説明

ポリマーブレンドを含有する、形作られた形態の予備形成された組成物

【課題】ポリマーブレンドを含有する、形作られた形態の予備形成された組成物を提供すること
【解決手段】 ポリマーブレンドを含有する、形作られた形態の予備形成された組成物であって、a)少なくとも1種のポリスルフィド成分、およびb)少なくとも1種のポリチオエーテル成分を含有するものが提供される。好ましくは、このポリマーブレンド中のa:bの比は、10:90〜90:10である。1つの実施形態ではこのポリマーブレンド中のa:bの比が、50:50である。1つの実施形態ではこのポリマーブレンドのための硬化剤がさらに含有される。1つの実施形態ではこの硬化剤が、酸化剤を含有する。1つの実施形態ではこの硬化剤が、二酸化マンガンを含有する。1つの実施形態ではこの硬化剤が、10℃〜80℃の範囲の温度で反応性である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、形作られた形態の予備形成された組成物、および開口部分を密封するための、予備形成された組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
電磁干渉は、電気供給源または電子供給源から伝導または放射される、望ましくない電気的な乱れ(過渡現象を含む)として定義され得、これは、他の電気装置または電子装置の作動を妨害し得る。このような乱れは、電磁スペクトル全体の周波数において起こり得る。無線周波干渉(「RFI」)は、しばしば、電磁干渉(「EMI」)と交換可能に使用されるが、RFIは、より適切には、電磁スペクトルの無線周波数部分(通常、10キロヘルツ(KHz)〜100ギガヘルツ(GHz)として定義される)をいう。
【0003】
電子設備は、代表的に、ハウジングに収容される。このハウジングは、この設備を環境から保護するための物理的障壁として働くのみでなく、EMI/RFI放射線を遮蔽するためにもまた働き得る。EMI/RFIエネルギーを吸収および/または反射する能力を有するエンクロージャーは、ソースデバイス内にEMI/RFIエネルギーを閉じ込めるため、およびこのデバイスまたは他の外部デバイスを、他のEMI/RFI供給源から隔離するために使用され得る。内部構成要素へのアクセス性を維持するために、ほとんどのエンクロージャーは、解放可能かまたは取り外し可能なアクセス部(例えば、ドア、ハッチ、パネル、またはカバー)を備える。ギャップが、代表的に、これらのアクセス部と、対応する嵌合表面との間に存在し、これらのギャップは、放射エネルギーが入り得る開口部を提供することによって、電磁遮蔽の効率を低下させる。このようなギャップはまた、ハウジングの表面と地面との導電率の不連続を提供し、そしていくつかの場合には、スロットアンテナとして機能することによって、EMI/RFI放射線の二次的な供給源を作製し得る。
【0004】
ハウジングと取り外し可能なアクセス部との嵌合表面の間のギャップを埋めるために、ガスケットおよび他のシールが使用されて、この表面にわたる導電率を維持し、そして環境劣化因子(例えば、粒子、水分、および腐食性種)を閉め出す。このようなシールは、嵌合表面の一方または両方に、結合されるかまたは機械的に取り付けられ、そして付与される圧力下で表面の不規則性に適合することによって、連続的な伝導性経路を確立するように機能する。
【0005】
EMI/RFI遮蔽ガスケットを製造するための従来のプロセスとしては、押出し、成型、および打抜きが挙げられる。成型は、未硬化樹脂または熱可塑性樹脂の、特定の構成への圧縮または射出成型を包含する。打抜きは、ガスケットを、硬化したポリマー材料から形成することを包含し、この材料は、ダイを使用して、特定の構成に切断されるかまたはスタンピングされる。現場発泡(「FIP」)プロセスもまた、EMI/RFI遮蔽ガスケットを形成するために使用され、このプロセスは、粘性の硬化可能な導電性組成物のビーズを、流動性状態で、表面に適用することを包含し、この表面は、引き続いて、熱、大気水分、または紫外放射線の適用によって現場で硬化して、導電性のEMI/RFI遮蔽ガスケットを形成する。
【0006】
導電率およびEMI/RFI遮蔽有効性は、代表的に、伝導性材料をポリマーマトリックスに組み込むことによって、ポリマーガスケットに付与される。導電性要素は、金属または金属めっきされた粒子、繊維、メッシュ、および繊維を含有し得る。この材料は、例えば、フィラメント、粒子、フレーク、または球の形態であり得る。金属の例としては、銅、ニッケル、銀、アルミニウム、スズ、および鋼が挙げられる。ポリマー組成物にEMI/RFI遮蔽有効性を付与するために使用される、他の伝導性材料としては、炭素または黒鉛を含有する、伝導性の粒子または繊維が挙げられる。ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレン、およびポリアセチレンのような、伝導性ポリマーもまた、使用され得る。
【0007】
EMI/RFI放射線を遮蔽することに加えて、特定の用途において、シールが、検出目的、位置確認目的、または認識目的で使用される、入射する広範なスペクトルの放射線に対して、透明であることもまた望ましい。例えば、5GHz〜18GHz、35GHz、94GHz、140GHzおよび220GHzのマイクロ波放射線は、有用な軍事的意義を有する。表面に入射する電磁放射線は、この材料によって部分的に反射され、そして部分的に吸収され、これらの効果の合計が、遮蔽有効性を決定する。この遮蔽有効性は、数個の要因に依存し、これらの要因としては、電磁放射線の周波数、遮蔽材料の導電率、遮蔽材料の厚さおよび透過性、ならびに放射源とEMI/RFIシールドとの間の距離が挙げられる。高周波数(約10GHzより高い)において、遮蔽有効性は、主として、この遮蔽材料が入射放射線を吸収する能力によって、決定される。高い透過性を有する強磁性粒子(例えば、鉄、カルボニル鉄、コバルト金属合金、およびニッケル金属合金)は、レーザー吸収材料として使用される。
【0008】
連続的な導電率およびEMI/RFI遮蔽有効性を提供することに加えて、特定の用途において、環境に露出された表面(例えば、航空乗物および航空宇宙産業乗物)のためのガスケットまたはシールが、金属表面の腐食をもたらさないことが望ましい。類似しない金属および/または伝導性複合材料が、電解質の存在下で合わせられる場合、電気化学的電位が、これらの類似しない導体の間の界面で発生する。干渉性のシールが環境に露出される場合、特に、塩分を含んだ霧または高濃度のSOを含有する塩分を含んだ霧のような、厳しい環境条件下においては、伝導性表面の最も活性な部分の腐食が起こる。腐食は、シールのEMI/RFI遮蔽有効性の劣化をもたらし得る。電気化学的電位以外の機構(例えば、すきま腐食)もまた、エンクロージャーの電気的一体性および機械的一体性を損なわせ得る。
【0009】
ポリスルフィドポリマーは、当該分野において公知である。ポリスルフィドポリマーの生成は、非特許文献1によって特徴付けられている。ポリスルフィドポリマーの、航空宇宙産業用途のためのシーラントの製造における市場での使用は、長いこと公知であり、そして市場で使用されている。ポリスルフィドシーラントは、高い引張り強度、高いせん断強度、耐熱性、および高紫外光に対する耐性に起因して、航空機の外側胴体を密封するために使用されている。ポリスルフィドシーラントは、燃料への曝露の際の、燃料および接着に対する耐性に起因して、航空機の燃料タンクを密封するために、使用されている。
【0010】
ポリスルフィドシーラントは、一般に、銃を使用する押出しによって塗布される。シーラントを押し出して航空機の開口部分(例えば、アクセスドアまたはパネルに関連する開口部分)を密封することは、かなりの努力を必要とし得る。アクセスドアの開口部分の内周は、マスクされ、そしてこのアクセスドアの外周は、剥離剤でコーティングされて、アクセスドアを閉じた状態に密封することを回避する。シーラントが押し出され、そしてアクセスドアが適所に置かれ、そしてしっかりと締め付けられて、過剰のシーラントをアクセスドアの周囲に押し出す。このシーラントは硬化され、そして過剰のシーラントは、切り取られて除かれる。このプロセスは、時間集約的であり、そして航空機に多数のアクセスドアを提供するために、かなりの労力要求を追加し得る。いくらかの航空機は、100以上もの多くのアクセスドアを有し得、これらのアクセスドアは、定期的にアクセスされなければならない、高感度な電子設備または付属品を覆うために、使用される。
【0011】
従って、アクセスドアを密封するための従来の押出し方法ほどには労力集約的でも時間集約的でもない、アクセスドア(例えば、航空乗物または航空宇宙産業乗物の機体のアクセスドア)を密封するための組成物および方法を提供することが、望ましい。効果的なEMI/RFI遮蔽をさらに提供し、そして伝導性表面の最小の腐食を引き起こすような、組成物および方法を提供することもまた、望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】FettesおよびJorzak,Industrial Engineering Chemistry,1950年11月、p.2,217−2,223
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
ポリマーブレンドを含有する、形作られた形態の予備形成された組成物であって、該予備形成された組成物は、
a)少なくとも1種のポリスルフィド成分、および
b)少なくとも1種のポリチオエーテル成分、
を含有する、予備形成された組成物。
【0014】
(項目2)
上記ポリマーブレンド中のa:bの比が、10:90〜90:10である、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0015】
(項目3)
上記ポリマーブレンド中のa:bの比が、50:50である、項目2に記載の予備形成された組成物。
【0016】
(項目4)
上記ポリマーブレンドのための硬化剤をさらに含有する、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0017】
(項目5)
上記硬化剤が、酸化剤を含有する、項目4に記載の予備形成された組成物。
【0018】
(項目6)
上記硬化剤が、二酸化マンガンを含有する、項目5に記載の予備形成された組成物。
【0019】
(項目7)
上記硬化剤が、10℃〜80℃の範囲の温度で反応性である、項目4に記載の予備形成された組成物。
【0020】
(項目8)
上記ポリマーブレンドが、上記予備形成された組成物の総重量の、20重量%〜30重量%の範囲の量で存在する、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0021】
(項目9)
上記硬化剤が、上記予備形成された組成物の総重量の、5重量%〜20重量%の範囲の量で存在する、項目4に記載の予備形成された組成物。
【0022】
(項目10)
上記予備形成された組成物が、10℃〜30℃の範囲の温度で硬化可能である、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0023】
(項目11)
充填剤、接着促進剤、溶媒、可塑剤、顔料、揺変剤、抑制剤、触媒およびマスキング剤から選択される、1種以上の添加剤をさらに含有する、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0024】
(項目12)
ウンモおよびポリアミドを含有する充填剤のブレンドをさらに含有する、項目11に記載の予備形成された組成物。
【0025】
(項目13)
可塑剤をさらに含有する、項目1に記載の予備形成された組成物。
【0026】
(項目14)
開口部分を密封するための方法であって、該方法は、
a)該開口部分を、項目1に記載の予備形成された組成物で覆う工程;および
b)該組成物を硬化させる工程であって、これによって、該開口部分を密封する、工程、
を包含する、方法。
【0027】
(項目15)
上記表面が、取り外し可能なパネルの表面である、項目14に記載の方法。
【0028】
(項目16)
上記開口部分が、開口部分に隣接する表面と、取り外し可能なパネルの表面との間の空間である、項目14に記載の方法。
【0029】
(項目17)
上記開口部分が、航空機に存在する、項目14に記載の方法。
【0030】
(項目18)
上記接着促進剤が、上記予備形成された組成物の塗布前に、上記開口部分を規定する少なくとも1つの表面に塗布される、項目14に記載の方法。
【0031】
(項目19)
離型剤が、上記予備形成された組成物の塗布前に、上記開口部分を規定する少なくとも1つの表面に塗布される、項目14に記載の方法。
【0032】
(項目20)
形作られた形態の、導電性の予備形成された組成物であって、該導電性の予備形成された組成物は、
a)ポリマーブレンドであって:
i)少なくとも1種のポリスルフィド成分、
ii)少なくとも1種のポリチオエーテル成分、
を含有する、ポリマーブレンド;ならびに
b)少なくとも1種の導電性充填剤、
を含有する、導電性の予備形成された組成物。
【0033】
(項目21)
上記導電性充填剤が、上記導電性の予備形成された組成物の総重量の、2重量%〜50重量%の範囲の量で存在する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0034】
(項目22)
上記充填剤が、炭素、黒鉛、金属、および伝導性ポリマーから選択される、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0035】
(項目23)
上記導電性充填剤が、少なくとも炭素繊維および/またはカーボンブラックを含有する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0036】
(項目24)
少なくとも1種の腐食防止剤をさらに含有する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0037】
(項目25)
上記ポリマーブレンドのための硬化剤をさらに含有する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0038】
(項目26)
上記硬化剤が、酸化剤を含有する、項目25に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0039】
(項目27)
上記硬化剤が、二酸化マンガンを含有する、項目26に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0040】
(項目28)
上記硬化剤が、10℃〜80℃の範囲の温度で反応性である、項目25に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0041】
(項目29)
上記硬化剤が、上記導電性の予備形成された組成物の総重量の5重量%〜20重量%の範囲の量で存在する、項目25に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0042】
(項目30)
上記導電性の予備形成された組成物が、10℃〜30℃の範囲の温度で硬化可能である、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0043】
(項目31)
上記ポリマーブレンドが、上記導電性の予備形成された組成物の総重量の、20重量%〜50重量%の量で存在する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0044】
(項目32)
可塑剤をさらに含有する、項目20に記載の導電性の予備形成された組成物。
【0045】
(項目33)
開口部分を密封および/または遮蔽する方法であって、該方法は、
a)該開口部分を、項目20に記載の予備形成された組成物で覆う工程;および
b)該組成物を硬化させる工程であって、これによって、該開口部を密封し、そして/または遮蔽を提供する、工程、
を包含する、方法。
【0046】
(項目34)
上記表面が、取り外し可能なパネルの表面である、項目33に記載の方法。
【0047】
(項目35)
上記表面が、開口部に隣接する表面である、項目33に記載の方法。
【0048】
(項目36)
上記開口部分が、開口部に隣接する表面と、取り外し可能なパネルの表面との間の空間である、項目33に記載の方法。
【0049】
(項目37)
上記開口部分が、航空乗物または航空宇宙産業乗物に存在する、項目33に記載の方法。
【0050】
(項目38)
上記接着促進剤が、上記導電性の予備形成された組成物の塗布の前に、上記開口部分を規定する少なくとも1つの表面に塗布される、項目33に記載の方法。
【0051】
(項目39)
離型剤が、上記導電性の予備形成された組成物の塗布の前に、上記開口部分を規定する少なくとも1つの表面に塗布される、項目33に記載の方法。
【0052】
(発明の要旨)
本発明は、形作られた形態の予備形成された組成物に関し、この組成物は、少なくとも1種のポリスルフィド成分および少なくとも1種のポリチオエーテル成分を含有する、ポリマーブレンドを含有する。
【0053】
本発明は、開口部分を密封するための方法にさらに関し、この方法は、(a)この開口部分を、形作られた形態の本発明の予備形成された組成物で覆う工程;および(b)この開口部分を密封するように、この組成物を硬化させる工程、を包含する。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(発明の詳細な説明)
本発明は、形作られた形態の予備形成された組成物に関し、この組成物は、少なくとも1種のポリスルフィド成分および少なくとも1種のポリチオエーテル成分を含有する、ポリマーブレンドを含有する。用語「予備形成された」とは、充填、貯蔵、および/または塗布を容易にするために、特定の形状にされ得る組成物をいう。予備形成された組成物は、意図的にか、または輸送および/もしくは取り扱いの結果としてかのいずれかで、任意の形状に再度形作られ得る。用語「形作られた形態」とは、予備形成された組成物の厚さが、横方向の寸法よりかなり小さいことをいい、そしてテープ、シートおよびカットアウトまたはガスケットの形態が挙げられるが、これらに限定されない。「形作られた形態」とは、テープの形態であり得、これは、ロール、コイル、またはストリップとして貯蔵され得る、細いテープ、ストリップ、またはバンドを意味する。「形作られた形態」はまた、密封されるべき開口部分の寸法に打ち抜きされ得る。
【0055】
「シーラント」などの用語は、周囲条件(例えば、水分および/または温度)に抵抗する能力を有し、そして/あるいは材料(例えば、水、燃料、および/または他の液体および気体)の移動を少なくとも部分的に遮断する、組成物をいう。シーラントは、しばしば、接着特性もまた有する。「開口部分」とは、穴、ギャップ、スリット、または他の開口部をいう。用語「細長開口部分」とは、長さが幅の少なくとも3倍であるような開口部をいう。「遮蔽」などの用語は、入射電磁エネルギーを逸らせ、経路決めし、そして/または反射する能力をいう。遮蔽有効性は、シールドを通過する電磁エネルギー対このシールドに衝突する電磁エネルギーの比を表す。
【0056】
本発明のポリマーブレンドは、少なくとも1種のポリスルフィド成分および少なくとも1種のポリチオエーテル成分を含有する。本発明の「ポリスルフィド成分」は、複数の硫黄−硫黄結合(すなわち、−[S−S]−)を、ポリマー骨格中および/またはポリマー鎖の末端もしくはペンダント位置に含む、ポリスルフィドポリマーを包含する。代表的に、本発明におけるポリスルフィドポリマーは、2つ以上の硫黄−硫黄結合を有する。適切なポリスルフィドは、Akzo Nobelから、THIOPLASTの名称で市販されている。THIOPLAST製品は、広範な分子量で入手可能であり、この分子量の範囲は、例えば、1100未満〜8000より大であり、この分子量は、1モルあたりのグラム数としての平均分子量である。特に好ましいものは、1000〜4000の数平均分子量である。これらの製品の架橋密度もまた、使用される架橋剤の量に依存して、変動する。これらの製品の「−SH」含有量(すなわち、メルカプタン含有量)もまた、変動し得る。ポリスルフィドのメルカプタン含有量および分子量は、ブレンドの硬化速度に影響を与え得、硬化速度は、分子量とともに増加する。
【0057】
いくつかの実施形態において、ポリスルフィドの組み合わせを使用して、望ましい分子量および/またはポリマーブレンド中での架橋密度を達成することが望ましい。異なる分子量および/または架橋密度は、さまざまな特徴を、ブレンドおよびこのブレンドを組み込む組成物に与え得る。例えば、ポリスルフィド成分が1つより多くのポリスルフィドポリマーを含有し、そしてこれらのポリスルフィドポリマーのうちの1つが、約1000の分子量を有するブレンドは、望ましい非結晶化特性を有する。
【0058】
本発明のポリマーブレンドにおける第二の成分は、ポリチオエーテルである。本発明の「ポリチオエーテル成分」は、少なくとも1つのポリチオエーテル結合(すなわち、−[−CH−CH−S−CH−CH−]−)を含むポリマーである。代表的なポリチオエーテルは、8個から200個のこれらの結合を有する。本発明において使用するために適切なポリチオエーテルとしては、米国特許第6,372,849号に記載されるものが挙げられる。適切なポリチオエーテルは、代表的に、1000〜10,000(例えば、2,000〜5,000、または3,000〜4,000)の数平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、ポリチオエーテル成分は、非反応性基(例えば、アルキル)の末端を有し、そして他の実施形態において、末端位置またはペンダント位置に、反応性基を含む。代表的な反応性基は、チオール、ヒドロキシル、アミノ、ビニルおよびエポキシである。反応性官能基を含むポリチオエーテル成分について、平均官能性は、代表的に、2.05〜3.0(例えば、2.1〜2.6)の範囲である。特定の平均官能性は、反応性成分の適切な選択によって、達成され得る。適切なポリチオエーテルの例は、PRC−Desoto International,Inc.から、商標PERMAPOL(例えば、PERMAPOL P−3.1EまたはPERMAPOL P−3)で入手可能である。ポリスルフィド成分の場合と同様に、ポリチオエーテルの組み合わせを使用して、本発明によるポリチオエーテル成分を調製し得る。
【0059】
本発明のポリマーブレンドは、当該分野において公知である任意の標準的な方法(例えば、ポリスルフィド成分とポリチオエーテル成分とを混合し、そして標準的なミキサー(例えば、カウルミキサーまたはプラネタリミキサー)中でブレンドすること)に従って調製され得る。このブレンド中の、ポリスルフィド成分対ポリチオエーテル成分の比は、10:90から90:10の範囲であり得る。50:50の比が、いくつかの実施形態について、特に適切である。本発明のポリマーブレンドの分子量は、理論的にかまたはGPCを使用して測定される場合に、代表的に、1000〜8000であり、例えば、3500〜4500である。ポリマーブレンドのTgは、代表的に、−70℃以下であり、例えば、−60℃以下である。このブレンドの粘度は、代表的に、匹敵する分子量を有するポリスルフィドの粘度より低い。このことは、本発明の組成物の取り扱いの容易さに寄与し、そして溶媒の必要性を、排除しない場合であっても最小にし得る。
【0060】
本発明の組成物中のポリマーブレンドは、予備形成された組成物の総重量に基づいて、代表的に、10重量%〜50重量%、例えば、20重量%〜30重量%を構成する。
【0061】
特定の実施形態において、本発明の予備形成された組成物は、適切な硬化剤をさらに含有する。用語「硬化剤」とは、ポリマーブレンドの硬化またはゲル化を加速するために添加され得る、任意の材料をいう。いくつかの実施形態において、硬化剤は、10℃〜80℃にて反応性である。用語「反応性」とは、化学反応し得ることを意味し、そして反応物質の部分的な反応から完全な反応までの、あらゆるレベルの反応を包含する。特定の実施形態において、硬化剤は、硫黄含有ポリマーの架橋またはゲル化を提供する場合に、反応性である。「硬化」とは、組成物が、ASTM D2240に従って測定される場合に、30 Durometer 「A」の硬化硬度を達成する点をいう。
【0062】
特定の実施形態において、予備形成された組成物は、硬化剤を含有し、この硬化剤は、ポリマーブレンド中の末端メルカプタン基を酸化する、酸化剤を含有する。有用な硬化剤としては、二酸化鉛、二酸化マンガン、二酸化カルシウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、二クロム酸塩およびエポキシが挙げられる。他の適切な硬化剤は、ポリマーブレンド中の官能基と反応性である、反応性官能基を含み得る。例としては、ポリチオール(例えば、ポリチオエーテル);ポリイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ならびにこれらの混合物およびイソシアヌレート誘導体);ならびにポリエポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。ポリエポキシドの例としては、ヒダントインジエポキシド、ビスフェノール−Aエポキシド、ビスフェノール−Fエポキシド、ノボラック系エポキシド、脂肪族ポリエポキシド、ならびにエポキシ化不飽和樹脂およびエポキシ化フェノール樹脂が挙げられる。用語「ポリエポキシド」とは、1より大きい1,2−エポキシ当量を有する物質をいい、モノマー、オリゴマー、およびポリマーを含む。硬化加速剤または硬化遅延剤もまた使用され得、これらは例えば、ジメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物硬化加速剤またはステアリン酸硬化遅延剤であり、ステアリン酸硬化遅延剤は、硬化を遅らせて、組成物の「可使時間」を延長する。組成物の特性を制御するために、1種以上の材料(例えば、モレキュラーシーブ粉末)が、この組成物から水分を少なくとも部分的に除去し得る。
【0063】
本発明の予備形成された組成物はまた、1種以上の添加剤を含有し得る。「添加剤」とは、予備形成された組成物中の、望ましい特性を提供する非反応性の成分をいう。添加剤の例としては、充填剤、接着促進剤、および可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において(特に、航空宇宙産業用途について)有用な充填材としては、当該分野において通常使用されているもの(例えば、カーボンブラック、重炭酸カルシウム(CaCO)、シリカ、ナイロンなど)が挙げられる。ポッティング化合物充填剤としては、例として、高いバンドギャップの材料(例えば、硫化亜鉛および無機バリウム化合物)が挙げられる。1つの実施形態において、これらの組成物は、この組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約70重量%(例えば、約10重量%〜50重量%)の、選択された充填剤または充填剤の組み合わせを含有する。1つの実施形態において、ウンモとポリアミドとの組み合わせが、充填剤成分として使用される。
【0064】
ウンモとは、層に可撓性を付与する底面へき開によって特徴付けられる、ケイ酸塩である。ウンモとしては、天然の白ウンモ、金ウンモ、および黒ウンモ、ならびに合成されるフルオロ金ウンモおよび二ケイ酸バリウムが挙げられる。合成ウンモの調製は、Encyclopedia of Chemical Technology,第13巻、pp.398−424、John Wiley & Sons(1967)に記載されている。雲母は、予備形成された組成物に可撓性およびたわみ性を提供し、そして粘着を低下させる。ポリアミド粉末は、粘度を提供し、そして予備形成された組成物の粘着を減少させる。ポリアミド樹脂は、二量化脂肪酸(例えば、二量化リノール酸)と、低級脂肪族ポリアミド(例えば、エチレンジアミンまたはジエチレントリアミン)とを、最終生成物が樹脂骨格中に複数のアミド基を有するように縮合反応させることによって、生成し得る。ポリアミド樹脂の製造のためのプロセスは、米国特許第2,450,940号に開示されている。予備形成された組成物のために適切なポリアミド樹脂は、使用温度において固体であり、そして代表的に、少なくとも10,000ダルトンの数平均分子量を有する。
【0065】
特定の実施形態において、ウンモおよびポリアミドは、一緒になって、予備形成された組成物の総重量に基づいて、10重量%〜50重量%を形成し、ウンモとポリアミドとは、実質的に等しい量である。「実質的に等しい」とは、ウンモの量とポリアミドの量とが、互いの5%未満の量で存在すること、すなわち、ウンモの量とポリアミドの量との差が、互いの5%未満であることを意味する。ウンモの量は、5重量%〜25重量%の範囲であり得、そしてポリアミドの量は、5重量%〜25重量%の範囲であり得る。1つの実施形態において、ウンモの量は、予備形成された組成物の総重量の、10重量%〜20重量%の範囲であり、そしてポリアミドの量は、10重量%〜20重量%の範囲である。
【0066】
1種以上の接着促進剤もまた、使用され得る。適切な接着促進剤としては、フェノール(例えば、Occidental Chemicalsから入手可能なMETHYLONフェノール樹脂)、オルガノシラン(例えば、エポキシ官能性シラン、メルカプト官能性シランまたはアミノ官能性シラン(例えば、Osi Specialtiesから入手可能なA−187およびA−1100))が挙げられる。接着促進剤は、処方物の総重量に基づいて、0.1重量%〜15重量%の量で使用され得る。
【0067】
可塑剤は、本発明の組成物において、この処方物の総重量に基づいて、1重量%〜8重量%の範囲の量で使用され得る。有用な可塑剤としては、フタル酸エステル、塩素化パラフィン、水素化テルフェニルなどが挙げられる。
【0068】
処方物は、1種以上の有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール)を、この処方物の総重量に基づいて0重量%〜15重量%の範囲の量(例えば、15重量%未満または10重量%未満)でさらに含有し得る。
【0069】
本発明の組成物はまた、必要に応じて、当該分野において標準的である他の添加剤(例えば、顔料;揺変剤;遅延剤;触媒;およびマスキング剤)を含有し得る。
【0070】
有用な顔料としては、当該分野において従来的である顔料(例えば、カーボンブラックおよび金属酸化物)が挙げられる。顔料は、処方物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%の量で存在し得る。
【0071】
揺変剤(例えば、フュームドシリカまたはカーボンブラック)は、処方物の総重量に基づいて、約0.1重量%〜5重量%の量で使用され得る。
【0072】
硬化剤は、一般に、全組成物の2重量%〜30重量%(例えば、5重量%〜20重量%)を構成し、この重量%は、この組成物の総重量に基づく。一般に、硬化剤対ポリマーブレンドの当量比は、0.5:1〜2.0:1の範囲であり得る。硬化促進剤は、使用される場合、硬化剤組成物の総重量に基づいて、1重量%〜7重量%の範囲の量で存在し得、硬化遅延剤は、使用される場合、0.1重量%〜1重量%の範囲の量で存在し得、そして水分除去剤は、使用される場合、0.1重量%〜1.5重量%の範囲の量で存在し得る。
【0073】
使用される場合、添加剤は、予備形成された処方物の総重量の、50重量%までを構成し得る。
【0074】
特定の実施形態において、本発明の予備形成された組成物は、2パック系または「2K」系として調製され、ここで、ポリマーブレンドが、一方の成分であり、本明細書中で、ベース組成物と称され、そして硬化剤が、他方の成分であり、本明細書中で、硬化剤組成物と称される。ベース組成物および硬化剤組成物は、使用の直前に混合される。
【0075】
本発明はまた、形作られた形態の、予備形成された組成物に関し、この組成物は、少なくとも1種のポリエポキシド成分と少なくとも1種のポリチオエーテル成分とを含有するポリマーブレンド、および少なくとも1種の導電性充填剤を含有する。「導電性充填剤」とは、処方物に添加される場合に、導電性ならびに/またはEMI遮蔽および/またはRFI遮蔽を、この処方物に付与する充填剤である。このような充填剤の例としては、導電性の貴金属ベースの充填剤(例えば、純銀);貴金属めっきされた貴金属(例えば、銀めっきされた金);貴金属めっきされた卑金属(例えば、銀めっきされた銅、ニッケルまたはアルミニウムであり、例えば、亜銀めっきされたアルミニウムコア粒子または白金めっきされた銅粒子));貴金属めっきされたガラス、プラスチックまたはセラミック(例えば、銀めっきされたガラス微小球、貴金属めっきされたアルミニウムまたは貴金属めっきされたプラスチック微小球);貴金属めっきされたウンモ;ならびに他のこのような貴金属伝導性充填剤が挙げられる。卑金属ベースの材料もまた適切であり、これらとしては、卑金属めっきされた卑金属(例えば、銅コーティングされた鉄粒子またはニッケルめっきされた銅);卑金属(例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト);ならびに卑金属めっきされた非金属(例えば、ニッケルめっきされた黒鉛および非金属材料(例えば、カーボンブラックおよび黒鉛))が挙げられる。伝導性充填剤の組み合わせもまた、望ましい導電率、EMI/RFI遮蔽有効性、硬度および特定の用途のために適切な他の特性に適合するために、使用され得る。
【0076】
導電性充填剤の形状および大きさは、本発明の予備形成された組成物にとって重要ではない。これらの充填剤は、伝導性材料の製造において一般的に使用される任意の形状(球状、フレーク、小板、不規則なものまたは繊維性のもの(例えば、粉砕されたかもしくは断ち切られた繊維))のものであり得る。予備形成された組成物を形作られた形状で作製する際に、本発明の特定の実施形態に従って、この組成物は、種々の形状を有する、伝導性充填剤およびレーダー吸収材料を含有し得る。例えば、伝導性充填剤の形状は、球状、実質的に球状、または不規則であり得る。
【0077】
炭素繊維(特に、黒鉛化炭素繊維)は、本発明の予備形成された組成物に電気伝導率を付与するために使用され得る。蒸気相熱分解法によって形成され、そして熱処理により黒鉛化された、0.1ミクロン〜数ミクロンの繊維直径を有する中空または中実の炭素繊維は、高い導電率を有する。米国特許第6,184,280号に開示されるように、0.1ミクロン未満〜数十ナノメートルの直径を有する、カーボンミクロファイバー、カーボンナノチューブまたはカーボンフィブリルは、導電性充填剤として使用され得る。本発明の伝導性の予備形成された組成物のために適切な、黒鉛化炭素繊維の例は、PANEX 30MFであり、これは、0.921ミクロンの直径の、0.00055Ω・cm電気抵抗率を有する円形繊維である。
【0078】
導電性充填剤の平均粒子サイズは、伝導性材料における充填剤について通常使用される範囲内であり得る。特定の実施形態において、1種以上の充填剤の粒子サイズは、約0.25ミクロン〜約250ミクロンであり、そして他の実施形態においては、約0.25ミクロン〜約75ミクロンであり、そしてなお他の実施形態においては、約0.25ミクロン〜約60ミクロンである。特定の実施形態において、本発明の予備形成された組成物は、Ketjen Black EC−600JD(Akzo Nobel)を含有し、これは、1000mg/g〜11500mg/gのヨウ素吸着量(J0/84−5試験法)、および480cm/100g〜510cm/100gの細孔容積(DBP吸収、KTM 81−3504)によって特徴付けられる。他の実施形態において、カーボンブラック充填剤は、Black Pearls 2000(Cabot Corporation)である。
【0079】
特定の実施形態において、導電性ポリマーが、本発明の予備形成された組成物の電気伝導率を付与または改変するために、使用され得る。芳香族基に組み込まれるかまたは二重結合に隣接する硫黄原子を有するポリマー(例えば、ポリフェニレンスルフィドおよびポリチオフェン)は、導電性であることが公知である。他の導電性ポリマーとしては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)ビニレン、およびポリアセチレンが挙げられる。これらの全てが、本発明に従って使用され得る。
【0080】
特定の実施形態において、本発明の導電性の予備形成された組成物は、この導電性の予備形成された組成物の総重量の、2重量%〜50重量%の範囲の導電性材料を含有する。
【0081】
類似していない金属表面と、本発明の導電性組成物との電気化学的腐食は、腐食抑止剤をこの組成物に添加することによって、そして/または適切な伝導性充填剤を選択することによって、最小にされ得るかまたは防止され得る。腐食抑止剤としては、例えば、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸マグネシウム、およびこれらの組み合わせ、芳香族チアゾールおよび犠牲酸素スカベンジャー(例えば、Zn);当該分野において公知である他の適切な腐食抑止剤が挙げられる。特定の実施形態において、腐食抑止剤は、導電性の予備形成された組成物の総重量の、10重量%未満を構成する。他の実施形態において、腐食抑止剤は、導電性の予備形成された組成物の総重量の、2重量%〜15重量%の量を構成する。類似していない金属表面の間の腐食はまた、予備形成された組成物を構成する伝導性充填剤の型、量、および特性の選択によって、最小にされ得るかまたは防止され得る。
【0082】
特定の実施形態において、ベース組成物は、少なくとも1種のポリスルフィド、少なくとも1種のポリチオエーテル、添加剤、および/または充填剤を、二重プラネタリミキサー中で減圧下でバッチ混合することによって、調製され得る。他の適切な混合設備としては、ニーダー押出し機、シグマミキサー、または二重「A」アームミキサーが挙げられる。例えば、ベース組成物は、少なくとも1種のポリスルフィド、少なくとも1種のポリチオエーテルポリマー、可塑剤、およびフェノール接着促進剤を混合することによって、調製され得る。この混合物が徹底的にブレンドされた後に、さらなる成分が別々に添加され得、そして高せん断粉砕ブレード(例えば、カウルブレード)を使用して、混ぜ込まれるまで混合される。ベース組成物に添加され得るさらなる成分の例としては、腐食抑止剤、非伝導性充填剤、導電性充填剤、導電性フレーク、およびシラン接着促進剤が挙げられる。次いで、この混合物は、27インチ水銀以上の減圧下でさらに15分間〜20分間混合され、巻き込まれた空気および/または気体を減少または除去され得る。次いで、このベース組成物は、高圧ピストンラムを使用して、このミキサーから押出され得る。
【0083】
硬化剤組成物は、硬化剤と他の添加剤とをバッチ混合することによって、調製され得る。特定の実施形態において、全硬化剤(例えば、部分的に水素化されたテルフェニル)のうちの75%と、加速剤(例えば、ジペンタメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物)とが、一軸アンカーミキサー中で混合される。次いで、モレキュラーシーブ粉末が添加され、そして2分間〜3分間混合される。次いで、全二酸化マンガンのうちの50%が、混ぜ込まれるまで混合される。次いで、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、および残りの可塑剤が、混ぜ込まれるまで混合され、続いて、二酸化マンガンの残りの50%が、混ぜ込まれるまで混合される。次いで、フュームドシリカが、混ぜ込まれるまで混合される。この混合物が濃すぎる場合、界面活性剤が添加されて、ぬれを増加させ得る。次いで、この硬化剤組成物は、2分間〜3分間混合され、三本ロール塗料練り機に通して、粉砕を達成し、そして一軸アンカーミキサーに戻されて、さらに5分間〜10分間混合される。次いで、この硬化剤組成物は、ピストンラムを用いてこのミキサーから取り出され得、そして貯蔵容器に入れられ得、そしてベース組成物と混合される前に、少なくとも5日間熟成されられ得る。
【0084】
これらのベース組成物および硬化剤組成物は、使用の直前に、一緒に混合されて予備形成された組成物を形成する。混合のための任意の適切な手段が、使用され得る。例えば、ベース組成物および硬化剤組成物は、所望の比で、動的混合ヘッドを備える計量混合機を使用して、混合され得る。計量混合設備からの圧力は、ベース組成物および硬化剤組成物を、強制的に、動的混合ヘッドおよび押出しダイに通す。特定の実施形態に置いて、予備形成された組成物は、テープまたはシートが挙げられる、層の形態に押し出される。シート形態の予備形成された組成物は、任意の望ましい形状(例えば、密封されるべき開口部分の寸法によって規定される形状)に切断され得る。特定の実施形態において、形作られた形態は、剥離紙でパッケージの目的で各リングを分離しながら、巻き付けられ得る。次いで、形作られた形態は、この形作られた形態をドライアイスの床上に配置し、そしてドライアイスの別の層をこの形作られた形態の上部に配置することによって、強化される。この形作られた形態は、基部組成物と硬化剤組成物とを混合した直後に、冷蔵される。この形作られた形態は、ドライアイスに5分間から15分間曝露され、次いで、−40℃未満の貯蔵温度におかれる。用語「冷蔵される」とは、予備形成された組成物の温度を、この予備形成された組成物の硬化を遅延および/または停止させるように低下させることをいう。代表的に、形作られた形態の予備形成された組成物は、−40℃未満で冷蔵される。
【0085】
特定の実施形態において、予備形成された組成物の温度は、塗布前に、4℃〜32℃(40°F〜90°F)の範囲の使用温度に上昇させられる。このことは、この予備形成された組成物が、塗布前に10分より長く使用温度に達しないように、実施される。
【0086】
特定の実施形態において、形作られた形態の予備形成された組成物は、航空機の機体の取り外し可能なアクセスパネルと、開口部の外周に隣接する表面との間の開口部分を密封するために、使用され得る。表面が清浄化溶媒(例えば、DESOCLEAN)で清浄化された後に、接着促進剤が、最初に、アクセスパネルの開口部の外周にブラシで塗布される。次いで、このアクセスパネルの表面が清浄化され、そして離型剤でコーティングされ、その後、予備形成された組成物が塗布される。この形作られた形態の予備形成された組成物は、アクセスパネルの開口部の外周に隣接する表面、アクセスパネルの外周に隣接する表面、またはこれらの両方に、手で塗布される。次いで、このアクセスパネルは、適所に置かれ、そしてしっかりと締め付けられて、過剰の予備形成された組成物を、アクセスパネルの縁部の周りに押し出す。過剰の予備形成された組成物は、例えば、平坦な表面を使用することによって、容易に除去される。過剰の予備形成された組成物は、硬化前にか、または予備形成された組成物が硬化した後かのいずれかに除去され得、好ましくは、予備形成された組成物が硬化した後に除去され得る。
【0087】
本発明の予備形成された組成物の塗布から生じるシールの一体性、水分抵抗性および燃料抵抗性は、仕様MMS 332で確認される試験を実施することによって、評価され得る。認容可能なシールは、隙間がなく、そして水分および航空機燃料に耐性である。
【0088】
取り扱いおよび使用が容易であることに加えて、本発明の組成物は、航空技術および航空宇宙産業の用途において遭遇する環境において、導電性表面に対する最小の腐食を引き起こし得る。本発明のポリマーブレンドは、ポリスルフィド成分とポリチオエーテル成分との両方を有するので、これらのブレンドは、これらの技術のうちの一方または他方を有する他のシーラントまたはコーティング層と適合性である。これらのブレンドはまた、良好な溶媒抵抗性を示す。
【0089】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、1つの指示物に特別に明白に限定されない限り、複数の指示物を包含することが留意される。従って、例えば、「充填剤(a filler)」に対する言及は、1つ以上の充填剤を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「ポリマー」とは、プレポリマー、ポリマー、オリゴマー、ホモポリマー、およびコポリマーをいうことを意味することもまた、留意される。
【0090】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的で、他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、成分の量または他の材料の百分率もしくは割合、反応条件などを説明する全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。従って、逆のことが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲において記載される数字パラメータは、近似であり、これらは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に基づいて、変動し得る。少なくとも、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を制限することは試みないが、各数字パラメータは、少なくとも、報告される有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術を適用することにより、解釈されるべきである。
【0091】
本発明の広い範囲を記載する数字範囲およびパラメータは近似であるが、特定の実施形態に記載される数値は、可能な限り正確に報告されている。しかし、あらゆる数値は、それぞれの試験手段において見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差を固有に含む。さらに、本明細書中に開示される全ての範囲は、そこに含まれる任意の全ての部分範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10〜50」との範囲は、10という最小値と50という最大値との間(これらの値を含む)の任意の全ての部分範囲(すなわち、10以上の最小値および50以下の最大値を有する任意の全ての部分範囲(例えば、25〜50))を包含する。
【実施例】
【0092】
以下の実施例は、本発明を説明することが意図され、そしていかなる方法においても、本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0093】
(実施例1)
実施例1は、EMI/RFI遮蔽有効性を示す、導電性の、形作られた形態の予備形成された組成物を提供する。以下の材料を、表1に従う割合で混合して、導電性のベース組成物を提供した:PERMAPOL L 3.1ポリチオエーテルポリマー(PRC−DeSoTo International,Inc.製)、THIPLAST G4ポリスルフィドポリマー(Akcros Chemicals(New Brunswick,New Jersey)製)、フェノール樹脂接着促進剤(PRC−DeSoTo International,Inc.製)、およびHB−40修飾ポリフェニル可塑剤(Solutia,Inc.(St.Louis,Missouri)製。高せん断粉砕ブレード(カウルブレード)を使用して、以下の材料を個別に添加し、そして混ぜ込まれるまでブレンドした:クロム酸カルシウム腐食抑止剤(Wayne Pigment Corp.,Milwaukee,Wisconsin)、疎水性フュームドシリカ(R202、Aerosil/Degussa,Diamond Bar,California製)、Ni繊維(30μm直径、500μm長さ;Intramicron,Birmingham,Alabama製)、Niコーティングした黒鉛(I)(60%Niコートした黒鉛;Novamet,Wyckoff,New Jersey製)、Niコートした黒鉛(II)(60%Niコーティングした黒鉛;Sulzer Metco/Ambeon,Switzerland製)、メルカプトシラン接着促進剤(Silane A189;GE Specialty Materials,Wilton,CN)およびエポキシシラン接着促進剤(Silane A187;GE Specialty Materials,Wilton,CN)。
【0094】
【表1】

【0095】
別々に、以下の材料を、表IIに従う量で混合して、硬化剤組成物を形成した:二酸化マンガン(EaglePicher(Phoenix,Arizona)製)、部分的に水素化したテルフェニル、ステアリン酸、フュームドシリカ、ステアリン酸ナトリウム(Witco Chemicals製)、硬化剤から過剰の水分を除去するためのモレキュラーシーブ粉末、および硬化を加速するためのジペンタメチレン/チウラム/ポリスルフィド混合物(Akrochem Corporation(Akron,Ohio)製)。この硬化剤組成物を、ベース組成物と混合する少なくとも5日前に、硬化または熟成させた。
【0096】
【表2】

【0097】
100重量部の表Iによる導電性ベース組成物、および10重量部の表IIによる硬化剤生成物を混合して、導電性の予備形成された組成物を調製した。徹底的に混合および脱気した後に、このように形成された導電性の予備形成された組成物を、テープの形態に押し出し、そして−40℃で冷蔵した。
【0098】
航空機のアクセスパネルの外周に隣接する表面を、最初に、仕様MMS−423に従う低VOCエポキシプライマーでコーティングし、そして硬化させた。この表面を清浄化し、次いで、PRC−DeSoto International,Inc.製の接着促進剤PR−148またはPR−184でコーティングした。このアクセスパネルを、AMS−T−9046に適合するチタン合金から作製した。冷蔵した導電性の予備形成された組成物を、使用温度(4℃〜32℃(40°F〜90°F))と平衡化させた後に、テープ形態の伝導性の予備形成された組成物を、アクセスパネルの外周に隣接する表面に、手で塗布した。このアクセスパネルを適所において、アクセス開口部を覆い、そしてしっかりと締め付けて、過剰の導電性の予備形成された組成物を、このアクセスパネルの縁部の周りに押し出して、その開口部分を充填した。過剰の導電性の予備形成された組成物は、容易に除去された。(4℃〜32℃(40°F〜90°F))の温度で3時間〜4時間後に、水分および航空機の燃料に耐性である、隙間のないシールが得られた。
【0099】
硬化したシーラントは、0.50Ω/cm未満の面積抵抗(4点プローブ)を示した。アルミニウム試験取付具と炭素/エポキシ蓋との間の開口部分に対する密封は、無響室内で試験すると、1MHz〜200MHzの遮蔽有効性を示した。同様に密封された開口部はまた、攪拌モードチャンバ内で試験すると、0.1GHz〜18GHzの遮蔽有効性を示した。
【0100】
本発明の特定の実施形態が、説明の目的で上に記載されたが、本発明の細部の多数のバリエーションが、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明から逸脱することなくなされ得ることが、当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。

【公開番号】特開2010−138403(P2010−138403A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17461(P2010−17461)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2007−530473(P2007−530473)の分割
【原出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(502328466)ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド (29)
【Fターム(参考)】