説明

ポリマー添加剤含有粒子

本発明は、ポリマー添加剤および種ラテックスの存在下でのエチレン性不飽和モノマーMの水性乳化重合によって得られる粒子であって、モノマーMが、ほとんど水不溶性のモノマーMlおよび、任意選択で、少なくとも部分的に水溶性モノマーM2を含む水性乳化重合によって得られる粒子に関する。ポリマー添加剤はおおむね水不溶性であり、モノマーM1に可溶であり、粒子の合成条件下では重合可能ではない。粒子は、平均粒径が500nm以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー添加剤を含むエチレン性不飽和モノマー系粒子、および有機ポリマーの処理におけるそうした粒子の使用、特に紫外線照射の作用に対して安定化させるためのそうした粒子の使用に関する。本発明はさらに、そのような粒子を含む水性ポリマー分散液およびそうしたポリマー分散液の製造方法に関する。本発明は、上述のポリマー分散液から得られるポリマー粉末、さらにポリマー粉末を再分散させて得られるポリマー分散液を含む。
【0002】
本発明の更なる実施態様は、請求項、説明および実施例から理解できる。前述の特徴および本発明の内容に関してさらに説明される後述の特徴は、それぞれの場合に具体的な用語で示されている組合わせで使用できるだけでなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で他の組合わせでも使用できることが理解される。すべての特徴が好ましい意味を持つかまたは特に好ましい意味を持つ本発明の実施態様が、好ましいかまたは特に好ましい。
【0003】
ビニル基を含むモノマーの乳化重合よる殺虫剤含有ポリマーの製造が、米国特許第3400093号明細書から公知である。これに関連して、殺虫剤はエマルジョン媒体に不溶であるが、モノマーには可溶である。種ラテックスの使用は、米国特許第3400093号明細書に開示されていない。
【0004】
米国特許第4419471号明細書は、スチレン/ブタジエンコアおよびアルキルアクリレート/メタクリレートシェルを有するポリマー組成物を開示している。スチレン/ブタジエンコアは種ラテックスとして使用される。コアは酸化防止剤を含み、少なくとも部分的に結合シェルによって囲まれている。シェルは共重合された紫外線安定剤を含む。
【0005】
国際公開第01/10936号は、コア/シェル構造を有するポリマー粒子を開示しており、そのコアは紫外線吸収剤を含んでいる。紫外線吸収剤は、化学的にポリマーコアに組み込むことができるか、またはポリマーコアに結合させることができるか、またはコア中に分散させることができる。実施例に示されているポリマー粒子の製造は、種ラテックスなしで実施されている。
【0006】
国際公開第05/102044号は、殺真菌性活性物質の水性組成物および有害な微生物の駆除におけるその使用を開示している。その組成物は、平均粒径が300nm未満の微細ポリマーを含む。微細ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの乳化重合によって製造され、とりわけ種ラテックスの存在下でも得られる。粒子中に存在する活性物質は、微生物を駆除するのに使用されるときに粒子から放出される。
【0007】
既述の従来技術の方法では、使用成分がポリマーから周囲へ漏れ出てしまう。これは、殺虫性または殺真菌性活性物質の場合を除けば、望ましいことではない。ポリマーから外部への移行によって成分が減少すると、薄くなり、しばしば効果が減少する。成分が長期的に粒子中にとどまるようにすることが望ましい場合、従来技術の教示では、それに応じて、成分をポリマーのコモノマーとして化学的に組み込む選択肢または成分をコア/シェル粒子のコア中に封じ込めようとする選択肢を示している。しかし、どちらの処置も、可能な成分の選択が限られるか、または長期的効果が十分ではなくなるということが時折ある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、移行に対する安定性が保証される、すなわちポリマー添加剤が長期間にわたってできるだけ多量に粒子中に残るような方法で、ポリマー添加剤を含む粒子を得られるようにすることである。本発明のさらなる目的は、移行に対して安定した粒子を効率的に得られるようにする改善された製造方法を見出すことである。なお、粒子は有機ポリマー中に組み込みやすいものであるべきである。
【0009】
上記および他の目的は、本発明の開示内容から明らかなように、後で記載されている本発明による方法のさまざまな実施態様によって達成される。
【0010】
驚くべきことに、この目的は、ポリマー添加剤および種ラテックスの存在下でのエチレン性不飽和モノマーMの水性乳化重合によって得られる粒子であって、モノマーMが、
a.十分に水不溶性であるモノマーM1および、
b.場合により、少なくとも部分的に水溶性であるモノマーM2を含み、
ポリマー添加剤が
c.本質的には水不溶性であり、かつ
d.モノマーM1に可溶であり、かつ
e.粒子の製造条件下では重合できず、さらに
粒子の平均粒径が500nm以下である、粒子によって達成されることが見出された。
【0011】
a−Cbという形の表現は、本発明との関連では、特定数の炭素原子を有する化合物または置換基を表す。炭素原子の数は、a〜bの全範囲(aおよびbを含む)から選択でき、aは少なくとも1であり、bは常にaより大きい。Ca−Cb−Vの形の表現によって化合物またはその置換基がさらに指定される。これに関連して、Vは化合物の部類または置換基の部類のものであり、例えばアルキル化合物またはアルキル置換基である。
【0012】
本発明によれば、粒子はエチレン性不飽和モノマーMをベースにして製造される。モノマーMは、同一であっても異なっていてもよい。すべてのモノマーMが同一である場合、それから製造されるポリマーはそれゆえにホモポリマーからなるが、異なるモノマーMの場合、ポリマーはコポリマーからなる。本発明による粒子は、モノマーMの1種以上のポリマーを含む。したがって粒子は、同一または異なるホモポリマーまたはコポリマーのブレンドを含むこともできる。原則として、水性乳化重合の方法に従って重合できるエチレン性不飽和モノマーはすべて、モノマーMとして適している。
【0013】
Mのサブセットは、十分に水不溶性である中性のエチレン性不飽和モノマーM1を表す。好ましくは、モノマーM1はモノエチレン性不飽和である。モノマーM1はすべてが同一であるかまたは異なっていてよい。モノマーMとして適しているモノマーM1には、ビニル芳香族モノマー(スチレンなど)、ビニルエーテル、3〜12個、特に3または4個の炭素原子を有するモノエチレン性不飽和のモノカルボン酸およびジカルボン酸とC1−C12アルカノールかまたはC5−C8シクロアルカノールとのエステル、特にアクリル酸、メタクリル酸またはクロトン酸のエステル、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸のジエステル、および特に好ましくはアクリル酸とC2−C12アルカノールとのエステル(C2−C12アルキルアクリレートと呼ばれ、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、アクリル酸イソブチル、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、3−プロピルヘプチルアクリレートまたはラウリルアクリレートなどがある)、およびメタクリル酸とC1−C12アルカノールとのエステル(C1−C12アルキルメタクリレートと呼ばれ、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、またはn−ヘキシルメタクリレートなどがある)、またメタクリロニトリルまたはアクリロニトリルが含まれる。2〜10個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸のビニルエステルまたはアリルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルプロピオネートおよびVersatic(登録商標)酸のビニルエステル(バーサチック酸ビニル)、ハロゲン化ビニル(塩化ビニルまたは塩化ビニリデンなど)、共役ジオレフィン(ブタジエンまたはイソプレンなど)、およびC2−C6オレフィン(エチレン、プロペン、1−ブテンまたはn−ヘキセンなど)も、好適なモノマーM1である。好ましいモノマーM1は、ビニル芳香族モノマー、特にスチレン、C2−C12アルキルアクリレート、特にC2−C8アルキルアクリレートまたはC1−C12アルキルメタクリレート、酢酸ビニル、ビニルエーテル、またメタクリロニトリルまたはアクリロニトリルである。
【0014】
粒子は、好ましくはモノマーMの総量に対して60〜100質量%、好ましくは70〜100質量%、特に好ましくはモノマーM1の80〜100質量%まで形成される。
【0015】
示されている溶解度(例えば、水溶解度)は、25℃の温度および1013ミリバールの圧力の標準状態で測定したものである。モノマーの溶解度は、例えば、目に見える界面が生じるまでモノマーを脱イオン水中に滴下することによって測定する。
【0016】
モノマーM1は十分に水不溶性である。したがってモノマーM1は、好ましくは水溶解度が30g/l以下である。特に、モノマーM1の水溶解度は、上記の条件下では0.05〜20g/lである。
【0017】
さらにモノマーMは、少なくとも部分的に水溶性であるエチレン性不飽和のモノマーM2を含んでもよい。モノマーMは、モノマーMの総量に対して0.01〜40質量%、好ましくはで0.01〜30質量%、特に0.01〜20質量%の(モノマーMl以外の)モノマーM2を含んでもよい。モノマーM1およびM2の比率の合計は、モノマーM1およびM2だけをモノマーMに使用した場合、当然ながらモノマーMの総量に対して100質量%になる。モノマーM2は、水溶解度が少なくとも50g/l、特に少なくとも100g/lである。
【0018】
モノマーM1へのモノマーM2の溶解度は変化しうる。一般に、モノマーM1の極性が低いと、M1に溶解するモノマーM2は少なくなる。しかし、これは簡単な溶解度の実験ですぐに発見できる。
【0019】
モノマーM2としては、特に水溶解度が少なくとも50g/l、特に少なくとも100g/lであり、かつ少なくとも1つの酸基または少なくとも1つの陰イオン基があるモノエチレン性不飽和モノマーM2a、特にスルホン酸基、ホスホン酸基または1個または2個のカルボン酸基のあるモノマーM2a、またモノマーM2aの塩、特にアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩)、およびアンモニウム塩がある。これには、エチレン性不飽和スルホン酸(特にビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸または2−メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−アクリロイルオキシ−または3−メタクリロイルオキシプロパンスルホン酸またはビニルベンゼンスルホン酸)またはその塩、エチレン性不飽和ホスホン酸(ビニルホスホン酸またはビニルホスホン酸ジメチルエステルなど)またはその塩、あるいはα,β−エチレン性不飽和C3−C8モノカルボン酸またはC4−C8ジカルボン酸(特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸)がある。モノマーM2aの比率は、しばしば、モノマーMの総量に対して35質量%以下、好ましくは20質量%以下、例えば、0.01〜20質量%、特に0.01〜15質量%であってよい。
【0020】
好ましいモノマーは、アクリル酸およびメタクリル酸、またイタコン酸、さらにそれらのアルカリ塩である。
【0021】
モノマーM2としてはさらに、水溶解度が少なくとも50g/l、特に少なくとも100g/lである、モノエチレン性不飽和で少なくとも部分的に水溶性の中性モノマーM2bがある。この例は、上述のエチレン性不飽和カルボン酸のアミド、特にアクリルアミドまたはメタクリルアミド、上述のα,β−エチレン性不飽和C3−C8モノカルボン酸またはC4−C8ジカルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、特にアクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、2−または3−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは2−または3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、あるいは上述のモノエチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸とC2−C4ポリアルキレングリコールとのエステル、特にこれらのカルボン酸とポリエチレングリコールまたはアルキルポリエチレングリコール、(アルキル)ポリエチレングリコール残基(普通は分子量が100〜3000の範囲である)とのエステルである。モノマーM2bとしてはさらに、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールまたはN−ビニルカプロラクタムなどのN−ビニルアミドがある。好ましいモノマーM2bは、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニルまたはプロピオン酸ビニルである。モノマーM2bの比率は、好ましくはモノマーMの総量に対して20質量%以下、特に10質量%以下、例えば、0.01〜10、特に0.01〜5質量%であってよい。
【0022】
モノマーM2としてはさらに、水溶解度が少なくとも50g/l、特に少なくとも100g/lであり、かつ少なくとも1つの陽イオン基および/または水性媒体中でプロトン付加されうる少なくとも1つの基がある、少なくとも部分的に水溶性のモノエチレン性不飽和モノマーM2cがある。モノマーM2cとしては、特に、プロトン付加可能なアミノ基、第四アンモニウム基、プロトン付加可能なイミノ基または四級化イミノ基のあるものがある。プロトン付加可能なイミノ基を有するモノマーの例には、N−ビニルイミダゾールまたはビニルピリジンがある。四級化イミノ基を有するモノマーの例には、N−アルキルビニルピリジニウム塩またはN−アルキル−N’−ビニルイミダゾリニウム塩(N−メチル−N’−ビニルイミダゾリニウムクロリドまたはモノスルフェートなど)がある。モノマーM2cの中で特に一般式Iのモノマーが好ましい。
【0023】
【化1】

[式中、
1は、水素またはC1−C4アルキル、特に水素またはメチルであり、
2およびR3は、互いに独立にC1−C4アルキル、特にメチルであり、
4は、水素またはC1−C4アルキル、特に水素またはメチルであり、
Yは、酸素、NHまたはNR5[式中、R5はC1−C4アルキルである]であり、
Aは、C2−C8アルキレン、例えば、1,2−エタンジイル、1,2−または1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイルまたは2−メチル−1,2−プロパンジイル(適切な場合には、1、2または3個の非隣接酸素原子が介在している)であり、
-は、陰イオンに相当するもの、例えば、C1-、BF4-、HSO4-、1/2SO42-またはCH3OSO3-などのハロゲン化物であり、
また、R4=Hの場合、式Iのモノマーの遊離塩基である。
【0024】
そのようなモノマーの例には、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレートメトクロリド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリルアミド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレートクロリド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)エチルメタクリルアミドクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)プロピルアクリルアミドクロリド、3−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)プロピルメタクリルアミドクロリド、2−(N,N,N−トリメチルアンモニオ)エチルアクリルアミドクロリド、およびそれに対応するモノスルフェートまたはスルフェートがある。2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレートメトクロリド、または2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレートが好ましい。
【0025】
一実施態様において、モノマーMは少なくとも1種のモノマーM2cを含む。それでモノマーM2cの比率は、有利にはモノマーMの総量に対して20質量%以下、特に0.01〜10質量%、特に好ましくは0.01〜7質量%である。
【0026】
好ましくは、モノマーMは、モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、またはそれらの混合物を含み、場合により、モノマーM2aとして、アクリル酸、メタクリル酸、それらの混合物、あるいはまたそれらの塩またはそれらの混合物の塩、また場合により、モノマーM2bとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはそれらの混合物、また場合により、モノマーM2cとして、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、それらの混合物、またはそれらの酸付加物または混合物の酸付加物を含む。
【0027】
特に好ましくは、モノマーMは、モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、またはそれらの混合物、またモノマーM2aとして、アクリル酸、メタクリル酸、それらの混合物、あるいはまたそれらの塩またはそれらの混合物の塩、また場合により、モノマーM2bとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、またはそれらの混合物、また場合により、モノマーM2cとして、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、それらの混合物、またはそれらの酸付加物あるいは混合物の酸付加物を含む。
【0028】
加えて、モノマーMとしては、通常、水性乳化重合に使用できるすべてのエチレン性不飽和モノマーがある。例えば、2つ以上の非共役エチレン性不飽和二重結合を示すモノマーを、モノマーMとして使用できる。ただし、2つ以上の非共役エチレン性不飽和二重結合を示すモノマーMの比率は、通常、モノマーMの総量に対して5質量%を超えず、特に2質量%を超えず、例えば、0.01〜2質量%、特に0.05〜1.5質量%になる。
【0029】
一実施態様において、モノマーM1の量はモノマーMの総量に対して100質量%である。更なる実施態様では、モノマーM1とM2との比率は、60〜99.99質量%対0.01〜40質量%であり、いずれの場合もモノマーMの総量に対してである。好ましくは、モノマーM1とM2との比率は、70〜99.99質量%対0.01〜30質量%であり、いずれの場合もモノマーMの総量に対してである。特に好ましくは、モノマーM1とM2との比率は80〜99.99質量%対0.01〜20質量%であり、いずれの場合もモノマーMの総量に対してである。これに関連して、モノマーM1およびM2の総量は当然ながら100質量%になり、これはモノマーMの総量に相当する。
【0030】
本発明による方法の別の実施態様では、モノマーM2a、M2b、M2cの比率は、それぞれの場合にモノマーMの総量に対して20質量%以下であり、合計では40質量%以下である。好ましくは、モノマーMの総量に対して、モノマーM2aの比率は20質量%以下であり、モノマーM2bの比率は10質量%以下であり、モノマーM2cの比率は10質量%以下であり、合計では30質量%以下である。特に好ましくは、モノマーMの総量に対して、モノマーM2aの比率は15質量%以下であり、モノマーM2bの比率は5質量%以下であり、モノマーM2cの比率は7質量%以下であり、合計では20質量%以下である。
【0031】
本発明の有利な実施態様では、水性乳化重合において、架橋剤として働くモノマーMを含むモノマー混合物を使用し、そのモノマーとして、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジビニル尿素またはメチレンビスアクリルアミドなどがある。以下のような銘柄でSartomerから販売されている架橋剤も好適である:CN435、SR415、SR454、SR499、SR502:エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;SR593:エトキシル化ペンタエリトリトールトリアクリレート;SR9019:プロポキシル化グリセリルトリアクリレート;SR351M:トリメチロールプロパントリアクリレート;SR9021:高度にプロポキシル化されたグリセリルトリアクリレート;SR9020:プロポキシル化グリセリルトリアクリレート;SR492:プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;SR368:トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;SR355:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート;SR399、SR399LV:ジペンタエリトリトールペンタアクリレート;SR494:エトキシル化ペンタエリトリトールテトラアクリレート。
【0032】
さらに、本発明による粒子は、ガラス転移温度Tgが少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、特に少なくとも30℃であるのが有利であることが分かった。特にガラス転移温度が180℃の値、特に好ましくは130℃を超えることはない。本発明による粒子を段階重合で製造した場合、したがって、コア/シェル粒子として存在するかまたは種々の粒子の混合物の形態で存在する場合、ガラス転移温度が少なくとも10℃、好ましくは少なくとも20℃、特に少なくとも30℃である粒子の比率は、例えば少なくとも40質量%である。
【0033】
「ガラス転移温度Tg」という用語は、本明細書ではASTM D 3418−82に従って示差走査熱量分析(DSC)で測定した融点を意味すると理解される(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Edition, Volume A 21, VCH Weinheim 1992, p. 169、およびA. Zosel, Farbe und Lack[Color and Paint], 82(1976), pp. 125−134を参照のこと。DIN 53765も参照のこと)。
【0034】
これに関連して、コポリマーPのガラス転移温度Tgを推定するのが役立つことが分かった。Fox(T. G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc., (Ser. II)1, 123[1956]、およびUllmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry], Weinheim(1980), pp. 17−18)によれば、以下の式は、良好な近似として、モル質量の大きい弱架橋混合ポリマーのガラス転移温度に関して有効である。
【0035】
【数1】

[式中、X1、X1、...、Xnはモノマー1、2...nの質量分率を表し、Tg1、Tg2、...、Tgnは、それぞれの場合にモノマー1、2、....nの1つだけから合成されたポリマー(ホモポリマー)のガラス転移温度(°K)を表す]。後者のポリマーは、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, VCH, Weinheim, Vol. A21(1992), p. 169、またはJ. Brandrup and E. H. Immergut, Polymer Handbook, 3rd Ed., J. Wiley, New York, 1989から知られている。
【0036】
本発明による粒子の平均粒径は500nm以下である。一次粒子の粒径分布は、複峰でありうるが、単峰でもありうる。分布は、反応条件におうじて狭いか、または広いものでもありうる。平均粒径は、好ましくは10〜450nm、特に20〜400nm、特に好ましくは30〜350nm、特に非常に好ましくは40〜300nmの範囲である。本明細書で示す粒径は、動的光散乱法で測定できるような質量平均粒径である。これに関する方法は、当業者に周知であり、例えば、H. Wiese in D. Distler, Waessrige Polymerdispersionen[Aqueous Polymer Dispersions], Wiley−VCH, 1999, chapter 4.2.1, p. 40ff、およびその中に引用されている文献、またH. Auweter and D. Horn, J. Colloid, Interf. Sci., 105(1985), 399, D. Lilge and D. Horn, Colloid Polym. Sci., 269(1991), 704、またはH. Wiese and D. Horn, J. Chem. Phys., 94(1991), 6429から知られている。
【0037】
原則として、有機ポリマーの処理に使用され、かつそれ自体が本発明による粒子の製造方法の条件下で重合できない、水溶解度の低いすべての有機物質は、ポリマー添加剤として適している。「ポリマー添加剤」という用語は、殺菌剤、除草剤または殺虫剤、または医薬活性物質などの農薬活性物質を意味すると理解すべきでない。「有機ポリマーの処理」という用語は、ポリマー添加剤を用いて有機ポリマーを安定化させるという意味としても理解すべきである。本発明による粒子中に存在するポリマー添加剤は、すべてが同一であるかまたは異なる。「ポリマー添加剤」という表現は、個別のポリマー添加剤およびポリマー添加剤の混合物を含む。本質的に水不溶性ポリマー添加剤の水溶解度は、一般には5g/l以下、しばしば3g/l以下、特に1g/l以下、例えば、0.001g/l〜1g/l、特に0.002〜0.5g/lである。モノマーM1へのポリマー添加剤の溶解度は、ポリマー添加剤の化学的性質の詳細に依存するので、それに応じて広範囲で変化しうる。ポリマー添加剤は、分散された形態で、モノマーM1中に部分的に、好ましくは少ない割合で存在することもできる。ポリマー添加剤は一般にはモノマーM1に可溶であり、モノマーM2a〜cにはわずかに可溶である。
【0038】
「ポリマー添加剤」という用語は、本発明との関連では、特に紫外線吸収剤、安定剤、助剤、着色剤または紙用の反応性サイズ剤を意味すると理解すべきである。安定剤は、有機ポリマー用紫外線安定剤、光安定剤または酸化防止剤を含む。助剤は、有機ポリマー用防曇剤、有機ポリマー用滑剤、有機ポリマー用静電防止剤または有機ポリマー用難燃剤を含む。着色剤は、可視領域の光を吸収する有機着色剤、赤外線染料または蛍光増白剤を含む。上述の群の1つでのポリマー添加剤の分類は限定的なものではない。すなわち個別のポリマー添加剤が(例えば、安定剤および助剤として)幾つかの作用を十分に示しうる。
【0039】
好適なポリマー添加剤は、本発明によればモノマーM1に可溶である。モノマーM1へのポリマー添加剤の溶解度は、例えば、少なくとも1g/l、好ましくは少なくとも10g/lである。粒子中に存在するポリマー添加剤の量は、例えば、0.5〜60質量%、好ましくは10〜40質量%であり、一般には10〜30質量%の範囲であり、それぞれ粒子の全質量に対するものである。
【0040】
特に好ましくは、ポリマー添加剤として、モノマーM1に可溶である紫外線吸収剤を使用する。紫外線吸収剤は市販製品であることが多い。それらは、例えば、Uvinul(登録商標)という商標でルートウィヒスハーフェンのBASF Aktiengesellschaftから販売されている。Uvinul(登録商標)光安定剤は、次の部類の化合物を含む:ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、シアノアクリレート類、およびモノマーまたはオリゴマーのヒンダードアミン(HALS)。「紫外線吸収剤」という用語は、吸収された照射を無放射的に不活性化させる、紫外線を吸収すると知られている化合物を意味すると理解される。紫外線吸収剤は、<400nmの波長の光を吸収し、それを熱放射に変換する。そのような化合物は、例えば、単独で、または他の光安定剤と混ぜて、遮光剤の中で、また有機ポリマーを安定化させるために使用される。紫外線吸収剤の例には、p−アミノ安息香酸の誘導体、特にそのエステル(例えば、4−アミノ安息香酸エチルおよびエトキシル化4−アミノ安息香酸エチル)、サリチレート、置換シンナメート(オクチルp−メトキシシンナメートまたは4−イソペンチル4−メトキシシンナメートなど)、2−フェニルベンゾイミダール−5−スルホン酸またはそれらの塩がある。特に好ましく使用される紫外線吸収剤は、4−(n−オクチルオキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノンである。紫外線吸収剤の更なる例として次のものがある:
置換アクリレート、例えば、エチルまたはイソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート(主として2−エチルヘキシルα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート)、メチルα−メトキシカルボニル−β−フェニルアクリレート、メチルα−メトキシカルボニル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、メチルまたはブチルα−シアノ−β−メチル−β−(p−メトキシフェニル)アクリレート、N−(β−メトキシカルボニル−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、オクチルp−メトキシシンナメート、イソペンチル4−メトキシシンナメート、ウロカニン酸あるいはそれらの塩またはエステルなど;
2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、例えば、4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−、2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、および4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ナトリウム塩など;
4,4−ジフェニルブタジエン−1,1−ジカルボン酸のエステル、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)エステルなど;
2−フェニルベンゾイミダール−4−スルホン酸および2−フェニルベンゾイミダール−5−スルホン酸、またはそれらの塩;
ベンゾキサゾール誘導体;
ベンゾトリアゾールまたは2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,1,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−(sec−ブチル)−5’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ(tert−アミル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)−5’−(2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エチル)−2’−ヒドロキシフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[3’−(tert−ブチル)2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−[3’−(tert−ブチル)−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300との完全エステル化生成物[R−CH2CH2−COO(CH23−]2(式中、Rは、3’−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5’−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニルを表す)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールなど;
ベンジリデン樟脳またはその誘導体、例えば、独国特許出願公開第3836630号明細書に述べられているものなど、例えば、3−ベンジリデン樟脳、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−樟脳;
α−(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸またはその塩、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムモノスルフェート;
ジベンゾイルメタン、例えば、4−(tert−ブチル)−4’−メトキシジベンゾイルメタンなど;
2,4,6−トリス{N−[4−(2−エチルヘキシ−1−イルオキシカルボニル)−フェニル]アミノ}−1,3,5−トリアジン、4,4’−((6−(((tert−ブチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)イミノ)ビス(安息香酸2’−エチルヘキシルエステル)などの2,4,6−トリアリールトリアジン化合物;
2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなど。
【0041】
更なる好適な紫外線吸収剤は、Cosmetic Legislation, Vol.1, Cosmetic Products, European Commission, 1999, pp. 64−66という文献から得られるので、ここでその文献を参照されたい。
【0042】
加えて、好適な紫外線吸収剤が欧州特許出願公開第1191041号明細書の第6頁第14〜30行に開示されている。それらをよく参照されたい。
【0043】
さらに、有機ポリマー用安定剤はポリマー添加剤として適している。安定剤は、酸素、光または熱の作用のもとでの分解に対して有機ポリマーを安定化させる化合物である。それらは酸化防止剤または紫外線安定剤および光安定剤とも言われている。Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 3, 629−650(ISBN−3−527−30385−5)および欧州特許出願公開第1110999号明細書第2頁第29行〜第38頁第29行を参照されたい。実質的にすべての有機ポリマーは、そのような安定剤で安定化させることができる。欧州特許出願公開第1110999号明細書第38頁第30行〜第41頁第35行を参照されたい。この参照文献は、参照により本発明の開示内容の一部とする。この欧州特許出願に開示されている安定剤は、ピラゾロン類、有機ホスフィットまたはホスホナイト、立体的障害フェノール類、および立体的障害アミン(「HALS」型の安定剤またはHALS安定剤。Roempp, 10th Edition, Volume 5, pages 4206−4207を参照)の各化合物の部類に属する。
【0044】
有機ポリマー用助剤もさらにポリマー添加剤として適している。「助剤」という用語は、例えば、少なくともプラスチック製のフィルムまたは成形品の曇りを十分に防ぐ物質(防曇剤として知られる)を意味すると理解される。加えて、特にシートまたはフィルムが製造されるもとになる有機ポリマー用防曇剤は、ポリマー添加剤として適している。そのようなポリマー添加剤については、例えば、F. Wylin著のPlastics Additives Handbook, 5th Edition, Hanser, ISBN 1−56990−295−X, pages 609−626に記載されている。
【0045】
更なる好適なポリマー添加剤は、有機ポリマー用の滑剤(酸化ポリエチレンワックスなど)および静電防止剤である。静電防止剤の例については、上述の参照文献のF. Wylin, Plastics Additives Handbook, pages 627−645を参照されたい。
【0046】
更なる好適なポリマー添加剤は難燃剤であり、これについては、例えば、Roempp, 10th Edition, pages 1352 and 1353, およびUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 14, 53−71に記載されている。
【0047】
市販の安定剤および助剤は、例えば、CibaからはTinuvin(登録商標)およびCyasorb(登録商標)という商標名で、Eastman KodakからはTenox(登録商標)という商標名で販売されている。安定剤および助剤については、例えば、Plastics Additives Handbook, 5th Edition, Hanser Verlag, ISBN 1−56990−295−Xに記載されている。安定剤および助剤は、モノマーM1に可溶であり、少なくとも1g/l、好ましくは少なくとも10g/lだけ溶解する。
【0048】
他のポリマー添加剤は、可視領域の光を吸収する有機着色剤、または蛍光増白剤である。そのような着色剤および蛍光増白剤は、国際公開第99/40123号(従来技術の一部である)の第10頁第14行〜第25頁第25行に詳しく記述されており、ここでそれを特に参照されたい。光学着色剤は400〜850nmの波長域に1つの吸収極大があるが、蛍光増白剤は250〜400nmの領域に1つ以上の吸収極大がある。蛍光増白剤は、紫外線照射時に、可視領域の蛍光放射線を発することで知られる。蛍光増白剤の例には、ビススチリルベンゼン類、スチルベン類、ベンゾキサゾール類、クマリン類、ピレン類およびナフタレン類の各部類の化合物がある。市販の蛍光増白剤は、Tinopal(登録商標)(Ciba)、Ultraphor(登録商標)(BASF Aktiengesellschaft)およびBlankophor(登録商標)(Bayer)の商標で販売されている。蛍光増白剤については、Roempp, 10th Edition, Volume 4, 3028−3029(1998)およびUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Vol. 24, 363−386(2003)にも記載されている。
【0049】
更なる好適なポリマー添加剤は赤外線染料であり、これは、例えばLumogen(登録商標)IRとしてBASF Aktiengesellschaftから販売されている。Lumogen(登録商標)染料は、ペリレン類、ナフタルイミド類、またはクアテリレン類の部類の化合物を含む。
【0050】
「ポリマー添加剤」という用語は、アルキルジケテンおよびアルケニル無水コハク酸などの紙用の反応性サイズ剤も意味すると理解すべきである。アルキルジケテンは、紙および板紙(厚紙を含む)の製造においてパルプサイズ剤として使用される。こうしたポリマー添加剤は、基本的には、ステアリルジケテン、パルミチルジケテン、ベヘニルジケテンまたはオレイルジケテンなどのC14−C22アルキルジケテン、およびジケテンの混合物である。アルケニル無水コハク酸も同様に紙および紙製品の製造でパルプサイズ剤として使用される。そのようなサイズ剤の例には、異性体の4−、5−、6−、7−および8−ヘキサデセニル無水コハク酸、デセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸またはn−ヘキサデセニル無水コハク酸がある。C. E. Farley and R. B. Wasser, The Sizing of Paper, Second Edition, (3), Sizing With Alkenyl Succinic Anhydride, TAPPI PRESS, 1989, ISBN 0−89852−051−7, pages 51−62も参照されたい。
【0051】
ポリマー添加剤は、任意の方法で本発明による粒子中に分散させることができるか、または粒子の表面に置くことができる。例えば、ポリマー添加剤は、粒子中に均一に分散させることができるか、または凝集体の形態で粒子中に存在させることができる。ポリマー添加剤は、主として粒子のコアまたはシェル中に置くことができる。ポリマー添加剤は、領域を形成することができ、また例えば、国際特許出願PCT/EP第2005/002534号明細書に記載されているように、種々の構造を形成することができる。
【0052】
本発明による粒子の製造は、エマルジョンのモノマー滴がポリマー添加剤を含んでいる、モノマーMの水中油型の水性乳化重合を含む。「水性乳化重合」および「乳化重合」という用語は、以下、同義語として使用される。これに関連して、乳化重合は、従来の乳化重合と同様にして実施されるが、重合させるモノマーエマルジョンが、モノマー滴中に溶解または部分的に溶解しているポリマー添加剤を含むという点が異なる。
【0053】
ポリマー添加剤は、当然ながら、少なくとも部分的に水溶性モノマーM2a〜cにもわずかに可溶でありうる。しかし、それらは好ましくは、十分に水不溶性モノマーMl中に溶けて存在する。モノマーM2a〜cは、共重合の形式に従ってモノマーM1と反応して「Zマー」を生じる。その後、これらのZマーは疎水性ラジカル開始剤要素として、モノマーによって膨潤した種ラテックス粒子にグラフト化し、それらを硬化させると考えられる。ポリマー添加剤および他の疎水性化学物質が水性相を通って移動するメカニズムは完全には明らかになっていないが、存在する種ラテックス粒子がおそらくこの移動に役立っている。
【0054】
ポリマー添加剤/モノマー溶液の水中油型エマルジョンは、重合させるモノマーM中にポリマー添加剤を含んだ溶液を、重合条件下に置かれた重合容器中に加えることにより、現場で製造できる。
【0055】
しかし、好ましくは、ポリマー添加剤はモノマーMに溶けることになり、こうして得られたモノマー溶液は水性モノマーエマルジョンに変換されることになり、その後、こうして得られたモノマー/ポリマー添加剤エマルジョンを重合反応に供給する。
【0056】
本発明による粒子の製造では、乳化重合は種ポリマー(種ラテックス、種)の存在下で実施する。これに関連して、平均粒径が通常は100nm以下、特に80nm以下、特に好ましくは50nm以下である微細ポリマーラテックスが関係する。特に、種の粒径は30nm以下である。好ましくは少なくとも90質量%まで、特に少なくとも95質量%、多くの場合99質量%を超えるまで種ラテックスを構成するモノマーは、モノマーM1から選択され、種ラテックスは、安定化のために、少量、例えば、0.1〜10質量%、特に0.1〜5質量%、とりわけ0.1〜1質量%の、M1とは異なるモノマーM2(例えば、モノマーM2a)も含むことが可能である。種ラテックスは、しばしばガラス転移温度が少なくとも10℃であり、特に少なくとも50℃であり、少なくとも80℃であることが多い。種ラテックスの量は、通常は、重合させるモノマーMに対して0.01〜15質量%、特に1〜10質量%である。
【0057】
好ましくは、種ラテックスの大部分、特に全部が乳化重合の開始時に完全に反応器中に存在する。種ラテックスは、現場で、種ラテックスを形成するモノマーのラジカル乳化重合によって重合容器中で生成させることもできる。しかし、この場合、種ラテックスの形成は、本発明による粒子の製造の開始前に終了する。更なる種ラテックスを乳化重合の間に供給することが可能である。種ラテックスの望ましい粒径は、モノマーと乳化剤との比率によって、それ自体公知の方法で制御できる。種はたいてい、保護コロイドの助けを得て乳化剤をほとんど使用せずに製造できる。
【0058】
乳化重合の従来技術の標準的な方法は、例えば、種ラテックスの製造に適用できる。一般に、操作は、低分子量界面活性剤の混合物を用いて実施する。しかし、オリゴマー界面活性剤または保護コロイドを用いて種ラテックスを形成することもできる。ラテックスの製造に共重合性界面活性剤を使用することも考えられる。
【0059】
好ましくは、種ラテックスを形成するモノマーは、C1−C12アルキルアクリレート、C1−C12アルキルメタクリレート、スチレン、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルからなる群より選択される。スチレンまたはメタクリル酸メチルが特に好ましい。種ラテックスは好ましくは架橋される。1種以上の架橋剤を使用できる。アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ブタジエン、ジビニルベンゼン、ジビニル尿素またはメチレンビスアクリルアミドが、架橋剤として適している。当然ながら、種々の種ラテックスの混合物も、本発明による方法との関連で使用できる。そうした混合物の種ラテックスは、同一または異なる組成物および粒径分布となりうる。
【0060】
一般に、本発明による粒子の製造での乳化重合は「モノマー供給プロセス」に従って実施される。すなわちモノマーM中にポリマー添加剤を含む溶液の大部分(好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも90%)あるいはモノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョンの大部分(好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも90%)が、重合反応の最中に、種ラテックスをすでに含んでいる重合容器へ供給される。
【0061】
モノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョンを添加する時間(通常の場合、これに関連し、溶液が関係するが、ポリマー添加剤は部分的に分散して溶解した状態で存在することもありうる)は、組成に応じて広範囲にさまざまでありうる。例えば、添加は、少なくとも0.5時間、好ましくは少なくとも1時間、例えば、1〜10時間および特に2〜5時間かけて行う。モノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョンの添加は、一定または不定の添加割合で行うことができる。例えば、一定の添加割合で間隔を開けて、または不定の添加割合で間隔を開けて、または不定の添加割合で連続的に行うことができる。モノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョンの組成は、添加の間一定のままにすることができるかまたは変更することができ、変更は、モノマー組成とポリマー添加剤の種類の両方またはポリマー添加剤の濃度に対して行うことができる。
【0062】
本発明による粒子の製造方法では、コア/シェル構造を示す粒子が得られる。種ラテックスはコアを形成し、シェルはモノマーMで形成される。モノマー添加の過程に応じて、種々の粒子形態を得られる。1つ以上の区別可能な、少なくとも部分的に結合したシェル(例えば、2〜5個のシェル)を作り出すことができるか、または1つのシェルにおいてポリマー領域間で基本的に連続的に推移するようにすることもできる。
【0063】
分散粒子のそのような種々のポリマー構成は、国際特許出願第PCT/EP2005/002534号明細書に開示されている。この参照文献は、参照により本発明の開示内容の一部とする。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、モノマーの添加の間に、異なるガラス転移温度を有するポリマー領域が粒子のシェルの中で得られるようにモノマー組成は変化する。これは「段階重合」によって達成される。この場合、第一段階では、第1モノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョン(そのモノマー組成はガラス転移温度Tg1に対応する)がコア(種ラテックス)の存在下で最初に重合され、その後さらに第2モノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョン(そのモノマー組成はガラス転移温度Tg2に対応する)(第二段階)が供給され、適切な場合、この後に更なるモノマー/ポリマー添加剤溶液またはエマルジョンが1回以上(そのモノマー組成はそれぞれの場合にガラス転移温度Tgnに対応し、nはそれぞれの段階である)逐次供給される。好ましくは、連続重合段階で得られるポリマーのそれぞれのガラス転移温度は、少なくとも10K、特に少なくとも20K、特に好ましくは少なくとも30Kだけ異なり、例えば、30K〜200K、特に40K〜160Kである。一般に、1つの段階で重合されるモノマーの量は、全段階で重合されるモノマーの総量に対して少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%であり、例えば、2段階乳化重合では5〜95質量%、特に10〜90質量%、3段階または多段階乳化重合では5〜90質量%または5〜85質量%、特に10〜80質量%である。
【0065】
架橋ポリマーを製造する場合は、例えば、少なくとも1種の架橋剤を、他のモノマーとは別個に、または他のモノマーとの混合物として、反応領域に連続的に計量供給するようにして実施することが可能である。反応領域への架橋剤の段階的供給には、更なる変形形態がある。
【0066】
本発明による乳化重合に適した開始剤要素には、乳化重合に適しておりかつ従来から使用されている、モノマーMのラジカル重合を開始させる重合開始剤がある。そのようなものとして、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)ジヒドロクロライド、または2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライドなどのアゾ化合物;過酸化ジアセチル、ジtert−ブチルペルオキシド、ジアミルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、過酸化ジベンゾイル、ビス(o−トルイル)ペルオキシド、スクシニルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、tert−ブチルペルマレエート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルオクトエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、tert−ブチルペルオキシ(2−エチルヘキサノエート)またはジイソプロピルペルオキシジカルバメートなどの有機または無機過酸化物;ペルオキソ二硫酸の塩または酸化還元開始剤系がある。
【0067】
好ましくは、水溶性開始剤、例えば、陽イオンアゾ化合物(アゾビス(ジメチルアミジノプロパン)など)、ペルオキソ二硫酸の塩、特にナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩、あるいは酸化還元開始剤系(酸化剤として、ペルオキソ二硫酸の塩、過酸化水素または有機過酸化物(tert−ブチルヒドロペルオキシドなど)を含む)が用いられる。それらは好ましくは、特に亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムヒドロキシメタンスルフィナートまたはアセトンの亜硫酸水素塩付加物から選択される硫黄化合物を、還元剤として含む。更なる好適な還元剤には、リン含有化合物(亜リン酸、次亜リン酸塩、またはホスフィン酸塩など)、またヒドラジンまたは水加ヒドラジンまたはアスコルビン酸がある。さらに、酸化還元開始剤系は、少量の酸化還元金属塩(鉄塩、バナジウム塩、銅塩、クロム塩またはマンガン塩など)をさらに含むことができ、例えば、酸化還元開始剤系のアスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキソ二硫酸ナトリウムなどがある。
【0068】
一般に開始剤は、モノマーMの量に対して0.02〜2質量%、特に0.05〜1.5質量%の量だけ用いる。開始剤の最適量は、当然ながら、用いる開始剤系よって異なるので、既述の量より下および/または上になることもあり、それは通常の実験により当業者が求めることができる。開始剤は、一部または全部を反応器中へ投入できる。好ましくは、開始剤の大部分、特に少なくとも80質量%、例えば、開始剤の80〜99.5質量%を乳化重合の間に重合反応器へ送る。
【0069】
圧力および温度は、本発明によるポリマー添加剤組成物の製造にとって第二次的に重要なものである。温度は、当然ながら用いる開始剤系によって異なり、最適な重合温度は通常の実験によって当業者が求めることができる。重合温度は、通常、10〜110℃の範囲であり、しばしば50〜95℃である。乳化重合は、通常、標準圧または大気圧のもとで実施される。しかし、800ミリバール〜3バールの圧力範囲で実施することもできる。
【0070】
本発明による方法では、1種以上の界面活性物質は、一般に水性媒体中の粒子を安定化させるのに使用する。これらには、保護コロイドまたは低分子量の乳化剤も含まれる。後者は、保護コロイドとは対照的に、一般には分子量が2000g/mol未満、特に1000g/mol未満(質量平均)である。保護コロイドまたは乳化剤はどちらも、本質的に、陰イオン性、非イオン性または陽イオン性と両性イオン性であってよい。
【0071】
陰イオン界面活性物質の例には陰イオン乳化剤があり、それにはアルキルフェニルスルホネート、フェニルスルホネート、アルキル硫酸塩、アルキルスルホネート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルフェノールエーテルスルフェート、アルキルポリグリコールエーテルホスフェート、アルキルジフェニルエーテルスルホネート、ポリアリールフェニルエーテルホスフェート、アルキルスルホスクシネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、石油スルホネート、タウリド、サルコシド、脂肪酸、アルキルナフタレンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸(それらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩を含む)などがある。
【0072】
陰イオン保護コロイドの例には、リグノスルホン酸、スルホン化ナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物またはスルホン化ナフタレンとホルムアルデヒドとフェノール(および適切な場合には、尿素)の縮合物、またフェノールスルホン酸とホルムアルデヒドと尿素の縮合物、リグニンスルフィット廃液およびリグノスルホネート、またポリカルボキシレート(ポリアクリレートなど)、マレイン酸無水物/オレフィンコポリマー(例えば、Sokalan(登録商標)CP9(BASF Aktiengesellschaft))、また上述の保護コロイドのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩がある。更なる保護コロイドには、モノマーとして、M2a、M2b、またはM2cの説明箇所で挙げたモノマー、またはそれらの混合物を含みかつポリマーまたはコポリマーとして乳化重合に加えられる、合成ポリマーまたはコポリマーがある。陰イオン基、非イオン基または陽イオン基を持っている多糖類も保護コロイドとして好適である。これらの多糖類は、適切な場合、反応混合物中で分解しうる。
【0073】
非イオン乳化剤には、例えば、アルキルフェノールアルコキシレート、アルコールアルコキシレート、脂肪アミンアルコキシレート、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ひまし油アルコキシレート、脂肪酸アルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート、脂肪酸ポリジエタノールアミド、ラノリンエトキシレート、脂肪酸ポリグリコールエステル、イソトリデシルアルコール、脂肪酸アミド、メチルセルロース、脂肪酸エステル、シリコーン油、アルキルポリグリコシドまたはグリセロール脂肪酸エステルがある。好適な非イオン界面活性物質の更なる例には、エトキシル化されたモノアルキルフェノール、ジアルキルフェノールおよびトリアルキルフェノール(エトキシル化度:3〜50、アルキル基:C3−C12)およびエトキシル化脂肪アルコール(エトキシル化度:3〜80;アルキル基:C8−C36)がある。脂肪アルコールの例には、BASF AktiengesellschaftのLutensol(登録商標)またはUnion CarbideのTriton(登録商標)がある。特に好ましいのは、次の一般式のエトキシル化直鎖脂肪アルコールである。
【0074】
n−Cx2x+1−O(CH2CH2O)y−H
[式中、xは、10〜24の範囲、好ましくは12〜20の範囲の整数である]。変数yは、好ましくは5〜50の範囲、特に好ましくは8〜40の範囲の整数を表す。エトキシル化直鎖脂肪アルコールは、通常、エトキシル化度の異なる種々のエトキシル化脂肪アルコールの混合物として存在する。本発明との関連では、変数yは平均値(数平均)を表す。好適な非イオン界面活性物質には、さらにコポリマー、特にエチレンオキシドと少なくとも1種のC3−C10アルキレンオキシドとのブロックコポリマー、例えば、次式のトリブロックコポリマーがある。
【0075】
RO(CH2CH2O)y1−(BO)y2−(A−O)m−(B’O)y3−(CH2CH2O)y4R’
[式中、mは0または1を表し、Aは、脂肪族、脂環式または芳香族のジオールから得られる基、例えば、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、シクロヘキサン−1,2−ジイルまたはビス(シクロヘキシル)メタン−4,4’−ジイルを表し、BおよびB’は互いに独立に、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,2−ジイルまたはフェニルエタンを表し、y4は互いに独立に2〜100の数を表し、y2およびy3は互いに独立に2〜100の数を表し、y1+y2+y3+y4の合計は好ましくは20〜400の範囲(1000〜20000の範囲の数平均分子量に相当する)を表す]。好ましくは、Aはエタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイルまたはブタン−1,4−ジイルを表す。好ましくは、Bはプロパン−1,2−ジイルを表す。
【0076】
非イオン保護コロイドの例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールエーテルブロックコポリマー、およびそれらの混合物がある。更なる好ましい非イオン保護コロイドは、多糖類またはその分解生成物がある。
【0077】
陽イオン乳化剤の例には、第四アンモニウム塩、例えば、トリメチル−またはトリエチル(C6−C30アルキル)アンモニウム塩(ココトリメチルアンモニウム塩およびトリメチルセチルアンモニウム塩など)、ジメチル−またはジエチルジ(C4−C20アルキル)アンモニウム塩(ジデシルジメチルアンモニウム塩またはジココジメチルアンモニウム塩など)、メチル−またはエチル−トリ(C4−C20アルキル)アンモニウム塩(メチルトリオクチルアンモニウム塩など)、(C1−C20アルキル)−ジ(C1−C4アルキル)ベンジルアンモニウム塩(トリエチルベンジルアンモニウム塩およびココベンジルジメチルアンモニウム塩など)、メチル−またはエチルジ(C4−C20アルキル)ポリ(オキシエチル)アンモニウム塩(例えば、ジデシルメチルポリ(オキシエチル)アンモニウム塩)、N−(C6−C20アルキル)−ピリジニウム塩(例えば、N−ラウリルピリジニウム塩)、N−メチル−またはN−エチル−N−(C6−C20アルキル)モルホリニウム塩、およびN−メチルまたはN−エチル−N’−(C6−C20アルキル)イミダゾリニウム塩、特にハロゲン化物、ホウ酸塩、炭酸塩、ホルメート、アセテート、プロピオネート、水素−炭酸塩、スルフェートまたはメチルスルフェートがある。
【0078】
陽イオン保護コロイドの例には、ホモポリマーまたはコポリマーとして乳化重合に加えられる上述したモノマーM2cのホモポリマーおよびコポリマー(モノマーM2cの含量が少なくとも20質量%、特に少なくとも30質量%のモノマーM2c)があり、例えば、N−ビニル−N−メチルイミダゾリニウム塩またはN−アルキルビニルピリジニウム塩のホモポリマー、およびこれらのモノマーと中性モノマーM2b(好ましくは水と混和できる)とのコポリマーがある。陽イオン保護コロイドは、天然ポリマー(キトサンなど)、あるいはまた陽イオン変性多糖類であってもよい。
【0079】
両性イオン性乳化剤は、ベタイン構造を有するものである。そのような物質は当業者に周知であり、関連した従来技術から理解できる(例えば、R. Heusch, in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th Ed., on CD−ROM, Wiley−VCH, 1997, "Emulsions", chapter 7, Table 4を参照されたい)。ジェミニ型界面活性剤も同様に当業者に周知である。
【0080】
保護コロイドの更なる例には、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのグラフトポリマー、一方または両方の末端がアルキル基、カルボキシル基またはアミノ基で終了しているポリエチレングリコール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)および/または多糖類(特に、水溶性デンプンまたはデンプン誘導体など)、およびタンパク質がある。そのような生成物については、例えば、Roempp, Chemie Lexikon[Chemistry Lexicon], 9th Edition, Volume 5, page 3569、またはHouben−Weyl, Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry], 4th Edition, Volume 14/2, chapter IV, Umwandlung von Cellulose und Staerke[Conversion of Cellulose and Starch]by E. Husemann and R. Werner, pages 862−915、およびUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 6th Edition, Volume 28, pages 533 ff, under Polysaccharidesに記載されている。
【0081】
あらゆる種類のデンプン、例えば、アミロースとアミロペクチンの両方、天然デンプン、疎水的または親水的に変性されたデンプン、陰イオン性デンプン、陽イオン変性デンプン、分解デンプン(デンプンの分解は、例えば、酸化的、熱的、加水分解的または酵素的に実施でき、天然デンプンと変性デンプンの両方ともデンプン分解に用いることができる)が、例えば、好適である。更なる好適な保護コロイドは、デキストリンまたは架橋水溶性デンプン(水膨潤性がある)である。
【0082】
保護コロイドとして、好ましくは、例えばデンプンの分解によって水溶性の形態に変換できる天然水溶性デンプン、また陰イオン的に変性されたデンプン(酸化されたジャガイモデンプンなど)を使用する。分子量を減少させた、陰イオン的に変性されたデンプンが特に好ましい。分子量の低減は、好ましくは酵素的に実施されるが、加水分解的にまたは酸化的に実施することもできる。分解デンプンの平均モル質量Mwは、例えば、500〜100000、好ましくは1000〜30000である。分解デンプンは、例えば、固有粘度[η]が0.04〜0.5dl/gである。そのようなデンプンは、例えば、欧州特許第0257412号明細書および欧州特許第0276770号明細書に開示されている。
【0083】
マルトデキストリン(CAS#9050−36−6)は、デンプンの加水分解、酵素分解または酸化分解、またはそれら3つの方法の変形形態によって製造できる水性炭化水素混合物であるが、これは保護コロイドとして特に適している。例えば、CerestarのMaltodextrin C*Pur 01915を使用する。
【0084】
保護コロイドを乳化重合で使用する場合、その使用量は、例えば、乳化重合に使用するモノマーMに対して、0.5〜50質量%、特に5〜40質量%、大抵は10〜30質量%である。
【0085】
通常、本発明によるポリマー分散液は、少なくとも1種の乳化剤、好ましくは少なくとも1種のイオン乳化剤、また適切な場合には、1種以上の非イオン乳化剤を含む。
【0086】
乳化剤の量は、通常、モノマーMに対して0.1〜15質量%、特に0.2〜12質量%、特に好ましくは0.7〜10質量%の範囲である。イオン乳化剤の量は、これに関連して、モノマーMに対して好ましくは0.3〜10質量%、特に0.5〜8質量%である。非イオン性乳化剤の量は、ポリマーを構成するモノマーMに対して、好ましくは0.2〜12質量%、特に0.5〜10質量%である。
【0087】
乳化重合に通常使用される界面活性物質の量は、通常、上に示した範囲内にあり、そのため界面活性物質の全部または一部は乳化重合によって供給される。しかし、界面活性物質の一部だけ、例えば、10〜90質量%、特に20〜80質量%を乳化重合に使用し、乳化重合の後で残りの量の界面活性物質を添加することも可能であり、その添加は、適切な場合に実施する乳化重合の脱臭(後ほどの鹸化)の前または後で行う。
【0088】
当然ながら、ポリマーの分子量は、少量の変性剤を、例えば、重合させるモノマーMに対して0.01〜2質量%だけ添加して調節できる。好適な変性剤は、特に有機チオ化合物、またアリルアルコールまたはアルデヒドである。重合の変性剤および架橋剤は、乳化重合において一緒に使用できる。このため、例えば、作り出されるポリマー分散液のレオロジーを制御することが可能である。
【0089】
実際の重合反応の後に、本発明による水性ポリマー分散液からにおいのキャリヤ(残留モノマーおよび他の揮発性有機構成成分など)を実質的に取り除く必要がある場合がある。これは、それ自体公知の方法で、蒸留除去(特に水蒸気蒸留による)または不活性ガスによるストリッピングで物理的に達成できる。残留モノマーの低減は、ラジカル後重合により化学的に、特に、例えば独国特許出願公開第4435423号明細書、独国特許出願公開第4419518号明細書および独国特許出願公開第4435422号明細書に挙げられているような酸化還元開始剤系の作用の下で、さらに実施できる。好ましくは、後重合は、少なくとも1種の有機過酸化物と1種の有機スルフィットとの酸化還元開始剤系を用いて実施する。
【0090】
乳化重合の終了後、こうして得たポリマー分散液は、本発明による使用の前に、アルカリ度を好ましくは7〜10の範囲のpHに調節することが多い。中和するために、アンモニアまたは有機アミン、また好ましくは水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化カルシウムなど)を使用してよい。
【0091】
このようにして、ポリマー分散液の粒子中にポリマー添加剤を含む、安定性のある水性ポリマー分散液を得る。加えて、こうして得られるポリマー分散液は、上述の界面活性物質を含んでもよい。こうして得られる本発明によるポリマー分散液は、安定性が高いことおよび揮発性有機化合物の含量が少ないことで区別され、揮発性有機化合物の含量は、ポリマー分散液の全質量に対して、普通はせいぜい1質量%、多くの場合せいぜい0.1質量%であり、特にせいぜい100ppmである。揮発性化合物とは、以下、標準圧で沸点が200℃未満であるすべての有機化合物のことである。ポリマー添加剤は、少なくとも部分的にモノマーMから形成される水不溶性ポリマーで覆われる。すなわち本発明による粒子はポリマー添加剤を含む。凝集塊または凝塊は測定できないか、または非常に低い比率しかない場合が多く、一般には、ポリマー分散液中に存在する固形分に対して2質量%未満、好ましくは0.2質量%未満になる。
【0092】
本発明によるポリマー分散液の固形分は、おおざっぱには本発明による粒子によって決まり、一般には10〜60質量%、特に20〜50質量%の範囲である。
【0093】
好ましい本発明による粒子は、すべての特徴が好ましい意味を持つ粒子である。
【0094】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含む粒子であって、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子が、特に好ましい。
【0095】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含み、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子であって、保護コロイド(保護コロイドは、特にポリビニルアルコールまたはポリ酢酸ビニルまたは多糖類である)の助けを得て製造され、架橋剤(グリオキサールまたはグルタルジアルデヒドなど)の助けを得てさらに硬化された粒子が、さらにより好ましい。
【0096】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含み、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子であって、乳化剤(Dowfax(登録商標) 2 A1、ラウリル硫酸ナトリウムまたはスルホコハク酸エステルが特に乳化剤として適している)の助けを得て製造された粒子が、さらにより好ましい。Dowfax(登録商標) 2A1は、28〜36%ドデシル(スルホナトフェノキシ)ベンゼンスルホン酸二ナトリウム(CAS#28519−02−0、EG−No.249−063−8)および8〜15%のオキシビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)二ナトリウム(CAS#25167−32−2、EG−No.246−688−8)を含んだ45%水溶液を含む。種は、乳化重合に使用するのと同じ界面活性剤を含むことができるか、または異なる界面活性剤を含むことができる。
【0097】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含み、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子であって、乳化剤(非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤の混合物(例えば、BASFのLutensol(登録商標)と上述の陰イオン界面活性剤を組み合わせたものなど)が乳化剤として特に非常に適している)の助けを得て製造された粒子も、同様に好ましい。種は、乳化重合に使用するのと同じ界面活性剤を含むことができるか、または異なる界面活性剤を含むことができる。
【0098】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含み、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子であって、保護コロイド(保護コロイドは特にポリビニルアルコールまたはポリビニルアセテートまたは多糖類である)の助けを得て製造され、架橋剤(グリオキサールまたはグルタルアルデヒドなど)の助けを得てさらにまた硬化され、かつさらに乳化剤(Dowfax 2 A1、ラウリル硫酸ナトリウム、またはスルホコハク酸エステルが乳化剤として特に適している)の助けを得て製造された粒子が、さらにより好ましい。種は、乳化重合に使用したのと同じ界面活性剤を含むことができるが、異なる界面活性剤を含むこともできる。
【0099】
モノマーM1として、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリルまたはこれらのモノマーの混合物を含み、その種ラテックスがポリスチレンおよび/またはポリメタクリル酸メチルあるいはスチレンとメタクリル酸メチルとのコポリマーをベースにしている粒子であって、保護コロイド(保護コロイドは、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリルアミドモノマーを含む合成ポリマーである)の助けを得て製造され、さらに乳化剤(Dowfax 2 A1、ラウリル硫酸ナトリウム、またはスルホコハク酸エステルが乳化剤として特に適している)の助けを得て製造された粒子が、さらにより好ましい。種は、乳化重合に使用するのと同じ界面活性剤を含むことができるか、または異なる界面活性剤を含むことができる。
【0100】
本発明によるポリマー分散液は、直接そのまま、または希釈してから使用できる。加えて、本発明によるポリマー分散液は、従来の添加剤、例えば、粘度調節添加剤(増粘剤)、消泡剤、殺菌剤および不凍剤を含むこともできる。
【0101】
好適な増粘剤は、配合物に擬似塑性流動の挙動(すなわち静止状態では高粘度であり、揺れ動いた状態では低粘度となる)を生じさせる化合物である。これに関連して、例えば、多糖類または有機層状ミネラルを挙げることができ、それには、キサンタンガム(KelcoのKelzan(登録商標))、Rhodopol(登録商標)23(Rhoene−Poulenc)またはVeegum(登録商標)(R. T. Vanderbilt)またはAttaclay(登録商標)(Engelhardt、ケイ酸アルミウニムマグネシウム、パリゴルスカイト)などがあり、好ましくはキサンタンガムを使用する。
【0102】
本発明によるポリマー分散液に適した消泡剤として考慮の対象となるのは、例えば、シリコーンエマルジョン(例えば、WackerのSilikon(登録商標)SRE、またはRhodiaのRhodorsil(登録商標)など)、長鎖アルコール、脂肪酸、フルオロ有機化合物およびそれらの混合物である。
【0103】
微生物による攻撃に対して本発明によるポリマー分散液を安定化させるために、殺菌剤を添加できる。好適な殺菌剤は、例えば、Avecia(またはArch)のProxel(登録商標)またはThor ChemieのActicide(登録商標)RSおよびRoehm & HaasのKathon(登録商標)MKである。
【0104】
好適な不凍剤には、有機ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはグリセロールがある。これらは通常、ポリマー分散液の全質量に対して10質量%以下の量だけ使用される。
【0105】
適切な場合、本発明によるポリマー分散液は、pH調整のために、製造する配合物の総量に対して1〜5質量%の緩衝剤を含むことができる。使用する緩衝剤の量および種類は、ポリマー添加剤またはポリマーの化学的性質によって異なる。緩衝剤の例には、弱い無機酸または有機酸(例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸およびコハク酸など)のアルカリ塩がある。
【0106】
加えて、本発明による水性ポリマー分散液は、従来の結合剤、例えば水性ポリマー分散液、水溶性樹脂(例えば、水溶性アルキド樹脂)と一緒に、またはワックスと一緒に配合することができる。
【0107】
本発明による粒子は、ポリマー分散液中に存在し、液相の揮発性構成成分を除去することによってこれらのポリマー分散液から粉末形態で得られる。本発明による粒子は、単独形態、凝集形態または部分的に膜の形態のいずれかとしてポリマー粉末中に存在できる。本発明によるポリマー粉末は、これに関連して、例えば、液相の蒸発、凍結乾燥または噴霧乾燥によって得られる。
【0108】
本発明によるポリマー分散液は、しばしば本発明によるポリマー粉末の再分散によって得られる。
【0109】
本発明によるポリマー分散液、および液相の蒸発によってそれから得られる本発明によるポリマー粉末には、これらが、移行に対して安定した制御された方法で長期間にわたってポリマー添加剤を含むという利点、すなわちポリマー添加剤が比較的長期間にわたって粒子と結合し、粒子の外側の周囲へ放出されないという利点がある。したがってポリマー添加剤はマトリックス中に存在するが、それはポリマー添加剤を使用するのに特に有利である。このことは、紫外線吸収剤を含むポリマー分散液またはポリマー粉末に特に当てはまる。移行に対する安定性は、例えば、本発明によるポリマー分散液を噴霧乾燥し、その後でテトラヒドロフラン(THF)または他の好適な液体で粉末を抽出し、抽出によって回収されたポリマー添加剤の比率を求めることによって測定できる。好ましくは、ポリマー添加剤はポリマーマトリックス中に少なくとも80質量%まで存在する。マトリックス中に見出されるポリマー添加剤の比率は、特に好ましくはポリマー添加剤の総量に対して少なくとも85質量%である。マトリックス中にないポリマー添加剤部分は、しばしば結晶化するので、例えば濾過によって分離することができる。
【0110】
ポリマー分散液またはポリマー粉末の形態の本発明による粒子は、好ましくは有機ポリマーの処理、特に安定化に使用される。この目的のために、粒子は、通常の方法に従って、ポリマー分散液および粉末のどちらとしてでも有機ポリマー中に組み込むことができる。押出し成形段階の前または最中に粒子を有機ポリマーと混合することについて、例によって本明細書で説明されるであろう。「有機ポリマー」という用語は、これに関連して、任意のプラスチック、好ましくは熱可塑性の、特に膜、繊維または任意の形状の成形品を意味すると理解される。有機ポリマーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニルまたはポリエステルである。ポリマー添加剤による有機ポリマーの処理または安定化のさらなる例は、Plastics Additives Handbook, 5th Edition, Hanser Verlag, ISBN 1−56990−295−Xから得られる。
【0111】
紫外線照射の作用に対して熱可塑性ポリマーを安定化させるために、例えば、次のように行うことができる。ポリマーを最初に押出機で溶融させ、本発明に従って製造した紫外線吸収剤を含む粉末を例えば、180〜200℃の温度でポリマーメルトに混ぜ、顆粒をそれから製造する。その後、顆粒からは、紫外線照射の作用に対して安定化した膜、繊維または成形品を周知の方法に従って製造する。
【0112】
当然ながら、本発明による種々の粒子の混合物は、本発明による使用との関連でも使用できる。これらの混合物の粒子は、同一または異なる組成および粒径分布でありうる。例えば、紫外線吸収剤を含む粒子は、他の本発明による粒子、例えば、有機ポリマーおよび塗膜を安定化させるための有機ポリマー用安定剤(酸化防止剤など)を含む粒子と一緒に使用することもできる。
【0113】
本発明によるこうした水性ポリマー分散液、または(例えば、噴霧乾燥によって)それから得られる、少なくとも1種の酸化防止剤(例えば、フェノール化合物)を含んでいる本発明による粒子を含むポリマー粉末は、例えば工業的な関心を引くものである。さらに、有効物質として、有機ポリマー用の少なくとも1種の静電防止剤または有機ポリマー用防曇剤または有機ポリマー用着色剤または少なくとも1種の紙用の反応性サイズ剤を含んでいるポリマー粉末は、関心を引くものである。
【0114】
本発明による粒子は、有機ポリマーの処理(例えば、安定化)に用いる場合に、全体的な効果を改善するために従来の添加剤系と一緒に、例えばポリマー添加剤の従来のエマルジョン濃縮物、懸濁液濃縮物、サスポエマルジョン濃縮物と一緒に使用することもできる。本発明による粒子を上述のポリマー添加剤の従来の水性組成物と混合することにより、第一に、本発明による粒子とは異なるポリマー添加剤を従来の組成物が含んでいるのであれば、作用の範囲を広げることが実現される。第二に、本発明による粒子の利点、特に移行に対する安定性の改善が、従来の水性ポリマー添加剤組成物との配合によっても失われない。従って、同じポリマー添加剤を含む本発明による粒子を配合することにより、従来の水性ポリマー添加剤組成物の適用性を改善できる。
【0115】
本発明によるポリマー分散液は、幾つもの更なる利点とも関係している。第一に、これは、水に不溶であるかまたはほんのわずかしか水に溶けないポリマー添加剤の、安定した水性配合物に関係する。特に、ポリマー添加剤で有機ポリマーを処理する場合に時折生じる条件など厳しい条件の加えられる場合であっても、従来の配合物およびポリマー添加剤の微粒分散液またはナノ分散液でも観察される相分離の問題およびポリマー添加剤の沈殿が、観察されない。すでに上述したように、揮発性有機化合物の含量は、従来の添加物の添加においては、同等の従来の配合物の場合よりも、またポリマー添加剤の微粒分散液またはナノ分散液と比べても低い。それと同時に、乳化剤の比率が、使用したポリマー添加剤に対して低くなっている。水分の作用による、処理された有機ポリマーからのポリマー添加剤の浸出が、他の配合物と比べて明らかに少なくなっている。さらに、従来の配合でしばしば生じているポリマー添加剤と他の配合物構成成分またはコポリマー添加剤との相互作用は、観察されない。加えて、基材または環境の影響(媒体のpHまたは紫外線照射など)によるポリマー添加剤の分解が、緩やかになるか、さらには完全に停止する。ポリマーマトリックスへの組み込みによってポリマー添加剤の効果が減少することは、一般には観察されないのは驚くべきことである。
【0116】
種ラテックスを用いた水性乳化重合による、本発明による粒子の製造方法では、粒子を非常に効率的に得ることが可能になる。本発明による粒子は、例えば、ポリマー分散液またはポリマー粉末の構成成分として存在し、有機ポリマーに容易に組み込むことができる。
【0117】
本発明による粒子は、特に、例えば、静電荷または曇りに対する処理および/または、例えば有機ポリマーの酸化(紫外線照射、熱および/または光の作用)に対する安定化に適している。
【0118】
以下の実施例は本発明を理解しやすくするはずであるが、しかし、これに限定されない。
【0119】
実施例
一般条件:
粒径は、Coulter N4 Piusレーザー回折装置あるいはCoulter 230 LSを用いて光散乱によって測定した。測定は常に、約0.1%水性組成物中で行った。
【0120】
示されている量はすべて、特に明記されていない限り、質量%で示されている。
【0121】
投入原料:
Maltodextrin C* Pur 01915: Cerestarのマルトデキストリン。
Dowfax(登録商標)2A1: 45%水溶液;28〜36%のドデシル(スルホナトフェノキシ)ベンゼンスルホン酸二ナトリウム(CAS#28519−02−0、EG−No.249−063−8)および8〜15%のオキシビス(ドデシルベンゼンスルホン酸)二ナトリウム(CAS#25167−32−2、EG−No.246−688−8)
Uvinul(登録商標) 3008: 2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、CAS#1843−05−6
Rongalit C: スルフィン酸誘導体のナトリウム塩、CAS#79−25−4
Uvinul(登録商標)3033P: 2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、CAS#2440−22−4
Lipamin(登録商標)OK: 硫酸ジメチルで四級化したエトキシル化ステアリルアミン
【0122】
実施例1:
154gの脱イオン水、33.33gのポリスチレン種(33%)(粒径が約30nm)および55gのMaltodextrin C* Pur 01915を、窒素で洗浄した反応器に入れた。攪拌しながらポット温度を80℃にした。その後、9.53gの脱イオン水と33gの2%ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液との混合物13.63g(供給原料2)を全部一度に加えた。
【0123】
その後で、545.66gの脱イオン水、8.8gのDowfax(登録商標)2A1、2.64gのペンタエリトリトールテトラアクリレート、217.36gのメタクリル酸メチルおよび44gのUvinul(登録商標)3008の混合物(モノマーに溶かしたもの)(供給原料1)を、3.5時間の間に加えた。それと並行して供給原料2の残りを、同じように3.5時間かけて加えた。
【0124】
供給原料1および2が終わった後に、さらに30分間、混合物を攪拌した。2.93gの脱イオン水と4.4gのtert−ブチルヒドロペルオキシド(供給原料3)との混合物を、3.3gのRongalit Cと4.03gの脱イオン水との混合物(供給原料4)と一緒に、今度は1時間の間に計量供給した。
【0125】
その後に、混合物を周囲温度(20℃)まで冷まし、ポリマー分散液を500μmのフィルターで濾過し、次いで残りの凝塊を取り除くために125μmのフィルターで濾過した。分離した凝塊は全部で27.4gであった。固形分を測定すると、28.5%であった。平均粒径(双峰)は、Beckman Coulter 230 LSによる測定では121nm(遠心処理後は106nm(単峰))であった。
【0126】
1000倍の倍率の光学顕微鏡では、Uvinul(登録商標)3008の針形毛を有する球形結晶をほとんど識別できず、濾過または遠心処理で容易に分離できた。Uvinul(登録商標)3008は、ほとんどがポリマーマトリックス中に存在した。
【0127】
ポリマー分散液を噴霧乾燥させると、白色粉末が得られた。THFで粉末を抽出することにより、Uvinul(登録商標)3008を87%回収できた。
【0128】
実施例2:
126gの脱イオン水、81.82gのポリスチレン種(33%)(粒径が約30nm)および63gのMaltodextrin C* Pur 01915を、窒素で洗浄した反応器に入れた。攪拌しながらポット温度を80℃にした。その後、7.88gの脱イオン水と27gの2%ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液との混合物8.72g(供給2)を全部一度に加えた。
【0129】
その後で、570.27gの脱イオン水、7.2gのDowfax(登録商標)2A1、2.16gのペンタエリトリトールテトラアクリレート、177.84gのスチレンおよび66.33gのUvinul(登録商標)3008の混合物(モノマーに溶かしたもの)(供給原料1)を、2時間の間に加えた。それと並行して供給原料2の残りを、同じように2時間かけて加えた。
【0130】
供給原料1および2が終わった後に、さらに30分間、混合物を攪拌した。3.6gの10%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(供給原料3)を2.70gの10%Rongalit C水溶液(供給原料4)と一緒に、今度は1時間の間に計量供給した。
【0131】
その後に、混合物を周囲温度(20℃)まで冷まし、ポリマー分散液を500μmのフィルターで濾過し、次いで残りの凝塊を取り除くために125μmのフィルターで濾過した。分離した凝塊は全部で26gであった。固形分を測定すると、25.4%であった。平均粒径は119nmであった。
【0132】
ポリマー分散液を噴霧乾燥させると、白色粉末が得られた。
【0133】
実施例3:
147gの脱イオン水、31.82gのポリスチレン種(33%)(粒径が約30nm)および52.5gのMaltodextrin C* Pur 01915を、窒素で洗浄した反応器に入れた。攪拌しながらポット温度を80℃にした。その後、9.2gの脱イオン水と31.5gの2%ペルオキソ二硫酸ナトリウム溶液との混合物10.17g(供給原料2)を全部一度に加えた。
【0134】
その後で、556.34gの脱イオン水、8.4gのDowfax(登録商標)2A1、2.52gのペンタエリトリトールテトラアクリレート、207.48gのメタクリル酸メチルおよび54.4gのUvinul(登録商標)3033Pの混合物(モノマーに溶かしたもの)(供給原料1)を、3.5時間の間に加えた。並行して供給原料2の残りを、同じように3.5時間かけて加えた。
【0135】
供給原料1および2が終わった後に、さらに30分間、混合物を攪拌した。4.2gの10%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(供給原料3)を31.5gの10%Rongalit C水溶液(供給原料4)と一緒に、今度は1時間の間に計量供給した。
【0136】
その後に、混合物を周囲温度(20℃)まで冷まし、ポリマー分散液を500μmのフィルターで濾過し、次いで残りの凝塊を取り除くために125μmのフィルターで濾過した。分離した凝塊は全部で21gであった。固形分を測定すると、28.5%であった。平均粒径は99nmであった。残留MMAモノマーの含量は0.1%未満だった。
【0137】
Uvinul(登録商標)3008は、ほとんどがポリマーマトリックス中に存在した。ポリマー分散液を噴霧乾燥させると、白色粉末が得られた。
【0138】
実施例4:
126gの脱イオン水、80gのPMMA種(33.8%)(粒径が26nmで、表面張力が30.8mN/m2)および63gのMaltodextrin C* Pur 01915を、窒素で洗浄した反応器に入れた。攪拌しながらポット温度を80℃にした。その後、7.88gの脱イオン水と27gの2%ペルオキソ二硫酸ナトリウム水溶液との混合物8.72g(供給原料2)を全部一度に加えた。
【0139】
その後で、572gの脱イオン水、7.2gのDowfax(登録商標)2A1、2.16gのペンタエリトリトールテトラアクリレート、177.8gのMMAおよび66.33gのUvinul(登録商標)3008の混合物(モノマーに溶かしたもの)(供給原料1)を、2時間の間に加えた。それと並行して供給原料2の残りを、同じように2時間かけて加えた。
【0140】
供給原料1および2が終わった後に、さらに30分間、混合物を攪拌した。3.6gの10%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液(供給原料3)を2.70gの10%Rongalit C水溶液(供給原料4)と一緒に、今度は1時間の間に計量供給した。
【0141】
その後に、混合物を周囲温度(20℃)まで冷まし、ポリマー分散液を500μmのフィルターで濾過し、次いで残りの凝塊を取り除くために125μmのフィルターで濾過した。分離した凝塊は全部で31gであった。固形分を測定すると、27.1%であった。平均粒径は119nmであった。
【0142】
ポリマー分散液を噴霧乾燥させると、白色粉末が得られた。
【0143】
実施例5:
147gの脱イオン水とLipamin(登録商標)OKで安定化させた31.82gのポリスチレン種(33%)とを、窒素で洗浄した攪拌フラスコに入れ、攪拌しながら80℃まで加熱した。その後、187.59gの脱イオン水、2.76gの50%硫酸、0.46gのアリルメタクリレート、13.80gのLipamin OK(40%水溶液)、46gのUvinul(登録商標)3008および91.54gのスチレンの混合物(供給原料1)17.11g、およびアゾ開始剤要素V 50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド)の2%溶液(供給原料3)4.6gを加え、グラフト化を10分間実施した。その後に、残りの供給原料1を1.5時間の間に計量供給し、それと並行して残りの供給原料3を3.5の間に計量供給した。供給原料1が終わった後、さらに195.5gの脱イオン水、20.7gのLipamin OK、1.84gの50%硫酸水溶液、6.90gのジメチルアミノエチルメタクリレートおよび131.1gのメタクリル酸メチルの混合物(供給原料2)を、2時間の間に計量供給した。その後さらに30分間、後重合が起こるようにさせた。その後、20.7gの脱イオン水と2.3gの10%tert−ブチルヒドロペルオキシド水溶液との溶液を加え、その後、1.63gのRongalit Cと19.09gの脱イオン水との混合物を1時間の間に計量供給した。その後、混合物を周囲温度まで冷まし、凝塊を取り除くために分散液を500および125μmのフィルターで濾過した。
【0144】
分離した凝塊は全部で2.1gであった。固形分を測定すると、28.7%であった。平均粒径は120nmであった。
【0145】
ポリマー分散液を噴霧乾燥させると、白色粉末が得られた。メタクリル酸メチルモノマーの残りの含量は969ppmであり、スチレンモノマーの残りの含量は11ppmであった。Uvinul(登録商標)3008は事実上完全に封じ込められた。
【0146】
比較例1:
ポリスチレン種を使用せずに実施例2を繰り返すと、好適な分散液は得られなかった。Uvinul(登録商標)3008は、撹拌機および反応器の壁で大部分が封じ込められていないことを見出すことができた。分散液は固形分が22%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー添加剤および種ラテックスの存在下でエチレン性不飽和モノマーMの水性乳化重合によって得られる粒子であって、前記モノマーMが、
a.十分に水不溶性であるモノマーM1および、
b.任意選択で、少なくとも部分的に水溶性であるモノマーM2を含み、
前記ポリマー添加剤が
c.本質的には水不溶性であり、かつ
d.前記モノマーM1に可溶であり、かつ
e.前記粒子の製造の条件下では重合できず、さらに
前記粒子の平均粒径が500nm以下である粒子。
【請求項2】
ポリマー添加剤として、紫外線吸収剤、安定剤、助剤、着色剤または紙用の反応性サイズ剤を含む、請求項1に記載の粒子。
【請求項3】
前記モノマーM1がモノマーMとして使用される、請求項1または2に記載の粒子。
【請求項4】
前記モノマーM2bがモノマーM2として使用される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項5】
前記種ラテックスが前記粒子の製造の前に現場で生成される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項6】
付加的に保護コロイドが存在する状態で水性乳化重合によって得られる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の粒子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の粒子を含む、ポリマー分散液。
【請求項8】
分散粒子が平均粒径が500nm以下でありかつポリマー添加剤を含む水性ポリマー分散液の製造方法であって、
ポリマー添加剤および種ラテックスの存在下において、
a.十分に水不溶性であるモノマーM1および、
b.場合により、少なくとも部分的に水溶性であるモノマーM2
を含んでいるエチレン性不飽和モノマーMの水性乳化重合を含み、前記ポリマー添加剤が本質的に水不溶性でありかつモノマーM1に可溶であり、前記ポリマー添加剤が本発明による粒子の製造方法の条件下では重合不可能である、水性ポリマー分散液の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の水性ポリマー分散液の揮発性構成成分を除去することによって得られる、ポリマー粉末。
【請求項10】
請求項9に記載のポリマー粉末を再分散させて得られる、ポリマー分散液。
【請求項11】
有機ポリマーの処理または紙の着色またはサイズにおける、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粒子、請求項7および10に記載のポリマー分散液、および請求項9に記載のポリマー粉末の使用。
【請求項12】
熱可塑性ポリマーの処理または紙および板紙の製造における、請求項1から6までのいずれか1項に記載の粒子、請求項7および10に記載のポリマー分散液、および請求項9に記載のポリマー粉末の使用。

【公表番号】特表2010−504385(P2010−504385A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528703(P2009−528703)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059812
【国際公開番号】WO2008/034813
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】