説明

ポリマーマトリックスと、その中に埋め込まれた顆粒とを含む複合材料

【課題】ポリマーマトリックスと、その中に埋め込まれた顆粒とを含む複合材料を提供する。
【解決手段】本発明は、1種類以上のポリマーを含むポリマーマトリックスと、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を好ましくは埋め込まれた後に有する、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた顆粒とを含む複合材料、そのような複合材料の製造方法、および断熱材料としての使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1種類以上のポリマーを含むポリマーマトリックスと、好ましくは埋め込まれた後に、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた顆粒または形状物(shapes)とを含む複合材料、そのような複合材料の製造方法、および断熱材料としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱材の最先端は、多孔質コア材料(例えば、圧縮されたヒュームドシリカ(Aerosil)、繊維マット、または連続気泡発泡体)を気密シート材料で覆い、次に排気を行うことによって製造された真空断熱パネル(VIP)である。これらのパネルにより、優れた断熱性(DIN 52 612に準拠して10℃で測定して熱伝導率<3.5×10−3W・m−1・K−1が実現可能である)が可能となるが、気密シートが損傷した場合には断熱効果は大きく低下する。したがって、パネルは、特定の所望の寸法で製造し、保護された方法で取り付ける必要がある(http://www.va-q-tec.com/)。さらに、シートは一般に、有限の障壁密封品質を有するため、断熱効果が事実上経年劣化する。
【0003】
逆に、硬質ポリウレタン発泡体は非常に良好な加工品質を有する。この材料から製造された断熱板は、任意の大きさに切断することも、充填すべき空隙の中にこの発泡体を直接製造することもできる。後者の方法は、特に冷凍設備(冷蔵庫)の場合、一般的である。しかし、これらの断熱特性は、最小熱伝導率が約20×10−3W・m−1・K−1に到達するため、真空断熱の断熱特性よりもはるかに低い(http://www.waermedaemmstoffe.com/)。
【0004】
近年注目されているエネルギー効率および気候保護の話題との関連から、特に冷凍設備の製造者の間で、特にVIPを使用した改善された断熱性による効率性を顕著に向上させる革新的な解決法に関心が高まっている。現在議論されている解決法では、VIPと硬質PU発泡体との併用が想定されており、すなわち内部ライナーと外部シート−鋼外皮との間の空隙にパネルを挿入し、周囲をPUで発泡させる。この方法で、確立された冷蔵庫の製造方法の極めて大部分が維持されうる(http://www.appliancedesign.com/Articles/Article_Rotation/BNP_GUID_9-5-2006_A_10000000000000893355)。
【0005】
建物の断熱材との関連では、VIPの使用は、それらを適切な大きさに切断することができず、気密外層が損傷するとその効果が失われ、さらに断熱板は種々の大きさおよび形状が必要となるので、実質的により大きな問題である。さらに、建築部門では、寿命に対する要件が一般にはるかに厳しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的の1つは、真空断熱パネルの非常に優れた断熱性と、ポリウレタン発泡体に定評のある多岐にわたる加工可能性とを併せ持つ断熱材料を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、排気された顆粒または(一般に)形状物が中に埋め込まれたポリマーマトリックスによってこの目的が達成されることが分かった。
【0008】
したがって本発明は、1種類以上のポリマーを含むポリマーマトリックスと、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた顆粒および/または形状物とを含む複合材料を提供する。
【0009】
同様に、本発明は、ポリマーマトリックスを製造するための材料が、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する顆粒および/または形状物と混合され、この混合物から顆粒が埋め込まれたポリマーマトリックスが得られる、本発明の複合材料の製造方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明は、本発明の複合材料または本発明により得ることができる複合材料の断熱材料としての使用、および本発明の複合材料または本発明による得ることができる複合材料を含む物品を提供する。
【0011】
本発明の複合材料は、実質的に想定可能な任意の形状および大きさで製造可能であるという利点を有する。さらに、本発明の複合材料は、良好な特有の断熱特性を大きく損なうことなく、任意の所望の大きさおよび形状に切断することができる。したがって、本発明の複合材料は、従来技術で周知の真空断熱パネルよりも実質的に多岐にわたる方法で使用することができ、同時に純粋なPU発泡体断熱材料よりも良好な断熱性を得ることができる。
【0012】
本発明の複合材料はさらに、18×10−3W・m−1・K−1未満の熱伝導率(DIN 52 612に準拠して10℃で測定)を有するという利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の複合材料、それらの製造方法、およびそれらの使用は、以下の例により説明されるが、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定されることを意図するものではない。以下に化合物の範囲、一般式、または種類が示される場合、明示される化合物の対応する範囲またはグループのみを含むのではなく、個別の値(範囲)または化合物を抽出することで得ることができる化合物のすべての部分的な範囲および部分的なグループをも含むべきことを意図している。本発明の説明の文脈中で文献が引用される場合、それらの内容、特に言及される実質的な主題に関する内容は、その全体が本発明の開示内容の一部を形成することを意図している。以下に平均値が示される場合、特に明記しない限り、問題となる平均は数値平均である。以下にパーセントの単位で数値が示される場合、特に明記しない限り、問題となるパーセント値は質量%である。
【0014】
本発明の複合材料は、1種類以上のポリマーを含むポリマーマトリックスと、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた顆粒または形状物とを含むことを特徴としている。減圧は、好ましくは500mbar未満、好ましくは0.001〜200mbar、より好ましくは0.1〜100mbarである。複合材料中の顆粒の質量分率は、好ましくは20質量%〜99質量%、より好ましくは50質量%〜90質量%である。顆粒または形状物は、1種類以上の有機材料および/または1種類以上の無機材料から実質的になってもよい。本明細書において「実質的」という表現は、顆粒の全質量を基準として少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%の質量%の分率を意味することを意図している。顆粒は、好ましくは、無機材料、より具体的には酸素含有化合物または金属もしくは半金属の塩から実質的になる。好ましい酸素含有化合物は、酸化アルミニウムもしくはアルミノケイ酸塩、または二酸化ケイ素もしくはシリカ、より具体的にはヒュームドシリカもしくは沈降シリカである。特に好ましい顆粒は、ヒュームドシリカおよび/または好ましくは沈降シリカの圧縮粉末から実質的になる。さらに、例えば、SiC、カーボンブラック、黒鉛、酸化鉄、またはTiOなどの種々の不透明化剤を単独または組み合わせで、好ましくは1質量%〜30質量%、より好ましくは5質量%〜10質量%(顆粒または粉末の質量を基準とする)の比率で含んでもよい。不透明化剤が存在することで、放射熱伝導の減少が達成されうる。さらに機械的安定化の目的で、顆粒または形状物は、例えばガラス、セラミック、またはポリマー繊維などの繊維、および造粒プロセスの助剤、例えばバインダーも含んでもよい。
【0015】
顆粒は、好ましくは平均粒度d50が50μm〜100mm、好ましくは100μm〜50mm、より好ましくは0.5mm〜20mmである(DIN 66165-2に準拠して測定される)。最大充填量を得るためおよび/または加工性を改善するために、例えば二峰または三峰分布などの特定の分布の粒度分布を使用すると有用となり得る。造粒プロセスに依存したある顆粒形状およびサイズ分布を有する顆粒の代わりに、画定された形状、例えば球形または立方体の形状物を使用することもできる。この場合、顆粒の平均粒度に関する対応する範囲が、空間の三方向での好ましい寸法に関して適用される。
【0016】
顆粒または形状物のそれぞれの個別の粒子が少なくとも1つの空隙を有することが本発明にとって重要である。形態的な観点から、問題となる空隙は、例えば中空球の場合のように固体材料で囲まれた1つの空隙を含んでもよいし、複数の分離し密閉された孔隙を含んでもよいし、あるいは開放孔および/またはチャネルの網目を含んでもよい。顆粒粒子または形状物は、好ましくは圧縮粉末から実質的になり、そのため個別の一次粒子の間で開放孔系が維持される。非常に細かく粉砕されるか、さらにはナノ構造を有する粉末を使用して、対応して微細構造の孔隙系が得られることが特に好ましい。使用される好ましい粉末または材料は、BET表面積が5m/gを超え、より好ましくは50m/g〜1000m/g(ISO 9277に準拠する)である。
【0017】
ポリマーマトリックス中に存在する顆粒は、好ましくは多孔度Φ、すなわち顆粒粒子の全体積に対する閉鎖された空隙の体積の比が50%〜99.9%、より好ましくは75%〜99%である。閉鎖された空隙を有する顆粒または顆粒粒子または形状物の全体積は、好適な液体、例えば水またはエタノールで置換される体積を求めることによって求めることができる。閉鎖された空隙の体積は、顆粒固体体積を全体積から減じることによって求めることができる。固体体積は、固体材料の密度が既知である場合には求めた質量から容易に計算することができ、さもなければ全体積を測定した顆粒を平均粒度d50が20μmとなるまでミルまたは乳鉢を使用して粉砕し、得られた粉末の体積または密度を測定する。
【0018】
顆粒粒子または形状物中に存在する空隙は、適切な材料で構成される気体不透過性障壁によって周囲環境に対して閉鎖されうる。密閉孔隙を有する顆粒粒子または形状物の場合、この障壁機能を有するのは、一般に顆粒粒子の材料自体である。開放孔を有する顆粒または形状物の場合、個別の各粒子が、有利に、顆粒または成形体の母材と異なっていてよい好適な材料で覆うことによって封入される。この材料は、例えばプラスチック、金属、ガラス、またはこれらの物質の組み合わせから選択してもよい。空隙または孔隙系内部の減圧をできるだけ長く維持するためには、障壁が金属またはガラス状化合物、好ましくはガラス、またはプラスチック−ガラス複合材料で構成される場合に有利となりうる。ガラス、特にケイ酸塩ガラスでできた障壁によって、またはプラスチック−金属複合材料、好ましくは金属化プラスチックシート材料によって、周囲環境から空隙が閉鎖されることが特に好ましい。
【0019】
空隙/孔隙の内部に閉じ込められる気体雰囲気は、1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である。減圧は、好ましくは500mbar未満、好ましくは0.001〜200mbar、より好ましくは0.1〜100mbarである。気体の圧力は、以下の技法によって測定することができる:全体積Vgranuleを有するある測定された量の顆粒粒子を、空の容積Vtest chamberを有する画定された気密空間中で破壊する。顆粒粒子の破壊前のPから顆粒粒子の破壊後のPまでのこの空間内での気体の圧力の変化に基づき、事前に顆粒の孔隙中に存在する圧力Pporeは、次式により求めることができる:
pore=[P(Vtest chamber−Vgranule(1−Φ))−P(Vtest chamber−Vgranule)]/[VgranuleΦ]。
【0020】
別の方法の1つは、水中(または粒子を非常に効果的にぬらす別の液体中)で粒子を破壊し、放出された気体の体積を集めることである。
【0021】
気体雰囲気の組成は任意である。空気とは異なる組成を有する気体雰囲気の使用が好ましい。気体組成物は、好ましくは明確に設定され、低熱伝導率が実現されるように選択される。好ましくは、ここで観察すべき2つの異なるパラメーターが存在する:第1は、気体組成物の気相熱伝導率であり、第2は気体分子の自由行程長である。低気相熱伝導率を有する好ましい気体は、例えば、CO、3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−、およびn−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンなどの典型的な推進剤ガスである。しかし微細構造の孔隙系および低い気体圧力の場合には、気相熱伝導率が、気体の組成から予想される値よりも低下する場合がある。この効果はクヌーセン(Knudsen)効果と呼ばれる。これは、気体分子の自由行程長が、気体の存在する孔隙の直径よりも大きい場合に生じる。この場合、気体分子と孔隙の壁との衝突が、気体分子同士の衝突よりも起こりやすくなる。これは、気体分子同士の衝突が全体的に抑制される程度まで進行しうる。衝突が起こらなければ、熱エネルギーの移動が起こらず、気相の熱伝導が停止する。熱伝導率とは対照的に、気体分子のモル質量が減少するとともに自由行程長は長くなる。したがって、これらの気体のクヌーセン効果が、実際には高い熱伝導率よりも重要となる場合には、水素、ヘリウム、メタン、アンモニア、水、またはネオンなどのモル質量の小さい気体を、例えば顆粒粒子または形状物の孔隙中の断熱ガスとして使用すると有利となりうる。
【0022】
顆粒粒子または形状物が埋め込まれるポリマーマトリックスは、発泡させなくてもよいし、発泡させてもよい。ポリマーマトリックスは好ましくはポリマー発泡体マトリックスである。これは、発泡させていないポリマーよりも断熱性能をさらに向上させることができ、使用されるポリマー材料および添加剤に依存するが、発泡したポリマーマトリックスは同じポリマー材料の未発泡のポリマーマトリックスよりも可撓性が高くなりうるという利点を有する。ポリマーマトリックスがポリマー発泡体マトリックスである場合、このポリマー発泡体は、連続気泡構造または独立気泡構造であってよい。ポリマー発泡体マトリックスは、好ましくは独立気泡ポリマー発泡体マトリックスである。
【0023】
ポリマーマトリックスは、任意の周知のポリマーを個別にまたはブレンド中に含んでもよい。ポリマーマトリックスは、好ましくは発泡性ポリマーを含む。ポリマーマトリックス中に存在し得る、特に好ましいポリマーは、例えばポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)から選択される。特に好ましいポリマーマトリックスは、硬質PURまたはPIRの発泡体を含むマトリックスである。ポリマー発泡体マトリックスを製造するためには、例えば、RIM(反応射出成形)法または押出成形法などの一般的な製造方法を使用することができる。
【0024】
顆粒に関して既に記載しているように、ポリマーマトリックスはまた不透明化剤を含み得る。この種類の不透明化剤はまた、例えばカーボンブラック、TiO、黒鉛、またはSiCから選択することができ、ポリマーマトリックス中の不透明化剤の性質および比率は、顆粒中の不透明化剤とは異なっていてもよい。ポリマーマトリックスの全質量を基準とした不透明化剤の比率は、好ましくは0.5質量%〜30質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%である。
【0025】
発泡ポリマーマトリックスの孔隙中に存在する気相は、顆粒粒子または形状物の空隙および/または孔隙中の気相とは組成および圧力が異なっていてよい。ポリマーマトリックス中の気泡ガスは、使用された発泡剤によって実質的に決まる。これらは、物理発泡剤および化学発泡剤の両方であってよい。好ましい発泡剤は、気相熱伝導率が空気の気相熱伝導率よりも低い発泡剤である。本発明の目的に好適な物理発泡剤は、気体、例えば液化CO、および揮発性液体、例えば3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−および、n−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHFC 245fa、HFC 134aおよびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン(飽和および不飽和)、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンである。
【0026】
本発明の複合材料は、種々の方法で製造することができる。本発明の好ましい複合材料は、後述の本発明の方法によって得ることができる複合材料である。
【0027】
本発明の複合材料を製造するための本発明の方法は、ポリマーマトリックスを製造するための材料が、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する顆粒および/または形状物と混合され、この混合物から顆粒または形状物が埋め込まれたポリマーマトリックスが得られることを特徴とする。
【0028】
使用される顆粒または形状物は、好ましくは、粉末形態であり前述の組成および性質を有する前駆体から製造される。この目的のためには、任意の一般的な造粒および錠剤化の手順、例えば、流動床造粒、圧縮、および任意選択による粉砕、または適切な場合には分散用液体および/または追加のバインダーなどを使用して低圧押出成形などを使用することができる。これらの方法で得ることができる顆粒および形状物は、多くの場合開放孔を有する。本発明において重要である減圧を孔隙系内で得るために、顆粒/形状物は好ましくは外部の減圧および/または高温に曝露され、これらの条件下で気体不透過性の障壁層が設けられる。室温以下で封入される場合、障壁層が形成される圧力(減圧)は、好ましくは500mbar未満、より好ましくは0.001〜200mbarである。障壁層が形成されるときに高温が使用される場合には、封入された顆粒を冷却すると内圧がさらに低下するため、そのような程度まで圧力を下げる必要はない。
【0029】
障壁層は、障壁層に関して上述した材料を使用して製造することができる。空隙は好ましくは、ガラスの障壁によって周囲環境に対して閉鎖される。製造は好ましくは、顆粒材料または顆粒の周辺領域中の追加の添加剤の表面の溶融によって行われる。あるいは、障壁材料の溶融物を、開放孔を有する多孔質顆粒の表面に塗布することができ、この溶融物は後に固化する。塗布は、例えば、スプレーまたはナイフコーティングによって溶融物を顆粒に塗布することによって、または顆粒を溶融物中に浸漬することによって塗布してもよい。溶融物の固化は、単に室温まで冷却することによって行ってもよい。
【0030】
顆粒粒子を封入する他の方法は、例えばシラン、または硬化性ポリマーの使用による化学反応性の封止方法である。このためには、顆粒粒子をカプセル材料の液体配合物中に浸漬してもよいし、前記配合物を顆粒上に注いだり、顆粒上への吹き付けにより塗布してもよいし、あるいは他の方法により前記配合物で顆粒の表面を濡らしてもよい。化学反応性封入材料の代わりに、熱可塑性ポリマーの溶融物を使用してもよい。
【0031】
可能性のある第3の方法は、顆粒粒子を気密シートで覆う方法である。このためには、拡散障壁として薄い金属層を含む多層ポリマーシートの使用が好ましい。シートのカプセルを閉じるためには、シートを接着接合または溶接してもよい。2段階または多段階の工程で前述の封入方法を組み合わせて使用すると有利となりうる。
【0032】
しかしながら、顆粒の封入は絶対に必要なものではない。本発明にとって重要な顆粒粒子の空隙中の減圧は、減圧下でポリマーマトリックス中に顆粒を埋め込む作業全体を実施することによって確実とすることもでき、但し、これは、外部のポリマーマトリックス自体が十分に気密の障壁を形成し、製造後の複合材料が標準的な外部気圧に曝露するときに、顆粒中を減圧に維持できることが条件である。この実施形態の別の一変形は、化学反応またはゲッター物質によって顆粒粒子中の空隙中に減圧を発生させることである。次に埋め込みは標準圧力で行ってもよいが、顆粒粒子の空隙内の内圧は、化学反応または気体分子の吸収の結果として、埋め込まれた後に低下する。例えば、顆粒を酸化カルシウムと混合し、空隙内の気相を二酸化炭素で置換し、顆粒を直ちにポリマーマトリックス中に埋め込んでもよい。この後、数日で、酸化カルシウムが二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムを形成することで、空隙内の気圧が自然に低下する。
【0033】
ポリマーマトリックスを製造するための材料として、1種類のポリマーもしくはポリマー混合物、または1種類以上のポリマーを生成するための反応物を使用することができる。使用される顆粒/形状物、および使用されるポリマー、および/またはそれらの出発物質の量は、得られる複合材料が好ましいものとして前述した顆粒/形状物の質量分率を有するように選択されることが好ましい。
【0034】
本発明の方法が、ポリマーマトリックスまたはその一部を製造するための材料が少なくとも部分的に液体凝集状態にあり、かつ、この液相が顆粒と混合される、少なくとも1つの方法工程を含む場合に有利となりうる。ポリマーと顆粒または形状物との混合作業を促進するために、好適な溶媒中に溶解させることによって、または溶融させることによって、ポリマーを液体または流体の状態に変化させる場合に有利となりうる。混合作業後、溶融温度より低温まで冷却することによって、および/または溶媒を除去することによって、ポリマーマトリックスを固化させる。あるいは、顆粒との混合作業は、ポリマーマトリックスを生成する出発化合物の段階で行ってもよく、すなわちモノマーまたはプレポリマー化合物を使用して行ってもよい。その場合、ポリマーマトリックスは、重合反応または架橋反応によって直接複合材料になる。ポリマーマトリックスが熱硬化性樹脂のグループに属する場合に、この変形が好ましい。本発明の方法のさらなる一実施形態においては、顆粒または形状物は、同様に粒状のポリマーと混合される。その場合、一体となって複合材料を形成することは、通常加熱によって行われ、それによりポリマーが溶融または少なくとも軟化し、顆粒と接着接合する。
【0035】
本発明の方法は、発泡の方法工程を含む場合に有利となりうる。発泡は、機械的/物理的におこなっても化学的に行ってもよい。機械的/物理的発泡の場合、空気またはガス、またはガス混合物が気体の形態で粘稠ポリマー組成物中に導入され、この粘稠ポリマー組成物を続いて硬化させると、導入した気体またはガス/ガス混合物がポリマー組成物の気泡中に閉じ込められる。ポリマー発泡体は、ポリマー組成物を1種類以上の発泡剤と混合することによって物理的に得ることもでき、これらの発泡剤は、加熱すると液体または固体の凝集状態から気体に変化し、それによって同様に発泡体が形成される。好適で周知の発泡剤は、例えば、ペンタンなどの室温で液体の炭化水素である。本発明の組成物が追加の発泡剤を含む場合、それらは物理発泡剤または化学発泡剤であってよい。本発明の目的に好適な物理発泡剤は、気体であり、例えば液化CO、および揮発性液体、例えば、3〜5個の炭素原子を有する炭化水素、好ましくはシクロ−、イソ−、およびn−ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfc、ハイドロフルオロクロロカーボン、好ましくはHCFC 141b、ギ酸メチルおよびジメトキシメタンなどの酸素含有化合物、またはハイドロクロロカーボン、好ましくは1,2−ジクロロエタンである。発泡体を化学的に生成することが可能であり、例えば、重合温度で気体となる化合物を重合中に形成することで可能である。典型的な化学発泡剤の1つは、例えば水であり、これは、縮合反応に基づく重合反応中に形成される。水以外に、他の化学発泡剤を使用してもよい。ポリウレタン発泡体を製造する場合、例えば水またはギ酸などの、使用されるイソシアネートと反応し、そのときに気体を発生する発泡剤が使用される。
【0036】
発泡ポリウレタンマトリックスを有する複合材料の例を用いて、本発明の方法の種々の変形について、より詳細に議論する。発泡ポリウレタンは、一般に、高度に架橋した熱硬化性樹脂であり、水、エタノール、またはアセトンなどの一般的な溶媒に対して可溶性ではなく、溶融性(分解なしには)でもない。したがって、顆粒との混合は、好ましくはモノマーおよび/またはプレポリマー化合物の段階で既に行われる。断熱発泡体を製造するためのポリウレタン系は、一般に、2つの成分(A)および(B)を特徴とし、第1の成分は、ポリオール成分(A)と呼ばれる反応性水素原子を有する化合物で構成され、第2の成分(B)は1つ以上のイソシアネートを有する。従来の助剤および補助剤は、ポリオール成分(A)中に配合してもよいし、別に計量供給してもよい。顆粒または形状物は、好ましくはポリオール成分と、イソシアネート成分と、または特に好ましくはこれらの成分の新しい反応混合物と混合される。記載の最初の2つの場合は、顆粒および形状物を、成分(A)または(B)の中にあらかじめ分散させる必要があり、次にこの分散体を第2の成分と均質に混合する必要があるため、顆粒の側の充填量が少なく小さな粒径の場合にのみ好適である。(A)成分および(B)成分の新しい反応混合物中に顆粒/形状物を混入する好ましい場合では、大きな粒径を問題なく処理することができる。反応混合物中への顆粒/形状物の混入は鋳型(mold)に移す前に行ってもよく、さもなければ顆粒/形状物は、中空の鋳型中に充填剤または充填物として投入され、液体の発泡性反応混合物によって、浸透させるか、または粒子の周囲を発泡させる。断熱板を製造する場合、二重輸送ベルト(double transport belt)法によるポリウレタン断熱板の製造と類似の連続方法も考えられる。その場合、顆粒/形状物は、ポリウレタン反応混合物の塗布の前または後のいずれかの下部の最上層の上に分散させて、個別の粒子の周囲を発泡させることができる。この場合、複合材料は、ポリウレタンを形成する架橋を伴う重付加反応によって硬化される。
【0037】
ポリウレタン系の典型的な組成物を以下により詳細に説明する。
【0038】
ポリオール成分(A)として、断熱発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができ、その例は、ポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。ポリエーテルポリオールは、多価アルコールまたはアミンをアルキレンオキシドと反応させることによって得ることができる。ポリエステルポリオールは、好ましくは多塩基カルボン酸(通常はフタル酸またはテレフタル酸)と多価アルコール(通常はグリコール)とのエステルを主成分とする。
【0039】
(ポリ)イソシアネート成分(B)として、絶縁発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができ、その例は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。MDIと、平均官能基数が2〜4である高度に縮合したMDI類似体との混合物が特に好適であり、この混合物は「ポリメリックMDI」(「クルードMDI」)と呼ばれる。
【0040】
配合物の指数として表されるイソシアネートとポリオールとの好適な比は、50〜500の範囲内、好ましくは100〜350の範囲内に定められる。本明細書においてはこの指数は、実際に使用されるイソシアネートと計算されるイソシアネート(ポリオールとの化学量論反応の場合)との比を表す。指数100は、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0041】
助剤および添加剤として、触媒、気泡安定剤(cell stabilizer)、発泡剤、難燃剤、充填剤、染料、および光安定剤などの断熱発泡体の配合物に一般的な化合物を使用することができる。
【0042】
本発明の目的に好適な触媒は、例えば、ゲル反応(イソシアネート−ポリオール)、発泡反応(イソシアネート−水)、またはイソシアネートの二量体化もしくは三量体化を触媒する物質である。典型的な例は、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテルなどのアミン類、ジブチルスズジラウレートなどのスズ化合物、ならびに酢酸カリウムおよび2−エチルヘキサン酸カリウムなどのカリウム塩である。使用に好適な量は、触媒の種類によって左右され、100重量部のポリオールを基準として、カリウム塩の場合で典型的には0.05〜5重量部、または0.1〜10重量部の範囲内に定められる。
【0043】
好適な気泡安定剤は、例えば有機界面活性剤、または好ましくはシリコーン界面活性剤(ポリエーテル−ポリジメチルシロキサンコポリマー)などの界面活性物質などである。ポリエーテルシロキサン気泡安定剤の典型的な使用量は、100重量部のポリオール当たり0.5〜5重量部、好ましくは100重量部のポリオール当たり1〜3重量部である。
【0044】
発泡性配合物は、化学発泡剤としての水と混合してもよいが、その理由は、水はイソシアネートと反応して、プロセス中に二酸化炭素ガスを発生するからである。本発明の目的のための好適な水の量は、水に加えて、物理発泡剤も使用されるか否かに依存する。純粋に水で発泡させる場合、含水量は、好ましくは100重量部のポリオール当たり1〜20重量部であり;他の発泡剤が追加で使用される場合、または発泡が減圧下で行われる場合、使用量は、好ましくは100重量部のポリオール当たり0.1〜5重量部の水まで減少する。好適な物理発泡剤についてはすでに明記している。
【0045】
建物の断熱のための断熱発泡体は、防火基準の影響下にあり、好ましくは難燃性にする必要がある。原理上は、従来の任意の難燃剤が好適となる。難燃剤として好ましく使用されるものは、液体有機リン化合物、例えば、リン酸トリエチル(TEP)などのハロゲンを含有しない有機ホスフェート、リン酸トリス(1−クロロ−2−プロピル)(TCPP)およびリン酸トリス(2−クロロエチル)(TCEP)などのハロゲン化ホスフェート、もしくはメタンホスホン酸ジメチル(DMMP)、プロパンホスホン酸ジメチル(DMPP)などの有機ホスホネート、またはポリリン酸アンモニウム(APP)または赤リンなどの固体が好ましい。さらに、難燃剤として好適なものは、例えばハロゲン化ポリオールなどのハロゲン化化合物、ならびに膨張性黒鉛およびメラミンなどの固体である。
【0046】
本発明における典型的なポリウレタンまたはポリイソシアヌレート断熱発泡体配合物により、5〜50kg/mの密度が得られ、以下の組成を有する。
【0047】
【表1】

【0048】
本発明の配合物は、当業者に周知の任意の方法、例えば手動混合手順、または好ましくは高圧発泡装置によって、硬質発泡体に処理することができる。
【0049】
封入された顆粒の周囲を発泡させることの代替法の1つとして、封入されていない顆粒を使用することもでき、その場合、減圧下で独立気泡硬質発泡体に対して周囲全体を発泡させる作業が行われる。このためには、顆粒は、気密閉鎖された中空鋳型中に入れられ、この鋳型には真空ポンプと、高圧発泡装置の混合ヘッドとが取り付けられる。中空鋳型が所望の圧力まで排気されてから、発泡装置を使用して液体ポリウレタン反応混合物を鋳型中に注入する。反応混合物は顆粒粒子間の空隙に入り込み、発泡し始め、膨張した発泡体が顆粒粒子を覆う。ポリウレタン発泡体が硬化した後に複合材料が得られ、これは、顆粒中の空隙中だけでなく、発泡体の気泡中も減圧となる。したがって、発泡体の機械的強度は、収縮を示すことなく圧力差(内圧と外部空気圧との間)に耐える十分な高さであるべきである。このためには、一般的に言えば、必要な発泡体の密度は、ポリウレタン断熱発泡体の通常の密度よりも高い。顆粒の周囲を発泡させるための圧力は、好ましくは200mbar未満、より好ましくは100mbar未満であり、したがって標準圧力に対する圧力差は少なくとも0.8bar、より好ましくは0.9bar以上である。
【0050】
発泡剤の種類および量を減圧発泡に適合させることもさらに必要である。このバッチ鋳型発泡と同様に、二重ベルト法における断熱版または自由膨張(freely risen)スラブストック発泡体の連続製造方法を想定することもでき、その製造ライン全体が減圧室に入れられる。このようなラインの構成は、減圧下で可撓性発泡体の製造に一般的な「VPF法」によって得てもよい。
【0051】
さらなる一例として、発泡ポリスチレンマトリックスを有する複合材料の製造についてより詳細に議論する。この場合、ポリマーマトリックスに好ましい出発物質は、発泡剤が混入されたポリスチレンの顆粒、好ましくは封入された顆粒を含む。これらの発泡性ポリスチレン顆粒は、埋め込まれる顆粒または形状物と混合する。続いて顆粒混合物を、好ましくは所望の形状を有する中空鋳型中で加熱すると、ポリスチレンが膨張して発泡体を形成し、同時にそれ自体および埋め込まれた顆粒と接着接合して、密着した成形物を形成する。
【0052】
使用される顆粒の量、ならびに使用されるポリマーおよび/またはその出発物質の量は、得られる複合材料が好ましいとして前述した顆粒の質量を有する、および/または好ましいものとして前述した質量比を有するように選択されることが好ましい。
【0053】
本発明の複合材料は、特に断熱材料として使用してもよい。この断熱材料は、好ましくは、建物の断熱、空間、空中、開水面、および/または陸地の乗り物の断熱、または冷却もしくは加熱システムの部品、および組立体の断熱に使用される。本発明の複合材料は、冷凍設備および温水貯蔵庫中の断熱材料として使用でき、これらの場合では充填する空隙において隙中に直接製造できるという利点を有する。同様に、建築の目的の形材の充填にも使用され、その例は、窓枠または戸枠、ローラーシャッター部品、組み立て式の門(sectional gate)などである。さらに、本発明の複合材料は、パイプライン(例えば局所および地域の加熱ライン)の断熱に使用できる。
【0054】
本発明の対応する物品の特有の特徴の1つは、それらが本発明の複合材料を含むことである。
【0055】
以下に示す実施例では、本発明を例に基づいて説明するものであり、本発明(その範囲は、全体の説明および特許請求の範囲から明らかである)が、実施例において明記される実施形態に限定されることを意図するものでは全くない。
【実施例】
【0056】
実施例1:顆粒の製造
80重量%のAEROSIL(登録商標)200(Evonik Industries AGのヒュームドシリカ、BET表面積200m/g)、15重量%のAROSPERSE 15(Orion Engineered Carbonsのサーマルカーボンブラック)、および5重量%のガラス繊維(ガラス繊維スライザー(slither)、約12mmの繊維長)を均質混合する。この混合物を0.6gずつ直径2cmの円筒形圧縮鋳型中に入れ、液圧プレスによって圧縮して、それぞれ高さ1cmの錠剤を形成する。錠剤の密度は約200kg/mとなる。
【0057】
実施例2:排気した顆粒の封入
実施例1で製造した錠剤を、2枚の金属化シート(PET外層、アルミニウム障壁層、およびPE内装を有するTOYOの多層積層体)の間に配置することによって金属化シートで覆い、続いて、錠剤周囲で環状にこの2枚を互いに熱溶接する。環状の溶接線内には、小さな間隙が開いたままであり、これに管を介して油回転スライド真空ポンプ(oil-sealed rotary slide vacuum pump)を取り付ける。真空ポンプによって、錠剤を10分間排気し、次に真空下でフィルムの開口部を溶接し、それによって錠剤を気密的に閉鎖すする。フィルムの突出する周辺部を溶接線のところまで切り取る。
【0058】
実施例3:封入された顆粒および発泡ポリウレタンマトリックスからの複合材料の製造
使用したポリマーマトリックスは、表1による硬質ポリウレタン発泡体配合物とした。
【0059】
【表2】

【0060】
ポリウレタンの発泡作業は、手動混合手順で行った。ポリオール、アミン触媒、水、気泡安定剤、および発泡剤をビーカー中に量り取り、プレートスターラー(直径6cm)を用いて1000rpmで30秒間混合した。再計量することによって、混合作業中に蒸発した発泡剤の量を求め、この量を再び加えた。次にMDIを加え、反応混合物を3000rpmにおいて上記スターラーで5秒間撹拌し、次に45℃に温度調節され、50cm×25cm×5cmの寸法を有し、かつポリエチレンフィルムでライニングされたアルミニウム鋳型に直ちに移した。ここで使用した発泡体配合物の量は、少なくとも鋳型を満たすのに必要な量よりも15%多い量であった。10分後、発泡体の板を鋳型から取り外した。帯鋸を使用して、50cm×25cm×0.5cmの寸法のスライスをこの板から切り取った。このスライスを、これもポリエチレンフィルムでライニングされたアルミニウム鋳型の底部に配置し、前述のように製造し減圧下で封入した錠剤を、3層中のスライスの上部に配置し、それぞれを互いにぴったりと配置した。最初の発泡作業と同じ方法で、撹拌することによってポリウレタン反応混合物を再び調製し、次に鋳型の蓋が開いた状態で錠剤の上に注ぎ、直ちに蓋を閉じた。さらに10分の硬化時間の後、完成した複合材料を鋳型から取り出した。
【0061】
得られた複合材料の板を帯鋸で20cm×20cm×5cmの大きさに切断し、Hesto HLC-A90熱伝導率計を用いてこの試験片の熱伝導率を測定した。測定値は15.8×10−3W・m−1・K−1であった。この値は硬質ポリウレタン発泡体の値よりも十分低い。比較のため、同じ調合であるが埋め込まれた顆粒を用いずに製造した硬質ポリウレタン発泡体の板の測定を行った。その熱伝導率は22.5×10−3W・m−1・K−1であった。
【0062】
実施例4:減圧において封入されていない顆粒を硬質ポリウレタン発泡体で覆うことによる複合材料の製造
使用したポリマーマトリックスは、表2による硬質ポリウレタン発泡体配合物とした。
【0063】
【表3】

【0064】
MK12/18ULP-2KVV-G-80-I混合ヘッドを有するKraussMaffei RIM-Star MiniDos高圧発泡装置を使用して、ポリウレタン発泡手順を実施した。ポリオール、触媒、水、および気泡安定剤を秤量し、十分に混合して、混合物として装置の作業用容器中に移した。原材料(ポリオール混合物およびイソシアネート)を35℃に加熱し、圧力はポリオールの場合130bar、イソシアネートの場合140barであり、全排出速度は200g/sであった。45℃に温度調節され、50cm×25cm×5cmの寸法を有し、さらに、中央の注入孔と側方の真空ポンプ接続部(スクリーンによって発泡体の浸出が防止される)とを有する気密閉鎖された蓋が取り付けられたアルミニウム鋳型は、ポリエチレンフィルムでライニングおよび密封され、混合ヘッドは気密的に注入孔中に配置され、中空の鋳型は、真空制御装置を有する膜真空ポンプを使用して200mbarまで排気した。発泡装置によってポリウレタン反応混合物を鋳型中に注入し、この反応混合物の量は、鋳型を少なくとも充填するのに必要な量よりも15%多い量であった。10分後、発泡体の板を鋳型から取りだした。帯鋸を使用して子の板から50cm×25cm×0.5cmの寸法の2つのスライスを切り取った。1つのスライスを、これもポリエチレンフィルムでライニングされたアルミニウム鋳型の底部に配置し、前述のように製造した未封入錠剤を、3層中のスライスの上部に配置し、それぞれを互いに密接に配置した。両面接着テープを使用して第2のスライスを鋳型の蓋に取り付け、注入孔を切り取った。鋳型を密閉し、3サイクルのそれぞれで10分間排気し、二酸化炭素を供給した。その後、再び200mbarまで排気し、10分後、最初の発泡作業と同じ方法で、ポリウレタン反応混合物を注入した。さらに10分間の硬化時間の後、完成した複合材料を鋳型から取り出した。
【0065】
得られた複合材料の板を帯鋸で20cm×20cm×5cmの大きさに切断し、Hesto HLC-A90熱伝導率計を用いてこの試験片の熱伝導率を測定した。測定値は17.9×10−3W・m−1・K−1であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種類以上のポリマーを含むポリマーマトリックスと、周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する、前記ポリマーマトリックス中に埋め込まれた顆粒と、を含む、複合材料。
【請求項2】
前記減圧が500mbar未満、好ましくは0.001〜200mbarであることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記空隙が、ガラス状化合物またはプラスチック−金属複合材料で構成される障壁によって前記周囲環境に対して閉鎖されることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
前記ポリマーマトリックスが独立気泡ポリマー発泡体マトリックスであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項5】
前記ポリマー発泡体が硬質ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート発泡体であることを特徴とする、請求項4に記載の複合材料。
【請求項6】
前記顆粒が、5m/gを超える、より好ましくは50m/g〜1000m/gのBET表面積(ISO 9277に準拠する)を有する材料から実質的に製造されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項7】
前記顆粒が、ヒュームドシリカまたは沈降シリカの圧縮粉末から実質的になることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合材料。
【請求項8】
ポリマーマトリックスを製造するための材料が、前記周囲環境に対して閉鎖され、かつ、内部が1bar(100kPa)の標準圧力に対して減圧である少なくとも1つの空隙を有する顆粒と混合され、この混合物から前記顆粒が埋め込まれたポリマーマトリックスが得られることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項9】
使用される前記顆粒が、開放孔多孔質顆粒を減圧に曝露し、それに空気または気体不透過性の障壁層を提供することによって製造されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
封入されていない開放孔の多孔質顆粒が減圧に曝露され、これらの条件下でポリマーマトリックス中に埋め込まれ、前記ポリマーマトリックスが前記埋め込まれた顆粒を気密的に覆い、前記複合材料が標準空気圧に曝露されたときに前記顆粒空隙中の減圧が維持されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料の製造方法。
【請求項11】
ポリマーマトリックスを製造するための前記材料が、ポリマーもしくはポリマー混合物であるか、または前記ポリマーを生成するための反応物であることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
発泡の方法工程を含むことを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
断熱材料としての請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料の使用。
【請求項14】
前記断熱材料が、窓、扉、およびローラーシャッターボックスなどの建物の断熱のため、空間、空中、開水面、および/または陸地の乗り物の断熱、パイプラインの断熱のため、または冷却もしくは加熱装置の部品もしくは組立品、冷凍設備、温水/冷却液の貯蔵庫、水泳用プールの覆い、および水泳用プールの断熱システムの断熱のために使用されることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合材料を含むことを特徴とする物品。

【公開番号】特開2013−67796(P2013−67796A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−205357(P2012−205357)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】