説明

ポリマーペレットのための後処理

次の工程:
−ポリオレフィンペレットを含む水流を塔へ供給すること、
−上記のポリオレフィンペレットを、上記の塔に沿った上方への流れの間に、上記のポリオレフィンよりも高い密度を有する冷却剤の下方への流れにより、冷却すること、
−2〜20分の上記の塔での滞留時間の後に、上記の塔頂から冷却されたペレットを回収すること
を含む、新たに製造されたポリオレフィンペレットの凝集を最小にするための連続的な方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集性を抑えるためにポリマーペレットを処理する方法に関する。
具体的には、本発明は、オレフィンの重合およびそれに続く得られたポリマーのペレット化に由来するポリマーペレットの粘着性を最小にするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、市販されているたいていのプラスチック用樹脂は、ペレットの形態であることは公知である。プラスチック用樹脂は、輸送、取扱い、安全性および最終使用者の加工特性を向上させるために、ペレットの形態で販売されている。したがって、重合反応器から排出された粒状ポリマーは、ペレットに切断されるより前に、溶融され、押し出され、ダイを通る流れにされる。この押出工程は、要求される安定性および物性のための性能的添加剤の添加工程としても役立っている。
【0003】
ペレットの大きさ、形状および均一性は、ポリマー製造の間に満たされるべき重要な特性である。ペレット化の工程も、操作上の観点から重要である。ペレット製造機のあらゆる不調は、特に大きな押出ラインに対して、深刻な金銭的影響を伴った工程の停止および製造の一時停止を招き得る。したがって、ペレット化工程は、あらゆるポリオレフィン製造工場の製造ラインにおいて、重要な工程であることが認識されている。
【0004】
いくつかのポリオレフィンの効果的で満足のいくペレット化は、達成することが困難であった。特に、この困難性は、高いメルトフローのポリオレフィンで見られており、ポリマー製品の凝集性によると強調される。この凝集は、一般的に、ポリオレフィンのホモポリマーおよび/またはコポリマーのペレット化後に起こるが、コポリマーの場合がより深刻なようである。これは、一般的に、コポリマーはホモポリマーよりも遅い結晶化速度および低い結晶性を有するからである。
【0005】
例えば、ブテン-1のコポリマー、特にブテン-1/エチレンコポリマーは、ペレット化の間に、これらコポリマーの遅い結晶化速度または固化速度に由来する極度な粘着性を示す。事実、ペレットが切断刃を離れるとき、それらは非常に澄んでいて粘着性であり、それらが互いに衝突すれば、凝集物を形成する傾向を有している。ポリマーペレットが、水中面カッター(face cutter)およびストランドカットペレット製造機により作られた後、ペレットは、連行水の量を最小限にするために、スピン(spin)乾燥機に通される。ペレットの粘着および凝集の現象は、ペレット製造機ボウルとスピン乾燥機をつなぐラインに沿って、容易に起こり得る。
【0006】
さらに、ペレットの凝集はペレット製造機ボウルおよびスピン乾燥機を詰まらせ得る。それゆえ、押出ラインは、詰まった部分をきれいにするために、停止されなければならない。最終製品に認められる多数のペレットの融合は、顧客の製造工程において受け入れられない。この不都合な凝集の結果は、そのような製品を買う顧客側の気を進まなくする。
この望まないペレットの凝集の問題を解決するか、または最小限にするために、種々の試みがなされている。
【0007】
結晶化を速めるために、高密度ポリエチレン(HDPE)粉末のようなポリオレフィン成核剤(nucleant)を含むポリマー成核剤の使用が当分野で知られている。それらは、ペレットの凝集が起こることを減少させるための、外部からのペレット化補助として作用する。ポリオレフィン粉末成核剤は、一般的には、水より低い密度を有し、したがって、ポリマーペレットが処理される水浴またはタンクの表面上に浮いている。この浮遊は、水浴またはタンクからのポリオレフィン粉末の流出を引き起こし、それが、装置および作業環境を時々清掃することを要求する中断処理を生じ得る。この方法の成功は、ポリマーペレットを含む水タンク中のポリオレフィン粉末の良好な分散に強く依存する。それゆえ、ペレット化補助としてのポリオレフィン粉末の効果的な恩恵を得るためには、一般的に、激しく撹拌することが必要である。凝集を減少するこの方法は、非常に面倒で激しい仕事である。一番よい状況下でも、ポリマー製造の有効な部分(約20%)が、ペレットの質の悪さおよびペレット凝集のために捨てられなければならない。
【0008】
ペレット凝集の問題を最小にするために、有機金属界面活性剤を使用することも、当分野で公知である。しかしながら、これらの界面活性剤を有効なレベルで使用するとき、しばしば極端な発泡の問題が生じる。そして、この発泡体が水タンクから床に流れ出て、それにより、面倒な作業および危険な作業環境を招く。フォームトロール(FOAMTROL)(登録商標)のような消泡剤とステアリン酸亜鉛のような有機金属界面活性剤との組合せが用いられ、いくつか成功している。この組合せは、フォームトロールの潜在的な発癌性の欠点を有する。
【0009】
US特許4,359,544は、ペレット化補助として、成核剤パッケージの使用を提案している。このパッケージはHDPEとステアラミドとの混合物である。しかしながら、HDPEおよびステアラミドは水にうまく分散しない。したがって、ペレット化補助として水浴中ではうまく働かない。
【0010】
US特許5,206,292は、新しく製造されたポリオレフィンペレットの凝集を最小にするために、酸化された高密度ポリエチレン粉末の使用を提案している。この特許の実施例によれば、ペレットが、水と少量の酸化されたHDEPを含む半透明の混合タンクに供給される。このスラリーは、空気作動撹拌装置を用いて撹拌が維持される。この技術は多くの欠点を有する。第1に、酸化されたHDPEは、食品と直接接触する用途には、FDAにより認可されていない。さらに、ポリマーペレットを含む冷却剤中への酸化されたHDPEの良好な分散を達成するために、約30分の長い撹拌時間を必要とする。その上、結晶化が完結する前に、撹拌機から離れた部分で、いくつかのペレットが互いに簡単にくっ付き得る。
【0011】
US特許5,623,012は、新たに製造されたポリオレフィンペレットの粘着性を減少させる方法に関する。この方法は、ポリマー成核剤と金属脂肪酸の界面活性剤との混合物を冷却剤に添加することを含む。有機金属界面活性剤としてステアリン酸亜鉛、ならびにポリマー成核剤としてHDPE粉末が、冷却剤に添加される。水が冷却剤として好ましく用いられる。ポリマーペレットと一緒に得られるスラリーが、金属の結晶化タンク中にポンプで汲み出される。HDPE粉末および金属界面活性剤をより均等に分散する目的で、タンク中の水を撹拌するために撹拌機が用いられる。この特許の開示によれば、HDPE粉末および金属界面活性剤を用いることにより相乗効果が得られ、それゆえ、ペレットの凝集および発泡が抑えられる。
【0012】
しかしながら、この特許に記載されたように、ポリマーペレットを処理する技術は、非常に混沌として面倒である。水よりも低い密度を有する場合、HDPE粉末は、水の上を浮遊する傾向がある。結晶化タンクの全容積中に、該粉末の許容される分散を確実にするため、連続的で激しい撹拌を行わなければならない。この撹拌のために、結晶化タンク内のペレットの動きは非常にランダムで、それゆえ、残るペレットよりもずっと以前に、それらの一部がタンクの出口に達し、結晶化タンクでの作動において、異なる滞留時間が含まれる。HDPE粉末の良好な分散が達成されない部分では、結晶化が完結する以前に、いくつかのペレットは互いが容易にくっ付き得る。一方、他のペレットは、十分に冷却されて硬化することなく、結晶化タンクを出て行き得るので、この方法の後の工程で粘着の問題を生じる。
【0013】
上記の欠点から、ペレット化工程の下流の設備で、ポリマーペレットの凝集を防ぐかまたは最小にするために、ポリマーペレットを効果的に冷却する方法を提供することが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
今、驚くべきことに、大量のポリマーペレットの効果的で均一な冷却を提供することで、それらの凝集性を強く低減することができる、連続的な方法でのポリマーペレットの処理方法を見出した。
【0015】
それゆえ、本発明の課題である、新たに製造されたポリオレフィンペレットの凝集を最小にするための連続的な方法は、次の工程:
(a) 塔にポリオレフィンペレットを含む水流を供給すること、
(b) 上記のポリオレフィンより高い密度を有する冷却剤の下降する流れによって、上記のポリオレフィンペレットを、上記の塔に沿ったそれらの上方への流れの間に冷却すること、
(c) 2〜20分の塔中での滞留時間の後に、上記の塔頂から冷却されたペレットを回収すること
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本明細書を通して、塔内部のペレットの滞留時間は、塔内部のポリマーペレットの「滞留」と、塔から排出されるポリマーのマス流量速度との比として定義される。
本発明の方法は、水中ペレット化工程から得られるポリマーペレットの粘着性の有意な減少を起こさせるときに、特に有効である。本発明の連続的な処理の間に、各ペレット間の表面接触を最小にすると同時に、各ペレットの表面は効果的に冷却され、硬化される。その結果、ペレット製造機と、ポリマーから水の除去が行われる乾燥工程とを結合するラインに沿って、粘着の問題は防げる。
【0017】
重合反応器から排出されたポリマーは、最初、ポリマーストランドを得るために押出に付され、そして、それらはペレットに切断される切断装置を通される。水中ペレット化は、ポリオレフィンペレットを含む水流を得るために、あらゆる慣用の技術により行われ得る。水中面カッターまたはストランド切断ペレット製造機が、この目的のために用いられ得る。本発明によれば、水/ペレットの重量比が40〜70の範囲にあるポリオレフィンペレットを含む水流が、ペレット化工程から得られ、塔の底部から供給される(工程a)。塔に入る水流の温度は、一般に、30〜60℃の範囲である。
【0018】
本発明の方法で用いられる冷却剤は、水または処理されるペレットの密度よりも高い密度を有するあらゆる代替の冷却液であってよい。好ましくは、上記の冷却液の密度は、950 kg/m3より高くあるべきである。
本発明の方法で、冷却剤として好ましくは水が用いられ、以後、水が冷却剤と呼ばれる。したがって、冷却されたペレットを含む水流が、工程(c)の塔頂から回収される。上記の水流の排出には、いかなるポンプ装置の使用も必要としないが、塔頂からペレットをオーバーフローさせて行うのが有効である。
【0019】
本発明に使用される塔は、塔の軸に沿た撹拌機を備えた垂直塔である。好ましくは、工程(a)のポリオレフィンペレットを含む水流が、塔壁に接する方向に沿って塔中に導入される。この接する方向の注入口は、その関連した「遠心効果」により、ポリマーペレットと水の分離を促進させる。しかしながら、上記の分離は、ポリマーが水の上を浮遊する傾向に大きく起因している。事実、一旦塔に導入されると、注入流の成分は異なる挙動を示し、水に比べてポリマーの低い密度のために、ペレットは塔の軸に沿って上方へ流れる。これに対して、工程(a)を経て塔に入る水の大部分は下方へ流れ、塔の底に設けられた排出口から排出される。その結果、上記の塔に入った水の大部分は、塔に沿って上昇しない。
【0020】
塔に沿って上方へ流れれば、ペレットは、冷却水の下降する流れに対して逆行する(工程b)ことになり、それは、ペレットの表面の結晶化に好都合である。これらの結晶化の間に、ポリマーペレットは硬くなり、粘着性を失う。塔内部のペレットの滞留時間が長くなればなるほど、結晶化の度合は高くなり、このようにして、ペレットの凝集は抑えられる。
許容される結晶化に対して要求される滞留時間は、本発明で処理されるポリオレフィンの個々のタイプに依存する。概して、ポリオレフィンコポリマーは、ホモポリマーよりも遅い結晶化速度を示す。それゆえ、一般に、コポリマーの滞留時間は5分より長くなるべきである。ホモポリマーペレットに対しては、滞留時間は5分より短くてもよい。その結果、要求される滞留時間は、厳密には、ポリマーのタイプによるが、多くの場合に適当な好ましい範囲は、5〜12分である。
【0021】
冷却水は、10〜40℃の温度で塔頂部に供給され、塔に沿って下方へ流れ、工程(a)から来る接断水(cutting water)の大部分と一緒に、塔の底に設けられた排出口から排出される。ポリマーペレットを冷却することに加えて、下方への水の流れは、塔内部のペレット/水スラリーの「拡散」を引き起こす。この拡散は、ペレットの凝集抑制にも寄与する。このペレット/水スラリーは、流動が冷却水の対向流によって引き起こされる点は異なっているが、ポリマー粒子の流動床と同様の挙動を有することが観察された。冷却水の下降速度が速くなればなるほど、ベッドの拡散の度合は高くなり、その結果、冷却水の下降速度が、この方法の正しい作動に影響を及ぼすパラメータである。塔の運転の間、該パラメータを一定に保つことが重要である。
【0022】
一般的に、冷却水の下降速度が遅すぎると、ペレット/水スラリーの十分な拡散は達成されず、ペレットの凝集をうまく防げない。反対に、上記の降下速度が速すぎると、ペレット/水スラリーは、過度に下方へ拡散し、したがって、塔の底に設けられた排出口からペレットの一部が排出される。上記の欠点を避けるために、冷却水の下降速度の好適な範囲は、0.5〜4 cm/s、好ましくは1.5〜3.0 cm/sである。0.5 cm/sの値より下では、ペレットの十分な拡散は、部分的にしか達成されず、したがって、ペレットの凝集をうまく防げない。反対に、4 cm/sより上では、ペレットの拡散はいくらかのペレットが塔の底に設けられた排出口から排出され得るようにする。
【0023】
本発明で用いられる塔の付加的な装備は、上部の狭い部分に設けられた撹拌機である。該撹拌機は、ペレットスラリーにゆるやかな混合作用を与え、それは、ペレットを互いに離れた状態に保って、凝集の防止に寄与する。撹拌速度は、一般的に、100 rpmを超えるべきでなく、好ましくは15〜40 rpmの範囲に収まるべきである。強くて激しい撹拌は、塔に沿ったペレットの「プラグ流れ(plug flow)」特性を妨害し、ペレットの不均一な滞留時間分布の原因になるので、避けられるべきである。
実際、本発明の方法の顕著な利点は、塔に沿ったポリマーペレットの上方への流れが、本質的に「プラグ流れ」形態(これは塔の中に導入される全てのペレットの均一な冷却を意味する)にあるという事実に関する。このことは、ポリマーペレットが、本発明の背景で説明されたような、混沌として面倒なシステムの手段により冷却される、当分野で公知の慣用の技術に対して、関連性のある差異である。
【0024】
ポリマーペレットが塔頂に達すると、それらは塔からオーバーフローする。しかしながら、塔に入る水の大部分は、塔の底近くに設けられた排出口から排出されるので、少量の水のみがペレットと一緒に塔頂に達するであろう。その結果、工程(a)の水流は、水/ペレットの重量比40〜70を有する一方、水/ペレットの重量比3〜10でポリオレフィンペレットを含む水流が、塔頂からオーバーフローする(工程c)。これは、減った量の水が乾燥工程へ流れることを引き起こすことを意味する。これは、本発明の方法の別の顕著な利点であり、大量の水と一緒にペレットが、乾燥装置に流れる先行技術と異なって、本発明の方法は、続く乾燥工程の費用を有意に低減させる。事実、乾燥装置の大きさと運転費用を最小にすることができる。乾燥工程は、遠心乾燥機中で行なわれるのが好ましい。
塔の底から排出された水は、都合よく乾燥工程を迂回することができ、連続して冷却され、遠心乾燥機中でペレットから分離された水と一緒に水中ペレット化に再循環される。
【0025】
本発明の方法は、本発明を説明するだけであって本発明の範囲を限定しない添付の図を参照して、詳細に記載される。
図1を参照して、ポリマー反応器および押出ライン(表示しない)から生じるポリマー粒子が、ライン1を経て、水中ペレット化が行なわれる切断システム2に供給される。ポリオレフィンペレットを含む水流が切断システム2から排出され、ライン3を経て、軸に沿って撹拌機5を備えた垂直な塔である塔4に供給される。撹拌機5は塔4の上部に設置され、塔の上部内に穏やかな混合作用を引き起こすために、ピンパドル(pin paddle)が好ましく用いられる。
【0026】
本発明で用いられる塔は、底部と上部で異なる直径をもつように設計されるのが好ましく、それゆえ、それは上部のより狭い部分と底部のより広い部分を含む。上部の直径の好適な範囲は、0.1〜0.5 DB、好ましくは0.2〜0.4 DB (ここで、DBは底部の直径である) である。その結果、塔の本体には、塔の上部と底部を結合する移行部6が設けられる。
【0027】
工程(a)の水流は、塔の底部に供給されるか、あるいは、上記の移行部6に対応する塔4に供給され得る。ポリオレフィンペレットを含む水流は、好ましくは、上記の移行部6の壁に接する方向に沿って、ライン3を経て塔4へ導入される。ペレットは、一旦塔4に導入されると、水に比べて該ポリマーの低い密度のために、塔4の上部の狭い部分に沿って、上方へ流れる。反対に、ライン3を経て塔に入る水の大部分は、塔の底部に沿って下方へ流れ、ライン7を経て排出される。
【0028】
塔4に沿って上方へ流れたペレットは、冷却水の降下流と対向して接し、それはペレットの表面の結晶化を引き起こす。それらの結晶化の間に、ポリマーペレットは硬くなり、粘着性を失う。冷却水は、ライン8を経て塔4の頂部に供給され、塔に沿って下降し、ポンプ9および冷却装置10を通り、連続的に塔頂部へ再循環される。10〜40℃の範囲の温度に冷却されていれば、ライン8は冷却システムの使用を必要としない。なぜなら、所望の冷却のレベルは、あらゆる工場設備の現場で通常に利用される周囲温度で、水との単純な熱交換により達成され得るからである。この方法の形態は、消費電力および投資費用の点から、かなりの利点を示す。反対に、ポリマーペレットを大きなタンクの内部で水と接触させる先行技術の方法は、水を約0〜10℃の温度に強烈に冷却するための冷却システムを必要とする。
【0029】
塔内部のペレットの「拡散」の度合は、ライン8に設置されたフローコントローラー(FC)11により制御される。したがって、塔頂部の狭い部分の内部におけるポリマー床の所望の「拡散」の度合を得るために、冷却水の下降速度は制御される。塔内部のポリマーペレットの上記の「拡散」の度合の制御は、塔の狭い部分に沿って異なる高さに設置されたのぞき窓を通して、視覚によってなされ得る。
【0030】
塔4の内部のポリマーペレットの滞留は、差圧セルを経てレベルコントローラー(LC)により測定され、調整される。ポリマーと水の間の密度の差を利用すること、およびペレットと水を含む円柱の重量と水のみを含む同じ円柱の重量とを比較することにより、LC 12は塔内部のポリマーの滞留を測定する。ライン7に設けられたコントロールバルブ13の開閉操作により、LC 12は、塔4から排出される水の流れを調整することができる。このようにして、塔内部でのポリマー滞留を所望の値で維持する。その結果、処理されるポリマーのタイプにより、適当な滞留時間で塔を運転することができ、その滞留時間は処理の間、一定に保たれる。
【0031】
ポリマーペレットが塔頂に達すると、それらはライン14を経て塔からオーバーフローする。しかしながら、ライン3を経て塔に入る水の大部分は、ライン7を経て排出されるので、ペレットと一緒に塔頂に達する水の量は、劇的に減少する。かくして、ペレットを乾燥するために必要な装置の大きさおよび費用を最小にできる。上記の少量の水およびポリマーペレットは、ライン14を経て遠心乾燥機15に供給される。
【0032】
乾燥されたポリマーペレットは、ライン16を経て、遠心乾燥機15から排出され、一方、水は分離され、ライン17を経て切断水タンク18に移される前に、遠心乾燥機の底に集められる。ライン7を経て塔の底から排出される水も、切断水タンクに流れる。切断水タンク18から、適当な量の水が、ライン19を経てポンプ20に連続的に供給され、切断システム2に再循環される前に、冷却装置21で冷却される。
【実施例】
【0033】
次の実施例は、本発明の代表的なものであって、本発明の範囲を限定するものではないことを考慮されなければならない。
【0034】
実施例
実施例1〜3において、図1に記載された工程設備が用いられる。
塔4は、上部の直径が底部の直径よりも小さいように設計される。塔の上の狭い部分は0.12 mの直径および約4.0 mの高さを有し、一方、塔の底部は約0.4 mの直径および約0.8 mの高さを有する。
塔内部のペレットの「拡散」の度合は、ライン8に設置されたフローコントローラー(FC)11により制御される。冷却水の下降速度は、塔4の頂部の狭い部分の内部で、約56容量%のポリマーペレットの「拡散」の度合を達成するために、2 cm/sの値で維持される。
【0035】
塔4の内部のポリマーペレットの滞留は、レベルコントローラー(LC)12により調整される。処理されるポリマーペレットのタイプにより、塔内部のペレットの適当な滞留時間が実施例1〜3において選択される。
ペレットの滞留時間τは、ポリマーの滞留とライン14を経て塔から排出されるポリマーの量との比である。
本発明の方法のポリマーペレットの粘着性を防ぐ有効性は、ライン14(塔と遠心乾燥機とを結合している)上、および遠心乾燥機(ライン15)からの出口でのペレットの凝集レベルをチェックする、視覚によって評価される。
【0036】
実施例1
約20 g/10 分(ASTM D1238、条件190℃/2.16 kg)のメルトフローインデックスMIEを有するブテン-1ホモポリマーが、ブテン-1の液相重合により製造される。重合方法および触媒の失活は、バセル・ポリオレフィン・イタリアに譲渡された特許出願WO 04/000895の記載に従って行なわれる。重合反応器から得られたポリマー溶液からの未反応ブテン-1の除去は、バセル・ポリオレフィン・イタリアに譲渡された特許出願WO 04/000891に記載された溶融揮発成分除去により行なわれる。
揮発成分除去工程から回収されたブテン-1溶融物が、ポリマーの配合に必要とされる添加剤を混合するために、静電気混合機(static mixer)中に導入される。次に、静電気混合機に存在するポリマー溶融物が、ライン1を経て、Werner & Pfleiderer水中ペレット作製機2に供給され、ペレットに切断される。
50 kg/hのポリマーペレットおよび2.8 m3/hの水を含む水流が、約50℃の温度で水中ペレット作製機から連続的に排出される。その結果、水/ペレットの重量比は56である。次いで、上記の流れは、ライン3を経て塔4に導入される。
【0037】
30℃の温度で、約0.814 m3/hの冷却水が、ライン8を経て塔頂部に導入され、ポンプ9および冷却装置10を通って、塔の底から頂部へ連続的に再循環される。約2.5 m3/hの水が、塔の底部から排出され、ライン7を経て切断水タンクに連続的に移される。一方、50 kg/hのポリマーペレットおよび約0.3 m3/hの水を含む水流が、ライン14を経て塔頂からオーバーフローする。このライン中の水/ペレットの重量比は6である。次いで、上記の水流は、遠心乾燥機15に供給される。
LC 12は、約4.17 kgの値で、塔4内部のポリマー滞留を維持する。それゆえ、塔の内部のペレットの滞留時間τは約5分間(τ=4.17 kg/50 kg/h)である。
乾燥された50 kg/hのポリマーペレットが、ライン16を経て遠心乾燥機15から回収され、0.3 m3/hの水が、乾燥機15の底から排出され、次いで、ライン17を経て切断水タンク18に移される。
切断水タンク18から2.8 m3/hの水が、ポンプ20および冷却装置21を通って水中ペレット作製機に連続的に再循環される。
ペレット凝集の無視できるレベルが、ライン14上および遠心乾燥機からの出口で見られた。
【0038】
実施例2
3重量%のエチレンを含み、約45 g/10 分のMIEを有するブテン-1コポリマーを製造するために、実施例1で示されたのと同じ液相重合法が用いられる。
50 kg/hのポリマーペレットおよび2.8 m3/hの水を含む水流が、本発明の方法により処理される。塔4内部のポリマー滞留が約8.33 kgの値に増加し、それにより塔内部のペレットの滞留時間が約10分間(8.33 kg/50 kg/h)である点を除いて、実施例1と同じ運転条件が採用される。
ペレット凝集の無視できるレベルが、ライン14に沿って、また遠心乾燥機からの出口で見られた。
【0039】
実施例3
50重量%のエチレンを含み、約5 g/10 分のMIEを有する50 kg/hのプロピレンコポリマーが、本発明の方法により処理される。
塔4内部でのポリマーの滞留が約8.33 kgの値に増加し、それにより塔内部の滞留時間が約10分間(8.33 kg/50 kg/h)になる点を除いて、実施例1と同じ運転条件が採用される。
ペレット凝集の無視できるレベルが、ライン14上および遠心乾燥機からの出口で見られた。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】工程設備を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ライン
2 切断システム
3 ライン
4 塔
5 撹拌機
6 移行部
7 ライン
8 ライン
9 ポンプ
10 冷却装置
11 フローコントローラー
12 レベルコントローラー
13 コントロールバルブ
14 ライン
15 遠心乾燥機
16 ライン
17 ライン
18 切断水タンク
19 ライン
20 ポンプ
21冷却装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程:
(a) 塔にポリオレフィンペレットを含む水流を供給すること、
(b) 上記のポリオレフィンより高い密度を有する冷却剤の下方への流れによって、上記のポリオレフィンペレットを、上記の塔に沿ったそれらの上方への流れの間に冷却すること、
(c) 2〜20分の塔中での滞留時間の後に、上記の塔頂から冷却されたペレットを回収すること
を含む、新たに製造されたポリオレフィンペレットの凝集を最小にするための連続的な方法。
【請求項2】
工程(a)の水流が水中ペレット化工程から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)の水流が40〜70の水/ペレットの重量比でポリオレフィンペレットを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)の水流が30〜60℃の範囲の温度を有する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
上記の塔が、塔の軸に沿う撹拌機を備えた垂直塔である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記の塔が、
上部のより狭い部分、
底部のより広い部分および
上部と底部を結合する移行部
を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記の上部の直径が0.1〜0.5 DB(ここで、DBは底部の直径である)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)の水流が上記の塔の底部から供給される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
工程(a)の水流が、塔の上部と底部を結合する上記の移行部に供給される、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
工程(a)の水流が、塔壁に接する方向に沿って上記塔に供給される、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
工程(a)で塔に入る水の大部分が、塔に沿って昇ることなく、塔の底に設置された出口から排出される、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
上記の滞留時間が5〜12分の間に含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記の塔の内部のポリマー滞留が差圧セルの手段により測定されて調整される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
上記の冷却剤が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
水が10〜40℃の間の温度で上記の塔頂部に供給される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
水が上記の塔に沿って0.5〜4.0 cm/sの速度で下方へ流れる、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
水が1.0〜3.0 cm/sの速度で下方へ流れる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
冷却されたペレットを含む水流が工程(c)で塔頂から回収される、請求項1〜17のいずれか1つに記載の方法。
【請求項19】
工程(c)が、塔頂からペレットをオーバーフローさせることにより行なわれる、請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
工程(c)の水流が、3〜10の水/ペレットの重量比でペレットを含む、請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
工程(c)の水流が乾燥工程へ供給される、請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法。
【請求項22】
乾燥工程が遠心乾燥機中で行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
乾燥工程で分離された水が、冷却されて水中ペレット化工程へ再循環される、請求項1〜22のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−527288(P2006−527288A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515799(P2006−515799)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005748
【国際公開番号】WO2004/111111
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】