ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合センサアセンブリ、ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合アセンブリ、およびセンサまたは複合アセンブリの製造プロセス
【課題】センサユニットに好適な材料をLDPEに熱結合または他の方法で容易にかつ効果的に結合できる複合センサアセンブリを提供する。
【解決手段】ポリマーバイオプロセス容器または下流装置とともに用いるのが好適な、バイオプロセスを監視するための複合センサアセンブリであって、i)中空管状部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを含み、ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオリアクタ容器と融合封止可能であり、複合センサアセンブリはさらに、ii)電気および/または光学測定構成要素を含む全体的に不透明のポリマー監視センサアセンブリを含む。センサアセンブリはポートの中空管状部の内部に収まり、その内部に接着剤で保持される。
【解決手段】ポリマーバイオプロセス容器または下流装置とともに用いるのが好適な、バイオプロセスを監視するための複合センサアセンブリであって、i)中空管状部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを含み、ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオリアクタ容器と融合封止可能であり、複合センサアセンブリはさらに、ii)電気および/または光学測定構成要素を含む全体的に不透明のポリマー監視センサアセンブリを含む。センサアセンブリはポートの中空管状部の内部に収まり、その内部に接着剤で保持される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
バイオプロセス用の使い捨てシステムの人気の高まりは市場において明らかであり、典型的なバイオテクノロジー製造設備を考えると容易に理解できる。従来のガラス/鋼鉄バイオリアクタ、ミキサ、および浄化システムを用いて設備を実現するのに必要なインフラストラクチャは大型であり、そのようなバイオプロセスシステムを構築するのに必要な時間および費用は多大になり得る。装置自体、ならびに侵入および退出配管の両方が316L電解研磨ステンレス鋼などの不活性材料を利用するという要件のために、多額の初期投資およびバイオリアクタ(すなわちバイオプロセス容器)ミキサおよび下流処理装置(たとえばクロマトグラフィースキッド、濾過システム)が必要であり、これらはすべて大きな占有面積を有する。これとは対照的に、使い捨てプラットフォームのサイズおよび形状因子は一般的に、従来の剛性のガラス/鋼鉄解決策と比べると、保管および再構成が容易である。使い捨てシステムの他の利点として、支持インフラストラクチャの小型化、具体的には準備および滅菌時間の短縮を含む従来の設計に対する時間の節約、実行後の容器洗浄のための浄化水の必要性の減少、ならびに実行後の維持時間の大幅な短縮が挙げられる。また、使い捨てシステムおよびそれらに関連したプラスチック配管は、製造および処理要件が変わるとともに、迅速かつ効率的に再構成および検査されることに適している。本発明の文脈では、主に使い捨てバイオリアクタに焦点を当てるが、本発明の原理は包括的に、上流処理(USP)および下流処理(DSP)領域の両方における、バイオプロセスに用いられる上記の使い捨て装置のいずれにも当てはまる。
【0002】
多数の異なる方式の使い捨てバイオリアクタが考案され市販されているが、現在は2種類が優勢である。商業的に成功した第1の種類の使い捨てバイオリアクタは一般的に「ピロー」または「ロッカー」バッグ方式と称され、たとえば米国特許第6,190,913号に記載されており、当該米国特許の教示内容は引用によって本明細書に援用される。この方式のバッグはさまざまな異なるポリマー材料からなり得るが、一般的に言って、低密度または超低密度ポリエチレン(LDPE)およびエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーが、バッグの少なくとも最内層、すなわち水性成長媒体と接触しているバッグ表面に用いられる現在最も一般的な材料に含まれる。使い捨てバイオリアクタ容器の構築に時々用いられる他の材料には、高密度ポリエチレン(HDPE)およびケブラー(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)がある。ピローまたはロッカー型の使い捨てバイオリアクタは、一般的に単一軸の回りを振動してバイオリアクタの中身を混合および分散させる(曝気する)バッグ支持プラットフォームの動きによって誘発される波動を利用する。ロッカー型の使い捨てバイオリアクタバッグはある程度の市場の成功を収めているが、これまで、1つの重要な問題は、これらのロッカーバッグに一体化可能であり、かつ好ましくはバッグとともに放射線滅菌可能な、頑強な使い捨てセンサがないことであった。頑強とは、精密で、ガンマまたはベータ放射線安定であり、たとえば少なくとも21日間のプロセス監視および制御について1−3秒のサンプリングを提供可能であるなどの、実時間(バイオプロセスに必要な速度または時間応答内の実時間)に利用可能であることを指す。今日、使い捨てバイオリアクタ容器に用いられる種類はピローまたはロッカーバッグのみではない。小型のガラス容器を機能的に模倣する使い捨てポリマーハードシェルバイオリアクタや、剛性パイロットと生産規模ガラス/ステンレス鋼攪拌タンクバイオリアクタとの両方の内部に収まる、より大型の使い捨てプラスチックライナーバッグもある(たとえば、その教示内容が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,384,783号参照)。大型のライナーバッグは典型的に多層フィルム積層体からなり、当該積層体もまた、少なくとも自身の最内層に超低密度ポリエチレンまたはEVAを用いる。
【0003】
一例として、図6は、バイオリアクタ容器用のサーモフィッシャーサイエンティフック株式会社(Thermo Fisher Scientific)が使用するCX−14フィルムの構成を示す。一般的に、これら大型の使い捨てバイオリアクタには、横方向のポートを通じてセンサが導入される。本発明のバイオプロセス監視アセンブリの利用のため、ピロー(ロッカー)バッグおよびライナーバッグの両方を「ポリマーバイオリアクタ容器」と考えることができる。
【0004】
一般的に、上流および下流応用例の両方においてポリマーバイオリアクタ容器および他の種類の使い捨て装置に影響を及ぼす1つの重要な問題は、センサおよび補助監視装置または複数の異なる材料を必要とするアセンブリ(たとえば機械アセンブリ)の導入方法である。センサ(使い捨ておよび従来の使い捨てでない種類の両方)は、図1に示される種類の先行技術のポートを通じて(たとえば米国特許出願公開第2006/0240546号参照)、または本願の図2に示されるようにロッカーバッグとともに使用するために特別に導入されることが多い。図1に示されるポートは、異なる種類の検知素子を使用可能な監視アセンブリを容器に導入するために用いられ得るが、図2に示されるポートは一般的に、光ファイバベースの使い捨てセンサシステムに限定される。本明細書中の「ポート」という用語は本願のアセンブリの一部を指し、本発明がこれらの先行技術のポート、およびこれら別個の構成要素からなる構成要素アセンブリを取り替えることを明確にしている。しかし、本明細書中に記載の発明では、ポート、または当該ポートを通じて容器に入る別個の監視構成要素はもはや存在しない。ポートの概念は、ポートがヘッドプレートまたは実際の容器壁のねじ山開口部からなり、当該ポート内にセンサまたは他の構成要素がねじ山キャップによってOリング封止材で固定されていた、ガラスおよびステンレス鋼バイオリアクタにまで遡る。ここでより正確な類似は、封止するためにアセンブリをステンレス鋼バイオリアクタ壁または鋼鉄ヘッドプレート内に溶接することである。
【0005】
図1に示される先行技術のポートは典型的に、自身が接触しているバッグの表面と同様の材料からなる。これによって、バッグ表面と(たとえば熱的に、または超音波溶接で)容易に融合可能であるためである。図1に示されるポートは、円筒形管10およびフランジ11からなる。この種類のポートは、普通は円筒形のセンサ、またはポートの筒部に導入される他の物体の周りの漏れを防止するために機械的封止材を用いる。この機械的封止材は、図3に示されるように比較的大きな面積上の表面同士の接触によって形成される摩擦嵌めであり得る(米国特許出願公開第2006/0240546号参照)。図3は、円筒形の物体(たとえば、従来の直径12mmの電気化学溶解O2(DO)またはpHプローブまたはKleenPak(商標)などの無菌コネクタ)34がより大きな接触面積33で管状部材31の内部に収まる方法をより詳細に示す。この先行技術のポートは、Oリングを模倣する特徴32と、使い捨てバイオリアクタ容器のライナーに溶接される環状フランジ35とを有する。同様に、当該ポートは図4に示されるようにOリング封止材を実際に利用し得、図4は、溶接可能なポリマーフランジ43を有する円筒形ポート部材42内に設置される、使い捨ての自由空間光アセンブリ(たとえば使い捨てセンサシース)41を示す。Oリング44は、ポートの管状部材の溝45内にあるとして示されている。これらのポート設計によって一般的にポートと導入アセンブリとの間に気密および水密封止が提供され得るが、これらのアセンブリを認可および試験する(たとえばcGMP使用のために確認する)のに多大な時間が必要であり、これらは、使い捨てのポリマーバイオリアクタ容器を製造する際に単純にかつ直接的に組立てることができない。また、センサアセンブリを支持するための好適なポートアセンブリを設計することが困難な状況もある。これは、光ファイバベースの使い捨てセンサの使用が障害となるロッカー型の使い捨てバイオリアクタバッグの場合に特に真実であるが、その教示内容が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,489,402号に記載されているような、最適に設計された自由空間ベースの光センサアセンブリを導入するためにはより大きなポートが必要であり得る。しかし、大型ポートはバッグ材料にストレスを加え得るため、バッグの完全性を保証しつつ漏れのない封止を維持するように構築することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサアセンブリ(または他の種類の監視アセンブリ)を使い捨てバイオリアクタ容器に導入する好ましい方法は、単にこれらのアセンブリを、先行技術のポートおよび通気孔を使い捨てバッグライナーに現在取付けるのと同様の方法で、バッグ内に直接溶接することである。今日まで、これはほとんどのセンサまたはセンサアセンブリにとって一般的に実行可能ではなかった。センサおよび他のアクセサリーを使い捨てバイオリアクタ容器または他の使い捨て装置に導入するためのこのような解決策を実行するのが不可能であった理由の1つは、バッグまたはライナーが一般的に積層フィルムからなり、内層は典型的に超低密度LDPEまたはEVAなどの高表面張力ポリマーであるのに対し、センサアセンブリ(たとえば自由空間光センサまたは電気センサのいずれであっても)に用いられる材料は一般的にポリカーボネート、シクロオレフィン、コポリエステル、または透明もしくは不透明であり、実質的に剛性であり、USPクラスVI基準を満たすことができ、特に、自身の物理的または光学特性が大きく変化することなく滅菌に通常用いられるような50kGyのガンマまたはベータ放射線に耐え得る(たとえば材料が脆化したり不透明度が変化したりし得ない)他の熱可塑性物質などのポリマーである必要があるためである。バッグまたは容器ライナーを作るために用いられる積層フィルムは容易に互いに溶接可能であり、使い捨てバイオリアクタの内層と一致する材料(たとえばLDPE、EVA、PVDFまたは他のポリオレフィン)から典型的になる先行技術のポートもバッグまたはライナーに溶接可能であるが、センサアセンブリ自身の最適の材料は、フィルムライナー材料またはライナーと同一材料のポートに容易に溶接することができない(“Materials of Construction for Single-Use Bioprocessing Systems”, William Hartzel, Innovations in Pharmaceutical Technology, p46, April 2007参照)。我々は、2つの材料、すなわちセンサアセンブリおよびバッグライナーは、ライナーの少なくとも接触層の表面を変質させずには、および一般的に両材料の表面を変質させずには、溶解または互いに接着不可能であることを見出した。したがって、本発明によって可能となるような、バッグに直接溶接可能な複雑なアセンブリの構築能力は、センサまたはアセンブリを使い捨てバイオリアクタ容器に入れる新たな重要な可能性をもたらし、既存のセンサポート設計に存在する多くの問題に対処する。また、使い捨ての範例およびプロセス最適化を地球規模で完全に可能にするために、オートメーションソフトウェア、ハードウェア、および使い捨てセンサを、ミキサおよびバイオリアクタなどの上流処理(USP)ユニットから、同様のフィルムを用いるクロマトグラフィーアセンブリおよび濾過スキッドなどの下流バイオプロセス(DSP)ツールも含むように拡張する必要がある。一体化されたデータ履歴を有する柔軟なモジュラ装置の出現によって、バイオプロセス製品のバッファ混合から最終的な限外濾過までの統一されたプロセスデータセットの収集が可能になる。特定のプロセスモジュール(たとえば、特に下流側のミキサ、バイオリアクタ、および異なるプロセス構成)のセンサからのデータが利用可能になることによって、ユーザは、各プロセス工程およびそれにおける相互作用についてのモデルを展開させることができる。十分な情報がデータベースから利用可能になると、バイオプロセスエンジニアは、プロセス全体を端から端まで最適化して歩留まりモデリングを実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中で用いられるように、バイオプロセス容器という用語は、USPおよびDSPツールの両方を含むことが意図される。DSPでは、装置は理想的には、本明細書中に記載されるような本発明の製造プロセスを用いて製作されて従来のセンサに取って代わる、および/または新たな付加的な分析能力を可能にする、使い捨てセンサを実現する。USPポリマーバイオプロセス容器内で用いられるのと同様のフィルム技術を利用するDSP装置は、米国特許第7,935,253号に記載されている。DSPおよびUSP用の理想的な「スマート」センサは、バイオプロセス容器自身とともに予め較正され、ガンマまたはベータ放射滅菌される能力を有する。こうして、センサはバイオプロセス容器とともに透明の入れ物に密封されて到着する。したがって、システム全体が無菌状態で到着するため、プロセスセットアップ中のオペレータ時間を最小にすることができる。たとえば、下流の応用例では、pHおよび温度、ならびに光学密度および製品純度(たとえばウイルス量、生物学的純度)を測定することも非常に必要である。DSPセンサの設計では、複合材料を組合せる能力が特に重要である。なぜなら、紫外線範囲内の光学的要件によって選択材料がさらに大きく限定され、抽出物および浸出物に対する要件がより厳しくなっているためである。また、使い捨てミキサ、バイオリアクタ、およびDSP装置のサイズが容量を満たすために増大するにつれて、入れ物の内部圧力が高まり、標準的なセンサ/ポート構成からの漏れの危険性が増大する。不浸透性封止を提供するために結合の観点から以前は不適合であると考えられいた材料の組合せを用いる本発明によって与えられるこの能力は、DSPおよびUSPの両方における重要な実施可能要因である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】先行技術のポート設計を示す図である。
【図2】光ファイバベースのセンサを使い捨てロッカーバッグに導入する、典型的な先行技術の方法を示す図である。
【図3】摩擦嵌めに基づいた封止を用いた先行技術のポート設計を示す図である。
【図4】Oリング圧縮封止材に基づいた封止を用いた先行技術のポート設計を示す図である。
【図5】光ファイバ送出および光信号の収集を用いる、別の種類の先行技術のポートを示す図である。
【図6】サーモフィッシャー社のCX−14バイオリアクタフィルムの構成層を示す図である。
【図7】光ファイバ送出および光信号の収集を用いる、さらに別の種類の先行技術のポートを示す図である。
【図8】光および熱センサウインドウの両方を含む、本発明に係るロッカーバッグ用のセンサユニットの上側面図である。
【図9】本発明に係るセンサユニットの断面図である。
【図10】使い捨てバイオリアクタバッグに熱溶接された複合センサアセンブリ、すなわち本発明に係るセンサユニットおよびポートを示す図である。
【図11】使い捨て攪拌タンクライナーバッグ上の現在の先行技術のポート設計に有利に取って代わり得る、本発明に係る自由空間光センサアセンブリの一部内面図である。
【図12】図11のセンサアセンブリの外面図である。
【図13】光散乱および吸収測定に好適な、本発明に係る光センサアセンブリのプロファイル図である。
【図14】(この場合はATR分光装置内の)本発明に係る複合光センサアセンブリの断面図である。
【図15】光学装置がバイオリアクタ容器の中身と接触している、ISFETなどの本発明に係る複合光センサアセンブリの断面図である。
【図16】容器の中身のNIRまたはラマン分光学的研究に好適な、本発明に係る別の種類の複合光センサアセンブリの断面図である。
【図17】米国特許第7,384,783号の駆動アセンブリの断面図であり、本発明のプロセスを用いてのみ結合可能な材料の組合せによって製造されると大幅に改良される駆動アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
図1〜7は先行技術であり、図8〜17は本発明を示す。
【0010】
使い捨てバイオリアクタに現在用いられている光ファイバベースの蛍光センサは多数の限定事項に悩まされているが知られており、それらの限定事項の中には、
1.光劣化が加速して寿命および/または測定精度/容量が制限されてしまうこと;
2、周囲光に対する感度;
3、運動または物理的摂動に対する感度
が含まれる。
【0011】
撹拌タンク使い捨てバイオリアクタライナーは現在、センサおよび/またはサンプリングシステムを導入するためにたとえば図3および4に示されるように構成されたポートを用いる。しかし、これらのポートは、使用可能なセンサの形状因子および形を限定してしまう。
【0012】
特別な場合のロッカー型使い捨てバッグでは、光ファイバベースのセンサは、自身がバッグに導入される方法によって大きく限定されてしまう。図2に示されるように、DO(溶存酸素)およびpH蛍光センサスポットが、光ファイバアセンブリ22および23の端部に取付けられる。これらのファイバは、典型的に回転軸24の近傍で、ロッカーバッグ21の壁を通って導入される。図2に示されるように、光ファイバケーブルは一般的にロッカーバッグの頂部から入れられ、光ファイバケーブルの端部のセンサは、燃料タンクのクランク線と同様に、バッグの底部のバイオプロセス媒体に浸漬される。容器が最大角度まで前後に振動するにつれ、流体25が容器の一端または他端に移動するため、センサスポットが覆われなくなり得る。見られるように、この構成によって、センサスポットは、振動サイクル時にヘッドスペースガスにさらされ得(バイオプロセス水媒体に常に浸漬されているのとは対照的に)、かつ周囲光にさらされ得るため、センサの光劣化を加速し得る。この理由は、ロッカー容器は一般的に、振動サイクルの移行終点時にバッグの角部に液体が溜まるように、自身の容量の半分未満まで満たされるので、バッグの中央近傍に位置する光センサが各振動期間の少しの間だけ覆われないためである。
【0013】
センサ「スポット」は典型的に、セルロースまたは有機修飾シリケート(ormosil)ガラスなどの不活性の多孔質材料含浸した蛍光染料からなり(J. Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, 3rd Edition, Springer, 2006参照)、問題の目標検体はセンサスポットに拡散し、染料の蛍光特性を変化させる。センサスポット内への気体の拡散率は液体の拡散率よりもはるかに高いため、ヘッドスペースガスに短時間(一時的に)さらされるだけでもセンサの読取値に大きな影響を及ぼして、大きな測定誤差を引起し得る。たとえば、液体中のセンサスポットの応答時間(90%応答)が30秒で液体中のDO濃度が30%Sat(飽和)であり、気相(ヘッドスペース)の応答時間が3秒でDOが>100%Satである場合、ヘッドスペースに短時間さらされるだけでも、DO測定値の精度に大きな悪影響を及ぼすことが容易に理解できる。
【0014】
上述の問題に対処するために、これまでにいくつかの試みがなされてきた。光ファイバベースのセンサを用いる、使い捨てバイオリアクタにおける周囲光問題に対する1つの提案される解決策(たとえば米国特許7,824,902号参照)が図5に示される。ここで、51は酸素感受性蛍光染料であり、52は、バイオリアクタのライニング56に溶接されるポートを含む低密度ポリエチレンなどの生体適合性材料である。光ファイバケーブルが54として示され、55は、周囲光が感光性染料に直接当たらないようにしつつ、流体がセンサスポットの周りを自由に流れることができるようにするシールドである。ファイバ54が、ポートアセンブリの一部であるフェルール57を固定しているとして示されており、58は、バッグライナーの上部に位置する受取容器内への開口部を示す。この解決策によって、光ファイバアセンブリおよびセンサスポットを使い捨てバイオリアクタに付けることができ、光シールドが、当該スポットに当たる周囲光を制限することもできる。これは、不透明のUSPクラスVI認可のコーティングの中で、イオン(たとえばH+)が通ってセンサスポットに到達可能なコーティングがたとえあったとしてもごく少ないために、不透明のコーティングを典型的に支持不可能なpHスポットなどのセンサスポットにとって特に重要である。
【0015】
ロッカー型バッグおよびライナー型使い捨て容器は一般的に、図6に示されるような積層フィルムからなる。この図はサーモフィッシャー社のCX−14フィルムを示しており、バイオプロセス液体に接触している層はA1(低密度ポリエチレン、厚み10.4ミル)であり、その後に層A2(A1とA3を結合する厚み0.9ミルの「結束」層)、層A3(エチレンビニルアルコールコポリマー「EVOH」、厚み1.0ミル)、および層A4(A3とA5を結合する厚み0.9ミルの「結束」層)、および最後にA5(ポリエステル、厚み0.8ミル)が続く。参照:Thermo Scientific Hyclone BPC Products and Capabilities 2008/2009。使い捨て応用例で用いられるすべての積層フィルムがこれらの材料またはこの数の層を利用する必要があるとは限らない。
【0016】
図7に示されるようにバッグの底部のポートを通じて光ファイバセンサを入れることによって、センサが使い捨てロッカーバッグ内で覆われない時間を最小にするための、同様の方法を用いた他の先行技術の試みもなされている(Bioprocess Bags Integrally Equipped with Oxygen or pH Sensors, Mark Timmins, Si Chen, Aaron Loren, Steven Archibald, Kurt Christoffersen, Jean-Francois Hamel, および James Kaneより)。光ファイバケーブル64は標準的な光ファイバコネクタ63に接続されており、コネクタ63は、使い捨てバイオリアクタ61の内側フィルム層(通常はLDPEまたはEVAまたは同様の不活性層)に熱溶接されるポート62に埋込まれている。センサスポット60は、光ファイバケーブルの端部に取付けられる。スポットは、バッグの底部に、または底部の若干上方にある。しかし我々は、低体積液体についてのこの設計では、スポットは依然として最大振動角度および速度で覆われなくなることを見出した。さらに、この方法では、センサスポットが周囲光の影響から保護されない。したがって、この方法では、センサスポットは依然としてヘッドスペースガスおよび周囲光の両方にさらされ得るため、測定忠実度が低下し、センサスポットが光劣化してしまう。
【0017】
最適システムは、光ファイバケーブルベースの光センサの公知の課題を回避する。つまり、最適システムは、周囲光にさらされることを最小し、ヘッドスペース気相寄与にさらされることによって汚染された液体に浸漬しているときにセンサによって値を測定する可能性も無くす。理想的には、最適システムは、バッグを作るのに用いられるのと同一の装置(たとえば熱溶接装置、シームシーラー)を用いる通常の構築過程においてバッグに取付け可能でもある。本発明はこれらの問題の対処に成功した。
【0018】
我々は、照射に基づく光劣化の問題は、自由空間光学部品ベースのセンサ設計を用いることによって対処可能であることを見出した。自由空間光学部品の使用、ならびにそのようなセンサおよびそれらの利点の詳細は、その教示内容全体が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,489,402号に記載されている。当該特許に述べられている基本的な概念は、光劣化による位相蛍光測定センサシステムにおける測定精度のばらつきは、センサスポットを照らすのに用いる光量を最小にすることによって(多くの場合は測定不可能なレベルまで)大幅に減少可能であるということである。自由空間光学部品および適切にサイズ決めされた光検出器は、実質的にすべての状況において、光ファイバケーブルよりもはるかに多くの光を蛍光センサスポットから収集し得る。公知のように、光ファイバシステムは、自身が収集可能な光量について、基本的な物理法則によって限定される。この問題を記載している基本的な物理法則は、「輝度の保存」として公知である。この限定は自由空間光学部品にも当てはまるが、この限定の影響は全く厳しいものではない。自由空間光学系の方がはるかに多くの光を収集し得る(光ファイバケーブルに対して容易に10倍以上)ため、蛍光センサを照らすのに必要な光もはるかに少なく、したがって光劣化速度もはるかに遅くなる。しかし、最適に正確な結果のためには、スポットが気相にさらされることを最小にするか無くし、かつ、低充填体積であってもスポット全体が常に浸水し続けているようにし、かつスポットが周囲光にさらされないように保護するための方法が必要である。
【0019】
ロッカーバッグ内で用いるのが特に好適であり、かつ上記の問題を回避するように物理的に実現可能であり実際的に実行可能である、本発明に係るセンサ設計が図8〜図10に示される。
【0020】
本発明の複合センサアセンブリは、ポリマーバイオプロセス容器および下流バイオプロセス装置とともに用いるのに好適であり、
i) 中空管状部およびベースプレート部を有するLDPAまたはEVAなどの高表面張力熱可塑性物質を含むポートを有し、ベースプレートは、自身の壁の孔においてバイオリアクタ容器と融合封止可能であり、センサアセンブリはさらに、
ii)少なくとも1つの電気および/または光学測定構成要素(光学部品のみが用いられる場合は全体的に不透明)を含むポリマーセンサ(監視)ユニットを有する。センサユニットは、ポートの中空管状部のボアの内部に収まり、以下に説明するような本発明に係る特別なプロセスを用いて、その内部に接着剤で保持される。好ましくは、監視ユニットには複数の測定構成要素が存在する。
【0021】
本明細書全体にわたって、「高表面張力」とは好ましくは、ほとんどの応用例について少なくとも30ダイン/cmを意味するが、正確なポリマー組成および表面粗度に依存してこの数字からの何らかの変動も当てはまり得る。状況によっては、少なくとも35または少なくとも40ダイン/cmの値が好まれ得る。
【0022】
ポートは円筒形状であるとして示されており、「管状」であると記載されているが、そのような用語は、ポートの管状(中空)部またはセンサユニットのいずれか一方の断面が円形であることを要求すると解釈されるべきでない。具体的には、センサユニットおよびユニットの管状(ポート)部は、センサユニットをポートに封止可能に付けることができ、かつベースプレートがバイオ容器の中身へのアクセスを与えるオリフィスを有するのであれば、どのような幾何学的形状を有してもよい。ポートは、バイオリアクタ容器の中身へのアクセスをセンサユニット構成要素に与え、中身は、入射する光および/または電気信号を提供する手段、ならびにセンサアセンブリ構成要素によって出射された測定信号を収集および送信する手段を含む。ロッカーバッグとともに用いるために、センサユニットは好ましくは(必須ではないが)円形であり、全体的に皿型であり、ベース部およびベースの上方に延在する同心リムを含む。センサユニットは好ましくは、自身のベースの内面にカップ状の窪みを有する。監視構成要素の各々は当該センサユニットのベースの別個のカップ状の窪みに位置しており、当該カップ状の窪みの各々は好ましくは、センサユニットベースの内面の上方に延在する周囲リムを含む。光センサ(監視)構成要素を含むカップは好ましくは、自身の頂部の上方に位置決めされた光シールドを有する。現在の慣例では、ライナーバッグとともに用いるように設計された自由空間光学部品センサユニット内には特に要求されないが、プローブは実質的に円筒形状であることが多く、図11および図12に示されるようなポートの管状部のボアに含まれ、センサユニットは、後述のような特別なプロセスを用いて、その内部に再び接着保持される。
【0023】
図8は、すべての通常の振動角度および振動速度でスポットを覆うバイオプロセス流体の維持を助ける凹んだ「カップ」72および73内にDOおよびpHスポットが装着された、自由空間光センサユニットを示す。温度は、71として示される薄い316L電解研磨ステンレス鋼プレートを有するカップによって測定される。
【0024】
図9は、センサユニットの光学的に不透明な部分82および光学的に透明な部分83を示す、ロッカーバッグとともに用いる本発明に係るセンサユニットの断面図である。透明度は通常、USPクラスVIの吸収着色剤を、通常透明または半透明のポリマーに混ぜ合わせることによって達成される。示されるように、各センサユニットは、自身のカップ85内の流体表面の下方に位置する。なお、各カップ85は好ましくは自身のリッジ86を有し、リッジ86は、カップ内の残屑を掃くのに有効な流れパターンを形成するため、カップ内の液体の流れを変えることによって堆積した残屑を減らす。なお、一定の好ましい実施例におけるセンサユニット全体は、センサユニット内に流体を保持するように作用する周辺リッジ84も有する。リッジのさらなる利点は、カップ85を有するセンサ内の微粒子残屑(たとえば死んだ細胞や他の沈殿物)の堆積を最小にする流体流路を形成することである。カップ87を有する温度センサは通常、カップを有するpHまたはDOセンサと比べてサイズおよび深さが若干異なるが、液体を保持するように設計されているという点で同一の概念を有する。自由空間光センサの代わりに、これはバイオリアクタ流体との良好な熱導電率のために316L電解研磨プレートを用い、RTD、サーミスターまたは同等の温度センサも含む。
【0025】
センサスポットを保持するカップを含むセンサユニットのポリマー部に選択される材料は、以下の有利な特徴、すなわち、
・滅菌ガンマまたはベータ放射線にさらされた後の(光学特性および機械的特性における)安定性
・構造上の完全性
・低コスト
・USPクラスVI基準を満たす能力
・動物由来成分なし
・成形能力
・センサユニット本体の光学的な不透明度、および光伝送に必要な部分における光学的な透明度
を有する。
【0026】
上記基準を満たすポリマー材料のリストには、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、コポリエステル、ポリスチレン、および当業者に公知の他のベータまたはガンマ放射線安定の熱可塑性物質が含まれる。
【0027】
既述のように、使い捨てロッカーバッグの最内層は一般的にLDPEまたはEVAからなる。これらのポリマーは化学的に不活性であり、生物材料に非反応であり、USPクラスVIフィルムとしても入手可能であるためである。その他の外側補強および/または結合層が存在していることもあるため、多くのバッグは、最も内側のLDPEまたはEVAポリマー層に加えて、他のポリマーのさらなる層を含む。以下、一般的にLDPEを、使い捨てバイオリアクタバッグを構築するために用いる材料として言及するが、バッグは代替的に、上記材料のうちの1つ、またはUSPクラスVI基準を満たす他の好適な熱可塑性フィルムによっても製造可能である。
【0028】
本発明が対処する主要な問題および課題は、少なくともLDPEを表面処理しなければ、多くの場合はLDPEおよびセンサユニットの界面部分の両方を表面処理しなければ、センサユニットに好適なほとんどの材料をLDPEに熱結合または他の方法で容易にかつ効果的に結合できないことである。結合部が依然として(典型的にガンマまたはベータ放射線による)滅菌に耐えることができ、かつ依然としてUSPクラスVI基準を満たす信頼性のある頑強な方法で、LDPEを異なるポリマー材料に結合することは困難である。このため、センサユニットに見込みのある自由空間光学装置(または電気装置、または光学部品、電子機器回路および/もしくは化学トランスデューサを用いた装置)から最適の材料を利用しつつ、同時にこの部分(センサユニット)を使い捨てバッグ内に結合する能力を維持することは困難である。したがって、測定要件(たとえば長寿命、高精度、機能性)を満たすセンサユニットを同時に実現しつつ、それを使い捨てバイオリアクタ容器に封止一体化する方法は明らかでない。
【0029】
位相蛍光測定法のための最適の自由空間光学系を形成するためには、上述の要件を満たす材料を用いる必要がある。したがって、すべての適用可能要件を満たす結合方法を用いて、センサアセンブリを使い捨てバイオリアクタ容器に結合する必要がある。さまざまな表面処理方法が公知であり、いくつかは理論上はLDPEまたはEVAとともに採用可能である(たとえば“Adhesion enhancement of polymer surfaces by atmospheric plasma treatment”, M J Shenton, M C Lowell-Hoare, および G C Stevens, Journal of Physics D: Applied Physics, 34 (2001) 2754-2760参照)。たとえば、嵌合表面を化学的にエッチングするか、またはより容易に互いに結合する材料で表面をドーピングした「メタ層」を形成することも可能である。このような方法によってバッグとセンサアセンブリの界面部分とを結合することができるが、USPクラスVI基準を満たす製品を提供する化学エッチング液の選択肢は非常に少ない。我々は、バイオリアクタバッグの内面層に用いられるLDPE、EVAおよびほとんどの他のポリオレフィンまたはエチレンコポリマーに有効であるより有利な方法は、(容易にバッグと融合結合するポリマーから製造される)センサアセンブリの一部と、自由空間光学部品、電子構成要素、またはそれらの組合せを含む剛性センサユニット構造との両者の嵌合面を、プラズマ洗浄、UVオゾン洗浄、または嵌合表面上の吸着部分を形成する他の方法によって表面処理することであることを見出した。ほとんどの使い捨てバッグは、(熱的方法、超音波などを用いて)部品を互いに「溶接する」ことによって製造されるため、従来のポートおよび通気孔と同一の態様で容器に溶接可能な部分(すなわち本発明のセンサアセンブリ)を作ることが有利である。
【0030】
したがって本発明は、公知の方法(たとえば熱溶接)によって使い捨てライナーまたはロッカーバッグフィルムに好適に結合される(たとえばLDPEバイオリアクタバッグ内層面に容易に結合可能な)LDPE、EVAまたは同様のポリマーから一部なるポートと、上述の特別なポリマー(たとえばポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、コポリエステル、およびポリスチレン)のうちの1つからなる自由空間光センサユニットとの組合せを利用する。本発明に従って製造されたバッグへのポートおよびセンサユニットへのポートは、無菌の、流体不浸透性の封止を提供する。ポートの嵌合面およびセンサユニットのいずれか一方(または好ましくは両方)に上述の表面処理を行なった後、我々は、これらは一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ、シアノアクリレート、シリコーン、またはポリウレタンを含むUSPクラスVI接着剤を用いて有利にかつ効果的に結合され得ることを見出した。選択した接着剤がガンマまたはベータ滅菌放射線によって過度に架橋したり脆化したりしないようにするために、これらは、適切なUSP基準に従って本願に適格であることを保証するために、放射線にさらされた後に検査および試験され得る。
【0031】
本明細書中に記載の複合センサアセンブリは上述の表面処理技術を用いて、光学/物理的構成要素をLDPEまたはEVAポートに結合可能にし、当該ポートは次に、LDPE(またはEVA)からなる使い捨て容器内に公知の方法を用いて溶接され得る。この方法によって、表面張力の高いLDPEまたはEVAなどの材料を用いる使い捨てバイオリアクタ(または他の使い捨て処理装置)に封止可能であり、したがって不活性であり、異なる材料に結合するのが困難でもある構成要素の設計自由度がはるかに高まる。これによって、形状および空間の程度が限定されている剛性または半弾性ポートを通じて構成要素を挿入する必要性が緩和される。図8および図9に示される本発明に係るユニットは、蛍光ベースの光センサ、および所望であれば温度センサ(熱プローブ)の使用を可能にする、本発明に係るセンサアセンブリである。さらに、この方法は、電気センサ(たとえばISFETS)などの使い捨て処理装置とともに有利に用いられる他の異なる種類のプローブ(監視装置)、または分光法(たとえば近赤外線またはラマン)に基づいた他の種類の光センサに適用可能である。図10は本発明に係る複合センサアセンブリを示しており、すなわち、センサユニットはポートと一体化され、バイオリアクタ容器の壁と融合する。また、本発明の複合アセンブリは、センサを必要とする任意の使い捨てポリマー容器、カラム、または入れ物に容易に溶接可能であるため、この結合方法はロッカー型使い捨てバッグまたはポリマーライナーバッグに限定されない。最後に、この方法は材料のUSPクラスVI分類を満たしているため、組合された製品は依然としてバイオプロセス応用例に好適である。
【0032】
図10に示されるように、光センサカップ(図8の72および73、図9の83として示される)ならびに熱導電率の高いプレート91(たとえば316L電解研磨ステンレス鋼)を有するセンサユニットを含み、USPクラスVI基準も満たし、したがってそれによって温度を検知または測定可能なセンサアセンブリが、上述のようなプラズマ洗浄の後に好適な接着剤でポートベースプレート92(好ましくはLDPEからなる)に付けられ、その後アセンブリはバッグフィルム93(ここでは円形として示す)に熱溶接される。信号干渉および光退色を回避するための任意の光学光シールド94も、光センサカップの上方に位置して示される。光シールドはさらに、黒色シリコーンポリマーなどの不透明コーティングを支持不可能であるか、当該コーティングとともに使用不可能な蛍光センサスポット上にも有利に用いられる。光シールドは、バイオリアクタ流体がセンサスポットに流れることができるようにするが、多くの割合の周囲光を阻止する。これによって、センサスポットの光劣化、および蛍光信号検出に用いられる光学部品や電気増幅との干渉の可能性が減少する。
【0033】
図11は、使い捨ての攪拌タンクプラスチックライナーバッグとともに用いるのが特に好適な、本発明の複合センサアセンブリの1つの種類を示す。図11のセンサアセンブリの一部として示されるセンサユニットは、上述のような好適なUSPクラスVIの、ガンマ放射線安定の、実質的に剛性であり、動物由来成分がないポリマー材料からなる、好ましくは少なくとも部分的に不透明の光センサユニットで構成される。ここで、102は、同様の材料からなるが着色剤が添加されていない透明の構成要素(たとえばレンズ)である。この光学構成要素の頂部に、蛍光センサスポット(図示せず)が好適に配置される。NIR分光法またはラマン分光法などの他の光センサ測定技術では、センサスポットは不要である。好適な熱伝導領域(たとえば温度測定用の316L電解研磨ステンレス鋼プレート)が103として示される。ポート104は、使い捨てバッグライナーに容易に溶接される材料から好適になり、好ましくは、バイオリアクタバッグへの上記結合を促進するための周囲フランジ105を有する。ポートの内面(106)およびセンサユニットの外面をプラズマ処理する際に白銀硬化シリコーンなどの接着剤107が両面に容易に付着しないようにするために、センサユニット101および/またはポート104の内部にさらなる特徴を有する(すなわち、増大した嵌合表面積またはリッジを有する)ことが望ましいことがある。図11および図12(図11のセンサアセンブリの外面の切取られていない図)に示すような複合センサアセンブリは自由空間光センサユニットを用いるが、電気または化学センサユニットとともに用いるのにも等しく好適である。
【0034】
図13は、(UV、近赤外線、もしくは可視光を用いる)光学密度測定、または光吸収分光測定に特に好適な複合光アセンブリのプロファイル図である。図13において、120はライナー適合性材料(たとえばLDPE)であり、121は使い捨てバッグフィルムである。複合アセンブリの光学部分は、ライナー適合性材料122に接着剤で付けられた側壁124からなり、123は光アセンブリの床であり、必要な光学特性に依存して124と同じ材料から好適になり得る。構成要素122は、光ビーム125を光学ギャップ全体に屈折または反射するために用いられる光プリズムである。プリズムは典型的に、示されるように光ビーム125を反射するようにコーティングされる。当該ギャップを横切る光は、用いる構成要素の光学特性、したがって材料選択を一部決定する。プリズム同士の間の正確な分離(光学ギャップ長さ)は、このシステムによって特徴付けられることが意図される材料の吸収および散乱特性によって決定される。光信号の処理は前面にフィルタの付いた光検出器もしくは電力計によって、または分光計によって行なわれ得る。
【0035】
図14は、別の複合光アセンブリの断面図を示す。特にここでは、ATR(減衰全反射)分光装置を示す。G. Muller, K. Abraham, および M. Schaldach,“Quantitative ATR spectroscopy: some basic considerations,”Appl. Opt. 20, 1182-1190 (1981)。当該断面図では、131は使い捨てバイオリアクタのライナーまたはフィルムであり、130はLDPEまたは他の適合性材料であり、134は、LDPEに接着剤で付けられた別の好適なポリマー材料である。構成要素136は典型的に、高屈折率光学材料(たとえばAl2O3もしくはYVO4、または高指数ガラス、ポリカーボネート、または同様の材料)である。高指数は、不十分な内部全反射を可能にすることが要求される。入射光はここでは135として示されており、エバネッセント場または「跳ね返り場」が136として示される。正確な光屈折率および跳ね返り場の数は、用いる波長における問題の検体の吸収係数および他の要因によって必要とされる感度によって決定され、これらはすべて当業者にとって公知である。
【0036】
図15は、読取値を提供するためにバイオリアクタの中身と接触している電気装置142(たとえばISFET)を含むセンサアセンブリの断面図を示しており、141は使い捨てバイオリアクタフィルムであり、140は複合物の第1のバイオリアクタ適合性材料(たとえばLDPE)である。複合アセンブリの第2の適合性材料143は、140に接着剤で付けられる。電気素子142は143内に直接成形され得、当該装置およびその特定の特性に依存して、Oリングを用いる圧縮嵌めまたは同様の技術などの機械的封止材を用いて、所定の位置に接着剤で付けられるか保持され得る。なお、このような電気装置は、化学反応性材料コーティングをトランスダクションメカニズムとして利用するか、電気センサ上に重畳されたミクロ流体回路を有し得る。
【0037】
図16は、別の種類の複合センサアセンブリの断面図を示しており、151は使い捨て容器フィルムであり、150はLDPEなどの複合アセンブリのフィルム適合性材料である。複合物の第2の適合性材料は154として示されており、150に接着剤で付けられる。項目155は、光源と、返ってきた光のスペクトル成分を識別するための分光計またはフィルタセットを利用し得る検出システムとからなる光学ユニットを表わす。光源は、全体的に管状であり、かつ光源に少なくとも部分的に透明な152に当たる。素子152は、バイオリアクタの中身がその中で連続的に循環し得ることによって、バイオリアクタの中身の正確で非侵襲的な、原位置の検査を可能にするように構成される。循環は、所望であればポンプ156によって促進され得る。示されるシステムは、バイオリアクタの中身の近赤外線吸収分光測定、またはラマン測定を実行するのにも使用可能である。
【0038】
本発明の結合手順を用いたポリマーバイオリアクタ容器の複合機械アセンブリを製造する好適性および利点を上記に述べた。これは、ライナー方式の使い捨てバイオリアクタ(およびミキサ)の多くは、容器の中身を混合したり曝気を助けるためにモータ駆動攪拌器に依存するためである。攪拌器シャフトは、シャフトを制約するポートを通じてバイオリアクタ容器に導入される必要がある。ここでも、材料適合性によって課される同様の基本的な限定事項に直面する。図17には、米国特許第7,384,783号(この教示内容は引用によって本明細書に援用される)に記載されているような攪拌駆動ユニットが示される。図17には、上記特許の図6と同様に、回転アセンブリ601の一部断面図が示されており、回転アセンブリは、ハブ620と内側筐体660との間に配置された軸受アセンブリ670を含む。また、内側筐体660と固定関係にある下側レース軸受またはアセンブリ670も示される。ハブ620はレース軸受に対して回転可能であり、ハブ620を所定の位置に維持するのを助け得るスナップリングまたは保持リングを受けるためのガイド624aを含み得る。示されるように、外側筐体661を使い捨て容器の壁699に結合する必要がある。このためには、筐体661がバイオリアクタ容器フィルムと適合性のある材料からなるか、筐体661がフィルム適合性材料でオーバーモールドされる(すなわちフィルムに結合可能である)必要がある。材料適合性を必要とするため、選択材料がLDPEと同様の材料に限定され、これによって、本願に最適の特性(たとえば引張り強さ、弾性、硬度など)を有する筐体材料の選択能力が限定される。オーバーモールディングによって、使用可能な材料も限定される。フィルムに用いられる超低密度ポリエチレンを、より剛性が高い高密度ポリエチレン(HDPE)にオーバーモールドできる場合もあるが、HDPEは一般的には本願にとって準最適である。
【0039】
上述のように、適切な表面処理によって、より多くの好適な材料を機械ユニット(たとえばハブ620、および/または軸受アセンブリ670)に用いることができ、外側筐体661に接着剤で付けることができる。これによって、上述のようなセンサユニットおよびポートと同様の態様で攪拌器駆動アセンブリを構築するための、本発明に係る代替のまたは好ましい方針が提供される。
【0040】
基本的に異なる材料を利用する能力の恩恵を受けることができるバイオプロセス応用例についてのさらなるメカニズムは、スパージャー(曝気装置)およびサンプリングポートを含むが、これらに限定されない。使い捨てバイオリアクタは、複雑なフリットまたは隔膜を用いて、大量の気体移動のために気流を一定サイズの泡に変換するのに必要な多孔質アパーチャを提供し、それらの設計は、センサに影響を与える材料選択および適合性問題によって限定され得る。バイオプロセス流体と接触する材料は、原位置で滅菌されるためにUV透明である必要があり得るため、オートサンプラー用ポートも複数の材料を必要とし得る。LDPEおよび同様の材料はこの領域において大きく吸収するため、これは現在はLDPEおよび同様の材料を用いては不可能である。
【0041】
本発明のさまざまな変更および変形が、本発明の範囲および思想を逸脱することなく当業者にとって明らかになるであろう。本発明は特定的な好ましい実施例に関連して説明されたが、請求される本発明はそのような特定的な実施例に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、当業者にとって自明である本発明を実行するための記載されたモードのさまざまな変更が請求項の範囲内にあることが意図される。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
バイオプロセス用の使い捨てシステムの人気の高まりは市場において明らかであり、典型的なバイオテクノロジー製造設備を考えると容易に理解できる。従来のガラス/鋼鉄バイオリアクタ、ミキサ、および浄化システムを用いて設備を実現するのに必要なインフラストラクチャは大型であり、そのようなバイオプロセスシステムを構築するのに必要な時間および費用は多大になり得る。装置自体、ならびに侵入および退出配管の両方が316L電解研磨ステンレス鋼などの不活性材料を利用するという要件のために、多額の初期投資およびバイオリアクタ(すなわちバイオプロセス容器)ミキサおよび下流処理装置(たとえばクロマトグラフィースキッド、濾過システム)が必要であり、これらはすべて大きな占有面積を有する。これとは対照的に、使い捨てプラットフォームのサイズおよび形状因子は一般的に、従来の剛性のガラス/鋼鉄解決策と比べると、保管および再構成が容易である。使い捨てシステムの他の利点として、支持インフラストラクチャの小型化、具体的には準備および滅菌時間の短縮を含む従来の設計に対する時間の節約、実行後の容器洗浄のための浄化水の必要性の減少、ならびに実行後の維持時間の大幅な短縮が挙げられる。また、使い捨てシステムおよびそれらに関連したプラスチック配管は、製造および処理要件が変わるとともに、迅速かつ効率的に再構成および検査されることに適している。本発明の文脈では、主に使い捨てバイオリアクタに焦点を当てるが、本発明の原理は包括的に、上流処理(USP)および下流処理(DSP)領域の両方における、バイオプロセスに用いられる上記の使い捨て装置のいずれにも当てはまる。
【0002】
多数の異なる方式の使い捨てバイオリアクタが考案され市販されているが、現在は2種類が優勢である。商業的に成功した第1の種類の使い捨てバイオリアクタは一般的に「ピロー」または「ロッカー」バッグ方式と称され、たとえば米国特許第6,190,913号に記載されており、当該米国特許の教示内容は引用によって本明細書に援用される。この方式のバッグはさまざまな異なるポリマー材料からなり得るが、一般的に言って、低密度または超低密度ポリエチレン(LDPE)およびエチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマーが、バッグの少なくとも最内層、すなわち水性成長媒体と接触しているバッグ表面に用いられる現在最も一般的な材料に含まれる。使い捨てバイオリアクタ容器の構築に時々用いられる他の材料には、高密度ポリエチレン(HDPE)およびケブラー(ポリパラフェニレンテレフタルアミド)がある。ピローまたはロッカー型の使い捨てバイオリアクタは、一般的に単一軸の回りを振動してバイオリアクタの中身を混合および分散させる(曝気する)バッグ支持プラットフォームの動きによって誘発される波動を利用する。ロッカー型の使い捨てバイオリアクタバッグはある程度の市場の成功を収めているが、これまで、1つの重要な問題は、これらのロッカーバッグに一体化可能であり、かつ好ましくはバッグとともに放射線滅菌可能な、頑強な使い捨てセンサがないことであった。頑強とは、精密で、ガンマまたはベータ放射線安定であり、たとえば少なくとも21日間のプロセス監視および制御について1−3秒のサンプリングを提供可能であるなどの、実時間(バイオプロセスに必要な速度または時間応答内の実時間)に利用可能であることを指す。今日、使い捨てバイオリアクタ容器に用いられる種類はピローまたはロッカーバッグのみではない。小型のガラス容器を機能的に模倣する使い捨てポリマーハードシェルバイオリアクタや、剛性パイロットと生産規模ガラス/ステンレス鋼攪拌タンクバイオリアクタとの両方の内部に収まる、より大型の使い捨てプラスチックライナーバッグもある(たとえば、その教示内容が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,384,783号参照)。大型のライナーバッグは典型的に多層フィルム積層体からなり、当該積層体もまた、少なくとも自身の最内層に超低密度ポリエチレンまたはEVAを用いる。
【0003】
一例として、図6は、バイオリアクタ容器用のサーモフィッシャーサイエンティフック株式会社(Thermo Fisher Scientific)が使用するCX−14フィルムの構成を示す。一般的に、これら大型の使い捨てバイオリアクタには、横方向のポートを通じてセンサが導入される。本発明のバイオプロセス監視アセンブリの利用のため、ピロー(ロッカー)バッグおよびライナーバッグの両方を「ポリマーバイオリアクタ容器」と考えることができる。
【0004】
一般的に、上流および下流応用例の両方においてポリマーバイオリアクタ容器および他の種類の使い捨て装置に影響を及ぼす1つの重要な問題は、センサおよび補助監視装置または複数の異なる材料を必要とするアセンブリ(たとえば機械アセンブリ)の導入方法である。センサ(使い捨ておよび従来の使い捨てでない種類の両方)は、図1に示される種類の先行技術のポートを通じて(たとえば米国特許出願公開第2006/0240546号参照)、または本願の図2に示されるようにロッカーバッグとともに使用するために特別に導入されることが多い。図1に示されるポートは、異なる種類の検知素子を使用可能な監視アセンブリを容器に導入するために用いられ得るが、図2に示されるポートは一般的に、光ファイバベースの使い捨てセンサシステムに限定される。本明細書中の「ポート」という用語は本願のアセンブリの一部を指し、本発明がこれらの先行技術のポート、およびこれら別個の構成要素からなる構成要素アセンブリを取り替えることを明確にしている。しかし、本明細書中に記載の発明では、ポート、または当該ポートを通じて容器に入る別個の監視構成要素はもはや存在しない。ポートの概念は、ポートがヘッドプレートまたは実際の容器壁のねじ山開口部からなり、当該ポート内にセンサまたは他の構成要素がねじ山キャップによってOリング封止材で固定されていた、ガラスおよびステンレス鋼バイオリアクタにまで遡る。ここでより正確な類似は、封止するためにアセンブリをステンレス鋼バイオリアクタ壁または鋼鉄ヘッドプレート内に溶接することである。
【0005】
図1に示される先行技術のポートは典型的に、自身が接触しているバッグの表面と同様の材料からなる。これによって、バッグ表面と(たとえば熱的に、または超音波溶接で)容易に融合可能であるためである。図1に示されるポートは、円筒形管10およびフランジ11からなる。この種類のポートは、普通は円筒形のセンサ、またはポートの筒部に導入される他の物体の周りの漏れを防止するために機械的封止材を用いる。この機械的封止材は、図3に示されるように比較的大きな面積上の表面同士の接触によって形成される摩擦嵌めであり得る(米国特許出願公開第2006/0240546号参照)。図3は、円筒形の物体(たとえば、従来の直径12mmの電気化学溶解O2(DO)またはpHプローブまたはKleenPak(商標)などの無菌コネクタ)34がより大きな接触面積33で管状部材31の内部に収まる方法をより詳細に示す。この先行技術のポートは、Oリングを模倣する特徴32と、使い捨てバイオリアクタ容器のライナーに溶接される環状フランジ35とを有する。同様に、当該ポートは図4に示されるようにOリング封止材を実際に利用し得、図4は、溶接可能なポリマーフランジ43を有する円筒形ポート部材42内に設置される、使い捨ての自由空間光アセンブリ(たとえば使い捨てセンサシース)41を示す。Oリング44は、ポートの管状部材の溝45内にあるとして示されている。これらのポート設計によって一般的にポートと導入アセンブリとの間に気密および水密封止が提供され得るが、これらのアセンブリを認可および試験する(たとえばcGMP使用のために確認する)のに多大な時間が必要であり、これらは、使い捨てのポリマーバイオリアクタ容器を製造する際に単純にかつ直接的に組立てることができない。また、センサアセンブリを支持するための好適なポートアセンブリを設計することが困難な状況もある。これは、光ファイバベースの使い捨てセンサの使用が障害となるロッカー型の使い捨てバイオリアクタバッグの場合に特に真実であるが、その教示内容が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,489,402号に記載されているような、最適に設計された自由空間ベースの光センサアセンブリを導入するためにはより大きなポートが必要であり得る。しかし、大型ポートはバッグ材料にストレスを加え得るため、バッグの完全性を保証しつつ漏れのない封止を維持するように構築することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサアセンブリ(または他の種類の監視アセンブリ)を使い捨てバイオリアクタ容器に導入する好ましい方法は、単にこれらのアセンブリを、先行技術のポートおよび通気孔を使い捨てバッグライナーに現在取付けるのと同様の方法で、バッグ内に直接溶接することである。今日まで、これはほとんどのセンサまたはセンサアセンブリにとって一般的に実行可能ではなかった。センサおよび他のアクセサリーを使い捨てバイオリアクタ容器または他の使い捨て装置に導入するためのこのような解決策を実行するのが不可能であった理由の1つは、バッグまたはライナーが一般的に積層フィルムからなり、内層は典型的に超低密度LDPEまたはEVAなどの高表面張力ポリマーであるのに対し、センサアセンブリ(たとえば自由空間光センサまたは電気センサのいずれであっても)に用いられる材料は一般的にポリカーボネート、シクロオレフィン、コポリエステル、または透明もしくは不透明であり、実質的に剛性であり、USPクラスVI基準を満たすことができ、特に、自身の物理的または光学特性が大きく変化することなく滅菌に通常用いられるような50kGyのガンマまたはベータ放射線に耐え得る(たとえば材料が脆化したり不透明度が変化したりし得ない)他の熱可塑性物質などのポリマーである必要があるためである。バッグまたは容器ライナーを作るために用いられる積層フィルムは容易に互いに溶接可能であり、使い捨てバイオリアクタの内層と一致する材料(たとえばLDPE、EVA、PVDFまたは他のポリオレフィン)から典型的になる先行技術のポートもバッグまたはライナーに溶接可能であるが、センサアセンブリ自身の最適の材料は、フィルムライナー材料またはライナーと同一材料のポートに容易に溶接することができない(“Materials of Construction for Single-Use Bioprocessing Systems”, William Hartzel, Innovations in Pharmaceutical Technology, p46, April 2007参照)。我々は、2つの材料、すなわちセンサアセンブリおよびバッグライナーは、ライナーの少なくとも接触層の表面を変質させずには、および一般的に両材料の表面を変質させずには、溶解または互いに接着不可能であることを見出した。したがって、本発明によって可能となるような、バッグに直接溶接可能な複雑なアセンブリの構築能力は、センサまたはアセンブリを使い捨てバイオリアクタ容器に入れる新たな重要な可能性をもたらし、既存のセンサポート設計に存在する多くの問題に対処する。また、使い捨ての範例およびプロセス最適化を地球規模で完全に可能にするために、オートメーションソフトウェア、ハードウェア、および使い捨てセンサを、ミキサおよびバイオリアクタなどの上流処理(USP)ユニットから、同様のフィルムを用いるクロマトグラフィーアセンブリおよび濾過スキッドなどの下流バイオプロセス(DSP)ツールも含むように拡張する必要がある。一体化されたデータ履歴を有する柔軟なモジュラ装置の出現によって、バイオプロセス製品のバッファ混合から最終的な限外濾過までの統一されたプロセスデータセットの収集が可能になる。特定のプロセスモジュール(たとえば、特に下流側のミキサ、バイオリアクタ、および異なるプロセス構成)のセンサからのデータが利用可能になることによって、ユーザは、各プロセス工程およびそれにおける相互作用についてのモデルを展開させることができる。十分な情報がデータベースから利用可能になると、バイオプロセスエンジニアは、プロセス全体を端から端まで最適化して歩留まりモデリングを実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中で用いられるように、バイオプロセス容器という用語は、USPおよびDSPツールの両方を含むことが意図される。DSPでは、装置は理想的には、本明細書中に記載されるような本発明の製造プロセスを用いて製作されて従来のセンサに取って代わる、および/または新たな付加的な分析能力を可能にする、使い捨てセンサを実現する。USPポリマーバイオプロセス容器内で用いられるのと同様のフィルム技術を利用するDSP装置は、米国特許第7,935,253号に記載されている。DSPおよびUSP用の理想的な「スマート」センサは、バイオプロセス容器自身とともに予め較正され、ガンマまたはベータ放射滅菌される能力を有する。こうして、センサはバイオプロセス容器とともに透明の入れ物に密封されて到着する。したがって、システム全体が無菌状態で到着するため、プロセスセットアップ中のオペレータ時間を最小にすることができる。たとえば、下流の応用例では、pHおよび温度、ならびに光学密度および製品純度(たとえばウイルス量、生物学的純度)を測定することも非常に必要である。DSPセンサの設計では、複合材料を組合せる能力が特に重要である。なぜなら、紫外線範囲内の光学的要件によって選択材料がさらに大きく限定され、抽出物および浸出物に対する要件がより厳しくなっているためである。また、使い捨てミキサ、バイオリアクタ、およびDSP装置のサイズが容量を満たすために増大するにつれて、入れ物の内部圧力が高まり、標準的なセンサ/ポート構成からの漏れの危険性が増大する。不浸透性封止を提供するために結合の観点から以前は不適合であると考えられいた材料の組合せを用いる本発明によって与えられるこの能力は、DSPおよびUSPの両方における重要な実施可能要因である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】先行技術のポート設計を示す図である。
【図2】光ファイバベースのセンサを使い捨てロッカーバッグに導入する、典型的な先行技術の方法を示す図である。
【図3】摩擦嵌めに基づいた封止を用いた先行技術のポート設計を示す図である。
【図4】Oリング圧縮封止材に基づいた封止を用いた先行技術のポート設計を示す図である。
【図5】光ファイバ送出および光信号の収集を用いる、別の種類の先行技術のポートを示す図である。
【図6】サーモフィッシャー社のCX−14バイオリアクタフィルムの構成層を示す図である。
【図7】光ファイバ送出および光信号の収集を用いる、さらに別の種類の先行技術のポートを示す図である。
【図8】光および熱センサウインドウの両方を含む、本発明に係るロッカーバッグ用のセンサユニットの上側面図である。
【図9】本発明に係るセンサユニットの断面図である。
【図10】使い捨てバイオリアクタバッグに熱溶接された複合センサアセンブリ、すなわち本発明に係るセンサユニットおよびポートを示す図である。
【図11】使い捨て攪拌タンクライナーバッグ上の現在の先行技術のポート設計に有利に取って代わり得る、本発明に係る自由空間光センサアセンブリの一部内面図である。
【図12】図11のセンサアセンブリの外面図である。
【図13】光散乱および吸収測定に好適な、本発明に係る光センサアセンブリのプロファイル図である。
【図14】(この場合はATR分光装置内の)本発明に係る複合光センサアセンブリの断面図である。
【図15】光学装置がバイオリアクタ容器の中身と接触している、ISFETなどの本発明に係る複合光センサアセンブリの断面図である。
【図16】容器の中身のNIRまたはラマン分光学的研究に好適な、本発明に係る別の種類の複合光センサアセンブリの断面図である。
【図17】米国特許第7,384,783号の駆動アセンブリの断面図であり、本発明のプロセスを用いてのみ結合可能な材料の組合せによって製造されると大幅に改良される駆動アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
図1〜7は先行技術であり、図8〜17は本発明を示す。
【0010】
使い捨てバイオリアクタに現在用いられている光ファイバベースの蛍光センサは多数の限定事項に悩まされているが知られており、それらの限定事項の中には、
1.光劣化が加速して寿命および/または測定精度/容量が制限されてしまうこと;
2、周囲光に対する感度;
3、運動または物理的摂動に対する感度
が含まれる。
【0011】
撹拌タンク使い捨てバイオリアクタライナーは現在、センサおよび/またはサンプリングシステムを導入するためにたとえば図3および4に示されるように構成されたポートを用いる。しかし、これらのポートは、使用可能なセンサの形状因子および形を限定してしまう。
【0012】
特別な場合のロッカー型使い捨てバッグでは、光ファイバベースのセンサは、自身がバッグに導入される方法によって大きく限定されてしまう。図2に示されるように、DO(溶存酸素)およびpH蛍光センサスポットが、光ファイバアセンブリ22および23の端部に取付けられる。これらのファイバは、典型的に回転軸24の近傍で、ロッカーバッグ21の壁を通って導入される。図2に示されるように、光ファイバケーブルは一般的にロッカーバッグの頂部から入れられ、光ファイバケーブルの端部のセンサは、燃料タンクのクランク線と同様に、バッグの底部のバイオプロセス媒体に浸漬される。容器が最大角度まで前後に振動するにつれ、流体25が容器の一端または他端に移動するため、センサスポットが覆われなくなり得る。見られるように、この構成によって、センサスポットは、振動サイクル時にヘッドスペースガスにさらされ得(バイオプロセス水媒体に常に浸漬されているのとは対照的に)、かつ周囲光にさらされ得るため、センサの光劣化を加速し得る。この理由は、ロッカー容器は一般的に、振動サイクルの移行終点時にバッグの角部に液体が溜まるように、自身の容量の半分未満まで満たされるので、バッグの中央近傍に位置する光センサが各振動期間の少しの間だけ覆われないためである。
【0013】
センサ「スポット」は典型的に、セルロースまたは有機修飾シリケート(ormosil)ガラスなどの不活性の多孔質材料含浸した蛍光染料からなり(J. Lakowicz, Principles of Fluorescence Spectroscopy, 3rd Edition, Springer, 2006参照)、問題の目標検体はセンサスポットに拡散し、染料の蛍光特性を変化させる。センサスポット内への気体の拡散率は液体の拡散率よりもはるかに高いため、ヘッドスペースガスに短時間(一時的に)さらされるだけでもセンサの読取値に大きな影響を及ぼして、大きな測定誤差を引起し得る。たとえば、液体中のセンサスポットの応答時間(90%応答)が30秒で液体中のDO濃度が30%Sat(飽和)であり、気相(ヘッドスペース)の応答時間が3秒でDOが>100%Satである場合、ヘッドスペースに短時間さらされるだけでも、DO測定値の精度に大きな悪影響を及ぼすことが容易に理解できる。
【0014】
上述の問題に対処するために、これまでにいくつかの試みがなされてきた。光ファイバベースのセンサを用いる、使い捨てバイオリアクタにおける周囲光問題に対する1つの提案される解決策(たとえば米国特許7,824,902号参照)が図5に示される。ここで、51は酸素感受性蛍光染料であり、52は、バイオリアクタのライニング56に溶接されるポートを含む低密度ポリエチレンなどの生体適合性材料である。光ファイバケーブルが54として示され、55は、周囲光が感光性染料に直接当たらないようにしつつ、流体がセンサスポットの周りを自由に流れることができるようにするシールドである。ファイバ54が、ポートアセンブリの一部であるフェルール57を固定しているとして示されており、58は、バッグライナーの上部に位置する受取容器内への開口部を示す。この解決策によって、光ファイバアセンブリおよびセンサスポットを使い捨てバイオリアクタに付けることができ、光シールドが、当該スポットに当たる周囲光を制限することもできる。これは、不透明のUSPクラスVI認可のコーティングの中で、イオン(たとえばH+)が通ってセンサスポットに到達可能なコーティングがたとえあったとしてもごく少ないために、不透明のコーティングを典型的に支持不可能なpHスポットなどのセンサスポットにとって特に重要である。
【0015】
ロッカー型バッグおよびライナー型使い捨て容器は一般的に、図6に示されるような積層フィルムからなる。この図はサーモフィッシャー社のCX−14フィルムを示しており、バイオプロセス液体に接触している層はA1(低密度ポリエチレン、厚み10.4ミル)であり、その後に層A2(A1とA3を結合する厚み0.9ミルの「結束」層)、層A3(エチレンビニルアルコールコポリマー「EVOH」、厚み1.0ミル)、および層A4(A3とA5を結合する厚み0.9ミルの「結束」層)、および最後にA5(ポリエステル、厚み0.8ミル)が続く。参照:Thermo Scientific Hyclone BPC Products and Capabilities 2008/2009。使い捨て応用例で用いられるすべての積層フィルムがこれらの材料またはこの数の層を利用する必要があるとは限らない。
【0016】
図7に示されるようにバッグの底部のポートを通じて光ファイバセンサを入れることによって、センサが使い捨てロッカーバッグ内で覆われない時間を最小にするための、同様の方法を用いた他の先行技術の試みもなされている(Bioprocess Bags Integrally Equipped with Oxygen or pH Sensors, Mark Timmins, Si Chen, Aaron Loren, Steven Archibald, Kurt Christoffersen, Jean-Francois Hamel, および James Kaneより)。光ファイバケーブル64は標準的な光ファイバコネクタ63に接続されており、コネクタ63は、使い捨てバイオリアクタ61の内側フィルム層(通常はLDPEまたはEVAまたは同様の不活性層)に熱溶接されるポート62に埋込まれている。センサスポット60は、光ファイバケーブルの端部に取付けられる。スポットは、バッグの底部に、または底部の若干上方にある。しかし我々は、低体積液体についてのこの設計では、スポットは依然として最大振動角度および速度で覆われなくなることを見出した。さらに、この方法では、センサスポットが周囲光の影響から保護されない。したがって、この方法では、センサスポットは依然としてヘッドスペースガスおよび周囲光の両方にさらされ得るため、測定忠実度が低下し、センサスポットが光劣化してしまう。
【0017】
最適システムは、光ファイバケーブルベースの光センサの公知の課題を回避する。つまり、最適システムは、周囲光にさらされることを最小し、ヘッドスペース気相寄与にさらされることによって汚染された液体に浸漬しているときにセンサによって値を測定する可能性も無くす。理想的には、最適システムは、バッグを作るのに用いられるのと同一の装置(たとえば熱溶接装置、シームシーラー)を用いる通常の構築過程においてバッグに取付け可能でもある。本発明はこれらの問題の対処に成功した。
【0018】
我々は、照射に基づく光劣化の問題は、自由空間光学部品ベースのセンサ設計を用いることによって対処可能であることを見出した。自由空間光学部品の使用、ならびにそのようなセンサおよびそれらの利点の詳細は、その教示内容全体が引用によって本明細書に援用される米国特許第7,489,402号に記載されている。当該特許に述べられている基本的な概念は、光劣化による位相蛍光測定センサシステムにおける測定精度のばらつきは、センサスポットを照らすのに用いる光量を最小にすることによって(多くの場合は測定不可能なレベルまで)大幅に減少可能であるということである。自由空間光学部品および適切にサイズ決めされた光検出器は、実質的にすべての状況において、光ファイバケーブルよりもはるかに多くの光を蛍光センサスポットから収集し得る。公知のように、光ファイバシステムは、自身が収集可能な光量について、基本的な物理法則によって限定される。この問題を記載している基本的な物理法則は、「輝度の保存」として公知である。この限定は自由空間光学部品にも当てはまるが、この限定の影響は全く厳しいものではない。自由空間光学系の方がはるかに多くの光を収集し得る(光ファイバケーブルに対して容易に10倍以上)ため、蛍光センサを照らすのに必要な光もはるかに少なく、したがって光劣化速度もはるかに遅くなる。しかし、最適に正確な結果のためには、スポットが気相にさらされることを最小にするか無くし、かつ、低充填体積であってもスポット全体が常に浸水し続けているようにし、かつスポットが周囲光にさらされないように保護するための方法が必要である。
【0019】
ロッカーバッグ内で用いるのが特に好適であり、かつ上記の問題を回避するように物理的に実現可能であり実際的に実行可能である、本発明に係るセンサ設計が図8〜図10に示される。
【0020】
本発明の複合センサアセンブリは、ポリマーバイオプロセス容器および下流バイオプロセス装置とともに用いるのに好適であり、
i) 中空管状部およびベースプレート部を有するLDPAまたはEVAなどの高表面張力熱可塑性物質を含むポートを有し、ベースプレートは、自身の壁の孔においてバイオリアクタ容器と融合封止可能であり、センサアセンブリはさらに、
ii)少なくとも1つの電気および/または光学測定構成要素(光学部品のみが用いられる場合は全体的に不透明)を含むポリマーセンサ(監視)ユニットを有する。センサユニットは、ポートの中空管状部のボアの内部に収まり、以下に説明するような本発明に係る特別なプロセスを用いて、その内部に接着剤で保持される。好ましくは、監視ユニットには複数の測定構成要素が存在する。
【0021】
本明細書全体にわたって、「高表面張力」とは好ましくは、ほとんどの応用例について少なくとも30ダイン/cmを意味するが、正確なポリマー組成および表面粗度に依存してこの数字からの何らかの変動も当てはまり得る。状況によっては、少なくとも35または少なくとも40ダイン/cmの値が好まれ得る。
【0022】
ポートは円筒形状であるとして示されており、「管状」であると記載されているが、そのような用語は、ポートの管状(中空)部またはセンサユニットのいずれか一方の断面が円形であることを要求すると解釈されるべきでない。具体的には、センサユニットおよびユニットの管状(ポート)部は、センサユニットをポートに封止可能に付けることができ、かつベースプレートがバイオ容器の中身へのアクセスを与えるオリフィスを有するのであれば、どのような幾何学的形状を有してもよい。ポートは、バイオリアクタ容器の中身へのアクセスをセンサユニット構成要素に与え、中身は、入射する光および/または電気信号を提供する手段、ならびにセンサアセンブリ構成要素によって出射された測定信号を収集および送信する手段を含む。ロッカーバッグとともに用いるために、センサユニットは好ましくは(必須ではないが)円形であり、全体的に皿型であり、ベース部およびベースの上方に延在する同心リムを含む。センサユニットは好ましくは、自身のベースの内面にカップ状の窪みを有する。監視構成要素の各々は当該センサユニットのベースの別個のカップ状の窪みに位置しており、当該カップ状の窪みの各々は好ましくは、センサユニットベースの内面の上方に延在する周囲リムを含む。光センサ(監視)構成要素を含むカップは好ましくは、自身の頂部の上方に位置決めされた光シールドを有する。現在の慣例では、ライナーバッグとともに用いるように設計された自由空間光学部品センサユニット内には特に要求されないが、プローブは実質的に円筒形状であることが多く、図11および図12に示されるようなポートの管状部のボアに含まれ、センサユニットは、後述のような特別なプロセスを用いて、その内部に再び接着保持される。
【0023】
図8は、すべての通常の振動角度および振動速度でスポットを覆うバイオプロセス流体の維持を助ける凹んだ「カップ」72および73内にDOおよびpHスポットが装着された、自由空間光センサユニットを示す。温度は、71として示される薄い316L電解研磨ステンレス鋼プレートを有するカップによって測定される。
【0024】
図9は、センサユニットの光学的に不透明な部分82および光学的に透明な部分83を示す、ロッカーバッグとともに用いる本発明に係るセンサユニットの断面図である。透明度は通常、USPクラスVIの吸収着色剤を、通常透明または半透明のポリマーに混ぜ合わせることによって達成される。示されるように、各センサユニットは、自身のカップ85内の流体表面の下方に位置する。なお、各カップ85は好ましくは自身のリッジ86を有し、リッジ86は、カップ内の残屑を掃くのに有効な流れパターンを形成するため、カップ内の液体の流れを変えることによって堆積した残屑を減らす。なお、一定の好ましい実施例におけるセンサユニット全体は、センサユニット内に流体を保持するように作用する周辺リッジ84も有する。リッジのさらなる利点は、カップ85を有するセンサ内の微粒子残屑(たとえば死んだ細胞や他の沈殿物)の堆積を最小にする流体流路を形成することである。カップ87を有する温度センサは通常、カップを有するpHまたはDOセンサと比べてサイズおよび深さが若干異なるが、液体を保持するように設計されているという点で同一の概念を有する。自由空間光センサの代わりに、これはバイオリアクタ流体との良好な熱導電率のために316L電解研磨プレートを用い、RTD、サーミスターまたは同等の温度センサも含む。
【0025】
センサスポットを保持するカップを含むセンサユニットのポリマー部に選択される材料は、以下の有利な特徴、すなわち、
・滅菌ガンマまたはベータ放射線にさらされた後の(光学特性および機械的特性における)安定性
・構造上の完全性
・低コスト
・USPクラスVI基準を満たす能力
・動物由来成分なし
・成形能力
・センサユニット本体の光学的な不透明度、および光伝送に必要な部分における光学的な透明度
を有する。
【0026】
上記基準を満たすポリマー材料のリストには、ポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、コポリエステル、ポリスチレン、および当業者に公知の他のベータまたはガンマ放射線安定の熱可塑性物質が含まれる。
【0027】
既述のように、使い捨てロッカーバッグの最内層は一般的にLDPEまたはEVAからなる。これらのポリマーは化学的に不活性であり、生物材料に非反応であり、USPクラスVIフィルムとしても入手可能であるためである。その他の外側補強および/または結合層が存在していることもあるため、多くのバッグは、最も内側のLDPEまたはEVAポリマー層に加えて、他のポリマーのさらなる層を含む。以下、一般的にLDPEを、使い捨てバイオリアクタバッグを構築するために用いる材料として言及するが、バッグは代替的に、上記材料のうちの1つ、またはUSPクラスVI基準を満たす他の好適な熱可塑性フィルムによっても製造可能である。
【0028】
本発明が対処する主要な問題および課題は、少なくともLDPEを表面処理しなければ、多くの場合はLDPEおよびセンサユニットの界面部分の両方を表面処理しなければ、センサユニットに好適なほとんどの材料をLDPEに熱結合または他の方法で容易にかつ効果的に結合できないことである。結合部が依然として(典型的にガンマまたはベータ放射線による)滅菌に耐えることができ、かつ依然としてUSPクラスVI基準を満たす信頼性のある頑強な方法で、LDPEを異なるポリマー材料に結合することは困難である。このため、センサユニットに見込みのある自由空間光学装置(または電気装置、または光学部品、電子機器回路および/もしくは化学トランスデューサを用いた装置)から最適の材料を利用しつつ、同時にこの部分(センサユニット)を使い捨てバッグ内に結合する能力を維持することは困難である。したがって、測定要件(たとえば長寿命、高精度、機能性)を満たすセンサユニットを同時に実現しつつ、それを使い捨てバイオリアクタ容器に封止一体化する方法は明らかでない。
【0029】
位相蛍光測定法のための最適の自由空間光学系を形成するためには、上述の要件を満たす材料を用いる必要がある。したがって、すべての適用可能要件を満たす結合方法を用いて、センサアセンブリを使い捨てバイオリアクタ容器に結合する必要がある。さまざまな表面処理方法が公知であり、いくつかは理論上はLDPEまたはEVAとともに採用可能である(たとえば“Adhesion enhancement of polymer surfaces by atmospheric plasma treatment”, M J Shenton, M C Lowell-Hoare, および G C Stevens, Journal of Physics D: Applied Physics, 34 (2001) 2754-2760参照)。たとえば、嵌合表面を化学的にエッチングするか、またはより容易に互いに結合する材料で表面をドーピングした「メタ層」を形成することも可能である。このような方法によってバッグとセンサアセンブリの界面部分とを結合することができるが、USPクラスVI基準を満たす製品を提供する化学エッチング液の選択肢は非常に少ない。我々は、バイオリアクタバッグの内面層に用いられるLDPE、EVAおよびほとんどの他のポリオレフィンまたはエチレンコポリマーに有効であるより有利な方法は、(容易にバッグと融合結合するポリマーから製造される)センサアセンブリの一部と、自由空間光学部品、電子構成要素、またはそれらの組合せを含む剛性センサユニット構造との両者の嵌合面を、プラズマ洗浄、UVオゾン洗浄、または嵌合表面上の吸着部分を形成する他の方法によって表面処理することであることを見出した。ほとんどの使い捨てバッグは、(熱的方法、超音波などを用いて)部品を互いに「溶接する」ことによって製造されるため、従来のポートおよび通気孔と同一の態様で容器に溶接可能な部分(すなわち本発明のセンサアセンブリ)を作ることが有利である。
【0030】
したがって本発明は、公知の方法(たとえば熱溶接)によって使い捨てライナーまたはロッカーバッグフィルムに好適に結合される(たとえばLDPEバイオリアクタバッグ内層面に容易に結合可能な)LDPE、EVAまたは同様のポリマーから一部なるポートと、上述の特別なポリマー(たとえばポリカーボネート、シクロオレフィンコポリマー、コポリエステル、およびポリスチレン)のうちの1つからなる自由空間光センサユニットとの組合せを利用する。本発明に従って製造されたバッグへのポートおよびセンサユニットへのポートは、無菌の、流体不浸透性の封止を提供する。ポートの嵌合面およびセンサユニットのいずれか一方(または好ましくは両方)に上述の表面処理を行なった後、我々は、これらは一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ、シアノアクリレート、シリコーン、またはポリウレタンを含むUSPクラスVI接着剤を用いて有利にかつ効果的に結合され得ることを見出した。選択した接着剤がガンマまたはベータ滅菌放射線によって過度に架橋したり脆化したりしないようにするために、これらは、適切なUSP基準に従って本願に適格であることを保証するために、放射線にさらされた後に検査および試験され得る。
【0031】
本明細書中に記載の複合センサアセンブリは上述の表面処理技術を用いて、光学/物理的構成要素をLDPEまたはEVAポートに結合可能にし、当該ポートは次に、LDPE(またはEVA)からなる使い捨て容器内に公知の方法を用いて溶接され得る。この方法によって、表面張力の高いLDPEまたはEVAなどの材料を用いる使い捨てバイオリアクタ(または他の使い捨て処理装置)に封止可能であり、したがって不活性であり、異なる材料に結合するのが困難でもある構成要素の設計自由度がはるかに高まる。これによって、形状および空間の程度が限定されている剛性または半弾性ポートを通じて構成要素を挿入する必要性が緩和される。図8および図9に示される本発明に係るユニットは、蛍光ベースの光センサ、および所望であれば温度センサ(熱プローブ)の使用を可能にする、本発明に係るセンサアセンブリである。さらに、この方法は、電気センサ(たとえばISFETS)などの使い捨て処理装置とともに有利に用いられる他の異なる種類のプローブ(監視装置)、または分光法(たとえば近赤外線またはラマン)に基づいた他の種類の光センサに適用可能である。図10は本発明に係る複合センサアセンブリを示しており、すなわち、センサユニットはポートと一体化され、バイオリアクタ容器の壁と融合する。また、本発明の複合アセンブリは、センサを必要とする任意の使い捨てポリマー容器、カラム、または入れ物に容易に溶接可能であるため、この結合方法はロッカー型使い捨てバッグまたはポリマーライナーバッグに限定されない。最後に、この方法は材料のUSPクラスVI分類を満たしているため、組合された製品は依然としてバイオプロセス応用例に好適である。
【0032】
図10に示されるように、光センサカップ(図8の72および73、図9の83として示される)ならびに熱導電率の高いプレート91(たとえば316L電解研磨ステンレス鋼)を有するセンサユニットを含み、USPクラスVI基準も満たし、したがってそれによって温度を検知または測定可能なセンサアセンブリが、上述のようなプラズマ洗浄の後に好適な接着剤でポートベースプレート92(好ましくはLDPEからなる)に付けられ、その後アセンブリはバッグフィルム93(ここでは円形として示す)に熱溶接される。信号干渉および光退色を回避するための任意の光学光シールド94も、光センサカップの上方に位置して示される。光シールドはさらに、黒色シリコーンポリマーなどの不透明コーティングを支持不可能であるか、当該コーティングとともに使用不可能な蛍光センサスポット上にも有利に用いられる。光シールドは、バイオリアクタ流体がセンサスポットに流れることができるようにするが、多くの割合の周囲光を阻止する。これによって、センサスポットの光劣化、および蛍光信号検出に用いられる光学部品や電気増幅との干渉の可能性が減少する。
【0033】
図11は、使い捨ての攪拌タンクプラスチックライナーバッグとともに用いるのが特に好適な、本発明の複合センサアセンブリの1つの種類を示す。図11のセンサアセンブリの一部として示されるセンサユニットは、上述のような好適なUSPクラスVIの、ガンマ放射線安定の、実質的に剛性であり、動物由来成分がないポリマー材料からなる、好ましくは少なくとも部分的に不透明の光センサユニットで構成される。ここで、102は、同様の材料からなるが着色剤が添加されていない透明の構成要素(たとえばレンズ)である。この光学構成要素の頂部に、蛍光センサスポット(図示せず)が好適に配置される。NIR分光法またはラマン分光法などの他の光センサ測定技術では、センサスポットは不要である。好適な熱伝導領域(たとえば温度測定用の316L電解研磨ステンレス鋼プレート)が103として示される。ポート104は、使い捨てバッグライナーに容易に溶接される材料から好適になり、好ましくは、バイオリアクタバッグへの上記結合を促進するための周囲フランジ105を有する。ポートの内面(106)およびセンサユニットの外面をプラズマ処理する際に白銀硬化シリコーンなどの接着剤107が両面に容易に付着しないようにするために、センサユニット101および/またはポート104の内部にさらなる特徴を有する(すなわち、増大した嵌合表面積またはリッジを有する)ことが望ましいことがある。図11および図12(図11のセンサアセンブリの外面の切取られていない図)に示すような複合センサアセンブリは自由空間光センサユニットを用いるが、電気または化学センサユニットとともに用いるのにも等しく好適である。
【0034】
図13は、(UV、近赤外線、もしくは可視光を用いる)光学密度測定、または光吸収分光測定に特に好適な複合光アセンブリのプロファイル図である。図13において、120はライナー適合性材料(たとえばLDPE)であり、121は使い捨てバッグフィルムである。複合アセンブリの光学部分は、ライナー適合性材料122に接着剤で付けられた側壁124からなり、123は光アセンブリの床であり、必要な光学特性に依存して124と同じ材料から好適になり得る。構成要素122は、光ビーム125を光学ギャップ全体に屈折または反射するために用いられる光プリズムである。プリズムは典型的に、示されるように光ビーム125を反射するようにコーティングされる。当該ギャップを横切る光は、用いる構成要素の光学特性、したがって材料選択を一部決定する。プリズム同士の間の正確な分離(光学ギャップ長さ)は、このシステムによって特徴付けられることが意図される材料の吸収および散乱特性によって決定される。光信号の処理は前面にフィルタの付いた光検出器もしくは電力計によって、または分光計によって行なわれ得る。
【0035】
図14は、別の複合光アセンブリの断面図を示す。特にここでは、ATR(減衰全反射)分光装置を示す。G. Muller, K. Abraham, および M. Schaldach,“Quantitative ATR spectroscopy: some basic considerations,”Appl. Opt. 20, 1182-1190 (1981)。当該断面図では、131は使い捨てバイオリアクタのライナーまたはフィルムであり、130はLDPEまたは他の適合性材料であり、134は、LDPEに接着剤で付けられた別の好適なポリマー材料である。構成要素136は典型的に、高屈折率光学材料(たとえばAl2O3もしくはYVO4、または高指数ガラス、ポリカーボネート、または同様の材料)である。高指数は、不十分な内部全反射を可能にすることが要求される。入射光はここでは135として示されており、エバネッセント場または「跳ね返り場」が136として示される。正確な光屈折率および跳ね返り場の数は、用いる波長における問題の検体の吸収係数および他の要因によって必要とされる感度によって決定され、これらはすべて当業者にとって公知である。
【0036】
図15は、読取値を提供するためにバイオリアクタの中身と接触している電気装置142(たとえばISFET)を含むセンサアセンブリの断面図を示しており、141は使い捨てバイオリアクタフィルムであり、140は複合物の第1のバイオリアクタ適合性材料(たとえばLDPE)である。複合アセンブリの第2の適合性材料143は、140に接着剤で付けられる。電気素子142は143内に直接成形され得、当該装置およびその特定の特性に依存して、Oリングを用いる圧縮嵌めまたは同様の技術などの機械的封止材を用いて、所定の位置に接着剤で付けられるか保持され得る。なお、このような電気装置は、化学反応性材料コーティングをトランスダクションメカニズムとして利用するか、電気センサ上に重畳されたミクロ流体回路を有し得る。
【0037】
図16は、別の種類の複合センサアセンブリの断面図を示しており、151は使い捨て容器フィルムであり、150はLDPEなどの複合アセンブリのフィルム適合性材料である。複合物の第2の適合性材料は154として示されており、150に接着剤で付けられる。項目155は、光源と、返ってきた光のスペクトル成分を識別するための分光計またはフィルタセットを利用し得る検出システムとからなる光学ユニットを表わす。光源は、全体的に管状であり、かつ光源に少なくとも部分的に透明な152に当たる。素子152は、バイオリアクタの中身がその中で連続的に循環し得ることによって、バイオリアクタの中身の正確で非侵襲的な、原位置の検査を可能にするように構成される。循環は、所望であればポンプ156によって促進され得る。示されるシステムは、バイオリアクタの中身の近赤外線吸収分光測定、またはラマン測定を実行するのにも使用可能である。
【0038】
本発明の結合手順を用いたポリマーバイオリアクタ容器の複合機械アセンブリを製造する好適性および利点を上記に述べた。これは、ライナー方式の使い捨てバイオリアクタ(およびミキサ)の多くは、容器の中身を混合したり曝気を助けるためにモータ駆動攪拌器に依存するためである。攪拌器シャフトは、シャフトを制約するポートを通じてバイオリアクタ容器に導入される必要がある。ここでも、材料適合性によって課される同様の基本的な限定事項に直面する。図17には、米国特許第7,384,783号(この教示内容は引用によって本明細書に援用される)に記載されているような攪拌駆動ユニットが示される。図17には、上記特許の図6と同様に、回転アセンブリ601の一部断面図が示されており、回転アセンブリは、ハブ620と内側筐体660との間に配置された軸受アセンブリ670を含む。また、内側筐体660と固定関係にある下側レース軸受またはアセンブリ670も示される。ハブ620はレース軸受に対して回転可能であり、ハブ620を所定の位置に維持するのを助け得るスナップリングまたは保持リングを受けるためのガイド624aを含み得る。示されるように、外側筐体661を使い捨て容器の壁699に結合する必要がある。このためには、筐体661がバイオリアクタ容器フィルムと適合性のある材料からなるか、筐体661がフィルム適合性材料でオーバーモールドされる(すなわちフィルムに結合可能である)必要がある。材料適合性を必要とするため、選択材料がLDPEと同様の材料に限定され、これによって、本願に最適の特性(たとえば引張り強さ、弾性、硬度など)を有する筐体材料の選択能力が限定される。オーバーモールディングによって、使用可能な材料も限定される。フィルムに用いられる超低密度ポリエチレンを、より剛性が高い高密度ポリエチレン(HDPE)にオーバーモールドできる場合もあるが、HDPEは一般的には本願にとって準最適である。
【0039】
上述のように、適切な表面処理によって、より多くの好適な材料を機械ユニット(たとえばハブ620、および/または軸受アセンブリ670)に用いることができ、外側筐体661に接着剤で付けることができる。これによって、上述のようなセンサユニットおよびポートと同様の態様で攪拌器駆動アセンブリを構築するための、本発明に係る代替のまたは好ましい方針が提供される。
【0040】
基本的に異なる材料を利用する能力の恩恵を受けることができるバイオプロセス応用例についてのさらなるメカニズムは、スパージャー(曝気装置)およびサンプリングポートを含むが、これらに限定されない。使い捨てバイオリアクタは、複雑なフリットまたは隔膜を用いて、大量の気体移動のために気流を一定サイズの泡に変換するのに必要な多孔質アパーチャを提供し、それらの設計は、センサに影響を与える材料選択および適合性問題によって限定され得る。バイオプロセス流体と接触する材料は、原位置で滅菌されるためにUV透明である必要があり得るため、オートサンプラー用ポートも複数の材料を必要とし得る。LDPEおよび同様の材料はこの領域において大きく吸収するため、これは現在はLDPEおよび同様の材料を用いては不可能である。
【0041】
本発明のさまざまな変更および変形が、本発明の範囲および思想を逸脱することなく当業者にとって明らかになるであろう。本発明は特定的な好ましい実施例に関連して説明されたが、請求される本発明はそのような特定的な実施例に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、当業者にとって自明である本発明を実行するための記載されたモードのさまざまな変更が請求項の範囲内にあることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合センサアセンブリであって、
i) 中空部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを備え、少なくとも前記ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオプロセス容器と融合封止可能なポリマーを含み、前記センサアセンブリはさらに、
ii)少なくとも1つの電気および/または化学および/または光学測定構成要素を含むポリマー監視センサユニットを備え、前記センサユニットは、ベース部を含み、全体的に皿型であり、前記ポートの中空部のボアの内部に収まるようにサイズ決めされ、その内部に接着剤で保持され、前記ポートは、監視センサユニット測定構成要素に、前記バイオリアクタ容器の中身へのアクセスを与え、当該構成要素は、入射する光信号および/または電気信号を提供する手段と、構成要素によって出射された測定信号を収集および送信する手段とを含む、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記ポリマー監視センサユニットは、複数の電気および/または化学および/または光学測定構成要素を含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記監視センサユニットは、自身のベースの上方に延在する周辺リムを有する、請求項1または2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記センサユニットは、自身のベースの内面にカップ状の窪みを有し、および/または全体的に円形である、請求項1、2または3に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記測定構成要素の各々は、前記センサユニットのベースの別個のカップ状の窪みに位置しており、前記カップ状の窪みの各々は、センサユニットベースの内面の上方に延在する周囲リムを含む、請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記カップ状の窪みの少なくとも1つは、自身の頂部の上に位置決めされた光シールドを有する、請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記センサユニットは、ポリカーボネート、コポリエステル、シクロオレフィンコポリマー、ポリオレフィン、およびポリスチレンからなるグループから選択されるポリマーを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記ポートおよび前記センサユニットの界面の少なくとも一方は、互いに付着する前に、プラズマまたはUVオゾンまたは化学表面処理を受けており、任意に、前記界面同士の間にUSPクラスVI接着剤が存在し、前記接着剤は好ましくは、一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化エポキシ、シアノアクリレート、白銀硬化シリコーン、およびポリウレタンからなるグループから選択される、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記高表面張力熱可塑性物質は、低密度もしくは超低密度ポリエチレン、またはエチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記監視センサユニットは実質的に管状の構成であり、任意に、実質的に不透明のシースを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記センサユニットは光シールドを有する、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記測定構成要素は、蛍光センサスポット、自由空間光学密度測定構成要素、光学分光測定構成要素、またはISFETユニットを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合アセンブリであって、
i) 中空部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを備え、少なくとも前記ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオプロセス容器と融合封止可能なポリマーを含み、前記センサアセンブリはさらに、
ii) 回転アセンブリ構成要素および/またはスパージャー構成要素を含むポリマーユニットを備え、前記ユニットは、前記ポートの中空部のボアの内部に収まり、その内部に接着剤で保持されており、前記ポートは、ポリマーユニット構成要素に、前記バイオリアクタ容器の中身へのアクセスを与え、前記センサアセンブリはさらに任意に、
iii) バイオプロセス容器からサンプルを除去する手段を備える、複合アセンブリ。
【請求項14】
前記ポリマーユニットは回転アセンブリ構成要素を含み、前記アセンブリは、バイオプロセス容器の内部の液体の攪拌のために用いられる、請求項13に記載の複合アセンブリ。
【請求項15】
いずれかの先行する請求項に記載のセンサまたは複合アセンブリを製造するためのプロセスであって、ポートの管状部の内面およびアセンブリの外周面の少なくとも一方に、互いに付着させる前に、プラズマまたはUVオゾン洗浄を受けさせるステップと、任意に、一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ、シアノアクリレート、シリコーン、およびポリウレタンからなるグループから選択される接着剤を、前記内面および外面の一方または両方の間に介在させることによって付着させるステップとを備える、プロセス。
【請求項1】
ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合センサアセンブリであって、
i) 中空部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを備え、少なくとも前記ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオプロセス容器と融合封止可能なポリマーを含み、前記センサアセンブリはさらに、
ii)少なくとも1つの電気および/または化学および/または光学測定構成要素を含むポリマー監視センサユニットを備え、前記センサユニットは、ベース部を含み、全体的に皿型であり、前記ポートの中空部のボアの内部に収まるようにサイズ決めされ、その内部に接着剤で保持され、前記ポートは、監視センサユニット測定構成要素に、前記バイオリアクタ容器の中身へのアクセスを与え、当該構成要素は、入射する光信号および/または電気信号を提供する手段と、構成要素によって出射された測定信号を収集および送信する手段とを含む、センサアセンブリ。
【請求項2】
前記ポリマー監視センサユニットは、複数の電気および/または化学および/または光学測定構成要素を含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記監視センサユニットは、自身のベースの上方に延在する周辺リムを有する、請求項1または2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記センサユニットは、自身のベースの内面にカップ状の窪みを有し、および/または全体的に円形である、請求項1、2または3に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記測定構成要素の各々は、前記センサユニットのベースの別個のカップ状の窪みに位置しており、前記カップ状の窪みの各々は、センサユニットベースの内面の上方に延在する周囲リムを含む、請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記カップ状の窪みの少なくとも1つは、自身の頂部の上に位置決めされた光シールドを有する、請求項5に記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記センサユニットは、ポリカーボネート、コポリエステル、シクロオレフィンコポリマー、ポリオレフィン、およびポリスチレンからなるグループから選択されるポリマーを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサユニット。
【請求項8】
前記ポートおよび前記センサユニットの界面の少なくとも一方は、互いに付着する前に、プラズマまたはUVオゾンまたは化学表面処理を受けており、任意に、前記界面同士の間にUSPクラスVI接着剤が存在し、前記接着剤は好ましくは、一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化エポキシ、シアノアクリレート、白銀硬化シリコーン、およびポリウレタンからなるグループから選択される、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記高表面張力熱可塑性物質は、低密度もしくは超低密度ポリエチレン、またはエチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記監視センサユニットは実質的に管状の構成であり、任意に、実質的に不透明のシースを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
前記センサユニットは光シールドを有する、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
前記測定構成要素は、蛍光センサスポット、自由空間光学密度測定構成要素、光学分光測定構成要素、またはISFETユニットを含む、いずれかの先行する請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
ポリマーバイオプロセス容器とともに用いる複合アセンブリであって、
i) 中空部およびベースプレート部を有する高表面張力熱可塑性物質を含むポートを備え、少なくとも前記ベースプレート部は、自身の壁の孔においてバイオプロセス容器と融合封止可能なポリマーを含み、前記センサアセンブリはさらに、
ii) 回転アセンブリ構成要素および/またはスパージャー構成要素を含むポリマーユニットを備え、前記ユニットは、前記ポートの中空部のボアの内部に収まり、その内部に接着剤で保持されており、前記ポートは、ポリマーユニット構成要素に、前記バイオリアクタ容器の中身へのアクセスを与え、前記センサアセンブリはさらに任意に、
iii) バイオプロセス容器からサンプルを除去する手段を備える、複合アセンブリ。
【請求項14】
前記ポリマーユニットは回転アセンブリ構成要素を含み、前記アセンブリは、バイオプロセス容器の内部の液体の攪拌のために用いられる、請求項13に記載の複合アセンブリ。
【請求項15】
いずれかの先行する請求項に記載のセンサまたは複合アセンブリを製造するためのプロセスであって、ポートの管状部の内面およびアセンブリの外周面の少なくとも一方に、互いに付着させる前に、プラズマまたはUVオゾン洗浄を受けさせるステップと、任意に、一液性または二液性のエポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ、シアノアクリレート、シリコーン、およびポリウレタンからなるグループから選択される接着剤を、前記内面および外面の一方または両方の間に介在させることによって付着させるステップとを備える、プロセス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−200258(P2012−200258A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−69650(P2012−69650)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(512077882)フィネス・ソリューションズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FINESSE SOLUTIONS, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69650(P2012−69650)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【出願人】(512077882)フィネス・ソリューションズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】FINESSE SOLUTIONS, INC.
【Fターム(参考)】
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