説明

ポリマー粉末の製造方法

本発明は、改善された粉末特性を有するポリマー粉末の製造並びに硬質ポリ塩化ビニル(PVC)用途のための耐衝撃性改良剤としてのその使用に関する。この耐衝撃性改良剤は、コア−シェル−構造を有するエマルションポリマー粒子からなり、その際にシェルは硬質ポリマーからなり、かつコアは架橋された軟質ゴムポリマーからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された粉末特性を有するポリマー粉末の製造並びに硬質ポリ塩化ビニル(PVC)用途のための耐衝撃性改良剤としてのその使用に関する。この耐衝撃性改良剤は、コア−シェル−構造を有するエマルションポリマー粒子からなり、その際にシェルは硬質ポリマーからなり、かつコアは架橋された軟質ゴムポリマーからなる。
【0002】
そのような耐衝撃性改良剤は、通常、多段階のラジカル乳化重合により製造される。
【0003】
生じた改良剤分散液は、噴霧乾燥によるか又は沈殿及び引き続き凝塊の乾燥により、粉末形へ変換され、粉末状PVC及び場合により常用の添加剤と混合される。
【0004】
耐衝撃性改良の原理は、連続的なPVC相中へ軟質の弾性ポリマーの微細分散相が埋め込まれることに基づいている。この"ゴム相"は、衝撃の際に、改善されたエネルギー散逸を可能にする。
【0005】
耐衝撃性改良剤粒子のコアの質量割合が増大するにつれて、耐衝撃作用のより高い有効性が達成される。欧州特許(EP)第1 201 701号明細書及び欧州特許(EP)第1 111 001号明細書には、できるだけ高い耐衝撃作用のためには耐衝撃性改良剤の軟質相の割合が、できる限り高く選択されなければならないことが開示されている。
【0006】
乾燥すべきポリマー粒子の軟質相のコア割合が上昇するにつれて、生じる粉末特性がより不都合になることが知られている。硬質シェル−ポリマーの低い割合の場合に、このシェルはもはや完全に閉じて存在しないので、軟質コア−ポリマーのそれに応じて高い割合が、乾燥されたポリマーの著しい粘着性を生じさせる。粘着性により、粉末特性は、著しく劣悪化され、粉末の流動性は低下される。
【0007】
米国特許(US)第4,278,576号明細書は、コアの高い質量割合を有する耐衝撃性改良剤−ポリマー分散液の乾燥前又は乾燥中に流動助剤としての疎水性にコーティングされた沈降炭酸カルシウム粉末の添加が、生じる粉末特性を改善することを教示する。
【0008】
本発明の課題は、コアの高い質量割合及び高い耐衝撃有効性を有する耐衝撃性改良剤の粉末特性の改善であった。
【0009】
前記課題は、本発明によれば、
ポリマー粒子IIの水性分散液が、分散分布されたポリマー粒子Iの存在での少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーCのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られることを特徴とする、水性ポリマー分散液からポリマー粉末を製造する方法により解決され、ここで、
a.少なくとも1つの不飽和モノマーCのポリマーが、>60℃のガラス転移温度を有し、
b.分散分布されたポリマー粒子Iは、
98.0〜99.9質量%が少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーAからなり、前記モノマーAのポリマーは<−20℃のガラス転移温度を有し、及び
0.1〜2.0質量%が架橋作用を有し、少なくとも2つの非共役ビニル基を有する少なくとも1つの化合物(モノマーB)
からなるモノマー混合物Iのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られ、
c.モノマー混合物I対モノマーCの量比が>90質量%:<10質量%であり、ここで、モノマー混合物I及びモノマーCの全量の合計が100質量%になり、
d.ポリマー粒子IIの水性分散液からの粉末の製造が、
i.ポリマー粒子IIの全質量を基準として、少なくとも1つのブロッキング防止剤0.1〜15質量%の存在での噴霧乾燥、引き続き機械式及び/又は空圧式に(pneumatisch)誘導されたせん断力を用いる粗製粉末の微粉砕によるか又は
ii.ポリマー粒子IIの全量を基準として、少なくとも1つのブロッキング防止剤0.1〜15質量%の存在での機械式及び/又は空圧式の粉砕乾燥により、行われる。
【0010】
ブロッキング防止剤0.1〜15質量%の存在での噴霧乾燥により製造される耐衝撃性改良剤−ポリマー粉末の粉末特性が、機械式及び/又は空圧式に誘導されたせん断力によるその後のせん断によって明らかに改善されることが見出された。
【0011】
こうして処理された粉末は、粗製粉末に比較して、改善された流動性、より高い見掛け密度及び負荷下での貯蔵の際により少ないケーキング傾向を示す。
【0012】
本発明のさらなる対象は、本発明による方法により製造されたポリマー粉末を含有するPVC組成物、並びにこうして製造されたPVC組成物を使用して製造された成形品である。
【0013】
ポリマー粒子IIの平均粒子直径は、100〜500nm、好ましくは220〜320nmの範囲内である。
【0014】
本発明による化学組成のグラフトコポリマーは、それ自体として知られている。
【0015】
前記粒子のコアは、<−20℃のガラス転移温度を有する架橋されたエマルションポリマー(ポリマーI)からなる。シェルは、PVCとの相溶性を有し、かつ>60℃のガラス転移温度を有する、少なくとも1つのモノマーCのポリマーからなる。
【0016】
グラフトシェルの割合は、10〜0.1質量%、好ましくは7〜3質量%である。これは、エチレン系不飽和モノマーC 90〜100質量%を含有する。モノマーCは、例えば、C1〜C4−アルキルメタクリラート、C1〜C8−アルキルアクリラート、塩化ビニル、スチレン又はアクリロニトリル又はそれらの混合物であると理解される。特に好ましくは、モノマーCとしてメタクリル酸メチルが使用される。これらに加えて、モノマーCに、さらに別の共重合可能なエチレン系不飽和モノマーも添加されることもでき、ここで、モノマーC及びエチレン系不飽和モノマーの全量の合計が100質量%になる。好都合には、シェルのポリマーは、PVCと相溶性である。
【0017】
グラフトコポリマーは、モノマーA及びBからなる架橋されたゴム(ポリマーI)からなる軟質グラフトコア90〜99.9質量%、好ましくは93〜97質量%を含有する。
【0018】
モノマーAは、例えば、C1〜C8−アルキルアクリラート、好ましくはブチルアクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート又はそれらの混合物の群から選択されている。これらに加えて、モノマーAに、さらに別の共重合可能なエチレン系不飽和モノマーが添加されることができる。モノマーAの割合は、95〜100質量%であり、ここで、モノマーA及びエチレン系不飽和モノマーの全量の合計が100質量%になる。
【0019】
モノマーBは、架橋剤として作用し、かつ0.1〜2.0質量%の量で使用される。モノマーBは、架橋作用を有し、少なくとも2つの非共役ビニル基を有する化合物、例えばアリルメタクリラート、ブタンジオールメタクリラート又はジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートであると理解される。
【0020】
ポリマーI対モノマーCの質量比は、90質量%超対10質量%未満、好ましくは93質量%超対7質量%未満、特に好ましくは97質量%以上対3質量%以下であり、ここで、全量の合計が100質量%になる。本発明による範囲内で耐衝撃有効性の最高水準を通り抜けることが見出された。
【0021】
グラフトポリマーは、通常、2段階での乳化重合により製造され、その際にまず最初にモノマーA+Bが、架橋されたポリアクリラートゴムへと重合され、ついでその存在でモノマーCが重合される。開始剤として、水溶性の熱分解性開始剤又はレドックス系が使用されることができる。適した熱分解性開始剤は、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム又はペルオキソ二硫酸アンモニウムである。レドックス系として、例えば、還元剤との組合せでのヒドロペルオキシドが考慮に値する。乳化重合のためには、常用の乳化剤、例えば:ベンゼンスルホン酸、ベンゼン硫酸塩、ポリエーテル硫酸塩のアルキル誘導体、アリール誘導体、アルカニル誘導体、C10〜C13−アルキル誘導体、エトキシル化された脂肪酸、エトキシル化された脂肪酸エステル、エトキシル化された脂肪アルコール、エトキシル化された脂肪アミン、エトキシル化された脂肪アミド、エトキシル化された脂肪アルキルフェノール、有機リン酸が使用されることができる。乳化重合は10〜100℃で行われる。この乳化重合は、バッチプロセスとして、並びに段階的操作又は勾配操作を含めたフィード法の形で、実施されることができる。重合混合物(Polymerisationsansatzes)の一部を装入し、重合温度に加熱し、初期重合し(anpolymerisiert)、引き続いて重合混合物の残余を、通常、1つ又はそれ以上がモノマーを純粋な形又は乳化された形で含有する複数の別個のフィードを介して、連続的に、段階的に又は濃度勾配をつけて、重合を維持しながら供給することによるフィード操作が好ましい。
【0022】
グラフトコポリマーは、本発明によれば、二峰性又は多峰性の粒度分布を有していてよい。このコポリマーは、同じ化学組成を有するが、しかしながら平均粒子直径が少なくとも30nmだけ、好ましくは少なくとも50nmだけ相違する少なくとも2つのグラフトゴムタイプを含有していてよい。最も大きい平均粒子直径を有するグラフトゴムタイプは、その場合に、全グラフトコポリマーの少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%及び特に少なくとも25%の割合を有する。その平均粒子直径は、好ましくは200〜500nm、特に250〜350nmの範囲内である。最も小さい平均粒子直径を有するグラフトゴムタイプは、全グラフトポリマーの少なくとも5%、好ましくは少なくとも8%及び特に少なくとも12%の割合を有する。その平均粒子直径は、好ましくは50〜250nm、特に80〜200nmの範囲内である。これらに加えて、平均粒子直径がグラフトゴムタイプX及びZの平均粒子直径の間にある、別のグラフトゴムタイプY1、Y2、Y3、...が存在していてよい。
【0023】
多峰性の粒度分布は、多様な方法により得られることができる:意図した粒度分布は乳化重合の間の合成パラメーターにより既に調製されることができる。それに加えて、乳化重合により製造された単峰性の分散液を合成後に混合するか又は相応する粉末を分散液の乾燥後に混合する可能性が存在する。
【0024】
比較的狭く、定義された粒度分布を有するグラフトゴムは、好都合には、"シードラテックス"操作法により製造される。シードラテックスは、モノマーCのポリマーの水性乳濁液、好ましくはスチレン、メタクリル酸メチル、C1〜C8−アルキルアクリラートのホモポリマー又はこれらのモノマーのコポリマーである。前記ポリマーは、好ましくは、10〜50nmの平均粒子直径を有する。この操作法の場合に、モノマーA+Bの乳化は、装入されたシードラテックスの存在で実施され、その際にその固体は、モノマーの0.01〜7質量%、好ましくは0.1〜5質量%になる。グラフトゴムの平均粒子直径は、目下、装入された固体量に依存している:多くの固体の場合に、シードラテックスの量によるか又はその濃度により規定されることができる。
【0025】
モノマーA+Bからなるポリアクリラートゴムの存在でのモノマーCの重合の際に含まれている微粒状グラフトコポリマーは乾燥され、粉末状の耐衝撃性改良剤は1〜25質量%の量で、PVC粉末及び常用の添加剤、例えば充填剤、安定剤及び加工助剤と混合され、常法に従い高耐衝撃性PVC成形部材へ加工される。
【0026】
さらに、耐衝撃性改良剤のポリマー粒子IIを、噴霧乾燥の前に、>50℃のガラス転移温度を有し(モノマーD)、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーDのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られたポリマー粒子IIIとブレンドすることが可能である。
【0027】
モノマーDは、例えば、C1〜C8−アルキルアクリラート、C1〜C4−アルキルメタクリラート、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸又は架橋作用を有し、少なくとも2つの非共役ビニル基を有する化合物又はそれらの混合物であると理解される。これらに加えて、モノマーDに、さらに別の共重合可能なエチレン系不飽和モノマーも添加されることもでき、ここで、モノマーD及びエチレン系不飽和モノマーの全量の合計が100質量%になる。
【0028】
これらのポリマー粒子Dは、好ましくは、PVCと混和性であるコポリマー組成を有する。添加されるポリマー粒子Dが、架橋されていない場合には、好ましいコポリマー組成は、メタクリル酸メチル少なくとも75質量%並びに別のC1〜C8−アルキルアクリラート及びC1〜C4−アルキルメタクリラート25質量%までからなる。好ましい他のコポリマー組成は、スチレン少なくとも65質量%及びアクリロニトリル35質量%までからなる。
【0029】
ポリマー粒子IIIの平均粒子直径は、50〜300nm、好ましくは70〜170nmである。その割合は、ポリマー粒子IIの量を基準として、5質量%より多くかつ30質量%未満である。
【0030】
モノマーA、C及びDにさらに添加されることができる別の共重合可能なエチレン系不飽和モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、アリル酢酸、クロトン酸、ビニル酢酸、マレイン酸半エステル、例えばマレイン酸モノメチルエステル、それらの混合物もしくはそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、線状1−オレフィン、分枝鎖状1−オレフィン又は環状オレフィン、例えばエテン、プロペン、ブテン、イソブテン、ペンテン、シクロペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、オクテン、場合により2,4,4−トリメチル−2−ペンテンとの混合物の2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、C8〜C10−オレフィン、1−ドデセン、C12〜C14−オレフィン、オクタデセン、1−エイコセン(C20)、C20〜C24−オレフィン;メタロセン触媒作用により製造された末端二重結合を有するオリゴオレフィン、例えばオリゴプロペン、オリゴヘキセン及びオリゴオクタデセン;高α−オレフィン割合を有し、カチオン重合により製造されたオレフィン、例えばポリイソブテンであると理解される。
【0031】
アルキル基中に炭素原子1〜40個を有するビニルアルキルエーテル及びアリルアルキルエーテル、ここでアルキル基は、さらに別の置換基、例えばヒドロキシル基、アミノ基又はジアルキルアミノ基又は1つもしくは複数のアルコキシラート基を有していてよい、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、ビニル−4−ヒドロキシブチルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、2−(ジ−n−ブチル−アミノ)エチルビニル−エーテル、メチルジグリコールビニルエーテル並びに相応するアリルエーテルもしくはそれらの混合物。
【0032】
アクリルアミド類及びアルキル置換アクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド。
【0033】
スルホ基含有モノマー、例えばアリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホナート、ビニルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、それらの相応するアルカリ金属塩又はアンモニウム塩もしくはそれらの混合物。
【0034】
アクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸のC1−〜C8−アルキルエステル又はC1−〜C4−ヒドロキシアルキルエステル又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はそれらの混合物2〜50molでアルコキシル化されたC1−〜C18−アルコールとアクリル酸、メタクリル酸又はマレイン酸とのエステル、例えば、メチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、イソプロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、ヘキシル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート、ブタンジオール−1,4−モノアクリラート、マレイン酸ジブチルエステル、エチルジグリコールアクリラート、メチルポリグリコールアクリラート(11 EO)、エチレンオキシド3、5、7、10又は30molと反応されたC13/C15−オキソアルコールの(メタ)アクリル酸エステルもしくはそれらの混合物。
【0035】
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリラート又はアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド又はそれらの四級化生成物、例えば2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリラート、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリラート、2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリラート−クロリド、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド−クロリド。
【0036】
1−〜C30−モノカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステル、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチラート、ビニルバレラート、ビニル−2−エチルヘキサノアート、ビニルノナノアート、ビニルデカノアート、ビニルピバラート、ビニルパルミタート、ステアリン酸ビニル、ビニルラウラート。
【0037】
別のモノマーとして、以下のものをさらになお挙げることができる:
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、ブタジエン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチル−イミダゾリン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アリルアルコール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、塩化ビニリデン、塩化ビニル、アクロレイン、メタクロレイン及びビニルカルバゾールもしくはそれらの混合物。
【0038】
前記分散液に、噴霧乾燥の前に、酸化防止剤が添加されることができる。酸化防止剤は、グラニュール、粉末状固体として又は好ましくは分散液としてポリマー分散液に混合される。酸化防止剤の添加は、例えば、欧州特許(EP)第44 159号明細書及び欧州特許(EP)第751 175号明細書に記載されている。酸化防止剤の添加は、特に、貯蔵及び輸送の際に、噴霧乾燥された生成物の自己発熱及び自然発火を防止するために行われる。好ましい酸化防止剤は、ステリックヒンダードアルキルフェノール又はそれらの縮合生成物の物質の種類から選択されている。可能な酸化防止剤は、Plastics Additives Handbook, 第5版, Muenchen 2000, 1-139, Hanser Verlagから明らかである。
【0039】
さらに、前記分散液に、噴霧乾燥の間に、ブロッキング防止剤が添加されることができる。ブロッキング防止剤は、0.1〜15質量%、好ましくは3〜8質量%の量で添加される。好ましい一実施態様において、疎水化されたブロッキング防止剤が使用される。ブロッキング防止剤は、例えば炭酸カルシウム、タルク又はシリカからなる、微粒状粉末であると理解される。疎水化されたブロッキング防止剤は、例えば、脂肪酸又は脂肪アルコール、例えばステアリン酸又はパルミチン酸でコーティングされた炭酸カルシウム又は反応性シラン、例えばクロロシラン類又はヘキサメチルジシラザンでの表面処理により化学的に変性されたシリカである。好ましくは、ステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウムが使用される。ブロッキング防止剤は、好ましくは、100nmよりも小さい一次粒度を有する。
【0040】
噴霧乾燥から得られた粉末のせん断適用及び微粉砕のためには、当業者に公知の微粉砕用の全てのミルが使用されることができる。これらは、カッティングミル、インパクトミル、例えばローターインパクトミル又はジェットインパクトミル、ローラーミル、例えばローリングミル、ロールミル又はGutbettローラーミル、粉砕媒体ミル(Mahlkoerpermuehlen)、例えばボールミル、ロッドミル、自生ミル、プラネタリミル、振動ミル、遠心ミル又は撹拌機ミル並びに粉砕乾燥器である。微粉砕機は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、第11巻、p.70及び第33巻、p.41-81に記載されている。好ましくは、ふるい分級を備えているミルが使用され、特に好ましい装置は、シーブファイングラニュレーター及びロータリーファイングラニュレーター(グレーター−シュレッダー)である。
【実施例】
【0041】
固体含量は一般的に、定義された量の水性ポリマー分散液(約5g)が、140℃で乾燥器中で恒量まで乾燥させることによって決定した。その都度2つの別個の測定を実施した。それぞれの例において記載された値は、双方の測定結果の平均値である。
【0042】
コポリマー粒子の平均粒子直径は一般的に、23℃で、Malvern Instruments社、EnglandのAutosizer IICを用いる0.005〜0.01質量%水性分散液での動的光散乱により算出した。測定された自己相関関数の累積評価(累積z−平均(cumulant z-average))の平均直径が記載される(ISO規格13321)。
【0043】
例1
ブレード撹拌機及び加熱/冷却装置を備えた2l重合反応器中で、脱イオン水323.8g及び30nmの質量平均粒子直径DW50を有する33質量%水性ポリマーラテックス(スチレンのラジカルにより開始される乳化重合により製造) 2.27gからなる混合物を、窒素雰囲気下に80℃に加熱した。これに、前記の温度でペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液8.06gを添加した。10min後、フィード1及びフィード2を開始した。フィード1を3hに亘って一定に計量供給した。フィード2を5hに亘って一定に計量供給した。
【0044】
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 708.94g
アリルメタクリラート 3.56g
から製造された水性乳濁液であった。
【0045】
フィード2は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液24.2gであった。
【0046】
フィード1の終了後、1h後にフィード3を開始し、1hに亘って一定に計量供給した。
【0047】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 37.5g
から製造された水性乳濁液であった。
【0048】
フィード2及び3の終了後、さらに0.5h、80℃で撹拌し、引き続いて反応混合物を室温に冷却した。得られた水性ポリマー分散液は52.8質量%の固体含量を有していた。平均粒度は303nmであった。
【0049】
比較例1
分散液を例1の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 125.1g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 608.25g
アリルメタクリラート 3.00g
から製造された水性乳濁液であった。
【0050】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 138.75g
から製造された水性乳濁液であった。
【0051】
得られた水性ポリマー分散液は53.2質量%の固体含量を有していた。平均粒度は305nmであった。
【0052】
比較例2
分散液を例1の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 671.63g
アリルメタクリラート 3.38g
から製造された水性乳濁液であった。
【0053】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 75.0g
から製造された水性乳濁液であった。
【0054】
得られた水性ポリマー分散液は53.5質量%の固体含量を有していた。平均粒度は299nmであった。
【0055】
比較例3
分散液を例1の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液40.0g
n−ブチルアクリラート 690.28g
アリルメタクリラート 3.47g
から製造された水性乳濁液であった。
【0056】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 56.25g
から製造された水性乳濁液であった。
【0057】
得られた水性ポリマー分散液は53.6質量%の固体含量を有していた。平均粒度は300nmであった。
【0058】
比較例4
分散液を例1の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液40.0g
n−ブチルアクリラート 727.59g
アリルメタクリラート 3.66g
から製造された水性乳濁液であった。
【0059】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 18.75g
から製造された水性乳濁液であった。
【0060】
得られた水性ポリマー分散液は53.1質量%の固体含量を有していた。平均粒度は291nmであった。
【0061】
比較例5
ブレード撹拌機及び加熱/冷却装置を備えた2l重合反応器中で、脱イオン水323.8g及び30nmの質量平均粒子直径DW50を有する33質量%水性ポリマーラテックス(スチレンのラジカルにより開始される乳化重合により製造) 2.27gからなる混合物を、窒素雰囲気下に80℃に加熱した。これに、前記の温度でペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液8.06gを添加した。10min後、フィード1及びフィード2を開始した。双方のフィードを3hに亘って一定に計量供給した。
【0062】
フィード1は、
脱イオン水 245.87g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 15.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 746.25g
アリルメタクリラート 3.75g
から製造された水性乳濁液であった。
【0063】
フィード2は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液24.2gであった。
【0064】
フィード1及び2の終了後、さらに0.5h、80℃で撹拌し、引き続いて反応混合物を室温に冷却した。得られた水性ポリマー分散液は53.0質量%の固体含量を有していた。平均粒度は288nmであった。
【0065】
例2
ブレード撹拌機及び加熱/冷却装置を備えた2l重合反応器中で、脱イオン水323.8g及び30nmの質量平均粒子直径DW50を有する33質量%水性ポリマーラテックス(スチレンのラジカルにより開始される乳化重合により製造) 3.64gからなる混合物を、窒素雰囲気下に80℃に加熱した。これに、前記の温度でペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液8.06gを添加した。10min後、フィード1及びフィード2を開始した。フィード1を3hに亘って一定に計量供給した。フィード2を5hに亘って一定に計量供給した。
【0066】
フィード1は、
脱イオン水 191.2g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 709.83g
アリルメタクリラート 2.67g
から製造された水性乳濁液であった。
【0067】
フィード2は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液24.2gであった。
【0068】
フィード1の終了後、1h後にフィード3を開始し、1hに亘って一定に計量供給した。
【0069】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 37.5g
から製造された水性乳濁液であった。
【0070】
フィード2及び3の終了後、さらに0.5h、80℃で撹拌し、引き続いて反応混合物を室温に冷却した。得られた水性ポリマー分散液は53.5質量%の固体含量を有していた。平均粒度は266nmであった。
【0071】
比較例6
分散液を例2の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 672.47g
アリルメタクリラート 2.53g
から製造された水性乳濁液であった。
【0072】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 75.0g
から製造された水性乳濁液であった。
【0073】
得られた水性ポリマー分散液は53.6質量%の固体含量を有していた。平均粒度は264nmであった。
【0074】
比較例7
分散液を例2の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 691.13g
アリルメタクリラート 2.63g
から製造された水性乳濁液であった。
【0075】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 56.25g
から製造された水性乳濁液であった。
【0076】
得られた水性ポリマー分散液は53.5質量%の固体含量を有していた。平均粒度は260nmであった。
【0077】
比較例8
分散液を例2の規定に従い製造したが、次の差異を有していた:
フィード1は、
脱イオン水 191.7g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 10.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 728.51g
アリルメタクリラート 2.74g
から製造された水性乳濁液であった。
【0078】
フィード3は、
脱イオン水 54.15g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 5.0g
メタクリル酸メチル 18.75g
から製造された水性乳濁液であった。
【0079】
得られた水性ポリマー分散液は53.8質量%の固体含量を有していた。平均粒度は262nmであった。
【0080】
比較例9
ブレード撹拌機及び加熱/冷却装置を備えた2l重合反応器中で、脱イオン水323.8g及び30nmの質量平均粒子直径DW50を有する33質量%水性ポリマーラテックス(スチレンのラジカルにより開始される乳化重合により製造) 3.64gからなる混合物を、窒素雰囲気下に80℃に加熱した。これに、前記の温度でペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液8.06gを添加した。10min後、フィード1及びフィード2を開始した。双方のフィードを3hに亘って一定に計量供給した。
【0081】
フィード1は、
脱イオン水 245.34g
12−置換されたビフェニルエーテルスルホナートのナトリウム塩の45質量%水溶液(Dowfax(登録商標) 2A1、Dow Chemical Companyの商標) 15.0g
ピロリン酸ナトリウムの3質量%水溶液 40.0g
n−ブチルアクリラート 747.19g
アリルメタクリラート 2.81g
から製造された水性乳濁液であった。
【0082】
フィード2は、ペルオキソ二硫酸ナトリウムの7質量%水溶液24.2gであった。
【0083】
フィード1及び2の終了後、さらに0.5h、80℃で撹拌し、引き続いて反応混合物を室温に冷却した。得られた水性ポリマー分散液は53.3質量%の固体含量を有していた。平均粒度は260nmであった。
【0084】
PVC成形体の衝撃強さの決定
PVC粉末(Solvin 265 RE、Solvay社) 100部
Pb安定剤(Baeropan R 2930 SP 1、Baerlocher社) 7部
CaCO3(Hydrocarb 95 T、Omya社) 6部及び
TiO2(Kronos 2220、Kronos International社) 4部
からなる混合物を、例1及び2及び比較例1〜9のポリマー分散液7部(固体含量を基準として)と一緒に、ロール(Collin GmbH社の2本ロールミル、型式110P)上へ添加し、180℃で8minロール練りすることにより分出シートを製造した。これを、190℃で15barで8min、引き続いて200barで5min、プレスシートにプレスし、冷却を200barで8minに亘って行った。このプレスシートから試験体を切削し、引き続いてノッチ加工した。ノッチ付き衝撃強さの決定は、DIN 53753に従ってシャルピー法により行った。ノッチ半径0.1mmを有するダブルVノッチを設けた3mmの厚さの試験体を使用した。測定を、Zwick社の振り子衝突試験機(型式B5102E)で行い、振り子の仕事能力の公称値は1Jであった。平均値は10個の個々の測定から形成された。
【0085】
【表1】

【0086】
噴霧乾燥
例1によるポリマー分散液を、噴霧乾燥により乾燥させた。噴霧乾燥を、1.0mm一流体ノズル噴霧を備えたスプレー塔中で45barでN2−ストレート操作(Geradeausfahrweise)下に135℃の塔入口温度及び58℃の出口温度で行った。ポリマー分散液と共に同時に、連続的に、ステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウム(Solvay社のWinnofil S)4.0質量%(分散液の固体含量を基準として)を質量制御された二軸スクリューを経てスプレー塔の頂部へ計量供給した。
【0087】
粉末特性
粒度
体積平均粒度d50を、Malvern社のMastersizer 2000/Hydro 2000 Gを用いて測定した。
【0088】
見掛け密度
見掛け密度をEN ISO 60に従って算出した。
【0089】
流動性
流動性を、DIN EN ISO 2431に従って決定した。そのためには、6mmノズルを備えたDIN 53 211によるフローカップを使用した。
【0090】
ケーキング
ケーキング傾向を、試験すべき粉末200gを、1000μmふるいを経て、ペトリ皿(直径120mm)中に立っているプラスチック管(内径100mm、高さ160mm)中に充填することによって測定した。充填した粉末上へ、円形プラスチックシート(直径98mm)並びに15kgのおもり(黄銅)を載せた。22℃で2hの滞留時間後におもりを除去し、プレスされた粉末を、ふるい振とう機(Fritsch analysette 3Pro)の2000μmふるい上へ慎重に移した。ふるいスタックを閉じ、試料を0.4mmの振幅でふるい分けした。粉末がふるいを経て完全に落下するのに必要とされた時間を測定した。
【0091】
例3
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を、0.5mmふるいインサートを備えたロータリーファイングラニュレーター(Alexanderwerk社のRFG 150)を用いてせん断した。
【0092】
例4
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を、0.63mmふるいインサートを備えたロータリーファイングラニュレーター(Alexanderwerk社のRFG 150)を用いてせん断した。
【0093】
例5
例4から得られたポリマー粉末を、0.5mmふるいインサートを備えたロータリーファイングラニュレーター(Alexanderwerk社のRFG 150)を用いてせん断した。
【0094】
例6
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を、0.3mmふるいインサートを備えたグレーター−シュレッダー(Alexanderwerk社のR165N)を用いて700rpmでせん断した。
【0095】
例7
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を、0.63mmふるいインサートを備えたグレーター−シュレッダー(Alexanderwerk社のR165N)を用いて700rpmでせん断した。
【0096】
例8
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を、0.3mmふるいインサートを備えたグレーター−シュレッダー(Alexanderwerk社のR300N)を用いて330rpmでせん断した。
【0097】
比較例10
噴霧乾燥から取得されたポリマー粉末を直接使用した。
【0098】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性ポリマー分散液からのポリマー粉末の製造方法であって、
ポリマー粒子IIの水性分散液が、分散分布されたポリマー粒子Iの存在での少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーCのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られ、ここで、
a)少なくとも1つの不飽和モノマーCのポリマーが>60℃のガラス転移温度を有し、
b)分散分布されたポリマー粒子Iは、
98.0〜99.9質量%が少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーAからなり、前記モノマーAのポリマーが<−20℃のガラス転移温度を有し、及び
0.1〜2.0質量%が架橋作用を有し、少なくとも2つの非共役ビニル基を有する少なくとも1つの化合物(モノマーB)
からなるモノマー混合物Iのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られ、
c)モノマー混合物I対モノマーCの量比が>90質量%:<10質量%であり、ここで、モノマー混合物I及びモノマーCの全量の合計が100質量%になり、
d)ポリマー粒子IIの水性分散液からの粉末の製造が、
i.ポリマー粒子IIの全質量を基準として、少なくとも1つのブロッキング防止剤0.1〜15質量%の存在での噴霧乾燥、引き続き機械式及び/又は空圧式に誘導されたせん断力を用いる粗製粉末の微粉砕によるか又は
ii.ポリマー粒子IIの全量を基準として、少なくとも1つのブロッキング防止剤0.1〜15質量%の存在での機械式及び/又は空圧式の粉砕乾燥により、行う
ことを特徴とする、水性ポリマー分散液からのポリマー粉末の製造方法。
【請求項2】
粗製粉末の微粉砕のために、シーブファイングラニュレーター、ロータリーファイングラニュレーター又は流動層型ミル(Wirbelmuehle)を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粉砕乾燥のために、流動層型ミルを使用する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポリマー粒子IIが多峰性の粒度分布を有し、かつ同じか又は異なる化学組成を有する少なくとも2つの粒子集団を有し、それらの平均粒子直径が少なくとも30nmだけ互いに相違し、ここで、最も大きい平均粒子直径を有する粒子集団が少なくとも15質量%の割合を有し、かつ最も小さい平均粒子直径を有する粒子集団が少なくとも5質量%の割合を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリマー粒子IIの水性分散液に、噴霧乾燥の前に、少なくとも1つのエチレン系不飽和モノマーDのラジカルにより誘発された水性乳化重合により得られたをポリマー粒子IIIを添加し、ここで、
a.少なくとも1つの不飽和のモノマーDのポリマーが>50℃のガラス転移温度を有し、
b.ポリマー粒子IIの量を基準として、ポリマー粒子IIIの割合が>5質量%及び<30質量%であり、
c.少なくとも1つのモノマーDが、C1〜C8−アルキルアクリラート、C1〜C4−アルキルメタクリラート、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸、アクリル酸又は架橋作用を有し、少なくとも2つの非共役ビニル基を有する化合物、又はそれらの混合物の群から選択されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
モノマー混合物I対モノマーCの量比が、≧93質量%:<7質量%ないし<97質量%:>3質量%である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
a.モノマーAの95〜100質量%がC1〜C8−アルキルアクリラート、ブタジエン又はそれらの混合物の群から選択されており、
b.モノマーBがアリルメタクリラート、ブタンジオールジメタクリラート、又はジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートの群から選択されており、
c.モノマーCの90〜100質量%がC1〜C4−アルキルメタクリラート、C1〜C8−アルキルアクリラート、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル又はそれらの混合物の群から選択されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
モノマーAとしてn−ブチルアクリラート及び/又は2−エチルヘキシルアクリラート、モノマーBとしてアリルメタクリラート及びモノマーCとしてメタクリル酸メチルを使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ブロッキング防止剤が<100nmの一次粒度を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ブロッキング防止剤としてステアリン酸でコーティングされた炭酸カルシウムを使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により得られる、ポリマー粉末。
【請求項12】
ポリ塩化ビニル(PVC)を変性するための、請求項11記載のポリマー粉末の使用。
【請求項13】
請求項11記載のポリマー粉末0.1〜50質量%を均一分布で含有する、PVC組成物。
【請求項14】
成形品を製造するための請求項13記載のPVC組成物の使用。
【請求項15】
請求項13記載のPVC組成物を使用して製造された成形品。

【公表番号】特表2008−535962(P2008−535962A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502395(P2008−502395)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/060889
【国際公開番号】WO2006/100228
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】