75℃のTを有するホモポリマーフィルムを生じさせるモノマーが50重量%を超える重合生成物である一段の架橋した(コ)ポリマーを含む。さらに好ましくは、ダラー粒子は多段ポリマーを含む。
【0010】
水性組成物は、様々な基体、好ましくは、皮革に適用することができ、乾燥され、かつ任意に硬化されて、つや消しコーティングされた物品が得られる。
【0011】
本発明の水性組成物は、有機バインダー成分B)および1〜20μmの平均直径を有し、好ましくは狭い粒子サイズ分布(PSD)を有するポリマー粒子を含んでなるダラー成分A)を含み、ここにおいて、2つの成分A)およびB)は互いに適合性である。好適なダラーは、−60℃〜75℃、好ましくは、−10℃〜60℃のTを有しうる。本発明の組成物は、光沢がないかまたはつや消し仕上げを有し、および曇りまたは濁りのない優れたフィルム透明性を有し、良好な「手触り」(すなわち、柔らかい肌触り)およびフィルム特性を有するコーティングの提供を可能にする。得られるフィルム特性は、柔軟性、摩擦堅牢度、光沢耐性およびエンボス加工に際しての印刷特性を包含する。好ましくは、組成物は、溶媒を含まず、低VOC用途における良好なフィルム形成を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において用いられる場合、「アクリル」なる語句は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アルキルアクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルおよびその修飾された形態、たとえば、(メタ)ヒドロキシアルキルアクリレートを意味する。
【0013】
本明細書において用いられる場合、「水性」なる語句は、水、または混合物の重量基準で50重量%以下の水混和性溶媒と混合された水を意味する。
【0014】
本明細書において用いられる場合、「平均直径」なる語句は、Multisizer3 Coulter Counter(Beckman Coulter、Inc.,Fullerton,CA)を用い、製造業者の推奨する手順にしたがって電気インピーダンスにより測定される粒子の分布の中央の粒子サイズを意味する。中央値は、分布における50重量%の粒子が中央値よりも小さく、分布における50重量%の粒子が中央値より大きいサイズとして定義される。
【0015】
本明細書において用いられる場合、「60°光沢」なる語句は、Micro−TRI光沢計(BYK−Gardner GmbH、Geretsried,DEから入手)を用いて60°の視覚で測定された、コーティングされた物品またはコーティングの光沢を意味する。
【0016】
本明細書において用いられる場合、「適合性」なる語句は、成分またはポリマーそれ自体が別の成分またはポリマーと均一なブレンドを形成できることを意味する。
【0017】
本明細書において用いられる場合、「コポリマー」なる語句は、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマーまたはヘキサポリマーを意味し、ランダム、ブロックおよびグラフトコポリマーも意味する。
【0018】
本明細書において用いられる場合、「低Tモノマー」なる語句は、そのホモポリマーが20℃以下のTを有する任意のモノマーを意味する。
【0019】
本明細書において用いられる場合、他に特に示されない限り、「分子量」または「mw」なる語句は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によりポリアクリル酸標準に対して測定されるポリマーの重量平均分子量を意味する。
【0020】
本明細書において用いられる場合、「狭いPSD」なる語句は、粒子の少なくとも90重量%が平均粒子直径の±20%以内にある粒子サイズ分布を意味する。
【0021】
本明細書において用いられる場合、「非粘着性」なる語句は、適用され、乾燥されてフィルムを形成する場合、さわって粘着性でない組成物を意味する。
【0022】
本明細書において用いられる場合、「非イオン性モノマー」なる語句は、2〜13のpHでイオン性電荷を有さない共重合したモノマー残基を意味する。
【0023】
本明細書において用いられる場合、「ポリマー」なる語句は、樹脂およびコポリマーを包含する。
【0024】
本明細書において用いられる場合、「樹脂」なる語句は、ポリマーおよびコポリマーを包含する。
【0025】
本明細書において用いられる場合、「合成ゴム」なる語句は、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)、スチレン−ブタジエンコポリマー、シリコンゴム、ウレタンゴム、ジエンゴム、および熱可塑性ポリオレフィン(TPO)を意味する。
【0026】
本明細書において用いられる場合、「T」なる語句は、サーモグラムにおける変曲点をT値として示差走査熱量分析(DSC)により測定されるガラス転移温度を意味する。多段ポリマーの場合、報告されるT値はサーモグラムにおいて観察される変曲点の加重平均である。たとえば、一方が−43℃、他方が68℃である2つのDSC変曲点を有する80%の軟質第一段および20%の硬質第二段ポリマーからなる二段ポリマーは−20.8℃の報告されるTを有する。
【0027】
本明細書において用いられる場合、「ビニル」または「ビニルモノマー」なる語句は、アクリル、ビニルエステル、ビニルエーテル、モノビニル芳香族化合物、たとえば、スチレンおよびα−メチルスチレン、およびビニルハライドを意味する。
【0028】
本明細書において用いられる場合、「wt%」なる語句は、重量パーセントを意味する。
【0029】
記載されるすべての範囲は両端を含み、組み合わせ可能である。たとえば、1μm以上、または2μm以上、または4μm以上かつ20μmまで、または15μmまでの平均直径は、1μm以上〜20μm以下、1μm以上〜15μm以下、2μm以上〜15μm以下、2μm以上〜20μm以下、4μm以上〜15μm以下、および4μm以上〜20μm以下の範囲を包含する。
【0030】
他に特に示されない限り、すべての温度および圧力単位は標準温度および圧力(STP)である。
【0031】
かっこ書きを含むすべての語句は、挿入事項およびそれがない場合のいずれかまたは両方をさす。たとえば、「(コ)ポリマー」なる語句は、ポリマー、コポリマーおよびその混合物を選択的に包含する。
【0032】
ダラー成分A)は、1〜20μmの平均直径を有するポリマー粒子を含む。好適なダラー粒子は、1μm以上、好ましくは2μm以上、または4μm以上、または5μm以上の平均直径を有する。粒子の平均直径が1μmより小さい場合、粒子は凝集し、水性組成物中に適切に分散するのが困難になる傾向がある。好適なダラー粒子は、20μmまで、または15μmまで、または好ましくは10μmまで、さらに好ましくは8μmまでの範囲であり得る。所望のサイズより小さな多くのダラー粒子が組成物中に存在するならば、ダラーのつや消し効果は低下し;所望のサイズよりも大きな多くのダラーが組成物中に存在するならば、コーティング表面はあまり魅力的でなく、透明性が減少する。
【0033】
好ましくは、ダラー粒子は、たとえば、コアシェルまたは積層構造、たとえばマルチローバル(multilobal)構造を有する多段ポリマーを含む。多段ダラー粒子は、ポリマーコア相および1以上のポリマーシェル相を含み、段階的な屈折率(grin)の組成物を含み得る。コアは、様々なビニルモノマーから製造することができ、ゴム状またはガラス状ポリマーであってよい。コアは、ジオレフィン、たとえばブタジエンまたはイソプレン;ビニル芳香族モノマー、たとえば、スチレンまたはクロロスチレン;ビニルエステル、たとえば、酢酸ビニルまたは安息香酸ビニル;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;(メタ)アクリレートエステル、たとえばメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、およびベンジルアクリレート;塩化ビニル;およびフリーラジカル開始により重合可能な他のモノマーなどのモノマーの重合または共重合から製造することができる。
【0034】
一態様において、ダラー粒子は、ゴム状コア、すなわち、20℃以下、または10℃以下のTを有する多段ポリマーを含む。ゴム状コアは、合成または天然ゴム、または好ましくはアクリルゴムを含む。アクリルゴムコアは、アルキルアクリレートコポリマーを含み、アルキル基は2〜8個の炭素原子を有し、コアモノマーの合計重量基準で、0〜10重量%、好ましくは約5重量%まで、または1重量%まで、または0.05重量%以上の1種以上のクロスリンカー、コアモノマーの合計重量基準で0〜10重量%、好ましくは5重量%まで、または2.5重量%まで、および好ましくは0.1重量%以上、または0.5重量%以上の1種以上のグラフトリンカー、およびコアモノマーの合計重量基準で0〜50重量%の1種以上の共重合性ビニルモノマーと共重合されている。アクリルゴムを取り巻く1以上のポリマーシェルのうち、最外シェルはバインダー成分B)と適合性である。シェル(単数または複数)は0〜40重量%の多段粒子を含み得る。
【0035】
ダラー粒子A)のゴム状コアポリマーにおいて、好ましいアルキルアクリレートはt−BAまたはBAである。共重合性ビニルモノマー(単数または複数)はモノビニルモノマー、たとえば、アルキルメタクリレートおよびモノビニルアレーン、たとえばスチレンである。モノビニルアレーンは、本明細書において用いられる場合、スチレン、アルキルスチレン、たとえば、メチルスチレンおよびエチルスチレンなどのモノエチレン性不飽和芳香族モノマー、置換基が重合を妨げない他の置換ビニルベンゼン、および類似のビニル多環式芳香族モノマーを包含する。コアポリマーおよびバインダー成分B)の屈折率は、任意に正確に適合させることができ、ほとんど完全に透明な組成物が製造されうる。一例において、好ましい二段5μmの平均直径のコポリマーは、アリルメタクリレートと架橋したゴム状ポリ(BA)を含み、ポリメチルメタクリレート(pMMA)の硬質シェルを有し、このシェルは20重量%の粒子を含む。
【0036】
コアポリマーにおける使用に好適な架橋モノマーは、一般に、他のコアモノマーと共重合可能なジ−または多−エチレン性不飽和モノマーであり、ここにおいて、エチレン性不飽和基はほぼ等しい反応性を有し、たとえば、ジビニルベンゼン(DVB);グリコールジ−およびトリ(メタ)アクリレート、たとえば、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、および1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;トリオールトリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレートなどである。好ましい架橋モノマーはブチレングリコールジアクリレートである。
【0037】
コアポリマーにおける使用に好適なグラフト結合モノマーは、他のコアモノマーと共重合可能で、かつ有意な残存不飽和がその重合後にコアポリマー中に残留することを可能にするのに十分低い反応性の不飽和基を有するジ−または多エチレン性不飽和モノマーであり、たとえば、アリルメタクリレート(ALMA)、アリルアクリレート、ジアリルマレエート、アリルアクリルオキシプロピオネートなどである。好ましいグラフト結合モノマーはALMAである。
【0038】
多段ポリマー粒子のコアを取り囲むのは、ポリマーの1以上のシェルである。シェルポリマーは全粒子重量基準で約0.1〜約40%、好ましくは約5〜約40%、さらに好ましくは約15〜約35%を構成しうる。
【0039】
成分A)における多段ダラー粒子の外側シェルポリマーは、バインダー成分B)と適合性である。たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)のシェルはポリ(メチルメタクリレート)、またはポリ(塩化ビニル)のマトリックスポリマーと適合性である。同様に、一段(コ)ポリマーダラーA)はバインダー成分B)と適合性である。たとえば、シェルおよびマトリックスポリマーについてのメチルメタクリレートポリマーの前記例におけるように、多段ダラーA)ポリマーまたは架橋コポリマーダラーA)のシェルは、化学的類似性の結果として、ポリマーバインダーB)と適合性であり得るか、あるいは全モノマー重量基準で、約25〜約30%のアクリロニトリルまたはスチレンと共重合したt−BAのコポリマーにおけるように、実験的に適合性であると決定することができ;このコポリマーダラーは、ポリ(メチルメタクリレート)、他の(コ)ポリ(メタ)アクリレートバインダーとも適合性である。ダラーおよびバインダーポリマーについての多くのこのような適合性ポリマーの組み合わせは当業者に公知であり、他のものは、たとえば、提案されたダラーおよびバインダーポリマーのブレンドを製造し、曇りがないこと、単一のガラス転移温度が存在することなどの適合性の証拠に関してこのブレンドを調べることによるなど、通常の実験により容易に決定することができる。
【0040】
ダラー粒子は、1〜20μmの平均粒子直径を有する粒子が得られる任意の方法により製造することができる。所望のサイズ範囲の上限の粒子は、懸濁重合技術により製造することができるが、これは重合後粒子分画を必要とする。好ましくは、ダラー粒子は乳化重合により形成される。
【0041】
本発明の好ましい態様において、ダラー粒子は、コアまたは一段(コ)ポリマーのいずれかの少なくとも1つのモノマー成分の水性乳化重合により製造され、1ミクロン未満の平均直径のエマルジョン(コ)ポリマーまたはオリゴマーシード粒子が形成され、続いてこのシード粒子をコアまたは一段(コ)ポリマーの1種以上のモノマー成分で、たとえば、吸収により膨潤させ、そして1種以上のモノマーをエマルジョンシード粒子内で重合させて、所望の平均直径を有し、好ましくは狭いPSDを有する粒子を得る。膨潤および重合工程は、粒子が所望のコアまたは一段(コ)ポリマーサイズに成長するまで繰り返すことができる。シード粒子があらかじめ作られた様々なサイズの粒子である場合、ダラーとしての使用に好適な組成物は、適当なサイズの膨潤性(コ)ポリマーまたはオリゴマーシードを用いることにより製造できる。
【0042】
シード粒子は、通常の乳化(共)重合により製造できる。ミクロ粒子ビーズを製造するための好適なシードポリマー前駆体は、たとえば、30〜1000nmの範囲のオリゴマーエマルジョンポリマー粒子を包含しうる。平均直径が5μmより大きな均一なサイズの粒子は、1000nmより大きなシードポリマー粒子から始めることにより、または追加のモノマーをすでに製造されたダラーミクロ粒子の存在下で重合させることにより製造することができる。たとえば、1〜10μmの平均直径のシード粒子を1種以上の架橋モノマー、たとえば、ジビニルベンゼン、および1種以上のモノマー、たとえば、t−ブチルアクリレート(t−BA)などのアクリルモノマーで膨潤させて、ビーズ、たとえば、ポリ(t−BA)ビーズを成長させることができる。
【0043】
膨潤および重合工程の1以上またはすべては、結果として得られる(コ)ポリマーの分子量を制限する条件の非存在下で、たとえば、連鎖移動剤の非存在下で行うことができる。しかし、最初に形成されたエマルジョン(コ)ポリマーシード粒子は、その後の、より大きな粒子(得られる(コ)ポリマーの分子量を制限する条件下で形成される、より低い全体の分子量を有する)ほど容易に膨潤しない。少なくとも、最終(共)重合または(共)重合段階は、ポリマー分子量を制限しない条件下で行われる。
【0044】
さらに好ましくは、コアまたは一段(コ)ポリマーは、(コ)ポリマーの分子量を制限する条件を用いてモノマーを乳化重合することにより製造することができ、この(コ)ポリマーは、連鎖移動剤たとえば、メルカプタンを重合混合物中に含めることにより形成し、より容易に膨潤可能なエマルジョンオリゴマーまたは(コ)ポリマーを形成する。従って、膨潤および重合工程の1以上または全部は、ポリマー分子量を制限する条件を用いて行われることができ、およびこのような工程は、得られる(コ)ポリマーの分子量を制限する条件の非存在下で行うことができる膨潤または重合工程の前または後で行うことができる。
【0045】
別法として、乾燥ポリマー粒子は、所望のサイズに処理することができ、次に、もし水分散性であるならば、すなわち親水性基、たとえば、ヒドロキシル、カルボキシルまたはアミン基を含むならば水中に分散させ、あるいは乳化させて、水中油エマルジョンを形成することができる。たとえば、室温または25℃より高いTを有する乾燥粒子を、たとえば、ジェットミリングにより粉砕し、必要ならば、粒子分別器に通して、所望の平均直径および必要に応じて狭いPSDを得ることができる。乾燥ゴム状または熱可塑性粒子を低温粉砕し、分別器に通して所望の平均直径を得ることができる。
【0046】
エマルジョン(コ)ポリマーまたは(コ)ポリマーコアを製造するための他の代替技術が文献、たとえば、日本国特開昭62−84156号に開示されており、これは、一官能性および多官能性モノマーの混合物の重合と、それに続いて高濃度多官能性モノマー、油溶性開始剤をあらかじめ形成されたシード上にステージングして1μm未満、好ましくは0.5μm未満の標準偏差を有する微細顆粒を形成することを含むグローアウトプロセスを記載している。
【0047】
任意の(コ)ポリマーの架橋およびコア(コ)ポリマーのシェルポリマーへのグラフト結合は、1種以上の共重合性架橋性および/またはグラフト結合性モノマーを重合性モノマー混合物中に含めることから得られる。別法として、コアポリマーまたは一段(コ)ポリマーは、架橋させることができ、および他の公知技術、たとえば、硬化後反応を使用し、たとえば、ペンダントペルオキシド基を有するモノマーからコポリマーを形成し、次いで重合に使用されるよりも高い温度に加熱することによりペルオキシドを活性化することにより、コアポリマーはシェルポリマーにグラフト結合されうる。活性化したペルオキシド基はコア/シェルポリマー成分のグラフト結合および架橋を促進する。別の例において、架橋またはグラフト結合は、初期重合温度で安定であり、かつ光または高温で活性化される第二のフリーラジカル開始剤を重合に添加し、続いて開始剤を活性化することにより後硬化を達成することができる。
【0048】
多段ダラーまたはバインダーは、マルチローバルコポリマーを含みうる。バインダーの場合、外側層またはローブはフィルム形成性であるべきである。マルチローバルは異なりかつ比較的不適合性のコアおよびローブ(コ)ポリマー組成物から形成され、相互作用パラメータXC−Lが約0.05より大きい程度まで変化する。相互作用パラメータはローブおよびコアポリマーに関して、Krauseら、J.Chem.Physics,43、2144(1965)の方法により計算できる。計算に必要なHildebrand溶解度値の適当な値は、Van Krevelen,”Properties of Polymers”,Elsevier Publishers(New York)、1976において見いだすことができる。マルチローバルは、レドックスカップルまたは還元剤単独の初期増分を添加し、および適当なローブ形成モノマーの漸次添加フィードを開始し、およびモノマーフィードと同時にレドックスカップルの漸次添加を開始することにより形成され、このとき重合は同じまたはより高い添加速度で完了まで進行し、ここで増大した量の1種以上の界面活性剤はローブ形成モノマーとともに、新規粒子が開始されるよりわずかに少ない量まで添加される。マルチローバル粒子の平均直径は、等しい体積の球が有する直径により決定することができる。
【0049】
水性バインダー成分B)は、使用条件下でフィルムを形成できるダラー成分A)と適合性の1種以上の(コ)ポリマーを含み得る。好適なバインダーポリマーは、皮革および紙用途に関しては、200,000〜10,000,000のmwを有する1種以上のポリマーバインダーから選択でき、および建築、工業および化粧品用途に関しては、20℃〜70℃のTおよび1,000,000まで、10,000超、たとえば、30,000超のmwを有する1種以上のポリマーバインダーから選択できる。
【0050】
好適なバインダーは、水性エマルジョン(コ)ポリマーまたは水性エマルジョン、すなわち、アクリル、ビニル、たとえば、酢酸ビニルまたは酢酸ビニル−エチレン、ポリウレタン、シロキサン、天然ゴム、合成ゴムポリマー、たとえば、スチレン−ブタジエン(SBR)ブロックコポリマー、およびその混合物および組み合わせ、たとえば、アクリルウレタンから選択される、あらかじめ形成された(コ)ポリマーの水中油エマルジョンを含み得る。バインダーは、好ましくは、アクリルであり、さらに好ましくは、二段アクリルコポリマーを含む。二段アクリルポリマーは相互侵入したネットワーク(IPN)、フィルム形成性シェルを有するコア−シェルポリマー、一つの水分散性アクリルポリマーと、もう一つ別のビニルまたはアクリル(コ)ポリマーとのグラフトコポリマー、あるいはマルチローバルを含み得る。かかる好ましいアクリルコポリマーの一例は、97重量%のエチルアクリレート(EA)、3重量%のアクリル酸(AA)コポリマー第一段およびpMMA第二段であり、ここでシェルは40重量%以下のコポリマーであり;この多段ポリマーは(60−100)EA(97)/AA(3)//(0−40)MMAと表示される。
【0051】
アクリルエマルジョン(コ)ポリマーは、(i)30〜99.9重量%、または60重量%以上または70重量%以上または95重量%までの1種以上のアクリルモノマー;(ii)0〜60重量%、または30重量%までの1種以上の共重合性エチレン性不飽和モノマー;(iii)0〜10重量%、好ましくは0.1重量%以上、またはさらに好ましくは0.5重量%以上、または5重量%までの1種以上のモノエチレン性不飽和カルボン酸または無水物モノマー、またはその塩;(iv)0〜10重量%、好ましくは5重量%までの1種以上の極性共重合性モノエチレン性不飽和モノマー;(v)0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の1種以上の官能性共重合性モノエチレン性不飽和モノマー;および(vi)0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%の架橋性またはグラフト結合性モノマー(すべての比率は(コ)ポリマーを製造するために使用される全モノマーの重量基準である)の重合反応生成物を含みうる。
【0052】
好適なアクリルモノマーは、たとえば、1種以上のC1−30アルキル(メタ)アクリレートモノマー、C5−30シクロアルキル(メタ)アクリレート、またはC5−30(アルキル)アリール(メタ)アクリレートモノマー、たとえば、メチルメタクリレート、イソデシルメタクリレートおよび低Tアクリルモノマーを包含しうる。好適な低Tモノマーは、これに限定されないが、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、t−ブチルアクリレート(t−BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート(BMA)を包含する。好ましいバインダーは、EA、BA、および2−EHAから選択されるモノマーの重合生成物である(コ)ポリマーを含み得る。
【0053】
好適な共重合性エチレン性不飽和モノマーは、たとえば、珪素またはフッ素含有(メタ)アクリレート、共役ジエン、たとえば、ブタジエン;酢酸ビニルまたは他のビニルエステル;ビニルモノマー、たとえば、スチレンまたは置換スチレン、たとえば、α−メチルスチレン、塩化ビニル、および塩化ビニリデンを包含しうる。
【0054】
好適な共重合性モノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーは、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルイタコネート、モノメチルフマレート、モノブチルフマレート、無水マレイン酸、スチリル酸、ならびにその無水物および塩。好ましいカルボン酸モノマーは、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、およびイタコン酸である。このようなモノマーはアクリルおよびビニルエマルジョンポリマーバインダーに水分散性を付与する。
【0055】
あるいは、エマルジョンポリマーバインダーは、当該分野において公知の化学修飾により水分散性にすることができる。たとえば、酢酸ビニルポリマーは、部分的に加水分解し、ポリオレフィンは、たとえば、マレエート化により酸官能化することができる。
【0056】
好適な極性共重合性モノエチレン性不飽和モノマーは、たとえば、ホスホエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(商標)、Lubrizol Corp.,Wickliffe、OH)、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリジノン、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルイミダゾールおよびカチオン性モノマー、たとえば、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド[(M)APTAC]、およびジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)を包含しうる。
【0057】
好適な官能性共重合性モノエチレン性不飽和モノマーは、たとえば、アセトアセテートまたはアセトアセトアミド基を含有するモノエチレン性不飽和モノマー、たとえば、ビニルアセトアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジ(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、ビニルアセトアセトアミド、およびアセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミドアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、ならびにニトリル基(メタ)アクリロニトリルを含有するモノエチレン性不飽和モノマーを包含することができ、好ましくは、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)である。このようなモノマーは、アクリルおよびビニルエマルジョンポリマーバインダーを化学物質に対してさらに耐性にするのを助ける。
【0058】
好適な架橋性およびグラフト結合性多エチレン性不飽和モノマーは、ポリマーダラー粒子を製造するために使用されるのと同じモノマーを包含しうる。
【0059】
バインダーポリマーは、30〜1000nm、または50nm以上、100nm以上、または300nm以上の平均直径を有する粒子の形態をとる。皮革用途に関して、エマルジョン中のポリマーは、30〜500nm、好ましくは50nm以上、または好ましくは300nmまでの平均直径を有する粒子の形態をとる。
【0060】
皮革および紙用途に関して、エマルジョンポリマーバインダーのTまたはバインダーポリマー混合物のTの平均は、−100℃〜室温の範囲であることができ、好ましくは20℃まで、さらに好ましくは10℃以下、なおいっそう好ましくは0℃以下の範囲であることができる。皮革および紙用途に好適なアクリルエマルジョン(コ)ポリマーは、60〜99.5重量%の低Tモノマーと;0.1重量%以上の(iii)1種以上のエチレン性不飽和カルボン酸または無水物モノマー、またはその塩、および残部の1種以上の(i)アクリルおよび /または(ii)低Tモノマー以外の共重合性エチレン性不飽和モノマーおよび/または1種以上の任意の(iv)極性、(v)官能性、または(vi)架橋性またはグラフト結合性モノマー;との共重合反応生成物を含みうる(すべてのモノマーの比率は(コ)ポリマーを製造するために使用されるすべてのモノマーの重量基準である)。皮革または紙用のバインダーB)として有用なポリマーのmwは10,000,000まで、200,000超、または1,000,000超である。
【0061】
建築用または工業用コーティング用途または化粧品に関して、バインダーB)として有用なポリマーは、1,000,000まで、または10,000以上、30,000以上、たとえば、50,000以上、または500,000までの重量平均分子量を有する1種以上の水性エマルジョンポリマーを含み得る。このようなバインダーポリマーは、70℃未満、または20℃超のTを有し、好ましくはアクリルである。建築用コーティング用途に好適なアクリルエマルジョン(コ)ポリマーは、30〜69.75重量%の低Tモノマーと;69.75〜30重量%の(i)1種以上のアクリルおよび/または(ii)低Tモノマー以外の共重合性エチレン性不飽和モノマー、0.5〜10重量%の(iii)1種以上のエチレン性不飽和カルボン酸または無水物モノマー、またはその塩;並びに残部〔該残部は(iv)極性、(v)官能性、または(vi)架橋またはグラフト結合モノマーの任意の1種以上を包含する〕;とを共重合した、共重合反応生成物を含みうる(すべてのモノマーの比率は、(コ)ポリマーを製造するために使用される全モノマーの重量基準である)。
【0062】
もう一つ別の態様において、良好なエンボス加工性および湿潤曲げ耐性を有する皮革コーティングを提供するアクリルエマルジョンポリマーバインダーは、0.4%〜10重量%の共重合したアセトアセテートまたはアセトアセトアミドモノマーを含み得る。たとえば、ポリマーの重量基準で80重量%以上の第一ポリマー(該第一ポリマーは、0.1重量%から10重量%の共重合したアセトアセテートまたはアセトアセトアミドモノマーを含有し、かつ−30℃〜0℃のTを有する)、およびポリマーの重量基準で2〜20重量%の第二ポリマー(該第二ポリマーは、0〜10重量%の共重合したアセトアセテートまたはアセトアセトアミドモノマーを含有し、かつ第一ポリマーのTよりも少なくとも10℃高いTを有する)含有する二段バインダー。
【0063】
さらにもう一つ別の態様において、皮革コーティングを提供するための水性エマルジョンポリマーバインダーは、バインダーの重量基準で0.1重量%以下の共重合した多エチレン性不飽和モノマーを含有する多段ポリマーを含み、ここにおいて、第二段ポリマーは20℃よりも高く、第一段ポリマーのTよりも少なくとも10℃高いTを有する。このようなバインダーにおいて、第一段は20℃よりも低いTを有し、かつ第一段ポリマーの重量基準で50重量%よりも多いアクリル重合単位、0.5〜10重量%の共重合したモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマー、および少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和モノマーを含む。さらに、このようなバインダーにおいて、第一段ポリマーを遷移金属酸化物、水酸化物、または炭酸塩と、9未満のpHで、第一段における共重合したカルボン酸モノマー1当量あたり0.1当量より多い遷移金属の量で接触させた。さらに、第二段ポリマーは、少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和モノマー、および第二段ポリマーの重量基準で0〜10重量%の共重合したモノエチレン性不飽和カルボン酸モノマーを含み、ここにおいて、第二段の共重合したカルボン酸モノマーは、多段エマルジョンポリマー中の全ての共重合したカルボン酸モノマーの25重量%未満である。さらに、第二段ポリマーは乾燥ポリマー重量基準で1重量%〜34重量%の多段ポリマーを含む。好ましくは、柔軟性を改善するために、バインダーB)として有用なポリマーの第一段は10℃未満のTを有し、第一および第二段はどちらも少なくとも1種の共重合したモノエチレン性不飽和非イオン性モノマーを含み、第二段ポリマーは第二段ポリマーの重量基準で15重量%までの1種以上の連鎖移動剤の存在下で形成される。
【0064】
ダラーおよびバインダーの一方または両方に関して、水性エマルジョンポリマーおよび多段エマルジョンポリマーを製造するために使用される重合技術は当該分野において周知である。水性多段エマルジョンポリマーを製造するために使用される重合技術は、当該分野、たとえば、米国特許第4,325,856号、第4,654,397号、および第4,814,373号において公知である。多段重合プロセスにおいて、組成において異なる少なくとも2つの段は逐次的な様式で、任意の順序で形成される。
【0065】
乳化重合において、モノマー混合物は、ニートで、または水中エマルジョンとして添加することができる。1種以上のモノマー混合物を1回以上の添加で添加することができ、および反応期間全体にわたって、または部分的に連続して添加することができるか、または反応期間全体にわたってまたは部分的に非連続的に添加できる。1種以上のモノマー混合物を、直線的〔たとえば、漸次添加(grad add)の場合〕に、あるいは、たとえば、半連続重合または「ショット」として一度に全てを添加するなどのように直線的でなく、あるいはその組み合わせで添加することができる。さらに高いmwポリマーを製造するためには、1種以上のモノマー混合物をリアクターに「ショット」として添加するべきであるか、または1以上の反応段階の開始時にリアクター中にはじめから添加されているべきである。
【0066】
乳化重合において、通常の界面活性剤、たとえば、アニオン性および/または非イオン性乳化剤、たとえば、アルキル、アリール、またはアルキルアリールスルフェート、スルホネートまたはホスフェートのアルカリ金属またはアンモニウム塩;アルキルスルホン酸、スルホコハク酸塩;脂肪酸;エチレン性不飽和界面活性剤モノマー;およびエトキシル化アルコールまたはフェノールを使用することができる。使用される界面活性剤の量は、通常、モノマーの重量基準で、0.1重量%〜6重量%である。同じ界面活性剤およびその量が、一段、および多段乳化重合プロセスの両方において使用される。
【0067】
熱またはレドックス開始プロセスのいずれかを、一段または多段乳化重合プロセスのいずれかにおいて使用することができる。公知のフリーラジカル開始剤、たとえば、ペルオキシド、アンモニウムおよび/またはアルカリ過硫酸塩、過ホウ酸およびその塩、過リン酸およびその塩、およびペルオキシ二硫酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩、好ましくは過硫酸塩を、全モノマーの重量基準で0.01〜3.0重量%の量で使用することができる。同じ開始剤を使用するレドックス系を、好適な還元剤とカップリングさせて使用することができ、還元剤はたとえば、(イソ)アスコルビン酸、硫黄含有酸のアルカリ金属およびアンモニウム塩、たとえば、ナトリウムの亜硫酸塩、重亜硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、水硫化物または亜ジチオン酸塩、ホルマジンスルフィン酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸、2−ヒドロキシ−2−スルホナト酢酸、アミン、たとえば、エタノールアミン、グリコール酸、グリオキシル酸水和物、メルカプタン、たとえば、メルカプトプロピオン酸またはメチル−3−メルカプトプロピオネート、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸および前記酸の塩である。レドックス反応を触媒する、鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、またはコバルトの金属塩を、全モノマーの重量基準で、0.001〜3.0重量%で使用することができる。
【0068】
連鎖移動剤は、1以上のポリマー段の、形成されたポリマーの分子量を低下させるために使用できる。連鎖移動剤は、1回以上の添加で、または連続して、直線的に、またはそうではなく、全反応期間のほとんどまたは全部にわたって、または反応期間の限られた部分の間に添加することができる。好適な連鎖移動剤は、たとえば、ハロゲン化合物、たとえば、テトラブロモメタン;アリル化合物;および、好ましくは、メルカプタン、たとえば、アルキルチオグリコレート、アルキルメルカプトアルカノエート、およびC−C22直鎖または分岐アルキルメルカプタン、およびさらに好ましくは、メチル3−メルカプトプロピオネート、ブチル3−メルカプトプロピオネート、n−ヘキシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、およびその混合物を包含しうる。連鎖移動剤の好適な量は、(コ)ポリマーを製造するために使用される全モノマーの重量基準で20重量%まで、好ましくは0.1〜5重量%の範囲でありうる。
【0069】
任意の乳化重合において、反応温度は反応全体を通じて100℃より低い温度、たとえば、30℃以上、または95℃、または60℃以上、または90℃までに維持されるべきである。
【0070】
所望により、バインダー成分B)として使用されるポリマー上の酸または無水物基を部分的に、または完全に中和するために、好適な中和剤を添加することができる。好適な中和剤は、これらに限定されないが、水酸化ナトリウムまたはカリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、亜鉛塩、たとえば、酸化亜鉛、アンモニア、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジエチルアミン、トリエタノールアミンなどを包含する。たとえば、バインダーB)として使用されるエマルジョンを、遷移金属酸化物、水酸化物、または炭酸塩と、pH=9未満のpH、好ましくはpH=3〜6で、エマルジョンポリマー中の共重合したカルボン酸モノマーの1当量あたり0.20当量よりも多い量の遷移金属で、好ましくは0.50当量よりも多い量の遷移金属で、米国特許第5,221,284号に開示されている方法に従って接触させることができる。
【0071】
水性組成物を形成するために、1種以上の水性ダラーA)および水性バインダーB)を単に混合することができる。使用において、このような組成物は、皮革または紙用途における使用に関しては、組成物の合計重量基準で40〜90重量%、好ましくは60〜90重量%の水を含み、および建築用および工業用途における使用に関しては、組成物の合計重量基準で好ましくは40〜80重量%の水を含む。反対に、水性組成物の全固形分は組成物の合計重量基準で10〜60重量%、皮革用途においては10〜40重量%、他の用途においては20〜60重量%の範囲でありうる。
【0072】
ダラー成分A)の好適な量は、水性組成物の合計重量基準の固形分として、2〜45重量%、皮革および紙用途において望ましくは1〜20重量%、好ましくは2〜16重量%、そして他の用途において、望ましくは2〜30重量%の範囲でありうる。皮革、紙および化粧品用途において、固形分としてのダラー成分A)とバインダー成分B)の望ましい重量比は、0.1:1〜10:1、好ましくは0.25:1〜4:1の範囲でありうる。
【0073】
バインダー成分B)固形分の好適な量は、水性組成物の合計重量基準で2〜50重量%、皮革および紙用途において、望ましくは2〜25重量%、好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上の範囲、および他の用途において、望ましくは10〜50重量%、好ましくは15重量%以上、または20重量%以上でありうる。本発明の水性組成物は、たとえば、アルカリ性、アニオン性または非イオン性などの水性分散物の形態をとることができ、および添加剤、たとえば、感触添加剤(feel additives)、追加のダラー、フロー剤または湿潤剤、増粘剤またはレオロジー改良剤またはその混合物、硬化剤、顔料または着色剤、乳白剤および増量剤、酸化防止剤および可塑剤を含むことができる。
【0074】
感触添加剤、たとえば、(オルガノ)シロキサンおよびそのコポリマー、たとえば油;およびワックスは、表面に向かって移動して、生成物、たとえば皮革の手触りを改善するように設計される。感触添加剤は、60重量%までの固形分を有する水性分散物の形態を取り得る。感触添加剤固形分の好適な量は、水性組成物の合計重量基準で10重量%まで、好ましくは8重量%までの範囲でありうる。過剰量の感触添加剤は、過度につるつるしているか、またはワックス様の仕上がりおよび製品をもたらす。好適な感触添加剤の一例は、Additive 2229W、Rohm and Haas Company,Philadelphia、PAから入手可能なポリアルキルシロキサンである。
【0075】
追加のダラーは、光散乱および表面の粗面化によりさらに光沢を低下させることができ、および公知の無機ダラー、たとえば、シリカ、フュームドシリカ、アルミナ、ケイ酸塩、(サブ)カーボネート、たとえば、炭酸カルシウム、カオリン、フィロケイ酸塩、タルク、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、および1ミクロン未満から30μmまでの平均直径を有するアルカリ(性)水酸化物を含むことができ;または有機ダラー、たとえば、2〜30μm平均直径のポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、シリコーン、ポリウレタン、尿素−ホルムアルデヒドまたはポリビニリデンフルオリドビーズを含むことができる。有機ダラーは、フィルム強度を強化することもできる。有用な比率は、固形分基準で30重量%までの、ダラー成分A)+追加のダラーの合計量を含みうる。
【0076】
フロー剤または湿潤剤は、表面の流れまたは湿潤性を改善する任意の界面活性化合物、たとえば、フッ素またはシリコーン含有界面活性剤、およびアニオン性または非イオン性界面活性剤を含むことができる。フロー剤または湿潤剤固形分の好適な量は、水性組成物の合計重量基準で15重量%まで、好ましくは10重量%までの範囲でありうる。
【0077】
増粘剤またはレオロジー改良剤は、増粘するため、またはレオロジーを改良するために使用される任意の添加剤、たとえば、アルカリ可溶性エマルジョン(ASE)、疎水性に修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン(HASE)、疎水性に修飾されたエチレンオキシド−ウレタンポリマー(HEUR)、疎水性に修飾されたセルロース系材料、疎水性に修飾されたポリアクリルアミド、無機クレー材料(たとえば、ベントナイト)、およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)を包含しうる。増粘剤またはレオロジー改良剤固形分の好適な量は、水性組成物の合計重量基準で20重量%まで、好ましくは10重量%までの範囲でありうる。
【0078】
酸化鉄をはじめとする顔料または着色剤、乳白剤顔料、たとえば、二酸化チタン、および乳白化ポリマーが、バインダー成分B)の固形分100重量部あたり120部(phr)の量で、特にベースコートまたはカラーコートとして使用される場合に添加されうる。皮革用途において、顔料および色素を添加して、水性組成物を着色して、透明または半透明フィルムを製造することができる。
【0079】
加えて、可塑剤、たとえば、ジオクチルアジペートまたはジオクチルフタレートを、水性組成物の合計重量基準で20重量%まで、好ましくは2重量%までの量で添加することができる。さらに、消泡剤、酸化防止剤、またはUV光吸収剤の任意のものを、水性組成物の合計重量基準で5重量%まで、好ましくは1.0重量%までの量で添加することができる。
【0080】
1種以上の硬化剤、たとえば、ポリイソシアネート、ポリアジリジン、またはアミノプラスト樹脂を遠隔部での使用のために水性組成物に添加することができる。このような硬化剤は、水性組成物の合計重量基準で0.5重量%以上で15重量%まで、たとえば、1〜10重量%の量で使用することができる。
【0081】
加えて、たとえば、組成物の合計固形分を所望の範囲に減少させて、遠隔部位で使用するために、希釈用の水を添加することができる。したがって、水性組成物は、任意の安定な濃縮された形態、たとえば、界面活性剤、フロー剤または湿潤剤を含み、水性組成物の合計重量基準で80〜90重量%もの高い固形分を有する水性組成物で輸送することができる。
【0082】
本発明の一態様において、水性組成物を使用する方法は、水性組成物を形成し、コーティング組成物を1種以上の基体に適用し、コーティング組成物を乾燥し、任意に硬化させることを含む。乾燥は、公知方法で、たとえば、空気乾燥または基体を損なわない温度、たとえば、150℃以下、または100℃以下で加熱乾燥で行うことができる。水性組成物を未仕上げ処理またはベースコート仕上げされた皮革、または紙に、カーテンコーターおよびスプレー法により、たとえば、エアアトマイズドスプレー、エアアシステッドスプレーにより、エアレススプレー、高体積低圧力スプレー、およびエアアシステッドエアレススプレー、ロールコーティングまたはナイフコーティングにより適用することができる。水性組成物を建築基体または工業用基体、たとえば、金属、木材またはプラスチックに、任意の公知方法で、たとえば、スプレー、刷毛塗り、ロール、静電ベルまたは流動床などにより適用することができる。
【0083】
本発明の水性組成物から製造されるコーティングは、ベースコート、クリアコート、カラーコートおよびトップコート(クリアコート、ステイン、または半透明コーティング、着色されたカラーコートおよび塗料の任意のものを含む)を含みうる。コーティングは任意の基体について80以下、または60以下、皮革について10以下、好ましくは2以下の60°光沢を有しうる。
【0084】
水性コーティング組成物は、これに限定されないが、皮革、たとえば、フルグレインレザー、緩衝化または修正グレインレザー、またはそぎ革(含浸樹脂混合物での前処理の有無を問わない)をはじめとする鉱物または植物でなめし処理された皮革;プラスチック、たとえば、携帯電話、通常の電話、コンピューターハウジング、リモートコントロール;木材、天然木、合板、加工木材、たとえば、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード、または他のリグノセルロース系材料;石膏ボード;紙、ボール紙、メソナイト、および板紙;織布および不織布、たとえば、ポリエステル屋根材、および木綿または合成繊維基体;金属、たとえば、金属コイル;および多孔性表面、たとえば、コンクリート、煉瓦、石、および舗装道路または路面をはじめとする様々な基体に適用することができる。加えて、組成物は、スキンおよびヘアケア製品、保湿クリーム、日焼け止め剤、およびメーキャップをはじめとするがこれに限定されない化粧品およびボディートリートメント組成物を製造するために使用できる。
【0085】
以下の実施例において、略語は次の通りの意味を有する:
EA=エチルアクリレート;BA=ブチルアクリレート;AN=アクリロニトリル;AA=アクリル酸;EHA=2−エチルヘキシルアクリレート;AAEM=2−アセトアセチルエチルメタクリレート;ALMA=アリルメタクリレート;DVB=ジビニルベンゼン;MMA=メチルメタクリレート;BMA=ブチルメタクリレート;t−BA=tert−ブチルアクリレート;STY=スチレン。
【0086】
標準的試験法
光沢測定:表面光沢は、トップコートをなめらかなベースコート表面上にスプレーした後、一夜乾燥後に測定する。この測定のために、本発明者らは、Micro−TRI(商標)光沢計を用いて60および85°の配置で表面光沢を測定した。
【0087】
光沢耐性:3.5cm×11cmの仕上げ処理された皮革の材料見本を取り出し、摩擦堅牢度試験機(421型、Satra Footware Technology Centre)に設置した。皮革を10%延伸し、乾いたフェルトパッドおよび1.0kgの加重を用いて表面を500サイクルこする。光沢の変化を測定するために、こする前後で表面光沢を測定する。光沢耐性フィルムはこする前後で良好な光沢一貫性をもたらした。
【0088】
湿潤摩擦耐性:3.5×11cmの仕上げ処理された皮革の材料見本を取り出し、摩擦堅牢度試験機(421型、Satra Footware Technology Centre)に設置した。皮革を10%延伸し、水をしみこませたフェルトパッドおよび1.0kgの加重を用いて表面を300サイクルこする。フェルトパッドを乾燥した後、フェルトパッドに移った顔料の量をグレースケールを用いて主観的に視覚的に評価する。1〜5のグレースケール評点は、実質的な顔料の移動からごくわずかの顔料の移動までの範囲を示す。
【0089】
柔軟性測定:3.8cm×6.5cmの仕上げ処理された皮革の材料見本をとりだし、バリーフレクソメーター(2397型、Otto Specht Company)に設置した。皮革を100,000サイクル、周囲温度で曲げた。曲げた後、曲げた部分におけるひび割れおよび「白い亀裂」の発生に関して皮革を視覚的に評価した。評価のために、サンプルを10倍のステリオスコープ下で調べた。
【0090】
色測定:色分光光度計(X−Rite 8400 Sphere分光光度計、X−Rite Incorporated)を用いて、仕上げ処理された皮革の色を測定した。本発明者らは、10°標準観測装置(光沢排除)でD65光源を用いてCIE L値を測定した。
【実施例】
【0091】
製造例A〜B
エマルジョンポリマーシードの合成
【0092】
製造例A1
この実施例は、本発明における好ましいダラーである、コア/シェル粒子の製造において使用されるエマルジョンポリマーの製造を説明する。他に特に記載しない限り、「装填された」または「添加された」なる用語は、すべての混合物を一度に添加することを指す。次の混合物を製造した:
【0093】
【表1】

【0094】
スターラーおよびコンデンサーを備え、窒素で覆われたリアクターに、混合物Aを装填し、82℃に加熱した。リアクター内容物に、15%の混合物Bおよび25%の混合物Cを添加した。温度を82℃に維持し、反応混合物を1時間撹拌し、その後、残存する混合物Bおよび混合物Cを撹拌しながらリアクター中に90分かけてはかり取った。撹拌を82℃で2時間続け、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。得られたエマルジョン粒子の平均直径は、Brookhaven Instruments Company,750 Blue Point Road,Hotsville,NY 11742から得たBI−90Plus装置を用いて光散乱により測定すると、0.2μmであった。
【0095】
製造例A2
この実施例において、BAおよびSTYのエマルジョンを用いて、製造例A1のエマルジョン中の粒子を平均直径0.5μmまで成長させる。次の混合物を製造した:
【0096】
【表2】

【0097】
混合物Aを例A1のリアクターに添加し、撹拌しながら88℃に加熱した。混合物B、CおよびDを3時間かけてリアクター中にはかりとり、その後撹拌しながら温度を88℃に、90分間維持した。リアクターの内容物を65℃に冷却し、混合物EおよびFを添加し、リアクター内容物を撹拌しながら65℃で1時間維持し、その後、リアクター内容物を室温に冷却した。結果として得られたエマルジョンポリマー粒子は、BI−90Plus装置を用いて光散乱により測定すると0.5μmの平均直径を有していた。
【0098】
製造例B
この実施例は、乳化重合によるBA−STYコポリマーの0.3μm平均直径粒子の製造を説明する。次の水性混合物を製造した:
【0099】
【表3】

【0100】
スターラーおよびコンデンサーを備え、窒素で覆われたリアクターに、混合物Aを装填し、87℃に加熱した。撹拌されたリアクター内容物に、7%の混合物Bおよび混合物Cの全部を添加し;リアクター内容物を30分間撹拌し、その後、残りの混合物Bおよび混合物Dを撹拌しながら90分かけてリアクター中にはかりとった。リアクター内容物を撹拌しながら50分間87℃で維持し、その後、結果として得られたエマルジョンを室温に冷却した。ブチルアクリレート−スチレン粒子はBI−90Plus装置を用いた光散乱により測定すると、平均直径が0.3μmであった。
【0101】
製造例C〜D
バインダー合成
【0102】
製造例C
二段、強化エラストマーバインダー
次の混合物を製造した:
【0103】
【表4】

【0104】
スターラーおよびコンデンサーを備えたリアクターに、1035gの脱イオン水を装填した。窒素を水中に30分間吹き込んだ。リアクターを次いで窒素で覆い、混合物Aを装填した。20℃より低いリアクター混合物温度で、混合物B、CおよびDを迅速かつ連続してリアクターに添加した。10分以内に、重合が開始する際に温度が上昇し、70℃付近で最高に達した。ピーク温度の10分後、混合物E、続いて混合物Fを添加する。リアクター中の物質を60℃に冷却し、混合物Gを添加し、続いて混合物HおよびIを添加する。5分後、バッチを冷却しながら、混合物JおよびKを別々にリアクター中に30分かけてはかりとる。中和剤を次いで添加して、重合された酸を部分的に中和し、ポリマーサンプルを次に100メッシュスクリーンを通して濾過して、凝固物を除去する。
【0105】
製造例D
25℃のTを有する建築用コーティングバインダー
次の混合物を製造した:
【0106】
【表5】

【0107】
スターラーおよびコンデンサーを備えたリアクターに、639gの脱イオン水を装填した。リアクターを次いで窒素で覆い、88℃に加熱し、混合物Aを装填した。混合物Bおよび2.5%の混合物Dをリアクターに添加し、続いて混合物Cを入れた。5分以内に、温度が95℃に上昇した。10分後、混合物Dの残りおよび混合物Eを別々に1時間かけて88℃でリアクター中にはかりとった。フィードが完了したら、リアクター混合物を75℃に冷却し、混合物Fを添加し、続いて混合物Gを添加し、これは30分かけてはかりとった。リアクター混合物を45℃に冷却し、混合物Hを滴下添加することにより中和し、次いで室温に冷却した。結果として得られたポリマーを100メッシュスクリーンを通して濾過して、凝固物を除去した。
【0108】
実施例1〜4
ミクロ粒子合成
次の実施例1〜4のそれぞれにおいて、スターラーおよびコンデンサーを備え、窒素で覆われたリアクターに混合物Aを装填し、92℃に加熱した。混合物BおよびCを別々に手持型高剪断ミキサーで安定なエマルジョンが得られるまで乳化させた(0.8〜3分)。混合物Bを次いでゆっくりとリアクター中に1時間かけて供給した。リアクター内容物を64℃にして、混合物Cをショットとして添加して反応を開始し、反応は約1.5時間後に完了した。次に、適切であるならば、混合物D、EおよびFを別々にリアクターに90分かけてはかりとった。結果として得られた混合物を室温に冷却し、光学顕微鏡およびCoulter Counterにより分析した。結果として得られた混合物を室温に冷却し、光学顕微鏡およびCoulter Counterにより分析した。
【0109】
実施例1
5μm架橋BA粒子
この実施例は、0.5μm平均直径エマルジョンシード粒子から5μm平均直径粒子を成長させることを説明する。
【0110】
前記のように、次の混合物を製造し、処理した:
【0111】
【表6】

【0112】
粒子は均一なサイズで、平均直径がほぼ5μmであった。
【0113】
実施例2
6μm平均サイズコア−シェル粒子ダラー
この実施例は、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの外側シェルを実施例1のコアポリマー上で重合させるためのワンポットプロセスを説明する。
【0114】
前記のように、次の混合物を製造し、処理した:
【0115】
【表7】

【0116】
結果として得られた粒子は均一なサイズで、平均直径が約6μmであった。
【0117】
実施例3
0.3μ粒子から得られた2μmコア−シェル粒子ダラー
この実施例は、製造例Bの0.3μm平均直径エマルジョン粒子から2μm平均直径粒子を成長させることを説明する。前記のように、次の混合物を製造し、処理した:
【0118】
【表8】

【0119】
結果として得られたポリマー粒子は均一なサイズであり、約2μmの平均直径を有していた。
【0120】
実施例4
0.5μm粒子から得られた4μmコア−シェル粒子ダラー
この実施例は0.5μm平均直径エマルジョン粒子から4μm平均直径粒子を成長させることを説明する。次の混合物を製造した:
【0121】
【表9】

【0122】
結果として得られた粒子は均一なサイズであり、平均直径が約4μmであった。
【0123】
実施例5〜12
バインダー中和
【0124】
実施例5
中和された二段バインダー
製造例Cからの二段強化エラストマーバインダープロセスを水性水酸化アンモニウムでpH7.5に中和した。
【0125】
実施例6
中和された二段バインダー
675.5gのBAおよび24.5グラムのAAを混合物A中のモノマー混合物として使用し、混合物G中の300グラムMMAを使用して、製造例Cからの二段強化エラストマーバインダープロセスを繰り返した。結果として得られた二段バインダーをトリエチルアミンでpH7.5に中和した。
【0126】
実施例7
中和された二段バインダー
612gのBA、160グラムのEAおよび28グラムのAAを混合物A中のモノマー混合物として使用し、混合物G中の200グラムMMAを使用して、製造例Cからの二段強化エラストマーバインダープロセスを繰り返した。結果として得られた二段バインダーを水性水酸化アンモニウムでpH7.5に中和した。
【0127】
実施例8
中和された二段バインダー
292gのBA、480グラムのEAおよび28グラムのAAを混合物A中のモノマー混合物として使用し、混合物G中の200グラムMMAを使用して、製造例Cからの二段強化エラストマーバインダープロセスを繰り返した。結果として得られた二段バインダーを20グラムの水中でスラリー化させた2.0グラムのZnOで中和し、水性水酸化アンモニウムでpH7.5にした。
【0128】
実施例9
中和された二段バインダー
772グラムのEA、および28グラムのAAを混合物A中のモノマー混合物として使用し、混合物G中の200グラムMMAを使用して、製造例Dからの二段強化エラストマーバインダープロセスを繰り返した。結果として得られた二段バインダーを水性水酸化アンモニウムでpH7.5に中和した。
【0129】
実施例10
中和された二段バインダー
133グラムのTergitol 15−S−15(長鎖アルコールエトキシレート界面活性剤)を使用して、混合物A中ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを置き代える以外は実施例9を繰り返した。結果として得られた二段バインダーをトリエチルアミンでpH7.5に中和した。
【0130】
実施例11
中和された二段バインダー
49グラムのAerosol A−102(エトキシル化スルホコハク酸二ナトリウム界面活性剤)を使用して、ラウリル硫酸ナトリウム/ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム界面活性剤混合物を置きかえる以外は実施例9を繰り返した。結果として得られた二段バインダーを水性アンモニアでpH7.5に中和した。
【0131】
実施例12
中和された二段バインダー
49グラムのAerosol A−102(エトキシル化スルホコハク酸二ナトリウム界面活性剤)を使用して、ラウリル硫酸ナトリウム/ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム界面活性剤混合物を置きかえ、EAの全部をEHAで置きかえた以外は実施例9を繰り返した。結果として得られた二段バインダーを水性アンモニアでpH7.5に中和した。
【0132】
実施例13〜15
皮革への適用
皮革調製物:修正グレインレザー(商業的グレード)を、0.03〜0.045乾燥Kg/m(3〜4乾燥グラム/ft)のコーティング重量のアクリルエマルジョンコポリマーベースコートにスプレー適用(空気圧スプレーガンHPLVを使用)することにより仕上げ処理した。ベースコートを乾燥させ、finiflexを90℃で使用することにより平滑化して、なめらかなベースコート表面にした。ベースコートの平滑化後、各実施例13〜15の顔料を含まないトップコートをベースコートに適用して、0.0048〜0.0065Kg/mのコーティング重量にした。仕上げ処理された皮革を90℃オーブン中で2分間乾燥させ、さらに周囲条件で一夜乾燥させた。
【0133】
実施例13Aおよび13B
トップコート中の一段および二段ダラー粒子
この実施例は、トップコート配合物中のコア−シェルおよび一段ダラー粒子の性能を説明する。実施例13Bダラーは、3.74gの1μm BA−STYエマルジョンシード粒子を含んでおり、該シード粒子は272gのt−BA、3gのDVB、および3gのジエチレングリコールジメタクリレートからなる278gのモノマー混合物で膨潤されて、7μm平均直径ポリ(t−BA)ビーズに成長させた。好適なプラスチック塗料容器中で実験室用ベンチミキサーで単に混合することにより、次の配合物を製造した。
【0134】
【表10】

【0135】
実施例13Aおよび13Bにおけるトップコートの性能は次の通りであった:
【0136】
【表11】

【0137】
実施例13Aおよび13Bが示すように、多段および一段アクリルダラーはどちらも、柔らかく、光沢耐性で、柔軟性で色安定性の皮革コーティングを提供するために使用できる。
【0138】
実施例14
様々な比率でのトップコート適用コアシェルダラー
この実施例は様々な比率でコアシェルダリング粒子を含む配合物の性能を説明する。プラスチック塗料容器中で実験室用ベンチトップミキサーで単に混合することにより、以下の配合物を製造し、以下の表に示すように試験した。
【0139】
実施例14Aおよび14Bのトップコートの性能は、ダラー粒子が80/20以上のダラーとバインダーの重量比で良好なフィルム特性を提供することを示す。
【0140】
【表12】

【0141】
実施例15
一段ダリング粒子の性能
この実施例は、トップコートにおける一段ダリング粒子の性能を説明する。プラスチック塗料容器中で実験室用ベンチミキサーを使用して単に混合することにより次の配合物を製造し、次のように試験した:
【0142】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段コポリマー、−60℃〜75℃のTを有する一段の架橋した(コ)ポリマー、およびその混合物から選択される1種以上のポリマーの、1〜20μmの平均直径を有する粒子からなるポリマーダラー成分A);および
ダラー成分A)と適合性の1種以上のフィルム形成性有機バインダーからなるバインダー成分B):
を含む水性組成物であって、
前記ダラー成分A)が1種以上の一段の架橋した(コ)ポリマーを含む場合、該(コ)ポリマーは、架橋したt−ブチルアクリレート(t−BA)(コ)ポリマー、架橋した2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したエチル(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したsec−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したメチルアクリレート(コ)ポリマー、架橋したヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したベンジル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソプロピル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したドデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したn−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したC21〜C30アルキル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したビニルプロピオネート(コ)ポリマー、ウレタンポリマー、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン含有(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したポリマーの(メタ)アクリルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する)、架橋したポリマーのビニルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する)、ならびにその混合物および組み合わせから選択される、水性組成物。
【請求項2】
ダラー成分A)およびバインダー成分B)のそれぞれがアクリル系である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記ダラー成分A)が、アクリル多段ポリマー、ビニル多段ポリマー、多段合成ゴムコポリマー、多段ウレタンコポリマー、水分散性グラフトコポリマー、それらの混合物、それらの組み合わせ、および一段の架橋した(コ)ポリマーとそれらとの混合物から選択される1種以上の多段ポリマーを含む請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記ダラー成分A)が、1μm〜15μmの平均直径を有する1種以上の(コ)ポリマーの粒子を含む請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記ダラー成分A)と前記バインダー成分B)との固体としての重量比が0.1:1〜10:1の範囲である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記バインダー成分B)が二段アクリルエマルジョンポリマーを含む請求項2記載の組成物。
【請求項7】
前記バインダー成分B)が、10,000〜10,000,000の重量平均分子量を有する1種以上のポリマーバインダーを含む請求項1記載の組成物。
【請求項8】
1〜20μmの平均直径を有する1種以上の(コ)ポリマー(該(コ)ポリマーは、多段コポリマーおよび一段の架橋した(コ)ポリマーから選択される)の粒子を含むダラー成分A);および
ダラー成分A)と適合性の1種以上のフィルム形成性有機バインダーを含むバインダー成分B):を含む水性組成物を形成し;
コーティング組成物を1以上の基体に適用し;および
コーティング組成物を乾燥すること:
を含む、コーティングを製造する方法であって;
前記ダラー成分A)が1種以上の一段の架橋した(コ)ポリマーを含む場合、該(コ)ポリマーは、架橋したt−ブチルアクリレート(t−BA)(コ)ポリマー、架橋した2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したエチル(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したsec−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したメチルアクリレート(コ)ポリマー、架橋したヘキシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したベンジル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したイソプロピル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したドデシル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したn−ブチル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したC21〜C30アルキル(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、架橋したビニルプロピオネート(コ)ポリマー、ウレタンポリマー、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、シリコーン含有(メタ)アクリレートコポリマー、架橋したポリマーの(メタ)アクリルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する)、架橋したポリマーのビニルモノマーとのコポリマー(該コポリマーは−10℃〜75℃のTを有する)、ならびにその混合物および組み合わせから選択される、コーティングを製造する方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法により製造されるコーティングされた基体。
【請求項10】
前記基体が、皮革、木材、天然木、合板、加工木材、パーティクルボード、リグノセルロース系材料、石膏ボード、紙、ボール紙、メソナイト、板紙、皮膚、毛髪、織布、不織布、プラスチック、金属、コンクリート、煉瓦、石、舗装道路および路面から選択される請求項9記載のコーティングされた基体。
【請求項11】
無機ダラーおよび有機ダラーから選択される追加のダラーをさらに含む請求項1記載の組成物。

【公開番号】特開2011−208160(P2011−208160A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−162387(P2011−162387)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【分割の表示】特願2007−65239(P2007−65239)の分割
【原出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】