説明

ポリマー性ハンマー付きウォールボードテーピングナイフ

長時間の使用後、作業者の肩および腕に疲労を経験させず、しかもハンマーが軽量でバランスのとれたハンマー付きテーピングナイフの提供。該ナイフは、作業用末端を有するブレード、および該作業用末端と反対のハンドル末端;該ハンドル末端へ取り付けられ、ブレード末端およびハンマー末端を有するハンドル;該ハンマー末端へ取り付けられ、比較的固い軽量のポリマー性材料例えばポリカーボネートからつくられた本体を有するハンマーからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ウォールボードの結合部および継目へ結合化合物を適用するのに使用されるウォールボードテーピングナイフまたは同様な塗装工用の工具のような手作業用工具に関し、特に改善されたハンマーを有するハンド工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のテーピングナイフは、仕上げつつあるウォールボードの表面へのウォールボードねじまたは釘の打ち込みを仕上げるために、テーピングブレードの反対のハンドルにハンマーが付いていることが知られている。このようなハンマーは、代表的な例として、固体金属、例えば亜鉛(その耐久性、腐食抵抗性および比較的安価のためによく用いられている)からつくられる。さらに、亜鉛は、「鉛筆」としても使用され、結合化合物に書くのに用いられる。テーピングナイフにハンマーが付いている他の利点は、もし工具が梯子から落ちた場合、工具がブレードからより、むしろハンマーを下にして落下しがちである。ブレードは、理想的には、結合化合物の滑らかなそして平らなコーティングを適用するために変形してはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらのナイフの使用者は、このような工具の長時間の使用後、肩および腕が疲労する。この疲労が生ずる原因の1つとして分かっていることは、亜鉛ハンマーにより生ずる重量の増加およびナイフのバランスの悪さである。
【0004】
そのため、上記の欠点に対応しそれを克服する、ハンマーを備えた改善されたテーピングナイフが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、比較的固く軽量のポリマー性材料好ましくはポリカーボネートから製造されたハンマーを備えたテーピングナイフのような本発明の工具により達成することができる。このハンマーは、工具の重量を減らしバランスを改善しつつ、ウォールボード中へ一部分打ち込まれた固定具を完全に叩き込むのに好適な剛さを有する。1つの態様では、ハンマーは、複合した形でつくられており、主な部分はポリマー性材料例えばポリカーボネートでつくられており、亜鉛のキャップがポリカーボネートのハンマーの芯の上に取り付けられる。後者の態様は、衝撃抵抗性の増加、および結合化合物に書くことができる能力を特徴とする。本発明のハンマーの他の特徴は、ハンマーは柄を経るため、ブレードへ直接接続されておらず、そのため、ハンマーの打ち込みで発生するショックによる過剰なまたは追加の使用者の疲労により生ずる損傷を減らす。
【0006】
さらに特に、本発明の工具は、作業用末端および作業用末端とは反対のハンドルの末端を備えたブレード;ハンドルの末端へ取り付けられそしてブレード末端およびハンマーの末端を有するハンドルを含む。ハンマーは、ハンマーの末端へ取り付けられ、そして比較的固い軽量のポリマー性材料からつくられた本体を有する。
【0007】
他の態様では、工具は、作業用末端および作業用末端とは反対のハンドルの末端を備えたブレード;ハンドルの末端へ取り付けられそしてブレードの末端およびハンマーの末端を有するハンドルを含む。ハンマーは、ハンマーの末端へ取り付けられ、そしてポリマー性材料からつくられたハンマーの部分を含む本体を有する。ハンマーの本体は、共通の衝撃部末端から突き出しているスカート部を有する軸方向の芯を有し、スカート部は肩部を画成している。金属製のキャップは、ハンマー本体へ付着するように形成され、そして組み立てたとき、キャップが本体の外部の表面と同一平面にあるように、肩部と係合する縁を有する。
【0008】
なお他の態様では、ハンマーには、ハンドルを有する工具が設けられ、そしてほぼ軸方向の芯を画成するハンマー本体、および共通の末端から突き出しているスカート部を含み、スカート部は肩部を画成する。金属製のキャップは、ハンマー本体を固定するように形成され、そして組み立てたとき、キャップが本体の外部表面と同一平面にあるように肩部と係合している縁を有する。キャップは、本体中の凹みと係合する中心の突起を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のハンマーを組み込んだ工具の平面斜視図である。
【図2】図1の工具のハンマーの正面図である。
【図3】図2のハンマーの底面図である。
【図4】図2のハンマーの垂直断面図である。
【図5】図2のハンマーの別の態様の垂直断面図である。
【図6】本発明のハンマーの別の態様を備えた他の工具の平面斜視図である。
【図7】一部分を示した図6のハンマーの垂直断面図である。
【図8】本発明のハンマーのなお他の態様の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1−4では、本発明の工具の好ましい態様であるテーピングナイフは、広く10と命名され、作業用末端14、作業用末端とは反対の柄17(隠されている)およびハンドル末端16を含む。テーピングナイフが好ましい工具であるが、他の手作業用工具例えば掻き取り具も下記の本発明のハンマーを備えることも本発明に含まれる。当業者に周知のように、ブレード12には、種々の幅および形状のものが含まれ、或るものは柄がないが、作業用末端14は、好ましくは、ウォールボード化合物または同様な硬化できる物質を滑らかにするために直線の縁である。これらの工具の使用者にとり重要なことは、もし工具が誤って特に高所例えば梯子から落下したとき、作業用末端14が、縁を損傷するかもしれない地面と衝突しないことである。
【0011】
ハンドル18は、好ましくはハンドルおよびブレード12が一体化して結合するようにインサート成形により、ハンドルの末端16へ取り付けられる。しかし、他の結合技術も含まれ、例えばリベットまたはねじ込みの固定具も用いられる。また、ハンドル18には、当業者に周知のように、複数の部分、例えば比較的固いプラスチック内部部分20と比較的弾性があって覆うように成形された取っ手部分22とが設けられる。好適なハンドルの構造は、本明細書で参考として引用される米国特許出願11/187582に示されている。
【0012】
好ましい態様では、ハンドル18は、ブレード末端24そしてブレード末端とは反対のハンマー末端26を有する。ハンマー30は、ハンドル18のハンマー末端26へ取り付けられ、そしてハンドルへ取り付けられるように形成された第1の末端34および衝撃に抵抗するようにデザインされた第2の反対の末端36を有する本体32を有する。好ましい態様では、ハンマー30は、典型的な亜鉛ハンマーと比べたとき、比較的固く軽量であるポリマー性材料から少なくとも一部つくられる。考えられるポリマーはポリカーボネートであるが、もし重量、衝撃抵抗性、成形可能性およびコストで同等であるならば、同様な材料も考えられる。
【0013】
より詳細には、本体32は、ほぼ軸方向に配置された芯38、および芯から半径方向に芯から離れているが芯へ一体化されて結合しているスカート部40を含む。スカート部40は、ブレード12へ向かってほぼ突き出しており、ハンドル18と係合するように形成された縁44および外部の表面42を有する。
【0014】
図2では、芯38は、ブレードへ向かって突き出しそしてスカート部40の縁44を越えて延在する舌状突起部分46を有する。舌状突起部分46は、好ましくは、中空であり、ハンドル18の凹みに受容される。ピン(図示せず)は、ハンマー30をハンドル18へ取り付けるために、ハンドル18および取付け孔48を通る。さらに、芯38が、化学接着剤、超音波溶接、インサート成形などによってハンドル18へ取り付けられることも考えられる。
【0015】
本発明のハンマーの特徴は、それがブレード12の反対のハンドル末端16から軸方向へ移動していることである。言い換えれば、ハンドル18は、ブレード12からハンマー30を分離する。軸方向の移動は、ハンマー30が打ち込みに使用されるとき、衝撃力を分散させる。この移動は、ブレード12を保護しそしてまた使用者の手へのショックを和らげる。
【0016】
図2および4では、ハンマー本体32の第2または衝撃部末端36には、好ましくは、亜鉛であると考えられる金属製キャップ50が設けられる。亜鉛は、固く経済的な金属であり、ウォールボード化合物上に「書く」能力を特徴とするが、固さ、重量およびコストの点で同様な他の金属も考えられる。キャップ50は、好ましくはハンマー30の軸に平行であってキャップ上の対応する任意にねじ切りされた垂下する突起54と係合する、少なくとも1つのねじ切りされた固定具52により本体32へ取り付けられるが、他のタイプの固定具または上記の固定技術も考えられる。
【0017】
芯38上で、肩部56は、スカート部40上に画成され、そしてキャップが本体32の外部表面42とほぼ同一平面にあるようにキャップ50の輪状の縁58を受容する。キャップ50の中心の突起60は、本体32の凹み62中に受容される(図4)。また、本体32上に含まれるのは、吊り下げ用孔64である。ハンマー30にポリカーボネートのようなポリマー性材料を使用する利点は、吊り下げ用孔64が、ハンマーの構造上の一体性を損なうことなく第2または衝撃部末端36の近くに配置できることである。
【0018】
図5では、ハンマー30の別の態様が、広く70と命名される。ハンマー30と70との間で相当するコンポーネントは、同一の符号を付される。ハンマー70の主な明白な特徴は、それがポリマー性材料、ここではポリカーボネートのみからつくられていることである。そのため、金属製キャップ50がないことから、軸方向の芯の部分38は、第2または衝撃部末端36をも形成する共通の厚い衝撃構成部72によりスカート部40は結合される。
【0019】
ハンマー70の他の違いは、それが吊り下げ用孔64と隣接している複数の壁状物(castellation)74を含むことである。壁状物74は、好ましくは、ハンマー70と一体になって形成され、そしてポリマーのみのハンマー70の成形性を改善する間隔のあいたほぼ軸方向に延在する構成物である。壁状物74が、好ましくは、吊り下げ用孔64へ向かって傾いているかまたは斜切されていることは、理解されるだろう(図5)。壁状物74は、壁状物に隣接して形成された溝76を分離する。壁78は、溝76の近い部分を閉じそしてハンマーの反対の側の対応する溝からそれぞれの溝を分離する。
【0020】
図6および7では、工具10の別の態様が10′と命名され、そして広く80と命名される本発明の別の態様が提供される。今までのハンマーと相当するコンポーネントは、同一の符号が付けられる。ハンマー80は、それが好ましくはポリカーボネートからつくられたポリマー性本体82、および少なくとも1つの固定具52により本体82へ取り付けられたキャップ50を有する点で、ハンマー30と同じである。キャップ50は、好ましくは、上記の理由から亜鉛からつくられる。ハンマー80では、芯84は、スカート部40のほぼ弓状の縁86を通って延在していない。さらに、ハンマー80は、吊り下げ用孔64がない。その代わり、工具10′では、吊り下げ用孔88はハンドル18中にある。
【0021】
図8では、本発明のハンマーの別の態様が、広く90と命名される。今までのハンマーと同じコンポーネントは、同一の符号が付けられる。ハンマー90は、全体の形状がハンマー80と同様であるが、金属キャップ50がなくそしてポリマーのみ好ましくはポリカーボネートである点でハンマー70と同様である。そのため、スカート部40および芯38は、共通の厚い衝撃構成部72に沿って結合されている。また、芯82は、スカート部40の縁を通って延在していない。ハンマー30、70および80の場合と同様に、空間92は、スカート部40と芯38、84との間に画成される。ハンマー80の場合と同じく、芯84は、スカート部40の縁86を通って突き出していない。
【0022】
ハンマー30、70、80、90を備えた工具10例えばテーピングナイフなどが、従来の金属/ハンマーの工具より比較的軽量であることが分かった。それゆえ、本発明の工具は、操作者に疲労を生じさせることなく、長期間使用するのが容易であり、また使用者または操作者にとり、よりバランスのとれた操作を助ける。
ポリマー性ハンマー付き乾式壁テーピングナイフの特別の態様が示され記述されたが、変化および改変が、広い範囲でそして請求の範囲に規定された本発明から離れることなく、それについてなされることは、当業者により理解されるだろう。
【符号の説明】
【0023】
10 テーピングナイフ
10′ テーピングナイフ
12 ブレード
14 作業用末端
16 ハンドル末端
17 柄
18 ハンドル
20 プラスッチク部分
22 取っ手部分
24 ブレード末端
26 ハンマー末端
30 ハンマー
32 本体
34 第1の末端
36 反対の末端
38 芯
40 スカート部
42 外部の表面
44 縁
46 舌状突起
48 取付孔
50 金属性キャップ
52 固定具
54 突起
58 輪状の縁
60 中心の突起
62 凹み
64 吊り下げ用孔
70 ハンマー
72 衝撃構成部
74 壁状物
76 溝
80 ハンマー
82 本体
88 吊り下げ用孔
90 ハンマー
92 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用末端および該作業用末端と反対のハンドル末端を有するブレード;
該ハンドル末端へ取り付けられ、ブレード末端およびハンマー末端を有するハンドル;
該ハンマー末端へ取り付けられ、比較的固い軽量のポリマー性材料からつくられた本体を有するハンマー
からなることを特徴とする工具。
【請求項2】
該材料がポリカーボネートである請求項1の工具。
【請求項3】
該ハンマーが、吊り下げ用孔および該孔と隣接する複数の壁状物をさらに含む請求項1の工具。
【請求項4】
該壁状物が、吊り下げ用孔に隣接する溝を分離する請求項3の工具。
【請求項5】
該ハンマー上の複数の壁状物をさらに含む請求項1の工具。
【請求項6】
壁状物がハンマー本体へ一体化して形成される請求項5の工具。
【請求項7】
該ハンマーが、ほぼ軸方向の芯の部分、および共通の厚い衝撃構成部から該ブレードへ向かって突き出しているスカート部を含む請求項1の工具。
【請求項8】
該芯が該スカート部を越えて突き出している請求項7の工具。
【請求項9】
該ハンマーが、吊り下げ用孔および該孔に隣接する複数の壁状物をさらに含む請求項7の工具。
【請求項10】
該ハンマー上に設けられた金属製キャップをさらに含む請求項1の工具。
【請求項11】
該キャップが、少なくとも1つの固定具により該ハンマーへ取り付けられる請求項10の工具。
【請求項12】
該キャップが亜鉛からつくられる請求項10の工具。
【請求項13】
該ハンマー本体が、該キャップの縁を受容する形状を有する肩部を含み、該本体へ装着されたとき、該キャップは該本体の外部の表面と同一平面にある請求項10の工具。
【請求項14】
該ブレードが柄を含み、該ハンマーが該ハンドル末端の端から軸方向に移動している請求項1の工具。
【請求項15】
該ハンマー本体が、衝撃部末端と反対に軸方向へ突き出している舌状突起を含む請求項1の工具。
【請求項16】
作業用末端および該作業用末端と反対のハンドル末端を有するブレード;
該ハンドル末端へ取り付けられ、ブレード末端およびハンマー末端を有するハンドル;
該ハンマー末端へ取り付けられ、そしてハンドルへ取り付けられる形状を有しポリカーボネートからつくられたハンマー部分を含む本体を有するハンマー;
共通の末端から突き出し肩部を画成するスカート部をもつ軸方向の芯を有する該ハンマー本体;
該ハンマー本体へ固定する形状を有し、さらに該肩と係合する縁を有し、組み立てたとき、該本体の外部の表面とほぼ同一平面にある金属性キャップ
からなることを特徴とする工具。
【請求項17】
該本体が、該ハンドルへ取り付けるために該スカート部の末端を越えて軸方向へ突き出している舌状突起を含む請求項16の工具。
【請求項18】
該芯が、該ブレードへ近い末端を有し、該ハンマーへの衝撃を移動するために該ハンドル末端の端から軸方向へ移動する請求項16の工具。
【請求項19】
ほぼ軸方向の芯、および共通の末端から突き出し肩部を画成するスカート部を画成するハンマー本体、
該ハンマー本体へ固定される形状をもち、該肩部と係合する縁を有し、組み立てたとき、該本体の外部の表面とほぼ同一平面にある金属性キャップ;および
該本体中の凹みと係合する中心の突起を有する該キャップ
からなることを特徴とするハンドルを有する工具のためのハンマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−501364(P2010−501364A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525546(P2009−525546)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/017183
【国際公開番号】WO2008/027149
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(596172325)ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー (100)
【Fターム(参考)】