説明

ポリマー及びフォトレジスト組成物

【課題】スピロサイクリックオレフィンポリマー、スピロサイクリックオレフィンポリマーの調製方法、スピロサイクリックオレフィン樹脂バインダーを含むフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】重合単位としての1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー及び任意に1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーを含むポリマーであって、そのスピロサイクリックオレフィンモノマーがオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合されているポリマーであり、更に、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーとパラジウム(II)重合触媒、ニケッル(II)重合触媒及びフリーラジカル重合触媒から選択される1以上の触媒を接触させる工程を含む、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを重合して、重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含むポリマーの形成法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にフォトレジスト組成物に有用なポリマー組成物に関する。特に、本発明は、フォトレジスト組成物におけるバインダーとして有用なスピロサイクリックオレフィン単位を含むポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、基体への画像の転移に使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層は基体上で形成され、それから、フォトレジスト層は、フォトマスクを通して活性化放射線ソースに露光される。そのフォトマスクは、活性化放射線に対し非透過性の領域と活性化放射線に対し透過性の他の領域を有する。活性化放射線の露光により、フォトレジストコーティングは光誘起による化学変換を受け、それによりフォトマスクパターンがフォトレジストを塗布された基体へ転移する。露光に引き続き、フォトレジストは現像され、基体の選択的処理を許容するレリーフイメージが提供される。
【0003】
フォトレジストは、ポジ型又はネガ型のいずれかであり得る。大部分のネガ型フォトレジストにとって、活性化放射線で露光されたコーティング層部分は、光活性化合物及びフォトレジスト組成物の重合剤との反応において重合し又は架橋する。結果的に、その露光されたコーティング部分は、未露光部分よりも現像溶液に対する溶解性が減少する。ポジ型フォトレジストについては、未露光領域が現像液に対する溶解性が比較的少ないまま残るのに対し、露光部分は現像溶液に対し溶解性が増大する。一般に、フォトレジスト組成物は、少なくともレジンバインダー成分及び光活性剤を含む。
【0004】
より最近は、化学増幅型レジストの使用が、特にサブミクロン画像の形成及び他の高性能用途において増加している。斯かるフォトレジストはネガ型又はポジ型であってもよく、一般に、光生成酸の単位当たり多くの架橋形成(ネガ型レジストの場合)又はの脱保護反応(deprotection reaction)(ポジ型レジストの場合)が含まれる。化学増幅されたポジ型レジストの場合には、ある種のカチオン光重合開始剤が、フォトレジストバインダーのペンダントである特定の「ブロッキング」基の開裂又はフォトレジストバインダー骨格に含まれる特定の基の開裂を誘導するのに使用されていた。例えば、米国特許第5、075、199号;4、968、581号;4、810、613号;及び4、491、628及びカナダ特許出願第2、001、384号に開示がある。斯かるレジストのコーティング層の露光を通してブロッキング基の開裂に際しては、極性官能基、例えば、カルボキシル又はイミド基が形成されレジストコーティング層の露光及び未露光領域における異なる溶解特性が生ずる。更に、R.D.アレン等のSPIEの会報,2724:334−343(1996);P.トーマス等の第11回フォトポリマー国際学会会報(Soc.of PlasticsEngineers)、44−58頁(1997年、10月6日)の開示を参照。
【0005】
現在入手可能なフォトレジストは多くの用途に適してはいるが、現在のレジストは、特に、高度に解像した0.5ミクロン以下の及び0.25ミクロン以下の像の形成等を必要とする高性能用途には著しい欠陥をも提示する。
【0006】
従って、約250nm以下あるいは更に約200nm以下、例えば、248nm(KrFレーザーにより提供)又は193nm(ArF露光ツールにより提供)の露光放射線をはじめとする短波長放射線でフォト画像形成することができるフォトレジストに、関心が高まってきている。そのような短い露光波長を使用することによりより細かい像の形成を可能にすることができる。従って、248又は193nm露光で充分解像された画像を生じさせるフォトレジストは、より小さな次元の回路パターンの恒常的な工業的要求、例えば、より大きな回路密度及び向上したデバイス性能を提供するためのより小さな次元の回路パターンの要求に応える著しく小さな(例えば0.25ミクロン以下の)像の形成を可能にすることができた。
【0007】
しかしながら、現在ある多くのフォトレジストは、一般にI−ライン(365nm)及びG−ライン(436nm)露光のような比較的長波長において画像形成するように設計されており、一般に248nm及び193nmのような短波長における画像形成には不向きである。特に、今までのレジストは、これらのより短い波長での露光に際し(いかなる画像であれ、現像可能あれば)劣悪な解像度を示す。これらの中でも、現在あるフォトレジストは248nm及び193nm等の極めて短い露光波長に対し、非常に非透過性になり得るので、それにより結果的に劣悪に解像された画像を生ずる。短波長露光に対する透過性を向上させる努力は、劇的な画像解像度の悪化を引き起こす可能性のある基体接着性又は膨潤性等の他の重要な性能特性に悪影響を及ぼし得る。
【0008】
環状モノマー単位、特に官能基を含有するものは、それがレジンバインダー骨格に導入されたとき、レジンバインダーに様々な特性を付与する。レジンバインダー骨格に導入された無水物は、膨潤性を減少させるのに役立つ。例えば、バークレイ等のフォトレジストの水性ベース現像に対するポリマー構造による影響、Polym.Prepr.(米国化学会、ポリマーケミストリー部門)、1999年、第40(1)巻、438−439頁は、(メタ)アクリルポリマー等のフォトレジストレジンバインダーの中に無水イタコン酸を導入することを開示している。しかしながら、斯かる無水物は、アルコール又は他の溶媒、特に少量の水が混入した溶媒の存在下で加水分解が引き起こされ得る。
【0009】
そのようなレジンバインダーの膨潤は、ポリマー骨格内の高い割合の環状モノマー、特に官能性基を含有する環状モノマーを含むバインダーの使用を通して、なおいっそう減少又は排除し得るものである。これを達成する取り組みの一つは、ポリマーの調製において環状モノマーだけを使用することである。しかしながら、この取り組みには、特に、環状モノマーが酸無水物等の電子吸引基を含むとき、斯かる環状モノマーを重合することが困難であるという難点を有している。特に、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物は、容易に重合できない。
【0010】
例えば、WO99/42510は、種々の官能基を含有するノルボルニルモノマーからなる樹脂であり、フォトレジスト組成物に有用な樹脂を開示している。この特許出願は、多環式ポリマーを製造する方法及び重合するのが難しい官能性をポスト重合官能化によってポリマー中に導入する方法を目的にしている。斯かるポスト重合処理は、アミド等の窒素含有基、及びアルコール及びカルボン酸等の水酸基含有基としての重合が困難な官能性を含むモノマーの使用を回避する。ポスト重合官能化は、保護された官能性を含有する環状モノマーを使用し、その官能性の保護を解除してフリーの官能基を与え、それからフリーの官能基を反応させてポスト官能化された部分を付与することによって達成される。本発明の欠点は、ポリマーレジンの嵩が変化して、ポリマーが結果的に収縮するなど多くの余分の工程が要求され、その製造に多大の時間とコストが付加されることである。
【0011】
無水五員環に縮合したノルボルネン環から構成されるトリサイクリックのノルボルネニルモノマーを含有するポリマーは、WO99/42510に開示されている。しかし、スピロサイクリックモノマーは、その特許出願には開示されていない。丸善石油株式会社の日本特許公開公報平10−310640号は、ラクトン及びイミド基を含有するものを含む多種類のスピロサイクリックオレフィンモノマーを開示している。スピロポリイミドも開示されているが、そのようなポリイミドはイミド基の窒素基を介してポリマー骨格に結合している。この特許出願はスピロサイクリックオレフィンモノマーのオレフィン炭素を介してポリマー骨格に結合しているスピロサイクリックモノマー単位を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,075,199号明細書
【特許文献2】米国特許第4,968,581号明細書
【特許文献3】米国特許第4,810,613号明細書
【特許文献4】米国特許第4,491,628号明細書
【特許文献5】カナダ特許出願公開第2,001,384号明細書
【特許文献6】国際公開第99/42510号パンフレット
【特許文献7】特開平10−310640号公報
【特許文献8】米国特許第5,366,846号明細書
【特許文献9】米国特許第3,954,475号明細書
【特許文献10】米国特許第4,442,197号明細書
【特許文献11】米国特許第4,603,101号明細書
【特許文献12】米国特許第4,624,912号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】R.D.アレン等、SPIEの会報、2724:334−343(1996)
【非特許文献2】P.トーマス等、第11回フォトポリマー国際学会会報(Soc.of PlasticsEngineers)、44−58頁(1997年、10月6日)
【非特許文献3】バークレイ等、フォトレジストの水性ベース現像に対するポリマー構造による影響、Polym.Prepr.(米国化学会、ポリマーケミストリー部門)、1999年、第40(1)巻、438−439頁
【非特許文献4】グリフィニー、ヘテロサイクルズ、1981年、第16巻、ナンバー5、775〜788頁
【非特許文献5】マシュウー等、官能基を有するノルボルネン誘導体の付加重合用の(η3−アリル)パラジウム(II)及びパラジウム(II)ニトリル触媒、マクロモレキュールズ、1996年、第29巻、2755〜2763頁
【非特許文献6】ヨウンキン等、ヘテロアトムに耐性の中性、単一成分ニッケル(II)ポリオレフィン触媒、サイエンス、2000年1月21日、第287巻、460〜462頁
【非特許文献7】ワカバヤシ等、日本化学会誌、1969年、第42巻、2924〜30頁
【非特許文献8】ジャーナルオブフォトポリマーサイエンスアンドテクノロジー、1991年、第4巻、ナンバー3、337〜340頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、短波長で画像形成でき、膨潤性が減少したレジンバインダーを含み、公知のフォトレジスト組成物よりも優れた基体接着性を有するフォトレジスト組成物を持つことが望ましい。嵩保持性(mass persistence)を有し、わずかの反応で又はわずかの変換で調製され得るレジンバインダーを含むフォトレジスト組成物を得ることは、更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、スピロサイクリックモノマーを含むポリマーが開環重合を使用することなしに、 容易に入手し得ることが見出された。また、驚くべきことに、電子吸引性官能基を有する環状モノマーをはじめとする環状モノマーを高い割合でポリマー骨格内に有するレジンバインダーが調製され得ることが見出された。更に、驚くべきことに、斯かるスピロサイクリックレジンバインダーは重合単位として、モノマーのオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合するスピロサイクリックモノマーを含んでいることが見出された。
【0016】
一態様として、本発明は、重合単位としての1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー及び任意に1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーを含むポリマーであって、そのスピロサイクリックオレフィンモノマーがオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合されているポリマーを提供する。
【0017】
第二の態様においては、本発明は、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーとパラジウム(II)重合触媒、ニッケル(II)重合触媒及びフリーラジカル重合触媒から選択される1以上の触媒を接触させる工程を含む、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを重合して、重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含むポリマーの形成法を提供する。
【0018】
第三の態様においては、本発明は、重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー、および任意の1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーを含むレジンバインダー、及び光活性成分を含むフォトレジスト組成物であって、そのスピロサイクリックオレフィンモノマーがオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合されている組成物を提供する。
【0019】
第四の態様においては、本発明は、上記したフォトレジスト組成物のコーティング層を塗布し;そのフォトレジストコーティング層をパターン付けられた活性放射線に露光し;露光されフォトレジストコーティング層を現像してフォトレジストレリーフイメージを提供する工程を含む、フォトレジストレリーフイメージを形成する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書を通じて、特段の断りがない限り、次の略語は下記の意味を有する:℃=摂氏度;g=グラム;mol=モル;mol%=モルパーセント;w/w=基準重量あたりの重量;mmol=ミリモル;ml=ミリリッター;mm=ミリメーター;nm=ナノメーター;Ar=アリール;及びsec=秒。
【0021】
「レジン」及び「ポリマー」の用語は、本明細書を通して互換的に用いられる。「アルキル」の用語は、直鎖、分岐鎖及び環状アルキルを意味する。「ハロゲン」及び「ハロ」の用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。従って、「ハロゲン化」の用語は、フッ素化、塩素化、臭素化及びヨウ素化の意味に用いられる。「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマーの双方を意味する。「(メタ)アクリレート」の用語は、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味する。同様に、「(メタ)アクリル」の用語は、アクリル及びメタクリル双方を意味する。特記しない限り、全ての量は重量パーセントであり又全ての割合は重量基準である。全ての数字範囲は、両端の値を含む。
【0022】
本発明は、重合単位としての1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含むポリマーを提供する。ここで使用される「スピロサイクリック」の用語は、慣用的な意味を有し、即ち、2以上の環を有する如何なる化合物をも表し、その二つの環は共通の一個の環炭素を有するものである。「スピロサイクリックオレフィン」は、二重結合を有するいかなるスピロサイクリック化合物をも意味する。「スピロサイクリックオレフィンモノマー」は、重合可能ないかなるスピロサイクリックオレフィンをも意味する。
【0023】
本発明のポリマーは、モノマーの総重量基準にして1から100重量パーセントの一以上のスピロサイクリックモノマーを含有する。従って本発明のポリマーは、スピロサイクリックオレフィンモノマーのホモポリマー又はコポリマーであってよい。当業者であれば、いかなるエチレン性不飽和モノマー、アセチレン性不飽和モノマー又はそれらの混合物は、本発明のスピロサイクリックオレフィンモノマーと共重合されてもよいことを認識するであろう。斯かるエチレン性モノマー若しくはアセチレン性モノマー又はそれらの混合物は、モノマーの総重量基準で1から99パーセントの範囲の量で本発明のポリマー中に存在してもよい。
【0024】
いかなるスピロサイクリックオレフィンモノマーも、本発明のポリマーに有用である。スピロサイクリックオレフィンモノマーの少なくとも一つの環は5から7員環であることが好ましく、より好ましくは、双方のスピロサイクリック環とも5から7員環である。本発明に用いられる好ましいスピロサイクリックオレフィンモノマーは次式(I)のものが含まれる。
【化1】

[式中、A=O、S、CH及びNR;R=フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;G=C(Z’)、O,S及びNR;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;E及びWは、C(Z’)、O、NR及び化学結合より独立に選択される;Z’=O又はS;n=0〜3;m=0〜2;m’=0〜2;l=0〜5;及びp=0〜5;但し、l+p=3〜5;但し、A=O、S又はNRのとき、n=1;ここで、T及びLは一緒になって、二重結合又は5〜8員不飽和環から選択される。]
【0025】
T及びLが一緒になって5〜8員不飽和環を形成する本発明の好ましいスピロサイクリックモノマーには、次式Iaのものが含まれる。
【化2】

[式中、A、E、W、G、l、m、n及びpは上記で定義された通りである。]
【0026】
本発明のスピロサイクリックオレフィンモノマーは、次式Ibの構造を有することが好ましい。
【化3】

[式中、A,E、W、G、l、m、n及びpは、上記で定義された通りである。]
【0027】
より好ましくは、スピロサイクリックオレフィンモノマーは、次式Icの構造を有する。
【化4】

[式中、A,E、W、G、l、m、n及びpは、上記で定義された通りである。]
【0028】
更に好ましくは、nは1又は2である。更にまた好ましくは、AはCHである。また、好ましくは、mは0又は1である。
【0029】
「置換フェニル」は、1以上の水素が他の置換基で置き換えられたフェニル環を意味する。「置換ベンジル」は、1以上の水素が他の置換基で置き換えられたベンジル基を意味する。好ましい置換基には、シアノ、ハロ、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、(C−C)ジアルキルアミノ及び(C−C)アルキルチオ等が含まれるが、これらに限定されない。本発明に有用なスピロサイクリックオレフィンモノマーは、任意に置換されてもよい。置換とは、環炭素上の1以上の水素が1以上の置換基で置き換えられているものを意味する。好適な置換基には、(C−C12)アルキル、フェニル、置換フェニル、(C−C12)アルコキシ、(C−C10)アルカリール、(C−C)パーハロアルキル及びハロゲンが含まれる。好ましい置換基は、(C−C12)アルキルであり、より好ましくは(C−C)アルキルであり、最も好ましくは(C−C)アルキルである。
【0030】
好ましいスピロサイクリックオレフィンモノマーは、少なくとも一つのスピロサイクリック環の中に電子吸引基を含有するものである。ここで用いられているように、電子吸引基を含有するスピロサイクリックオレフィンモノマーには、環原子としてカルボニル、チオカルボニル、オキサ、メルカプト、アミノ、置換アミノ、アミド等を有する化合物を含むよう意図されている。好適な電子吸引基には、酸無水物、チオ無水物、ラクトン、チオラクトン、イミド、チオイミド、ラクタム及びチオラクタムが含まれるが、これらに限定されない。電子吸引基は、酸無水物、ラクトン、イミド及びラクタムが好ましく、酸無水物及びラクトンは、より好ましい。斯かる電子吸引基は、スピロ炭素に対しα位であることが更に好ましい。
【0031】
好適なスピロサイクリックオレフィンモノマーとしては、スピロサイクリックノルボルネニルモノマー、スピロサイクリックシクロヘキセンモノマー、スピロサイクリックシクロペンテンモノマー及びこれらの混合物があげられるが、これらに限定されるわけではない。好適なスピロサイクリックノルボルネニルモノマーとしては、次式II及びIIIのような5員スピロサイクル環を有するものがあげられる。
【化5】

[式中、Z=CH、C(O)、C(S)、O又はS;X及びYは、CH、C(O)、C(S)、O又はNRから独立して選ばれる;及びR=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;但し、少なくとも一つのX、Y及びZはC(O)又はC(S)から選ばれる;及びここで、スピロサイクリックモノマーは、任意に置換される。]
【0032】
式II及び式IIIの好ましいスピロサイクリックノルボルネニルオレフィンモノマーは、ZがC(O)であり、より好ましくはZがC(O)であり、Xが酸素である。斯かるエキソモノマーの重合は相当するエンドモノマーの重合より早いと信じられているので、エキソ位置にカルボニル又はチオカルボニルを有するスピロサイクリックノルボルネニルオレフィンモノマーはある種の重合において好ましい。従って、例えば、式IIのスピロサイクリックノルボルネニイルオレフィンモノマーは、ZがC(O)又はC(S)のとき、好ましい。
【0033】
本発明に有用なスピロサイクリックオレフィンモノマーは、一般的に文献において知られている。例えば、グリフィニー、ヘテロサイクルズ、1981年、第16巻、ナンバー5、775〜788頁は、種々のスピロサイクリックオレフィンイミドを開示し、斯かる化合物の製造に関し、この文献は本明細書の一部として参照される。
【0034】
一般に、本発明のスピロサイクリックオレフィンモノマーは、エキソ二重結合を含有する環状炭化水素とブタジエン、置換ブタジエン、シクロペンタジエン又は1,3−シクロヘキサジエン等のシクロジエン、又は置換シクロジエンとのディールスアルダー反応によって調製されることができる。そのような反応は、次の反応式によって図示される。
【化6】

【0035】
本発明で使用されるエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーは、本発明のスピロサイクリックオレフィンモノマーと共重合する如何なるものでもよい。1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーは本発明のスピロサイクリックオレフィンモノマーと共重合されてもよいことを、当業者なら認識しているであろう。本発明のポリマーに有用なエチレン性及びアセチレン性モノマーの総量は、モノマー総重量に基づいて1〜99重量パーセントであり、好ましくは10〜95重量パーセントであり、更に好ましくは20〜90重量パーセントであり、更により好ましくは60〜90重量パーセントである。
【0036】
好適なエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、ビニル芳香族モノマー、窒素含有化合物及びそれらのチオ類似化合物、置換エチレンモノマー、環状オレフィン、置換環状オレフィン等が含まれるが、しかしこれらに限定はされない。
【0037】
本発明に有用なアルキル(メタ)アクリレートは、典型的には(C−C24)アルキル(メタ)アクリレートである。適当なアルキル(メタ)アクリレートとしては、「ローカット(low cut)」アルキル(メタ)アクリレート、「ミッドカット(mid cut)」アルキル(メタ)アクリレート及び「ハイカット(high cut)」アルキル(メタ)アクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
「ローカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的には、アルキル基が1から6の炭素原子を含むものである。適当なローカットアルキル(メタ)アクリレートには、メチルメタクリレート(「MMA」)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート(「BMA」)、ブチルアクリレート(「BA」)、イソブチルメタクリレート(「IBMA」)、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
「ミッドカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的にはアルキル基が7から15の炭素原子を含むものである。適当なミッドカットアルキル(メタ)アクリレートには、2−エチルヘキシルアクリレート(「EHA」)、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート(「IDMA」、分岐(C10)アルキル異性体混合物に基づく)、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレートとしても知られる)、トリデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート(ミリスチルメタクリレートとしても知られる)、ペンタデシルメタクリレート及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特に有用な混合物としては、ドデシル−ペンタデシルメタクリレート(「DPMA」)、ドデシル、トリデシル、テトラデシル及びペンタデシルメタクリレートの直鎖及び分岐鎖の異性体の混合物;及びラウリル−ミリスチルメタクリレート(「LMA」)があげられる。
【0040】
「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートは、典型的にはアルキル基が16から24の炭素原子を含むものである。適当なハイカットアルキル(メタ)アクリレートは、ヘキサデシルメタクリレート、ヘプタデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、ノナデシルメタクリレート、コシルメタクリレート、エイコシルメタクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。特に有用なハイカットアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヘキサデシル、オクタデシル、コシル及びエイコシルメタクリレートの混合物であるセチル−エイコシルメタクリレート(「CEMA」);及びヘキサデシル及びオクタデシルメタクリレートの混合物であるセチル−ステアリルメタクリレート(「SMA」)があげられるが、これらに限定されない。
【0041】
上記のミッドカット及びハイカットのアルキル(メタ)アクリレートは、一般的に工業品質の長鎖脂肪族アルコールを使用して標準エステル化操作により製造され、これらの商業的に入手可能なアルコールは、アルキル基が10から15又は16から20の炭素原子を含む鎖長の間で変動するアルコールの混合物である。これらのアルコールの例は、ビスタケミカルカンパニーの種々のチーグラー触媒によって製造されるアルフォール(ALFOL)アルコール、即ち、アルフォール1618及びアルフォール1620、シェルケミカルカンパニーのチーグラー触媒によって製造される種々のネオドール(NEODOL)アルコール、即ち、ネオドール25L及びプロクターアンドギャンブル社のTA−1618及びCO−1270等の天然物由来のアルコールである。結果的に、本発明の目的のためには、アルキル(メタ)アクリレートは、個々の名称のアルキル(メタ)アクリレート製品ばかりでなく、アルキル(メタ)アクリレートと大勢を占める量の特定の名称のアルキル(メタ)アクリレートとの混合物をも含むことが意図されている。
【0042】
本発明に有用なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単一モノマーでもよいし、アルキル部分に異なる数の炭素原子を有するものの混合物であってもよい。また、本発明に有用な(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、任意に置換されてもよい。任意に置換された、適当な(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、ヒドロキシ(C−C)アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C−C)−アルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノ(C−C)アルキルメタアクリルアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
特に有用な置換アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、アルキル基に一つ以上の水酸基を有するもの、特にアルキル基のβ位(2の位置)に 水酸基が見出されるものである。置換アルキル基が分岐又は非分岐の(C−C)アルキル基であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。好適なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーには、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(「HEA」)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−プロピル−アクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシ−エチル−アクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、HEMA、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びそれらの混合物である。後者の二つのモノマーの混合物は、一般に「ヒドロキシプロピルメタクリレート」又はHPMAと呼ばれている。
【0044】
本発明に有用な他の置換(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーは、アルキル基中にジアルキルアミノ基又はジアルキルアミノアルキル基を有するものである。斯かる置換(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドの例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジメチル−アミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチルメタクリルアミド、N,N−ジ−エチルアミノエチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルメタクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1,3−ジフェニル−1−エチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1−メチル−1−フェニル−3−オキソブチル)メタクリルアミド、及び2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アミノエチルエチレンウレアのN−メタクリルアミド、N−メタクリロキシエチルモルフォリン、ジメチルアミノプロピルアミンのN−マレイミド及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本発明に有用な他の置換(メタ)アクリレートモノマーは、γ−プロピルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルトリ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C−C)アルキル(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルジ(C−C)アルコキシ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニル(C−C)アルコキシジ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C−C)アルキルシリル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物等のシリコン含有モノマーである。
【0046】
本発明の不飽和モノマーとして有用なビニル芳香族モノマーには、スチレン(「STY」)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ビニル芳香族モノマーには、また、ハロゲン化誘導体、即ち、フッ素、塩素又は臭素等の1以上のハロゲン基を含む誘導体;及びニトロ、シアノ、(C−C10)アルコキシ、ハロ(C−C10)アルキル、カルブ(C−C10)アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(C−C10)アルキルアミノ誘導体等のそれらの相当する置換相対物が含まれる。
【0047】
本発明の不飽和モノマーとして有用な窒素含有化合物及びチオ類似化合物には、2−ビニル−ピリジン又は4−ビニルピリジン等のビニルピリジン;2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、及び2−メチル−3−エチル−5−ビニル−ピリジン等の低級アルキル(C−C)置換N−ビニルピリジン;メチル置換キノリン及びイソキノリン;N−ビニルカプロラクタム;N−ビニルブチロラクタム;N−ビニルピロリドン;ビニルイミダゾール;N−ビニルカルバゾール;N−ビニルスクシンイミド;(メタ)アクリロニトリル;o−,m−,又はp−アミノスチレン;マレイミド;N−ビニルオキサゾリドン;N、N−ジメチルアミノエチル−ビニル−エーテル;エチル−2−シアノアクリレート;ビニルアセトニトリル;N−ビニルフタルイミド;N−ビニル−チオ−ピロリドン、3−メチル−1−ビニル−ピロリドン、4−メチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−1−ビニル−ピロリドン、3−エチル−1−ビニル−ピロリドン、3−ブチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、4,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、5,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドン、4−エチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−5−エチル−1−ビニル−ピロリドン及び3,4,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドン等のN−ビニルピロリドン;ビニルピロール;ビニルアニリン;及びビニルピペリジンが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本発明において不飽和モノマーとして有用な置換エチレンモノマーには、酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、臭化ビニリデン、無水イタコン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明に有用な好適な環状オレフィンモノマーは、たとえばシクロペンテン、シクロペンタジエン、ジシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、ノルボルネン、無水マレイン酸等の(C−C10)環状オレフィンである。好適な置換環状オレフィンモノマーには、ヒドロキシ;アリールオキシ;ハロ;(C−C12)アルキル;(C−C12)ハロアルキル;(C−C12)ヒドロキシアルキル;(CHn’C(CFOH、ここでn’=0〜4、等の(C−C12)ハロヒドロキシアルキル;(C−C12)アルコキシ;チオ;アミノ;(C−C)アルキルアミノ;(C−C)ジアルキルアミノ;(C−C12)アルキルチオ;カルボ(C−C20)アルコキシ;カルボ(C−C20)ハロアルコキシ;(C−C12)アシル;(C−C)アルキルカルボニル(C−C)アルキル等から選択される1以上の置換基を有する環状オレフィンが含まれるが、これらに限定されない。特に好適な置換環状オレフィンには、1以上のヒドロキシ、アリールオキシ、(C−C12)アルキル、(C−C12)ハロアルキル、(C−C12)ヒドロキシアルキル、(C−C12)ハロヒドロキシアルキル、カルボ(C−C20)アルコキシ及びカルボ(C−C20)ハロアルコキシを有する無水マレイン酸及び環状オレフィンが含まれる。当業者であれば、アルキル及びアルコキシ置換基は任意にハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、(C−C)アルコキシ、メルカプト、(C−C)アルキルチオ、アミノ、酸レイビル脱離基等と置換されてもよいことを認識するであろう。
【0050】
好適なカルボ(C−C20)アルコキシ置換基には、式C(O)O−LG、[ここで、LGはカルボキシル基と直接に結合される少なくとも一つの第4級炭素原子を持つ4以上の炭素原子を有する脱離基である]のものが含まれるが、これらに限定されない。好適な脱離基には、イソブチル、2,3−ジメチルブチル、2,3,4−トリメチルペンチル及び脂環式脱離基が含まれるが、これらに限定されない。好適な脂環式脱離基には、アダマンチル、メチルアダマンチル、エチルアダマンチル、メチルノルボルニル、エチルノルボルニル、エチルトリメチルノルボルニル等が含まれる。特に有用な脂環式脱離基は、式IVa〜IVdのものである。
【化7】

【0051】
その他の特に有用な環状オレフィンモノマー置換基には、Ar−O−LG及び(CHn’C(CFO−LG、[ここで、n’=0〜4、LGは上記のとおり]が含まれるが、これに限定されない。アリール基は、フェニルが好ましい。
【0052】
1以上の水酸基を有する好適なエチレン性不飽和環状オレフィンには、次式(V)のノルボルネニルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。
【化8】

[式中、R、R、及びRは、独立して水素及び(C−C)アルキルであり、R及びRは一緒になって、5〜7員の縮合環を形成してもよい。]好ましくは、R及びRは独立して水素又は(C−C)アルキルから選択され、R=シクロヘキシル又はシクロペンチル、及びR及びRは一緒になって、5〜7員の縮合環を形成してもよい。更に好ましくは、Rは水素又はメチルである。特に有用なノルボルネニルアルコールは、式Va〜Vcで表されるものである。
【化9】

【0053】
本発明のスピロサイクリックポリマーは、フリーラジカル重合及び金属触媒重合等の種々の方法で調製されてよい。触媒は、それがスピロサイクリックモノマーを実質的に開環することなくスピロサイクリックモノマーの二重結合の重合を触媒するものである限り、本発明での使用に適している。金属触媒重合が好ましい。好適なフリーラジカル重合触媒には、過酸化水素、ter−ブチルヒドロペルオキシド、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸リチウム等が含まれる。斯かるフリーラジカル重合条件は、当業者にとって明らかである。
【0054】
当業者であれば、2以上の金属触媒を本発明の重合に用いてもよいことを認識するであろう。好適な金属重合触媒には、パラジウムジハライド、非イオン性パラジウム(II)−ハライド錯体、(Pd(RCN))(BF[ここで、Rは(C−C)アルキルである]、パラジウム(II)−アルキル錯体及び弱配位対イオンを有する(η−アリル)パラジウム(II)化合物等のパラジウム(II)触媒が含まれるが、これらに限定されない。好ましいパラジウム(II)触媒は(Pd(RCN)(BF[ここで、Rは(C−C)アルキルである]、弱配位対イオンを有する(η−アリル)パラジウム(II)化合物、及びこれらの混合物である。特に有用なパラジウム(II)触媒には、(Pd(CHCN))(BF、(Pd(CCN))(BF、(η−アリル)Pd(BF)、(η−アリル)PdCl)、(η−アリル)Pd(SbF)、及び(η−アリル)Pd(BF)と(η−アリル)Pd(SbF)との混合物が含まれるが、これらに限定されない。例えば、マシュウー等、官能基を有するノルボルネン誘導体の付加重合用の(η−アリル)パラジウム(II)及びパラジウム(II)ニトリル触媒、マクロモレキュールズ、1996年、第29巻、2755〜2763頁。その調製及びそのような触媒の使用に関し、この文献は本明細書の一部として参照される。
【0055】
他の好適な金属重合触媒には、少なくとも一つのサリチルアルジミン又は置換サリチルアルジミン及び少なくとも一つのアセトニトリル又はトリフェニルホスフィン等のホスフィンを配位子として有するニッケル(II)触媒が含まれる。好適な置換サリチルアルジミン配位子には、フェニル、置換フェニル、アントラセン、置換アントラセン、トリフェニルメチル、メタ−ターフェニル等のような嵩高な基で、酸素に対してオルト位が置換されたものが含まれる。好適な触媒は、ヨウンキン等、ヘテロアトムに耐性の中性、単一成分ニッケル(II)ポリオレフィン触媒、サイエンス、2000年1月21日、第287巻、460〜462頁に開示されている。
【0056】
本発明の重合反応において金属に対するモノマーの比率は、約5000:1から約25:1まで、好ましくは約1000:1から50:1まで、及び更に好ましくは100:1から50:1までの範囲に亘ることができる。この触媒を用いる重合反応は、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、ニトロベンゼン、クロロベンゼン、ニトロメタン、ジクロロメタン及びこれらの混合物等の炭化水素溶媒中で遂行できる。
【0057】
特に有用な溶媒混合物は、4:1の比率のニトロベンゼン及びジクロロベンゼンである。パラジウム(II)触媒を使用する重合反応は、約0℃〜約70℃の範囲の温度で遂行できる。好ましくは、重合反応は10℃〜50℃及びより好ましくは20℃〜40℃の温度で遂行される。重合の収率は、典型的には25〜100%の範囲である。
【0058】
本発明のスピロサイクリックポリマーは、サイクリックポリマーが使用される如何なる用途にも使用されてもよい。本発明のスピロサイクリックポリマーは、特にフォトレジスト組成物、反射防止コーティング組成物、ソルダマスク、誘電体等のエレクトロニクス用途に有用であるが、これらに限定されない。重合単位として1以上の電子吸引性基を含有する、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含有する本発明のスピロサイクリックポリマーは、特にフォトレジスト組成物におけるレジンバインダーとしての使用に好適である。フォトレジスト組成物に使用されるとき、本発明の斯かるスピロサイクリックポリマーは、公知のフォトレジスト組成物に対して低減された膨潤性及び改良された接着性を示す。
【0059】
フォトレジストに使用される特に好適な本発明のスピロサイクリックポリマーには、次式VIa及びVIbで表されるものが含まれる。
【化10】

[式中、Z=CH、C(O)、C(S)、O又はS;X及びYは、CH、C(O)、C(S)、O又はNRから独立して選択される;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;R=C(O)O(CHOH、H及びC(O)OR;R=(C−C24)アルキル及びH;J=C(O)O−、Ar−O−及び(CHn’C(CF−O−;LGは、カルボキシル基に直接結合した少なくとも一つの第4級炭素原子を持つ4以上の炭素原子を有する脱離基である;qは、0から20までの整数である;n’=0〜4;rはモノマーの総重量を基準にして、10〜60重量%のモノマー単位である;r’はモノマーの総重量を基準にして、10〜80重量%のモノマー単位である;tはモノマーの総重量を基準にして、10〜90重量%のモノマー単位である;t’はモノマーの総重量を基準にして、20〜90重量%のモノマー単位である;及びpはモノマーの総重量を基準にして、0〜80重量%のモノマー単位である。t+pはモノマーの総重量を基準にして、20〜90重量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは60〜90重量%の範囲である。]
【0060】
特にフォトレジスト系の使用のための、特に好適な本発明の他のスピロサイクリックポリマーには、重合単位として本発明の1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー、無水マレイン酸、ここで記載された置換基としての脱離基を有する1以上のサイクリックオレフィンモノマーが含まれる。これらのポリマーの内で好適な任意のモノマーとしては、ノルボルネン、無水イタコン酸及び(メタ)アクリレートエステル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
フォトレジスト組成物に使用される本発明のその他の特に好適なスピロサイクリックポリマーは、重合単位として、次式VII及びVIIIで表される1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含有するものである。
【化11】

[式中、R=(C−C24)アルキルであり、vは1と4の間の整数である。]好ましくはR=(C−C)アルキルであり、より好ましくは(C−C)アルキルである。理論に拘束されることを意図しているわけではないが、ある種の場合、例えば、vが3以上であるとき、斯かるスピロサイクリックオレフィンモノマーは酸の存在下で開環して、ペンダント鎖としてカルボン酸及びアルケン双方を含むノルボルネニル化合物を生ずると信じられている。従って、斯かるスピロサイクリックモノマー単位は、重合されてポリマーになるとき、酸の存在下で開環してもよい。そのような開環は、それほど嵩を損失することなく環状ポリマー骨格にカルボン酸官能性及びアルケニル基を持たしめることになる。従って、公知の方法より少ない反応工程で環状ポリマー骨格に酸官能性が導入され得るだけでなく、結果として生ずるスピロサイクリックポリマーは嵩保持性をも示す、即ち、それは有意には収縮しないのである。従って、重合単位として1以上の7員環以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含有するスピロサイクリックポリマーは、特にフォトレジスト組成物には有用なのである。
【0062】
本発明のフォトレジスト組成物は、1以上の光活性成分、本発明の1以上のスピロサイクリックレジンバインダー及び任意に1以上の添加剤を含む。本発明に有用な光活性成分は、典型的にはフォト酸(photoacid)又はフォト塩基(photobase)発生剤であり、好ましくはフォト酸発生剤である。
【0063】
本発明に有用なフォト酸発生剤は、露光に際し酸を遊離する化合物であり、典型的には約320〜420ナノメーターの波長における光線での露光であるが、その他の波長でも好適なものである。好適なフォト酸発生剤には、ハロゲン化トリアジン、オニウム塩、スルホン化エステル及びハロゲン化スルホニルオキシジカルボキシイミドが含まれる。
【0064】
特に有用なハロゲン化トリアジンには、ハロメチル−s−トリアジンが含まれる。好適なトリアジンとしては、例えば、2−[1−(3,4−ベンゾジオキソリル)]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,2,5−トリアジン、2−[1−(2,3−ベンゾジオキソリル)]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[1−(3,4−ベンゾジオキソリル)]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[1−(2,3−ベンゾジオキソリル)]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−フルフィルエチリデン)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4,5−ジメチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4,5−ジメトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−フルフィルエチリデン)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メチルフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4,5−ジメトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3−メトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(4,5−ジメトキシフリル)エチリデン]−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス−(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス−(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(1−ナフチル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3−クロロ−1−フェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン及び2−(3−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリブロモメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。本発明に有用な他のトリアジン形のフォト酸発生剤は、ここに参考として引用されている米国特許第5,366,846号に開示されている。
【0065】
s−トリアジン化合物は、ある種のメチル−ハロメチル−s−トリアジン及びある種のアルデヒド又はアルデヒド誘導体の縮合反応生成物である。そのようなs−トリアジン化合物は、米国特許第3,954,475号及びワカバヤシ等、日本化学会誌、1969年、第42巻、2924〜30頁に記載の手法により調製されることができる。
【0066】
弱求核性アニオンとのオニウム塩は、本発明のフォト酸発生剤としての使用に特に適している。斯かるアニオンの例としては、2価から5価の金属又は非金属、例えば、アンチモン、スズ、鉄、ビスマス、アルミニウム、ガリウム、インジウム、チタン、ジルコニウム、スカンジウム、クロム、ハフニウム、銅、ホウ素、燐及び砒素のハロゲン錯体アニオンである。好適なオニウム塩の例としては、ジアリールジアゾニウム塩及び周期律表第5族A及びB、第2族A及びB及び1族のオニウム塩であり、例えば、ハロニウム塩、第4級アンモニウム、ホスホニウム及びアルソニウム塩、芳香族スルホニウム塩及びスルホキソニウム塩又はセレニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。好適なオニウムの例としては、すべてここに参考として挿入されている米国特許第4,442,197;4,603,101号;及び4,624,912号に開示されている。
【0067】
本発明のフォト酸光発生剤として有用なスルホン化エステルには、スルホニルオキシケトンが含まれる。好適なスルホン化エステルには、ベンゾイントシレート、t−ブチルフェニルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテート、及びt−ブチルα−(p−トルエンスルホニルオキシ)−アセテートが含まれるが、これらに限定されない。斯かるスルホン化エステルは、ここに参考として挿入されているジャーナルオブフォトポリマーサイエンスアンドテクノロジー、1991年、第4巻、ナンバー3、337〜340頁に開示されている。
【0068】
本発明のフォト酸発生剤として有用な好適なハロゲン化スルホニルオキシジカルボキシイミドには、1(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン;N−((パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド;1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−2,5−ピロリジンジオン;3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,7−メタノ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ベンゾ(f)イソインドール−1,3(2H)−ジオン;3,4−ジメチル−1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン;2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ベンズ(de)イソキノリン−1,3(2H)−ジオン;4,5,6,7−テトラヒドロ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)4,7−エポキシ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;2,6−ビス(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−ベンゾ(1,2−c:4,5−c’)ジピロール−1,3,5,7(2H,6H)−テトロン;ヘキサヒドロ−2,6−ビス(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,9−メタノ−1H−ピロール−(4,4−g)イソキノリン−1,3,5,7(2H,3aH,6H)−テトロン;1,8,8−トリメチル−3−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−3−アザビシクロ(3.2.1)オクタン−2,4−ジオン;4,7−ジヒドロ−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−4,7−エポキシ−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;3−(1−ナフタレニル)−4−フェニル−1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン;3,4−ジフェニル−1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン;5,5’−(2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン)ビス(2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;テトラヒドロ−4−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−2,6−メタノ−2H−オキシレノ(f)イソインドール−3,5(1aH,4H)−ジオン;5,5’−オキシビス−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;4−メチル−2−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン;3,3,4,4−テトラメチル−1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−2,5−ピロリジンジオン及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。ハロゲン化スルホニルオキシジカルボキシイミドは一以上の1(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−1H−ピロール−2,5−ジオン;N−((パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド;及び1−(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)−2,5−ピロリジンジオンを含むことが好ましく、更に好ましくは、N−((パーフルオロオクタンスルホニル)オキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドを含む。
【0069】
光活性成分は、典型的には活性放射線での露光の後で、レジスト物質のコーティング層内に潜像を生じさせるに十分な量で、フォトレジスト組成物に加えられる。光活性成分がフォト酸発生剤であるとき、その量は典型的にはレジン重量基準で0.1から10重量%の範囲であり、好ましくは、1から8重量%である。当業者であれば、二つ以上のフォト酸発生剤が本発明のフォトレジスト組成物に有利に使用されてもよいことを認識するであろう。
【0070】
本発明のスピロサイクリックポリマーは、本発明のフォトレジスト組成物中でレジンバインダーとして有利に使用される。当業者は、2以上のスピロサイクリックレジンバインダーをはじめとして2以上のレジンバインダーが本発明のフォトレジスト組成物において使用されてもよいことを認識するであろう。従って、本発明のスピロサイクリックレジンバインダーは、1以上の他のレジンバインダーと有利に混合されてもよい。
【0071】
本発明のフォトレジスト組成物に使用されてもよい任意の添加剤には、抗光条剤(anti−striation)、可塑剤、スピードエンハンサー(speed enhancer),充填剤、染料等が含まれるが、これらに限定されない。そのような任意の添加剤はフォトレジスト組成物中に比較的少ない濃度で存在するが、例外的に充填剤及び染料は組成物の乾燥成分の総重量基準で約5から30重量%の量の比較的大きな濃度で用いられてもよい。
【0072】
本発明のフォトレジスト組成物は、当業者によりたやすく調製されることができる。例えば、本発明のフォトレジスト組成物はフォトレジスト成分を適当な溶媒に溶解させて調製されることができる。斯かる適当な溶媒としては、エチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシエチルプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レジンバインダーが、スピロサイクリックラクトンポリマーであるとき、溶媒はγ−ブチロラクトンを含むことが好ましく、更に好ましくは、溶媒は、γ−ブチロラクトン及び2−ヘプタノンの混合物である。従って、重合単位として式Iの、好ましくは式VII又はVIIIのスピロサイクリックオレフィンモノマーを含有するスピロサイクリックレジンバインダーを含むフォトレジスト組成物は、γ−ブチロラクトンを含むことが好ましい。
【0073】
典型的には、フォトレジスト組成物の固形分は組成物の総重量基準で約5重量%から約35重量%まで変化する。レジンバインダー及びフォト酸発生剤はフィルムコーティング層及び良品質の潜像及びレリーフイメージの形成を提供するに充分な量で存在する。
【0074】
斯かるフォトレジスト組成物は、スピニング、浸漬及びローラーコーティング等の公知の手段で基体に塗布される。その組成物がスピンコーティングによって塗布されるとき、コーティング溶液の固形分は、使用される特定のスピニング装置、溶液の粘度、スピナーの速度及びスピニングに許容される時間量に基づいて望ましいフィルム厚さを提供するよう調整され得る。本発明のスピロサイクリックポリマーを含むフォトレジスト組成物は、フォトレジストが典型的に使用されているところでのすべての用途に有用である。その組成物は、例えば、マイクロプロセッサー及び他の集積回路部品の製造用のシリコンウェーハ又は二酸化珪素で被覆されるシリコンウェーハ上に塗布されてもよい。アルミニウム−酸化アルミニウム、ガリウム砒化物、セラミック、石英、銅、ガラス等は、本発明のフォトレジスト組成物用の基体として、また好適に採用される。
【0075】
一旦、フォトレジスト組成物が基体表面に塗布されると、溶媒を除去するため加熱により乾燥される。コーティングがタックフリーとなるまで乾燥されるのが好ましい。その後、従来法によりマスクを通して画像形成される。露光は、レジストコーティング層においてパターン付けられた画像を造るためにフォトレジストのフォト酸成分を効果的に活性化するに充分なものであり、より具体的には露光エネルギーは、約1から100mJ/cmの範囲であり、曝露ツール及びフォトレジスト組成物の成分に依存する。
【0076】
本発明のフォトレジスト組成物は、好ましくは短波長による露光で活性化され、特にUV等の300nm以下の波長及び200nm以下の波長による露光が好ましい。特に好ましい波長には、248、193、157nm及び11〜15nmが含まれる。しかしながら、本発明のフォトレジスト組成物は、たとえばこれらに限定されないが、可視光線、e−ビーム及びX線などのより高い波長で使用されてもよい。
【0077】
露光に引き続き、組成物のフィルム層は、好ましくは約70℃から160℃の範囲の温度でベークされる。その後、フィルムは現像される。露光されたレジストフィルムは、極性現像液の使用によりポジ型に作用する。極性現像液は、好ましくは水性塩基現像液であり、例えば、テトラ−アルキル水酸化アンモニウムなど、好ましくは0.26Nのテトラメチル水酸化アンモニウムである第四級水酸化アンモニウム;エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン又はメチルジエチルアミン等の種々のアミン溶液;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン;ピロール及びピリジン等の環状アミンが挙げられる。当業者なら、与えられた系に対してどの現像操作が使用さるべきか認識しているであろう。
【0078】
フォトレジストコーティングの現像の後、現像された基体は、レジストのない領域上で、例えば、公知の操作に従いレジストのない基体領域を化学的にエッチング又はメッキすることにより選択的に加工される。例えば、二酸化珪素ウェーハ等のマイクロエレクトロニクス基体の製造において、好ましいエッチング剤には、プラズマ流として適用されるCl又はCF/CHFエッチング剤等の塩素又はフッ素ベースのエッチング剤等のガスエッチング剤が含まれるが、これらに限定はされない。
【0079】
次の実施例は、本発明の更なる種々の態様を例示することを意図しているが、いかなる態様においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0080】
実施例1
ノルボルネンブチロラクトン(又は4’,5’−ジヒドロ−(1a,2a,4a)−スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3’(2’H)−フラン]−2’−オン)は、次のように調製された。メチレンブチロラクトンは、ジクロロメタンに溶解され、熱分解して得られたばかりのシクロペンタジエンが添加された。反応混合物は、室温で3時間撹拌され、40℃に加熱され、40℃で一晩放置された。反応混合物は、次にゆっくりと室温に冷却された。塩化メチレンは、減圧下で除去され、油状物質を残した。粗油状物質は次に減圧下で蒸留されて、精製物が得られた。
【0081】
実施例2
ノルボルネンバレロラクトンは、次のように調製された。150mLの無水THFに溶解したバレロラクトン(50.1g)の溶液は、−78℃(ドライアイス/アセトン浴)の三ツ口底フラスコに供給された。その中に、250mLの無水THF中のリチウムジメチルアミン(「LDA」)(250mL、2M)溶液が滴下により添加された。反応混合物はこの温度で4時間撹拌された。次に、パラホルムアルデヒド(36.94g、過剰)の熱分解物が、反応混合物の中にバブリングにより導入された。パラホルムアルデヒドがすべて分解した後で、反応混合物は、一晩撹拌され、徐々に室温に温められた。それから、溶媒はロータリーポンプで除去され、残存物に500mLのジクロロメタンが加えられ、NaHCO(水性飽和液)及び水で数回(3×500mL)洗浄された。有機溶媒はMgSO上で乾燥され、次にロータリーポンプで除去された。望みの生成物、メチレン−バレロラクトンは、真空下で(135〜140℃/8mmHg)で蒸留された。
【0082】
メチレン−バレロラクトンは、ジクロロメタンに溶解され、熱分解して得られたばかりのシクロペンタジエンが添加された。反応混合物は、室温で3時間撹拌され、40℃に加熱され、40℃で一晩放置された。反応混合物は、次にゆっくりと室温に冷却された。ジクロロメタンは、減圧下で除去され、油状物質を残した。粗油状物質は次に減圧下で蒸留されて、精製物が得られた。
【0083】
実施例3
テフロン(登録商標)コートされた撹拌バーを装備した50mlガラスバイアルに2.64g(13.6ミリモル)の5−ノルボルネンカルボン酸tert−ブチルエステル、0.952g(5.34ミリモル)の次式で示されるスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3’(2’H)−フラン]−2’,5’(4’H)−ジオンが50mlの新たに蒸留されたジクロロエタンと共に加えられる。
【化12】

【0084】
その溶液は、アルゴン雰囲気下でガス抜きされる。次にテフロンコートされた撹拌バーを装備した10mlのガラスバイアルに0.0365g(0.1ミリモル)のη−アリルパラジウムクロライドダイマー及び2mlのジクロロエタンが充填される。別の10mlガラスバイアルは、0.0195g(0.1ミリモル)のテトロフルオロ硼酸銀及び2mlのジクロロエタンが充填される。それから、触媒溶液は、アリルパラジウムクロライドダイマー溶液とテトラフルオロ硼酸銀溶液をドライボックス内で混合して調製される。塩化銀が直ちに沈殿し、それをろ過して、透明の黄色溶液を得る。この活性な黄色触媒溶液は、シリンジを通してモノマー溶液に添加され、反応混合物は60℃で20時間撹拌される。一般的に生じる固形分は溶液に沈殿する。その溶液は冷却され、ロータリーエバポレーターで濃縮され、ヘキサン中で沈殿させてポリマーを得た。
【0085】
実施例4
実施例3のポリマー(1.4g)は、0.0895gのトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート(TPS−Triflate)、0.00165gの1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、6.11gのメチルアミルケトン及び3.05gのプロピレングリコールメチルエーテルアセテートと共に瓶に供給される。それから、その溶液はすべての固体が完全に溶解するまでローリングミルで撹拌される。溶液は、それから0.05mmの多孔質フィルターを通してろ過され、清浄な瓶の中に入れられた。得られたレジストは、シリコンウェーハ上にスピンコートされ、135℃で60秒間、ホットプレート上でベークされ、ISI193nmステップアンドリピートプリンター(step−and−repeat printer)上で露光され、155℃で60秒間、露光後ベークされ、それから2.38%テトラメチル水酸化アンモニウム水性溶液で現像される。典型的には、接着性は改善され、レジスト像の膨潤は、少ししか又は全く認められなかった。
【0086】
実施例5
テフロンコートされた撹拌バーを装備した50mlガラスバイアルに1.943g(10.0ミリモル)のTBN−CA、1.64g(10.0ミリモル)の下式で示される4’,5’−ジヒドロ−(1a,2a,4a)−スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3’(2’H)−フラン]−2’−オンが、50mlの新たに蒸留したジクロロエタンと共に加えられた。
【化13】

【0087】
その溶液は、アルゴン雰囲気下でガス抜きされる。テフロンコートの撹拌バーが10mlのガラスバイアルに装備され0.0365g(0.1ミリモル)のη−アリルパラジウムクロライドダイマー及び2mlのジクロロエタンが充填される。別の10mlガラスバイアルは、0.0195g(0.1ミリモル)のテトロフルオロ硼酸銀及び2mlのジクロロエタンが充填される。それから、触媒溶液がアリルパラジウムクロライドダイマー溶液とテトラフルオロ硼酸銀溶液を、ドライボックス内で混合して調製される。塩化銀が直ちに沈殿し、それをろ過して、透明の黄色溶液を得る。この活性な黄色触媒溶液はシリンジを通してモノマー溶液に添加され、反応混合物は60℃で20時間撹拌される。一般的に生じる固体は溶液に沈殿する。その溶液は冷却され、ロータリーエバポレーターで濃縮され、ヘキサン中で沈殿させてポリマーを得た。
【0088】
実施例6
実施例4の操作が、実施例5のポリマー1.4gが用いられ、溶媒が4.58gのg−ブチロラクトン及び4.58gの2−ヘプタノンからなる点を除いて繰り返された。典型的には、接着性が改善され、レジスト像の膨潤は、少ししか又は全く認められなかった。
【0089】
実施例7〜22
フォトレジストバインダーとして有用なポリマーは、次表に示される。そのようなポリマーが、表の中で記されているように実施例3又は5に記載されている操作に従って調製された。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
実施例23
次のポリマーが調製される。
【化14】

【0094】
12.28gの酢酸エチル中のノルボルネンエチルトリシクロデカンカルボキシレート(15.16g)、無水マレイン酸(6.60g)、ノルボルネン−スピロ−ブチロラクトン(2.80g)及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(0.31g、全モノマーの1モル%)の混合物が丸底フラスコに供給された。5分間の撹拌の後(全ての固形分が溶解するまで)、フラスコは予め加熱された70℃の油浴に置かれた。反応混合物は、この温度で24時間撹拌された。冷却後、25.0gのテトラヒドロフランが加えられた。ポリマーは1.5Lのヘキサン/イソプロパノール(1/1,w/w)の中で沈殿により分離された。生じた懸濁液は120分間撹拌された。ポリマーは、ろ過により分離し、追加の200mlのヘキサンで洗浄した。ポリマーは真空オーブン内で40℃にて、一晩乾燥された。全体の収量は25%であった。
【0095】
実施例24
ノルボルネン/(スピロ−2−2−α−ブチロラクトン)−5−ノルボルネン/ノルボルネンエチルトリシクロデカンカルボキシレート/無水マレイン酸(7.5/7.5/35/50モル%)のポリマーが調製された。
【化15】

【0096】
100mlの丸底フラスコに、ノルボルネン1.22g(0.013モル)、(スピロ−2−2−α−ブチロラクトン)−5−ノルボルネン、2.13g(0.013モル)、無水マレイン酸8.86g(0.086モル)、ノルボルネンエチルトリシクロデカンカルボキシレート18.18グラム(0.060モル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.4g(0.0017モル)及び酢酸エチル15gが加えられた。磁気撹拌バーがフラスコに入れられ、溶液は約15分間固形分を溶解させるために撹拌された。一旦、全固形分が溶解した後、フラスコは、80℃に予め加熱された熱い油浴に置かれた。コンデンサー及び窒素ラインが頂部に取り付けられ、反応系を24時間撹拌した。24時間後、加熱を止め、フラスコは室温に冷却された。冷却後、フラスコ内容物は、1.5Lのヘキサン/イソプロパノール(50/50w/w)の中で沈殿させられた。沈殿物溶液は、1.5時間撹拌され、それからポリマーは、ガラスフリット漏斗を通して分離された。それから、ポリマーは、フードの中で4時間乾燥され、室温で真空オーブンに一晩中置かれた。この反応により15gのポリマ−の収量(50%)を得た。
【0097】
実施例25
ポリマーがγ−ブチロラクトン中で処理されることを除いて、実施例7〜22のポリマーを含むフォトレジストが、実施例4又は6に従って調製された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー及び任意に1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーを含むポリマーであって、該スピロサイクリックオレフィンモノマーがオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合されているポリマー。
【請求項2】
該スピロサイクリックオレフィンモノマーが下記式(I)を有する請求項1記載のポリマー:
【化1】

[式中、A=O、S、CH及びNR;R=フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;G=C(Z’)、O,S及びNR;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;E及びWは、C(Z’)、O、NR及び化学結合より独立に選択される;Z’=O又はS;n=0〜3;m=0〜2;m’=0〜2;l=0〜5;及びp=0〜5;但し、l+p=3〜5;但し、A=O、S又はNRのとき、n=1;ここで、T及びLは一緒になって、二重結合又は5〜8員不飽和環から選択される。]
【請求項3】
該スピロサイクリックオレフィンモノマーが少なくとも一つのスピロサイクリック環内に1以上の電子吸引基を含む請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
該電子吸引基が無水物、チオ無水物、ラクトン、チオラクトン、イミド、チオイミド、ラクタム及びチオラクタムから選択される請求項3記載のポリマー。
【請求項5】
該電子吸引基は無水物、ラクトン、イミド又はラクタムから選択される請求項4記載のポリマー。
【請求項6】
該スピロサイクリックモノマーが下記式(II)及び(III)のモノマーから選択される請求項3記載のポリマー:
【化2】

[式中、Z=CH、C(O)、C(S)、O又はS;X及びYは、CH、C(O)、C(S)、O又はNRから独立して選ばれる;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;但し、少なくとも一つのX、Y及びZは、C(O)又はC(S)から選ばれる;及びここで、スピロサイクリックモノマーは、任意に置換される。]
【請求項7】
ZがC(O)であり、Xが酸素である請求項6記載のポリマー。
【請求項8】
下記式VIa及びVIbを有する請求項1記載のポリマー:
【化3】

[式中、Z=CH、C(O)、C(S)、O又はS;X及びYはCH、C(O)、C(S)、O又はNRから独立して選ばれる;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;R=C(O)O(CHOH,H及びC(O)OR;R=(C−C24)アルキル及びH;J=C(O)O−、Ar−O−及び(CH)n’C(CF−O−;LGは、カルボキシル基に直接結合する少なくとも一つの第4級炭素原子を持つ4以上の炭素原子を有する脱離基である;qは0〜20の整数である;n’=0〜4;rはモノマーの総重量を基準にして、10〜60重量%のモノマー単位である;r’はモノマーの総重量を基準にして、10〜80重量%のモノマー単位である;tはモノマーの総重量を基準にして、10〜90重量%のモノマー単位である;t’はモノマーの総重量を基準にして、20〜90重量%のモノマー単位である;及びpはモノマーの総重量を基準にして、0〜80重量%のモノマー単位である。]
【請求項9】
LGはイソブチル、2,3−ジメチルブチル、2,3,4−トリメチルペンチル及び脂環式脱離基から選択される請求項8記載のポリマー。
【請求項10】
該脂環式脱離基が下記式から選択される請求項9記載のポリマー:
【化4】

【請求項11】
1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーをパラジウム(II)重合触媒、ニッケル(II)重合触媒又はフリーラジカル重合触媒から選択される1以上の触媒と接触させる工程を含む、1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを重合させて、重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマー含むポリマーを形成する方法。
【請求項12】
該パラジウム(II)触媒が、パラジウムジハライド、非イオン性パラジウム(II)−ハライド錯体、(Pd(RCN))(BF[式中、Rは(C−C)アルキル]、パラジウム(II)−アルキル錯体、または弱配位対イオンを有する(η−アリル)パラジウム(II)化合物を含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
該パラジウム(II)触媒が(Pd(RCN))(BF[式中、Rは(C−C)アルキル]、弱配位対イオンを有する(η−アリル)パラジウム(II)化合物、またはこれらの混合物を含む請求項11記載の方法。
【請求項14】
該フリーラジカル重合触媒が過酸化水素、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム又は過硫酸リチウムから選択される請求項11記載の方法。
【請求項15】
該ニッケル(II)重合触媒が少なくとも一つのサリチルアルジミン又は置換サリチルアルジミン及び少なくとも一つのアセトニトリル又はホスフィンを配位子として有するニッケル(II)触媒から選択される請求項11記載の方法。
【請求項16】
重合単位として1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーおよび任意の1以上のエチレン性又はアセチレン性不飽和モノマーを含むレジンバインダー、及び光活性成分を含むフォトレジスト組成物であって、そのスピロサイクリックオレフィンモノマーがオレフィン性炭素を介してポリマー骨格に結合されている組成物。
【請求項17】
該レジンバインダーが、重合単位として下記式の1以上のスピロサイクリックオレフィンモノマーを含有するスピロサイクリックポリマーを含む、請求項16記載のフォトレジスト組成物:
【化5】

[式中、A=O、S、CH及びNR;R=フェニル、置換フェニル、ベンジル、置換ベンジル、(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;G=C(Z’)、O,S及びNR;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;E及びWは、C(Z’)、O、NR及び化学結合より独立に選択される;Z’=O又はS;n=0〜3;m=0〜2、m’=0〜2;l=0〜5;及びp=0〜5;但し、l+p=3〜5;但し、A=O、S又はNRのとき、n=1;ここで、T及びLは一緒になって、二重結合又は5〜8員不飽和環から選択される。]
【請求項18】
該スピロサイクリックオレフィンモノマーが、少なくとも一つのスピロサイクリック環内に1以上の電子吸引基を含む請求項16記載のフォトレジスト組成物。
【請求項19】
該電子吸引基は、無水物、チオ無水物、ラクトン、チオラクトン、イミド、チオイミド、ラクタム又はチオラクタムから選択される請求項18記載のフォトレジスト組成物。
【請求項20】
更に溶媒を含む請求項16のフォトレジスト組成物。
【請求項21】
該溶媒がエチルラクテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシエチルプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合物を含む請求項20記載のフォトレジスト組成物。
【請求項22】
該溶媒がγ−ブチロラクトン、及びγ−ブチロラクトンと2−ヘプタノンの混合物から選択される請求項21記載のフォトレジスト組成物。
【請求項23】
請求項16記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を塗布し;パターン付けられた活性化放射線で該フォトレジストコーティング層を露光し;露光されたフォトレジストコーティング層を現像してフォトレジストレリーフイメージを提供する工程を含むフォトレジストレリーフイメージの形成法。
【請求項24】
該フォトレジスト組成物が下記式VIa又はVIbのスピロサイクリックオレフィンポリマーを含有するレジンバインダーを含む請求項23記載の方法:
【化6】

[式中、Z=CH、C(O)、C(S)、O又はS;X及びYは、CH、C(O)、C(S)、O又はNRから独立して選択される;R=(C−C)アルキル及び置換(C−C)アルキル;R=C(O)O(CHOH,H及びC(O)OR;R=(C−C24)アルキル及びH;J=C(O)O−、Ar−O−及び(CH)n’C(CF−O−;LGは、カルボキシル基に直接結合する少なくとも一つの第4級炭素原子を持つ4以上の炭素原子を有する脱離基である;qは0〜20の整数である;n’=0〜4;rはモノマーの総重量を基準にして、10〜60重量%のモノマー単位である;tはモノマーの総重量を基準にして、10〜90重量%のモノマー単位である;及びpはモノマーの総重量を基準にして、0〜80重量%のモノマー単位である。
【請求項25】
下記式の化合物:
【化7】

[式中、R及びRは独立して水素又は(C−C)アルキルから選択され、R=シクロヘキシル又はシクロペンチル、及びR及びRは一緒になって、5〜7員の縮合環を形成してもよい。]
【請求項26】
が水素又はメチルである請求項24記載の化合物。

【公開番号】特開2012−107257(P2012−107257A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−40722(P2012−40722)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【分割の表示】特願2001−48803(P2001−48803)の分割
【原出願日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】