ポリマーフィルム、紫外線吸収剤、メロシアニン系化合物、及びメロシアニン系化合物の製造方法

【課題】高い耐光性を示す紫外線吸収性のポリマーフィルムの提供。
【解決手段】式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするポリマーフィルムである。式(I)中、A1及びA2はそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表し、あるいはA1及びA2が連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成し;X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はアルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し、これらの基又は環は可能であれば置換基を有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐光性のポリマーフィルム、当該フィルムの作製等に有用な、紫外線吸収剤及びメロシアニン系化合物、及びメロシアニン系化合物の新規な合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保護フィルム等の種々の用途に利用されるポリマーフィルムに、紫外線吸収能を付与するために、紫外線吸収剤を添加することが知られている。例えば、紫外線吸収剤として、メロシアニン系化合物を含有するポリマーフィルムが提案されている(例えば、特許文献1)。また、特許文献2には、メロシアニン系化合物を紫外線吸収剤として含有する高分子材料が提案され、当該高分子材料から作製された成形体、塗布型紫外線吸収層等が開示されている。また、メロシアニン系化合物を、ポリマーフィルムの波長分散調整剤として使用することについても提案されている(例えば、特許文献3及び4)。
【0003】
一方、従来のメロシアニン系紫外線吸収剤は、耐光性の観点では充分ではなく、紫外線吸収能が経時により減少することが知られている。例えば、特許文献5では、耐光性を改善するために、メロシアニン系紫外線吸収剤とともに、他の紫外線吸収剤を併用することが提案されている。また、メロシアニン系化合物の合成方法については、特許文献6に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−239509号公報
【特許文献2】特開2009−67973号公報
【特許文献3】特開2009−64006号公報
【特許文献4】特開2009−64007号公報
【特許文献5】特開2009−270062号公報
【特許文献6】特開2003−277349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高い耐光性を示す、紫外線吸収性のポリマーフィルム及びメロシアニン系紫外線吸収剤を提供することを課題とする。
また、本発明は、紫外線吸収剤等の種々の用途に有用な新規なメロシアニン系化合物、及びその新規な製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするポリマーフィルム:
【化1】

式(I)中、A1及びA2はそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表し、あるいはA1及びA2が連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成し;X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はアルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し、これらの基又は環は可能であれば置換基を有していてもよい。
【0007】
[2] 前記式(I)中、A1及びA2がそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはA1及びA2が連結して、下記の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする[1]のポリマーフィルム。
【化2】

〔式中、「*」は、式(I)との連結部であり;R0及びR1はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基もしくはフェニル基を表し、R0及びR1が連結して環構造を有してもよく;Xは酸素原子もしくは硫黄原子を表す。〕
【0008】
[3] 前記式(I)中、A1及びA2がいずれもシアノ基であるか、又はA1及びA2が連結して前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする[1]又は[2]のポリマーフィルム。
[4] 前記式(I)中、X1及びX2が、置換基を有していてもよい、アリール基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかのポリマーフィルム。
[5] 前記少なくとも1種の化合物が、下記式(III)で表される化合物であることを特徴とする[1]のポリマーフィルム。
【化3】

〔式中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表し;Aa及びAbはそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表すか、Aa及びAbが連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。〕
【0009】
[6] 前記式(III)中、Aa及びAbがそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはAa及びAbが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする[5]のポリマーフィルム。
【0010】
[7] 前記少なくとも1種の化合物が、式(IV)で表される化合物であることを特徴とする[1]のポリマーフィルム。
【化4】

〔式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はY1及びY2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し;B1は環状の活性メチレン化合物構造を示す。〕
【0011】
[8] 前記式(IV)中、B1が、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかであることを特徴とする[7]のポリマーフィルム。
[9] 前記式(IV)中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基であることを特徴とする[7]又は[8]のポリマーフィルム。
【0012】
[10] 前記少なくとも1種の化合物が、下記式(V)又は(VII)で表される化合物である[1]のポリマーフィルム。
【化5】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0013】
【化6】

〔式中、B2は、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0014】
[11] 前記式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物である[10]のポリマーフィルム。
【化7】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0015】
[12] [1]〜[11]のいずれかのポリマーフィルムと、液晶組成物を硬化してなる光学異方性層とを有する位相差フィルム。
[13] 下記式(III)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化8】

〔式中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表し;Aa及びAbはそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表すか、Aa及びAbが連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。〕
【0016】
[14] 前記式(III)中、Aa及びAbがそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはAa及びAbが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする[13]の紫外線吸収剤。
【0017】
[15] 式(IV)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化9】

〔式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はY1及びY2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し;B1は環状の活性メチレン化合物構造を示す。〕
【0018】
[16] 前記式(IV)中、B1が、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかであることを特徴とする[15]の紫外線吸収剤。
[17] 前記式(IV)中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基であることを特徴とする[15]又は[16]の紫外線吸収剤。
【0019】
[18] 下記式(V)又は(VII)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化10】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0020】
【化11】

〔式中、B2は、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0021】
[19] 前記式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物である[18]の紫外線吸収剤。
【化12】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0022】
[20] 下記式(V)で表されるメロシアニン系化合物。
【化13】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0023】
[21] 下記式(VI)で表されるメロシアニン系化合物。
【化14】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0024】
[22] 下記式(VII)で表されるメロシアニン系化合物。
【化15】

〔式中、B2は、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【0025】
[23] 下記式(VI−a)で表される一塩酸塩及び/又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩と、活性メチレン化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする下記式(VI)で表されるメロシアニン系化合物の製造方法。
【化16】

【化17】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高い耐光性を示す、紫外線吸収性のポリマーフィルム及びメロシアニン系紫外線吸収剤を提供することができる。
また、本発明によれば、紫外線吸収剤等の種々の用途に有用な新規なメロシアニン系化合物、及びその新規な製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明について、実施の形態を挙げて詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
1.ポリマーフィルム
本発明は、下記式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含有するポリマーフィルムに関する。下記式(I)で表される化合物は、紫外線吸収能を示すメロシアニン系化合物である。従来公知の紫外線吸収剤として利用されているメロシアニン系化合物は、耐光性の観点では充分ではなく、経時によって、吸収能が低下してしまうという問題があった。下記式(I)で表される化合物は、従来のメロシアニン系紫外線吸収剤と比較して、高い耐光性を示す。
【0028】
【化18】

【0029】
式(I)中、A1及びA2はそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表し、あるいはA1及びA2が連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成し;X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はアルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し、これらの基又は環は可能であれば置換基を有していてもよい。
【0030】
1及びA2はそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表し、あるいはA1及びA2が連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。まず、ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版,1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊,122号,96〜103頁,1979年(南光堂)、Chem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページなどに詳しい。ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基とは、電子求引性基を意味する。σp値は、好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。
【0031】
ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基の例には、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(−COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(−COOMe:0.45)、アリ−ルオキシカルボニル基(−COOPh:0.44)、カルバモイル基(−CONH2:0.36)、アルキルカルボニル基(−COMe:0.50)、アリールカルボニル基(−COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(−SO2Me:0.72)、又はアリールスルホニル基(−SO2Ph:0.68)などが含まれる。本明細書において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、括弧内の値は代表的な置換基のσp値をChem.Rev.,1991年,91巻,165〜195ページから抜粋したものである。また、また、スルファモイル基、スルフィニル基、及びヘテロ環基なども、σp値が0.2以上の基の例に含まれる。
【0032】
中でも、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基が好ましい。
アルキルカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、及びN−アルキルカルバモイル基中のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。該アルキル基は、炭素原子数1〜30であるのが好ましく、1〜20であるのがより好ましく、1〜15であるのがさらに好ましい。
アリールオキシカルボニル基、アリールスルホニル基、及びN−アリールカルバモイル基中のアリール基は、単環の基であっても、縮合環の基であってもよい。該アリール基は、フェニル基であるのが好ましい。
これらは、可能であれば置換基を有していてもよい。該置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜11、より好ましくは炭素原子数2〜6のアルキルオキシ基)、アルキルカルボニルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜11、より好ましくは炭素原子数2〜6のアルキルカルボニルオキシ基)等が含まれる。
【0033】
1及びA2が連結して形成する環状の活性メチレン化合物構造は、5〜7員環(好ましくは5又は6員環)の環であるのが好ましい。なお、「活性メチレン化合物」とは、2個の電子求引基にはさまれたメチレン基(−CH2−)を持つ一連の化合物群を意味する。環状の活性メチレン構造の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(a)1,3−ジカルボニル核:例えば1,3−インダンジオン核、1,3−シクロヘキサンジオン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、メルドラム酸など。
(b)ピラゾリノン核:例えば1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾイル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オンなど。
(c)イソオキサゾリノン核:例えば3−フェニル−2−イソオキサゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オンなど。
(d)オキシインドール核:例えば1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドールなど。
(e)2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核:例えばバルビツル酸又は2−チオバルビツル酸及びその誘導体など。誘導体としては例えば1−メチル、1−エチル等の1−アルキル体、1,3−ジメチル、1,3−ジエチル、1,3−ジブチル等の1,3−ジアルキル体、1,3−ジフェニル、1,3−ジ(p−クロロフェニル)、1,3−ジ(p−エトキシカルボニルフェニル)等の1,3−ジアリール体、1−エチル−3−フェニル等の1−アルキル−1−アリール体、1,3−ジ(2−ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核:例えばローダニン及びその誘導体など。誘導体としては例えば3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−アリルローダニン等の3−アルキルローダニン、3−フェニルローダニン等の3−アリールローダニン、3−(2−ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン(2−チオ−2,4−(3H,5H)−オキサゾールジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン核:例えば3(2H)−チアナフテノン−1,1−ジオキサイドなど。
(i)2−チオ−2,5−チオゾリジンジオン核:例えば3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4−チオゾリジンジオン核:例えば2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−2,4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオンなど
(k)チアゾリン−4−オン核:例えば4−チアゾリノン、2−エチル−4−チアゾリノンなど。
(l)4−チアゾリジノン核:例えば2−エチルメルカプト−5−チアゾリン−4−オン、2−アルキルフェニルアミノ−5−チアゾリン−4−オンなど。
(m)2,4−イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)核:例えば2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(n)2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン(2−チオヒダントイン)核:例えば2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン−5−オン核:例えば2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オンなど。
(p)3,5−ピラゾリジンジオン核:例えば1,2−ジフェニル−3,5−ピラゾリジンジオン、1,2−ジメチル−3,5−ピラゾリジンジオンなど。
(q)ベンゾチオフェン−3−オン核:例えばベンゾチオフェン−3−オン、オキソベンゾチオフェン−3−オン、ジオキソベンゾチオフェン−3−オンなど。
(r)インダノン核:例えば1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジフェニル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノンなど。
【0034】
前記環状の活性メチレン化合物構造の例には、1,3−ジカルボニル核、ピラゾリノン核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核、2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン核、2,4−チアゾリジンジオン核、2,4−イミダゾリジンジオン核、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核、2−イミダゾリン−5−オン核、3,5−ピラゾリジンジオン核、ベンゾチオフェン−3−オン核、又はインダノン核であり、更に好ましくは1,3−ジカルボニル核、2,4,6−トリケトヘキサヒドロピリミジン核(チオケトン体も含む)、及び3,5−ピラゾリジンジオン核が含まれる。
【0035】
より好ましくは、下記式(II)の群から選ばれる環状の活性メチレン化合物構造である。
【0036】
【化19】

【0037】
式中、「*」は、式(I)との連結部であり;R0及びR1はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基もしくはフェニル基を表し、R0及びR1が連結して環構造を有してもよく;Xは酸素原子もしくは硫黄原子を表す。
0及びR1がそれぞれ表す、置換基を有してもよいアルキル基は、炭素原子数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基がより好ましく、例えば、メチル基等が挙げられる。R0及びR1がそれぞれ表すアルキル基もしくはフェニル基は、置換基を有していてもよく、置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜11、より好ましくは炭素原子数2〜6のアルキルオキシカルボニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)等が含まれる。
【0038】
前記式(II)の群から選ばれる環状の活性メチレン化合物構造の中でも、下記式(II’)の群から選ばれる環状の活性メチレン化合物構造が好ましく、
【0039】
【化20】

【0040】
下記の環状の活性メチレン化合物構造
【0041】
【化21】

が、特に好ましい。
【0042】
また、R1及びR0は互いに結合して環構造を形成していてもよく、形成される環としては、シクロへキサン等が挙げられる。
【0043】
0及びR1がそれぞれ表す、アルキル基及びフェニル基、並びに互いに結合して形成される環は、1以上の置換基を有していてもよく、該置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜11、より好ましくは炭素原子数2〜6のアルキルオキシカルボニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)等が含まれる。
【0044】
また、A1及びA2が置換可能である場合には、置換基として、式(I)の化合物の残基等、メロシアニン系化合物の残基を有していてもよい。例えば、以下の通りの構造を有していてもよい。以下の構造式においてA1’は、上記式(I)中のA1から水素原子を取り去った基を意味する。
【0045】
【化22】

【0046】
−A1’−A1’−の例には、以下の二価基が含まれる。式中、**が結合位置を示す。
【0047】
【化23】

【0048】
1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はアルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成する。
【0049】
1及びX2がそれぞれ表すアリール基は、単環であっても、縮合環であってもよい。中でもフェニル基が好ましい。
1及びX2がそれぞれ表すヘテロ環は、単環であっても、縮合環であってもよい。また、芳香族性であっても、非芳香族性であってもよい。また環を構成する1種以上のへテロ原子についても、特に制限はなく、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等、いずれであってもよい。5〜7員のへテロ環が好ましく、5又は6員のヘテロ環が好ましい。
1及びX2がそれぞれ表すN−アルキルカルバモイル基及びアルキルオキシカルボニル基中のアルキル基は、炭素原子数1〜10であるのが好ましく、炭素原子数1〜5であるのがより好ましい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、及びブチル等が含まれるが、特にエチル基が好ましい。
1及びX2がそれぞれ表すN−アリールカルバモイル基及びアリールオキシカルボニル基中のアリール基は、単環の基であっても縮合環の基であってもよい。中でもフェニル基が好ましい。
【0050】
1及びX2が連結して形成する、窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造は、5〜7員環であるのが好ましく、5又は6員環であるのがより好ましい。該飽和環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン(テトラヒドロピロール)環が含まれ、その中でもピペリジン環、ピロリジン環が好ましく、中でも特にピペリジン環が好ましい。
【0051】
1及びX2がそれぞれ表す置換基、又は互いに結合して形成される環は、可能であれば置換基を有していてもよい。置換基の例には、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜11、より好ましくは炭素原子数2〜6のアルキルオキシカルボニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)等が含まれる。
【0052】
また、X1及びX2が置換可能である場合には、置換基として、式(I)の化合物の残基等、メロシアニン系化合物の残基を有していてもよい。例えば、以下の構造を有していてもよい。以下の構造式においてX1’は、上記式(I)中のX1から水素原子を取り去った2価の有機基を意味する。
【0053】
【化24】

【0054】
1’の例としては、フェニレン基、下記で示される構造(式中Akは原子数2〜10のアルキル基、又はアルキレンオキシ基を示す)等が含まれる。
【0055】
【化25】

【0056】
1及びX2は、上記から選択される同一の基を表すか、又は互いに結合して所定の環構造を形成しているのが好ましい。
【0057】
メロシアニン系化合物は、式(I)で表される通り、共役系の片末端に窒素原子を含むドナー核(塩基性核)と、他の片末端にアクセプター核(酸性核)を有する。本発明者が鋭意検討した結果、ドナー核が以下のいずれかの構造であると、特に耐光性が改善されるとの知見が得られた。従前の、メロシアニン系化合物の耐光性の改善の試みは、特開2009−67973号公報(前記特許文献2)等に記載の通り、共役系炭素原子の少なくとも一部を含む環構造を導入することによるものが主であった。メロシアニン系化合物のドナー核の構造が耐光性に影響していることについては、従来知られておらず、発明者が種々検討した結果、見出した知見である。
【0058】
【化26】

【0059】
さらに、上記ドナー核のそれぞれと、所定のアクセプター核とを組合せると、特に耐光性が改善する。以下、いくつかの好ましい例について説明する。
前記式(I)の化合物の好ましい例には、下記式(III)で表される化合物が含まれる。
【0060】
【化27】

【0061】
式(III)中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表す。アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基の好ましい例、及びその置換基の好ましい例については、上記式(I)中のX1及びX2がそれぞれ表す、置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基の例と同様である。
【0062】
式(III)中、Aa及びAbはそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表すか、Aa及びAbが連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。Aa及びAbの定義は、上記式(I)中のA1及びA2のそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
中でも、Aa及びAbがそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはAa及びAbが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成するのが好ましい。
a及びAbがそれぞれ表すこれらの基、及び連結して形成する環状の活性メチレンの群(II)については、式(I)中のA1及びA2について説明した通りであり、好ましい範囲も同様である。
【0063】
前記式(I)の化合物の好ましい例には、下記式(IV)で表される化合物が含まれる。
【0064】
【化28】

【0065】
式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はY1及びY2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し;B1は環状の活性メチレン化合物構造を示す。
1及びY2がそれぞれ表す置換基を有してもよいアリール基の好ましい例については、前記式(I)中のX1及びX2がそれぞれ表すアリール基の好ましい例と同様であり、即ち、フェニル基が好ましい。
1及びY2が連結して形成する飽和環の好ましい例については、前記式(I)中のX1及びX2が連結して形成する飽和環の好ましい例と同様であり、即ち、ピペリジン環が好ましい。
1及びY2はいずれもアリール基を表すのが好ましく、いずれもフェニル基であるのがより好ましい。
【0066】
1が表す環状の活性メチレン化合物構造は、上記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかであるのが好ましい。
【0067】
前記式(I)の化合物の好ましい例には、下記式(V)で表される化合物が含まれる。
【0068】
【化29】

【0069】
式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキル又はアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、上記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。
【0070】
cが表すアルキルオキシカルボニル基の好ましい例については、上記式(I)中のX1又はX2が表すアルキルオキシカルボニル基の好ましい例と同様である。
また、Ac及びAdがそれぞれ表す、アルキルもしくはアリールカルボニル基、及びアルキルオキシカルボニル基の好ましい例についても、上記式(I)中のA1及びA2がそれぞれ表すアルキルもしくはアリールカルボニル基、及びアルキルオキシカルボニル基の例と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0071】
前記式(I)及び式(V)の化合物の好ましい例には、下記式(VI)で表される化合物が含まれる。
【0072】
【化30】

【0073】
式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。
また、Ae及びAfがそれぞれ表す、アルキルもしくはアリールカルボニル基、及びアルキルオキシカルボニル基の好ましい例についても、上記式(I)中のA1及びA2がそれぞれ表すアルキルもしくはアリールカルボニル基、及びアルキルオキシカルボニル基の例と同様であり、好ましい範囲も同様である。
【0074】
前記式(I)の化合物の好ましい例には、下記式(VII)で表される化合物が含まれる。
【0075】
【化31】

【0076】
式中、B2は、前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。
【0077】
前記式(I)で表される化合物の例を以下に示すが、以下の化合物に限定されるものではない。
【0078】
【化32】

【0079】
【化33】

【0080】
【化34】

【0081】
前記式(I)で表される化合物は種々の方法で合成することができる。例えば、N−[3−(フェニルアミノ)−2−プロペニリデン]アニリン一塩酸塩を出発原料として、活性メチレン化合物と反応させることで、アクセプター核を導入し、続いて、所定のアミン試薬と反応させることで、ドナー核を導入することで製造することができる。また、特許第3973941号公報等に記載のストレプトシアニン系化合物を原料として製造する方法も知られている。
【0082】
但し、上記式(VI)で表される化合物については、本発明者が検討した結果、上記の方法では、製造できないことがわかった。例えば、特開2003−95322号公報中に記載のストレプトシアニン化合物の酢酸塩を原料として用いても、式(VI)の化合物を製造することはできなかった。さらに検討した結果、下記式(VI−a)で表される一塩酸塩及び/又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩と、活性メチレン化合物とを反応させることによって、上記式(VI)の化合物を安定的に、良好な収率で製造可能であることがわかった。
【0083】
【化35】

【0084】
上記式(VI−a)で表される一塩酸塩及び/又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩は、イミノジアセトニトリルと濃塩酸とをメタノール等の溶媒中で、所望により加温(例えば、40〜60℃程度)して、攪拌し、そこに、1,1,3,3−テトラメトキシプロパンを滴下し、反応を進行させることで製造することができる。反応は、加熱還流下で進行させるのが好ましい。反応条件を調整することで、式(VI−a)で表される一塩酸塩又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩のいずれか一方のみを優先的に製造することもできる。本発明の方法では、式(VI−a)で表される一塩酸塩を用いるのが好ましいが、勿論、下記(VI−b)で表される二塩酸塩が含まれていてもよい。
【0085】
次に、上記式(VI−a)で表される一塩酸塩及び/又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩と、活性メチレン化合物、塩基とを反応させて、アクセプター核を導入する。反応溶媒は、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール)等が好ましく、温度60〜90℃程度で、1〜2時間程度反応を進行させることが好ましい。反応させる活性メチレン化合物は、目的とする化合物のアクセプター核の構造に応じて選択される。例えば、上記環状の活性メチレン化合物の式(II)の群から選択される化合物を反応試薬として用いることができる。
【0086】
本発明のポリマーフィルムは、上記式(I)の化合物を、紫外線吸収能を充分発揮可能な量で含有する。一般的には、ポリマーフィルムの原料の全質量に対して、0.05〜10質量%であるのが好ましく、0.1〜5質量%であるのがより好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
【0087】
本発明のポリマーフィルムの主成分であるポリマーについては特に制限はない。フィルム形態に加工可能なポリマーであれば、いずれも用いることができる。用途に応じて、種々のポリマーから選択することができる。本発明に使用可能なポリマーの例には、セルローストリアセテート等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
【0088】
本発明のポリマーフィルムの製造方法については特に制限はなく、溶液製膜法及び溶融製膜法等の方法を利用して製造することができる。
【0089】
本発明のポリマーフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記式(I)で表される化合物以外の紫外線吸収剤を含有していてもよい。また、他の添加剤、例えば、可塑剤、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)、及び有機及び/又は無機微粒子、等を含有していてもよい。
【0090】
上記式(I)の化合物は、可視光域に吸収を有さないので、使用するポリマー材料を選択すれば、本発明のポリマーフィルムは透明なポリマーフィルムとして製造することができる。また、上記式(I)の化合物を含有することにより、紫外線吸収能を示すので、種々の部材の保護フィルム、虫除けフィルム、太陽電池モジュール用フィルム、建材用フィルム等の用途に有用である。
【0091】
2.位相差板
本発明は、本発明のポリマーフィルムと、液晶性組成物を硬化してなる光学異方性層とを少なくとも有する位相差板にも関する。2層以上を有していてもよい。該位相差板は、種々のモード、例えばTNモード、の液晶表示装置の光学補償用に有用である。前記光学異方性層の一例として、液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層が挙げられる。特に、円盤状化合物を含む液晶組成物をハイブリッド配向状態に固定して形成される光学異方性層であることが好ましい。
【0092】
前記光学異方性層の形成に用いる液晶組成物は、ネマチック相およびスメクチック相を形成し得る液晶組成物であるのが好ましい。液晶化合物は、一般的に、その分子の形状に基づいて、棒状液晶化合物および円盤状液晶化合物に分類されるが、本発明ではいずれの形状の液晶化合物を用いてもよい。
【0093】
前記光学異方性層は、液晶化合物を少なくとも一種含有する組成物を、本発明のポリマーフィルムの表面又はその上に形成された配向膜表面に配置し、液晶化合物の分子を所望の配向状態とし、重合により硬化させ、その配向状態を固定して形成するのが好ましい。液晶化合物の分子(棒状および円盤状分子の双方を含む)をハイブリッド配向状態に固定するのが好ましい。ハイブリッド配向とは、層の厚み方向で液晶分子のダイレクタの方向が連続的に変化する配向状態をいう。棒状分子の場合は、ダイレクタは長軸方向、円盤状分子の場合はダイレクタは円盤面の法線方向となる。
【0094】
液晶化合物の分子を所望の配向状態とするため、および組成物の塗布性もしくは硬化性の良化のために、前記組成物は一種以上の添加剤を含んでいてもよい。また、前記組成物は硬化性であるのが好ましく、重合反応又は架橋反応等により硬化可能であるのが好ましい。よって前記組成物は、重合開始剤、重合性モノマー、架橋剤等を含んでいてもよい。
【0095】
前記光学異方性層は、前記組成物を塗布液として調製し、該塗布液を、支持体となる本発明のポリマーフィルム上に形成された配向膜の表面に塗布し、乾燥して溶媒を除去するとともに、液晶化合物の分子を配向させ、その後、重合により硬化させて、形成することができる。利用可能な配向膜の例としては、ポリビニルアルコール膜やポリイミド膜等が挙げられる。
【0096】
次に、紫外線照射等によって重合を進行させて、配向状態を固定化し、光学異方性層を形成する。重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
前記光学異方性層の厚さについては特に制限されないが、一般的には、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.5〜5μm程度であるのがより好ましい。
【0097】
3.紫外線吸収剤
本発明は、上記式(III)又は(IV)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤にも関する。本発明の紫外線吸収剤の好ましい例については、上記の通りである。本発明の紫外線吸収剤の一例は、上記式(V)〜(VII)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤である。
本発明の紫外線吸収剤は、良好な紫外線吸収能を有するとともに、従来のメロシアニン系紫外線吸収剤と比較して、高い耐光性を示し、即ち、露光による紫外線吸収能の低下が小さい。
【0098】
本発明の紫外線吸収剤は、ポリマーフィルムの紫外線吸収剤として有用である。また、ガラス板、ガラス容器、プラスチック基板、プラスチック容器、繊維、紙、インク、塗料、建材等、種々の材料からなる種々の用途の液体、粉体、及び固体等に用いられる紫外線吸収剤として有用である。本発明の紫外線吸収剤は、種々の材料及び形態のマトリックスに混合して用いることができ、該マトリックス中に分散していても、溶解していても、化学的もしくは物理的に吸着していてもよい。
【0099】
4.メロシアニン系化合物
本発明は、上記式(V)〜(VII)のいずれかで表されるメロシアニン系化合物にも関する。本発明のメロシアニン系化合物は、上記した通り、紫外線吸収剤として有用である。また、光学異方性材料等としても有用である。
【実施例】
【0100】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
なお、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
【0101】
1.式(I)の化合物の合成例
以下の合成ルートA〜Dのいずれかにより、式(I)の例示化合物を種々合成した。以下に、いくつかの具体例を示す。
【0102】
(1)例示化合物M−30の合成例
【0103】
【化36】

【0104】
(化合物Aの合成)
N−[3−(フェニルアミノ)−2−プロペニリデン]アニリン 一塩酸塩(26g)と、メルドラム酸(16g)をメタノール(75mL)中で室温攪拌し、トリエチルアミン(16mL)を滴下した後、1時間加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却した後、結晶をろ過することで、化合物Aを12g得た(収率44%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.75(s、6H)、δ7.2(m、1H)、δ7.35(d、2H)、δ7.4(m、2H)、δ7.7(t、1H)、δ8.0(t、1H)、δ8.2(d、1H)、δ10.8(bd、1H)。
【0105】
(例示化合物M−30の合成)
化合物A(12g)とジベンジルアミン(22mL)とを、エタノール(50mL)中で3時間加熱還流した後、溶媒をロータリーエバポレーターによって留去した。反応混合物にメタノール/水(5/1)を100mL加えて再結晶を行い、例示化合物M−30を13g得た(収率73%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3)::δ1.7(s、6H)、δ4.48(s、2H)、δ4.55(s、2H)、δ7.15(m、2H)、δ7.2−7.3(m、1H+2H)、δ7.35−7.45(m、6H)、δ7.52(d、1H)、δ8.05(d、1H)。
【0106】
(2)例示化合物M−14の合成例
【0107】
【化37】

【0108】
(化合物Bの合成)
化合物A(8.2g)をピリジン(10mL)中で室温攪拌し、無水酢酸(3.8mL)を滴下した後、90℃で1時間攪拌を行った。反応液を氷水バスで冷却しながらメタノール/水(1/1)を100mL加え、析出した結晶をろ過し、化合物Bを8.5g得た(収率90%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.65(s、6H)、δ2.02(s、3H)δ6.6(t、1H)、δ7.22(m、2H)、δ7.5−7.6(m、3H)、δ8.15(d、1H)、δ8.5(d、1H)。
【0109】
(例示化合物M−14の合成)
化合物B(2.0g)とイミノニ酢酸ジエチル(2.2mL)を、エタノール(10mL)中で3時間加熱還流した後、溶媒をロータリーエバポレーターによって留去した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、例示化合物M−14を0.8g得た(収率34%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.32(t、6H)、δ1.7(s、6H)、δ4.0(s、2H)、δ4.22(s、2H)、δ4.25(q、4H)、δ6.9(t、1H)、δ7.25(d、1H)、δ8.0(d、1H)。
【0110】
(3)例示化合物M−22の合成例
【0111】
【化38】

【0112】
(化合物Cの合成)
無水酢酸(15mL)にN−[3−(フェニルアミノ)−2−プロペニリデン]アニリン−塩酸塩(7.7g)と、シアノ酢酸n−ドデシル(7.6g)を加え、110℃で1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、氷水(100mL)中に反応液を滴下し、析出した結晶をろ過した後、メタノールを用いて再結晶を行い、化合物Cを6.7g得た(収率53%)合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ0.9(t、3H)、δ1.25−1.4(m、18H)、δ1.65−1.75(m、2H)、δ2.0(s、3H)、δ4.2(t、2H)、δ5.5(t、1H)、δ7.2(d、2H)、δ7.55−7.6(m、3H)、δ7.9(d、1H)、δ8.35(d、1H)。
【0113】
(例示化合物M−22の合成)
化合物C(1.8g)とピペリジンジベンジルアミン(1.3mL)を、エタノール(10mL)中で3時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却し、水(10mL)を加え、析出した結晶をろ過した後、メタノール/水(1/1)を用いて再結晶を行い、例示化合物M−22を1.3g得た(収率82%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ0.9(t、3H)、δ1.2−1.4(m、18H)、δ1.6−1.75(m、8H)、δ3.4(m、4H)、δ4.15(t、2H)、δ5.65(t、1H)、δ7.0(d、1H)、δ7.8(d、1H)。
【0114】
(4)例示化合物M−2の合成例
【0115】
【化39】

【0116】
(化合物Dの合成)
イミノジアセトニトリル(20g)と濃塩酸10mLをメタノール(80mL)中60℃で攪拌し、1,1,3,3−テトラメトキシプロパン(17.4mL)を20分かけて滴下した。さらに30分加熱還流した後、反応液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過して、化合物Dを26g得た(収率91%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ3.75(s、4H)、δ4.65(s、4H)、5.4−5.45(m、1H)、δ7.52(d、1H)、δ9.15(d、1H)。
【0117】
なお、上記の化合物Dの合成条件においては、2塩酸付加体(化合物E)が同時に得られる場合がある。
【0118】
【化40】

【0119】
化合物Eも化合物Dと同様に以下に示す例示化合物M−2の合成に用いることができる。以下に、化合物Eの1H−NMRスペクトルデータを示す。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ5.1(s、8H)、δ6.4(t、1H)、δ8.35(d、2H)
【0120】
(例示化合物M−2の合成)
メタノール(20mL)に化合物D(2.4g)とメルドラム酸(1.3g)を加え、室温で攪拌しながらトリエチルアミン(1.7mL)を滴下した後、30分加熱還流を行った。反応液を室温まで冷却し、析出した結晶をろ過し、例示化合物M−2を1.9g得た(収率76%)。合成した化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ1.64(s、6H)、δ4.8(s、4H)、δ7.85(t、1H)、δ8.0(d、1H+1H)。
【0121】
(5)その他の例示化合物の合成例
以下の例示化合物についても、上記ルートA〜Dのいずれかの方法を用いて合成した。
利用した合成ルートと、1H−NMRスペクトルデータを以下に示す。
【0122】
例示化合物M−1;ルートD;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ0.9(t、3H)、δ1.2−1.4(m、18H)、δ1.65−1.75(m、2H)、δ4.2(t、2H)、δ4.25(s、4H)、δ5.85(t、1H)、δ6.9(d、1H)、δ7.8(d、1H)。
【0123】
例示化合物M−6;ルートD;1H−NMR(400MHz、DMSO−d6):δ1.7(s、3H)、δ4.0(s、2H)、δ4.8(s、4H)、δ6.85(t、1H)、δ8.0(dd、1H+1H)。
【0124】
例示化合物M−11;ルートD;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ4.25(s、4H)、δ4.3(s、8H)、δ5.85(t、2H)、δ6.9(d、2H)、δ7.8(d、2H)。
【0125】
例示化合物M−12;ルートD;溶解性が悪く、スペクトルデータは得られなかった。
【0126】
例示化合物M−23;ルートA;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.7(s、6H)、δ1.7−1.8(m、6H)、δ3.5(m、2H)、δ3.6(m、2H)、δ7.0(t、1H)、δ7.25(d、1H)、δ7.95(d、1H)。
【0127】
例示化合物M−27;ルートC;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.65−1.8(m、6H)、δ3.15(s、6H)、δ3.45−3.55(m、4H)、δ6.9(t、1H)、δ7.12(d、1H)、δ7.47(d、1H)。
【0128】
例示化合物M−28;ルートC;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.6−1.75(m、6H)、δ2.85(q、2H)、δ3.3−3.45(m、4H)、δ3.6(q、2H)、δ5.6(t、1H)、δ5.9(bd、1H)、δ6.95(d、1H)、δ7.2−7.4(m、5H)、δ7.85(d、1H)。
【0129】
例示化合物M−31;ルートC;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ3.15(ss、3H+3H)、δ4.5(s、2H)、δ4.5(s、2H)、δ7.1(t、1H)、δ7.15−7.25(m、4H)、δ7.3−7.45(m、5H)、7.55(d、1H)。
【0130】
例示化合物M−34;ルートA;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.5−1.85(m、8H)、δ1.9−2.0(m、1H)、δ2.15−2.25(m、1H)、δ4.5(s、2H)、δ4,45(s、2H)、δ7.05(t、1H)、δ7.25−7.35(m、4H)、δ7.3−7.5(m、1H+6H)、δ7.6(d、1H))。
【0131】
例示化合物M−35;ルートC;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ4.4−4.5(m、8H)、δ5.7−5.95(m、4H)、δ6.9−7.0(m、2H)、δ7.1−7.55(m、14H)。
【0132】
例示化合物M−36;ルートA;1H−NMR(400MHz、CDCl3):δ1.7(s、6H)、δ3.15(s、3H)、δ3.3(s、3H)、δ6.9(t、1H)、δ7.3(d、1H)、δ7.95(d、1H)。
【0133】
2.ポリマーフィルムの作製と耐光性試験
下記表1に示す各メロシアニン系化合物のそれぞれを添加したセルロースアセテートフィルムを作製した。具体的には、以下の方法で各フィルムを作製した。
まず、以下の組成の溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
溶液Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・平均置換度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 475.9質量部
・メタノール(第2溶媒) 113.0質量部
・ブタノール (第3溶媒) 5.9質量部
・紫外線吸収剤(表1に示す) 0.1質量%
・クエン酸エステル 0.01質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0134】
上記調製した各溶液Aを、溶液製膜法で製膜して、それぞれセルロースアセテートフィルムを作製した。得られたフィルムはいずれも透明であった。
【0135】
得られた各フィルムについて、吸収スペクトルを測定し、そのλmaxと半値幅を算出した。ここで、λmax は、300nm〜450nmにおけるフィルムの極大吸収波長を表し、半値幅とは、以下の式
λ1/2−λmax
で表される吸収スペクトルの急峻性を示す数値であり、式中のλ1/2とは、その波長における吸光度がλmaxにおける吸光度の1/2となり、かつλ1/2>λmaxである波長を表す。半値幅は小さいほど、その吸収スペクトルが急峻となり、着色が抑制できる。
【0136】
得られた各フィルムについて、スーパーキセノンウェザーメーターSX75(スガ試験機株式会社製)を用いて、150W/m2の照射量の光を200時間照射し、照射前後の吸光度(Abs)変化を評価した。なお、各フィルムとウェザーメーターの光源の間には、特開2008−116788号公報の[0080]段落から[0082]段落に記載の光学フィルムを設置し試験を行った。各数値について、光照射後の後の残存率を算出し、表1にまとめた。なお、残存率の計算は、
(光照射後の数値)÷(光照射前の数値)×100
としてパーセント表示となるよう算出し、吸光度の値は、各例示化合物の極大吸収波長における値を用いた。
【0137】
【表1】

【0138】
【化41】

【0139】
上記表に示す通り、本発明に係る式(I)の化合物を含有するフィルムは、従来のメロシアニン系紫外線吸収剤が含有するフィルムと比較して、吸光度の残存率が格段に高く、耐光性に優れていることが理解できる。
【0140】
上記表に示す通り、本発明に係る式(I)の化合物を含有するフィルムは、従来のベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が含有するフィルムと比較して、その吸収スペクトルの半値幅が小さく、急峻な吸収を有するために着色が抑制できることが理解できる。
【0141】
上記で作製したポリマーフィルムの上に、ディスコティック液晶組成物のハイブリッド配向を固定した光学異方性層を積層し、TNモード液晶表示素子用の光学補償用フィルムとして用いたところ、好適に使用できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とするポリマーフィルム:
【化1】

式(I)中、A1及びA2はそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表し、あるいはA1及びA2が連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成し;X1及びX2はそれぞれ独立して、水素原子、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はアルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し、これらの基又は環は可能であれば置換基を有していてもよい。
【請求項2】
前記式(I)中、A1及びA2がそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはA1及びA2が連結して、下記の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
【化2】

〔式中、「*」は、式(I)との連結部であり;R0及びR1はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基もしくはフェニル基を表し、R0及びR1が連結して環構造を有してもよく;Xは酸素原子もしくは硫黄原子を表す。〕
【請求項3】
前記式(I)中、A1及びA2がいずれもシアノ基であるか、又はA1及びA2が連結して前記環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記式(I)中、X1及びX2が、置換基を有していてもよい、アリール基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはX1及びX2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記少なくとも1種の化合物が、下記式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
【化3】

〔式中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表し;Aa及びAbはそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表すか、Aa及びAbが連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。〕
【請求項6】
前記式(III)中、Aa及びAbがそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはAa及びAbが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする請求項5に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
前記少なくとも1種の化合物が、下記式(IV)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
【化4】

〔式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はY1及びY2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し;B1は環状の活性メチレン化合物構造を示す。〕
【請求項8】
前記式(IV)中、B1が、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記式(IV)中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基であることを特徴とする請求項7又は8に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記少なくとも1種の化合物が、下記式(V)又は(VII)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリマーフィルム。
【化5】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【化6】

〔式中、B2は、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項11】
前記式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物であることを特徴とする請求項10に記載のポリマーフィルム。
【化7】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリマーフィルムと、液晶組成物を硬化してなる光学異方性層とを有することを特徴とする位相差フィルム。
【請求項13】
下記式(III)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化8】

〔式中、Xa及びXbはそれぞれ独立して、シアノ基、又は置換基を有していてもよい、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基を表し;Aa及びAbはそれぞれ独立して、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の基を表すか、Aa及びAbが連結して環状の活性メチレン化合物構造を形成する。〕
【請求項14】
前記式(III)中、Aa及びAbがそれぞれ独立に、置換基を有してもよい、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルもしくはアリールオキシカルボニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、N−アルキルもしくはアリールカルバモイル基、又はシアノ基であるか、あるいはAa及びAbが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかの環を形成することを特徴とする請求項13に記載の紫外線吸収剤。
【請求項15】
式(IV)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化9】

〔式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基を表すか、又はY1及びY2が連結して窒素原子と炭素原子とを環構成原子とする飽和環構造を形成し;B1は環状の活性メチレン化合物構造を示す。〕
【請求項16】
前記式(IV)中、B1が、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項15に記載の紫外線吸収剤。
【請求項17】
前記式(IV)中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基であることを特徴とする請求項15又は16に記載の紫外線吸収剤。
【請求項18】
下記式(V)又は(VII)で表される化合物の少なくとも1種からなる紫外線吸収剤。
【化10】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【化11】

〔式中、B2は、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項19】
前記式(V)で表される化合物が、下記式(VI)で表される化合物であることを特徴とする請求項18に記載の紫外線吸収剤。
【化12】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項20】
下記式(V)で表されるメロシアニン系化合物。
【化13】

〔式中、Xcはシアノ基、又はアルキルオキシカルボニル基を表し;Ac及びAdはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAc及びAdが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項21】
下記式(VI)で表されるメロシアニン系化合物。
【化14】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項22】
下記式(VII)で表されるメロシアニン系化合物。
【化15】

〔式中、B2は、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕
【請求項23】
下記式(VI−a)で表される一塩酸塩及び/又は下記(VI−b)で表される二塩酸塩と、活性メチレン化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする下記式(VI)で表されるメロシアニン系化合物の製造方法。
【化16】

【化17】

〔式中、Ae及びAfはそれぞれ独立して、アルキルもしくはアリールカルボニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はシアノ基を表すか、あるいはAe及びAfが連結して、請求項2中に記載の環状の活性メチレンの群(II)から選ばれるいずれかを形成する。〕

【公開番号】特開2011−184414(P2011−184414A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54065(P2010−54065)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】